JP6771010B2 - 細胞の捕捉および解析のデバイスおよび方法 - Google Patents

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Description

関連出願
本出願は、それぞれが、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、2009年8月20日に出願した米国特許仮出願第61/235,615号、2009年3月24日に出願した米国特許仮出願第61/163,009号、および2010年1月27日に出願した米国特許仮出願第61/298,871号に対する優先権を主張する。
発明の分野
本発明は、溶液から対象の細胞および分子などの標的を捕捉するためのマイクロチャネルデバイス、ならびに循環細胞の捕捉後解析に関する。特定の態様において、本発明は、生理液から標的細胞(例えば、循環腫瘍細胞)の捕捉するための方法およびデバイス、ならびにそれらの解析に関する。
発明の背景
不均一試料からの標的細胞または標的分子の単離は、研究用途ならびに診断および治療などの医療用途にとって、大きな関心対象となっている。具体的には、生体組織および体液からの希少な細胞型の分離は、大きな組織試料を入手する必要性をなくし、かつそのような試料を入手するのに必要とされる方法に不随する危険性を回避する。例えば、遺伝子検査のための母体血試料からの遺伝子検査用胎児細胞の単離は、羊水穿刺または絨毛採取に不随する危険性を回避する。患者からの循環腫瘍細胞の単離は、臨床家が、癌を評価し患者の腫瘍の生理的変化をモニターすること、ならびに侵襲性の生検方法を実施することなく現在行われている薬物治療の効果を評価することを可能にする。
不均一試料から生体分子および/または生体細胞を分離するための現在の方法は典型的には、固体担体に結合させた高親和性結合パートナー(例えば、抗体または抗原)の使用を伴う。不均一試料を固体担体の上に通過させ、対象の標的生体分子または標的生体細胞を、結合パートナーにより結合させ、固体担体上に保持する。結合した対象の分子または細胞はその後、分子のゲノム情報およびプロテオミクス情報の存在について解析されうる。
これら現在のアプローチは、いくつかの技術的困難に悩まされていて、そのうちの1つは非特異的結合の問題である。非特異的結合を最小限にするために、1つまたは複数の洗浄工程が、固体担体または結合パートナーに結合する他の分子または細胞を取り除くために必要とされる。加えて、染色法およびハイブリダイゼーションの法によるその後のチャネル上の細胞のインサイチュー解析は、細胞を過酷な変性条件に供する可能性がある。これらの洗浄法および解析法は、結合パートナーを分解させるか、その立体配座構造の一部を喪失させるか、または固体担体から解離させる可能性がある条件に結合パートナーを供することにより、所望の分子または細胞の当初の捕捉を危うくする可能性がある。
さらにまた、サイトケラチン(CK)について細胞を染色するなど、(例えば、患者試料から捕捉されるような)循環細胞を悪性度について解析する現行の方法は、循環腫瘍細胞を同定および/または評価するためのマーカーとしての限界がある。
従って、試料から対象の生体分子および/または生体細胞を単離するためのさらなる方法およびデバイス、ならびに捕捉した循環腫瘍細胞の解析などの捕捉した標的のその後の解析のための方法が、当技術分野において必要とされている。
本発明は、液体試料から生物学的標的を捕捉および/または解析するためのデバイスおよび方法を提供する。種々の態様において、本発明は、癌患者の疾患の評価のために、成体試料から循環腫瘍細胞を捕捉するための方法を提供する。これらの態様および他の態様において、本発明は、CK状態なしにまたはCK状態とは無関係に循環細胞の悪性度を同定および/または評価するための方法を提供する。
1つの局面において、本発明は溶液から生体標的を捕捉するための方法を提供する。この局面において、本発明は一部、対象の標的(例えば、細胞)を含む試料を細胞に特異的に結合する結合パートナーと一緒に前標識または予混合する工程が、マイクロチャネルデバイスにおけるそのような標的の捕捉を増強するという発見に基づく。
特定の態様において、デバイスは、マイクロチャネルおよび添加混合物を含む。マイクロチャネルは、ランダムパターンでマイクロチャネルの表面に分布するポストの集団を含んでもよい。添加混合物は、標的細胞などの標的を含む疑いがある生体試料を含んでもよく、さらに第1の結合要素を含んでもよい。第1の結合要素は、標的(例えば、標的細胞上の標的要素)に特異的に結合する。マイクロチャネルの表面は、第1の結合要素に直接的にまたは間接的に特異的結合する第2の結合要素でコーティングされている。いくつかの態様において、添加混合物は、検出可能な要素または捕捉可能な要素に結合した第3の結合要素をさらに含む。例えば、第1の結合要素は一次抗体であってもよく、第3の結合要素は一次抗体に特異的に結合する二次抗体であってもよく、かつ第2の結合要素は二次抗体に直接的にまたは間接的に特異的結合する。1つの態様において、第3の結合要素は、第1の結合要素に特異的に結合するビオチン化二次抗体であり、かつ第2の結合要素はアビジンである。二次抗体は、完全な抗体またはFab'2、Fab'もしくはFabなどの任意の抗体断片であってもよい。さらに、これは、一本鎖Fab断片または一本鎖可変断片などの任意の遺伝子改変型の抗体断片または遺伝子発現型の抗体断片を含んでもよい。
別の局面において、本発明は、本明細書において記載されているような、希少な細胞集団を含む生体試料中の標的細胞を捕捉および/または検出するための方法を提供する。1つの態様において、方法は、生体試料を第1の結合要素と接触させ、前添加(pre-loading)混合物を形成する工程であって、第1の結合要素が標的細胞の表面で標的要素に特異的に結合する、前記工程;前添加混合物をマイクロチャネルに通す工程であって、マイクロチャネルの表面が第1の結合要素に特異的に結合する能力を有する第2の結合要素でコーティングされている、前記工程;およびマイクロチャネルの表面で標的細胞の存在を検出する工程を含む。生体試料は、血液、血漿、血清、骨髄、精液、膣分泌物、尿、羊水、脳脊髄液、滑液、細針吸引液(FNA)または生検組織試料などの生理液、体液または組織であることができる。特定の態様において、標的細胞は、生体試料中で希少でありかつ低比率で存在する。生体試料(例えば、血液)中で希少である標的細胞の例は、循環腫瘍細胞(CTC)、腫瘍形成のステージ1などの疾患状態の初期段階にある細胞、ならびにウイルス、細菌または真菌に感染した細胞を含む。
特定の態様において、標的細胞は、乳癌細胞、前立腺癌細胞、結腸直腸癌細胞、肺癌細胞、膵臓癌細胞、卵巣癌細胞、膀胱癌細胞、子宮内膜または子宮癌細胞、子宮頸癌細胞、肝臓癌細胞、腎癌細胞、甲状腺癌細胞、骨癌細胞、リンパ腫細胞、黒色腫細胞および非黒色腫皮膚癌細胞などの癌細胞(例えば、循環腫瘍細胞)である。腫瘍は、上皮性腫瘍であってもよい。そのような態様において、第1の結合要素は、循環上皮性細胞に特異的に結合する抗体であることができる。1つの態様において、第1の結合要素は、上皮細胞接着分子抗体(例えば、EpCAM)である。これらの態様および他の態様において、第1の結合要素はビオチン化抗体であり、かつ第2の結合要素はアビジンである。種々の態様において、本発明は、上皮細胞、間葉細胞、幹細胞または始原細胞の様々な特徴を示す循環腫瘍細胞を捕捉するために、第1結合要素として抗体カクテルを含む。
本発明の別の態様において、前添加混合物は、第3の結合要素をさらに含む。そのような態様において、第1の結合要素は一次抗体であってもよく、第3の結合要素は検出可能な要素または捕捉可能な要素に結合した二次抗体であってもよく、二次抗体は第1の結合要素に特異的に結合する。第2の結合要素は、捕捉可能な部分を介して第3の結合要素に特異的に結合する。特定の態様において、第3の結合要素は、第1の結合要素に特異的に結合するビオチン化二次抗体であり、かつ第2の結合要素はアビジンである。
いくつかの態様において、方法は、細胞捕獲後に、マイクロチャネルの表面に結合している標的細胞を架橋する工程をさらに含む。架橋試薬は、親水性ホモ二官能性NHS架橋試薬などのタンパク質架橋試薬を含む。特定の態様において、捕捉細胞は、マイクロチャネル内でまたは捕捉後にチャネルの外でさらなる解析に供されうる。
別の局面において、本発明は、循環細胞の捕捉後解析のための方法、特に、循環細胞の悪性度を試験または評価するための方法を提供する。概して、この局面において本発明は、捕捉細胞の異数性を評価する工程を含み、変異を含む悪性度の他のマーカーの評価を任意で伴う。方法は概して、サイトケラチン発現を決定する工程を含まないか、またはサイトケラチン発現と無関係である。
以下に、本発明の基本的な諸特徴および種々の態様を列挙する。
[1]
以下を含む、試料中の標的を検出するための方法:
試料を第1の結合要素と接触させ、前添加混合物を形成する工程であって、該第1の結合要素が、標的の表面の標的要素に特異的に結合する、前記工程、
前添加混合物をマイクロチャネルに通す工程であって、該マイクロチャネルの表面が、第1の結合要素に直接的または間接的に特異的結合する能力を有する第2の結合要素でコーティングされている、前記工程、および
マイクロチャネルの表面の標的の存在を検出する工程。
[2]
第1の結合要素が、抗体または抗体カクテルである、[1]記載の方法。
[3]
標的が、生体試料中の希少細胞である、[1]記載の方法。
[4]
標的細胞が、生体試料中に10 10 細胞のうち1細胞、5×10 7 細胞のうち1細胞、または10 4 細胞のうち1細胞の比率で存在する細胞である、[3]記載の方法。
[5]
標的細胞が、乳癌細胞、前立腺癌細胞、結腸直腸癌細胞、肺癌細胞、膵臓癌細胞、卵巣癌細胞、膀胱癌細胞、子宮内膜癌細胞、子宮頸癌細胞、肝臓癌細胞、腎癌細胞、甲状腺癌細胞、骨癌細胞、リンパ腫癌細胞、黒色腫癌細胞、および非黒色腫癌細胞から選択される癌細胞である、[3]記載の方法。
[6]
第1の結合要素が、上皮細胞表面マーカーに特異的に結合する抗体を含む、[1]記載の方法。
[7]
第1の結合要素が、上皮細胞接着分子(EpCAM)抗体である、[1]記載の方法。
[8]
標的細胞が、乳癌細胞であり、かつ第1の結合要素が、Her2/neu、EpCAM、MUC-1、EGFR、TAG-12、IGF1R、TACSTD2、CD318、CD104、もしくはN-カドヘリンに特異的に結合する抗体であるか、または第1の結合要素が、それらの組み合わせに特異的に結合する抗体カクテルである、[3]記載の方法。
[9]
標的細胞が、黒色腫癌細胞であり、かつ第1の結合要素が、メラニン細胞分化抗原、癌胎児性抗原、腫瘍特異的抗原、SEREX抗原、またはそれらの組み合わせ特異的に結合する抗体である、[3]記載の方法。
[10]
メラニン細胞分化抗原が、チロシナーゼ、gp75、gp100、MelanA/MART1、またはTrp2からなる、[9]記載の方法。
[11]
癌胎児性抗原が、MAGE-A1、MAGE-A4、BAGE、GAGE、またはNY-ESO1からなる、[9]記載の方法。
[12]
腫瘍特異的抗原が、CDK4およびβ-カテニンからなる、[9]記載の方法。
[13]
標的細胞が前立腺癌細胞であり、かつ第1の結合要素が、EpCAM、MUC-1、EGFR、PSMA、PSA、TACSTD2、PSCA、PCSA、CD318、CD104、もしくはN-カドヘリンに特異的に結合する抗体であるか、または第1の結合要素が、それらの組み合わせに特異的に結合する抗体カクテルである、[3]記載の方法。
[14]
標的細胞が、結腸直腸癌細胞であり、かつ第1の結合要素が、EpCAM、CD66c、CD66e、CEA、TACSTD2、CK20、CD104、MUC-1、CD318、もしくはN-カドヘリンに特異的に結合する抗体であるか、または第1の結合要素が、それらの組み合わせに特異的に結合する抗体カクテルである、[3]記載の方法。
[15]
標的細胞が、肺癌細胞であり、かつ第1の結合要素が、CK18、CK19、TACSTD2、CD318、CD104、CEA、EGFR、もしくはEpCAMに特異的に結合する抗体であるか、または第1の結合要素が、それらの組み合わせに特異的に結合する抗体カクテルである、[3]記載の方法。
[16]
標的細胞が、膵臓癌細胞であり、かつ第1の結合要素が、MUC-1、CEA、TACSTD2、CD104、CD318、N-カドヘリン、MUC-1、もしくはEpCAMに特異的に結合する抗体であるか、または第1の結合要素が、それらの組み合わせに特異的に結合する抗体カクテルである、[3]記載の方法。
[17]
標的細胞が、卵巣癌細胞であり、かつ第1の結合要素が、MUC-1、TACSTD2、CEA、CD318、CD104、N-カドヘリン、もしくはEpCAMに特異的に結合する抗体であるか、または第1の結合要素が、それらの組み合わせに特異的に結合する抗体カクテルである、[3]記載の方法。
[18]
標的細胞が、内皮膀胱癌細胞であり、かつ第1の結合要素が、CD34、CD146、CD62、CD105、CD106、VEGF受容体、もしくはMUC-1に特異的に結合する抗体であるか、または第1の結合要素が、それらの組み合わせに特異的に結合する抗体カクテルである、[3]記載の方法。
[19]
標的細胞が、上皮膀胱癌細胞であり、かつ第1の結合要素が、TACSTD2、EpCAM、CD318、EGFR、6B5、N-カドヘリン、もしくは葉酸結合受容体に特異的に結合する抗体であるか、または第1の結合要素が、それらの組み合わせに特異的に結合する抗体カクテルである、[3]記載の方法。
[20]
標的細胞が、癌幹細胞であり、かつ第1の結合要素が、CD133、CD135、CD117、もしくはCD34に特異的に結合する抗体であるか、または第1の結合要素が、それらの組み合わせに特異的に結合する抗体カクテルである、[3]記載の方法。
[21]
標的細胞が、間葉系抗原を発現する循環癌細胞であり、かつ第1の結合要素が、FGFR1、FGFR4、EGFR、葉酸結合受容体、N-カドヘリン、もしくはMSCに特異的に結合する抗体であるか、または第1の結合要素が、それらの組み合わせに特異的に結合する抗体である、[3]記載の方法。
[22]
標的細胞が、血管形成表面抗原を発現する循環癌細胞であり、かつ第1の結合要素が、VEGF受容体に特異的に結合する抗体である、[3]記載の方法。
[23]
第1の結合要素がビオチン化抗体であり、かつ第2の結合要素がアビジンである、[1]記載の方法。
[24]
前処理混合物を第3の結合要素と接触させる工程をさらに含み、第1の結合要素が、一次抗体であり、第3の結合要素が、検出可能または捕捉可能な要素に結合した二次抗体であり、かつ第1の結合要素に特異的に結合し、かつ第2の結合要素が、検出可能または捕捉可能な要素を介して第3の結合要素に特異的に結合する、[1]記載の方法。
[25]
前処理混合物を第3の結合要素と接触させる工程をさらに含み、第1の結合要素が、一次抗体であり、第3の結合要素が、第1の結合要素に特異的に結合するビオチン化二次抗体であり、かつ第2の結合要素が、アビジンである、[1]記載の方法。
[26]
第1の結合要素が、少なくとも第1の抗体と第2の抗体との混合物であり、かつ第1の抗体が、標的要素の第1のエピトープに特異的に結合し、かつ第2の抗体が、標的要素の第2のエピトープに特異的に結合する、[1]記載の方法。
[27]
第1の抗体が、幹細胞抗原に特異的に結合し、かつ第2の抗体が、癌細胞抗原に結合する、[26]記載の方法。
[28]
第1の抗体が、CD133、CD135、CD117、CD34、またはそれらの組み合わせに特異的に結合する、[27]記載の方法。
[29]
第1の抗体が、間葉系マーカーに特異的に結合し、かつ第2の抗体が、癌細胞抗原に特異的に結合する、[26]記載の方法。
[30]
第1の抗体が、FGFRl、FGFR4、MSC、またはそれらの組み合わせに特異的に結合する、[29]記載の方法。
[31]
第1の抗体が、血管形成マーカーに特異的に結合し、かつ第2の抗体が、癌細胞抗原に特異的に結合する、[26]記載の方法。
[32]
第1の抗体が、VEGF受容体に特異的に結合する、[31]記載の方法。
[33]
マイクロチャネルが、ランダムパターンでマイクロチャネルの表面に分布するポストの集団を含む、[1]記載の方法。
[34]
マイクロチャネルの表面に結合した標的を架橋する工程をさらに含む、[1]記載の方法。
[35]
標的の存在を検出する工程が、第1の結合要素の存在を検出する工程により行われる、[1]記載の方法。
[36]
マイクロチャネルおよび添加混合物を含むデバイスであって、
該マイクロチャネルが、ランダムパターンでマイクロチャネルの表面に分布するポストの集団を含み、
該添加混合物が、標的細胞を含む疑いがある生体試料および第1の結合要素を含み、
該第1の結合要素が、標的細胞上の標的要素に特異的に結合し、かつ
該マイクロチャネルの表面が、第1の結合要素に直接的にまたは間接的に特異的に結合する第2の結合要素でコーティングされる、
前記マイクロチャネルおよび添加混合物を含むデバイス。
[37]
第1の結合要素が、少なくとも第1の抗体および第2の抗体を有する結合要素混合物を含み、かつ第1の抗体が、標的要素の第1のエピトープに特異的に結合し、かつ第2の抗体が、標的要素の第2のエピトープに特異的に結合する、[36]記載のデバイス。
[38]
生体試料が、血液、血漿、骨髄、血清、精液、膣分泌物、尿、唾液、羊水、脳脊髄液、滑液、肺洗浄液、細針吸引液(FNA)、および生検組織試料からなる群より選択される生理液または生理組織である、[36]記載のデバイス。
[39]
添加混合物が、検出可能な要素に結合した第3の結合要素をさらに含み、第1の結合要素が一次抗体であり、第3の結合要素が、第1の結合要素に特異的に結合する二次抗体であり、かつ第2の結合要素が、第3の結合要素に特異的に結合する、[36]記載のデバイス。
[40]
添加混合物が、第3の結合要素をさらに含み、第1の結合要素が一次抗体であり、第3の結合要素が、第1の結合要素に特異的に結合するビオチン化二次抗体であり、かつ第2の結合要素がアビジンである、[36]記載のデバイス。
[41]
標的細胞の存在を検出する工程が、第3の結合要素の存在を検出する工程により行われる、[1]記載の方法。
[42]
以下を含む生体試料中の標的細胞を捕捉するための方法:
生体試料を第1の結合要素と接触させ、前添加混合物を形成する工程であって、該第1の結合要素が標的細胞の表面で標的要素に特異的に結合する、前記工程、
前添加混合物をマイクロチャネルに通す工程であって、該マイクロチャネルの表面が、第1の結合要素に特異的に結合する能力を有する第2の結合要素でコーティングされている、前記工程、および
マイクロチャネルの表面で標的細胞を捕捉する工程。
[43]
標的細胞が循環腫瘍細胞(CTC)である、[42]記載の方法。
[44]
捕捉標的細胞が、マイクロチャネルの表面に付着している間に検出される、[42]記載の方法。
[45]
標的細胞が、インサイチューまたはインビトロで解析される、[42]記載の方法。
[46]
標的細胞が、異数性について評価される、[42]記載の方法。
[47]
標的細胞が、1番、3番、4番、7番、8番、11番、および/または17番染色体の1つまたは複数にある異数性について評価される、[46]記載の方法。
[48]
異数性が、FISHにより評価される、[46]記載の方法。
[49]
サイトケラチン(CK)発現とは無関係に循環細胞の異数性を評価する工程を含む、単離した循環細胞の悪性度を評価するための方法。
[50]
サイトケラチン染色を伴わない、[49]記載の方法。
[51]
細胞が、1番、3番、4番、7番、8番、11番および/または17番染色体の異数性について評価される、[49]記載の方法。
[52]
細胞が、8番、11番、および/または17番のモノソミーまたはトリソミーについて評価される、[51]記載の方法。
[53]
細胞が、8番、11番、および/または17番のモノソミーについて評価される、[51]記載の方法。
[54]
異数性が、FISHにより評価される、[49]記載の方法。
[55]
追加の悪性度のマーカーを検出する工程をさらに含む、[49]記載の方法。
[56]
追加の悪性度のマーカーが、Her2発現である、[49]記載の方法。
マイクロチャネル内に収容後収集領域を含むマイクロチャネルデバイスの1つの態様の透視図である。 循環腫瘍細胞(CTC)上の抗原に特異的な抗体でコーティングされているマイクロチャネルデバイスにおけるCTCの捕捉を描写する概略図である。Bはビオチンを示す。 循環腫瘍細胞(CTC)がCTC抗原に特異的な抗体で前標識され、かつマイクロチャネルデバイスが細胞特異的抗体に結合する能力を有するタンパク質でコーティングされている、マイクロチャネルデバイスにおけるCTCの捕捉を描写する概略図である。Bはビオチンを示す。 異なる流速で、EpCAM抗体でコーティングされたマイクロチャネル(EpCAMチャネル)またはストレプトアビジンでコーティングされたマイクロチャネル(Strepチャネル)のいずれかで捕捉されたT24 EpCAM陽性細胞の割合を示すグラフである。Strepチャネルの場合、T24細胞は、Strepチャネル通過前にビオチン化EpCAM抗体で前標識された。 異なる濃度の過剰なビオチン化EpCAM抗体の存在下で、ストレプトアビジンでコーティングされたマイクロチャネル上に捕捉されたビオチン化EpCAMで前標識されたT24細胞の割合を示すグラフである。およそ200細胞を含む250 μLの試料をチャネルに適用した。 異なる濃度の過剰なビオチン化EpCAM抗体の存在下で、ストレプトアビジンでコーティングされたマイクロチャネル上に捕捉されたビオチン化EpCAMで前標識されたT24細胞の割合を示すグラフである。およそ200細胞を含む2 mLの試料をチャネルに適用した。 マイクロチャネル上への適用前に細胞を前標識するために用いられる希釈混合物と同じ希釈混合物についてT24細胞の捕捉と比較した、マイクロチャネルの上にコーティングされるEpCAM捕捉抗体の希釈を示すグラフである。 ビオチン化Trop-1抗体単独またはビオチン化Trop-2抗体との組み合わせのいずれかで前標識した場合の、ストレプトアビジンでコーティングされたマイクロチャネル上に捕捉したT24細胞またはSKOV細胞の割合を描写するグラフである。 ビオチン化抗EpCAM抗体単独またはビオチン化捕捉抗体の混合物の組み合わせのいずれかで前標識した場合の、ストレプトアビジンでコーティングされたマイクロチャネル上でのMDA-ND-231細胞の捕捉を描写するグラフである。 ビオチン化一次抗体または非ビオチン化一次抗体とビオチン化二次抗体との組み合わせで前標識した場合の、ストレプトアビジンでコーティングされたマイクロチャネル上で捕捉されたSKOV細胞の割合を描写するグラフである。 次いで異なる流速(20、50、および100 μL/分)の粘性溶液による洗浄に供されたコーティングされたマイクロチャネル中に捕捉された細胞の一連の顕微鏡写真を示す。 コーティングされたマイクロチャネル中に捕捉された細胞の一連の顕微鏡写真を示す。細胞は、異なる流速(20、50、および100 μL/分)の粘性溶液による洗浄に供される前にホモ二官能性NHSタンパク質架橋試薬に曝露された。 NHSタンパク質架橋試薬の非存在または存在下でのコーティングされたマイクロチャネル上の捕捉細胞の割合を示すグラフである。 抗体の混合物の使用と比較して捕捉抗体としてEpCAMのみを使用する場合の、コーティングされたマイクロチャネル上の捕捉膀胱癌細胞の割合を示すグラフである。グラフはまた、抗サイトケラチン抗体および抗ビメンチン抗体による細胞型の染色も示す。 図15Aは、抗体混合物による捕捉と比較したEpCAM抗体によるSKOV細胞の捕捉を示すグラフである。図15Bは、EpCAM抗体または抗体混合物と共にインキュベーションしかつ蛍光標識化二次抗マウス抗体で検出した後のSKOV細胞の染色を示す。同じ細胞のFACS解析は、標識化二次抗マウス抗体でラベルした表面抗原の数を示す。 血液内に添加され、一次抗体混合物およびビオチン化二次抗マウス抗体を用いてマイクロチャネル上に捕捉されたSKOV細胞のイメージである。細胞は、ビオチンに強固に結合する蛍光標識ニュートラアビジンによりチャネル上で染色された。イメージは、ニュートラアビジンで緑色に染色されたSKOV細胞、およびニュートラアビジンで染色されないが、核を検出するためのDAPIのみで染色される近くの白血球を示す。 様々な数のSKBr3細胞が添加された血液試料中のSKBr3の回収を示す。結果は、捕捉率が細胞投入量とは無関係であることを示す。
詳細な説明
本発明は、液体試料から生体標的を捕捉および/または解析するためのデバイスおよび方法を提供する。種々の態様において、本発明は、癌患者の疾患の評価のための、生体試料から循環腫瘍細胞を捕捉するための方法を提供する。これらの態様および他の態様において、本発明は、サイトケラチン発現なしにまたはサイトケラチン発現とは無関係に循環細胞の悪性度を同定および/または評価するための方法を提供する。
1つの局面において、本発明は一部、標的に特異的に結合する結合パートナーによって対象の標的を含む試料を前標識するまたは予混合する工程が、例えば本明細書において記載のマイクロチャネルデバイスなどマイクロチャネル中のそのような標的の捕捉を促進させるという発見に基づく。このアプローチはまた、細胞抗原を標識するのに利用可能な一次抗体の種類および性質に自由度をもたらす。したがって、本発明は、試料、具体的には生体試料から対象のバイオ分子または細胞を分離するための新規デバイスおよび方法を提供する。1つの態様において、デバイスは、マイクロチャネルおよび添加混合物を含む。マイクロチャネルは、マイクロチャネルの表面にランダムパターンで分布させたポストの集団を含んでもよい。添加混合物は、標的細胞を含む疑いがある生体試料および第1の結合要素を含んでもよく、第1の結合要素は、標的細胞上の標的要素に特異的に結合する。マイクロチャネルの表面は、第1の結合要素に直接的または間接的いずれかで特異的に結合する第2の結合要素でコーティングされる。
任意の適切なマイクロチャネルデバイスが、本発明に関連して用いられてもよい。いくつかの態様において、マイクロチャネルデバイスは、複数のあらかじめ決められた流路を含む。いくつかの態様において、マイクロチャネルデバイスは、ランダムパターンでまたは規則的にまたは反復様式で配置されたポストまたは障害物を含む。いくつかの態様において、マイクロチャネルデバイスは、通過する任意の液体に対して流線型の流れまたはランダムな非流線型の流れを提供する領域を含む。
マイクロチャネルデバイスは、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、米国出願公開第2006/0160243号に詳細に記載しているような、バイオ分子または細胞を分離するためのランダムフローデバイスであってもよい。そのようなデバイスは、本発明に関連して用いるために、本明細書において記載のように修飾されうる。概して、ランダムフローマイクロチャネルデバイスは、収集領域を有するマイクロチャネルを少なくとも1つその中に含むように定義される流路を有する基板または支持体を含み、流路は試料注入口および液体排出口に連結されている。いくつかの態様において、流路は、そのそれぞれがそのような収集領域を1つ有する、直列に配置された複数のマイクロチャネルを含んでもよい。あるいは、ランダムフローマイクロチャネルは、直列に配置された1つより多くの収集領域有してもよく、そこで1つより多くの注入口と1つより多くの排出口をさらに有してもよい。ランダムフローマイクロチャネルデバイスの1つの特定の態様は、実施例1に記載され、かつ図1に図示される。
ランダムフローマイクロチャネルの収集領域は、液体流路に対して横に整列し、かつフローチャネルの収集領域部分の幅全体にわたって不規則的なランダムパターンに配置された、複数の直立ポストを含むことができる。1つの態様において、ポストのパターンは、収集領域を通る直線流が存在しえない、および/または流線型の流れが乱されているようなパターンであり、流路に沿って流れる液体とポストの表面との間に好適な接触が存在することを確実にする。ポストは概して、収集領域の平面基部と一体であり、かつそこに垂直に伸び、基板または支持体のフローチャネルを通る流れを生じさせている液体の水平通路に対して垂直である表面を提示する。
パターン化されたポスト収集領域におけるポストの配置および形状は、最適な流体力学およびそれらの特定の表面特性による標的細胞の捕捉の増強のために設計されうる。非常に一般的には、ほとんどの場合、横方向に固定されたポストの水平横断面の好ましい形状は、ポストの横面に非特異的結合を促進する可能性がある鋭角を回避する。ポストは、直線的な外面を有し、好ましくは概して円形の断面形状または6面またはそれより多くの面の均一な多角形のいずれかを有する。用いられる可能性がある別の形状は、先端が下流末端にあり浅く曲がっている涙型か、または卵型であるが、より大きなインパクトが望まれる場合には、正方形が用いられうる。1つの態様において、ポストのパターンは、ポスト、基部および接面の表面に付着させた第2の結合要素による標的細胞の捕捉を増強する、液体流のフローパターンを創出するべきである。この目的達成のために、ポストは、例えば異なる大きであり、かつ所定のランダムパターンに配列されるべきである。異なる断面サイズを有するポスト、例えば直径で約70〜約130ミクロン、収集領域において約100ミクロンの高さの少なくとも約3または4の異なるサイズを有する円形断面ポストのランダムパターンは、ポスト間の最小分離間隔は50〜70 μm、好ましくは約60 μmである。
いくつかの態様において、ポストの断面領域は、その全てが基部に垂直である平行線により形成された側壁を有し、ポストが収集領域の容積の約10〜40%または約15〜25%の間を占めるほどである。好ましくはポストパターンは、ポストが収集領域の容積の約20%を占め、約80%の液流用の空隙容量を残すようになっている。ポストは実質的に、お互いに離れて、例えば少なくとも約60ミクロンの間隔をおいて配置されていて、異なるサイズのポストは好ましくは、お互いの上流および下流に設置される。より小さなポストは、より大きなポストの下流に渦領域を引き起こす可能性があり、生じさせたフローパターンの結果として、周辺の表面が標的細胞捕捉に格別の有効性を示す可能性がある。
概して、マイクロチャネルデバイスの基板構成要素は、シリコン、溶融石英、ガラスおよびポリマー材料などの任意の適切な実験室で許容可能な材料から作製されうる。特に診断機能が任意で使用されるのが望ましい場合に、光学的に透明である材料を用いることが好ましい可能性がある。その一番簡単な態様において、組み立てられたマイクロチャネルを保有する基板は、基板の接面と境を接する平面を有するプレートで密封される。そのようなプレートは、同じ材料から組み立てられてもよく、またはただ単にガラスで作られたカバープレートであってもよい。用いられる可能性がある適切なプラスチックは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメチルメタクリルレート(PMMA)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタラート、ならびに許容可能な実験室材料利用として周知の他のポリマー樹脂を含む。そのようなパターン化基板は、通常の成形技術および鋳造技術の中から選択される技術など任意の簡便な方法を用いて組み立てられてもよい。
基板は、当技術分野において周知の通りの光リソグラフィーを用いる厚いネガ型フォトレジストで生成されうる、基本構造または凹型鋳型(negative mold)構造を用いてポリマー材料から簡便に製作されてもよい。例えば、層構造は、商業的に入手可能な標準等級のエポキシ樹脂(EPON SU-8)フォトレジストと硬化剤(SU-82025)との混合物から形成されることができ、シリコンウエハー基板上で2000 rpmで回転させ、例えばそのようなフォトレジストの40または50 μm厚膜を提供してもよい。厚さは収集領域内の流路の高さを決定する。完全に均一な厚さを確実なものとするために、膜を精密レベル熱板上で3分間60℃で次いで7分間95度で照射前ベーキングに供し、結果の試料を室温まで冷却した。Karl Suss Contact Mask Alignerを用いて、最終的なデバイスにおける望ましい流路のパターンでフィルムを露光する。次いでフィルムを、市販のSU-8現像剤中で5分間現像する前に、65℃で2分間、次いで95℃で5分間ポストベークし、現像の間に軽く攪拌する。これは、その後PDMSまたは他の適切なポリマー樹脂でのパターン化されたポスト基板の複製のための鋳型原型として用いられる、エポキシ樹脂フォトレジストでの凹型パターン鋳型を作製する。マイクロチャネルおよび収集領域におけるパターン化ポストの構成および大きさは、基本の鋳型の製造の露光工程で用いられるマスクにより決定される。マイクロチャネルの深さは、スピンコーティング条件により決定される、基本の鋳型のSU-8層の厚さにより制御される。
本発明はさらに、標的(例えば標的細胞)を含む疑いがある生体試料を含み、かつ第1の結合要素も含む、添加混合物を含む。生体試料は、限定されないが、生理液または体液または組織または生体試料から単離された細胞混合物を含むことができる。例えば、生体試料は、限定されないが、血液、血漿、血清、精液、膣分泌物、尿、唾液、羊水、脳脊髄液、滑液、細針吸引液(FNA)および生検組織試料を含むことができる。標的細胞は、癌細胞、幹細胞、胎児細胞、ウイルス感染細胞、細菌感染細胞または真菌感染細胞などの検出可能な表面抗原を含む任意の細胞であることができる。いくつかの態様において、標的細胞は癌細胞である。特定の態様において、標的細胞は、希少でありかつ生体試料中に低比率で存在するか、または極めて低いレベルの対象の特定の抗原を発現する。生体試料中で希少である標的細胞の例は、循環腫瘍細胞(CTC)、腫瘍形成のステージ1、初期のウイルス感染、細菌感染または真菌感染での細胞など疾患状態の初期段階にある細胞を含む。
好ましくは、第1の結合要素は、標的細胞上の標的要素に特異的に結合する。第1の結合要素は、限定されないが、抗体、抗原、アプタマー、核酸(例えばDNAおよびRNA)、タンパク質(例えば、受容体、酵素、酵素阻害剤、酵素基質、リガンド)、ペプチド、レクチン、脂肪酸または脂質および多糖類を含むことができる。1つの態様において、第1の結合要素は抗体である。別の態様において、第1の結合要素は、少なくとも第1の抗体および第2の抗体を有する結合要素混合物を含み、第1の抗体は、標的要素の第1のエピトープに特異的に結合し、かつ第2の抗体は標的要素の第2のエピトープに特異的に結合する。第1の結合要素は、細胞上の1つまたは複数の標的抗原、または標的抗原の1つまたは複数のエピトープ、またはそれらの組み合わせに対して作られた抗体または結合要素の混合物を含むことができる。本明細書において用いられる用語「エピトープ」は、単一の抗原上の結合領域、または第2の抗原上の結合領域を指すことができる。例として、いくつかの態様において、第1の抗体が第1の抗原上の第1のエピトープに結合し、かつ第2の抗体が第1の抗原上の第2のエピトープに結合する。他の態様において、第1の抗体は第1の抗原上の第1のエピトープに結合し、かつ第2の抗体は第2の抗原上の第2のエピトープに結合する。特定の態様において、抗体は、ビオチン、ジゴキシゲニン、FLAGエピトープまたはポリヒスチジンを含むが、これに限定されないタグ分子に結合してもよい。
本発明の別の態様において、添加混合物は、検出可能な要素または捕捉可能な要素に結合した第3の結合要素をさらに含む。例えば、第1の結合要素は、一次抗体またはリガンドであってよく、第3の結合要素は、第1の結合要素に特異的に結合する二次抗体またはリガンドであり、かつ第2の結合要素は、第3の結合要素に特異的に結合する。一次抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、または部分的に精製された抗体を含むことができる。二次抗体は、一次抗体の定常領域に結合する抗体であることができる。例として、一次抗体がマウス抗体である場合、二次抗体は、抗マウス抗体であってもよい。二次抗体に結合した検出可能な要素または捕捉可能な要素は、ビオチン、ジゴキシゲニン、FLAGエピトープまたはポリヒスチジンを含むが、これに限定されないタグであることができる。1つの態様において、添加混合物は第3の結合要素をさらに含み、第1の結合要素が一次抗体であり、第3の結合要素が第1の結合要素に特異的に結合するビオチン化二次抗体であり、かつ第2の結合要素がアビジンである。本明細書において用いられる用語「アビジン」は、ストレプトアビジンおよびニュートラアビジンなどのアビジンビオチン結合分子の任意の発現形態または改変形態を含む。
デバイスのマイクロチャネルの表面は、第1の結合要素に特異的に結合する第2の結合要素でコーティングされる。第2の結合要素は、抗体、抗原、アプタマー、核酸(例えばDNAおよびRNA)、タンパク質(例えば、受容体、酵素、酵素阻害剤、酵素基質、リガンド)、ペプチド、レクチン、脂肪酸もしくは脂質、および/または多糖類であることができる。第2の結合要素は、第1の結合要素と同じ種類の分子(例えば抗体-抗体または核酸-核酸)であってもよく、または第1の結合要素と異なる種類の分子(例えば核酸-タンパク質)であってもよい。第2の結合要素は、第1の結合要素に直接結合できるか、またはタグ分子を介して第1の結合要素に間接的に結合できる。例えば、第1の結合要素がビオチン化一次抗体である場合、第2の結合要素はアビジンであることができる。1つの態様において、第2の結合要素はアビジンである。いくつかの態様において、添加混合物は、第1の結合要素と第3の結合要素との両方を含むことができ、第1の結合要素は、標的要素に(例えば標的細胞上で)結合し、第3の結合要素は、第1の結合要素に特異的に結合する。そのような態様において、第2の結合要素は、直接的または検出可能な要素を介して間接的いずれかで、第3の結合要素に特異的に結合する。例として、第1の結合要素がマウス一次抗体であり、かつ第3の結合要素がジゴキシゲニンに結合した抗マウス抗体である場合、第2の結合要素は、抗ジゴキシゲニン抗体でありうる。
マイクロチャネルおよび/またはその中に含まれるパターン化したポストもしくは障害物領域のポリマー表面は、表面全体の上へ第2の結合要素の付着を可能にする種々の方法で誘導体化されうる。例えば、血漿処置およびマイクロチャネル保有基板の閉鎖の後に、アミノ官能性(aminofunctional)シラン(例えば、Dow Corning Z-6020の3%溶液)またはチオ官能性(thio-functional)シランの1から50容量%エタノール溶液が、試料注入口領域と試料排出口領域との間の収集領域を満たすようにマイクロチャネル内に注入されてもよく、次いで湛水したマイクロチャネルは、30分間室温でインキュベートさせることができる。誘導体化は、プレートによるマイクロチャネル領域の閉鎖の前に、PDMSなどの不完全に加硫したポリマーで行われうる。そのような場合、他の選択可能な方法は、PDMS基質をわずかに加硫不足とし、次いで、シールプレートを取り付け置換シランまたは他の官能性試薬で処理した後に加硫を仕上げることである。例えば、約50から90℃で約90分間の最終加熱工程は、Z-6020で処理した後に加硫を仕上げるために用いられる可能性がある。あるいは、室温での1日または2日もまた、加硫を仕上げる。接平面の誘導体化は実際には重要性を有さないため、そのような誘導体化処理はまた、マイクロチャネル領域の閉鎖前に行われうる。次いで、流路をエタノールで一掃し、マイクロチャネルは、第2の結合要素の付着ができる状態になる。
第2の結合要素は、ポスト、障害物および/またはマイクロチャネルの表面上に直接的にまたは間接的に固定化されることができ、表面は、付着を促進するよう前処理および/またはコーティングされうる。いくつかの態様において、間接的な固定化が好ましく、ポストまたは表面に最初に連結させる中間剤または物質の使用が検討される。中間剤に連結するために結合対を用いることが望ましい可能性がある。例えば、アビジン、または別の種の抗体に対して作られた抗体は、NHS/マレイミドヘテロ二官能性リンカーなどの中間剤に付着する可能性があり、その後ビオチン化抗体またはそのような他の種の抗体に結合する。
本発明のデバイスを通る流れは、外部の力の有無にかかわらず、任意の適切な手段により達成されうる。1つの態様において、本発明のデバイスを通る流れは、例えばシリンジポンプなどを使用するポンピングにより、または大口径注入口開口部によりもたらされる注入口ウェルにある容器から液体を吸引する減圧により達成される。好ましくは、約50 μl〜約500 μlの液体試料を収容する能力を有する、そのようなウェルが含まれる。1つの態様において、フローチャネルは、1秒あたり約0.01〜100 mmの速度で収集領域に流れをもたらすような(例えば、Bioceptシリンジポンプ、または標準的なHarvard Apparatus注入シリンジポンプ、または他の商業的に入手可能なシリンジポンプなどのシリンジポンプもしくは同等のデバイスを用いる試料の注入による)適切な範囲内のデバイスへの通過流速で、渦流を引き起こすことなく領域を通る流線型の流れが実質的に分断されるように設計される。これは、異なるサイズのポストのランダム配列および収集領域全般にわたるポストの相対的間隔の結果生ずる。デッドスポットのない比較的滑らかな非流線型の流れは、約0.3〜10 mm/秒の間の好ましい液体流速で達成され、より好ましくは、流速は約0.5 mm/秒と5 mm/秒との間で維持され、かつ規定サイズの注入口ウェルからの吸引により達成される。
本発明はまた、本明細書に記載のデバイスを用いる、生体試料中の標的細胞を検出するための方法を提供する。例えば、方法は、生体試料を第1の結合要素と接触させ、前添加混合物を形成する工程であって、第1の結合要素が標的細胞の表面の標的要素に特異的に結合する、前記工程、前添加混合物をマイクロチャネルに通す工程であって、マイクロチャネルの表面が第1の結合要素に特異的に結合する能力を有する第2の結合要素でコーティングされている、前記工程、およびマイクロチャネルの表面で標的細胞の存在を検出する工程を含んでもよい。特定の態様において、マイクロチャネルは、マイクロチャネルの表面にランダムパターンで分布させたポストの集団を含む。
血液、血漿、血清、骨髄、精液、膣分泌物、尿、唾液、羊水、脳脊髄液、滑液、肺洗浄液、細針吸引液(FNA)および生検組織試料などの各種の生体試料は、本発明の方法での使用に適している。1つの態様において、生体試料は、患者からの血液試料である。標的細胞は、生体試料中に1010細胞につき1細胞、5×107細胞につき1細胞、または104細胞につき1細胞の比で存在しうる。標的細胞は、癌細胞、幹細胞、胎児細胞、ウイルス感染細胞、細菌感染細胞または真菌感染細胞など、検出可能な表面抗原含む任意の細胞であることができる。
1つの特定の態様において、標的細胞は、癌細胞である。癌細胞は、乳癌細胞、前立腺癌細胞、結腸直腸癌細胞、肺癌細胞、膵臓癌細胞、卵巣癌細胞、膀胱癌細胞、子宮内膜もしくは子宮癌細胞、子宮頸癌細胞、肝臓癌細胞、腎(renal)もしくは腎臓(kidney)癌細胞、甲状腺癌、骨癌細胞、リンパ腫細胞(例えば、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫)、黒色腫細胞、および非黒色腫皮膚癌細胞を含むがこれに限定されない、上皮癌などの任意の種類の癌に由来する細胞であることができる。
第1の結合要素は、本明細書に記載のような任意の分子であることができる。1つの態様において、第1の結合要素は抗体である。第1の結合要素はビオチン化抗体であってよく、かつ第2の結合要素はアビジンであってよい。いくつかの態様において、第1の結合要素は、循環上皮細胞に特異的に結合する抗体であることができる。抗体は、上皮細胞表面接着タンパク質に特異的に結合する抗体など、上皮細胞接着分子(EpCAM)抗体であることができる。第1の結合要素は、例えば、標的癌細胞の捕捉について本明細書に記載のような、2、3、4、5またはより複数の抗体のカクテルであってもよい。例えば、抗体カクテルは、少なくとも上皮細胞表面抗原に対する抗体、および間葉系表現型の指標となる抗原に対する少なくとも1つの抗体を含んでもよく、それにより上皮および/または間葉系の特性の範囲を有する細胞を試料から単離してもよい。
例えば、標的細胞が乳癌細胞である場合、第1の結合要素は、EpCAM(上皮細胞接着分子)、Her2/neu(ヒト上皮成長因子受容体2)、MUC-1、EGFR(上皮成長因子受容体)、TAG-12(腫瘍関連糖タンパク質12)、IGF1R(インスリン様成長因子1受容体)、TACSTD2(腫瘍関連カルシウムシグナルトランスデューサー2)、CD318、CD340、CD104、N-カドヘリンまたはそれらの2つまたはそれより多くの組み合わせ(例えばカクテル)に特異的に結合する抗体であってもよい。
さらに別の態様において、標的細胞は前立腺癌細胞であり、かつ第1の結合要素は、EpCAM、MUC-1、EGFR、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、PSA(前立腺特異的抗原)、TACSTD2、PSCA(前立腺幹細胞抗原)、PCSA(前立腺細胞表面抗原)、CD318、CD104、N-カドヘリンまたはそれらの組み合わせに特異的に結合する抗体である。別の態様において、標的細胞は、結腸直腸癌細胞であり、かつ第1の結合要素は、EpCAM、CD66c、CD66e、CEA(癌胎児抗原)、TACSTD2、CK20(サイトケラチン20)、CD104、MUC-1、CD318、N-カドヘリンまたはそれらの組み合わせに特異的に結合する抗体である。
さらに別の態様において、標的細胞は肺癌細胞であり、かつ第1の結合要素は、CK18、CK19、CEA、EGFR、TACSTD2、CD318、CD104、もしくはEpCAMまたはそれらの組み合わせに特異的に結合する抗体である。別の態様において、標的細胞は膵臓癌細胞であり、かつ第1の結合要素は、MUC-1、TACSTD2、CEA、CD104、CD318、N-カドヘリン、EpCAMまたはそれらの組み合わせに特異的に結合する抗体である。さらに別の態様において、標的細胞は、卵巣癌細胞であり、かつ第1の結合要素は、MUC-1、TACSTD2、CD318、CD104、N-カドヘリン、EpCAMまたはそれらの組み合わせに特異的に結合する抗体である。
別の態様において、標的細胞は内皮膀胱癌細胞であり、かつ第1の結合要素は、CD34、CD146、CD62、CD105、CD106、VEGF受容体(血管内皮増殖因子受容体)、MUC-1またはそれらの組み合わせに特異的に結合する抗体である。別の態様において、標的細胞は、上皮膀胱癌細胞であり、かつ第1の結合要素は、TACSTD2、EpCAM、CD318、EGFR、6B5または葉酸結合受容体に特異的に結合する抗体である。
標的細胞は、癌幹細胞であってもよく、かつ第1の結合要素は、CD133、CD135、CD117、CD34またはそれらの組み合わせに特異的に結合する抗体であってもよい。
いくつかの態様において、標的細胞は、間葉系抗原を発現する循環癌細胞であり、かつ第1の結合要素は、FGFRl、FGFR4、EGFR、N-カドヘリン、葉酸結合受容体、およびMSCまたはそれらの組み合わせに特異的に結合する抗体(または抗体カクテル)である。
いくつかの態様において、標的細胞は、血管形成表面抗原を発現する循環癌細胞であり、かつ第1の結合要素は、VEGF受容体に特異的に結合する抗体を含む。
他の態様において、標的細胞は、黒色腫癌細胞であり、かつ第1の結合要素は、1つまたは複数のメラニン細胞分化抗原、癌胎児性抗原、腫瘍特異的抗原、SEREX抗原またはそれらの組み合わせに特異的に結合する抗体である。メラニン細胞分化抗原の例は、限定されないが、チロシナーゼ、gp75、gp100、Melan A/MART 1またはTRP-2を含む。癌胎児性抗原の例は、MAGEファミリー(MAGE-A1、MAGE-A4)、BAGEファミリー、GAGEファミリーまたはNY-ESO1中の抗原を含む。腫瘍特異的抗原の例は、CDK4およびβ-カテニンを含む。SEREX抗原の例は、D-1およびSSX-2を含む。
特定の態様において、第1の結合要素は、細胞形質転換の結果として活性化される変異ペプチドに対する抗体である。これらのペプチドは、限定されないが、変異イントロン、N-アセチルグルコサミン転移酵素、V遺伝子産物、MUM-1およびp15を含む。
他の態様において、第1の結合要素は、ガングリオシド、GM2、GD2、GM3および/またはGD3;高分子量コンドロイチン硫酸プロテオグリカン、CD146、またはp97メラノトランスフェリンを認識する抗体である。
特定の態様において、標的細胞は循環腫瘍細胞(CTC)である。血液試料中のCTCは、腫瘍細胞であり、多くの場合CKおよびDAPIの陽性染色により定義され、かつCD45を陰性染色する(CK+、CD45-、DAPI+)が、一方リンパ球はCD45+である。血液循環中のCTCの検出は、治療効果または失敗をモニターする能力を含む、疾病管理を助けることができる。しかしながら、使用可能なCTC特異的抗体の数が限られているため、CTCは、約40%〜60%の患者血液試料中では捕捉されていない。従って、いくつかの局面において本発明は、これらの希少なCTCを捕捉または検出するための方法を提供する。
いくつかの態様において、第1の結合要素は、少なくとも第1の抗体と第2の抗体の混合物(例えばカクテル)であり、第1の抗体は、標的要素の第1のエピトープに特異的に結合し、かつ第2の抗体は、標的要素の第2のエピトープに特異的に結合する。第1のエピトープおよび第2のエピトープは、同じ抗原(分子)上に存在することができ、または第1のエピトープおよび第2のエピトープは、異なる抗原(分子)上に存在することができる。
1つの態様において、第1の結合要素は、第1の抗体と第2の抗体の混合物であることができ、第1の抗体は、幹細胞抗原に特異的に結合し、かつ第2の抗体は、癌細胞抗原に特異的に結合する。幹細胞抗原は、癌幹細胞上に存在することができ、かつこれらの幹細胞抗原に対して作られた抗体は、本明細書に記載の抗体など癌抗原に対して作られた1つまたは複数の抗体に一般的な捕捉抗体として加えられうる。いくつかの態様において、第1の抗体は、CD133、CD135、CD117、CD34またはそれらの組み合わせに特異的に結合し、かつ第2の抗体は、癌抗原に特異的に結合する。
別の態様において、第1の結合要素は、第1の抗体と第2の抗体の混合物であることができ、第1の抗体は、間葉系マーカーに特異的に結合し、かつ第2の抗体は、癌細胞抗原に特異的に結合する。循環腫瘍細胞は、上皮マーカーを下方制御し、かつ間葉系マーカーを上方制御することができ、よって、そのような間葉系マーカーに特異的に結合する抗体により捕捉されうる。いくつかの態様において、第1の抗体は、FGFR1(線維芽細胞増殖因子受容体1)、FGFR4、MSC(間葉系幹細胞抗原)、EGFR、N-カドヘリン、葉酸結合受容体またはそれらの組み合わせに特異的に結合し、かつ第2の抗体は、癌抗原に特異的に結合する。
さらに別の態様において、第1の結合要素は、第1の抗体と第2の抗体の混合物であることができ、第1の抗体は、血管形成マーカーに特異的に結合し、かつ第2の抗体は、癌細胞抗原に特異的に結合する。特定の態様において、第1の抗体は、VEGF受容体に特異的に結合し、かつ第2の抗体は、癌抗原に特異的に結合する。
発明の別の態様において、方法は、前添加混合物と第3の結合要素を接触させる工程をさらに含む。第1の結合要素は一次抗体であってもよく、第3の結合要素は検出可能な要素または捕捉可能な要素に結合した二次抗体であってもよく、かつ二次抗体は第1の結合要素に特異的に結合する。第2の結合要素は、第3の結合要素に(例えば、捕捉可能な要素を介して)特異的に結合する。別の態様において、方法は、前処理混合物を第3の結合要素と接触させる工程であって、第1の結合要素は一次抗体であり、第3の結合要素は第1の結合要素に特異的に結合するビオチン化二次抗体であり、かつ第2の結合要素はアビジン分子である工程をさらに含む。二次抗体は、全抗体、完全な抗体、またはFab'2、Fab'もしくはFabなどの抗体の断片、または任意の抗体誘導体であってもよい。誘導体化された抗体は、抗体の断片、脂肪酸、糖質、ペプチド、フルオレセイン、ストレプトアビジンなどの化学要素に結合している抗体であることができる。誘導体化された抗体は、アミノ酸が標的タンパク質に対する抗体の結合活性または親和性を増加させるよう修飾されている抗体であることができる。
いくつかの態様において、方法は、マイクロチャネルの表面に結合した標的細胞を架橋する工程をさらに含む。複数の架橋剤が、例えば、アミノ基(アミド、アミンなど)、カルボニル基、アシル基、アルキル基、アリール基、スルフヒドリル基、および当業者に周知である他のものを介して、結合標的細胞をマイクロチャネルに架橋するために使用されうる。架橋剤の例は、限定されないが、一級アミンを架橋するための親水性ホモ二官能性NHS架橋試薬(例えばビス(NHS)PEO-5(ビスN-サクシニミジル-[ペンタエチレングリコール]エステル)、PEGまたはデキストランポリマーのホモ二官能性イソチオシアネート誘導体、グルタルアルデヒド、ポリマーの一方の端にNHSをもう一方の端にマレイミドを含むヘテロ二官能性架橋剤;炭水化物ポリマーで処理され反応性アルデヒドポリマーを形成する過酸化物、およびカルボキシル基を一級アミンを架橋するためのEDC(l-エチル-3-[3-ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩)を含む。架橋剤の長さは、リンカーの両端にある2つの反応基の間に1つまたは複数の重合体ユニットを加えることにより変化してもよい。適切な重合体ユニットは、限定されないが、高分子エチレングリコール、炭素鎖、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、および多糖類を含む。
架橋試薬は、標的細胞の捕捉後にマイクロチャネルに適用されうる。いくつかの態様において、第2の架橋処理が、捕捉細胞の標識(例えば蛍光標識)し、標識を捕捉細胞に架橋した後に、用いられる。架橋剤の濃度および処理の期間は、架橋試薬の種類および反応性、標的細胞の種類、細胞を捕捉するために使用される結合要素、ならびに結合要素が結合する表面抗原の発現レベルによって決まる。適切な濃度は、約0.01 mMから約10 mM、より好ましくは約0.5 mMから約5 mM、最も好ましくは約1 mMであることができる。架橋試薬による処理の期間は、約5分から約120分、約15分から約90分、または約30分から約60分であることができる。架橋試薬の濃度および処理の期間の最適化は、当業者の通常の技量の範囲内である。
捕捉細胞の存在を検出する工程は、当業者に公知の複数の方法の1つにより行われうる。1つの態様において、捕捉細胞は、顕微鏡撮影により可視化されうる。別の態様において、捕捉細胞は、蛍光分子で標識されるかまたは染色され、蛍光顕微鏡法もしくは蛍光シグナルを測定することにより可視化されてもよい。例えば、捕捉細胞は、核色素DAPIで染色され、その後蛍光顕微鏡法により可視化されてもよい。別の態様において、標的細胞の存在を検出する工程は、第1の結合要素の存在を検出する工程により行われる。第1の結合要素の検出は、捕捉細胞を第1の結合要素を認識しかつ結合するタグ付き分子に曝露する工程を含むことができる。例えば、タグ付き分子は、第1の結合要素に結合する蛍光タグまたは有色のラテックス粒子で標識された抗体であってもよい。1つの態様において、第1の結合要素はビオチン化抗体であり、かつタグ付き分子は蛍光標識アビジンである。いくつかの態様において、タグ付き分子は、第2の結合要素と同じ種類の分子であってもよい。第3の結合要素が存在する場合の態様において、捕捉細胞の検出は、第3の結合要素の存在を検出する工程を含むことができる。そのような態様において、タグ付き分子は、第3の結合要素を認識しかつ結合する。例えば、第1の結合要素は、マウス抗体であることができ、第3の結合要素は、マウス抗体に結合するビオチン化二次抗体(例えばヤギ由来抗マウス抗体)であることができ、かつタグ付き分子は、第3の結合要素に結合する蛍光標識アビジンまたは蛍光標識抗体(例えばウサギ由来抗ヤギ抗体)のいずれかであることができる。
いくつかの態様において、捕捉細胞のその後の解析が望ましい可能性がある。1つの態様において、捕捉細胞は、さらなる解析のためにマイクロチャネルから遊離されかつ収集されうる。捕捉細胞を遊離するための複数の方法が、当技術分野において公知であり、機械的手段(例えば高液体流)、化学的手段(例えばphの変化)、または酵素切断作用物質の使用を含みうる。例えば、マイクロチャネルから標的細胞を遊離するために、試薬が、第2の結合要素を切断するかた、または第2の結合要素と細胞との間の結合を切断するように適用されてもよい。例えば、トリプシン、プロテイナーゼK、コラゲナーゼ、または特異的に焦点をあわせた酵素が、第2の結合要素(例えば抗体、ストレプトアビジン)および/または細胞表面抗原を分解するのに用いられてもよい。そのような切断の間、マイクロチャネルからの排出口は、貯蔵器または他の収集器につなげられ、遊離した細胞を運ぶ放出流が、さらなる解析のために収集される。そのようなさらなる解析は、限定されないが、(例えば1番、3番、4番、7番、8番、11番および/または17番染色体のモノソミーまたはトリソミーを含む)異数性の検出、遺伝子増幅、遺伝子変異の検出、遺伝子重複および当技術分野において周知の他の核酸またはタンパク質の変化を含んでもよい。例えば、遺伝子変異は、遺伝子配列中の1つまたは複数のヌクレオチドの置換、付加、欠失であることができる。1つの態様において、遊離した細胞から得られるDNAまたはRNAなどの核酸は、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)、PCR解析、RFLP(制限断片長多型)解析、DNA配列決定などに供されうる。別の態様において、遊離した細胞から得られたペプチドおよびアミノ酸を含む、タンパク質または糖タンパク質は、限定されないが、例えばアミノ酸またはペプチドの解析または配列決定、GC-MS、およびタンパク質解析の技術分野における当業者に公知の他の技術に供されうる。さらに別の態様において、マイクロチャネルデバイスから遊離した捕捉細胞は、光学顕微鏡法、電子顕微鏡法、走査型顕微鏡法、細胞内構造について免疫細胞化学染色(ICC)、または表面タンパク質発現などにより形態的に解析されうる。
別の態様において、捕捉細胞はさらに、インサイチューで解析されてもよい。例えば、細胞は、付着している間に計数され、蛍光マーカーで標識され、FISHなどのインサイチューハイブリダイゼーション解析に供されてもよい。抗体-抗原結合は共有結合ではないため、それらはある状況下では解離しうる。したがって、いくつかの態様において、細胞が種々のインサイチュー標識工程、加熱工程、変性工程および洗浄工程の間に取り除かれ、失われないように、細胞をチャネルに架橋することにより、細胞をマイクロチャネル上でさらに安定化することが非常に望ましい。第1の結合要素により標的とされる表面抗原を低レベルで発現する細胞は、より弱く第2の結合要素に付着しうることから、架橋は、これらの細胞にとって特に重要な検討事項となりうる。チャネル表面マトリクスへの細胞の共有結合性の架橋は、捕捉後解析の間、捕捉細胞を安定化することができる。
別の局面において、本発明は、循環細胞の捕捉後解析の方法を提供する。循環細胞は、本発明の方法またはデバイスを含む、本明細書において記載のように捕捉されてもよい。いくつかの態様において、循環細胞は、1つまたは複数の濃縮および/または細胞の複製(replicating)もしくは複製(duplicating)工程、例えば細胞培養など無しに、捕捉されかつ評価される。この局面において、循環細胞は、CKの状態または発現とは無関係に、例えばCK染色および/または任意の他の評価アッセイ無しに、悪性度について評価される。例えば、この局面によると、捕捉細胞は、異数性について(本明細書に記載のように)評価される。異数性は、例えば1番、3番、4番、7番、8番、11番および/または17番染色体に関してもよい。特定の態様において、本発明は、循環細胞の8番、11番および/または17番のモノソミーまたはトリソミーを評価する工程を含む。特定の態様において、本発明は、循環細胞の8番、11番および/または17番モノソミーを評価する工程を含む。異数性は、FISHなど任意の公知の方法を用いて検出されもよい。Her2発現を含む本明細書において記載のマーカーなど、癌または悪性度のさらなるマーカーが用いられてもよい(サイトケラチン発現を除く)。
本発明は、限定として解釈されるべきではない以下のさらなる実施例によりさらに例証される。本願を通じて引用される全ての参照、特許および公開特許出願の内容、ならびに図は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
実施例1.基本のマイクロチャネルデバイスの構築
バイオ分子または細胞を分離するためのマイクロチャネルデバイスの1つの態様を、図1に示す。デバイスは、デバイスの第1の端で入口または注入口として機能する開口部またはウェル15およびを通って試料液体が供給されるマイクロチャネル13、およびデバイスの第2の端で排出口として機能する開口部19を含む、流路により形成される基板または支持体11を含む。収集領域17の横断面は、注入口開口部15から通じる注入口部分18の横断面より大きい。注入口部分は、収集領域17に入るための領域18の端に広がっている場所のすぐ上流に、1つまたは複数組の軸方向に並んだ仕切り/支持体21を含む。これら中心の仕切りは、流れを2つまたはそれより多い進路に分け、かつ液体の流れが収集領域17の入口端に送られる際にそれをより均等に分散させるよう機能する。収集領域は、液体流路に対して横方向に配列され、かつフローチャネルの収集領域部分の幅全体にわたって不規則で概してランダムなパターンで配置される複数の直立ポスト23を含む。ポストのパターンは、収集領域を通る直線の流れが存在しえず、かつ流線型の流れが乱されているようになっていて、流路に沿って流れる液体とポストの表面との間に好適な接触が存在することを確実にする。ポストは、収集領域17の平面基部と一体であり、かつ基部から垂直に伸び、基板11のフローチャネルを通って流れる液体の水平面の進路に対して垂直となる表面を提示す。別のフロー仕切り/支持体21aは、収集領域からの出口に位置する。
基板は、PDMSから形成され、フローチャネルを閉鎖するために平面ガラスプレートに接合される。収集領域の全体にわたって内部表面は、3-アミノプロピルトリエトキシシランスの3%溶液で30分間室温でインキュベートする工程により、アミン基で誘導体化される(発明者ら:アミン基がPDMSに対して特異的であるか、または誘導体化されうる他の活性基、例えばSH-が存在しうるか。発明者は、細胞または正電荷のタンパク質を付着させるためにポリリジンで支持体をコートできることを念頭においている)。エタノールで洗浄する工程の後に、チャネル上のアミン基は、一方の端にNHSエステルおよびもう一方の端にマレイミド基を含む二官能基性PEGリンカー分子により30分間誘導体化される。この反応において、NHS基は、チャネル上のアミン基と反応する。PBSでチャネルを洗浄した後、チャネルに付着させたPEGリンカーのもう一方の端でマレイミド基と反応する、0.5 mg/mLチオール化ストレプトアビジンの溶液を加えた。チオール化ストレプトアビジンは、当技術分野において一般的に公知であるTraut試薬によるストレプトアビジンの処理により調製される。60分間のインキュベーションの後、過剰なチオール化ストレプトアビジンを、PBS/1%BSAを用いてマイクロチャネルから洗浄し、将来使用するために保管した。
典型的な例において、10 mLの血液を入手し、バフィーコートを当技術分野において通常公知である密度勾配遠心沈降により単離する。バフィーコートは、血液の有核白血球分画を含み、さらに血液中に存在する上皮細胞または他の有核細胞も含む。遠心管中におよそ0.5 mLの量で含まれるバフィーコートを、本発明の第1の結合要素と共に30分間インキュベートし、次いで管をおよそ30倍量の過剰なPBS/BSAで満たし、遠心分離し、バフィーコート細胞をペレット状にする。試料をおよそ200 μLに再懸濁し、マイクロチャネルデバイスを約50 μLの細胞懸濁液で満たしたシリンジポンプ由来の排出口管に接続することにより、アビジンでコーティングしたマイクロチャネルを通過させる。シリンジポンプを操作し、室温で約10 μL/分の速度でマイクロチャネルデバイスを通過する試料液体の緩やかな連続した流れを生じさせる。この期間に、ランダムパターンの横方向のポストが配置される収集領域中の表面に付着したアビジンが、試料中の対象の標的細胞を捕捉する。全試料がシリンジポンプにより送達された後に、PBS/1%BSA水性バッファーにより緩やかなフラッシングが行われる。約100 μLのこの水性バッファーを、約10分にわたってデバイスに流し、デバイス中のフローチャネルから全ての非特異的結合バイオ物質を効果的に取り除く。次いで、それぞれ約100 μLのPBS/1%BSAを用いて約10分間にわたって、2回のさらなる洗浄を行う。
この時点で、デバイスは光学的に透明な材料で作られているため、捕捉の効果の顕微鏡検査は、顕微鏡撮影を用いて行われうる。捕捉細胞は、追加の抗体および蛍光プローブでさらに処理されてもよく、蛍光顕微鏡法により解析されてもよい。
実施例2.前標識マイクロチャネルと前標識細胞との細胞捕捉率の比較
2005年1月18日に出願したU.S. Published Application No. 2006/0160243およびほか(Nagrath et al. (2007) Nature, Vol. 450(7173): 1235-9)に記載の通り、対象の細胞を捕捉するための以前のデバイスは、対象の細胞上の抗原に特異的である抗体で誘導体化されたマイクロチャネルを含んだ。次いで、対象の希少細胞を含む懸濁液をチャネルに通過させ、細胞を細胞特異的抗体により捕捉した(図2)。
抗原発現のレベルを培養細胞中および腫瘍などの臨床組織試料上で決定することができる一方で、循環腫瘍細胞(CTC)の表面の利用可能な抗原の正確な数は不明である。腫瘍は高度に不均質であること、および腫瘍から血液内に脱離した細胞はその抗原の発現レベルを変えることができることが公知である。したがって恐らくは、CTCは、任意の特定の試料中で非常に低い水準から非常に高い水準まで様々な特異的抗原レベルを有する高度に不均質な集団であると思われる。試料からCTCの最大の捕捉を得るために、最低の抗原発現レベルを有する細胞を捕捉するようにシステムを最適化することが、最善である。
本発明のデバイスは、実施例1に記載の細胞特異的抗体に結合することができる一般抗体またはタンパク質で誘導体化されたマイクロチャネルを含む。細胞特異的抗体は、試料をマイクロチャネルに通す前に、対象の細胞を含む試料に加えられ、よって細胞を前標識する。次いで、対象の細胞は、チャネルをコーティングする一般抗体または他のタンパク質が対象の細胞に結合している細胞特異的抗体に結合する場合に、捕捉される(図3)。
以下の一連の実験は、抗原特異的抗体でコーティングされたマイクロチャネルデバイスと比較して、抗原特異的抗体によるCTCを含む試料の前標識が、マイクロチャネルデバイス上でより優れた捕捉率をもたらすか否かを決定するために行われた。CTCを捕捉するために用いられる通常の抗原は、EpCAM、上皮細胞表面接着分子である。これらの実験では、低レベルのEpCAMを発現することが公知である、膀胱細胞株、T24が用いられる。
典型的なデバイスでは、マイクロチャネルは、ストレプトアビジンで誘導体化され、次いでEpCAMに対するビオチン化抗体が、チャネル(EpCAMチャネル)上に前添加される。EpCAM抗体は、T24細胞の表面のEpCAM抗原に結合することができ、よってマイクロチャネル中で細胞を捕捉できた。本発明のデバイスでは、マイクロチャネルは、ストレプトアビジンで誘導体化され(Strepチャネル)、EpCAMに対するビオチン化抗体は、ストレプトアビジンコーティングチャネル上の細胞の通過の前に、およそ1 μg/mLのT24細胞の試料と共に30〜60分間インキュベートされた。ストレプトアビジンは、T24細胞の表面に結合しているビオチン化EpCAM抗体に結合し、よってマイクロチャネル中に細胞を捕捉する。したがって、2つのデバイスの試薬構成要素は、異なる順番でデバイスに適用されることを除いては同一である。
図4に示すように、ビオチン化EpCAM抗体と共にプレインキュベートした細胞によるストレプトアビジンコーティングチャネルの使用は予想外に、EpCAMチャネルおよび未標識細胞により得られたものより約2倍高い捕捉率を生じた。捕捉率の増加は、複数の流速下で細胞をチャネルに通過させた場合に、約2〜3倍高い。
次の一連の実験では、1.2 μg/mLのビオチン化EpCAM抗体を細胞と共に30分間プレインキュベートした。この濃度の抗体は、T24細胞上に存在する全抗原に対して約100〜1000倍モル過剰であり、そのため各懸濁液において有意に過剰な抗体が残った。30分インキュベーションの後、過剰な抗体を、チャネルに適用するためにおよそ200細胞への細胞の希釈により、0.05 μg/mL未満に希釈した。この細胞の試料は、対照試料となり、250 μL PBS/BSAでチャネルに直接適用された(図5中の試料A)。試料B〜Dでは、示した濃度での過剰抗体が、チャネル上を流れる前に、もとの250 μL細胞懸濁液に添加された。図5に示すように、遊離の抗体は、チャネル上のストレプトアビジンへの結合を妨げず、予想したようには細胞捕捉を低下させず、実際には細胞捕捉を増加させた。
同様の実験において、チャネルに適用する最初の細胞懸濁液の量を250 μlから2 mL増加させた。添加した追加の抗体の1 mLあたりのμgは図5と同じであったため、およそ200細胞を有する試料中の絶対抗体の合計μgは、図5よりほぼ10倍高かった。図6に示すように、添加した追加の抗体は、図5に示す結果で観察された抗体の濃度と比べて同様の細胞回収の増加を示す。この結果は、より高い回収の観察は、細胞懸濁液中の追加の抗体の濃度に関連し、細胞懸濁液中の全抗体の絶対μgに関連しないということを示す。
この一連の実験の結果は、細胞を抗体で前標識する場合の、マイクロチャネルフローデバイスにおける対象の細胞の収集の予想し得ない利点を示す。図4に見られるように、抗原特異的細胞と共に細胞をプレインキュベートする工程は、抗原特異的抗体でコーティングしたマイクロチャネルでの捕捉と比べて、マイクロチャネルデバイスでの捕捉を有意に改善する。加えて、実施している間の細胞試料中の追加の抗体の存在は、この方法論を限定するものではないが、実際にはチャネル上のストレプトアビジンマトリクスへの細胞抗原の結合の増加を媒介し、それにより捕捉を促進することができる。
実施例3.複数の抗体の使用は、標的細胞の捕捉率を増加させる
従来、チャネルの上への抗体の前添加が最も効率的であると考えられていた。しかしながら、複数の抗体をチャネルに添加することの細胞捕捉に対する負の効果を、以前は考慮されていなかった。抗原特異的抗体の一般的な結合パートナー(例えば、抗体またはタンパク質)でコーティングされたマイクロチャネルを用いることの利点は、複数の抗体を、任意の単一抗体の有効性を減ずることなく、細胞懸濁液に加え、細胞を前標識することができるとことである。細胞上の複数の抗原部位は相互排他的であるため、細胞懸濁液に複数の抗体を添加する場合、チャネル上の捕捉効率は任意の単一抗体について低減しない。例として、チャネルが100の抗体部位に適応し、かつ5種類の異なる抗体の混合物を添加しチャネルをコーティングした場合、各抗体はチャネル空間の約20%を占める。よって、各個別の抗体に対する可能性のある結合効率は、チャネル全体を覆う場合の結合効率のわずか20%である。細胞上の抗原の数にかかわらず、チャネルは本質的に、その個別の抗体の細胞捕捉効率をわずか20%とする。細胞の標的抗原の数が少ない場合、これらの抗原低発現細胞を捕捉する効率は、マイクロチャネルデバイスの基板または支持体に結合させる前に、細胞懸濁液中に他の標的抗原に特異的な抗体の添加により増幅されうる。例えば、同じ5種類の抗体を細胞懸濁液に添加した場合、各抗体は、細胞上の異なるエピトープに結合する他の抗体の存在による緩衝や減少なしに、全ての同種の細胞表面抗原に独立して最大限に結合することができる。一般的な捕捉タグ(例えばビオチン)で5種類の異なる抗体のそれぞれを誘導体化することにより、捕捉タグの結合パートナー(例えばストレプトアビジン)でコーティングしたチャネルは、5種類の抗体全てをそれらの細胞上の各抗原に同時に結合させ、よって細胞捕捉に相加作用を生じることができる。
図7は、抗体が最初にマイクロチャネルデバイスの基板/支持体上にコーティングした際にチャネル上のEpCAM抗体とマウスIgGの比が低下した場合のT24細胞の捕捉の減少を示す。追加のビオチン化抗体の存在下でのEpCAM捕捉の効果を決定するために、ビオチン化EpCAM抗体を無関係のビオチン化マウスIgGで希釈し、結果として生じる混合物を、抗体でチャネルをコーティングするかまたはチャネルを通過させる前に細胞懸濁液に添加するかいずれかで用いた。図7(試料A)は、ビオチン化EpCAM抗体のみで細胞を前標識した場合に、T24細胞捕捉比率が約2倍の高さとなることを示す。この観察は、図4に見られる結果と一致する。しかしながら、EpCAM抗体を無関係の抗体で1:1比で希釈し、細胞を直接標識するかまたはチャネルをコーティングするかいずれかで用いた場合、前標識細胞の回収は影響を受けないが、チャネルの回収は24%から7%に低下した(図7、試料B)。EpCAMを1:4に希釈した場合、最初に抗体混合物をチャネル上にコーティングした際の回収は1%まで低下したが、マイクロチャネルデバイスの基板または支持体に結合させる前に細胞を抗体混合物で標識した場合の回収は変化しなかった(図7、試料C)。これらの結果は、追加の抗体によるEpCAM抗体の希釈は、細胞を可溶性抗体で前標識した場合、細胞へのEpCAM抗体の最大結合を干渉しないが、希釈したEpCAM抗体によるチャネルの前コーティングは、EpCAM低発現T24細胞の捕捉の有意な減少を示す。したがって、EpCAM抗体が、チャネルでの結合のために2または3または4種類の異なる抗体と混合されている場合、たとえ他の抗体が細胞上の表面抗原に関連していたとしても、EpCAM抗体自身は、その結合有効性について比例して減少される。したがって、チャネルに複数の抗体を付加する場合、各抗体の効果は、相加的なものになることが期待されない。細胞捕捉に対する全体的な効果は、循環腫瘍細胞(CTC)の抗原レベルが様々であるため、この構成は予測できない。明らかに、CTC上の最高レベルの抗原に対して作られた可能性がある混合物中の抗体は、CTC上のより低レベルの抗原に対する抗体の付加により減少すると考えられる。混合物中の1種類の抗体のみが特定のCTC上のドミナントエピトープを認識する場合、チャネル上での複数の他の抗体による希釈は、捕捉を促進するよりはむしろ悪影響を与えると考えられる。対照的に、チャネルを通過する前に細胞に付加される可溶性抗体の混合物は、相加的である。
チャネル通過前に前標識した細胞に対する複数の抗体の相加効果を明らかにするために、2種類の異なる細胞表面接着抗原、Trop-1およびTrop-2に対する2種類の異なる抗体を、T24膀胱細胞またはSKOV卵巣細胞いずれかの細胞懸濁液に加えた。それぞれの抗体をビオチン化し、細胞を、ストレプトアビジンでコーティングしたマイクロチャネルデバイスを用いて捕捉した。Trop-1抗体をT24細胞に前添加するために用いた場合、29%の細胞が捕捉される(図8)。Trop-1抗体と異なる抗原に結合するTrop-2抗体をTrop-1抗体と組み合わせて加えた場合、94%の細胞が捕捉される。同様の結果が、SKOV細胞で得られる。74%の細胞の捕捉が、Trop-1抗体単独での前標識により観察された。しかしながら、89%の細胞の捕捉が、Trop-1抗体およびTrop-2抗体の両方を同時に加えた場合に観察される(図8)。結果は、1種類より多くの細胞の表面上の標的部位に対する1種類より多くの抗体の添加は、標的細胞に付着するチャネルで検出可能な分子の有効数を増加させ、細胞捕捉に対する相加効果を生じる。
図9において、異なる細胞株と異なる抗体混合物を用いて、同様の相加効果が観察される。この場合では、EpCAMを低発現する乳癌細胞株、MDA-MB-231を試験した。図9では、EpCAM抗体単独による%捕捉は低かったが、抗原に特異的な6種類の抗体:EpCAM、Trop-2、EGFR、MUC-1、CD318およびHER-2の混合物を加えることにより、本質的に100%まで捕捉を改善した。MDA-MB-231のFACS解析は、この細胞株がEpCAM、Trop-2、Her-2、およびMUC-1を超低発現するが、EGFRおよびCD318を高発現することを示した。したがって、高発現抗原に対する抗体を、低発現抗原に対する抗体で3倍に希釈した。希釈抗体は、このEpCAM低発現細胞株の捕捉において依然として高い有効性を示す。この結果は、抗体が細胞を前標識するために用いられた図7に示す結果と一致する。
実施例4.標識細胞の二次抗体標識は、マイクロチャネルデバイス中での捕捉をもたらす
いくつかの場合では、非誘導体化一次抗体が、対象の抗原により効率的に結合する可能性があるか、またはより利用しやすい可能性がある。いくつかの抗体では、それらの活性は、それらの表面アミノ酸を修飾する誘導体化法により悪影響を受ける。細胞抗原への結合に非誘導体化一次抗体を使用することを望む場合、誘導体化された二次抗体を細胞懸濁液に加え、細胞標的抗原に結合した一次抗体と複合体を形成させてもよい。よって、一次抗体混合物、半精製ハイブリドーマ上清または非クローン化ハイブリドーマ上清を細胞懸濁液に加えることができ、細胞上の抗原に付着する任意の抗体を誘導体化(例えばビオチン化)二次抗体の添加により標識することができる。細胞に結合しない抗体は、簡単に洗い流される。
このアプローチを説明するために、培養卵巣SKOV細胞株を、ビオチン化Trop-1抗体(図10試料A)または3倍モル量を超えるビオチン化抗マウス二次抗体を加えた非ビオチン化Trop-1のいずれかで前標識した。一次抗体(Trop-1)濃度は、1 μg/mLであり、細胞は、マイクロチャネルデバイスによる細胞捕捉と精製の前に、3 μg/mL二次抗体と共にまたは無しのいずれかで、30分間インキュベートされた。試料Bと試料Dとの間の差は、試料Dでは二次抗体に対してより長いビオチンリンカーが用いられていることであった。試料Cでは、細胞をPBS/BSAで洗浄し、細胞をチャネルに適用する前に過剰な一次抗体および二次抗体を取り除いた。全ての試料において、チャネルへの適用のために、およそ200細胞を250 μLのPBS/BSA中に懸濁した。
図10に示す通り、全ての試料は同様に回収される。これらの結果は、ビオチン化二次抗体が、マイクロチャネルデバイスでの効果的な捕捉のために細胞を前標識するのに未標識一次抗体と組み合わせて用いられうることを明らかにする。いくらかの余剰のビオチン化二次抗体の存在は、1 μgのビオチン化Trop-1による直接的前標識と比べて、捕捉率に悪影響を与えなかった。二次抗体は、完全なIgG抗体、またはFab'2、Fab'、Fabなどの抗体断片、または一本鎖Fabもしくは一本鎖可変断片などの改変抗体断片を含んでもよい。
実施例5.チャネル表面での捕捉細胞の安定化
マイクロチャネルデバイスで細胞を捕捉する工程は、液体中に懸濁された細胞のフローを伴う。したがって、細胞は、捕捉された後にチャネルから細胞を取り除く可能性もある液体フロー由来の剪断力を受ける。細胞と抗体によりチャネル表面に結合した特異的細胞表面抗原との間に付着点は比較的少ないことから、この作用は、より低レベルの表面抗原を有する細胞でより顕著である。したがって、チャネルへの細胞の付着をより安定化するために、架橋試薬の手段によりチャネル表面へ追加で細胞を外部付着させることは、有利である。チャネルは典型的には、結合タンパク質(例えばストレプトアビジンまたは抗体)でコーティングされるため、細胞をチャネルにさらに固定するための容易な手段は、タンパク質架橋試薬を介する。
この目的のために当技術分野において公知の試薬は、ホモ二官能性NHSエステルであり、タンパク質上のアミノ基を架橋することができる。架橋の別の方法は、マレイミドおよびNHSエステルを有するヘテロ二官能性分子などのチオール反応試薬によるタンパク質上のチオール基またはジスルフィド基を介する。加えて、EDCなどの試薬が、カルボキシル基とアミノ基を架橋するために用いられうる。これらの架橋剤の長さは、典型的にはポリマーエチレングリコールまたは単一の炭素鎖などの化学リンカーの形をとるが、糖、アミノ酸もしくはペプチド、またはオリゴヌクレオチドも含みうる、2つの反応基間のポリマー領域の使用により多様となりうる。5から50 nmのポリマー鎖の長さは、この目的に典型的なものであるが、必要に応じて短くすることも長くすることもできる。これらのタンパク質架橋試薬全ての共通の性質は、複数の共有結合付着点によりチャネルの表面に細胞を固定するために、細胞タンパク質を共有結合的に結合させることである。
外部から加えられた架橋試薬がコーティングされたマイクロチャネル上の捕捉細胞の保持を高めるか否かを試験するために、細胞をコーティングしたマイクロチャネル上に捕捉し、かつタンパク質架橋剤の有無で高流速に供した。ストレプトアビジンでコーティングしたマイクロチャネルの表面を準備した。表面EpCAMを低発現することが公知である、培養T24細胞株を、モデル細胞株として用いた。1 μg/mLビオチン化抗EpCAM抗体を細胞と共に30分間4℃でインキュベートし、およそ325細胞を250 μLのPBS/BSAバッファー中に懸濁し、コーティングマイクロチャネルを12 μL/分で三重に通過させた。チャネルに適用した細胞の正確な数を、二重のアリコート中の細胞を計数することにより顕微鏡で決定した。細胞懸濁液をチャネルに通過させた後、結合細胞を含むチャネルを1回PBS/BSAで洗い、次いでホモ二官能性NHSエステル(ビスN-サクシニミジル-[ペンタエチレングリコール]エステル)の2 mM溶液を、チャネルに通過させ、20分間インキュベートさせた。NHSエステルなしの対照チャネルは、PBS/BSA溶液のみを受けた。次いで細胞を、5%PEG PBS溶液で2分間様々な流速で洗った。5%PEG/PBS溶液は、溶液粘性を増大させ、高速流と共に、この比較の目的のために、細胞に対してより強い剪断力(more sheer force)を与える。次いで、チャネルで捕捉した細胞を核染色色素、DAPIで染色し、計数した。
図11は、タンパク質架橋剤の非存在下で種々の流速に供した捕捉細胞の顕微鏡写真を示す。20 μL/分の流速でほぼ50%の細胞が失われ、100 μL/分の流速で全ての細胞が失われた。
図12は、NHSタンパク質架橋剤への曝露後に、種々の流速に供した捕捉細胞の顕微鏡写真を示す。50 μL/分までの流速で全ての細胞がチャネル上に保持され、100 μL/分の流速では、1つの細胞のみが失われた。
タンパク質架橋による細胞安定化を伴う捕捉と伴わない捕捉の量的比較を図13に示す。以前の実験の通り、およそ200のT24細胞をマイクロチャネルに適用し、捕捉後に細胞を5%PEGのPBSで洗った。図13は、架橋試薬で処理されない細胞は、架橋剤で処理されたチャネルに回収された細胞の比率と比べて、50%より少ない細胞が回収されることを示す。よって、タンパク質架橋試薬を加えることは、マイクロチャネルへの細胞付着を有意に安定化させる。架橋剤は、細胞が捕捉された後にマイクロチャネル上の細胞を安定化させるため、抗体を細胞上に前添加するかまたはチャネル上に前添加するかにかかわらず、この結果はマイクロチャネル上で細胞を捕捉する方法とは独立していることに留意されたい。
上記に類似する第2の実験を、チャネル上の細胞安定性を試験するために使用した。上記のようなタンパク質架橋剤による細胞の処理の後に、チャネル上のSKOV細胞を抗サイトケラチン(上皮細胞を可視化するために)およびDAPI(核を有する細胞を可視化するために)で引き続き染色した。この実験での違いは、排出口に連結させた管を切断すること、マイクロチャネルから細胞を剪断しかつ取り除くことができる一過性だが突発の圧力パルスを生じることができる工程である。
表1は、細胞がチャネルに架橋されず、排出口管を取り除いたことの結果として外的な機械力に供される場合に、失われる細胞数が増加することを示す。管連結部を取り除く前に細胞をメタノール処理でチャネルに固定した場合、架橋剤を使用するか否かにかかわらず、細胞回収に有意な差は存在しなかった(データは示さず)。しかしながら、メタノール固定化(または任意のアルコールまたはアセトン固定化)は、いくつかのその後の細胞解析の目的に対して複数の望ましくない副作用を有する。メタノールで固定された細胞は、細胞膜の崩壊により透過性を有しており、したがって細胞表面の試験は、細胞内部反応と区別することができない。加えて、エタノールで固定した細胞は、チャネルマトリクスと融合し、細胞の除去を難しく非効率的なものにする。そのような細胞は、細胞除去を助けるために広範囲にわたるタンパク質分解に供されうるが、細胞消化は、いくつかの種類のその後の細胞解析に対して複数の望ましくない副作用を有する。チャネルに細胞を架橋する方法は、高速流、高粘性バッファーおよびチャネル連結部の除去を含む、通常のチャネル操作および手技の間、チャネル上の安定化細胞をアルコール固定化なしに保持することができる。
(表1)
Figure 0006771010
実施例6.抗体混合物(抗体カクテル)は、上皮様癌細胞および間葉系様癌細胞の捕捉を高める
尿路上皮癌(UC)細胞株は、より浸潤性の高い腫瘍モデルにおいてEpCAMを低発現する。循環中のそのような細胞は、EpCAMに基づくCTC捕捉の利用を制限することが予測される。5種類のUC細胞株(UMUC3、UMUC5、UMUC9、T24、およびKU7)のコホートは、より上皮性かより間葉系様かいずれかであるとして、遺伝子発現ヒートマップ解析に基づき選択された。後者の場合、これらの細胞は、間葉系の発現および形態学的特徴を伴う上皮細胞をもたらす上皮間葉移行(EMT)を受けている。このEMTは、上皮細胞が腫瘍から解離し、循環中でより遊走性かつ浸潤性になることができるメカニズムとして提案されている。
これらのEMT細胞は、様々な細胞表面抗原についてFACSによりさらに試験される。これらの細胞株の発現の違いを同定した後、全てのUC細胞型の細胞捕捉を改良するようにEpCAMおよび5種類の追加の抗体の混合物を選択した。発明者らはその後、EpCAM単独と比較した抗体混合物によるマイクロ流体チャネルを用いる細胞捕捉率を比較した。細胞はまた、上皮性または間葉系様の発現特性をそれぞれ有する細胞をさらに識別するのを助けるために、サイトケラチン抗体およびビメンチン抗体で免疫染色された。
図14は、ビメンチンおよびサイトケラチンによる5種類のUC細胞株の染色を示す。5種類のUC細胞株のうち2種類(UC3およびKU7)は、ビメンチンで染色され、EpCAM発現がごくわずかであるか発現しなかった。これらの細胞株はある程度のサイトケラチン染色を保持したが、1つの細胞株はビメンチンのみで染色された(図14)。残りの3種類の細胞株(UC5、UC9およびT24)はサイトケラチンのみで染色され、有意なEpCAM発現を有した。EpCAM発現を伴わない細胞株(UC3およびKU7)は、捕捉抗体としてEpCAM単独で使用した場合、細胞回収されなかった。しかしながら、6b5、CD318、EGFR、MOV18、Trop-2およびEpCam)を含む抗体混合物が用いられた場合、5種類の細胞株全てでほぼ100%の細胞捕捉率を達成した。この細胞型群のうち最も間葉系様であるKU7の場合、葉酸結合受容体(MOV18)が、独特であり、他の細胞株では発現されなかった。
結果は、抗体の混合物の使用は、膀胱上皮細胞とEMTを受けている膀胱上皮細胞との両方の捕捉を可能にすることを示す。試験は、抗体混合物の使用は、EpCAM単独など単一の抗体の使用と比べて、細胞収集に対して劇的な改善をもたらすことを示す。循環中で予想される腫瘍細胞型の不均一性のため、そのようなアプローチは、患者試料からのCTCの捕捉および単離を有意に改善することが予想される。
実施例7.マイクロチャネルデバイスでの抗原低発現細胞の捕捉は、抗体混合物または抗体カクテルにより増加する
抗体のカクテルを複数の異なる癌細胞型に同時に結合させるよう用いる場合、共通の検出方法が必要とされる。サイトケラチン染色は上皮細胞に対してよく機能するが、いくつかの上皮細胞は、実施例6に記載の様にサイトケラチン発現を喪失している。幹細胞など他の細胞型ついては、チャネルに非特異的に結合する可能性がある他の血液細胞型に対して有意な交差反応性を有さないこれらの細胞を染色するための特定の方法は存在しない。しかしながら、細胞の表面上の高レベルのビオチン化一次抗体または二次抗体は、マイクロチャネル上のアビジンにより特異的に捕捉される全ての細胞に共通である。ビオチン結合抗体のカクテルを用いる利点は、標的細胞上の表面ビオチンを増加させるという相加効果にある。すなわち、腫瘍患者で見られる細胞集団など不均一な細胞集団中の抗原低発現細胞、または様々なレベルで1つもしくは複数の抗原を発現する細胞の捕捉を増強するのに有用である。図8、9、および13参照。
カクテル中に複数の抗体を使用することの予想外のさらなる有利な点は、これが様々なレベルの抗原を発現する細胞の不均一集団のために、共通の検出方法を提供することである。この例を図15に示す。
図15Aは、EpCam単独またはEpCAM、Trop-2、EGFR、MUC-1、CD318およびHER-2を含む細胞により発現される他の表面抗原に特異的な抗体の混合物により、高レベルのEpCam抗原(およそ細胞1個あたり40〜70,000 EpCam抗原(apc))を発現することが公知であるSKOV細胞の捕捉率を示す。結果は、EpCam抗体単独またはEpCamに加えて他の抗原に特異的な抗体の混合物で捕捉したSKOV細胞のパーセント数値は有意に改善しなかったことを示す。
一方、図15Bは、同じSKOV細胞のFACSによる蛍光染色強度とスライド上での蛍光染色強度を示す。これらの細胞は、それらがEpCam単独(〜66,000表面抗原)またはFACS解析により決定されたように約600,00抗原の表面抗原レベルに混合されたHer-2、CD24、CD44に対して作られた抗体混合物と共に前もって混合されているか否かによって、非常に異なる強度で染色される。蛍光標識抗マウス抗体は、一次抗体を標識するために用いられた。図15Aに示す通り、ビオチン化二次抗体を使用するこれら抗体カクテルでインキュベートされたSKOV細胞の捕捉は、わずかに増加していたが、図15Bの蛍光標識二次抗体の使用は、染色強度は抗体混合物を使用する場合に有意に高くなることを示す。同じような方法で、細胞を一次抗体、続いてビオチン化二次抗体および蛍光標識ビオチン反応性アビジンと共に反応させた場合に、このような差が得られた。よって、追加の抗体が細胞の捕捉に必要ではない場合であっても、抗体カクテル混合物を用いることに有意な利点が存在する。EpCam低発現細胞の場合、捕捉は、EpCam抗体を単独で用いると減少するが(図4〜6、14)、抗体カクテルを用いる場合に有意に増加する。この場合、細胞の表面に結合した抗体の数に基づく蛍光強度もまた、増大する。したがって、細胞をより好適に捕捉するために用いられる複数の抗体を標的とする蛍光標識分子の使用は、そのような同じ細胞のより好適な検出にとって全般的な利点を有する。抗体カクテルの使用は、上皮細胞におけるサイトケラチンなど検出用の公知の特異的マーカーが存在しない可能性があるか、または図14に示すようにサイトケラチンが失われている細胞の検出を可能にするという優れた利点を有する。様々な表面マーカーの発現を伴う細胞のより良い捕捉のための混合物で用いられる複数の抗体はさらに、それらの抗体カクテル由来の結合抗体のレベルの増加だけに基づく蛍光標識の標的となりうる。
図16は、血液試料にSKOV標的細胞を添加した場合の、SKOV標的細胞に対して特異的な抗体を含みかつ血液試料中に存在する非特異的細胞と最小限に関係することが示される、カクテル中の複数の抗体の相加効果を示す。抗体カクテルは、CD340、EGFR、CD318、Muc-1、Trop-2、EpCam、Mov-18、MSC、c-metおよびN-カドヘリンに対して作られた抗体を含んだ。試料中の非特異的細胞のいくつかは、試料に加えられたビオチン化抗体(一次抗体または二次抗体のいずれか)のいくつかに吸収される可能性があるが、吸収された抗体のレベルは、低すぎて蛍光標識ニュートラアビジンを用いて可視化することができない。特異的標的細胞と非特異的細胞の染色の違いは、標的細胞により結合または捕捉された抗体混合物由来のビオチン化抗体を多数有する標的細胞の可視化にとって有利に働く。図15および16は、カクテル中の複数の抗体を加えることが、マイクロチャネル上で低レベルの抗原を発現する希少な細胞型を検出する共通かつ全般的な方法をもたらすことを明らかにする。よって、抗体カクテルは、試料中の不均一な細胞集団において非常に多様である循環腫瘍細胞の捕捉を向上させそれにより増加させるように用いられ、さらに任意の捕捉細胞の検出も向上させる。
実施例8.マイクロチャネルデバイスは、少ない細胞数で存在する生体試料由来の細胞の捕捉に優れている
図17では、血液試料に、10 ml血液試料あたり約10〜250細胞の範囲で、様々な数のSKBr3細胞、高レベルのEpCAMを発現する細胞株を添加した。EpCAM抗体を、前記添加した血液試料に加えられ、EpCAM Ab-結合細胞を実施例1に記載の方法を用いてマイクロチャネルデバイスで捕捉した。
図17の結果は、およそ100%のSKBr3細胞が、添加した試料から回収されたことを示す。データは、マイクロチャネルデバイスによる細胞のパーセント捕捉が、細胞投与量とは無関係であることを示す。
実施例9.抗体カクテルはマイクロチャネルデバイスを用いる患者血液試料からの循環腫瘍細胞(CTC)の捕捉に優れている
表2は、前立腺癌、肺癌、膵臓癌、腎細胞癌、結腸直腸癌、乳癌および卵巣癌を有すると診断された患者由来の10 mL血液試料からマイクロチャネルデバイスで捕捉した循環腫瘍細胞(CTC)の結果を示す。血液試料を、CD340、EGFR、CD318、Muc-1、Trop-2、EpCam、Mov-18、およびMSCに対して作られた抗体を含む可溶性抗体のカクテル、または抗EpCAM抗体のみで前標識した。細胞を、蛍光標識抗サイトケラチンで染色することにより同定した。
(表2)
Figure 0006771010
*前立腺癌、肺癌、膵臓癌、腎細胞癌、結腸直腸癌、乳癌および卵巣癌由来の試料。
表2は、可溶性抗体カクテルで前標識された血液試料が、単一種類の抗体のみで前標識された試料と比べて、CTCの捕捉で優れていることを示す。
実施例10.マイクロチャネルデバイスは、乳癌患者から得られた血液試料がマイクロチャネルデバイス上で可溶性抗体カクテルで前標識される場合に、強磁性標識抗体を用いるCTCの捕捉と比べて、CTCの捕捉について優れている
血液試料を、マイクロチャネルデバイスでの捕捉用に抗EpCAM抗体と共にプレインキュベートするか、または微細鉄粒子と接合させた抗体(免疫強磁性Ab)と共にプレインキュベートし、CellSearch(登録商標)(VERIDEX、LLC)を用いて捕捉した。捕捉細胞を、CKマーカー、CD45マーカーおよびDAPI、核染色剤について染色した。CK+/CD45-/DAPI+でインサイチュー染色された細胞を計数した。
(表3)
Figure 0006771010
*両側t-検定による有意差はない(P=0.715)
太字で示した総CTC数は、正常なCTC、アポトーシスを起こしたCTCおよび微小核CTCを含む;一方、丸括弧中の数字は正常なCTCを示す。
表3は、CK+/CD45-/DAPI+である、マイクロチャネルデバイスで捕捉したCTCの総数が、VERIDEXシステムにより捕捉したCTC一貫して多いことを示し、本発明がCTCの優れた捕捉をもたらすことを意味する。
実施例11.捕捉細胞の捕捉後分子解析は、ステージIIIおよびIVの乳癌患者において癌細胞としてCTCの同定を向上させる
循環腫瘍細胞(CTC)を、ステージIV(表4)およびステージIII(表5)の乳癌患者の血液試料から捕捉した。CTCを、CD340、EGFR、CD318、Muc-1、Trop-2、EpCam、Mov-18、およびMSCに対する抗体を含む抗体カクテルで前標識し、マイクロチャネルデバイスでから遊離させた。捕捉細胞を、8番および17番染色体の異数性および乳癌マーカー、Her2の増幅について蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)により解析した(表4)。これらの細胞は、マイクロチャネルから全く遊離されず、全てのFISHは、FISH解析用の計数の後に再配置させた細胞を有するチャネル内で行われる。異数性が陽性だとわかったCTCの総数を、CKマーカーが陽性で染色された細胞の総数と比較した。
(表4)
Figure 0006771010
表4は、異数性およびHer2増幅状態についてのステージIV乳癌患者由来のCTCの捕捉後分子解析が、CK染色と比べて捕捉CTCから乳癌細胞を検出するのに優れていることを示す。
表5では、ステージIIIの癌を有すると診断された患者の血液試料由来の捕捉CTCを、8番、11番および17番染色体の異数性について解析した。異数性が陽性だとわかったCTCの総数を、CKマーカーが陽性に染色された細胞の総数と比較した。8番、11番および17番染色体の異数性の詳細を示す。
(表5)
Figure 0006771010
ステージIII乳癌患者の血液から捕捉したCTCはいずれも、CKマーカーに陽性(CK+)で染色されなかったが、8番、11番、17番染色体の異数性の捕捉後解析は、多数の捕捉CTCが、これらのCTCが腫瘍細胞であることを意味する異数性細胞であることを示した。Her2(表4)増幅および異数性(表4および5)を検出するためにFISHを用いるインサイチューハイブリダイゼーション試験は、CK-である捕捉CTCが乳癌細胞であることを確認する。表4および5の結果は、Her2マーカーの増幅およびマイクロチャネルデバイスから放出された捕捉細胞の異数性の検出などの捕捉後分子解析が、ステージIIIおよびIVの癌患者由来のCK-細胞中の癌細胞を明確に同定する。この試験は、マイクロチャネルデバイス内に捕捉されたCTCは、普通なら検出されないはずの癌細胞を同定するための安定的な方法を提供する。
実施例12.捕捉細胞の捕捉後分子解析は、膀胱癌患者における癌細胞としてのCTCの同定を向上させる
循環腫瘍細胞(CTC)を膀胱癌患者の血液試料から捕捉した。CTCを、CD340、EGFR、CD318、Muc-1、Trop-2、EpCam、Mov-18、MSC、c-metおよびN-カドヘリンに対する抗体を含む抗体カクテルで前標識した。捕捉細胞を、3番、7番および17番染色体中の異数性について蛍光インサイチューハイブリダイゼーションによりマイクロチャネルデバイス内で直接的に解析し、捕捉CTC上のCKマーカーの染色と比較した。
(表6)
Figure 0006771010
表6は、CKが陰性染色される(第2欄)、膀胱癌を有する患者から得られた試料由来の捕捉細胞の多くが、異数性細胞(3番、7番および17番染色体でモノソミー、トリソミーおよび/または四倍体)であることを示す。表6の結果は、方法が、異なる癌の種類から得られた血液からCTCを同定することが可能であることを示す。
これらの実験の結果は、マイクロチャネルデバイスで捕捉したCTCにおける異数性および特定のマーカーの発現を同定する能力は、腫瘍発生の初期段階または腫瘍細胞が転移し循環内に流出している腫瘍発生の後期に癌などの疾患を予測しかつ管理するための手段を提供することを示す。加えて、記載の方法はまた、治療の効果もしくは失敗をモニターするために適用できる。
開示された発明は、記載された特定の方法論、プロトコルおよび材料に限定するものではなく、これらは多様であることが理解される。本明細書において用いられる用語は、特定の態様を記載することのみを目的としており、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図しないこともまた理解される。
当業者は、本明細書において記載の発明の特定の態様に対する多くの同等物について、認識するか、または日常を超えない程度の実験を用いて確認することができる。そのような同等物は、添付の特許請求の範囲に包含されることが意図される。

Claims (41)

  1. 試料中の標的を捕捉するための方法であって、
    標的を含む疑いがある試料を第1の結合要素および第3の結合要素と接触させ、前添加混合物を形成する工程であって、該第1の結合要素が標的の表面で標的要素に特異的に結合し、該第3の結合要素が該第1の結合要素に特異的に結合して第1の結合複合体を形成することができ、かつ、該第1の結合要素が固体支持体に結合していない、工程、および
    前添加混合物を、前記第3の結合要素に特異的に結合して前記第1の結合複合体および第2の結合要素の複合体を形成することができる第2の結合要素と、接触させ、それにより試料中に存在する場合に標的を捕捉する工程
    を含む方法。
  2. 試料中の標的を検出するための方法であって、
    標的を含む疑いがある試料を第1の結合要素および第3の結合要素と接触させ、前添加混合物を形成する工程であって、該第1の結合要素が、標的の表面の標的要素に特異的に結合し、該第3の結合要素が該第1の結合要素に特異的に結合して第1の結合複合体を形成することができ、かつ、該第1の結合要素が固体支持体に結合していない、工程、
    前添加混合物を、前記第3の結合要素に特異的に結合して前記第1の結合複合体および第2の結合要素の複合体を形成することができる第2の結合要素と、接触させる工程、および
    試料中に存在する場合に標的の存在を検出する工程
    を含む方法。
  3. 第1の結合要素が抗体を含む、請求項1または2記載の方法。
  4. 第2の結合要素が抗体でない、請求項1または2記載の方法。
  5. 第2の結合要素がアビジンである、請求項1または2記載の方法。
  6. 第1の結合要素が、一次抗体またはリガンドであり、第3の結合要素が、検出可能または捕捉可能な要素に結合した二次抗体またはリガンドであり、かつ第2の結合要素が、検出可能または捕捉可能な要素を介して第3の結合要素に特異的に結合する、請求項1または2記載の方法。
  7. 第1の結合要素が、一次抗体またはリガンドであり、第3の結合要素が、ビオチン化二次抗体またはリガンドであり、かつ第2の結合要素が、アビジンである、請求項1または2記載の方法。
  8. 第1の結合要素が抗体カクテルを含む、請求項1または2記載の方法。
  9. 標的が標的細胞である、請求項1または2記載の方法。
  10. 標的が、生体試料中の希少細胞である、請求項9記載の方法。
  11. 標的細胞が、生体試料中に10 10 細胞のうち1細胞、5×10 7 細胞のうち1細胞、または10 4 細胞のうち1細胞の比率で存在する細胞である、請求項9記載の方法。
  12. 標的細胞が、乳癌細胞、前立腺癌細胞、結腸直腸癌細胞、肺癌細胞、膵臓癌細胞、卵巣癌細胞、膀胱癌細胞、子宮内膜癌細胞、子宮頸癌細胞、肝臓癌細胞、腎癌細胞、甲状腺癌細胞、骨癌細胞、リンパ腫癌細胞、黒色腫癌細胞、および非黒色腫癌細胞から選択される癌細胞である、請求項9記載の方法。
  13. 第1の結合要素が、上皮細胞表面マーカーに特異的に結合する抗体を含む、請求項1または2記載の方法。
  14. 第1の結合要素が、上皮細胞接着分子(EpCAM)抗体を含む、請求項1または2記載の方法。
  15. 標的細胞が、乳癌細胞であり、かつ第1の結合要素が、Her2/neu、EpCAM、MUC-1、EGFR、TAG-12、IGF1R、TACSTD2、CD318、CD104、もしくはN-カドヘリンに特異的に結合する抗体を含むか、または第1の結合要素が、それらの組み合わせに特異的に結合する抗体カクテルを含む、請求項9記載の方法。
  16. 標的細胞が、黒色腫癌細胞であり、かつ第1の結合要素が、メラニン細胞分化抗原、癌胎児性抗原、腫瘍特異的抗原、SEREX抗原、またはそれらの組み合わせ特異的に結合する抗体を含む、請求項9記載の方法。
  17. メラニン細胞分化抗原が、チロシナーゼ、gp75、gp100、MelanA/MART1、またはTrp2からなる、請求項16記載の方法。
  18. 癌胎児性抗原が、MAGE-A1、MAGE-A4、BAGE、GAGE、またはNY-ESO1からなる、請求項16記載の方法。
  19. 腫瘍特異的抗原が、CDK4およびβ-カテニンからなる、請求項16記載の方法。
  20. 標的細胞が前立腺癌細胞であり、かつ第1の結合要素が、EpCAM、MUC-1、EGFR、PSMA、PSA、TACSTD2、PSCA、PCSA、CD318、CD104、もしくはN-カドヘリンに特異的に結合する抗体を含むか、または第1の結合要素が、それらの組み合わせに特異的に結合する抗体カクテルを含む、請求項9記載の方法。
  21. 標的細胞が、結腸直腸癌細胞であり、かつ第1の結合要素が、EpCAM、CD66c、CD66e、CEA、TACSTD2、CK20、CD104、MUC-1、CD318、もしくはN-カドヘリンに特異的に結合する抗体を含むか、または第1の結合要素が、それらの組み合わせに特異的に結合する抗体カクテルを含む、請求項9記載の方法。
  22. 標的細胞が、肺癌細胞であり、かつ第1の結合要素が、CK18、CK19、TACSTD2、CD318、CD104、CEA、EGFR、もしくはEpCAMに特異的に結合する抗体を含むか、または第1の結合要素が、それらの組み合わせに特異的に結合する抗体カクテルを含む、請求項9記載の方法。
  23. 標的細胞が、膵臓癌細胞であり、かつ第1の結合要素が、MUC-1、CEA、TACSTD2、CD104、CD318、N-カドヘリン、MUC-1、もしくはEpCAMに特異的に結合する抗体を含むか、または第1の結合要素が、それらの組み合わせに特異的に結合する抗体カクテルを含む、請求項9記載の方法。
  24. 標的細胞が、卵巣癌細胞であり、かつ第1の結合要素が、MUC-1、TACSTD2、CEA、CD318、CD104、N-カドヘリン、もしくはEpCAMに特異的に結合する抗体を含むか、または第1の結合要素が、それらの組み合わせに特異的に結合する抗体カクテルを含む、請求項9記載の方法。
  25. 標的細胞が、内皮膀胱癌細胞であり、かつ第1の結合要素が、CD34、CD146、CD62、CD105、CD106、VEGF受容体、もしくはMUC-1に特異的に結合する抗体を含むか、または第1の結合要素が、それらの組み合わせに特異的に結合する抗体カクテルを含む、請求項9記載の方法。
  26. 標的細胞が、上皮膀胱癌細胞であり、かつ第1の結合要素が、TACSTD2、EpCAM、CD318、EGFR、6B5、N-カドヘリン、もしくは葉酸結合受容体に特異的に結合する抗体を含むか、または第1の結合要素が、それらの組み合わせに特異的に結合する抗体カクテルを含む、請求項9記載の方法。
  27. 標的細胞が、癌幹細胞であり、かつ第1の結合要素が、CD133、CD135、CD117、もしくはCD34に特異的に結合する抗体を含むか、または第1の結合要素が、それらの組み合わせに特異的に結合する抗体カクテルを含む、請求項9記載の方法。
  28. 標的細胞が、間葉系抗原を発現する循環癌細胞であり、かつ第1の結合要素が、FGFR1、FGFR4、EGFR、葉酸結合受容体、N-カドヘリン、もしくはMSCに特異的に結合する抗体を含むか、または第1の結合要素が、それらの組み合わせに特異的に結合する抗体を含む、請求項9記載の方法。
  29. 標的細胞が、血管形成表面抗原を発現する循環癌細胞であり、かつ第1の結合要素が、VEGF受容体に特異的に結合する抗体を含む、請求項9記載の方法。
  30. 第1の結合要素が、少なくとも第1の抗体と第2の抗体との混合物であり、かつ第1の抗体が、標的要素の第1のエピトープに特異的に結合し、かつ第2の抗体が、標的要素の第2のエピトープに特異的に結合する、請求項1または2記載の方法。
  31. 第1の抗体が、幹細胞抗原に特異的に結合し、かつ第2の抗体が、癌細胞抗原に結合する、請求項30記載の方法。
  32. 第1の抗体が、CD133、CD135、CD117、CD34、またはそれらの組み合わせに特異的に結合する、請求項30記載の方法。
  33. 第1の抗体が、間葉系マーカーに特異的に結合し、かつ第2の抗体が、癌細胞抗原に特異的に結合する、請求項30記載の方法。
  34. 第1の抗体が、FGFRl、FGFR4、MSC、またはそれらの組み合わせに特異的に結合する、請求項30記載の方法。
  35. 第1の抗体が、血管形成マーカーに特異的に結合し、かつ第2の抗体が、癌細胞抗原に特異的に結合する、請求項30記載の方法。
  36. 第1の抗体が、VEGF受容体に特異的に結合する、請求項35記載の方法。
  37. 標的細胞が循環腫瘍細胞(CTC)である、請求項9記載の方法。
  38. 標的細胞が、インサイチューまたはインビトロで解析される、請求項9記載の方法。
  39. 標的細胞が、異数性について評価される、請求項9記載の方法。
  40. 標的細胞が、1番、3番、4番、7番、8番、11番、および/または17番染色体の1つまたは複数にある異数性について評価される、請求項39記載の方法。
  41. 異数性が、FISHにより評価される、請求項39記載の方法。
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