JP6770278B2 - ジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物、近赤外光吸収色素、光電変換素子、近赤外光センサー及び撮像素子 - Google Patents

ジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物、近赤外光吸収色素、光電変換素子、近赤外光センサー及び撮像素子 Download PDF

Info

Publication number
JP6770278B2
JP6770278B2 JP2017016914A JP2017016914A JP6770278B2 JP 6770278 B2 JP6770278 B2 JP 6770278B2 JP 2017016914 A JP2017016914 A JP 2017016914A JP 2017016914 A JP2017016914 A JP 2017016914A JP 6770278 B2 JP6770278 B2 JP 6770278B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
photoelectric conversion
compound
chelate compound
conversion element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017016914A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018123093A (ja
Inventor
由治 久保
由治 久保
達也 青竹
達也 青竹
秀典 薬師寺
秀典 薬師寺
山本 達也
達也 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Kayaku Co Ltd
Tokyo Metropolitan Public University Corp
Original Assignee
Nippon Kayaku Co Ltd
Tokyo Metropolitan Public University Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Kayaku Co Ltd, Tokyo Metropolitan Public University Corp filed Critical Nippon Kayaku Co Ltd
Priority to JP2017016914A priority Critical patent/JP6770278B2/ja
Publication of JP2018123093A publication Critical patent/JP2018123093A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6770278B2 publication Critical patent/JP6770278B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/549Organic PV cells

Landscapes

  • Indole Compounds (AREA)
  • Solid State Image Pick-Up Elements (AREA)
  • Light Receiving Elements (AREA)

Description

本発明は、ジベンゾピロメテンホウ素キレート構造を有する新規な化合物、光電変換素子、光センサー、撮像素子に関する。特に、近赤外領域に主たる吸収帯を有する光電変換素子及びその利用に関する。
780〜2000nmの近赤外領域(国際電気標準会議規格IEC60050−841;1983)に吸収帯を有する近赤外光吸収色素は、従来から産業上の様々な用途への応用が検討されている。例を挙げると、近赤外光吸収色素は、CD−R(Compact Disk−Recordable)等の光情報記録媒体;サーマルCTP(Computer To Plate)、フラッシュトナー定着、レーザー感熱記録等の印刷用途;熱遮断フィルム等の用途に利用されている。さらには、近赤外光吸収色素は、選択的に特定波長域の光を吸収するというその特性を用いて、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)フィルター等に用いられる近赤外線カットフィルターや、植物成長調整用フィルム等にも使用されている。また、近赤外光吸収色素は、溶媒に溶解又は分散させることにより、近赤外光吸収インクとして使用することも可能である。該近赤外光吸収インクによる印字物は、目視では認識が困難であり、近赤外光検出器等でのみ読み取りが可能であることから、例えば偽造防止等を目的とした印字等に使用される。
このような不可視画像形成用の赤外光吸収材料としては、無機系の赤外光吸収材料と、有機系の赤外光吸収材料とが既に知られている。このうち、無機系の赤外光吸収材料としては、イッテルビウム等の希土類金属や、銅リン酸結晶化ガラス等が知られている。しかしながら、無機系の赤外光吸収材料は、近赤外領域の光の吸収性が十分でないために、不可視画像の単位面積あたりに多量の赤外光吸収材料が必要となる。そのため、無機系の赤外光吸収材料によって不可視画像を形成した場合、その表面上にさらに可視画像を形成すると、下側の不可視画像の凹凸が表面側の可視画像に影響を与えてしまう。
それに対し、有機系の赤外光吸収材料は、赤外領域の光の吸収性が十分であるために、不可視画像の単位面積あたりの使用量が少なくてすむので、無機系の赤外光吸収材料を使用した場合のような不都合は生じない。そのため、現在に至るまで多くの有機系赤外光吸収材料の開発が進められている。
例えば、特許文献1には、有機系の近赤外光吸収材料として、ナフタロシアニン系化合物が開示されている。しかしながら、ナフタロシアニン系化合物は、製造方法の煩雑さ、及び溶解性の調整の困難さがあることから、一般の工業的には、対イオン性色素化合物を近赤外光吸収材料として用いることが通常となっている。特許文献2には、赤外光領域に光吸収性を有する赤外線吸収物質の例として、アミニウム化合物が開示されている。また、特許文献3には、近赤外領域に蛍光波長を有する近赤外蛍光色素の例として、ナフトフルオレセイン化合物が開示されている。
さらに、非特許文献1には、近赤外光領域に蛍光波長を有する近赤外蛍光色素の例として、ボロンジピロメテン化合物が報告されている。特許文献4では、ジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物が長波長側の吸収極大波長を有するとして報告されており、特許文献5では有機薄膜太陽電池素子の増感剤として用いられている。非特許文献2では、近赤外波長領域にピークトップを示す、ジナフトピロメテンホウ素キレート化合物が報告されている。
特開2007−3944号公報 特開平7−271081号公報 特開2012−219258号公報 特開2010−184880号公報 特開2012−199541号公報
Tetrahedron 2011.67.3187−3193 J.Org.Chem. 2016.81.1310−1315
現在用いられている近赤外光吸収色素は、耐熱性、耐光性、製造方法の煩雑さと云った課題を抱えており、工業的な利用が可能かつ高い耐久性を示す材料が求められている。特に近赤外光のセンシングを目的とする場合、近赤外領域に強い吸収を有する有機化合物で作製する光電変換素子が望まれている。比較的耐熱性に優れたピロメテンホウ素キレート化合物は、上記要求を満たす有望な材料であり、前述したとおり報告はあるが、近赤外領域に吸収帯を有する材料としては不十分である。吸収帯の長波長化の手法としてπ共役長の拡張が効果的であること多く報告されているが、最高被占軌道(HOMO)のエネルギー準位が浅くなることで、酸化に対して不安定となり耐光性が低下する課題を有する。
例えば、非特許文献1では光吸収極大は711nmを示すが、近赤外領域の光を効果的に利用するにはより長波長化が必要である。また、特許文献4及び特許文献5では有機薄膜太陽電池素子用の増感剤として利用が開示されているが、光電変換波長の末端が800nmに達する程度であり、近赤外領域での光電変換材料としては十分ではない。
さらに、非特許文献2のジナフトピロメテンホウ素キレート化合物は800nm以上に光吸収極大を示すが、HOMOエネルギー準位が浅くなり、空気酸化に対する安定性が低下している。
本発明の目的は、以上のような課題に鑑み、工業的な利用が可能で、かつ近赤外領域帯に主たる吸収波長を有し、優れた光電変換性能を有する有機化合物、それを用いた光電変換素子、特に撮像素子、光センサーとしての利用を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく、有機光電変換素子へ用いた際に十分な性能を発揮するような、ボロンジピロメテン化合物の3,5位にナフタレン環を以てB−Oキレート化による縮環構造を達成した新規のジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物を開発し、且つこれを用いた薄膜が近赤外領域に主たる吸収波長を有し、加えてこれを用いた近赤外光電変換素子が実現することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
[1]下記一般式(1)で表されるジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物、
Figure 0006770278
(Zは無置換または置換基を有するナフタレン環を表す。R〜Rは各々独立に水素原子、アリール基、ヘテロアリール基、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、ニトロ基、置換アミノ基、アミド基、アシル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、シアノ基、スルホ基、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基を表す。)
[2]下記一般式(2)で表されるジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物、
Figure 0006770278
(R〜R20は各々独立に水素原子、アリール基、ヘテロアリール基、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、ニトロ基、置換アミノ基、アミド基、アシル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、シアノ基、スルホ基、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基を表す。)
[3]下記一般式(3)で表されるジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物、
Figure 0006770278
(RとRは各々独立に水素原子、アリール基、ヘテロアリール基、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、ニトロ基、置換アミノ基、アミド基、アシル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、シアノ基、スルホ基、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基を表す。)
[4]前項[1]乃至[3]のいずれか一項に記載のジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物含む近赤外光吸収色素、
[5]前項[1]及至[3]のいずれか一項に記載のジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物含む薄膜、
[6]前項[1]乃至[3]のいずれか一項に記載のジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物、前項[4]に記載の近赤外吸収色素又は前項[5]に記載の薄膜を含む光電変換素子、
[7]前項[6]に記載の光電変換素子を備える近赤外光センサー、
[8]前項[6]に記載の光電変換素子を備える撮像素子、
に関する。
本発明のジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物は、近赤外領域に主たる吸収特性を有し、優れた光電変換性能を有することから有機撮像素子はもとより光センサー、赤外センサー等のデバイスやそれらを用いたカメラ、ビデオカメラ、赤外線カメラ等の分野へ応用することができる。
本発明の光電変換素子の実施形態を例示した断面図を示す。 実施例3の薄膜における紫外可視近赤外光吸収スペクトルを示す。 実施例4の薄膜における紫外可視近赤外光吸収スペクトルを示す。 比較例1の薄膜における紫外可視近赤外光吸収スペクトルを示す。 実施例5の光電変換素子における光電流応答性を示す。 実施例6の光電変換素子における光電流応答性を示す。 比較例2の光電変換素子における光電流応答性を示す。
以下、本発明の内容について詳細に説明する。ここに記載する構成要件の説明については、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づくものである一方、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。また、本発明において近赤外領域とは、780nm以上2000nm以下の範囲内にある波長領域をいい、近赤外光吸収材料(色素)とは近赤外光領域に主たる吸収波長をもつ材料をいい、近赤外発光材料(色素)とは近赤外光領域において発光する材料をいう。
本発明の実施形態の一つであるジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物は、下記式(1)で表される。
Figure 0006770278
(Zは無置換または置換基を有するナフタレン環を表す。R〜Rは各々独立に水素原子、アリール基、ヘテロアリール基、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、ニトロ基、置換アミノ基、アミド基、アシル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、シアノ基、スルホ基、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基を表す。)
上記式(1)中のZは無置換または置換基を有するナフタレン環の縮合位置はナフタレン環の1,2、2,1、2,3のいずれでも良い。
上記式(1)中のアリール基としては置換基を有してもよいベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、アズレン、ビフェニル、ターフェニルが挙げられる。ヘテロアリール基としては置換基を有してもよいチオフェン、フラン、ピロール、ピリジン、インドール、ベンゾチオフェン、ベンゾフランなどが挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などが挙げられる。シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。アルコキシ基としては、酸素原子に上記アルキル基が結合したものが挙げられるが、酸素原子の数、位置、分岐数は問わない。置換アミノ基としては、アミノ基の水素原子が上記の有機基で置換されたものが挙げられる。アシル基としては、カルボニル基に上記芳香族基又はアルキル基が結合したものが挙げられる。アルキルスルファモイル基としては、スルファモイル基の水素原子が上記アルキル基で置換されたものが挙げられる。アルキルカルバモイル基としては、カルバモイル基の水素原子が上記アルキル基で置換されたものが挙げられる。
〜Rは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、置換アミノ基が好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基が合成の容易さからより好ましく、熱安定性の観点から水素原子、置換または無置換の環形成炭素数が6〜18のアリール基、置換または無置換の環形成原子数5〜20のヘテロアリール基が特に好ましい。
本発明の好ましい実施形態の一つであるジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物は下記式(2)で表される。
Figure 0006770278
(式(2)中のR〜R20は各々独立に水素原子、アリール基、ヘテロアリール基、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、ニトロ基、置換アミノ基、アミド基、アシル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、シアノ基、スルホ基、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基を表す。)
前記式(2)中のR〜R20は、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基が好ましく、水素原子、アリール基、ヘテロアリール基が合成の容易さからより好ましく、熱安定性の観点から水素原子、炭素数が6〜18のアリール基、環形成原子数5〜20のヘテロアリール基が特に好ましい。
イソインドール環の置換基R〜Rは其々同じであっても異なっていてもよいが、合成の観点から、異なるイソインドール環上の同じ置換位置に在る置換基は、其々同じであることが好ましい。また、ナフタレン環の置換基R〜R20も其々同じであっても異なっていてもよいが、合成の観点から、異なるナフタレン環上の同じ置換位置に在る置換基は、其々同じであることが好ましい。即ち、前記式(2)に於いては、R=R、R=R、R=R6、=R、R=R20、R10=R19、R11=R18、12=R17、R13=R16、14=R15である構造が好ましい。
本発明のより好ましい実施形態の一つであるジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物は下記式(3)で表される。
Figure 0006770278
(式(3)中のRとRは水素原子、アリール基、ヘテロアリール基、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、ニトロ基、置換アミノ基、アミド基、アシル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、シアノ基、スルホ基、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基を表す。)
前記式(3)中のRとRの具体例は、前記式(1)中のR〜Rと同様であり、イソインドール環の置換基RとRは其々同じであっても異なっていてもよいが、合成の観点から、R=Rであることが好ましい。
、Rは合成の観点から水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基が好ましく、熱安定性の観点から水素原子、環形成炭素数が6〜18のアリール基、環形成原子数5〜20のヘテロアリール基が特に好ましい。
前記式(1)〜式(3)で表されるジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物の具体例を下記するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、具体例として示した構造式は共鳴構造の一つを表したものにすぎず、図示した共鳴構造に限定されない。
Figure 0006770278
Figure 0006770278
Figure 0006770278
Figure 0006770278
Figure 0006770278
Figure 0006770278
本発明のジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物は、公知の方法により合成することができる。例えば、下記の反応工程(Org.Lett.,2011,4547)と同様にして得られる。合成例にて得られた各種の化合物は、必要に応じてMS(質量分析スペクトル)、NMR(核磁気共鳴スペクトル)の測定を行うことによりその構造式を決定することができる。
Figure 0006770278
本発明のジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物の精製方法は特に限定されず、再結晶、カラムクロマトグラフィー及び真空昇華精製等の公知の方法が採用できる。また、必要に応じてこれらの方法を組み合わせて用いても良い。
本発明の本発明のジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物を用いて薄膜を作製することができる。薄膜又は固体状態において、光の吸収帯が780nm以上2500nm以下であることが好ましい。
該薄膜の膜厚は、その用途によって異なるが、通常0.01nm〜10μmであり、好ましくは0.05nm〜3μmであり、より好ましくは0.1nm〜1μmである。
本発明のジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物は工業的な利用可能性が高くかつ大気安定性が良好である特徴を有する。また、式(1)で表されるジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物は可溶性であり、溶液状態で塗布することが可能であるため、真空蒸着やスパッタなどの物理堆積法により有機化合物をデバイスへ加工しやすい等、有機化合物の加工プロセスが容易であることを示す。
本発明のジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物は近赤外光吸収特性を有する化合物(以下、「近赤外吸収色素」とも表す。)であることから、近赤外有機光電変換素子としての利用が期待される。当該素子に於いては、光に対する応答波長光の吸収帯の極大吸収が780nm以上2500nm以下であることが好ましく、780〜2000nmがより好ましく、780〜1500nmが特に好ましい。ここで、近赤外有機光電変換素子としては撮像素子、光センサ、光イメージセンサ等が挙げられる。
本発明の光電変換素子について説明する。本発明のジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物は、光電変換膜を含む光電変換素子として用いることができる。特に光電変換層の材料として好適に用いることが出来る。
光電変換素子とは、上部電極と下部電極である、対向する二つの電極膜間に、光電変換膜を含む光電変換部を配置した素子であって、一方の電極上方から光が光電変換部に入射されるものである。該光電変換部は前記の入射光量に応じて電子と正孔を発生するものであり、半導体により前記電荷に応じた信号が読み出され、光電変換膜部の吸収波長に応じた入射光量を示す素子である。下部の電極膜には読み出しのためのトランジスタが接続される場合もある。
該光電変換素子は、アレイ上に多数配置されていた場合は、入射光量に加え、入射位置情報を示すため、撮像素子となる。また、光の入射に関して、後部に存在する電極を含んだ光電変換素子が、より前部に存在する光電変換素子によって、吸収波長を邪魔されない場合は、複数の光電変換素子が積層していても良い。さらには、前述の複数の光電変換素子がそれぞれ異なる可視光を吸収する場合は多色の撮像素子となり、フルカラーフォトダイオードとなる。
図1を用いて光電変換素子の態様例を説明する。
図1の各態様例において、1が絶縁部、2が上部電極、3が電子ブロック層、4が光電変換部、5が正孔ブロック層、6が下部電極、7が絶縁基材、もしくは光電変換素子をそれぞれ表す。図中には読み出しのトランジスタを記載していないが、下部電極に接続されていればよく、更には、半導体が透明であれば下部電極の下に成膜されていてもよい。入射光は光電変換部以外が光電変換部の吸収波長を極度に邪魔しないものであれば、上部下部、いずれからの入射でもよい。本発明の光電変換素子は、前記式(1)で表される化合物を上記光電変換部の構成材料として用いることができる。
ここで、光電変換部は、光電変換層、電子輸送層、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔ブロック層、結晶化防止層、層間接触改良層など複数の層からなることが多いが、これに限定されるものではない。本発明の化合物は光電変換層以外にも用いることもできるが、光電変換層の有機薄膜層として用いることが好ましい。光電変換層は前記式(1)で表される化合物のみで構成されていてもよいが、前記式(1)で表される化合物以外に、公知の近赤外吸収物質その他を含んでいてもよい。
光電変換層には一般的に有機半導体膜が用いられるが、その有機半導体膜は一層、もしくは複数の層であっても良く、一層の場合は、P型有機半導体膜、N型有機半導体膜、又はそれらの混合膜(バルクヘテロ構造)が用いられる。一方、複数の層である場合は、2−10層程度であり、P型有機半導体膜、N型有機半導体膜、又はそれらの混合膜(バルクヘテロ構造)のいずれかを積層した構造であり、層間にバッファ層が挿入されていても良い。
有機半導体膜には、吸収する波長帯に応じ、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物、ピラゾリン化合物、スチリルアミン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルメタン化合物、カルバゾール化合物、ポリシラン化合物、チオフェン化合物、フタロシアニン化合物、シアニン化合物、メロシアニン化合物、オキソノール化合物、ポリアミン化合物、インドール化合物、ピロール化合物、ピラゾール化合物、ポリアリーレン化合物、カルバゾール誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、フェニルブタジエン誘導体、スチリル誘導体、キノリン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、ポルフィリン誘導体や燐光性金属錯体(Ir錯体、Pt錯体、Eu錯体など)等を用いることができる。
ここで正孔輸送層は、発生した正孔を光電変換層から電極へ輸送し、光電変換層から電極への正孔の移動を容易にする機能と、電極からの電子移動をブロックする機能とを有する。また、電子輸送層は、発生した電子を光電変換層から電極へ輸送し、光電変換層から電極への電子の移動を容易にする機能と、電極からの正孔の移動をブロックする機能を有する。
また、正孔ブロック層は、電極から光電変換層への正孔の移動を妨げ、光電変換層内での再結合を防ぎ、暗電流を低減する機能を有する。電子ブロック層は、電極から光電変換層への電子の移動を妨げ、光電変換層内での再結合を防ぎ、暗電流を低減する機能を有する。また、正孔ブロック層、および電子ブロック層は、光電変換膜の光吸収を妨げないために、光電変換層の吸収波長での透過率が高いことが好ましく、もしくは薄膜で用いることが好ましい。
さらに光電変換層においては、入射光を受光することによって、それぞれ発生した電子と正孔を、電極へ輸送することで、電気信号として読み出し回路へ送るものである。
光電変換素子において使用されうる電極膜は、光電変換層に含まれる正孔輸送性の光電変換膜または正孔輸送膜から正孔を取り出してこれを捕集する、もしくは光電変換層に含まれる電子輸送性の光電変換膜または電子輸送膜から電子を取り出してこれを吐き出すため、正孔輸送性光電変換膜、正孔輸送膜などの隣接する膜、もしくは、電子輸送性光電変換膜、電子輸送膜などの隣接する膜との密着性や電子親和力、イオン化ポテンシャル、安定性等を考慮して選ばれるため、特に限定されるものでないが、酸化錫(NESA)、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)などの導電性金属酸化物、金、銀、白金、クロム、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケル、タングステンなどの金属、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーや炭素が挙げられる。また、必要であれば、複数の材料を用いても、また2層以上で構成されていてもよい。電極の抵抗も限定されないが、素子の受光を必要以上に妨げないものであれば限定されないが、素子の信号強度や、消費電力の観点からは低抵抗であることが好ましい。例えばシート抵抗値が300Ω/□以下のITO基板であれば素子電極として機能するが、数Ω/□程度の基板の供給も可能になっていることから、低抵抗品を使用することが望ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶ事ができるが、通常5〜500nm、好ましくは10〜300nmの間で用いられる。ITOなどの膜形成方法としては、蒸着法、電子線ビーム法、スパッタリング法、化学反応法、塗布法などが挙げられる。必要に応じUV−オゾン処理、プラズマ処理などを施すことができる。
透明電極膜の材料として特に好ましいのは、ITO、IZO、SnO、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、ZnO、AZO(Alドープ酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、TiO、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)のいずれかの材料である。 透明電極膜の光透過率は、その透明電極膜を含む光電変換部に含まれる光電変換膜の吸収ピーク波長において、60%以上が好ましく、より好ましくは80%以上で、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。
また、光電変換層を複数積層する場合、積層膜内部の電極はそれぞれの光電変換膜が検出する光以外の波長の光を透過させる必要があり、吸収光に対し、好ましくは90%、さらに好ましくは95%以上の光を透過する材料を用いることが好ましい。
電極膜はプラズマフリーで作製することが好ましい。プラズマフリーで電極膜を作成することで、プラズマが基板に与える影響を少なくすることができ、光電変換特性を良好にすることができる。ここで、プラズマフリーとは、電極膜の成膜中にプラズマが発生しないか、またはプラズマ発生源から基体までの距離が2cm以上、好ましくは10cm以上、更に好ましくは20cm以上であり、基体に到達するプラズマが減ずるような状態を意味する。
電極膜の成膜中にプラズマが発生しない装置としては、例えば、電子線蒸着装置(EB蒸着装置)やパルスレーザー蒸着装置がある。以下では、EB蒸着装置を用いて透明電極膜の成膜を行う方法をEB蒸着法と言い、パルスレーザー蒸着装置を用いて透明電極膜の成膜を行う方法をパルスレーザー蒸着法と言う。
成膜中プラズマを減ずることが出来るような状態を実現できる装置(以下、プラズマフリーである成膜装置という)については、例えば、対向ターゲット式スパッタ装置やアークプラズマ蒸着法などが考えられる。
透明導電膜(Transparent Conductive Oxide:以下「TCO」と略す。)を電極膜とした場合、DCショート、あるいはリーク電流増大が生じる場合がある。この原因の一つは、光電変換膜に導入される微細なクラックがTCOなどの緻密な膜によって被覆され、反対側の電極膜との間の導通が増すためと考えられる。そのため、Alなど膜質が比較して劣る電極の場合、リーク電流の増大は生じにくい。電極膜の膜厚を、光電変換膜の膜厚(クラックの深さ)に対して制御する事により、リーク電流の増大を大きく抑制できる。
通常、導電性膜をある範囲より薄くすると、急激な抵抗値の増加をもたらすが、本実施形態の固体撮像素子では、シート抵抗は、好ましくは100〜10000Ω/□でよく、薄膜化できる膜厚の範囲の自由度は大きい。また、透明導電性薄膜は厚みが薄いほど吸収する光の量は少なくなり、一般に光透過率が増す。光透過率の増加は、光電変換膜での光吸収を増大させ、光電変換能を増大させるため、非常に好ましい。
正孔ブロック層は正孔阻止性物質単独又は二種類以上の物質を積層、混合することにより形成される。正孔阻止性物質としては、バソフェナントロリン、バソキュプロイン等のフェナントロリン誘導体、シロール誘導体、キノリノール誘導体金属錯体、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体などが用いられるが、正孔阻止性物質は、正孔が電極から素子外部に流れ出てしまうのを阻止することができる化合物であれば特に限定されるものではない。有機光電変換素子の正孔ブロック層薄膜の形成方法は後述のとおりでよい。リーク電流を防止する目的には膜厚は薄い方が良いが、光入射時の信号読み出しには、十分な電流量が必要なため、膜厚はなるべく薄い方が良い。一般的には発電層として5〜500nm程度が好ましい。
有機光電変換素子の有機薄膜の形成方法は、一般的に、真空プロセスである抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、溶液プロセスであるキャスティング、スピンコーティング、ディップコーティング、ブレードコーティング、ワイヤバーコーティング、スプレーコーティング等のコーティング法や、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法等、さらにはこれらの手法を複数組み合わせた方法を採用しうる。各層の厚みは、それぞれの物質の抵抗値・電荷移動度にもよるので限定することはできないが、0.5〜5000nmの間から選ばれる。好ましくは1〜1000nm、より好ましくは5〜500nmである。
有機光電変換素子を構成する有機薄膜のうち、電極間に存在する、光電変換層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子ブロック層などの薄膜の1層又は複数層に上記一般式(1)で表される有機化合物を含有させることにより、弱い光エネルギーでも効率よく電気信号に変換する素子が得られる。
(光センサー、イメージ・センサー)
電極間に電圧を印加した状態、あるいは無印加の状態で、透明または半透明の電極側から光を入射させることにより、光電流が流れ、これにより光電変換素子を光センサーとして用いることができる。また、該光センサーを複数集積してモジュール化することにより、複数の光電変換素子を含むイメージ・センサーとして用いることができる。モジュールとは、複数の光電変換素子を含むデバイスである。モジュールは、複数の光電変換素子を集積した構成を有している。モジュールにはイメージ・センサーなどが含まれる。ここで、光センサーには赤外光センサー等のデバイスを含む。
近赤外光センサーは、赤外領域の光(赤外線)を受光し電気信号に変換して、必要な情報を取り出して応用する技術、またその技術を利用した機器をいう。人間の視覚を刺激しないで物を見られる、対象物の温度を遠くから非接触で瞬時に測定できるなどの特徴を持つ。近赤外に感光する赤外線フィルムやイメージ・センサーなどを用いることで、肉眼で見える像とは異なる映像を撮影することができる。
(用途)
本発明の光電変換素子は、優れた光電変換性能や近赤外吸収特性を利用した光センサー等のデバイスを利用してカメラ、デジタルスチルカメラ、赤外線カメラ等の分野に応用することができる。
その他の用途として、デジタルビデオカメラ、下記用途などでの監視カメラ(オフィスビル、駐車場、金融機関・無人契約機、ショッピングセンター、コンビニエンスストア、アウトレットモール、百貨店、パチンコホール、カラオケボックス、ゲームセンター、病院)、その他各種のセンサー(テレビドアホン、個人認証用センサー、ファクトリーオートメーション用センサー、家庭用ロボット、産業用ロボット、配管検査システム)、医療用センサー(内視鏡、眼底カメラ)、テレビ会議システム、テレビ電話、カメラつきケータイ、自動車安全走行システム(バックガイドモニタ、衝突予測、車線維持システム)、テレビゲーム用センサーなどの用途に用いることが出来る。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。実施例中、部は特に指定しない限り質量部を、%は質量%を表す。また反応温度は、特に断りのない限り反応系内の内温を記載した。
合成例にて得られた各種の化合物は、必要に応じてMS(質量分析スペクトル)、NMR(核磁気共鳴スペクトル)の測定を行うことによりその構造式を決定した。
また、実施例中の電流電圧の印加測定は、特に指定しない限り、半導体パラメータアナライザ4200−SCS(ケースレーインスツルメンツ社)を用いて行った。入射光の照射は、特に指定しない限り、PVL−3300(朝日分光社)を用いた。イオン化ポテンシャル測定は、特に指定しない限り、理研計器株式会社大気中光電子分光法AC−3(商標登録)を用いて測定した値である。
(実施例1)化合物(1)の合成
Figure 0006770278
化合物(A−2)の合成
窒素雰囲気下、脱水エタノール(14mL)に溶解させた3−メトキシ−2−ナフタエ酸メチル(3.02g、13.9mmol)に、ヒドラジン一水和物(3.0mL,61.7mmol)を加え80℃で一晩撹拌させた。反応終了後、溶媒を留去し析出した固体をヘキサンで洗浄、濾過により灰色固体を得た(2.71g、収率90%)。
H NMR(500 MHz,CDCl):δ(ppm)9.06(s,1H),8.77(s,1H),7.91(d,1H),7.75(d,1H,J=8.15Hz),7.53(t,1H,J=7.47Hz),7.23(s,1H),4.23(s,2H),4.07(s,3H).FAB−MS:m/z=217[M+H]
化合物(A−3)の合成
窒素雰囲気下、A−2(1.01g,4.70mmol)、2−ヒドロキシアセトフェノン(0.7mL,5.81mmol)を脱水エタノール(13mL)に溶解させ一晩還流させた。反応終了後、濾過により析出した白色固体を得た(1.49g,収率96%)。
H NMR (500 MHz, CDCl):δ(ppm)12.9(s,1H),11.1(s,1H),8.93(s,1H),7.94(d,1H,J=8.10Hz),7.76(d,1H,J=8.20 Hz),7.55(ddd,1H,J=8.16,6.94,1.19Hz),7.47(dd,1H,J=7.95,1.60Hz),7.43(ddd,1H,J=8.09,6.91,1.16Hz),7.28−7.31(m, 2H),7.06(dd,1H,J=8.33,1.13Hz),6.87(td,1H,J=7.57,1.20Hz),4.19(s,3H),2.40(s,3H).
HRMS(FAB):m/z[M+H] 理論値C2019,335.1396; 実測値,335.1383.
化合物(A−4)の合成
テトラヒドロフラン(22mL)に化合物(A−3)(401mg,1.20mmol)を溶解させた。氷冷しながらこの溶液に、四酢酸鉛(674mg,1.52mmol)を少量ずつ加え、室温で3時間撹拌させた。反応終了後、シリカゲルを敷いた桐山濾過により析出した固体を除き、溶媒を留去したのち、ジクロロメタンと蒸留水で分液処理をおこなった。有機相を乾燥させ、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(順相シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=2:3)により精製をおこない白色固体を得た(311mg,85%)。
HNMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)8.08(s,1H),7.80(d,1H,J=8.20Hz),7.75(d,1H,J=8.25Hz),7.66(dd,1H,J=7.65,0.85Hz),7.56(td,1H,J=7.50,1.13Hz),7.52(ddd,1H,J=8.22,7.05,1.30Hz),7.50(td,1H,J=7.50,1.28Hz),7.43(dd,1H,J=7.60,0.90Hz),7.37(ddd,1H,J=8.16,6.94,1.19Hz),7.18(s,1H),3.80(s,3H),2.51(s,3H).
HRMS(FAB):m/z[M+H]理論値C2017,305.1178;実測値,305.1166.
化合物(A−5)の合成
化合物(A−4)(202mg,0.603mmol)をエタノール(10mL)、酢酸(2mL)に溶解させ、溶液を65℃に加熱後、塩化アンモニウム(32.5mg,0.608mmol)、酢酸アンモニウム(296mg,3.84mmol)を加えた。80℃で一晩撹拌後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチし、ジクロロメタンと飽和食塩水で分液処理をおこなった。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(順相シリカゲル,ベンゼン:ヘキサン=3:1)により精製をおこない、青紫色の固体を得た(86.3mg,収率51%)。
HNMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)8.40(s,2H),7.98(d,2H,J=8.05Hz),7.92(d,2H,J=8.05Hz),7.85(d,2H,J=8.10Hz),7.76(d,2H,J=8.20Hz),7.66(s,1H),7.48(ddd,2H,J=8.09,6.91,1.16Hz),7.39(ddd,4H,J=7.98,6.95,1.00Hz),7.29(ddd,2H,J=7.91,6.94,0.94Hz),7.23(s,2H),3.78(s,6H).
HRMS(FAB):m/z[M+H]理論値C3929,557.2229;実測値,557.2220.
化合物(A−6)の合成
窒素雰囲気下、化合物(A−5)(1.60g,2.88mmol)を脱水トルエン(115mL)に溶解させ、トリエチルアミン(1.1mL,7.94mmol)を加えて撹拌させた。80℃に加熱したのち、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体(3.0mL,24.3mmol)を滴下し、100℃で9時間撹拌させた。蒸留水を加えてクエンチし、ジクロロメタンと蒸留水で分液処理をおこなった。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。ジクロロメタン/ヘキサンで再沈殿をおこない、濃青色固体を得た(1.48g,収率85%)。cis体とtrans体の混合物として同定データを記す。
HNMR(500MHz,DMSO−d):δ(ppm)8.73(s,1H),8.20(d,1H,J=8.35Hz),8.20(d,1H,J=8.20Hz),7.98(s,1H),7.93(s,1H),7.84(d,1H,J=9.05Hz),7.84(d,1H,J=7.15Hz),7.82(d,1H,J=7.10Hz),7.77(d,1H,J=8.10Hz),7.55−7.59(2H,m),7.46−7.50(2H,m),7.48(s,1H),7.44(s,1H),7.29−7.36(2H,m),7.32(1H,d,J=7.95Hz),7.27(1H,d,J=7.20Hz),7.27(2H,t,J=7.50Hz),3.82(s,3H),3.75(s,3H)
HRMS(FAB):m/z[M]理論値C3927BF,604.2134;実測値,604.2129.
元素分析 理論値(重量%)C3927BF・0.7HO:C,75.91;H,4.64;N,4.54.実測値(重量%):C,75.91;H,4.48;N,4.58.
化合物(1)の合成
窒素雰囲気下、化合物(A−6)(700.3mg,1.159mmol)を脱水ジクロロエタン(115mL)に溶解させ、0℃で撹拌させた。この溶液に三臭化ホウ素(6.0mL,6.0mmol)を滴下後、2時間撹拌を続けた。その後反応液を40℃に加熱し、一晩撹拌させた。反応終了後、氷冷しながら飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクエンチした。水相を除いて溶媒を留去し、エタノールで析出した固体を洗浄後、濾過により濃緑色固体を得た(611.2mg、粗収率;98%)。その後、昇華精製を経て光沢のある赤色固体を得た。
元素分析 理論値(重量%)C3721BN・0.2HO:C,82.30;H,3.99;N,5.19.実測値(重量%):C,82.18;H,3.85;N,5.25.
HRMS(APCI):m/z(M+H)理論値C3722BN,537.1774;実測値 537.1775.
(実施例2) 化合物(5)の合成
Figure 0006770278
化合物(A−7)の合成
窒素雰囲気下、化合物(A−2)(4.00g,18.5mmol)と2−ブロモ−4−メトキシアセトフェノン(4.70g,21.9mmol)を脱水エタノール(50mL)に溶解させ,一晩還流させた。反応終了後、濾過により析出した白色固体を得た(7.41g,収率97%)。
HNMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)13.2(s,1H),11.1(s,1H),8.91(s,1H,7.93(d,1H,J=8.20Hz),7.75(d,1H,J=8.20Hz),7.55(ddd,1H,J=8.12,6.98,1.16Hz),7.44(ddd,1H,J=8.12,6.97,1.14Hz),7.27(s,1H),7.27(d,1H,J=8.65Hz,H),7.22(d,1H,J=2.00Hz),6.97(dd,1H,J=8.48,2.08Hz),4.19(s,3H),2.37(s,3H).
HRMS(FAB):m/z(M+H)理論値 C2018BrN,413.0501;実測値,413.0519.
化合物(A−8)の合成
テトラヒドロフラン(24mL)に化合物(A−7)(501mg,1.21mmol)を溶解させた。氷冷しながらこの溶液に、四酢酸鉛(658mg,1.48mmol)を少量ずつ加え、室温で3時間撹拌させた。反応終了後、シリカゲルを敷いた桐山濾過により析出した固体を除き、溶媒を留去したのち、ジクロロメタンと蒸留水で分液処理をおこなった。有機相を乾燥させ、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(順相シリカゲル,酢酸エチル:ヘキサン=2:3)により精製をおこない淡黄色固体を得た(400mg,86%)。
HNMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)8.18(s,1H),7.84(d,1H,J=8.20Hz),7.75(d,1H,J=8.10Hz),7.68(dd,1H,J=8.20,1.90Hz),7.58(d,1H,J=8.20Hz),7.53(1H,ddd,J=8.22,6.93,1.28Hz),7.53(d,1H,J=1.9Hz),7.39(ddd,1H,J=8.17,6.93,1.20Hz),7.17(s,1H),3.78(s,3H),2.48(s,3H).
HRMS(FAB):m/z(M)理論値C2015BrO,382.0205;実測値,382.0219.
化合物(A−9)の合成
化合物(A−8)(304mg,0.794mmol)をエタノール(10mL)、酢酸(2mL)に溶解させ、溶液を65°Cに加熱後、塩化アンモニウム(45.7mg,0.854mmol)、酢酸アンモニウム(369mg,4.79mmol)を加えた。80℃で12時間撹拌後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチし、ジクロロメタンと飽和食塩水で分液処理をおこなった。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(順相シリカゲル、ベンゼン:ヘキサン=3:1)により精製をおこない、濃紫色の固体を得た(124mg,収率44%)。
HNMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)8.31(s,2H),8.04(d,2H,J=1.40Hz),7.85(d,2H,J=8.10Hz),7.81(d,2H,J=8.50Hz),7.76(d,2H,J=8.10Hz),7.56(s,1H),7.50(ddd,2H,J=8.10,6.95,1.14Hz),7.46(dd,2H,J=8.50,1.70Hz),7.40(ddd,2H,J=8.07,6.87,1.16Hz),7.23(s,2H),3.77(s,6H).
HRMS(FAB):m/z(M+H)理論値 C3927Br,713.0439;実測値,713.0405.
化合物(A−10)の合成
窒素雰囲気下、化合物(A−9)(162mg,0.226mmol)を脱水トルエン(10mL)に溶解させ、トリエチルアミン(0.1mL,0.721mmol)を加えて撹拌させた。80℃に加熱したのち、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(0.25mL,2.03mmol)を滴下し、100℃で5時間撹拌させた。蒸留水を加えてクエンチし、ジクロロメタンと飽和食塩水で分液処理をおこなった。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。メタノールで洗浄をおこない、濾過により青紫色固体を得た(155mg,収率90%)。cis体とtrans体の混合物として同定データを記す。
HNMR(500MHz,DMSO−d):δ(ppm)8.84(s,1H),8.16(1H,d,J=8.45Hz),8.16(d,1H,J=8.90Hz),7.98(s,1H),7.94(s,1H),7.84(dd,2H,J=8.48,3.78Hz),7.82(d,1H,J=8.95Hz),7.77(d,1H,J=7.90Hz),7.73(dd,1H,J=8.82,1.67Hz),7.73(dd,1H,J=8.75,1.40Hz),7.48−7.51(m,4H),7.49(s,1H),7.45(s,1H),7.37−7.30(m,2H),3.83(s,3H),3.76(s,6H).
HRMS(FAB):m/z(M)理論値 C3925BBr,760.0344;実測値,760.0307.
化合物(A−11)の合成
化合物(A−10)(1.46g,1.92mmol)とフェニルボロン酸(0.936g,7.68mmol)をテトラヒドロフラン(100mL)と2M炭酸カリウム水溶液(23mL)に溶解させ、凍結脱気を3回おこなった。窒素雰囲気下のグローブバッグ内でPd(PPh(0.44g,0.381mmol)を加え、70℃で一晩撹拌させた。反応終了後,蒸留水を加えてクエンチし、ジクロロメタンで分液処理をおこなった。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィー(順相シリカゲル,ベンゼン:ヘキサン=3:1)により精製をおこない、再沈殿(ジクロロメタン/メタノール)により濃赤紫色固体を得た(1.02g,収率71%)。cis体とtrans体の混合物として同定データを記す。
HNMR(500MHz,DMSO−d):δ(ppm)8.82(s,1H),8.31(d,1H,J=8.50Hz),8.30(d,1H,J=8.55Hz),8.03(s,1H),7.99(s,1H),7.92(dd,2H,J=8.52,1.47Hz),7.85(d,1H,J=8.35Hz),7.85(d,1H,J=7.90Hz),7.84(d,1H,J=8.15Hz),7.79(d,1H,J=8.10Hz),7.65(dd,4H,J=7.38,1.28Hz),7.47−7.51(m,4H),7.51(s,1H),7.47(s,1H),7.43(t,1H,J=7.67Hz),7.42(t,1H,J=7.62Hz),7.30−7.37(m,4H),3.85(s,3H),3.78(s,3H).
FAB−MS:m/z=756(M)
元素分析 理論値(重量%)C5135BF:C,80.96;H,4.66;N,3.70.実測値(重量%):C,80.85;H,4.66;N,3.69.
化合物(5)の合成
窒素雰囲気下、化合物(A−11)(701mg,0.927mmol)を脱水ジクロロエタン(92mL)に溶解させ、0℃で撹拌させた。この溶液に三臭化ホウ素(5.0mL,5.0mmol)を滴下後、2時間撹拌を続けた。その後反応液を40℃に加熱し、一晩撹拌させた。反応終了後、氷冷しながら飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクエンチした。水相を除いて溶媒を留去し、メタノールで析出した固体を洗浄後、濾過により緑色固体を定量的に得た(665mg)。その後、昇華精製を経て光沢のある緑色固体を得た。
FAB−MS:m/z=688(M)
(実施例3)化合物(1)を用いた薄膜の作成と評価
実施例1で得られた化合物(1)を予め洗浄したガラス基板に100nmの膜厚に抵抗加熱真空蒸着し、得られた有機薄膜について、吸収スペクトルを測定した。得られた吸収スペクトルを図2に示す。結果、化合物(1)の薄膜状態における主たる吸収帯の吸収極大は785nmに観測された。イオン化ポテンシャルは5.3eVであった。
(実施例4)化合物(5)を用いた薄膜の作成と評価
実施例2で得られた化合物(5)を予め洗浄したガラス基板に80nmの膜厚に抵抗加熱真空蒸着し、得られた有機薄膜について、吸収スペクトルを測定した。得られた吸収スペクトルを図3に示す。結果、化合物(2)の薄膜状態における主たる吸収帯の吸収極大は788nmに観測された。イオン化ポテンシャルは5.3eVであった。
(比較合成例1)比較化合物Bの合成
Figure 0006770278
化合物(A−13)の合成
窒素雰囲気下、化合物(A−12)(5.01g,30.1mmol)、2−ヒドロキシアセトフェノン(4.5mL,37.4mmol)を脱水エタノール(80mL)に溶解させ一晩還流させた。反応終了後、濾過により析出した白色固体の化合物(A−13)を得た(5.80g,収率68%)。
HNMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)12.9(s,1H),11.0(s,1H),8.36(dd,1H,J=7.80,1.80Hz),7.53(ddd,1H,J=8.34,7.26,1.79Hz),7.47(dd,1H,J=7.97,1.58Hz),7.29(td,1H,J=7.70,1.50Hz),7.17(td,1H,J=7.56,0.88Hz,H),7.05(dd,1H,J=8.33,1.13Hz),7.05(dd,1H,J=8.23,1.35Hz),6.87(td,1H,J=7.59,1.23Hz),4.10(s,3H),2.39(s,3H).FAB−MS:m/z=285(M+H)
化合物(A−14)の合成
テトラヒドロフラン(190mL)に化合物(A−13)(3.01g,10.6mmol)を溶解させた。氷冷しながらこの溶液に、四酢酸鉛(5.72g,12.9mmol)を少量ずつ加え、室温で2時間撹拌させた。反応終了後、シリカゲルを敷いた桐山濾過により析出した固体を除き、溶媒を留去したのち、ジクロロメタンと蒸留水で分液処理をおこなった。有機相を乾燥させ、溶媒を留去し淡黄色固体の化合物(A−14)を得た(2.61g,収率97%)。
HNMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)7.65−7.68(m,2H),7.47−7.54(m,3H),7.37(dd,1H,J=6.98,1.78Hz),7.03(td,1H,J=7.58,0.95Hz),6.94(d,1H,J=8.25Hz),3.64(s,3H),2.49(s,3H).
FAB−MS:m/z=255(M+H)
化合物(A−15)の合成
化合物(A−14)(1.00g,3.95mmol)をエタノール(55mL)、酢酸(11mL)に溶解させ、溶液を65°Cに加熱後、塩化アンモニウム(216mg,4.03mmol)、酢酸アンモニウム(1.95g,25.4mmol)を加えた。80℃で一晩撹拌後、飽和重曹水でクエンチし、ジクロロメタンと飽和食塩水で分液処理をおこなった。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(順相シリカゲル,ジクロロメタン:ヘキサン=1:1)により精製をおこない、光沢のある深緑色の固体の化合物(A−15)を得た(458mg,収率51%)。
HNMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)7.94(dd,2H,J=7.48,1.53Hz),7.93(d,2H,J=7.95Hz),7.84(d,2H,J=8.15Hz),7.61(s,1H),7.38(td,2H,J=7.82,1.35Hz),7.35(t,2H,J=7.43Hz),7.24(t,2H,J=7.58Hz),7.11(td,2H,J=7.32,0.70Hz),7.04(d,2H,J=8.25Hz),3.77(s,6H).
FAB−MS:m/z=456(M)
化合物(A−16)の合成
窒素雰囲気下、化合物(A−15)(1.01g,2.21mmol)を脱水トルエン(88mL)に溶解させ、トリエチルアミン(0.8mL,5.77mmol)を加えて撹拌させた。80℃に加熱したのち、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(2.5mL,20.3mmol)を滴下し、100℃で3時間撹拌させた。蒸留水を加えてクエンチし、ジクロロメタンと蒸留水で分液処理をおこなった。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。得られた固体をメタノールで洗浄し、濾過により青紫色固体の化合物(A−16)を得た(1.10g,収率99%)。
HNMR(500MHz,DMSO−d):δ(ppm)8.65(s,1H),8.16(d,1H,J=8.20Hz),8.15(d,1H,J=8.20Hz),7.54(t,2H,J=7.37Hz),7.48(td,2H,J=7.91,1.63Hz),7.45(d,1H,J=7.60Hz),7.38(d,1H,J=7.15Hz),7.29(d,1H,J=8.10Hz),7.26(d,1H,J=6.85Hz)7.28(t,1H,J=8.15Hz),7.25(t,1H,J=7.43Hz),7.20(d,1H,J=8.25Hz),7.17(d,1H,J=8.25Hz),7.07(td,1H,J=7.50,0.75Hz),7.01(td,1H,J=7.49,0.72Hz),3.72(s,6H),3.66(s,6H).
FAB−MS:m/z=504(M)
元素分析 理論値(重量%)C3123BF:C,73.83;H,4.60;N,5.55.実測値(重量%):C,73.54;H,4.63;N,5.55.
比較化合物(B)の合成
窒素雰囲気下、化合物(A−16)(700mg,1.39mmol)を脱水ジクロロエタン(138mL)に溶解させ、0℃で撹拌させた。この溶液に三臭化ホウ素(7.0mL,7.0mmol)を滴下後、2時間撹拌を続けた。その後反応液を40℃に加熱し、一晩撹拌させた。反応終了後、氷冷しながら飽和重曹水を加えてクエンチした。水相を除いて溶媒を留去し、メタノールで析出した固体を洗浄後、濾過により青緑色固体を得た(515mg,粗収率85%)。その後、昇華精製を経て光沢のある緑色固体を得た。
APCI−MS:m/z=436(M)
(比較例1)比較化合物Bを用いた薄膜の作成と評価
比較化合物Bを予め洗浄したガラス基板に80nmの膜厚に抵抗加熱真空蒸着し、得られた有機薄膜について、吸収スペクトルを測定した。得られた吸収スペクトルを図4に示す。結果、比較化合物Bの薄膜状態における主たる吸収帯の吸収極大は757nmに観測された。イオン化ポテンシャルは5.1eVであった。
比較例1に示した比較化合物Bと比較して、本発明のジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物を用いた薄膜は、近赤外領域の光をより効率的に吸収し、かつHOMOエネルギーの安定化が達成されていることが確認できる。
(実施例5)光電変換素子の作製およびその評価
ITO透明導電ガラス(ジオマテック(株)製、ITO膜厚150nm)に光電変換層として、化合物(1)を抵抗加熱真空蒸着し、100nmの膜厚に成膜した。その上に電極として、アルミニウムを抵抗加熱真空蒸着し、100nmの膜厚に成膜し、本発明の光電変換素子を作製した。ITOとアルミニウムを電極として、800nm、半値幅20nmの光照射を行った状態で、1Vの電圧を印加した際の光電流応答性を測定したところ、暗所での電流は8.49×10−9A/cm、明所での電流は3.77×10−6A/cmであり、その明暗比は4.4×10であった。得られた光電変換素子の光電流応答性を図5に示す。
(実施例6)光電変換素子の作製およびその評価
ITO透明導電ガラス(ジオマテック(株)製、ITO膜厚150nm)に光電変換層として、化合物(5)を抵抗加熱真空蒸着し、100nmの膜厚に成膜した。その上に電極として、アルミニウムを抵抗加熱真空蒸着し、100nmの膜厚に成膜し、本発明の光電変換素子を作製した。ITOとアルミニウムを電極として、800nm、半値幅20nmの光照射を行った状態で、1Vの電圧を印加した際の光電流応答性を測定したところ、暗所での電流は1.09×10−9A/cmであり、明所での電流は5.34×10−7A/cmであり、その明暗比は4.9×10であった。得られた光電変換素子の光電流応答性を図6に示す。
(比較例2)光電変換素子の作製およびその評価
ITO透明導電ガラス(ジオマテック(株)製、ITO膜厚150nm)に光電変換層として、比較化合物Bを抵抗加熱真空蒸着し、80nmの膜厚に成膜した。その上に電極として、アルミニウムを抵抗加熱真空蒸着し、100nmの膜厚に成膜し、比較用の光電変換素子を作製した。ITOとアルミニウムを電極として、775nm、半値幅20nmの光照射を行った状態で、0.05Vの電圧を印加した際の光電流応答性を測定したところ、暗所での電流は5.18×10−8A/cmであり、明所での電流は9.47×10−7A/cmであり、その明暗比は18であった。得られた光電変換素子の光電流応答特性を図7に示す。また、1Vの電圧を印加した際の光電流応答性を測定したところ、暗所での電流は8.15×10−6A/cmであり、明所での電流は1.42×10−5A/cmであり、その明暗比は1.7であった。
比較例2に示した比較化合物Bを用いた光電変換素子は、光照射がない状態での暗電流の漏れが激しく、明暗比が非常に悪いのに対し、本発明のジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物を用いた光電変換素子は、3桁の明暗比が得られていることから光電変換特性に優れていることが確認できる。
本発明のジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物は、良好な近赤外吸収特性と蒸着可能な耐熱性を兼ね備えており、優れた近赤外光電変換特性を示すことから有機エレクトロニクスデバイス材料として有用である。
1絶縁部
2上部電極
3電子ブロック層もしくは正孔輸送層
4光電変換部
5正孔ブロック層もしくは電子輸送層
6下部電極
7絶縁基材、もしくは他光電変換素子

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で表されるジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物。
    Figure 0006770278
    (式(1)中のZは無置換または置換基を有するナフタレン環を表す。R〜Rは各々独立に水素原子、アリール基、ヘテロアリール基、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、ニトロ基、置換アミノ基、アミド基、アシル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、シアノ基、スルホ基、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基を表す。)
  2. 下記一般式(2)で表されるジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物。
    Figure 0006770278
    (式(2)中のR〜R20は各々独立に水素原子、アリール基、ヘテロアリール基、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、ニトロ基、置換アミノ基、アミド基、アシル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、シアノ基、スルホ基、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基を表す。)
  3. 下記一般式(3)で表されるジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物。
    Figure 0006770278
    (式(3)中のRとRは各々独立に水素原子、アリール基、ヘテロアリール基、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、ニトロ基、置換アミノ基、アミド基、アシル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、シアノ基、スルホ基、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基を表す。)
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物含む近赤外吸収色素。
  5. 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物含む薄膜。
  6. 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物、請求項4に記載の近赤外吸収色素又は請求項5に記載の薄膜を含む光電変換素子。
  7. 請求項6に記載の光電変換素子を備える近赤外光センサー。
  8. 請求項6に記載の光電変換素子を備える撮像素子。
JP2017016914A 2017-02-01 2017-02-01 ジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物、近赤外光吸収色素、光電変換素子、近赤外光センサー及び撮像素子 Active JP6770278B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017016914A JP6770278B2 (ja) 2017-02-01 2017-02-01 ジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物、近赤外光吸収色素、光電変換素子、近赤外光センサー及び撮像素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017016914A JP6770278B2 (ja) 2017-02-01 2017-02-01 ジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物、近赤外光吸収色素、光電変換素子、近赤外光センサー及び撮像素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018123093A JP2018123093A (ja) 2018-08-09
JP6770278B2 true JP6770278B2 (ja) 2020-10-14

Family

ID=63110030

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017016914A Active JP6770278B2 (ja) 2017-02-01 2017-02-01 ジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物、近赤外光吸収色素、光電変換素子、近赤外光センサー及び撮像素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6770278B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3750970B1 (en) 2018-02-06 2022-03-23 FUJIFILM Corporation Color conversion composition, compound used for same, and light-emitting device
KR102513131B1 (ko) * 2018-09-18 2023-03-23 후지필름 가부시키가이샤 조성물, 막, 광학 필터, 고체 촬상 소자, 적외선 센서, 광학 필터의 제조 방법, 카메라 모듈, 화합물, 및 분산 조성물
EP4024097B1 (en) 2019-08-29 2024-05-22 FUJIFILM Corporation Composition, film, near-infrared cut-off filter, pattern formation method, laminate, solid-state imaging element, infrared sensor, image display device, camera module and compound
WO2022234383A1 (ja) * 2021-05-07 2022-11-10 株式会社半導体エネルギー研究所 電子機器

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5458301B2 (ja) * 2009-02-10 2014-04-02 三菱化学株式会社 ジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物及びその製造方法、並びにこれを用いた太陽電池、光重合性組成物、光記憶媒体、発光素子、光学フィルター、及び医療診断用蛍光色素
JP2012199541A (ja) * 2011-03-10 2012-10-18 Mitsubishi Chemicals Corp 有機薄膜太陽電池素子、太陽電池及び太陽電池モジュール
WO2013035303A1 (ja) * 2011-09-09 2013-03-14 出光興産株式会社 有機薄膜太陽電池材料
JP6465350B2 (ja) * 2015-03-09 2019-02-06 公立大学法人首都大学東京 新規な有機化合物およびその利用
KR102325175B1 (ko) * 2016-03-18 2021-11-10 닛뽄 가야쿠 가부시키가이샤 유기 화합물, 근적외 흡수 색소, 광전 변환 소자 및 그 광 센서, 촬상 소자

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018123093A (ja) 2018-08-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6803362B2 (ja) 撮像素子用光電変換素子
JP6907187B2 (ja) 有機化合物、近赤外吸収色素、光電変換素子及びその光センサー、撮像素子
CN109476681B (zh) 二苯并吡咯亚甲基硼螯合化合物、近红外线吸收材料、薄膜及有机电子器件
JP6770278B2 (ja) ジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物、近赤外光吸収色素、光電変換素子、近赤外光センサー及び撮像素子
JP6618785B2 (ja) 撮像素子用光電変換素子用材料及びそれを含む光電変換素子
JP6029606B2 (ja) 光電変換素子、撮像素子、光センサ、光電変換素子の使用方法
EP3666777B1 (en) Dibenzopyrromethene boron chelate compound, near-infrared light-absorbing material, thin-film, and organic electronic device
JP6862277B2 (ja) 撮像素子用光電変換素子用材料及びそれを含む光電変換素子
JP7390320B2 (ja) ジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物、近赤外光吸収材料、有機薄膜及び有機エレクトロニクスデバイス
JP6619806B2 (ja) 縮合多環芳香族化合物
JP7033039B2 (ja) ジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物およびその利用
JP2017137264A (ja) 有機化合物、赤外光吸収材料及びその利用
JP2021116297A (ja) ホウ素キレート化合物、近赤外光吸収材料、薄膜及び有機エレクトロニクスデバイス
JP6759075B2 (ja) 撮像素子用光電変換素子用材料及びそれを含む光電変換素子
JP2020189933A (ja) ジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物、近赤外光吸収色素、光電変換素子、近赤外光センサー及び撮像素子
JP2020010024A (ja) 撮像素子用光電変換素子用材料及び光電変換素子
JP7357880B2 (ja) 新規環状化合物およびその用途
JP2017079317A (ja) 撮像素子用光電変換素子用材料及びそれを含む光電変換素子

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170223

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190820

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200821

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200828

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200915

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6770278

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250