JP6767668B2 - カーボンナノチューブ分散液 - Google Patents

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Description

本発明は、カーボンナノチューブ分散液に関するものである。
近年、AV機器やパソコン等の電子機器のポータブル化、コードレス化が急速に進んでおり、これらの駆動用電源として小型、軽量で高エネルギー密度を有する蓄電ディバイスへの要求が高くなっている。このような状況下において、高い電気伝導性を示す繊維状の炭素材料が注目されている。
従来、このような用途においては、カーボンナノファイバーが用いられていた(特許文献1)。しかしながら、カーボンナノファイバーは、繊維径が太いために、粉での分散が良好であるものの、近年の小型、高容量化が求められる蓄電ディバイスにおいては、十分な特性を示すとは言えない。そこで、高い電気伝導性を示す炭素材料であって、より繊維径の細いカーボンナノチューブが注目されている。カーボンナノチューブは、高強度、高電気伝導性、高熱伝導性、耐熱性、電磁波吸収性等、非常に優れた性能を有している為、複合材料、半導体素子、電気伝導材料等の実用化に向けた研究が進められている。
しかし、カーボンナノチューブの特性を最大限に利用するためには、非常に絡み合った凝集物をほぐす必要があり、分散液として用いられることが検討されているが、カーボンナノチューブは一般的に液体への分散が困難であることが知られている。現在まで、さまざまな方法でカーボンナノチューブの分散やインキ化を試みた文献がある。特許文献2及び特許文献3では、カーボンナノチューブを分散させるための分散剤を添加したカーボンナノチューブの分散液の検討がなされている。また、特許文献4では、カーボンナノチューブ自体を化学修飾して易分散化することが検討されている。しかしながら、未だ十分な分散性、分散安定性に優れたカーボンナノチューブは得られていない。
また、カーボンナノチューブの形状の制御によって分散性を改善する検討もなされている。カーボンナノチューブの分散が困難である原因のひとつはチューブの長さが長いことである。よって、カーボンナノチューブの切断により、カーボンナノチューブの短尺化が起こることで、カーボンナノチューブの凝集塊が解砕され、分散を進行させることができる。
そこで、カーボンナノチューブの中途に結晶不連続部を設け、その接合部で切断しやすいカーボンナノチューブが開発されている。従来、カーボンナノチューブの形状としては、円筒チューブ状、魚骨状(フィッシュボーン、カップ積層型)、トランプ状(プレートレット)等が開発されている。魚骨状やトランプ状のカーボンナノチューブは結晶不連続部を多く持つが、グラファイト網面のC軸が繊維軸方向に対し、傾斜あるいは直交して積層した構造であるため、単独の繊維における繊維軸長軸方向の電気伝導性は低下する。また、円筒チューブ形状において、所謂釣鐘状構造単位を形成し、それら単位が数十個積み重なった炭素繊維が開発されているが(特許文献5)、グラファイト網面が閉じた頭頂部と下部が開いた胴部とを有する釣鐘状構造単位が、中心軸を共有して層状に積み重なった集合体であり、連結部では頭頂部が別の構造単位の開放端にはまり込んでいる状態となっており、易切断性に欠ける。このようなカーボンナノチューブであっても高濃度且つ低粘度なカーボンナノチューブ分散液を得るためには、カーボンナノチューブの短尺化をより進める必要があり、短くなったカーボンナノチューブは凝集体を形成しやすくなるために、導電性を損なうという問題があった。
特開昭58−180615号公報 特開2003−238126号公報 特開2004−276232号公報 特表2008−517863号公報 特開2014−19619号公報
本発明は分散性、分散安定性が高く、高濃度であっても粘度が低いカーボンナノチューブ分散液を提供することにある。
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
すなわち、本発明は、カーボンナノチューブと、分散剤と、分散媒とを含むカーボンナノチューブ分散液であって、該カーボンナノチューブのチューブ外径の分布の幾何標準偏差(σ)が1.25〜1.70であり、該カーボンナノチューブの動的光散乱法による平均粒子径(D50)が400nm以下であることを特徴とするカーボンナノチューブ分散液である(本発明1)。
また、本発明は、前記カーボンナノチューブのチューブ外径の幾何平均径(M)が、5nm〜30nmである本発明1に記載のカーボンナノチューブ分散液である(本発明2)。
また、本発明は、前記カーボンナノチューブが、カーボンナノチューブのウォールに平行部分と平行部分のチューブ外径に対して90%以下のチューブ外径であるくびれ部分とを有し、該カーボンナノチューブの0.1%分散液を作製し、その分散液を試料台にのせて乾燥させ、透過型電子顕微鏡で2万倍にて撮影した画像を100nm四方の区画に区切り、100nm四方の区画にカーボンナノチューブの占める面積が10%〜80%である区画を300区画選択した際に、1区画中にくびれ部分が少なくとも1箇所存在する区画が300区画中に40%以上存在する本発明1又は2に記載のカーボンナノチューブ分散液である(本発明3)。
また、本発明は、前記カーボンナノチューブのフタル酸ジブチル(DBP)吸収量が150ml/100g以上400ml/100g以下である本発明1〜3のいずれかに記載のカーボンナノチューブ分散液である(本発明4)。
また、本発明は、前記カーボンナノチューブの示差熱分析の発熱ピーク温度(TDTA)が530℃以上である本発明1〜4のいずれかに記載のカーボンナノチューブ分散液である(本発明5)。
また、本発明は、前記カーボンナノチューブの(002)面の結晶子サイズLc(002)が30Å以上60Å以下である本発明1〜5のいずれかに記載のカーボンナノチューブ分散液である(本発明6)。
また、本発明は、前記カーボンナノチューブ分散液のずり速度383s−1で測定される粘度が5mPa・s以上300mPa・s以下である本発明1〜6のいずれかに記載のカーボンナノチューブ分散液である(本発明7)。
また、本発明は、前記カーボンナノチューブの含有量が30重量%以下である本発明1〜7のいずれかに記載のカーボンナノチューブ分散液である(本発明8)。
また、本発明は、前記カーボンナノチューブの含有量が3重量%以上である本発明1〜8のいずれかに記載のカーボンナノチューブ分散液である(本発明9)。
また、本発明は、前記分散剤の含有量が前記カーボンナノチューブに対して50重量%以下である本発明1〜9のいずれかに記載のカーボンナノチューブ分散液である(本発明10)。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液は、分散液中でのカーボンナノチューブの挙動粒子径としての動的光散乱粒子径(D50)が400nm以下となり、高い分散性を備えている。また、分散液中のカーボンナノチューブがチューブ外径の分布の幾何標準偏差で表されるばらつきを有していることによって、カーボンナノチューブの凝集が阻害され、高い均一分散性と分散安定性を達成できる。よって、本発明に規定する条件下では、高濃度でありながら低粘度のカーボンナノチューブ分散液を得ることができる。
また、本発明にかかるカーボンナノチューブ分散液は、チューブ外径のばらつきによる凝集阻害効果によって、分散液の利用時において再凝集することなく他の成分と混合ができ、また、導電・伝熱経路が効率よく形成されるため、電気および熱の伝導性の向上に有利に働くと考えられる。
例えば、本発明に係るカーボンナノチューブ分散液をリチウムイオン二次電池等の蓄電ディバイスの電極活物質の導電材として添加する場合、高濃度且つ低粘度の分散液であれば混練しやすく、微細な挙動粒子径を持ったカーボンナノチューブを容易に分散させることができ、多くの導電パスを均一に形成できるために電池のサイクル特性を飛躍的に向上させることができる。
カーボンナノチューブの平行部とくびれ サンプルAのカーボンナノチューブの透過型電子顕微鏡の写真 サンプルDのカーボンナノチューブの透過型電子顕微鏡の写真 サンプルEのカーボンナノチューブの透過型電子顕微鏡の写真
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液は、カーボンナノチューブと、分散剤と、分散媒とを含む。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液は、分散媒を特に限定しないが、具体的には水、イソプロピルアルコール(IPA)などのアルコール、トルエン、酢酸ブチル、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルエチルケトン(MEK)などが挙げられる。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液は、必要に応じて分散剤を添加しても構わない。分散剤は特に限定しないが、具体的にはカルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアセタール(PBAc)などが挙げられる。分散剤の含有量は用途によるが、例えばリチウム二次電池などの導電剤として使用する場合にはカーボンナノチューブに対して50重量%以下が好ましく、30重量%以下がより好ましい。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液は、カーボンナノチューブの含有量が30重量%以下であるものが好ましい。カーボンナノチューブの含有量が30重量%を超えるカーボンナノチューブ分散液を作製することは、必要とする分散剤が多くなるため、工業的には困難である。カーボンナノチューブの含有量が少ない分散液の作製は容易であるが、低濃度の分散液は、分散液の利用において、一定量のカーボンナノチューブ添加のために必要な分散液の量が多くなり、固形分濃度を低下させるので好ましくない。本発明に係るカーボンナノチューブ分散液は、カーボンナノチューブの含有量が5重量%以上の高濃度化が可能であり、6重量%以上27重量%以下の分散液がより好ましく、7重量%以上25重量%以下の分散液がさらに好ましく利用できる。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液は、分散液中のカーボンナノチューブのチューブ外径の幾何平均径(M)が、5〜30nmであるものが好ましい。チューブ外径の幾何平均径(M)が30nmを超える分散液は、単位重量あたりの繊維本数が少なくなり、十分な導電性を得ることができない。また、チューブ外径の幾何平均径(M)が5nmを下回る分散液は、カーボンナノチューブ同士が凝集してバンドル(束)を形成し易いので製造が困難である。より好ましいチューブ外径の幾何平均径(M)の範囲は6〜27nm、さらに好ましくは7〜25nmである。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液は、分散液中のカーボンナノチューブのチューブ外径の分布における幾何標準偏差(σ)が、1.25〜1.70であり、好ましくは1.26〜1.6である。
分散液中のカーボンナノチューブが前記幾何標準偏差(σ)が前記範囲を満たすチューブ外径のばらつきを有することによって、カーボンナノチューブの凝集が阻害され、高い分散性と分散安定性を持つ分散液となる。前記幾何標準偏差(σ)が1.25未満である場合、分散後にカーボンナノチューブが再凝集するおそれがあり、分散安定性が低下する。前記幾何標準偏差(σ)が1.70を超える場合には、太すぎるカーボンナノチューブが含まれるため、分散安定性、導電・伝熱性や塗工性に悪影響を与える。
また、カーボンナノチューブのチューブ外径と繊維長とはある程度の相関があり、長いカーボンナノチューブが伸びている状態では長距離の導電・伝熱性が得られ、短いカーボンナノチューブが多方向に伸びている状態では広い面積の導電・伝熱性が得られると推測している。長短のカーボンナノチューブが共存することで、両方の効果を得ることができ、特に優れた導電・伝熱性が得られる。よって、チューブ外径の分布における幾何標準偏差(σ)が1.25未満と分布がシャープである分散液、およびチューブ外径の分布における幾何標準偏差(σ)が1.70を超えるほど、チューブ外径の分布がブロードな分散液は好ましくない。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液は、分散液中でのカーボンナノチューブの挙動粒子径としての動的光散乱粒子径(D50)が400nm以下である。動的光散乱粒子径(D50)が400nmを超える分散液は、分散不良であり、カーボンナノチューブが凝集体を形成して沈降しやすく、分散安定性に欠ける。分散処理によって一時的に動的光散乱粒子径(D50)を小さくしても、分散液中である程度カーボンナノチューブが毛玉状に再凝集してしまうため、下限は100nm程度である。分散液中でのカーボンナノチューブの挙動粒子径としての動的光散乱粒子径(D50)は、好ましくは120〜390nm、より好ましくは150〜380nmである。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液は、分散剤の種類や量にもよるが、ずり速度383s−1における分散液の粘度が5Pa・s以上300mPa・s以下であるものが好ましい。本発明における分散液とは、容器から掬い取った跡が、時間を置くことで滑らかな表面に戻るようなものを指す。用途にもよるが、粘度が300mPa・sよりも高い場合、ハンドリング性が悪くなるおそれがあるので好ましくない。より好ましい分散液の粘度は250mPa・s以下であり、さらに好ましくは200mPa・s以下、さらにより好ましくは10Pa・s以上120mPa・s以下である。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液に含まれるカーボンナノチューブは、くびれ部分を有するものがあってもよい。くびれ部分とは、カーボンナノチューブのウォール平行部分のチューブ外径に対して90%以下のチューブ外径となる、ウォールが非並行である部分を指す。分散液中のカーボンナノチューブがくびれ部分を有することによりバンドル化せず、再凝集が起こりにくくなる。
カーボンナノチューブのウォールの形状とチューブ外径は、透過型電子顕微鏡等で観察することができる。図1にくびれ部分を有するカーボンナノチューブの透過型電子顕微鏡写真を示す。カーボンナノチューブのウォール平行部分とは、透過型電子顕微鏡で観察した際にカーボンナノチューブの最外層ウォールが2本の平行な直線又は2本の平行な曲線と認識できる部分である。平行線の法線方向のウォールの外壁間の距離が平行部分のチューブ外径1である。カーボンナノチューブのウォールのくびれ部分とは、両端が平行部分に隣接し、平行部分に比べてウォールの距離が近づいており、平行部分のチューブ外径に対して90%以下のチューブ外径を持つ部分である。くびれ部分のうち外壁を構成するウォールのなかで、距離が最も近い箇所の距離がくびれ部分のチューブ外径2である。
次に、本発明に係るカーボンナノチューブ分散液の製造方法について説明する。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液は、分散媒にカーボンナノチューブと、分散剤とを加えた後、分散させる方法であれば適宜選択して製造することができる。具体的にはビーズミル、ジェットミル、超音波分散機などを使用すればよい。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液に用いる分散媒は、特に限定しないが、具体的には水、イソプロピルアルコール(IPA)などのアルコール、トルエン、酢酸ブチル、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルエチルケトンなどが挙げられる。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液に用いる分散剤は、特に限定しないが、具体的にはカルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアセタール(PBAc)などが挙げられる。分散剤を使用する量は用途によるが、例えばリチウム二次電池などの導電剤として使用する場合にはカーボンナノチューブに対して50重量%以下が好ましく、30重量%以下が好ましい。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液を製造する際、カーボンナノチューブの特性を妨げない範囲であれば、必要に応じて増粘剤などを加えても構わない。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液に用いるカーボンナノチューブは、チューブ外径の幾何平均径(M)が、5nm〜30nmであることが好ましい。チューブ外径の幾何平均径(M)が30nmを超えるカーボンナノチューブは、単位重量あたりの繊維本数が少なくなり、十分な導電性を得ることができないので好ましくない。また、チューブ外径の幾何平均径(M)が5nmを下回るカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブ同士が凝集してバンドル(束)を形成し易く、分散させたとしても再凝集し易いので好ましくない。より好ましいチューブ外径の幾何平均径(M)の範囲は6nm〜27nmであり、さらに好ましくは7nm〜25nmである。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液に用いるカーボンナノチューブは、チューブ外径の分布における幾何標準偏差(σ)が、1.25〜1.70であることが好ましい。前記幾何標準偏差(σ)のより好ましい範囲は1.26〜1.60である。
カーボンナノチューブが前記幾何標準偏差(σ)が前記範囲を満たすチューブ外径のばらつきを有することによって、カーボンナノチューブの凝集が阻害され、容易に分散させることができる。前記幾何標準偏差(σ)が1.25未満である場合、分散が困難であるか、分散後に再凝集するおそれがある。前記幾何標準偏差(σ)が1.70を超える場合には、太すぎるカーボンナノチューブが含まれるため、均一な分散が困難である。
また、カーボンナノチューブのチューブ外径と繊維長とはある程度の相関があり、長いカーボンナノチューブが伸びている状態では長距離の導電・伝熱性が得られ、短いカーボンナノチューブが多方向に伸びている状態では広い面積の導電・伝熱性性が得られると推測している。長短のカーボンナノチューブが共存することで、両方の効果を得ることができ、特に優れた導電・伝熱性が得られる。よって、チューブ外径の分布における幾何標準偏差(σ)が1.25未満と分布がシャープであるカーボンナノチューブ、およびチューブ外径の分布における幾何標準偏差(σ)が1.70を超えるほど、チューブ外径の分布がブロードなカーボンナノチューブは好ましくない。
上記チューブ外径の幾何平均径と幾何標準偏差を満たすものであれば、複数の性状のカーボンナノチューブを混合したカーボンナノチューブ粉末を用いてもよい。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液に用いるカーボンナノチューブは、チューブ層数を特に限定しないが、カーボンナノチューブの最表層に欠陥が生じても内側のチューブによって導電性が確保され易いため、2層以上の多層カーボンナノチューブが好ましい。チューブ層数はTEMで確認することができる。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液に用いるカーボンナノチューブは、機械的エネルギーを与えた時に切れやすいカーボンナノチューブが、緩く絡み合った毛玉状の凝集体を形成しているものを選択することが好ましい。前記形状は走査型電子顕微鏡(SEM)などで確認することができる。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液に用いるカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブのウォール平行部分のチューブ外径に対して90%以下のチューブ外径となる、くびれ部分を有するものが好ましい。ここで規定するくびれ部分とはカーボンナノチューブの成長過程で発生する結晶不連続部を指し、小さな機械的エネルギーで容易に切断できる易破断箇所となる。よって、分散液の製造過程において、カーボンナノチューブを短尺化して分散液中のカーボンナノチューブの挙動粒子径を制御することが容易になる。
易破断箇所の存在割合は、カーボンナノチューブの0.1%分散液を作製し、その分散液を試料台にのせて乾燥させ、透過型電子顕微鏡(TEM)で2万倍にて撮影した画像を用いて判断した。具体的には、前記画像を100nm四方の区画に区切り、100nm四方の区画にカーボンナノチューブの占める面積が10%〜80%である有効区画を300区画選択した際に、1区画中にくびれ部分を少なくとも1箇所確認できる区画が該有効区画中に占める割合を、易破断箇所の全体に占める割合(易破断箇所の存在割合)とした。100nm四方の区画中、カーボンナノチューブの占める面積が10%以下の場合には、カーボンナノチューブの存在量が少なすぎるため、測定が困難である。また、100nm四方の区画中、カーボンナノチューブの占める面積が80%以上の場合には、カーボンナノチューブが多くなるためカーボンナノチューブが重なりあってしまい、平行部分とくびれ部分を区別するのが困難であり正確な測定が困難となる。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液に用いるカーボンナノチューブは、易破断箇所の存在割合が40%以上であるものが好ましい。易破断箇所の存在割合が、40%よりも少ない場合には、カーボンナノチューブが分散しにくく、分散させるために過度の機械的エネルギーを加えたときには、グラファイト網面の結晶構造破壊につながり、カーボンナノチューブの特徴である電気伝導性などの特性が低下する。より高い分散性を得るためには、易破断箇所の存在割合は、45%以上であることが好ましく、50%以上がより好ましく、55%以上がさらにより好ましい。
カーボンナノチューブを分散させるには単繊維化と短尺化が必要である。グラファイト網面の結晶性が高く、切れにくいカーボンナノチューブを分散させるためには、連続したチューブ壁面を物理的に破壊して切断する必要があり、チューブの分断に至るまでの間にカーボンナノチューブ全体の結晶構造が必要以上に破壊され、カーボンナノチューブの特徴である電気伝導性などの特性が低下してしまう恐れがある。切れやすい、結晶不連続面やくびれ部分などの易破断部が多いカーボンナノチューブを用いた場合には、易破断部が優先的に衝撃を吸収して切断されるために、分散完了までに必要な機械的エネルギーが小さく、切断部以外のグラファイト網面へのダメージは少ないので好ましい。毛玉状の凝集体を形成しているカーボンナノチューブは、例えばビーズミルなどで凝集体全体に物理的衝撃を受けた場合に、凝集体が抱える内部空隙によってダメージを緩和しつつ、複数個所でカーボンナノチューブが切れて短尺化されやすいため、容易に凝集体構造が崩れて分散し易いので好ましい。毛玉状ではなく、同方向にカーボンナノチューブが配向した凝集体、例えばカーボンナノチューブフォレストなどは、単繊維化が難しく、また、カーボンナノチューブの束(バンドル)に対して物理的衝撃を与えることになるので、効率的に分散できず、分散にいたるまでに受けるダメージが大きくなるので好ましくない。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液に用いるカーボンナノチューブは、示差熱分析の第一発熱ピークの変曲点の温度(TDTA)が530℃以上であるものが好ましい。カーボンナノチューブの示差熱分析において、第一発熱ピークを示す温度では、カーボンナノチューブの燃焼分解が起こる。従って、示差熱分析の第一発熱ピーク温度が低いカーボンナノチューブほど燃焼分解しやすいカーボンナノチューブであると考えられる。カーボンナノチューブの合成に使用した触媒が残っている場合、金属粒子周辺が選択的に酸化され、燃焼し易いためにTDTAが低くなる傾向がある。また、カップスタック型のような、チューブの末端が多く露出しているカーボンナノチューブもまた、酸化および燃焼が一気に進行するためにTDTAが低くなる傾向がある。本発明のカーボンナノチューブ分散液に用いるカーボンナノチューブは、くびれ部分の結晶不連続部が優先的に酸化されるものの、カップスタック型ほどチューブ末端が露出していないので、他成分との反応性が低く、分散液の用途や分散剤の選択の自由度も高くなるために好ましい。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液に用いるカーボンナノチューブは、X線回折におけるカーボンナノチューブ(002)面の結晶子サイズ(Lc(002))が30Å以上60Å以下であるものが好ましい。Lc(002)が30Å未満のカーボンナノチューブは、高い導電性を発揮できるため、少ない本数で導電経路を効率よく形成できる。Lc(002)が60Åを超えるカーボンナノチューブを工業的に作製するのは困難である。より好ましいLc(002)は33Å以上55Å以下である。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液に用いるカーボンナノチューブは、BET法によって求められる比表面積が100m/g超500m/g未満であるものが好ましい。比表面積が100m/g以下のカーボンナノチューブは柔軟性に乏しく、広範囲に導電性を付与しにくいため好ましくない。また、比表面積が500m/g以上のカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブ間でバンドルが形成され易く、安定に分散した状態を保つのが難しいので好ましくない。より好ましい範囲は105m/g超300m/g未満であり、さらに好ましい範囲は110m/g超250m/g未満である。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液に用いるカーボンナノチューブは、JIS K6217−4に準拠して測定されるフタル酸ジブチル(DBP)吸収量Dが150ml/100g以上400ml/100g以下であるものが好ましい。DBP吸収量はカーボンブラックにおける数珠状の連なり(ストラクチャ)を反映するパラメーターであり、この値が高いほど樹脂などに添加した場合にストラクチャが広範囲に広がり易く、導電性を付与しやすいとされている。よって、絡まっているカーボンナノチューブの解しやすさの指標としてDBP吸収量を採用した。DBP吸収量Dが150ml/100g未満のカーボンナノチューブはチューブ長さが短く、導電性を付与しにくいため好ましくない。DBP吸収量Dが400ml/100gを超えるカーボンナノチューブはチューブ同士の絡まりが強く、分散させることが難しいので好ましくない。より好ましい範囲は150ml/100g以上375ml/100g以下であり、さらに好ましい範囲は175ml/100g以上350ml/100g以下である。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液に用いるカーボンナノチューブに含まれるAl及びMgの含有量の和は0.05重量%以上、2.0重量%以下であることが好ましい。Al及びMgの含有量の和が0.05重量%未満ではカーボンナノチューブの水への親和性が低くなり、水への分散性が低下する。逆に、Al及びMgの含有量の和が、2.0重量%を超える場合、カーボンナノチューブとしての純度が下がることになり、カーボンナノチューブの優れた性能を阻害することになる。分散性と特性のバランスから、カーボンナノチューブに含まれるAl及びMgの含有量の和は、より好ましくは0.1重量%以上1.5重量%以下である。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液に用いるカーボンナノチューブは、粉体pHが4.5以上11.5以下であるものが好ましい。
本発明におけるカーボンナノチューブ分散液に用いるカーボンナノチューブの製造方法は、蒸発させた炭素を触媒となる成分上に堆積させる方法であれば特に限定しないが、粉末触媒を介して、化学気相成長(CVD)反応によりカーボンナノチューブを生成する方法が好ましい。
カーボンナノチューブを生成するための原料ガスは、例えばプロパンガス、LNG、都市ガス、純メタンなどの炭化水素ガス、COガスなどが挙げられるが、中でもメタン、エタン、プロパンなどの飽和炭化水素を用いることが好ましい。
飽和炭化水素とは、メタンやエタン、プロパンなど、炭素−炭素間の多重結合がない炭化水素を指す。原料ガス中における飽和炭化水素は75体積%以上が好ましく、より好ましくは90体積%以上である。
発明者らは、メタンなどの飽和炭化水素を原料ガスとして用いたとき、エチレンなどの不飽和炭化水素を原料ガスとして用いた場合に比べてカーボンナノチューブに結晶不連続面が多く導入されると考えている。カーボンナノチューブの合成では、反応過程で炭化水素ガスが還元され、エチレンやアセチレンなどの不飽和脂肪酸の形態を経て触媒金属微粒子に炭素が取り込まれると言われている。不飽和原料ガスを用いた場合には、触媒金属微粒子にスムーズに炭素が取り込まれるため、金属微粒子表面でのカーボンナノチューブ生成が滞ることがなく、グラファイト網面に欠損が少ない、すなわち結晶不連続面であるくびれ部分が少ないカーボンナノチューブが形成されやすく、飽和炭化水素を用いた場合には、熱分解温度や不飽和脂肪酸への転化を促進させる助触媒の量にもよるが、触媒金属微粒子に炭素が取り込まれる速度が一定ではなくなるため、結果として結晶不連続面であるくびれ部分が形成されやすくなると考えている。また、カーボンナノチューブ生成反応の初期において、各触媒微粒子で反応速度に差がでるために、カーボンナノチューブが形成され始める時の触媒微粒子の大きさに分布が現れ、結果としてチューブ外径に分布があるカーボンナノチューブが得られると考えられる。
カーボンナノチューブを生成するための原料ガスは、水素や不活性ガス、場合によっては水蒸気などの酸化性ガスなどと混合して用いてもよいが、原料ガスの濃度が70体積%以上であることが好ましい。高濃度の原料ガスを用いることによって、カーボンナノチューブ生成時に副産物として放出される水素を分離して、炭化水素ガスを後のカーボンナノチューブ生成に利用したり、水素を燃料電池などに利用したりすることが容易になる。より好ましい原料ガスの濃度は80体積%以上であり、さらに好ましくは90体積%であり、最も好ましいのは原料ガスを希釈せずにそのまま用いることである。
また、カーボンナノチューブを製造する工程において、原料ガスが熱分解される温度に到達する前に、触媒に対して悪影響のあるガスを触媒の周辺雰囲気から排除しておくことが好ましい。触媒に対して悪影響のあるガスとは例えば窒素、硫黄を含むものが挙げられる。炭化水素の熱分解時に窒素が存在すると、Feなどの金属が触媒となってアンモニアが発生し、触媒が失活する原因となり得る。投入した触媒の一部が失活すると、原料ガスの熱分解によるカーボンナノチューブの生成反応が残った触媒に集中し、結果として一つの触媒金属微粒子からのカーボンナノチューブ生成速度が上がり、結晶性が高くて直線性も高い、すなわち結晶不連続面であるくびれ部分が少ないカーボンナノチューブを生成してしまうので好ましくない。触媒に対して悪影響のあるガスを排除する方法としては、具体的には反応室に触媒を配置した後に真空脱気および/またはガス置換を行った後に昇温し、原料ガスの熱分解を行えばよい。置換するガスは触媒に対して悪影響がないものであれば限定しないが、作業の効率性の面から原料ガスが好ましい。
カーボンナノチューブを生成するための触媒は、粉末であることが好ましい。粉末の形状や粒子径は、例えば回転炉に投入して炉を稼動させた時に流動する程度であれば、特に限定しない。
カーボンナノチューブを生成するための触媒は、カーボンナノチューブを生成する核となる有効金属成分のほかに、原料ガスの分解に寄与する助触媒成分や、触媒金属を担持するための担体成分を含んでいてもよい。有効金属成分としては、Fe、Co及びNiが挙げられ、これらのうち1種以上を含む触媒であればよい。例えば、有効金属成分であるFe、Co及びNiのうち1種以上と、助触媒成分のAlとMgとを含むものを用いることができ、これらの金属元素の酸化物等の金属化合物、金属担持物や金属化合物の担持物、又はそれらの物理混合物であることが好ましい。AlやMgの化合物はカーボンナノチューブの生成において、飽和炭化水素から不飽和炭化水素への転化や、不飽和炭化水素からの水素脱離などの原料ガス熱分解過程で助触媒的に働き、また、カーボンナノチューブ生成の核である有効金属成分の微粒子が焼結することを抑制する。また、カーボンナノチューブ生成後に残ったAlやMgの酸化物は親水性が高いため、水系の溶媒に分散させた場合に馴染みやすくなるという利点もある。触媒中のAlとMgの含有量の和については、1重量%以上であれば良いが、望ましくは3重量%〜40重量%である。40重量%よりも多い場合には、助触媒の量が多くなりすぎてしまいカーボンナノチューブの生成効率が悪くなってしまう。
本発明者らは、AlとMgとを含有する触媒を用いることによって、触媒中のAlやMgの化合物が助触媒的に働く効果と、原料ガスの分解に対するバッファー効果とが、後述するカーボンナノチューブの生成速度を調整し、触媒中にカーボンナノチューブの合成に直接作用しないAlやMg等の金属が存在することでカーボンナノチューブの成長に対して直進性が阻害されるため、くびれ部分をカーボンナノチューブにより多く存在させることができると考えている。
カーボンナノチューブを生成させる装置としては、流動床、固定床、落下式の反応器、二軸スクリュー方式、ロータリーキルンなどが用いられるが、原料ガスを導入することで、触媒を介して、カーボンナノチューブが生成されるものであれば、特に装置の構造及び原理に限定されず選択することができる。また、選択する装置により、バッチ式、連続式、バッチ連続などの方式も取りうるが、これらも特に限定されるものではない。触媒粉末がカーボンナノチューブを生成しながら流動することができる方式であれば、装置や触媒同士の接触によってカーボンナノチューブの生成の直進性を阻害し、屈曲を有するカーボンナノチューブが緩く毛玉状にまとまった状態で得られやすいため好ましい。
カーボンナノチューブを生成させる温度も特に限定されるものではないが、通常は、原料ガスが熱分解される、400℃〜800℃の温度でカーボンナノチューブが生成される。
カーボンナノチューブを生成させる触媒供給量は、例えば直径250mmの連続式ロータリーキルンの場合、0.05g/min〜10g/minにて連続的に触媒を供給することでカーボンナノチューブが生成される。
カーボンナンチューブを生成させるガス供給量は、例えば直径250mmの連続式ロータリーキルンの場合、5L/min〜40L/minとすればよい。ガスの投入方法については多段で投入してもかまわない。
カーボンナノチューブを生成させる条件として、使用触媒粉末に含まれる有効金属元素であるFe、Co及びNiの合計の1gあたりのカーボンナノチューブの生成速度が、1.00g/min以下であることが好ましい。カーボンナノチューブの生成速度は、反応温度、原料ガス流量など種々の条件を変更することによって制御することができる。より好ましくは0.95g/min以下であり、さらに好ましくは0.90g/min以下である。
本発明者らは、カーボンナノチューブの生成速度をカーボンナノチューブが途切れない程度に遅くすることで、カーボンナノチューブの成長方向の変更がカーボンナノチューブの繊維軸方向に対して頻繁に起こるようになり、結晶が連続していない易破断箇所であるくびれ部分が多く存在するカーボンナノチューブを得ることができると考えている。
カーボンナノチューブに対して、触媒を取り除く純化処理および/または分散媒への馴染みを改善する化学的処理を行っても構わない。純化処理の方法については、2000℃を超える不活性ガス中での高温熱処理、酸溶解、ハロゲンガス熱処理法などの方式を取りうるが、特に限定されるものではない。化学処理の方法については、空気酸化する方法や酸又はアルカリ溶液にてカーボンナノチューブ表面に官能基を与えるなどの方式を取りうるが、特に限定されるものではない。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液は、チューブ外径の分布の幾何標準偏差(σ)が1.25〜1.70であるカーボンナノチューブを含有することによって、分散が容易となる。また、一旦分散させた後には再凝集も起こりにくいため、長期の分散安定性が高い。そのため、高濃度化が可能であり、用途に応じた濃度と粘度を有する分散液を提供することができる。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液は、チューブ外径が大きいカーボンナノチューブが例えるなら植物の主根の様に頑丈な導電経路を確保し、チューブ外径が小さいカーボンナノチューブが側根の様に緻密な導電網を形成するので、例えばリチウムイオン二次電池の導電剤として用いた場合、チューブ外径が小さいカーボンナノチューブは活物質表面および隣接する活物質間の導電性を改善し、チューブ外径が大きいカーボンナノチューブは電極の厚み方向の導電性を改善することができる。
以下、本発明の具体的な実施の例を以下に示すが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
カーボンナノチューブの製造に関する条件の測定と、カーボンナノチューブ粉末およびカーボンナノチューブ分散液の評価は以下のように行った。
(a)有効金属元素含有比率の算出
触媒粉末を走査型蛍光X線分析装置((株)リガク社製ZSX PrimusII)で測定し、Fe,CoおよびNiの含有量を触媒全体に含まれる金属元素全ての含有量で除した値を算出し、触媒中の有効金属元素の含有比率とした。
(b)カーボンナノチューブ生成速度の算出
カーボンナノチューブ生成速度は、原料ガスを導入し、反応が進行するにつれて発生する水素ガスの発生量をガスサンプリングノズルを反応装置内に入れ、ガスクロマトグラフィーにより、インラインでカーボンナノチューブの純度が85%になるまでの水素ガス発生量を連続的に測定し、投入した触媒中のNi、Co、およびFeの含有重量で除した値を平均化した。カーボンナノチューブの純度についてはガスクロマトグラフィーにより、水素ガス発生量とガス流量、触媒投入量から算出した。バッチ方式での反応では、カーボンナノチューブの純度が85%になる反応時間までの水素ガス発生量を測定し、連続方式では反応管の長軸方向へサンプリングノズルを移動させカーボンナノチューブの純度が85%になる位置での水素ガス発生量を測定した。ガス分析に用いたガスクロマトグラフィーはジーエルサイエンス(株)社製のAgilent490マイクロGCを用いた。
(c)カーボンナノチューブ粉末の評価用分散液の作製
カーボンナノチューブ粉末をイソプロピルアルコールに添加して周波数38W、出力120Wの超音波分散機で1時間分散させてカーボンナノチューブの0.1%分散液を作製した
(c−1)カーボンナノチューブ粉末のチューブ外径の幾何平均径及びチューブ外径の分布の幾何標準偏差の測定
カーボンナノチューブ粉末におけるチューブ外径の幾何平均径及びチューブ外径の分布の幾何標準偏差は、前記カーボンナノチューブの0.1%分散液を試料台にのせて乾燥させ、透過型顕微鏡(日本電子(株)社製 JEM−1200EXII型)により、2万倍で撮影した画像をA像くん(旭化成エンジニアリング(株)社製)で500点の繊維径(チューブ外径(D))を解析し、幾何平均径(M)と幾何標準偏差(σ)は、以下の式により求めた。
(c−2)カーボンナノチューブ粉末の易破断箇所の存在割合の測定
カーボンナノチューブ粉末の易破断箇所の存在割合は、前記カーボンナノチューブの0.1%分散液を試料台にのせて乾燥させ、透過型顕微鏡(日本電子(株)社製 JEM−1200EXII型)により、2万倍にて撮影した画像の目視観察により算出した。前記画像を100nm四方の区画に区切り、100nm四方の区画にカーボンナノチューブの占める面積が10〜80%である区画を300区画選択して、1区画中にくびれ部分が少なくとも1箇所存在する区画が300区画中に存在する割合をカーボンナノチューブ粉末の易破断箇所の存在割合とした。
(d)カーボンナノチューブ粉末の発熱ピーク温度(TDTA)の測定
示差熱分析には示差熱・熱重量分析装置(セイコーインスツル(株)社製TG/DTA6300)を用いて評価した。試料をアルミナパンに入れ、Air雰囲気で10℃/minにて温度を変化させ、その時の発熱、吸熱曲線を求めた。もっとも低温で検出した発熱温度を、カーボンナノチューブが分解を始める温度とし、発熱ピーク温度(TDTA)と規定した。
(e)カーボンナノチューブ粉末の結晶子サイズLc(002)の測定
カーボンナノチューブ粉末の結晶性については、X線回折装置(ブルカー・エイエックスエス(株)社製NEW D8 ADVANCE)を用い、カーボンナノチューブの(002)面の結晶子サイズ(Lc(002))を測定した。
(f)カーボンナノチューブ粉末のBET比表面積の測定
カーボンナノチューブ粉末のBET比表面積は、全自動比表面積計Macsorb model−1201((株)マウンテック製)を用いて測定した。
(g)カーボンナノチューブ粉末のDBP吸収量の測定
カーボンナノチューブ粉末のDBP吸収量は、JIS K6217−4に準拠して測定を行った。
(h)カーボンナノチューブ分散液中のカーボンナノチューブの動的光散乱粒子径(D50)の測定
カーボンナノチューブ分散液中でのカーボンナノチューブの挙動粒子径としての動的光散乱粒子径(D50)は、分散液を溶媒で40倍に希釈した後、動的光散乱式粒度分布測定装置(大塚電子(株)製 FPAR1000)を用いて測定した。
(i)カーボンナノチューブ分散液の粘度測定
カーボンナノチューブ分散液の粘度は、E型粘度計(東機産業(株)製TVE−35H)を用いて、ずり速度383s−1における粘度を測定した。
(j)カーボンナノチューブ分散液の塗膜評価
作製した分散液を、東洋紡(株)社製のコロナ処理を施した東洋紡エステルフィルムの表面に、テストコーター(RK Print Coat Instruments社製Kプリンティングプルーファー)にてバーコーターNo.4を用いて塗布し、乾燥させることで、カーボンナノチューブ分散液塗布シートを得た。このシートの表面抵抗を4端子4探針法の塗膜抵抗測定機(三菱化学アナリテック(株)社製MCP−PD51型)で測定した。膜厚測定にはAnritsu Electric Co.Ltd製のELECTRONIC MICROMETERを用いた。これらの表面抵抗と膜厚の積により塗膜抵抗を算出した。
(k)カーボンナノチューブ分散液の長期分散安定性評価
作製した分散液を2ヶ月間室温で静置した後、採取した分散液を溶媒で40倍に希釈した後、動的光散乱粒子径(D50)を、動的光散乱式粒度分布測定装置(大塚電子(株)製 FPAR1000)を用いて測定した。
以下の方法でカーボンナノチューブサンプルを合成した。
[サンプルA]
連続式ロータリーキルンにて、有効金属成分比率が71である金属酸化物粉末を触媒に用いて連続投入を行い、原料ガスを純メタンとして、生成速度が0.24g/minになる条件で、700℃で滞留時間3hr、CVD反応を行う事で、カーボンナノチューブを得た。そのカーボンナノチューブをハロゲンガスにて1000℃熱処理し、純度の高いカーボンナノチューブAを得た。
[サンプルB]
バッチロータリーキルンにて、有効金属成分比率が70である金属酸化物粉末を触媒に用い、原料ガスをLPGとして、生成速度が0.53g/minになる条件で、温度625℃で3hr、CVD反応を行う事で、カーボンナノチューブを得た。そのカーボンナノチューブをハロゲンガスにて1000℃熱処理し、純度の高いカーボンナノチューブBを得た。
[サンプルC]
バッチロータリーキルンにて、有効金属成分比率が70である金属酸化物粉末を触媒に用い、原料ガスをLPGとして、生成速度が0.53g/minになる条件で、温度625℃で3hr、CVD反応を行う事で、カーボンナノチューブを得た。そのカーボンナノチューブをハロゲンガスにて1000℃で熱処理し、その後大気中400℃で酸化処理を行うことによってカーボンナノチューブCを得た。
[サンプルD]
宇部興産(株)製のカーボンナノチューブ「AMC」。
[サンプルE]
Nanocyl s.a. 製のカーボンナノチューブ「NC7000」。
サンプルA〜Eのカーボンナノチューブの特性を表1に示す。
代表例として、カーボンナノチューブA、D、Eの透過型電子顕微鏡の写真を図1〜3に示す。
使用する原料ガスや、触媒中の有効金属成分の含有比率にもよるが、生成速度を抑えた条件で合成したカーボンナノチューブは、生成速度が大きい条件で合成したものと比べて、易破断箇所が多くなる傾向にある。
[実施例1]
チューブ外径幾何標準偏差σが1.37であるカーボンナノチューブAが10重量%、分散剤としてのポリビニルブチラール(PVB)(積水化学工業(株)製)がカーボンナノチューブに対して10重量%になるよう、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に投入し、超音波分散機SONIFIER MODEL450D(BRANSON製)を用いて、出力20Wで30分処理することによって、分散液中におけるカーボンナノチューブの動的光散乱粒子径(D50)が198nmで、粘度が44.1mPa・sであるカーボンナノチューブ分散液を得た。
[実施例2]
チューブ外径幾何標準偏差σが1.37であるカーボンナノチューブAが8重量%、分散剤としてのポリビニルピロリドン(PVP)((株)日本触媒製)がカーボンナノチューブに対して10重量%になるよう、NMPに投入し、超音波分散機SONIFIER MODEL450D(BRANSON製)を用いて、出力20Wで30分処理することによって、分散液中におけるカーボンナノチューブの動的光散乱粒子径(D50)が257nmで、粘度が76.8mPa・sであるカーボンナノチューブ分散液を得た。
[実施例3]
チューブ外径幾何標準偏差σが1.37であるカーボンナノチューブAが8重量%、分散剤としてのPVPがカーボンナノチューブに対して20重量%になるよう、NMPに投入し、超音波分散機SONIFIER MODEL450D(BRANSON製)を用いて、出力20Wで30分処理することによって、分散液中におけるカーボンナノチューブの動的光散乱粒子径(D50)が210nmで、粘度が45.2mPa・sであるカーボンナノチューブ分散液を得た。
[実施例4]
チューブ外径幾何標準偏差σが1.37であるカーボンナノチューブAが10重量%、分散剤としてのPVPがカーボンナノチューブに対して20重量%になるよう、NMPに投入し、超音波分散機SONIFIER MODEL450D(BRANSON製)を用いて、出力20Wで30分処理することによって、分散液中におけるカーボンナノチューブの動的光散乱粒子径(D50)が231nmで、粘度が95.4mPa・sであるカーボンナノチューブ分散液を得た。
[実施例5]
チューブ外径幾何標準偏差σが1.37であるカーボンナノチューブAが10重量%、分散剤としてのPVBがカーボンナノチューブに対して10重量%になるよう、NMPに投入し、超音波分散機SONIFIER MODEL450D(BRANSON製)を用いて、出力20Wで60分処理することによって、分散液中におけるカーボンナノチューブの動的光散乱粒子径(D50)が196nmで、粘度が67.7mPa・sであるカーボンナノチューブ分散液を得た。
[実施例6]
チューブ外径幾何標準偏差σが1.37であるカーボンナノチューブAが8重量%、分散剤としてのPVPがカーボンナノチューブに対して20重量%になるよう、NMPに投入し、超音波分散機SONIFIER MODEL450D(BRANSON製)を用いて、出力20Wで60分処理することによって、分散液中におけるカーボンナノチューブの動的光散乱粒子径(D50)が179nmで、粘度が44.2mPa・sであるカーボンナノチューブ分散液を得た。
[実施例7]
チューブ外径幾何標準偏差σが1.37であるカーボンナノチューブAが5重量%、分散剤としてのPVPがカーボンナノチューブに対して20重量%になるよう、NMPに投入し、超音波分散機SONIFIER MODEL450D(BRANSON製)を用いて、出力20Wで60分処理することによって、分散液中におけるカーボンナノチューブの動的光散乱粒子径(D50)が176nmで、粘度が12.3mPa・sであるカーボンナノチューブ分散液を得た。
[実施例8]
チューブ外径幾何標準偏差σが1.29であるカーボンナノチューブCが5重量%、分散剤としてのPVBがカーボンナノチューブに対して20重量%になるよう、NMPに投入し、超音波分散機SONIFIER MODEL450D(BRANSON製)を用いて、出力20Wで50分処理することによって、分散液中におけるカーボンナノチューブの動的光散乱粒子径(D50)が215nmで、粘度が21.7mPa・sであるカーボンナノチューブ分散液を得た。
[実施例9]
チューブ外径幾何標準偏差σが1.29であるカーボンナノチューブCが5重量%、分散剤としてのPVBがカーボンナノチューブに対して20重量%になるよう、NMPに投入し、超音波分散機SONIFIER MODEL450D(BRANSON製)を用いて、出力20Wで60分処理することによって、分散液中におけるカーボンナノチューブの動的光散乱粒子径(D50)が203nmで、粘度が24.0mPa・sであるカーボンナノチューブ分散液を得た。
[実施例10]
チューブ外径幾何標準偏差σが1.29であるカーボンナノチューブCが7重量%、分散剤としてのPVBがカーボンナノチューブに対して20重量%になるよう、NMPに投入し、超音波分散機SONIFIER MODEL450D(BRANSON製)を用いて、出力20Wで90分処理することによって、分散液中におけるカーボンナノチューブの動的光散乱粒子径(D50)が240nmで、粘度が76.0mPa・sであるカーボンナノチューブ分散液を得た。
[実施例11]
チューブ外径幾何標準偏差σが1.29であるカーボンナノチューブCが8重量%、分散剤としてのPVBがカーボンナノチューブに対して20重量%になるよう、NMPに投入し、超音波分散機SONIFIER MODEL450D(BRANSON製)を用いて、出力20Wで90分処理することによって、分散液中におけるカーボンナノチューブの動的光散乱粒子径(D50)が282nmで、粘度が109.0mPa・sであるカーボンナノチューブ分散液を得た。
[実施例12]
チューブ外径幾何標準偏差σが1.37であるカーボンナノチューブAが8重量%、分散剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)((株)ダイセル製)がカーボンナノチューブに対して20重量%になるよう、水に投入し、超音波分散機SONIFIER MODEL450D(BRANSON製)を用いて、出力20Wで30分処理することによって、分散液中におけるカーボンナノチューブの動的光散乱粒子径(D50)が306nmで、粘度が52.1mPa・sであるカーボンナノチューブ分散液を得た。
[実施例13]
チューブ外径幾何標準偏差σが1.37であるカーボンナノチューブAが9重量%、分散剤としてのCMCがカーボンナノチューブに対して20重量%になるよう、水に投入し、超音波分散機SONIFIER MODEL450D(BRANSON製)を用いて、出力20Wで30分処理することによって、分散液中におけるカーボンナノチューブの動的光散乱粒子径(D50)が310nmで、粘度が67.0mPa・sであるカーボンナノチューブ分散液を得た。
[実施例14]
チューブ外径幾何標準偏差σが1.37であるカーボンナノチューブAが10重量%、分散剤としてのCMCがカーボンナノチューブに対して20重量%になるよう、水に投入し、超音波分散機SONIFIER MODEL450D(BRANSON製)を用いて、出力20Wで30分処理することによって、分散液中におけるカーボンナノチューブの動的光散乱粒子径(D50)が315nmで、粘度が103.0mPa・sであるカーボンナノチューブ分散液を得た。
[比較例1]
チューブ外径幾何標準偏差σが1.29であるカーボンナノチューブEが5重量%、分散剤としてのPVBがカーボンナノチューブに対して20重量%になるよう、NMPに投入し、超音波分散機SONIFIER MODEL450D(BRANSON製)を用いて、出力20Wで90分処理したが、分散できずに半固形の塊になってしまった。
[比較例2]
チューブ外径幾何標準偏差σが1.29であるカーボンナノチューブCが7重量%、分散剤としてのPVBがカーボンナノチューブに対して20重量%になるよう、NMPに投入し、超音波分散機SONIFIER MODEL450D(BRANSON製)を用いて、出力20Wで45分処理することによって、分散液中におけるカーボンナノチューブの動的光散乱粒子径(D50)が732nmで、粘度が64.6mPa・sであるカーボンナノチューブ分散液を作製した。しかし、この分散液は静置しておくとカーボンナノチューブが凝集して沈降してしまった。
[比較例3]
チューブ外径幾何標準偏差σが1.29であるカーボンナノチューブCが7重量%、分散剤としてのPVBがカーボンナノチューブに対して20重量%になるよう、NMPに投入し、超音波分散機SONIFIER MODEL450D(BRANSON製)を用いて、出力20Wで60分処理することによって、分散液中におけるカーボンナノチューブの動的光散乱粒子径(D50)が768nmで、粘度が71.4mPa・sであるカーボンナノチューブ分散液を作製した。しかし、この分散液は静置しておくとカーボンナノチューブが凝集して沈降してしまった。
[比較例4]
チューブ外径幾何標準偏差σが1.29であるカーボンナノチューブCが8重量%、分散剤としてのPVBがカーボンナノチューブに対して20重量%になるよう、NMPに投入し、超音波分散機SONIFIER MODEL450D(BRANSON製)を用いて、出力20Wで30分処理することによって、分散液中におけるカーボンナノチューブの動的光散乱粒子径(D50)が458nmで、粘度が150.0mPa・sであるカーボンナノチューブ分散液を作製した。しかし、この分散液は静置しておくとカーボンナノチューブが凝集して沈降してしまった。
[比較例5]
チューブ外径幾何標準偏差σが1.29であるカーボンナノチューブCが8重量%、分散剤としてのPVBがカーボンナノチューブに対して20重量%になるよう、NMPに投入し、超音波分散機SONIFIER MODEL450D(BRANSON製)を用いて、出力20Wで45分処理することによって、分散液中におけるカーボンナノチューブの動的光散乱粒子径(D50)が470nmで、粘度が120.2mPa・sであるカーボンナノチューブ分散液を作製した。しかし、この分散液は静置しておくとカーボンナノチューブが凝集して沈降してしまった。
[比較例6]
チューブ外径幾何標準偏差σが1.29であるカーボンナノチューブCが8重量%、分散剤としてのPVBがカーボンナノチューブに対して20重量%になるよう、NMPに投入し、超音波分散機SONIFIER MODEL450D(BRANSON製)を用いて、出力20Wで60分処理することによって、分散液中におけるカーボンナノチューブの動的光散乱粒子径(D50)が497nmで、粘度が110.9mPa・sであるカーボンナノチューブ分散液を作製した。しかし、この分散液は静置しておくとカーボンナノチューブが凝集して沈降してしまった。
[比較例7]
チューブ外径幾何標準偏差σが1.24であるカーボンナノチューブBが5重量%、分散剤としてのPVBがカーボンナノチューブに対して20重量%になるよう、NMPに投入し、超音波分散機SONIFIER MODEL450D(BRANSON製)を用いて、出力20Wで50分処理することによって、分散液中におけるカーボンナノチューブの動的光散乱粒子径(D50)が309nmで、粘度が15.2mPa・sであるカーボンナノチューブ分散液を得た。
[比較例8]
チューブ外径幾何標準偏差σが1.24であるカーボンナノチューブBが5重量%、分散剤としてのPVBがカーボンナノチューブに対して20重量%になるよう、NMPに投入し、超音波分散機SONIFIER MODEL450D(BRANSON製)を用いて、出力20Wで60分処理することによって、分散液中におけるカーボンナノチューブの動的光散乱粒子径(D50)が223nmで、粘度が19.57mPa・sであるカーボンナノチューブ分散液を得た。
[比較例9]
チューブ外径幾何標準偏差σが1.23であるカーボンナノチューブDが5重量%、分散剤としてのPVBがカーボンナノチューブに対して20重量%になるよう、NMPに投入し、超音波分散機SONIFIER MODEL450D(BRANSON製)を用いて、出力20Wで10分処理することによって、分散液中におけるカーボンナノチューブの動的光散乱粒子径(D50)が265nmで、粘度が41.3mPa・sであるカーボンナノチューブ分散液を得た。
実施例1〜14および比較例1〜9の分散液の作製および評価結果を表2に示す。溶媒や分散剤にもよるが、溶媒としてNMPを使用した場合、動的光散乱粒子径(D50)が小さい方が塗膜抵抗が低い傾向が見られた。
チューブ外径幾何標準偏差(σ)が異なる以外は同じ条件で分散液を作製した実施例8と比較例7とを比べると、チューブ外径幾何標準偏差(σ)が1.29と分布が広いカーボンナノチューブを使用した実施例8の方の塗膜抵抗は比較例7の約半分であった。
溶媒に水を使用した実施例12〜14は、動的光散乱粒子径(D50)がNMPに比べると高い傾向にあるが、塗膜抵抗の結果は良好であった。
実施例1〜6のカーボンナノチューブ分散液について、長期分散安定性を評価した。結果を表3に示す。
カーボンナノチューブ濃度が8〜10重量%と高濃度で、かつ粘度が100mPa.s以下と低粘度であるにも関わらず、2ヵ月後の動的光散乱粒子径(D50)は400nmをはるかに下回っており、分散状態を維持していた。
[実施例15]
チューブ外径幾何標準偏差σが1.37であるカーボンナノチューブAが20重量%、分散剤としてのPVBがカーボンナノチューブに対して30重量%になるよう、NMPに投入し、超音波分散機SONIFIER MODEL450D(BRANSON製)を用いて、出力20Wで50分処理することによって、滑らかなペースト状のカーボンナノチューブ分散液を得た。前記ペーストを塗膜化したところ、筋引きなどの凹凸のないシートを得ることができた。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液は、分散性、分散安定性が高いため、他の成分と混合しても容易に分散でき、複合材料、半導体素子など様々な分野での適用や蓄電ディバイスの材料としても好適である。
1 平行部分のチューブ外径
2 くびれ部分のチューブ外径

Claims (8)

  1. カーボンナノチューブと、分散剤と、分散媒とを含むカーボンナノチューブ分散液であって、該カーボンナノチューブのチューブ外径の分布の幾何標準偏差(σ)が1.25〜1.70であり、該カーボンナノチューブの動的光散乱法による平均粒子径(D50)が176〜400nmであり、該カーボンナノチューブのチューブ外径の幾何平均径(M )が、5nm〜30nmであり、該カーボンナノチューブが、カーボンナノチューブのウォールに平行部分と平行部分のチューブ外径に対して90%以下のチューブ外径であるくびれ部分とを有し、該カーボンナノチューブの0.1%分散液を作製し、その分散液を試料台にのせて乾燥させ、透過型電子顕微鏡で2万倍にて撮影した画像を100nm四方の区画に区切り、100nm四方の区画にカーボンナノチューブの占める面積が10%〜80%である区画を300区画選択した際に、1区画中にくびれ部分が少なくとも1箇所存在する区画が300区画中に40%以上存在することを特徴とするカーボンナノチューブ分散液。
  2. 前記カーボンナノチューブのフタル酸ジブチル(DBP)吸収量が150ml/100g以上400ml/100g以下である請求項1に記載のカーボンナノチューブ分散液。
  3. 前記カーボンナノチューブの示差熱分析の発熱ピーク温度(TDTA)が530℃以上である請求項1又は2のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ分散液。
  4. 前記カーボンナノチューブの(002)面の結晶子サイズLc(002)が30Å以上100Å以下である請求項1〜のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ分散液。
  5. 前記カーボンナノチューブ分散液のずり速度383s−1で測定される粘度が5mPa・s以上300mPa・s以下である請求項1〜のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ分散液。
  6. 前記カーボンナノチューブの含有量が30重量%以下である請求項1〜のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ分散液。
  7. 前記カーボンナノチューブの含有量が3重量%以上である請求項1〜のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ分散液。
  8. 前記分散剤の含有量が前記カーボンナノチューブに対して50重量%以下である請求項1〜のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ分散液。
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