JP2019536210A - リチウムイオン電池用アノード材料 - Google Patents

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Abstract

リチウムイオン電池用アノード活物質又は他の電気化学装置を開示する。この材料は、Fe−Al−Li−Oの粒子を含み、Feが少なくとも10重量%〜多くとも90重量%の量で存在し、Alが少なくとも0.1重量%〜多くとも90重量%の量で存在し、任意にLiが0重量%以上の量で存在し、ここで、重量%は、Fe−Al−Li−Oの粒子の総質量に対して表される。また、前記粒子がコア粒子であり、前記カーボンナノチューブが前記コア粒子に一端で固定されているナノ構造も開示する。当該ナノ構造の製造方法を、リチウムイオン電池のための当該ナノ構造を処理する方法と共に記載する。

Description

本発明に至る研究は、欧州連合の第7次フレームワークプログラム(FP7/2007−2013)/ERC助成金契約番号337739の下で欧州研究評議会から資金提供を受けている。
発明の分野
本発明は、リチウムイオン電池用のアノード材料として特に(ただし必ずしも排他的ではない)興味をもたれている材料及びそれらの製造及び処理方法に関する。また、本発明は、リチウムイオン電池及びそれらの動作方法に関するものでもある。
関連技術
この技術分野の背景として、特にGlaize&Genies(2013)に記載された論評を参照する。その開示の一部を、本発明の開示のために以下に示す。
リチウムイオン(Liイオン)電池は、一般的に使用されているタイプの充電式電池で、2010年には世界市場が110億ドルと推定され、2020年までに500億ドルまで成長すると予測されている。この巨大な市場は、多数の用途に分けられている:
・ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)及び全ての電気自動車(Ev)
・ツール、ロボット工学、電動自転車、車椅子を含めたパワーエレクトロニクス
・携帯電話及びタブレット、連結対象物などの家電製品
・自律型及び系統連系エネルギーシステムのための蓄電
・電池を使用して自律型オンボードグリッドを与える航空宇宙
・補綴インプラント用の専用電池、例えば微細加工/3Dプリントのフレキシブル電池。
リチウムイオン電池の主な販路は、販売台数と売上高の両方の観点から家電である。電気自動車は、予測どおりに開発されれば、最終的には優勢な市場になるであろう。
これらの用途のそれぞれは、電池性能に関して非常に異なる要件を有する。例えば、電気自動車の電池は、大きな加速電流を劣化することなく供給して自動車の加速段階を維持する必要があるのに対して、家庭用電化製品の電池は、むしろ、屈曲能力、折り畳み能力又は引き伸し能力により恩恵を受けると考えられる。最終的に、これらの特定の要件は、特に充放電中にリチウムイオンを貯蔵する電気化学的に活性な材料の選択に関して、電池設計の観点で異なる技術的選択に至る。このため、1つの技術(例えばシリコンアノード)は、市場全体を支配することはできない。むしろ、電池技術は、いくつかの測定基準に基づいてどれほどうまく機能するかに照らして検討される必要があり、それらの組み合わせは、最終的に1つの技術に、1つの特定の用途に対する競争上の優位性を与える。例を表1に示す。以下、これらの測定基準について説明する。
典型的なリチウムイオン電池は、直列又は並列に接続された複数のセルから構成される。個々のセルは、通常、リチウムイオン輸送を可能にする液体(電解質と呼ばれる)に浸された多孔質の電気絶縁膜(セパレータと呼ばれる)によって分離されたアノード(負極)とカソード(正極)から構成される。
ほとんどの系では、電極は、電気化学的に活性な材料(これは、制御された方法でリチウムイオンと化学的に反応して可逆的に吸蔵及び放出することができることを意味する)と導電性添加剤(グラファイトカーボンなど)及び高分子バインダーとを混合したものから構成される。このスラリーを、集電体(典型的には銅又はアルミニウムの薄箔、又は新たな用途ではカーボンナノチューブマット)上に薄膜として被覆することによって電極を形成する。
公知のLiイオン電池技術において、グラファイトアノードの低い理論容量(約370mA/g-1)は、高出力エレクトロニクス、自動車及び産業におけるその応用にとって重大な障害である。近年提案された可能性のある広範囲の代替物のうち、Si、Mxy及びFexyは、選択される活物質としてグラファイトに取って代わる主な候補である。Siは、グラファイトよりも約10倍大きい理論容量を有するが、その劇的な体積膨張(最大約400%)により高出力用途が厳しく制限される。この問題は、炭素被覆によって部分的に対処できるが[Liu外(2014)]、これらを大規模に実施することは依然として問題がある。同様に、金属硫化物(Mxy)電極は、その高い理論容量にもかかわらず、容積膨張のみならず、電池の電解質中において充放電の間に形成されるポリスルフィドの溶解[Liang外(2015)]の問題がある。一方、Fexy−ナノカーボン[Tuek外(2014)]は、グラファイトよりも容量が大きく(600〜1000mAh/g、又は600〜800mAh/g持続)、高速での容量保持が良好であり、環境に優しく、耐食性が高く、低コストで、不燃性であり、また安全性が高いため、有望なアノード材料プラットフォームとして浮上してきている。しかしながら、Loeffler外(2015)で説明されているように、Fexy系のアノードには、変換又は変換合金化を介して動作するといういくつかの欠点がある。
Ren外(2015)は、CoFe24二元系金属酸化物粒子を有する炭素繊維の複合材料の形成を報告した。リチウムイオン電池用のアノード材料としてのこの材料の性能が調査された。20サイクル後、Ren外(2015)に報告されている容量は400mAh/gである。候補アノード材料の性能におけるさらなる改善が望まれる。
Tuek外(2014)及びRen外(2015)は、2つの変換電池の例である。すなわち、リチウムイオンの吸蔵及び放出につながる化学的メカニズムは変換反応である。変換メカニズムは、一般的に次のように説明できる:TMxy+ze-+zLi+→xTM(0)+Lizy、ここで、
TMは遷移金属であり、TM(0)は元素形態を指す。電池を充電すると、リチウムイオンが拡散し反応してこれらの材料になり、TM(0)のナノスケールの金属ドメインが形成され、Lizyの非晶質マトリックスに埋め込まれる。電池の放電中には反応が逆になる。
変換アノードは最近次世代アノードとしてブランド化されている[Loeffler外(2015)]。Loeffler外(2015)で説明されているように、変換材料の魅力的な特徴は、任意の挿入化合物(最大2種)よりも多くの当量のリチウム(出発材料の単位式あたり2〜8種)を保存できることであり、それによって比容量が比較的高くなる。しかしながら、変換材料は、商業的用途を真剣に考慮する前に必然的に克服する必要がある一連の深刻な欠点を示す[Cabana外(2010)]。これらの欠点はLoeffler外(2015)でも説明されている。変換反応は、本質的に大規模な構造的再編成を引き起こし、それによって潜在的に電気的接点の損失及び電極の粉砕をもたらす。さらに、変換材料は、一般的に使用される電解質に対する非常に高い反応性及び著しい(放)充電電圧ヒステリシスの問題があり、このような電極のエネルギー貯蔵効率にかなりの影響を及ぼす。多くの変換材料の高い作動電位も達成可能なエネルギー密度を制限し、そして大きな第一サイクル不可逆容量は実用的な用途には許容できないと考えられる。
電極粉砕とは、充電及び放電サイクル後の電極の機械的完全性の喪失をいう。活物質のリチウム化及び脱リチウム化の際に、活物質は膨張及び収縮し、最終的に構造的損傷を招きかねない内部応力を生じさせる。
EP−A−0825153には、Liイオン電池用のカソード活性材料が記載されている。一実施形態では、カソード活物質はLi0.95Fe0.95Al0.052である。
欧州特許出願公開第0825153号明細書 米国特許第8,628,747号明細書
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発明の概要
本発明者は、Fexy−ナノカーボン構造体が、リチウムイオン電池用の新規アノード材料を開発するために特に有利な基礎となることを認識した。本発明は、公知のナノ構造材料をリチウムイオン電池用アノード材料として使用することができるという認識に基づいて考案された。本発明のさらなる開発は、新規材料を形成するための材料の改変に対するさらなる洞察、及びこのような材料に対するさらなる用途の開発に基づく。
米国特許第8,628,747号には、カーボンナノチューブ(CNT)を大規模製造するためのCVDプロセスが記載されている。まず、水、硝酸鉄及び硝酸アルミニウムからなる溶液を噴霧し、続いて水素中において約1000℃の炉内で加熱することにより自由浮遊金属硝酸塩粒子の熱分解変換を実施することによる噴霧熱分解によって金属複合Fe−Al粒子を生成する。次いで、エアロゾル(自由浮遊)金属複合粒子を、好適な熱反応器内で、不活性キャリアガス及び水素と共に約750℃で好適な炭化水素化合物(例えば、アセチレン)と反応させて、金属複合粒子の表面上におけるCNTの成長を促進させる。本発明者は、粒子を自由に浮遊させることが、粒子を懸濁/エアロゾル化した状態に維持するためにキャリアガス/H2/前駆体ガスの非常に大きな流量を使用する必要があることを意味すると考える。これは高価であり、反応器中の滞留時間を制限するという不利益がある。
得られたナノ構造は、Fe−Al−Oのコア粒子を有し、該コア粒子の表面にはCNTのアレイが固定されている。これらの特定の形態のため、これらのナノ構造は学術文献及び米国特許第8,628,747号において「ウニ」構造を有すると言及されている。
本発明者の知る限りでは、これらのFe−Al−O/CNTウニナノ構造の提案された用途は、これまでカーボンナノチューブの大規模製造[Kim外(2011)]、ナノ流体冷却添加剤[Han外(2007)]、太陽電池[Park外(2010)]及びテルミット材料[Kim外(2014)]に限定されていた。
本発明は、上記問題の少なくとも1つに解決するためになされたものである。好ましくは、本発明は上記の問題の少なくとも一つを軽減、改善、回避又は克服する。
したがって、第1の好ましい態様において、本発明は、アノードと、カソードと、電解質とを含む電気化学装置であって、該アノード及び/又は該カソードは、コア粒子及びカーボンナノチューブを含む活物質を含み、該コア粒子は該装置中で電気化学的に活性であり、該コア粒子上にカーボンナノチューブが固定されてナノ構造が形成されている電気化学装置を提供する。
第2の好ましい態様において、本発明は、Fe−Al−Li−Oの粒子を含むリチウムイオン電池用アノード活物質であって、Feが少なくとも10重量%〜多くとも約90重量%の量で存在し、Alが少なくとも0.1重量%〜多くとも90重量%の量で存在し、任意にLiが0重量%以上の量で存在し、ここで重量%はFe−Al−Li−Oの粒子の総質量に対して表されるリチウムイオン電池用アノード活物質を提供する。
第3の好ましい態様において、本発明は、アノードと、カソードと、電解質とを含むリチウムイオン電池であって、(i)該リチウムイオン電池は第1の態様に係る電気化学装置を含み、又は(ii)前記アノードが第2の態様に係るアノード活物質を含むリチウムイオン電池を提供する。
第4の好ましい態様において、本発明は、第2の態様に係るアノード活物質の、リチウムイオン電池の充電及び放電のためのリチウムイオン電池のアノードにおける、カソード及び電解質と併せた使用を提供する。
第5の好ましい態様において、本発明は、リチウムイオン電池用アノード活物質の処理方法であって、
Fe−Al−Li−Oの粒子を含む材料を準備し、ここで、Feが少なくとも10重量%〜多くとも90重量%の量で存在し、Alが少なくとも0.1重量%〜多くとも90重量%の量で存在し、任意にLiが0重量%以上の量で存在し、ここで重量%はFe−Al−Li−Oの粒子の総質量に対して表され;
前記粒子中にリチウムイオンを拡散させ、それによって変換反応及び/又は変換合金化反応を介して酸化リチウム及び金属鉄を形成させること
を含む方法。
第6の好ましい態様において、本発明は、Fe−Al−Li−Oの粒子及びカーボンナノチューブを含む材料の層であって、Feが少なくとも10重量%〜多くとも90重量%の量で存在し、Alが少なくとも0.1重量%〜多くとも90重量%の量で存在し、任意にLiが0重量%以上の量で存在し、ここで重量%は該Fe−Al−Li−Oの粒子の総質量に対して表され、該Fe−Al−Li−Oの粒子はコア粒子であり、該カーボンナノチューブは該コア粒子上の一端で固定されてナノ構造が形成されている層を提供する。
第7の好ましい態様において、本発明は、コア粒子及びカーボンナノチューブを含むナノ構造の製造方法であって、該カーボンナノチューブは該コア粒子上の一端に固定されており、該方法は、
少なくとも1種の金属塩及び可燃性成分の溶液を準備し;
該溶液を噴霧乾燥して、該少なくとも1種の金属塩と該可燃性成分とを含む前駆体粒子を形成し;
該前駆体粒子を燃焼熱処理して該可燃性成分を燃焼させ、該少なくとも1種の金属塩を金属酸化物、金属、又は金属と金属酸化物の混合物に変換し、それによってコア粒子を形成し;及び
該コア粒子をカーボンナノチューブ成長条件に供して、該コア粒子から該カーボンナノチューブを成長させ、それによってナノ構造を形成すること
を含む方法を提供する。
本発明の第1、第2、第3、第4、第5、第6及び/又は第7の態様は、以下の任意の特徴のうちの任意の1つ、又はそれらが適合する限りにおいて任意の組み合わせを有することができる。
好ましくは、カーボンナノチューブはコア粒子から成長する。カーボンナノチューブは、例えば、コアに共有結合していてもよい。コア粒子はコア粒子から延在する突起を有してもよく、突起はコア粒子と一体的に形成され、それぞれの突起はそれぞれのカーボンナノチューブに突出してカーボンナノチューブをコアに対して固定する。なお、この配置は、コア粒子がコア粒子の表面に配置された不均一触媒粒子を有し、かつ、CNTがそれらの触媒粒子から成長する状況とは異なる。この場合、触媒粒子はコアと一体化していない。これらの状況間の相違は、電気化学的活物質に関連して考慮できる。本発明の好ましい実施の形態においては、コア粒子は、一体的な突起を含めて、電気化学的活物質から形成される。
好ましくは、Alは少なくとも5重量%の量で存在する。さらに、好ましくは、Alは多くとも70重量%の量で存在する。Alの量は、以下でさらに詳細に説明するように、コア粒子表面でのCNTの適切な配列の形成を促進するために選択される。
好ましくは、Liは、Fe−Al−Li−Oの粒子中において少なくとも0.1重量%の量で存在する。Liイオン電池に関しては、例えば、Liイオン電池を充電及び/又は放電するためにアノード活物質が使用されている状態が存在するであろう。さらに、充電中に起こる変換反応及び/又は変換合金化の観点から、コア粒子は酸化リチウム及び金属鉄を含むことが好ましい。
アノード活物質は、導電性添加剤をさらに含んでいてもよい。導電性添加剤は、好ましくは元素炭素を含む。例えば、導電性添加剤はカーボンナノチューブを含むことができる。特に好ましい実施形態では、Fe−Al−Li−Oの粒子はコア粒子であり、カーボンナノチューブはコア粒子上の一端で固定されてナノ構造を形成する。ナノ構造体を注意深く検査すると分かるように、カーボンナノチューブはコアから成長することが好ましい。
コア粒子は、1m2当たり平均して少なくとも1011個のカーボンナノチューブがコア粒子上に固定されていてもよい。コア粒子は、1m2当たり平均して多くとも1017個のカーボンナノチューブがコア粒子上に固定されていてもよい。これらの値は、コア粒子(存在する場合、空隙率を含まない)の表面積を決定するためにコア粒子の直径を評価し、そして固定されたカーボンナノチューブをカウントすることによるナノ構造のSEM検査によって決定できる。
アノード活物質は、コア粒子とカーボンナノチューブとの総重量で表して、少なくとも0.1重量%のカーボンナノチューブを含むことができる。アノード活物質は、コア粒子とカーボンナノチューブとの総重量で表して、99重量%以下のカーボンナノチューブを含むことができる。材料に対するカーボンナノチューブ含有量の利点を以下において詳細に説明する。
粒子は、30nm〜50μmの範囲の直径を有することができる。この範囲内で、この材料は、特にLiイオン電池用活物質として好適な性能を付与することが分かった。粒子は、30nm〜10μmの範囲の直径を有することがさらに好ましい。
粒子は、非晶質Al−Fe−Oマトリックスを含むことができる。さらに、非晶質Al−Fe−Oマトリックス中にAl−Fe−O微結晶が埋め込まれていてもよい。Al−Fe−O微結晶は、マグネタイトへのヘルシナイトの固溶体を含むことができる。カーボンナノチューブがコア粒子に固定されている場合には、カーボンナノチューブは、Al−Fe−O微結晶でコア粒子に結合していることが好ましい。理論によって限定されることを望むものではないが、本発明者は、Al−Fe−O微結晶がカーボンナノチューブの核形成及び成長部位を与えると考える。
アノード活物質は、半セル中においてLi/Li+に対して測定したときに、多くとも1.8Vの平均放電電位を有することが好ましい。
好ましくは、本発明の第3の態様における材料の使用中において、充電の間にリチウムイオンが粒子中に拡散し、そして酸化リチウム及び金属鉄が形成される変換反応及び/又は変換合金化反応が起こる。
容量、速度能力、サイクル性(すなわち耐久性)、安全性、コストは、変換アノードを使用することによって潜在的に改善できる。しかしながら、上記のように、今までのところ根本的な問題が商業システムにおける変換アノードの使用を妨げてきた。本発明者は、これから説明するように、本発明の好ましい実施形態がこれらの問題を解決すると考える。
変換アノードに存在すると考えられてきた問題の一つは、電気的接触の喪失及び電極粉砕である。理論によって限定されることを望むものではないが、本発明者は、ウニ構造がカーボンナノチューブのいわゆる緩衝効果を促進すると考える。これは、硬質のカーボンナノチューブが活物質粒子の完全性を維持するのを助ける構造的強化として作用することを意味する。また、ウニ構造から生じるカーボンナノチューブネットワークの性質(各活性コアは本質的にネットワークのノードである)は、電池動作中に電子やリチウムイオンにアクセスできなくなる可能性がある活性材料の割合を制限する。さらに、活物質に生じる体積膨張/構造変化は、Al−Fe−O合金の使用によって根本的に緩和され、Al−Fe−O粒子及び完全なAl−Fe−Oウニ構造の両方について電極粉砕が制限されるように思われる。
変換アノードに存在すると考えられてきた別の問題は、一般的に使用される電解質に対して認識される高い反応性である。しかしながら、本発明の好ましい実施形態では、Al−Fe−O合金は電解質と安定な固体電解質相間(SEI)を形成し、安定した電池動作を確保すると考えられる。
変換アノードに存在すると考えられてきたさらなる問題は、顕著な(放電)充電電圧ヒステリシスである。これはウニ構造によって解決される。ウニ構造から生じるカーボンナノチューブネットワークの性質は、各活性コアが本質的にネットワークのノードであることである。これにより、電池動作中に電子又はリチウムイオンにアクセスできなくなる可能性がある活物質の割合が制限される。
達成可能なエネルギー密度を制限するとも考えられている多くの変換材料の高い動作電位に関して、この問題はコア粒子の組成によって解決されると考えられる。さらに、現在、高電圧カソードが利用可能である。
Al−Fe−O合金は、純粋な酸化鉄系電極よりも高い速度(高電流密度充放電)及び寿命(サイクル数)を可能にすると考えられる。現在のところ、これはAlの安定化効果によるものと考えられる。
ウニ構造に由来するカーボンナノチューブネットワークの性質(各活性コアは本質的にネットワークのノードである)は、良好な電極導電性を確保し、高電流率での良好な電池性能に寄与する。
同様に、ウニ構造から生じるカーボンナノチューブネットワークの性質(それぞれの活性コアは本質的にネットワークのノードである)は、良好な電極熱伝導率を確保し、電池熱管理及び最終的には電池安全性の強化に寄与する。
第6の態様に係る材料の層は自己支持可能とすることができる。例えば、材料の層は、支持基板の存在なしに層上で測定して少なくとも1MPaの引張強度を有することができる。
上記第7の態様に係る方法では、前駆体粒子を、500℃以下の温度に設定された炉内で燃焼熱処理することが好ましい。より好ましくは、前駆体粒子を、400℃以下、300℃以下又は250℃以下の温度に設定された炉内で燃焼熱処理する。
好ましくは、前駆体粒子は、炉内で燃焼熱処理固体基板上に一緒に支持されている。いくつかの実施形態では、固体基板は移動、例えば回転してもよい。その結果、粒子はある程度まで流動することがある。しかしながら、プロセスのこの段階における前駆体粒子は自由浮遊性ではない。
同様に、好ましくは、コア粒子は、カーボンナノチューブ成長中にカーボンナノチューブ成長固体基板上に一緒に支持される。いくつかの実施形態では、固体基板は移動、例えば回転してもよい。その結果、コア粒子はある程度まで流動することがある。しかしながら、プロセスのこの段階におけるコア粒子は自由浮遊性ではない。
コア粒子は、可燃性成分の乾燥中又は燃焼中に発生する1以上の空隙を含む。粒子全体に広がる直径約1nmのナノ細孔/ナノチャネルのネットワークが得られることができる。それに加えて又はその代わりに、各シェルについて約10〜100nmの厚さを有する中空/マルチシェル粒子が存在してもよく、粒子の残りは中空である。
可燃性成分は、溶液に可溶性の炭素系材料とすることができる。例えば、可燃性成分は、スクロース又はマルトデキストリンなどの炭水化物材料である。
本発明のさらなる任意の特徴を以下に記載する。
「Fe−Al−Li−O」という表現は、Fe、Al、O及び任意にLiを含む組成物を示すことを意図する。他の元素の存在は必ずしも排除されない。しかしながら、いくつかの好ましい実施形態では、表現「Fe−Al−Li−O」とは、Fe、Al、O及び任意にLi、並びに任意に不可避的不純物を含めて10重量%までの追加成分からなる組成物をいう場合がある。
以下、添付の図面を参照しながら本発明の実施形態を例示的に説明する。
図1DはCNTSU合成及び特性評価のための実験装置を示し、図1Aはシリカゲル乾燥器の下流で集められた塩ナノ粒子のSEM画像を示し、図1Bは炉1の下流で集められたバイメタルナノ粒子のSEM画像を示し、図1Cは炉2の下流で集められたCNTSUを示す。 図2A、2B及び2Cは、(図2A)粒子移動度粒度分布測定、(図2B)固定粒子移動度に対する粒子質量測定、(図2C)さらなるCNT成長のための熱泳動粒子収集又は現場外特性評価を示す。 図3A〜3Fは、炉2の下流で収集されたコアのXRD特性評価を示す。図3Aは生データ及びピーク位置を示し、図3Bはピーク1を示し、図3Cはピーク2を示し、図3Dはピーク3を示し、図3Eはピーク4を示す。生データは最も細い線として示され、計算されたデータは中程度の太線で示され、バックグラウンドデータは最も太い線で示されている。垂直線は、磁鉄鉱(短い鎖線)、本発明のサンプル(中程度の鎖線)、及びヘルシナイト(長い鎖線)のピーク位置及び相対強度に想到する。dSとは、微結晶のScherrerサイズをいい、xHとは、ベガードの法則に従う固溶体中のヘルシナイトの割合をいう。 図4A〜4Cは、炉2の下流で収集されたコアのXPS特性評価の結果を示す。C2sを参照すると、測定前の短いAr+エッチングはシフトした。図4AはFe2p領域、図4BはAl2p領域、図4CはO1s領域を示す。生データは各グラフ中において一番上のラインに示されており、他の全てのピーク及びバックグラウンドを本文に記載された方法に従って適合させた。 図5A〜5Kは、次の様々なSEM画像を示す:図5A:アセチレン流量C22=5sccm及び炉温度T2=750℃で第2炉114の下流で収集された直径200nmのコアCNTSU。図5B:C22=5sccm、T2=800℃。図5C:C22=5sccm、T2=1000℃。図5D:C22=50sccm、T2=750℃。図5E:C22=50sccm、T2=800℃。図5F:C22=50sccm、T2=1000℃。図5G:C22=30sccm、T2=800℃(公称条件)。図5H:個々の基板成長CNTSUのSEM画像。図5I:第1炉110の下流でシリコンウエハ上に熱泳動的に堆積されたコア。図5J:CVD炉内で20分間CNT成長させた後の図5Iと同じウエハ。図5K:(図5I)と同じ収集時間で第2炉114の下流でシリコンウエハ上に熱泳動的に堆積された気相合成CNTSU。 図6Aは、アセチレン及びCNTSUを含まない第2炉114の下流のコアのSMPSサイズ分布を示す。図6Bは、CPMAを使用して測定された、アセチレン及びCNTSUを含まない第2炉114の下流のコアについての質量移動度当量直径関係を示す。 図7は個々のCNTSUのSEM画像を示す。 図8は、CNTを含まない、個々のコア粒子のSEM画像を示す。 図9は、EDX特性評価を実施した個々のCNTSUのSEM画像を示す。 図10a〜図10dは、CNTSU構造についてのCNTとコアとの界面のTEM画像を示す。 図11はCNTSUフィルムのSEM画像を示す。 図12は、銅集電体上にCNTSU、PVDF、及びNMPを用いて製造された電池電極のSEM画像を示す。 図13はCNTSUのTGAデータを示す。 図14は本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池の概略断面図を示す。 図15はCNTSUのコア及びカーボンナノチューブの概略図を示す。 図16Aは個々のナノ構造の概略図を示し、図16Bは当該ナノ構造のSEM画像を示す。図16Cはナノ構造の組立体から形成されたナノ構造フィルムの概略図を示し、図16Dは当該ナノ構造フィルムのSEM画像を示す。 図17は、50mA/gでの(FexAl1-xy)−MWCNT電極の定電流充放電プロファイルを示す。 図18は(FexAl1-xy)−MWCNT電極の定電流サイクルを示す。 は電位1.0V対Li+/Liでのサイクルボルタンメトリーを示す。 図20は、全セル:(FexAl1-xy)−MWCNT/LNCO(リチウムニッケルコバルト酸化物)の定電流充放電プロファイルを示す。 図21は、MWCNTと物理的に混合されたFexAl1-xyのコア粒子から形成された電極についての定電流充放電プロファイルを示す。 図22は、2種の電池(A及びB)をいくつかの性能測定基準について比較するためのウェブ型図の一例である。 図23は、本発明の実施形態と従来のグラファイト系リチウムイオン電池及び典型的なナノ構造のシリコン系リチウムイオン電池とを、いくつかの性能測定基準について定性的に比較したものである。 図24a〜24eは、図3で報告したサンプルについて、図24a:サンプルのSEM画像図、図24b〜24d:それぞれO、Fe及びAlについてのEDX元素マップ、図24e:EDXスペクトルを示す。 図25は、本発明の好ましい実施形態に係るアノードを製造するための好適な実験室規模プロセスを示す。 図26はCNTSUを製造するためのさらなるプロセスを示す図である。 図27は、CNT内に延在するコア粒子の一体的な突起を介したCNTのコア粒子への固定の概略図を示す。1個のみのCNTが示されているが、典型的なCNTSUは、多数のCNTがコア粒子に固定されていることが分かるであろう。 図28は、改変方法を使用して形成された噴霧乾燥未燃焼粒子(段階1の後)のSEM画像を示す。 図29は、図28の未燃焼粒子に基づいてFe−Al−Oから形成された燃焼粒子(段階2の後)のSEM画像を示す。 図30は、図29の粒子を使用して形成されたCNTSU(段階3の後)の異なる倍率でのSEM画像を示す。 図31は、図29の粒子を使用して形成されたCNTSU(段階3の後)の異なる倍率でのSEM画像を示す。 図32は、図29のCNTSUについて、半セル構成の定電流サイクリングの結果を示す。 図33は、図29のCNTSUについて、半セル構成のサイクリックボルタンメトリーの結果を示す。 図34は、CNTSUのTGA結果を示す。太線は初期重量の割合(左軸)を示す。細線は相対重量変化率(右軸[%/℃])を示す。 図35は、様々なFe/Al比、様々なO含有量及び様々なCNT含有量(8wt%)で形成されたCNTSUを用いた半セル構成についての定電流サイクルの結果を示す。 図36は、ZnFe24コアを有するウニ構造のSEM画像を示す。 図37は、ZnFe24コアを有するウニ構造のSEM画像を示す。 図38は、ZnFe24コアを有するCNTSUを用いた半セル構成についての定電流サイクルの結果を示す。 図39は、ZnFe24コアを有するCNTSUを用いた半セル構成についてのサイクルボルタンメトリーの結果を示す。 図40は、NCAコアを有するウニ構造のSEM画像を示す。 図41は、NCAコアを有するウニ構造のSEM画像を示す。 図42は、NCAコアを有するウニ構造のSEM画像を示す。
好ましい実施形態及び本発明のさらなる任意の特徴の詳細な説明
上記のように、電池技術を、いくつかの測定基準でどれほどうまく機能するかに照らして考慮することが好ましい。それらの組み合わせは最終的に1つの技術に1つの特定の用途に対する競争上の優位性を与える。例を表1に示す。これはGlaize及びGenies(2013)から引用したものである。
表1:特定の用途の貯蔵要件の例
異なる電池の性能を比較する内容をさらによく理解するために、電池技術に関するいくつかの用語をここで説明する。これもGlaize及びGenies(2013)から引用したものである。
エネルギー密度
電池に蓄えられる総エネルギーは、その容量とその電圧の積である。これはキロワット時(kWh)で表される。アンペア・時間Ah(クーロンCと同じ大きさ)で表される容量は、電池がリチウムイオンの形態の活物質に蓄えることができる電荷の量である。ボルト(V)で表される電圧とは、アノードとカソードとの間の電位差をいう。これは、リチウムイオンが一方の電極から他方の電極に移動するのを可能にする駆動力である。
総貯蔵エネルギーと供給可能エネルギーとは区別されなければならず、消費者にとって重要な量である。電池システムには避けられない損失(電気的に完全にアクセスできない活物質の貧弱な導電性など)があり、実際には活物質/電解質が不可逆的に劣化することなく維持できるリチウム化/脱リチウム化のレベルには制限がある。言い換えれば、充電及び放電の深さを積極的に制限すべきである。供給可能なエネルギー密度は、動作電流、許容される放電深度、温度、及び電池の目標サイクル寿命に依存する。定義によれば、電池の全エネルギーは電池の動作条件には依存しないが、供給可能なエネルギーは依存する。これが、正確に定義された動作条件の文脈のもとで電池のエネルギー密度を記載すべき理由である。しかし、これは、多くの場合、既存の電池メーカーのWebサイト又は媒体に掲載されている数値には当てはまらず、一般的な一対一の電池比較がかなり困難になる。
この供給可能エネルギーの概念は、総エネルギーとは対照的に、容量と電圧の観念に転嫁される。理論容量と開放電圧は、公称容量と有効電圧とは異なる。公称容量と有効電圧は特定の状況に関連しており、それらの積はこの状況で供給可能エネルギーを与える。例えば、ケイ素の理論容量はグラファイト(アノード活物質の商業的標準)のそれの10倍であり、これは文脈外で引用されることが多い数字であるが、これはその容量のほんの一部しか実際には使用できないため無意味である。シリコンは大電流や長時間の電池動作で極めて劣化しやすい。本発明の技術の基礎となる遷移金属酸化物は、より低い理論容量(グラファイトののわずか3〜4倍)を有するが、この材料はより頑強であるため、その容量のかなり大きな部分を実際の操作に使用することができ、それによって、動作条件、すなわち最終用途に応じて、シリコンよりも大きい又は小さい公称容量レベルに至る。同様に、開回路電圧は、アノード活物質及びカソード活物質の電気化学的性質にのみ依存するが、有用な電圧はさらに小さく、電池の動作条件によって決まる技術的制約に依存する。
さらに、いくつかの用途は、kWh/kgで表される重量エネルギー密度に関する要件を有するのに対し、他の用途は、電池の重量又は体積が所定の用途に対して最適化するのに最も重要なパラメータであるかに依存して、kWh/Lで表される体積エネルギー密度に関する要件を有する。ここで、電池エネルギーは、それぞれ電池の重量又は体積によって正規化される。これは主に活物質の特性のみならず、電池全体の設計にも依存する。
電力密度
上記のように、充電及び放電電流は、電池に蓄えられる供給可能なエネルギーを定義する重要な動作パラメータである。これは電力密度の観点からも理解できる。電力はkWで表され、電力密度はkW/kg、又はkW/Lで表される。これは、最大達成可能電力(例えば、スタータ電池について短期間達成される電力)、又は所定の期間にわたる最大許容電力として理解でき、これは、例えば発熱又は活物質劣化の理由のため能動的に制限される。これは電池電圧と充電又は放電電流との積である。電池活物質の特性は、電池から引き出すことができる上限電流を決める。これは、電池のサイクル寿命に関する懸念のため、又は所定の時間内に活物質から抽出できるリチウムイオンの量によって電流が物理的に制限されるためである(例えば、拡散律速動作)。さらに問題を複雑にすることに、電池の場合、電圧は、活物質の組成(特にその導電率)に依存する比例係数で、引き出される電流に反比例する。
出力密度の観念に関連するのが許容電流の概念である。これは電池の充電に使用できる最大電流であるため、電池の充電時間に関連する。上記のように、これは活物質中の電気化学反応の動力学によって、又は安全性/サイクル寿命の考慮によって制限される。
電池寿命
サイクル性とは、与えられた動作条件について多数の充放電サイクルにわたってエネルギー及び電力密度の観点から電池が公称性能又は公称性能に近い性能を維持することのできる能力のことである。サイクルを重ねると、電池のエネルギー密度と電力密度が低下する。この現象はエージングと呼ばれ、最終的には電池障害につながる。これは、スマートフォンユーザーが数ヶ月以上同じスマートフォンを使用していることで日常的に経験している。これは自動車産業において重要な要件である。電池は自動車の総コストのかなりの部分を占め、そして何年もの間にわたって毎日の充電と放電に耐えなければならないからである。エージングのメカニズムを議論することは本明細書の範囲を超えているが、これは電極活物質の化学的性質及び操作条件に依存すると言うのに十分である。電流が高く、動作温度が高く、充電/放電が深いほど、エージングが加速する。材料化学の観点から、シリコンの主な欠点はそのサイクル性が非常に貧弱なことである。
ファラデー効率、有効期間、自己放電などの他の測定基準は、一部の用途では重要になる可能性があるが、通常は電池寿命に対して最も制限的な要素ではない。これらの概念は、当業者であれば、例えばGlaize,C.及びGenies,S.(2013)を参照することで分かるであろう。
安全性
高エネルギーの車載用途又は定置用途に対するLiイオン電池の広範な導入を妨げる弱点は、過充電又は高温などの悪動作に対する耐性が欠如していることである。熱暴走は電池の壊滅的な故障であり、それによってシステム内の自立的な温度上昇が電解質の蒸発を引き起こし、有害なガスの漏れ、燃焼、又は爆発の危険性を引き起こす。
熱暴走に対する影響の受けやすさは、動作条件、活物質の固有の電気化学的性質(温度が上昇する傾向)、及び全体的な電池設計(発生している過剰な熱を安全に放散する電池の能力)に依存する。
汎用性
汎用性は多数の方法で理解できる。いくつかの文脈では、これは高温環境で電池を動作させる能力をいい、エネルギー密度、電力密度、サイクル性、及び高温に伴う安全性損失に対する懸念のため、典型的には自動車の要件である。他の文脈では、これは電池が低温環境で動作する能力をいう。これは、寒冷地で動作する自動車、並びに航空及び宇宙用途の要件である。リチウムイオン電気化学反応の速度は低温によって減速し、特別な対策がとられない限り性能を劇的に低下させるため、問題である。
汎用性とは、透明である、折り畳まれる、撓む、織られる、伸ばされる、巻かれる、切り開かれるなどの、電池の追加の機械的能力をいうことができる。これらは、次世代の家電ウェアラブルにとって典型的な要件である。また、汎用性は、動作条件の要件、全体的な電池設計、及び電極用の活物質の選択に依存する。
コスト及び持続可能性
電池全体のコストと、1個のセルのコストと、活物質自体のコストとの間で区別がなされるべきである。典型的な電池製造工程の詳細な説明は本開示の範囲外である。しかしながら、典型的な電池製造工程では、活物質は、一般的に、集電体上にロールコートされる粉末として電池組立ラインに供給される。この粉末は、別の製造ラインにおいて自社で合成でき、又はほとんどの場合外部の供給業者から購入できる。理想的には、活物質は入手可能で手頃な価格の化合物から合成されなければならず、そしてプロセス自体が高価ではないことが必要である。
Glaize及びGenies(2013年)は、2013年のLiイオン電池の購入コストを400ユーロ/kWh〜2000ユーロ/kWhと見積もっている。理解されるように、電池価格は、進化する技術及び製造効率の向上と共に急速に変化する。ただし、キロワット時あたりの価格は1つの測定基準にすぎず、上記の他のパラメータは考慮されていない。処理を除くと、325mAh/gの容量を提供する電池等級グラファイトのコストは、2013年に2.2ドル/kg、つまり約0.07ドル/Ahと見積もることができる。電極の他の成分及び処理コストを考慮すると、2013年の総アノードコストは約0.13ドル/Ahである。アノード材料コストはアノードコストの約50%を占めるが、これは全電池コストの約8%にすぎない。このため、特に比容量(mAh/g)をさらに高くすることができる場合には、これを長距離電気自動車範囲に変換すると、著しく高価なアノード材料を使用する余地がある。
電池同士をどのように比較することができるか?
上記説明から、エネルギー密度、さらにはキロワット時当たりの価格といった1つの数値だけでは、様々な電池の相対的なメリットを比較することはできない。
別のアプローチは、図22に示すようなウェブ型の図を使用することである。エネルギー密度の数値のみが与えられた場合には、電池Aは電池Bより優れていると結論付けると考えられる。ウェブ図は、それよりも完全なストーリーを示しており、特定の用途(電気自動車など)では、電池Bが電池Aよりも実際に好適であると考えられる。
しかし、この方法は必ずしも完璧ではない。上で説明したように、様々なメトリックは全て相互依存する。例えば、エネルギー密度の数値は、必要な電力密度/放電電流及びサイクル性能が特定されている場合にのみ意味がある。このため、電池同士を比較する唯一の厳密な方法は、比較対象の動作条件を完全に特定することである。
これは、US Advanced Battery Consortium(USABC)が推奨するものである(2016年9月21日にアクセスしたhttp://www.uscar.org/guest/article_view.php?articles_id=85を参照)。電気自動車のベンチマークの例を表2に示す。この場合、比較は特定の用途の要件を最もよく表すものとして選択された特定の状況についてのみ有効である。米国政府によって資金提供された全ての主要な電気自動車研究プロジェクトがベンチマークとしてこれを使用している。
表2:EV用高度化電池のためのUSABCの目的−CY2020商品化
表2に記載されている目標は、執筆時点では市販電池にはほど遠いものである。
次に、適切なアノード材料の製造方法及び当該材料の特性評価の詳細を開示する。
本発明の実施形態に係る材料の製造方法及び当該材料の特性評価
序論
本発明において、本発明者は、カーボンナノチューブウニ構造(CNTSU)という構造中の中心粒子周辺のCNTの三次元組織化に依存する連続気相カーボンナノチューブ(CNT)製造方法に焦点を合わせる。
ここで、CNTSUは、CNTが、通常ウニ構造のコアと呼ばれる中心ナノ粒子又はマイクロ粒子から放射状に成長するマイクロスケール構造であると広く定義される。このような構成の初期の説明としては、配向CNTで被覆された磁性中空ニッケルミクロスフェア[Han外(2006)]、噴霧熱分解法を使用して合成された窒化ホウ素/CNT複合粒子[Nandiyanto外(2009)]、CVD法による球状アルミナ微粒子上に成長したCNTフォレスト[He外(2010及び2011)]、又は径方向充填CNT構造の境界層CVD合成[Boi外(2013)]が挙げられる。
本発明は、バイメタルナノスケールコアを有するCNTSUのエアロゾルが気相で連続的に合成されるKim外(2011)において最初に報告された、これまでに最も研究された方法に重点を置いている。図1Dに示すように、硝酸アルミニウムAl(NO33及び硝酸鉄Fe(NO33の水溶液を窒素キャリアガス流中に細かく散布し、多分散微小液滴エアロゾルを生成する。水が液滴から蒸発するにつれて溶質濃度が増加し、最終的に金属硝酸塩が沈殿し、それによって気相中に懸濁されたバイメタル塩ナノ粒子(図1A)を形成する。次に、これらのナノ粒子を、高温還元環境、典型的にはキャリアガスに少量の水素を添加した管状炉内で焼成し、CNTSUコアとして機能することになるバイメタルナノ粒子の形成を可能にする(図1B)。アセチレン(C22)を添加し、新たに水素を添加すると、CNTは第2CVD管炉内でコアの表面から径方向に成長し、図1Cに示すようにCNTSUに至る。ほとんどのエアロゾル系ナノ材料プロセスと同様に、この合成経路は連続的でかつ無溶媒である。これは安価な前駆体に依拠し、カーボンブラック、TiO2その他の金属酸化物ナノ粉末、又はバルクCNT粉末などの世界的な工業生産ナノ物質の大部分を製造するために使用される広範囲で使用される2つの方法(スプレー熱分解及びCVD)を組み合わせる。合成中に果たされる基本的な現象に関して、コアの表面に触媒部位を形成するメカニズムは、プロセスの理解と最適化にとって重要である。Kim、Wang外(2011)は、焼成炉の下流で収集されたコアの組成をX線回折(XRD)で簡単に調査したが、コアの表面が酸化アルミニウムの不活性マトリックスに埋め込まれた酸化鉄のナノメートルサイズの触媒活性微結晶から構成されているかどうか、又は鉄及びアルミニウムの酸化物がAlxFeyzの単一の非晶質相を形成するかどうかに関する未解決の問題が残ったままである。しかしながら、前者の仮説は、この仮説分離構造が硝酸アルミニウムと硝酸鉄との溶解度の差に由来すると仮定された当該論文の残りの部分では好ましいように思われる。硝酸アルミニウムの水への溶解度は硝酸鉄の溶解度よりも低いため、液滴乾燥時に、硝酸アルミニウムが液滴凝固前面に優先的に沈殿し、その結果、コアの表面が鉄に対してアルミニウム富化され、小さな鉄のパッチが硝酸アルミニウムのマトリックスによって分離される。この推論に従って、この構造は焼成及びCNT成長中に保持されてアルミニウム金属又は酸化アルミニウムのマトリックス中に純粋な鉄金属触媒部位を形成すると考えられる。さらに、Kim、Wang外(2011)は、前駆体溶液中のAl:Fe比を調整することによってCNTの被覆密度を調整できることを示している。硝酸鉄を硝酸ニッケルに置き換えたKim、Ahn外(2011)では、触媒部位形成のメカニズムに関して同じ仮説が受け入れられており、コアサイズとプロセス温度の変動が、直線的でかつ巻かれた個々のCNTからCNTSUまで、得られる粒子形態の調整を可能にすることを示している。これらの論文は両方とも、鉄とアルミニウムが、析出段階からCNT成長段階まで、コア内で2つの別々の相に分離するという仮定に基づく彼らの発見がベースとなっている。全てのCNTが中央熱伝導性コアを介して連結され、それによってCNT−CNT接合部の制御を可能にし、他の媒体への分散を容易にする、それらの向上した熱伝達特性のため、これらのCNTSUには、ナノ流体冷却添加剤[Han外(2007)]、励起子解離媒体としての、又はナノエネルギーテルミット材料の爆発の際の光点火剤としてのバルクヘテロ接合重合体・フラーレン太陽電池への添加剤[Kimら(2014)]と同程度の多様な用途がある。しかしながら、これらの用途のいずれも、コアは不活性熱伝導性構造要素としてのその役割とは無関係に材料に機能性を追加することができるという、CNTSUが真のハイブリッド材料であるという事実を利用していない。これは、その正確な化学組成及び結晶学的構造を含めて、コアの材料特性評価の欠如に起因する場合がある。
本発明は、これまで文献で仮定されてきたこととは対照的に、コアが定量化された組成を有する非晶質AlxFeyz合金からなることを示す新たな特性評価データを提供する。これによって、触媒部位形成のための新規なメカニズムが提案されるため、焼成炉の下流温度勾配での冷却時に触媒部位がコアの表面で核形成し、触媒部位形成及びCNT成長が初期金属硝酸塩沈殿段階から効果的に切り離される。このプロセスは液滴沈殿時に生成された初期構造に依存しないため当初考えられていたものよりも多用途であることを示すこの知見に基づいて、本発明者は、CNTSU形態がCVD成長炉の走査パラメータ操作を変更することによってコアサイズ及び組成とは無関係に調整できることを示すと共に、CNTSUカーペットの形成をもたらす新規ハイブリッドエアロゾル・基板CVD成長プロセスにより、CNTの長さ、密度及び品質をこれまでにないレベルまで高めることができることを示す。
実験方法
CNTSU合成
CNTSU合成用装置を図1Dに示す。1ジェット衝突ネブライザー100を使用して、1500sccmの窒素キャリアガス流れ中において2重量%の硝酸アルミニウム及び2重量%の硝酸鉄の水溶液102(100mL)(Sigma−Aldrich製ACS試薬等級及びII型脱イオン水)を細かく散布する。次いで、得られたエアロゾル(PALAS Welasデジタル1000H光学エアロゾル分光計で測定したときに約1μmの幾何平均直径)を特注のシリカゲル乾燥機106に通し、そこで流れの水分含量のほぼ100%を除去する。次いで、得られた乾燥金属硝酸塩ナノ粒子108を、130sccmの流量の追加の水素流と共に、T1=900℃で運転される焼成炉110、炉1に入れる。第1炉110の下流において、バイメタルナノ粒子エアロゾル112は、温度T2=800℃で動作される炉2であるCVD成長炉114に入る前に、150sccmの水素流及び30sccmのアセチレン流とさらに混合される。合計処理時間は約10秒である。これらの動作条件(流量及び温度)を、以下では公称条件という。両炉110、114は、長さ1m、内径19mmのアルミナ製作業管を備える約50cmの加熱長さを有する電気管炉である。全てのガスは、純度99.998%のBOC圧縮ガスであり、HEPAろ過され、Alicat MCシリーズマスフローコントローラーを使用して制御される。
X線回折、X線光電子分光法及び走査電子顕微鏡法
X線回折(XRD)検討の目的のために、約50mgのコア粒子を炉2の下流で公称条件で動作するシステムを用いて収集したが、ただし、炉2にはアセチレンを導入しなかった。粒子を、PTFEメンブランフィルター(1.2μm孔径、Cole Parmer)を使用して濾過した。粉末を直径10mmのサンプルホルダーに装填し、0.3°/分(2θ)の走査速度及び0.019°(2θ)のステップサイズで2θ=10〜80°のCuKα線源で動作するBruker D8シータ/シータ回折計を使用して分析した。回折データを、標準的なバックグラウンド及びピークフィッティング技術で動作するPANalytical X’Pert HighScoreソフトウェアを使用して解釈した。
X線光電子分光法(XPS)を、下記の熱泳動集塵器を使用して、シリコンウエハ上で、表3に示されたシステム内の様々な位置で収集された粒子について実施した。収集時間は、ウエハを走査型電子顕微鏡(SEM)によって確認したときに厚さ>10μmの粒子の層で被覆するのに十分な時間である約1時間であった。サンプルを、Thermo Scientific Escalab 250Xi UPS/XPS光電子分光計を使用して分析した。電子フラッドガンで中和されたサンプルの帯電を検出するための基準マーカーとして、210Wの電力、650μmのスポットサイズ及び284.8eVの不定炭素1sピークを有する単色AlKα陽極X線源を使用して、スキャンを記録した。測定前に、0、60又は920秒間にわたって、2.5μAのビーム電流を有する1000eVのイオン化エネルギーでサンプル洗浄及び深さプロファイリングをするためにAr+イオンガンを使用した。エッチング速度は、約0.2nm/s-1であると推定された。XPSスペクトルを、基板上の300μm2の面積から収集し、相互作用の深さを約10nmと推定した。XPSデータを、Thermo Scientific Avantageソフトウェアを使用して解釈した。各サンプルについて、まずサーベイスキャンを実施し、次にスペクトル関心領域の高解像度スキャンを実施した。Lin外(1997)で推奨されているように、Shirleyバックグラウンド減算及び75%Gaussian25%Lorentzian線形状を使用して、Fe2p多重線ピークをフィッティングした。
表3:XPS実験のためのサンプル収集位置及びエッチング時間のリスト
全ての走査型電子顕微鏡(SEM)画像は、下記の熱泳動集塵器を使用してシリコンウエハ上のコア又はCNTSUのいずれかの粒子を収集し、これらを、LEO Gemini 1530VP SEMを使用して画像化することによって得た。
エネルギー分散型X線分光法は、下記の熱泳動集塵器を使用してシリコンウエハ上のコア粒子を収集し、これらを、Oxford Instrument社製EDS検出器を備えたLEO Gemini 1530VP SEMを使用して画像化することによって実施した。
走査型移動度粒径分析装置及び遠心式粒子質量分析装置
走査型移動度粒径分析装置(Scanning Mobility Particle Sizer:SMPS)は、粒径分布をそれらの移動度当量直径に基づいて測定するために使用される一般的なインラインエアロゾル特性評価ツールである。図2Aに示されるように、まず、特性評価されるエアロゾル、すなわち本発明の場合にはコア又はCNTSUのいずれかに、中和装置(TSI 3087軟X線中和装置)と呼ばれる装置内で気体イオンとの衝突によって既知の双極性電荷分布が与えられる。次に、エアロゾルは、差分移動度分析装置122(閉ループにおいて10Lmin-1のシース流量で動作するTSI 3080 DMA)に入り、そこで、装置内の粒子の軌跡に作用する電気力と抗力とのバランスの結果としてその移動度当量直径に従って分級される。次いで、分級粒子の濃度を光学粒子計数器124(高流量モードで操作されるTSI 3076凝縮粒子計数器)で測定する。DMA122電圧は、小さな粒子が分級される低い値から大きな粒子が分類される高い値まで走査されるため、最初にSMPSに入るエアロゾルの粒度分布を構築することが可能である[Flagan(2008)]。移動度当量直径は、測定されている粒子と同一の電気的移動度(すなわち、DMAにおける電気力に対する抗力の比率が同一)を有することになる1つの正元素電荷を保持する真球状粒子の直径であると定義される。この装置を使用して、第2の炉114の下流において、CNTSUを特性評価するための公称条件及びコア径を特性評価するための公称条件(ただしアセチレンを使用しない)の両方で粒径分布を測定した。
図2Aとは対照的に図2Bに示される遠心式粒子質量分析装置(CPMA)126は、それらの質量対電荷比に従って粒子を分級するインラインエアロゾル分級器である。粒子を異なる速度で回転する2つの同心円筒間に注入すると共に、両方の円筒間に電位差を付与する。粒子の軌跡は、それらに作用する電気力と遠心力とのバランスから生じ、これは、最終的には質量電荷比に依存する。CPMA126を通過する粒子をCPC124によって計数する。粒子電荷が分かっていると仮定すると、円柱の回転速度を走査することによって、エアロゾル粒子質量分布を構築することが可能である[Olfert及びCollings(2005)]。CPMA(Cambustion Ltd.)を、Graves外(2015)と同様の設定で、図2Bに示すDMAの下流で動作させた。コア又はCNTSUのいずれかである多分散エアロゾルは、中和装置120(TSI3087)に入り、そして10Lmin-1のシース流量及び固定電圧で閉ループにおいて操作されるDMA122(TSI3080)内で分級される。したがって、1個の粒子当たり1個の正元素電荷を有する既知の移動度の単分散エアロゾルは、DMAを出てCPMAに入り、そこで、高流量モードで操作されるTSI3076CPCの助けを借りてエアロゾルの質量分布が測定される。Graves外(2015)と同様の手順で、対数正規分布曲線を各質量分布に当てはめて、所定の移動度について代表的な粒子質量を抽出する。この方法を第2炉114の下流においてCNTSUを特性評価するための公称条件及びコアを特性評価するための公称条件(ただしアセチレンなし)の両方で使用して、質量−移動度の関係を確立する。
熱泳動集塵器
図2Cに示されるように、熱泳動集塵器を、シリコンウエハ132上の気相からシ粒子130を集めるように構築した。この装置を構築する動機付けは、以下に記載する基板ベースのCNTSUのCVD成長実験を可能にするために、任意の基板(必ずしもフィルタではない)上に制御された厚みを有するコアの大面積(約5cm2)均一フィルムを堆積できることであった。この技術は、PTFE膜でエアロゾルを濾過し、続いて乾燥用溶媒からの毛管力を利用して収集ナノ粒子を移動させるためにフィルタ上にシリコンウエハを接触させるという代替技術と比較して利点を有する。この利点としては、低い汚染レベル、より均一で厚さ制御されたフィルム堆積、及び、CNTSUの場合には、毛管力の作用下でのCNT構造の改変又は緻密化がないことが挙げられる。熱泳動集塵器は、図2Cに示すように断熱ガスケットによって生じた薄い(約1mm)間隙によって分離された2枚のアルミニウムプレート134、136からなる。一方のプレート(ホットプレート134)はフラットパッドセラミックヒーターで約300℃に加熱され、他方のプレート(コールドプレート136)は約10℃に水冷されている。これら2枚のプレートの間の間隙に入るエアロゾルは、温度勾配により生じる高温側から低温側への力を受ける。均一温度の球形粒子について、熱泳動速度を次のように定義することができる:
ここで、vはガスの動粘性率であり、T[K]はガスの絶対温度であり、これは粒子の軌跡を、それらが基板(典型的にはシリコンウエハ132)上に集められるコールドプレート136に向かって湾曲させる。この設計は、Gonzalez外(2005)に触発されてなされたものである。その後、被覆されたシリコンウエハを、CNT成長のために、又は現場外特性評価のためにCVD炉に運ぶことができる。
基板ベースCNTSU CVD成長
コアを、上記の熱泳動集塵器を使用して約1×1cmの面積のシリコンウエハ上に公称条件で動作されたシステムにより第1炉110の下流で集めた。収集時間は、SEMで確認したときにウエハの完全な被覆及び10μmを超える被覆厚みを確実にするために約60分であった。次いで、ウエハを水平管状炉に移し、この水平管状炉内において、大気圧で100/400/100sccmのC24/H2/Heの流量を用いて20分間の成長時間で800℃で熱CVDを行った。得られたCNTSUを、CVDチャンバーをヘリウムでパージする前に成長雰囲気内で急速冷却した。このアプローチはAhmad外(2016)に記載されている。
CNTSUの製造のための改変方法
図26は、CNTSUを製造するための改変方法の概略図を示す。この方法には、段階1(スプレードライ)、段階2(燃焼)、及び段階3(CNTの成長)として特定される3つの段階がある。これらの段階について次に詳しく説明する。
段階1では、硝酸アルミニウム、硝酸鉄及びスクロースの水溶液を、市販の噴霧乾燥機200を使用して噴霧乾燥して、硝酸アルミニウム+硝酸鉄+スクロース微粒子の乾燥前駆体粉末を形成する。
好適な硝酸鉄及び硝酸アルミニウムの濃度は、典型的には約40重量%であるが、この濃度は1重量%から目的の温度範囲で関連する溶媒に使用される塩の溶解限度までとすることができる。なお、エタノール又はアセトンなどの他の溶媒を使用できるが、ただし、前駆体が可溶性であるものとする。また、他の鉄及びアルミニウム塩も使用できる。本発明者は、例えば、クエン酸塩、酒石酸塩、硫酸塩を使用できることを確認した。さらに、炭素源は必ずしもスクロースではない。実際、好ましい一実施形態では、スクロースは使用されず、代わりにマルトデキストリンが使用される。グルコースなどの任意の好適な可溶性炭素源を使用することができる。スクロース(この例)は溶解/溶媒和される。マルトデキストリンを使用する場合、典型的な濃度は8重量%である。しかしながら、他の実施形態は、2〜30重量%の範囲の濃度を使用することができる。
段階2では、段階1から収集された前駆体粉末を、その後収集チャンバーから取り出して焼成反応器(炉202)に入れる。ここで、この粉末自由浮動性ではない。その代わりに、この粉末は、セラミックるつぼ204などの容器内、又はセラミック基板などの基板上、又はシリコンウエハや金属ストリップ上に保持される。焼成反応器内の雰囲気は不活性雰囲気(例えば、窒素又はヘリウム)である。空気などの酸化性雰囲気を使用することが可能である。段階2では、前駆体粉末を穏やかに加熱して硝酸塩とスクロースとの燃焼反応を開始させ、それにより混合金属酸化物粒子(すなわちコア粒子)が形成される。焼成反応器内の温度は、例えば約200℃に設定される。焼成反応器内の温度の好適な範囲は100〜1000℃である。別の実施形態では、前駆体粉末は、炉202への管インサートの内面などの炉202の壁に保持されてもよい。この管はその主軸を中心に回転することができる。
段階3では、次に、コア粒子を、CNTを成長させるために別の炉206に移す。CNT成長炉では、コア粒子は再び自由浮遊性ではないが、セラミックるつぼなどの容器内、セラミック基板などの基板上、又はシリコンウエハ又は金属ストリップ上に保持される。次いで、カーボンナノチューブを上記のカーボンナノチューブ成長条件に従って成長させる。当業者であれば分かるように、別のカーボンナノチューブ成長条件、例えばアセチレンをエチレンで置き換えること及び/又は異なる流量及び相対濃度で置き換えることなどを使用することができる。段階2の場合と同様に、別の実施形態では、コア粒子を、炉206への管インサートの内面などの炉206の壁に保持することができる。この管はその主軸を中心に回転することができる。
結果及び考察
コアの化学組成
XRDの結果を図3A〜3Fに示す。図3Aで示された生データにおける顕著なこぶは、サンプルの大部分が非晶質であることを示すが、過剰照射、空気散乱又は鉄蛍光などのアーチファクトがこの大きなバックグラウンドノイズにわずかに寄与する場合がある。結晶質に対する非晶質の割合の定量的決定は理論的には可能であるが、このデータセットに関しては実用的ではない。ピークは比較的広く(約1°)、機器の広がりは<0.1°であるが、これはサンプル中に分散した微結晶が小さいことを示す。図3Aで特定された4つのピークは、スペクトルのさらなる解釈を可能にするのに十分に明確に定義されていると認められた。これらを、フィッティングされたピーク及び背景と共に図3B〜3Fに示す。
シェラーの式による微結晶サイズdSの定量化を表4に示しており、これは便宜上図3A〜3Eと共に示される図3に相当する。結果は、ピークにわたって比較的一貫しており、シェラーのサイズは、dS=5.8nm〜dS=7.9nmの範囲である。結晶ドメイン組成に関して、これらのピークの位置及び相対強度は、マグネタイトFe34(CAS00−019−0629)へのヘルシナイトAl2FeO4(CAS00−034−0192)の固溶に適合する。対応するピーク位置及び相対強度は、図3B〜3Eにおいて垂直線によって示される。本発明のサンプルのピーク位置は、全ての場合において、ヘルシナイトとマグネタイトとのピーク位置の中間にあることが分かる。マグネタイトとヘルシナイトは、両方とも通常のスピネル構造を持つ立方晶系で結晶化する。各ピークは表4の所定の平面反射に起因する。Turnock及びEugster(1962)は、マグネタイト−ヘルシナイト固溶体の格子定数が置換度とともに連続的に変化することを示した。表4に示すように、ベガードの法則を使用して、固溶体中のヘルシナイトの割合xHを決定することは理論的には可能である(Turnock及びEugster(1962)を参照)。残念ながら、xH=50%〜xH=80%までのピークにわたっては結果が一致しないが、これは、このような広いピークを正確にフィットさせるのが難しいこと、このFe−Al−O系に共通する積層欠陥の可能性[Turnock及びEugster(1962)](特にピーク3に関して)、又はベガードの法則に固有の制限によって説明可能である。サンプルの非晶質部分及び結晶質部分の化学組成は、通常、このような状況では同一であると想定されるが、XRDは、材料の大部分を占めるサンプルの非晶質部分に関する直接的な情報を与えないため、コアの化学組成を完全に決定するためには、別の特性評価方法のEDXを使用する必要がある。
表4:図3aに示すピークのXRD特性評価(Scherrerの式による微結晶サイズd S の定量)
走査型電子顕微鏡像、元素マップ及びEDXスペクトルを、図3A〜3Fで先に検討したサンプルについてそれぞれ図24a〜24eに報告する。予想されるように、サンプルは大部分がAl、Fe、及びOから構成され、C及びSiはそれぞれ汚染及びウエハバックグラウンドに起因し得る。元素マップは、コアが1.4/1/4.1の原子比のAl/Fe/Oの合金から構成されることを示す(定量的組成分析については表5aを参照)。Al対Feの原子組成比は1.4であるが、これは、Al(NO33及びFe(NO33がアトマイザー前駆体溶液中に等しい重量比で存在することを考慮して予想できる1.14比に近い。
表5a:図24aのサンプルのEDX特性評価
図3A〜3Fに報告されているサンプルのXPSスペクトルを図4A〜4Cに示す。予想通り、最初のサンプル調査では、鉄(図4A)、アルミニウム(図4B)、酸素(図4C)の存在、及びそれぞれ汚染(雰囲気及び炉の壁2からの)とウエハバックグランドとに起因すると思われる炭素とケイ素(図示せず)の寄与が明らかになった。図4Aに示されるFe2Pスペクトルは複雑であるが、Lin外(1997)のようにマグネタイト薄膜について記録された典型的なスペクトルとの類似性を示し、図4Aに示されるように元素の所定化学状態に対するピーク帰属を容易にした。興味深いことに、Fe(0)は、より低い結合エネルギー(約706eV)を中心とする特徴的なピークを生成したため、サンプルでは検出できない。一次ピークと揺れサテライトピークの両方が記録されたFe2p3/2及びFe2p1/2の領域に見られるように、Fe(II)とFe(III)の両方がかなりの割合で存在する。文献[Lin外(1997)]において以前に報告されているように、Fe2p1/2領域のFe(III)についてはサテライトピークが検出されなかった。ピークフィッティング手順は、Fe(II)及びFe(III)の両方が存在することを定性的に説明する程度には十分に堅牢であるが、これは、この研究の範囲外である[Lin外(1997)]に記載されるような専門的手順を要するため、Fe2+対Fe3+比の定量的決定を試みないことにした。この困難さは、スピン軌道分裂、多重酸化状態、及びサテライト構造を特徴とするFe2pスペクトルの複雑な性質のために生じる[Lin外(1997)]。全体として、Fe2pスペクトルは、結晶ドメインについてのマグネタイトへのヘルシナイトの固溶の仮説と両立し、これらの小さなドメインは、同じ化学組成の非晶質マトリックス中に分散している。マグネタイトスピネル構造では、Fe2+が八面体部位を占めるのに対し、Fe3+が四面体部位を占める。ヘルシナイトスピネル構造では、Fe2+が八面体部位を占めるのに対し、Al3+が八面体部位を占めるが、この化合物は八面体部位と四面体部位との間でかなりの陽イオン交換を示し、Fe3+及びAl2+の有意な部分を与えることが知られている[Harrison(1998)]。図4Bに示されるAl2pスペクトルは、74.08eV及び74.42eVで酸化アルミニウムに特徴的な近接して配置された2つのスピン軌道成分を有する、Alan外(2015)及びVelon外(2001)における純粋なヘルシナイトについて得られた結果と一致する。Al(0)は検出されなかった。図4Cに示されるO1sスペクトルは、530.03eV、530.96eV、及び532.1eVで3つのピークにフィットしたが、これらは、酸化物中のO2-酸素と、水酸化物、水及び炭素質種からの酸素との混合寄与により生じると思われる。Thermo Scientific Avantageソフトウェアからの内蔵相対構造因子を含む標準的な定量化技術を使用して、サンプル1〜4についてサンプル化学量論量を定量した。結果を表5bにまとめている。上記サンプル3aについては、有意なレベルの炭素汚染が酸素含有量の定量化を微妙なものにしているように思われた。したがって、サンプル表面から不純物を除去するために長時間のエッチング(約180nm)を実施することにした。サンプル3bを基準として、炭素汚染及びシリコンウエハバックグラウンドからの酸素の寄与を無視すると、この時点でこの系のコアの表面についてのAl/Fe/Oの相対比率は2.6/1/4.2であるように思われる。XPSは、サンプル表面の最初の約10nmに対するアクセスのみを与える。サンプル3bについて実施したディープエッチングの副作用は、深さプロファイリングが効果的に実施されることである。サンプル3aは専らコア表面に最も近い約10nmに相当し、サンプル3bは統計的観点からコア内部の大部分に対するアクセスを与える。これは、両サンプル間のAl/Fe比の約20%の差を説明することができ、これは不純物除去によって影響されないはずである;これは、この時点でこの系において、コアがそれらの表面でわずかにFe富化されていることかもしれない。理論的には、Al(NO33及びFe(NO33がアトマイザー前駆体溶液中に等しい重量比で存在するため、Al/Fe原子比は約1.14であるはずである。表5bに示すように、系内の異なる箇所でAl/Fe比の変化を追跡するのは興味深いことである。乾燥機の下流(サンプル1)Al/Fe=2.9。炉1の下流(サンプル2)、Al/Fe=3.6。これは、系内のこの位置にあるコアが、上記のように炉2の下流のコアについて見出されたものとは対照的に、アルミニウム富化表面を有することを示すことができる。金属硝酸塩の沈殿により生じる濃度勾配が焼成中にも保存されると仮定すると、これは、硝酸アルミニウムが液滴乾燥時に最初に沈殿するというKim、Wang外(2011)の提案と一致すると考えられる。この濃度勾配は次に第2炉内で反転すると考えられる。最後に、成長したCNTSUのXPS(サンプル4)は、CNTの窒素ドーピング又は酸化を明らかにしない。
表5b:XPS実験についての定量化結果のまとめ、相対原子組成(%)
第2炉114の下流のコア組成の問題について結論付けると、第1に、コアは、サンプルの大部分を占める非晶質マトリックスに分散される、50%〜80%の範囲の割合のヘルシナイトを有するマグネタイトへのヘルシナイトの固溶体の小さな(<10nm)微結晶から構成されると言える。第二に、XRD又はXPSのいずれも、AlとFeとが異なる相に分離されていることを示唆するものではない。もしそうであれば、Fe23が主要なFe相となることが考えられるところ、これはXPSによって同定されたFe(II)の有意な割合と一致しない。さらに、Al23相はXRDによって検出することができなかった。Turnock及びEugster(1962)には、ヘルシナイトとマグネタイトが850℃以上で完全な固溶体を形成することが示されているため、これは驚くべきことではない(Golla−Schindler(2005)も参照)。第三に、Al/Fe/Oの全体の原子比は1.4/1/4.1であると推定された。第4に、コア組成がコア半径に沿って均一ではないこと、及びこの組成が第2炉114内で発達することが示唆されている。
CNT成長の調査
コア組成に関するこの新たな情報を考慮して、触媒部位形成及びCNT成長のメカニズムに関する新たな仮説を立てることができる。本発明者は、第1炉110の下流温度勾配で核形成し、かつ、非晶質マトリックスによって互いに分離されている小さな結晶ドメインが、第2の炉114内でのCNTの成長のための触媒部位として作用することを提案する。問題の結晶ドメインは、上記のXRD研究において同定されたものであろう。それらのサイズ(<10nm)は、CNT成長のための触媒部位としてのそれらの役割、及び、CNT成長のエピタキシャル的性質を考慮して、得られるCNTの直径(例えば図1C参照)と合致する。同様のサイズ及び組成を有するナノ結晶は、CVDによるCNTの成長のための効率的な触媒であることが示されている。Lee外は、CNTカーペットがアルミナ被覆シリコンウエハ上に堆積させたアルミニウムフェライトナノ結晶及びアルミニウム鉄酸化物ナノ結晶から成長できることを示している。これらの結晶はコロイド法によって合成され、これらの結晶から成長したCNTの品質は匹敵する純粋な酸化鉄材料から成長したCNTのそれよりも優れていることが示されている。著者は、触媒中にアルミニウムが存在すると触媒表面でのアセチレンの分解が遅くなり、非晶質炭素の生成が少なくなると推測している。さらに、Morales外(2013)は、触媒としてFeOx−AlOOHキセロゲルからのCVDによるCNT−ヘルシナイト複合材料の合成を実証している。著者は、CNTが直径10〜50nmのヘルシナイトナノ粒子から成長することを示している。本発明の以下の部分では、プロセス開発の観点から、CNTSUの合成に対するこの新たな触媒部位形成メカニズムの意味を探る。このメカニズムは、液滴沈殿時に生成された初期構造が炉110及び114で受けた過酷な条件に耐える能力に依拠していないため、このプロセスは当初考えられていたものよりも用途が広いことを示唆する。これにより、図5A〜5Gにおいて変化してコアの表面状に成長するCNTの長さ、被覆密度、及び品質に影響を与える動作パラメータ(流量及び温度)に関してより自由度が増す。
図5A、5B、5C、5D、5E、5F、5Gは、(アセチレン流量QC2H2、第2炉温度T2)パラメータで第2炉114の下流で集めた粒子のSEM画像であり、このパラメータは、それぞれ、(QC2H2=5sccm、T2=750°)、(QC2H2=5sccm、T2=800℃)、(QC2H2=5sccm、T2=1000℃)、(QC2H2=50sccm、T2=750℃)、(QC2H2=50sccm、T2=800℃)、(QC2H2=50sccm、T2=1000℃)、及び公称条件(QC2H2=30sccm、T2=800℃)に等しく、他の全てのシステムパラメータは公称値である。Dp=200nmのコアのみが成長炉114に到達するように第1炉と第2炉との間にDMAを挿入したため、Kim、Ahn外(2011)によって示唆されるようにコアサイズはCNT成長に影響を及ぼさない。これらのSEM写真の目視検査から、図5G(公称条件)が、CNT品質及びコア当たりに成長したCNTの量の観点から局所的最適条件であることが示される。予想できたように、より低い(図5A)又は等しい(図5B)成長温度でアセチレン流量が低ければ、CNT成長がほとんど又は全く生じない。より高い(図5F)又は等しい(図5E)アセチレン流量で成長温度が高ければ、サンプルのCNT成長/非晶質炭素被膜が著しく損なわれる。最後に、アセチレン流量が低くかつ成長温度が高い(図5C)又はアセチレン流量が高くかつ成長温度が低い(図5D)と、質の悪いCNTの成長が生じる。しかしながら、図5Gに示される公称条件を注意深く最適化すると、粒子当たりのCNT装填量及びCNT品質は、基本的にCNT成長に利用可能な時間によって制限されるところ、これは第2炉114内の滞留時間に関連する。成長時間を増加させるために加熱長さ又は管直径を増加させることができるが、この方法には、作業管の直径が大きいと、軌道が管壁に近い粒子が管の中心線に従う温度及び前駆体分圧履歴とは異なる温度及び前駆体分圧履歴を有するため、生成粒子の不均一性が高くなることを含めて、実際上の限界がある。この問題は、生産規模の拡大が必要とされる場合にも起こるが、これはこのプロセスの工業的用途にとって特に興味深い:スループットを高めるのに好適な方法の一つは、管径を増大させない限り第2炉114での滞留時間が短くなる、高流量で動作するマルチジェットアトマイザーを使用することである。この問題を克服するために、気相プロセスの約5秒に対して20分以上の成長時間を可能にする、上記基板ベースのCNTSu成長アプローチを開発した。この技術に従って成長した個々のCNTSUを、図5Gに示す気相技術からの最良の結果と比較するために図5Hに示す。CNTはより長く(CNTSU直径約8μm対1.5μm)、コアの被覆密度はより高く、品質が改善されている(全体的により薄く、より真っ直ぐなCNT)。図5Iは、公称条件で第1炉110の下流のシリコンウエハ上に熱泳動的に堆積され、続いて20分間基板ベース成長CVD炉に挿入され、それによって図5Jに示されるCNTカーペットが得られたコアを示す。このカーペットは、図5I及び5Jについてコアを収集したのと同じ時間にわたって気相合成CNTSUを収集することによって得られた図5Kに示されたCNTSUフィルムと比較すべきである。興味深いことに、基板成長CNTSUは絡み合って厚い(約100μm厚)緻密カーペットを生じさせ、電気伝導性及び熱伝導性の観点からCNTSU・CNTSU接点を潜在的に向上させると思われる。
CNT成長のインライン監視
図5A〜図5Kに示される公称条件の最適化は、一連の動作条件でシステムを実行し、サンプルを収集し、それをSEMで分析し、次いで反復のための別の一連の動作パラメータを選択することを伴う緩やかなプロセスである。これは、成長したCNTの質量及び品質の直接的かつ定量的な推定を可能にするインライン監視技術によって大きく改善される。工業設備では、このような最適化プロセスは自動化できる。したがって、上記エアロゾル示差移動度分析及び遠心質量分類に依存するインライン監視技術を開発することは興味深いことである。図6Aは、システムが公称条件で動作している状態でコア及びCNTSUについて第2炉114の下流で測定された粒子移動度当量直径分布を示す。第2炉に対する炭素の添加及び得られるCNTSUの成長は、分布モードがより大きな直径にシフト(約40nm対約120nm)することによって示される。全粒子濃度は両方の条件について同一である(約107/cm3)。ただし、このモードシフトに関する情報は、CNTSUの成長を評価するのに十分ではない。図5Fのように大量の非晶質炭素でコアを被覆しても同じ結果が得られる。これが、CPMAを使用して測定された個々の粒子の質量に関する追加情報が必要な理由である。図6Bに示されるように、コアとウニ構造の両方について質量・移動度当量直径関係を確立することができる。これらの曲線の傾きは粒子の有効密度に比例する。予想通り、コアは完全に成長したCNTSUの約6倍の実効密度を有する。より短いCNTS成長又はコアの非晶質炭素被覆であれば、次善のCNTSU成長が中程度の有効密度をもたらすと予想され、これはこのインライン技術で迅速に定量化できる。図6Bからの別の興味深い情報は、より大きい直径と比較して、小さい直径(dp<30nm)のCNTSUの有効密度がより高いことである。これは、CNTの成長がこれらの小さなコアの場合にはそれほど効果的ではないことを示す。この現象は、小さなコアにより、通常のCNTSUとは異なる粒子形態が生じることを示したKim、Ahn外(2011)によって強調されている。最後に、図6A及び図6Bを使用して、コア当たりに成長したCNTの質量を推定することができる。図6Aに示されるコア分布のモードの全てのコアによって、直径が成長後のCNTSU分布のモードであるCNTSUが生じると仮定し、図6Bに示されるようにこれらの直径について対応するCNTSU及びコアの質量を差し引くと、分布のモードについての粒子当たりのCNTの質量は、約0.2fg/CNTSU、すなわち全CNTSU質量の約50%である。これは、図13に示されるように、独立熱重量分析(TGA)実験によって確認される。
改変CNTSU製造プロセスの結果に関する議論
図26に示した製造プロセスによれば、所定の実用上の利点が得られる。例えば、図26のプロセスで使用される燃焼反応は、200℃の低温でコアを形成することができるという点でエネルギー効率が高いことが分かる。これは、米国特許第8,628,747号における900℃以上の温度と比較される。
さらに、米国特許第8,628,747号では、コア粒子の形成のために炉内で水素を使用する必要がある。水素は高価でありかつ典型的には当該プロセスにおいて最も重要な操業費用である。また、水素を使用しないことは、プロセスをさらに安全にし、そして工業的に実施することをさらに容易にする。
噴霧乾燥機において、本発明者は、噴霧乾燥機で使用されたキャリアガス(例えば、加温窒素)を再利用することが可能であることを見出した。これにより効率が向上する。米国特許第8,628,747号では噴霧乾燥機キャリアガスを再利用することが非常に困難であることは注目に値する。
噴霧乾燥と燃焼との組み合わせによって、コア粒子内に空隙及び/又は中空構造の形態で、コア粒子内にボイドを形成することが可能であることが分かる。これは、電池に材料を塗布するという観点から有利であると考えられる。このようにして中空構造を製造する方法は、国際公開第2014/183169号パンフレットに開示されているが、CNTSUには関連していない。
本発明者は、米国特許第8,628,747号に基づいて可能な処理量と比較して(ただし、実験室規模で同様のコストの装置を使用して)約1000倍(100mg/日〜100g/日)処理量を増加させることができることを見出した。
結論
XRD、EDX、及びXPSの特性評価により、重量基準で等しい濃度の硝酸アルミニウム及び硝酸鉄前駆体を用いた浮遊基板プロセスを使用して製造されたCNTSUのコアは、主として、大気にさらされた後にCNT成長炉の下流においてモル比1.4/1/4.1のAl/Fe/O非晶質合金から構成される。マグネタイトへのヘルシナイトの固溶体からなる小さな結晶ドメイン(シェラーサイズ<8nm)がこの非晶質マトリックス中に埋め込まれている。既存の文献に基づく本発明者の洞察は、これらの微結晶が第2炉内のコアの表面からのCNTの成長のための触媒部位として作用するというものである。さらに、本発明者は、これらの結晶が焼成炉の下流の温度勾配で核形成し、液滴析出時に生成された初期構造から触媒部位の形成及びCNTの成長を効果的に分離すると仮定する。CNT成長がシステム動作パラメータを調整することによってコア組成とは無関係に制御できることの実証は、この仮定に従う。気相プロセスにおけるCNT成長のための限られた滞留時間により生じるCNTの長さ及び品質に関する固有の制限は、CNTSUの新規な基板ベースCVD成長の実証によって克服され、CNTSUの前例のないCNT長、品質及び密度範囲を可能にする。本発明者は、このプロセスにより得られるCNTSUカーペットの形成を報告する。最後に、本発明者は、気相プロセスにおけるCNTの成長を連続的に監視するために、差分移動度分析と遠心質量分類とを組み合わせた新規インライン特性評価手法を提案する。
本発明の好ましい実施形態のさらなる詳細及び考察
図7は、個々のCNTSUのSEM画像を示す。これに対し、図8は、CNTを含まない、個々のコア粒子のSEM画像を示す。
図10a〜図10dは、CNTSU構造についてのCNTとコアとのの界面のTEM画像を示す。これらは、触媒粒子によってCNTSが有意に充填された状態で、CNTSがコアに共有結合/ウェル/エピタキシャル結合していることを示す。また、これらの画像は、約10nmの典型的なCNT直径を示す。
図11はCNTSUフィルムのSEM画像を示す。
図12は、銅集電体上にCNTSU、PVDF、及びNMPを用いて製造された電池電極のSEM画像を示す。
図13はCNTSUのTGAデータを示す。このデータは、CNTの品質がかなり変動していること、及び様々なCNTがあることを示す。TGAデータは、典型的なCNTSUサンプルにおいて質量コアに対するCNTの質量の決定を可能にする。この場合、これは約40重量%である。本発明は必ずしもこの割合に限定されないことに留意されたい。0%〜100%以上(例えば200%)までの広い範囲の割合で操作することが可能である。
図27は、CNT300内に延在するコア粒子302の一体突起304を介した、電気化学的活性材料Fe−Al−Li−Oから形成されたコア粒子302に対するCNT300の固定の概略図を示す。CNTは1つしか示されていないが、典型的なCNTSUはコア粒子に固定された多くのCNTを有することが分かるであろう。図10c及び10dは、CNTSUナノ構造中のコア粒子からCNTに延びる突起の例示的なTEM顕微鏡写真を示す。これは、コア粒子がコア粒子の表面に配置された不均一触媒粒子を有し、CNTがそれらの触媒粒子から成長する状況とは対照的に考慮すべきである。この場合、触媒粒子はコアとは一体化していない。これらの状況の相違は、電気化学的活物質に関連して考察できる。本発明の好ましい実施の形態では、上記コア粒子は、上記一体突起を含めて、電気化学的活物質から形成される。
コア粒子材料のカーボンナノチューブ自体への突出は、カーボンナノチューブと活物質との接触面積を増大させる効果を有する。例えば、突起は、カーボンナノチューブの内径よりも大きな距離にわたってカーボンナノチューブに突出することができる。別の例を考慮すると、突起は、長さ(カーボンナノチューブの主軸に沿う)対直径(カーボンナノチューブの主軸に垂直)のアスペクト比が1よりも大きく、より好ましくは1.5よりも大きいことができる。いくつかの実施形態では、このアスペクト比は2よりも大きく、5よりも大きく、さらには10よりも大きくてもよい。
コア粒子材料のカーボンナノチューブへの突出は、カーボンナノチューブとコア粒子の活物質と電気伝導を増強するのを可能にすることが分かる。これは、活物質とカーボンナノチューブとが異物(触媒粒子など)を介して接続される場合と比較して界面抵抗が低下しているためであると考えられる(異物は、上記接続の表面積が大きいため大きな余分の界面抵抗を導入する)。界面抵抗の低減を達成することは、電池性能を向上させるための重要なポイントであると考えられる。
コア粒子材料のカーボンナノチューブへの突出は、カーボンナノチューブとコア粒子の活性材料との熱伝導を向上させることが分かった。これに対する同様の理由は、上記電気伝導についても当てはまる。また、この特徴も電池性能にとって重要であると考えられる。
コア粒子材料のカーボンナノチューブへの突出は、上記と同様の理由で、構造全体の機械的完全性を向上させることが分かった。また、これは、特にサイクル時に大きな体積膨張を有する変換材料では電池性能にとって重要であると考えられる。さらに、これは、典型的にはウニスラリーの高せん断混合/乳棒及び乳鉢を伴う電池製造中にウニ構造の完全性を維持するのに役立つと考えられる。
上で説明したように、CNTSUの特に好ましい用途はリチウムイオン電池電極の製造である。このような用途では、CNTSUは、基板上に堆積されたフィルム又は層のいずれかの状態の集合体として配置される。
ここで報告した材料は、次のいくつかの理由のため、既存のリチウムイオン電池のアノード材料よりも性能が優れる:
・低電流でのその容量は、市販のLiイオン電池アノードについての現在の標準であるグラファイトの2倍である。
・次世代の電気自動車に求められる要件である、高放電率で大容量を維持する。
・充放電サイクルを経ても、材料の性能は有意には低下しない。
・この材料は電池の熱管理を容易にするところ、これは現在リチウムイオン電池技術の開発を制限する安全性の問題に答えるための鍵となる。
・この材料は、工業的に規模を拡大することができる連続気相プロセス(同様のプロセスが世界中の市販のナノ材料の大部分を製造するために日常的に使用される)を使用して、安価で広く入手可能な化学前駆体から合成できる。いったん合成すると、標準のリチウムイオン電池工場の既存の組み立てチェーンに容易に統合できる。
ここで図14、15及び16Aを参照すると、動作原理は、リチウムイオンが金属酸化物コア内に貯蔵される一方で、電子及び熱がカーボンナノチューブを介して伝導されるというものである。多くの長さスケールにわたる材料の階層的性質は、ナノ構造の固有の化学的、機械的、電気的及び熱的性質と相まって、高性能を可能にする。実際には、市販製品は、工場での電池組み立て中に標準的な電池集電装置上に被覆される粉末とすることができる。
図14に概略的に示されるリチウムイオン電池において、アノードは充電中にリチウムイオンを貯蔵しかつ放電中にそれらを放出する電極である。このアノードとカソードとの正電荷の流れは、外部回路を通って有用な作用を生み出す電子の流れと一致しなければならない。標準的な市販のLiイオン電池では、アノードは、電極の機械的完全性を維持する高分子バインダーを用いて集電体(金属箔)上に被覆された、リチウムイオン用ホスト材料として作用するグラファイト粉末から構成される。本発明の好ましい実施形態では、図16Cに示すように、グラファイトは金属酸化物・カーボンナノチューブナノ構造のフィルムで置き換えられる。このフィルムは集電体上に被覆できる。
リチウムイオン電池の分野において、少なくとも今後10年間にわたって市場を支配するように設定されている現在の技術では、これらの性能は主にカソードとアノードについての活物質の選択によって決まる。現在の課題は、他の性能パラメータを犠牲にすることなく、市販の電池のエネルギー密度及びレート性能を大幅に超える材料を見出すことである。
この材料は、集電体上のフィルム(図16C及び16D)としての個々のカーボンナノチューブ・金属酸化物ナノ構造(図16A及び16B)の集合体である。上で説明したように、ナノ構造は、直径30nm〜10μmの金属酸化物球状コアから構成され、その上に多数の単層カーボンナノチューブ及び/又は多層カーボンナノチューブが固定されている。金属酸化物コアは、アルミニウム、鉄、及び酸素マトリックスの非晶質合金からなり、その中に同じ組成の小さな微結晶が埋め込まれている。合金組成は均質ではない。Al:Fe:Oのモル比は、コアの表面では約2:1:4であり、コアの中心では約1:2:4まで徐々に変化すると考えられる。Al:Fe:Oの全モル比は1.5/1/4である。異なる比率をLiイオン電池用途に容易に使用することができ、そして同様の又は良好な電気化学的結果が得られる。カーボンナノチューブは、コアに共有結合的に固定され、径方向に延びて、その周りにカーボンナノチューブの多孔質の電気的及び熱伝導性シェルを形成し、その厚さは平均約10nm〜10μmである。
ナノ構造フィルムの厚さは、1単層未満から数百マイクロメートルの範囲にあることができる。充填密度は、堆積プロセスに従って、非常に多孔質のフィルムから非常に緻密なものまで変動させることができる。
図25は、本発明の好ましい実施形態に係るアノードを製造するための好適な実験室規模プロセスを示す。CNTSU粉末を上記のように製造する。均一なスラリーが生成されるまで、乳鉢を用いてCNTSU粉末(10mg)とPVDFバインダー(2mg)及びNMP溶媒(5mL)とを混合する。スラリーをAl箔上にドロップキャストし、次いでこれをスライドガラス上で一晩70℃に加熱して硬化電極を得る。
リチウムイオン電池用アノード材料としての使用の外に、当該材料については他の用途が存在する:他の電気化学装置用の活物質(代替電池タイプ、スーパーキャパシタ、燃料電池、電気化学水フィルタ、電気触媒、光触媒水分解など)、複合材料の機械的、熱的、及び電気的特性を向上させるための充填剤添加剤、又は多数の用途(複合材料、アクチュエータ、ヒートシンク、電気ケーブル、電磁シールドなど)のための大面積カーボンナノチューブマット又は繊維の製造。
リチウムイオン電池の文脈において、本発明は、材料の利点とナノ構造工学との両方を組み合わせて、イオン拡散、電子輸送、機械的安定性及びLiイオン速度を最適化するアノード構造を設計する。これらは高エネルギー/高出力電池のバランスを必要とする最も厳しい条件だからである。金属酸化物電極の商業化を妨げる主な問題の一つ[Cabana外(2010)]は、それらの充電/放電サイクルに伴う電圧ヒステリシスである。これは、金属酸化物とLiイオンとの変換反応の複数の経路及び活性粒子の相転移における複雑さに由来し、その結果、電池の充放電サイクル中に非制御反応経路が生じる。したがって、電池が充電及び放電されるときに高い機械的弾力性と共に電極を横切って中断されないイオン/電子輸送を維持することは、今日まで困難な課題のままである。
本発明の金属酸化物−CNT電極設計の根拠
容量低下の原因となる不十分なイオン/電子輸送及び電極安定性を軽減するための方法の一つは、粒子形態及び炭素−金属酸化界面を適切に制御して活性粒子(酸化鉄)及び導電性添加剤(炭素)を単一粒子レベルで結合できる電極を設計することである。本発明のウニ状構造(FexAl1-xy−MWCNT)では、コアは、活性粒子として作用するAl−Fe−O合金製であるのに対し、CNTは、典型的には充電/放電サイクルの間に膨張し崩壊しやすい活性粒子のための現場導電性添加剤及び機械的スペーサーとして作用することによって二重の役割を果たす。本発明の設計の主な利点は、(i)原則として粒子の体積膨張が空隙及びCNTの機械的緩衝効果によって効率的に適応する有効変換反応のために活性粒子の高い電気的接近性を提供することができること、(ii)電極中におけるウニ構造の圧縮によって、電解質浸漬を良好にするのに役立つ多孔質ネットワークが得られること、(iii)CNTが電池の熱暴走を潜在的に回避することができる効率的な熱放散剤であることである。
電気的特性評価
方法:
標準的な手順を使用してスウェージロック型コイン電池を製造して、本発明の材料に対してリチウム金属(半セル構成)及び一般的な市販のカソード材料(全セル構成)に対して性能を試験した。両方の場合において、CNTSU電極を図25に示される工程に従って製造した。次に、これらのセルについて徹底的な電気化学試験を行った。
図17は、FexAl1-xy−MWCNTウニ構造の定電流充放電プロファイルを報告する。初期容量は最大1800mAh.g-1に達して半分に低下するが、それでもなお可逆容量として約700mAh/gを供給する。この容量は、市販のグラファイトアノードの実用容量の3倍である[Wu外(2003)]。第1サイクルの容量損失は通常、Li挿入の結果としてのウニ構造上の不動態化フィルム(SEI)の形成[Paolella外(2013)]に起因する。このような損失は完全に避けられないが、例えば活性粒子の予備リチウム化によって最小限に抑えることができる。
電流密度を2倍にしたときに第2サイクル容量がほぼ維持されたことが分かった。図18は、Fexy電極の大部分が通常示す段階的な容量低下を受けることのないウニ型電極のサイクル性を実証するものである。これは、電気的にアクセスできないドメインの形成、粒子の粉砕、及びSEIにおけるLiイオンの不可逆的消費など、変換反応が活性粒子の内部の微細構造に及ぼす有害な影響によってLiイオンの反応速度が妨げられないことを示唆する。また、これは、Fexy中のAlの存在が電極サイクル安定性を改善することを強調するものである。
本発明者は、サイクルボルタンメトリー(CV)を実施した。これは実際の電極プロセス(すなわち、電流/電圧を生み出すウニ構造とLi+イオンとの変換反応)に関する情報を与えることができる。図19において、1.0V対Li+/Liでの広いピークは、完全な変換反応に至るウニ構造へのLiイオン挿入の開始に相当し、逆に1.7Vでのピークは、リチウム化相の分解及びFeの酸化を示す。全体として、これらの結果は、近年報告されたFexyナノ粒子・グラフェンナノリボン複合電極に匹敵する[Lin外(2014)]。CVにおけるピーク位置及びそれらの強度は連続サイクルでも同一のままであるところ、これは、サイクリング実験において観察された可逆的容量を裏付けるものである(図17及び18)。
最後に、本発明者は、ウニ構造がアノードとして機能し、LNCO(市販のカソード材料)がカソードとして機能する全セルを組み立てた。図20は、電池が傾斜電圧がプラトーの状態で約3.1Vで動作し、50mA/gで約120mAh/gを供給する(LNCOに基づく:理論容量160〜190mAh/g)ことを報告する。これは、完全電池パッケージを製造するためのアノードとしての本発明のウニ構造と市販のカソードとの適合性を強調するものである。
この節の結論として、ウニ状(FexAl1-xy)−MWCNT構造を、Li金属を有するコイン型半セル及びリチウムニッケルコバルト酸化物(Sigma−Aldrich)を有する全セルで試験した。ウニ型電極はLi+/Liに対して約1Vの主電圧プラトーで動作し、第1サイクルで約1800mAh/gの容量を与える。この容量は、一般的な原因とされるSEIのため、ほぼ50%まで減衰したが、これは連続サイクルで急速に安定化して市販のグラファイトアノードの容量の2倍の可逆容量(約700mAh/g)を生じさせた。定電流充放電プロファイルは、ウニ型電極が良好なサイクル特性を示し、CVデータが可逆容量を裏付けることを示す。
したがって、次の性能を可能にするアノード電極材料を製造することが可能である:
容量:2800mAh.g-1まで(第1サイクルを含む)
レート(充放電):30Cまで(1C=〜1000mA/g)
動作V対Li+/Li:1〜3V全セル電圧範囲対LNCO及び対LiFePO4:1〜4.2V。
好ましい実施形態では、全セルは以下の構成を有する:
陽極:上記の通り。
カソード:LNCO(リチウムニッケルコバルト酸化物)及びLiFePO4(市販品)、又はNCA(リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物)又はNMC(リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物)又はLCO(リチウムコバルト酸化物)。
電解質:ポリカーボネート中のLiFP6及びポリカーボネート中のLiTFSI(市販品)。
バインダー:PDF、カルボキシメチルセルロース、バインダーなし。
セパレータ:ポリプロピレン(セルガード)、Whatman社製ガラスマイクロファイバー(市販)、紙、セラミック。
アノード材料が導電性添加剤としてのCNTと混合されたコア粒子(ウニ構造ではない)のみからなる対照実験も実施した。図21は、充電/放電プロファイルを報告し、Liイオン電池用アノード材料としてのコア粒子自体の電気化学的活性を実証するものである。セルは最大1800mAh.g-1を供給し、元の容量値の半分を超えて低下した。この容量低下は、典型的には、変換反応の結果としてのSEIの形成及び活性コアと炭素添加剤と電気的接続の喪失に起因する。
本発明者は、図17に示すように、第1サイクルにおける不可逆容量損失をコア粒子の材料の予備リチウム化によって対処することができると考える。エネルギー及び電力密度の観点からUSABC2020の目標に対して本発明の実施形態をベンチマークするためには、全セルを製造することが必要である。ここで報告する結果は、ナノスケールのシリコンエネルギー密度をより高い電力密度、安全性、及び寿命と一致させる性能に達することが可能であることを示唆する。
電池製造に関するスケールアップコストの観点から、CNTSUがエアロゾルプロセスを介して合成できるという事実は明確なコスト上の利点である。
安全性及び限界温度範囲は本願出願時点では測定されていないが、原理的にこれはコア粒子内で起こる変換反応の基本的性質のためグラファイト及びシリコンアノードよりも優れているはずである。
全体的に、本発明の実験データ及び変換型活物質の挙動に関する理解に基づいて、本発明のCNTSU材料の現在の性能は図23に示す通りであると予想することができる。なお、この図は定量的なものではなく、むしろ既存の技術と本発明の材料と比較するための定性的なものである。ある程度のさらなる最適化を考えると、本発明の材料は、エネルギー密度を除いた全ての性能測定基準において、最良のシリコンアノードよりも優れた性能を発揮すると予想される。これにより、USABC2020PEV(プラグイン電池自動車:Plug−in Electric Vehicle)の目標に到達する又は到達することに近づく電池の製造が可能になる。Siのエネルギー密度は、低電流ではCNTSUを超えるだけであるが、Si電池の寿命は限られている。
本発明者は、コア粒子を形成するための噴霧燃焼プロセス及びこのようなプロセスを使用して形成されたCNTSUの特性評価についてさらに調査を実施し、図26に概略的に示されるプロセスからのさらなる進展を得た。このプロセスで形成されたコア粒子は、図1Dを参照した上記方法における50nm〜1μmとは対照的に、1〜5μmの範囲の直径を有する。さらに、SEMによって証明されるように、コア粒子の大部分は中空であることが分かった。
プロセスの第1段階(噴霧乾燥)では、市販の実験室規模噴霧乾燥機を使用して、金属硝酸塩及びマルトデキストリン(スクロースではなく)の水溶液を噴霧乾燥し、同一材料の乾燥粉末を集めた。簡単に説明すると、液体供給材料を加温窒素流と共に乾燥室に噴霧し、そこで液滴を乾燥させて固体の金属硝酸塩微粒子を形成させる。その後、粒子をサイクロンに連続的に混入させ、このサイクロン内でバイアルに集める。続いて、窒素ガスを濾過し、コンデンサにより乾燥し、熱交換器中内で再加熱し、そしてアトマイザーに再循環させる。少量のガスを排気口に放出し、圧縮ガスボトルからの新鮮な窒素と交換する。運転終了時(約15分)に噴霧乾燥機を停止し、粉末を集める。
操作パラメータは以下の通りであった:
・入口圧力1.5〜2bar
・入口温度200〜220℃。
これにより、約50sL/分の窒素流量が得られた。
・液体供給速度:約0.5L/h
これにより、約110℃の排気温度となった。
液体供給組成は次の通りであった:
・水
・硝酸鉄(約15重量%)
・硝酸アルミニウム(約15重量%)
・マルトデキストリン(DE16−18)(約8重量%)。
他の実施形態では、硝酸塩をクエン酸塩に置き換え、及び/又はマルトデキストリンをスクロースに置き換える。
少量の水溶性炭素前駆体(例えばマルトデキストリン)を、乾燥粒子の吸湿性を減少させる効果を有する供給溶液に添加した。
プロセスの第2段階(燃焼)では、300mgの噴霧乾燥粉末を、T=300℃に設定された管状炉内に配置されたセラミックボートに、1L/分の窒素ガス流量で2時間にわたって大気圧下で装填した。
プロセスの段階3(CNTの成長)では、200mgの燃焼粉末を、CVDによるCNTの成長をT=750℃で実施する管状炉内に配置されたセラミックボートに装填した。典型的なCVD成長パラメータは以下の通りであった:
・100sccmのヘリウム、400sccmの水素で20分間にわたって焼鈍
・400sccmのヘリウム、200sccmの水素、100sccmのエチレンで1分間にわたるCNT成長
・5分間にわたる400sccmヘリウムフラッシュ。
得られたウニ構造用粉末をLiイオンコインセルの活物質として使用し、試験を行った。
図28は、噴霧乾燥後の未燃焼粒子のSEM画像を示す(段階1後)。
図29は燃焼粒子のSEM画像を示す(段階2後)。なお、いくつかの粒子は「破壊されている」及び/又は中空である。
図30及び31は、CNTSUの異なる倍率でのSEM画像を示す(段階3後)。
図32は、上記のように形成したCNTSUを使用した半セル構成についての定電流サイクルの結果を示す。図33は、上記のように形成したCNTSUを使用した半セル構成についてのサイクルボルタンメトリーの結果を示す。
異なるAl−Fe−O比及び異なるCNT比を有するウニ構造の電気化学的試験を実施するために、噴霧燃焼プロセスを使用してコア粒子を製造し、続いてCNTSUを上記のとおりに製造したが、ただし、以下の点を除く:
・前駆体溶液中の硝酸鉄対硝酸アルミニウムの比は、以前の1:1とは対照的に4:1であり、これにより、コア中における高いFe/Al比:Al/Fe=0.27モルが得られる。
・CNT成長後、粒子を空気中において400℃で48時間にわたって酸化し、これによって、上で報告された実験と比較して高いコア中O含有量が得られた。これを、TGAによる400℃での質量増加によって確認した。
・CNTSUのうちCNTの割合は8重量%であった(図1Dを参照して上記プロセスで得られた40重量%と比較)。
図34はCNTSUのTGA結果を示す。太線は初期重量の割合(左軸)を示す。細線は相対重量変化率(右軸[%/℃])を示す。
図35は、異なるFe/Al比及び異なるO含有量を有する、上記のように形成されたCNTSUを使用した半セル構成についての定電流サイクルの結果を示す。
比較のために、ZnFe24コアを有するウニ構造及びNCAコアを有するウニ構造を製造した。
市販のZnFe24ナノ粒子粉末は、Sigma・Aldrichから購入した(BETによって特徴付けられる直径<100nm)。200mgの粉末をセラミック製るつぼに装填し、CNTのCVD成長を上記のように基板ベース成長CVD炉内で行った。成長後、粉末を回収し、半セルで特性評価を受ける活物質として使用した。
図36及び37は、ZnFe24コアを有するウニ構造のSEM画像を示す。
図38は、ZnFe24コアを有するCNTSUを使用した半セル構成についての定電流サイクルの結果を示す。図39は、ZnFe24コアを有するCNTSUを使用した半セル構成についてのサイクルボルタンメトリーの結果を示す。
形状比較のために、NCAコアを有するウニ構造を製造した。市販のリチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(NCA)粉末を購入した。200mgの粉末をセラミックるつぼに装填し、CNTのCVD成長を上記のように基板ベース成長CVD炉内で行った。なお、この材料はカソード材料である。
図40、41及び42は、NCAコアを有するウニ構造のSEM画像を示す。
本発明を上記の例示実施形態と併せて説明してきたが、当業者であれば、この開示が与えられたときに、多くの均等の改変形態及び変形形態が明らかであろう。したがって、上記本発明の例示実施形態は例示的なものであり、限定的なものではないとみなされる。記載された実施形態に対する様々な変更を、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行うことができる。
上記及び/又は下記の全ての参考文献は、参照により本明細書で援用される。
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Claims (45)

  1. アノードと、カソードと、電解質とを含む電気化学装置であって、該アノード及び/又は該カソードは、コア粒子及びカーボンナノチューブを含む活物質を含み、該コア粒子は該装置中で電気化学的に活性であり、該コア粒子上に該カーボンナノチューブが固定されてナノ構造が形成されている電気化学装置。
  2. 前記カーボンナノチューブが前記コア粒子から成長する、請求項1に記載の電気化学装置。
  3. 前記カーボンナノチューブが前記コアに共有結合している、請求項1又は2に記載の電気化学装置。
  4. 前記コア粒子は、前記コア粒子から延びる前記コア粒子と一体形成された突起を有し、前記突起は、前記カーボンナノチューブ内に突出して前記コアに対して前記カーボンナノチューブを固定している、請求項1〜3のいずれかに記載の電気化学装置。
  5. 前記コア粒子は、1m2当たり平均して少なくとも1011個のカーボンナノチューブを前記コア粒子上に固定している、請求項1〜4のいずれかに記載の電気化学装置。
  6. 前記コア粒子は、1m2当たり平均して多くとも1017個のカーボンナノチューブをコア粒子上に固定している、請求項1〜5のいずれかに記載の電気化学装置。
  7. 前記材料は、前記コア粒子と前記カーボンナノチューブとの総重量で表して、少なくとも0.1重量%のカーボンナノチューブを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の電気化学装置。
  8. 前記材料は、前記コア粒子と前記カーボンナノチューブとの総重量で表して、99重量%以下のカーボンナノチューブを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の電気化学装置。
  9. 前記コア粒子が30nm〜50μmの範囲の直径を有する、請求項1〜8のいずれかに記載の電気化学装置。
  10. 前記粒子が30nm〜10μmの範囲の直径を有する、請求項1〜9のいずれかに記載の電気化学装置。
  11. Fe−Al−Li−Oの粒子を含むリチウムイオン電池用アノード活物質であって、Feが少なくとも10重量%〜多くとも約90重量%の量で存在し、Alが少なくとも0.1重量%〜多くとも90重量%の量で存在し、任意にLiが0重量%以上の量で存在し、ここで重量%はFe−Al−Li−Oの粒子の総質量に対して表されるリチウムイオン電池用アノード活物質。
  12. 半セル中のLi/Li+に対して測定したとき、多くとも1.8Vの平均放電電位を有する、請求項11に記載のアノード活物質。
  13. Alが少なくとも5重量%の量で存在する、請求項11又は12に記載のアノード活物質。
  14. Alが70重量%以下の量で存在する、請求項11〜13のいずれかに記載のアノード活物質。
  15. LiがFe−Al−Li−Oの粒子中に少なくとも0.1重量%の量で存在する、請求項11〜14のいずれかに記載のアノード活物質。
  16. 前記粒子が酸化リチウム及び金属鉄を含む、請求項11〜15のいずれかに記載のアノード活物質。
  17. 導電性添加剤をさらに含む、請求項11〜16のいずれかに記載のアノード活物質。
  18. 前記導電性添加剤が元素炭素を含む、請求項17に記載のアノード活物質。
  19. 前記導電性添加剤がカーボンナノチューブを含む、請求項17又は18に記載のアノード活物質。
  20. 前記Fe−Al−Li−O粒子がコア粒子であり、前記カーボンナノチューブが前記コア粒子上の一端に固定されてナノ構造を形成している、請求項19に記載のアノード活物質。
  21. 前記カーボンナノチューブが前記コア粒子から成長する、請求項20に記載のアノード活物質。
  22. 前記コア粒子は、1m2当たり平均して少なくとも1011個のカーボンナノチューブが前記コア粒子上に固定されている、請求項20又は21に記載のアノード活物質。
  23. 前記コア粒子は、1m2当たり平均して多くとも1017個のカーボンナノチューブが前記コア粒子上に固定されている、請求項20〜22のいずれかに記載のアノード活物質。
  24. 前記材料は、前記コア粒子と前記カーボンナノチューブとの総重量で表して、少なくとも0.1重量%のカーボンナノチューブを含む、請求項19〜23のいずれかに記載のアノード活物質。
  25. 前記材料は、前記コア粒子と前記カーボンナノチューブとの総重量で表して、99重量%以下のカーボンナノチューブを含む、請求項19〜24のいずれかに記載のアノード活物質。
  26. 前記粒子の直径が30nm〜50μmの範囲にある、請求項11〜25のいずれかに記載のアノード活物質。
  27. 前記粒子の直径が30nm〜10μmの範囲にある、請求項11〜25のいずれかに記載のアノード活物質。
  28. 前記粒子が非晶質Al−Fe−Oのマトリックスを含む、請求項11〜27のいずれかに記載のアノード活物質。
  29. 前記非晶質Al−Fe−Oのマトリックス中にAl−Fe−O微結晶が埋め込まれている、請求項28に記載のアノード活物質。
  30. 前記Al−Fe−O微結晶が、マグネタイトへのヘルシナイトの固溶体を含む、請求項29に記載のアノード活物質。
  31. 前記カーボンナノチューブがAl−Fe−O微結晶で前記コア粒子に結合している、請求項20を引用する請求項29又は請求項30に記載のアノード活物質。
  32. アノードと、カソードと、電解質とを含むリチウムイオン電池であって、
    (i)該リチウムイオン電池は請求項1〜10のいずれかに記載の電気化学装置を含み、又は
    (ii)前記アノードは請求項11〜31のいずれかに記載のアノード活物質を含む、
    リチウムイオン電池
  33. 請求項11〜31のいずれかに記載のアノード活物質の、リチウムイオン電池の充電及び放電のためのリチウムイオン電池のアノードにおける、カソード及び電解質と併せた使用。
  34. 充電中に、リチウムイオンが前記粒子に拡散し、酸化リチウム及び金属鉄が形成される変換反応及び/又は変換合金化反応が起こる、請求項33に記載の使用。
  35. リチウムイオン電池用アノード活物質の処理方法であって、
    Fe−Al−Li−Oの粒子を含む材料を準備し、ここで、Feが少なくとも10重量%〜多くとも90重量%の量で存在し、Alが少なくとも0.1重量%〜多くとも90重量%の量で存在し、任意にLiが0重量%以上の量で存在し、ここで重量%はFe−Al−Li−Oの粒子の総質量に対して表され;
    前記粒子中にリチウムイオンを拡散させ、それによって変換反応及び/又は変換合金化反応を介して酸化リチウム及び金属鉄を形成させること
    を含む方法。
  36. Fe−Al−Li−Oの粒子及びカーボンナノチューブを含む材料の層であって、Feが少なくとも10重量%〜多くとも90重量%の量で存在し、Alが少なくとも0.1重量%〜多くとも90重量%の量で存在し、任意にLiが0重量%以上の量で存在し、ここで重量%は該Fe−Al−Li−Oの粒子の総質量に対して表され、該Fe−Al−Li−Oの粒子はコア粒子であり、該カーボンナノチューブは該コア粒子上の一端で固定されてナノ構造が形成されている層。
  37. 前記材料の層が自己支持可能である、請求項36に記載の材料の層。
  38. 前記材料の層が、支持基板の存在なしに前記層上で測定して、少なくとも1MPaの引張強度を有する、請求項36又は37に記載の材料の層。
  39. コア粒子及びカーボンナノチューブを含むナノ構造の製造方法であって、該カーボンナノチューブは該コア粒子上の一端に固定されており、該方法は、
    少なくとも1種の金属塩及び可燃性成分の溶液を準備し;
    該溶液を噴霧乾燥して、該少なくとも1種の金属塩と該可燃性成分とを含む前駆体粒子を形成し;
    該前駆体粒子を燃焼熱処理して該可燃性成分を燃焼させ、該少なくとも1種の金属塩を金属酸化物、金属、又は金属と金属酸化物の混合物に変換し、それによってコア粒子を形成し;及び
    該コア粒子をカーボンナノチューブ成長条件に供して、該コア粒子から該カーボンナノチューブを成長させ、それによってナノ構造を形成すること
    を含む方法。
  40. 前記前駆体粒子を500℃以下の温度に設定された炉内で燃焼熱処理する、請求項39に記載の方法。
  41. 前記前駆体粒子が前記炉内において燃焼熱処理固体基板上で支持されている、請求項39又は40に記載の方法。
  42. 前記コア粒子が、カーボンナノチューブ成長中にカーボンナノチューブ成長固体基板上で支持されている、請求項39〜41のいずれかに記載の方法。
  43. 前記コア粒子は、前記可燃性成分の乾燥中及び/又は燃焼中に発生する1以上の空隙を含む、請求項39〜42のいずれかに記載の方法。
  44. 前記可燃性成分が前記溶液に可溶な炭素系材料である、請求項39〜43のいずれかに記載の方法。
  45. 前記可燃性成分が炭水化物材料である、請求項44に記載の方法。
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