JP6766603B2 - 車両荷室構造 - Google Patents

Description

本発明は、車両荷室構造に関する。

従来、車両荷室構造として下記特許文献１に記載のものが知られている。具体的には、車両荷室内の床板部材の上にラゲージマットが敷設されることで荷室の床面を構成し、その上に荷物等の搭載物が載置可能とされている。また、床面の形状として、荷物等を載置可能なスペースをより広く確保するために、後部座席の後方のみならずホイールハウス部の後方も床面とされている。従来は、そのような床面に倣った形状のラゲージマットが用いられていたが、昨今、荷室内における意匠性の観点や、また様々な車種に援用できるよう多様性の観点からも、各車種によって異なる複雑な床面の形状には倣わず、特に車幅方向における両側端部が車両前後方向に延びる直線状とされた、略矩形状のラゲージマットが採用される傾向にある。

特開２００１−２６０７５６号公報

このような略矩形状のラゲージマットを採用する場合、ラゲージマットの両側端部より荷室外側、つまりホイールハウス部の後方における床面は、荷室における両側壁に配されるラゲージサイドトリムの底面部によって構成されている。このため、敷設されたラゲージマットが車幅方向にずれるとその一端がラゲージサイドトリムの底面部の上に乗り上げてしまい、意匠性を損なうだけでなく使用感も劣ってしまう可能性がある。

そこで、ラゲージマットの位置ずれを防止すべく、例えば車両後方端部においてラゲージマットとラゲージサイドトリムの底面部との境界付近に突起を設ける等の対策も取られているが、そのような突起が荷物の出し入れ時の障害となったり、荷室内の意匠性を損なう原因となり得る。そこで、ユーザーの使用感や荷室内の意匠性・景観を損なわず、好適にラゲージマットの位置ずれ防止を実現可能な車両荷室構造が求められている。

本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ラゲージマットの位置ずれを好適に防止可能な車両荷室構造を提供することを目的とする。

上記課題を解決するために、本発明は、荷室床部材の上にラゲージマットが配されてなる車両荷室構造であって、前記ラゲージマットには、当該ラゲージマットを持ち上げる際に利用するマットハンドルが備えられており、前記マットハンドルは、前記ラゲージマットが前記荷室床部材の上に配された状態で前記ラゲージマットの下面よりも下方に位置する下方突出部を有し、前記荷室床部材において、前記マットハンドルに対向する位置には、前記ラゲージマットが前記荷室床部材の上に配された状態で前記マットハンドルの前記下方突出部を収容するハンドル収容用凹部が設けられていることを特徴とする。

このような車両荷室構造によると、マットハンドルは、ラゲージマットが荷室床部材の上に配された状態でラゲージマットの下面よりも下方に位置する下方突出部を有しているため、利用する部分を当該下方突出部内に収めることができ、ラゲージマットの上面側に突出物が存在しないように構成できる。つまりラゲージマットの上面をフラットに保つことが可能となる。また、ラゲージマットが荷室床部材の上に配された状態で、このラゲージマットに備えられたマットハンドルの下方突出部が、ラゲージマット下の荷室床部材に設けられたハンドル収容用凹部内に収容されることにより、つまりは下方突出部とハンドル収容用凹部が嵌合されることにより、ラゲージマットの位置ずれを防止することができる。

上記車両荷室構造において、前記マットハンドルは、その上面部が前記ラゲージマットの上面と略面一とされる一方、その下面部が前記下方突出部を備えることで、前記ラゲージマットよりも厚みを増したものとされ、前記ハンドル収容用凹部は上方を向く凹部とされ、前記ハンドル収容用凹部内の凹側壁に、前記下方突出部の側壁が当接可能とされているものとすることができる。

このような車両荷室構造によると、ラゲージマットに備えられたマットハンドルにおける下方突出部の側壁が、ハンドル収容用凹部内の凹側壁に当接可能とされているため、仮にラゲージマットが車両側方にずれかけても、これら側壁同士が当接することでラゲージマットの移動を規制し、ずれ防止が実現可能となる。特に、ラゲージマットの下面側でこのようなずれ防止対策を行っているため、ラゲージマットの上面側の荷室容量に影響を及ぼさない。また、マットハンドルという比較的小さな箇所で位置ずれを規制しているため、ラゲージマットの位置ずれを数ミリ単位内に収めることが可能となる。

上記車両荷室構造において、前記荷室床部材は、工具類を収容するための収容トレイとされるものとすることができる。このような車両荷室構造によると、通常ラゲージマットの下に配されることが多い収容トレイにハンドル収容用凹部を設けるだけでラゲージマットのずれ防止を実現可能とし、既存の部材以外に新たな部材を用いる必要がないためコスト面でも優れる。また、ハンドル収容用凹部を設ける位置によっては、トレイに収容されている工具類が取り出しやすくなるというメリットもある。

上記車両荷室構造において、前記マットハンドルは、上側となる蓋部材と下側となる受け部材とを含む構成とされ、前記蓋部材は、前記受け部材に対して開閉可能な状態で取り付けられているものとすることができる。このような車両荷室構造によると、マットハンドルが、上側となる蓋部材と下側となる受け部材とを含む構成による開閉式とされていることにより、蓋部材と受け部材とが上下に重畳するため、例えば開閉式でないタイプのマットハンドルに比べてその上下方向における厚みが稼がれることとなる。特に、蓋部材の閉状態においてラゲージマットの上面側の荷室容量に影響を及ぼさないような構成としようとすると、必然的にその分受け部材が下方に配され、下方突出部における側壁が下方へと延びるため、ハンドル収容用凹部内の凹側壁とラップする面積が増すことで、より確実にマットハンドルがハンドル収容用凹部内に収容される。

本発明によれば、ラゲージマットの位置ずれを好適に防止可能な車両荷室構造を提供することができる。

本発明に係る車両荷室構造を備えた車両の後部を上方かつやや左寄りから視た一部切欠斜視図（ラゲージドアは省略） 図１における車両荷室内のラゲージマットを取り外した状態を示す図 ラゲージマットが備えるマットハンドル部分の拡大図（蓋部材の閉状態） 図１及び図３におけるＡ−Ａ線断面図 図３におけるマットハンドルの蓋部材の開状態を示す図

本発明の車両荷室構造の一例について、図１乃至図５を用いて説明する。なお、図１乃至図３、及び図５における紙面左上を車両前方とし、右下を車両後方として説明する。
図１は、本発明に係る車両荷室構造を備えた車両１の後部を上方かつやや左寄りから視た一部切欠斜視図である。図１に示すように、車両後部にはラゲージルーム１０が設けられており、車両後方ドア（図示せず）を開けた状態で車両後部開口１１からラゲージルーム１０内へアクセス可能とされている。車両後部開口１１の開口縁１１Ｆには、ラゲージルーム１０を雨風や騒音等から守るためのシール部材であるオープニングトリム１２が環状に配されている。

ラゲージルーム１０内には、ラゲージルーム１０の床面１０Ｍを構成するラゲージマット１３が敷設されている。ラゲージマット１３は水平方向に沿って延在する板状をなし、その車幅方向における両側端部１３Ｓ，１３Ｓ（車両進行方向右側のみ図示）は車両前後方向に延びる直線状をなしている。また、ラゲージルーム１０の車幅方向における両側壁は、一対のラゲージサイドトリム１４，１４（車両進行方向右側のみ図示）によって構成されている。各ラゲージサイドトリム１４における底面部１５もまた水平方向に沿って延在する板状をなし、ラゲージルーム１０内の床面１０Ｍを構成しており、これらラゲージマット１３と各ラゲージサイドトリム１４の底面部１５とで構成される床面１０Ｍの上に荷物等の搭載物を載置可能とされている。

図２に示すように、このラゲージマット１３の下には収容トレイ２０（「荷室床部材」に相当）が配されている。収容トレイ２０にはツール収容用凹部２１が形成されており、ジャッキ２２等のツール類を所定の位置に収容できるようになっている。この収容トレイ２０の上にラゲージマット１３が配されて、ラゲージルーム１０の床面１０Ｍが構成されている。

ラゲージマット１３の車幅方向における略中央よりやや右寄り、かつ車両後方端部１３Ｒ寄りには、ラゲージマット１３を持ち上げる際に人員が指を引っ掛けて利用するマットハンドル３５０が備えられている。マットハンドル３５０は、図４，５に示すように、上側となり上面部をなす蓋部材３０と、下側となり下面部をなす受け部材５０とを含む構成とされ、各部材の車両後方端部３０Ｒ，５０Ｒがヒンジ部３１５を介して互いに連結されている。つまり、蓋部材３０は、受け部材５０に対して開閉可能な状態で取り付けられる構成となっている。

受け部材５０は板状部材であり、平板部５１の平面視内方であって車両前方側には下方に凹む凹部５２が設けられている。凹部５２は、車両前方壁５４と車両後方壁５６とこれらを繋ぐ両側壁５５，５５と底壁部５７とによって形成されており、本願発明における「下方突出部」に相当する。凹部５２は、ラゲージマット１３が収容トレイ２０の上に配された状態でラゲージマット１３の下面１３Ｄよりも下方に突出する構成とされている（図４参照）。

蓋部材３０も板状部材とされ、平板部３１の平面視内方であって車両前方側、かつ上述した受け部材５０における凹部５２に相当する位置には、指を引っ掛けて利用する部分である操作孔３２が車両上下方向に貫通形成されている。車両後方に立つ人員がこの操作孔３２に指を挿入して持ち上げるように操作することで、操作孔３２を有するマットハンドル３５０を備えているラゲージマット１３を持ち上げることができるような構成とされている。

操作孔３２の孔縁は、蓋部材３０の閉状態における車両前方縁３４がわずかに下方に延びているのに対し、車両後方縁３６からは、受け部材５０における凹部５２の底壁部５７に向かって延びる車両後方壁３６Ｋが形成されており、この車両後方壁３６Ｋの高さは、凹部５２の深さに略相当するものとされている。操作孔３２の両側縁３５，３５は、これら車両前方縁３４と車両後方縁３６を連結するような形状とされている。車両後方壁３６Ｋの先端３８には、操作孔３２とは反対方向、つまり蓋部材３０の閉状態における車両後方向きに延びるフランジ部３９が設けられている。これにより、人員は操作孔３２に指を挿入してマットハンドル３５０の蓋部材３０のみを持ち上げ、フランジ部３９を車両後方開口１１のオープニングトリム１２における上側に引っ掛けることが可能とされている。蓋部材３０を含むマットハンドル３５０はラゲージマット１３に備えられているため、このようにフランジ部３９による引っ掛けを利用してラゲージマット１３の持ち上げ状態を保持することができる。

図４に示すように、蓋部材３０の閉状態においては、マットハンドル３５０における上面部をなす蓋部材３０がラゲージマット１３の上面１３Ｕと略面一とされる一方、下面部をなす受け部材５０がラゲージマット１３の下面１３Ｄよりも下方に位置する凹部５２を備えることで、ラゲージマット１３よりも厚みを増したものとされている。

収容トレイ２０において、ラゲージマット１３が収容トレイ２０の上に配された状態でマットハンドル３５０に対向する位置には、マットハンドル３５０を構成する受け部材５０の凹部５２（下方突出部）を収容するハンドル収容用凹部２２が設けられている（図２，４参照）。ハンドル収容用凹部２２は、車両上方を向く凹部とされ、車両前方壁２４と車両後方壁２６とこれらを繋ぐ凹側壁２５，２５とを有している。図４に示すように、ハンドル収容用凹部２２内に受け部材５０の凹部５２が収容された状態で、ハンドル収容用凹部２２の凹壁部２５，２５に、受け部材５０における凹部５２の側壁５５，５５がそれぞれ当接可能な構成とされている。

これにより、収容トレイ２０の上に配されたラゲージマット１３が仮にずれたとしても、このラゲージマット１３が備えるマットハンドル３５０を構成する受け部材５０の凹部５２と、ラゲージマット１３下に配される収容トレイ２０のハンドル収容用凹部２２の嵌合状態が保たれるため、ラゲージマット１３のずれは、ハンドル収容用凹部２２内での凹部５２の動きに限定され、それ以上のずれを防止することができる。つまり、ラゲージマット１３がずれて、例えばラゲージサイドトリム１４の底面部１５に乗り上げてしまう前に、受け部材５０における凹部５２の側壁５５が、収容トレイ２０におけるハンドル収容用凹部２２の凹壁部２５に当接するため、ラゲージマット１３の動きが抑制される。

以上、説明したような車両荷室構造によると、マットハンドル３５０は、ラゲージマット１３が荷室床部材２０の上に配された状態でラゲージマット１３の下面１３Ｄよりも下方に位置する下方突出部５２を有しているため、指を引っ掛けて利用する部分３２を当該下方突出部５２内に収めることができ、ラゲージマット１３の上面１３Ｕ側に突出物が存在しないように構成できる。つまりラゲージマット１３の上面１３Ｕを略フラットに保つことが可能となる。また、ラゲージマット１３が荷室床部材２０の上に配された状態で、このラゲージマット１３に備えられたマットハンドル３５０の下方突出部５２が、ラゲージマット１３下の荷室床部材２０に設けられたハンドル収容用凹部２２内に収容されることにより、つまりは下方突出部５２とハンドル収容用凹部２２が嵌合されることにより、ラゲージマット１３の位置ずれを防止することができる。

また、ラゲージマット１３に備えられたマットハンドル３５０における下方突出部５２の側壁５５，５５が、ハンドル収容用凹部２２内の凹側壁２５，２５に当接可能とされているため、仮にラゲージマット１３が車両側方にずれかけても、これら側壁同士（５５と２５）が当接することでラゲージマット１３の移動を規制し、ずれ防止が実現可能となる。特に、ラゲージマット１３の下面１３Ｄ側でこのようなずれ防止対策を行っているため、ラゲージマット１３の上面１３Ｕ側の荷室容量に影響を及ぼさない。また、マットハンドル３５０という比較的小さな箇所で位置ずれを規制しているため、ラゲージマット１３の位置ずれを数ミリ単位内に収めることが可能となる。

また、通常ラゲージマット１３の下に配されることが多い収容トレイ２０にハンドル収容用凹部２２を設けるだけでラゲージマット１３のずれ防止を実現可能とし、既存の部材以外に新たな部材を用いる必要がないためコスト面でも優れる。また、ハンドル収容用凹部２２を設ける位置によっては、トレイ２０に収容されている工具類２２が取り出しやすくなるというメリットもある。

また、マットハンドル３５０が、上側となる蓋部材３０と下側となる受け部材５０とを含む構成による開閉式とされていることにより、蓋部材３０と受け部材５０とが上下に重畳するため、例えば開閉式でないタイプのマットハンドルに比べてその上下方向における厚みが稼がれることとなる。特に、蓋部材３０の閉状態においてラゲージマット１３の上面１３Ｕ側の荷室容量に影響を及ぼさないような構成としようとすると、必然的にその分受け部材５０が下方に配され、下方突出部５２における側壁５５，５５が下方へと延びるため、ハンドル収容用凹部２２内の凹側壁２５，２５とラップする面積が増すことで、より確実にマットハンドル３５０がハンドル収容用凹部２２内に収容される。

＜その他の実施形態＞
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
（１）上記実施形態では、荷室床部材として収容トレイにハンドル収容用凹部を設けたが、例えばラゲージルーム後方に配されるフィニッシュプレートにそのような凹部を設けても本願発明の効果は発揮される。
（２）ラゲージマットを持ち上げる際に利用するマットハンドルは、上記の構成に限らず、例えば指先と掌で把持できるような構成のものであっても良い。

１…車両、１３…ラゲージマット、１３Ｄ…ラゲージマットの下面、２０…収容トレイ（荷室床部材）、２２…ハンドル収容用凹部、５０…受け部材、５２…凹部（下方突出部）、３５０…マットハンドル

Claims (4)

1. 荷室床部材の上に荷室の床面を構成するラゲージマットが配されてなり、
   前記荷室の車幅方向における両側壁が一対のラゲージサイドトリムにより構成されるとともに、前記一対のラゲージサイドトリムが備える水平方向に沿って延びた各底面部が、前記荷室の車幅方向における両端の床面を構成するものとされ、
   前記ラゲージマットにより構成される床面と前記ラゲージサイドトリムの底面部により構成される床面とが隣り合う形で前記荷室の床面を構成する車両荷室構造であって、
   前記ラゲージマットには、当該ラゲージマットを持ち上げる際に利用するマットハンドルが備えられており、
   前記マットハンドルは、前記ラゲージマットが前記荷室床部材の上に配された状態で前記ラゲージマットの下面よりも下方に位置する下方突出部を有し、
   前記荷室床部材において、前記マットハンドルに対向する位置には、前記ラゲージマットが前記荷室床部材の上に配された状態で前記マットハンドルの前記下方突出部を収容するハンドル収容用凹部が設けられており、
   前記下方突出部は、車両前方壁と車両後方壁とこれらを繋ぐ側壁と底壁部とによって形成されており、
   前記ハンドル収容用凹部は、車両前方壁と車両後方壁とこれらを繋ぐ凹側壁とを有しており、
   前記下方突出部が前記ハンドル収容用凹部内に収容された状態では、前記側壁が前記凹側壁に当接可能とされることで、前記ラゲージマットが前記ラゲージサイドトリムの底面部に乗り上げることを抑制していることを特徴とする車両荷室構造。
2. 前記マットハンドルは、その上面部が前記ラゲージマットの上面と略面一とされる一方、その下面部が前記下方突出部を備えることで、前記ラゲージマットよりも厚みを増したものとされ、
   前記ハンドル収容用凹部は上方を向く凹部とされ、
   前記ハンドル収容用凹部内の凹側壁に、前記下方突出部の側壁が当接可能とされていることを特徴とする請求項１に記載の車両荷室構造。
3. 前記荷室床部材は、工具類を収容するための収容トレイとされることを特徴とする請求項１又は請求項２に記載の車両荷室構造。
4. 前記マットハンドルは、上側となる蓋部材と下側となる受け部材とを含む構成とされ、
   前記蓋部材は、前記受け部材に対して開閉可能な状態で取り付けられていることを特徴とする請求項１から請求項３のいずれか一項に記載の車両荷室構造。

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