JP6766571B2 - エアロゾル成膜装置、及びエアロゾル成膜方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エアロゾル成膜装置、及びエアロゾル成膜方法に関するものである。
エアロゾル成膜法は、固体粒子を気体と混合してエアロゾル化し、減圧チャンバー内で基板に向けて噴射、堆積する方法であり、セラミックスのような脆性があり焼結温度が高い材料であっても常温で固体皮膜が形成できるという特徴がある。
従来のエアロゾル成膜装置の代表的な構成について図4を参照して説明する。エアロゾル成膜装置100は、原料粉末102を収容したエアロゾル生成器としてのエアロゾル化室104と、エアロゾル化室104に媒体ガスを供給するガス供給部106と、エアロゾル化室104に接続されたスリットノズル108と、スリットノズル108に基板110を対向して配置した成膜室112とを備える。ガス供給部106は、巻き上げガス供給口114と、調整ガス供給口116を通じて、媒体ガスをエアロゾル化室104に供給する。エアロゾル化室104において原料粉末は、巻き上げガス供給口114から供給される媒体ガスによって舞い上がる。原料粉末に含まれる固体粒子の一部がエアロゾルとして浮遊する。効率的に原料粉末を舞い上がらせると共に、固体粒子の凝集を抑制するため、原料粉末は予め乾燥処理される場合が多い。本図に示すエアロゾル成膜装置100は、加熱して原料粉末に含まれる水分を減らすため、エアロゾル化室104を加熱するヒータ118を備える。またエアロゾル成膜装置100は、原料粉末を効率的に舞い上がらせるため、エアロゾル化室104を振動させる振動手段を備える場合がある。本図に示すエアロゾル成膜装置100は、調整ガス供給口116から供給される媒体ガスにより、エアロゾルの濃度と流量とを調整することができる。
エアロゾルは、真空ポンプ120で減圧された成膜室112とエアロゾル化室104の差圧により搬送管122に吸引され、スリットノズル108から噴射される。スリットノズル108から噴射されたエアロゾルは、基板110に衝突し、固体粒子が堆積することにより固体皮膜124が成膜される。基板ホルダ126が平面方向(図4中X,Y方向)に移動することにより、固体皮膜124はノズル口より大きな面積で均一に形成される。
上記固体皮膜が形成されるメカニズムは、種々の説がある。例えば、特許文献1には、「超微粒子脆性材料の破壊強度以上の大きさの機械的衝撃力を負荷して粉砕して前記超微粒子脆性材料同士を接合させる」衝撃固化現象が開示されている。固体粒子を粉砕するのに十分な速さを得るために、成膜室は減圧されている必要がある。成膜室が減圧されていることによって噴射ノズルから噴射されるエアロゾル中の固体粒子は減速が抑制され、衝撃により破壊、変形がおこり、新生面が出来て成膜されると考えられている。
特許文献2には、原料粉末粒子の帯電が重要な役割を果たしていると記載されている。一方、特許文献3には、粒子の帯電は、粒子同士の凝集を助長し成膜を阻害するため、エアロゾルを除電することによって、1次粒子を高い割合で含むエアロゾルを安定して生成及び供給することができ、緻密且つ強固で、欠損部分の少ない高品質な固体皮膜を安定して形成することが可能になると記載されている。
エアロゾル成膜法は、上述した長所がある一方、成膜効率が低いという課題があり、応用は極めて限定されている。
成膜に寄与する固体粒子の直径は、概ね1μm以下とされている。本明細書では、粒径が1μm以下の成膜に寄与する固体粒子を皮膜形成粒子、粒径が1μm以上の固体粒子を粗大粒子と呼ぶ。粗大粒子のうち、1次粒子を粗大1次粒子、ファンデルワールス力、水分による水素結合、静電気による静電力によって凝集して粗大化した固体粒子を凝集粒子と呼ぶ。1次粒子とは、金属結合、共有結合、イオン結合などで強固に結合した粒子の単位である。
原料粉末は、皮膜形成粒子の割合が高い方が好ましい。ところがこのような微細な固体粒子を多く含む原料粉末は、水分や静電力によって凝集し凝集粒子になり易い。凝集粒子は、大きな粒子として振る舞い、エアロゾルが形成できなかったり、基板に到達しても成膜されなかったりする等、原料歩留まりが低下する傾向にある。また凝集粒子は、高速で基板に衝突することにより、固体皮膜の膜厚を超える大きさの凹凸を形成し、基板に損傷を与える。さらに凝集粒子が巻き込まれた固体皮膜は、局所的に強度の小さい領域や、周囲に空隙を生じさせて強度や密度が低下した領域などができ、膜の機械的特性や電気的特性が低下する。
現在のエアロゾル成膜は、噴射ノズルから原料固体粒子を直接基板に吹き付けることが殆どであるが、噴射ノズルと基材との間に構造物を配置して成膜する方法が考案されている。
特許文献4には、「使用する超微粒子材料の粒径がサブμmオーダーのため、超微粒子膜の膜厚が最初に基板に付着する超微粒子の粒径に近くになり、サブμmオーダーの膜厚の薄膜を得ることは困難であったのに対し、この時に生じる超微粒子の機械的粉砕効果を用いて、新生表面を持つ活性化された超微粒子を生成し、これを基板に堆積させることで、結晶組織の微細なサブμmオーダー以下の薄膜形成を実現する」ことを目的とし、「基板上に脆性セラミックス材料の超微粒子によって膜厚サブμmオーダー以下の薄膜を形成する場合に、減圧された成膜チャンバー内に反射面と基板とを配置し、材料微粒子をエアロゾル化して反射面に衝突させてから基板上に付着させることを特徴とする超微粒子薄膜の形成方法」により、「成膜の起こらないダイアモンドなどの非常に硬度の高い反射面に吹き付け、この時に生じる超微粒子の機械的粉砕効果を用いて、新生表面を持つ活性化されたナノメーターオーダーの超微粒子を生成し、これを基板に堆積させる」という効果が得られると記載されている。
特許文献5では、「ノズルと基材支持手段との間にノズルから噴射した微粒子流束のうちの外周部にあたる速度の遅い流束成分の一部または全部を前記基材に到達させないようにするための変向板を備え、変向板が金属材料及び/または無機材料からなる基体の少なくとも前記流束成分が当たる側にDHv2が40以上80以下の樹脂、グリース、ワックス、ワセリン、ロウ、エラストマー、動物性油脂の群から選ばれる少なくとも1種の材料で被覆した素材で構成した」エアロゾル成膜方法が提案されている。
特許文献6では、「ノズルと基板との間に配置され、ノズルから噴射された原料粉を通過させることにより、原料粉の流れの方向を調整するガイド手段を具備する成膜装置。」が考案されている。
特許文献7では、「エアロゾルをエアロゾル噴射ノズルより噴射させ、回転部材の円周曲面に一次衝突させ、回転部材の円周曲面から反射したエアロゾル中のセラミックス微粒子を、前記基材の表面にマスクを介して二次衝突させてセラミックス被膜を形成する」方法が考案されている。これは特許文献4を改良したもので、「反射面から反射された微粒子の速度は反射面以上の速度にならず、またマスクを介さないために、微粒子の飛翔速度は揃わず、成膜後の膜の均一性が不足するという問題」を解決しようとしたものである。
特許第3265481号公報 特許第5669328号公報 特許第4920912号公報 特許第3558970号公報 特開2005−238156号公報 特開2007−162077号公報 特開2008−7804号公報
上記特許文献4は、結晶組織の微細な膜厚1μm以下の薄膜を形成する場合は有効であるが、膜厚1μm以上の膜を形成するのは困難であった。
上記特許文献5,6は、噴射ノズルから噴射された固体粒子が直接成膜されるため、粗大粒子が基材に衝突した場合、膜質、基材に対する問題が生じやすい。
上記特許文献7は、硬質の回転部材の円周曲面に微粒子を衝突させ、セラミックス微粒子塊を解砕する効果を利用するので、膜厚の厚い膜を形成するのは困難である。また微粒子を回転部材で大きく散乱させ、更にスリットを通すことから、原料粉末の歩留まりが損なわれる。
本発明は、より均一な固体皮膜を成膜することができるエアロゾル成膜装置を提供することを目的とする。
本発明に係るエアロゾル成膜装置は、固体粒子が媒体ガス中に分散したエアロゾルを生成するエアロゾル生成器と、前記エアロゾルを噴射するスリット状の吐出口を有するスリットノズルと、前記スリットノズルと基材の間であって、前記スリットノズルから噴射される前記エアロゾルの気流の方向を前記基材に向かう方向に変えるように配置された防御板とを備え、前記防御板は、前記スリットノズルに対向した対向面が樹脂で形成されており、前記固体粒子に含まれる粗大粒子が前記基材に到達するのを防ぐことを特徴とする。
本発明に係るエアロゾル成膜方法は、固体粒子を含む原料粉末と媒体ガスを混合してエアロゾルを生成する工程と、前記エアロゾルを噴射し、噴射されたエアロゾルの気流の方向を変えて基材上に前記固体粒子を堆積させる工程とを備え、噴射されたエアロゾルの気流の方向を変えることにより、前記固体粒子に含まれる粗大粒子が前記基材に到達するのを防ぐことを特徴とする。
本発明によれば、噴射されたエアロゾルの気流の方向を変更することにより、粗大粒子が基材に到達することを防止できるので、より均一な固体皮膜を成膜することができる。
本実施形態に係るエアロゾル成膜装置の構成を示す模式図である。 基材表面が円形である場合の説明に供する模式図である。 実施例で用いたエアロゾル成膜装置の構成を示す模式図である。 従来のエアロゾル成膜装置の全体構成を示す模式図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態における特徴的部分について詳細に説明する。なお、エアロゾル生成器や、ガス供給部などは従来と同様であるので、説明を省略する。
1.全体構成
エアロゾル成膜装置は、図1に示すように、基材としての基板16に向かって配置されたスリットノズル14と、スリットノズル14と基板16の間に配置された防御板18とを有する。基板16は、本図には図示しないが、成膜室に固定された基板ホルダに保持されている。
スリットノズル14は、図中Y方向を長手方向とするスリット状の吐出口を有する。スリットノズル14の吐出口は、噴射方向と直交する開口面が長方形、または相対する1組の長辺が平行、他の1組の短辺が曲線であるレーストラック型をしている。
スリットノズル14は、吐出口の長手方向が基板16表面に平行に配置されるのが好ましい。これにより基板16上に成膜される固体皮膜の厚さや膜質を、スリットノズル14の長手方向において一定に保つことができる。
エアロゾルは、固体粒子を含む原料粉末と媒体ガスを混合することにより、固体粒子が媒体ガス中に分散した状態をいう。原料粉末は、酸化物、窒化物、炭化物等のセラミックスや、銅、アルミニウム、ステンレス等の金属、樹脂の固体粒子が含まれる。原料粉末は、単一の物質である場合に限られず、複数の物質を含んでいてもよい。固体粒子の粒径は、材質によるが、1次粒子径が最大で10μm以下、好ましくは5μm以下であり、中心径が1μm以下であるのが好ましい。
媒体ガスは、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素、空気、水素等が挙げられるが、原料粉末、並びに媒体ガスの水分量は低い方が望ましい。
スリットノズル14から噴射されるエアロゾルの流量、成膜室の真空度、及びこれらとスリットノズル14の形状によって決定されるエアロゾルの流速は、粒径が1μm以下の皮膜形成粒子が基板16に到達し得るように、決定される。
例えば、スリットノズル14に供給されるエアロゾルは、スリットノズル14の開口面積にもよるが、一般的には1〜100L/min.であり、スリットノズル14の開口面積が0.15mmの場合、1〜15L/min.であることが望ましい。エアロゾルに含まれる固体粒子の濃度は0.002〜0.2g/Lであることが望ましい。
噴射されたエアロゾルに含まれる固体粒子が、十分かつ適度な速度で基板16に到達して堆積するには、成膜室の圧力は10〜1000Paであるのが好ましい。
防御板18は、スリットノズル14から噴射されたエアロゾルの気流の方向を基板16に向かう方向に変えるように配置される。防御板18は、スリットノズル14に対向する面(以下、「対向面」という)20が平坦であり、当該対向面20がスリットノズル14の吐出口の長手方向に対し平行に配置される。スリットノズル14の長手方向の全範囲にわたって、スリットノズル14の吐出口と防御板18、防御板18と基板16の相対位置関係が一定に保持される。
対向面20の材質は、ゴムを含む樹脂である必要があり、固体粒子に比べ硬度が低いことが好ましい。防御板18の材質は、特に限定されないが、少なくとも対向面20が樹脂である必要がある。樹脂としては、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、及びウレタン樹脂のいずれか1種から選択するのがより好ましい。防御板18は、金属製の板本体と、当該板本体の表面を覆う樹脂層とを有することとしてもよい。防御板18は、本図には図示しない保持部によって、着脱自在に保持されている。保持部の材質は特に限定されず、金属でもよい。
防御板18は、吐出口の開口面を当該開口面に垂直に投影した投影面が、対向面20内にあるように配置されるのが好ましい。上記投影面が、対向面20内にあることにより、吐出口から噴射されたエアロゾルの気流をより確実に基板16に向かうように変えることができる。上記投影面が、対向面20内にない場合、吐出口から噴射されたエアロゾルが、防御板18の後方の基板16に直接到達することになり、本実施形態の効果を得ることが困難になる。
エアロゾル成膜装置は、図示しないが、基板16又はスリットノズル14を移動する駆動部を備えることとしてもよい。駆動部は、基板16又はスリットノズル14を、吐出口の長手方向に対し垂直方向であって前記基板16表面に対し平行(図中X方向)に移動する。エアロゾル成膜装置は、吐出口の長手方向とほぼ同じ幅で、駆動部によって基板16又はノズルが移動した長さ分の基板16表面を成膜することができる。
さらに駆動部は、基板16又はスリットノズル14を、吐出口の長手方向及び前記基板表面に対し、平行に移動することとしてもよい。吐出口の長手方向に基板16又はスリットノズル14を移動することにより、吐出口の長手方向より大きい幅の基板16を成膜することができる。
スリットノズル14と防御板18は、エアロゾル中の皮膜形成粒子を基板16に到達させると共に、粗大粒子が基板16に到達することを防止できるように配置する。
スリットノズル14は、吐出口の開口面に対する法線15と、前記基板16表面に対する法線17とのなす角度αが10度以上80度以下となるように配置されるのが好ましい。
防御板18は、吐出口の開口面に対する法線15と、防御板18の対向面20とのなす角度βが0度超、α/2±10度以下であり、吐出口の開口面に対する法線15と前記防御板18の表面の交点21から、前記基板16表面までの距離Lが20mm以下となるように配置されるのが好ましい。防御板18の位置が、上記範囲内であることにより、成膜効率を向上することができる。
角度αが上記範囲内であると、角度βとの関係で、スリットノズル14から噴射される皮膜形成粒子を含むエアロゾルが十分、かつ効率的に基板16に送られる。
角度αが上記下限値より小さいと角度βも小さくなり、基板16に送られるエアロゾルの流速は大きくなるが、粗大粒子が基板16に到達することを防止する効果が低下する。角度αが上記上限値より大きいと角度βも大きくなり、基板16に送られるエアロゾルの流速は小さくなり、散乱も大きくなるため原料歩留まりが低下する。
角度βがα/2±10度の範囲内にあることにより、角度αとの関係で、基板16表面に対しエアロゾルの主たる気流の方向が直交するため、成膜効率上、最も好ましい。角度βが0度以下であると、防御板18の対向面20とエアロゾルの気流の方向が平行、又はエアロゾルが対向面20に接触しないため、エアロゾルの気流の方向を基板16に向かうように変えることができない。角度βがα/2±10度の範囲を超えると、成膜効率が低下する。
2.動作及び効果
減圧された成膜室と、スリットノズル14の配管内との差圧に基づき、スリットノズル14からエアロゾルが噴射する。スリットノズル14から噴射したエアロゾルは、防御板18によって、気流の方向を変え、基板16に到達する。
エアロゾルに含まれる皮膜形成粒子は、慣性力が小さいので、防御板18において方向を変えたエアロゾルの気流に乗って、基板16に衝突する。上記のようにしてエアロゾル成膜装置は、固体粒子を基板16上に堆積させ、基板16又はスリットノズル14を移動することにより、基板16上に固体皮膜を形成する。
エアロゾルに含まれる粗大粒子は、対向面20に衝突して運動エネルギーを失うため基板16に到達しない。この効果は、対向面20が原料粉末より硬度の低い材質で形成されていることでより大きくなる。また、対向面20が樹脂であることにより、粗大粒子は対向面20に堆積し難くなる。対向面20に衝突し、基板16に到達せず、対向面20に堆積もしない粗大粒子は、最終的に落下する。このように対向面20において粗大粒子をエアロゾルから除去することにより、防御板18は、粗大粒子が基板16に到達することを防止する。特に対向面20の材質が、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、及びウレタン樹脂のいずれか1種である場合、銅、アルミニウム等の金属や、アルミナ、ジルコニア、窒化珪素のような酸化物、窒化物などの固体粒子が付着しにくいため、エアロゾル成膜装置は、長時間にわたって成膜することができる。
エアロゾル成膜装置は、粗大粒子が基板16に到達するのを防ぐことにより、より均一な固体皮膜を成膜することができる。エアロゾル成膜装置は、粗大粒子が基板16に到達するのを防ぐことができるので、粗大粒子とその周りで生じやすい空隙による強度等の機械的特性や、絶縁性、導電性などの電気的特性の欠損を防止することができる。
原料粉末を直接基板に噴射する従来のエアロゾル成膜装置の場合、粗大粒子が基板へ到達するのを防止するには、原料粉末中の粗大粒子を極力減らす必要がある。例えば、粗大1次粒子が少なくなるよう、遊星型ボールミル等を使用して入念に原料粉末を粉砕しなければならない。また凝集粒子の発生を防ぐには、水分や静電気対策を行う必要が生じる。
これに対して本実施形態のエアロゾル成膜装置は、エアロゾルに含まれる粗大粒子を防御板18によって除去できることから、従来のエアロゾル成膜装置に比較して原料粉末の調整に必要な労力とコストを削減することができる。
エアロゾル成膜装置は、防御板18に固体粒子が付着しにくいため、長時間にわたって成膜することができるので、基板16上に1μm超、さらに10μm以上の厚さの固体皮膜を形成することができる。
因みに、防御板の対向面が金属やセラミックスなどの部材である場合、噴射されたエアロゾル中の例えば粗大粒子は、慣性力が大きいため、対向面に衝突して微細な粒子に破壊されると共に対向面上に堆積する。防御板が金属で、粗大粒子が金属、もしくはアルミナや窒化珪素のような、酸化物、窒化物セラミックスである場合は、特に堆積しやすい。更に、防御板ががアルミナや二酸化珪素であっても、対向面上に成膜されてしまい、長時間成膜することができず、目的とする厚さの固体皮膜を形成することができない。
防御板18は、粗大粒子が衝突することによって対向面20が損傷した場合など、必要に応じ、保持部から取り外して交換することができる。粗大粒子は対向面20の寿命を低下させるので、原料粉末に含まれる粗大粒子は少ない方が望ましい。
以上で示した条件の下、例えば窒化珪素の原料粉末で、基材として銅基板に固体皮膜として窒化珪素絶縁膜を形成する場合、ポリイミド樹脂の対向面20を有する防御板18を用いることにより、原料粒子が粗大粒子を含んでいても、粗大粒子が銅基板に到達することを防ぐことができる。したがって、エアロゾル成膜装置は、銅基板上に大きな凹凸を形成することなく、1μmを超える、更には10μm以上の膜厚で絶縁膜を形成できる。形成される固体皮膜は、銅基板との密着性が良好であり、粒径0.5μm以下の結晶粒を含む緻密な組織が得られる。
因みに従来のエアロゾル成膜装置で成膜する場合、防御板18を有しないので、原料粉末を微細にして粒度分布を制御しないと良質な絶縁膜が得られない。また原料粉末における粗大粒子の含有量が多いと、柔らかい銅基板表面に大きな凹凸を生じさせるなどの損傷を与える。形成された膜は、後続の粗大粒子のブラスト効果によって、はぎ取られてしまう。このように従来のエアロゾル成膜装置では、銅基板に均一な窒化珪素絶縁膜を形成することが困難であった。
また例えば、銅の原料粉末で、基材としてアルミナ基板に固体皮膜を形成する場合、テフロン(登録商標)樹脂の対向面20を有する防御板18を用いることにより、原料粒子が粗大粒子を含んでいても、粒径0.5μm以下の結晶粒を含む緻密な組織を有し、アルミナ基板との密着力も高い、厚さ10μm以上の固体皮膜を形成できる。因みに従来のエアロゾル成膜装置で成膜する場合、防御板18を有しないので、粗大粒子がアルミナ基板に到達してしまい、固体皮膜がポーラス状となる。
3.変形例
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。
上記実施形態の場合、基材として基板を用いた場合について説明したが本発明はこれに限らない。基材は、立方体、円筒、円柱などの立体形状を有する部材にも適用できる。図2に示す円筒又は円柱の基材30における角度αについて説明する。エアロゾル成膜装置は、スリットノズル14からエアロゾルを噴射しながら、回転中心22を軸として基材30を回転させることにより、周面全体に固体皮膜を形成する。
吐出口の開口面に対する法線15が、対向面20において鏡面反射して到達した基材30表面の位置を被成膜中心部24とする。当該被成膜中心部24及び基材30の回転中心22を通る直線26を、基材30表面に対する法線とする。当該直線26と、吐出口の開口面に対する法線15とのなす角度をαとする。防御板18は、当該角度αが10度以上80度以下となるように配置されるのが好ましい。角度βは、上記実施形態と同様、防御板18の対向面20とのなす角度である。防御板18は、角度βが0度超、α/2±10度以下であり、吐出口の開口面に対する法線15と前記防御板18の対向面20の交点から、前記基材30表面までの距離Lが20mm以下となるように配置されるのが好ましい。防御板18を上記の範囲内に配置することにより、上記実施形態と同様の効果が得られる。
4.実施例
以下、本実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、これは本発明の例を示すものであり、本発明は実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
銅基板上に窒化珪素の固体皮膜を形成し、形成された固体皮膜を評価した。試験に使用したエアロゾル成膜装置は市販の装置((有)渕田ナノ技研製、形式:GD−AE24/NS)、及びこれを改良した装置を使用した。装置の基本構成は図4に示した通りである。原料粉末としては市販のベータ型窒化珪素(デンカ(株)製、品番:SN-F1)を使用した。原料粉末のメディアン径は、2.5μmであり、粒径1μm以下の粒子が占める割合は15%である。使用した銅基板は厚さ1mmの無酸素銅(C1020)であり、表面粗さRzは、2.3μmであった。
始めに、比較として市販の装置をそのまま使用して成膜を行った。使用したスリットノズルは、吐出口の長手方向長さが5mm、短手方向の長さが0.3mmである。図には示していないがスリットノズルは角度と高さを変えられる機構が設けられている。銅基板は、基板ホルダに固定され、吐出口の長手方向に対し垂直方向に駆動する。スリットノズルは、基板表面の垂直方向に対して30度傾け、スリットノズル先端から銅基板表面までの距離を10mmとした。エアロゾル化室に投入した原料粉末は200gで、真空中で2時間、ヒーターで150℃に加熱した後、成膜を開始した。
媒体ガスは窒素ガスを使用し、成膜室をロータリーポンプとメカニカルブースターポンプで真空引きしながら、巻上ガスを8L/min、調整ガスを3L/min.、を送り、エアー振動機を使用してエアロゾル化室を振動させて、エアロゾルを生成、スリットノズルからエアロゾルを噴射させた。
その間、銅基板を固定した基板ホルダを1mm/sで吐出口の長手方向に対し垂直方向に30mmの長さで25往復させた。すなわち、銅基板の5×30mmの領域に50回成膜したことになる。成膜中のエアロゾル化室の圧力は1×10Paであり、成膜室の真空度は約100Paであった。
以上のようにして銅基板上に成膜された窒化珪素の固体皮膜を観察したところ、スリットノズルの通過した5×30mmの領域は変色して、固体皮膜が形成されていたが、ところどころに銅色を呈している部分が観察された。また、固体皮膜が一部剥離したような部分も見られた。テスターで成膜領域の電気特性を確認したところ、全体に導通が見られた。
次いで基板断面を鏡面研磨して走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で成膜部分を観察した。銅基板上に窒化珪素粒子が付着していたが、銅基板は成膜前の表面粗さ(Rz2.3μm)より大きい高さ3μmを超えた凹凸があり、その凹部に窒化珪素粒子が滞留した形で成膜されていた。凹部には長径が1μmを超える粒子が埋め込まれていた部分もあった。銅基板の凸部で成膜されず銅が露出した部分を含めると平均膜厚は1μmに満たなかった。
次に本実施例のエアロゾル成膜装置となるように、スリットノズル近傍を図3のように改良して試験を行った。使用したスリットノズル14は比較の試験で使用したものと同じである。スリットノズル14には、固定ボルト35と、関節ボルト38と、固定治具36とを有する保持部34を使用して防御板18を固定した。防御板18のスリットノズル14に対する角度は、関節ボルト38を緩めることによって、自由に変えることができる。
図3では省略しているが、スリットノズル14は、角度と高さを変えられる機構が設けられている。対向面20の大きさは、10×10mmであり、対向面20内に吐出口の開口面を当該開口面に垂直に投影した投影面が配置されるのに十分な大きさである。防御板18及び保持部34の主たる材質はアルミニウムであり、対向面20には銅より硬度の低いポリイミド樹脂のテープを張り付けた。
角度αは、比較と同じ30度とした。角度βは10度とした。吐出口の開口面から当該開口面に対する法線と前記防御板18の表面の交点までの距離を5mm、当該交点から前記基板表面までの距離を5mmとした。スリットノズル14と防御板18の配置を除く、他の成膜条件は比較の成膜条件と全く同じとした。
以上のようにして銅基板に成膜された窒化珪素の固体皮膜を観察したところ、色が変わって見える成膜領域は比較の方法で作製した皮膜よりやや広かった。スリットノズルの通過した5×30mmの領域は、特に濃く変色して、窒化珪素が成膜されていた。5×30mmの領域内で、銅色を呈している部分や剥離した部分は観察されなかった。テスターで成膜領域の電気特性を確認したところ、5×30mmの領域に渡って、導通は認められなかった。
次いで基板断面を鏡面研磨してSEMで成膜部分を観察した。観察試料を作成する過程で、基板をダイヤモンドカッターで切断しても、切断面において固体皮膜の基板からの剥離は認められなかった。基板表面と直交する観察断面において、スリットノズルが通過した領域では、銅基板上に厚さ10μmの固体皮膜が形成されていた。固体皮膜と銅基板の界面の凹凸は、成膜前の銅基板断面とほぼ同等であった。固体皮膜の組織は、厚さ方向に結晶粒が扁平した長径0.3μm以下の微細粒で構成された緻密な組織を呈していた。X線回折(XRD:X-ray diffraction)で銅基板上の固化膜を調べた結果、固体皮膜はベータ窒化珪素と同定された。
比較の成膜方法において、固体皮膜と銅基板の界面が、成膜前より荒れていたこと、固体皮膜が剥離して銅の表面が露出したこと、膜厚が厚くならなかったのは、成膜に寄与しない原料粉末中の粗大粒子が基板表面に衝突して、基板や形成された固体皮膜に損傷を与えたためである。
これに対し実施例に係るエアロゾル成膜装置では、防御板が成膜に寄与しない原料粉末中の粗大粒子をエアロゾルから除去し、当該粗大粒子が基板に到達するのを防ぐと共に、皮膜形成粒子をエアロゾルの気流に乗せて基板まで到達させたので、成膜した窒化珪素の膜厚が厚く、組織が均質で緻密であった。
(実施例2)
アルミナ基板上に銅の固体皮膜を形成し、形成された固体皮膜を評価した。実施例1との変更点について主に説明する。試験に使用したエアロゾル成膜装置は市販の装置((有)渕田ナノ技研製、形式:GD−AE24/NS)、及びこれを改良した装置を使用した。装置の基本構成は図4に示した通りである。原料粉体としては市販の銅粉(福田金属箔粉工業(株)製、品番:Cu-HQW)を使用した。原料粉末のメディアン径は、1.6μmであり、粒径1μm以下の粒子が占める割合は23%である。使用したアルミナ基板は厚さ0.8mm、純度99.9%のアルミナ(日本ファインセラミックス製)である。
始めに、比較として市販の装置をそのまま使用して成膜を行った。スリットノズルは、基板表面の垂直方向に対し角度を0度として、スリットノズル先端から基板表面までの距離を15mmとした。エアロゾル化室に投入した原料粉末は300gで、真空中で2時間、ヒーターで150℃に加熱した後、成膜を開始した。
媒体ガスは窒素ガスを使用し、成膜室をロータリーポンプとメカニカルブースターポンプで真空引きしながら、巻上ガスを3L/min、調整搬送ガスを7L/min.を送り、エアー振動機を使用してエアロゾル化室を振動させて、エアロゾルを生成、スリットノズルからエアロゾルを噴射させた。
その間、アルミナ基板を固定した基板ホルダを5mm/sで吐出口の長手方向に対し垂直方向に長さ25mm駆動し、その後吐出口の長手方向に対し平行方向に1mm駆動した後、長手方向に対し反対の垂直方向に駆動する動作を35回繰り返す動作を1セットとして、5セット繰り返した。すなわち、アルミナ基板の25×25mmの領域に25回成膜したことになる。成膜中のエアロゾル化室の圧力は8.9×10Paであり、成膜室の真空度は約81Paであった。
以上のようにしてアルミナ基板上に成膜された固体皮膜を観察したところ、スリットノズルの通過した25×25mmの領域は銅色に変色して、厚い銅の固体皮膜が成膜されていた。次いで基板断面を鏡面研磨してSEMで成膜部分を観察した。アルミナ基板上の銅の固体皮膜は35μmの厚さであったが、多孔質であり、1.5μm以上の銅粒子も多数含まれており、特に大きな粒子の周囲で大きい気孔があった。
次に上記実施例1と同様の本実施例のエアロゾル成膜装置を用いて試験を行った。防御板及び保持部の主たる材質はアルミニウムであり、吐出口と対向する対向面には、石英とフッ素樹脂を用意した。石英の硬度は銅より高い。
角度αは、45度とした。角度βは22.5度とした。吐出口の開口面から当該開口面に対する法線と前記防御板の表面(対向面20)の交点までの距離を5mm、当該交点から前記基板表面までの距離を10mmとした。スリットノズルと防御板の配置を除く、他の成膜条件は比較の成膜条件と全く同じとした。
始めに石英製の対向面で試したところ、対向面への銅の付着が激しく、対向面に凸部が生じ、アルミナ基板方向にエアロゾルが流れなくなり、長時間成膜を続けることができなかった。次いでフッ素樹脂製の対向面を使用したところ、対向面に銅が付着せず、最後まで成膜することができた。
以上のようにして、フッ素樹脂製の対向面を有する防御板を使用して、アルミナ基板に成膜された銅の固体皮膜を観察したところ、色が変わって見える成膜領域は比較の方法で作製した皮膜よりやや広かった。スリットノズルの通過した25×25mmの領域は特に厚く成膜されていた。
次いで基板断面を鏡面研磨してSEMで成膜部分を観察した。観察試料を作成する過程で、基板をダイヤモンドカッターで切断しても、切断面において固体皮膜の基板からの剥離は認められなかった。基板表面と直交する観察断面において、スリットノズルが通過した領域では、アルミナ基板上に25μmの厚さの固体皮膜が形成されていた。固体皮膜の組織は、厚さ方向に結晶粒が扁平した長径0.5μm以下の微細粒で構成された緻密な組織を呈していた。
比較の成膜方法において、銅が多孔質体になったのは、原料粉末に含まれる成膜に適さない粗大粒子も基板に到達した結果、固体皮膜に巻き込まれて成膜されたためである。
これに対し実施例に係るエアロゾル成膜装置では、粗大粒子は防御板に衝突して基板に到達せず、皮膜形成粒子のみが、エアロゾルの気流に乗って基板まで到達し、成膜されたため、組織が均質、かつ緻密になったと考えられる。
(実施例3)
銅基板上にアルミナの固体皮膜を形成し、成膜に適した装置の構成条件を調べた。実施例1との変更点について主に説明する。試験に使用したエアロゾル成膜装置は市販の装置((有)渕田ナノ技研製、形式:GD−AE24/NS)を改良した装置を使用した。装置の基本構成は実施例1、及び実施例2と同じである。原料粉末としては市販のアルミナ(昭和電工(株)製、品番:AL−160SG−3)を使用した。原料粉末のメディアン径は、0.5μmであり、粒径1μm以下の粒子が占める割合は90%である。使用した銅基板は厚さ1mmの無酸素銅(C1020)であり、表面粗さRzは、2.3μmであった。
防御板及び保持部の主たる材質はアルミニウムであり、対向面は硬質ウレタンとした。硬質ウレタンの硬度は、原料粉末のアルミナより非常に低い。
角度α(度)、角度β(度)、吐出口の開口面から当該開口面に対する法線と前記防御板の表面の交点までの距離を5mm、当該交点から前記基板表面までの距離をd(mm)として、成膜されたアルミナの固体皮膜の厚さと組織を調べた。
エアロゾル化室に投入した原料粉末は200gで、真空中で2時間、ヒーターで150℃に加熱した後、成膜を開始した。
媒体ガスはヘリウムガスを使用し、成膜室をロータリーポンプとメカニカルブースターポンプで真空引きしながら、巻上ガスを5L/min、調整搬送ガスを18L/minを送り、エアー振動機を使用してエアロゾル化室を振動させて、エアロゾルを生成、スリットノズルからエアロゾルを噴射させた。
その間、銅基板を固定した基板ホルダを1mm/sで吐出口の長手方向に対し垂直方向に30mmの長さで25往復させた。すなわち、銅基板の5×30mmの領域に50回成膜したことになる。成膜中のエアロゾル化室の圧力は6×10Paであり、成膜室の真空度は約70Paであった。
固体皮膜の観察は成膜した面の中央部を基板の表面と垂直に切断して、鏡面研磨して走査型電子顕微鏡で観察した。以上のようにして、試験を行った結果を表1に示す。表1にはエアロゾル装置のパラメータα、β、dの値に対するアルミナ皮膜の厚さを示した。
Figure 0006766571
得られたアルミナの固体皮膜は全て緻密であり、剥離も認められなかった。角度αとdの条件が同じ場合、α=β/2、すなわちエアロゾルの主たる流れの方向が基板面上の成膜面に直交するときに膜厚が厚く、成膜効率が高いことがわかった。また、dは小さい方が膜厚が厚く、成膜効率が高いことがわかった。角度αが10度で番号6の条件で得られた試料は最も厚い固体皮膜が得られた。番号6の条件の試料には、結晶粒が0.5μm以上のやや大きな粒径の結晶粒を含み、その周囲で小さな気孔が認められたが、全体として緻密な固体皮膜であった。
本試験は、使用したアルミナ原料粉末の粒度が細かく粒度分布が適したものである上、媒体ガスに軽いヘリウムガスを使用したため、エアロゾルの流速を上げることができる。本試験で用いた原料粉末及び媒体ガスは、防御板を使用しなくても厚い固体皮膜を形成できる条件である。番号6の条件は、エアロゾルの入射角度が浅く、防御板を使用しない条件に近い条件であったため固体皮膜にやや大きい粒径の結晶粒が含まれたと考えられるが、防御板を使用したため全体として緻密な固体皮膜が得られた。
14 スリットノズル
15 法線
16 基板(基材)
17 法線
18 防御板
20 対向面
21 交点
22 回転中心
24 被成膜中心部
26 直線(法線)
30 基材

Claims (4)

  1. 固体粒子が媒体ガス中に分散したエアロゾルを生成するエアロゾル生成器と、
    前記エアロゾルを噴射するスリット状の吐出口を有するスリットノズルと、
    前記スリットノズルと基材の間であって、前記スリットノズルから噴射される前記エアロゾルの気流の方向を変えるように配置された防御板と
    を備え、
    前記吐出口の長手方向は前記基材表面に平行に配置され、
    前記防御板の表面は前記吐出口の長手方向に平行に保持され、
    前記吐出口の開口面に対する法線と、前記基材表面に対する法線とのなす角度αが10度以上80度以下であり、
    前記吐出口の開口面に対する法線と、前記防御板の表面とのなす角度βが0度超かつα/2±10度以下であり、
    前記吐出口の開口面に対する法線と、前記防御板の表面の交点から、前記基材表面までの距離が20mm以下であり、
    前記防御板は、前記スリットノズルに対向した対向面が樹脂で形成されており、前記固体粒子に含まれる粗大粒子が前記基材に到達するのを防ぐ
    ことを特徴とするエアロゾル成膜装置。
  2. 記基材を、前記吐出口の長手方向に対し垂直方向であって前記基材表面に対し平行に移動する駆動部と
    前記防御板を保持する保持部と
    を備える
    ことを特徴とする請求項1記載のエアロゾル成膜装置。
  3. 前記対向面の材質が、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、及びウレタン樹脂のいずれか1種であることを特徴とする請求項1又は2記載のエアロゾル成膜装置。
  4. 固体粒子を含む原料粉末と媒体ガスを混合してエアロゾルを生成する工程と、
    スリット状の吐出口を有するスリットノズルから前記エアロゾルを噴射し、防御板により噴射されたエアロゾルの気流の方向を変えて基材上に前記固体粒子を堆積させる工程と
    を備えるエアロゾル成膜方法であって
    前記防御板は、前記スリットノズルと前記基材の間に配置され、前記スリットノズルに対向した対向面が樹脂で形成されており、
    前記吐出口の長手方向は前記基材表面に平行に配置され、
    前記防御板の表面は前記吐出口の長手方向に平行に保持され、
    前記吐出口の開口面に対する法線と、前記基材表面に対する法線とのなす角度αが10度以上80度以下であり、
    前記吐出口の開口面に対する法線と、前記防御板の表面とのなす角度βが0度超かつα/2±10度以下であり、
    前記吐出口の開口面に対する法線と、前記防御板の表面の交点から、前記基材表面までの距離が20mm以下であり、
    噴射されたエアロゾルの気流の方向を変えることにより、前記固体粒子に含まれる粗大粒子が前記基材に到達するのを防ぐことを特徴とするエアロゾル成膜方法。
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