JP6765628B2 - 導光板 - Google Patents

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Description

本発明は、導光板に関し、特に、エッジライト型面発光装置に好適な導光板に関する。
従来から、液晶テレビ等に液晶表示装置が用いられている。液晶表示装置は、面発光装置と、この面発光装置の光出射面側に配置される液晶パネルとを備えている。面発光装置として、例えば、直下型とエッジライト型が知られている。
直下型面発光装置では、光源が、光出射面に対して反対側となる背面に配置される。光源として、発光ダイオード(Light Emitting Diode)等の点光源を用いる場合、明るさを補うために、多数のLEDチップが必要になり、輝度特性のばらつきが非常に大きくなる。
このため、現在では、エッジライト型面発光装置が主流になっている。エッジライト型面発光装置では、LED等の光源と、導光板と、反射膜等の反射層とを備えている。光源は、光出射面(表面)に対して直交方向となる端面に配置される。導光板は、光源からの光を端面から取り込み、全反射により内部に伝播させて、光出射面から面状に出射させるために配置される。導光板として、アクリル樹脂等の樹脂板が一般的に使用されている(特許文献1〜4参照)。反射層は、光出射面と対向する背面側に配置され、背面に抜けた光を反射させて、液晶パネル等の表示面を発光させるために配置される。なお、液晶パネル等の表示面を均一に発光させるために、導光板の光出射面側に、拡散層が配置される場合もある。
図1は、エッジライト型面発光装置1の一例を示す断面概念図である。エッジライト型面発光装置1は、LED等の光源2と、導光板3と、反射層4と、拡散層5とを備えている。光源2からの光は、導光板3の端面から入射し、導光板3の内部に伝搬する。光反射面6に達した光は、反射層4により反射し、光出射面7の方に進み、拡散層5により拡散する。結果として、拡散層5の上方に配置された液晶パネル等の表示面を均一に発光させることが可能になる。なお、光源2からの光を入射させる導光板3の端面とは反対側の端面に反射層を形成してもよい。
特開2012−123933号公報 特開2012−138345号公報 特開2012−216523号公報 特開2012−216528号公報
エッジライト型面発光装置では、光源から光が発生すると、熱が発生し、それに伴い、導光板の温度も上昇する。そして、導光板として樹脂板を用いる場合、導光板の熱による寸法変化は液晶パネルの寸法変化よりも大きくなる。この原因は、樹脂板の熱膨張係数が高いことによる。例えば、アクリル樹脂板の熱膨張係数は約700×10−7/℃である。そのため、従来までは、寸法変化の差に起因して不当な応力が発生しないように、液晶表示装置の額縁部分に空隙を設けて、導光板の寸法変化を補正していた。
しかし、近年、液晶表示装置の狭額縁化により、導光板の寸法変化を液晶表示装置の額縁部分で補正し難くなっている。
また、導光板として樹脂板を用いる場合、光源からの光が端面から入射して光出射面に抜ける際に、光量が減殺される。結果として、表示装置の輝度特性が低下し易くなる。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、その技術的課題は、温度上昇に伴い、寸法変化が生じ難く、且つ表示装置の輝度特性を低下させ難い導光板を創案することである。
本発明者は、鋭意検討の結果、導光板として、温度変化による寸法変化が小さいガラス板を採択すると共に、ガラス板中のRhの含有量を低減して、ガラス板の透過率を所定範囲に規制することにより、上記技術的課題を解決し得ることを見出し、本発明として提案するものである。すなわち、本発明の導光板は、少なくともガラス板を有し、ガラス板中のRhの含有量が質量で1ppm未満であり、且つガラス板の光路長100mm、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率と最小透過率の透過率差が12%以下であることを特徴とする。ここで、「光路長100mm、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率と最小透過率」は、市販の透過率測定装置で測定可能であり、例えば、島津製作所社製UV−3100PCにより測定可能である。なお、「透過率」は、特段の明示がない限り、数式1により算出される内部透過率を指す。
[数式1]
logTin=log(I/I)−logR
logTin:内部透過率(%)
:入射した光の強度(%)
:特定の光路長を透過した後の光の強度(%)
R:反射による光の減衰率(%)
液晶パネル等の表示パネルは、一対のガラス板間に、液晶素子等の表示素子を挟み込んだ構造を有している。そこで、導光板としてガラス板を採択すると、表示パネルと導光板の寸法変化の差が小さくなり、液晶表示装置等の表示装置の狭額縁化に適正に対応することができる。
本発明者は、可視域におけるガラス板の透過率差が小さいと、表示装置の輝度特性が向上することを見出した。更に、本発明者は、ガラス板中のRhが波長450nm付近の吸収に大きく影響を及ぼし、その含有量を低減すると、可視域におけるガラス板の透過率差を好適に低下し得ることを見出した。これらの知見に基づき、本発明では、ガラス板中のRhの含有量を質量で1ppm未満に規制すると共に、ガラス板の光路長100mm、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率と最小透過率の透過率差を12%以下に規制することにより、表示装置の輝度特性を顕著に高めている。
第二に、本発明の導光板は、ガラス板中のFeの含有量が質量で50ppm未満であり、且つガラス板の光路長100mm、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率が85%以上であることが好ましい。ガラス板中のFeの含有量を低減すれば、ガラス板の光路長100mm、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率を高めることができる。Feは、ガラス中でFe3+又はFe2+の状態で存在する。Fe3+は、波長380nm付近に吸収ピークを持ち、紫外域、短波長側の可視域における透過率を低下させる。Fe2+は、波長1080nm付近に吸収ピークを持ち、長波長側の可視域における透過率を低下させる。よって、Feの含有量が多くなると、光路長100mm、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率が低下し易くなる。ガラス板は、一般的に、ガラス原料や製造工程中から多量のFeが混入している。よって、従来のガラス板は、Feの含有量が多いため、表示装置の輝度特性を高めることが困難である。そこで、ガラス板中のFeの含有量を質量で50ppm未満に規制すると、表示装置の輝度特性を高めることができる。なお、本発明でいう「Fe」は、2価の酸化鉄と3価の酸化鉄を含み、2価の酸化鉄は、Feに換算して、取り扱うものとする。他の酸化物についても、同様にして、表記の酸化物を基準にして取り扱うものとする。
第三に、本発明の導光板は、ガラス板中のCrの含有量が質量で5ppm以下であることが好ましい。本発明者の調査によると、ガラス板中のCrは波長630nm付近の吸収に大きく影響を及ぼし、その含有量を低減すると、可視域におけるガラス板の透過率差を有効に低下させることができる。
第四に、本発明の導光板は、ガラス板の一方の表面(好ましくは光出射面)にドット模様が印刷されていることが好ましい。このようにすれば、光出射面から出射する光を面内で均一化し易くなる。
第五に、本発明の導光板は、ドット模様のドットの直径が、光源からの光が入射すべき端面から離間するにつれて、漸次大きくなっていることが好ましい。このようにすれば、光出射面から出射する光を面内で均一化し易くなる。
第六に、本発明の導光板は、ガラス板の端面(好ましくは光源からの光が入射すべき端面)の平均表面粗さRaが0.5μm以下であることが好ましい。このようにすれば、光源からの光が端面に入射した時に、光ロスを低減し易くなる。
第七に、本発明の導光板は、光源からの光が入射すべき端面以外の端面の全部又は一部に反射層が形成されていることが好ましい。このようにすれば、ガラス板の内部に伝搬した光が端面から漏れ難くなる。
図2は、本発明の導光板の一例を示す概念斜視図である。図2に示すように、導光板10は、ガラス板11を備えている。光源12からの光は、ガラス板11の端面13から入射して、ガラス板11の内部を伝搬して、光出射面から出射することになる。ここで、ガラス板11中のRhの含有量は質量で1ppm未満であり、且つガラス板11の光路長100mm、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率と最小透過率の透過率差は12%以下になっている。また、ガラス板11の光出射面と対向する背面14には、ドット模様15が形成されている。そして、ドット模様15のドットの直径は、端面13から端面16に向かうに従って、漸次大きくなっている。このドット模様15により、光出射面から出射する光が面内で均一化される。更に、ガラス板の端面16、17、18には、反射層19がそれぞれ形成されている。そして、ガラス板の端面16、17、18に到達した光は、反射層19により反射されて、ガラス板11の内部に戻り、最終的には光出射面から出射することになる。
また本発明のガラス板11を複数枚接合して使用することも可能である。例えば、ガラス板11を2枚準備し、一方のガラス板11の端面17に反射層を形成せず、また他方のガラス板11の端面18に反射層を形成せず、両者の反射層を形成していない端面同士を屈折率が整合した透明接着剤で接合することによって、大面積の導光板を作製することが可能である。
第八に、本発明の導光板は、ガラス板が、ガラス組成として、質量%で、SiO 40〜80%、Al 1〜15%、B 0〜20%、NaO 0〜20%、MgO 0〜10%、CaO 0〜15%、SrO 0〜15%、BaO 0〜35%を含有することが好ましい。このようにすれば、ガラス板の熱膨張係数が低下し易くなる。
第九に、本発明の導光板は、ガラス板の熱膨張係数が120×10−7/℃以下であることが好ましい。ここで、「熱膨張係数」は、ディラトメーターを用いて、JIS R3102に基づき、30〜380℃における平均熱膨張係数を測定した値を指す。
第十に、本発明の導光板は、エッジライト型面発光装置に用いることが好ましい。
第十一に、本発明のガラス板は、光路長500mm、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率が93%以上であることを特徴とする。
第十二に、本発明のガラス板は、Rhの含有量が質量で1ppm未満であり、且つFeの含有量が質量で10ppm以下であることが好ましい。
第十三に、本発明のガラス板は、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率と最小透過率の透過率差が6%以下であることを特徴とする。
第十四に、本発明のガラス板は、ガラス組成中にCrとFeを含み、質量比Cr/Feが0.01〜0.13であることが好ましい。質量比Cr/Feを上記範囲に規制すれば、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率と最小透過率の透過率差を可及的に低減することができる。
第十五に、本発明のガラス板は、ガラス組成中のFeの含有量が質量で1〜10ppmであることが好ましい。
第十六に、本発明のガラス板は、光路長500mm、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率が93%以上であることが好ましい。
第十七に、本発明のガラス板は、光路長0.15mm、波長250nmにおける透過率が85%以上であることが好ましい。
エッジライト型面発光装置の一例を示す断面概念図である。 本発明の導光板の一例を示す概念斜視図である。 実施例2の欄における試料の光路長500mm、波長範囲400〜750nmにおける透過率曲線を示すデータである。 実施例3の欄における試料の板厚0.15mm、波長範囲200〜700nmにおける透過率曲線(内部透過率曲線)を示すデータである。 実施例3の欄における試料の板厚0.15mm、波長範囲200〜700nmにおける外部透過率曲線を示すデータである。
本発明の導光板において、ガラス板の光路長100mm、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率と最小透過率の透過率差は、好ましくは12%以下、10%以下、8%以下、6%以下、5%以下、特に4%以下である。透過率差が大き過ぎると、表示装置の輝度特性が低下し易くなる。
光路長100mm、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率は、好ましくは88%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、特に99%以上である。最大透過率が低過ぎると、表示装置の輝度特性が低下し易くなる。
光路長200mm、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率は、好ましくは86%以上、88%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、特に99%以上である。最大透過率が低過ぎると、表示装置の輝度特性が低下し易くなる。
光路長500mm、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率は、好ましくは85%以上、86%以上、88%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、特に99%以上である。最大透過率が低過ぎると、表示装置の輝度特性が低下し易くなる。
本発明の導光板において、ガラス板の光路長100mm、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率は85%以上であり、好ましくは87%以上、88%以上、89%以上、特に90%以上である。最大透過率が低過ぎると、表示装置の輝度特性が低下し易くなる。
ガラス板中のRhの含有量は質量で1ppm未満であり、好ましくは0.8ppm以下、0.6ppm以下、0.01〜0.5ppm、0.05〜0.4ppm、特に0.1〜0.3ppmである。Rhの含有量が多過ぎると、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率と最小透過率の透過率差が過大になり易い。なお、Rhの含有量が少な過ぎると、ガラス製造設備に高強度のPt−Rh合金を使用し難くなり、ガラス板の製造コストが高騰する。
Rhの含有量を可及的に低減するには、高純度ガラス原料を用いたり、Rhが混入しないようにガラス製造条件を調整したり、ガラス製造設備におけるPt−Rh合金の使用箇所を減らせばよい。
ガラス板中のCrの含有量は、好ましくは質量で5ppm以下、4ppm以下、3ppm以下、0.1〜1.5ppm、0.2〜1ppm、特に0.3〜0.8ppmである。Crの含有量が多過ぎると、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率と最小透過率の透過率差が過大になり易い。なお、Crの含有量が少な過ぎると、原料コスト、ガラス板の製造コストが高騰する。
ガラス板中のFeの含有量は、好ましくは質量で50ppm以下、40ppm以下、30ppm以下、28ppm以下、25ppm以下、22ppm以下、20ppm以下、18ppm以下、15ppm以下、12ppm以下、10ppm以下、8ppm以下、6ppm以下、特に1〜5ppmである。Feの含有量が多過ぎると、光路長100mm、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率が低下し易くなる。なお、Feの含有量が質量で1ppmより少なくなると、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率と最小透過率の透過率差を小さくすることが困難になる。
波長範囲400〜750nmにおいて、波長550nm付近の透過率は相対的に高く、波長400nm付近と波長750nm付近の透過率は相対的に低くなり易い。このため、波長550nm付近の透過率を若干低下させつつ、波長400nm付近と波長750nm付近の透過率を高めると、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率と最小透過率の透過率差を可及的に小さくすることができる。本発明者の調査によれば、Feを少量(好ましくは質量で1〜10ppm、特に2〜5ppm)含有させると、波長範囲400〜750nmにおける全体の透過率を全体的に高めつつ、波長550nm付近の透過率を僅かに低下させることができ、更にCrの含有量を低減すると、波長400nm付近と波長750nm付近の透過率を高めることができる。上記知見を踏まえると、質量比Cr/Feは、好ましくは0.01〜0.13、0.0125〜0.1、0.014〜0.06、特に0.0167〜0.0333である。質量比Cr/Feが上記範囲外になると、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率と最小透過率の透過率差が大きくなり易い。
CrとFeの含有量を可及的に低減するには、高純度ガラス原料を用いたり、ガラス原料にCrとFeが混入しないように設計された原料調合設備等を使用すればよい。但し、CrとFeを極端に低減しようとすると、原料コストや生産コストが高騰するという問題が生じる。
本発明の導光板では、ガラス板中のV、NiO、MnO、Nd、CeO、Erの含有量を可及的に低減することが好ましい。
ガラス板中のVの含有量は、好ましくは0.03質量%以下、0.02質量%以下、0.015質量%以下、0.01質量%以下、0.005質量%以下、特に0.003質量%以下である。Vの含有量が多過ぎると、光路長100mm、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率が低下し易くなる。
ガラス板中のNiOの含有量は、好ましくは0.03質量%以下、0.02質量%以下、0.015質量%以下、0.01質量%以下、0.005質量%以下、特に0.003質量%以下である。NiOの含有量が多過ぎると、光路長100mm、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率が低下し易くなる。
ガラス板中のMnOの含有量は、好ましくは0.03質量%以下、0.02質量%以下、0.015質量%以下、0.01質量%以下、0.005質量%以下、特に0.003質量%以下である。MnOの含有量が多過ぎると、光路長100mm、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率が低下し易くなる。
ガラス板中のNdの含有量は、好ましくは0.03質量%以下、0.02質量%以下、0.015質量%以下、0.01質量%以下、0.005質量%以下、特に0.003質量%以下である。Ndの含有量が多過ぎると、光路長100mm、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率が低下し易くなる。
ガラス板中のCeOの含有量は、好ましくは0.03質量%以下、0.02質量%以下、0.015質量%以下、0.01質量%以下、0.005質量%以下、特に0.003質量%以下である。CeOの含有量が多過ぎると、光路長100mm、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率が低下し易くなる。
ガラス板中のErの含有量は、好ましくは0.03質量%以下、0.02質量%以下、0.015質量%以下、0.01質量%以下、0.005質量%以下、特に0.003質量%以下である。Erの含有量が多過ぎると、光路長100mm、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率が低下し易くなる。
本発明の導光板において、ガラス板の少なくとも一辺の寸法は、好ましくは1000mm以上、1500mm以上、2000mm以上、2500mm以上、特に3000mm以上である。このようにすれば、表示装置の大型化の要請を満たすことができる。
ガラス板の熱膨張係数は、好ましくは120×10−7/℃以下、95×10−7/℃以下、70×10−7/℃以下、60×10−7/℃以下、特に50×10−7/℃以下である。熱膨張係数が高過ぎると、表示パネルと導光板の熱による寸法変化の差が大きくなる。
ガラス板の歪点は、好ましくは460℃以上、480℃以上、500℃以上、520℃以上、530℃以上、550℃以上、特に590℃以上である。歪点が低過ぎると、ガラス板の耐熱性が低下し易くなり、例えば、ガラス板の表面又は端面に高温で反射膜、拡散膜等を成膜すると、ガラス板が熱変形し易くなる。ここで、「歪点」は、JIS R3103に基づいて測定した値である。
ガラス板は、ガラス組成として、質量%で、SiO 40〜80%、Al 1〜15%、B 0〜20%、NaO 0〜20%、MgO 0〜10%、CaO 0〜15%、SrO 0〜15%、BaO 0〜35%を含有することが好ましい。上記のように各成分の含有量を規制した理由を下記に示す。なお、各成分の含有範囲の説明において、%表示は質量%を意味する。
SiOは、ガラスのネットワークフォーマーとなる成分であり、熱膨張係数を低下させて、熱による寸法変化を低減する成分である。また耐酸性、歪点を高める成分である。SiOの好適な下限範囲は40%以上、60%以上、65%以上、67%以上、特に70%以上であり、好適な上限範囲は80%以下、78%以下、77%以下、75%以下、特に73%以下である。SiOの含有量が多くなると、高温粘性が高くなり、溶融性が低下すると共に、成形時にクリストバライトの失透ブツが析出し易くなる。一方、SiOの含有量が少なくなると、熱膨張係数が高くなって、熱による寸法変化が大きくなる傾向にある。また耐酸性、歪点が低下し易くなる。
Alは、熱膨張係数を低下させて、熱による寸法変化を低減する成分である。また、歪点を高めたり、成形時にクリストバライトの失透ブツの析出を抑える効果もある。Alの好適な下限範囲は1%以上、2%以上、5.5%以上、7%以上、特に10%以上であり、好適な上限範囲は15%以下、13%以下、特に12%以下である。Alの含有量が多くなると、液相温度が上昇して、ガラス板に成形し難くなる。一方、Alの含有量が少なくなると、熱膨張係数が高くなって、熱による寸法変化が大きくなる傾向にある。また歪点が低下し易くなる。
は、融剤として作用し、高温粘性を下げて、溶融性を改善する成分である。また熱膨張係数を低下させて、熱による寸法変化を低減する成分である。Bの好適な下限範囲は0%以上、3%以上、5%以上、7%以上、8%以上、特に10%以上であり、好適な上限範囲は15%以下、13%以下、特に12%以下である。Bの含有量が多くなると、歪点、耐酸性が低下し易くなる。一方、Bの含有量が少なくなると、熱膨張係数が高くなって、熱による寸法変化が大きくなる傾向にある。また溶融性が低下し易くなる。
NaOは、高温粘性を低下させて、溶融性を改善する成分である。NaOの好適な下限範囲は0%以上、3%以上、5%以上、6%以上、7%以上、特に10%以上であり、好適な上限範囲は20%以下、18%以下、16%以下、特に15%以下である。NaOの含有量が多くなると、熱膨張係数が高くなって、熱による寸法変化が大きくなる傾向にある。一方、NaOの含有量が少なくなると、溶融性が低下し易くなる。
MgOは、高温粘性を低下させて、溶融性を改善する成分である。MgOの好適な下限範囲は0%以上、0.05%以上、特に0.1%以上であり、好適な上限範囲は10%以下、6%以下、2%以下、1%以下、特に0.5%以下である。MgOの含有量が多過ぎると、成形時に失透ブツが析出し易くなる。
CaOは、歪点を低下させずに高温粘性のみを低下させて、溶融性を改善する成分である。CaOの好適な下限範囲は0%以上、0.5%以上、1%以上、特に2%以上であり、好適な上限範囲は15%以下、14%以下、13%以下、8%以下、特に5%以下である。CaOの含有量が多過ぎると、成形時に失透ブツが析出し易くなる。
SrOは、耐薬品性、耐失透性を高める成分である。SrOの好適な下限範囲は0%以上、0.1%以上、特に0.5%以上であり、好適な上限範囲は15%以下、10%以下、特に5%以下である。SrOの含有量が多くなると、密度が高くなったり、熱膨張係数が高くなって、熱による寸法変化が大きくなる傾向にある。また溶融性が低下し易くなる。
BaOは、耐薬品性、耐失透性を高める成分である。BaOの好適な下限範囲は0%以上、0.1%以上、特に0.5%以上であり、好適な上限範囲は35%以下、30%以下、20%以下、特に10%以下である。BaOの含有量が多くなると、密度が高くなったり、熱膨張係数が高くなって、熱による寸法変化が大きくなる傾向にある。また溶融性が低下し易くなる。
MgOとCaOの合量の好適な下限範囲は0%以上、0.1%以上、0.5%以上、特に1%以上であり、好適な上限範囲は10%以下、8%以下、5%以下、3%以下、特に2%以下である。MgOとCaOの合量が少な過ぎると、溶融性が低下し易くなる。一方、MgOとCaOの合量が多過ぎると、熱膨張係数と密度が不当に高くなり、また耐失透性が低下し易くなる。
SrOとBaOの合量の好適な下限範囲は0%以上、0.1%以上、1%以上、1.5%以上、特に2%以上であり、好適な上限範囲は35%以下、20%以下、10%以下、特に5%以下である。SrOとBaOの合量が少な過ぎると、溶融性が低下し易くなる。一方、SrOとBaOの合量が多過ぎると、熱膨張係数と密度が不当に高くなり、また耐失透性が低下し易くなる。
Rh、Cr、Fe、V、NiO、MnO、Nd、CeO及びErの好適な含有量等は、上記の通りである。
上記成分以外にも、他の成分を導入してもよい。例えば、液相温度を低下させるために、Y、La、Nb、Pを各3%まで、溶融温度を低下させるために、LiO、KO、CsOを各6%まで、清澄剤としてAs、Sb、SnO、SO、F、Cl等を合量で2%まで導入してもよい。但し、As、Sbは、環境負荷物質であり、またフロート法でガラス板を成形する場合、フロートバス中で還元されて金属異物となるため、実質的な導入を避けることが好ましく、具体的には、その含有量をそれぞれ0.01%未満とすることが好ましい。
本発明の導光板において、ガラス板は、オーバーフローダウンドロー法で成形されてなることが好ましい。このようにすれば、成形時にガラスリボンの表裏面の温度差、組成差が生じ難いと共に、未研磨で表面品位が良好なガラス板を成形し易くなり、結果として、導光板の製造コストの低廉化、輝度特性の均一化を図り易くなる。この理由は、オーバーフローダウンドロー法の場合、表面となるべき面が樋状耐火物に接触せず、自由表面の状態で成形されるからである。
なお、オーバーフローダウンドロー法以外にも、スロットダウンドロー法、フロート法、ロールアウト法、リドロー法等でガラス板を成形することもできる。なお、フロート法では、成形時にガラスリボンの表裏面の温度差、組成差が発生し易いが、成形時の温度制御を厳密に行うと、その温度差、組成差を低減することができる。
本発明の導光板は、ガラス板の一方の表面(好ましくは光出射面)にドット模様が印刷されていることが好ましく、ドット模様のドットの直径は、光源からの光が入射すべき端面から離間するにつれて、漸次大きくなっていることが更に好ましい。このようにすれば、光出射面から出射する光を面内で均一化し易くなる。なお、ドット模様は、例えば、ガラス板の表面に耐熱インク又はガラスフリットを印刷することにより形成することができる。
本発明の導光板において、ガラス板の端面(好ましくは光源からの光が入射すべき端面)の平均表面粗さRaは、好ましくは0.5μm以下、0.3μm以下、0.2μm以下、特に0.1μm以下である。このようにすれば、光源からの光が端面に入射した時に、光ロスを低減し易くなる。また端面に高品位の反射層を形成し易くなる。
例えば、ガラス板の端面を#2000の砥石で研磨すると、ガラス板の端面の平均表面粗さRaを可及的に低減することができる。また、ガラス板の端面をエッチングすると、研磨傷を発生させずに、ガラス板の端面の平均表面粗さRaを低減することができる。
ガラス板の端面は、面取り部を有していないことが好ましい。このようにすれば、光源からの光をガラス板の内部に取り込み易くなる。
本発明の導光板は、光源からの光が入射すべき端面以外の端面の全部又は一部に反射層が形成されていることが好ましく、光源からの光が入射すべき端面以外の端面の全部に反射層が形成されていることが特に好ましい。このようにすれば、ガラス板の内部に伝搬した光が端面から漏れ難くなる。なお、反射層として、端面に反射膜を直接成膜してもよいが、端面に反射シールを貼り付けてもよい。
本発明の導光板は、光出射面から出射する光を拡散させるために、光出射面に拡散板を貼り付けてもよく、光出射面に拡散層を形成してもよい。
本発明の導光板は、導光板の機能を併有させた表示パネルの基板としても活用することができる。このようにすれば、表示装置の部材構成を簡略化することができる。
本発明のガラス板は、光路長500mm、波長範囲400〜750nmにおける透過率が93%以上であることを特徴とする。また、本発明のガラス板は、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率と最小透過率の透過率差が6%以下であることを特徴とする。本発明のガラス板の技術的特徴は、本発明の導光板の説明欄に既に記載済みであるため、ここでは、詳細な説明を省略する。
本発明のガラス板において、光路長0.15mm、波長250nmにおける透過率は、好ましくは85%以上、88%以上、90%以上、92%以上、94%以上、95%以上、特に96%以上である。光路長0.15mm、波長250nmにおける透過率が低過ぎると、殺菌、殺ウイルスが必要な用途に展開し難くなる。
以下、実施例に基づいて、本発明を説明する。但し、以下の実施例は、単なる例示である。本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
表1は、本発明の実施例(試料No.1〜4)を示している。
まず表中のガラス組成になるように、ガラス原料を調合したガラスバッチを白金坩堝に入れた後、1200〜1450℃で24時間溶融した。ガラスバッチの溶解に際しては、白金スターラーを用いて攪拌し、均質化を行った。次いで、溶融ガラスをカーボン板上に流し出して、板状に成形した後、徐冷点付近の温度で30分間徐冷した。得られた各試料について、30〜380℃の温度範囲における熱膨張係数CTE、歪点Ps、波長範囲400〜700nmにおける最大透過率及び最小透過率を評価した。
30〜380℃の温度範囲における熱膨張係数CTEは、ディラトメーターを用いて、JIS R3102に基づき、30〜380℃における平均熱膨張係数を測定した値である。歪点は、JIS R3103に基づいて測定した値である。
最大透過率と最小透過率は、島津製作所社製UV−3100PCにより測定した値である。
以上の結果から、試料No.1〜4は、歪点が高いため、耐熱性が高く、樹脂板に比べて熱膨張係数が低いため、温度上昇に伴い、寸法変化が生じ難く、且つ波長範囲400〜750nmにおける最大透過率と最小透過率の透過率差が小さい。よって、試料No.1〜4は、導光板、特にエッジライト型面発光装置に用いる導光板として好適であると考えられる。
まずガラス組成として、質量%で、SiO 69%、Al 5.8%、B 10.2%、CaO 3.1%、NaO 10.7%、ZnO 0.9%、SnO 0.3%を含有するように、ガラス原料を調合、混合した後、連続溶融炉内で溶融して、溶融ガラスを得た。次に、得られた溶融ガラスをオーバーフローダウンドロー法にて板状に成形、徐冷した後、所定寸法に切断すると共に、端面の表面粗さRaを0.3μmに研磨することにより、ガラス板を得た。ここで、ガラス板の作製に当たり、ガラス板中のRhの含有量が0.2ppm未満、Feの含有量が質量で5ppm、Crの含有量が0.1ppm未満になるように、ガラス原料として、Fe等の着色不純物が少ない高純度ガラス原料を使用すると共に、ガラス板の製造設備からガラス中にRh等の着色成分が混入しないように設計されたガラス製造設備を使用した。
得られたガラス板について、日立ハイテクサイエンス社製UH4150を用いて、光路長150mm、波長範囲400〜750nmにおける透過率を実測した後、光路長500mmの内部透過率に換算したところ、光路長500mm、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率は99%であり、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率と最小透過率の透過率差は3%であった。また、光路長500mm、波長範囲400〜750nmでの透過率曲線を図3に示す。
更に、得られたガラス板について、上記の方法にて、30〜380℃の温度範囲における熱膨張係数CTEを測定したところ、66.3×10−7/℃であり、歪点を測定したところ、536℃であった。
以上の結果から、このガラス板を有する導光板は、温度上昇に伴い、寸法変化が生じ難く、且つ表示装置の輝度特性を高めることができるものと考えられる。
まずガラス組成として、質量%で、SiO 69%、Al 5.8%、B 10.2%、CaO 3.1%、NaO 10.7%、ZnO 0.9%、SnO 0.3%を含有するように、ガラス原料を調合、混合した後、連続溶融炉内で溶融して、溶融ガラスを得た。次に、得られた溶融ガラスをオーバーフローダウンドロー法にて0.15mm厚の板状に成形、徐冷した後、所定寸法に切断すると共に、端面の表面粗さRaを0.3μmに研磨することにより、ガラス板を得た。ここで、ガラス板の作製に当たり、ガラス板中のRhの含有量が0.2ppm未満、Feの含有量が質量で4ppm、Crの含有量が0.1ppm未満になるように、ガラス原料として、Fe等の着色不純物が少ない高純度ガラス原料を使用すると共に、ガラス板の製造設備からガラス中にRh等の着色成分が混入しないように設計されたガラス製造設備を使用した。
得られたガラス板について、日立ハイテクノロジーズ社製U−4100を用いて、板厚0.15mm(光路長0.15mm)、波長範囲200〜700nmにおける透過率を実測した後、内部透過率に換算した。図4は、この試料の波長範囲200〜700nmにおける透過率曲線(内部透過率曲線)を示すデータであり、図5は、波長範囲200〜700nmにおける外部透過率曲線を示すデータである。また、図4、5から分かるように、この試料の波長250nmの透過率(内部透過率)は96%であり、外部透過率は88%であった。
更に、このガラス試料について、上記の方法にて、30〜380℃の温度範囲における熱膨張係数CTEを測定したところ、66.3×10−7/℃であった。
以上のことから、このガラス試料は、深紫外線を良好に透過するため、殺菌、殺ウイルスが必要な用途に好適であり、更に石英ガラスよりも熱膨張係数が高いため、セラミックスや金属等との封着、封止性にも優れている。
本発明のガラス板は、導光板以外にも、高透過率が要求される用途に好適である。例えば、ディスプレイ用ガラス基板、光通信デバイス用ガラス基板、半導体製造プロセス用ガラス基板等に好適である。また、本発明のガラス板は、深紫外域における透過率が高く、石英ガラスよりも熱膨張係数が高いため、医療、分析、環境、農工業等の幅広い分野への展開が可能である。更に、本発明に係るガラスは、紫外域における透過率が高いため、管形状に加工して、殺菌用ランプとして好適に使用することもできる。
1 エッジライト型面発光装置
2、12 光源
3、10 導光板
4、19 反射層
5 拡散板
6 光反射面
7 光出射面
11 ガラス板
13、16、17、18 端面
14 背面
15 ドット模様

Claims (17)

  1. 少なくともガラス板を有し、ガラス板中のRhの含有量が質量で0.01ppm以上、且つ1ppm未満、Cr の含有量が質量で0.1ppm以上、且つ5ppm以下であり、且つガラス板の光路長100mm、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率と最小透過率の透過率差が12%以下であることを特徴とする導光板。
  2. ガラス板中のFeの含有量が質量で50ppm未満であり、且つガラス板の光路長100mm、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率が85%以上であることを特徴とする請求項1に記載の導光板。
  3. ガラス板中のCrの含有量が質量で0.1ppm以上、且つ3ppm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の導光板。
  4. ガラス板の一方の表面にドット模様が印刷されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の導光板。
  5. ドット模様のドットの直径が、光源からの光が入射すべき端面から離間するにつれて、漸次大きくなっていることを特徴とする請求項4に記載の導光板。
  6. ガラス板の端面の平均表面粗さRaが0.5μm以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の導光板。
  7. 光源からの光が入射すべき端面以外の端面の全部又は一部に反射層が形成されていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の導光板。
  8. ガラス板が、ガラス組成として、質量%で、SiO 40〜80%、Al 1〜15%、B 0〜20%、NaO 0〜20%、MgO 0〜10%、CaO 0〜15%、SrO 0〜15%、BaO 0〜35%を含有することを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の導光板。
  9. ガラス板の熱膨張係数が120×10−7/℃以下であることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の導光板。
  10. エッジライト型面発光装置に用いることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の導光板。
  11. ガラス板の光路長500mm、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率が93%以上であることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の導光板。
  12. ガラス板中のRhの含有量が質量で0.1ppm以上、且つ1ppm未満であり、且つガラス板中のFeの含有量が質量で10ppm以下であることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の導光板。
  13. ガラス板の波長範囲400〜750nmにおける最大透過率と最小透過率の透過率差が6%以下であることを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の導光板。
  14. ガラス板のガラス組成中にCrとFeを含み、質量比Cr/Feが0.01〜0.13であることを特徴とする請求項1〜13の何れかに記載の導光板。
  15. ガラス板のガラス組成中のFeの含有量が質量で1〜10ppmであることを特徴とする請求項1〜14の何れかに記載の導光板。
  16. ガラス板の光路長500mm、波長範囲400〜750nmにおける最大透過率が93%以上であることを特徴とする請求項1〜15の何れかに記載の導光板。
  17. ガラス板の光路長0.15mm、波長範囲250nmにおける透過率が85%以上であることを特徴とする請求項1〜16の何れかに記載の導光板。
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