以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る製造方法によって製造された仕口付きプレキャストコンクリート梁10の一例を示す図である。仕口付きプレキャストコンクリート梁10は、仕口部(柱梁接合部)11と、当該仕口部11から延在する梁部12を一体化したプレキャスト鉄筋コンクリート部材であり、梁部12における長手方向の中間部に仕口部11が設けられている。言い換えると、仕口付きプレキャストコンクリート梁10は、仕口部11における一対の対向面からそれぞれ梁部12が同一直線状に位置するように延在している。以下では、仕口部11の一方側に位置する梁部12を第1梁部12Aと呼び、仕口部11の他方側に位置する梁部12を第2梁部12Bと呼ぶ。また、第1梁部12Aおよび第2梁部12Bを区別しない場合には、単に「梁部12」と呼ぶ。仕口部11は、一対の平行な側面111,111および一対の平行な端面112,112を有している。
図1に示す例では、仕口付きプレキャストコンクリート梁10における第1梁部12Aおよび第2梁部12Bの長手方向における各端面120A,120Bから梁主筋13が突出している。但し、梁部12の梁主筋13は、各端面120A,120Bから突出していなくても良い。また、勿論、図1において図示する梁主筋13の本数や配列パターンは例示的なものであり、特に限定されない。その他、図1に図示していないが、梁部12はせん断補強筋としてのスターラップ(あばら筋)が、梁主筋13に対して垂直方向に配置された状態でコンクリート中に埋め込まれている。スターラップは、梁主筋13の延伸方向において一定間隔ごとに配置されていても良い。
図1に示す例では、仕口付きプレキャストコンクリート梁10における仕口部11は、当該仕口付きプレキャストコンクリート梁10に接合される柱部材(例えば、プレキャストコンクリート柱)の柱主筋を挿通可能な柱主筋挿通孔14が、上下方向に沿って貫通形成されている。仕口部11は、複数の柱主筋挿通孔14を備え、各柱主筋挿通孔14は柱部材の主筋に対応する位置にそれぞれ設けられている。本実施形態において、仕口付きプレキャストコンクリート梁10を製造する際、型枠内の所定位置に各柱主筋挿通孔14を形成するためのスリーブ管(シース管)15を配置した状態でコンクリートを打設する。これにより、スリーブ管15の内側に各柱主筋挿通孔14が形成される。本実施形態において、例えば薄肉(例えば、厚さ1mm未満)の金属製円筒パイプによってスリーブ管15を形成しているが、スリーブ管15の材料および形状は適宜変更することができる。また、仕口部11には、各柱主筋挿通孔14(スリーブ管15)に対して垂直方向にせん断補強筋としてのフープ筋(図示せず)が配置されている。仕口部11におけるフープ筋は、当該仕口部11の上下方向において一定間隔ごとに配置されていても良い。
次に、本実施形態に係る仕口付きプレキャストコンクリート梁10の製造方法について説明する。図2A〜図2C、図3は、仕口付きプレキャストコンクリート梁10を製造するための仕口付き梁製造用型枠(以下、単に「型枠」と呼ぶ)20を説明する図である。図2Aは、実施形態1に係る型枠20の上面図である。図2Bは、図2Aにおける矢視A方向から眺めた型枠20の側面図である。図2Cは、図2Aにおける矢視B方向から眺めた型枠20の側面図である。図3は、実施形態1に係る仕口部用底面パネル40の上面図である。型枠20は、鋼製の床版である鋼製ベッド30における型枠領域30Aと、鋼製ベッド30に対して着脱自在な仕口部用底面パネル40と、ベッド30に対して垂直に起立した姿勢の鋼製の堰板である側方型枠パネル50から構成されている。仕口部用底面パネル40は、仕口部11の底面を形成するための底面型枠パネルである。
型枠20の内部(型枠領域30A)には、第1梁部12Aを形成するためのコンクリー
トが投入される第1梁部用コンクリート打設空間CA1(梁部用コンクリート打設空間)、第2梁部12Bを形成するためのコンクリートが投入される第2梁部用コンクリート打設空間CA2(梁部用コンクリート打設空間)、仕口部11を形成するためのコンクリートが投入される仕口部用コンクリート打設空間CA3が形成されている。
鋼製ベッド30における型枠領域30Aのうち、第1梁部用コンクリート打設空間CA1に対応する底部を「第1梁部用底面パネル部31」と呼び、第2梁部用コンクリート打設空間CA2に対応する底部を「第2梁部用底面パネル部32」と呼び、仕口部用コンクリート打設空間CA3に対応する底部を「仕口部用底面パネル載置部33」と呼ぶ。第1梁部用底面パネル部31、第2梁部用底面パネル部32、および、仕口部用底面パネル載置部33は、型枠20の底部に該当する。そして、第1梁部用底面パネル部31は、第1梁部12Aの底面を形成するための梁底用型枠パネルである。第2梁部用底面パネル部32は、第2梁部12Bの底面を形成するための梁底用型枠パネルである。また、仕口部用底面パネル載置部33は、図3に示す仕口部用底面パネル40を着脱自在に載置(保持)するための底部である。
また、側方型枠パネル50のうち、主として第1梁部用コンクリート打設空間CA1の側方を取り囲む部位を「第1梁部用側方パネル部51」と呼び、主として第2梁部用コンクリート打設空間CA2の側方を取り囲む部位を「第2梁部用側方パネル部52」と呼び、主として仕口部用コンクリート打設空間CA3の側方を取り囲む部位を「仕口部用側方パネル部53」と呼ぶ。第1梁部用側方パネル部51は、第1梁部12Aにおける一対の側面および端面120Aを形成するための堰板であり、第2梁部用側方パネル部52は、第2梁部12Bにおける一対の側面および端面120Bを形成するための堰板である。また、仕口部用側方パネル部53は、仕口部11における一対の側面111,111および一対の端面112,112を形成するための堰板である。
第1梁部用側方パネル部51は、第1梁部12Aの端面120Aを形成するための第1梁部用端面パネル511、第1梁部12Aの両側面を形成するための一対の第1梁部用側面パネル512,512を有している。本実施形態における第1梁部用端面パネル511には、梁主筋13の端部領域を挿通させるための挿通孔511A(図2Bを参照)が梁主筋13に対応する配列で設けられている。第1梁部用側方パネル部51における第1梁部用端面パネル511および一対の第1梁部用側面パネル512,512は、水平配置されている第1梁部用底面パネル部31から上方に向かって垂直に立設するように、鋼製ベッド30に固定されている。一対の第1梁部用側面パネル512,512は、互いに対向配置されるように第1梁部用底面パネル部31の両側から起立しており、一対の第1梁部用側面パネル512,512における端部同士に第1梁部用端面パネル511が接続されている。第1梁部用コンクリート打設空間CA1は、第1梁部用底面パネル部31および第1梁部用側方パネル部51によって形成されている。また、第1梁部用側方パネル部51の上部は、第1梁部用コンクリート打設空間CA1に打設されるコンクリートの投入口として開放されている。また、第1梁部用側方パネル部51の延在方向における第1梁部用端面パネル511と反対側の端部は開放端となっており、この開放端を介して第1梁部用コンクリート打設空間CA1が仕口部用コンクリート打設空間CA3と連通している。なお、第1梁部用側方パネル部51を構成する各パネルの縁部には、例えば、他のパネルとボルト接合したり、各パネルを鋼製ベッド30にボルト接合するためのボルト孔を有する接合用フレームが設けられており、第1梁部用側方パネル部51の組み立て、および分解が容易なものとなっている。
第2梁部用側方パネル部52は、第2梁部12Bの端面120Bを形成するための第2梁部用端面パネル521、第2梁部12Aの両側面を形成するための一対の第2梁部用側面パネル522,522を有している。本実施形態における第2梁部用端面パネル521
には、梁主筋13の端部領域を挿通させるための挿通孔521A(図2Cを参照)が梁主筋13に対応する配列で設けられている。第2梁部用側方パネル部52における第2梁部用端面パネル521および一対の第2梁部用側面パネル522,522は、水平配置されている第2梁部用底面パネル部32から上方に向かって垂直に立設するように、鋼製ベッド30に固定されている。一対の第2梁部用側面パネル522,522は、互いに対向配置されるように第2梁部用底面パネル部32の両側から起立しており、一対の第2梁部用側面パネル522,522における端部同士に第2梁部用端面パネル521が接続されている。第2梁部用コンクリート打設空間CA2は、第2梁部用底面パネル部32および第2梁部用側方パネル部52によって形成されている。また、第2梁部用側方パネル部52の上部は、第2梁部用コンクリート打設空間CA2に打設されるコンクリートの投入口として開放されている。また、第2梁部用側方パネル部52の延在方向における第2梁部用端面パネル521と反対側の端部は、開放端となっており、この開放端を介して第2梁部用コンクリート打設空間CA2が仕口部用コンクリート打設空間CA3と連通している。なお、第2梁部用側方パネル部52を構成する各パネルの縁部には、例えば、他のパネルとボルト接合したり、各パネルを鋼製ベッド30にボルト接合するためのボルト孔を有する接合用フレームが設けられており、第2梁部用側方パネル部52の組み立て、および分解が容易なものとなっている。
仕口部用側方パネル部53は、鋼製ベッド30に対して垂直に起立する一対の仕口部用側面パネル531,531、一対の仕口部端面パネル532, 532を有している。一対の仕口部用側面パネル531,531は、仕口部11における一対の側面111,111を形成するための堰板であり、互いに対向配置された状態で、鋼製ベッド30から上方に向けて垂直に立設している。また、一対の仕口部端面パネル532, 532は、仕口部11における一対の端面112,112を形成するための堰板であり、互いに対向配置されている。各仕口部用側面パネル531の両側端部と各仕口部端面パネル532, 532の両側端部が相互に連結することで、仕口部用側方パネル部53は平面視においてロの字形状となるように接続されている。なお、仕口部用側方パネル部53を構成する各パネルの縁部には、例えば、他のパネルとボルト接合したり、各パネルを鋼製ベッド30にボルト接合するためのボルト孔を有する接合用フレームが設けられており、仕口部用側方パネル部53の組み立て、および分解が容易なものとなっている。また、仕口部用側方パネル部53の上部は、仕口部用コンクリート打設空間CA3に打設されるコンクリートの投入口として開放されている。
次に、型枠20における仕口部用底面パネル載置部33と、当該仕口部用底面パネル載置部33に対して着脱自在に装着される仕口部用底面パネル40について、図面を参照して説明する。図4には、実施形態1に係る鋼製ベッド30の型枠領域30Aおよび仕口部用底面パネル40の断面構造が示されている。図4に示すように、本実施形態においては、第1梁部用底面パネル部31の上面31Aと第2梁部用底面パネル部32の上面32Aの高さが実質的に等しく、仕口部用底面パネル載置部33は、第1梁部用底面パネル部31および第2梁部用底面パネル部32に比べて下方に凹んだ(窪んだ)凹部として形成されている。また、図3および図4に示すように、仕口部用底面パネル40は矩形平面を有する鋼製平板部材として形成されている。また、仕口部用底面パネル載置部33は、仕口部用底面パネル40と実質的に同一の平面形状を有しており、ちょうど仕口部用底面パネル40を格納することのできる凹部として、その大きさが規定されている。但し、仕口部用底面パネル40および仕口部用底面パネル載置部33の形状は、適宜変更することができる。更に、図3および図4に示すように、仕口部用底面パネル40には、複数の位置決め孔400が仕口部用底面パネル40を貫通するように形成されている。複数の位置決め孔400の数および配置位置(配置パターン)は、図1に示す仕口部11における柱主筋挿通孔14に対応している。
また、図4に示すように、仕口部用底面パネル載置部33の底面33Aには、仕口部用底面パネル40の裏面40Aを支持するための支持部330が設けられている。図5は、実施形態1に係る仕口部用底面パネル載置部33の上面図である。図5に示す例では、支持部330は井型(格子型)の平面形状を有している。本実施形態においては、支持部330は、複数の帯状鋼板を溶接などで接合することで形成されているが、これには限定されない。ここで、図4および図5に示す符号330Aは、支持部330における支持面である。支持部330は、支持面330Aに仕口部用底面パネル40の裏面40Aが当接するようにして仕口部用底面パネル40を支持する。
ここで、支持部330は、支持面330Aの高さが一定となるように形成されており、第1梁部用底面パネル部31の上面31Aおよび第2梁部用底面パネル部32の上面32Aに比べて、支持面330Aの高さが、仕口部用底面パネル40の部材厚さL1だけ低くなっている。これにより、仕口部用底面パネル載置部33における支持部330に仕口部用底面パネル40を載置した状態で、仕口部用底面パネル40の上面40Bが、第1梁部用底面パネル部31の上面31Aおよび第2梁部用底面パネル部32の上面32Aと高さが揃い、いわゆる面一の状態となる。また、仕口部用底面パネル載置部33において、支持部330が配置されていない領域には、空洞状の空洞部331が形成されている。
ここで、図6は、実施形態1に係る仕口部用底面パネル載置部33に載置された状態における仕口部用底面パネル40の上面図である。図6において、仕口部用底面パネル40の裏面40A側に配置されている支持部330を破線で示している。本実施形態においては、仕口部用底面パネル載置部33の支持部330に仕口部用底面パネル40が載置された際、仕口部用底面パネル40に形成された各位置決め孔400が空洞部331と上下方向に重なるように設計されている。言い換えると、仕口部用底面パネル載置部33の支持部330に仕口部用底面パネル40が載置された際に、仕口部用底面パネル40に形成された各位置決め孔400が支持部330と上下方向に重ならないように、仕口部用底面パネル載置部33における支持部330の位置が調整されている。
次に、実施形態1に係る型枠20を用いた仕口付きプレキャストコンクリート梁10の製造方法(製造工程)について、図7〜図17を参照しながら説明する。仕口付きプレキャストコンクリート梁10を製造するに当たり、型枠20における仕口部用底面パネル載置部33から取り外した状態の仕口部用底面パネル40を、図7および図8に示すように型枠20の外部(鋼製ベッド30の型枠領域30Aの外部)の適所に仮置きする。図7および図8に示す例では、鋼製ベッド30における型枠領域30Aの外側に位置する外部領域30Bに仕口部用底面パネル40を仮置きしている。
但し、仕口部用底面パネル載置部33から取り外した仕口部用底面パネル40を仮置きする場所は、型枠20における型枠領域30Aの外部であれば良く、鋼製ベッド30の外部領域30Bには限定されない。例えば、屋外のストックヤード等に仕口部用底面パネル40を仮置きしても良い。なお、図7は、実施形態1に係る鋼製ベッド30の外部領域30Bに仮置きされた仕口部用底面パネル40を上方から眺めた図である。図8は、実施形態1に係る鋼製ベッド30の外部領域30Bに仮置きされた仕口部用底面パネル40を側方から眺めた図である。また、図8においては、型枠20の図示を省略している。
図8に示すように、本実施形態においては、鋼製ベッド30の外部領域30Bに仕口部用底面パネル40を仮置きする際、当該外部領域30Bに設置された仮置き架台60上に仕口部用底面パネル40を載置する。ここで、仮置き架台60は、仕口部用底面パネル40の裏面40Aを支持する支持部600を有している。仮置き架台60の支持部600は、仮置き架台60に仕口部用底面パネル40を仮置きした際に、仕口部用底面パネル40の各位置決め孔400を塞がないように、且つ仕口部用底面パネル40を水平な姿勢に安
定した状態で支持可能に形成されている。
次に、図9に示すように、仕口部用底面パネル40の四隅にスリーブ管15を立設する。なお、図9は、実施形態1に係る仮置き架台60の支持部600に設置された仕口部用底面パネル40を上方から眺めた図である。なお、本実施形態においては、図10に示すスリーブ管固定具70にスリーブ管15を装着した状態で、スリーブ管15を仕口部用底面パネル40に立設する。図10に示すスリーブ管固定具70は、仕口部用底面パネル40の上面40Bにスリーブ管15を立設させた状態で位置決め固定するための部材である。図10は、実施形態1に係るスリーブ管固定具70の縦断面図である。スリーブ管固定具70は、肉厚の金属製円筒部材である芯パイプ部材71と、芯パイプ部材71の下端71Aに設けられる下側プレート部72と、芯パイプ部材71の上端71Bに設けられる上側プレート部73から構成されている。
芯パイプ部材71は、スリーブ管15の内側に挿入可能な外径を有している。上記のように、スリーブ管15は薄肉(例えば、厚さ1mm未満)の金属製円筒パイプである。そのため、本実施形態では、芯パイプ部材71をスリーブ管15の内側に挿入することで、芯パイプ部材71を芯材として機能させる。これにより、仕口部用底面パネル40の上面40Bにスリーブ管15を立設した状態で鉄筋の組み立て作業を行う際や、コンクリート打設時における衝撃や圧力等によって、スリーブ管15に変形(潰れ、折れ、歪み等)が起こることを抑制できる。なお、スリーブ管15の芯材として使用される芯パイプ部材71は、スリーブ管15内に挿入された状態で芯パイプ部材71とスリーブ管15との間に大きなクリアランスが生じないように、芯パイプ部材71の外径とスリーブ管15の内径の寸法差が規定されている。また、スリーブ管固定具70における芯パイプ部材71の長さは、スリーブ管15と等しい寸法か、スリーブ管15よりも僅かに長い寸法として設計されている。
また、スリーブ管固定具70における下側プレート部72は、芯パイプ部材71の下端71Aに形成される開放端を塞ぐように形成された金属製の円盤部材である。下側プレート部72には、その下面72Aにおける平面中心部から下方に向けて突起状の固定ピン72Bが突出している。下側プレート部72は、芯パイプ部材71の内径と等しい外径を有し、例えば、芯パイプ部材71の下端71Aに対して溶接等によって接合されている。また、下側プレート部72における固定ピン72Bは、円形横断面を有する棒状部材であり、仕口部用底面パネル40に形成された位置決め孔400の内径と等しい寸法の外径を有している。これにより、下側プレート部72は、仕口部用底面パネル40における位置決め孔400に対して固定ピン72Bを挿入することができる。
スリーブ管固定具70の上側プレート部73は、芯パイプ部材71の上端71Bに形成される開放端を塞ぐように形成された金属製の円盤部材である。上側プレート部73は、芯パイプ部材71の内径と等しい外径を有し、例えば、芯パイプ部材71の上端71Bに対して溶接等によって接合されている。また、上側プレート部73の平面中央部には、上側プレート部73を貫通するようにネジ孔(タップ孔)73Aが穿設されている。上側プレート部73のネジ孔73Aは、上側プレート部73を後述する上部フレーム部材80に接合する際に用いるネジを螺着するために用いられる。
ここで、仕口部用底面パネル40にスリーブ管15を立設する際、図11に示すように、スリーブ管15の内側にスリーブ管固定具70(芯パイプ部材71)を挿入した状態で、下側プレート部72における固定ピン72Bを仕口部用底面パネル40に形成された位置決め孔400に挿入する。ここで、仮置き架台60に仮置きされている仕口部用底面パネル40の各位置決め孔400は、支持部600によって閉塞されていない。そのため、スリーブ管固定具70における固定ピン72Bの長さが仕口部用底面パネル40の部材厚
さL1に比べて大きくても、仕口部用底面パネル40の上面40Bに下側プレート部72の下面72Aが当接するまで、支持部600と干渉させること無く固定ピン72Bを位置決め孔400に挿入することが可能である。そして、仕口部用底面パネル40の上面40Bに下側プレート部72の下面72Aが当接するまでスリーブ管固定具70における固定ピン72Bを位置決め孔400に挿入することで、スリーブ管固定具70に装着されたスリーブ管15を、仕口部用底面パネル40の上面40Bから垂直に立設することができる。
なお、仕口部用底面パネル40の各位置決め孔400は、仕口付きプレキャストコンクリート梁10に接合される柱部材における柱主筋の位置や本数に応じた適所に設けられている。本実施形態においては、スリーブ管15を装着したスリーブ管固定具70の固定ピン72Bを、仕口部用底面パネル40の位置決め孔400に挿入するだけで、スリーブ管15の位置を正規の位置に位置決めしつつ、仕口部用底面パネル40から上方に向けてスリーブ管15を垂直に立設することができる。
図9、図11で説明した要領で仕口部用底面パネル40の四隅にスリーブ管15を立設した後は、仕口部用底面パネル40の四隅に立設されたスリーブ管15に仕口部11のフープ筋17を配筋すると共に、梁部12における梁主筋13およびスターラップ16を配筋する。これにより、仕口部11および梁部12に含まれる鉄筋が、スリーブ管15と一体的に組み上げられる。なお、仕口部11のフープ筋17、梁部12における梁主筋13およびスターラップ16の配筋手順は特に限定されない。また、フープ筋17は、仕口部用底面パネル40の四隅に立設されたスリーブ管15に対して結束線等を用いて一定ピッチで固定される。
図12は、実施形態1に係る仕口付きプレキャストコンクリート梁10の配筋工程(鉄筋組立工程)、すなわち、仕口部11のフープ筋17、梁部12における梁主筋13およびスターラップ16の配筋作業が完了した状態を示す。図12に示す状態では、仕口部11のフープ筋17や梁部12の梁主筋13、スターラップ16等は、設計通りの正規位置に配置されている。なお、仕口付きプレキャストコンクリート梁10における配筋作業は、例えば、上端側の梁主筋13を公知の配筋用架台によって支持しながら行っても良い。
仕口部11のフープ筋17、梁部12の梁主筋13およびスターラップ16の配筋工程が終わると、残りのスリーブ管15を装着したスリーブ管固定具70を、配筋後におけるフープ筋17で囲まれた空間に上方から落とし込みつつ、スリーブ管固定具70の下端に設けられた固定ピン72Bを仕口部用底面パネル40における四隅以外の位置決め孔400に挿入する。これによって、仕口部用底面パネル40に対する全てのスリーブ管15の立設工程が完了する。図13は、実施形態1に係る仕口部用底面パネル40へのスリーブ管15の立設工程、および、仕口付きプレキャストコンクリート梁10の配筋工程が完了した状態を、側方から眺めた図である。
次に、図14に示す上部フレーム部材80を用いて、スリーブ管15が装着された各スリーブ管固定具70における上端側を相互に連結することで位置決め固定する(スリーブ連結工程)。図14は、実施形態1に係る上部フレーム部材80の平面図である。上部フレーム部材80は、例えば、平面視ロの字形状を有する鋼板部材であり、適所に、各スリーブ管固定具70における上側プレート部73と接合するためのネジを挿通可能な複数の貫通孔81が設けられている。上部フレーム部材80において、平面視ロの字形状を有する鋼板によって囲まれた中央領域には、開口部82が形成されている。この開口部82は、コンクリートの投入口として利用することができる。また、上部フレーム部材80における各貫通孔81は、仕口部用底面パネル40に立設する各スリーブ管15の平面位置、言い換えると、仕口部用底面パネル40に形成される各位置決め孔400の平面位置に対
応付けられている。
本実施形態においては、図15に示すように、仕口部用底面パネル40に立設する各スリーブ管固定具70の上側プレート部73に上部フレーム部材80を上から重ね合わせるようにして載置し、上部フレーム部材80における各貫通孔81が、各上側プレート部73におけるネジ孔73Aと重なるように位置合わせを行う。そして、上部フレーム部材80を各スリーブ管固定具70の上側プレート部73上に跨るように載置した状態で、ネジやナット等の締結具を使用し、各スリーブ管固定具70における上側プレート部73を上部フレーム部材80に締結する。具体的には、図16に示すように、上部フレーム部材80の貫通孔81に上からネジ83を挿入し、上側プレート部73におけるネジ孔73Aに当該ネジ83を螺合させると共に、ナット84をネジ83に螺合させて締め付ける。このようにして、全てのスリーブ管固定具70の上側プレート部73を上部フレーム部材80に締結する。なお、図16は、上部フレーム部材80の一部を示している。
上記のように、仕口部用底面パネル40と上部フレーム部材80との間に各スリーブ管固定具70(芯パイプ部材71)を挟み込むと共に、上下から挟持することで、スリーブ管15に挿入された各スリーブ管固定具70(芯パイプ部材71)が堅固に位置決め固定される。その結果、仕口部用底面パネル40の各位置決め孔400に対応する位置に精度良くスリーブ管15を配置すると共に、仕口部用底面パネル40上に各スリーブ管15を垂直に立設することができる。なお、本明細書では、上記したスリーブ管15の立設工程、配筋工程、スリーブ連結工程をまとめて「組立工程」と呼ぶ。また、仕口部用底面パネル40に立設するスリーブ管15と一体に組み上がった鉄筋「先組み鉄筋」とも呼ぶ。
本実施形態においては、上記の組立工程の完了後、仕口部11および梁部12に含まれる鉄筋、すなわち、仕口部11のフープ筋17、梁部12における梁主筋13およびスターラップ16の配筋状況を確認する配筋検査を行う(検査工程)。この配筋検査には、例えば、配筋状況を撮影する配筋写真の記録が含まれていても良い。この配筋検査は、組立工程で組み上げた鉄筋を型枠20内に吊り込む前、すなわち、型枠20の外部で行うことができるため、非常に作業性に優れている。
上記検査工程が終了した後は、次に、図17に示すように、仕口部用底面パネル40と、仕口部用底面パネル40上に組み上がったスリーブ管15および鉄筋(先組み鉄筋)を型枠20内へと一体的に吊り込む(吊り込み工程)。図17は、実施形態1に係る吊り込み工程の状況を説明する図である。ここで用意される型枠20は、図7に示されるように、側方型枠パネル50における各端面用パネル、すなわち、第1梁部用端面パネル511、第2梁部用端面パネル521、一対の仕口部端面パネル532, 532、および仕口部用底面パネル40が取り外された状態となっている。すなわち、先組み鉄筋の吊り込み行う際、型枠20は、一対の第1梁部用側面パネル512,512、一対の第2梁部用側面パネル522,522、および一対の仕口部用側面パネル531,531が鋼製ベッド30から立設された状態で固定され、仕口部用底面パネル載置部33から仕口部用底面パネル40が取り外された状態となっている。
図7に示されるように、先組み鉄筋の吊り込みが可能な状態に型枠20を準備するタイミングは特に限定されないが、配筋検査(検査工程)の完了までに準備しておくことが好ましい。これにより、仕口付きプレキャストコンクリート梁10の製造に要する工期を短縮することができる。上記のように、本実施形態においては、鋼製ベッド30における型枠領域30Aの外側、すなわち、型枠20の外部において、仕口部用底面パネル40に対するスリーブ管15の立設や、鉄筋の組み立て(配筋)を行うため、これらの組立工程と並行して型枠20の準備(型枠内の清掃等も含む)を行うことができる。その結果、仕口付きプレキャストコンクリート梁10の製造工期をより一層短縮することができる。
なお、吊り込み工程においては、公知の揚重装置(図示せず)を用いて、仕口部用底面パネル40と、仕口部用底面パネル40上に組み上がったスリーブ管15および鉄筋(先組み鉄筋)を一体的に吊り込み、上方の開放口から型枠20内へと落とし込み、仕口部用底面パネル40を仕口部用底面パネル載置部33に載置する。なお、スリーブ管固定具70の下側プレート部72における固定ピン72Bは、仕口部用底面パネル40に形成された位置決め孔400の内径と等しい寸法の外径を有しているため、先組み鉄筋を吊り上げた際、位置決め孔400に挿通する固定ピン72Bと位置決め孔400における周壁との間に作用する摩擦力によって仕口部用底面パネル40の落下が防止される。但し、本実施形態において、少なくとも何れかの固定ピン72Bに対して位置決め孔400からの抜け出しを規制する構造を採用しても良い。例えば、仕口部用底面パネル40の隅部に形成された位置決め孔400をネジ孔にしておき、当該ネジ孔に挿入する固定ピン72Bをネジ孔に螺着することで固定ピン72Bを仕口部用底面パネル40に固定しても良い。
また、本実施形態における仕口部用底面パネル載置部33は、ちょうど仕口部用底面パネル40を格納することのできる凹部として、その大きさが規定されている。そのため、吊り込み工程に際して、仕口部用底面パネル40を仕口部用底面パネル載置部33に載置するだけで、スリーブ管15および鉄筋(先組み鉄筋)を容易に型枠20内における正規位置に位置合わせできる。また、仕口部用底面パネル40を仕口部用底面パネル載置部33に載置する際、仕口部用底面パネル40に形成された各位置決め孔400が空洞部331と上下方向に重なるように設計されている。そのため、仕口部用底面パネル40の各位置決め孔400から下方に突出するスリーブ管固定具70の固定ピン72Bが、仕口部用底面パネル載置部33の支持部330と干渉することを抑制できる。
ここで、先組み鉄筋の型枠20内への吊り込み作業が完了した後は、適宜の順序で、第1梁部用端面パネル511、第2梁部用端面パネル521、一対の仕口部端面パネル532, 532の建て込みを行う。第1梁部用端面パネル511を建て込む際には、挿通孔511Aに梁主筋13を挿通させつつ、第1梁部用端面パネル511を一対の第1梁部用側面パネル512,512における端部に対しボルト等を用いて接合する。同様に、第2梁部用端面パネル521を建て込む際には、挿通孔521Aに梁主筋13を挿通させつつ、一対の第2梁部用側面パネル522,522における端部に対しボルト等を用いて接合する。また、一対の仕口部端面パネル532, 532については、各仕口部用側面パネル531の両側端部に対してボルト等を用いて相互に連結する。
型枠20における各端面パネルの建て込み作業が完了した後は、適宜の手順で、型枠内20内における第1梁部用コンクリート打設空間CA1、第2梁部用コンクリート打設空間CA2、仕口部用コンクリート打設空間CA3に対して各投入口からコンクリートを打設する(打設工程)。なお、本実施形態における上部フレーム部材80には開口部82が形成されているため、この開口部82を通じて、容易にコンクリートを仕口部用コンクリート打設空間CA3に投入でき、施工性に優れている。コンクリートの打設が完了した後は、所定の養生を行った後、型枠20を脱型することで、図1に示す仕口付きプレキャストコンクリート梁10が完成する。
ここで、仕口部を上下方向に貫通する柱主筋挿通孔を有する仕口付きプレキャストコンクリート梁を製造するには、柱主筋挿通孔を形成するスリーブ管を、仕口部の底面を形成する仕口部用底面パネルに立設する必要がある。ところが、従来の型枠は仕口部用底面パネルが着脱式ではない。そのため、仕口部における各スリーブ管の外側を取り囲むようにして配筋する必要のあるフープ筋は、型枠内の狭小なスペースでの配筋作業が強いられ、配筋の作業性の悪化を招く要因となっていた。すなわち、従来では、型枠の外部で組み立てた梁部の鉄筋を型枠内に吊り込むことはできても、梁部の鉄筋が組まれた後の狭小な型
枠内で仕口部用底面パネルにスリーブ管を立設後、フープ筋をスリーブ管に配筋する必要があり、配筋作業に多大な労力と時間を要していた。また、配筋検査は、配筋作業が完了しないと実施できないため、配筋作業の完了を待って漸く配筋検査を行う必要がある。その結果、コンクリートの打設を開始するまでの待機時間が長くなり、仕口付きプレキャストコンクリート梁を製造する際の歩掛かりが悪化する要因となっていた。
これに対して、本実施形態における仕口付きプレキャストコンクリート梁10の製造方法によれば、仕口部11の底面を形成するための仕口部用底面パネル40が、型枠20の底部に形成された仕口部用底面パネル載置部33に対して着脱自在に設けられている。このように、仕口部用底面パネル40を着脱式にすることで、型枠20の外部における広い作業スペースで配筋作業を行うことができ、配筋作業の作業性を従来に比べて向上することができる。特に、本実施形態においては、仕口部11のフープ筋17の配筋作業を型枠20の外部で行うことができるため、従来に比べてフープ筋17の配筋を効率よく短時間で行うことができる。
また、本実施形態における仕口付きプレキャストコンクリート梁10の製造方法によれば、仕口部11および梁部12に含まれる鉄筋の配筋検査を行う検査工程を、上述した組立工程の後であって吊り込み工程の前に行うことができる。そして、本実施形態によれば、型枠20の外部に設置した仕口部用底面パネル40上で組み上がった状態の鉄筋を対象として配筋検査を実施できるため、配筋検査の作業性も非常に優れている。従って、配筋検査に要する労力を低減し、より短時間で配筋検査を実施することができる。
また、本実施形態によれば、型枠20内の清掃等、コンクリート打設を開始するための準備は、型枠20の外部で行われる配筋作業や配筋検査等と並行して実施することが可能であり、配筋作業や配筋検査の完了を待機する必要がない。それ故、型枠20の外部で行われる配筋作業や配筋検査の完了後、仕口部用底面パネル40上で組み上げたスリーブ管15および鉄筋(先組み鉄筋)を一体的に吊り込むことで速やかに型枠20内へと収め、コンクリートの打設を開始することができる。その結果、仕口付きプレキャストコンクリート梁を製造する際の歩掛かりをより一層向上させることができる。
更に、本実施形態における型枠20においては、仕口部用底面パネル載置部33が、第1梁部用底面パネル部31および第2梁部用底面パネル部32に比べて下方に凹んだ(窪んだ)凹部として形成されており、仕口部用底面パネル載置部33に仕口部用底面パネル40を載置した状態で、仕口部用底面パネル40の上面40Bが、第1梁部用底面パネル部31の上面31Aおよび第2梁部用底面パネル部32の上面32Aと高さが揃うようになっている。これにより、仕口部11および梁部12における下面に段差のない仕口付きプレキャストコンクリート梁10を製造することができる。
また、本実施形態においては、組立工程において、仕口部用底面パネル40上にスリーブ管15を立設する際、スリーブ管15の内側に芯材としてスリーブ管固定具70(芯パイプ部材71)を挿通させ、スリーブ管15を装着したスリーブ管固定具70(芯パイプ部材71)を仕口部用底面パネル40上の所定位置に立設させた状態で位置決め固定するようにした。これによれば、仕口部用底面パネル40上にスリーブ管15を立設した状態で鉄筋の組み立て作業を行う際や、コンクリート打設時における衝撃や圧力等によって、スリーブ管15に変形(潰れ、折れ、歪み等)が起こることを抑制できる。
更に、本実施形態においては、組立工程において、仕口部用底面パネル40上に立設した各スリーブ管固定具70(芯パイプ部材71)の上端側に跨るようにして上部フレーム部材80を配置し、当該上部フレーム部材80を介して各スリーブ管固定具70(芯パイプ部材71)の上端側を相互に連結するようにした。ここで、各スリーブ管固定具70(
芯パイプ部材71)の下端は、下側プレート部72の固定ピン72Bを仕口部用底面パネル40の位置決め孔400に挿入することで位置決めされている。よって、上部フレーム部材80を介して各スリーブ管固定具70(芯パイプ部材71)の上端側を相互に連結することで、仕口部用底面パネル40に対してスリーブ管固定具70およびスリーブ管15を垂直に固定し易くなる。その際、本実施形態においては、仕口部用底面パネル40と上部フレーム部材80との間に各スリーブ管固定具70(芯パイプ部材71)を挟み込み、上下から挟持するように各スリーブ管固定具70(芯パイプ部材71)を仕口部用底面パネル40に位置決め固定するようにした。これにより、仕口部用底面パネル40に対してスリーブ管固定具70およびスリーブ管15を垂直かつ正規の位置に、堅固に位置決め固定することができる。
なお、上述した本実施形態における仕口付きプレキャストコンクリート梁10の製造方法には、種々の変形を加えることができる。例えば、上述の例では、仕口部用底面パネル40の四隅にスリーブ管15を立設した後、四隅以外のスリーブ管15を立設する前に配筋作業を実施しているが、仕口部用底面パネル40の四隅以外のスリーブ管15を立設してから配筋作業を実施しても良い。また、その場合、仕口部用底面パネル40に対して全てのスリーブ管15の立設が完了した後、各スリーブ管固定具70の上側プレート部73同士を上部フレーム部材80によって相互連結した後に、配筋作業を実施しても良い。
また、本実施形態においては、スリーブ管固定具70の形態に種々の変更を加えることができる。例えば、図18に示す変形例のように、スリーブ管固定具70の下側プレート部72に設けられる固定ピン72Bは、先端側に向かって先細りになるテーパ形状を有していても良い。これによれば、スリーブ管15を仕口部用底面パネル40に立設する際、位置決め孔400に対してスリーブ管固定具70の固定ピン72Bをより一層容易に挿入することができ、作業性に優れる。また、固定ピン72Bの基端部の外径を位置決め孔400の内径と等しい寸法にすることが好ましい。これによれば、固定ピン72Bを基端部まで位置決め孔400に差し込んだ際に、位置決め孔400に対する固定ピン72Bの遊びを無くし、正規の位置に精度良くスリーブ管固定具70およびスリーブ管15を位置決めすることができる。
また、図19は、変形例に係るスリーブ管固定具70Aを説明する図である。スリーブ管固定具70Aにおける芯パイプ部材71は、図19に示すように下端71A側の開放端が開放されている。また、スリーブ管固定具70Aにおける芯パイプ部材71の上端71Bに形成される上側プレート部73には、ネジ孔ではなく、図19に示す長ネジ74を挿通可能な挿通孔73Bが貫通形成されている。一方、本変形例においては、仕口部用底面パネル40における各位置決め孔400がネジ孔として形成されている。また、図20に示すように、仕口部用底面パネル40の上面40Bには、スリーブ管15を立設する位置に円盤プレート75が配置されており、各円盤プレート75の中央部に位置決め孔400が設けられている。図20は、変形例に係る仕口部用底面パネル40の上面図である。
本変形例において、位置決め孔400はネジ孔となっており、図19に示す長ネジ74を螺着することができるようになっている。また、円盤プレート75は、仕口部用底面パネル40の上面40Bに対して溶接等によって固着されている。更に、円盤プレート75は、芯パイプ部材71の下端71Aに形成された開放端の内径とほぼ等しい外径を有し、芯パイプ部材71の下端71Aを円盤プレート75の周囲に嵌め込むことで、芯パイプ部材71の位置決めが可能となっている。
スリーブ管固定具70Aを用いてスリーブ管15を仕口部用底面パネル40に立設する際、図21に示すように、スリーブ管固定具70Aの芯パイプ部材71にスリーブ管15を装着した状態で、仕口部用底面パネル40の上面40Bに設けられた円盤プレート75
に芯パイプ部材71の下端71Aを嵌め込み、その後、上側プレート部73の挿通孔73Bから芯パイプ部材71の内部に挿入した長ネジ74の下端側を円盤プレート75の中央に形成された位置決め孔400に螺着する。上記のように、仕口部用底面パネル40の円盤プレート75に芯パイプ部材71の下端71Aを嵌合させることで、仕口部用底面パネル40上にスリーブ管15を垂直に立設することができる。また、各スリーブ管固定具70Aの上端同士は、図14で説明した上部フレーム部材80を介して連結することができる。すなわち、図22に示すように、上部フレーム部材80における各貫通孔81に、各スリーブ管固定具70Aにおける上側プレート部73の挿通孔73Bから上方に向かって伸びる長ネジ74にナット84を螺合させて締め付けることで、スリーブ管固定具70Aの上側プレート部73を上部フレーム部材80に締結する。その結果、各スリーブ管15を、仕口部用底面パネル40に対して正規の位置に位置決めすると共に垂直に起立させた姿勢で固定できる。
なお、上記した種々の内容は、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において可能な限り組み合わせることができる。