JP6764464B2 - 多孔性架橋セルロースゲル及びその製造方法 - Google Patents
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Description
(a)セルロースをアルカリ水溶液に溶解することにより、セルロース溶液を得る工程、
(b)工程(a)で得られたセルロース溶液と、有機溶媒及び乳化剤を混合することにより、セルロース分散液を得る工程、
(c)工程(b)で得られたセルロース分散液を0℃以上15℃以下にし、ゲル化剤を添加することにより、多孔性未架橋セルロースゲルを得る工程、
(d)工程(c)で得られた多孔性未架橋セルロースゲルを、少なくとも2つ以上のグリシジル基を有するグリシジルエーテル類と反応させることにより、多孔性部分架橋セルロースゲルを得る工程、
(e)工程(d)で得られた多孔性部分架橋セルロースゲルを、セルロースの水酸基と反応し得る官能基を2つ以上有する架橋剤と反応させることにより、多孔性架橋セルロースゲルを得る工程。
空孔率(%)=((Vn−Vo)/(Vc−Vo))x100。
(a)セルロースをアルカリ水溶液に溶解することにより、セルロース溶液を得る工程、
(b)工程(a)で得られたセルロース溶液と、有機溶媒及び有機溶媒に可溶な乳化剤を含む溶液を混合することにより、セルロース分散液を得る工程、
(c)工程(b)で得られたセルロース分散液を0℃以上15℃以下にし、ゲル化剤を添加することにより、多孔性未架橋セルロースゲルを得る工程、
(d)工程(c)で得られた多孔性未架橋セルロースゲルを、少なくとも2つ以上のグリシジル基を有するグリシジルエーテル類と反応させることにより、多孔性部分架橋セルロースゲルを得る工程、
(e)工程(d)で得られた多孔性部分架橋セルロースゲルを、セルロースの水酸基と反応し得る官能基を2つ以上有する架橋剤と反応させることにより、多孔性架橋セルロースゲルを得る工程、
を含むことを特徴とする。
工程(a)で使用することができるセルロースは、セルロース溶液を得ることができれば特に制限はないが、容易に入手可能な点で木材パルプなどの植物由来セルロース、酢酸菌などの微生物が産生する微生物由来セルロースが好ましく、安価に入手可能な点で植物由来セルロースがより好ましい。また、植物由来セルロースは木材パルプ由来セルロース、木綿由来セルロース、麻由来セルロースなど、異なる植物種由来のセルロースを単独あるいは混合して使用することもできる。
工程(b)で使用することができる有機溶媒は、セルロース分散液の安定性の点で20℃における比重が0.6から1.5の有機溶媒が好ましい。具体的には、ペンタン、ヘキサン、オクタンなどの炭素数が5から8の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの炭素数6から10の芳香族炭化水素類、モノクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素類、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、アニソールなどのエーテル類、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシルなどのエステル類を例示することができる。これらの中ではトルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類やアニソールなどの芳香族炭化水素を含むエーテル類が好ましく、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類がより好ましい。また、有機溶媒の使用量に特に制限はないが、生産性を高める点で、セルロース溶液に対して1から5倍容積使用することが好ましく、1から3倍容積使用することがより好ましい。
セルロース分散液にゲル化剤を添加して多孔性未架橋セルロースゲルを得る方法は多くの方法が公知であり、これらの方法に従えば、分散液の温度に関係なく、セルロース分散液にゲル化剤を添加することでセルロースゲルを得ることは可能である。
工程(d)及び工程(e)は、工程(c)で得られた多孔性未架橋セルロースゲルを、セルロースの水酸基と反応し得る官能基間の原子数が異なる2種類の架橋剤を用いて架橋することにより、多孔性架橋セルロースゲルを得る工程である。
工程(e)は、工程(d)で得られた多孔性部分架橋セルロースゲルに溶媒を添加した懸濁液を撹拌条件下で加熱したのち、セルロースを還元する還元剤、セルロースの水酸基と反応し得る官能基を2つ以上有する架橋剤及び架橋反応を促進させる塩基を添加し、さらに撹拌条件下で加熱することにより、多孔性架橋セルロースゲルを得る工程である。
Kav=(Ve−Vo)/(Vc−Vo)。
実施例1は、7重量%水酸化ナトリウムと22重量%尿素の混合水溶液に木綿由来セルロースを溶解して調製した6%セルロース溶液からの多孔性架橋セルロースゲルの製造及びクロマトグラフィー用充填剤としての特性評価に関するものである。
(1)多孔性架橋セルロースゲル1の製造
(a)セルロース溶液を得る工程
5M水酸化ナトリウム水溶液(関東化学製、140.6g)と尿素(関東化学製、74.6g)と水(123.8g)を混合して調製した7重量%水酸化ナトリウム−22重量%尿素混合水溶液(300mL)に、ADVANTEC製濾紙粉末C(18.0g、平均重合度176)を25℃で添加し、氷冷下で2時間撹拌することにより、透明なセルロース溶液1を得た。
(b)セルロース分散液を得る工程
工程(a)で得られたセルロース溶液1を25℃で1時間撹拌したのち、エチルセルロース(関東化学製、45cP、3.60g)を含むトルエン(関東化学製、400mL)に25℃で添加し、撹拌羽根を用いて500rpmで10分間撹拌することによりセルロース分散液1を得た。
(c)多孔性未架橋セルロースゲルを得る工程
25℃で500rpmでの撹拌を継続した条件で、工程(b)で得られたセルロース分散液1を氷冷し、分散液の温度が5℃以下になったことを確認したのち、さらに氷冷下で1時間撹拌を継続した。次に、セルロース分散液の温度が0℃から10℃の範囲となるよう冷却した条件で、500rpmでの撹拌を継続したセルロース分散液に氷冷したメタノール(関東化学製、200mL)を毎分10mLの速度で添加したのち、さらに氷冷下で10分間撹拌を継続することにより、セルロースゲル懸濁液を得た。得られたセルロースゲル懸濁液を1.2Lのエタノールで5回、3.5Lの水で5回、順次洗浄したのち、篩いを用いて分級することにより、粒子径150μm以下の多孔性未架橋セルロースゲル1(350mL)と粒子径150μm以上の多孔性未架橋セルロースゲル1(60mL)を得た。
(d)多孔性部分架橋セルロースゲルを得る工程
工程(c)で得られた粒子径150μm以下の多孔性未架橋セルロースゲル1(220.3g、含水率92.0%、乾燥セルロース17.6g)、1,4−ジオキサン(関東化学製、264.0g)、水(61.3g)、デナコールEX−313(ナガセケムテックス製、35.2g)を混合し、50℃で30分間撹拌したのち、水素化ホウ素ナトリウム(関東化学製、528mg)、48%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学製、17.6g)を添加し、50℃で16時間撹拌を継続した。反応後、反応液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水で洗浄することにより、多孔性部分架橋セルロースゲル1を得た。
(e)多孔性架橋セルロースゲルを得る工程
工程(d)で得られた多孔性部分架橋セルロースゲル1全量と、無水硫酸ナトリウム(和光純薬製)と水から調製した25重量%硫酸ナトリウム水溶液(442.5g)を混合し、50℃で30分間撹拌した。次に、反応液に水素化ホウ素ナトリウム(関東化学製、528mg)を添加したのち、50℃での撹拌を継続した条件で、エピクロロヒドリン(東京化成製、4.41g)と48%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学製、4.41g)を30分間隔で12回添加し、エピクロロヒドリンと48%水酸化ナトリウム水溶液の添加終了後、さらに50℃で15時間撹拌を継続した。反応後、反応液を40℃以下に冷却し、グラスフィルターを使用して多量の水で洗浄したのち、篩いを用いて分級することにより、粒子径45μm以上90μm以下の多孔性架橋セルロースゲル1(200mL)を得た。
(2)排除限界分子量測定
前述の工程(e)で得られた45μm以上90μm以下の多孔性架橋セルロースゲル1の、多糖類の排除限界分子量の測定は、特開2012−141212に記載の方法で行った。多孔性架橋セルロースゲル1を、グラスフィルターを使用して0.5M塩化ナトリウム水溶液で洗浄したのち、吸引ろ過することにより、サクションドライした多孔性架橋セルロースゲル1を得た。次に、サクションドライした多孔性架橋セルロースゲル1(20.0g)を0.5M塩化ナトリウム水溶液(30.0g)に分散させ、リザーバーステンレス製カラム(内径10.7mm、長さ300mm)と出口にステンレス製焼結フィルターを取り付けたステンレス製カラム(内径10.7mm、長さ150mm、カラム容積13.5mL)を接続したものに注ぎ、チューブポンプに接続して、0.15MPaの定圧で0.5M塩化ナトリウム水溶液(100mL)を送液した。送液停止後、カラム内圧力が大気圧まで低下したのを確認後、リザーバーとカラムを切り離し、カラム上面の多孔性架橋セルロースゲル1を擦切り、ステンレス製焼結フィルターを取り付けた。
(3)空孔率及びKav測定
多孔性架橋セルロースゲル1のKav及び空孔率の測定は、以下に記載の方法で行った。まず始めに、多孔性架橋セルロースゲル1を水に懸濁したのち、リザーバーカラム及びポンプを用いて水を通液することにより、オムニフィット製ガラスカラム(内径6.6mm、長さ220mm、カラム容積7.5mL)に最密充填となるように充填した。次に、多孔性架橋セルロースゲルを充填したカラムをHPLCシステム(GEヘルスケアバイオサイエンス製、AKTAexplorer 10S)に接続したのち、水を0.3mL/分で通液し、0.2%分子量200万のブルーデキストラン水溶液(シグマ製)と、塩化ナトリウム(和光純薬製)と水から調製した0.5M塩化ナトリウム水溶液をそれぞれ10μL注入してカラムからの溶出容積を測定した。カラム容積(Vc)、分子量200万のブルーデキストランの溶出容積(Vo)及び塩化ナトリウムの溶出容積(Vn)の値を用い、前述の空孔率算出式より多孔性架橋セルロースゲル1の空孔率を算出した結果、空孔率は91.3%であった。
(4)カラム圧力損失測定
多孔性架橋セルロースゲル1のカラム圧力損失の測定には、前述の(2)で充填したカラムとHPLCシステムを使用した。カラム圧力損失測定は、カラムに0.5mL/分(線速度88cm/時)の流速で少なくとも40mL以上の水を通液することによりカラム内を平衡化したのち、0.5mL/分の流速で水を通液し、1分後のHPLCシステムのポンプ圧力を読み取り、HPLCシステムの最大流速である10mL/分(線速度1755cm/時)まで1分間隔で流速を0.5mL/分ずつ上昇させ、各流速における1分後のポンプ圧力を読みとることで行なった。なお、カラム圧力損失は、カラムに充填剤を充填した状態で水を通液した場合の各流速におけるHPLCシステムのポンプ圧力から、カラムに水を満たした状態で水を通液した場合の各流速におけるHPLCシステムのポンプ圧力を差し引くことにより算出した。多孔性架橋セルロースゲル1のカラム圧力損失を測定した結果、線速度1491cm/時(流速8.5mL/分)でのカラム圧力損失は0.26MPaであった。
(5)多孔性架橋セルロースゲルのホルミル化
工程(e)で得られた粒子径45μm以上90μm以下の多孔性架橋セルロースゲル1(3.0g)、過ヨウ素酸ナトリウム(関東化学社製)と水から調製した過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(10mg/mL、1.5mL)、水(1.5mL)を混合し、25℃で60分間撹拌することにより、多孔性架橋セルロースゲル1のホルミル化反応を行なった。反応後、グラスフィルターを使用して多量の水で洗浄することにより、多孔性架橋セルロースゲル1をホルミル化した多孔性架橋セルロースゲル1Fを得た。
(6)ホルミル化多孔性架橋セルロースゲルへのプロテインA固定化
前述の(4)で得られた多孔性架橋セルロースゲル1Fに水を添加することで調製した50容積%懸濁液(100μL)を容器(BIO−RAD社製、ミニバイオスピンクロマトグラフィーカラム、容積1.2mL)に添加し、0.5M塩化ナトリウムを含む0.2Mリン酸緩衝液(pH11.0、150μL)で5回洗浄した。なお、多孔性架橋セルロースゲル1Fの50容積%懸濁液は、水で懸濁した多孔性架橋セルロースゲル1Fをメスシリンダー内で沈降させ、時々タッピングを行なって容積が一定になるまで放置したのち、多孔性架橋セルロースゲル1Fの容積が50%となるよう、水を添加することで調製した。
(7)プロテインA固定化多孔性架橋セルロースゲルの抗体吸着量測定
前述の(5)で調製した抗体精製用吸着剤1FP(50μL)をPBS7.0溶液(200μL)で5回洗浄したのち、反応容器にPBS7.0溶液(140μL)と、濃度が150mg/mLのガンマグロブリン製剤(一般財団法人化学及血清療法研究所製、70μL)を添加し、25℃で2時間撹拌することにより、抗体精製用吸着剤1FPに抗体を吸着させた。
(8)プロテインAを固定化していない多孔性架橋セルロースゲルの抗体吸着量測定
抗体精製用吸着剤1FPの代わりに、プロテインAを固定化していない多孔性架橋セルロースゲル1を用い、前述の(6)に記載の方法により多孔性架橋セルロースゲル1の静的抗体吸着量を測定した結果、多孔性架橋セルロースゲル1の静的抗体吸着量はゲル1mLあたり0.7mgであった。従って、多孔性架橋セルロースゲル1への抗体の非特異的吸着は低いことが明らかになった。
比較例1は、実施例1と同様に7重量%水酸化ナトリウムと22重量%尿素の混合水溶液に木綿由来セルロースを溶解して調製した6%セルロース溶液を使用し、実施例1の工程(c)におけるゲル化剤の添加温度を25℃として行なった場合の多孔性架橋セルロースゲルの製造及びクロマトグラフィー用充填剤としての特性評価に関するものである。
(1)多孔性架橋セルロースゲル2の製造
(a)セルロース溶液を得る工程
5M水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、103.1g)と尿素(関東化学社製、54.7g)と水(128.8g)を混合して調製した7重量%水酸化ナトリウム−22重量%尿素混合水溶液(220mL)に、ADVANTEC社製濾紙粉末C(13.2g、平均重合度176)を25℃で添加し、氷冷下で2時間撹拌することにより、透明なセルロース溶液2を得た。
(b)セルロース分散液を得る工程
工程(a)で得られたセルロース溶液2を25℃で1時間撹拌したのち、エチルセルロース(関東化学社製、45cP、4.68g)を含むトルエン(関東化学社製、520mL)に25℃で添加し、撹拌羽根を用いて500rpmで10分間撹拌することによりセルロース分散液2を得た。
(c)多孔性未架橋セルロースゲルを得る工程
25℃で500rpmでの撹拌を継続した条件で、工程(b)で得られたセルロース分散液2に25℃のメタノール(関東化学社製、180mL)を毎分10mLの速度で添加したのち、さらに25℃で30分間撹拌を継続することにより、セルロースゲル懸濁液を得た。得られたセルロースゲル懸濁液を1.2Lのエタノールで5回、3.5Lの水で5回、順次洗浄したのち、篩いを用いて分級することにより、粒子径150μm以下の多孔性未架橋セルロースゲル2(260mL)と粒子径150μm以上の多孔性未架橋セルロースゲル2(35mL)を得た。
(d)多孔性部分架橋セルロースゲルを得る工程
工程(c)で得られた粒子径150μm以下の多孔性未架橋セルロースゲル2(156.0g、含水率91.8%、乾燥セルロース12.8g)、1,4−ジオキサン(関東化学社製、192.0g)、水(48.8g)、デナコールEX−313(ナガセケムテックス社製、25.6g)を混合し、50℃で30分間撹拌したのち、水素化ホウ素ナトリウム(関東化学社製、384mg)、48%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、12.8g)を添加し、50℃で16時間撹拌を継続した。反応後、反応液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水で洗浄することにより、多孔性部分架橋セルロースゲル2を得た。
(e)多孔性架橋セルロースゲルを得る工程
工程(d)で得られた多孔性部分架橋セルロースゲル2全量と、無水硫酸ナトリウム(和光純薬社製)と水から調製した25重量%硫酸ナトリウム水溶液(442.5g)を混合し、50℃で30分間撹拌した。次に、反応液に水素化ホウ素ナトリウム(関東化学社製、384mg)を添加したのち、50℃での撹拌を継続した条件で、エピクロロヒドリン(東京化成社製、3.20g)と48%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、3.20g)を30分間隔で12回添加し、エピクロロヒドリンと48%水酸化ナトリウム水溶液の添加終了後、さらに50℃で15時間撹拌を継続した。反応後、反応液を40℃以下に冷却し、グラスフィルターを使用して多量の水で洗浄したのち、篩いを用いて分級することにより、粒子径45μm以上90μm以下の多孔性架橋セルロースゲル2(140mL)を得た。
(2)空孔率及びKav測定
実施例1に記載の方法により算出した多孔性架橋セルロースゲル2の空孔率は89.0%であった。従って、多孔性架橋セルロースゲル2の空孔率は実施例1で製造した多孔性架橋セルロースゲル1に比較して低下することが明らかとなった。同じく実施例1に記載の方法により算出した多孔性架橋セルロースゲル2のKavは、チトクロムCに対して0.88、アルブミンに対して0.76、アポフェリチンに対して0.63、チログロブリンに対して0.57であった。
(3)カラム圧力損失測定
実施例1に記載の方法により測定した多孔性架橋セルロースゲル2のカラム圧力損失は、線速度1491cm/時(流速8.5mL/分)において0.20MPaであった。
(4)多孔性架橋セルロースゲルのホルミル化、プロテインA固定化及び抗体吸着量測定
実施例1に記載の方法により、多孔性架橋セルロースゲル2をホルミル化した多孔性架橋セルロースゲル2Fを得たのち、プロテインAを固定化した抗体精製用吸着剤2FPを得た。実施例1に記載の方法により算出した抗体精製用吸着剤2FPのプロテインA固定化量はゲル1mLあたり11.5mgであった。同じく実施例1に記載の方法により算出した抗体精製用吸着剤2FPの抗体吸着量はゲル1mLあたり55.9mgであった。従って、抗体精製用吸着剤2FPの抗体吸着量は、実施例1で製造した抗体精製用吸着剤1FPに比較して低下することが明らかとなった。
実施例2は、9重量%水酸化ナトリウムと4重量%尿素と4重量%チオ尿素の混合水溶液に木綿由来セルロースを溶解して調製した6%セルロース溶液からの多孔性架橋セルロースゲルの製造及びクロマトグラフィー用充填剤としての特性評価に関するものである。
(1)多孔性架橋セルロースゲル3の製造
(a)セルロース溶液を得る工程
5M水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、177.6g)と尿素(関東化学社製、13.3g)とチオ尿素(関東化学社製、13.3g)と水(128.8g)を混合して調製した9重量%水酸化ナトリウム−4重量%尿素−4重量%チオ尿素混合水溶液(300mL)に、ADVANTEC社製濾紙粉末C(18.0g、平均重合度176)を25℃で添加し、氷冷下で2時間撹拌することにより、透明なセルロース溶液3を得た。
(b)セルロース分散液を得る工程
工程(a)で得られたセルロース溶液3を使用し、実施例1に記載した方法により、セルロース分散液3を得た。
(c)多孔性未架橋セルロースゲルを得る工程
工程(b)で得られたセルロース分散液3を使用し、実施例1に記載した方法により、粒子径150μm以下の多孔性未架橋セルロースゲル3(350mL)と粒子径150μm以上の多孔性未架橋セルロースゲル3(25mL)を得た。従って、工程(a)で水酸化ナトリウムと尿素とチオ尿素の混合水溶液を使用することにより、水酸化ナトリウムと尿素の混合水溶液を使用した実施例1よりさらに、粒子径150μm以上の多孔性未架橋セルロースゲルの生成を抑制することができる。
(d)多孔性部分架橋セルロースゲルを得る工程
工程(c)で得られた粒子径150μm以下の多孔性未架橋セルロースゲル3(221.5g、含水率92.0%、乾燥セルロース17.7g)、1,4−ジオキサン(関東化学社製、265.5g)、水(61.7g)、デナコールEX−313(ナガセケムテックス社製、35.4g)を混合し、50℃で30分間撹拌したのち、水素化ホウ素ナトリウム(関東化学社製、531mg)、48%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、17.7g)を添加し、50℃で16時間撹拌を継続した。反応後、反応液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水で洗浄することにより、多孔性部分架橋セルロースゲル3を得た。
(e)多孔性架橋セルロースゲルを得る工程
工程(d)で得られた多孔性部分架橋セルロースゲル3全量と、無水硫酸ナトリウム(和光純薬社製)と水から調製した25重量%硫酸ナトリウム水溶液(442.5g)を混合し、50℃で30分間撹拌した。次に、反応液に水素化ホウ素ナトリウム(関東化学社製、531mg)を添加したのち、50℃での撹拌を継続した条件で、エピクロロヒドリン(東京化成社製、4.43g)と48%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、4.43g)を30分間隔で12回添加し、エピクロロヒドリンと48%水酸化ナトリウム水溶液の添加終了後、さらに50℃で15時間撹拌を継続した。反応後、反応液を40℃以下に冷却し、グラスフィルターを使用して多量の水で洗浄したのち、篩いを用いて分級することにより、粒子径45μm以上90μm以下の多孔性架橋セルロースゲル3(235mL)を得た。
(2)排除限界分子量、空孔率及びKav測定
実施例1に記載の方法により測定した多孔性架橋セルロースゲル3の多糖類の排除限界分子量は140万であった。同じく実施例1に記載の方法により算出した多孔性架橋セルロースゲル3の空孔率は90.8%であった。同じく実施例1に記載の方法により算出した多孔性架橋セルロースゲル3のKavは、チトクロムCに対して0.91、アルブミンに対して0.77、アポフェリチンに対して0.66、チログロブリンに対して0.59であった。
(3)カラム圧力損失測定
実施例1に記載の方法により測定した多孔性架橋セルロースゲル3のカラム圧力損失は、線速度1491cm/時(流速8.5mL/分)において0.21MPaであった。
(4)多孔性架橋セルロースゲルのホルミル化、プロテインA固定化及び抗体吸着量測定
実施例1に記載の方法により、多孔性架橋セルロースゲル3をホルミル化した多孔性架橋セルロースゲル3Fを得たのち、プロテインAを固定化した抗体精製用吸着剤3FPを得た。実施例1に記載の方法により算出した抗体精製用吸着剤3FPのプロテインA固定化量はゲル1mLあたり11.3mgであった。同じく実施例1に記載の方法により算出した抗体精製用吸着剤3FPの抗体吸着量はゲル1mLあたり66.3mgであった。
(5)プロテインAを固定化していない多孔性架橋セルロースゲルの静的抗体吸着量測定
実施例1に記載の方法により測定したプロテインAを固定化していない多孔性架橋セルロースゲル3の静的抗体吸着量は、ゲル1mLあたり0.6mgであった。従って、多孔性架橋セルロースゲル3への抗体の非特異的吸着は低いことが明らかになった。
比較例2は、実施例2と同様に9重量%水酸化ナトリウムと4重量%尿素と4重量%チオ尿素の混合水溶液に木綿由来セルロースを溶解して調製した6%セルロース溶液を使用し、実施例2の工程(c)におけるゲル化剤の添加温度を25℃として行なった場合の多孔性架橋セルロースゲルの製造及びクロマトグラフィー用充填剤としての特性評価に関するものである。また、比較例2では、有機溶媒とセルロース溶液の混合比を、実施例2と同一条件にして多孔性架橋セルロースゲルを製造した。
(1)多孔性架橋セルロースゲル4の製造
(a)セルロース溶液を得る工程
実施例2に記載した方法により、透明なセルロース溶液4を得た。
(b)セルロース分散液を得る工程
工程(a)で得られたセルロース溶液4を使用し、実施例2に記載した方法により、セルロース分散液4を得た。
(c)多孔性未架橋セルロースゲルを得る工程
25℃で500rpmでの撹拌を継続した条件で、工程(b)で得られたセルロース分散液4に25℃のメタノール(関東化学社製、200mL)を毎分10mLの速度で添加したのち、さらに25℃で10分間撹拌を継続することにより、セルロースゲル懸濁液を得た。得られたセルロースゲル懸濁液を1.2Lのエタノールで5回、3.5Lの水で5回、順次洗浄したのち、篩いを用いて分級することにより、粒子径150μm以下の多孔性未架橋セルロースゲル4(200mL)と粒子径150μm以上の多孔性未架橋セルロースゲル4(200mL)を得た。従って、ゲル化剤の添加温度を25℃で行なった比較例2では、ゲル化剤の添加温度を10℃以下で行なった実施例2と比較して、粒子径150μm以下の多孔性未架橋セルロースゲルの収量が低下することが明らかとなった。
(d)多孔性部分架橋セルロースゲルを得る工程
工程(c)で得られた粒子径150μm以下の多孔性未架橋セルロースゲル4(98.3g、含水率92.0%、乾燥セルロース7.9g)、1,4−ジオキサン(関東化学社製、118.5g)、水(28.1g)、デナコールEX−313(ナガセケムテックス社製、15.8g)を混合し、50℃で30分間撹拌したのち、水素化ホウ素ナトリウム(関東化学社製、237mg)、48%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、7.9g)を添加し、50℃で16時間撹拌を継続した。反応後、反応液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水で洗浄することにより、多孔性部分架橋セルロースゲル4を得た。
(e)多孔性架橋セルロースゲルを得る工程
工程(d)で得られた多孔性部分架橋セルロースゲル4全量と、無水硫酸ナトリウム(和光純薬社製)と水から調製した25重量%硫酸ナトリウム水溶液(442.5g)を混合し、50℃で30分間撹拌した。次に、反応液に水素化ホウ素ナトリウム(関東化学社製、237mg)を添加したのち、50℃での撹拌を継続した条件で、エピクロロヒドリン(東京化成社製、1.98g)と48%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、1.98g)を30分間隔で12回添加し、エピクロロヒドリンと48%水酸化ナトリウム水溶液の添加終了後、さらに50℃で15時間撹拌を継続した。反応後、反応液を40℃以下に冷却し、グラスフィルターを使用して多量の水で洗浄したのち、篩いを用いて分級することにより、粒子径45μm以上90μm以下の多孔性架橋セルロースゲル4(85mL)を得た。
(2)空孔率及びKav測定
実施例1に記載の方法により算出した多孔性架橋セルロースゲル4の空孔率は88.8%であった。従って、多孔性架橋セルロースゲル4の空孔率は実施例2で製造した多孔性架橋セルロースゲル3に比較して低下することが明らかとなった。
(3)カラム圧力損失測定
実施例1に記載の方法により測定した多孔性架橋セルロースゲル4は、線速度1491cm/時(流速8.5mL/分)において0.18MPaであった。
(4)多孔性架橋セルロースゲルのホルミル化、プロテインA固定化及び抗体吸着量測定
実施例1に記載の方法により、多孔性架橋セルロースゲル4をホルミル化した多孔性架橋セルロースゲル4Fを得たのち、プロテインAを固定化した抗体精製用吸着剤4FPを得た。実施例1に記載の方法により算出した抗体精製用吸着剤4FPのプロテインA固定化量はゲル1mLあたり11.5mgであった。同じく実施例1に記載の方法により算出した抗体精製用吸着剤4FPの抗体吸着量はゲル1mLあたり54.5mgであった。従って、抗体精製用吸着剤4FPの抗体吸着量は、実施例2で製造した抗体精製用吸着剤3FPに比較して低下することが明らかとなった。
実施例3は、10重量%水酸化ナトリウムと6重量%チオ尿素の混合水溶液に木綿由来セルロースを溶解して調製した6%セルロース溶液からの多孔性架橋セルロースゲルの製造及びクロマトグラフィー用充填剤としての特性評価に関するものである。
(1)多孔性架橋セルロースゲル5の製造
(a)セルロース溶液を得る工程
5M水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、197.3g)とチオ尿素(関東化学社製、20.0g)と水(115.7g)を混合して調製した10重量%水酸化ナトリウム−6重量%チオ尿素混合水溶液(300mL)に、ADVANTEC社製濾紙粉末C(18.0g、平均重合度176)を25℃で添加し、氷冷下で2時間撹拌することにより、透明なセルロース溶液5を得た。
(b)セルロース分散液を得る工程
工程(a)で得られたセルロース溶液5を25℃で1時間撹拌したのち、エチルセルロース(関東化学社製、45cP、3.60g)を含むトルエン(関東化学社製、400mL)に25℃で添加し、撹拌羽根を用いて450rpmで10分間撹拌することによりセルロース分散液5を得た。
(c)多孔性未架橋セルロースゲルを得る工程
25℃で450rpmでの撹拌を継続した条件で、工程(b)で得られたセルロース分散液5を氷冷し、分散液の温度が5℃以下になったことを確認したのち、さらに氷冷下で1時間撹拌を継続した。次に、セルロース分散液の温度が0℃から10℃の範囲となるよう冷却した条件で、500rpmでの撹拌を継続したセルロース分散液に氷冷したメタノール(関東化学社製、200mL)を毎分10mLの速度で添加したのち、さらに氷冷下で10分間撹拌を継続することにより、セルロースゲル懸濁液を得た。得られたセルロース懸濁溶液を1.2Lのエタノールで5回、3.5Lの水で5回、順次洗浄したのち、篩いを用いて分級することにより、粒子径150μm以下の多孔性未架橋セルロースゲル5(300mL)と粒子径150μm以上の多孔性未架橋セルロースゲル5(25mL)を得た。従って、工程(a)で水酸化ナトリウムとチオ尿素の混合水溶液を使用することにより、水酸化ナトリウムと尿素の混合水溶液を使用した実施例1よりさらに、粒子径150μm以上の多孔性未架橋セルロースゲルの生成を抑制することができる。
(d)多孔性部分架橋セルロースゲルを得る工程
工程(c)で得られた粒子径150μm以下の多孔性未架橋セルロースゲル5(227.1g、含水率92.2%、乾燥セルロース17.7g)、1,4−ジオキサン(関東化学社製、265.5g)、水(56.1g)、デナコールEX−313(ナガセケムテックス社製、35.4g)を反応容器に添加して50℃で30分間撹拌したのち、水素化ホウ素ナトリウム(関東化学社製、531mg)、48%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、17.7g)を添加し、50℃で16時間撹拌を継続した。反応終了後、反応液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水で洗浄することにより、多孔性部分架橋セルロースゲル5を得た。
(e)多孔性架橋セルロースゲルを得る工程
工程(d)で得られた多孔性部分架橋セルロースゲル5全量と、無水硫酸ナトリウム(和光純薬社製)と水から調製した25重量%硫酸ナトリウム水溶液(442.5g)を反応容器に添加して50℃で30分間撹拌した。次に、反応液に水素化ホウ素ナトリウム(関東化学社製、531mg)を添加したのち、50℃での撹拌を継続した条件で、エピクロロヒドリン(東京化成社製、4.43g)と48%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、4.43g)を30分間隔で12回添加し、エピクロロヒドリンと48%水酸化ナトリウム水溶液の添加終了後、さらに50℃で15時間撹拌を継続した。反応終了後、反応液を40℃以下に冷却し、グラスフィルターを使用して多量の水で洗浄したのち、篩いを用いて分級することにより、粒子径45μm以上90μm以下の多孔性架橋セルロースゲル5(190mL)を得た。
(2)排除限界分子量、空孔率及びKav測定
実施例1に記載の方法により測定した多孔性架橋セルロースゲル5の多糖類の排除限界分子量は150万であった。同じく実施例1に記載の方法により、多孔性架橋セルロースゲル5の空孔率を算出した結果、空孔率は90.6%であった。また、実施例1に記載の方法により、多孔性架橋セルロースゲル5のKavを算出した結果、チトクロムCに対して0.89、アルブミンに対して0.76、アポフェリチンに対して0.68、チログロブリンに対して0.59であった。
(3)カラム圧力損失測定
実施例1に記載の方法により、多孔性架橋セルロースゲル5のカラム圧力損失を測定した結果、線速度1491cm/時(流速8.5mL/分)でのカラム圧力損失は0.24MPaであった。
(4)多孔性架橋セルロースゲルのホルミル化、プロテインA固定化及び抗体吸着量測定
実施例1に記載の方法により、多孔性架橋セルロースゲル5をホルミル化した多孔性架橋セルロースゲル5Fを得たのち、プロテインAを固定化した多孔性架橋セルロースゲル5FPを得た。
(5)プロテインAを固定化していない多孔性架橋セルロースゲルの抗体吸着量測定
実施例1に記載の方法により、プロテインAを固定化していない多孔性架橋セルロースゲル5の静的抗体吸着量を測定した結果、静的抗体吸着量はゲル1mLあたり0.6mgであった。従って、多孔性架橋セルロースゲル5への抗体の非特異的吸着は低いことが明らかになった。
比較例3は、実施例3と同様に10重量%水酸化ナトリウムと6重量%チオ尿素の混合水溶液に木綿由来セルロースを溶解して調製した6%セルロース溶液を使用し、実施例3の工程(c)におけるゲル化剤の添加温度を25℃として行なった場合の多孔性架橋セルロースゲルの製造及びクロマトグラフィー用充填剤としての特性評価に関するものである。
(1)多孔性架橋セルロースゲル6の製造
(a)セルロース溶液を得る工程
5M水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、144.7g)とチオ尿素(関東化学社製、14.7g)と水(84.9g)を混合して調製した10重量%水酸化ナトリウム−6重量%チオ尿素混合水溶液(220mL)に、ADVANTEC社製濾紙粉末C(13.2g、平均重合度176)を25℃で添加し、氷冷下で2時間撹拌することにより、透明なセルロース溶液6を得た。
(b)セルロース分散液を得る工程
工程(a)で得られたセルロース溶液6を使用し、比較例1に記載した方法により、セルロース分散液6を得た。
(c)多孔性未架橋セルロースゲルを得る工程
工程(b)で得られたセルロース分散液6を使用し、比較例1に記載した方法により、粒子径150μm以下の多孔性未架橋セルロースゲル6(220mL)と粒子径150μm以上の多孔性未架橋セルロースゲル6(30mL)を得た。
(d)多孔性部分架橋セルロースゲルを得る工程
工程(c)で得られた粒子径150μm以下の多孔性未架橋セルロースゲル6(125.2g、含水率89.8%、乾燥セルロース12.8g)、1,4−ジオキサン(関東化学社製、192.0g)、水(79.6g)、デナコールEX−313(ナガセケムテックス社製、25.6g)を反応容器に添加して50℃で30分間撹拌したのち、水素化ホウ素ナトリウム(関東化学社製、384mg)、48%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、12.8g)を添加し、50℃で16時間撹拌を継続した。反応終了後、反応液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水で洗浄することにより、多孔性部分架橋セルロースゲル6を得た。
(e)多孔性架橋セルロースゲルを得る工程
工程(d)で得られた多孔性部分架橋セルロースゲル6全量と、無水硫酸ナトリウム(和光純薬社製)と水から調製した25重量%硫酸ナトリウム水溶液(442.5g)を反応容器に添加して50℃で30分間撹拌した。次に、反応液に水素化ホウ素ナトリウム(関東化学社製、384mg)を添加したのち、50℃での撹拌を継続した条件で、エピクロロヒドリン(東京化成社製、3.20g)と48%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、3.20g)を30分間隔で12回添加し、エピクロロヒドリンと48%水酸化ナトリウム水溶液の添加終了後、さらに50℃で15時間撹拌を継続した。反応終了後、反応液を40℃以下に冷却し、グラスフィルターを使用して多量の水で洗浄したのち、篩いを用いて分級することにより、粒子径45μm以上90μm以下の多孔性架橋セルロースゲル6(115mL)を得た。
(2)空孔率及びKav測定
実施例1に記載の方法により、多孔性架橋セルロースゲル6の空孔率を算出した結果、空孔率は86.5%であった。従って、多孔性架橋セルロースゲル6の空孔率は実施例3で製造した多孔性架橋セルロースゲル5に比較して低下することが明らかとなった。
(3)カラム圧力損失測定
実施例1に記載の方法により、多孔性架橋セルロースゲル6のカラム圧力損失を測定した結果、線速度1491cm/時(流速8.5mL/分)でのカラム圧力損失は0.16MPaであった。
(4)多孔性架橋セルロースゲルのホルミル化、プロテインA固定化及び抗体吸着量測定
実施例1に記載の方法により、多孔性架橋セルロースゲル6をホルミル化した多孔性架橋セルロースゲル6Fを得たのち、プロテインAを固定化した多孔性架橋セルロースゲル6FPを得た。
比較例4では、市販の多孔性架橋多糖系ゲルであるセルファインGCL−2000(JNC社製、多孔性架橋セルロースゲル、粒子径40−130μm)を用い、実施例1に記載の方法によりクロマトグラフィー用充填剤としての特性を評価した。
(1)Kav及び空孔率測定
実施例1に記載の方法により算出したセルファインGCL−2000の空孔率は89.6%であった。同じく実施例1に記載の方法により算出したセルファインGCL−2000のKavは、チトクロムCに対して0.66、アルブミンに対して0.42、アポフェリチンに対して0.26、チログロブリンに対して0.19であった。
(2)カラム圧力損失測定
実施例1に記載の方法により測定したセルファインGCL−2000のカラム圧力損失は、流速4.0mL/分(線速度702cm/時)において0.25MPaであったが、流速を4.5mL/分に上げるとポンプの圧力がHPLCシステムの限界に達し、通液できなくなった。
(3)市販多孔性架橋多糖系ゲルのホルミル化、プロテインA固定化及び抗体吸着量測定
実施例1に記載の方法により、セルファインGCL−2000からホルミル化セルファインGCL−2000を得たのち、プロテインA固定化セルファインGCL−2000を得た。実施例1に記載の方法により算出したプロテインA固定化セルファインGCL−2000のプロテインA固定化量はゲル1mLあたり10.9mgであった。同じく実施例1に記載の方法により算出したプロテインA固定化セルファインGCL−2000の抗体吸着量はゲル1mLあたり31.8mgであった。従って、多孔性架橋セルロースゲル1、3、5それぞれにプロテインAを固定化した抗体精製用吸着剤1FP、3FP、5FPは、同様の方法によりプロテインAを固定化したセルファインGCL−2000に比べて抗体吸着量が高いことが明らかとなった。
実施例4は、7重量%水酸化ナトリウムと22重量%尿素の混合水溶液に木綿由来セルロースを溶解して調製した5%セルロース溶液からの多孔性架橋セルロースゲルの製造及びクロマトグラフィー用充填剤としての特性評価に関するものである。
(1)多孔性架橋セルロースゲル7の製造
(a)セルロース溶液を得る工程
5M水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、140.6g)と尿素(関東化学社製、74.6g)と水(123.8g)を混合して調製した7重量%水酸化ナトリウム−22重量%尿素混合水溶液(300mL)に、ADVANTEC社製濾紙粉末C(15.0g、平均重合度176)を25℃で添加し、氷冷下で2時間撹拌することにより、透明なセルロース溶液7を得た。
(b)セルロース分散液を得る工程
工程(a)で得られたセルロース溶液7を25℃で1時間撹拌したのち、エチルセルロース(関東化学社製、45cP、3.40g)を含むトルエン(関東化学社製、400mL)に25℃で添加し、撹拌羽根を用いて450rpmで10分間撹拌することによりセルロース分散液7を得た。
(c)多孔性未架橋セルロースゲルを得る工程
25℃で450rpmでの撹拌を継続した条件で、工程(b)で得られたセルロース分散液7を氷冷し、分散液の温度が5℃以下になったことを確認したのち、さらに氷冷下で1時間撹拌を継続した。次に、セルロース分散液の温度が0℃から10℃の範囲となるよう冷却した条件で、450rpmでの撹拌を継続したセルロース分散液に氷冷したメタノール(関東化学社製、200mL)を毎分10mLの速度で添加したのち、さらに氷冷下で10分間撹拌を継続することにより、セルロースゲル懸濁液を得た。得られたセルロースゲル懸濁液を1.2Lのエタノールで5回、3.5Lの水で5回、順次洗浄したのち、篩いを用いて分級することにより、粒子径150μm以下の多孔性未架橋セルロースゲル7(350mL)と粒子径150μm以上の多孔性未架橋セルロースゲル7(45mL)を得た。
(d)多孔性部分架橋セルロースゲルを得る工程
工程(c)で得られた粒子径150μm以下の多孔性未架橋セルロースゲル7(231.3g、含水率93.8%、乾燥セルロース14.3g)、1,4−ジオキサン(関東化学社製、286.0g)、水(69.0g)、デナコールEX−313(ナガセケムテックス社製、28.6g)を混合し、50℃で30分間撹拌したのち、水素化ホウ素ナトリウム(関東化学社製、429mg)、48%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、14.3g)を添加し、50℃で16時間撹拌を継続した。反応後、反応液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水で洗浄することにより、多孔性部分架橋セルロースゲル7を得た。
(e)多孔性架橋セルロースゲルを得る工程
工程(d)で得られた多孔性部分架橋セルロースゲル7全量と、無水硫酸ナトリウム(和光純薬社製)と水から調製した25重量%硫酸ナトリウム水溶液(357.5g)、を混合し、50℃で30分間撹拌した。次に、反応液に水素化ホウ素ナトリウム(関東化学社製、429mg)を添加したのち、50℃での撹拌を継続した条件で、エピクロロヒドリン(東京化成社製、4.78g)と48%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、4.78g)を30分間隔で12回添加し、エピクロロヒドリンと48%水酸化ナトリウム水溶液の添加終了後、さらに50℃で15時間撹拌を継続した。反応後、反応液を40℃以下に冷却し、グラスフィルターを使用して多量の水で洗浄したのち、篩いを用いて分級することにより、粒子径45μm以上90μm以下の多孔性架橋セルロースゲル7(195mL)を得た。
(2)排除限界分子量、空孔率及びKav測定
実施例1に記載の方法により測定した多孔性架橋セルロースゲル7の多糖類の排除限界分子量は194万であった。同じく実施例1に記載の方法により算出した多孔性架橋セルロースゲル7の空孔率は92.6%であった。同じく実施例1に記載の方法により算出した多孔性架橋セルロースゲル7のKavは、チトクロムCに対して0.92、アルブミンに対して0.80、アポフェリチンに対して0.70、チログロブリンに対して0.63であった。
(3)カラム圧力損失測定
実施例1に記載の方法により測定した多孔性架橋セルロースゲル7のカラム圧力損失は、線速度1491cm/時(流速8.5mL/分)において0.26MPaであった。
(4)多孔性架橋セルロースゲルのホルミル化、プロテインA固定化及び抗体吸着量測定
実施例1に記載の方法により、多孔性架橋セルロースゲル7をホルミル化した多孔性架橋セルロースゲル7Fを得たのち、プロテインAを固定化した抗体精製用吸着剤7FPを得た。実施例1に記載の方法により算出した抗体精製用吸着剤7FPのプロテインA固定化量はゲル1mLあたり10.8mgであった。同じく実施例1に記載の方法により算出した抗体精製用吸着剤7FPの抗体吸着量はゲル1mLあたり64.9mgであった。
実施例5は、9重量%水酸化ナトリウムと4重量%尿素と4重量%チオ尿素の混合水溶液に木綿由来セルロースを溶解して調製した5%セルロース溶液からの多孔性架橋セルロースゲルの製造及びクロマトグラフィー用充填剤としての特性評価に関するものである。
(1)多孔性架橋セルロースゲル8の製造
(a)セルロース溶液を得る工程
5M水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、177.6g)と尿素(関東化学社製、13.3g)とチオ尿素(関東化学社製、13.3g)と水(128.8g)を混合して調製した9重量%水酸化ナトリウム−4重量%尿素−4重量%チオ尿素混合水溶液(300mL)に、ADVANTEC社製濾紙粉末C(15.0g、平均重合度176)を25℃で添加し、氷冷下で2時間撹拌することにより、透明なセルロース溶液8を得た。
(b)セルロース分散液を得る工程
工程(a)で得られたセルロース溶液8を25℃で1時間撹拌したのち、エチルセルロース(関東化学社製、45cP、3.40g)を含むトルエン(関東化学社製、400mL)に25℃で添加し、撹拌羽根を用いて500rpmで10分間撹拌することによりセルロース分散液8を得た。
(c)多孔性未架橋セルロースゲルを得る工程
工程(b)で得られたセルロース分散液8を使用し、実施例1に記載した方法により、粒子径150μm以下の多孔性未架橋セルロースゲル8(380mL)と粒子径150μm以上の多孔性未架橋セルロースゲル8(40mL)を得た。
(d)多孔性部分架橋セルロースゲルを得る工程
工程(c)で得られた粒子径150μm以下の多孔性未架橋セルロースゲル8(210.7g、含水率93.0%、乾燥セルロース14.7g)、1,4−ジオキサン(関東化学社製、294.0g)、水(98.0g)、デナコールEX−313(ナガセケムテックス社製、29.4g)を混合し、50℃で30分間撹拌したのち、水素化ホウ素ナトリウム(関東化学社製、441mg)、48%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、14.7g)を添加し、50℃で16時間撹拌を継続した。反応後、反応液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水で洗浄することにより、多孔性部分架橋セルロースゲル8を得た。
(e)多孔性架橋セルロースゲルを得る工程
工程(d)で得られた多孔性部分架橋セルロースゲル8全量と、無水硫酸ナトリウム(和光純薬社製)と水から調製した25重量%硫酸ナトリウム水溶液(367.5g)、を混合し、50℃で30分間撹拌した。次に、反応液に水素化ホウ素ナトリウム(関東化学社製、441mg)を添加したのち、50℃での撹拌を継続した条件で、エピクロロヒドリン(東京化成社製、4.92g)と48%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、4.92g)を30分間隔で12回添加し、エピクロロヒドリンと48%水酸化ナトリウム水溶液の添加終了後、さらに50℃で15時間撹拌を継続した。反応後、反応液を40℃以下に冷却し、グラスフィルターを使用して多量の水で洗浄したのち、篩いを用いて分級することにより、粒子径45μm以上90μm以下の多孔性架橋セルロースゲル8(180mL)を得た。
(2)排除限界分子量、空孔率及びKav測定
実施例1に記載の方法により測定した多孔性架橋セルロースゲル8の多糖類の排除限界分子量は204万であった。同じく実施例1に記載の方法により算出した多孔性架橋セルロースゲル8の空孔率は91.4%であった。同じく実施例1に記載の方法により算出した多孔性架橋セルロースゲル8のKavは、チトクロムCに対して0.92、アルブミンに対して0.80、アポフェリチンに対して0.70、チログロブリンに対して0.63であった。
(3)カラム圧力損失測定
実施例1に記載の方法により測定した多孔性架橋セルロースゲル8のカラム圧力損失は、線速度1491cm/時(流速8.5mL/分)において0.28MPaであった。
(4)多孔性架橋セルロースゲルのホルミル化、プロテインA固定化及び抗体吸着量測定
実施例1に記載の方法により、多孔性架橋セルロースゲル8をホルミル化した多孔性架橋セルロースゲル8Fを得たのち、プロテインAを固定化した抗体精製用吸着剤8FPを得た。実施例1に記載の方法により算出した抗体精製用吸着剤8FPのプロテインA固定化量はゲル1mLあたり11.1mgであった。同じく実施例1に記載の方法により算出した抗体精製用吸着剤8FPの抗体吸着量はゲル1mLあたり59.4mgであった。
実施例6は、10重量%水酸化ナトリウムと6重量%チオ尿素の混合水溶液に木綿由来セルロースを溶解して調製した5%セルロース溶液からの多孔性架橋セルロースゲルの製造及びクロマトグラフィー用充填剤としての特性評価に関するものである。
(1)多孔性架橋セルロースゲル9の製造
(a)セルロース溶液を得る工程
5M水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、197.3g)とチオ尿素(関東化学社製、20.0g)と水(115.7g)を混合して調製した10重量%水酸化ナトリウム−6重量%チオ尿素混合水溶液(300mL)に、ADVANTEC社製濾紙粉末C(15.0g、平均重合度176)を25℃で添加し、氷冷下で2時間撹拌することにより、透明なセルロース溶液9を得た。
(b)セルロース分散液を得る工程
工程(a)で得られたセルロース溶液9を使用し、実施例4に記載した方法により、セルロース分散液9を得た。
(c)多孔性未架橋セルロースゲルを得る工程
工程(b)で得られたセルロース分散液9を使用し、実施例4に記載した方法により、粒子径150μm以下の多孔性未架橋セルロースゲル9(350mL)と粒子径150μm以上の多孔性未架橋セルロースゲル9(25mL)を得た。
(d)多孔性部分架橋セルロースゲルを得る工程
工程(c)で得られた粒子径150μm以下の多孔性未架橋セルロースゲル9(194.1g、含水率92.5%、乾燥セルロース14.6g)、1,4−ジオキサン(関東化学社製、292.0g)、水(112.5g)、デナコールEX−313(ナガセケムテックス社製、29.2g)を反応容器に添加して50℃で30分間撹拌したのち、水素化ホウ素ナトリウム(関東化学社製、438mg)、48%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、14.6g)を添加し、50℃で16時間撹拌を継続した。反応終了後、反応液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水で洗浄することにより、多孔性部分架橋セルロースゲル9を得た。
(e)多孔性架橋セルロースゲルを得る工程
工程(d)で得られた多孔性部分架橋セルロースゲル9全量と、無水硫酸ナトリウム(和光純薬社製)と水から調製した25重量%硫酸ナトリウム水溶液(365.0g)、を反応容器に添加して50℃で30分間撹拌した。次に、反応液に水素化ホウ素ナトリウム(関東化学社製、438mg)を添加したのち、50℃での撹拌を継続した条件で、エピクロロヒドリン(東京化成社製、4.85g)と48%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、4.85g)を30分間隔で12回添加し、エピクロロヒドリンと48%水酸化ナトリウム水溶液の添加終了後、さらに50℃で15時間撹拌を継続した。反応終了後、反応液を40℃以下に冷却し、グラスフィルターを使用して多量の水で洗浄したのち、篩いを用いて分級することにより、粒子径45μm以上90μm以下の多孔性架橋セルロースゲル9(210mL)を得た。
(2)排除限界分子量、空孔率及びKav測定
実施例1に記載の方法により測定した多孔性架橋セルロースゲル9の多糖類の排除限界分子量は210万であった。同じく実施例1に記載の方法により、多孔性架橋セルロースゲル9の空孔率を算出した結果、空孔率は91.2%であった。また、実施例1に記載の方法により、多孔性架橋セルロースゲル9のKavを算出した結果、チトクロムCに対して0.92、アルブミンに対して0.81、アポフェリチンに対して0.73、チログロブリンに対して0.65であった。
(3)カラム圧力損失測定
実施例1に記載の方法により、多孔性架橋セルロースゲル9のカラム圧力損失を測定した結果、線速度1491cm/時(流速8.5mL/分)でのカラム圧力損失は0.26MPaであった。
(4)多孔性架橋セルロースゲルのホルミル化、プロテインA固定化及び抗体吸着量測定
実施例1に記載の方法により、多孔性架橋セルロースゲル9をホルミル化した多孔性架橋セルロースゲル9Fを得たのち、プロテインAを固定化した多孔性架橋セルロースゲル9FPを得た。
実施例7は、8重量%水酸化ナトリウムと17重量%尿素の混合水溶液に木綿由来セルロースを溶解して調製した5%セルロース溶液からの多孔性架橋セルロースゲルの製造及びクロマトグラフィー用充填剤としての特性評価に関するものである。
(1)多孔性架橋セルロースゲル10の製造
(a)セルロース溶液を得る工程
5M水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、160.7g)と尿素(関東化学社製、57.6g)と水(120.7g)を混合して調製した8重量%水酸化ナトリウム−17重量%尿素混合水溶液(300mL)に、ADVANTEC社製濾紙粉末C(15.0g、平均重合度176)を25℃で添加し、氷冷下で2時間撹拌することにより、透明なセルロース溶液10を得た。
(b)セルロース分散液を得る工程
工程(a)で得られたセルロース溶液10を使用し、実施例3に記載した方法により、セルロース分散液10を得た。
(c)多孔性未架橋セルロースゲルを得る工程
工程(b)で得られたセルロース分散液10を使用し、実施例3に記載した方法により、粒子径150μm以下の多孔性未架橋セルロースゲル10(350mL)と粒子径150μm以上の多孔性未架橋セルロースゲル10(40mL)を得た。
(d)多孔性部分架橋セルロースゲルを得る工程
工程(c)で得られた粒子径150μm以下の多孔性未架橋セルロースゲル10(227.6g、含水率93.8%、乾燥セルロース14.1g)、1,4−ジオキサン(関東化学社製、282.0g)、水(68.5g)、デナコールEX−313(ナガセケムテックス社製、28.2g)を混合し、50℃で30分間撹拌したのち、水素化ホウ素ナトリウム(関東化学社製、423mg)、48%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、14.1g)を添加し、50℃で16時間撹拌を継続した。反応後、反応液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水で洗浄することにより、多孔性部分架橋セルロースゲル10を得た。
(e)多孔性架橋セルロースゲルを得る工程
工程(d)で得られた多孔性部分架橋セルロースゲル10全量と、無水硫酸ナトリウム(和光純薬社製)と水から調製した25重量%硫酸ナトリウム水溶液(352.5g)、を混合し、50℃で30分間撹拌した。次に、反応液に水素化ホウ素ナトリウム(関東化学社製、423mg)を添加したのち、50℃での撹拌を継続した条件で、エピクロロヒドリン(東京化成社製、4.70g)と48%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、4.70g)を30分間隔で12回添加し、エピクロロヒドリンと48%水酸化ナトリウム水溶液の添加終了後、さらに50℃で15時間撹拌を継続した。反応後、反応液を40℃以下に冷却し、グラスフィルターを使用して多量の水で洗浄したのち、篩いを用いて分級することにより、粒子径45μm以上90μm以下の多孔性架橋セルロースゲル10(185mL)を得た。
(2)空孔率及びKav測定
実施例1に記載の方法により算出した多孔性架橋セルロースゲル10の空孔率は91.4%であった。同じく実施例1に記載の方法により算出した多孔性架橋セルロースゲル10のKavは、チトクロムCに対して0.92、アルブミンに対して0.79、アポフェリチンに対して0.67、チログロブリンに対して0.61であった。
(3)カラム圧力損失測定
実施例1に記載の方法により測定した多孔性架橋セルロースゲル10のカラム圧力損失は、線速度1491cm/時(流速8.5mL/分)においてカラム圧力損失は0.23MPaであった。
(4)多孔性架橋セルロースゲルのホルミル化、プロテインA固定化及び抗体吸着量測定
実施例1に記載の方法により、多孔性架橋セルロースゲル10をホルミル化した多孔性架橋セルロースゲル10Fを得たのち、プロテインAを固定化した抗体精製用吸着剤10FPを得た。実施例1に記載の方法により算出した抗体精製用吸着剤10FPのプロテインA固定化量はゲル1mLあたり11.0mgであった。同じく実施例1に記載の方法により算出した抗体精製用吸着剤10FPの抗体吸着量はゲル1mLあたり62.5mgであった。
比較例5では、実施例7と同様に8重量%水酸化ナトリウムと17重量%尿素の混合水溶液に、木綿由来セルロースを溶解して調製した5%セルロース溶液から多孔性未架橋セルロースゲルを得たのち、実施例7における工程(e)を省略して多孔性架橋セルロースゲルを製造した。
(1)多孔性架橋セルロースゲル11の製造
工程(a)から工程(c)までの工程を実施例7に記載した方法で行うことにより、粒子径150μm以下の多孔性未架橋セルロースゲル11を得た。
(d)多孔性架橋セルロースゲルを得る工程
粒子径150μm以下の多孔性未架橋セルロースゲル11(29.1g、含水率91.4%、乾燥セルロース2.5g)、1,4−ジオキサン(関東化学社製、50.0g)、水(23.4g)、デナコールEX−313(ナガセケムテックス社製、5.0g)を混合し、50℃で30分間撹拌したのち、水素化ホウ素ナトリウム(関東化学社製、75mg)、48%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、2.5g)を添加し、50℃で16時間撹拌を継続した。反応後、反応液を40℃以下に冷却し、グラスフィルターを使用して多量の水で洗浄したのち、篩いを用いて分級することにより、粒子径45μm以上90μm以下の多孔性架橋セルロースゲル11(28mL)を得た。
(2)空孔率及びKav測定
実施例1に記載の方法により、粒子径が45μm以上90μm以下の多孔性架橋セルロースゲル11をカラムに充填し、水を0.3mL/分で通液したところ、カラム圧力損失が1MPaを超えた状態となり、さらに流速を0.5mL/分に上げるとポンプの圧力がHPLCシステムの限界に達し、通液できなくなった。従って、多孔性架橋セルロースゲル11のKav、空孔率、及びカラム圧力損失測定は行わなかった。
比較例6では、実施例7と同様に8重量%水酸化ナトリウムと17重量%尿素の混合水溶液に木綿由来セルロースを溶解して調製した5%セルロース溶液から多孔性未架橋セルロースゲルを得たのち、実施例7における工程(d)を特許文献6の実施例1、4及び7に記載の方法に従って行い、且つ工程(e)を省略した方法により、多孔性架橋セルロースゲルを製造した。
(1)多孔性架橋セルロースゲル12の製造
工程(a)から工程(c)までの工程を実施例7に記載した方法で行うことにより、粒子径150μm以下の多孔性未架橋セルロースゲル12を得た。
(d)多孔性架橋セルロースゲルを得る工程
粒子径150μm以下の多孔性未架橋セルロースゲル12(30.0g、含水率91.5%、乾燥セルロース2.6g)と、水酸化ナトリウム(和光純薬社製)と水から調製した0.6M水酸化ナトリウム水溶液(30.0mL)を混合し、40℃で30分間撹拌した。次に水素化ホウ素ナトリウム(関東化学社製、60mg)とデナコールEX−313(ナガセケムテックス社製、30.0mL)を添加して50℃で5時間撹拌を継続した。反応後、反応液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水で洗浄することにより、多孔性架橋セルロースゲル12Aを得た。
(2)空孔率及びKav測定
実施例1に記載の方法により算出した多孔性架橋セルロースゲル12の空孔率は86.7%であった。同じく実施例1に記載の方法により算出した多孔性架橋セルロースゲル12のKavは、チトクロムCに対して0.80、アルブミンに対して0.70、アポフェリチンに対して0.62、チログロブリンに対して0.58であった。
(3)カラム圧力損失測定
実施例1に記載の方法により測定した多孔性架橋セルロースゲル12のカラム圧力損失は、流速2.0mL/分(線速度351cm/時)において1.56MPaとなり、流速を2.5mL/分に上げるとポンプの圧力がHPLCシステムの限界に達し、通液できなくなった。
(4)多孔性架橋セルロースゲルのホルミル化、プロテインA固定化及び抗体吸着量測定
実施例1に記載の方法により、多孔性架橋セルロースゲル12をホルミル化した多孔性架橋セルロースゲル12Fを得たのち、プロテインAを固定化した抗体精製用吸着剤12FPを得た。実施例1に記載の方法により算出した抗体精製用吸着剤12FPのプロテインA固定化量はゲル1mLあたり11.3mgであった。同じく実施例1に記載の方法により算出した抗体精製用吸着剤12FPの抗体吸着量はゲル1mLあたり44.1mgであった。従って、抗体精製用吸着剤12FPの抗体吸着量は、実施例7で製造した抗体精製用吸着剤10FPに比較して低下することが明らかとなった。
比較例7では、実施例7と同様に8重量%水酸化ナトリウムと17重量%尿素の混合水溶液に木綿由来セルロースを溶解して調製した5%セルロース溶液から多孔性未架橋セルロースゲルを得たのち、実施例7における工程(d)を省略して多孔性架橋セルロースゲルを製造した。
(1)多孔性架橋セルロースゲル13の製造
工程(a)から工程(c)までの工程を実施例7に記載した方法で行うことにより、粒子径150μm以下の多孔性未架橋セルロースゲル13を得た。
(e)多孔性架橋セルロースゲルを得る工程
粒子径150μm以下の多孔性未架橋セルロースゲル13(87.3g、含水率91.5%、乾燥セルロース7.4g)と、無水硫酸ナトリウム(和光純薬社製)と水から調製した25重量%硫酸ナトリウム水溶液(185.0g)、を混合し、50℃で30分間撹拌した。次に、反応液に水素化ホウ素ナトリウム(関東化学社製、222mg)を添加したのち、50℃での撹拌を継続した条件で、エピクロロヒドリン(東京化成社製、2.47g)と48%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、2.47g)を30分間隔で12回添加し、エピクロロヒドリンと48%水酸化ナトリウム水溶液の添加終了後、さらに50℃で15時間撹拌を継続した。反応後、反応液を40℃以下に冷却し、グラスフィルターを使用して多量の水で洗浄したのち、篩いを用いて分級することにより、粒子径45μm以上90μm以下の多孔性架橋セルロースゲル13(105mL)を得た。
(2)空孔率及びKav測定
実施例1に記載の方法により算出した多孔性架橋セルロースゲル13の空孔率は89.8%であった。同じく実施例1に記載の方法により算出した多孔性架橋セルロースゲル13のKavは、チトクロムCに対して0.90、アルブミンに対して0.75、アポフェリチンに対して0.67、チログロブリンに対して0.63であった。
(3)カラム圧力損失測定
実施例1に記載の方法により測定した多孔性架橋セルロースゲル13のカラム圧力損失は、流速4.5mL/分(線速度790cm/時)においてカラム圧力損失が1.44MPaとなり、流速を5.0mL/分に上げるとポンプの圧力がHPLCシステムの限界に達し、通液できなくなった。
(4)多孔性架橋セルロースゲルのホルミル化、プロテインA固定化及び抗体吸着量測定
実施例1に記載の方法により、多孔性架橋セルロースゲル13をホルミル化した多孔性架橋セルロースゲル13Fを得たのち、プロテインAを固定化した抗体精製用吸着剤13FPを得た。実施例1に記載の方法により算出した抗体精製用吸着剤13FPのプロテインA固定化量はゲル1mLあたり11.5mgであった。同じく実施例1に記載の方法により算出した抗体精製用吸着剤13FPの抗体吸着量はゲル1mLあたり55.4mgであった。従って、抗体精製用吸着剤13FPの抗体吸着量は、実施例7で製造した抗体精製用吸着剤10FPに比較して低下することが明らかとなった。
実施例8は、8重量%水酸化ナトリウムと17重量%尿素の混合水溶液に木材パルプ由来セルロースを溶解して調製した5%セルロース溶液からの多孔性架橋セルロースゲルの製造及びクロマトグラフィー用充填剤としての特性評価に関するものである。
(1)多孔性架橋セルロースゲル14の製造
(a)セルロース溶液を得る工程
ADVANTEC社製濾紙粉末Cの代わりに旭化成社製セオラスPH−101(15.0g、平均重合度173)を用いた以外は実施例7に記載した方法により、透明なセルロース溶液14を得た。
(b)セルロース分散液を得る工程
工程(a)で得られたセルロース溶液14を25℃で1時間撹拌したのち、エチルセルロース(関東化学社製、45cP、3.60g)を含むトルエン(関東化学社製、400mL)に25℃で添加し、撹拌羽根を用いて500rpmで10分間撹拌することによりセルロース分散液14を得た。
(c)多孔性未架橋セルロースゲルを得る工程
工程(b)で得られたセルロース分散液14を使用し、実施例1に記載した方法により、粒子径150μm以下の多孔性未架橋セルロースゲル14(350mL)と粒子径140μm以上の多孔性未架橋セルロースゲル14(50mL)を得た。
(d)多孔性部分架橋セルロースゲルを得る工程
工程(c)で得られた粒子径140μm以下の多孔性未架橋セルロースゲル14(178.8g、含水率92.1%、乾燥セルロース14.1g)、1,4−ジオキサン(関東化学社製、282.0g)、水(68.5g)、デナコールEX−313(ナガセケムテックス社製、28.2g)を反応容器に添加して50℃で30分間撹拌したのち、水素化ホウ素ナトリウム(関東化学社製、423mg)、48%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、14.1g)を添加し、50℃で16時間撹拌を継続した。反応終了後、反応液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水で洗浄することにより、多孔性部分架橋セルロースゲル14を得た。
(e)多孔性架橋セルロースゲルを得る工程
工程(d)で得られた多孔性部分架橋セルロースゲル14全量と、無水硫酸ナトリウム(和光純薬社製)と水から調製した25重量%硫酸ナトリウム水溶液(352.5g)、を反応容器に添加して50℃で30分間撹拌した。次に、反応液に水素化ホウ素ナトリウム(関東化学社製、423mg)を添加したのち、50℃での撹拌を継続した条件で、エピクロロヒドリン(東京化成社製、4.70g)と48%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、4.70g)を30分間隔で12回添加し、エピクロロヒドリンと48%水酸化ナトリウム水溶液の添加終了後、さらに50℃で14時間撹拌を継続した。反応終了後、反応液を40℃以下に冷却し、グラスフィルターを使用して多量の水で洗浄したのち、篩いを用いて分級することにより、粒子径45μm以上90μm以下の多孔性架橋セルロースゲル14(165mL)を得た。
(2)空孔率及びKav測定
実施例1に記載の方法により、多孔性架橋セルロースゲル14の空孔率を算出した結果、空孔率は90.5%であった。また、実施例1に記載の方法により、多孔性架橋セルロースゲル14のKavを算出した結果、チトクロムCに対して0.91、アルブミンに対して0.78、アポフェリチンに対して0.69、チログロブリンに対して0.64であった。
(3)カラム圧力損失測定
実施例1に記載の方法により、多孔性架橋セルロースゲル14のカラム圧力損失を測定した結果、線速度1491cm/時(流速8.5mL/分)でのカラム圧力損失は0.27MPaであった。
(4)多孔性架橋セルロースゲルのホルミル化、プロテインA固定化及び抗体吸着量測定
実施例1に記載の方法により、多孔性架橋セルロースゲル14をホルミル化した多孔性架橋セルロースゲル14Fを得たのち、プロテインAを固定化した多孔性架橋セルロースゲル14FPを得た。
実施例9では、多孔性架橋セルロースゲルにスペーサー(6原子)を介してプロテインAを固定化した抗体精製用吸着剤を製造し、その抗体吸着量を測定した。
(1)多孔性架橋セルロースゲルへのスペーサー導入及びホルミル化
実施例1で製造した多孔性架橋セルロースゲル1(3.0g)、水(3.0g)、ジメチルスルホキシド(3.0g)、エピクロロヒドリン(東京化成社製、0.6g)を混合し、30℃で30分間攪拌したのち、48%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、1.64mL)を添加し、さらに30℃で3時間撹拌することによりエポキシ化反応を行なった。反応後、グラスフィルターを使用してろ液が中性になるまで多量の水で洗浄することにより、エポキシ化多孔性架橋セルロースゲルを得た。
(2)ホルミル化多孔性架橋セルロースゲルへのプロテインA固定化
実施例1に記載の方法により、多孔性架橋セルロースゲル1SにプロテインAを固定化した抗体精製用吸着剤1SPを得た。同じく実施例1に記載の方法により抗体精製用吸着剤1SPのプロテインA固定化量を算出した結果、固定化量はゲル1mLあたり11.0mgであった。
(3)プロテインA固定化抗体精製用吸着剤の抗体吸着量測定
実施例1に記載の方法により、抗体精製用吸着剤1SPの抗体吸着量を算出した結果、抗体吸着量はゲル1mLあたり78.5mgであった。同様の手法により抗体精製用吸着剤3SP及び抗体精製用吸着剤5SPの抗体吸着量を測定した結果、抗体精製用吸着剤3SPの抗体吸着量はゲル1mLあたり80.7mg、抗体精製用吸着剤5SPの抗体吸着量はゲル1mLあたり73.7mgであった。下記にて、スペーサー(6原子)を介してプロテインAを固定化した抗体精製用吸着剤1SP、3SP、5SPの構造を示す。
実施例10では、実施例9よりも長いスペーサー(15原子)を介してプロテインAを固定化した抗体精製用吸着剤を製造し、その抗体吸着量を測定した。
(1)多孔性架橋セルロースゲルへのスペーサー導入及びホルミル化
実施例1で製造した多孔性架橋セルロースゲル1(3.0g)、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(アルドリッチ社製、0.6g)、0.2Mの水酸化ナトリウム水溶液(1.5mL)、水(1.5g)を混合し、50℃で8時間撹拌することによりエポキシ化反応を行なった。反応後、グラスフィルターを使用してろ液が中性になるまで多量の水で洗浄することにより、エポキシ化多孔性架橋セルロースゲルを得た。
(2)ホルミル化多孔性架橋セルロースゲルへのプロテインA固定化
実施例1に記載の方法により、多孔性架橋セルロースゲル1LにプロテインAを固定化した抗体精製用吸着剤1LPを得た。同じく実施例1に記載の方法により抗体精製用吸着剤1LPのプロテインA固定化量を算出した結果、固定化量はゲル1mLあたり11.5mgであった。
(3)プロテインA固定化抗体精製用吸着剤の抗体吸着量測定
実施例1に記載の方法により、抗体精製用吸着剤1LPの抗体吸着量を算出した結果、抗体吸着量はゲル1mLあたり83.7mgであった。同様の手法により抗体精製用吸着剤3LP及び抗体精製用吸着剤5LPの抗体吸着量を測定した結果、抗体精製用吸着剤3LPの抗体吸着量はゲル1mLあたり84.6mg、抗体精製用吸着剤5LPの抗体吸着量はゲル1mLあたり76.7mgであった。下記にて、15原子のスペーサーを介してプロテインAを固定化した抗体精製用吸着剤1LP、3LP、5LPの構造を示す。
実施例11では、多孔性架橋セルロースゲルにスペーサーを導入したのち、マレイミド化、Fc結合性タンパク質固定化を順次行なうことによりFc結合性タンパク質固定化多孔性架橋セルロースゲルを製造し、その抗体吸着量を測定した。
(1)多孔性架橋セルロースゲルへのスペーサー導入及びマレイミド化
実施例1で製造した多孔性架橋セルロースゲル1(2.0g)、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(アルドリッチ社製、1.0g)、48%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製、31mg)、水(3.0g)を混合し、50℃で8時間撹拌することによりエポキシ化反応を行なった。反応後、グラスフィルターを使用してろ液が中性になるまで多量の水で洗浄することにより、エポキシ化多孔性架橋セルロースゲルを得た。
(2)マレイミド化多孔性架橋セルロースゲルへのFc結合性タンパク質固定化
マレイミド化多孔性架橋セルロースゲルへのFc結合性タンパク質の固定化は、特開2014−187993公報に開示されている方法を利用して行なった。
(3)Fc結合性タンパク質固定化多孔性架橋セルロースゲルの抗体吸着量測定
実施例1に記載の方法により算出した抗体精製用吸着剤1MF、3MF、5MFの抗体吸着量は、抗体精製用吸着剤1MFがゲル1mLあたり68.3mg、抗体精製用吸着剤3MFがゲル1mLあたり66.9mg、抗体精製用吸着剤5MFがゲル1mLあたり62.3mgであった。
Claims (1)
- 以下の工程(a)から(e)を含む、以下の(1)及び(2)の特徴を有する多孔性架橋セルロースゲルの製造方法:
(a)セルロースをアルカリ水溶液に溶解することにより、セルロース溶液を得る工程、
(b)工程(a)で得られたセルロース溶液と、有機溶媒及び乳化剤を混合することにより、セルロース分散液を得る工程、
(c)工程(b)で得られたセルロース分散液を0℃以上15℃以下にし、ゲル化剤を添加することにより、多孔性未架橋セルロースゲルを得る工程、
(d)工程(c)で得られた多孔性未架橋セルロースゲルを、少なくとも2つ以上のグリシジル基を有するグリシジルエーテル類と反応させることにより、多孔性部分架橋セルロースゲルを得る工程、
(e)工程(d)で得られた多孔性部分架橋セルロースゲルを、セルロースの水酸基と反応し得る官能基を2つ以上有する架橋剤と反応させることにより、多孔性架橋セルロースゲルを得る工程、
(1)以下の操作(i)から(v)により測定される空孔率が90%以上であること、
(i)前記多孔性架橋セルロースゲルをクロマトグラフィー用カラムに充填する、
(ii)水を溶出液として、前記カラムからの分子量200万のブルーデキストランと塩化ナトリウムの溶出容積を測定する、
(iii)前記カラムのカラム容積から、操作(ii)で測定した分子量200万のブルーデキストランの溶出容積を引くことにより、ゲル容積を算出する、
(iv)操作(ii)で測定した塩化ナトリウムの溶出容積から、操作(ii)で測定した分子量200万のブルーデキストランの溶出容積を引くことにより、細孔容積を算出する、
(v)操作(iv)で算出した細孔容積を操作(iii)で算出したゲル容積で除することにより、空孔率を算出する、
(2)平均粒子径が30μm以上150μm以下であり、内径6.6mmのクロマトグラフィー用カラムに高さ220mm±5mmとなるように充填し、25℃の水をカラム内に線速度1500cm/時で通液した条件でのカラム圧力損失が0.4MPa以下であること。
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