JP2015199868A - 多孔性架橋セルロースゲル、その製造方法及びその用途 - Google Patents

多孔性架橋セルロースゲル、その製造方法及びその用途 Download PDF

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俊薫 豊嶋
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Abstract

【課題】クロマトグラフィー用充填剤として有用な、精製対象物質の吸着量及び機械的強度の高い多孔性架橋セルロースゲルの製造方法、及び前述の製造方法により得られたクロマトグラフィー用充填剤を提供すること。【解決手段】セルロースをアルカリ水溶液に溶解してセルロース溶液を得る工程、セルロース溶液を有機溶媒と混合してセルロース分散液を得る工程、分散液を−30℃以下に冷却した溶媒に添加して多孔性未架橋セルロースゲルを得る工程及び異なる2種類の架橋剤を使用した2段階からなる架橋工程により得られる本発明の多孔性架橋セルロースゲルは、25℃の水をカラム内に線速度1755cm/時で通液した条件でのカラム圧力損失が0.4MPa以下であることを特徴としている。さらに本発明の多孔性架橋セルロースゲルは精製対象物質の吸着量が高いことから、タンパク質などの生体高分子の精製工程における生産性を著しく向上させることができる。【選択図】 なし

Description

本発明は、クロマトグラフィー用充填剤として有用な、機械的強度に優れる多孔性架橋セルロースゲル、その製造方法及びその用途に関する。より正確には、本発明は低温での造粒及び新規架橋方法による多孔性架橋セルロースゲルの製造方法及びその方法により得られる多孔性架橋セルロースゲルに関する。
近年、タンパク質やワクチンなどのバイオ医薬品製剤の需要が急激に増加している。一般的に、バイオ医薬品製造の精製工程には多孔質充填剤を充填したカラムクロマトグラフィーが使用されており、生産性向上を目的として、精製対象物質の吸着量が高く、高流速処理が可能な機械的強度に優れたクロマトグラフィー用充填剤が必要とされている。バイオ医薬品精製用のクロマトグラフィー用充填剤としては、精製対象物質の分離能や吸着量が高い点でアガロース、セルロースなどの多孔性多糖系ゲルが多用されてきたが、従来の多孔性多糖系ゲルは機械的強度が不足しており、高流速処理が困難であるという欠点があった。
一般的に、クロマトグラフィー用充填剤としての多孔性多糖系ゲルは、原料となる多糖から多孔性未架橋多糖系ゲルを製造したのち、機械的強度を増加させることを目的とした架橋処理を行うことにより多孔性架橋多糖系ゲルとして製造される。通常の架橋処理において、多孔性架橋多糖系ゲルの機械的強度を高くする方法としては、例えば、架橋処理に使用する架橋剤の使用量を増加する方法や繰返し架橋処理を行なう方法などが挙げられる。
しかしながらこの場合、得られた多孔性架橋多糖系ゲルの含水率が低下するために精製対象物質の吸着量が低くなり、従って、クロマトグラフィー用充填剤としての性能が不十分となる場合がある。また、多孔性架橋多糖系ゲルの機械的強度は前述の架橋処理方法だけでなく多孔性未架橋多糖系ゲルの製造方法によっても異なることが知られており、従って、多孔性未架橋多糖系ゲルの製造方法が異なれば、同じ架橋処理を行なっても、得られる多孔性架橋多糖系ゲルの機械的強度は異なる場合がある。
多孔性未架橋セルロースゲルの製造法は数多くの方法が公知であり、例えば、特許文献1にはビスコース懸濁液から球状セルロース粒子を得る方法が、特許文献2には水酸化ナトリウム水溶液に溶解したパルプ水溶液を−15から−40℃に冷却した溶媒に投入することにより多孔性セルロース粒子を得る方法が開示されている。また特許文献3には、結晶性セルロースをチオシアン酸カルシウム水溶液に溶解させた溶液を130℃に加熱した分散溶液に滴下後、冷却することにより球状セルロース粒子を得る方法が開示されている。さらに非特許文献1には、コットン由来セルロースを、水酸化ナトリウムと尿素の混合水溶液に溶解させた溶液を分散溶液に滴下し、5℃で希塩酸を添加することで球状セルロース粒子を得る方法が開示されている。
多孔性未架橋多糖系ゲルの架橋処理には架橋剤との反応性や化学的安定性の点で、多孔性多糖系ゲルとエーテル結合を形成する架橋剤を使用することが一般的である。従来から多孔性未架橋セルロースゲルの架橋処理にはエピクロロヒドリンが多用されており、例えば、特許文献4にはマーセル化セルロースをエピクロロヒドリンで架橋処理を行なう方法が、特許文献5にはビスコース粒子から得られたセルロース粒子をエピクロロヒドリンで架橋処理する方法が開示されている。
また、特許文献6には、特許文献3に記載の方法で製造した多孔性球状セルロース粒子を、段階的にエピクロロヒドリンを添加して架橋処理する方法が開示されている。さらに特許文献7には、木材パルプ由来セルロースを水酸化ナトリウムと尿素あるいはチオ尿素の混合水溶液に溶解させた溶液から得た多孔性セルロースを、特許文献6に開示の方法で架橋処理を行なうことにより多孔性架橋セルロースを得る方法が開示されている。
一方、エピクロロヒドリン以外の架橋剤の使用例として、特許文献8にはセルロースを含有する多孔質担体をグリシジルエーテル系化合物で架橋する方法が開示されている。また、多種類の架橋剤により架橋する方法として、非特許文献2にはビスコース懸濁液から得られたセルロースゲルをエチレングリコールジグリシジルエーテルとエピクロロヒドリンで架橋することにより、含水率が70%以下の多孔性架橋セルロースゲルを得る方法が開示されている。
しかしながら、前述の多孔性未架橋セルロースゲル及び多孔性未架橋セルロースゲルを架橋処理することで得られた多孔性架橋セルロースゲルについて、含水率が80%以上で且つ十分な機械的強度を持つ多孔性セルロースゲル及びその製造方法は、これまでに知られていなかった。
従って特許文献4から8に記載のエピクロロヒドリンあるいはグリシジルエーテル系化合物を用いて架橋処理を行なう方法では、得られた架橋セルロースゲルのカラム圧力損失が高くなるため、高流速処理が可能なクロマトグラフィー用充填剤として使用するには機械的強度に課題があった。また、非特許文献2に開示の製造法では、機械的強度に優れた架橋セルロースゲルを得ることができるが、含水率が低く、また分離対象物質の吸着量が低いことから、クロマトグラフィー用充填剤として使用するには性能に課題があった。
特公昭57−45254号公報 特開昭64−43530号公報 特開平10−195103号公報 特開昭43−10059号公報 特開平6−82435号公報 特開2009−242770号公報 特開2011−231152号公報 特開2011−252929号公報
Journal of Chromatography A,1217,(2010)p.5922−5929 Journal of Chromatography A,1146,(2007)p.32−40
本発明の目的は、機械的強度が高く、高流速処理が可能なクロマトグラフィー用充填剤として有用な多孔性架橋セルロースゲルとその製造方法及びタンパク質の精製方法を提供することにある。
本発明者等は上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、セルロースのアルカリ水溶液を有機溶媒で乳化したセルロース分散液中のセルロース溶液を凍結させることにより得られた多孔性未架橋セルロースゲルに、官能基間の原子数が異なる2種類の架橋剤を使用した架橋処理を行なうことにより、含水率が高く機械的強度に優れた多孔性架橋セルロースゲルが得られることを見いだした。さらに本発明の多孔性架橋セルロースゲルはタンパク質などの精製対象物質の吸着量が高く、クロマトグラフィー用充填剤として利用可能であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の(1)から(4)に記載した発明を提供するものである。
(1)平均粒子径が20μm以上300μm以下であり、内径6.6mmのクロマトグラフィー用カラムに高さ220mm±5mmとなるように充填し、25℃の水をカラム内に線速度1755cm/時で通液した条件でのカラム圧力損失が0.4MPa以下であることを特徴とする、多孔性架橋セルロースゲル。
(2)以下の工程を含むことを特徴とする、(1)記載の多孔性架橋セルロースゲルの製造方法:
(a)セルロースをアルカリ水溶液に溶解することにより、セルロース溶液を得る工程、
(b)工程(a)で得られたセルロース溶液と有機溶媒を混合することにより、セルロース分散液を得る工程、
(c)工程(b)で得られたセルロース分散液中のセルロース溶液を凍結させることにより、多孔性未架橋セルロースゲルを得る工程、
(d)工程(c)で得られた多孔性未架橋セルロースゲルを、グリシジルエーテル類と反応させることにより、多孔性部分架橋セルロースゲルを得る工程、
(e)工程(d)で得られた多孔性部分架橋セルロースゲルを、セルロースの水酸基と反応し得る活性部位を2つ以上有する架橋剤と反応させることにより、多孔性架橋セルロースゲルを得る工程。
(3)(1)記載の多孔性架橋セルロースゲルを含む、クロマトグラフィー用充填剤。
(4)(3)記載のクロマトグラフィー用充填剤を用いることを特徴とする、タンパク質の精製方法。
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
本発明における多孔性架橋セルロースゲルは、粒子径が20μm以上300μm以下であり、内径6.6mmのクロマトグラフィー用カラムに高さ220mm±5mmとなるように充填し、25℃の水をカラム内に線速度1755cm/時で通液した場合のカラム圧力損失が0.4MPa以下、好ましくは0.3MPa以下、さらに好ましくは0.25MPaであることを特徴とする。
前述のとおり、バイオ医薬品の精製工程では、生産性の向上を目的として精製対象物質の高流速処理が可能な機械的強度の高いクロマトグラフィー用充填剤が必要とされている。機械的強度の低いクロマトグラフィー用充填剤をカラムに充填して通液した場合、流速をカラム断面積で除した値である線速度が増加するに従って圧密化が生じ、カラム圧力損失が増加するために流速を上げることができなくなる。一方、機械的強度の高いクロマトグラフィー用充填剤の場合、線速度が増加しても圧密化が生じず、カラム圧力損失が増加しないため、精製対象物質の高流速処理が可能となる。
カラム圧力損失は、移動相の線速度とカラムの長さに比例して増加し、また、充填剤の粒子径の二乗に比例して低下するが、粒子径が大きくなるほど精製対象物質の吸着量は低下することが知られている。従って本発明における多孔性架橋セルロースゲルの平均粒子径は、クロマトグラフィー用充填剤としてカラムに充填して使用する場合に高流速処理が可能である点及び精製対象物質の吸着量を高める点で20μm以上300μm以下であり、好ましくは30μm以上200μm、さらに好ましくは45μm以上150μm以下である。なお、この平均粒子径は、光学顕微鏡を用いて100μmの目盛り付きスライドグラスの画像を撮影したのち、同じ倍率で測定対象の粒子の画像を撮影し、物差しを用いて撮影した粒子の粒子径を測定することで求めることができる。
また、多孔性架橋セルロースゲルの粒子径はステンレス製JIS標準ふるいなどを使用した湿式分級法により所望の範囲に調整することが可能であり、例えば、目開き45μmのふるいと目開き150μmのふるいを使用した湿式分級により、45μm以上150μm以下の多孔性架橋セルロースゲルを得ることができる。
本発明における多孔性架橋セルロースゲルが示すカラム圧力損失は、バイオ医薬品の精製工程で一般的に使用される長さを持つクロマトグラフィー用カラムで測定されたものであり、市販の多孔性架橋多糖系ゲルであるSepharose 6 Fast Flow(GEヘルスケアバイオサイエンス社製、架橋アガロースゲル)や、セルファインGCL−2000(JNC社製、架橋セルロースゲル)を同一条件で測定した場合のカラム圧力損失よりも低いため、精製対象物質の高流速処理が可能な機械的強度の高いクロマトグラフィー用充填剤として有用性が高いものである。なお、本発明における多孔性架橋セルロースゲルのカラムへの充填方法及びカラム圧力損失の具体的な測定方法は、実施例に示したとおりである。
多孔性架橋セルロースゲルの機械的強度は、多孔性架橋セルロースゲル中のセルロース含有量や架橋処理に使用する架橋剤の使用量を増加させることで達成されるが、この場合、多孔性架橋セルロースゲルの含水率が低下するために精製対象物質の多孔性架橋セルロースゲル中に存在可能な量が低下し、精製対象物質の吸着量が低下する可能性がある。従って、高い機械的強度と高い吸着量の双方を達成するためには、本発明において採用した官能基間の原子数が異なる2種類の架橋剤を使用して架橋処理を行なうことにより含水率が高く、機械的強度に優れた多孔性架橋セルロースゲルを得ることができる。本発明における多孔性架橋セルロースゲルの含水率は80%以上が好ましく、より好ましくは85%以上である。
セルロースゲルの含水率は、水に懸濁したセルロースゲルをメスシリンダー内で沈降させ、時々タッピングを行なって容積が一定になるまで放置したのち容積を測定し、メスシリンダー内のゲル全量を乾燥させて乾燥重量を測定することにより、以下に示した計算式から算出することができる。
ゲルの乾燥方法は特に限定されないが、80から100℃に加熱した乾燥機中で1日〜2日乾燥させる方法や、凍結乾燥法によりゲルを乾燥させればよい。
含水率(%)=(1−(ゲルの乾燥重量(g)÷ゲルの容積(mL)))×100
また、本発明における多孔性架橋セルロースゲルの水に対する再膨潤率は90から100%であることが好ましく、より好ましくは95から100%である。セルロースゲルの再膨潤率は、含水率測定に使用した乾燥ゲルを水で再膨潤させたのち、含水率測定と同様の方法で容積を測定することにより、以下に示した計算式から算出することができる。
再膨潤率(%)=(再膨潤させたゲルの容積(mL)÷乾燥前のゲルの容積(mL))×100
本発明における多孔性架橋セルロースゲルの製法は、
(a)セルロースをアルカリ水溶液に溶解することにより、セルロース溶液を得る工程、
(b)工程(a)で得られたセルロース溶液と有機溶媒を混合することにより、セルロース分散液を得る工程、
(c)工程(b)で得られたセルロース分散液を中のセルロース溶液を凍結させることにより、多孔性未架橋セルロースゲルを得る工程、
(d)工程(c)で得られた多孔性未架橋セルロースゲルを、グリシジルエーテル類と反応させることにより、多孔性部分架橋セルロースゲルを得る工程、
(e)工程(d)で得られた多孔性部分架橋セルロースゲルを、セルロースの水酸基と反応し得る活性部位を2つ以上有する架橋剤と反応させることにより、多孔性架橋セルロースゲルを得る工程
の5工程を含む。
以下に各工程の詳細を説明する。
(a)セルロースをアルカリ水溶液に溶解することにより、セルロース溶液を得る工程
工程(a)で使用するセルロースはセルロース溶液を得ることができれば特に制限はなく、木材パルプやコットンなどの植物セルロース、アセトバクター・キシリナムなどの酢酸菌やシュードモナス属細菌などの微生物が産生する微生物セルロース、セルロース溶液を不溶性溶媒に添加することによって得られる再生セルロースなどを使用することができる。本発明における原料セルロースとしては、入手の容易さ及び前述の重合度調整の容易さの点で植物セルロース、微生物セルロースが好ましく、また、これらの混合物を使用することもできる。
一般的に、機械的強度の高い多孔性架橋セルロースゲルは、高濃度のセルロース溶液を使用することにより達成されるが、原料として平均重合度の高いセルロースを使用すると溶解性が悪くなるため、高濃度のセルロース溶液を得ることができない。一方、平均重合度の低いセルロースを使用すると高濃度のセルロース溶液を得ることはできるが、得られる多孔性セルロースゲルの機械的強度が低下する。従って、本発明に用いるセルロースの平均重合度としては、セルロースの溶解性やセルロースゲルの機械的強度の点で100以上1000以下であることが好ましく、より好ましくは100以上500以下である。
前述のセルロースの平均重合度は、塩酸や硫酸などを使用した化学的処理や、セルラーゼなどを使用した生物学的処理により適宜調整することができる。具体的には、1から10%の塩酸にセルロースを懸濁させたのち、80から110℃で加熱する化学的処理法を例示することができる。セルロースの平均重合度は、日本電機工業会規格JEM1455:変圧器用絶縁紙の平均重合度測定方法に記載の方法、すなわち、セルロースを銅・エチレンジアミン溶液に溶解したのちオストワルド粘度測定計を使用した粘度測定法により求めることができる。
溶液中のセルロース濃度は、得られる多孔性セルロースゲルの含水率を高める点で0.5重量%以上10重量%以下であることが好ましい。セルロース濃度が低くなると得られる多孔性セルロースゲルの機械的強度が低下する一方、セルロース濃度が高くなるとセルロース溶液の粘度が高くなり溶解後の操作性が悪くなることから、1重量%以上8重量%以下であることがより好ましい。
前述の平均重合度が100以上1000以下のセルロースには市販品を使用してもよく、例えばコットン由来のセルロースとしてはADVANTEC社製濾紙粉末シリーズ、パルプ由来のセルロースとしては旭化成社製セオラスシリーズを使用することができる。セルロース溶液調製の容易さや重合度の点で、ADVANTEC社製濾紙粉末シリーズではCタイプ、旭化成社製セオラスシリーズではPH−101が好ましい。
また、前述の微生物セルロースの調製法としては、セルロース産生微生物を培養することにより得られたセルロースを精製する方法を例示することができる。セルロース産生微生物の培養は一般的な微生物培養方法に従えばよく、例えば炭素源、窒素源、無機塩類、ビタミンなどの有機微量栄養素を含有する通常の栄養培地でセルロース産生微生物を培養し、25から35℃で1週間から1ヶ月間、静置培養することにより微生物セルロースを得ることができる。
得られた微生物セルロースには菌体と培地成分が含まれるため、破砕処理とアルカリ処理を組み合わせた洗浄処理後、凍結乾燥することにより精製することができる。具体的には、培養により得られた微生物セルロースをミキサーで破砕し、水酸化ナトリウム水溶液に懸濁して加熱処理を行い、pHが中性になるまで水で繰返し洗浄したのち、凍結乾燥する方法を例示することができる。
精製した微生物セルロースは、前述の化学的処理で重合度を調整することにより、本発明における原料として使用することができる。塩酸を使用した化学的処理では塩酸濃度により重合度を容易に調整することができる。例えば、1%微生物セルロース懸濁液をオートクレーブ中、105℃で30分、処理する場合には、懸濁液中の塩酸濃度を1から6%にすることにより、平均重合度が150から410の微生物セルロースを得ることができる。
工程(a)で使用できるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウムと尿素の混合水溶液を例示することができる。工程(a)で使用するアルカリ水溶液が水酸化ナトリウム水溶液である場合、水酸化ナトリウム濃度が低いとセルロースを溶解することができず、また濃度が高いとセルロースの分解や変性が起こることから、水酸化ナトリウムの濃度は4重量%以上12重量%以下が好ましく、より好ましくは6重量%以上10重量%以下である。
また、アルカリ水溶液が水酸化ナトリウムと尿素の混合水溶液である場合、水酸化ナトリウム濃度は前述の理由により4重量%以上12重量%以下が好ましく、より好ましくは6重量%以上10重量%以下である。尿素濃度は10から40℃において6重量%以上10重量%以下の水酸化ナトリウム水溶液中で尿素が溶解できれば特に制限はなく、セルロースの溶解が容易である点で0.1重量%以上35重量%以下が好ましく、10重量%以上32重量%がより好ましい。
前述のアルカリ水溶液にセルロースを溶解させる方法はアルカリ水溶液の組成によって異なる。アルカリ水溶液が水酸化ナトリウム水溶液の場合、10から30℃でセルロースを水酸化ナトリウム水溶液に懸濁させ、−80から−20℃で凍結させたのち、10から30℃で溶解させる操作を1から2回繰り返すことにより均質なセルロース溶液を得ることができる。
また、前述のアルカリ水溶液が水酸化ナトリウムと尿素の混合水溶液の場合、前述の凍結して溶解させる方法の他に、10から30℃でアルカリ水溶液にセルロースを添加したのち、適切な温度で撹拌することでセルロース溶液を得ることができる。さらに水酸化ナトリウムと尿素の混合水溶液中の尿素濃度を高くすることで、常温に近い温度でセルロース溶液を得ることができる。例えば、水酸化ナトリウム濃度が8重量%の場合、尿素濃度が0.1重量%以上20重量%未満の場合はセルロースを添加したアルカリ水溶液を−5℃から15℃で撹拌することにより均質なセルロース溶液を得ることができる。同様に尿素濃度が20重量%以上35重量%以下の場合は10℃から25℃で撹拌することにより均質なセルロース溶液を得ることができる。
(b)工程(a)で得られたセルロース溶液と有機溶媒を混合することにより、セルロース分散液を得る工程
工程(b)で使用する有機溶媒は、セルロース分散液中のセルロース溶液の分散安定性の点で20℃における比重が0.8から1.1であり、且つ水への溶解度が0.1から5g/Lの有機溶媒が好ましい。さらに工程(b)で得られるセルロース分散液は、工程(b)の次の工程(c)でセルロース溶液を凍結させることから、工程(b)で使用する有機溶媒の融点は−20度以下であれば良いが、−30℃以下であることが好ましい。
具体的には、ペンタン、ヘキサン、オクタンなどの炭素数が5から8の脂肪族炭化水素類、トルエン、エチルベンゼン、3−エチルトルエンなどの炭素数6から10の芳香族炭化水素類、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、アニソールなどのエーテル類、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、ヘキサン酸エチルなどのエステル類を例示することができる。中でも、セルロース溶液の乳化の容易さの点で酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、ヘキサン酸エチルなどのエステル類が好ましく、酢酸ベンジルや酢酸シクロヘキシルがより好ましい。また、有機溶媒の使用量に特に制限はないが、セルロース分散液の安定性の点でセルロース溶液に対して4から20倍容積使用することが好ましい。
工程(a)で得られたセルロース溶液と前述の有機溶媒を混合する方法は、セルロース分散液が得られれば特に制限はないが、工程(c)で得られる多孔性未架橋セルロースゲルの粒径分布が狭くなる点で撹拌による方法が好ましい。撹拌方法も特に制限はないが、操作が容易な点で撹拌翼を使用した方法やホモジナイザーを使用する方法が好ましい。
撹拌速度は、使用する容器及び撹拌翼やホモジナイザーなどの装置の形状や大きさによって適切な撹拌速度を選択すればよいが、粒径分布が狭いセルロース分散液が得られる点で、撹拌翼を使用した方法では毎分100から1000回転、ホモジナイザーを使用した方法では毎分1000から15000回転が好ましい。乳化温度は前述の有機溶媒の沸点以下であれば特に制限はないが、操作が容易である点で10から40℃であることが好ましく、20から30℃であることがより好ましい。
また、前述の有機溶媒に少量の乳化剤を添加することにより、工程(c)で得られる多孔性未架橋セルロースゲルの粒径分布を狭くすることができる。乳化剤は前述の有機溶媒に溶解する乳化剤であれば特に制限はないが、安全性が高い点でソルビタンモノオレエートなどの脂肪酸エステル類が好ましい。また、乳化剤濃度が高いほどセルロース分散液の安定性は高くなるが、工程(c)で得られる多孔性未架橋セルロースゲルの形状に悪影響を及ぼすことから、有機溶媒に対して乳化剤を0.001から1重量%添加することが好ましく、より好ましくは0.001から0.1重量%である。
(c)工程(b)で得られたセルロース分散液を中のセルロース溶液を凍結させることにより、多孔性未架橋セルロースゲルを得る工程
工程(c)は、工程(b)で得られたセルロース分散液を−30℃以下に冷却することにより、セルロース分散液中のセルロース溶液を凍結させることで得られたセルロース粒子を、洗浄用溶媒及び水を用いて洗浄することにより、多孔性未架橋セルロースゲルを得る工程を含む工程である。
セルロース分散液中のセルロース溶液を凍結させる方法としては、セルロース分散液が入った容器を冷却することにより凍結させる方法、あらかじめ冷却した管などの容器にセルロース分散液を通液して冷却することにより凍結させる方法、あらかじめ冷却した冷却用溶媒にセルロース分散液を添加して冷却することにより凍結させる方法を例示することができる。
これらの中では、短時間でセルロース分散液中のセルロース溶液を凍結できる点で、あらかじめ冷却した冷却用溶媒にセルロース分散液を添加して冷却することにより、セルロース分散液中のセルロース溶液を凍結する方法が好ましい。
セルロース溶液を凍結させるには−20℃以下の温度が必要であることから、セルロース分散液は−20℃以下に冷却すれば良いが、−30℃以下に冷却することが好ましく、セルロース分散液中のセルロース溶液を短時間で凍結できる点で−40℃以下に冷却することがより好ましい。
工程(c)で使用することができる冷却用溶媒としては、融点が−40℃であり且つ水への溶解度が0.1から5g/Lの有機溶媒であることが好ましく、具体的にはペンタン、ヘキサン、オクタンなどの炭素数が5から8の脂肪族炭化水素類、トルエン、エチルベンゼン、3−エチルトルエンなどの炭素数6から10の芳香族炭化水素類、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類を例示することができる。
中でも、後述する洗浄処理を容易に行なえる点でペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、トルエン、エチルベンゼンなどの炭素数6から10の芳香族炭化水素類、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル類が好ましく、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素やトルエンなどの芳香族炭化水素がより好ましい。また、冷却用溶媒の使用量に特に制限はないが、セルロース溶液を短時間で凍結できる点でセルロース分散液に対して5から20倍容積使用することが好ましい。
冷却用溶媒の撹拌方法に特に制限はないが、セルロース分散液中で凍結したセルロース溶液の破壊を抑制する点で、撹拌翼を使用する方法が好ましい。また、撹拌速度についてはセルロース溶液が短時間で凍結できれば特に制限はない。
撹拌はセルロース溶液が十分に凍結するまで継続することが好ましく、セルロース分散液を冷却用溶媒に添加したのち、−30℃以下の温度で30から60分撹拌を継続することにより、セルロース溶液が凍結したセルロース粒子を得ることができる。撹拌を中止することにより、セルロース粒子は冷却用溶媒中に沈降した状態となる。
得られたセルロース粒子を洗浄用溶媒及び水を用いて洗浄することによりセルロース粒子中の水酸化ナトリウムや尿素などのアルカリ成分を除くことで、多孔性セルロースゲルを得ることができる。具体的には、セルロース粒子が沈降した溶媒からデカンテーションなどの操作により溶媒を除去したのち、あらかじめ−20℃以下に冷却した洗浄用溶媒を添加して撹拌し、再度静置してセルロース粒子を沈降させる操作を2から5回繰り返したのち、10から30℃において水でさらに洗浄することにより、目的の多孔性未架橋セルロースゲルを得ることができる。
洗浄用溶媒による洗浄処理はセルロース粒子の結合を抑制する点で、−20℃以下で行なうことが好ましい。また洗浄用溶媒を添加したあとの撹拌は、セルロース粒子の破壊を抑制する点で、撹拌翼を使用した撹拌方法が好ましく、撹拌速度と撹拌時間は洗浄溶媒とセルロース粒子が均一に混合することができれば特に制限はない。
工程(c)で使用することができる洗浄用溶媒としては、アルカリ成分を溶解可能であり且つ融点が−20℃以下である必要があり、具体的には、メタノール、エタノール、2−プロパノール、エチレングリコール、グリセロールなどのアルコール類のいずれか1種あるいはこれらの混合物を例示することができる。またこれらのアルコール類と水の混合溶媒を使用することもできる。
(d)工程(c)で得られた多孔性未架橋セルロースゲルを、グリシジルエーテル類と反応させることにより、多孔性部分架橋セルロースゲルを得る工程
工程(d)と工程(e)は官能基間の原子数が異なる2種類の架橋剤で架橋する工程であり、工程(d)は、工程(c)で得られた多孔性未架橋セルロースゲルに溶媒を添加した懸濁液に、架橋剤であるグリシジルエーテル類を添加して撹拌条件下で加熱したのち、反応を促進させる塩基を添加することにより、多孔性部分架橋セルロースゲルを得る工程を含む工程である。
工程(d)で使用するグリシジルエーテル類としては、多孔性架橋セルロースゲルの機械的強度を高める点で多官能性のグリシジルエーテル類を使用することが好ましく、具体的にはエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテルなどのジグリシジルエーテル類、グリセロールトリグリシジルエーテル、エリスリトールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテルなどのトリグリシジルエーテル類、エリスリトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルなどのテトラグリシジルエーテル類を例示することができる。
これらの中では、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルなどのジグリシジルエーテル類、グリセロールトリグリシジルエーテル、エリスリトールトリグリシジルエーテル、ソルビトールトリグリシジルエーテルなどのトリグリシジルエーテル類、エリスリトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテルなどのテトラグリシジルエーテル類など、少なくとも2つ以上のグリシジル基を有するポリグリシジルエーテル類が好ましく、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、エリスリトールトリグリシジルエーテル、エリスリトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルがより好ましい。これらのポリグリシジルエーテル類は単独で使用することもできるが、数種の混合物を使用することもできる。
前述のポリグリシジルエーテル類は市販品を使用してもよく、例えばナガセケムテックス社製デナコールEXシリーズを使用することができる。デナコールEXシリーズの中では得られる多孔性架橋セルロースゲルの機械的強度の点で、デナコールEX−313(グリセロールポリグリシジルエーテル)、デナコールEX−614B(ソルビトールポリグリシジルエーテル)及びデナコールEX−411(ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル)が好ましい。
工程(d)で使用することができる溶媒としては、多孔性未架橋セルロースゲルの懸濁液が得られ且つ架橋剤と反応しないものであれば特に制限はなく、水、有機溶媒、及びこれらの混合物を利用することができる。
有機溶媒としてはペンタン、ヘキサン、オクタンなどの炭素数が5から8の脂肪族炭化水素類、トルエン、エチルベンゼン、キシレンなどの炭素数6から10の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、ジメチルホルムアミドなどの含窒素溶媒、ジメチルスルホキシドなどの含硫黄溶媒などを例示することができる。これらの溶媒の中ではセルロースゲルの分散性が高く、架橋剤の溶解性が高い点で、水と1,4−ジオキサン、水とジメチルホルムアミド、水とジメチルスルホキシドの混合溶媒が好ましい。
溶媒の使用量に特に制限はないが、多孔性未架橋セルロースゲルの分散性を高める点で、多孔性未架橋セルロースゲルの含水重量あるいは自然沈降容積に対して0.5から5倍量の溶媒を使用することが好ましい。水と前述の有機溶媒の混合比率にも特に制限はないが、反応溶液全体に対する前述の有機溶媒の比率が10から50重量%であることが好ましい。
架橋剤の使用量に特に制限はないが、使用量が少ない場合には多孔性架橋セルロースゲルの機械的強度は低下し、使用量が多い場合には架橋剤同士が反応することにより反応溶液全体が固化する場合があることから、架橋処理を行なう多孔性未架橋セルロースゲルの含水重量あるいは自然沈降容積に対して0.01から0.5倍量の架橋剤を使用することが好ましく、より好ましくは0.1から0.3倍量である。
反応溶液の温度は30から70℃が好ましく、より好ましくは40から60℃である。反応溶液の撹拌方法はセルロースゲルの破壊を抑制する点で、撹拌翼を使用する方法が好ましい。また、撹拌速度についてはセルロースゲルが懸濁液中で良好に分散できれば特に制限はない。
前述の温度で30から60分加熱したのち、架橋反応を促進させるため、反応溶液に塩基を添加することが望ましい。塩基としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基類やトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどの有機塩基類を例示することができる。これらの中では水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基類が好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。塩基の添加量に特に制限はないが、反応溶液の全体重量に対して0.1から4重量%であることが好ましい。
塩基を添加後は反応溶液の温度を30から70℃、好ましくは40から60℃に維持したまま、さらに2から24時間撹拌を継続し、架橋反応を行なうことが好ましく、8から24時間撹拌を継続することがより好ましい。反応終了後は反応溶液の温度を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターなどを使用して水あるいは適当な有機溶媒で洗浄することにより、目的の多孔性部分架橋セルロースゲルを得ることができる。
(e)工程(d)で得られた多孔性部分架橋セルロースゲルを、セルロースの水酸基と反応し得る活性部位を2つ以上有する架橋剤と反応させることにより、多孔性架橋セルロースゲルを得る工程
工程(e)は、工程(d)で得られた多孔性部分架橋セルロースゲルに溶媒を添加した懸濁液に、セルロースの水酸基と反応しうる活性部位を2つ以上有する架橋剤を添加して撹拌条件下で加熱したのち、反応を促進させる塩基を添加することにより、多孔性架橋セルロースゲルを得る工程を含む工程である。
工程(e)で使用する架橋剤としては、セルロースの水酸基と反応し得る活性部位を2つ以上有する架橋剤を用いることができる。具体的には、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリンなどのエピハロヒドリン類、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,2−ヨードエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,3−ジクロロプロパン、1,2−ジブロモプロパン、1,3−ジブロモプロパン、1,3−ヨードプロパン、1−ブロモ−3−クロロプロパンなどのハロゲン化炭化水素類、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、2,3−ジクロロ−1−プロパノール、2,3−ジブロモ−1−プロパノールなどの含ハロゲンアルコール類、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル類を例示することができる。これらの中では反応性が高い点でエピクロロヒドリン、エピブロモヒドリンが好ましい。これら架橋剤は1種またはこれらの混合物として利用することもできるが、エピクロロヒドリンを単独で利用することがより好ましい。
工程(e)で使用することができる溶媒としては、多孔性セルロースゲルの懸濁液が得られ且つ架橋剤と反応しないものであれば特に制限はなく、水、有機溶媒、及びこれらの混合物を利用することができる。有機溶媒としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、ジメチルホルムアミドなどの含窒素溶媒、ジメチルスルホキシドなどの含硫黄溶媒を例示することができる。これらの溶媒の中ではセルロースゲルの分散性が高く、架橋剤の溶解性が高い点で、水と1,4−ジオキサン、水とジメチルホルムアミド、水とジメチルスルホキシドの混合溶媒が好ましい。
溶媒の使用量に特に制限はないが、多孔性部分架橋セルロースゲルの分散性を高める点で、多孔性部分架橋セルロースゲルの含水重量あるいは自然沈降容積に対して0.5から5倍量の溶媒を使用することが好ましい。水と前述の有機溶媒の混合比率にも特に制限はないが、架橋剤の溶解性の点で反応溶液の全体重量に対する前述の有機溶媒の比率が20から80重量%であることが好ましい。
架橋剤の使用量に特に制限はないが、使用量が少ない場合には多孔性架橋セルロースゲルの機械的強度は低下することから、架橋処理を行なう多孔性部分架橋セルロースゲルの含水重量あるいは自然沈降容積に対して0.05から1.5倍量の架橋剤を使用することが好ましく、より好ましくは0.1から1倍量である。
反応溶液の温度は30から70℃が好ましく、より好ましくは40から60℃である。反応溶液の撹拌方法は多孔性部分架橋セルロースゲルの破壊を抑制する点で、撹拌翼を使用する方法が好ましい。また、撹拌速度については多孔性部分架橋セルロースゲルが懸濁液中で良好に分散できれば特に制限はない。
前述の温度で30から60分加熱したのち、架橋反応を促進させるため、反応溶液に塩基を添加することが望ましい。塩基としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基類やトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどの有機塩基類を例示することができる。これらの中では水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基類が好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。
架橋剤がエピハロヒドリン類、ハロゲン化炭化水素類、及び含ハロゲンアルコール類である場合、反応の進行に伴って反応溶液がアルカリ性から中性に変化するため、塩基の添加量は添加した架橋剤のモル数に対して0.1から1.5倍量であることが好ましく、0.25から1.1倍量であることがより好ましい。また、塩基の添加方法に特に制限はないが、得られる多孔性架橋セルロースゲルの機械的強度の点で、必要量を連続的あるいは段階的に添加する方法が好ましい。
塩基の添加後、反応溶液の温度を30から70℃、好ましくは40から60℃に維持したまま、さらに1から12時間撹拌を継続し、架橋反応を行なうことが好ましい。反応終了後は反応溶液の温度を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターなどを使用して水あるいは適当な有機溶媒で洗浄することにより、目的の多孔性架橋セルロースゲルを得ることができる。
後工程
一般的に、クロマトグラフィー用充填剤中にエポキシ基などの分離対象物質と反応しうる官能基が残存している場合、クロマトグラフィー操作中に分離対象物質が充填剤と反応し、目的の精製対象物質が充填剤に吸着する場合が想定される。本発明における多孔性架橋セルロースゲルは、工程(d)及び場合によっては工程(e)でエポキシ基を含む架橋剤で架橋処理を行なっており、工程(e)で得られた多孔性架橋セルロースゲルにはエポキシ基が残存している可能性があるが、後工程として工程(e)で得られた多孔性架橋セルロースゲルを、水酸基を有する有機化合物と反応させる工程を実施することにより、工程(e)で得られた多孔性架橋セルロースゲルに残存するエポキシ基含量を低下させることができる。
工程(e)で得られた多孔性架橋セルロースゲルと反応させる水酸基を有する有機化合物としては、効率良くエポキシ基含量を低下させる点で少なくとも2つ以上の水酸基を有する有機化合物が好ましく、具体的には、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのジオール類、グリセロール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトールなどの糖アルコール類、アガロース、デキストラン、プルラン、可溶性デンプンなどの水溶性多糖類を例示することができる。これらの中ではグリセロール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトールなどの糖アルコール類やデキストラン、プルランなどの水溶性多糖類が好ましい。これら水酸基を有する有機化合物は単独あるいは数種類の混合物として利用することもできるが、単独で利用することがより好ましい。
工程(e)で得られた多孔性架橋セルロースゲルを、水酸基を有する有機化合物と反応させる工程で使用することができる溶媒は水酸基を有する有機化合物が溶解すれば特に制限はなく、水、有機溶媒、及びこれらの混合物を利用することができる。有機溶媒としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、ジメチルホルムアミドなどの含窒素溶媒、ジメチルスルホキシドなどの含硫黄溶媒などが上げられる。これらの溶媒の中では架橋剤の溶解性が高い点で水、水と1,4−ジオキサン、水とジメチルホルムアミドあるいは水とジメチルスルホキシドの混合溶媒が好ましい。
溶媒の使用量に特に制限はないが、セルロースゲルと水酸基を有する有機化合物との反応を促進させる点で、工程(e)で得られた多孔性架橋セルロースゲルの含水重量あるいは自然沈降容積に対して0.5から3倍量の溶媒を使用することが好ましい。また、水酸基を有する有機化合物の使用量に特に制限はないが、工程(e)で得られた多孔性架橋セルロースゲルの含水重量あるいは自然沈降容積に対して0.05から1倍量を使用することが好ましく、より好ましくは0.1から0.8倍量である。
セルロースゲルと水酸基を有する有機化合物との反応を促進させるため、反応溶液に塩基を添加することが望ましい。塩基としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基類やトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどの有機塩基類を例示することができる。これらの中では水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基類が好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。塩基の添加量に特に制限はないが、反応溶液の全体重量に対して0.1から4重量%であることが好ましい。
工程(e)で得られた多孔性架橋セルロースゲルの懸濁液に水酸基を有する有機化合物と塩基を添加したのち、撹拌条件下で懸濁液を加熱し、30から70℃、好ましくは40から60℃に維持したまま、2から24時間撹拌を継続し、架橋反応を行なうことが好ましい。反応終了後は反応溶液の温度を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターなどを使用して水あるいは適当な有機溶媒で洗浄することにより、エポキシ基の含有量を低下させた多孔性架橋セルロースゲルを得ることができる。
得られた多孔性架橋セルロースゲルに残存しているエポキシ基の定量は、分析化学便覧改定三版(丸善、1981年)に記載のハロヒドリン生成法に従って行なうことができる。具体的には、ゲル内の溶媒として100%の1,4−ジオキサンを含む多孔性架橋セルロースゲルと、HCl濃度が0.2Mになるように調整した濃塩酸と1,4−ジオキサンの混合溶媒をフラスコに秤量し、室温で3時間撹拌したのち、エタノールとフェノールフタレインを添加し、0.1MのNaOHで滴定することにより求めることができる。また、ゲルに残存しているエポキシ基含量により、定量に使用するゲル量、塩酸濃度、NaOH濃度を適宜調整してもよい。
工程(e)の後、及び/又は後工程の後に必要に応じて分級を行うことにより平均粒子径が20μm以上30μm以下の本発明の多孔性架橋セルロースが得られる。本発明における多孔性架橋セルロースゲルは機械的強度が高く、高流速処理が可能なクロマトグラフィー用充填剤として有用であり、タンパク質などの精製対象物質の分離精製に利用可能な分離能及び粒径を有していることから、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、共有結合クロマトグラフィー、キレートクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー用充填剤として有用である。
さらに本発明の多孔性架橋セルロースゲルは精製対象物質の吸着量が高く、また精製対象物質の非特異的吸着が少ないことから、特にイオン交換クロマトグラフィー用充填剤、疎水性相互作用クロマトグラフィー用充填剤、アフィニティークロマトグラフィー用充填剤として有用である。本発明における多孔性架橋セルロースゲルをクロマトグラフィー用充填剤として使用する精製方法は、一般的なクロマトグラフィー操作による精製方法であれば特に制限はないが、機械的強度が高く高流速処理が可能であることから、クロマトグラフィー用カラムに充填して使用する精製方法が好ましい。
本発明の多孔性架橋セルロースゲルをこれらのクロマトグラフィー用充填剤として使用する場合、他のクロマトグラフィー用充填剤において一般的な方法により、用途に応じた各種官能基を多孔性架橋セルロースゲルに導入することができる。例えば、イオン交換クロマトグラフィー用充填剤として、本発明の多孔性架橋セルロースゲルにカルボキシル基やスルホン基を導入することにより陽イオン交換クロマトグラフィー用充填剤を、アミノ基を導入することにより陰イオン交換クロマトグラフィー用充填剤を提供することができる。
本発明の多孔性架橋セルロースゲルにカルボキシル基を導入する方法は、一般的な多糖系充填剤にカルボキシル基を導入する方法であれば特に制限されない。例えば、本発明の多孔性架橋セルロースゲルとモノクロロ酢酸、モノブロモ酢酸などのハロ酢酸を塩基性条件下で反応させる方法の他に、多孔性架橋セルロースゲルとエピクロロヒドリン、エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有化合物を塩基性条件下で反応させることでエポキシ化したのち、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸などのアミノ酸類や、β−アラニン、4−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸などのアミノ基含有カルボン酸類及びチオグリコール酸やチオリンゴ酸などの含硫黄カルボン酸類と塩基性条件下で反応させる方法を例示することができる。
本発明の多孔性架橋セルロースゲルにスルホン基を導入する方法としては、例えば、本発明の多孔性架橋セルロースゲルと2−ブロモエタンスルホン酸ナトリウム、3−ブロモプロパンスルホン酸ナトリウム、1,4−ブタンスルトンなどのスルホン化剤を塩基性条件下で反応させる方法を例示することができる。本発明の多孔性架橋セルロースゲルにアミノ基を導入する方法としては、例えば、本発明の多孔性架橋セルロースゲルとエチレンジアミン、2−(ジエチルアミノ)エチルクロリド塩酸塩、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリドなどのアミノ基含有化合物を塩基性条件下で反応させる方法を例示することができる。
また、本発明の多孔性架橋セルロースゲルにアルキル基やアリール基を導入することにより、疎水性相互作用クロマトグラフィー用充填剤を提供することができる。本発明の多孔性架橋セルロースゲルにアルキル基やフェニル基を導入する方法としては、例えば、アルキル基を導入する方法として、本発明の多孔性架橋セルロースゲルとブチルグリシジルエーテルをアルカリ性条件下で反応させる方法を、アリール基を導入する方法として、本発明の多孔性架橋セルロースゲルとフェニルグリシジルエーテルをアルカリ性条件下で反応させる方法を例示することができる。
本発明の多孔性架橋セルロースゲルに導入するアルキル基としては炭素数4以上12以下のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数4以上8以下のアルキル基であり、アリール基としては炭素数6以上18以下のアリール基が好ましく、より好ましくは炭素数6以上12以下のアリール基である。
さらに、本発明の多孔性架橋セルロースゲルにカルボキシル基、アミノ基、ホルミル基、スクシンイミドオキシカルボニル基、エポキシ基、トレシル基などのアフィニティーリガンド固定化用官能基を導入したのち、コンカナバリンAやプロテインAなどのアフィニティーリガンドを固定化することにより、アフィニティークロマトグラフィー用充填剤を提供することができる。
本発明の多孔性架橋セルロースゲルにホルミル基を導入する方法としては、例えば、本発明の多孔性架橋セルロースゲルとグルタルアルデヒドなどの2官能性アルデヒド類を反応させる方法や、本発明の多孔性架橋セルロースゲルを過ヨウ素酸ナトリウムなどの酸化剤と反応させる方法を例示することができる。
本発明の多孔性架橋セルロースゲルにスクシンイミドオキシカルボニル基を導入する方法としては、前述のカルボキシル基を導入した多孔性架橋セルロースゲルとN−ヒドロキシスクシンイミドを1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩の存在下で反応させる方法を例示することができる。
本発明の多孔性架橋セルロースゲルにエポキシ基を導入する方法としては、例えば、本発明の多孔性架橋セルロースゲルとエピクロロヒドリン、エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有化合物を塩基性条件下で反応させる方法を例示することができる。本発明の多孔性架橋セルロースゲルに2,2,2−トリフルオロエチルスルホニル基(トレシル基)を導入する方法としては、例えば、本発明の多孔性架橋セルロースゲルと2,2,2−トリフルオロエタンスルホニルクロリド(トレシルクロリド)を反応させる方法を例示することができる。
前述のアフィニティーリガンド固定化用官能基を導入した多孔性架橋セルロースゲルにアフィニティーリガンドを固定化する方法は、一般的なアフィニティーリガンドの固定化方法であれば特に制限されない。例えば、本発明の多孔性架橋セルロースゲルにカルボキシル基あるいはアミノ基を導入した多孔性架橋セルロースゲルとアフィニティーリガンドをN−ヒドロキシスクシンイミドと1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩の存在下で反応させる方法、本発明の多孔性架橋セルロースゲルにエポキシ基を導入した多孔性架橋セルロースゲルとアフィニティーリガンドを塩基性条件下で反応させる方法、本発明の多孔性架橋セルロースゲルにホルミル基を導入した多孔性架橋セルロースゲルとアフィニティーリガンドを反応させたのち水素化ホウ素ナトリウムやジメチルアミンボランなどの還元剤で処理する方法、本発明の多孔性架橋セルロースゲルにスクシンイミドオキシカルボニル基あるいはトレシル基を導入した多孔性架橋セルロースゲルとアフィニティーリガンドを反応させる方法を例示することができる。
前述のアフィニティーリガンド固定化用官能基を導入した多孔性架橋セルロースゲルとアフィニティーリガンドを反応させる方法の中では、反応収率が高い点及び穏和な条件で反応が可能である点で、カルボキシル基あるいはアミノ基を導入した多孔性架橋セルロースゲルとアフィニティーリガンドを反応させる方法が好ましく、保存安定性の点でカルボキシル基を導入した多孔性架橋セルロースゲルがより好ましい。
本発明のカルボキシル基を導入した多孔性架橋セルロースゲルへのアフィニティーリガンド導入量は、精製対象物質の吸着量を高める点及びアフィニティーリガンドを導入した多孔性架橋セルロースゲルの製造原価を低減させる点で、1mLの多孔性架橋セルロースゲル当り、1mg以上100mg以下であることが好ましく、より好ましくは5mg以上50mg以下、さらに好ましくは5mg以上30mg以下である。アフィニティーリガンドを導入した多孔性架橋セルロースゲルへのアフィニティーリガンド導入量は、反応後の洗浄液を回収し、アフィニティーリガンド由来の吸光度を測定することにより算出することができる。
本発明の多孔性架橋セルロースゲルへの前述の各種官能基及びアフィニティーリガンドの導入量はクロマトグラフィー用充填剤の用途に合わせて決定すればよく、各種官能基導入量は反応条件を変更することにより調整することができる。
本発明の方法により、機械的強度が高く、高流速処理が可能なクロマトグラフィー用充填剤として有用な多孔性架橋セルロースゲルを製造することができる。また、本発明の多孔性架橋セルロースゲルはタンパク質などの精製対象物質の吸着量が高く、平均粒子径が20μm以上300μm以下であることから、クロマトグラフィー用充填剤として使用した場合、タンパク質などの生体高分子の精製工程における生産性を著しく向上させることができる。
さらに本発明の多孔性架橋セルロースゲルが水に対する再膨潤率が90から100%の場合は、セルロースゲルを乾燥させて保存することや、セルロースゲルに各種官能基を導入する場合において無水状態が好ましい反応を有機溶媒中で行なうことが可能となる。
実施例1と2で製造した多孔性架橋セルロースゲル1と2及び比較例2で製造した多孔性架橋セルロースゲル4の、流速とカラム圧力損失を示したグラフである。 実施例12から14で製造した多孔性架橋セルロースゲル14から16と市販架橋アガロースゲル及び市販架橋セルロースゲルの、流速とカラム圧力損失を示したグラフである。
以下、実施例、参考例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下の実施例、参考例及び比較例において、セルロースゲルを「容積」で記載した場合は水に懸濁したゲルの「自然沈降容積」であり、セルロースゲルを「重量」で記載した場合は水に懸濁したゲルをグラスフィルターでろ過して秤量した「含水重量」である。
参考例1 微生物セルロースの調製
微生物セルロースの調製は、特開2010−236975公報に記載された方法に従って、以下のように行なった。
ステンレスバットに、液体培地(砂糖4.0%、クエン酸1.4%、硫酸マグネシウム七水和物0.1%、ソイトン0.5%、酵母エキス0.5%、エタノール0.5%、pH5.6)を添加し、NITEから分譲されたGluconacetobacter xylinus NBRC−13693を植菌し、30℃で1週間、静置培養を行った。
培養終了後、培地表面に生成したゲル状の微生物セルロースを取り出し、ミキサーで粉砕したのち、0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液に懸濁して80℃で3時間加熱した。水酸化ナトリウム処理を行なった微生物セルロースを洗浄液のpHが中性になるまで水で繰返し洗浄したのち、凍結乾燥することにより微生物セルロースAを得た。前述の日本電機工業会規格 JEM1455:変圧器用絶縁紙の平均重合度測定方法に記載の方法により平均重合度を測定した結果、微生物セルロースAの平均重合度は925であった。
次に、得られた微生物セルロースAが1重量%となるよう2%塩酸に懸濁したのち、オートクレーブ中、105℃で30分間加熱した。塩酸処理を行った微生物セルロースAを洗浄液のpHが中性になるまで水で繰返し洗浄したのち、凍結乾燥するにより微生物セルロースBを得た。前述の方法により平均重合度を測定した結果、微生物セルロースBの平均重合度は331であった。
同様に微生物セルロースAが1重量%となるよう6%塩酸に懸濁したのち、105℃で30分間加熱し、洗浄、凍結乾燥することにより微生物セルロースCを得た。前述の方法により平均重合度を測定した結果、微生物セルロースCの平均重合度は165であった。
実施例1 多孔性架橋セルロースゲル1の製造
実施例1と2及び比較例1から3は、微生物セルロースを水酸化ナトリウム水溶液に溶解した2%セルロース溶液からの多孔性架橋セルロースゲルの製造方法及びクロマトグラフィー用充填剤としての特性評価に関するものである。
(1)多孔性未架橋セルロースゲルAの製造
参考例1で得られた微生物セルロースB(0.2g、平均重合度331)を、常温において8重量%水酸化ナトリウム水溶液(9.8mL)に懸濁し、−20℃で凍結させたのち常温で溶解させる操作を2回繰り返すことにより均質なセルロース溶液を得た。得られたセルロース溶液を0.002重量%のソルビタンモノオレエートを含む酢酸ベンジル(74.0g)に添加し、シャフトジェネレーター(アズワン社製、タイプHT1018)を接続したホモジナイザードライブ(アズワン社製、タイプAHG−160A)を使用して14000rpmで30秒間撹拌することによりセルロース分散液を得た。次に得られたセルロース分散液を、撹拌条件下、あらかじめ−50℃に冷却したn−ヘキサン(100mL)に速やかに投入し、撹拌を30分間継続したのち、静置することによりn−ヘキサン中に沈降したセルロース粒子を得た。n−ヘキサンをデカンテーションにより除き、あらかじめ−20℃に冷却したメタノール(100mL)を添加し、撹拌後、静置することによりセルロース粒子を沈降させたのち、メタノールを除去することでセルロース粒子を洗浄した。メタノールによる一連の洗浄操作を3回繰り返したのち、洗浄液が中性になるまで常温において多量の水で洗浄した。
微生物セルロースのアルカリ水溶液への溶解から水を使用した洗浄までの一連の操作を繰り返すことにより、目的の多孔性未架橋セルロースゲルA(250mL)を得た。
(2)多孔性架橋セルロースゲル1の製造
(1)で得られた多孔性未架橋セルロースゲルA(30mL)、ジメチルスルホキシド(30.0g)、水(30.0g)、ナガセケムテックス社製デナコールEX−313(6.0g)を反応容器に添加し、50℃で30分間撹拌したのち、48%水酸化ナトリウム水溶液(2.0mL)を添加し、50℃で16時間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水でろ過洗浄した。
デナコールEX−313で架橋したセルロースゲル(30mL)、ジメチルスルホキシド(30.0g)、水(30.0g)、エピクロロヒドリン(15.0g)を反応容器に添加し、50℃で30分間撹拌したのち、48%水酸化ナトリウム水溶液(1.10mL)を30分間隔で8回添加し、水酸化ナトリウム水溶液を添加後、さらに50℃で60分間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水でろ過洗浄した。
次いで後工程として、デナコールEX−313とエピクロロヒドリンで架橋したセルロースゲル(30mL)、25重量%グリセロール水溶液(60.0g)、48%水酸化ナトリウム水溶液(1.88mL)を反応容器に添加し、50℃で15時間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水でろ過洗浄することにより、多孔性架橋セルロースゲルを得た。得られた多孔性架橋セルロースゲルはJIS標準篩いを使用した湿式分級法により45μm以上150μm以下に分級することにより、本願発明の多孔性架橋セルロースゲル1を得て、以下の測定に使用した。
(3)多孔性架橋セルロースゲル1の含水率、再膨潤率、エポキシ基含有量測定
前述の方法により、多孔性架橋セルロースゲル1の含水率と再膨潤率を測定した結果、含水率は93%、再膨潤率は100%であった。また、前述の方法により多孔性架橋セルロースゲル1のエポキシ基含有量を前述の方法に従って測定した結果、エポキシ基含有量は測定法の定量下限以下であった。
(4)多孔性架橋セルロースゲル1のタンパク質分離能測定
多孔性架橋セルロースゲル1のタンパク質分離能を測定するため、多孔性架橋セルロースゲル1を水に懸濁したのち、リザーバーカラム及びポンプを用いて水を通液することにより、オムニフィット社製ガラスカラム(内径6.6mm、長さ220mm、容量7.5mL)に最密充填となるように充填した。次に、多孔性架橋セルロースゲルを充填したカラムをHPLCシステム(GEヘルスケアバイオサイエンス社製、AKTAexplorer 10S)に接続し、0.1Mの塩化カリウムを含む0.05MのTris−HCl緩衝液(pH7.5)からなる溶出液を通液することにより、カラム内を溶出液で平衡化した。
次に、測定対象タンパク質として、チトクロムC(シグマ社製、分子量12400)、アポフェリチン(シグマ社製、分子量443000)及びチログロブリン(シグマ社製、分子量669000)を用い、0.3mL/分の流速で測定対象タンパク質を注入し、Veを測定対象タンパク質の溶出容積、Vcをカラム容積として算出される各タンパク質のVe/Vc値を測定した結果、チトクロムcに対するVe/Vc値は0.96、アポフェリチンは0.92、チログロブリンは0.89であった。
(5)多孔性架橋セルロースゲル1のカラム圧力損失測定
カラム圧力損失の測定には、前述の(4)で充填したカラムとHPLCシステムを使用した。カラム圧力損失測定は、カラムに0.5mL/分(線速度88cm/時)の流速で25℃の水を通液し、1分後のHPLCシステムのポンプ圧力を読み取ったのち、HPLCシステムの最大流速である10mL/分(線速度1755cm/時)まで1分間隔で流速を0.5mL/分ずつ上昇させ、各流速における1分後のポンプ圧力を読みとることで行なった。
なお、カラム圧力損失は、カラムに充填剤を充填した状態でカラムに水を通液した場合の各流速におけるHPLCシステムのポンプ圧力から、カラムに水を満たした状態でカラムに水を通液した場合の各流速におけるHPLCシステムのポンプ圧力を差し引くことにより算出した。多孔性架橋セルロースゲル1のカラム圧力損失を測定した結果、HPLCシステムの最大流速まで流速とカラム圧力損失はほぼ直線関係を示し、線速度1755cm/時でのカラム圧力損失は0.17MPaであった。
実施例2 多孔性架橋セルロースゲル2の製造
実施例2では、実施例1の後工程におけるグリセロール水溶液をソルビトール溶液に変更して多孔性架橋セルロースゲルを製造した。
エピクロロヒドリンによるセルロースゲルの架橋までは、実施例1に記載した方法と同様の方法で行なった。
後工程として、デナコールEX−313とエピクロロヒドリンで架橋したセルロースゲル(30mL)、ジメチルスルホキシドと水の混合溶液(1:4、重量比)に20重量%のソルビトールを含んだ溶液(60.0g)、48%水酸化ナトリウム水溶液(1.88mL)を反応容器に添加し、50℃で15時間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水でろ過洗浄することにより、多孔性架橋セルロースゲルを得た。得られた多孔性架橋セルロースゲルはJIS標準篩いを使用した湿式分級法により45μm以上150μm以下に分級することにより、本願発明の多孔性架橋セルロースゲル2を得て、以下の測定に使用した。
実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル2の含水率と再膨潤率を測定した結果、含水率は93%、再膨潤率は100%であった。また多孔性架橋セルロースゲル2のエポキシ基含有量を測定した結果、エポキシ基含有量は定量下限以下であった。
また実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル2のタンパク質分離能を測定した結果、チトクロムcに対するVe/Vc値は0.95、アポフェリチンは0.90、チログロブリンは0.89であった。
さらに実施例1と同様に、多孔性架橋セルロースゲル2のカラム圧力損失を測定した結果、HPLCシステムの最大流速まで流速とカラム圧力損失はほぼ直線関係を示し、線速度1755cm/時でのカラム圧力損失は0.20MPaであった。
比較例1 多孔性架橋セルロースゲル3の製造
比較例1では、工程(d)のグリシジルエーテル類による架橋のみを行なう方法で多孔性架橋セルロースゲルを製造した。
デナコールEX−313によるセルロースゲルの架橋までを実施例1に記載した方法と同様の方法で行ない、目的の多孔性架橋セルロースゲルを得た。得られた多孔性架橋セルロースゲルはJIS標準篩いを使用した湿式分級法により45μm以上150μm以下に分級することにより、多孔性架橋セルロースゲル3を得て、以下の測定に使用した。
実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル3の含水率と再膨潤率を測定した結果、含水率は96%、再膨潤率は93%であった。
また実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル3のタンパク質分離能を測定した結果、チトクロムcに対するVe/Vc値は0.91、アポフェリチンは0.78、チログロブリンは0.77であった。
さらに実施例1と同様に、多孔性架橋セルロースゲル3のカラム圧力損失を測定した結果、線速度263cm/時(流速1.5mL/分)におけるカラム圧力損失が1.21MPaとなり、流速を2.0mL/分に上げるとポンプの圧力がHPLCシステムの限界に達し、通液できなくなった。
比較例2 多孔性架橋セルロースゲル4の製造
比較例2では、特許文献6の実施例2−3に記載の方法に従って架橋処理を行うことにより、多孔性架橋セルロースゲルを製造した。
実施例1で得られた多孔性未架橋セルロースゲルA(30mL)を、水(39.6g)に無水硫酸ナトリウム(18.9g)を溶解した溶液に添加し、50℃で2時間撹拌した。次に、反応溶液に水素化ホウ素ナトリウム(0.18g)と48%水酸化ナトリウム水溶液(0.70mL)を添加し、50℃で撹拌を継続しながら、エピクロロヒドリン(15.0g)と48%水酸化ナトリウム水溶液(9.60mL)を25等分した量を15分間隔で6時間かけて添加したのち、さらに50℃で16時間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水でろ過洗浄することにより、目的の多孔性架橋セルロースゲルを得た。得られた多孔性架橋セルロースゲルはJIS標準篩いを使用した湿式分級法により45μm以上150μm以下に分級することにより、多孔性架橋セルロースゲル4を得て、以下の測定に使用した。
実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル4の含水率と再膨潤率を測定した結果、含水率は91%、再膨潤率は100%であった。また多孔性架橋セルロースゲル4のエポキシ基含有量を測定した結果、エポキシ基含有量は7.1μmol/mLであった。
また実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル4のタンパク質分離能を測定した結果、チトクロムcに対するVe/Vc値は0.97、アポフェリチンは0.93、チログロブリンは0.92であった。
さらに実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル4のカラム圧力損失を測定した結果、線速度1200cm/時までは流速とカラム圧力損失はほぼ直線関係を示したが、それ以上の流速ではカラム圧力損失が徐々に上昇し、線速度1755cm/時でのカラム圧力損失は0.51MPaであった。
実施例1と2で製造した多孔性架橋セルロースゲル1と2及び比較例2で製造した多孔性架橋セルロースゲル4の、流速とカラム圧力損失の関係を示したグラフを図1に示した。図1から明らかのように、実施例1と2で製造した多孔性架橋セルロースゲル1と2のカラム圧力損失は、比較例2で製造した多孔性架橋セルロースゲル4よりも低いものであった。
実施例3 多孔性架橋セルロースゲル5の製造
実施例3では、実施例1の後工程を行なわない方法で多孔性架橋セルロースゲルを製造した。
エピクロロヒドリンによるセルロースゲルの架橋までは、実施例1に記載した方法と同様の方法で行い、目的の多孔性架橋セルロースゲルを得た。得られた多孔性架橋セルロースゲルはJIS標準篩いを使用した湿式分級法により45μm以上150μm以下に分級することにより、本願発明の多孔性架橋セルロースゲル5を得たのち、以下の測定に使用した。
実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル5の含水率と再膨潤率を測定した結果、含水率は94%、再膨潤率は100%であった。また多孔性架橋セルロースゲル5のエポキシ基含有量を測定した結果、エポキシ基含有量は25.2μmol/mLであった。
また実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル5のタンパク質分離能を測定した結果、チトクロムcに対するVe/Vc値は0.93、アポフェリチンは0.89、チログロブリンは0.87であった。
さらに実施例1と同様に、多孔性架橋セルロースゲル5のカラム圧力損失を測定した結果、HPLCシステムの最大流速まで流速とカラム圧力損失はほぼ直線関係を示し、線速度1755cm/時でのカラム圧力損失は0.18MPaであった。
実施例4 多孔性架橋セルロースゲル6の製造
実施例4から5は、パルプ由来セルロースを水酸化ナトリウム水溶液に溶解した5%セルロース溶液からの多孔性架橋セルロースゲルの製造方法及びクロマトグラフィー用充填剤としての特性評価に関するものである。
(1)多孔性未架橋セルロースゲルBの製造
旭化成社製セオラスPH−101(0.5g、平均重合度173)を、常温において8重量%水酸化ナトリウム水溶液(9.5mL)に懸濁し、−20℃で凍結させたのち常温で溶解させる操作を2回繰り返すことにより均質なセルロース溶液を得た。以降、実施例1の(1)に記載した方法と同様の方法を繰り返すことで目的の多孔性未架橋セルロースゲルB(120mL)を得た。
(2)多孔性架橋セルロースゲル6の製造
(1)で得られた多孔性未架橋セルロースゲルB(23mL)、ジメチルスルホキシド(23.0g)、水(23.0g)、ナガセケムテックス社製デナコールEX−313(4.6g)を反応容器に添加し、50℃で30分間撹拌したのち、48%水酸化ナトリウム水溶液(1.53mL)を添加し、50℃で16時間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水でろ過洗浄した。
デナコールEX−313で架橋したセルロースゲル(23mL)、ジメチルスルホキシド(23.0g)、水(23.0g)、エピクロロヒドリン(11.5g)を反応容器に添加し、50℃で30分間撹拌したのち、48%水酸化ナトリウム水溶液(0.84mL)を30分間隔で8回添加し、水酸化ナトリウム水溶液を添加後、さらに50℃で60分間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水でろ過洗浄した。
次いで後工程として、デナコールEX−313とエピクロロヒドリンで架橋したセルロースゲル(23mL)、25重量%グリセロール水溶液(46.0g)、48%水酸化ナトリウム水溶液(1.44mL)を反応容器に添加し、50℃で15時間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水でろ過洗浄することにより、目的の多孔性架橋セルロースゲルを得た。得られた多孔性架橋セルロースゲルはJIS標準篩いを使用した湿式分級法により45μm以上150μm以下に分級することにより、本願発明の多孔性架橋セルロースゲル6を得たのち、以下の測定に使用した。
実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル6の含水率と再膨潤率を測定した結果、含水率は89%、再膨潤率は100%であった。
また実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル6のタンパク質分離能を測定した結果、チトクロムcに対するVe/Vc値は0.92、アポフェリチンは0.86、チログロブリンは0.84であった。
さらに実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル6のカラム圧力損失を測定した結果、HPLCシステムの最大流速まで流速とカラム圧力損失はほぼ直線関係を示し、線速度1755cm/時でのカラム圧力損失は0.17MPaであった。
実施例5 多孔性架橋セルロースゲル7の製造
デナコールEX−313(グリセロールポリグリシジルエーテル)の代わりにデナコールEX−614B(ナガセケムテックス社製、ソルビトールポリグリシジルエーテル)を使用した以外は、実施例4に記載した方法と同様の方法で目的の多孔性架橋セルロースゲル7を得た。得られた多孔性架橋セルロースゲルはJIS標準篩いを使用した湿式分級法により45μm以上150μm以下に分級することにより、本願発明の多孔性架橋ゲル7を得たのち、以下の測定に使用した。
実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル7の含水率と再膨潤率を測定した結果、含水率は88%、再膨潤率は100%であった。
また実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル7のタンパク質分離能を測定した結果、チトクロムcに対するVe/Vc値は0.92、アポフェリチンは0.87、チログロブリンは0.85であった。
さらに実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル7のカラム圧力損失を測定した結果、HPLCシステムの最大流速まで流速とカラム圧力損失はほぼ直線関係を示し、線速度1755cm/時でのカラム圧力損失は0.21MPaであった。
実施例6 多孔性架橋セルロースゲル8の製造
デナコールEX−313(グリセロールポリグリシジルエーテル)の代わりにデナコールEX−411(ナガセケムテックス社製、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル)を使用した以外は、実施例4に記載した方法と同様の方法で目的の多孔性架橋セルロースゲル8を得た。得られた多孔性架橋セルロースゲルはJIS標準篩いを使用した湿式分級法により45μm以上150μm以下に分級することにより、本願発明の多孔性架橋セルロースゲル8を得たのち、以下の測定に使用した。
実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル8の含水率と再膨潤率を測定した結果、含水率は88%、再膨潤率は100%であった。
また実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル8のタンパク質分離能を測定した結果、チトクロムcに対するVe/Vc値は0.92、アポフェリチンは0.85、チログロブリンは0.84であった。
さらに実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル8のカラム圧力損失を測定した結果、HPLCシステムの最大流速まで流速とカラム圧力損失はほぼ直線関係を示し、線速度1755cm/時でのカラム圧力損失は0.20MPaであった。
実施例7 多孔性架橋セルロースゲル9の製造
実施例7から10は、微生物セルロースを水酸化ナトリウムと尿素の混合水溶液に溶解した5%セルロース溶液からの多孔性架橋セルロースゲルの製造方法及びクロマトグラフィー用充填剤としての特性評価に関するものである。
実施例7から実施例9では、水酸化ナトリウムと尿素の混合水溶液中の尿素濃度を変えた溶液を使用して微生物セルロース溶液を調製し、多孔性架橋セルロースゲルを製造した。
(1)多孔性未架橋セルロースゲルCの製造
参考例1で得られた微生物セルロースC(0.5g、平均重合度165)を、8重量%水酸化ナトリウムと11重量%尿素の混合水溶液(9.5mL)に常温で懸濁し、4℃で2時間撹拌することにより、均質なセルロース溶液を得た。以降、実施例1の(1)に記載した方法と同様の方法を繰り返すことで目的の多孔性未架橋セルロースゲルC(140mL)を得た。
(2)多孔性架橋セルロースゲル9の製造
(1)で得られた多孔性未架橋セルロースゲルC(69.5g)、ジメチルスルホキシド(69.5g)、水(69.5g)、ナガセケムテックス社製デナコールEX−313(13.9g)を反応容器に添加し、50℃で30分間撹拌したのち、45%水酸化ナトリウム水溶液(4.94mL)を添加し、50℃で16時間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水でろ過洗浄した。
デナコールEX−313で架橋したセルロースゲル(69.5g)、ジメチルスルホキシド(69.5g)、エピクロロヒドリン(69.5g)を反応容器に添加し、50℃で30分間撹拌したのち、45%水酸化ナトリウム水溶液(1.80mL)を30分間隔で8回添加し、水酸化ナトリウム水溶液を添加後、さらに50℃で60分間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水でろ過洗浄した。
次いで後工程として、デナコールEX−313とエピクロロヒドリンで架橋したセルロースゲル(69.5g)、25重量%グリセロール水溶液(139.0g)、45%水酸化ナトリウム水溶液(4.67mL)を反応容器に添加し、50℃で15時間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水でろ過洗浄することにより、目的の多孔性架橋セルロースゲルを得た。得られた多孔性架橋セルロースゲルはJIS標準篩いを使用した湿式分級法により45μm以上150μm以下に分級することにより、本願発明の多孔性架橋セルロースゲル9を得たのち、以下の測定に使用した。
実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル9の含水率と再膨潤率を測定した結果、含水率は92%、再膨潤率は100%であった。
また実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル9のタンパク質分離能を測定した。測定対象タンパク質として、チトクロムC(シグマ社製、分子量12400)、アルブミン(シグマ社製、分子量66000)、アポフェリチン(シグマ社製、分子量443000)及びチログロブリン(シグマ社製、分子量669000)を用い、0.3mL/分の流速で測定対象タンパク質を注入し、各タンパク質のVe/Vc値を測定した結果、チトクロムcに対するVe/Vc値は0.92、アルブミンは0.88、アポフェリチンは0.86、チログロブリンは0.85であった。
さらに実施例1と同様に、多孔性架橋セルロースゲル9のカラム圧力損失を測定した結果、HPLCシステムの最大流速まで流速とカラム圧力損失はほぼ直線関係を示し、線速度1755cm/時でのカラム圧力損失は0.12MPaであった。
実施例8 多孔性架橋セルロースゲル10の製造
(1)多孔性未架橋セルロースゲルDの製造
参考例1で得られた微生物セルロースC(0.5g、平均重合度165)を、8重量%水酸化ナトリウムと20重量%尿素の混合水溶液(9.5mL)に常温で懸濁し、10℃で2時間撹拌することにより、均質なセルロース溶液を得た。以降、実施例1の(1)に記載した方法と同様の方法を繰り返すことで目的の多孔性未架橋セルロースゲルD(1200mL)を得た。
(2)多孔性架橋セルロースゲル10の製造
(1)で得られた多孔性未架橋セルロースゲルD(450.0g)、ジメチルスルホキシド(450.0g)、水(450.0g)、ナガセケムテックス社製デナコールEX−313(90.0g)を反応容器に添加し、50℃で30分間撹拌したのち、48%水酸化ナトリウム水溶液(30.0mL)を添加し、50℃で16時間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水でろ過洗浄した。
デナコールEX−313で架橋したセルロースゲル(450.0g)、ジメチルスルホキシド(450.0g)、エピクロロヒドリン(450.0g)を反応容器に添加し、50℃で30分間撹拌したのち、48%水酸化ナトリウム水溶液(10.5mL)を30分間隔で8回添加し、水酸化ナトリウム水溶液を添加後、さらに50℃で60分間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水でろ過洗浄した。
次いで後工程として、デナコールEX−313とエピクロロヒドリンで架橋したセルロースゲル(450.0g)、25重量%グリセロール水溶液(900.0g)、48%水酸化ナトリウム水溶液(28.1mL)を反応容器に添加し、50℃で15時間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水でろ過洗浄することにより、目的の多孔性架橋セルロースゲルを得た。得られた多孔性架橋セルロースゲルはJIS標準篩いを使用した湿式分級法により45μm以上150μm以下に分級することにより、本願発明の多孔性架橋セルロースゲル10を得たのち、以下の測定に使用した。
実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル10の含水率と再膨潤率を測定した結果、含水率は89%、再膨潤率は100%であった。
また実施例7と同様に多孔性架橋セルロースゲル10のタンパク質分離能を測定した結果、チトクロムcに対するVe/Vc値は0.89、アルブミンは0.83、アポフェリチンは0.78、チログロブリンは0.73であった。
さらに実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル10のカラム圧力損失を測定した結果、HPLCシステムの最大流速まで流速とカラム圧力損失はほぼ直線関係を示し、線速度1755cm/時でのカラム圧力損失は0.19MPaであった。
実施例9 多孔性架橋セルロースゲル11の製造
(1)多孔性未架橋セルロースゲルEの製造
参考例1で得られた微生物セルロースC(0.5g、平均重合度165)を、8重量%水酸化ナトリウムと32重量%尿素の混合水溶液(9.5mL)に常温で懸濁し、10℃で2時間撹拌することにより、均質なセルロース溶液を得た。以降、実施例1の(1)に記載した方法と同様の方法を繰り返すことで目的の多孔性未架橋セルロースゲルE(100mL)を得た。
(2)多孔性架橋セルロースゲル11の製造
(1)で得られた多孔性未架橋セルロースゲルE(20mL)、ジメチルスルホキシド(20.0g)、水(20.0g)、ナガセケムテックス社製デナコールEX−313(4.0g)を反応容器に添加し、50℃で30分間撹拌したのち、48%水酸化ナトリウム水溶液(1.33mL)を添加し、50℃で16時間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水でろ過洗浄した。
デナコールEX−313で架橋したセルロースゲル(20mL)、ジメチルスルホキシド(20.0g)、エピクロロヒドリン(20.0g)を反応容器に添加し、50℃で30分間撹拌したのち、48%水酸化ナトリウム水溶液(0.47mL)を30分間隔で8回添加し、水酸化ナトリウム水溶液を添加後、さらに50℃で60分間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水でろ過洗浄した。
次いで後工程として、デナコールEX−313とエピクロロヒドリンで架橋したセルロースゲル(20mL)、25重量%グリセロール水溶液(40.0g)、48%水酸化ナトリウム水溶液(1.25mL)を反応容器に添加し、50℃で15時間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水でろ過洗浄することにより、目的の多孔性架橋セルロースゲルを得た。得られた多孔性架橋セルロースゲルはJIS標準篩いを使用した湿式分級法により45μm以上90μm以下に分級することにより、本願発明の多孔性架橋セルロースゲル11を得て、以下の測定に使用した。
実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル11の含水率と再膨潤率を測定した結果、含水率は90%、再膨潤率は100%であった。
また実施例7と同様に多孔性架橋セルロースゲル11のタンパク質分離能を測定した結果、チトクロムcに対するVe/Vc値は0.91、アルブミンは0.86、アポフェリチンは0.80、チログロブリンは0.76であった。
さらに実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル11のカラム圧力損失を測定した結果、HPLCシステムの最大流速まで流速とカラム圧力損失はほぼ直線関係を示し、線速度1755cm/時でのカラム圧力損失は0.21MPaであった
実施例10 多孔性架橋セルロースゲル12の製造
実施例10と実施例11では、実施例9の後工程における水酸基を有する有機化合物の種類を変えて、多孔性架橋セルロースゲルを製造した。
エピクロロヒドリンによるセルロースゲルの架橋までは、実施例9に記載した方法と同様の方法で行なった。
次いで後工程として、デナコールEX−313とエピクロロヒドリンで架橋したセルロースゲル(20.0g)、ジメチルスルホキシドと水の混合溶液(1:4、重量比)に20重量%のソルビトールを含んだ溶液(40.0g)、48%水酸化ナトリウム水溶液(1.25mL)を反応容器に添加し、50℃で15時間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水でろ過洗浄することにより、目的の多孔性架橋セルロースゲルを得た。得られた多孔性架橋セルロースゲルはJIS標準篩いを使用した湿式分級法により45μm以上90μm以下に分級することにより、本願発明の多孔性架橋セルロースゲル12を得て、以下の測定に使用した。
実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル12の含水率と再膨潤率を測定した結果、含水率は90%、再膨潤率は100%であった。
また実施例7と同様に多孔性架橋セルロースゲル12のタンパク質分離能を測定した結果、チトクロムcに対するVe/Vc値は0.93、アルブミンは0.86、アポフェリチンは0.81、チログロブリンは0.77であった。
さらに実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル12のカラム圧力損失を測定した結果、HPLCシステムの最大流速まで流速とカラム圧力損失はほぼ直線関係を示し、線速度1755cm/時でのカラム圧力損失は0.20MPaであった。
実施例11 多孔性架橋セルロースゲル13の製造
エピクロロヒドリンによるセルロースゲルの架橋までは、実施例9に記載した方法と同様の方法で行なった。
次いで後工程として、デナコールEX−313とエピクロロヒドリンで架橋したセルロースゲル(30.0g)、デキストラン(シグマ社製、平均分子量40000)の30重量%水溶液(30.0g)、48%水酸化ナトリウム水溶液(2.5mL)を反応容器に添加し、50℃で15時間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水でろ過洗浄することにより、目的の多孔性架橋セルロースゲルを得た。得られた多孔性架橋セルロースゲルはJIS標準篩いを使用した湿式分級法により45μm以上90μm以下に分級することにより、本願発明の多孔性架橋セルロースゲル13を得て、以下の測定に使用した。
実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル13の含水率と再膨潤率を測定した結果、含水率は90%、再膨潤率は100%であった。
また実施例7と同様に多孔性架橋セルロースゲル13のタンパク質分離能を測定した結果、チトクロムcに対するVe/Vc値は0.88、アルブミンは0.79、アポフェリチンは0.72、チログロブリンは0.68であった。
さらに実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル13のカラム圧力損失を測定した結果、HPLCシステムの最大流速まで流速とカラム圧力損失はほぼ直線関係を示し、線速度1755cm/時でのカラム圧力損失は0.21MPaであった。
実施例12 多孔性架橋セルロースゲル14の製造
実施例12から13は、微生物セルロース、コットン由来セルロース及びパルプ由来セルロースを水酸化ナトリウムと尿素の混合水溶液に溶解した6%セルロース溶液からの多孔性架橋セルロースゲルの製造方法及びクロマトグラフィー用充填剤としての特性評価に関するものである。
実施例12では原料として微生物セルロースを使用した。
(1)多孔性未架橋セルロースゲルFの製造
参考例1で得られた微生物セルロースC(0.48g、平均重合度165)を、8重量%水酸化ナトリウムと32重量%尿素の混合水溶液(7.52mL)に常温で懸濁し、10℃で2時間撹拌することにより、均質なセルロース溶液を得た。以降、実施例1の(1)に記載した方法と同様の方法を繰り返すことで目的の多孔性未架橋セルロースゲルF(60mL)を得た。
(2)多孔性架橋セルロースゲル14の製造
(1)で得られた多孔性未架橋セルロースゲルF(60mL)、ジメチルスルホキシド(60.0g)、水(60.0g)、ナガセケムテックス社製デナコールEX−313(12.0g)を反応容器に添加し、50℃で30分間撹拌したのち、48%水酸化ナトリウム水溶液(4.0mL)を添加し、50℃で16時間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水でろ過洗浄した。
デナコールEX−313で架橋したセルロースゲル(60mL)、ジメチルスルホキシド(60.0g)、エピクロロヒドリン(12.0g)を反応容器に添加し、50℃で30分間撹拌したのち、48%水酸化ナトリウム水溶液(0.69mL)を30分間隔で8回添加し、水酸化ナトリウム水溶液を添加後、さらに50℃で60分間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水でろ過洗浄した。
次いで後工程として、デナコールEX−313とエピクロロヒドリンで架橋したセルロースゲル(60mL)、25重量%グリセロール水溶液(120.0g)、48%水酸化ナトリウム水溶液(3.75mL)を反応容器に添加し、50℃で15時間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水でろ過洗浄することにより、目的の多孔性架橋セルロースゲルを得た。得られた多孔性架橋セルロースゲルはJIS標準篩いを使用した湿式分級法により45μm以上90μm以下に分級することにより、本願発明の多孔性架橋セルロースゲル14を得て、以下の測定に使用した。
実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル14の含水率と再膨潤率を測定した結果、含水率は92%、再膨潤率は100%であった。
また実施例7と同様に多孔性架橋セルロースゲル14のタンパク質分離能を測定した結果、チトクロムcに対するVe/Vc値は0.94、アルブミンは0.88、アポフェリチンは0.84、チログロブリンは0.80であった。
さらに実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル14のカラム圧力損失を測定した結果、HPLCシステムの最大流速まで流速とカラム圧力損失はほぼ直線関係を示し、線速度1755cm/時でのカラム圧力損失は0.23MPaであった。
実施例13 多孔性架橋セルロースゲル15の製造
実施例13では原料としてコットン由来セルロースを使用した。
(1)多孔性未架橋セルロースゲルGの製造
ADVANTEC社製濾紙粉末Cタイプ(0.48g、平均重合度176)を、8重量%水酸化ナトリウムと32重量%尿素の混合水溶液(7.52mL)に常温で懸濁し、10℃で2時間撹拌することにより、均質なセルロース溶液を得た。以降、実施例1の(1)に記載した方法と同様の方法を繰り返すことで目的の多孔性未架橋セルロースゲルG(55mL)を得た。
(2)多孔性架橋セルロースゲル15の製造
(1)で得られた多孔性未架橋セルロースゲルG(55mL)、ジメチルスルホキシド(55.0g)、水(55.0g)、ナガセケムテックス社製デナコールEX−313(11.0g)を反応容器に添加し、50℃で30分間撹拌したのち、48%水酸化ナトリウム水溶液(3.67mL)を添加し、50℃で16時間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水でろ過洗浄した。
デナコールEX−313で架橋したセルロースゲル(55mL)、ジメチルスルホキシド(55.0g)、エピクロロヒドリン(11.0g)を反応容器に添加し、50℃で30分間撹拌したのち、48%水酸化ナトリウム水溶液(0.63mL)を30分間隔で8回添加し、水酸化ナトリウム水溶液を添加後、さらに50℃で60分間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水でろ過洗浄した。
次いで後工程として、デナコールEX−313とエピクロロヒドリンで架橋したセルロースゲル(55mL)、25重量%グリセロール水溶液(110.0g)、48%水酸化ナトリウム水溶液(3.44mL)を反応容器に添加し、50℃で15時間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水でろ過洗浄することにより、目的の多孔性架橋セルロースゲルを得た。得られた多孔性架橋セルロースゲルはJIS標準篩いを使用した湿式分級法により45μm以上90μm以下に分級することにより、本願発明の多孔性架橋セルロースゲル15を得て、以下の測定に使用した。
実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル15の含水率と再膨潤率を測定した結果、含水率は91%、再膨潤率は100%であった。
また実施例7と同様に多孔性架橋セルロースゲル15のタンパク質分離能を測定した結果、チトクロムcに対するVe/Vc値は0.94、アルブミンは0.89、アポフェリチンは0.86、チログロブリンは0.82であった。
さらに実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル15のカラム圧力損失を測定した結果、HPLCシステムの最大流速まで流速とカラム圧力損失はほぼ直線関係を示し、線速度1755cm/時でのカラム圧力損失は0.23MPaであった。
実施例14 多孔性架橋セルロースゲル16の製造
実施例14では原料としてパルプ由来セルロースを使用した。
(1)多孔性未架橋セルロースゲルHの製造
旭化成社製セオラスPH−101(0.36g、平均重合度173)を、8重量%水酸化ナトリウムと32重量%尿素の混合水溶液(5.64mL)に常温で懸濁し、10℃で2時間撹拌することにより、均質なセルロース溶液を得た。以降、実施例1の(1)に記載した方法と同様の方法を繰り返すことで目的の多孔性未架橋セルロースゲルH(40mL)を得た。
(2)多孔性架橋セルロースゲル16の製造
(1)で得られた多孔性未架橋セルロースゲルH(27.0g)、ジメチルスルホキシド(27.0g)、水(27.0g)、ナガセケムテックス社製デナコールEX−313(5.4g)を反応容器に添加し、50℃で30分間撹拌したのち、48%水酸化ナトリウム水溶液(1.80mL)を添加し、50℃で16時間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水でろ過洗浄した。
デナコールEX−313で架橋したセルロースゲル(27.0g)、ジメチルスルホキシド(27.0g)、水(27.0g)、エピクロロヒドリン(5.4g)を反応容器に添加し、50℃で30分間撹拌したのち、48%水酸化ナトリウム水溶液(3.60mL)を一度に添加し、水酸化ナトリウム水溶液を添加後、さらに50℃で4.5時間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水でろ過洗浄した。
次いで後工程として、デナコールEX−313とエピクロロヒドリンで架橋したセルロースゲル(27.0g)、25重量%グリセロール水溶液(27.0g)、48%水酸化ナトリウム水溶液(1.12mL)を反応容器に添加し、50℃で15時間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を40℃以下に冷却したのち、グラスフィルターを使用して多量の水でろ過洗浄することにより、目的の多孔性架橋セルロースゲルを得た。得られた多孔性架橋セルロースゲルはJIS標準篩いを使用した湿式分級法により45μm以上90μm以下に分級することにより、多孔性架橋セルロースゲル16を得て、以下の測定に使用した。
実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲルの含水率と再膨潤率を測定した結果、含水率は90%、再膨潤率は100%であった。
また実施例7と同様に多孔性架橋セルロースゲル16のタンパク質分離能を測定した結果、チトクロムcに対するVe/Vc値は0.93、アルブミンは0.88、アポフェリチンは0.85、チログロブリンは0.81であった。
さらに実施例1と同様に多孔性架橋セルロースゲル16のカラム圧力損失を測定した結果、HPLCシステムの最大流速まで流速とカラム圧力損失はほぼ直線関係を示し、線速度1755cm/時でのカラム圧力損失は0.33MPaであった。
比較例3 市販多糖系充填剤の特性評価
比較例3では、市販の多糖系充填剤であるSepharose 6 Fast Flow(GEヘルスケアバイオサイエンス社製、架橋アガロースゲル、粒径45−165μm)及びセルファインGCL−2000(JNC社製、架橋セルロースゲル、粒径40−130μm)を用い、実施例12から14で製造したセルロース濃度が6%の多孔性架橋セルロースゲル14から16とのクロマトグラフィー用充填剤としての特性を比較した。
(1)含水率、再膨潤率測定
実施例1と同様の手法により、Sepharose 6 Fast Flow及びセルファインGCL−2000の含水率と再膨潤率を測定した結果、Sepharose 6 Fast Flowの含水率は93%、再膨潤率は98%であった。また、セルファインGCL−2000の含水率は92%、再膨潤率は96%であった。
(2)タンパク質分離能測定
実施例7と同様の手法により、Sepharose 6 Fast Flowのタンパク質分離能を測定した結果、チトクロムCに対するVe/Vc値は0.89、アルブミンは0.76、アポフェリチンは0.65、チログロブリンは0.59であった。同様にセルファインGCL−2000のタンパク質分離能を測定した結果、チトクロムCに対するVe/Vc値は0.78、アルブミンは0.62、アポフェリチンは0.51、チログロブリンは0.47であった。
(3)カラム圧力損失測定
実施例1と同様の手法によりSepharose 6 Fast Flowのカラム圧力損失を測定した結果、線速度1200cm/時までは流速とカラム圧力損失はほぼ直線関係を示したが、それ以上の流速ではカラム圧力損失が徐々に上昇し、線速度1755cm/時でのカラム圧力損失は0.55MPaであった。同様に、セルファインGCL−2000のカラム圧力損失を測定した結果、線速度600cm/時までは流速とカラム圧力損失はほぼ直線関係を示したが、それ以上の流速ではカラム圧力損失が急激に上昇し、線速度702cm/時(流速4.0mL/分)におけるカラム圧力損失が0.25MPaとなり、流速を4.5mL/分に上げるとポンプの圧力がHPLCシステムの限界に達し、通液できなくなった。
実施例12から14で製造した多孔性架橋セルロースゲル14から16と、市販架橋アガロースゲル(Sepharose 6 Fast Flow)及び市販架橋セルロースゲル(セルファイン GCL−2000)の、流速とカラムベッド高変化の関係を示したグラフを図2に示した。図2から明らかのように、実施例12から14で製造した多孔性架橋セルロースゲル14から16のカラム圧力損失は、市販架橋アガロースゲル及び市販架橋セルロースゲルよりも低いものであった。
以上の結果をまとめて表1〜4に示す。
Figure 2015199868
Figure 2015199868
Figure 2015199868
Figure 2015199868
実施例15 プロテインAの固定化と抗体吸着量の測定
(1)カルボキシル化多孔性架橋セルロースゲルの調製
実施例12で製造した多孔性架橋セルロースゲル14(1.0g)、ジメチルスルホキシド(1.0g)、エピクロロヒドリン(0.2g)を反応容器に添加し、30℃で30分間撹拌したのち、48%水酸化ナトリウム水溶液(0.55mL)を添加し、さらに30℃で3時間撹拌することによりエポキシ化反応を行なった。反応終了後、グラスフィルターを使用して多量の水でろ過洗浄した。
次にエポキシ化した多孔性架橋セルロースゲル14(1.0g)と0.5Mのチオグリコール酸ナトリウム水溶液(3.0g)を反応容器に添加し、50℃で15時間撹拌することによりカルボキシル化反応を行なった。反応終了後、グラスフィルター上でろ液が中性になるまで水で洗浄したのち、0.5M水酸化ナトリウム水溶液、水、0.05Mの2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(以下、MESと表記)緩衝液(pH5.5)で順次ろ過洗浄することによりカルボキシル化多孔性架橋セルロースゲル14C(1.0g)を得た。
同様の手法により、実施例13で製造した多孔性架橋セルロースゲル15からカルボキシル化多孔性架橋セルロースゲル15Cを、実施例14で製造した多孔性架橋セルロースゲル16からカルボキシル化多孔性架橋セルロースゲル16Cを得た。
(2)カルボキシル化多孔性架橋セルロースゲルへのプロテインAの導入
プロテインA固定化用NHS溶液は、N−ヒドロキシスクシンイミド(48mg)を、0.05MのMES緩衝液(pH5.5、100mL)に溶解して調製した。また、プロテインA固定化用EDC溶液は、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(200mg)を、0.05MのMES緩衝液(pH5.5、100mL)に溶解して調製した。
0.05MのMES緩衝液(pH5.5)で平衡化したカルボキシル化多孔性架橋セルロースゲル14C(1.0mL)、前述のNHS溶液(2.2mL)、プロテインA溶液(Repligen社製、12.2mg)を反応容器に添加し、数分間撹拌したのち、反応溶液に前述のEDC溶液(0.4mL)を添加し、25℃で3時間撹拌した。固定化反応終了後、0.05MのMES緩衝液(pH5.5)でろ過洗浄することによりプロテインAを導入した多孔性架橋セルロースゲル14Pを得た。
反応溶液及び洗浄液を回収し、280nmの吸光度を測定することにより未反応のプロテインA量を求めたのち、反応に使用したプロテインA量から未反応のプロテインA量を差し引くことで多孔性架橋セルロースゲル14PへのプロテインA導入量を算出した結果、多孔性架橋セルロースゲル14Pに導入されたプロテインAはゲル1mLあたり10.3mgであった。
同様の手法により、カルボキシル化多孔性架橋セルロースゲル15Cから多孔性架橋セルロースゲル15Pを、カルボキシル化多孔性架橋セルロースゲル16Cから多孔性架橋セルロースゲル16Pを得た。また、前述の方法によりプロテインA導入量を算出した結果、多孔性架橋セルロースゲル15Pに導入されたプロテインAはゲル1mLあたり11.0mg、多孔性架橋セルロースゲル16Pに導入されたプロテインAはゲル1mLあたり11.1mgであった。
(3)抗体吸着量の測定
抗体溶液の調製は、0.15Mの塩化ナトリウムを含む0.02Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0、2.0mL)に濃度が150mg/mLのガンマグロブリン製剤(一般財団法人化学及血清療法研究所製、1.0mL)を混合することで調製した。
0.15Mの塩化ナトリウムを含む0.02Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)で平衡化したプロテインA固定化多孔性架橋セルロースゲル14P(0.1mL)と前述の抗体溶液(0.42mL)を容器に添加し、20℃で60分間撹拌することにより、セルロースゲルに抗体を吸着させた。
撹拌終了後、抗体を吸着させたゲルを0.15Mの塩化ナトリウムを含む0.02Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0、0.3mL)で4回洗浄したのち、回収した洗浄液の280nmの吸光度測定により未吸着の抗体量を算出した。次に、抗体を吸着させたゲルを0.1Mのクエン酸緩衝液(pH3.0、0.3mL)で4回洗浄することにより抗体を脱着した。回収した洗浄液の280nmの吸光度を測定することにより抗体吸着量を算出した結果、多孔性架橋セルロースゲル14Pの抗体吸着量はゲル1mLあたり60.5mgであった。同様の手法により抗体吸着量を測定した結果、多孔性架橋セルロースゲル15Pの抗体吸着量はゲル1mLあたり70.9mg、プロテインA固定化多孔性架橋セルロースゲル16Pの抗体吸着量はゲル1mLあたり62.5mgであった。
また、多孔性架橋セルロースゲル15Pの抗体吸着量測定において、以下に示した式により抗体の回収率を算出した結果、回収率は99%であった。従って、多孔性架橋セルロースゲル15Pへの抗体の非特異的吸着はほとんどないことが明らかになった。
回収率(%)=[(ゲルに未吸着の抗体量+ゲルから脱着した抗体量)÷添加した抗体量]×100

Claims (4)

  1. 平均粒子径が20μm以上300μm以下であり、内径6.6mmのクロマトグラフィー用カラムに高さ220mm±5mmとなるように充填し、25℃の水をカラム内に線速度1755cm/時で通液した条件でのカラム圧力損失が0.4MPa以下であることを特徴とする、多孔性架橋セルロースゲル。
  2. 以下の工程を含むことを特徴とする、請求項1記載の多孔性架橋セルロースゲルの製造方法:
    (a)セルロースをアルカリ水溶液に溶解することにより、セルロース溶液を得る工程、
    (b)工程(a)で得られたセルロース溶液と有機溶媒を混合することにより、セルロース分散液を得る工程、
    (c)工程(b)で得られたセルロース分散液中のセルロース溶液を凍結させることにより、多孔性未架橋セルロースゲルを得る工程、
    (d)工程(c)で得られた多孔性未架橋セルロースゲルを、グリシジルエーテル類と反応させることにより、多孔性部分架橋セルロースゲルを得る工程、
    (e)工程(d)で得られた多孔性部分架橋セルロースゲルを、セルロースの水酸基と反応し得る活性部位を2つ以上有する架橋剤と反応させることにより、多孔性架橋セルロースゲルを得る工程。
  3. 請求項1記載の多孔性架橋セルロースゲルを含む、クロマトグラフィー用充填剤。
  4. 請求項3記載のクロマトグラフィー用充填剤を用いることを特徴とする、タンパク質の精製方法。
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