JP6763767B2 - シャープペンシル - Google Patents
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Description
また、特許文献2の実施例3には、軸筒内に芯の後退を阻止するチャックユニットと芯を保持する摺動ユニットが配置されたものが例示されており、筆記時に芯に筆圧が掛かった際、芯ガイドとなる摺動ユニットが芯とともに後退する為、摺動ユニットが筆記面に当接することがなく、筆記感を損なうことがないものである。更に、特許文献2の構造では摺動ユニットの後端面及び先部材内に複数の鋸歯状のカム山を形成し、その鋸歯状のカム山と係合する突起を有する円筒部材が、摺動ユニットの前後動によって回転及び前後動し且つ円筒部材の前後動の距離を間欠的にすることで、複数回の筆圧で1回芯が繰り出されるように構成され、必要以上の芯の繰り出しを防止することができる。そして、この構造であれば、シャープペンシルの使用状況、筆記する芯の硬度や紙質、書き込む言語等による芯の摩耗に応じて、摺動ユニットの前後動を何回すれば1回芯を繰り出すかを設定することが出来るものである。
「1.軸筒と、当該軸筒内に配され芯の前進は許容するが後退は阻止するチャックを有する芯繰出機構と、前記芯を適度な力で保持する芯保持部材と、を備え、前記芯を軸心に沿って後方へ押圧することにより当該芯を前方に繰り出すシャープペンシルであって、
前記軸筒が、当該軸筒の前端開口部から前端を突出させ前後動可能に配設された先部材と、当該先部材の先端開口部から前端を突出させ前後動可能に配設されたスライド部材と、当該スライド部材に内設した前記芯保持部材と、前記先部材を前方に弾発する第一の弾発部材と、前記芯繰出機構を前方に弾発する第二の弾発部材と、を備え、
前記軸筒と、前記先部材または前記芯繰出機構と、の間に摺動速度制御手段を有しており、
前記芯を後方に押圧することで、前記軸筒に対して前記芯繰出機構及び前記先部材が後退し、
前記芯に掛かる押圧を解除した際、前記摺動速度制御手段により、前記軸筒に対する前記先部材の前進する速度と、当該軸筒に対する前記芯繰出機構の前進する速度と、に速度差を発生させることで前記芯を前方へ繰り出すことを特徴としたシャープペンシル。
2.前記摺動速度制御手段として、前記軸筒と、当該軸筒に対して前後動可能に配設された前記先部材または芯繰出機構と、の間に粘性材料を有することで、前記先部材の後退および前進動作に摺動抵抗をも持たせ、前記軸筒に対する前記先部材の前進する速度と、当該軸筒に対する前記芯繰出機構の前進する速度と、に速度差を発生させたことを特徴とする前記1項に記載のシャープペンシル。
3.前記摺動速度制御手段として、前記先部材には、軸径方向に弾性力を有する弾性片が当該先部材の本体と一体または別体で形成されており、前記弾性片と前記軸筒の内面とを摺接するよう構成することで、前記先部材の後退および前進動作に摺動抵抗をも持たせ、前記軸筒に対する前記先部材の前進する速度を当該軸筒に対する前記芯繰出機構の前進する速度より遅くしたことを特徴とする前記1項または2項に記載のシャープペンシル。」である。
軸筒と、先部材または芯繰出機構と、の間に設けた摺動速度制御手段により、軸筒に対する先部材が前進する速度と、軸筒に対する芯繰出機構が前進する速度と、に速度差を発生させることが肝要である。
また、前記摺動速度制御手段により、軸筒に対する先部材が前進する速度を、軸筒に対する芯繰出機構が前進する速度より相対的に早くした場合、芯を筆記面から離した際、先部材は芯繰出機構より先に前進し元の位置に戻るが、この際、芯繰出機構のチャックは芯の前進を許容するため、芯保持部材で芯を保持している先部材により当該芯がチャックから前方に引き出される。そして、遅れて前進する芯繰出機構のチャックは芯の後退は許容せず強く狭持していることから、芯を狭持したまま前進し、芯を先部材から前方に突出させる。このため、芯を後方に押圧することで芯を前方に繰り出すことが可能となる。
また、筆記時の筆圧では芯が後退しないよう、第二の弾発部材の弾発力は筆圧より高くすることが好ましい。このため、一般的に筆記具で筆記する際の筆圧は1.5Nから2.5N程度であり、高くても4.0N程度であることから、第二の弾発部材の取付時の弾発力は4.0N以上が好ましく、5.0N以上がより好ましい。
また、本発明において、前記稠度とは、グリースの硬さを表す数値であり、JIS−K2220に準拠した方法で測定したものである。
尚、前記弾性片は軸筒内面に摺接され、軸筒に対して先部材の前後動に摺動抵抗を付加するものであればその構造は特に限定されないが、例えば、弾性を有する弾性片の一端が先部材本体に接続され、他端部が軸筒の内面に常に摺接するよう形成して摺動抵抗を発生させてもよく、軸筒と先部材との両方に当接するようにゴム部材を配設して摺動抵抗を発生させてもよい。また、前記ゴム部材の形状としては、Oリングのように円管状に形成してもよく、板状に形成してもよい。さらに、その固定手段は先部材の外面ないし軸筒の内面に溝状部を設けてゴム部材を嵌着してもよく、接着剤を塗布して固着してもよく、2色成形を用いて先部材と一体で成形してもよい。
さらにゴム部材は、摺動抵抗を発生できればその材料は限定されないが、成形性がよく摩耗し難いシリコンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム等が好適に使用できる。
尚、本実施例では筆記先端部がある側を前方と表現し、その反対側を後方と表現する。また、軸筒の軸心に近い側を内方と表現し、その反対側を外方と表現する。
尚、本実施例では前軸部材2と後軸部材3とで軸筒8を構成してある。
また、締具11の前部内面には前方に向かって拡径する傾斜部11aを形成してあり、傾斜部11aにはボールチャック9の凹部9bに挿入した鋼製ボール10が当接するよう配置してある。
更に、ボールチャック9の外側面には段部9cが形成してあり、段部9cと締具11の内面に形成した内段との間にチャックスプリング12を張架して、ボールチャック9を締具11に対して後方に弾発してある。
尚、コネクター13の後部には筒状の芯タンク16を圧入してあり、芯タンク16の後部の内孔には消しゴム17が着脱自在に取り付けてあり、後軸部材3の後方内孔より後方へ突出する芯タンク16の後部外面にはキャップ5が着脱自在に取り付けてある。
また、本実施例では、ボールチャック9と鋼製ボール10と締具11とチャックスプリング12とコネクター13と摺動筒14とノックスプリング15と芯タンク16により芯繰出機構18を構成する。
尚、筒体19の前部内孔には前段部19bを形成してあり、締具11が前進した際、締具11の外側面に形成した外段部11bと筒体19の前段部19bとが当接するよう構成することで締具11の前進を規制してある。また、筒体19の側面には内外を貫通し軸方向に延びるスリット部19cを形成してある。
更に、キー部材20の鍔部20aは先部材4の外面から外方へ突出した状態で圧入固着してあり、鍔部19aを前軸部材2の側面に軸方向に延ばして形成した横孔部2aに配置することで、前軸部材2に対して先部材4を前後動可能且つ回動不能に構成してある。
このため、筒体19は、キー部材20の突出部20bと筒体19のスリット部19cとの前後方向の隙間分のみ前後動可能であり、先部材4はキー部材20の鍔部20aと前軸部材2の横孔部2aとの前後方向の隙間分のみ前後動可能に構成される。
また、筒体19は外面に外段部19eを形成してあり、前軸部材2の内周面に内方に向かって突出した内段部2bと外段部19eとが当接することで、筒体19の前方への移動を制限してある。
具体的に、本実施例では後方スプリング21の弾発力は5.5Nに設定した。
また、図3及び図5に示すように、先部材4の後部には後方に向かって突出する複数の弾性片4eを形成してあり、弾性片4eの後端部には外方へ向かって突出する突起部4fを形成してある。
具体的には、弾性片4eは、先部材4の後部に軸周方向に対して均等間隔に8箇所形成してあり、各々の弾性片4eの後端部に突起部4fを形成してある。
尚、具体的には、ダンパー用グリースとして、稠度(グリースの硬さ)が285のシリコーングリース(商品名G330 信越化学工業株式会社製)を使用してある。
尚、スライド部材6の中間段部6bと止具24の外段部24aとの間に前方スプリング25を張架して、スライド部材6を先部材4に対して前方に弾発してある。
尚、芯ホルダー26の芯保持力は、ボールチャック9で芯7を挟持した際の芯を前方へ引き抜く力より強く、芯を後方へ押しこむ力より弱く設定してある。
本発明のシャープペンシル1は、図3の状態で軸筒8を掴み、図6のように通常の筆記圧で筆記すると、スライド部材6の先端孔部6aから突出した芯7は筆記に伴い徐々に摩耗する。
図6の状態で、軸筒8を保持して芯7を筆記面100に強く押圧し、後方スプリング21の弾発力より押圧力が上回ると、ボールチャック9、締具11、コネクター13、摺動筒14及び筒体19は停止しているが、手で把持された軸筒8は筒体19及び先部材4に対して前進し、前述したように先部材4の突起部4fが前軸部材2の内方突起2cに乗り上げ、弾性片4eにより先部材4の前後動に摺動抵抗が発生する図7の状態となる。この時、後方スプリング21が圧縮することにより筒体19が前方に弾発されるが、筒体19は摺動筒14に連結され、摺動筒14の前端は締具の後端に当接していることから筒体19は前方へ動くことはない。また、先部材4は、中間スプリング22により筒体19に対して前方へ弾発されているが、先部材4に圧入固着されたキー部材20の突出部20bの前端が筒体19のスリット部19cの前端に当接していることから、先部材4は筒体19と共に動くことはない。更に、先部材4内のスライド部材6も芯ホルダー26により芯7を保持しているため動くことはなく停止したままとなる。
この際、筒体19が前進することにより筒体19に対して中間スプリング22により前方へ弾発された先部材4も前進しようとするが、先部材4の突起部4fと前軸部材2の内方突起2cとの摺接と、隙間23に塗布されたシリコングリースと、の2つの摺動速度制御手段により摺動抵抗が働くことで、先部材4の前進は遅延され、図8の状態となる。
尚、この時、先部材4が前進が遅れ芯繰出機構18が芯7と共に先に前進するため、スライド部材6の先端孔部6aから前方へ芯7が突出した状態となる。
ここで、筆記を止めてスライド部材6に掛かる筆圧を解除すると、スライド部材6は前方スプリング25の弾発力により芯ホルダー26で芯7を保持したまま前方へ移動する。 この際、スライド部材6は芯ホルダー26により芯7を保持しているため、ボールチャック9から芯7を前方へ引き出し、芯7が前方へ繰り出され、自動芯出式のシャープペンシルとしても機能するよう構成してある。
ノック操作での芯7の繰り出し動作を説明すると、図2の状態からキャップ5を前方に押圧(ノック操作)すると、芯タンク16が前方に移動し、それに伴ってボールチャック9とボールチャック9に狭持された芯7とコネクター13と鋼製ボール10と締具11とが前進するが、外段部11bが筒体19の前段部19bに当接することで締具11の前進が規制され、ボールチャック9と芯7が締具11に対して前進し、更に、ボールチャック9の頭部9aが拡開することで芯7の狭持状態が解除され芯7の前進が停止する。
また、キャップ5の押圧(ノック操作)を解除すると、ボールチャック9と鋼製ボール10とコネクター13と芯タンク16が元に戻るため後退するが、芯7は芯ホルダー26により保持されているため、後退することは無く、の各部品は元の位置に戻り、芯7のみが前方へ繰り出された状態となる。
2…前軸部材、2a…横孔部、2b…内段部、2c…内方突起、
3…後軸部材、3a…前段部、
4…先部材、4a…先端開口部、4b…内段、4c…後部内孔、4d…側孔、
4e…弾性片、4f…突起部、
5…キャップ、
6…スライド部材、6a…先端孔部、6b…中間段部
7…芯、
8…軸筒、8a…前端開口部、
9…ボールチャック、9a…頭部、9b…凹部、9c…段部、
10…鋼製ボール、
11…締具、11a…傾斜部、11b…外段部、
12…チャックスプリング、
13…コネクター、13a…前方段部、13b…中間部、13c…後方段部、
14…摺動筒、14a…爪部、14b…後部、
15…ノックスプリング、
16…芯タンク、
17…消しゴム、
18…芯繰出機構、
19…筒体、19a…窓部、19b…前段部、19c…スリット部、19d…内段部、
19e…外段部、
20…キー部材、20a…鍔部、20b…突出部、
21…後方スプリング(第二の弾発部材)、
22…中間スプリング(第一の弾発部材)、
23…隙間、
24…止具、24a…外段部、
25…前方スプリング(第三の弾発部材)、
26…芯ホルダー、
100…筆記面。
Claims (3)
- 軸筒と、当該軸筒内に配され芯の前進は許容するが後退は阻止するチャックを有する芯繰出機構と、前記芯を適度な力で保持する芯保持部材と、を備え、前記芯を軸心に沿って後方へ押圧することにより当該芯を前方に繰り出すシャープペンシルであって、
前記軸筒が、当該軸筒の前端開口部から前端を突出させ前後動可能に配設された先部材と、当該先部材の先端開口部から前端を突出させ前後動可能に配設されたスライド部材と、当該スライド部材に内設した前記芯保持部材と、前記先部材を前方に弾発する第一の弾発部材と、前記芯繰出機構を前方に弾発する第二の弾発部材と、を備え、
前記軸筒と、前記先部材または前記芯繰出機構と、の間に摺動速度制御手段を有しており、
前記芯を後方に押圧することで、前記軸筒に対して前記芯繰出機構及び前記先部材が後退し、
前記芯に掛かる押圧を解除した際、前記摺動速度制御手段により、前記軸筒に対する前記先部材の前進する速度と、当該軸筒に対する前記芯繰出機構の前進する速度と、に速度差を発生させることで前記芯を前方へ繰り出すことを特徴としたシャープペンシル。 - 前記摺動速度制御手段として、前記軸筒と、当該軸筒に対して前後動可能に配設された前記先部材または芯繰出機構と、の間に粘性材料を有することで、前記先部材の後退および前進動作に摺動抵抗をも持たせ、前記軸筒に対する前記先部材の前進する速度と、当該軸筒に対する前記芯繰出機構の前進する速度と、に速度差を発生させたことを特徴とする請求項1に記載のシャープペンシル。
- 前記摺動速度制御手段として、前記先部材には、軸径方向に弾性力を有する弾性片が当該先部材の本体と一体または別体で形成されており、前記弾性片と前記軸筒の内面とを摺接するよう構成することで、前記先部材の後退および前進動作に摺動抵抗をも持たせ、前記軸筒に対する前記先部材の前進する速度を当該軸筒に対する前記芯繰出機構の前進する速度より遅くしたことを特徴とする請求項1または2に記載のシャープペンシル。
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JP2016257177A Active JP6763767B2 (ja) | 2016-12-29 | 2016-12-29 | シャープペンシル |
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2016
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