JP6763733B2 - 押出機、サイドフィードバレル - Google Patents
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Description
サイドフィードバレルのガス抜き部の位置や形状については、例えば、特許文献1には、サイドフィードバレルのガス抜き部の位置の技術が開示されている。
真空ベント金物ではあるが、溶融した樹脂のベントアップ防止のためのガス抜き部に形状については、例えば、特許文献2には、図1にガス抜き部の下流側にアンダーカットの技術が開示されている。又、特許文献3には、図4にガス抜き部の下流側に円弧を付ける技術が開示されている。
前記特許文献2の図1の19の技術では、真空ベント下流側下部にアンダーカット処理が施されているが、このアンダーカット角度が大きいために、溶融樹脂がアンダーカット部に当たり盛り上がって、ベントアップする。
前記特許文献3の図3中hの技術では、バレルとスクリューの隙間が広くなり過ぎて、サイドフィーダスクリューから供給される粉がガス抜き開口部から大量に飛散する。
特許文献1、2、3の技術では、粉体原料をサイドフィーダーから、サイドフィードバレルに供給する際、粉体原料の飛散防止と溶融樹脂のベントアップを防止し、且つ、生産性を満足することが出来なかった。
[1]
ガス抜き用開口部を備える上面部と、押出機のスクリュー用の穴を備える正面壁及び背面壁と、サイドフィーダーのスクリュー用の穴を備える右側面壁と、左側面壁と、底面部とを備えるサイドフィードバレルを有する押出機であり、
前記ガス抜き用開口部と、前記押出機のスクリューのうち最も前記サイドフィーダー側に位置するスクリューの軸線との前記押出機のスクリューの配列方向についての距離L1が、前記押出機のスクリューの直径Dの0倍以上であり、
前記ガス抜き用開口部と、前記サイドフィーダーのスクリューのうち最も前記背面壁側に位置するスクリューの軸線との前記押出機のスクリューの軸線方向について距離L2が、前記押出機のスクリューの直径Dの0倍以上であり、
前記サイドフィードバレルの上面部の内面と前記押出機のスクリューとの前記押出機のスクリューの配列方向に直交する方向についての最近接距離hが、前記押出機のスクリューの直径Dの0〜0.1倍であり、
前記ガス抜き用開口部の面積が、前記押出機のスクリューの直径Dの2乗D 2 の0.2〜1.0倍である
ことを特徴とする、押出機。
[2]
前記押出機のスクリューの軸線に垂直な平面による断面において、前記ガス抜き用開口部の前記サイドフィーダー側の側壁を画成する線のうち最も前記底面側に位置する部分が、前記上面部の内面を画成する線に対してなす角度αが、10〜60°である、[1]に記載の押出機。
[3]
前記押出機のスクリューの軸線に沿い、且つ、前記サイドフィードバレルの上面部に垂直な平面による断面において、前記ガス抜き用開口部の前記押出機下流側の側壁を画成する線のうち最も前記底面側に位置する部分が、前記上面部の内面を画成する線に対してなす角度βが、10〜35°である、[1]又は[2]に記載の押出機。
[4]
前記サイドフィードバレルの軸方向の長さLが、前記押出機のスクリューの直径Dの2〜10倍である、[1]〜[3]のいずれかに記載の押出機。
[5]
前記サイドフィードバレルが、前記正面壁、前記背面壁、前記右側面壁、前記左側面壁、前記底面部を有するサイドフィードバレル本体と、前記上面部とからなる、[1]〜[4]のいずれかに記載の押出機。
[6]
前記押出機のスクリューを少なくとも2本備える、[1]〜[5]のいずれかに記載の押出機。
[7]
[1]〜[6]のいずれかに記載の押出機を用いることを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[8]
前記押出機のギアボックスのトルク密度Tdを、6〜25N・m/cm3とする、[7]に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[9]
前記熱可塑性樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂が、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、[7]又は[8]に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[10]
前記サイドフィードバレルにおいて、平均粒径が1000μm未満である前記熱可塑性樹脂粉体及び/又はフィラー粉体をサイドフィードする、[7]〜[9]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[11]
前記サイドフィードバレルにおいて、平均粒径が100μm未満である前記熱可塑性樹脂粉体及び/又はフィラー粉体をサイドフィードする、[10]に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[12]
押出機のスクリュー用の穴を備える正面壁及び背面壁と、サイドフィーダーのスクリュー用の穴を備える右側面壁と、左側面壁と、底面部とを備えるサイドフィードバレル本体と、ガス抜き用開口部を備える上面部とを有するサイドフィードバレルであり、
前記ガス抜き用開口部と、前記押出機のスクリューのうち最も前記サイドフィーダー側に位置するスクリューの軸線との前記押出機のスクリューの配列方向についての距離L1が、前記押出機のスクリューの直径Dの0倍以上であり、
前記ガス抜き用開口部と、前記サイドフィーダーのスクリューのうち最も前記背面壁側に位置するスクリューの軸線との前記押出機のスクリューの軸線方向について距離L2が、前記押出機のスクリューの直径Dの0倍以上であり、
前記サイドフィードバレルの上面部の内面と前記押出機のスクリューとの前記押出機のスクリューの配列方向に直交する方向についての最近接距離hが、前記押出機のスクリューの直径Dの0〜0.1倍であり、
前記ガス抜き用開口部の面積が、前記押出機のスクリューの直径Dの2乗D 2 の0.2〜1.0倍である
ことを特徴とする、サイドフィードバレル。
図1に、ガス抜き用開口部を備えるサイドフィードバレルを有する本実施形態の押出機の概要について示す。図1(A)は、押出機の側面図であり、図1(B)は、押出機の上面図である。
なお、ギアボックスのトルク密度Td(N・m/cm3)は、下記式(1)から求められる。
トルク密度Td(N・m/cm3)=最高モーターパワー(kw)×1000/(2×3.14×最高回転数)/(スクリュー径d(cm))3・・・(1)
例えば、東芝機械社製のTEM58SSを、トルク一定の最高回転数10rps、181kwのモーターで、使用した場合、トルク密度Tdは、14.8N・m/cm3となる。
特に、押出機1が前述の同方向回転二軸押出機である場合、好ましいバレル2の構成としては、原料供給口を有するバレルを少なくとも2つ、ベントを有するバレルを少なくとも1つ有し、混練ゾーンを少なくとも2箇所に有するバレル構成が挙げられる。
例えば、図1に示す例では、第1バレルが原料供給口を有するバレル(トップフィードバレル)であり、第6、第8バレルが原料供給口を有するバレル(サイドフィードバレル)であり、第5バレルが大気ベントを有するバレルであり、第11バレルが真空ベントを有するバレルであり、第4、第7、第9バレルが混練ゾーンを形成するバレルとなっている。
また、ダイ部には、複数のオリフィスを備えるダイプレートを装着させてもよく、この場合、オリフィスの内径は2〜6mmとしてよく、オリフィスの長さは6〜20mmとしてよく、オリフィス1穴当たりの押出量は10〜40kg/hrとしてよい。さらに、ダイプレートのオリフィスの開口部には、ガスを吹き付ける又は微振動を与えることによって、開口部に発生するメヤニを除去することが可能な、メヤニ除去装置を設置してもよい。
以下、本実施形態の押出機におけるサイドフィードバレルについて詳述する。
なお、図2に示す例では、用いられるサイドフィーダー11は二軸のものであるが、本発明ではこれに限定されることなく、用いられるサイドフィーダー11を単軸のものとしてもよく多軸のものとしてもよい。
なお、上記L1は、押出機1のスクリュー1sの配列方向のうち、サイドフィーダー11のスクリュー11s用の穴を備える右側面壁10r側を負の方向、左側面壁10t側を正の方向として、値を定めるものとする。
また、上記L1は、開口部10opのうちサイドフィードバレル10を上面側からみたときの面積が最も小さくなっている部分、言い換えれば、開口部10opのうち最も間口が狭くなっている部分、において定めるものとする。また、上記L1は、ガス抜き用開口部10opと軸線X1との最近接距離としてよい。
上記L1が上記Dの0倍未満になると、粉体が大量に飛散する。
上記L1が上記Dの0.8倍を超えると、設計の観点からガス抜き用開口部10opの面積(後述)が比較的小さくなり、ガス抜きの効果が低下し、サイドフィードバレル10に投入された粉体の押出機1内部への侵入が十分でなくなるおそれがある。
なお、上記L2は、サイドフィーダー11のスクリュー11sの配列方向のうち、押出機1の正面壁10f側を負の方向、背面壁10ba側を正の方向として、値を定めるものとする。
また、上記L2は、開口部10opのうちサイドフィードバレル10を上面側からみたときの面積が最も小さくなっている部分、言い換えれば、開口部10opのうち最も間口が狭くなっている部分、において定めるものとする。また、上記L2は、ガス抜き用開口部10opと軸線Y1との最近接距離としてよい。
上記L2が上記Dの0倍未満になると、粉体が大量に飛散する。
上記L2が上記Dの1.0倍を超えると、設計の観点からガス抜き用開口部10opの面積が比較的小さくなり、ガス抜きの効果が低下し、サイドフィードバレル10に投入された粉体の押出機1内部への侵入が十分でなくなるおそれがある。
上記hが上記Dの0.1倍を超えると、サイドフィーダー11から供給された粉体がガス抜き用開口部10opに大量に飛散するおそれがある。また、上記hが上記Dの0未満であると、スクリュー1sが上面部10uの内面に当たるため好ましくない。
上記hは、本発明の効果を高める観点から、好ましくは0〜0.07倍であり、さらに好ましくは0〜0.04である。
抉られている部分の形状としては、特に限定されることなく、断面視形状で、直線であってよく、曲線であってよい。
図3に示す例では、ガス抜き用開口部10opのサイドフィーダー11側の側壁は、上面部10u及び底面部10boに垂直であり、また、サイドフィードバレル10の右側面部10r及び左側面部10tに平行である部分と、ガス抜き用開口部10opの押出機1のスクリュー1sの配列方向の幅を広げるように上面部10uの一部が抉られた右側壁抉り部分10ut1とからなっている。
なお、角度αは、線どうしがなす角度のうち小さい方の角度をいい、ガス抜き用開口部10opの押出機1のスクリュー1sの軸線方向の中心を通る断面において定めてよく、また、上記断面におけるガス抜き用開口部10opのサイドフィーダー11側の側壁を画成する線のうち最も底面10bo側に位置する部分の全部又は一部が湾曲状である場合には、上記右側壁抉り部分10ut1の開始点(図3(C)では、点AS)と終了点(図3(C)では、点AG)とを結ぶ線が、上面部10uの内面を画成する線に対してなす角度としてよい。
上記αが60°を超えると、押出機1上流から搬送される溶融樹脂が、ガス抜き用開口部10op付近においてバレルの上面部10uにより抑えられなくなり、スクリュー1s表面から剥がれやすくなる。スクリュー1sにより搬送される溶融樹脂は、スクリュー1sとスクリュー1sとの噛合部から剥がれて、盛り上がった溶融樹脂をスクリュー1sに巻き込みにくくなるため、ベントアップの状態が生じやすい。
また、上記αが10°未満ならば、盛り上がった溶融樹脂がガス抜き用開口部10opの壁に当たりやすくなり、ベントアップが生じやすい。
上記αは、本発明の効果を高める観点から、好ましくは10〜50°であり、さらに好ましくは15〜50°である。
抉られている部分の形状としては、特に限定されることなく、断面視形状で、直線であってよく、曲線であってよい。
図3に示す例では、ガス抜き用開口部10opの押出機1下流側の側壁は、上面部10u及び底面部10boに垂直であり、また、正面壁10f及び背面壁10baに平行である部分と、ガス抜き用開口部10opの押出機1のスクリュー1sの軸線方向の幅を広げるように上面部10uの一部が抉られた正面壁抉り部分10ut2とからなっている。
なお、角度βは、線どうしがなす角度のうち小さい方の角度をいい、ガス抜き用開口部10opの押出機1のスクリュー1sの配列方向の中心を通る断面において定めてよく、また、上記断面におけるガス抜き用開口部10opの押出機1下流側の側壁を画成する線のうち最も底面10bo側に位置する部分の全部又は一部が湾曲状である場合には、上記正面壁抉り部分10ut2の開始点(図3では、点BS)と終了点(図3では、点BG)とを結ぶ線が、上面部10uの内面を画成する線に対してなす角度としてよい。
上記βが35°を超えると、盛り上がった溶融樹脂を抑え込みにくくなり、ベントアップが生じやすい。
また、上記βが10°未満ならば、盛り上がった溶融樹脂がガス抜き用開口部10opの壁に当たりやすくなり、ベントアップが生じやすい。
上記βは、本発明の効果を高める観点から、好ましくは10〜30°であり、さらに好ましくは15〜30°である。
図3に示す例では、上面部10uの外面及び最も間口が狭くなっている部分において、ガス抜き用開口部10opの平面視形状は、長方形であり、一組の辺はバレルの正面壁10f及び背面壁10baに平行であり、一組の辺はバレルの右側壁部10r及び左側壁部10tに平行である。
なお、ガス抜き用開口部10opの面積は、サイドフィードバレル10を上面側からみたときの面積のうち最も小さいものをいい、ガス抜き用開口部10opの側壁が上面部10uの外面に対して垂直に延びている場合には、サイドフィードバレル10の上面部10uの外面上における面積としてもよい。
図3に示す例では、上記面積は、図3に示されるように、ガス抜き用開口部の長さXと長さYとの積である。
上記面積は、本発明の効果を高める観点から、さらに好ましくは、上記Dの2乗D2の0.2〜1.0倍であり、より好ましくはD2の0.3〜1.0倍であり、特に好ましくはD2の0.3〜0.9倍である。
上記面積が押出機のスクリューの直径Dの2乗D2の0.2倍より小さいと、ガス抜きにおけるガスの流速が上がり、粉体がガスに同伴し、粉体の飛散が多くなる傾向がある。
上記面積がD2の1.0倍を超えると、溶融樹脂が大気と接触する時間が長くなり、溶融樹脂が酸化劣化しやすくなる。
また、ガス抜き用開口部10opからは、溶融混練時に発生する熱可塑性樹脂組成物中の残存モノマーのガス、残存有機溶媒、混練時発生する有機物の分解ガス、添加剤の揮発分や分解ガス等を排出される。これらのガスを除去するため、ガス抜き用開口部10opはガス吸引装置を用いて吸引されていてもよい。ガス吸引装置の吸い込み風速は、0.1〜30m/秒の範囲としてよい。
サイドフィーダー11のスクリュー11sの直径DDは、押出1機のスクリュー1sの直径Dの0.6〜1.2倍が好ましく、0.6〜1.0倍がさらに好ましい。本実施形態では、図3に示すように、直径DDを直径Dと同じとしてもよい。なお、ここで、スクリューの直径とは、スクリューの長径をいう。
サイドフィーダー11のスクリュー11sの種類としては、フルフライト型、ニーディングディスク(ニーディングブロック)型、ローター型が挙げられ、これらを1種単独で又は複数種を組み合わせて使用してよい。
サイドフィーダー11のスクリュー11sの長径と短径との比(長径の短径に対する割合)は、1.5〜2.5が好ましい。
また、図3に示す例において、サイドフィーダー11のスクリュー11sの軸線2本の中心線は、バレル10の正面壁10fからバレル10の長さLの0.25倍の位置からバレル10の正面壁10fからバレル10の長さLの0.75倍の位置までの範囲にあることが好ましい。
図4に、本実施形態の一例のサイドフィードバレルを斜視図にて示す。
本実施形態の一例のサイドフィードバレル10は、図4に示すように、押出機1のスクリュー1s用の穴1hを備える正面壁10f(押出機1下流側の壁)及び背面壁(押出機1上流側の壁)10baと、サイドフィーダー11のスクリュー11s用の穴11hを備える右側面壁10rと、左側面壁10tと、底面部10boとを備えるバレル本体部10mbと、ガス抜き用開口部10opを備える上面部10uとからなるものである。
ここで、上面部10uは、全体的に栓のような形状を備え、フランジ部分10ufと突起部分(凸部分)10upとを有しており、ここで、上面部10uの突起部分10upがバレル本体部10mbの開口部分(凹部分)10uiに嵌め合わせられ、このとき、上面部10uのフランジ部分10ufがバレル本体部10mbの開口部10uiの端縁上に載せられるように構成される(図4参照)。
本実施形態のサイドフィードバレル10のバレル本体部10mbの正面壁10f、背面壁10ba、右側面壁10r、左側面壁10t、底面部10boの構成は、前述の本実施形態の押出機におけるサイドフィードバレル10における構成と同様としてよい(図5参照)。
本実施形態のサイドフィードバレル10の上面部10uの構成は、前述の本実施形態の押出機におけるサイドフィードバレル10における構成と同様としてよい(図6参照)。
以下では、図5及び図6に示す本実施形態一例のサイドフィードバレル10と同様の要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
本実施形態の別の例のサイドフィードバレル10は、ガス抜き用開口部10opの断面形状が異なる点以外は、前述の本実施形態一例のサイドフィードバレル10と同様である。
熱可塑性樹脂がペレット状である場合、ペレットのサイズとしては、平均長径が、1.5〜6mmであってよく、好ましくは1.5〜5.0mmであり、さらに好ましくは2.0〜5.0mmである。また、熱可塑性樹脂が粉体状である場合、粉体のサイズとしては、平均粒径が、1000μm未満であってもよく、好ましくは100μm未満であり、さらに好ましくは50μm未満である。熱可塑性樹脂の形状としては、特に限定されることなく、形状の異なるものを併用してよい。
なお、平均粒径は、レーザー回析散乱法の粒度分布計を使用して測定される体積平均粒子径の粒径分布の累積曲線から中央累積値にあたる粒子の径(メジアン径)として求めることができる。
粉体フィラーのサイズとしては、平均粒径が、1000μm未満であってもよく、好ましくは100μm未満であり、さらに好ましくは50μm未満である。
以下の実施例及び比較例では、前述のバレル本体部と上面部とからなる分離型のサイドフィードバレル(ガス抜き用金物)を用いた。
実施例及び比較例におけるサイドフィードバレルは、図4に示す構造を有するバレルとし、その諸元は表1に示す通りとした。
サイドフィードバレルの長さLは押出機のスクリューの内径Dの4.14倍とした。
サイドフィードバレルの幅Wは押出機のスクリューの内径Dの2.75倍とした。
上面部の突起部をバレル本体部の開口部に挿入して、バレル本体部の上端縁に上面部のフランジを載せることで、バレル本体部と上面部とを接合し、サイドフィードバレルを作製した。
押出機として、同方向回転二軸押出機(東芝機械社製のTEM58SS)を使用した。トルク密度Td=14.7N・m/cm3とした。バレル数は12とした。
押出機のバレル有効長Lは、押出機のスクリュー直径Dの49.6倍とした。
No.1バレル :第一供給口(トップフィードバレル、重量式フィーダーA、B)
No.2バレル :搬送ゾーン
No.3バレル :搬送ゾーン
No.4バレル :第一混練ゾーン
No.5バレル :大気ベント
No.6バレル :第二供給口(サイドフィードバレル、重量式フィーダーC)
No,7バレル :第二混練ゾーン
No.8バレル :第三供給口(サイドフィードバレル、重量式フィーダーD)
No.9バレル :第三混練ゾーン
No.10バレル:クローズドバレル
No.11バレル:真空ベント
No.12バレル:クローズドバレル
ダイプレート :オリフィスの内径4mm、オリフィスの数25個(1列)
また、押出機のスクリューのうち最もサイドフィーダー側に位置するスクリューの軸線と、サイドフィーダーのスクリューのうち最も背面壁側に位置するスクリューの軸線との交点において、サイドフィードバレルの上面部の内面と押出機のスクリューとは最近接していた。
重量式フィーダーA、B、C、Dとしては、kubota社製CE−W4を使用した。
後述の実施例及び比較例における熱可塑性樹脂組成物の製造を下記の評価方法により評価した。
熱可塑性樹脂組成物の製造中にサイドフィードバレルのガス抜き用開口部から吹き出す粉体原料の量を下記評価基準に従って評価した。
<判定基準(判定点:粉体原料の飛散の様子)>
1:粉体の飛散量がサイドフィードした粉体原料に対して0.1質量%未満
2:粉体の飛散量がサイドフィードした粉体原料に対して0.1質量%以上1.0質量%未満
3:粉体の飛散量がサイドフィードした粉体原料に対して1.0質量%以上
4:粉体が開口部から間欠的に大量に吹き出し、生産不可の状態になった
5:粉体が開口部から連続的に大量に吹き出し、生産不可の状態になった
熱可塑性樹脂組成物の製造中にサイドフィードバレルのガス抜き用開口部を上面部外側からみて、溶融樹脂が開口部周辺において閉塞する程度を観察し、下記評価基準に従って評価した。
<判定基準(判定点:ベントアップの様子)>
1:溜まった溶融樹脂が占める面積が開口部の面積の1/8未満
2:溜まった溶融樹脂が占める面積が開口部の面積の1/8以上1/3未満
3:溜まった溶融樹脂が占める面積が開口部の面積の1/3以上3/4未満
4:溜まった溶融樹脂が占める面積が開口部の面積の3/4以上で、溶融樹脂は盛り上がらないが、粉体がスクリューに食い込まれにくくなり、生産不可の状態になった
5:溜まった溶融樹脂が占める面積が開口部の面積の100%で、溶融樹脂が盛り上がり、生産不可の状態になった
得られた熱可塑性樹脂組成物のシャルピー衝撃強度を、ISO179−1及び179−2に準拠して測定した。押出機で製造された熱可塑性樹脂組成物のペレットを、射出成形機(東芝機械製、IS−80AM)を用いて、ISOの試験サンプルに成形した。その際のシリンダー温度は280℃とし、金型温度は80℃とした。得られた3mm厚の試験片にノッチを入れて、23℃の温度環境下において、ノッチ付試験片のシャルピー衝撃強度(kJ/m2)を測定した。
得られた熱可塑性樹脂組成物のメルトフローレ−ト(MVR)を、ISO1133に準拠して測定した。シリンダー温度を300℃に設定し、ペレットの加温を3分間行い、荷重5kgをかけて、10分間で、MVR(cm3/10分)を測定した。
得られた熱可塑性樹脂組成物の灰分を、ISO3451−1に準拠して測定した。熱可塑性樹脂組成物を加えたサンプル容器を電気炉に入れて、組成物を650℃、30分の条件で燃焼させ、次いで、サンプル容器をデシケーターに入れて、燃焼後の組成物を冷却し、その後、サンプル容器内の残渣の質量を測定し、残渣の質量の燃焼前の質量に対する割合を灰分(質量%)として算出した。
No.6バレルに表1のガス抜き金物Aを装着し、No.8バレルにガス抜き金物の代わりに止め栓を装着した。
ポリフェニレンエーテル系樹脂(旭化成ケミカルズ社製、S201A)(還元粘度0.51(極限粘度換算0.48)、平均粒径700μm)25質量部をNo.1バレルの重量式フィーダーAから、ポリスチレン混合物(PSジャパン社製のゼネラルパーパスポリスチレン685を25質量部、及び、ペトロケミカル社製のハイインパクトポリスチレンCT60を30質量部)55質量部をNo.1バレルの重量式フィーダーBから、第一供給口のホッパーから押出機に供給した。
タルク(竹原工業製のハイトロンA(平均粒径4μm))20質量部をNo.6バレルの重量式フィーダーCから、ホッパー、サイドフィーダーを通して、No.6バレルの第二供給口に供給した。
ガス抜き金物Aをガス抜き金物Bに変えた以外は、実施例1と同様に実施した。
ガス抜き金物Bのガス抜き用開口部のサイドフィーダー側端は、押出機のスクリューのうち最もサイドフィーダー側に位置するスクリューの軸線よりもサイドフィーダー側になるため、タルクの粉体が断続的に大量に吹き出して、生産不可になった。
そのため、押出機のスクリューの回転数を維持したまま、押出量を、50kg/hrで、タルクが吹き出さないようになるまで下げていったところ、150kg/hrとなった。この条件でのMVR、シャルピーは共に実施例1より低下した。
ガス抜き金物Aをガス抜き金物Cに変えた以外は、実施例1と同様に実施した。
ガス抜き金物Cのガス抜き用開口部の押出機下流側端は、サイドフィーダーのスクリューのうち最も背面壁側に位置するスクリューの軸線よりも押出機下流側になるため、タルクの粉体が断続的に大量に吹き出して、生産不可になった。
そのため、押出機のスクリューの回転数を維持したまま、押出量を、タルクが吹き出さないようになるまで下げていったところ、200kg/hrとなった。この条件でのMVR、シャルピーは共に実施例1より低下した。
ガス抜き金物Aをガス抜き金物Dに変えた以外は、実施例1と同様に実施した。
ガス抜き金物Dの最近接距離hは、スクリューの直径Dの0.1倍を超えているため、サイドフィーダーから供給されたタルクが開口部にそのまま流れること(素通し)となり、タルクの粉体が断続的に大量に吹き出して、生産不可になった。
そのため、押出機のスクリューの回転数を維持したまま、押出量を、タルクが吹き出さないようになるまで下げていったところ、300kg/hrとなった。この条件でのMVR、シャルピーは共に実施例1より低下した。
ガス抜き金物をAから、Eに変えた以外は、実施例1と同様に実施した。ガス抜き金物Eは抉り角度αが5度と小さいために、押出機スクリュー3から2に送られる溶融樹脂が、スクリュー2に食い込めず、ベントアップし、樹脂が開口部7から盛り上がり、生産不可になったので、回転数は維持したまま、押出量を下げていき、ベントアップしない条件、200kg/hrまで下げた。この条件での、物性はMVR、シャルピーとも実施例1より低下した。
ガス抜き金物をAから、Fに変えた以外は、実施例1と同様に実施した。ガス抜き金物Fは抉り角度αが75度と大きいために、押出機スクリュー3から2に送られる溶融樹脂が、スクリュー2に食い込めず、ベントアップし、樹脂が開口部7から盛り上がり、生産不可になったので、回転数は維持したまま、押出量を下げていき、ベントアップしない条件、200kg/hrまで下げた。この条件での、物性はMVR、シャルピーとも実施例1より低下した。
ガス抜き金物をAから、Gに変えた以外は、実施例1と同様に実施した。ガス抜き金物Fはアンダーカット角度βが5度と小さいために、押出機スクリュー3の軸方向に流れる溶融樹脂が、スクリュー3に食い込めず、ベントアップし、樹脂が開口部7から盛り上がり、生産不可になったので、回転数は維持したまま、押出量を下げていき、ベントアップしない条件、300kg/hrまで下げた。この条件での、物性はMVR、シャルピーとも実施例1より低下した。
ガス抜き金物をAから、Hに変えた以外は、実施例1と同様に実施した。ガス抜き金物Fはアンダーカット角度βが45度と大きいために、押出機スクリュー3の軸方向に流れる溶融樹脂が、スクリュー3に食い込めず、ベントアップし、樹脂が開口部7から盛り上がり、生産不可になったので、回転数は維持したまま、押出量を下げていき、ベントアップしない条件、300kg/hrまで下げた。この条件での、物性はMVR、シャルピーとも実施例1より低下した。
ガス抜き金物Aをガス抜き金物Iに変えた以外は、実施例1と同様に実施した。
ガス抜き金物Iのガス抜き用開口部のサイドフィーダー側端は、ガス抜き金物Aを用いた実施例1の場合と比較して、押出機のスクリューのうち最もサイドフィーダー側に位置するスクリューの軸線に近くなるため、実施例1と比較して、タルクの粉体の飛散が増え、灰分は若干下がったが、物性は問題ないレベルであった。
ガス抜き金物Aをガス抜き金物Jに変えた以外は、実施例1と同様に実施した。
ガス抜き金物Jのガス抜き用開口部の押出機下流側端は、サイドフィーダーのスクリューのうち最も背面壁側に位置するスクリューの軸線に近くなるため、実施例1と比較して、タルクの粉体の飛散が増え、灰分は若干下がったが、物性は問題ないレベルであった。
No.8バレルの止め栓を取り外して、No.8バレルにも表1のガス抜き金物Aを装着した以外は、実施例1と同様の条件とした。
また、ポリフェニレンエーテル系樹脂を20質量部とし、ポリスチレン混合物を40質量部とし、タルク20質量部をNo.6バレルの重量式フィーダーCから供給すると共に、タルク20質量部を、No.8バレルの重量式フィーダーDから、ホッパー、サイドフィーダーを通して、No.8バレルの第三供給口に供給した。
上記以外は実施例1と同様に実施した。
実施例8では、タルクの飛散、ベントアップの点について、問題がなかった。
2つのガス抜き金物Aを2つのガス抜き金物Bに変えた以外は実施例8と同様に実施した。
比較例4では、タルクの飛散、ベントアップの点について、問題がなかった。タルクの粉体が断続的に大量に飛散したため、押出量を150kg/hrまで下げた。そのときの物性は実施例4より低下した。
諸条件を表3に示す通りとした以外は実施例1と同様に実施した。
実施例9は、粉体フィラーを、実施例1で使用のタルクから、炭酸カルシウム(白石カルシウム社製のソフトン2200(平均粒径1μm))に変えた以外は実施例1と同様に実施した。
実施例10〜14は、樹脂を、実施例1で使用のPPE系樹脂から、表3に示す各樹脂に変えた以外は実施例1と同様に実施した。
実施例10では、ポリアミド66(Ny66)(旭化成ケミカルズ社製の1300S)を使用し、実施例11では、ポリオキシメチレン(POM)(旭化成ケミカルズ社製のテナック(登録商標)AC450)を使用し、実施例12では、ポリカーボネート(PC)(三菱エンジニアリングプラスチックス社製のユーピロン(登録商標)S3000F)を使用し、実施例13では、ポリブチレンテレフタレート(PBT)(三菱エンジニアリングプラスチックス社製のノバレックス(登録商標)5008)を使用し、実施例14では、ポリプロピレン(PP)(日本ポリプロピレン社製のノバテック(登録商標)EA9BT)を使用した。
本発明の押出機及びサイドフィードバレルを用いて製造される熱可塑性樹脂組成物は、OA材料、電子材料、光学材料、バッテリケース材料、バッテリセル材料、フィルム、シート等に好適に用いられる。
2 バレル
1s 押出機のスクリュー
1ss 最もサイドフィーダー側に位置するスクリュー
1sf 最も左側壁部側に位置するスクリュー
1h 穴
10 サイドフィードバレル
10u 上面部
10ut1 右側壁抉り部分
10ut2 正面壁抉り部分
10uf フランジ部分
10up 突起部分(凸部分)
10ui 開口部分(凹部分)
10op ガス抜き用開口部
10f 正面壁(押出機下流側の壁)
10ba 背面壁(押出機上流側の壁)
10r 右側面壁
10t 左側面壁
10bo 底面部
10mb バレル本体部
11 サイドフィーダー
11h 穴
11s サイドフィーダーのスクリュー
11ss 最も背面壁側に位置するスクリュー
11sf 最も正面壁側に位置するスクリュー
L1 ガス抜き用開口部と軸線X1との距離
X1 最もサイドフィーダー側に位置するスクリューの軸線
X2 最も左側壁側に位置するスクリューの軸線
L2 ガス抜き用開口部と軸線Y1との距離
Y1 最も背面壁側に位置するスクリューの軸線
Y2 最も正面壁側に位置するスクリューの軸線
AS 開始点
AG 終了点
BS 開始点
BG 終了点
CS 開始点
CG 終了点
DS 開始点
DG 終了点
Claims (12)
- ガス抜き用開口部を備える上面部と、押出機のスクリュー用の穴を備える正面壁及び背面壁と、サイドフィーダーのスクリュー用の穴を備える右側面壁と、左側面壁と、底面部とを備えるサイドフィードバレルを有する押出機であり、
前記ガス抜き用開口部と、前記押出機のスクリューのうち最も前記サイドフィーダー側に位置するスクリューの軸線との前記押出機のスクリューの配列方向についての距離L1が、前記押出機のスクリューの直径Dの0倍以上であり、
前記ガス抜き用開口部と、前記サイドフィーダーのスクリューのうち最も前記背面壁側に位置するスクリューの軸線との前記押出機のスクリューの軸線方向について距離L2が、前記押出機のスクリューの直径Dの0倍以上であり、
前記サイドフィードバレルの上面部の内面と前記押出機のスクリューとの前記押出機のスクリューの配列方向に直交する方向についての最近接距離hが、前記押出機のスクリューの直径Dの0〜0.1倍であり、
前記ガス抜き用開口部の面積が、前記押出機のスクリューの直径Dの2乗D 2 の0.2〜1.0倍である
ことを特徴とする、押出機。 - 前記押出機のスクリューの軸線に垂直な平面による断面において、前記ガス抜き用開口部の前記サイドフィーダー側の側壁を画成する線のうち最も前記底面側に位置する部分が、前記上面部の内面を画成する線に対してなす角度αが、10〜60°である、請求項1に記載の押出機。
- 前記押出機のスクリューの軸線に沿い、且つ、前記サイドフィードバレルの上面部に垂直な平面による断面において、前記ガス抜き用開口部の前記押出機下流側の側壁を画成する線のうち最も前記底面側に位置する部分が、前記上面部の内面を画成する線に対してなす角度βが、10〜35°である、請求項1又は2に記載の押出機。
- 前記サイドフィードバレルの軸方向の長さLが、前記押出機のスクリューの直径Dの2〜10倍である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の押出機。
- 前記サイドフィードバレルが、前記正面壁、前記背面壁、前記右側面壁、前記左側面壁、前記底面部を有するサイドフィードバレル本体と、前記上面部とからなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の押出機。
- 前記押出機のスクリューを少なくとも2本備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の押出機。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の押出機を用いることを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 前記押出機のギアボックスのトルク密度Tdを、6〜25N・m/cm3とする、請求項7に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂が、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項7又は8に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 前記サイドフィードバレルにおいて、平均粒径が1000μm未満である前記熱可塑性樹脂粉体及び/又はフィラー粉体をサイドフィードする、請求項7〜9のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 前記サイドフィードバレルにおいて、平均粒径が100μm未満である前記熱可塑性樹脂粉体及び/又はフィラー粉体をサイドフィードする、請求項10に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 押出機のスクリュー用の穴を備える正面壁及び背面壁と、サイドフィーダーのスクリュー用の穴を備える右側面壁と、左側面壁と、底面部とを備えるサイドフィードバレル本体と、ガス抜き用開口部を備える上面部とを有するサイドフィードバレルであり、
前記ガス抜き用開口部と、前記押出機のスクリューのうち最も前記サイドフィーダー側に位置するスクリューの軸線との前記押出機のスクリューの配列方向についての距離L1が、前記押出機のスクリューの直径Dの0倍以上であり、
前記ガス抜き用開口部と、前記サイドフィーダーのスクリューのうち最も前記背面壁側に位置するスクリューの軸線との前記押出機のスクリューの軸線方向について距離L2が、前記押出機のスクリューの直径Dの0倍以上であり、
前記サイドフィードバレルの上面部の内面と前記押出機のスクリューとの前記押出機のスクリューの配列方向に直交する方向についての最近接距離hが、前記押出機のスクリューの直径Dの0〜0.1倍であり、
前記ガス抜き用開口部の面積が、前記押出機のスクリューの直径Dの2乗D 2 の0.2〜1.0倍である
ことを特徴とする、サイドフィードバレル。
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