JP6763674B2 - 有機el素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機EL素子の製造方法に関する。
有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子の製造方法では、通常、有機EL素子を形成した後に、形成された有機EL素子の良否を判定する工程を含む。このような判定工程を含む製造方法の例として、特許文献1に記載の技術が知られている。この特許文献1に記載の技術では、有機EL素子の耐久性試験により、不良となった有機EL素子に逆バイアス電圧を印加して得られるリーク電流値を判定のための規格値に使用している。具体的には、有機EL素子形成後にストレス印加工程、リーク検査工程の順番で実施し、規格値とリーク検査工程によって得られたリーク電流値とを比較して有機EL素子の良否の判定を行っている。
特開2005−310659号公報
特許文献1に記載の製造方法では、ストレス印加工程において、耐久性試験と同等の負荷を加える必要性から長時間の時間を要するので、有機EL素子の生産性が低下する。
そこで、本発明は、生産性の向上を図り得る有機EL素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る有機EL素子の製造方法は、第1の基板の表面上に、第1の基板側電極、第1の発光層を含む第1の有機EL部及び第1の対向電極を順に積層することによって、有機EL素子を形成する有機EL素子形成工程と、上記有機EL素子に対してリーク検査を実施し、上記有機EL素子のリーク電流値を取得するリーク検査工程と、上記リーク電流値と規格値とを比較して、上記有機EL素子の良否を判定する判定工程と、を備え、上記規格値は、規格値算出用に形成される規格値用有機EL素子内の少なくとも一つの欠陥源のうち、上記規格値用有機EL素子の点灯試験の結果に基づいて選択される上記規格値用有機EL素子の点灯状態で点灯不良欠陥として現れる点灯不良源の個数で、上記規格値用有機EL素子のリーク検査で取得されるリーク電流値を除算することによって得られた一つの上記点灯不良源に対するリーク電流値である。
上記製造方法では、形成された有機EL素子の良否を、有機EL素子のリーク電流値と上記規格値とを比較することによって判定している。有機EL素子のリーク検査に要する時間は、僅かな時間(例えば1秒又は2秒)であり、上記規格値は、規格値算出用に形成される規格値用有機EL素子が有する、一つの上記点灯不良源に対するリーク電流値であることから、上記製造方法では、点灯不良欠陥が抑制された良品としての有機EL素子の生産性を向上できる。
一実施形態に係る有機EL素子の製造方法は、上記判定工程の前に上記規格値を取得する規格値取得工程を更に備え、上記規格値取得工程は、第2の基板の表面上に、第2の基板側電極、第2の発光層を含む第2の有機EL部及び第2の対向電極を順に積層することによって、上記規格値用有機EL素子を形成する規格値用素子形成工程であって、上記欠陥源の情報を光学的検査によって取得する光学的検査工程を含む、上記規格値用素子形成工程と、上記規格値用有機EL素子にリーク検査を実施して、上記規格値用有機EL素子のリーク電流値を取得する規格値用リーク検査工程と、上記規格値用有機EL素子に点灯試験を実施する点灯試験工程と、上記光学的検査工程で取得された上記欠陥源の情報と上記点灯試験の結果とに基づいて、上記少なくとも一つの欠陥源から選択される上記点灯不良源の個数で、上記規格値用リーク検査工程において取得された上記リーク電流値を除算することによって、上記規格値を算出する工程と、を有してもよい。
有機EL素子には点灯不良とならない欠陥源も含まれるが、上記方法では、光学的検査で得られた少なくとも一つの欠陥源の情報と、点灯試験の結果とに基づいて、規格値用有機EL素子に含まれる欠陥源のうちから点灯不良源を選択するので、一つの点灯不良源に対するリーク電流値を確実に算出できる。
上記規格値用素子形成工程において、上記光学的検査工程は、上記第2の基板側電極の形成前の上記第2の基板に対して実施する又は上記第2の基板側電極が形成された上記第2の基板に対して実施してもよい。
点灯不良源は、基板自体或いは電極を有する基板に固着した微粒子などの微小異物であり得る。上記のように、上記第2の基板側電極の形成前の上記第2の基板に対して実施する又は上記第2の基板側電極が形成された上記第2の基板に対して実施することによって、点灯不良源を含む欠陥源の情報を取得可能である。
上記欠陥源は、異物であり、上記欠陥源の情報は、上記異物の位置及び形状を含んでもよい。点灯不良源は、基板自体或いは電極を有する基板に固着した微粒子などの微小異物であり得る。よって、光学的検査において異物を欠陥源とみなし、その位置及び形状を情報として、光学的検査で取得することで、得られた欠陥源から点灯不良源を選択可能である。
上記光学的検査の一例は、自動光学検査であり得る。
上記規格値用リーク検査工程では、上記規格値用有機EL素子に逆バイアス電圧を印加して、上記規格値用有機EL素子の上記リーク電流値を取得しもよい。この場合、逆バイアス電圧は、上記規格値用有機EL素子の発光に寄与しないため、リーク電流値をより正確に取得できる。
上記リーク検査工程では、上記有機EL素子に逆バイアス電圧を印加して、上記有機EL素子の上記リーク電流値を取得してもよい。この場合、逆バイアス電圧は、上記有機EL素子の発光に寄与しないため、リーク電流値をより正確に取得できる。
上記点灯不良欠陥は、例えば所望の輝度より高い輝度を有する欠陥であり得る。
本発明によれば、生産性の向上を図り得る有機EL素子の製造方法を提供できる。
図1は、一実施形態に係る有機EL素子の製造方法で製造される有機EL素子の構成を示す模式図である。 図2は、一実施形態に係る有機EL素子の製造方法のフローチャートである。 図3は、規格値用有機EL素子である規格値用素子の構成を示す模式図である。 図4は、規格値取得工程の一例のフローチャートである。 図5は、光学的検査工程を説明するための図面である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。同一の要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
図1に模式的に示すように、一実施形態に係る有機EL素子の製造方法で製造される有機EL素子10は、例えば照明に使用される有機EL照明パネルである。有機EL素子10は、基板(第1の基板)12と、陽極(第1の基板側電極)14と、有機EL部(第1の有機EL部)16と、陰極(第1の対向電極)18と、を備える。有機EL素子10は、陽極14側から光を出射する形態、或いは、陰極18側から光を出射する形態を取り得る。以下では、断らない限り、陽極14側から光を出射する形態について説明する。
[基板]
基板12は、可視光(波長400nm〜800nmの光)に対して透光性を有する。基板12は、フィルム状の基板12であり得る。基板12の厚さは、例えば、30μm以上700μm以下である。
基板12は、ガラス基板、シリコン基板などのリジット基板であってもよいし、又は、プラスチック基板及び高分子フィルムなどの可撓性基板であってもよい。基板12には、有機EL素子10を駆動するための駆動回路(例えば、薄膜トランジスタなどを含む回路)が形成されていてもよい。このような駆動回路は、通常、透明材料から構成される。
基板12の表面12a上には、バリア膜が形成されていてもよい。バリア膜は、例えば、ケイ素、酸素及び炭素からなる膜、又は、ケイ素、酸素、炭素及び窒素からなる膜であり得る。具体的には、バリア膜の材料の例は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等である。バリア膜の厚さの例は、100nm以上10μm以下である。
[陽極]
陽極14は、基板12の表面12a上に設けられている。陽極14には、光透過性を示す電極が用いられる。光透過性を示す電極としては、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物及び金属等の薄膜を用いることができ、光透過率の高い薄膜が好適に用いられる。陽極14は、導電体(例えば金属)からなるネットワーク構造を有してもよい。
陽極14の厚さは、光の透過性、電気伝導度等を考慮して決定することができる。陽極14の厚さは、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。本明細書において、陽極14が設けられた基板12を電極付き基板20と称する場合もある。
[有機EL部]
有機EL部16は、陽極14上に設けられている。有機EL部16は、陽極14及び陰極18に印加された電圧に応じて、キャリアの移動及びキャリアの再結合などの有機EL素子10の発光に寄与する機能部である。
有機EL部16は、正孔注入層161、正孔輸送層162、発光層(第1の発光層)163及び電子注入層164を含み、それらは、陽極14側から順に積層された機能層である。有機EL部16は、発光層163を含んでいれば、例示したものに限定されない。
正孔注入層161は、陽極14上に設けられており、陽極14から発光層163への正孔注入効率を改善する機能を有する層である。正孔注入層161の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定される。正孔注入層161の厚さは、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
正孔輸送層162は、正孔注入層161上に設けられており、陽極14、正孔注入層161又は陽極14により近い正孔輸送層162から発光層163への正孔注入を改善する機能を有する層である。正孔輸送層162の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定される。正孔輸送層162の厚さは、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
発光層163は、正孔輸送層162上に設けられており、正孔輸送層162上に設けられる。発光層163は、所定の波長の光を発光する機能を有する有機層である。発光層163の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定される。
電子注入層164は、発光層163上に設けられており、陰極18から発光層163への電子注入効率を改善する機能を有する層である。電子注入層164の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定される。電子注入層164の厚さは、例えば1nm〜1μmである。
[陰極]
陰極18は、有機EL部16上に設けられている。陰極18の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、電気伝導度、耐久性等を考慮して設定される。陰極18の厚さは、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
次に、一実施形態に係る有機EL素子10の製造方法について、図2に示した有機EL素子の製造方法のフローチャートを参照して説明する。有機EL素子10の製造方法は、有機EL素子形成工程S10と、リーク検査工程S12と、判定工程S14と、を備える。
[有機EL素子形成工程]
有機EL素子形成工程S10では、基板12上に、陽極14、有機EL部16及び陰極18を順に積層することによって有機EL素子10を形成する。よって、有機EL素子形成工程S10は、陽極形成工程S10A、有機EL部形成工程S10B、及び陰極形成工程S10Cを有する。
<陽極形成工程>
陽極形成工程S10Aでは、表面12a上に陽極14を形成する。陽極14を形成する前に、基板12の表面12aは純水、有機極性溶剤等で洗浄してもよい。
陽極14の材料としては、例えば酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、銅等が挙げられ、これらの中でもITO、IZO、又は酸化スズが好ましい。陽極14は、例示した材料からなる薄膜として形成され得る。陽極14の材料には、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機物を用いてもよい。この場合、陽極14は、透明導電膜として形成され得る。前述したように、陽極14は、導電体(例えば金属)からなるネットワーク構造を有してもよい。陽極14は、有機EL素子10の製造において公知の方法で形成され得る。陽極14の形成方法としては、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、塗布法等が挙げられる。
塗布法としては、例えばインクジェット印刷法が挙げられるが、陽極14を形成可能な塗布法であれば、他の公知の塗布法でもよい。インクジェット印刷法以外の公知の塗布法としては、例えばマイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法及びノズルプリント法等が挙げられる。
陽極14の材料を含む塗布液の溶媒は、陽極14の材料を溶解できる溶媒であればよい。溶媒としては、例えばクロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩化物溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル溶媒等が挙げられる。
<有機EL部形成工程>
有機EL部形成工程S10Bでは、陽極14上に、正孔注入層161、正孔輸送層162、発光層163及び電子注入層164を順に形成する。有機EL部16を構成する各層は、例えば塗布法により形成され得る。具体的には、正孔注入層161、正孔輸送層162、発光層163及び電子注入層164のそれぞれは、各層の材料を含む塗布液を、形成すべき層に対する下地層上に塗布し、乾燥・固化することで形成され得る。上記下地層は、例えば正孔注入層161に対しては陽極14であり、正孔輸送層162に対しては正孔輸送層162である。塗布法の例は、陽極形成工程S10Aで例示した塗布法と同様であり得る。
正孔注入層161、正孔輸送層162、発光層163及び電子注入層164を形成するための塗布液の溶媒は、形成すべき層の材料を溶解する溶媒であればよい。溶媒の例は、陽極形成工程S10Aで例示した溶媒と同様であり得る。
正孔注入層161の材料には、公知の正孔注入材料が用いられ得る。正孔注入材料としては、例えば酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、及び、酸化アルミニウム等の酸化物、フェニルアミン化合物、スターバースト型アミン化合物、フタロシアニン化合物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、及び、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体を挙げることができる。
正孔輸送層162の材料には、公知の正孔輸送材料が用いられ得る。正孔輸送層162の材料としては、例えばポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン若しくはその誘導体、ピラゾリン若しくはその誘導体、アリールアミン若しくはその誘導体、スチルベン若しくはその誘導体、トリフェニルジアミン若しくはその誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体等が挙げられる。正孔輸送層162の材料としては、例えば特開2012−144722号公報に開示されている正孔輸層材料も挙げられる。
発光層163は、通常、主として蛍光及び/又はりん光を発光する有機物、或いは、該有機物とこれを補助するドーパントとから形成される。ドーパントは、例えば発光効率の向上や、発光波長を変化させるために加えられる。発光層163に含まれる有機物は、低分子化合物でも高分子化合物でもよい。発光層163を構成する発光材料としては、下記の色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料、ドーパント材料等が挙げられる。
色素系材料としては、例えばシクロペンダミン若しくはその誘導体、テトラフェニルブタジエン若しくはその誘導体、トリフェニルアミン若しくはその誘導体、オキサジアゾール若しくはその誘導体、ピラゾロキノリン若しくはその誘導体、ジスチリルベンゼン若しくはその誘導体、ジスチリルアリーレン若しくはその誘導体、ピロール若しくはその誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン若しくはその誘導体、ペリレン若しくはその誘導体、オリゴチオフェン若しくはその誘導体、オキサジアゾールダイマー若しくはその誘導体、ピラゾリンダイマー若しくはその誘導体、キナクリドン若しくはその誘導体、クマリン若しくはその誘導体等が挙げられる。
金属錯体系材料としては、例えばTb、Eu、Dyなどの希土類金属、又はAl、Zn、Be、Pt、Ir等を中心金属に有し、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を配位子に有する金属錯体が挙げられる。金属錯体としては、例えばイリジウム錯体、白金錯体等の三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、フェナントロリンユーロピウム錯体等が挙げられる。
高分子系材料としては、例えばポリパラフェニレンビニレン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリパラフェニレン若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、ポリアセチレン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、上記色素材料及び金属錯体材料の少なくとも一方を高分子化した材料等が挙げられる。
ドーパント材料としては、例えばペリレン若しくはその誘導体、クマリン若しくはその誘導体、ルブレン若しくはその誘導体、キナクリドン若しくはその誘導体、スクアリウム若しくはその誘導体、ポルフィリン若しくはその誘導体、スチリル色素、テトラセン若しくはその誘導体、ピラゾロン若しくはその誘導体、デカシクレン若しくはその誘導体、フェノキサゾン若しくはその誘導体等が挙げられる。
電子注入層164の材料には、公知の電子注入材料が用いられ得る。電子注入層164の材料としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうちの1種類以上を含む合金、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、又はこれらの物質の混合物等が挙げられる。
アルカリ金属、アルカリ金属の酸化物、ハロゲン化物及び炭酸塩としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化カリウム、フッ化カリウム、酸化ルビジウム、フッ化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化セシウム、炭酸リチウム等が挙げられる。
アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物及び炭酸塩としては、例えばマグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
<陰極形成工程>
陰極形成工程S10Cでは、有機EL部16上に陰極18を形成する。陰極18の材料としては、仕事関数が小さく、発光層163への電子注入が容易で、電気伝導度の高い材料が好ましい。陽極14側から光を取り出す構成の有機EL素子10では、発光層163から放射される光を陰極18で陽極14側に反射するために、陰極18の材料としては可視光反射率の高い材料が好ましい。
陰極18の材料としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属及び周期表の13族金属等が挙げられる。陰極18としては、導電性金属酸化物及び導電性有機物等からなる透明導電性電極を用いてもよい。陰極18の形成方法は、陽極14の形成方法と同様とし得る。
[リーク検査工程]
リーク検査工程S12では、有機EL素子10にリーク検査を実施して、有機EL素子10のリーク電流値を取得する。具体的には、有機EL素子10の陽極14及び陰極18間に電圧を印加して、有機EL素子10からのリーク電流を計測する。リーク検査の際には、有機EL素子10の発光に寄与する電流との差を明確にする観点から、有機EL素子10に印加する電圧は、逆バイアス電圧であってもよい。逆バイアス電圧の例は、−5Vである。
[判定工程]
判定工程S14では、リーク検査工程S12で取得されたリーク電流値と、規格値とを比較して、有機EL素子10が良品であるか否かを判定する。リーク電流値が規格値以下である場合は、有機EL素子10を良品と判定し、リーク電流値が規格値を超えている場合は、有機EL素子10を不良品と判定する。
有機EL素子形成工程S10で、複数の有機EL素子10を形成している場合、この判定工程S14の結果により、複数の有機EL素子10のうちから良品の有機EL素子10が選別され得る。有機EL素子形成工程S10での形成条件を得るために、有機EL素子形成工程S10で、一つの有機EL素子10を形成している場合、この判定工程S14の結果において、有機EL素子10が良品と判定されれば、有機EL素子形成工程S10で使用した形成条件を製品用の有機EL素子の形成に使用すればよく、有機EL素子10が不良品と判定されれば、有機EL素子形成工程S10での形成条件を変更して、再度、有機EL素子形成工程S10に戻ればよい。
上記規格値は、図3に示した規格値算出用に形成された規格値用有機EL素子(以下、「規格値用素子」と称す)10Aを点灯した際に点灯不良となる欠陥(点灯不良欠陥)1個に対して算出されたリーク電流値である。したがって、判定工程S14により、点灯不良欠陥が発生し難い有機EL素子10を良品として判定できる。
本実施形態において、上記点灯不良欠陥とは、規格値用素子10A(又は有機EL素子10)を点灯させた際、入力電流(電圧)に対する所望の輝度よりも常に高い状態を保って点灯状態にある点状の欠陥(以下、「点灯不良欠陥」と称す)を意味する。点灯不良欠陥は、規格値用素子10A(又は有機EL素子10)を点灯させた際、通常、白点として現れるので、点灯不良欠陥は、白点欠陥でもある。
本実施形態において規格値用素子10Aは、図3に示したように、製造すべき有機EL素子10と同様の構成を有する。すなわち、規格値用素子10Aは、基板(第2の基板)12Aの上に、陽極(第2の基板側電極)14A、有機EL部(第2の有機EL部)16A及び陰極(第2の対向電極)18Aが積層されて構成されており、有機EL部16Aは、陽極14A側から順に、正孔注入層161A、正孔輸送層162A、発光層163A及び電子注入層164Aが積層されることによって構成されている。
以下では、断らない限り、規格値用素子10Aが有する基板12A、陽極14A、正孔注入層161A、正孔輸送層162A、発光層(第2の発光層)163A、電子注入層164A及び陰極18Aの材料、厚さ、形状等は、有機EL素子10の対応する要素と同じである。有機EL素子10の場合と同様に、陽極14Aが形成された基板12Aを電極付き基板20Aとも称す場合がある。
次に、判定工程S14で使用する規格値を取得するための規格値取得工程S20について図4を参照して説明する。規格値取得工程S20は、規格値用素子形成工程S21と、リーク検査工程(規格値用リーク検査工程)S22と、点灯試験工程S23と、規格値算出工程S24と、を有する。
[規格値用素子形成工程]
規格値用素子形成工程S21は、光学的検査工程S21Aと、陽極形成工程S21Bと、有機EL部形成工程S21Cと、陰極形成工程S21Dとを有する。
<光学的検査工程>
光学的検査工程S21Aでは、基板12Aに含まれており規格値用素子10Aにおいて欠陥となる欠陥源を光学的検査によって取得する。上記欠陥源の例は、基板12Aに付着した異物である。規格値用素子10Aを形成する際に、予め基板12Aを純水、有機極性溶剤で洗浄する場合には、基板12Aの洗浄後に、光学的検査工程S21Aを実施してもよい。
図5を参照して、光学的検査の方法について説明する。図5に示したように、基板12Aの一方の面側に配置された光源22からの照明光Lを基板12Aに照射して、光源22側と反対側に配置された撮像部24により基板12の2次元画像を取得する。撮像部24は、CCDカメラといったエリアセンサでもよいし、一次元のラインセンサでもよい。ラインセンサの場合は、ラインセンサで基板12をスキャンすることで、基板12Aの2次元画像を得る。
光学的検査工程S21Aでは、上記2次元画像により、基板12Aに付着しており有機EL素子において欠陥となるような微粒子などの異物といった欠陥源のパターン(位置、形状等を含む)を欠陥源の情報として取得する。
光学的検査の一例は、自動光学検査(Automated optical inspection、略称AOI)である。この場合、光学的検査は、自動光学検査装置を用いて実施し得る。光学的検査は、AOIに限定されず、基板12Aの画像に基づいて上記欠陥源のパターンを取得可能な方法であればよい。
図4に戻って、光学的検査工程S21A以降の工程について説明する。
<陽極形成工程>
陽極形成工程S21Bでは、光学的検査工程S21A後の基板12A上に陽極14Aを形成する。陽極14Aの形成方法は、陽極形成工程S10Aの場合と同様であるため、説明を省略する。
<有機EL部形成工程>
有機EL部形成工程S21Cでは、陽極14A上に、有機EL部16Aを形成する。すなわち、陽極14A上に、正孔注入層161A、正孔輸送層162A、発光層163A及び電子注入層164Aを形成する。正孔注入層161A、正孔輸送層162A、発光層163A及び電子注入層164Aの形成方法は、有機EL部形成工程S10Bで説明した正孔注入層161、正孔輸送層162、発光層163及び電子注入層164の形成方法と同様であるため、説明を省略する。
<陰極形成工程>
陰極形成工程S21Dでは、有機EL部16A上に陰極18Aを形成する。陰極18Aの形成方法は、陰極18の形成方法と同様であるため、説明を省略する。
[リーク検査工程]
リーク検査工程S22では、規格値用素子10Aの陽極14A及び陰極18A間に電圧を印加することでリーク検査を実施し、規格値用素子10Aのリーク電流値を取得する。規格値用素子10Aの発光に寄与する電流との差を明確にする観点から、規格値用素子10Aに印加する電圧は、逆バイアス電圧であってもよい。リーク検査工程S12と、リーク検査工程S22での規格値用素子10Aへの電圧の印加方法及び印加電圧は有機EL素子10の場合と同様であり得る。
[点灯試験工程]
点灯試験工程S23では、規格値用素子10Aに対して点灯試験を実施する。この点灯試験では、規格値用素子10Aを所定時間以上点灯させ、点灯不良欠陥が生じるか否かを判断する。点灯不良欠陥が生じた規格値用素子10Aについては、規格値用素子10Aにおける点灯不良欠陥の位置を確認する。
点灯不良欠陥は、規格値用素子10Aの点灯開始直後には現れず、一定の時間経過後に現れる場合もため、上記所定時間としては、点灯不良欠陥が始める時間であり、例えば48時間である。上記所定時間は、規格値用素子10Aの半減期であることがより好ましいが、前述したように48時間であれば、実用に耐えられる規格値を取得可能である。
[規格値算出工程]
規格値算出工程S24では、光学的検査工程S21Aで得られた欠陥源の情報と、点灯試験結果で得られた点灯不良欠陥の位置とを対比して、規格値用素子10Aに含まれる少なくとも一つの欠陥源のうち点灯不良欠陥に対応する全ての欠陥源(以下、「点灯不良源」と称す)を選択(或いは特定)し、選択された点灯不良源数で規格値用素子10Aにおけるリーク電流値を除算することで規格値を算出する。
図4に示した規格値取得工程S20では、光学的検査工程S21Aを陽極形成工程S21Bの前に実施したが、陽極形成工程S21Bの後であって有機EL部形成工程S21Cの前に実施してもよい。すなわち、陽極14Aが形成された基板12である電極付き基板20Aに対して光学的検査を実施してもよい。
上記規格値取得工程S20は、有機EL素子10の製造方法において、判定工程S14の前に一度行っておけばよい。したがって、規格値取得工程S20で規格値を一度取得すれば、改めて有機EL素子10を製造する場合には、規格値取得工程S20は実施しなくてもよい。
本実施形態では、規格値用素子形成工程S21で形成する規格値用素子10Aは、製造すべき有機EL素子10の構成と同じ構成である形態を説明している。しかしながら、点灯不良欠陥は、主に基板12に固着した微粒子といった微小異物に起因している。そのため、点灯不良源数は、基板12及び基板12Aの形状(大きさ含む)に依存する。よって、少なくとも基板12と基板12Aの厚さ方向からみた形状が一致していれば、他の構成は異なっていてもよい。更に、有機EL素子形成工程S10及び規格値用素子形成工程S21における対応する要素の形成方法は異なっていてもよい。
規格値用素子形成工程S21では、複数の規格値用素子10Aを形成してもよい。この場合の規格値の算出方法について説明する。
規格値用素子形成工程S21において複数の規格値用素子10Aを形成する形態では、各規格値用素子10Aの形成の際に、各規格値用素子10Aが有する基板12Aの光学的検査工程S21Aを実施し、各規格値用素子10Aに対する欠陥源の情報を取得する。リーク検査工程S22では、各規格値用素子10Aに対するリーク電流値を取得し、それらの平均値(平均リーク電流値)を算出する。点灯試験工程S23では、各規格値用素子10Aに点灯試験を実施し、規格値用素子10A毎に点灯不良欠陥の位置を選択(或いは特定)する。規格値算出工程S24では、光学的検査工程S21Aで得られた各規格値用素子10Aに対する欠陥源の情報と、点灯試験工程S23で得られた点灯試験結果とに基づいて、各規格値用素子10Aにおける点灯不良源を選択する。各規格値用素子10Aに含まれる点灯不良源数に基づいて算出される複数の規格値用素子10Aに対する点灯不良源数の平均値(平均点灯不良源数)で、複数の規格値用素子10Aに対する平均リーク電流値を除算することで得られるリーク電流値を規格値とする。
複数の規格値用素子10Aの形成方法は異なっていてもよい。形成方法が同じ規格値用素子10Aを同種の規格値用素子10Aと称して説明する。この場合、平均リーク電流値及び平均点灯不良源数を、同種の規格値用素子10Aに対する平均リーク電流値及び平均点灯不良源数とする。そして、規格値算出工程S24では、種類の異なる規格値用素子10Aに対する平均リーク電流値及び平均点灯不良源数の相関関係に基づいて、点灯不良源1個に対するリーク電流値を算出し、規格値とすればよい。
上記有機EL素子10の製造方法では、判定工程S14において、図2に示したリーク検査工程S12で取得したリーク電流値と、規格値取得工程S20で取得された規格値に基づいて、有機EL素子10が良品か否かを判定する。リーク検査工程S12におけるリーク検査では、数秒(例えば、1秒又は2秒)程度でリーク電流値を取得できるので、有機EL素子10の生産性の向上が図れる。更に、有機EL素子10の良否を判定するために、有機EL素子10にストレス検査等の実施が不要であることから、良否判定され、良品と判定された有機EL素子10において検査による劣化が生じない。
規格値は、点灯不良源1個に対するリーク電流値であることから、判定工程S14で良否を判定することで、点灯不良が生じにくい有機EL素子10を判定できる。その結果、上記有機EL素子の製造方法では、点灯不良の発生が抑制され、品質の向上が図られた有機EL素子10を効率的に生産できる。
光学的検査工程S21Aで取得する欠陥源には、点灯不良とならない欠陥源も含まれている。上記規格値取得工程S20では、規格値用素子10Aの点灯試験を実施し、点灯試験の結果と、光学的検査工程S21Aで取得された欠陥源の情報とから点灯不良源を選択して、規格値を算出している。よって、有機EL素子10の良否をより確実に判定できる。
点灯不良源の例は、例えば基板12(又は基板12A)に固着した微粒子といった微小異物である。これは、基板12(又は基板12A)に微粒子が固着していると、陽極14(又は陽極14A)に突起が生じ突起に起因してリークが生じると考えられるからである。陽極14に固着した微粒子といった微小異物も点灯不良源となる場合がある。これは、陽極14に微粒子が固着していると、有機EL部16の層の厚さが微粒子近傍で薄くなることに起因してリークが生じると考えられるからである。よって、欠陥源として異物を想定し、その位置及び形状を欠陥源の情報として取得すれば、点灯試験の結果を利用して、微小異物としての点灯不良源をより確実に選択できる。その結果、品質の向上がより一層図られた有機EL素子10を製造可能である。陽極14に固着した微小異物も欠陥源として検出するには、前述したように、陽極形成工程S21Bの後に光学的検査工程S21Aを実施すればよい。
リーク検査工程S12,S22での有機EL素子10及び規格値用素子10Aのリーク検査において、有機EL素子10及び規格値用素子10Aに逆バイアス電圧を印加してリーク検査を行う形態では、有機EL素子10及び規格値用素子10Aの発光に寄与する電流とリーク電流とを区別し易い。そのため、より正確に規格値を算出でき、品質の向上がより一層図られた有機EL素子10を製造可能である。
次に、規格値に基づく有機EL素子の良否の判定の有効性についての検証について説明する。
まず、図4に示した規格値取得工程S20を実施した。規格値取得工程S20が有する規格値用素子形成工程S21では、図3に示した層構成を有しており2つの異なる方法で洗浄した基板を用いて規格値用素子を形成した。洗浄方法の異なる基板を含む規格値用素子のそれぞれを、規格値用素子A1及び規格値用素子A2と称す。規格値用素子A1及び規格値用素子A2では、基板としてガラス基板を採用し、規格値用素子A1及び規格値用素子A2は、ガラス基板の表面上に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層及び陰極が積層されることによって構成された。
規格値用素子A1及び規格値用素子A2を形成する際には、光学的検査工程S21Aの前に、ガラス基板を洗浄した。具体的には、規格値用素子A1の場合、ガラス基板を純水で2分洗浄し、規格値用素子A2の場合、ガラス基板を有機極性溶剤で4分洗浄した。その後、光学的検査工程S21Aを実施し、各規格値用素子A1及び各規格値用素子A2の欠陥源の情報として欠陥源の位置、形状などを取得した。続いて、有機EL部形成工程S21C及び陰極形成工程S21Dを実施して、規格値用素子A1及び規格値用素子A2を形成した。
規格値用素子A1及び規格値用素子A2は、ガラス基板の洗浄方法が異なる点以外は同様の方法で、形成された。よって、規格値用素子A1及び規格値用素子A2の構成(層構成と共に、各層の材料、厚さなどを含む)は同じである。規格値用素子形成工程S21では、12枚の規格値用素子A1と、12枚の規格値用素子A2を形成した。
規格値用素子A1及び規格値用素子A2を形成した後、リーク検査工程S22を実施した。リーク検査工程S22では、各規格値用素子A1及び各規格値用素子A2のリーク電流値を取得し、12個の規格値用素子A1に対する平均リーク電流値及び12個の規格値用素子A2に対する平均リーク電流値を算出した。リーク検査では、規格値用素子A1及び各規格値用素子A2に逆バイアス電圧として−5Vを印加した。その結果、12個の規格値用素子A1に対する平均リーク電流値及び12個の規格値用素子A2に対する平均リーク電流値は、表1に示したように、1.10×10−3(A)及び1.27×10−4(A)であった。
Figure 0006763674
その後、各規格値用素子A1及び各規格値用素子A2に対して点灯試験工程S23を実施した。具体的には、各規格値用素子A1及び各規格値用素子A2の陽極及び陰極間に電圧を印加して、48時間継続して点灯させ、点灯不良欠陥の有無を目視確認した。その結果、全ての規格値用素子A1及び規格値用素子A2に対して点灯不良欠陥が生じたことを確認し、点灯不良欠陥の位置を取得した。
規格値算出工程S24では、各規格値用素子A1及び各規格値用素子A2に対して、光学的検査工程S21Aで得られた欠陥源の情報と、点灯試験で得られた点灯不良欠陥の情報とを対比し、光学的検査工程S21Aで得られた複数の欠陥源のうち点灯不良源を選択した。12個の規格値用素子A1に対する平均点灯不良源数は、上記表1に示したように、13個であり、12個の規格値用素子A2に対する平均点灯不良源数は、1.3個であった。表1の結果をグラフにプロットし、線形フィッティングすることによって、点灯不良欠陥1個に対するリーク電流値を算出し、規格値とした。算出された規格値は、1.9×10−5(A)であった。
次に、上記のように算出した規格値を用いて、有機EL素子10の製造方法が有する判定工程S14の有効性の検証を行った。
検証のために、ガラス基板の洗浄方法の異なる3種類の有機EL素子をそれぞれ12個形成した。形成した3種類の有機EL素子を有機EL素子B1、有機EL素子B2及び有機EL素子B3と称す。有機EL素子B1、有機EL素子B2及び有機EL素子B3の構成(層構成と共に、各層の材料、厚さなどを含む)は、規格値用素子A1(又は規格値用素子A2)の構成と同じであった。
有機EL素子B1、有機EL素子B2及び有機EL素子B3は、ガラス基板の洗浄方法が異なる点以外は同様の方法で形成された。有機EL素子B1を形成する際には、ガラス基板を、規格値用素子A1の場合と同様に純水で2分洗浄した。有機EL素子B2を形成する際には、ガラス基板を、規格値用素子A2の場合と同様に有機極性溶剤で4分洗浄した。有機EL素子B3を形成する際には、ガラス基板を、規格値用素子A2の場合と同様に有機極性溶剤で洗浄した。有機EL素子B3のガラス基板の洗浄時間は、有機EL素子B2の形成において実施した洗浄時間の2倍である8分であった。
形成した12個の有機EL素子B1のそれぞれに対して、図2に示したリーク検査工程S12を実施し、平均リーク電流値を算出した。同様に、形成した12枚の有機EL素子B2のそれぞれに対して、図2に示したリーク検査工程S12実施し、平均リーク電流値を算出した。同様に、形成した12枚の有機EL素子B3のそれぞれに対して、図2に示したリーク検査工程S12を実施し、平均リーク電流値を算出した。リーク検査では、有機EL素子B1,B2,B3に逆バイアス電圧として−5Vを印加した。算出された平均リーク電流値は、表2に示すとおりであり、有機EL素子B1の平均リーク電流値は、1.10×10−3(A)であり、有機EL素子B2の平均リーク電流値は、1.43×10−4(A)であり、有機EL素子B3の平均リーク電流値は、1.62×10−5(A)であった。
Figure 0006763674
次に、12個の有機EL素子B1を48時間連続点灯させた後、有機EL素子B1の点灯不良欠陥の発生率を算出した。同様に、12個の有機EL素子B2を48時間連続点灯させた後、有機EL素子B2の点灯不良欠陥の発生率を算出した。同様に、12個の有機EL素子B3を48時間連続点灯させた後、有機EL素子B3の点灯不良欠陥の発生率を算出した。
上記点灯不良欠陥の発生率について、有機EL素子B1,B2,B3を有機EL素子Bと称して説明する。検証に使用した有機EL素子Bの個数をNとし、点灯不良欠陥が生じた有機EL素子Bの個数をMとし、点灯不良欠陥の発生率をα(%)としたとき、αを次のように定義した。
α=(M/N)×100(%)
上記定義に従って得られた有機EL素子B1,B2,B3に対する点灯不良欠陥の発生率は、上記表2に示したとおりであり、それぞれ33.3%、14.3%及び0%であった。
規格値である点灯不良欠陥1個に対するリーク電流値は、1.9×10−5(A)であることから、有機EL素子B1,B2,B3のうち有機EL素子B3が規格値以下であるリーク電流値を有し、有機EL素子B1,B2のリーク電流値は、規格値を超えていた。表2に示したように、規格値を超えたリーク電流値を有した有機EL素子B1,B2に対しては、点灯不良欠陥が生じており、規格値以下のリーク電流値を有する有機EL素子B3については、点灯不良欠陥が生じていない。よって、規格値を使用することで、有機EL素子の良否を判定できることが実証された。
したがって、予め規格値を取得しておけば、図2に示した有機EL素子形成工程S10で形成された有機EL素子のリーク電流値を取得することで、容易に有機EL素子の良否を判定できるので、有機EL素子の生産性の向上が図れる。
以上、本発明の種々の実施形態及び実施例について説明した。しかしながら、本発明は上述した種々の実施形態及び実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
有機EL部は、前述したように発光層以外の他の機能層を含む積層体でもよい。各種の機能層を含む有機EL素子の層構成の例を以下に示す。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
c)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
d)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
e)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
f)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
g)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
h)陽極/発光層/電子注入層/陰極
i)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
記号「/」は、記号「/」の両側の層同士が接合していることを意味している。上記f)の構成が図1に示した構成に対応する。
正孔注入層及び正孔輸送層の少なくとも一方が電子の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が電子ブロック層と称される場合もある。電子輸送層は、陰極、電子注入層又は陰極により近い電子輸送層からの電子注入を改善する機能を有する層である。電子注入層及び電子輸送層の少なくとも一方が正孔の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が正孔ブロック層と称される場合もある。
有機EL素子は単層の発光層を有していても2層以上の発光層を有していてもよい。上記a)〜i)の層構成のうちのいずれか1つにおいて、陽極と陰極との間に配置された積層構造を「構造単位I」とすると、2層の発光層を有する有機EL素子の構成として、例えば、下記j)に示す層構成を挙げることができる。2個ある(構造単位I)の層構成は互いに同じであっても、異なっていてもよい。
j)陽極/(構造単位I)/電荷発生層/(構造単位I)/陰極
ここで電荷発生層とは、電界を印加することにより、正孔と電子とを発生する層である。電荷発生層としては、例えば酸化バナジウム、ITO、酸化モリブデンなどからなる薄膜を挙げることができる。
「(構造単位I)/電荷発生層」を「構造単位II」とすると、3層以上の発光層を有する有機EL素子の構成として、例えば、以下のk)に示す層構成を挙げることができる。
k)陽極/(構造単位II)x/(構造単位I)/陰極
記号「x」は、2以上の整数を表し、「(構造単位II)x」は、(構造単位II)がx段積層された積層体を表す。また複数ある(構造単位II)の層構成は同じでも、異なっていてもよい。電荷発生層を設けずに、複数の発光層を直接的に積層させて有機EL素子を構成してもよい。
これまでの説明では、第1及び第2の基板側電極を陽極とし、第1及び第2の対向電極を陰極として説明したが、第1及び第2の基板側電極が陰極であって、第1及び第2の対向電極が陽極であってもよい。
10…有機EL素子、10A…規格値用素子(規格値用有機EL素子)、12…基板(第1の基板)、12A…基板(第2の基板)、14…陽極(第1の基板側電極)、14A…陽極(第2の基板側電極)、16…有機EL部(第1の有機EL部)、16A…有機EL部(第2の有機EL部)、18…陰極(第1の対向電極)、18A…陰極(第2の対向電極)、163…発光層(第1の発光層)、163A…発光層(第2の発光層)。

Claims (9)

  1. 第1の基板の表面上に、第1の基板側電極、第1の発光層を含む第1の有機EL部及び第1の対向電極を順に積層することによって、有機EL素子を形成する有機EL素子形成工程と、
    前記有機EL素子に対してリーク検査を実施し、前記有機EL素子のリーク電流値を取得するリーク検査工程と、
    前記リーク電流値と規格値とを比較して、前記有機EL素子の良否を判定する判定工程と、
    を備え、
    前記規格値は、規格値算出用に形成される規格値用有機EL素子内の少なくとも一つの欠陥源のうち、前記規格値用有機EL素子の点灯試験の結果に基づいて選択され前記規格値用有機EL素子の点灯状態で点灯不良欠陥として現れる点灯不良源の個数で、前記規格値用有機EL素子のリーク検査で取得されるリーク電流値を除算することによって得られた、一つの前記点灯不良源に対するリーク電流値である、
    有機EL素子の製造方法。
  2. 前記判定工程の前に前記規格値を取得する規格値取得工程を更に備え、
    前記規格値取得工程は、
    第2の基板の表面上に、第2の基板側電極、第2の発光層を含む第2の有機EL部及び第2の対向電極を順に積層することによって、前記規格値用有機EL素子を形成する規格値用素子形成工程であって、前記欠陥源の情報を光学的検査によって取得する光学的検査工程を含む、前記規格値用素子形成工程と、
    前記規格値用有機EL素子にリーク検査を実施して、前記規格値用有機EL素子のリーク電流値を取得する規格値用リーク検査工程と、
    前記規格値用有機EL素子に点灯試験を実施する点灯試験工程と、
    前記光学的検査工程で取得された前記欠陥源の情報と前記点灯試験の結果とに基づいて、前記少なくとも一つの欠陥源から選択される前記点灯不良源の個数で、前記規格値用リーク検査工程において取得された前記リーク電流値を除算することによって、前記規格値を算出する工程と、
    を有する、
    請求項1に記載の有機EL素子の製造方法。
  3. 前記規格値用素子形成工程において、前記光学的検査工程は、前記第2の基板側電極の形成前の前記第2の基板に対して実施する又は前記第2の基板側電極が形成された前記第2の基板に対して実施する、
    請求項2に記載の有機EL素子の製造方法。
  4. 前記欠陥源は、異物であり、
    前記欠陥源の情報は、前記異物の位置及び形状を含む、
    請求項2又は3に記載の有機EL素子の製造方法。
  5. 前記光学的検査は、自動光学検査である、
    請求項2〜4の何れか一項に記載の有機EL素子の製造方法。
  6. 前記規格値用リーク検査工程では、前記規格値用有機EL素子に逆バイアス電圧を印加して、前記規格値用有機EL素子の前記リーク電流値を取得する、
    請求項2〜5の何れか一項に記載の有機EL素子の製造方法。
  7. 前記リーク検査工程では、前記有機EL素子に逆バイアス電圧を印加して、前記有機EL素子の前記リーク電流値を取得する、
    請求項1〜6の何れか一項に記載の有機EL素子の製造方法。
  8. 前記点灯不良欠陥が、所望の輝度より高い輝度を有する欠陥である、
    請求項1〜7の何れか一項に記載の有機EL素子の製造方法。
  9. 第1の基板の表面上に、第1の基板側電極、第1の発光層を含む第1の有機EL部及び第1の対向電極を順に積層することによって、有機EL素子を形成する有機EL素子形成工程と、
    前記有機EL素子に対してリーク検査を実施し、前記有機EL素子のリーク電流値を取得するリーク検査工程と、
    前記リーク電流値と規格値とを比較して、前記有機EL素子の良否を判定する判定工程と、を備え、
    前記規格値は、規格値算出用に形成される複数の規格値用有機EL素子における複数の欠陥源のうち、前記複数の規格値用有機EL素子の点灯試験の結果に基づいて選択され前記複数の規格値用有機EL素子の点灯状態で点灯不良欠陥として現れる点灯不良源の個数に基づいて算出される前記複数の規格値用有機EL素子に対する前記点灯不良源の平均値で、前記複数の規格値用有機EL素子のリーク検査に基づいて算出される前記複数の規格値用有機EL素子に対するリーク電流値の平均値を除算することによって得られた、一つの前記点灯不良源に対するリーク電流値である、
    有機EL素子の製造方法。
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