JP6661272B2 - 有機el素子 - Google Patents

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Description

本発明は、有機EL素子に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」という場合がある)においては、素子寿命の向上、すなわち、駆動安定性の向上が求められている。例えば、特許文献1に記載の技術では、基板上に、陽極、発光層及び陰極が積層された有機EL素子において、発光層に接して正孔阻止層を設けることで駆動安定性の向上を図っている。
特許第4325197号公報
しかしながら、近年、更なる有機EL素子の駆動安定性が要請されている。
したがって、本発明は、駆動安定性をより向上可能な有機EL素子を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る有機EL素子は、陽極と、陰極と、陽極及び陰極との間に設けられる発光層とを有する有機EL素子であって、発光層と陰極との間に設けられる多層型電子輸送層を備え、多層型電子輸送層は、電子輸送材料を含む電子輸送層と、電子輸送層と発光層との間において発光層に接して設けられる発光層側混合層と、を有し、発光層側混合層は、電子輸送材料と共に有機金属錯体化合物を含む。
上記構成では、発光層側混合層と、電子輸送層とを有する多層側電子輸送層を備えている。そして、発光層に接して設けられる発光層側混合層が、電子輸送材料に加えて有機金属錯体化合物を含むため、駆動安定性の向上を図ることができる。
一実施形態において、上記多層型電子輸送層は、電子輸送層より陰極側に電子輸送層に接して設けられる陰極側混合層を更に備え、陰極側混合層は、電子輸送材料と共に有機金属錯体化合物を含んでもよい。
この構成では多層型電子輸送層が電子輸送層より陰極側に陰極側混合層を有する。陰極側混合層が電子輸送材料に加えて有機金属錯体化合物を含むため、陰極から電子輸送層への電子注入が効率化される。その結果、駆動電圧の低下を図ることができる。
一実施形態において、多層型電子輸送層は、発光層側混合層と電子輸送層との間に金属層を更に有してもよい。これにより、駆動電圧の低下が図られる。
一実施形態において、上記発光層側混合層の厚さが2nm〜20nmであってもよい。2nmより小さくなるとピンホールが生じ易く、20nmより大きくなると多層型電子輸送層全体の厚さも厚くなり、駆動電圧が高くなるからである。
一実施形態において、上記発光層側混合層に含まれる有機金属錯体化合物は、8−キノリノールナトリウムであってもよい。
本発明によれば、駆動安定性をより向上可能な有機EL素子を提供できる。
図1は、一実施形態に係る有機EL素子の構成を模式的に示す図面である。 図2は、他の実施形態に係る有機EL素子の構成を模式的に示す図面である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。同一の要素には同一符号を付する。重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
(第1実施形態)
図1に模式的に示したように第1実施形態に係る有機EL素子1は、基板P上に、陽極E1、正孔注入層11、正孔輸送層12、発光層13、多層型電子輸送層14及び陰極E2が順に設けられて構成されている。有機EL素子1は、曲面状又は平面状の照明装置、例えばスキャナの光源として用いられる面状光源、及び、表示装置に好適に用いられ得る。
まず、基板P、陽極E1、正孔注入層11、正孔輸送層12、発光層13及び陰極E2について説明する。
<基板>
基板Pは、有機EL素子1の製造工程において化学的に変化しない基板が好適に用いられ、例えばガラス基板、シリコン基板などのリジッド基板であっても、プラスチック基板、高分子フィルムなどの可撓性基板であってもよい。可撓性基板を用いることで、全体として可撓性の有機EL素子とすることができる。基板Pには有機EL素子1を駆動するための電極、駆動回路が予め形成されていてもよい。
<陽極>
陽極E1には、電気抵抗の低い薄膜が好適に用いられる。陽極E1及び陰極E2のうちの少なくともいずれか一方は、透明であり、例えばボトムエミッション型の有機EL素子では、基板P側に配置される陽極E1は、透明であって、可視光領域の光に対する透過率が高いものが好適に用いられる。陽極E1の材料としては、導電性を有する金属酸化物膜、及び金属薄膜などが用いられる。
具体的には、陽極E1としては、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)及びインジウム亜鉛酸化物(IndiumZinc Oxide:略称IZO)などからなる薄膜や、金、白金、銀、銅、アルミニウムあるいはこれら金属を少なくとも1種類以上含む合金等が用いられる。
これらの中でも、陽極E1としては、透過率、パターニングの容易さから、ITO、IZO、および酸化スズから成る薄膜が好適に用いられる。なお、陰極E2側から光を取り出す場合には、陽極E1としては、発光層13からの光を陰極E2側に反射する材料によって形成されることが好ましく、そのような材料としては、仕事関数3.0eV以上の金属、金属酸化物、金属硫化物が好ましい。例えば光を反射する程度の膜厚の金属薄膜が用いられる。
陽極E1の形成方法の例としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法などを挙げることができる。また、陽極E1として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機物の透明導電膜を用いてもよい。
陽極E1の厚さは、光の透過性、電気伝導度などを考慮して適宜決定することができる。陽極E1の厚さは、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
<正孔注入層>
正孔注入層11は、陽極E1からの正孔注入効率を改善する機能を有する機能層である。正孔注入層11を構成する正孔注入材料の例としては、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、及び、酸化アルミニウムなどの酸化物、フェニルアミン化合物、スターバースト型アミン化合物、フタロシアニン化合物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、及び、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)のようなポリチオフェン誘導体などを挙げることができる。
電荷輸送性を有する従来知られた有機材料は、これと電子受容性材料とを組み合わせることにより、正孔注入層材料として用いることができる。
電子受容性材料として、ヘテロポリ酸化合物やアリールスルホン酸を好適に用いることができる。
ヘテロポリ酸化合物とは、Keggin型あるいはDawson型の化学構造で示される、ヘテロ原子が分子の中心に位置する構造を有し、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の酸素酸であるイソポリ酸と、異種元素の酸素酸とが縮合してなるポリ酸である。異種元素の酸素酸としては、主にケイ素(Si)、リン(P)、ヒ素(As)の酸素酸が挙げられる。ヘテロポリ酸化合物の具体例としては、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、リンタングステン酸、リンタングストモリブデン酸、ケイタングステン酸等が挙げられる。
アリールスルホン酸としてはベンゼンスルホン酸、トシル酸、p−スチレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、p−ドデシルベンゼンスルホン酸、ジヘキシルベンゼンスルホン酸、2,5−ジヘキシルベンゼンスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸、6,7−ジブチル−2−ナフタレンスルホン酸、ドデシルナフタレンスルホン酸、3−ドデシル−2−ナフタレンスルホン酸、ヘキシルナフタレンスルホン酸、4−ヘキシル−1−ナフタレンスルホン酸、オクチルナフタレンスルホン酸、2−オクチル−1−ナフタレンスルホン酸、ヘキシルナフタレンスルホン酸、7−へキシル−1−ナフタレンスルホン酸、6−ヘキシル−2−ナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、2,7−ジノニル−4−ナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、2,7−ジノニル−4,5−ナフタレンジスルホン酸、等が挙げられる。
ヘテロポリ酸化合物と、アリールスルホン酸を混合して用いても良い。
正孔注入層11は、例えば前述の正孔注入材料を含む塗布液を用いた塗布法によって形成される。塗布液の溶媒としては、正孔注入材料を溶解するものであればよく、例えばクロロホルム、水、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒を挙げることができる。
塗布法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、及び、インクジェットプリント法などを挙げることができる。これら塗布法のうちの1つを用いて、陽極E1が形成された基板P上に前述した塗布液を塗布することによって、正孔注入層11を形成することができる。
真空蒸着法などによって正孔注入層11を成膜することも可能である。さらに、金属酸化物から成る正孔注入層11であればスパッタリング法、イオンプレーティング法などを用いることも可能である。
正孔注入層11の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、求められる特性及び成膜の簡易さなどを勘案して適宜決定される。正孔注入層11の厚さは、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<正孔輸送層>
正孔輸送層12は、正孔輸送層12の陽極E1側の界面に接している層(図1では、正孔注入層11)又は陽極E1により近い正孔輸送層12からの正孔注入を改善する機能を有する機能層である。
正孔輸送層12を構成する正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などを挙げることができる。また、特開2012−144722号公報に開示されている正孔輸層材料も挙げることができる。
これらの中で正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などの高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
正孔輸送層12の形成方法としては、低分子の正孔輸送材料では、高分子バインダーとの混合溶液からの成膜による方法を挙げることができ、高分子の正孔輸送材料では、溶液からの成膜による方法を挙げることができる。
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものであればよく、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒を挙げることができる。
溶液からの成膜方法としては、正孔注入層を成膜する方法として挙げた方法と同様の塗布法を挙げることができる。
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収が弱いものが好適に用いられる。該高分子バインダーとしては、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンなどを挙げることができる。
正孔輸送層12の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定され、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該正孔輸送層12の膜厚は、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<発光層>
発光層13は、通常、主として蛍光及び/又はりん光を発光する有機物、又は該有機物とこれを補助するドーパントとを含む。ドーパントは、例えば発光効率を向上させたり、発光波長を変化させたりするために加えられる。なお、有機物としては、溶解性の観点からは高分子化合物であることが好ましい。発光層13は、ポリスチレン換算の数平均分子量が、10〜10である高分子化合物を含むことが好ましい。発光層13を構成する発光材料としては、例えば下記の色素系の発光材料、金属錯体系の発光材料、高分子系の発光材料を挙げることができる。
色素系の発光材料としては、例えばシクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体などを挙げることができる。
金属錯体系の発光材料としては、例えばTb、Eu、Dyなどの希土類金属、又はAl、Zn、Be、Pt、Irなどを中心金属に有し、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを配位子に有する金属錯体を挙げることができる。金属錯体としては、例えばイリジウム錯体、白金錯体などの三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、フェナントロリンユーロピウム錯体などを挙げることができる。
高分子系の発光材料としては、例えばポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素材料、金属錯体材料を高分子化した材料などを挙げることができる。
上記発光材料のうち、青色に発光する材料としては、ジスチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、およびそれらの重合体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体やポリフルオレン誘導体などが好ましい。青色に発光する材料としては、特開2012−144722号公報に開示されている材料も挙げられる。
緑色に発光する材料としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。緑色に発光する材料としては、特開2012−036388号公報に開示されている材料も挙げられる。
赤色に発光する材料としては、クマリン誘導体、チオフェン環化合物、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることが出来る。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。赤色に発光する材料としては、特開2011−105701号公報に開示されている材料も挙げられる。
ドーパント材料としては、例えばペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル色素、テトラセン誘導体、ピラゾロン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾンなどを挙げることができる。
発光層13の形成方法としては、発光材料を含む溶液を正孔輸送層12上に塗布する塗布法、真空蒸着法、転写法などを挙げることができる。これらの中でも製造工程の容易さから塗布法で発光層を形成することが好ましい。発光材料を含む溶液の溶媒としては、例えば前述した正孔注入層11を形成するための塗布液の溶媒として挙げた溶媒を用いることができる。
発光材料を含む溶液を塗布する方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法などの塗布法を用いることができる。パターン形成や多色の塗分けが容易であるという点で、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法が好ましい。また、昇華性を示す低分子化合物の場合には、真空蒸着法を用いることができる。さらには、レーザーや摩擦による転写や熱転写などの方法によって、所望するところのみに発光層13を形成することもできる。
発光層13の厚さは、通常約2nm〜200nmである。
<陰極>
陰極E2の材料としては、仕事関数が小さく、多層型電子輸送層14への電子注入が容易で、電気伝導度の高い材料が好ましい。陽極E1側から光を取り出す場合には、発光層13からの光を陰極E2で陽極E1側に反射するために、陰極E2の材料としては可視光反射率の高い材料が好ましい。
陰極E2には、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属及び周期表13族金属などを用いることができる。陰極E2の材料としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリビウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロビウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、前記金属のうちの2種以上の合金、前記金属の内の1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステンの内の1種との合金、又はグラファイトもしくはグラファイト層間化合物などが用いられる。本明細書では、アルカリ土類金属にマグネシウムを含めている。以下の記載においても同様である。
合金の例としては、マグネシウム―銀合金、マグネシウム―インジウム合金、マグネシウム―アルミニウム合金、インジウム―銀合金、リチウム―アルミニウム合金、リチウム―マグネシウム合金、リチウム―インジウム合金、カルシウム-アルミニウム合金、などを挙げることができる。
陰極E2側から光を取り出す素子を構成する場合には、陰極E2として透明導電性電極を用いることができ、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITOおよびIZOなどの導電性金属酸化物からなる薄膜や、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの導電性有機物から成る薄膜を用いることができる。なお、陰極を2層以上の積層構造としてもよい。
陰極E2の厚さは、電気伝導度、耐久性を考慮して適宜設定される。陰極E2の厚さは、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
陰極E2の形成方法としては、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、及び、金属薄膜を熱圧着するラミネート法などを挙げることができる。
次に、多層型電子輸送層14について説明する。図1に示したように、多層型電子輸送層14は、電子輸送層14aの両側に第1混合層(発光層側混合層)14bと第2混合層(陰極側混合層)14cとが設けられた積層体である。
<電子輸送層>
電子輸送層14aは、多層型電子輸送層14における本体部に対応する。電子輸送層14aは電子輸送材料を含む一方、後述する第1混合層14b及び第2混合層14cに含まれる有機金属錯体化合物を含まない。
電子輸送材料としては、一般に電子輸送層として使用されている公知のものが使用できる。たとえば、ナフタレン、アントラセンなどの縮合アリール環を有する化合物やその誘導体、4,4-ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳香環誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノン、ナフトキノン、ジフェノキノン、アントラキノジメタン、テトラシアノアントラキノジメタンなどのキノン誘導体、リンオキサイド誘導体、カルバゾール誘導体、及び、インドール誘導体、トリス(8−キノリノラート)、アルミニウム(III)などのキノリノール錯体、及び、ヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体及びフラボノール金属錯体、電子受容性窒素を有するヘテロアリール環を有する化合物などが挙げられる。
電子受容性窒素とは、隣接原子との間に多重結合を形成している窒素原子を表す。窒素原子が高い電子陰性度を有することから、多重結合も電子受容的な性質を有する。従って、電子受容性窒素を有するヘテロアリール環は、高い電子親和性を有する。これらの電子受容性窒素を有するヘテロアリール環構造を有する化合物としては、例えば、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリンン誘導体、キノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、ビピリジンやターピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、キノキサリン誘導体、及び、ナフチリジン誘導体、フェナントロリン誘導体などが好ましい化合物として挙げられる。
電子輸送層14aの形成方法は、低分子の電子輸送材料を用いる場合には、真空蒸着法、溶液若しくは溶融状態からの成膜を挙げることができ、高分子の電子輸送材料を用いる場合には、溶液または溶融状態からの成膜を挙げることができる。溶液または溶融状態からの成膜を実施する場合には、高分子バインダーを併用してもよい。
<第1混合層>
第1混合層14bは、電子輸送層14aより発光層13側において発光層13に接して設けられる。第1混合層14bは電子輸送層14aにも接している。第1混合層14bは、電子輸送層14aが含む電子輸送材料と共に、有機金属錯体化合物を含む層であり、第1混合層14bは、電子輸送層14aの組成物に有機金属錯体化合物が混合された層であり得る。第1混合層14bが有する電子輸送材料は、電子輸送層14aで例示した電子輸送材料と同様であり得る。
有機金属錯体化合物に含まれる金属イオンとしては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、希土類金属イオンの少なくとも一つを含有するものが好ましい。また、有機金属錯体化合物に含まれる配位子にはキノリノール、ベンゾキノリノール、アクリジノール、フェナントリジノール、ヒドロキシフェニルオキサゾール、ヒドロキシフェニルチアール、ヒドロキシジアリールオキサジアゾール、ヒドロキシジアリールチアジアゾール、ヒドロキシフェニルピリジン、ヒドロキシフェニルベンゾイミダゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、ヒドロキシフルボラン、ビピリジル、フェナントロリン、フタロシアニン、ポルフィリン、シクロペンタジエン、βージケトン類、アゾメチン類、およびそれらの誘導体などが好ましい。
有機金属錯体化合物としては、例えば、下記式(1)〜式(16)の何れかの化合物が挙げられる。
Figure 0006661272

Figure 0006661272

Figure 0006661272

Figure 0006661272
式(1)〜式(16)中、Mはアルカリ金属を表す。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが挙げられ、これらの中でも、リチウム、ナトリウム又はセシウムが好ましく、リチウム又はナトリウムがさらに好ましい。
式(1)〜式(16)で表される各有機金属錯体化合物において、五員環又は六員環を構成する炭素原子に結合する少なくとも1つの水素原子は、炭素数1〜12のアルキル基で置換されていてもよい。炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、又はt−ブチル基が好ましい。
式(1)〜(16)中、有機金属錯体化合物としては、式(1)、式(2)、式(4)、式(6)、式(7)、又は式(9)が好ましく、式(1)、式(2)又は式(4)がさらに好ましい。
有機金属錯体化合物の具体例としては、8−キノリノールリチウム、8−キノリノールナトリウム、8−キノリノールカリウム、8−キノリノールルビジウム、8−キノリノールセシウム、ベンゾー8−キノリノールリチウム、ベンゾー8−キノリノールナトリウム、ベンゾー8−キノリノールカリウム、ベンゾー8−キノリノールルビジウム、ベンゾー8−キノリノールセシウム、2−メチルー8−キノリノールリチウム、2−メチルー8−キノリノールナトリウム、2−メチルー8−キノリノールカリウム、2−メチルー8−キノリノールルビジウム及び2−メチルー8−キノリノールセシウムが挙げられる。
上記の中でも有機金属錯体化合物としては、8−キノリノールリチウム、8−キノリノールナトリウムが好ましく、さらに8−キノリノールナトリウムが好ましい。
電子輸送材料と有機金属錯体化合物との混合割合の例は、電子輸送材料の質量をV1とし、有機金属錯体化合物の質量をV2とした場合、V1:V2は、1:99〜99:1であり、好ましくは、5:95〜70:30である。
第1混合層14bの形成方法の例は、低分子の電子輸送材料を用いる場合には、真空蒸着法、溶液若しくは溶融状態からの成膜を挙げることができ、高分子の電子輸送材料を用いる場合には、溶液または溶融状態からの成膜を挙げることができる。溶液または溶融状態からの成膜を実施する場合には、高分子バインダーを併用してもよい。例えば、真空蒸着法では、第1混合層14bを構成する電子輸送材料及び有機金属錯体化合物を共蒸着すればよい。
<第2混合層>
第2混合層14cは、第1混合層14bと同様に、電子輸送材料及び有機金属錯体化合物を含む層である。第2混合層14cは、電子輸送層14aの組成物に有機金属錯体化合物が混合された層であり得る。第2混合層14cは、陰極E2からの電子注入効率を改善する為の層であり、電子注入層として機能する。
第2混合層14cに含まれる電子輸送材料は電子輸送層14aの説明で例示した電子輸送材料とし得る。第2混合層14cに含まれる有機金属錯体化合物は、第1混合層14bの説明で例示した有機金属錯体化合物が挙げられる。第2混合層14cに含まれる電子輸送材料及び有機金属錯体化合物は、第1混合層14bに含まれる電子輸送材料及び有機金属錯体化合物と同じであり得る。
第2混合層14cは、第1混合層14bと同様にして形成される。第2混合層14cにおいて、電子輸送材料と有機金属錯体化合物との混合割合は、電子輸送材料の質量をV3とし、有機金属錯体化合物の質量をV4とした場合、V3:V4の例は、5:95〜50:50である。
多層型電子輸送層14の厚さは、多層型電子輸送層14の層構成及び用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよく、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、厚すぎると素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、多層型電子輸送層14の膜厚は、例えば7nm〜1μmである。
このような多層型電子輸送層14の膜厚において、電子輸送層14aの膜厚は、例えば3nm〜1μmであり、第1混合層14bの膜厚は、例えば、2nm〜20nmであり、第2混合層14cの膜厚は、例えば、2nm〜20nmである。第1及び第2混合層14b,14cの厚さは、電子輸送層14aの厚さより薄い。第1及び第2混合層14b,14cも2nmより薄くなるとピンポールが生じる傾向にあり、また、20nmより厚くなると、多層型電子輸送層14全体の膜厚も厚くなる傾向にあり、結果として、駆動電圧が高くなる。
多層型電子輸送層14は、発光層13上に順に第1混合層14b、電子輸送層14a及び第2混合層14cを形成することで形成され得る。第1混合層14b、電子輸送層14a及び第2混合層14cは同じ成膜方法で形成されることが製造効率を向上させる観点から好ましい。
多層型電子輸送層14が有する第1混合層14b、電子輸送層14a及び第2混合層14cは、何れも電子輸送材料を有している。従って、多層型電子輸送層14は、例えば、多層型電子輸送層の全体を電子輸送材料から構成した電子輸送層において、発光層側界面及び陰極層側界面に、有機金属錯体化合物を局所的にドープした構成に対応する。ここで、「ドープ」とは、2つ以上の異なる材料を意図的に混合することを意味する。
第1混合層14b、電子輸送層14a及び第2混合層14cが有する電子輸送材料は、同じ材料とし得るが、第1混合層14b、電子輸送層14a及び第2混合層14cが有する電子輸送材料は異なっていてもよい。その場合、第1混合層14b、電子輸送層14a及び第2混合層14cのそれぞれが有する電子輸送材料は、例えば、電子輸送層14aの説明において例示した電子輸送材料を使用することができる。第1混合層14b及び第2混合層14cも同一の材料から構成されていなくてもよい。
有機EL素子1は、基板P上に、陽極E1、正孔注入層11、正孔輸送層12、発光層13、多層型電子輸送層14及び陰極E2を順に形成することで製造される。基板P上の各構成要素の形成方法は、前述したとおりであるため、説明を省略する。
有機EL素子1では、多層型電子輸送層14を備えることにより、発光層13と電子輸送層14aとの間に第1混合層14bを有する。第1混合層14bが、電子輸送材料に加えて有機金属錯体化合物を有することから、有機EL素子1の素子寿命が長くなり、駆動安定性が向上する。これは、例えば、電荷蓄積した電荷による電子輸送層の劣化が有機金属錯体化合物により抑制されると考えられるからである。
多層型電子輸送層14が第2混合層14cを有し、第2混合層14cが有機金属錯体化合物を有することから陰極E2から電子輸送層14aへの電子注入効率が改善される。その結果、駆動電圧をより小さくできる。
(第2実施形態)
図2に示した第2実施形態に係る有機EL素子2は、多層型電子輸送層14の代わりに多層型電子輸送層14Aを備えている。多層型電子輸送層14Aを備える点以外は、有機EL素子2の構成は、有機EL素子1の構成と同様である。
有機EL素子2が備える多層型電子輸送層14Aは、第1混合層14bと電子輸送層14aとの間に金属層14dが設けられている点で、多層型電子輸送層14と相違する。
金属層14dは、第1混合層14bに接するように第1混合層14b上に積層されている。金属層14dは電子輸送層14aにも接している。
金属層14dの材料の例は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属を含む。金属層14dとしてのアルカリ金属の例は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムであり、アルカリ土類金属の例は、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムである。これの中でもマグネシウムが好ましい。金属層14dの厚さの例は、0.5nm〜10nmである。金属層14dは、例えば、真空蒸着法で形成され得る。
有機EL素子2は、金属層14dを有する点以外は、有機EL素子1の構成と同じであることから、有機EL素子1と少なくとも同じ作用効果を有する。そして、金属層14dを有することにより、駆動電圧の低下が図られ、素子寿命が更に改善される。その結果、有機EL素子2の駆動安定性が更に向上する。
以上、本発明の種々の実施形態を説明したが、例示した種々の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、有機EL素子の構成は、図1及び図2に例示した構成に限定されない。
有機EL素子は、発光層13と陰極E2との間に多層型電子輸送層を有していればよい。有機EL素子の取り得る層構成の例を示す。なお、以下の説明では、第1及び第2実施形態の構成も含む場合もある。
a)陽極/正孔注入層/発光層/多層型電子輸送層/陰極
b)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/多層型電子輸送層/陰極
c)陽極/発光層/多層型電子輸送層/陰極
記号「/」は、記号「/」の両側の層同士が接合していることを意味している。
a)〜c)において、「多層型電子輸送層」とは、
(i) 第1積層構造:第1混合層/電子輸送層、
(ii) 第2積層構造:第1混合層/電子輸送層/第2混合層、
(iii)第3積層構造:第1混合層/金属層/電子輸送層、及び、
(iv) 第4積層構造:第1混合層/金属層/電子輸送層/第2混合層、
の何れかを意味する。
上記第2積層構造及び第4積層構造のように第2混合層が多層型電子輸送層に含まれる有機EL素子の場合は、その有機EL素子は、電子注入層を有していることに対応する。
多層型電子輸送層を構成する少なくとも何れかの層が正孔の輸送を堰き止める機能を有する層である場合、そのような正孔の輸送を堰き止める機能を有する層は、正孔ブロック層と称される場合もある。
正孔ブロック層が正孔の輸送を堰き止める機能を有することは、例えば正孔電流のみを流す有機EL素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することができる。
また、a)及びb)において、正孔注入層、及び/又は正孔輸送層が電子の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が電子ブロック層と称される場合もある。電子ブロック層が電子の輸送を堰き止める機能を有することは、例えば電子電流のみを流す有機EL素子を作製し、測定された電流値の減少で電子の輸送を堰き止める効果を確認することができる。なお、正孔注入層、及び/又は正孔輸送層とは別に、電子ブロック層を陽極と発光層との間に設けてもよい。
更に、有機EL素子は単層の発光層を有していても2層以上の発光層を有していてもよい。上記a)〜c)の層構成のうちのいずれか1つにおいて、陽極と陰極との間に配置された積層体を「構造単位A」とすると、2層の発光層を有する有機EL素子の構成として、下記d)に示す層構成を挙げることができる。なお、2個ある(構造単位A)の層構成は互いに同じであっても、異なっていてもよい。
d)陽極/(構造単位A)/電荷発生層/(構造単位A)/陰極
ここで電荷発生層とは、電界を印加することにより、正孔と電子とを発生する層である。電荷発生層としては、例えば酸化バナジウム、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、酸化モリブデンなどからなる薄膜を挙げることができる。
「(構造単位A)/電荷発生層」を「構造単位B」とすると、3層以上の発光層13を有する有機EL素子の構成として、以下のe)に示す層構成を挙げることができる。
e)陽極/(構造単位B)x/(構造単位A)/陰極
記号「x」は、2以上の整数を表し、「(構造単位B)x」は、(構造単位B)がx段積層された積層体を表す。また、複数ある(構造単位B)の層構成は同じでも、異なっていてもよい。
電荷発生層を設けずに、複数の発光層を直接的に積層させて有機EL素子を構成してもよい。
これまでの説明では、陽極を基板側に配置した例を説明したが、陰極を基板側に配置してもよい。この場合、例えばa)〜e)の各有機EL素子を基板上に作製する場合、陰極(各構成a)〜e)の右側)から順に各層を基板上に積層すればよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1として図1に示したように、基板上に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、第1混合層、電子輸送層、第2混合層及び陰極が順に積層された有機EL素子を製造した。実施例1の有機EL素子を有機EL素子A1と称す。実施例1では、有機EL素子A1をガラスによって封止する。以下、有機EL素子A1の製造方法を具体的に説明する。
<基板及び陽極>
有機EL素子A1の基板としてガラス基板を準備した。ガラス基板上に、陽極としてITO薄膜を所定のパターンで形成した。ITO薄膜はスパッタリング法によって形成し、その膜厚は、45nmである。ITO薄膜が表面に形成されたガラス基板を、有機溶媒、アルカリ洗剤及び超純水で超音波洗浄した後、有機溶媒で10分間煮沸し、乾燥させた。次に、紫外線オゾン(UV−O3)装置を用いて、ITO薄膜が形成されている面に紫外線オゾン処理を約15分間おこなった。
<正孔注入層>
電荷輸送性を有する有機材料と電子受容性材料と組み合わせた正孔注入材料を、スピンコート法によってITO薄膜上に塗布することにより、35nmの厚みの塗膜を形成した。以下では、実施例1で使用した正孔注入材料を正孔注入材料α1と称す。大気中において、上記塗膜をホットプレート上で乾燥させて正孔注入層を形成した。ホットプレートを利用した乾燥では、まず50℃で4分間乾燥させた後、更に230℃で15分間乾燥させた。
<正孔輸送層>
高分子材料である正孔輸送材料とキシレンとを混合し、固形物(正孔輸送材料)濃度が0.6重量%の正孔輸送層形成用組成物を得た。以下では、実施例1で使用した正孔輸送材料を正孔輸送材料α2と称す。得られた正孔輸送層形成用組成物を、スピンコート法により正孔注入層上に塗布し、膜厚20nmの塗膜を得た。この塗膜を設けたガラス基板を窒素雰囲気(不活性雰囲気)下において、ホットプレートを利用して、180℃で60分間加熱することで溶媒を蒸発させた後、室温まで自然冷却し、正孔輸送層を得た。
<発光層>
発光性共役系高分子材料とキシレンとを混合し、発光性共役系高分子材料の濃度が1.3%の発光層形成用組成物を得た。実施例1では、発光性共役系高分子材料として青色発光性共役系高分子材料を使用した。以下では、実施例1で使用した青色発光性共役系高分子材料を青色発光性共役系高分子材料α3と称す。得られた発光層形成用組成物を、スピンコート法により正孔輸送層上に塗布し、膜厚65nmの塗膜を得た。この塗膜を設けたガラス基板を窒素雰囲気(不活性雰囲気)下において、ホットプレートを利用して、150℃で10分間加熱することで溶媒を蒸発させた後、室温まで自然冷却し、発光層を得た。
<第1混合層>
発光層が形成されたガラス基板を蒸着チャンバ―に移し、発光層上に第1混合層を形成した。具体的には、蒸着チャンバー内の真空度が1.0×10−5Pa以下になるまで排気し、電子輸送材料と有機金属錯体化合物とを真空蒸着法によって発光層上に共蒸着し、膜厚が5nmであり、電子輸送材料と有機金属錯体化合物とが混合された第1混合層を形成した。以下では、実施例1で使用した電子輸送材料及び有機金属錯体化合物を電子輸送材料α4及び有機金属錯体化合物αと称す。電子輸送材料α4は、東レ株式会社製のTR−E314である。有機金属錯体化合物α5は、8−キノリノールナトリウム(Naq)である。電子輸送材料α4と有機金属錯体化合物α5の蒸着速度はそれぞれ0.3Å/sとした。すなわち、第1混合層における電子輸送材料α4と有機金属錯体化合物α5の質量比は50:50である。
<電子輸送層>
第1混合層を形成した後、同じ蒸着チャンバ―内で第1混合層上に、電子輸送層を形成した。具体的には、第1混合層上に、電子輸送材料α4を真空蒸着法によって蒸着し、膜厚が60nmの電子輸送層を形成した。電子輸送材料α4の蒸着速度は0.5Å/sとした。
<第2混合層>
電子輸送層を形成した後、同じ蒸着チャンバ―内で電子輸送層上に、第2混合層を形成した。具体的には、電子輸送材料α4と有機金属錯体化合物α5とを真空蒸着法によって電子輸送層上に共蒸着し、膜厚が5nmであり、電子輸送材料α4と有機金属錯体化合物α5が混合された第2混合層を形成した。電子輸送材料α4と有機金属錯体化合物α5の蒸着速度はそれぞれ0.3Å/sとした。すなわち、第2混合層における電子輸送材料α4と有機金属錯体化合物α5の質量比は50:50である。
<陰極>
第2混合層を形成した後、同じ蒸着チャンバ―内で陰極を形成した。具体的には、第2混合層上に、真空蒸着法によりマグネシウムと銀とを共蒸着し、膜厚が20nmの陰極aを形成した後、陰極a上にアルミニウムを真空蒸着法によって蒸着し、膜厚が100nmの陰極bを形成した。すなわち、有機EL素子A1の陰極としては、第2混合層上に、厚さ20nmの陰極aと厚さ100nmの陰極bとが積層された2層構造の陰極を形成した。
<ガラス封止>
陰極を形成した後、大気に暴露させることなく蒸着室から陰極形成後のガラス基板を封止処理室に搬送し、窒素雰囲気(不活性雰囲気)下において、UV硬化樹脂を周囲に塗布した封止ガラスと、蒸着室から搬送されたガラス基板とを貼り合わせてUV光を照射することでUV硬化樹脂を硬化し、有機EL素子A1をガラスによって封止した。
上記のようにして製造した有機EL素子A1を駆動して、素子寿命、電流効率及び駆動電圧を測定した。
素子寿命は、駆動開始時の輝度を100としたときに、駆動開始から輝度が80に低下するまでの時間で表されるLT80で評価した。素子寿命の測定は、有機EL素子A1を10mA/cmの定電流で駆動しておこなった。駆動電圧は、有機EL素子A1を10mA/cmの定電流で駆動しているときの電圧である。電流効率は、輝度が1000cd/m(すなわち、1000nit)の時の値である。
有機EL素子A1の測定結果において、素子寿命(LT80)は、15.1時間であり、電流効率は、1.0cd/Aであり、駆動電圧は6.0Vであった。
[比較例1]
比較例1として、基板上に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び陰極が順に積層された有機EL素子を製造した、比較例1の有機EL素子を有機EL素子B1と称す。有機EL素子B1の構成は、第1及び第2混合層を有しない点及び電子輸送層の膜厚が70nmである点以外は、実施例1の有機EL素子A1と同様の構成を有する。すなわち、比較例1において、基板、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、及び陰極の材料及び厚さ及びそれらの形成方法は、実施例1の場合と同様である。そのため、電子輸送層の形成方法について説明し、他の説明を省略する。
比較例1において電子輸送層は次のようにして形成した。すなわち、発光層を形成した後に、発光層が形成されたガラス基板(基板)を蒸着チャンバ―に移した。そして、蒸着チャンバー内の真空度が1.0×10−5Pa以下になるまで排気し、電子輸送材料α4を真空蒸着法によって発光層上に蒸着し、膜厚が70nmの電子輸送層を形成した。電子輸送材料α4の蒸着速度は、0.5Å/sとした。
比較例1においても、実施例1と同様に製造した有機EL素子B1をガラス封止した。
比較例1の有機EL素子B1を駆動して、実施例1と同様の条件で、素子寿命、電流効率及び駆動電圧を測定した。
その結果、比較例1では、素子寿命(LT80)は、0.1時間であり、電流効率は、1.0cd/Aであり、駆動電圧は6.1Vであった。
[比較例2]
比較例2として、基板上に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、第2混合層及び陰極が順に積層された有機EL素子を製造した、比較例2の有機EL素子を有機EL素子B2と称す。有機EL素子B2の構造は、第1混合層を有しない点及び電子輸送層の膜厚が65nmである点以外は、実施例1の有機EL素子A1と同様の構成である。比較例2において、基板、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、第2混合層及び陰極の材料及び厚さ及びそれらの形成方法は、実施例1の場合と同様である。そして、比較例2の電子輸送層の形成方法は、膜厚を65nmとする点以外は、比較例1の場合と同様である。
比較例2においても、実施例1と同様に有機EL素子B2をガラス封止した。
比較例2の有機EL素子B2を駆動して、実施例1と同様の条件で、素子寿命、電流効率及び駆動電圧を測定した。その結果、比較例2では、素子寿命(LT80)は、2.3時間であり、電流効率は、1.0cd/Aであり、駆動電圧は5.5Vであった。
[実施例1及び比較例1,2の比較]
前述した実施例1、比較例1,2の有機EL素子A1,B1,B2の素子寿命、電流効率及び駆動電圧の測定結果を表1に示す。
Figure 0006661272
表1から理解されるように、第1混合層を設けた実施例1では、比較例1,2に対して、ほぼ同様の電流効率及び駆動電圧において、より長い素子寿命を得ることができていることが理解され得る。特に、実施例1と比較例2とを比較することで、このような素子寿命の違いが第1混合層の影響で生じていることが理解される。従って、電子輸送材料及び有機金属錯体化合物を含む第1混合層を設けることで、有機EL素子の駆動安定性が向上することが理解される。
次に、図2に示したように、多層型電子輸送層が金属層を更に備えた場合の作用効果の検証結果について説明する。
(実施例2)
実施例2として、図2に示したように、基板上に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、第1混合層、金属層、電子輸送層、第2混合層及び陰極が順に積層された有機EL素子を製造した。実施例2の有機EL素子を有機EL素子A2と称す。実施例2では、有機EL素子A2を実施例1の場合と同様にガラスによって封止する。有機EL素子A2の製造方法を具体的に説明する。
<基板及び陽極>
有機EL素子A2の基板としてガラス基板を準備した。準備したガラス基板上に、陽極としてITO薄膜を所定のパターンで形成した。ITO薄膜はスパッタリング法によって形成し、その膜厚は、45nmである。ITO薄膜が表面に形成されたガラス基板を、有機溶媒、アルカリ洗剤及び超純水で超音波洗浄した後、有機溶媒で10分間煮沸し、乾燥させた。次に、紫外線オゾン(UV−O3)装置を用いて、ITO薄膜が形成されている面に紫外線オゾン処理を約15分間おこなった。
<正孔注入層>
正孔注入材料α1を含むインクを、スピンコート法によってITO薄膜上に塗布して形成する塗膜の厚さを80nmとした点以外は、実施例1と同様にして正孔注入層を形成した。
<正孔輸送層>
実施例1の場合と同様にして正孔注入層上に正孔輸送層を形成した。
<発光層>
赤色発光性共役系高分子材料とキシレンとを混合し、赤色発光性共役系高分子材料の濃度が2.8%の発光層形成用組成物を得た。以下、実施例2で使用した赤色発光性共役系高分子材料を赤色発光性共役系高分子材料α6と称す。得られた発光層形成用組成物を、スピンコート法により正孔輸送層上に塗布し、膜厚160nmの塗膜を得た。この塗膜を設けたガラス基板を窒素雰囲気(不活性雰囲気)下において、ホットプレートを利用して、150℃で10分間加熱することで溶媒を蒸発させた後、室温まで自然冷却し、発光層を得た。
<第1混合層>
実施例1と同様にして発光層上に第1混合層を形成した。
<金属層>
第1混合層を形成した後、第1混合層を形成した蒸着チャンバ―内で第1混合層上にマグネシウムを真空蒸着法で蒸着し、膜厚が2nmである金属層を形成した。マグネシウムの蒸着速度は0.5Å/sとした。
<電子輸送層>
金属層を形成した後、同じ蒸着チャンバ―内で、実施例1の場合と同様にして、電子輸送層を形成した。
<第2混合層>
電子輸送層を形成した後、電子輸送材料α4と有機金属錯体化合物α5の蒸着速度をそれぞれ0.1Å/s及び0.9Å/sとした点以外は、実施例1と同様にして、電子輸送層上に第2混合層を形成した。すなわち、第2混合層における電子輸送材料α4と有機金属錯体化合物α5の質量比は10:90である。
<陰極>
第2混合層を形成した後、同じ蒸着チャンバ―内で陰極を形成した。具体的には、第2混合層上に、真空蒸着法によりマグネシウムを蒸着し、膜厚が2nmの陰極aを形成した後、陰極a上に銀を真空蒸着法によって蒸着し、膜厚が18nmの陰極bを形成した。続いて、陰極b上にアルミニウムを真空蒸着法によって蒸着し、膜厚が100nmの陰極cを形成した。すなわち、有機EL素子A2の陰極としては、第2混合層上に、厚さ2nmの陰極aと、厚さ18nmの陰極bと、厚さ100nmの陰極cが積層された3層構造の陰極を形成した。
<ガラス封止>
陰極を形成した後、実施例1の場合と同様にして、有機EL素子A2をガラスで封止した。
有機EL素子A2は、発光層に赤色発光性共役系高分子材料α6を含むため、有機EL素子A2は、赤色発光素子である。
製造した有機EL素子A2を駆動して、素子寿命、電流効率及び駆動電圧を測定した。素子寿命は、実施例1と同様に、LT80で評価した。素子寿命の測定は、素子を80mA/cmの定電流で駆動した状態で測定した。電流効率は、輝度が100cd/m(すなわち、100nit)の時の値である。駆動電圧は、電流密度が10mA/cmの時の値である。
有機EL素子A2の測定結果において、素子寿命(LT80)は、156.1時間であり、電流効率は、8.2cd/Aであり、駆動電圧は6.8Vであった。
(実施例3)
実施例3として、金属層を備えない点以外は実施例2の場合と同様にして、有機EL素子を製造し、ガラスで封止した。実施例3の有機EL素子を有機EL素子A3と称す。
有機EL素子A3も有機EL素子A2と同様に赤色発光素子である。
製造した有機EL素子A3を、実施例2の場合と同様の条件で、素子寿命、電流効率及び駆動電圧を測定した。実施例3では、素子寿命(LT80)は、52.0時間であり、電流効率は、6.4cd/Aであり、駆動電圧は11.5Vであった。
[実施例2及び実施例3の比較]
前述した実施例2及び実施例3における素子寿命、電流効率及び駆動電圧の測定結果を表2に示す。
Figure 0006661272
表2から理解されるように、金属層を設けた実施例2は、金属層を設けていない実施例3に対して、より低い駆動電圧で駆動可能であると共に、より長い素子寿命を実現できることが理解される。
(実施例4)
実施例4では、正孔注入層及び発光層の構成が相違する点以外は、実施例2の場合と同様の構成を有する有機EL素子を製造し、実施例2と同様にガラスで封止した。実施例4の有機EL素子を有機EL素子A4と称す。有機EL素子A4における正孔注入層及び発光層の形成方法について説明する。
<正孔注入層>
正孔注入材料α1を含むインクがITO薄膜上に塗布されて形成される塗膜の厚さを85nmとした点以外は、実施例2の場合と同様にして正孔注入層を形成した。
<発光層>
緑色発光性共役系高分子材料とキシレンとを混合し、緑色発光性共役系高分子材料の濃度が2.2%の発光層形成用組成物を得た。以下、実施例4で使用した緑色発光性共役系高分子材料を緑色発光性共役系高分子材料α7と称す。得られた発光層形成用組成物を、スピンコート法により正孔輸送層上に塗布し、膜厚85nmの塗膜を得た。この塗膜を設けたガラス基板を窒素雰囲気(不活性雰囲気)下において、ホットプレートを利用して、150℃で10分間加熱することで溶媒を蒸発させた後、室温まで自然冷却し、発光層を得た。
上記のように、発光層に緑色発光性共役系高分子材料α7を含むため、有機EL素子A4は緑色発光素子である。
製造した有機EL素子A4を駆動して、素子寿命、電流効率及び駆動電圧を測定した。素子寿命は、実施例1と同様に、LT80で評価した。素子寿命の測定は、素子を25mA/cmの定電流で駆動した状態で測定した。電流効率は、輝度が100cd/m(すなわち、100nit)の時の値である。駆動電圧は、電流密度が10mA/cmの時の値である。
有機EL素子A3において、素子寿命(LT80)は、12.4時間であり、電流効率は、6.1cd/Aであり、駆動電圧は6.2Vであった。
(実施例5)
実施例5として、金属層を備えない点以外は実施例4の場合と同様にして、有機EL素子を製造し、ガラスで封止した。実施例5の有機EL素子を有機EL素子A5と称す。
有機EL素子A5も有機EL素子A4と同様に緑色発光素子である。
製造した有機EL素子A5を、実施例4の場合と同様の条件で、素子寿命、電流効率及び駆動電圧を測定した。実施例5では、素子寿命(LT80)は、1.7時間であり、電流効率は、12.9cd/Aであり、駆動電圧は8.9Vであった。
[実施例4及び実施例5の比較]
前述した実施例4及び実施例5における素子寿命、電流効率及び駆動電圧の測定結果を表3に示す。
Figure 0006661272
表3から理解されるように、金属層を設けた実施例4は、金属層を設けていない実施例5に対して、電流効率は低下するが、より低い駆動電圧で駆動可能であると共に、より長い素子寿命を実現できることが理解される。
(実施例6)
実施例6では、正孔注入層及び発光層の構成が相違する点以外は、実施例2の場合と同様の構成を有する有機EL素子を製造し、ガラスで封止した。実施例6の有機EL素子を有機EL素子A6と称す。有機EL素子A6における正孔注入層及び発光層の形成方法について説明する。
<正孔注入層>
正孔注入材料α1を含むインクがITO薄膜上に塗布されて形成される塗膜の厚さを35nmとした点以外は、実施例2の場合と同様にして正孔注入層を形成した。
<発光層>
青色発光性共役系高分子材料α3とキシレンとを混合し、青色発光性共役系高分子材料α3の濃度が1.3%の発光層形成用組成物を得た。得られた発光層形成用組成物を、スピンコート法により正孔輸送層上に塗布し、膜厚65nmの塗膜を得た。この塗膜を設けたガラス基板を窒素雰囲気(不活性雰囲気)下において、ホットプレートを利用して、150℃で10分間加熱することで溶媒を蒸発させた後、室温まで自然冷却し、発光層を得た。
上記のように、発光層に青色発光性共役系高分子材料α3を含むため、有機EL素子A6は青色発光素子である。
製造した有機EL素子A6を駆動して、素子寿命、電流効率及び駆動電圧を測定した。素子寿命は、実施例1と同様に、LT80で評価した。素子寿命の測定は、素子を80mA/cmの定電流で駆動した状態で測定した。電流効率は、輝度が100cd/m(すなわち、100nit)の時の値である。駆動電圧は、電流密度が10mA/cmの時の値である。
有機EL素子A6において、素子寿命(LT80)は、11.8時間であり、電流効率は、1.7cd/Aであり、駆動電圧は4.9Vであった。
(実施例7)
実施例7として、金属層を備えない点以外は実施例6の場合と同様にして、有機EL素子を製造し、ガラスで封止した。実施例7の有機EL素子を有機EL素子A7と称す。
有機EL素子A7も有機EL素子A6と同様に青色発光素子である。
製造した有機EL素子A7を、実施例6の場合と同様の条件で、素子寿命、電流効率及び駆動電圧を測定した。実施例7では、素子寿命(LT80)は、8.0時間であり、電流効率は、1.7cd/Aであり、駆動電圧は5.1Vであった。
[実施例6及び実施例7の比較]
前述した実施例6及び実施例7における素子寿命、電流効率及び駆動電圧の測定結果を表4に示す。
Figure 0006661272
表4から理解されるように、金属層を設けた実施例6は、金属層を設けていない実施例7に対して、より低い駆動電圧で駆動可能であると共に、より長い素子寿命を実現できることが理解される。
表2〜表4の結果より、赤色発光素子、緑色発光素子及び青色発光素子の何れにおいても金属層を更に設けることで、素子の長寿命化が図れており、金属層が駆動安定性の向上に寄与していることが確認できた。
1,2…有機EL素子、13…発光層、14,14A…多層型電子輸送層、14a…電子輸送層、14b…第1混合層(発光層側混合層)、14c…第2混合層(陰極側混合層)、14d…金属層、E1…陽極、E2…陰極。

Claims (7)

  1. 陽極と、陰極と、前記陽極及び前記陰極との間に設けられる発光層とを有する有機EL素子であって、
    前記発光層と前記陰極との間に設けられる多層型電子輸送層を備え、
    前記多層型電子輸送層は、
    電子輸送材料を含む電子輸送層と、
    前記電子輸送層と前記発光層との間において前記発光層に接して設けられている発光層側混合層と、
    前記電子輸送層より前記陰極側に前記電子輸送層に接して設けられる陰極側混合層と、
    前記発光層側混合層と前記電子輸送層との間に設けられる金属層と、
    を有し、
    前記発光層側混合層は、電子輸送材料と共に有機金属錯体化合物を含み、
    前記陰極側混合層は、電子輸送材料と共に有機金属錯体化合物を含む、
    有機EL素子。
  2. 前記発光層側混合層の厚さが2nm〜20nmである、
    請求項1に記載の有機EL素子。
  3. 前記発光層側混合層に含まれる前記有機金属錯体化合物は、8−キノリノールナトリウムである、
    請求項1又は2に記載の有機EL素子。
  4. 前記金属層は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む、
    請求項1〜3の何れか一項に記載の有機EL素子。
  5. 前記アルカリ金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムまたはフランシウムであり、
    前記アルカリ土類金属は、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムまたはラジウムである、
    請求項4に記載の有機EL素子。
  6. 前記金属層の膜厚が、0.5nm〜10nmである、
    請求項1〜5の何れか一項に記載の有機EL素子。
  7. 前記電子輸送層は、前記発光層側混合層及び前記陰極側混合層に含まれておりアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン及び希土類金属イオンの少なくとも1つを含有する前記有機金属錯体化合物を含まない、
    請求項1に記載の有機EL素子。
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