JP6763021B2 - 積層フィルム及び成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、積層フィルム及び成形体に関する。
工業製品の部材は、金属、樹脂、セラミックスなど、種々の材料により構成されている。従来、これらの部材は、予め所望の形状に成形された上で、硬化性樹脂を用いた接着剤や、ねじ、リベットなどの接合部材によって接合されている(例えば特許文献1を参照)。
特開2008−111536号公報
工業製品の部材の接合方法として、従来の接着剤や、ねじ、リベットなどを用いる必要のない、新規な手法の開発が求められている。
本発明は、2つ以上の部材を好適に接合させることができる積層フィルムを提供することを主な目的とする。より具体的には、2つ以上の部材の接合後の外観が良好な積層フィルムを提供することを主な目的とする。さらに、本発明は、当該積層フィルムを用いた成形体を提供することも目的とする。
また、本発明は、樹脂部材と固体部材とが接合された成形体を製造する新規な方法を提供することも目的とする。より具体的には、樹脂部材と固体部材を、積層フィルムを介して接合する際に、接合後の外観が良好な成形体の製造方法を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、少なくとも2つの部材(例えば第1部材と第2部材)を熱溶着によって接合させるための積層フィルムであって、少なくとも、第1熱溶着性樹脂層と、耐熱性中間層と、第2熱溶着性樹脂層とをこの順に備えている積層フィルムは、熱溶着時の高温環境における熱収縮率が小さく、接合後の外観が良好であり、2つ以上の部材を好適に接合させることができることを見出した。
また、本発明者らは、樹脂部材と固体部材とが接合された成形体を製造する方法において、固体部材の上に積層フィルムが配置された積層体を準備する工程と、積層体の前記積層フィルム側の表面に、溶融樹脂を供給する工程と、溶融樹脂を冷却、固化させて、樹脂部材を形成し、前記樹脂部材と前記固体部材とを前記積層フィルムを介して接合する工程とを備えており、積層フィルムとして、少なくとも、第1熱溶着性樹脂層と、耐熱性中間層と、第2熱溶着性樹脂層とをこの順に備えているものを用いることより、樹脂部材と固体部材とが、積層フィルムを介して好適に接合された成形体が得られることも見出した。
本発明は、以上のような知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 第1部材と第2部材を接合させるための積層フィルムであって、
前記積層フィルムは、少なくとも、第1熱溶着性樹脂層と、耐熱性中間層と、第2熱溶着性樹脂層とをこの順に備えている、積層フィルム。
項2. 試験温度200℃、加熱時間10秒間の条件で測定される熱収縮率が、10%以下である、項1に記載の積層フィルム。
項3. 前記第1熱溶着性樹脂層を構成している樹脂は、ポリオレフィン骨格を有している、項1または2に記載の積層フィルム。
項4. 前記第1熱溶着性樹脂層は、変性ポリオレフィンを含む、項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
項5. 前記第1熱溶着性樹脂層を赤外分光法で分析すると、無水マレイン酸に由来するピークが検出される、項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
項6. 前記第1熱溶着性樹脂層は、粘着成分を含む、項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
項7. 前記積層フィルムを介して、長さ45mm、幅10mm、厚み1.5mmのポリプロピレンと、長さ45mm、幅10mm、厚み1.5mmのアルミニウムとを接合させて得られる成形体の剪断強度が3MPa以上である、項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
項8. 第1部材と第2部材を接合させるための積層フィルムであって、
前記積層フィルムは、少なくとも、第1熱溶着性樹脂層と、耐熱性中間層と、第2熱溶着性樹脂層とをこの順に備えており、
前記第1部材が固体部材であり、
前記第1部材に、前記積層フィルムの前記第1熱溶着性樹脂層が接するように積層させた状態で、前記積層フィルムの前記第2熱溶着性樹脂層側に、溶融樹脂を供給し、前記溶融樹脂を冷却により固化して前記第2部材である樹脂部材として、前記第1部材と前記第2部材とを、前記積層フィルムを介して接合させるために用いられる、積層フィルム。
項9. 前記第1部材と前記第2部材が、項1〜8のいずれかに記載の積層フィルムを介して接合状態とされている、成形体。
項10. 樹脂部材と固体部材とが接合された成形体を製造する方法であって、
前記固体部材の上に積層フィルムが配置された積層体を準備する工程と、
前記積層体の前記積層フィルム側の表面に、溶融樹脂を供給する工程と、
前記溶融樹脂を冷却、固化させて、前記樹脂部材を形成し、前記樹脂部材と前記固体部材とを前記積層フィルムを介して接合する工程と、
を備えており、
前記積層フィルムとして、少なくとも、第1熱溶着性樹脂層と、耐熱性中間層と、第2熱溶着性樹脂層とをこの順に備えているものを用いる、成形体の製造方法。
項11. 前記積層フィルムの前記第1熱溶着性樹脂層が、粘着成分を含んでおり、
前記積層体を準備する工程において、前記固体部材の上に、前記積層フィルムの前記第1熱溶着性樹脂層を剥離可能に接着させた前記積層体を準備する、項10に記載の成形体の製造方法。
項12. 前記固体部材が、金属部材及びセラミックス部材の少なくとも一方を含む、項10又は11に記載の成形体の製造方法。
項13. 試験温度200℃、加熱時間10秒間の条件で測定される熱収縮率が、10%以下である前記積層フィルムを用いる、項10〜12のいずれかに記載の成形体の製造方法。
項14. 前記積層フィルムを介して、それぞれ、長さ45mm、幅10mm、厚み1.5mmのポリプロピレンとアルミニウムとを接合させて得られる成形体の剪断強度が3MPa以上となる前記積層フィルムを用いる、項10〜13のいずれかに記載の成形体の製造方法。
項15. 前記第1熱溶着性樹脂層を構成している樹脂は、ポリオレフィン骨格を有している、項10〜14のいずれかに記載の成形体の製造方法。
項16. 前記積層フィルムの前記第1熱溶着性樹脂層が、変性ポリオレフィンを含む、項10〜15のいずれかに記載の成形体の製造方法。
項17. 前記積層フィルムの前記第1熱溶着性樹脂層を赤外分光法で分析すると、無水マレイン酸に由来するピークが検出される、項10〜16のいずれかに記載の成形体の製造方法。
本発明によれば、2つ以上の部材を好適に接合させることができる積層フィルムを提供することができる。また、本発明によれば、樹脂部材と固体部材とが接合された成形体を製造する新規な方法を提供することができる。例えば、本発明においては、固体部材(例えば、樹脂部材、金属部材、セラミックス部材など)に、積層フィルムの第1熱溶着性樹脂層を剥離可能に接着させた(仮着させた)状態で、積層フィルムの第2熱溶着性樹脂層側の表面に溶融樹脂を供給し、溶融樹脂を冷却により固化して樹脂部材を形成することにより、固体部材と樹脂部材とを積層フィルムを介して接合させることができ、さらに、溶融樹脂および固体部材の成形と、樹脂部材と固体部材との接合を1つの工程で行うことが可能となる。これにより、溶融樹脂が冷却により固化した樹脂部材と、固体部材とが、積層フィルムを介して接合された成形体が好適に得られる。さらに、本発明は、当該積層フィルムを用いた成形体を提供することも目的とする。
本発明の積層フィルムの一例の略図的断面図である。 本発明の積層フィルムの一例の略図的断面図である。 本発明の積層フィルムの一例の略図的断面図である。 本発明の積層フィルムの一例の略図的断面図である。 本発明の成形体の一例の略図的断面図である。 シール強度の測定方法を説明するための模式図である。 本発明の成形体の製造方法の一例を説明するための模式図である。 本発明の成形体の製造方法の一例を説明するための模式図である。 本発明の成形体の製造方法の一例を説明するための模式図である。 本発明の成形体の製造方法によって製造された成形体の一例の略図的断面図である。 剪断強度の測定方法を説明するための模式図である。 加熱機構付きのカンチレバー(プローブ)を取り付けられる原子間力顕微鏡を用いたプローブの変位量測定におけるプローブの位置変化の概念図である。 加熱機構付きのカンチレバー(プローブ)を取り付けられる原子間力顕微鏡を用いたプローブの変位量測定において、プローブを設置する、積層フィルムの断面の耐熱性中間層の表面の位置を示す模式図である。 第1熱溶着性樹脂層の軟化点の測定において、プローブを設置する積層フィルムの第1熱溶着性樹脂層の主面を説明するための斜視図である。 第1部材が固体部材であり、第2部材が樹脂部材である場合について、本発明の成形体の製造方法によって製造される成形体の一例の略図的断面図である。 第1部材が固体部材であり、第2部材が樹脂部材である場合について、本発明の成形体の製造方法の一例を説明するための模式図である。 第1部材が固体部材であり、第2部材が樹脂部材である場合について、本発明の成形体の製造方法の一例を説明するための模式図である。 第1部材が固体部材であり、第2部材が樹脂部材である場合について、本発明の成形体の製造方法の一例を説明するための模式図である。 第1部材が固体部材であり、第2部材が樹脂部材である場合について、本発明の成形体の製造方法によって製造された成形体の一例の略図的断面図である。
本発明の積層フィルムは、第1部材と第2部材を接合させるための積層フィルムであり、当該積層フィルムは、第1熱溶着性樹脂層と、耐熱性中間層と、第2熱溶着性樹脂層とをこの順に備えていることを特徴としている。以下、本発明の積層フィルム、当該積層フィルムを用いた成形体、及びこれらの製造方法について詳述する。
なお、本明細書において、「〜」で示される数値範囲は「以上」、「以下」を意味する。例えば、2〜15mmとの表記は、2mm以上15mm以下を意味する。
1.積層フィルム
本発明の積層フィルムは、第1部材と第2部材を接合させるための積層フィルムである。より具体的には、本発明の積層フィルムは、積層フィルムを第1部材と第2部材の間に配置し、積層フィルムを介して第1部材と第2部材を熱溶着することによって、第1部材と第2部材を接合する用途に使用される。なお、第1部材と第2部材に加えて、さらに他の部材を本発明の積層フィルムを用いて接合してもよい。すなわち、本発明の積層フィルムは、少なくとも2つの部材を熱溶着によって接合するための積層フィルムである。また、本発明の積層フィルムは、熱溶着性を備えた積層フィルム(熱溶着性積層フィルム)である。
例えば、図1から図4の模式図に示されるように、本発明の積層フィルム10は、少なくとも、第1熱溶着性樹脂層1と、耐熱性中間層3と、第2熱溶着性樹脂層2とをこの順に備えた積層フィルムにより構成されている。第1熱溶着性樹脂層1は、積層フィルム10の一方側の表面を構成しており、第2熱溶着性樹脂層2は、積層フィルム10の第1熱溶着性樹脂層1とは反対側の表面を構成している。本発明の積層フィルム10は、第1熱溶着性樹脂層1、耐熱性中間層3、及び第2熱溶着性樹脂層2の少なくとも3層を備えているため、2層により構成されている積層フィルムに比して、成形時のカールが抑制されるという利点を有している。また、3層であって、第1熱溶着性樹脂層1と第2熱溶着性樹脂層2を備えているため、第1部材と第2部材を良好に接合させることができる。
本発明の積層フィルム10の積層構成の具体例としては、図1に示されるような第1熱溶着性樹脂層1/耐熱性中間層3/第2熱溶着性樹脂層2をこの順に備える積層構成;図2に示されるような第1熱溶着性樹脂層1/耐熱性中間層3/熱可塑性樹脂層4/第2熱溶着性樹脂層2をこの順に備える積層構成;図3に示されるような第1熱溶着性樹脂層1/熱可塑性樹脂層4/耐熱性中間層3/第2熱溶着性樹脂層2をこの順に備える積層構成;図4に示されるような第1熱溶着性樹脂層1/熱可塑性樹脂層4/耐熱性中間層3/熱可塑性樹脂層4/第2熱溶着性樹脂層2をこの順に備える積層構成などが挙げられる。なお、後述の通り、第1熱溶着性樹脂層1及び第2熱溶着性樹脂層2は、それぞれ、粘着成分を含んで粘着性を有していてもよい。また、熱可塑性樹脂層4は、第1熱溶着性樹脂層1及び第2熱溶着性樹脂層2と同様、熱溶着性を有していてもよい。本発明の積層フィルムには、これらの層とは異なる他の層がさらに積層されていてもよい。例えば、図示は省略するが、耐熱性中間層3の片面または両面に、後述の接着促進剤層を設けてもよい。
低コスト、製造工程の簡略化の観点から、積層フィルムを薄くすることが好ましく、本発明の積層フィルムは、図1に示されるような第1熱溶着性樹脂層1/耐熱性中間層3/第2熱溶着性樹脂層2をこの順に備える3層の積層構成を備えていることが好ましい。また、凹凸形状等への追従性の観点からは積層フィルムを厚くすることが好ましく、本発明の積層フィルムは、第1熱溶着性樹脂層1/耐熱性中間層3/第2熱溶着性樹脂層2の各層間に熱可塑性樹脂層を備えていることが好ましい。具体的には、図2に示されるような第1熱溶着性樹脂層1/耐熱性中間層3/熱可塑性樹脂層4/第2熱溶着性樹脂層2をこの順に備える4層の積層構成;図3に示されるような第1熱溶着性樹脂層1/熱可塑性樹脂層4/耐熱性中間層3/第2熱溶着性樹脂層2をこの順に備える4層の積層構成;図4に示されるような第1熱溶着性樹脂層1/熱可塑性樹脂層4/耐熱性中間層3/熱可塑性樹脂層4/第2熱溶着性樹脂層2をこの順に備える5層の積層構成を備えていることが好ましい。また、第1熱溶着性樹脂層1に粘着成分が含まれている場合、第1熱溶着性樹脂層1は熱可塑性樹脂層4を介して耐熱性中間層3に積層されることで、層間の接着強度を安定させることができるため、本発明の積層フィルムは、好ましくは、両面に粘着成分が含まれている5層の積層構成(具体的には、粘着成分を含む第1熱溶着性樹脂層1/熱可塑性樹脂層4/耐熱性中間層3/熱可塑性樹脂層4/粘着成分を含む第2熱溶着性樹脂層2をこの順に備える積層構成)や、片面に粘着成分が含まれている4層の積層構成(具体的には、粘着成分を含む第1熱溶着性樹脂層1/熱可塑性樹脂層4/耐熱性中間層3/熱可塑性樹脂層4/粘着成分を含まない第2熱溶着性樹脂層2をこの順に備える積層構成)を備えていることが好ましい。
低コスト、層間剥離の可能性を抑える観点からは、本発明の積層フィルムの層数は少ない方が好ましく、好ましい下限としては3以上、好ましい上限としては5以下が挙げられる。熱溶着時の高温環境における熱収縮率を低減し、熱溶着後の外観を良好なものとして、2つ以上の部材を好適に熱溶着させる観点からは、本発明の積層フィルムの層数としては、好ましくは3〜5程度、より好ましくは3〜4程度が挙げられる。
また、本発明の積層フィルムの一方面の面積としては、熱溶着させる部材のサイズに応じて適宜設定することができる。
熱溶着時の高温環境における熱収縮率を低減し、熱溶着後の外観を良好なものとして、2つ以上の部材をより好適に熱溶着させる観点から、本発明の積層フィルムについて、試験温度200℃、加熱時間10秒間の条件で測定される熱収縮率は、上限としては、好ましくは約10%以下、より好ましくは約5%以下、さらに好ましくは約4%以下が挙げられ、下限としては、約0%、約0.1%が挙げられる。また、当該熱収縮率の範囲としては、好ましくは、0〜10%程度、0〜5%程度、0〜4%程度、0.1〜10%程度、0.1〜5%程度、0.1〜4%程度が挙げられる。熱収縮率の測定は、JIS K 7133:1999の規定に準拠した方法により行うことができる。なお、JIS K 7133では、試験片サイズは120mm×120mmであることが規定されているが、当該試験片サイズよりも小さいサイズの試験片でしか熱収縮率を測定できない場合には、可能な範囲で当該試験片サイズに近い正方形の試験片について、同様に熱収縮率を測定する。
本発明の積層フィルム10は、後述の部材(第1部材、第2部材)と熱溶着された際のシール強度が、約10N/15mm以上であることが好ましく、約20N/15mm以上であることがより好ましい。なお、当該シール強度の好ましい上限は特にないが、通常、約100N/15mm以下である。すなわち、当該シール強度の範囲としては、好ましくは10〜100N/15mm程度、より好ましくは20〜100N/15mm程度が挙げられる。第1部材と第2部材を熱溶着させる本発明の積層フィルム10において、これらの部材と熱溶着された際のシール強度がこのような値を有していることにより、得られる成形体においては、本発明の積層フィルム10を介して第1部材と第2部材が好適に接合されているといえる。なお、溶融樹脂と固体部材を熱溶着する場合、溶融樹脂が冷却固化した樹脂部材に積層フィルム10が熱溶着された際のシール強度を意味する。シール強度の測定方法の具体的な方法としては、以下の通りである。なお、本発明の積層フィルム10と、後述の部材(第1部材、第2部材)とが熱溶着された際のシール強度は、この範囲に限定されない。
<シール強度の測定>
まず、積層フィルムを長さ方向(y方向)50mm×幅方向(x方向)25mmのサイズに切り出す。次に、積層フィルム10の第1熱溶着性樹脂層または第2熱溶着性樹脂層と、各部材50とを、7mmの奥行(y方向)でヒートシール(ヒートシール条件:温度190℃、面圧1MPa、加圧時間5秒)して試験サンプルを得る。図6の模式図において、破線で囲まれた領域Sが、ヒートシールされた領域を示している。なお、ヒートシールする領域以外の部分には、離型シートを挟み、7mmの奥行でヒートシールされるようにする。次に、幅方向(x方向)15mmでのシール強度(N/15mm)が測定できるように、試験サンプルを図6(a)に示されるように15mm幅に裁断する。次に、引張試験機を用いて、図6(b)に示されるように、固定された部材50から、長さ方向(y方向)に積層フィルム10を剥離する。このとき、剥離速度は300mm/minとし、剥離されるまでの最大荷重をシール強度(N/15mm)とする。なお、部材としては、樹脂部材については厚さ4mm、金属部材またはセラミックス部材については厚さ0.5mmのものを用いる。各シール強度は、それぞれ、同様にして3つの試験サンプルを作製して測定された平均値(n=3)とする。
また、本発明の積層フィルムを介して、ポリプロピレン(例えば、日立化成株式会社製のコウベポリシートPP−N−BN)とアルミニウム(JIS H 4000:2014のA1100、算術平均粗さRa=1.5μm)とを熱溶着させて得られる成形体の剪断強度としては、好ましくは約3MPa以上、より好ましくは約4MPa以上が挙げられる。なお、当該剪断強度の上限については、特に制限されないが、例えば、約50MPa以下、約30MPa以下、約15MPa以下などが挙げられ、下限については、特に制限されないが、例えば、約3MPa以上、約4MPa以上、約8MPa以上などが挙げられる。当該剪断強度の好ましい範囲としては、3〜50MPa程度、4〜50MPa程度、8〜50MPa程度、3〜30MPa程度、4〜30MPa程度、8〜30MPa程度、3〜15MPa程度、4〜15MPa程度、8〜15MPa程度が挙げられる。当該剪断強度は、以下の測定方法により測定された値である。
<剪断強度の測定>
剪断強度の測定は、ISO19095−2及びISO19095−3の規定に準拠した方法で測定する。アルミニウム及びポリプロピレンのサイズは、それぞれ、長さ45mm×幅10mm×厚み1.5mmとする。また、積層フィルムは、長さ5mm×幅10mmとする。図11に示されるように、ポリプロピレン70とアルミニウム80の長さ方向の端部において、ポリプロピレン70とアルミニウム80の間に、積層フィルム10を配置して、温度190℃、面圧1.5MPa、20秒間の条件で、ポリプロピレン70とアルミニウム80とを積層フィルム10を介して熱溶着させて成形体を得る。また、積層フィルム10の両面全体がそれぞれポリプロピレン70とアルミニウム80にヒートシールされるように配置する(すなわち、ヒートシール面積は、片面が長さ5mm×幅10mm)。なお、図11には図示していないが、ポリプロピレン70とアルミニウム80とが互いに平行な状態で接合されたものについて測定を行うために、ポリプロピレン70及びアルミニウム80は、それぞれ、補整部材を用いて高さを調整して接合する。ポリプロピレン70の高さを調整する補整部材は、ポリプロピレン70と同じ材質、形状の部材を用い、アルミニウム80の高さを調整する補整部材は、アルミニウム80と同じ材質、形状の部材を用いる。次に、引張試験機を用いて、成形体を長さ方向に引張り(引張り速度は、10mm/min)、最大荷重(N)を測定し、これをヒートシール面積(長さ5mm×幅10mm)で除して、剪断強度(MPa)を算出する。
(第1熱溶着性樹脂層1)
本発明において、第1熱溶着性樹脂層1は、本発明の積層フィルムの一方側の表面を構成している層である。すなわち、第1熱溶着性樹脂層1は、本発明の積層フィルム10の一方側の最外層を構成している。
第1熱溶着性樹脂層1に含まれる熱溶着性樹脂としては、特に制限されないが、樹脂部材だけでなく、金属やセラミックスなどの無機部材に対しても好適に熱溶着させる観点からは、好ましくは変性ポリオレフィン(すなわち、ポリオレフィン骨格を有している)が挙げられる。ポリオレフィン骨格を有している熱溶着性樹脂は、電解液等に対する耐溶剤性に優れるため、第1熱溶着性樹脂層1に含まれる熱溶着性樹脂として好ましい。第1熱溶着性樹脂層1を構成している樹脂は、ポリオレフィン骨格を含んでいても含んでいなくてもよいが、前記の観点から、ポリオレフィン骨格を含んでいることが好ましい。第1熱溶着性樹脂層1を構成している樹脂がポリオレフィン骨格を含むことは、例えば、赤外分光法、ガスクロマトグラフィー質量分析法などにより分析可能であり、分析方法は特に問わない。例えば、赤外分光法にて無水マレイン酸変性ポリオレフィンを測定すると、波数1760cm-1付近と波数1780cm-1付近に無水マレイン酸由来のピークが検出される。
また、変性ポリオレフィンとしては、酸変性されたポリオレフィンであることが好ましい。酸変性されたポリオレフィンとしては、具体的には、不飽和カルボン酸またはその無水物で変性されたポリオレフィンが挙げられる。酸変性に使用される不飽和カルボン酸またはその無水物としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。
変性されるポリオレフィンとしては、特に制限されないが、金属やセラミックスなどの無機部材に対しても好適に熱溶着させる観点からは、好ましくは、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)などの結晶性または非晶性のポリプロピレン;エチレン−ブテン−プロピレンのターポリマーが挙げられる。これらのなかでも、変性されるポリオレフィンとしては、ポリプロピレンが好ましい。
金属やセラミックスなどの無機部材に対しても好適に熱溶着させる観点からは、第1熱溶着性樹脂層1に含まれる熱溶着性樹脂の中でも、特に、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリエチレンなどの変性ポリオレフィンが好ましい。
第1熱溶着性樹脂層1に含まれる熱溶着性樹脂は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
第1熱溶着性樹脂層1に含まれる熱溶着性樹脂の割合としては、特に制限されないが、下限としては、好ましくは約70質量%以上、より好ましくは約80質量%以上が挙げられ、上限としては、好ましくは約100質量%以下、より好ましくは約95質量%以下、さらに好ましくは約90質量%以下が挙げられる。また、熱溶着性樹脂の割合の範囲としては、好ましくは、70〜100質量%程度、70〜95質量%程度、70〜90質量%程度、80〜100質量%程度、80〜95質量%程度、80〜90質量%程度が挙げられる。第1熱溶着性樹脂層1に含まれる熱溶着性樹脂の割合がこのような値を有していることにより、本発明の積層フィルム10は、熱溶着性を好適に発揮することができ、2つ以上の部材をより好適に熱溶着させることができる。
第1熱溶着性樹脂層1は、粘着成分をさらに含有することが好ましい。より具体的には、第1熱溶着性樹脂層1は、粘着成分を含有する熱溶着性樹脂組成物により構成されていることが好ましい。例えば、第1部材及び第2部材の少なくとも一方が固体部材である場合、第1熱溶着性樹脂層1が粘着成分を含むことにより、積層フィルムの第1熱溶着性樹脂層を固体部材に好適に剥離可能に接着させる(仮着させる)ことができ、熱溶着時の位置ずれなどを抑制して、2つ以上の部材をより好適に熱溶着させることが可能となる。なお、本発明において、仮着とは、仮に接着させることを意味し、一旦、仮に接着した後も剥がせる状態である。
粘着成分としては、第1熱溶着性樹脂層1に粘着性を付与できるものであれば、特に制限されず、例えば、ロジン、水添ロジン、重合ロジン、ロジンエステルなどロジンまたはその誘導体;α−ピネン、β−ピネン、リモネンなどのテルペン系樹脂;テルペンフェノール樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、石油樹脂、水添石油樹脂などが挙げられる。また、水添されたテルペン樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂は、スチレン系ブロックコポリマーのエラストマー相に相溶し、ポリオレフィンなどの非極性部材への密着力向上に高い効果が見られ、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、スチレン系樹脂などはスチレン相に相溶し、凝集力を高める効果を有している。このため、水添されたテルペン樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂と、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、スチレン系樹脂などを組み合わせて粘着成分とすることもできる。
また、粘着成分としては、アモルファスポリオレフィンを用いることもできる。アモルファスポリオレフィンとしては、例えば、アモルファスポリプロピレン、またはアモルファスプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体などがあり、具体例としては、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・ブテン−1共重合体、プロピレン・ブテン−1・エチレン・3元共重合体、プロピレン・ヘキセン−1・オクテン−1・3元重合体、プロピレン・ヘキセン−1・4−メチルペンテン−1・3元共重合体、プロピレン・ヘキセン−1・4−メチルペンテン−1・3元共重合体、ポリブテン−1などが挙げられる。対象となるアモルファスアルファポリオレフィンのうち、低分子量成分含有量の多い数平均分子量20000以下、ガラス転移点が−20℃以下のものが好ましい。
粘着成分としては、アモルファスポリオレフィンが好ましい。アモルファスポリオレフィンの市販品としては、例えば、REXtac2280(REXtac.LLC製)などが挙げられる。第1熱溶着性樹脂層1において、例えば、粘着成分としてREXtac2280を用い、かつ、熱溶着性樹脂として変性ポリオレフィンを用いる場合、REXtac2280の含有量としては、変性ポリオレフィン100質量部に対して、約10質量部程度、または約20質量部程度とすることが好ましい。
粘着成分は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
第1熱溶着性樹脂層1に含まれる粘着成分の割合としては、特に制限されないが、下限としては、好ましくは約1質量%以上、より好ましくは約5質量%以上が挙げられ、上限としては、好ましくは約30質量%以下、より好ましくは約25質量%以下が挙げられる。また、粘着成分の割合の範囲としては、好ましくは、1〜30質量%程度、1〜25質量%程度、5〜30質量%程度、5〜25質量%程度が挙げられる。第1熱溶着性樹脂層1に含まれる粘着成分の割合がこのような値を有していることにより、本発明の積層フィルムは、優れた粘着性と優れた熱溶着性を好適に発揮することができ、2つ以上の部材をより好適に熱溶着させることができる。特に、少なくとも1つの部材が、固体部材である場合には、積層フィルムの第1熱溶着性樹脂層を固体部材に好適に仮着させることができ、熱溶着時の位置ずれなどを抑制して、2つ以上の部材をより好適に熱溶着させることが可能となる。
熱溶着後の外観を良好なものとして、2つ以上の部材をより好適に熱溶着させる観点からは、第1熱溶着性樹脂層1の軟化点としては、好ましくは約90℃以下、より好ましくは約80℃以下が挙げられる。また、第1熱溶着性樹脂層1の軟化点の下限としては、例えば約40℃以上、好ましくは50℃以上が挙げられる。第1熱溶着性樹脂層1の軟化点の好ましい範囲としては、40〜90℃程度、40〜80℃程度、50〜90℃程度、50〜80℃程度が挙げられる。本発明において、第1熱溶着性樹脂層1の軟化点は、後述の耐熱性中間層の軟化点と同様にして測定された値である。
第1熱溶着性樹脂層1の厚さは、特に制限されないが、熱溶着時の高温環境における熱収縮率を低減し、熱溶着後の外観を良好なものとして、2つ以上の部材をより好適に熱溶着させる観点からは、下限としては、好ましくは約5μm以上、より好ましくは約10μm以上、さらに好ましくは約20μm以上が挙げられ、上限としては、好ましくは約200μm以下、より好ましくは約100μm以下、さらに好ましくは約50μm以下が挙げられる。また、第1熱溶着性樹脂層1の厚さの範囲としては、好ましくは、5〜200μm程度、5〜100μm程度、5〜50μm程度、10〜200μm程度、10〜100μm程度、10〜50μm程度、20〜200μm程度、20〜100μm程度、20〜50μm程度が挙げられる。
第1熱溶着性樹脂層1及び後述の第2熱溶着性樹脂層2の素材、軟化点、厚さなどは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
(耐熱性中間層3)
本発明において、耐熱性中間層3は、第1熱溶着性樹脂層1と第2熱溶着性樹脂層2との間に位置しており、積層フィルム10の優れた耐熱性を担保している。
耐熱性中間層3を構成する素材としては、耐熱性に優れていれば、特に制限されず、例えば、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテルイミド、及びこれらの混合物や共重合物などが挙げられる。また、耐熱性中間層3の形状としても、特に制限されず、フィルム、不織布などが挙げられる。
ポリエステルとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルなどが挙げられる。また、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてエチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/フェニル−ジカルボキシレート)、ポリエチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)などが挙げられる。また、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてブチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレートなどが挙げられる。これらのポリエステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
熱溶着時の高温環境における熱収縮率を低減し、熱溶着後の外観を良好なものとして、2つ以上の部材をより好適に熱溶着させる観点からは、これらの中でも耐熱性中間層3の素材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、アラミド、ビニロン(ポリビニルアルコール)、またはポリアリレートが挙げられる。また、耐熱性中間層3の形状としては、フィルム、繊維不織布などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性中間層3は、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリフェニレンサルファイド繊維不織布、アラミド繊維不織布、ビニロン(ポリビニルアルコール)繊維不織布、またはポリアリレート繊維不織布により構成されていることが好ましい。
耐熱性中間層3は、加熱機構付きのカンチレバー(プローブ)を取り付けられる原子間力顕微鏡を用いたプローブの変位量測定において、積層フィルム10の断面の耐熱性中間層3表面にプローブを設置し、測定開始時のプローブのディフレクションの設定値は−4V、昇温速度5℃/分の条件で、プローブを40℃から220℃まで加熱した際に、プローブの位置が初期値よりも低下しないことが望ましい。耐熱性中間層3がこのような特性を備えていることにより、熱溶着時の高温環境における熱収縮率をより低減し、熱溶着後の外観をより良好なものとすることができる。
また、耐熱性中間層3は、加熱機構付きのカンチレバー(プローブ)を取り付けられる原子間力顕微鏡を用いたプローブの変位量測定において、測定開始時のプローブのディフレクションの設定値−4V、昇温速度5℃/分の条件で、プローブを40℃から220℃まで加熱した際に、少なくとも160℃までは、積層フィルムの断面の耐熱性中間層の表面に設置したプローブの位置が初期値(プローブの温度が40℃である時の位置)よりも低下しないことが好ましい。耐熱性中間層3がこのような特性を備えていることにより、熱溶着時の高温環境における熱収縮率をより低減し、熱溶着後の外観をより良好なものとすることができる。
加熱機構付きのカンチレバー(プローブ)を取り付けられる原子間力顕微鏡を用いたプローブの変位量測定においては、まず、例えば図12の概念図に示すように、積層フィルムの断面の耐熱性中間層の表面(例えば、図13の積層フィルム10であれば、Pの位置)にプローブ90を設置する(図12の測定開始A)。このときの断面は、積層フィルムの中心部を通るように厚さ方向に切断して得られた、耐熱性中間層の断面が露出した部分である。切断は、市販品の回転式ミクロトームなどを用いて行うことができる。加熱機構付きのカンチレバー(プローブ)を取り付けられる原子間力顕微鏡としては、例えば、ANASIS INSTRUMENTS社製のafm plusシステムを用い、プローブとしてはカンチレバーThermaLever AN2−200(ばね定数0.5〜3N/m)を使用することができる。プローブの先端半径は30nm以下、プローブのディフレクション(Deflection)の設定値は−4V、昇温速度5℃/分とする。次に、この状態でプローブを加熱すると、プローブ90からの熱により、図12のBのように耐熱性中間層3の表面が膨張して、プローブ90が押し上げられ、プローブ90の位置が初期値(プローブ90の温度が40℃である時の位置)よりも上昇する。さらに温度が上昇すると、耐熱性中間層が軟化し、図12のCのように、プローブ90が耐熱性中間層に突き刺さり、プローブ90の位置が下がる場合がある。なお、プローブ90の変位量測定においては、測定対象となる積層フィルムは室温(25℃)環境にあり、40℃に加熱されたプローブ90を積層フィルムの断面の耐熱性中間層の表面に設置して、測定を開始する。
本発明の積層フィルムにおいては、測定開始時のプローブのディフレクションの設定値は−4V、昇温速度5℃/分の条件で、プローブを40℃から220℃まで加熱した際に、積層フィルムの断面の耐熱性中間層の表面に設置したプローブの位置が初期値(プローブの温度が40℃である時の位置)よりも低下せず、さらに、160℃から200℃まで加熱した際に、積層フィルムの断面の耐熱性中間層の表面に設置したプローブの位置が低下しないことがより好ましい。積層フィルムを用いた部材の熱溶着工程は、通常、160℃から200℃程度に加熱して行われる。このため、プローブを160℃から200℃まで加熱した際に、積層フィルムの断面の耐熱性中間層の表面に設置したプローブの位置が低下しない積層フィルムは、特に高い耐熱性を発揮することができる。耐熱性をより一層高める観点から、プローブを40℃から250℃まで加熱した際に、積層フィルムの断面の耐熱性中間層の表面に設置したプローブの位置が初期値よりも低下せず、さらに、160℃から200℃まで加熱した際に、積層フィルムの断面の耐熱性中間層の表面に設置したプローブの位置が低下しないことがさらに好ましい。
耐熱性をより一層高める観点から、耐熱性中間層3の軟化点としては、好ましくは約160℃以上、より好ましくは約200℃以上が挙げられる。また、耐熱性中間層3の軟化点の上限としては特に存在しないが、例えば約250℃以下が挙げられる。耐熱性中間層3の軟化点の好ましい範囲としては、160〜250℃程度、200〜250℃程度が挙げられる。本発明において、耐熱性中間層3の軟化点は、前述のプローブの変位量測定において、プローブのディフレクションが最大となった時の温度である。なお、耐熱性中間層3の軟化点の測定においては、測定対象とする耐熱性中間層の5つのサンプルについて、プローブのディフレクションが最大となった時の温度を読み取り、5つの温度の最大値と最小値を除いた3つの温度の平均値を、軟化点とする。
また、耐熱性中間層3の軟化点は、第1熱溶着性樹脂層1の軟化点よりも高いことが好ましい。さらに、耐熱性中間層3の軟化点は、第1熱溶着性樹脂層1の軟化点及び第2熱溶着性樹脂層2の軟化点よりも高いことが好ましい。耐熱性中間層3の軟化点は、第1熱溶着性樹脂層1の軟化点よりも30℃以上高いことが好ましく、60℃以上高いことがより好ましく、90℃以上高いことがさらに好ましい。また、耐熱性中間層3の軟化点は、第2熱溶着性樹脂層2の軟化点よりも8℃以上高いことが好ましく、30℃以上高いことがより好ましく、90℃以上高いことがさらに好ましい。
耐熱性中間層3の厚さは、特に制限されないが、熱溶着時の高温環境における熱収縮率を低減し、熱溶着後の外観を良好なものとして、2つ以上の部材をより好適に熱溶着させる観点からは、下限としては、好ましくは約5μm以上、より好ましくは約10μm以上が挙げられ、上限としては、好ましくは約200μm以下、より好ましくは約100μm以下が挙げられる。また、耐熱性中間層3の厚さの範囲としては、好ましくは、5〜200μm程度、5〜100μm程度、10〜200μm程度、10〜100μm程度が挙げられる。
また、耐熱性中間層3が不織布により構成されている場合、不織布の目付としては、特に制限されないが、耐熱性中間層3に隣接する層(例えば、第1熱溶着性樹脂層1、第2熱溶着性樹脂層2、熱可塑性樹脂層4など)を不織布に十分含浸させて、層間の接着強度を安定させる観点からは、目付は小さいことが好ましく、下限としては、好ましくは約5g/m2以上が挙げられる。また、熱溶着時の高温環境における熱収縮率を低減する観点からは、目付は大きいことが好ましく、上限としては30g/m2以下が挙げられる。熱溶着時の高温環境における熱収縮率を低減し、熱溶着後の外観を良好なものとして、2つ以上の部材をより好適に熱溶着させる観点から、当該目付の範囲としては、好ましくは5〜30g/m2程度、より好ましくは7〜25g/m2程度が挙げられる。
(第2熱溶着性樹脂層2)
本発明において、第2熱溶着性樹脂層2は、耐熱性中間層3の第1熱溶着性樹脂層1とは反対側に位置する層である。第2熱溶着性樹脂層2は、熱溶着性樹脂組成物により構成されている。樹脂部材だけでなく、金属やセラミックスなどの無機部材に対しても好適に熱溶着させる観点から、本発明の積層フィルム10において、第2熱溶着性樹脂層2は、第1熱溶着性樹脂層1とは反対側の表面を構成している。
第2熱溶着性樹脂層2に含まれる熱溶着性樹脂としては、特に制限されないが、樹脂部材だけでなく、金属やセラミックスなどの無機部材に対しても好適に熱溶着させる観点からは、好ましくは変性ポリオレフィン(すなわち、ポリオレフィン骨格を有している)が挙げられる。すなわち、第2熱溶着性樹脂層2を構成している樹脂は、ポリオレフィン骨格を含んでいても含んでいなくてもよいが、前記の観点から、ポリオレフィン骨格を含んでいることが好ましい。ポリオレフィン骨格を有している熱溶着性樹脂は、電解液等に対する耐溶剤性に優れるため、第2熱溶着性樹脂層2に含まれる熱溶着性樹脂として好ましい。第2熱溶着性樹脂層2を構成している樹脂がポリオレフィン骨格を含むことは、例えば、赤外分光法、ガスクロマトグラフィー質量分析法などにより分析可能であり、分析方法は特に問わない。例えば、赤外分光法にて無水マレイン酸変性ポリオレフィンを測定すると、波数1760cm-1付近と波数1780cm-1付近に無水マレイン酸由来のピークが検出される。
また、変性ポリオレフィンとしては、酸変性されたポリオレフィンであることが好ましい。酸変性されたポリオレフィンとしては、具体的には、不飽和カルボン酸またはその無水物で変性されたポリオレフィンが挙げられる。酸変性に使用される不飽和カルボン酸またはその無水物としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。
変性されるポリオレフィンとしては、特に制限されないが、金属やセラミックスなどの無機部材に対しても好適に熱溶着させる観点からは、好ましくは、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)などの結晶性または非晶性のポリプロピレン;エチレン−ブテン−プロピレンのターポリマーが挙げられる。これらのなかでも、変性されるポリオレフィンとしては、ポリプロピレンが好ましい。
金属やセラミックスなどの無機部材に対しても好適に熱溶着させる観点からは、第2熱溶着性樹脂層2に含まれる熱溶着性樹脂の中でも、特に、無水マレイン酸変性ポリプロピレンなどが好ましい。
第2熱溶着性樹脂層2に含まれる熱溶着性樹脂は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
第2熱溶着性樹脂層2に含まれる熱溶着性樹脂の割合としては、特に制限されないが、下限としては、好ましくは約70質量%以上、より好ましくは約80質量%以上が挙げられ、上限としては、好ましくは約100質量%以下、より好ましくは約95質量%以下、さらに好ましくは約90質量%以下が挙げられる。また、熱溶着性樹脂の割合の範囲としては、好ましくは、70〜100質量%程度、70〜95質量%程度、70〜90質量%程度、80〜100質量%程度、80〜95質量%程度、80〜90質量%程度が挙げられる。第2熱溶着性樹脂層2に含まれる熱溶着性樹脂の割合がこのような値を有していることにより、本発明の積層フィルム10は、熱溶着性を好適に発揮することができ、2つ以上の部材をより好適に熱溶着させることができる。
第2熱溶着性樹脂層2には、必要に応じて、粘着成分が含まれていてもよい。第2熱溶着性樹脂層2に粘着成分が含まれている場合、第2熱溶着性樹脂層2は、第1熱溶着性樹脂層1と同様、粘着性を発揮することができる。特に、第2熱溶着性樹脂層2が、第1熱溶着性樹脂層1とは反対側の表面を構成している場合には、第1熱溶着性樹脂層1と第2熱溶着性樹脂層2に粘着成分が含まれていることにより、積層フィルム10の第1熱溶着性樹脂層1と第2熱溶着性樹脂層2の両面を固体部材に仮着させることが可能となる。このため、2つ以上の固体部材を熱溶着させる際の位置ずれなどが抑制され、2以上の固体部材を好適に熱溶着させることができる。
第2熱溶着性樹脂層2に粘着成分が含まれている場合、粘着成分の種類としては、特に制限されず、第1熱溶着性樹脂層1で例示したものと同じものが例示される。
第2熱溶着性樹脂層2に粘着成分が含まれる場合、その割合としては、特に制限されないが、下限としては、好ましくは約1質量%以上、より好ましくは約5質量%以上が挙げられ、上限としては、好ましくは約30質量%以下、より好ましくは約25質量%以下が挙げられる。また、粘着成分の割合の範囲としては、好ましくは、1〜30質量%程度、1〜25質量%程度、5〜30質量%程度、5〜25質量%程度が挙げられる。第2熱溶着性樹脂層2に含まれる粘着成分の割合がこのような値を有していることにより、本発明の積層フィルムは、優れた粘着性と優れた熱溶着性を好適に発揮することができ、2つ以上の部材をより好適に熱溶着させることができる。特に、少なくとも1つの部材が、固体部材である場合には、積層フィルムの第2熱溶着性樹脂層を固体部材に好適に仮着させることができ、熱溶着時の位置ずれなどを抑制して、2つ以上の部材をより好適に熱溶着させることが可能となる。
熱溶着時の高温環境における熱収縮率を低減し、熱溶着後の外観を良好なものとして、2つ以上の部材をより好適に熱溶着させる観点からは、第2熱溶着性樹脂層2の軟化点としては、好ましくは約90℃以下、より好ましくは約80℃以下が挙げられる。また、第2熱溶着性樹脂層2の軟化点の下限としては、例えば約40℃以上、好ましくは約50℃以上が挙げられる。第2熱溶着性樹脂層2の軟化点の好ましい範囲としては、40〜90℃程度、40〜80℃程度、50〜90℃程度、50〜80℃程度が挙げられる。本発明において、第2熱溶着性樹脂層2の軟化点は、前述の耐熱性中間層の軟化点と同様にして測定された値である。
第2熱溶着性樹脂層2の厚さは、特に制限されないが、熱溶着時の高温環境における熱収縮率を低減し、熱溶着後の外観を良好なものとして、2つ以上の部材をより好適に熱溶着させる観点からは、下限としては、好ましくは約5μm以上、より好ましくは約10μm以上、さらに好ましくは約20μm以上が挙げられ、上限としては、好ましくは約200μm以下、より好ましくは約100μm以下、さらに好ましくは約50μm以下が挙げられる。また、第2熱溶着性樹脂層2の厚さの範囲としては、好ましくは、5〜200μm程度、5〜100μm程度、5〜50μm程度、10〜200μm程度、10〜100μm程度、10〜50μm程度、20〜200μm程度、20〜100μm程度、20〜50μm程度が挙げられる。
(熱可塑性樹脂層4)
本発明において、熱可塑性樹脂層4は、必要に応じて、積層フィルム10に積層される層である。熱可塑性樹脂層4は、第1熱溶着性樹脂層1と耐熱性中間層3との間、耐熱性中間層3と第2熱溶着性樹脂層2との間に積層されていることが好ましい。積層フィルム10には、熱可塑性樹脂層4が1層積層されていてもよいし、2層以上積層されていてもよい。積層フィルム10における熱可塑性樹脂層4の積層数としては、好ましくは0〜2程度、より好ましくは0〜1程度が挙げられる。第1熱溶着性樹脂層1及び第2熱溶着性樹脂層2の少なくとも一方に粘着成分が含まれている場合、粘着成分を含む層が熱可塑性樹脂層4を介して耐熱性中間層3に積層されることで、層間の接着強度を安定させることができる。よって、例えば第1熱溶着性樹脂層1及び第2熱溶着性樹脂層2が積層フィルム10の両面を構成しており、第1熱溶着性樹脂層1及び第2熱溶着性樹脂層2に粘着成分が含まれる場合には、図4の積層構成のように、熱可塑性樹脂層4は、第1熱溶着性樹脂層1と耐熱性中間層3との間、及び、耐熱性中間層3と第2熱溶着性樹脂層2との間に1層ずつ積層されていることが好ましい。また、例えば第1熱溶着性樹脂層1が積層フィルム10の片面を構成しており、第1熱溶着性樹脂層1に粘着成分が含まれる場合には、図3の積層構成のように、熱可塑性樹脂層4は、第1熱溶着性樹脂層1と耐熱性中間層3との間に1層積層されていることが好ましい。
熱可塑性樹脂層4を構成する熱可塑性樹脂としては、熱可塑性を備えていれば、特に制限されない。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、熱可塑性樹脂層4は、ポリオレフィンにより構成されていることが好ましく、変性ポリオレフィン(すなわち、ポリオレフィン骨格を有している)により構成されていることがより好ましい。変性ポリオレフィンとしては、第1熱溶着性樹脂層1で例示したものと同じものが好ましく例示される。すなわち、熱可塑性樹脂層4を構成している樹脂は、ポリオレフィン骨格を含んでいても含んでいなくてもよいが、前記の観点から、ポリオレフィン骨格を含んでいることが好ましい。ポリオレフィン骨格を有している熱可塑性樹脂は、電解液等に対する耐溶剤性に優れるため、熱可塑性樹脂層4に含まれる熱可塑性樹脂として好ましい。熱可塑性樹脂層4を構成している樹脂がポリオレフィン骨格を含むことは、例えば、赤外分光法、ガスクロマトグラフィー質量分析法などにより分析可能であり、分析方法は特に問わない。例えば、赤外分光法にて無水マレイン酸変性ポリオレフィンを測定すると、波数1760cm-1付近と波数1780cm-1付近に無水マレイン酸由来のピークが検出される。
なお、熱可塑性樹脂層4には、必要に応じて、粘着成分が含まれていてもよい。熱可塑性樹脂層4に粘着成分が含まれている場合、熱可塑性樹脂層4は、粘着性を発揮することができる。熱可塑性樹脂層4に粘着成分が含まれている場合、粘着成分の種類としては、特に制限されず、第1熱溶着性樹脂層1で例示したものと同じものが例示される。また、熱可塑性樹脂層4における粘着成分の割合としては、特に制限されず、第1熱溶着性樹脂層1と同様の割合が挙げられる。
熱可塑性樹脂層4の軟化点としては、好ましくは約90℃以下、より好ましくは約80℃以下が挙げられる。また、熱可塑性樹脂層4の軟化点の下限としては、例えば約40℃以上、好ましくは約50℃以上が挙げられる。熱可塑性樹脂層4の軟化点の好ましい範囲としては、40〜90℃程度、40〜80℃程度、50〜90℃程度、50〜80℃程度が挙げられる。本発明において、熱可塑性樹脂層4の軟化点は、前述の耐熱性中間層の軟化点と同様にして測定された値である。
熱可塑性樹脂層4の厚さは、特に制限されないが、熱溶着時の高温環境における熱収縮率を低減し、熱溶着後の外観を良好なものとして、2つ以上の部材をより好適に熱溶着させる観点からは、下限としては、好ましくは約5μm以上、より好ましくは約10μm以上、さらに好ましくは約20μm以上が挙げられ、上限としては、好ましくは約200μm以下、より好ましくは約100μm以下、さらに好ましくは約50μm以下が挙げられる。また、熱可塑性樹脂層4の厚さの範囲としては、好ましくは、5〜200μm程度、5〜100μm程度、5〜50μm程度、10〜200μm程度、10〜100μm程度、10〜50μm程度、20〜200μm程度、20〜100μm程度、20〜50μm程度が挙げられる。なお、熱可塑性樹脂層4が複数層設けられている場合、これらの厚さは、熱可塑性樹脂層4の1層の厚さを意味する。
(他の層)
本発明の積層フィルム10には、第1熱溶着性樹脂層1、第2熱溶着性樹脂層2、耐熱性中間層3、及び熱可塑性樹脂層4とは異なる他の層がさらに積層されていてもよい。
(添加剤)
本発明の積層フィルム10は、必要に応じて、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。なお、添加剤の種類、含有量などによっては、積層フィルム10が変色することもある。
(積層フィルムの製造方法)
本発明の積層フィルム10は、少なくとも、第1熱溶着性樹脂層1と、耐熱性中間層3と、第2熱溶着性樹脂層2と、必要に応じて設けられる熱可塑性樹脂層4とを積層することにより製造することができる。これらの層の積層方法としては、特に制限されず、例えば、サーマルラミネート法、サンドイッチラミネート法、押出しラミネート法などを用いて行うことができる。
また、本発明の積層フィルム10において、耐熱性中間層3が樹脂フィルムにより構成されている場合、耐熱性中間層3の両面に接着促進剤を塗布する(すなわち、接着促進剤層を設ける)ことにより、隣接する層(例えば、第1熱溶着性樹脂層1、第2熱溶着性樹脂層2、熱可塑性樹脂層4など)との密着強度を向上させ積層構造を安定させることができる。また、耐熱性中間層3の表面には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理等の周知の易接着手段を講じることができる。
接着促進剤層を形成する接着促進剤としては、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリブタジエン系等の周知の接着促進剤を用いることができる。また、接着促進剤層は、2液硬化型接着剤や1液硬化型接着剤などの公知の接着剤を用いて形成することもできる。実験の結果では、トリイソシアネートモノマー、ポリメリックMDIから選ばれたイソシアネート成分からなるものがラミネート強度に優れ、かつ、ラミネート強度の低下が少なかった。イソシアネート系の接着促進剤としては、トリイソシアネートモノマー、ポリメリックMDIから選ばれたイソシアネート成分からなるものが、ラミネート強度に優れ、かつ、電解液浸漬後のラミネート強度の低下が少ない。特に、トリイソシアネートモノマーであるトリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネートやポリメリックMDIであるポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(NCO含有率が約30%、粘度が200〜700mPa・s)からなる接着促進剤によって形成することが特に好ましい。また、トリイソシアネートモノマーであるトリス(p−イソシアネートフェニル)チオホスフェートや、ポリエチレンイミン系を主剤とし、ポリカルボジイミドを架橋剤とした2液硬化型の接着促進剤により形成することも好ましい。
接着促進剤層は、耐熱性中間層3の片面または両面に設けることができる。接着促進剤層は、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法等の公知の塗布法で塗布・乾燥することにより形成することができる。接着促進剤の塗布量としては、トリイソシアネートからなる接着促進剤の場合は、20〜100mg/m2、好ましくは40〜60mg/m2であり、ポリメリックMDIからなる接着促進剤の場合は、40〜150mg/m2、好ましくは60〜100mg/m2であり、ポリエチレンイミン系を主剤とし、ポリカルボジイミドを架橋剤とした2液硬化型の接着促進剤の場合は、5〜50mg/m2、好ましくは10〜30mg/m2である。接着促進剤として公知の接着剤を用いる場合の塗布量の上限は、約10g/m2以下、下限は約1g/m2とすることも好ましい。なお、トリイソシアネートモノマーは、1分子中にイソシアネート基を3個持つモノマーであり、ポリメリックMDIは、MDIおよびMDIが重合したMDIオリゴマーの混合物であり、下記式で示されるものである。
Figure 0006763021
(部材)
積層フィルム10によって接合される第1部材と第2部材の素材としては、特に制限されず、それぞれ、樹脂、金属、セラミックスなどが挙げられる。第1部材と第2部材を構成する素材は、同種であってもよいし、異種であってもよい。また、熱溶着によって接合される際の第1部材及び第2部材の形態としては、溶融状態であってもよいし、固体であってもよい。溶融状態の部材の具体例としては、溶融樹脂が挙げられる。溶融樹脂が冷却されて固化することにより、樹脂部材となる。また、固体部材としては、樹脂部材、無機部材(例えば、金属部材、セラミックス部材)などが挙げられる。第1部材と第2部材に加えて、さらに他の部材を本発明の積層フィルムを用いて接合してもよい。すなわち、本発明の積層フィルムによって接合される部材は、少なくとも2つである。他の部材を構成する素材についても、第1部材と第2部材と同種であってもよいし、異種であってもよく、また、熱溶着によって接合される際には、溶融状態であってもよいし、固体であってもよい。
本発明の積層フィルムを用いて2つ以上の部材を接合する態様は、積層フィルムを介して2つ以上の部材が接合されるものであれば特に制限されないが、例えば接合される部材が3つの場合であれば、第1部材/積層フィルム/第2部材/積層フィルム/他の部材を順に積層する態様や、積層フィルムの一方の面に第1部材及び他の部材を並べて配置し、この積層フィルムの他方の面に第2部材を配置し、1枚の積層フィルムを介して3つの部材を接合する態様などが挙げられる。また、積層フィルムは、第1部材と第2部材の間の全面に存在してこれらの部材を接合してもよいし、第1部材と第2部材の間の一部に存在してこれらの部材を接合してもよい。
これらの部材は、必要に応じて、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤(顔料、染料など)などの各種添加剤を含んでいてもよい。
部材を構成する素材の具体例としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ABS樹脂などの樹脂;アルミニウム、鉄、ステンレス鋼、銅、亜鉛、銀、金、マグネシウム、チタン、真鍮、ニッケル、またはこれらのうち少なくとも1種を含む合金などの金属;ガラス、アルミナ、ジルコニアなどのセラミックス;ガラス繊維強化プラスチック、カーボン繊維強化プラスチック、アラミド繊維強化プラスチックなどの繊維強化プラスチックなどが挙げられる。樹脂の中でも、特に、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エポキシ樹脂、ABS樹脂などが好ましい。また、金属の中でも、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼、チタン、真鍮、ニッケルなどが好ましい。セラミックスの中でも、ガラスが好ましい。
本発明の積層フィルム10によって熱溶着される第1部材と第2部材の好ましい組み合わせとしては、例えば、樹脂部材と金属部材との組み合わせ、樹脂部材と樹脂部材との組み合わせ、樹脂部材とセラミックス部材との組み合わせ、金属部材とセラミックス部材との組み合わせ、金属部材と金属部材との組み合わせ、セラミックス部材とセラミックス部材との組み合わせなどが挙げられる。後述の通り、樹脂部材が溶融樹脂を冷却、固化して得られるものである場合、成形と熱溶着とを1つの工程で行うことが可能となる。
部材の形状や大きさとしては、特に制限されず、部材を接合して製造する成形体に応じた形状及び大きさとすればよい。固体部材の形状としては、例えば、フィルム状、板状、画鋲のようなピン型形状、凹状、凸状、凹凸状等の各種形状の部材などが挙げられる。各種形状の部材は、例えば成形された部材が挙げられる。また、固体部材の厚みとしては、例えば、5μm〜20mm程度が挙げられる。このような形状及び厚みを有する部材を接合する際の成形によって、所望の形状を有する成形体が好適に得られる。本発明において、部材を接合して製造される成形体は、例えば、自動車の内装部材や外装部材などの用途に好適に使用することができる。よって、部材の素材、形状、大きさなども、これら用途に適したものを選択することができる。
2.成形体
本発明の成形体20は、例えば図5の模式図に示されるように、第1部材30及び第2部材40が、本発明の積層フィルム10によって熱溶着されてなることを特徴としている。すなわち、本発明の成形体20は、本発明の積層フィルム10を介して接合状態とされている。本発明の積層フィルム10、第1部材30、及び第2部材40の詳細については、前述の通りである。本発明の成形体20は、積層フィルム10を介して第1部材30と第2部材40が接合された形状を有していればよく、本発明の成形体20は任意の形状とすることができる。例えば、図5には、本発明の成形体20が板状である態様を示している。また、図10には、本発明の成形体20が金型によって変形された態様を示している。
本発明の成形体20は、積層フィルム10を、第1部材30及び第2部材40の間に配置して、第1部材30及び第2部材40を、積層フィルム10を介して熱溶着させることにより製造される。具体的には、第1部材30及び第2部材40の間に積層フィルム10を配置した状態で、加熱・加圧して、積層フィルム10の表面を熱溶融させる。その後、積層フィルム10を冷却することにより、熱溶融した表面を固化させて、積層フィルム10を介して第1部材30及び第2部材40が熱溶着(接合)される。
積層フィルム10を介して、第1部材30及び第2部材40を熱溶着させる際の温度としては、積層フィルム10の表面が熱溶融する温度であれば特に制限されないが、好ましくは140〜280℃程度、より好ましくは160〜250℃程度が挙げられる。また、熱溶着させる際の圧力(面圧)としては、特に制限されないが、好ましくは0.5〜5MPa程度、より好ましくは1〜3MPa程度が挙げられる。なお、熱溶着させる際の加熱・加圧時間としては、通常、5〜30秒間程度である。
本発明において、熱溶着される第1部材30及び第2部材40のうち、少なくとも一方を、溶融樹脂を冷却、固化して形成する場合、成形と熱溶着とを1つの工程で行うことが可能となる。具体的には、積層フィルム10の一方面を1つの固体部材に接触させた状態で、他方面に溶融樹脂を供給して、金型などで溶融樹脂を成形しながら冷却することにより、溶融樹脂の成形と固体部材の熱溶着とを1つの工程で行うことができる。
溶融樹脂を積層フィルム10の表面に供給する際の溶融樹脂の温度としては、溶融樹脂40aが溶融状態を保つことができる温度であれば特に制限されず、溶融樹脂の種類によっても異なるが、積層フィルム10を介して溶融樹脂40aと固体部材(第1部材30)とを好適に熱溶着させる観点から、好ましくは150〜300℃程度、より好ましくは190〜250℃程度が挙げられる。
溶融樹脂を構成する樹脂としては、熱溶融する樹脂であれば特に制限されないが、積層フィルム10を介して溶融樹脂40aと固体部材(第1部材30)とを好適に熱溶着させる観点から、好ましくは、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ABS樹脂などの樹脂が挙げられる。樹脂の中でも、特に、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エポキシ樹脂、ABS樹脂などが好ましい。
また、熱溶着される第1部材30及び第2部材40のうち、一方が固体部材である場合、例えば図7〜図10の一連の模式図に示されるように、固体部材(第1部材30)に、積層フィルム10の第1熱溶着性樹脂層1を仮着させた状態(図7)で、積層フィルム10の第2熱溶着性樹脂層2側の表面に溶融樹脂40aを供給して(図8)、溶融樹脂40aと固体部材(第1部材30)とを、積層フィルム10を介して熱溶着させることができる(図9、10)。この際にも、図9に示されるように、供給した溶融樹脂を金型60などで成形しながら冷却することにより、成形と熱溶着とを1つの工程で行うことができる。また、図9,10に示されるように、固体部材(第1部材30)が金型60などで成形可能な可撓性を備えている場合には、固体部材(第1部材30)の成形も同時に行うことができる。
3.樹脂部材と固体部材が接合された成形体の製造方法
第1部材30が固体部材31であり、第2部材40が樹脂部材41である場合について、樹脂部材41と固体部材31とが接合された成形体21の製造方法について、以下に詳述する。
成形体21の製造方法は、樹脂部材と固体部材とが接合された成形体を製造する方法であって、固体部材の上に積層フィルムが配置された積層体を準備する工程と、積層体の積層フィルム側の表面に、溶融樹脂を供給する工程と、溶融樹脂を冷却、固化させて、樹脂部材を形成し、前記樹脂部材と前記固体部材とを前記積層フィルムを介して接合する工程とを備えており、積層フィルムとして、少なくとも、その一方側の表面(積層フィルムの一方側の表面)を構成している第1熱溶着性樹脂層と、耐熱性中間層と、第2熱溶着性樹脂層とをこの順に備えているものを用いることを特徴としている。
本発明は、溶融樹脂と固体部材とを接合させて、樹脂部材41と固体部材31とが接合された成形体21(図15の模式図参照)を製造する方法である。成形体21は、本発明の積層フィルム10を介して接合状態とされている。なお、後述の通り、樹脂部材41は、溶融状態の溶融樹脂41aが、積層フィルム10の上で冷却、固化されて、固体となったものである。成形体21は、積層フィルム10を介して樹脂部材41と固体部材31が接合された形状を有していればよく、成形体21の形状は任意の形状とすることができる。例えば、図15には、成形体21が板状である態様を示している。また、図19には、成形体21が金型によって変形された態様を示している。
図16から図19を参照しながら、成形体21の製造方法について、より具体的に説明する。成形体21の製造方法においては、まず、図16に示すように、固体部材31の上に積層フィルム10が配置された積層体を準備する。当該積層体においては、固体部材31上に積層フィルム10が配置されていればよく、積層フィルム10が固体部材31に接着せずに静置されているだけでもよいし、積層フィルム10が固体部材31に剥離可能に接着(仮着)されていてもよいし、積層フィルム10が固体部材31に接合(例えば熱溶着)されていてもよい。本工程において、積層フィルム10が固体部材31に仮着されている場合、固体部材31の上に積層フィルム10の第1熱溶着性樹脂層1を仮着させた積層体を準備することが好ましい。
次に、図17に示されるように、当該積層体の積層フィルム10側の表面に、溶融樹脂41aを供給する。溶融樹脂41aを積層フィルム10の表面に供給する際の溶融樹脂41aの温度としては、溶融樹脂41aが溶融状態を保つことができる温度であれば特に制限されず、溶融樹脂を構成する樹脂の種類によっても異なるが、積層フィルム10を介して溶融樹脂41aと固体部材31とを好適に熱溶着させる観点から、好ましくは150〜300℃程度、より好ましくは190〜250℃程度が挙げられる。
次に、溶融樹脂41aを冷却、固化させて、樹脂部材41を形成する。より具体的には、溶融樹脂41aが積層フィルムの表面に位置する状態で、図18に示されるように、溶融樹脂41aと積層フィルム10と固体部材31とを、金型60などを用いて加熱・加圧して熱溶着させる。このとき、溶融樹脂41aと積層フィルム10との界面は、加熱・加圧後の冷却時に溶融樹脂41aが固化することにより、熱溶着される。また、積層フィルム10と固体部材31との界面は、加熱・加圧後の冷却時に、積層フィルム10の第1熱溶着性樹脂層1側の熱溶融した表面が固化することにより、熱溶着される。なお、積層フィルム10が、固体部材31に熱溶着などによって、予め接合されている場合には、当該工程において、積層フィルム10の第1熱溶着性樹脂層1側の表面を熱溶融させなくてもよい。
これらの工程を経て、図19に示されるような、固体部材31、積層フィルム10、樹脂部材41がこの順に積層された成形体21が得られる。
従来の固体部材同士を接合する方法においては、接合する固体部材31をそれぞれ成形した後、接合する必要があるが、成形体21の製造方法によれば、溶融樹脂41aの成形と、溶融樹脂41aと固体部材31との熱溶着とを同時に行うことができる。
さらに、図16から図19の模式図に示されるように、固体部材31が金型60などで成形可能な可撓性を備えている場合には、溶融樹脂41a及び固体部材31の成形と、溶融樹脂41aと固体部材31との熱溶着とを同時に行うこともできる。このように、成形体21の製造方法によれば、2つ以上の部材の接合と成形を同時に行うことができる。
積層フィルム10を介して、溶融樹脂41aと固体部材31を熱溶着させる際の温度としては、特に制限されないが、積層フィルム10を介して溶融樹脂41aと固体部材31とを好適に熱溶着させる観点から、好ましくは140〜280℃程度、より好ましくは160〜250℃程度が挙げられる。また、熱溶着させる際の圧力(面圧)としては、特に制限されないが、好ましくは0.5〜5MPa程度、より好ましくは1〜3MPa程度が挙げられる。なお、熱溶着させる際の加熱・加圧時間としては、通常、5〜30秒間程度である。
溶融樹脂41aを構成する樹脂としては、熱溶融する樹脂であれば特に制限されないが、積層フィルム10を介して溶融樹脂41aと固体部材31とを好適に熱溶着させる観点から、好ましくは、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ABS樹脂などの樹脂が挙げられる。樹脂の中でも、特に、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エポキシ樹脂、ABS樹脂などが好ましい。
また、固体部材31を構成する素材としては、特に制限されず、前述の溶融樹脂41aを構成する樹脂として例示した樹脂;アルミニウム、鉄、ステンレス鋼、銅、亜鉛、銀、金、マグネシウム、チタン、真鍮、ニッケル、またはこれらのうち少なくとも1種を含む合金などの金属;ガラス、アルミナ、ジルコニアなどのセラミックス;ガラス繊維強化プラスチック、カーボン繊維強化プラスチック、アラミド繊維強化プラスチックなどの繊維強化プラスチックなどが挙げられる。樹脂の中でも、特に、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エポキシ樹脂、ABS樹脂などが好ましい。また、金属の中でも、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼、チタン、真鍮、ニッケルなどが好ましい。セラミックスの中でも、ガラスが好ましい。
溶融樹脂41aや固体部材31は、それぞれ、必要に応じて、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤(顔料、染料など)などの各種添加剤を含んでいてもよい。
積層フィルム10によって熱溶着される溶融樹脂41aと固体部材31との好ましい組み合わせとしては、例えば、溶融樹脂41aと金属部材との組み合わせ、溶融樹脂41aと樹脂部材との組み合わせ、溶融樹脂41aとセラミックス部材との組み合わせなどが挙げられる。
溶融樹脂によって形成される樹脂部材及び固体部材の形状や大きさとしては、それぞれ、特に制限されず、溶融樹脂と固体部材を接合して製造する成形体21に応じた形状及び大きさとすればよい。樹脂部材及び固体部材の形状としては、それぞれ、例えば、フィルム状、板状、画鋲のようなピン型形状、凹状、凸状、凹凸状等の各種形状の部材などが挙げられる。各種形状の部材は、例えば成形された部材が挙げられる。また、部材の厚みとしては、例えば、5μm〜20mm程度が挙げられる。このような形状及び厚みを有する部材を接合する際の成形によって、所望の形状を有する成形体21が好適に得られる。本発明において樹脂部材及び固体部材接合して製造される成形体21は、例えば、自動車の内装部材や外装部材などの用途に好適に使用することができる。よって、樹脂部材及び固体部材の素材、形状、大きさなども、これら用途に適したものを選択することができる。
成形体21の製造方法においては、積層フィルム10を用いて溶融樹脂41aと固体部材31とを熱溶着させる。積層フィルム10については、前記したものと同じである。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例において、樹脂の軟化点は、以下の方法により測定した値である。
(軟化点の測定)
加熱機構付きのカンチレバー(プローブ)を取り付けられる原子間力顕微鏡を用いたプローブの変位量測定を用いて、軟化点を測定する。まず、積層フィルムの断面の耐熱性中間層の表面にプローブを設置する。このときの断面は、積層フィルムの中心部を通るように厚さ方向に切断して得られた、耐熱性中間層の断面が露出した部分である。切断は、市販品の回転式ミクロトームなどを用いて行う。加熱機構付きのカンチレバー(プローブ)を取り付けられる原子間力顕微鏡を使用し、ANASIS INSTRUMENTS社製のafm plusシステムを用い、プローブとしてはカンチレバーThermaLever AN2−200(ばね定数0.5〜3N/m)を使用する。プローブの先端半径は30nm以下、プローブのディフレクション(Deflection)の設定値は−4V、昇温速度5℃/分とする。次に、この状態でプローブを加熱すると、プローブからの熱により、耐熱性中間層の表面が膨張して、プローブが押し上げられ、プローブの位置が初期値(プローブの温度が40℃である時の位置)よりも上昇する。さらに温度が上昇すると、耐熱性中間層が軟化し、プローブが耐熱性中間層に突き刺さり、プローブの位置が下がる。なお、プローブの変位量測定においては、測定対象となる積層フィルムは室温(25℃)環境にあり、40℃に加熱されたプローブを耐熱性中間層の表面に設置して、測定を開始する。耐熱性中間層の軟化点は、プローブの変位量測定において、プローブのディフレクションが最大となった時の温度である。耐熱性中間層の軟化点の測定においては、測定対象とする耐熱性中間層の5つのサンプルについて、プローブのディフレクションが最大となった時の温度を読み取り、5つの温度の最大値と最小値を除いた3つの温度の平均値を、軟化点とする。
第1熱溶着性樹脂層の軟化点の測定においては、積層フィルムの第1熱溶着性樹脂層の主面1a(具体的には、第1熱溶着性樹脂層の耐熱性中間層側とは反対側の面、図14を参照)の表面にプローブを設置して、耐熱性中間層の軟化点の測定と同様にして測定を行う。第2熱溶着性樹脂層の軟化点の測定においては、保護フィルムの断面の第2熱溶着性樹脂層の表面にプローブを設置して、耐熱性中間層の軟化点の測定と同様にして測定を行う。
<積層フィルムの製造>
(実施例1)
耐熱性中間層としてのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(厚さ12μm、軟化点160℃以上)の一方の面に、粘着成分と無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂を含む熱溶着性樹脂組成物を、Tダイ押出機で厚さ30μmに押出し塗布し、第1熱溶着性樹脂層(粘着性PEa、軟化点54℃)を形成した。次に、耐熱性中間層の他方の面に、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を、Tダイ押出機で厚さ30μmに押出し塗布し、第2熱溶着性樹脂層(PPa、軟化点75℃)を形成し、粘着成分を含む第1熱溶着性樹脂層(粘着性PEa、厚さ30μm)/耐熱性中間層(PEN、厚さ12μm)/第2熱溶着性樹脂層(PPa、厚さ30μm)がこの順に積層された積層フィルムを得た。
(実施例2)
耐熱性中間層として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ12μm、軟化点160℃以上)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着成分を含む第1熱溶着性樹脂層(粘着性PEa、30μm)/耐熱性中間層(PET、厚さ12μm)/第2熱溶着性樹脂層(PPa、厚さ30μm)がこの順に積層された積層フィルムを得た。
(実施例3)
耐熱性中間層として、ポリイミド(PI)フィルム(厚さ12μm、軟化点160℃以上)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着成分を含む第1熱溶着性樹脂層(粘着性PEa、30μm)/耐熱性中間層(PI、厚さ12μm)/第2熱溶着性樹脂層(PPa、厚さ30μm)がこの順に積層された積層フィルムを得た。
(実施例4)
耐熱性中間層として、ポリフェニレンサルファイド(PPS)系樹脂からなる不織布(目付け15g/m2、厚さ25μm、軟化点160℃以上)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着成分を含む第1熱溶着性樹脂層(粘着性PEa、厚さ30μm)/耐熱性中間層(PPS不織布、目付け15g/m2、厚さ25μm)/第2熱溶着性樹脂層(PPa、厚さ30μm)がこの順に積層された積層フィルムを得た。
(実施例5)
耐熱性中間層として、アラミド繊維からなる不織布(目付け15g/m2、厚さ50μm、軟化点160℃以上)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着成分を含む第1熱溶着性樹脂層(粘着性PEa、厚さ30μm)/耐熱性中間層(アラミド繊維不織布、目付け15g/m2、厚さ50μm)/第2熱溶着性樹脂層(PPa、厚さ30μm)がこの順に積層された積層フィルムを得た。
(実施例6)
耐熱性中間層として、ビニロン繊維からなる不織布(目付け12g/m2、厚さ60μm、軟化点160℃以上)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着成分を含む第1熱溶着性樹脂層(粘着性PEa、厚さ30μm)/耐熱性中間層(ビニロン繊維不織布、目付け12g/m2、厚さ60μm)/第2熱溶着性樹脂層(PPa、厚さ30μm)がこの順に積層された積層フィルムを得た。
(実施例7)
耐熱性中間層として、ポリアリレート繊維からなる不織布(目付け14g/m2、厚さ60μm、軟化点160℃以上)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着成分を含む第1熱溶着性樹脂層(粘着性PEa、厚さ30μm)/耐熱性中間層(ポリアリレート繊維不織布、目付け14g/m2、厚さ60μm)/第2熱溶着性樹脂層(PPa、厚さ30μm)がこの順に積層された積層フィルムを得た。
(実施例8)
耐熱性中間層として、ポリアリレート繊維からなる不織布(目付け9g/m2、厚さ45μm、軟化点160℃以上)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着成分を含む第1熱溶着性樹脂層(粘着性PEa、厚さ30μm)/耐熱性中間層(ポリアリレート繊維不織布、目付け9g/m2、厚さ45μm)/第2熱溶着性樹脂層(PPa、厚さ30μm)がこの順に積層された積層フィルムを得た。
(実施例9)
耐熱性中間層としてのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(厚さ12μm、軟化点160℃以上)の一方の面に、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を、Tダイ押出機で厚さ30μmに押出し塗布し、熱可塑性樹脂層(PPa、軟化点75℃)を形成した。次に、熱可塑性樹脂層の表面に、粘着成分と無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂を含む熱溶着性樹脂組成物を、Tダイ押出機で厚さ30μmに押出し塗布し、第1熱溶着性樹脂層(粘着性PEa、軟化点54℃)を形成した。次に、耐熱性中間層の他方の面に、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を、Tダイ押出機で厚さ30μmに押出し塗布し、第2熱溶着性樹脂層(PPa、軟化点75℃)を形成し、粘着成分を含む第1熱溶着性樹脂層(粘着性PEa、厚さ30μm)/熱可塑性樹脂層(PPa、厚さ30μm)/耐熱性中間層(PEN、厚さ12μm)/第2熱溶着性樹脂層(PPa、厚さ30μm)がこの順に積層された積層フィルムを得た。
(実施例10)
耐熱性中間層としてのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(厚さ12μm、軟化点160℃以上)の一方の面に、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を、Tダイ押出機で厚さ30μmに押出し塗布し、第1熱溶着性樹脂層(PPa、軟化点75℃)を形成した。次に、耐熱性中間層の他方の面に、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を、Tダイ押出機で厚さ30μmに押出し塗布し、第2熱溶着性樹脂層(PPa、軟化点75℃)を形成し、第1熱溶着性樹脂層(PPa、厚さ30μm)/耐熱性中間層(PEN、厚さ12μm)/第2熱溶着性樹脂層(PPa、厚さ30μm)がこの順に積層された積層フィルムを得た。
(比較例1)
未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP、厚さ50μm、軟化点84℃)を熱溶着性フィルムとした。
(比較例2)
無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂フィルム(PPa、厚さ50μm、軟化点75℃)を熱溶着性フィルムとした。
<プローブの変位量測定>
加熱機構付きのカンチレバー(プローブ)を取り付けられる原子間力顕微鏡を用いたプローブの変位量測定において、実施例1〜10で用いた耐熱性中間層は全て、測定開始時のプローブのディフレクションの設定値−4V、昇温速度5℃/分の条件で、プローブを40℃から220℃まで加熱した際に、少なくとも160℃までは、積層フィルムの断面の耐熱性中間層の表面に設置したプローブの位置が初期値(プローブの温度が40℃である時の位置)よりも低下しなかった。なお、プローブの変位量測定は、加熱機構付きのカンチレバー(プローブ)を取り付けられる原子間力顕微鏡として、ANASIS INSTRUMENTS社製のafm plusシステムを用い、プローブとしてはカンチレバーThermaLever AN2−200(ばね定数0.5〜3N/m)を使用して行った。また、プローブの先端半径は30nm以下、プローブのディフレクション(Deflection)の設定値は−4V、昇温速度5℃/分とした。プローブの変位量測定の詳細については、前述の通りである。
<熱収縮率の測定>
JIS K 7133:1999の規定に準拠した方法において、試験温度200℃、加熱時間10秒間の条件で、上記で得られた各積層フィルム(各熱溶着性フィルム)の熱収縮率を測定した。結果を表1に示す。
<シール強度の測定>
上記で得られた各積層フィルム(熱溶着性フィルム)のそれぞれの面と、表1に記載の各部材とのシール強度(N/15mm)を測定した。具体的には、まず、各積層フィルムを長さ方向(y方向)50mm×幅方向(x方向)25mmのサイズに切り出した。次に、図6に示されるように、実施例1〜9の各積層フィルム10の第1熱溶着性樹脂層(粘着性PEa)または第2熱溶着性樹脂層(PPa)と、各部材50とを、7mmの奥行(y方向)でヒートシール(ヒートシール条件:温度190℃、面圧1MPa、加圧時間5秒)して試験サンプルを得た。図6の模式図において、破線で囲まれた領域Sが、ヒートシールされた領域を示している。なお、ヒートシールする領域以外の部分には、離型シートを挟み、7mmの奥行でヒートシールされるようにした。次に、幅方向(x方向)15mmでのシール強度(N/15mm)が測定できるように、試験サンプルを図6(a)に示されるように15mm幅に裁断した。次に、引張試験機を用いて、図6(b)に示されるように、固定された部材50から、長さ方向(y方向)に積層フィルム10を剥離した。このとき、剥離速度は300mm/minとし、剥離されるまでの最大荷重をシール強度(N/15mm)とした。結果を表1に示す。なお、部材としては、樹脂部材については厚さ4mm、金属部材またはセラミックス部材については厚さ0.5mmのものを用いた。各シール強度は、それぞれ、同様にして3つの試験サンプルを作製して測定された平均値(n=3)である。
比較例1〜2の各熱溶着性フィルムは、単層フィルム(CPPまたはPPa)であり、また、実施例10の積層フィルムは、両面とも無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂により構成された第1熱溶着性積層(PPa)及び第2熱溶着性積層(PPa)であるため、比較例1〜2及び実施例10では、片面についてのみ、実施例1〜9と同様にしてシール強度(N/15mm)を測定した。結果を表1に示す。
<熱溶着後の外観>
上記シール強度の測定の際、ヒートシールによる熱溶着後における各積層フィルムの外観を目視で観察して、以下の基準により評価した。このとき、積層フィルムの第1熱溶着性樹脂層と部材との接合面を目視して位置ずれを確認した。結果を表1に示す。
A:皴、位置ずれがなく外観良好
B:皴はないが、位置ずれあり
C:皴、位置ずれがあり外観不良
<剪断強度の測定>
実施例9及び実施例10の各積層フィルムを用いて、以下の条件により、ポリプロピレン(日立化成株式会社製のコウベポリシートPP−N−BN)とアルミニウム(JIS H 4000:2014のA1100、算術平均粗さRa=1.5μm)とを熱溶着させて得られた成形体の剪断強度(MPa)を測定した。剪断強度の測定は、ISO19095−2及びISO19095−3の規定に準拠した方法で測定した。アルミニウム及びポリプロピレンのサイズは、それぞれ、長さ45mm×幅10mm×厚み1.5mmとした。また、実施例9及び実施例10の各積層フィルムは、長さ5mm×幅10mmとした。図11に示されるように、ポリプロピレン70とアルミニウム80の長さ方向の端部において、ポリプロピレン70とアルミニウム80の間に、積層フィルム10を配置して、温度190℃、面圧1.5MPa、20秒間の条件で、ポリプロピレン70とアルミニウム80とを積層フィルム10を介して熱溶着させて成形体を得た。また、積層フィルム10の両面全体がヒートシールされるように配置した(すなわち、ヒートシール面積は、片面が長さ5mm×幅10mm)。なお、図11には図示していないが、ポリプロピレン70とアルミニウム80とが互いに平行な状態で接合されたものについて測定を行うために、ポリプロピレン70及びアルミニウム80は、それぞれ、補整部材を用いて高さを調整して接合した。ポリプロピレン70の高さを調整する補整部材は、ポリプロピレン70と同じ材質、形状の部材を用い、アルミニウム80の高さを調整する補整部材は、アルミニウム80と同じ材質、形状の部材を用いた。次に、引張試験機を用いて、成形体を長さ方向に引張り(引張り速度は、10mm/min)、成形体の層間剥離または破断が生じるまでの最大荷重(N)を測定し、これをヒートシール面積(長さ5mm×幅10mm)で除して、剪断強度(MPa)を算出した。その結果、実施例9の積層フィルムを用いた場合には剪断強度が4.4MPa、実施例10の積層フィルムを用いた場合には剪断強度が13.9MPaであった。
Figure 0006763021
*1 表1において、比較例1〜2では、第1熱溶着性樹脂層または第2熱溶着性樹脂層と、部材との熱溶着ではなく、それぞれ、未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)または無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂フィルム(PPa)と、部材との熱溶着の結果を示している。
表1において、「粘着性PEa」は、粘着成分を含む無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂組成物により構成された第1熱溶着性樹脂層を意味し、「PPa」は、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂により構成された層(第1熱溶着性樹脂層、第2熱溶着性樹脂層、熱可塑性樹脂層、または無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂フィルム)を意味する。また、「PEN」はポリエチレンナフタレート、「PET」はポリエチレンテレフタレート、「PI」はポリイミド、「PPS不織布」はポリフェニレンサルファイド(PPS)系樹脂からなる不織布、「CPP」は未延伸ポリプロピレン、「PP」はポリプロピレン、「Epoxy」はエポキシ樹脂、「PE」はポリエチレン、「AL」はアルミニウム、「ABS」はアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、「SUS」はステンレス鋼、「CFRP」はカーボン繊維強化プラスチックを意味する。
実施例1〜10の積層フィルムは、それぞれ少なくとも、第1熱溶着性樹脂層と、耐熱性中間層と、第2熱溶着性樹脂層とをこの順に備えており、2つ以上の部材を好適に熱溶着させることができた。より具体的には、実施例1〜10の積層フィルムは、種々の樹脂部材と固体部材とを好適に熱融着させることができた。
1 第1熱溶着性樹脂層
2 第2熱溶着性樹脂層
3 耐熱性中間層
4 熱可塑性樹脂層
10 積層フィルム
20 成形体
21 成形体
30 第1部材
31 固体部材
40 第2部材
41 樹脂部材
40a 溶融樹脂
41a 溶融樹脂
50 部材
60 金型
70 ポリプロピレン
80 アルミニウム
90 プローブ
S ヒートシールされた領域
P 積層フィルムの断面の耐熱性中間層の表面の位置

Claims (7)

  1. 樹脂部材と固体部材とが接合された成形体を製造する方法であって、
    前記固体部材の上に積層フィルムが配置された積層体を準備する工程と、
    前記積層体の前記積層フィルム側の表面に、溶融樹脂を供給する工程と、
    前記溶融樹脂を冷却、固化させて、前記樹脂部材を形成し、前記樹脂部材と前記固体部材とを前記積層フィルムを介して接合すると同時に前記固体部材を金型で成形する工程と、
    を備えており、
    前記固体部材は、前記金型で成形可能な可撓性を備えており、
    前記固体部材を構成する素材は、樹脂または金属であり、
    前記樹脂により構成された前記固体部材の厚みは5μm以上4mm以下であり、
    前記金属により構成された前記固体部材の厚みは5μm以上0.5mmであり、
    前記積層フィルムとして、少なくとも、第1熱溶着性樹脂層と、耐熱性中間層と、第2熱溶着性樹脂層とをこの順に備えているものを用い
    前記耐熱性中間層は、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリフェニレンサルファイド系樹脂からなる不織布、アラミド繊維からなる不織布、ビニロン繊維からなる不織布、又はポリアリレート繊維からなる不織布である、成形体の製造方法。
  2. 樹脂部材と固体部材とが接合された成形体を製造する方法であって、
    前記固体部材の上に積層フィルムが配置された積層体を準備する工程と、
    前記積層体の前記積層フィルム側の表面に、溶融樹脂を供給する工程と、
    前記溶融樹脂を冷却、固化させて、前記樹脂部材を形成し、前記樹脂部材と前記固体部材とを前記積層フィルムを介して接合する工程と、
    を備えており、
    前記積層フィルムとして、少なくとも、第1熱溶着性樹脂層と、耐熱性中間層と、第2熱溶着性樹脂層とをこの順に備えているものを用い、
    前記耐熱性中間層は、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリフェニレンサルファイド系樹脂からなる不織布、アラミド繊維からなる不織布、ビニロン繊維からなる不織布、又はポリアリレート繊維からなる不織布であり、
    前記積層フィルムの前記第1熱溶着性樹脂層が、粘着性を有しており、
    前記積層体を準備する工程において、前記固体部材の上に、前記積層フィルムの前記第1熱溶着性樹脂層を剥離可能に接着させた前記積層体を準備する、成形体の製造方法。
  3. 前記第1熱溶着性樹脂層を構成している樹脂は、ポリオレフィン骨格を有している、請求項1又は2に記載の成形体の製造方法。
  4. 前記積層フィルムの前記第1熱溶着性樹脂層が、変性ポリオレフィンを含む、請求項1〜のいずれかに記載の成形体の製造方法。
  5. 前記積層フィルムの前記第1熱溶着性樹脂層を赤外分光法で分析すると、無水マレイン酸に由来するピークが検出される、請求項1〜のいずれかに記載の成形体の製造方法。
  6. 第1部材と第2部材を接合させるための積層フィルムであって、
    前記積層フィルムは、少なくとも、第1熱溶着性樹脂層と、耐熱性中間層と、第2熱溶着性樹脂層とをこの順に備えており、
    前記耐熱性中間層は、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリフェニレンサルファイド系樹脂からなる不織布、アラミド繊維からなる不織布、ビニロン繊維からなる不織布、又はポリアリレート繊維からなる不織布であり、
    前記第1部材が固体部材であり、
    前記固体部材は、金型で成形可能な可撓性を備えており、
    前記固体部材を構成する素材は、樹脂または金属であり、
    前記樹脂により構成された前記固体部材の厚みは5μm以上4mm以下であり、
    前記金属により構成された前記固体部材の厚みは5μm以上0.5mmであり、
    前記第1部材に、前記積層フィルムの前記第1熱溶着性樹脂層が接するように積層させた状態で、前記積層フィルムの前記第2熱溶着性樹脂層側に、溶融樹脂を供給し、前記溶融樹脂を冷却により固化して前記第2部材である樹脂部材として、前記第1部材と前記第2部材とを、前記積層フィルムを介して接合させると同時に前記第1部材を前記金型で成形するために用いられる、積層フィルム。
  7. 前記第1部材と前記第2部材が、請求項に記載の積層フィルムを介して接合状態とされている、成形体。
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