JP6762748B2 - 液体吐出装置および予備吐出方法 - Google Patents

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本発明は、液体吐出装置および予備吐出方法に関し、詳しくは、予備吐出によって液体吐出ヘッドの吐出口内の増粘した、インク等の液体を排出する技術に関するものである。
インクジェット記録装置では、液体吐出ヘッドから記録に関与しない液体吐出である予備吐出が行われる。この予備吐出を行うことによって、液体吐出ヘッドの吐出性能を回復し、また良好に維持することができる。
ところで、吐出口に対応した、液体に吐出圧力を作用させる圧力室に対して液体を循環させる構造の液体吐出ヘッドが知られている(例えば、特許文献1)。このような循環方式の液体吐出ヘッドによれば、例えば、液体吐出ヘッドによって記録を行っている間に、吐出を行っていない吐出口の圧力室に液体の流れを生じさせることができ、これによって、吐出口内で増粘したインクの粘度を低下させることが可能となる。
特許第5369176号公報
しかしながら、循環方式の液体吐出ヘッドでは、上述した予備吐出によっては排出できない程度の液体の増粘を生じる場合がある。例えば、液体を循環させる方式は、固形分を多く含む液体を吐出する液体吐出装置に用いられることが多く、このような液体は液体の増粘の影響が大きく、吐出動作では吐出口から液体を排出できない程の粘度上昇を招き易い。また、循環を停止している間に液体が増粘し、吐出動作では液体を排出できなくなる場合もある。
本発明は、循環方式の液体吐出ヘッドにおいて、予備吐出単独では排出できない程度の増粘が生じてもそれを排出することが可能な液体吐出装置および予備吐出方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、液体を吐出するための圧力を作用する圧力室と、該圧力室に連通する吐出口と、前記圧力室に連通する第1および第2の流路とを備えた液体吐出ヘッドを用い、前記液体吐出ヘッドの吐出口から液体を吐出させる液体吐出装置であって、前記第1の流路を介して前記圧力室に液体を供給させるとともに前記第2の流路を介して前記圧力室から液体を回収させる液体流通手段と、液体吐出ヘッドから当該液体吐出ヘッドの本吐出動作とは異なる予備吐出動作を行う予備吐出手段と、前記液体流通手段による前記圧力室に対する液体の流通が行われた後または前記液体の流通が行われている間に、前記予備吐出手段による予備吐出動作の少なくとも一部を行わせる予備吐出制御手段と、を具え、前記液体流通手段による前記圧力室に対する液体の流通は、前記圧力室に対する液体の循環による液体の流通であり、前記液体流通手段は、予備循環と本循環を行い、前記予備循環と前記本循環とは、前記液体の移動方向が逆であり、前記予備循環と前記本循環の間に、前記液体の移動方向を逆にする逆転工程があり、前記予備吐出制御手段は、前記逆転工程の前に、前記予備吐出動作を開始することを特徴とする。
以上の構成によれば、循環方式の液体吐出ヘッドなどにおいて、予備吐出単独では排出できない程度の増粘が生じてもそれを排出することが可能となる。
本発明の液体吐出装置の一実施形態であるインクジェット記録装置の概略構成を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態の記録装置におけるインクの循環経路を示す模式図である。 (a)および(b)は、実施形態に係る液体吐出ヘッドの構成を示す斜視図である。 実施形態の液体吐出ヘッドを構成する各部品またはユニットの分解斜視図である。 (a)〜(f)は、実施形態の第1〜第3流路部材の各流路部材の表面と裏面を示した図である。 実施形態の第1〜第3流路部材を接合して形成される流路部材内の流路を第1の流路部材の、吐出モジュールが搭載される面側から一部を拡大してみた透視図である。 図6のE−E線における断面を示す断面図である。 (a)および(b)は、実施形態の吐出モジュールを説明する図である。 (a)〜(c)は、実施形態の記録素子基板の構造を説明する図である。 (a)〜(c)は、実施形態の記録素子基板内での液体の流れを説明する図である。 実施形態に係る、隣り合う2つの吐出モジュールにおける、記録素子基板の隣接部を部分的に拡大して示す平面図である。 本発明の第1実施形態に係る予備吐出動作を示すフローチャートである。 第1実施形態に係る予備吐出動作のタイミングチャートである。 (a)〜(f)は、本実施形態の予備吐出動作の際のインクの挙動を示す図である。 本発明の実施形態の変形例に係る記録装置におけるインクの循環経路を示す模式図である。 本発明の第2実施形態に係る予備吐出動作を示すフローチャートである。 第2実施形態に係る予備吐出動作のタイミングチャートである。 本発明の第3実施形態に係る記録装置におけるインクの循環経路を示す模式図である。 第3実施形態に係る予備吐出動作を示すフローチャートである。 第3実施形態に係る予備吐出動作のタイミングチャートである。 (a)〜(f)は、第3実施形態の予備吐出動作の際のインクの挙動を示す図である。 (a)および(b)は、第3実施形態の予備循環工程で用いる第二循環ポンプを示す模式図である。 本発明の第4実施形態に係る予備吐出動作のタイミングチャートである。 本発明の第5実施形態に係る予備吐出動作のタイミングチャートである。 本発明の第6実施形態に係る予備吐出動作のタイミングチャートである。 (a)〜(f)は、第6実施形態の予備吐出動作の際のインクの挙動を示す図である。 本発明の第7実施形態に係る予備吐出動作のタイミングチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の説明は本発明の範囲を限定するものではない。一例として、以下の説明では、液体の吐出に利用するエネルギーを発生する記録素子として発熱素子を使用し、熱によって圧力室内の液体に気泡を発生させて吐出口から液体を吐出させるいわゆるサーマル方式の液体吐出ヘッドを例に挙げて説明する。しかしながら、本発明が適用可能な液体吐出ヘッドはサーマル方式のものに限られるものではなく、圧電素子を使用するピエゾ方式や、その他の各種の液体吐出方式を採用する液体吐出ヘッドにも本発明を適用することができる。
さらに、以下の説明では、液体吐出ヘッドが、記録媒体の幅に対応した長さを有するいわゆるライン型のヘッドとして構成されているものとする。しかしながら、主走査方向および副走査方向への走査によって記録媒体における記録を完成させる、いわゆるシリアル型の液体吐出ヘッドに対しても本発明を適用することができる。シリアル型の液体吐出ヘッドとしては、例えば、黒色の記録液用及びカラーの記録液用の記録素子基板を各1つずつ搭載する構成のものがあるが、これに限られるものではない。シリアル型の液体吐出ヘッドは、数個の記録素子基板を吐出口列方向に吐出口をオーバーラップさせるよう配置した、記録媒体の幅よりも短いヘッドを構成し、それを記録媒体に対して走査させる形態であってもよい。本発明は、プリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサなどの装置、さらには各種処理装置と複合的に組み合わせた産業記録装置に適用可能である。本発明は例えば、バイオチップ作製、や電子回路印刷、及び半導体ウエハーの回路パターンを形成するためのレジストの塗布などの用途としても用いることができる。
<インクジェット記録装置の構成>
図1は、本発明の液体吐出装置の一実施形態であるインクジェット記録装置1000(以下、記録装置とも称す)の概略構成を示す斜視図である。記録装置1000は、用紙などの記録媒体2を搬送する搬送部1、記録媒体2の搬送方向と略直交する方向に吐出口を配列したライン型の液体吐出ヘッド3とを備える。記録装置1000は、液体吐出ヘッド3に対して複数の記録媒体2を連続もしくは間欠的に搬送して液体吐出ヘッド3からインクを吐出して記録を行う。記録媒体2はカット紙に限らず、連続したロール紙であってもよい。液体吐出ヘッド3は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の液体(インク)それぞれの吐出口列を備え、これにより、カラー記録を可能とする。後述するように液体を液体吐出ヘッドには、インクを供給する供給路である液体供給機構、メインタンクおよびバッファタンク(図2参照)が流体的に接続される。また、液体吐出ヘッド3には、液体吐出ヘッド3へ電力および吐出制御信号を伝送する電気制御部が電気的に接続される。吐出ヘッド3内における液体経路および電気信号経路については後述する。
<循環経路>
図2は、本実施形態の記録装置におけるインクの循環経路(液体流通経路)を示す模式図であり、液体吐出ヘッド3を、循環ポンプ1001、バッファタンク1003等に流体的に接続した図である。なお、図2では、説明を簡略化するためにCMYKインクの内の一色のインクが流動する経路のみを示しているが、実際には4色分のインクの循環経路が、液体吐出ヘッド3及び記録装置本体に設けられる。メインタンク1006と接続される、サブタンクとしてのバッファタンク1003はタンク内部と外部とを連通する大気連通口(不図示)を有し、インク中の気泡を外部に排出することができる。バッファタンク1003は、補充ポンプ1005にも接続されている。補充ポンプ1005を駆動することによって、記録動作や、後述される予備吐出や吸引などの回復処理で、体吐出ヘッド3で液体が消費された際に、消費されたインク分をメインタンク1006からバッファタンク1003へ移送する。
循環ポンプ1001は、液体吐出ヘッド3の液体接続部111を介してヘッド3の流路のインクをバッファタンク1003へ移送する。循環ポンプ1001としては、ターボ型ポンプや容積型ポンプなどを用いることができる。具体的には、本実施形態ではダイヤフラムポンプを用いる。
液体吐出ヘッド3には、共通供給流路211と共通回収流路212が設けられ、さらに、これらの共通供流路と共通回収流路との間の、各記録素子基板10内の各吐出口に対応した圧力室を含む流路とそれぞれ連通する個別供給流路213aと個別回収流路213bが設けられている。これにより、共通供給流路211のインクの一部が、記録素子基板10内の流路を通過して共通回収流路212へと流れる流れ(図2の矢印)を生じさせることができる。このようにして、液体吐出ヘッド3では、共通供給流路211及び共通回収流路212内をそれぞれ通過するようにインクを流しつつ、一部のインクが各記録素子基板10内の流路を通過するような流れが発生する。これにより、各記録素子基板10で発生した熱を共通供給流路211および共通回収流路212の流れによって記録素子基板10の外部へ排出することが出来る。また、このような構成により、液体吐出ヘッド3による記録を行っている際に、記録を行っていない吐出口や圧力室においてもインクの流れを生じさせることができるので、その部位におけるインクの増粘を抑制できる。また、増粘したインクやインク中の異物を共通回収流路212へと排出することができる。
<液体吐出ヘッドの構成>
図3(a)および(b)は、本実施形態に係る液体吐出ヘッド3の構成を示す斜視図である。液体吐出ヘッド3は、C、M、Y、Kの4色のインクそれぞれの吐出口列が設けられた記録素子基板10を直線上に15個配列(インラインに配置)したライン型の液体吐出ヘッドである。図3(a)に示すように、液体吐出ヘッド3には各記録素子基板10と、フレキシブル配線基板40および電気配線基板90を介して電気的に接続された信号入力端子91と電力供給端子92を備える。信号入力端子91及び電力供給端子92は記録装置1000の制御部と電気的に接続され、それぞれ、吐出駆動信号及び吐出に必要な電力を記録素子基板10に供給する。電気配線基板90内の電気回路によって配線を集約することで、信号出力端子91及び電力供給端子92の数を記録素子基板10の数に比べて少なくできる。これにより、記録装置1000に対して液体吐出ヘッド3を組み付ける時又は液体吐出ヘッドの交換時に取り外しが必要な電気接続部数が少なくて済む。また、図3(b)に示すように、液体吐出ヘッド3の両端部に設けられた液体接続部111は、記録装置1000の液体供給系と接続される。これにより、図2で上述したように、CMYK4色のインクが記録装置1000の供給系から液体吐出ヘッド3に供給され、また液体吐出ヘッド3内を通ったインクが記録装置1000の供給系へ回収される。このように、各色のインクは、記録装置1000の経路と液体吐出ヘッド3の経路を介して循環可能である。
図4は、本実施形態の液体吐出ヘッド3を構成する各部品またはユニットの分解斜視図である。液体吐出ユニット300、液体供給ユニット220、及び電気配線基板90が筺体80に取り付けられている。液体供給ユニット220には液体接続部111(図2)が設けられるとともに、液体供給ユニット220の内部には、供給されるインク中の異物を取り除くため、液体接続部111の各開口と連通する各色別のフィルタ(不図示)が設けられている。
筐体80は、液体吐出ユニット支持部81及び電気配線基板支持部82とから構成され、液体吐出ユニット300及び電気配線基板90を支持するとともに、液体吐出ヘッド3の剛性を確保している。電気配線基板支持部82は電気配線基板90を支持する為のものであって、液体吐出ユニット支持部81にネジ止めによって固定されている。液体吐出ユニット支持部81は液体吐出ユニット300の反りや変形を矯正して、複数の記録素子基板10の相対位置精度を確保する役割を有し、それにより記録物におけるスジやムラを抑制する。そのため液体吐出ユニット支持部81は、十分な剛性を有することが好ましく、材質としてはSUSやアルミなどの金属材料、もしくはアルミナなどのセラミックが好適である。液体吐出ユニット支持部81には、ジョイントゴム100が挿入される開口83、84が設けられている。液体供給ユニット220から供給される液体はジョイントゴムを介して液体吐出ユニット300を構成する第3流路部材70へと導かれる。
液体吐出ユニット300は、複数の吐出モジュール200、流路部材210からなり、液体吐出ユニット300の記録媒体側の面にはカバー部材130が取り付けられる。ここで、カバー部材130は図4に示すように、長尺の開口131が設けられた額縁状の表面を持つ部材であり、開口131からは吐出モジュール200に含まれる記録素子基板10及び封止材部110(図8)が露出している。開口131の周囲の枠部は、記録待機時に液体吐出ヘッド3をキャップするキャップ部材の当接面としての機能を有する。このため、開口131の周囲に沿って接着剤、封止材、充填材等を塗布し、液体吐出ユニット300の吐出口面上の凹凸や隙間を埋めることで、キャップ時に閉空間が形成されるようにすることが好ましい。
次に、液体吐出ユニット300に含まれる流路部材210の構成について説明する。図4に示すように、流路部材210は第1流路部材50、第2流路部材60、第3流路部材70を積層したものであり、液体供給ユニット220から供給された液体を各吐出モジュール200へと分配し、また吐出モジュール200から環流する液体を液体供給ユニット220へと戻すための流路部材である。流路部材210は液体吐出ユニット支持部81にネジ止めで固定されており、それにより流路部材210の反りや変形が抑制されている。
図5(a)〜(f)は、第1〜第3流路部材の各流路部材の表面と裏面を示した図である。図5(a)は、第1流路部材50の、吐出モジュール200が搭載される側の面を示し、図5(f)は、第3流路部材70の、液体吐出ユニット支持部81と当接する側の面を示している。第1流路部材50と第2流路部材60とは、夫々の流路部材の当接面である図5(b)と図5(c)が対向するように接合し、第2流路部材と第3流路部材とは、夫々の流路部材の当接面である、図5(d)と図5(e)にそれぞれ示す面が対向するように接合する。第2流路部材60と第3流路部材70を接合することにより、夫々の流路部材に形成される共通流路溝62と71とによって、流路部材の長手方向に延在する8本の共通流路が形成される。これにより、色毎に共通供給流路211と共通回収流路212のセットが流路部材210内に形成される(図6参照)。第3流路部材70の連通口72はジョイントゴム100の各穴と連通しており、液体供給ユニット220と流体的に流通している。第2流路部材60の共通流路溝62の底面には連通口61が複数形成されており、第1流路部材50の個別流路溝52の一端部と連通している。第1流路部材50の個別流路溝52の他端部には連通口51が形成されており、連通口51を介して、複数の吐出モジュール200と流体的に連通している。この個別流路溝52により流路部材の中央側へ流路を集約することが可能となる。
第1〜第3流路部材は、液体に対して耐腐食性を有するとともに、線膨張率の低い材質からなることが好ましい。材質としては例えば、アルミナや、LCP(液晶ポリマー)、PPS(ポリフェニルサルファイド)やPSF(ポリサルフォン)を母材としてシリカ微粒子やファイバーなどの無機フィラーを添加した複合材料(樹脂材料)を好適に用いることができる。流路部材210の形成方法としては、3つの流路部材を積層させて互いに接着しても良いし、材質として樹脂複合樹脂材料を選択した場合には、溶着による接合方法を用いてもよい。
次に、図6を用いて流路部材210内の各流路の接続関係について説明する。図6は、本実施形態の第1〜第3流路部材を接合して形成される流路部材210内の流路を第1の流路部材50の、吐出モジュール200が搭載される面側から一部を拡大してみた透視図である。流路部材210には、色毎に液体吐出ヘッド3の長手方向に伸びる共通供給流路211(211a、211b、211c、211d)、及び共通回収流路212(212a、212b、212c、212d)が設けられている。各色の共通供給流路211には、個別流路溝52によって形成される複数の個別供給流路(213a、213b、213c、213d)が連通口61を介して接続されている。また、各色の共通回収流路212には、個別流路溝52によって形成される複数の個別回収流路(214a、214b、214c、214d)が連通口61を介して接続されている。このような流路構成により各共通供給流路211から個別供給流路213を介して、流路部材の中央部に位置する記録素子基板10にインクを集約することが出来る。また記録素子基板10から個別回収流路214を介して、各共通回収流路212にインクを回収することが出来る。
図7は、図6のE−E線における断面を示す断面図である。この図に示すように、それぞれの個別回収流路(214a、214c)は連通口51を介して、吐出モジュール200と連通している。図7では個別回収流路(214a、214c)のみ図示しているが、別の断面においては、図6に示すように個別供給流路213と吐出モジュール200とが連通している。各吐出モジュール200に含まれる支持部材30及び記録素子基板10には、第1流路部材50からのインクを記録素子基板10に設けられる記録素子15(図9)に供給するための流路、および記録素子15に供給した液体の1部または全部を第1流路部材50に回収(環流)するための流路が形成されている。
<吐出モジュール>
図8(a)および(b)は、本実施形態の吐出モジュール200を説明する図であり、図8(a)は、1つの吐出モジュール200の斜視図を、図8(b)はその分解図をそれぞれ示している。吐出モジュール200の製造方法としては、まず記録素子基板10及びフレキシブル配線基板40を、予め液体連通口31が設けられた支持部材30上に接着する。その後、記録素子基板10上の端子16と、フレキシブル配線基板40上の端子41とをワイヤーボンディングによって電気接続し、その後にワイヤーボンディング部(電気接続部)を封止材110で覆って封止する。フレキシブル配線基板40の記録素子基板10と反対側の端子42は、電気配線基板90の接続端子93(図5参照)と電気接続される。支持部材30は、記録素子基板10を支持する支持体であるとともに、記録素子基板10と流路部材210とを流体的に連通させる流路部材である為、平面度が高く、また十分に高い信頼性をもって記録素子基板と接合できるものが好ましい。材質としては例えばアルミナや樹脂材料が好ましい。
<記録素子基板の構造>
図9(a)〜(c)は、本実施形態の記録素子基板の構造を説明する図である。図9(a)は記録素子基板10の吐出口13が形成される側の面の平面図を示し、図9(b)は図9(a)のAで示した部分の拡大図を示し、図9(c)は図9(a)の裏面の平面図を示しえいる。図9(a)に示すように、記録素子基板10の吐出口形成部材12に、各インク色に対応する4列の吐出口列が形成されている。なお、以後、複数の吐出口13が配列される吐出口列が延びる方向を「吐出口列方向」と呼称する。
図9(b)に示すように、各吐出口13に対応した位置には液体を熱エネルギーにより発泡させるための発熱素子である記録素子15が配置されている。隔壁22により、記録素子15を内部に備える圧力室23が区画されている。記録素子15は記録素子基板10に設けられる電気配線(不図示)によって、図9(a)の端子16と電気的に接続されており、記録装置1000の制御回路から、電気配線基板90(図5)及びフレキシブル配線基板40(図8)を介して入力されるパルス信号に基づいて発熱して液体を沸騰させる。この沸騰による発泡の力で液体を吐出口13から吐出する。図9(b)に示すように、各吐出口列に沿って、一方の側には液体供給路18が、他方の側には液体回収路19が延在している。液体供給路18及び液体回収路19は記録素子基板10に設けられた吐出口列方向に伸びた流路であり、それぞれ供給口17a、回収口17bを介して吐出口13と連通している。以上の吐出口ごとに設けられた記録素子15の発熱によって圧力室23でインクに気泡を生じさせ、この気泡の圧力によって対応する吐出口からインクを吐出することができる。
図9(c)図10(a)に示すように、記録素子基板10の、吐出口13が形成される面の裏面にはシート状の蓋部材(カバープレート)20が積層されており、蓋部材20には、後述する液体供給路18及び液体回収路19に連通する開口21が複数設けられている。本実施形態では、液体供給路18の1本に対して3個、液体回収路19の1本に対して2個の開口21が蓋部材20に設けられている。図9(b)に示すように、蓋部材20の夫々の開口21は、図5(a)に示した複数の連通口51と連通している。図10(a)に示すように蓋部材20は、記録素子基板10の基板11に形成される液体供給路18及び液体回収路19の壁の一部を形成する蓋としての機能を有する。蓋部材20は、液体に対して十分な耐食性を有している物が好ましく、また、混色防止の観点から、開口21の開口形状および開口位置には高い精度が求められる。このため蓋部材20の材質として、感光性樹脂材料やシリコン板を用い、フォトリソプロセスによって開口21を設けることが好ましい。このように蓋部材は開口21により流路のピッチを変換するものであり、圧力損失を考慮すると厚みは薄いことが望ましく、フィルム状の部材で構成されることが望ましい。
図10(a)〜(c)は、本実施形態の記録素子基板10内での液体の流れを説明する図である。図10(a)は、図9(a)におけるB−B面での記録素子基板10および蓋部材20の断面を示す斜視図である。記録素子基板10は、Siにより形成される基板11と感光性の樹脂により形成される吐出口形成部材12とが積層されており、基板11の裏面には蓋部材20が接合されている。基板11の一方の面側には記録素子15が形成されており(図9)、その裏面側には、吐出口列に沿って延在する液体供給路19および液体回収路18を構成する溝が形成されている。基板11と蓋部材20によって形成される液体供給路18及び液体回収路19はそれぞれ、流路部材210内の共通供給流路211と共通回収流路212と接続されており、液体供給路18と液体回収路19との間には差圧が生じている。液体吐出ヘッド3の複数の吐出口13から液体を吐出し記録を行っている際に、吐出動作を行っていない吐出口においては、この差圧によって、基板11内に設けられた液体供給路18内のインクは、供給口17a、圧力室22、回収口17bを経由して液体回収路19へ流れる循環流が生じている(図9の矢印Cで示した流れ)。供給口17aと圧力室22との間は第1の流路24a、圧力室22と回収口17bとの間は第2の流路24bで接続されている。この流れによって、記録を休止している吐出口13や圧力室22において、吐出口13からの蒸発によって生じる増粘インクや、泡、異物などを液体回収路19へ回収することができる。また、吐出口13や圧力室22のインクの増粘を抑制することがきる。液体回収路19へ回収されたインクは、蓋部材20の開口21及び支持部材30の液体連通口31(図8b参照)を通じて、流路部材210内の連通口51、個別回収流路214、共通回収流路212の順に回収されて、最終的には記録装置1000の供給経路へと回収される。
すなわち、記録装置本体から液体吐出ヘッド3へ供給されるインクは下記の順に流動し、供給および回収される。インクは、まず液体供給ユニット220の液体接続部111から液体吐出ヘッド3の内部に流入し、ジョイントゴム100、第3流路部材に設けられた連通口72および共通流路溝71、第2流路部材に設けられた共通流路溝62および連通口61、第1流路部材に設けられた個別流路溝52および連通口51の順に供給される。その後、支持部材30に設けられた液体連通口31、蓋部材に設けられた開口21、基板11に設けられた液体供給路18および供給口17aを順に介して圧力室23に供給される。圧力室23に供給されインクのうち、吐出口13から吐出されなかったインクは、基板11に設けられた回収口17bおよび液体回収路19、蓋部材に設けられた開口21、支持部材30に設けられた液体連通口31を順に流れる。その後、第1流路部材に設けられた連通口51および個別流路溝52、第2流路部材に設けられた連通口61および共通流路溝62、第3流路部材70に設けられた共通流路溝71および連通口72、ジョイントゴム100を順に流れて、液体供給ユニットに設けられた液体接続部111から液体吐出ヘッド3の外部へインクが流動する。
<記録素子基板間の位置関係>
図11は、本実施形態に係る、隣り合う2つの吐出モジュールにおける、記録素子基板の隣接部を部分的に拡大して示す平面図である。図9(a)に示すように、本実施形態では略平行四辺形の記録素子基板を用いている。図11に示すように、これらの各記録素子基板10における、吐出口13が配列される各吐出口列(14a〜14d)は、記録媒体の搬送方向に対し一定角度傾くように配置されている。これにより、記録素子基板10同士の隣接部における吐出列は、少なくとも1つの吐出口が記録媒体の搬送方向にオーバーラップするようになっている。図11では、D線上の2つの吐出口が互いにオーバーラップ関係にある。このような配置によって、仮に、記録素子基板10の位置が所定位置から多少ずれた場合でも、オーバーラップする吐出口の駆動制御によって、記録画像の黒スジや白スジを目立たなくするようにすることができる。複数の記録素子基板10を、千鳥配置ではなく、直線上(インライン)に配置した場合においても、図11のような配置構成によって液体吐出ヘッド10の記録媒体の搬送方向の長さの増大を抑えつつ、記録素子基板10同士のつなぎ部における黒スジや白スジ対策を行うことができる。なお、本実施形態では、記録素子基板の主平面は平行四辺形であるが、本発明はこれに限るものではなく、例えば長方形、台形、その他形状の記録素子基板を用いた場合でも、本発明の構成を好ましく適用することができる。
以上説明した構成を有する本実施形態に係る液体吐出装置における予備吐出の実施形態について以下に説明する。
上述したようにインクの循環があると、上述したように、吐出口に連通する圧力室に存在し、吐出されるインクは、粘度の上昇が抑制されたものとなる。しかし、インクの循環が停止された状態では、インクの粘土が増し易くなる。このような増粘したインクを排出する回復処理の一つとして、予備吐出が行われるが、このインク吐出動作だけでは、増粘インクを排出できない程度の増粘があることがある。そこで、本発明の実施形態は、予備吐出単独では排出できない程度の増粘が生じても、その増粘インクを排出することが可能とする、予備吐出の形態に関するものである。
(第1実施形態)
図12は、本発明の第1実施形態に係る予備吐出動作を示すフローチャートであり、図13は、その予備吐出動作のタイミングチャートである。また、図14(a)〜(f)は、本実施形態の予備吐出動作の際のインクの挙動を示す図である。
記録開始信号を受信すると、本動作がスタートし、先ず、予備循環工程を開始する(S101)。具体的には、循環ポンプ1001を動作させて供給口17aと回収口17bの間に差圧を発生させ、各吐出口13に対応する圧力室23にインクの循環を生じさせる。図14(a)は、吐出口13周辺に増粘したインクが溜まっている様子を示している。なお、図では、概念を分かりやすく説明するため、増粘インク4と増粘していない部分に直線的な境界があるかの如く描いているが、当然実際は増粘している部分から増粘していない部分へ連続的に濃度が変わっている。予備循環工程によって、図14(b)に示すように、圧力室23に存在する増粘インク4が回収口17b側へ移動する。
次いで、循環ポンプ1001を停止して予備循環工程を終了する(S102)。その後、予備吐出工程を開始する(S103)。すなわち、それぞれの圧力室23で、ヒータとしての記録素子15に通電することにより発熱させてインクに気泡を生じさせ吐出口13からインクを吐出させる。予備循環工程によって粘度が減少している吐出口13近傍のインクは、図14(c)に示すように、この予備吐出によって吐出することが可能となる。また、図14(c)に示すように、予備吐出工程によって、吐出口13の毛管力によって吐出口へのインク再充填が行われ、供給口17a並びに回収口17bから吐出口13へのインクの流れが生じる。この時、増粘インク4は再び圧力室23近傍に到達するが、図14(d)に示すように、供給口17a側から到達したフレッシュなインクと混じり合うことで、増粘が抑制されたインク5となって吐出される。この予備吐出工程を所定時間実行した後、予備吐出工程を終了する(S104)。すなわち、液体吐出ヘッドの駆動停止中に粘度の増加した圧力室内の液体を、流路に移動させ、その後、記録素子を駆動して粘度の増加した液体を含む液体を吐出口から吐出させる。
なお、本実施形態では、循環ポンプ1001を動作させてから停止するまでの時間は、約0.01秒〜1秒程度である。通常のポンプではこのように非常に短い時間だけ動作させることは容易ではない。このため、図15に示すように、循環ポンプ1001とヘッド3との間に弁1007を設け、循環ポンプ1001を常時動作させたまま、弁1007を比較的短い時間で開閉するようにしてもよい。例えば、予備循環工程時における吐出口13近傍でのインク流速を1mm/s、循環ポンプ1001を動作させてから停止するまでの時間を0.1秒、圧力室23の高さを16μm、圧力室23の幅を30μmとし、増粘インク4が分布する領域を便宜的に圧力室23と一致するとする。この時、吐出口13を通過する流量は、約50pl(ピコリットル)である。そして予備循環工程の前に圧力室23に存在していた増粘インク4は、回収口17bにあり、液体回収路19には到達していない。ここで、予備循環工程を停止し、予備吐出工程を開始し、上記所定時間の予備吐出を行う。一回の吐出あたりの吐出量を約5plとすると、20回吐出することにより、供給口17aから50plの増粘していないインクが再充填され、回収口17bから50plの増粘インクを含むインクが再充填される。
以上のようにして増粘したインクを略総て吐出して排出した後、再び循環ポンプ1001をオンにして、図14(e)に示すように、インクの循環を再開する(S105)。その後、記録動作(本吐出動作)を実行する。この記録動作では、図14(f)に示すように、循環が行われるとともに、記録データに応じたインク吐出が行われる。
以上のように、本発明の第1実施形態の予備吐出制御によれば、予備吐出を行う前に予備循環を行う。これにより、圧力室に存在する増粘したインクは予備循環による増粘インクの移動によってその粘度が低減され、予備吐出によって吐出できる程度の粘度とすることができる。
なお、上記実施形態では、記録開始信号を受信した後に各工程を実行するようにしているが、記録開始信号は、各工程を起動するのに必ずしも必要ではない。例えば、記録とは無関係に増粘したインクを排出する必要がある工程で、本実施形態の各工程を実行するようにしてもよい。
本実施形態のように濃縮したインクは予備吐出によって外部に排出させることが好ましい。それにより液体吐出装置の循環系全体のインクの濃度が高くなるのを抑制できる。そのため、インクの循環を生じさせて濃縮したインクを移動させる際に、濃縮インクが図7に示す第2流路部材60の共通供給流路211もしくは共通回収流路212に到達させないことが好ましい。濃縮インクが共通供給流路211もしくは共通回収流路212内に侵入すると、その後の予備吐出動作を行っても吐出口から濃縮インクを排出させることが困難になるためである。そのため、循環動作により濃縮インクを移動させる場合には、記録素子基板10内での移動にとどめることが好ましい。
(第2実施形態)
図16は、本発明の第2実施形態に係る予備吐出動作を示すフローチャートであり、図17は、第2実施形態に係る予備吐出動作のタイミングチャートである。
記録開始信号を受信すると、本実施形態の予備吐出動作に関する処理が起動され、先ず、予備吐出工程を開始する(S201)。このとき、吐出口13周辺や圧力室23に、予備吐出では吐出排出できない程度の増粘インクが存在する場合は、吐出が行われない。その後、循環ポンプ1001を動作させて供給口17aと回収口17bの間に差圧を発生させ、予備循環工程を開始する(S202)。この予備循環によって、吐出口13周辺の増粘インクは移動する。この際、同時に予備吐出工程を継続していることにより、吐出口13周辺のインクの粘度がある程度下がった時点で、予備吐出によるインクの吐出が始まる。この予備吐出によるインク吐出が可能となった後、循環ポンプ1001を停止して予備循環工程を終了する(S203)。この予備循環工程の終了の際も予備吐工程は継続し、本循環工程が始まると(S204)、予備吐出工程は終了する(S205)。そして、記録動作を行う。
以上の第2実施形態によれば、予備吐出工程が長くなることから予備吐出に供するインク量が増加する。しかし、予備循環と予備吐出を同時に行うことにより、予備吐出によって吐出できる程度の粘度とすることができるとともに、増粘インクの排出効率を高くすることができる。増粘インクを効率よく排出することで、インク循環系全体の濃度が高くなるのを抑制することも可能になる。
(第3実施形態)
図18は、本発明の第3実施形態に係る記録装置におけるインクの循環経路を示す模式図である。本実施形態の循環経路が第1実施形態と異なる点は、本実施形態の循環経路が第二循環ポンプ1002を有する点である。本実施形態の循環経路において、循環ポンプ1001を停止して第二循環ポンプ1002を動作させると、ヘッド3内のインクの循環方向(移動方向)を逆転することができる。具体的には、第二循環ポンプ1002を動作させることにより、ヘッド3における供給口17aと回収口17bに差圧を発生させる。第1および第2実施形態では、循環ポンプ1001の動作によって、回収口17bを供給口17aより相対的に低圧にすることによって、供給口17aから回収口17bへ向かうインクの流れ(順方向循環流)を生じさるものである。これに対し、本実施形態では、第二循環ポンプ1002の動作によって、供給口17aを回収口17bより相対的に低圧にすることによって、回収口17bから供給口17aに向かうインクの流れ(逆方向循環流)を生じさせることができる。
図19は、発明の第3実施形態に係る予備吐出動作を示すフローチャートであり、図20は、第3実施形態に係る予備吐出動作のタイミングチャートである。また、図21(a)〜(f)は、本実施形態の予備吐出動作の際のインクの挙動を示す図である。
記録開始信号を受信すると、本処理が開始され、先ず、第二循環ポンプ1002を動作させ、循環ポンプ1001による循環とは逆方向の予備循環工程を開始する(S301)。この工程によって、図21(a)に示すように吐出口13の周辺に存在している増粘インク4は、図21(b)に示すように、供給口17a側へ移動する。その後、第二循環ポンプを停止し予備循環工程を終了する(S302)。そして、この予備循環を停止する工程の間に予備吐出工程を開始する(S303)。この予備循環と予備吐出(図21(c))によって、図21(d)に示すように、増粘インク4の粘度は低下し、予備吐出によってインクを吐出、排出することが可能となる。
予備吐出工程が終了すると(S304)、循環ポンプ1001を動作させ、本循環工程を開始する(S305)。これは、供給口17aから回収口17bへインクが移動する順方向循環である(図21(e))。その後、記録動作を行う(図21(f))。
本実施形態によれば、増粘インクを一旦上流側(供給口17a側)へ循環させた後に、予備吐出によって増粘インクを排出する。これにより、予備吐出によって吐出できる程度の粘度とすることができるとともに、増粘インクの下流側(回収口17b側)への流出を抑制できる。増粘インクの下流側への流出を防止することで、インク循環系全体の濃度が高くなるのを抑制することも可能になる。
なお、逆方向循環の予備循環工程に要する時間は、0.01〜1秒である。このように比較的短い時間だけ動作させる第二循環ポンプ1002としては、図22(a)および(b)に示す構成のものがある。図22(a)に示すように、伸縮性のあるチューブ205の一部を圧迫機251で圧迫する。このとき、チューブ250を潰してしまうとインクが流れなくなるため、チューブ内径を狭める程度に圧迫する。予備循環工程の際は、図22(b)に示すように圧迫機を瞬間的に開放する。これにより、チューブ205は材料の弾性によって元の内径に戻ろうとする。このとき、瞬間的に負圧が発生する。この負圧によって、供給口17aの方が回収口17bに対して相対的に負圧となり、逆方向循環が一時的に発生する。
(第4実施形態)
図23は、本発明の第4実施形態に係る予備吐出動作のタイミングチャートである。本実施形態が上記第3の実施形態と異なる点は、本循環工程が開始された後に、予備吐出工程を終了することである。
循環ポンプ1001や逆方向の循環をする第二循環ポンプ1002を停止させても、吐出口13近傍のインクの動きが完全に停止するには一定の時間を要する場合がある。この場合、一部の増粘インクが回収口17bから下流へ流出する可能性がある。これに対し、本実施形態は、少なくとも本循環工程が開始するまで予備吐出工程を行う。これにより、予備循環工程で逆方向(供給口17a側)へ移動しだしたインクが、第二循環ポンプの停止後もなおしばらく移動し続けたとしても、その後の本循環工程で順方向(回収口17b側)に移動を開始することにより、移動を停止するタイミングがある。このときに予備吐出工程が行われていることにより、より効果的に増粘インクを吐出口13から吐出、排出することができる。増粘インクをより効果的に排出することで、インク循環系全体の濃度が高くなるのを抑制することも可能になる。
(第5実施形態)
図24は、本発明の第5実施形態に係る予備吐出動作のタイミングチャートである。本実施形態は、第3、第4実施形態と異なり、循環ポンプを一つだけ用いて、順方向循環と逆方向循環を切り替える形態に関する。循環ポンプとしては、例えば、チューブポンプを用意することができる。図24に示すように、予備循環工程で逆方向循環を行い、その後、順方向循環に切り替える。この切替によって、吐出口13近傍を流れるインクは、逆方向から順方向へ流れを転じる。これを逆転工程(期間)とする。逆転工程の後、予備吐出工程を実施する。
このように、逆方向循環から順方向循環に切り替えることにより、停止工程の時間を短くし、記録工程までの時間を短縮することが可能となる。
(第6実施形態)
図25は、本発明の第6実施形態に係る予備吐出動作のタイミングチャートであり、図26(a)〜(f)は、第6実施形態の予備吐出動作の際のインクの挙動を示す図である。
本実施形態では、図25に示すように、記録開始信号を受信した後、予備吐出工程を開始する。このとき、吐出口13周辺に予備吐出単独では吐出、排出できない程度に増粘したインクが存在する可能性があり、その場合には、図26(a)に示すように、予備吐出を行ってもインク滴は吐出されない。その後、循環ポンプ1001を動作させて供給口17aと回収口17bの間に差圧を発生させる(図25の循環工程)。この循環によって、図26(b)に示すように、吐出口13周辺の増粘インクは移動する。このとき、予備吐出工程を継続して実施していることにより、図26(c)に示すように、吐出口13周辺のインクの粘度がある程度低下した時点でインクが吐出される。この後、インクの流れは供給口17a及び回収口17bから吐出口13へ向かって流れる。
ある程度予備吐出を継続し、増粘したインクを十分吐出した後(図26(d))、予備吐出工程を停止する。この結果、図26(e)に示すように、インクは、再び供給口17aから回収口17bへの方向へ流れる。
以上の第6実施形態によれば、循環ポンプの切り替え動作を必要としないため、インク循環系の構成を簡素化できる利点がある。
(第7実施形態)
図27は、本発明の第7実施形態に係る予備吐出動作のタイミングチャートである。本実施形態は、循環ポンプを一つ用い、そのポンプで順方向循環と逆方向循環を切り替える形態である。循環ポンプとしては、例えばチューブポンプを用いることができる。図27に示すように、予備循環工程は、逆方向循環を実施し、その後、順方向循環に切り替える。吐出口13近傍を流れるインクは、逆方向から順方向へ流れを転じる。これを逆転工程とする。本実施形態では、予備吐出工程を、逆転工程の前から開始する。
以上の実施形態によれば、逆方向循環から順方向循環に切り替えることにより、停止工程の時間を短くし、記録動作開始までの時間を短縮することができる。また、予備吐出工程を逆転工程の開始前から実施することにより、増粘したインクをより多く排出することが可能になる。
3 液体吐出ヘッド
13 吐出口
15 記録素子
17a 供給口
17b 回収口
23 圧力室
250 チューブ
251 圧迫機
1001 循環ポンプ
1002 第二循環ポンプ
1007 弁

Claims (9)

  1. 液体を吐出するための圧力を作用する圧力室と、該圧力室に連通する吐出口と、前記圧力室に連通する第1および第2の流路とを備えた液体吐出ヘッドを用い、前記液体吐出ヘッドの吐出口から液体を吐出させる液体吐出装置であって、
    前記第1の流路を介して前記圧力室に液体を供給させるとともに前記第2の流路を介して前記圧力室から液体を回収させる液体流通手段と、
    液体吐出ヘッドから当該液体吐出ヘッドの本吐出動作とは異なる予備吐出動作を行う予備吐出手段と、
    前記液体流通手段による前記圧力室に対する液体の流通が行われた後または前記液体の流通が行われている間に、前記予備吐出手段による予備吐出動作の少なくとも一部を行わせる予備吐出制御手段と、
    を具え
    前記液体流通手段による前記圧力室に対する液体の流通は、前記圧力室に対する液体の循環による液体の流通であり、前記液体流通手段は、予備循環と本循環を行い、
    前記予備循環と前記本循環とは、前記液体の移動方向が逆であり、
    前記予備循環と前記本循環の間に、前記液体の移動方向を逆にする逆転工程があり、前記予備吐出制御手段は、前記逆転工程の前に、前記予備吐出動作を開始することを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記予備吐出制御手段は、前記本循環を開始した後に、前記予備吐出動作を終了することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記予備循環と前記本循環は、連続して行われることを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出装置。
  4. 液体を吐出するための圧力を作用する圧力室と、該圧力室に連通する吐出口と、前記圧力室に連通する第1および第2の流路とを備えた液体吐出ヘッドを用い、前記液体吐出ヘッドの吐出口から液体を吐出させる液体吐出装置における予備吐出方法であって、
    前記第1の流路を介して前記圧力室に液体を供給させるとともに前記第2の流路を介して前記圧力室から液体を回収させる液体流通手段と、液体吐出ヘッドから当該液体吐出ヘッドの本吐出動作とは異なる予備吐出動作を行う予備吐出手段と、を用意し、
    前記液体流通手段による前記圧力室に対する液体の流通が行われた後または前記液体の流通が行われている間に、前記予備吐出手段による予備吐出動作の少なくとも一部を行わせる予備吐出制御工程と、
    を有し
    前記液体流通手段による前記圧力室に対する液体の流通は、前記圧力室に対する液体の循環による液体の流通であり、前記液体流通手段は、予備循環と本循環を行い、
    前記予備循環と前記本循環とは、前記液体の移動方向が逆であり、
    前記予備循環と前記本循環の間に、前記液体の移動方向を逆にする逆転工程があり、前記予備吐出制御工程では、前記逆転工程の前に、前記予備吐出動作を開始することを特徴とする予備吐出方法。
  5. 前記圧力室は、液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する記録素子を内部に備え該圧力室に連通する第1および第2の流路とを備える液体吐出ヘッドの予備吐出方法であって、
    前記予備循環によって、液体吐出ヘッドの駆動停止中に粘度の増加した前記圧力室内の液体を、前記第1の流路もしくは前記第2の流路に移動させる第1の工程と、
    前記予備吐出動作によって、前記記録素子を駆動させ、前記粘度の増加した液体を含む液体を前記吐出口から吐出させる第2の工程と、
    を有することを特徴とする請求項4に記載の予備吐出方法。
  6. 前記液体吐出ヘッドは、前記圧力室に液体を供給するための供給口と、前記圧力室から液体を回収するための回収口とを備え、前記第1の流路は前記供給口と前記圧力室とを連通し、前記第2の流路は前記圧力室と前記回収口とを連通することを特徴とする請求項5に記載の予備吐出方法。
  7. 前記液体吐出ヘッドは、複数の前記供給口と連通する液体供給路と、複数の前記回収口と連通する液体回収路とを備え、
    前記第1の工程において、前記第2流路に移動した粘度の増加した液体は、前記液体回収路内まで移動した後、前記第2工程によって前記吐出口から吐出されることを特徴とする請求項6に記載の予備吐出方法。
  8. 液体を吐出する吐出口と、液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する記録素子を内部に備える圧力室と、該圧力室に連通する第1および第2の流路とを備える液体吐出ヘッドであって、
    液体吐出ヘッドの駆動停止中に粘度の増加した前記圧力室内の液体が、前記第1の流路もしくは前記第2の流路に移動した後に前記記録素子を駆動させ、前記粘度の増加した液体を含む液体を前記吐出口から吐出させる予備吐出動作を行い、
    前記圧力室内の液体は、予備循環または本循環により前記第1の流路もしくは前記第2の流路に移動し、
    前記予備循環と前記本循環とは、前記液体の移動方向が逆であり、
    前記予備循環と前記本循環の間に、前記液体の移動方向が逆になり、前記液体の移動方向が逆になる前に、前記予備吐出動作を行うことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  9. 前記圧力室内の液体は該圧力室の外部との間で循環されることを特徴とする請求項8に記載の液体吐出ヘッド。
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