以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明の第1実施形態について図1及び図2を参照して説明する。図1は同実施形態に係る液体を吐出する装置の概略説明図、図2は同装置のヘッドユニットの一例の平面説明図である。
この液体を吐出する装置である印刷装置1000は、連帳紙などの連続体10を搬入する搬入手段1と、搬入手段1から搬入された連続体10を印刷手段5に案内搬送する案内搬送手段3と、連続体10に対して液体を吐出して画像を形成する印刷を行う印刷手段5と、連続体10を乾燥する乾燥手段7と、連続体10を排出する排出手段9などを備えている。
連続体10は搬入手段1の元巻きローラ11から送り出され、搬入手段1、案内搬送手段3、乾燥手段7、排出手段9の各ローラによって案内、搬送されて、排出手段9の巻取りローラ91にて巻き取られる。
この連続体10は、印刷手段5において、搬送ガイド部材59上をヘッドユニット50及びヘッドユニット55に対向して搬送され、ヘッドユニット50から吐出される液体によって画像が形成され、ヘッドユニット55から吐出される処理液で後処理が行われる。
ここで、ヘッドユニット50には、例えば、媒体搬送方向上流側から、4色分のフルライン型ヘッドアレイ51K、51C、51M、51Y(以下、色の区別しないときは「ヘッドアレイ51」という。)が配置されている。
各ヘッドアレイ51は、液体吐出手段であり、それぞれ、搬送される連続体10に対してブラックK,シアンC、マゼンタM、イエローYの液体を吐出する。なお、色の種類及び数はこれに限るものではない。
ヘッドアレイ51は、例えば、図2に示すように、液体吐出ヘッド(これを、単に「ヘッド」ともいう。)100をベース部材52上に千鳥状に並べて配置したものであるが、これに限らない。
次に、ヘッドの維持回復機構(メンテナンス機構)について図3及び図4を参照して説明する。図3は同メンテナンス機構の平面説明図、図4はメンテナンス機構の模式的説明図である。
メンテナンス機構60は、各ヘッドアレイ51に対応するキャップユニット61を有している。キャップユニット61は、各ヘッドアレイ51の各ヘッド100のノズル面101aをキャッピングするキャップ62をホルダ部材63に並べて配置している。
各キャップ62は、図4に示すように、排出経路65を通じて吸引手段である吸引ポンプ64に接続されており、キャップ62から吸引される廃液は排出経路65を通じて廃液タンク66などに排出される。
ヘッド100のメンテナンスを行うときは、例えば、キャップ62でヘッド100のノズル面101aをキャッピングした状態で吸引ポンプ64を駆動してキャップ62内を負圧にすることで、ノズル104(後述する)から液体を吸引してキャップ62内に排出する。
このメンテナンス機構60は、ヘッド100から液体を排出させる手段の1つの構成している。
次に、液体吐出ヘッドの一例について図5及び図6を参照して説明する。図5は同液体吐出ヘッドの外観斜視説明図、図6は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)の断面説明図である。
この液体吐出ヘッド100は、ノズル板101と、流路板102と、壁面部材としての振動板部材103とを積層接合している。そして、振動板部材103の振動領域(振動板)130を変位させる圧電アクチュエータ111と、ヘッドのフレーム部材を兼ねている共通液室部材120と、カバー129を備えている。なお、流路板102と振動板部材103で構成される部分を流路部材140という。
ノズル板101は、液体を吐出する複数のノズル104を有している。
流路板102は、ノズル104にノズル連通路105を介して通じる個別液室106、個別液室106に通じる供給側流体抵抗部107、供給側流体抵抗部107に通じる液導入部108となる貫通穴や溝部を形成している。ノズル連通路105は、ノズル104と個別液室106にそれぞれ連なって通じる流路である。また、液導入部108は振動板部材103の開口109を介して供給側共通液室110に通じている。
振動板部材103は、流路板102の個別液室106の壁面を形成する変形可能な振動領域130を有する。ここでは、振動板部材103は2層構造(限定されない)とし、流路板102側から薄肉部を形成する第1層と、厚肉部を形成する第2層で形成され、第1層で個別液室106に対応する部分に変形可能な振動領域130を形成している。
そして、この振動板部材103の個別液室106とは反対側に、振動板部材103の振動領域130を変形させる駆動手段(アクチュエータ手段、圧力発生手段)としての電気機械変換素子を含む圧電アクチュエータ111を配置している。
この圧電アクチュエータ111は、ベース部材113上に接合した圧電部材をハーフカットダイシングによって溝加工して所要数の柱状の圧電素子112を所定の間隔で櫛歯状に形成している。
そして、圧電素子112を振動板部材103の振動領域130に形成した島状の厚肉部である凸部130aに接合している。また、圧電素子112にはフレキシブル配線部材115が接続されている。
共通液室部材120は、供給側共通液室110と排出側共通液室150を形成する。供給側共通液室110は供給ポート171に通じ、排出側共通液室150は排出ポート172に通じている。
なお、ここでは、共通液室部材120は、第1共通液室部材121及び第2共通液室部材122によって構成され、第1共通液室部材121を流路部材140の振動板部材103側に接合し、第1共通液室部材121に第2共通液室部材122を積層して接合している。
第1共通液室部材121は、液導入部108に通じる供給側共通液室110の一部である下流側共通液室110Aと、排出流路151に通じる排出側共通液室150とを形成している。また、第2共通液室部材122は、供給側共通液室110の残部である上流側共通液室110Bを形成している。
また、流路板102には、各個別液室106にノズル連通路105を介して通じる流路板102の面方向に沿う排出流路151を形成している。排出流路151が排出側共通液室150に通じている。
この液体吐出ヘッド100においては、例えば圧電素子112に与える電圧を基準電位(中間電位)から下げることによって圧電素子112が収縮し、振動板部材103の振動領域130が引かれて個別液室106の容積が膨張することで、個別液室106内に液体が流入する。
その後、圧電素子112に印加する電圧を上げて圧電素子112を積層方向に伸長させ、振動板部材103の振動領域130をノズル104に向かう方向に変形させて個別液室106の容積を収縮させることにより、個別液室106内の液体が加圧され、ノズル104から液体が吐出される。
また、ノズル104から吐出されない液体はノズル104を通過して排出流路151から排出側共通液室150に排出され、排出側共通液室150から外部の循環経路を通じて供給側共通液室110に再度供給される。
なお、ヘッドの駆動方法については上記の例(引き-押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行なうこともできる。
次に、本発明に第1実施形態における液体循環装置について図7を参照して説明する。図7は同説明に供する説明図である。
液体循環装置200は、ヘッド100から吐出する液体300を貯留する液体貯留手段であるメインタンク201と、第1サブタンク220と、第2サブタンク210と、送液手段である第1送液ポンプ202と、供給ポンプ209とを備えている。
また、複数のヘッド100が通じる第1マニホールド230及び第2マニホールド240と、各ヘッド100毎の加圧ヘッドタンク251及び減圧ヘッドタンク252と、液体中の溶存気体を除去する脱気手段である脱気装置260を備えている。
ここでは、第2サブタンク210から液体経路284を介して第1サブタンク220に第1送液ポンプ202で液体を送液する。液体経路284には脱気装置260とフィルタ261が配置されている。また、第2サブタンク210に対してはメインタンク201から液体経路289を介して第2送液ポンプ203で液体を送液する。液体経路289にはフィルタ205が配置されている。
第2サブタンク210は、気体室210aを有し、液体と気体が共存する構成である。第2サブタンク210には、液面を検知する液面検知手段211と、内部を大気開放する大気開放機構となる電磁弁212が設けられている。
第2サブタンク210には、第2サブタンク210内の圧力を調整する第2調整装置207が接続されている。第2調整装置207は、圧力調整機構(レギュレータ)213、気体ポンプである真空ポンプ215を有している。
第1サブタンク220は、気体室220aを有し、液体と気体が共存する構成である。第1サブタンク220には、液面を検知する液面検知手段221と、内部を大気開放する大気開放機構となる電磁弁222が設けられている。
第1サブタンク220には、第1サブタンク220内の圧力を調整する第1調整装置206が接続されている。第1調整装置206は、圧力調整機構(レギュレータ)223、コンプレッサ225を有している。
第1サブタンク220は、液体経路281を通じて第1マニホールド230に接続されている。液体経路281には開閉弁である電磁弁271が配置されている。
第1マニホールド230は、ヘッド100の供給ポート171(供給口)側に供給経路231を介して通じている。供給経路231は、加圧ヘッドタンク251を介してヘッド100の供給ポート171に接続されている。供給経路231には加圧ヘッドタンク251より上流側に経路を開閉する電磁弁232が設けられている。また、第1マニホールド230には圧力センサ233が設けられている。
第2サブタンク210は、液体経路282を介して第2マニホールド240に接続されている。液体経路281には開閉弁である電磁弁272が配置されている。
第2マニホールド240は、ヘッド100の排出ポート172(排出口)に排出経路241介して通じている。排出経路241は、減圧ヘッドタンク252を介してヘッド100の排出ポート172に接続されている。排出経路241には減圧ヘッドタンク252より下流側に経路を開閉する電磁弁242が設けられている。また、第2マニホールド240には圧力センサ243が設けられている。
ここで、第2サブタンク210、液体経路284、脱気装置260、第1サブタンク220、液体経路281、第1マニホールド230、ヘッド100、第2マニホールド240、第2サブタンク210を経て第1サブタンク220に戻る経路で循環経路280が構成される。循環液量が所定量より減少すると、メインタンク201から第2サブタンク210に液体が補充される。
また、第1サブタンク220と第2サブタンク210、第1送液ポンプ202によって、循環経路280を液体が循環する圧力を生じさせる手段を構成している。
次に、この液体循環装置200における液体循環方法について説明する。
(1)メインタンク201-第2サブタンク210への液体フロー
液面検知手段211で第2サブタンク210の液体不足を検知すると、供給ポンプ209を駆動して、メインタンク201から液体経路289を介して、液面検知手段211の検知結果で液面が満タンとなるまで第2サブタンク210に液体供給を行う。
(2)第2サブタンク210-第1サブタンク220への液体フロー
液面検知手段221で第1サブタンク220の液体不足を検知すると、第1送液ポンプ202を駆動して、第2サブタンク210から液体経路284を介して、液面検知手段221の検知結果で液面が満タンとなるまで第1サブタンク220に液体を送液する。
(3)第1サブタンク220-循環可能なヘッド100-第2サブタンク210の液体フロー
第1調整装置206によって第1サブタンク220を目標圧力(例えば、加圧となる圧力)とする。一方、第2調整装置207によって第2サブタンク210を目標圧力(例えば負圧となる圧力)とする。
これにより、第1サブタンク220と第2サブタンク210との間に差圧が発生する。この差圧に応じて、第1サブタンク220から、液体経路281を介して、第1マニホールド230、複数の供給経路231、複数のヘッドタンク251、複数のヘッド100、複数のヘッドタンク252、複数の排出経路241、第2マニホールド240、液体経路282を介して、第2サブタンク210まで液体が循環可能となる。
なお、液面検知手段211、221には、フロート式による液体の検知、少なくとも2本以上の電極ピンを用いて検出した電圧の出力に応じて液体の有無を検知する方式、その他レーザーによる液面検知方式などを使用することができる。
また、電磁弁222、212を駆動することで第1サブタンク220、第2サブタンク210の内部を大気と連通させることもできる。
次に、ノズルメニスカスの負圧形成(第1サブタンク220と第2サブタンク210の圧力設定)について説明する。
一般的に、ヘッドから吐出を行う場合、ノズルメニスカスにかかる圧力は負圧に制御する。これは、ノズルから液体が溢れることを防止するためである。また、高速で吐出を行う場合に、吐出開始と終了時には、流体の慣性が作用し、ノズルメニスカスに圧力の脈動が発生する場合がある。このとき、正圧側の圧力が一時的に発生するので、このような場合でも、ノズルから液体が溢れることを防止するためである。
循環型液体吐出ヘッドを使用する場合には、第1サブタンク220内に正圧を設定し、第2サブタンク210内に負圧を設定する方法が一般的である。
より詳細には、予め、第1サブタンク220からヘッド100のノズル104までの流体抵抗R1と、ノズル104から第2サブタンク210までの流体抵抗R2を、計算か測定により求めておく。そして、これらの流体抵抗R1、R2に応じて、第1サブタンク220の圧力P1、第2サブタンク210の圧力2を設定することで、直列抵抗の分圧と同様に、R1とR2の比と、P1とP2の値に応じて、メニスカスに目標とする圧力(負圧)Vを発生させることができる。
つまり、循環する流量をIとすると、
V-V1=I×R1
V2-V=I×R2
ここで、両辺からIを削除して、変形させると、(1)式が得られる。
V=(V2+R2/R1×V1)/(1+R2/R1)・・・(1)
なお、実際の配管の仕方や液体吐出ヘッド内の構造によっては、上記の式とまったく同じにはならないが、基本的には、上記の考えで対応することができる。
なお、上記の説明では、第1サブタンク220を正圧にする例で説明しているが、第1サブタンク220を負圧としつつ、第2サブタンク210は第1サブタンク220よりも負圧を大きくするように制御することで、差圧を発生させて液体を循環させる構成とすることもできる。
次に、本発明の第1実施形態に係る液体を吐出する装置の制御部の概要について図8を参照して説明する。図8は同制御部のブロック説明図である。
制御部500は、装置全体の制御を司るCPU501、CPU501が実行するプログラムを含む各種プログラムなどの固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503で構成される本発明に係る制御をする手段を兼ねる主制御部500Aを備えている。
制御部500は、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504を備えている。制御部500は、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他の制御するための入出力信号を処理するASIC505を備えている。
制御部500は、ヘッドユニット50の各ヘッド100を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段、バイアス電圧出力手段を含む印刷制御部508と、各ヘッド100を駆動するための駆動IC(ここでは「ヘッドドライバ」という。)509を備えている。
制御部500は、電磁弁群550の電磁弁232,242、271、272及び電磁弁212、222などを駆動制御する電磁弁制御部510を備えている。
制御部500は、第1送液ポンプ202、供給ポンプ209を駆動制御する供給系制御511を備えている。
制御部500は、コンプレッサ225、真空ポンプ215、レギュレータ223、213を駆動制御する圧力系制御部512を備えている。
制御部500は、メンテナンス機構60の移動や吸引ポンプ64の駆動などを制御する維持回復制御部516を備えている。
制御部500は、I/O部513を有している。I/O部513は、様々のセンサ情報を処理することができ、圧力センサ233、243の検知結果、各種のセンサ群515からの情報を取得する。そして、装置の制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508や電磁弁制御部510、供給系制御部511、圧力系制御部512、維持回復制御部516による制御などに使用する。
制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
次に、本発明の第1実施形態における液体の循環が停止している状態から液体の循環を開始するときの制御(これを「印刷開始前の循環制御」という。)について図9のフロー図を参照して説明する。
まず、電源OFFから所定時間以上が経過したか否か、すなわち、循環が停止している状態(装置が非稼働)になったときから電源がONされた(装置が再稼働された)ときまでの経過時間(放置時間)が所定時間経過しているか否かを判別する。
なお、放置時間は、電源OFFからの経過時間だけでなく、印刷完了、連続体10の排出完了、キャップ62によるキャッピング完了、メンテナンス機構60によるメンテナンスの完了等を起点とする経過時間である。
また、所定時間(放置時間)の経過は、内蔵するRTC(リアルタイムクロック)によって、起点(非稼働になった)時刻と再稼働されたときの時刻から算出することができる。
そして、電源OFFからの放置時間が所定時間以上経過しているときには、放置時間に応じて空吐出排出(第1空吐出動作、第2空吐出動作)又は吸引排出(第1吸引排出動作、第2吸引排出動作)を行ってヘッド100のノズル104から液体を排出する。なお、空吐出排出とは、装置の主たる目的(例えば印刷)以外の目的、ここでは増粘液体をノズルから排出する目的での液体吐出を意味する。放置時間が長くなるほど液体の増粘が進行するので、より強い排出動作を行う。
例えば、放置時間が10時間以上24時間までである第1段階のときには、第1空吐出動作(空吐出(弱))を実施する。第1空吐出動作では、第2空吐出動作(空吐出(強))と比べて、圧電素子112に与える駆動波形のピークからピークまでの電圧が小さい、吐出する滴数が少ない、あるいは、滴量が少ない空吐出動作である。
放置時間が24時間以上168時間までである第2段階のときには、第2空吐出動作(空吐出(強))を実施する。第2空吐出動作では、第1空吐出動作(空吐出(弱))と比べて、圧電素子112に与える駆動波形のピークからピークまでの電圧が大きい、吐出する滴数が多い、あるいは、滴量が多い空吐出動作である。
放置時間が168時間以上720時間までである第3段階のときには、第1吸引排出動作(吸引(弱))を実施する。吸引排出動作では、キャップ62でノズル面101aをキャッピングして吸引ポンプ64を駆動してノズル104から液体を吸引排出する。空吐出動作よりも短時間で液体をより強く排出できる。第1吸引排出動作は、第2吸引排出動作に比べて、吸引圧力が小さい、吸引回数が少ない、吸引時間が短い、吸引量が少ない吸引排出動作である。
放置時間が720時間以上である第4段階のときには、第2吸引排出動作(吸引(強))を実施する。第2吸引排出動作は、第1吸引排出動作に比べて、吸引圧力が大きい、吸引回数が多い、吸引時間が長い、吸引量が多い吸引排出動作である。
このように、放置時間に応じて、液体の増粘度合いも異なるため、液体の排出量や排出時間を変化させることが好ましい。これにより、適切な処理が可能となり、液体の無駄な消費の抑制、生産性の向上を図ることができる。
なお、空吐出動作、吸引排出動作に代えて、あるいは、これらとともに、ヘッド100の上流側から加圧することによってノズル104から液体を排出する加圧排出動作を行うこともできる。
以上の液体排出動作が完了した後、また、電源OFFからの放置時間が所定時間以上経過していないときはそのまま、循環動作を開始する(A)。
そして、循環動作を開始したときには、圧力系制御部512によってコンプレッサ225と真空ポンプ215の駆動を開始する。
続いて、圧力系制御部512によって、圧力センサ233と圧力センサ243の検知結果を参照し、それぞれ、目標圧力に到達したか否か判別する。そして、目標圧力になるまで、コンプレッサ225、真空ポンプ215の駆動をフィードバック制御する。
なお、目標圧力への到達制御は、例えば、圧力センサ233、243の検知結果をフィードバックし、逐次、レギュレータ223、213の開度の制御を行う方式であってもよい。レギュレータ223、213の制御は、圧力センサ233、243の値と目標値との偏差から、PID制御に代表される制御方式で行うことができる。
ここで、目標圧力に到達したときには、すべての電磁弁232、242を開ける。これにより、第1サブタンク220から第2サブタンク210にヘッド100を介して液体の循環が開始する。
なお、電磁弁232、242は、無用な圧力がヘッド100のノズルメニスカスに伝達しないようにするために、非稼働時は閉じておくことが好ましい。一方、電磁弁232、242を開弁しているときには、ヘッドタンク251、252に設けられた弾性成分によって上流から発生する圧力の変化を緩和することもできる。
その後、液体の循環を開始したときから所定時間が経過したか否かを判別し、所定時間が経過したときには印刷可能指令を出力する。
以上の処理で、印刷開始前の循環制御を終了し、以後液体循環を維持する。
以上のように、液体の循環が停止された状態(非稼働状態、放置状態)から液体の循環を開始するときには、ヘッドのノズルから液体を排出させた後、液体が循環する圧力を生じさせて液体を循環させる制御を行う。
つまり、装置の電源がOFF状態にされるなどして液体の循環が停止している状態になったときには、ヘッド100の内部の液体が増粘している可能性が高くなる。そこで、液体の循環が停止している状態から液体の循環を開始するときには、放置時間(経過時間)に応じて、ノズルから液体を排出する動作を行う。
これにより、ノズルメニスカスから個別液室内部にかけて増粘した液体を確実に排出することができる。このとき、排出動作としての空吐出の実施時間としては、長くても数秒~数十秒であり、比較的短時間の動作によって増粘液体を排出して、液体の循環を開始することができる。
これに対し、液体の循環が停止している状態から液体の循環を開始するとき、ノズルから液体を排出する動作を行うことなく、液体を循環させる圧力を発生させて液体の循環を開始しようとすると、ノズルメニスカスの増粘液体を循環経路内に取り込んで排除するために、数分~数十分の時間がかかることになる。
また、増粘の度合いは各ノズルによって異なることがある。この場合は、液体は流れやすいノズルに接続されている液室(流路)内だけを循環して、本来、増粘液体を除去したいノズルに接続されている液室(流路)について十分に増粘液体を循環経路内に取り込むこができず、正常な循環に達するまでに余分に時間がかかる。このとき、ノズル内の増粘液体を循環経路内に取り込むことができなくなるおそれもある。
また、ある程度増粘した液体が循環により流れを取り戻したとしても、循環経路内の比較的狭い領域、例えば、個別液室やフィルタに再び流れてくるとき、この領域で増粘液体が詰まるおそれがある。個別液室に詰まれば、ノズルからの不吐出が生じ、フィルタに詰まれば、循環不良に陥ることになる。
以上のように、循環が停止した状態から循環を開始するときには、空吐出、吸引排出、加圧排出などによってノズルから液体を排出動作を行った後、循環動作を開始することで、比較的短時間で、装置を循環可能な状態とすることができる。また、増粘液体を外部に排出した後に循環を開始することで、循環経路内での増粘液体の詰まりなどが生じることがなく、信頼性の高い装置を得ることができる。
次に、本発明の第2実施形態について図10を参照して説明する。図10は同実施形態における液体循環装置の説明に供する説明図である。
本実施形態では、送液手段である第1送液ポンプ202をバイパスするバイパス流路263を設けるとともに、バイパス流路263を開閉する切替手段である電磁弁264を備えている。
第1送液ポンプ202として、一般的な、チュービングポンプやダイアフラムポンプを使用した場合、これらのポンプが稼動していない状態では、ポンプ内の弁機能が作用し、流路が閉じられている。そこで、電磁弁264を開閉することで、第2サブタンク210と第1サブタンク220との間の流路として、バイパス流路263と第1送液ポンプ202とを切り替えることができる。
第2サブタンク210内の圧力を調整する第2調整装置207は、圧力調整機構(レギュレータ)213、減圧バッファタンク214、気体ポンプである真空ポンプ215を有している。そして、レギュレータ213と減圧バッファタンク214との間には電磁弁216が設けられている。減圧バッファタンク214には電磁弁217が設けられている。
第1サブタンク220内の圧力を調整する第1調整装置206は、圧力調整機構(レギュレータ)223、加圧バッファタンク224、コンプレッサ225を有している。そして、レギュレータ223と加圧バッファタンク224との間には電磁弁226が設けられている。加圧バッファタンク224には電磁弁227が設けられている。
第1サブタンク220は、ヘッド100よりも下方に配置されている。そして、第1サブタンク220と第1マニホールド230とをつなぐ液体経路281に設けた電磁弁271は、ヘッド100のノズル面との間で水頭差H2が生じる高さに配置されている。
第2サブタンク210は、ヘッド100よりも下方に配置されている。そして、第2マニホールド240と第2サブタンク210とをつなぐ液体経路282に設けた電磁弁272は、ヘッド100のノズル面との間で水頭差H1が生じる高さに配置されている。
なお、第2実施形態における制御部は、前記第1実施形態で説明した制御部500と同様な構成である。ただし、電磁弁制御部510は、第2実施形態で追加されている電磁弁216,225,217,227,264の駆動制御も司っている。
次に、本発明の第2実施形態における液体循環装置による負圧形成動作の制御について説明する。
液体循環装置200は、液体循環を行っているとき、第1サブタンク220と第2サブタンク210に設定した圧力に応じて、ノズル104のメニスカスに負圧が付与される。
しかしながら、電源がOFFされると液体の循環を行うことができなくなるので、循環による負圧を保つことができない。したがって、電源をOFFする前に、第2サブタンク210とヘッド100の間に、液体循環とは別の手段で負圧を形成する必要が生じる。また、電源をONした直後も、液体の循環を開始していないので、同様に液体循環とは別の手段で負圧を形成する必要がある。
そこで、本発明の第2実施形態における負圧形成を行うための電源OFFシーケンスの制御について図11のフロー図を参照して説明する。
ここでは、第2サブタンク210とヘッド100間の水頭差によって負圧を形成する。
電源OFFシーケンスを開始すると、電源のOFFを許可する前に、電磁弁232と電磁弁242を閉じる。これにより、ノズルメニスカスには、直前の圧力が一旦、保存されたままとなる。直前まで、循環によるノズルメニスカスに負圧が付与されていたので、その状態が保存されることになる。
その後、電磁弁222、電磁弁212、電磁弁227、電磁弁217を開く。これにより、第1サブタンク220と第2サブタンク210に設定していた圧力が大気に開放されて、大気圧となる。
続いて、電磁弁222と電磁弁227を閉じて、第1サブタンク220を大気から遮断する。第1サブタンク220はノズル104よりも上側に設置されている場合、電磁弁222と電磁弁227を開いたままにすると、常に大きな水頭差がノズルメニスカスにかかって、液体がノズル104から溢れてしまうため、これを防止する。また、第1サブタンク220がノズル104と同程度の高さ、または、それよりも下側に設置されていた場合でも、水頭差の基準は第2サブタンク210で作るので、やはり、閉じておいた方が好ましい。
その後、電磁弁264を開き、バイパス流路263を液体が通過できるようにする。前述したように、第1送液ポンプ202は、稼動していないときにはポンプ内の弁機能によって流路が閉じられるので、電磁弁264を開き、第2サブタンク210から第1サブタンク220にバイパス流路263を通じて液体が流れるようにする。これにより、第2サブタンク210とヘッド100との間も液体が通じるようになる。
その後、電磁弁232と、電磁弁242を開けることで、第2サブタンク210が水頭の基準となり、電磁弁264を介したバイパス流路263、第1サブタンク220、第1マニホールド230、ヘッドタンク251、ヘッド100、ヘッドタンク252、第2マニホールド240が連通し、ヘッド100のノズルメニスカスと水頭差H1による負圧が形成される。
続いて、電磁弁271と電磁弁272を閉じる。すなわち、第1サブタンク220と第2サブタンク210には、気体室220a、210aが存在するため、電源がOFFの間に、環境の変化等で気体が膨張又は収縮する可能性がある。気体室220a、210aが膨張することでノズル104から液体が溢れたり、収縮することでノズル104から空気を引き込んだりするおそれがある。そこで、電磁弁271と電磁弁272を閉じて、ヘッド100と第1サブタンク220及び第2サブタンク210との間を遮断して、液垂れや気泡の引き込みを防止する。
さらに、電磁弁271と電磁弁272を水頭基準として、ノズル面と負圧を形成することで、電源OFF中の負圧を保持することが可能である。
また、電磁弁212、電磁弁217も閉じる。これにより、電源OFF中の大気中への水分蒸発や異物混入の影響を受けなくなる。また、電磁弁212、電磁弁217を閉じたとしても、電磁弁272か電磁弁271のどちらか一方が、水頭の基準となっているので、ヘッド100までの水頭差による負圧は保たれる。
その後、電源OFF可能指令を出力して、電源OFFを許可して、この電源OFFシーケンスを終了する。
このようにして、電源をOFFする前にヘッド100に負圧を形成しておくことで、電源OFF中の液垂れの防止や、電源OFF中の環境変化による空気膨張が発生したときでも、負圧を保持することができる。
次に、本発明の第2実施形態において液体の循環を開始する前に行う循環前弁駆動シーケンスの制御について図12のフロー図を参照して説明する。
まず、電磁弁272を開けて、第2マニホールド240から第2サブタンク210への液体経路282の流路を開通する。
その後、電磁弁264を閉じ、バイパス流路263を液体経路284から切り離して、第1送液ポンプ202に切り替える。これにより、第1送液ポンプ202を駆動することで、液体経路284を介して、第2サブタンク210から第1サブタンク220に液体を送液可能な状態になる。
この制御を行うことにより、第1サブタンク220から、ヘッド100を介して、第2サブタンク210まで、液体が循環する経路と、第2サブタンク210から、第1サブタンク220まで、液体を送液ないし補給する経路を確保することができる。印刷によって第1サブタンク220内の液体が減少しても、第1送液ポンプ202を用いて、液体を第2サブタンク210から第1サブタンク220に送液ないし補給することができる。
次に、本発明の第3実施形態における負圧形成を行うための電源OFFシーケンスの制御について図13のフロー図を参照して説明する。なお、液体循環装置200の構成は、前記第2実施形態と同様である。
電源OFFシーケンスを開始すると、電源のOFFを許可する前に、電磁弁271と電磁弁272を閉じる。これにより、ノズルメニスカスには、直前の圧力が一旦、保存されたままとなる。直前まで、循環によるノズルメニスカスに負圧が付与されていたので、その状態が保存されることになる。
続いて、電磁弁227、電磁弁217を開く。これにより、第1サブタンク220と第2サブタンク210に設定していた圧力が大気に開放されて、大気圧となる。
続いて、電磁弁227を閉じて、第1サブタンク220を大気から遮断する。第1サブタンク220はノズル104よりも上側に設置されている場合、電磁弁222と電磁弁227を開いたままにすると、常に大きな水頭差がノズルメニスカスにかかって、液体がノズル104から溢れてしまうため、これを防止する。また、第1サブタンク220がノズル104と同程度の高さ、または、それよりも下側に設置されていた場合でも、水頭差の基準は第2サブタンク210で作るので、やはり、閉じておいた方が好ましい。
その後、電磁弁264を開き、バイパス流路263を液体が通過できるようにする。前述したように、第1送液ポンプ202は、稼動していないときにはポンプ内の弁機能によって流路が閉じられるので、電磁弁264を開き、第2サブタンク210から第1サブタンク220にバイパス流路263を通じて液体が流れるようにする。これにより、第2サブタンク210とヘッド100との間も液体が通じるようになる。
また、電磁弁264と共に、電磁弁271と電磁弁272を開く。これにより、第2サブタンク210が水頭の基準となり、電磁弁264を介したバイパス流路263、第1サブタンク220、第1マニホールド230、ヘッドタンク251、ヘッド100、ヘッドタンク252、第2マニホールド240が連通し、ヘッド100のノズルメニスカスと水頭差H1による負圧が形成される。
続いて、電磁弁264を閉じる。これは、ノーマル状態(電源非供給状態、非稼働状態)で、閉じていた方が省電力になるためである。また、ここまでの動作で負圧を形成しているので、機能的には閉じていて問題ない。
また、電磁弁264と共に、電磁弁271と電磁弁272も閉じる。すなわち、第1サブタンク220と第2サブタンク210には、気体室220a、210aが存在するため、電源がOFFの間に、環境の変化等で気体が膨張又は収縮する可能性がある。気体室220a、210aが膨張することでノズル104から液体が溢れたり、収縮することでノズル104から空気を引き込んだりするおそれがある。そこで、電磁弁271と電磁弁272を閉じて、ヘッド100と第1サブタンク220及び第2サブタンク210との間を遮断して、液垂れや気泡の引き込みを防止する。
また、電磁弁226と電磁弁216も閉じる。すなわち、次の処理で電磁弁227を開けることと、電磁弁217が開いていることに関連して、大気と第1サブタンク220及び第2サブタンク210とを遮断するために、電磁弁226と電磁弁216を閉じる必要がある。これにより、水分蒸発や、異物混入を防止する。
その後、電磁弁227を開く。これは、ノーマル状態(電源非供給状態、非稼働状態)で、開いていた方が、突然の電源遮断等のときに、大きな圧力が加圧バッファタンク224内に残留するのを防止するためである。加圧バッファタンク224内に残圧が残っていると、部品の劣化が進むおそれが。なお、このとき、電磁弁217は開いたままである。
その後、電源OFF可能指令を出力して、電源OFFを許可して、この電源OFFシーケンスを終了する。
このようにして、電源をOFFする前にヘッド100に負圧を形成しておくことで、電源OFF中の液垂れの防止や、電源OFF中の環境変化による空気膨張が発生したときでも、負圧を保持することができる。
次に、本発明の第3実施形態において電源OFFから電源ONにしたときに行う液体排出前弁駆動シーケンスの制御について図14のフロー図を参照して説明する。
図14の液体排出前弁駆動シーケンスは、上述した図13による電源OFFシーケンスを行って電源がOFFされた後、再度、電源がONされたときに実行する。なお、この液体排出前弁駆動シーケンスは、液体の循環を開始する前に実施すればよく、電源がONされた直後に実施する場合に限らない。
まず、電磁弁264と電磁弁271を開ける。これにより、前記第1実施形態で説明した循環開始前の液体吐出動作としての空吐出や吸引実施中に第2サブタンク210、バイパス流路263、第1サブタンク220、第1マニホールド230、ヘッドタンク251、ヘッド100という流れで液体のリフィルが自動で実施される。
なお、別の形態として、電磁弁264は閉じたままとして、電磁弁271を開けて、空吐出や吸引などの液体排出動作を実施するようにしても良い。
この場合には、液面検知手段221を参照し、必要に応じて、第2サブタンク210から第1サブタンク220に第1送液ポンプ202を使用して送液する。また、液面検知手段211を参照し、必要に応じて、メインタンク201から第2サブタンク210に供給ポンプ209によって送液する。
これらの液体排出前弁駆動シーケンスを実施して液体を送液することによって、ノズルからの気泡の巻き込みによる吐出不良を防止できる。
これにより、電源OFF中の液垂れの防止や、電源をONした後の液体の循環を行う前に、例えば、空吐出などによる液体排出が可能となり、更に液体も供給される。
次に、本発明の第3実施形態において液体の循環を開始する前に行う循環前弁駆動シーケンスについて図15のフロー図を参照して説明する。
まず、循環前に電磁弁272を開けて、第2マニホールド240から第2サブタンク210への液体経路282の流路を開通する。
続いて、電磁弁264を閉じ、バイパス流路263を液体経路284から切り離して、第1送液ポンプ202に切り替える。これにより、第1送液ポンプ202を駆動することで、液体経路284を介して、第2サブタンク210から第1サブタンク220に液体を送液可能な状態になる。
その後、電磁弁227と電磁弁217を閉じて、加圧バッファタンク224、減圧バッファタンク214に圧力をかけられるようにする。
続いて、電磁弁226と電磁弁216を開けて、レギュレータ223とレギュレータ213を介して、第1サブタンク220と第2サブタンク210の圧力を調整可能となるようにする。
この制御を行うことにより、第1サブタンク220から、ヘッド100を介して、第2サブタンク210まで、液体が循環する経路と、第2サブタンク210から、第1サブタンク220まで、液体を送液ないし補給する経路を確保することができる。印刷によって第1サブタンク220内の液体が減少しても、第1送液ポンプ202を用いて、液体を第2サブタンク210から第1サブタンク220に送液ないし補給することができる。
次に、本発明の第4実施形態について図16を参照して説明する。図16は同実施形態における循環開始前の液体排出動作の説明に供する説明図である。
ここでは、ヘッド100-1~ヘッド100-nが配列されているものとする。
そして、例えば、ヘッド100-1に対して加圧による液体排出動作を行う場合には、加圧排出を行わないヘッド100-2~100-nに対応する各電磁弁232-2~232-nと電磁弁242-2~242-nを閉じる。
そして、加圧排出を行うヘッド100-1に対応する電磁弁232-1を開き、電磁弁242-1は閉じる。
この状態で、第1サブタンク220を加圧すると、加圧排出を実施したいヘッド100-1内も加圧されて、液体がノズル104から排出される。
他のヘッド100-2~100-nについても同様な動作で加圧排出することができる。
この加圧排出動作は、例えば、ヘッド内部にまで増粘が進んでいるようなときなど、一度に多量の液体を排出したい場合、吸引排出機構を備えない場合などに有効であるが、吸引排出機構を備えていても実施できる。
次に、本発明の第5実施形態について図17を参照して説明する。図17は同実施形態における液体循環装置の説明に供する説明図である。
液体循環装置200は、メインタンク201と、第1サブタンク220と、第2サブタンク210と、第3サブタンク290と、第1送液ポンプ202と、第2送液ポンプ203と、供給ポンプ209を備えている。
また、複数のヘッド100が通じる第1マニホールド230及び第2マニホールド240と、各ヘッド100毎の加圧ヘッドタンク251及び減圧ヘッドタンク252とを備えている。
ここで、第1サブタンク220と第2サブタンク210との間に第3サブタンク290が配置され、メインタンク201からフィルタ205を含む液体経路289を介して供給ポンプ209によって第3サブタンク290に送液(供給)する。
第3サブタンク290には、液面検知手段291と、内部を大気開放する大気開放機構を構成する電磁弁292を備えている。
第3サブタンク290と第2サブタンク210とは液体経路283を通じて接続し、液体経路283には第2送液ポンプ203を設けている。また、第3サブタンク290と第2サブタンク210とは逆流液体経路285を通じて接続し、逆流液体経路285には電磁弁287を設けている。
第2サブタンク210は、気体室210aを有し、液体と気体が共存する構成である。第2サブタンク210には、液面を検知する液面検知手段211と、内部を大気開放する大気開放機構となる電磁弁212が設けられている。
第3サブタンク290と第1サブタンク220とは液体経路284を通じて接続し、液体経路284には、第1送液ポンプ202と、フィルタ261及び脱気装置260を設けている。また、第3サブタンク290と第1サブタンク220とは逆流液体経路286を通じて接続し、逆流液体経路286には電磁弁288を設けている。
また、第2実施形態と同様に、送液手段である第1送液ポンプ202をバイパスするバイパス流路263を設けるとともに、バイパス流路263を開閉する切替手段である電磁弁264を備えている。
第1送液ポンプ202として、一般的な、チュービングポンプやダイアフラムポンプを使用した場合、これらのポンプが稼動していない状態では、ポンプ内の弁機能が作用し、流路が閉じられている。そこで、電磁弁264を開閉することで、第3サブタンク290と第1サブタンク220との間の流路として、バイパス流路263と第1送液ポンプ202とを切り替えることができる。
第1サブタンク220は、気体室220aを有し、液体と気体が共存する構成である。第1サブタンク220には、液面を検知する液面検知手段221と、内部を大気開放する大気開放機構となる電磁弁222が設けられている。
第1サブタンク220は、液体経路281を通じて第1マニホールド230に接続されている。液体経路281には電磁弁271が配置されている。
第2サブタンク210は、液体経路282を介して第2マニホールド240に接続されている。液体経路282には電磁弁272が配置されている。
なお、第1マニホールド230及び第2マニホールド240と各ヘッド100との連通関係は、前記第1実施形態と同様である。
また、本実施形態では、第1サブタンク220、第2サブタンク210、第1送液ポンプ202、第2送液ポンプ203によって、循環経路280を液体が循環する圧力を生じさせる手段を構成している。
したがって、液体の循環を停止している状態から液体の循環を開始するときには、前記第1実施形態と同様に、放置時間に応じた液体排出動作を行った後、第1送液ポンプ202、第2送液ポンプ203による送液を行って循環圧力を生じさせて、液体を循環させる。
ここで、本実施形態における液体循環方法について説明する。
(1)メインタンク201-第3サブタンク290への液体フロー
液面検知手段291で第3サブタンク290の液体不足を検知すると、供給ポンプ209を駆動して、メインタンク201から液体経路289を介して、液面検知手段291の検知結果で液面が満タンとなるまで第3サブタンク290に液体供給を行う。
(2)第3サブタンク290-第1サブタンク220への液体フロー
第1送液ポンプ202を駆動して、第3サブタンク290から液体経路284を介して第1サブタンク220に液体を送液することができる。
(3)第2サブタンク210-第3サブタンク290への液体フロー
第2送液ポンプ203を駆動して、第2サブタンク210から液体経路283を介して第3サブタンク290に液体を送液することができる。
(4)第1サブタンク220-循環可能なヘッド100-第2サブタンク210の液体フロー
圧力センサ233による検知圧力が目標圧力(例えば、加圧となる圧力)となるまで第1送液ポンプ202を駆動して第1サブタンク220に液体を供給する。また、圧力センサ243の検知圧力が目標圧力(例えば負圧となる圧力)となるまで第2送液ポンプ203を駆動して第3サブタンク290に液体を送液する。
これにより、第1サブタンク220と第2サブタンク210との間に差圧が発生する。この差圧に応じて、第1サブタンク220から、液体経路281を介し、第1マニホールド230、供給経路231、ヘッドタンク251、ヘッド100、排出経路241、ヘッドタンク252、第2マニホールド240、液体経路282を介して、第2サブタンク210まで液体が循環可能となる。
なお、上記各実施形態においては、電源がOFFされることで液体の循環を停止している状態が生じている例で説明しているが、電源がONでも意図的に液体の循環を停止させるような場合でも、同様に、液体排出動作を行った後に液体の循環を開始する本発明を適用することができる。
本願において、吐出される「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
「液体吐出ヘッド」には、液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
「液体を吐出する装置」には、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を 気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
なお、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。