JP6759229B2 - 前立腺癌の診断および処置におけるフィラミンaを含むマーカーの使用 - Google Patents

前立腺癌の診断および処置におけるフィラミンaを含むマーカーの使用 Download PDF

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Description

関連出願
本出願は、2014年12月8日に出願された米国特許仮出願第62/088,931号;2015年3月18日に出願された米国特許仮出願第62/134,956号;および2015年4月16日に出願された米国特許仮出願第62/148,294号の優先権を主張するものであり、これらの出願はそれぞれその全体が参照により本明細書に組込まれるものとする。
参照による組込み
本明細書で引用または参照される全ての文献および本明細書で引用される文献中で引用または参照される全ての文献は、本明細書に記載の任意の製品に関する、または本明細書に参照により組込まれる任意の文献中の、任意の製造業者の説明書、説明、製品仕様書、および製品シートと共に、参照により本明細書に組込まれ、本発明の実施において用いることができる。
A. 発明の分野
本発明は、一般に、前立腺癌を検出およびモニタリングするために用いることができる新規バイオマーカーおよびバイオマーカーの組合せに関する。本発明はまた、一般に、本発明のバイオマーカーの検出を含む、前立腺癌を診断、モニタリング、および処置するための方法にも関する。
B. 発明の背景
前立腺癌は、男性の癌関連死の主因であり、肺癌に次いで2位であり、65歳を超える年齢の男性の9人のうち1人が罹患する。American Cancer Societyによれば、241,000の新しい事例の前立腺癌が、同じ年に約30,000件の前立腺癌関連死と共に報告されている。この疾患は65歳を超える年齢の男性において典型的に診断されるが、前立腺癌で死亡する男性の平均生存期間は平均でほぼ10年減少するという点で、その影響は依然として大きい。しかしながら、前立腺癌が早期発見される場合、90%の事例は外科手術で治癒し得る。腫瘍が前立腺の領域外に広がり、遠隔転移を形成すると、疾患の処置はより困難となる。従って、早期検出が、介入療法の成功にとって、および前立腺癌と関連する死亡率を低下させるために非常に重要である。
前立腺癌は、典型的には、男性の生殖器系の腺である前立腺の様々な組織に生じる。多くの前立腺癌はゆっくりと増殖する。しかしながら、癌細胞が前立腺から身体の他の部分、特に、骨およびリンパ節に転移し得る、侵攻性前立腺癌の事例も1年にかなりの数で存在する。前立腺癌は疼痛、排尿困難、性交中の問題、または勃起不全を引き起こし得る。他の症状は、潜在的には疾患のより後の段階に生じ得る。
現在、前立腺癌は、デジタル直腸検査(DRE)および/または前立腺特異的抗原(PSA)のレベルの測定などの、限られた数の検出手段のみを用いてスクリーニングされる。しかしながら、これらの手法は、許容できないほどに高い偽陽性率を有する。実際、PSAレベルが上昇している多くの男性(75%)は、その後の確認的な前立腺生検により決定された場合、前立腺癌を有さないという結果になる。
したがって、現在のスクリーニング試験は、前立腺癌を強固にスクリーニングするのに十分に特異的なものではない。毎年、DREおよびPSAスクリーニングの結果に基づいて、米国だけで約100万件の前立腺生検が実施されている。これらの生検のうち25%のみが、癌の存在を確認する。PSAは、前立腺の上皮細胞から分泌され、前立腺上皮細胞の数が多いため、血中でより高い。前立腺癌が生じると、血中のPSAレベルは上昇し始める。米国では、FDAは50歳以上の男性における前立腺癌の年1回のスクリーニングのためにPSA試験を認可している。4〜10ng/mLのPSAレベルは疑わしいと考えられ、反復試験を用いてPSA異常を確認することを考慮すべきである。指示される場合、前立腺生検を実施して、組織病理学的分析のための組織試料を得る。針生検および処置により誘導される感染、内出血、アレルギー反応、勃起不全、および尿失禁などの合併症は、癌の早期検出により助かる可能性がある者よりも多くの男性を傷つける。
実際、U.S. Preventative Services Task Force (USPSTF)は、診断された男性の約90%が処置され、1000人の男性のうちの2人が重篤な心血管事象を生じ、1000人の男性のうちの1人が深部静脈血栓症を生じ、1000人の男性のうちの29人が勃起不全を生じ、1000人の男性のうちの18人が尿失禁を生じ、1000人の男性のうちの1人が処置に起因して死亡すると見積もっている。これらの男性の大部分は、未処置の場合、生涯にわたって無症状のままである。したがって、PSA試験により発見される多くの癌は、事実、危険ではない。それにもかかわらず、前立腺癌のより有効な予測因子がないことを考慮して、当業界では、生検および処置の使用においてより保存的な手法を取っており、予防措置をし過ぎて失敗するが、そうでなければ健康な男性に有意な損害をもたらす危険性がある。
前立腺癌検出における現在の欠点にもかかわらず、USPSTFは、10年間にわたって1〜4年毎にスクリーニングされる1,000人の男性毎に、1人の生命が救われると見積もっている。この全体の展望は、より少ない偽陽性結果と関連する改善された生検前スクリーニング法を使用して不必要な生検を制限することによってさらに改善することができる。不必要な生検が少なくなれば、関連する生検合併症に罹患する男性も少なくなるであろう。さらに、合併症が少なくなれば、前立腺癌の管理における医療制度に対する全体の費用削減をももたらすであろう。
従って、前立腺癌検出の正確性を改善する、改善された前立腺癌スクリーニングツールの満たされていない必要性がある。分子に基づくバイオマーカーは、この必要性に対処し得る。
前立腺癌が依然として男性集団の有意な部分に達する生命を脅かす疾患であるという事実を考慮すると、特に、高い割合の偽結果に悩まされない、効率的で、正確で、および迅速な分子診断手段が依然として必要である。また、前立腺癌の正確な検出のための分子試験の開発は、適切な療法の改善された管理、および全体の改善された生存率をもたらすであろう。かくして、PSAおよび他の現在のスクリーニング試験よりも信頼性が高く、正確である前立腺癌の検出のための改善された診断試験を提供することが依然として必要である。本発明は、前立腺癌の正確で信頼性の高い検出のための、単独で、または他のマーカーと共に用いられる新しいバイオマーカーであるフィラミンAの使用を提供することにより、この必要性に対処するものである。
本発明は、少なくとも部分的には、フィラミンAが前立腺癌細胞中で示差的に調節されるという発見に基づく。特に、本発明は、フィラミンAレベルが前立腺癌を有する患者の血清中で有意に上昇するという驚くべき発見に基づく。従って、本発明は、哺乳動物における腫瘍性疾患状態、例えば、前立腺癌を診断する、および/またはモニタリングする(例えば、疾患の進行もしくは処置のモニタリング)ための方法を提供する。本発明はまた、腫瘍疾患状態、例えば、前立腺癌を有する被験体の血清中のフィラミンAのレベルと関連する診断情報に基づいて処置するため、または処置レジメンを調整するための方法も提供する。本発明はさらに、本発明の方法を実施するためのパネルおよびキットを提供する。
従って、一態様において、本発明は、被験体における前立腺癌の存在を診断するための方法であって、(a)被験体の生物試料中のフィラミンAのレベルを検出すること;および(b)生物試料中のフィラミンAのレベルと、所定の閾値とを比較することを含み、所定の閾値を超えるフィラミンAのレベルが、被験体における前立腺癌の存在を示す前記方法を提供する。
別の態様において、本発明は、被験体における前立腺癌の存在を診断するための方法であって、(a)生物試料と、フィラミンAに選択的に結合する試薬とを接触させること;(b)試薬とフィラミンAとの間で複合体を形成させること;(c)複合体のレベルを検出すること;および(d)複合体のレベルと、所定の閾値とを比較することを含み、所定の閾値を超える複合体のレベルが、被験体における前立腺癌の存在を示す前記方法を提供する。
特定の実施形態において、診断方法は、前立腺癌の1種以上のさらなるマーカーのレベルを検出することをさらに含む。
前立腺癌の1種以上のさらなるマーカーとしては、限定されるものではないが、前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3が挙げられる。別の実施形態においては、前立腺癌の1種以上のさらなるマーカーは、年齢を含んでもよい。年齢は、連続的な予測バイオマーカーとして用いることができる。例えば、年齢の増加は、前立腺癌を有するより高い危険性と関連する。より低い年齢は、前立腺癌を有する危険性の低下と関連する。
特定の他の実施形態においては、1種以上のさらなるマーカーは、前立腺において特異的に発現されると文献に記載されている遺伝子を含んでもよい。これらの遺伝子としては、例えば、前立腺特異的膜抗原(PSM)(Fairら、1997、「Prostate-specific membrane antigen」、Prostate 32:140-148)、前立腺幹細胞抗原(PSCA) (Reiterら、1998、「Prostate stem cell antigen: a cell surface marker overexpressed in prostate cancer」、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:1735-1740)、TMPRSS2 (Linら、1999、「Prostate-localized and androgen-regulated expression of the membrane-bound serine protease TMPRSS2」、Cancer Res. 59:4180-4184)、PDEF (Oettgenら、2000、「PDEF, a novel prostate epithelium-specific ETS transcription factor, interacts with the androgen receptor and activates prostate-specific antigen gene expression」、J. Biol. Chem. 275:1216-1225)、前立腺特異的遺伝子-1(Herness、2003、「A novel human prostate-specific gene-1 (HPG-1): molecular cloning, sequencing, and its potential involvement in prostate carcinogenesis」、Cancer Res. 63:329-336)、ならびにさらにはPCA3 (Bussemakersら、1999、「DD3: a new prostate-specific gene, highly overexpressed in prostate cancer」、Cancer Res. 59:5975-5979)、PCGEM1 (Srikantanら、2000、「PCGEM1, a prostate-specific gene, is overexpressed in prostate cancer」、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:12216-12221)のような様々な非コードRNA(ncRNA)、ならびに遺伝子クラスターP704P、P712P、およびP775P (Stolkら、2004、「P704P, P712P, and P775P: A genomic cluster of prostate-specific genes」、Prostate 60:214-226)が挙げられる。これらのマーカーのほんの一部が前立腺癌の予後、進行および/または転移能力と関連しており、したがって、価値あるバイオマーカーおよび/または治療標的としてのその潜在能力はほとんど不明である。
一実施形態においては、前立腺癌は、フィラミンAの過剰発現を特徴とする前立腺癌である。別の実施形態においては、前立腺癌は、フィラミンAの過剰発現およびフィラミンB、LY9、ケラチン5、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、または前立腺特異的抗原(PSA)からなる群より選択される1種以上のさらなるマーカーの過剰発現を特徴とする前立腺癌である。別の実施形態においては、前立腺癌は、フィラミンAの過剰発現およびフィラミンB、LY9、ケラチン5、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、または前立腺特異的抗原(PSA)からなる群より選択される1種以上のさらなるマーカーの過剰発現、および患者年齢の増加を特徴とする前立腺癌である。別の実施形態においては、前立腺癌は、フィラミンAの過剰発現および患者年齢の増加を特徴とする前立腺癌である。別の実施形態においては、前立腺癌は、フィラミンAの過少発現およびフィラミンB、LY9、ケラチン5、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、または前立腺特異的抗原(PSA)からなる群より選択される1種以上のさらなるマーカーの過剰発現を特徴とする前立腺癌である。別の実施形態においては、前立腺癌は、フィラミンAの過少発現およびフィラミンB、LY9、ケラチン5、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、または前立腺特異的抗原(PSA)からなる群より選択される1種以上のさらなるマーカーの過剰発現、および患者年齢の増加を特徴とする前立腺癌である。別の実施形態においては、前立腺癌は、フィラミンAの過少発現および患者年齢の増加を特徴とする前立腺癌である。
特定の実施形態においては、生物試料は、血液、血清、尿、臓器組織、生検組織、糞便、皮膚、毛髪、および頬組織からなる群より選択することができる。
様々な実施形態においては、フィラミンAのレベルを、イムノアッセイまたはELISAなどのアッセイによって決定することができる。他の好適なアッセイを用いてもよい。
特定の実施形態においては、生物試料中のフィラミンAのレベルを決定するステップは、(i)生物試料と、フィラミンAポリペプチドに選択的に結合する試薬とを接触させて、バイオマーカー複合体を形成させること、および(ii)バイオマーカー複合体を検出することを含んでもよい。
いくつかの実施形態においては、試薬は、フィラミンAの少なくとも1つのエピトープに選択的に結合する抗フィラミンA抗体であってもよい。特定の他の実施形態においては、抗フィラミンA抗体は、検出可能な標識をさらに含んでもよい。他の実施形態においては、前記方法は、抗フィラミンA抗体/フィラミンA複合体と、それ自身、検出可能なタグまたは標識を担持する、抗フィラミンA抗体に選択的に結合する二次抗体とを接触させるさらなるステップを含んでもよい。
特定の他の実施形態においては、生物試料中のフィラミンAのレベルを決定するステップは、生物試料中のフィラミンA mRNAの量の決定に基づくものであってもよい。
いくつかの実施形態においては、生物試料中のフィラミンA mRNAの量を決定するために、増幅反応を用いることができる。増幅反応としては、限定されるものではないが、(a)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR);(b)核酸配列に基づく増幅アッセイ(NASBA);(c)転写媒介性増幅(TMA);(d)リガーゼ連鎖反応(LCR);または(e)鎖置換増幅(SDA)が挙げられる。
さらに他の実施形態においては、生物試料中のフィラミンAのレベルを決定するステップは、オリゴヌクレオチドが検出可能な標識またはタグをさらに含む、それとハイブリダイズするフィラミンA mRNAの一部と相補的であるオリゴヌクレオチドまたはプローブを用いることを含んでもよい、ハイブリダイゼーションアッセイに基づくものであってもよい。
特定の実施形態においては、前立腺癌は、前立腺上皮内新生物、腺癌、小細胞癌、または扁平上皮癌である。他の実施形態においては、前立腺癌は、アンドロゲン依存的前立腺癌であってもよい。さらに他の実施形態においては、前立腺癌は、アンドロゲン非依存的前立腺癌であってもよい。さらに他の実施形態においては、前立腺癌は、侵攻性前立腺癌または転移癌であってもよい。さらに他の実施形態においては、前立腺癌は、非侵攻性前立腺癌であってもよい。
前立腺癌の診断を行う実施形態においては、本発明はまた、抗癌処置が(a)放射線療法、(b)化学療法、(c)外科手術、(d)ホルモン療法、(e)抗体療法、(f)免疫療法、(g)サイトカイン療法、(h)増殖因子療法、および(i)(a)〜(h)の任意の組合せからなる群より選択される、治療的抗癌処置を投与することも企図する。
様々な実施形態においては、本発明の方法は、前立腺癌を有すると疑われる、または有する危険性がある被験体を最初に選択すること、および前立腺癌を有すると疑われる、または有する危険性があるその被験体から生物試料を取得することを含んでもよい。
さらに他の実施形態においては、本発明の診断方法は、生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカー、例えば、フィラミンAならびにPSA、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上のレベルと、生物試料よりも早い時点で同じ被験体から得られた試料、良性前立腺過形成(BPH)を有する被験体に由来する試料、非転移性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、転移性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、アンドロゲン感受性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、アンドロゲン非感受性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、侵攻性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、および非侵攻性前立腺癌を有する被験体に由来する試料からなる群より選択される対照試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルとを比較することをさらに含んでもよい。
さらに他の実施形態においては、本発明の診断方法は、正常な前立腺と前立腺癌、良性前立腺過形成と前立腺癌、良性前立腺過形成と正常な前立腺、アンドロゲン依存的前立腺癌とアンドロゲン非依存的前立腺癌、侵攻性前立腺癌と非侵攻性前立腺癌、および転移性前立腺癌と非転移性前立腺癌からなる群より選択される2つの前立腺癌状態の間を区別することを含んでもよい。
さらに別の態様において、本発明は、被験体における前立腺癌をモニタリングするための方法であって、(1)前立腺癌を有する被験体から第1の時間に得られた第1の生物試料中のフィラミンAのレベルを決定すること;(2)第1の時間の後である第2の時間に被験体から得られた第2の生物試料中のフィラミンAのレベルを決定すること;ならびに(3)第2の試料中のフィラミンAのレベルと、第1の試料中のフィラミンAのレベルとを比較すること
を含み、フィラミンAのレベルの変化が、被験体における前立腺癌状態の変化を示す、前記方法を提供する。
特定の実施形態においては、上記の決定ステップ(1)および(2)は、PSA、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群より選択される1種以上のさらなる前立腺癌関連マーカーのレベルを決定することをさらに含む。特定の実施形態においては、上記の決定ステップ(1)および(2)は、患者の年齢のレベルを決定することをさらに含む。
特定の実施形態においては、被験体は、第2の試料を取得する前に前立腺癌について積極的に処置される。他の実施形態においては、被験体は、第2の試料を取得する前に前立腺癌について積極的に処置されていない。
前立腺癌のモニタリングと関連する特定の実施形態においては、第1の生物試料と比較した、第2の生物試料中でのフィラミンAおよび/または1種以上のさらなる前立腺癌関連マーカーのレベルの増加は、被験体における前立腺癌の進行を示す。
前立腺癌のモニタリングと関連する特定の他の実施形態においては、第1の生物試料と比較した、第2の生物試料中でのフィラミンAおよび/または1種以上のさらなる前立腺癌関連マーカーのレベルの低下または等価性は、被験体における前立腺癌の非進行を示す。
前立腺癌のモニタリングと関連する他の実施形態においては、前記方法は、第1の生物試料または第2の生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルと、正常な対照試料、良性前立腺過形成(BPH)を有する被験体に由来する試料、非転移性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、転移性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、アンドロゲン感受性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、アンドロゲン非感受性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、侵攻性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、および非侵攻性前立腺癌を有する被験体に由来する試料からなる群より選択される対照試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルとを比較することをさらに含む。
さらに他の実施形態においては、本発明の方法はいずれも、被験体における前立腺腫瘍のサイズを検出することを含んでもよい。
さらに他の実施形態においては、方法はいずれも、被験体から第1の試料および第2の試料を取得することをさらに含む。
さらに他の実施形態においては、本発明の診断方法は、被験体における前立腺癌の進行に基づいて被験体のための異なる処置レジメンを選択および/または投与するステップをさらに含む。
さらに他の実施形態においては、本発明の診断方法は、被験体における前立腺癌の進行に基づいて治療的抗癌処置を投与することをさらに含み、抗癌処置は、(a)放射線療法、(b)化学療法、(c)外科手術、(d)ホルモン療法、(e)抗体療法、(f)免疫療法、(g)サイトカイン療法、(h)増殖因子療法、および(i)(a)〜(h)の任意の組合せからなる群より選択される。
さらに他の実施形態においては、本発明の方法は、被験体における前立腺癌の非進行に基づいて被験体における前立腺癌の積極的な処置を保留することをさらに含む。
別の態様において、本発明は、被験体における前立腺癌を処置する方法であって、(a)前立腺癌を有すると疑われる被験体から生物試料を取得すること、(b)フィラミンAのレベルに関する診断情報を取得するために生物試料を提出すること、(c)フィラミンAのレベルが閾値レベルよりも上である場合、治療上有効量の抗癌療法を投与することを含む、前記方法を提供する。
さらに別の態様において、本発明は、被験体における前立腺癌を処置する方法であって、(a)生物試料中のフィラミンAのレベルに関する診断情報を取得すること、および(b)フィラミンAのレベルが閾値レベルよりも上である場合、治療上有効量の抗癌療法を投与することを含む、前記方法を提供する。
さらに別の態様において、本発明は、被験体における前立腺癌を処置する方法であって、(a)フィラミンAのレベルに関する診断情報の同定における使用のために前立腺癌を有すると疑われる被験体から生物試料を取得すること、(b)生物試料中のフィラミンAのレベルを測定すること、(c)フィラミンAのレベルが閾値レベルよりも上である場合、抗癌療法を投与するように医療提供者に推奨することを含む、前記方法を提供する。
特定の実施形態においては、本発明の方法は、前立腺癌の1種以上のさらなるマーカーのレベルに関する診断情報を取得することをさらに含む。
さらに他の実施形態においては、本発明の方法は、前立腺癌の1つ以上のさらなるマーカーのレベルに関する診断情報を取得することをさらに含む。前立腺癌の1つ以上のさらなるマーカーとしては、限定されるものではないが、PSA、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1が挙げられる。別の実施形態においては、患者の年齢が決定される。年齢は、連続予測変数として用いることができる。例えば、年齢の増加は、前立腺癌の危険性の増大と関連する。逆に、年齢の低下は、前立腺癌の危険性の低下と関連する。
特定の他の実施形態においては、本発明の方法は、フィラミンAおよび前立腺癌の少なくとも1つのさらなるマーカーのレベルが閾値レベルを超える場合、治療上有効量の抗癌療法を投与することを含む。
さらに他の実施形態においては、本発明の方法は、フィラミンAおよび前立腺癌の少なくとも1つのさらなるマーカーのレベルが閾値レベルを超える場合、抗癌療法を投与するように医療提供者に推奨することを含む。
本発明の方法のいずれかの生物試料を、血液、血清、尿、臓器組織、生検組織、糞便、皮膚、毛髪、もしくは頬組織、または任意の他の好適な組織もしくは身体部位から取得することができる。
さらなる実施形態においては、本発明の処置の方法は、イムノアッセイまたはELISAにより決定されるようにフィラミンAのレベルを測定することができる。さらに他の実施形態においては、フィラミンAのレベルを、(i)生物試料と、フィラミンAに選択的に結合する試薬とを接触させて、バイオマーカー複合体を形成させること、および(ii)バイオマーカー複合体を検出することによって決定することができる。試薬は、フィラミンAの少なくとも1つのエピトープに選択的に結合する抗フィラミンA抗体であってもよい。
特定の他の実施形態においては、フィラミンAのレベルを、生物試料中のフィラミンA mRNAの量を測定することによって決定することができる。フィラミンA mRNAレベルを、(a)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR);(b)核酸配列に基づく増幅アッセイ(NASBA);(c)転写媒介性増幅(TMA);(d)リガーゼ連鎖反応(LCR);または(e)鎖置換増幅(SDA)を含む増幅反応によって決定することができる。フィラミンA mRNAのレベルを、フィラミンA mRNAの一部と相補的であるオリゴヌクレオチドを用いるハイブリダイゼーションアッセイによって決定することもできる。
さらに別の態様において、本発明は、生物試料中のフィラミンAのレベルを測定するための少なくとも1つの試薬、およびフィラミンAのレベルを測定するための説明書のセットを含む、生物試料中のフィラミンAを検出するためのキットに関する。試薬は、抗フィラミンA抗体であってもよい。キットはまた、検出可能な二次抗体などの、抗フィラミンA抗体を検出するための手段を含んでもよい。
本発明のキットはまた、フィラミンA mRNAと相補的であるオリゴヌクレオチドである試薬を含んでもよい。
本発明のキットはまた、生物試料中のフィラミンAレベルを検出するためのイムノアッセイまたはELISAを説明する説明書のセットを含んでもよい。説明書は、生物試料中のフィラミンA mRNAのレベルをアッセイするための増幅またはハイブリダイゼーション反応を説明してもよい。増幅反応は、(a)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR);(b)核酸配列に基づく増幅アッセイ(NASBA);(c)転写媒介性増幅(TMA);(d)リガーゼ連鎖反応(LCR);または(e)鎖置換増幅(SDA)であってもよい。
さらに別の態様において、本発明は、前立腺癌のための少なくとも2つのマーカーを検出する方法における使用のためのパネルであって、パネルが少なくとも2つの検出試薬を含み、それぞれの検出試薬がマーカーのセットの少なくとも1つの前立腺癌マーカーの検出にとって特異的であり、マーカーのセットがフィラミンAならびにPSA、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群より選択される少なくとも1つの他の前立腺癌関連マーカーを含む、前記パネルを提供する。別の実施形態においては、患者の年齢も連続予測変数として用いられる。
さらに別の態様において、本発明は、前立腺癌を処置する方法における使用のためのパネルであって、パネルが少なくとも2つの検出試薬を含み、それぞれの検出試薬がマーカーのセットの少なくとも1つの前立腺癌マーカーの検出にとって特異的であり、マーカーのセットがフィラミンAならびにPSA、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群より選択される少なくとも1つの他の前立腺癌関連マーカーを含む、前記パネルを提供する。別の実施形態においては、患者の年齢も連続予測変数として用いられる。
さらに別の態様において、本発明は、前立腺癌の処置をモニタリングする方法における使用のためのパネルであって、パネルが少なくとも2つの検出試薬を含み、それぞれの検出試薬がマーカーのセットの少なくとも1つの前立腺癌マーカーの検出にとって特異的であり、マーカーのセットがフィラミンAならびにPSA、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群より選択される少なくとも1つの他の前立腺癌関連マーカーを含む、前記パネルを提供する。別の実施形態においては、患者の年齢も連続予測変数として用いられる。
さらに別の態様において、本発明は、前立腺癌を診断および/または処置するための方法における前立腺癌のマーカーを検出するのに特異的な複数の検出試薬を含むパネルの使用であって、パネルの少なくとも1つの検出試薬がフィラミンAを検出するのに特異的であり、残りの1種以上の検出試薬がPSA、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群より選択される前立腺癌マーカーを検出するのに特異的である、前記使用に関する。別の実施形態においては、患者の年齢も連続予測変数として用いられる。
さらに別の態様において、本発明は、被験体における異常な前立腺状態を診断するための方法であって、(1)被験体に由来する生物試料中の、PSA、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群より選択される1種以上のさらなる前立腺癌関連マーカーと共に、フィラミンAのレベルを決定すること;ならびに(2)生物試料中のフィラミンAのレベルおよび1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルと、正常対照試料中の対応するレベルとを比較することを含み、正常対照試料と比較した生物試料中のフィラミンAおよび1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの変化が、被験体における異常な前立腺状態を示す、前記方法を提供する。別の実施形態においては、患者の年齢も連続予測変数として用いられる。
特定の実施形態においては、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、フィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される。特定の実施形態においては、正常対照試料と比較した生物試料中のフィラミンAならびにフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される少なくとも1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの増加は、被験体における異常な前立腺状態を示す。別の実施形態においては、患者の年齢も連続予測変数として用いられる。
特定の実施形態においては、正常対照試料と比較した生物試料中のフィラミンAならびにフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される少なくとも1種の前立腺癌関連マーカーの発現の検出レベルの増加がないことは、被験体における正常な前立腺状態を示す。そのような実施形態において、フィラミンB、LY9、およびケラチン19の1つ、2つ、または3つのレベルを検出することができる。特定の実施形態においては、いずれのマーカーもレベルの増加を示さない。別の実施形態においては、患者の年齢も連続予測変数として用いられる。
特定の実施形態においては、前記方法はさらに、生物試料中の前立腺特異的抗原(PSA)のレベルを検出することを含み、好ましくは、生物試料中のPSAのレベルと、正常対照試料中のPSAのレベルとを比較することをさらに含む。特定の実施形態においては、正常対照試料と比較した生物試料中のフィラミンAならびにフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される少なくとも1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの増加は、正常対照試料と比較した生物試料中のPSAのレベルの増加と組合わせた場合、単一のマーカー単独の予測値よりも、異常な前立腺状態を有する被験体のより高い予測値を有する。特定の実施形態においては、正常対照試料と比較した生物試料中のフィラミンAならびにフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の組み合わせの前立腺癌関連マーカーの発現の検出レベルの増加がないことは、正常対照試料中のPSAのレベルと比較した生物試料中のPSAのレベルの低下または正常なレベルとさらに組合わせた場合、いずれかの単一のマーカー単独よりも、正常な前立腺状態を有する被験体のより高い予測値を有する。別の実施形態においては、患者の年齢も連続予測変数として用いられる。
本発明の方法、キット、およびパネルを通じて、フィラミンB、LY9およびケラチン19の1種以上とフィラミンAとの組み合わせとは、フィラミンB;LY9;ケラチン19;フィラミンBとLY9;フィラミンBとケラチン19;LY9とケラチン19;またはフィラミンB、LY9、およびケラチン19のいずれかとフィラミンAとの組み合わせと理解される。一実施形態においては、本発明の方法、キットおよびパネルは、フィラミンB、およびケラチン19(KRT19)と共にフィラミンAを含む。一実施形態においては、本発明の方法、キットおよびパネルは、フィラミンB、およびケラチン19(KRT19)、ならびに患者の年齢の決定と共にフィラミンAを含む。
さらに、本発明は、フィラミンAを、PSA、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のいずれかを含む任意の組合せのいずれか1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20種以上の他の前立腺癌関連マーカーと組合わせることができる。一実施形態においては、本発明の方法、キットおよびパネルは、フィラミンB、およびケラチン19(KRT19)と共にフィラミンAを含む。
本発明の特定の実施形態において、異常な前立腺状態は、前立腺癌である。
本発明の特定の実施形態において、前立腺癌は、アンドロゲン依存的前立腺癌である。本発明の特定の実施形態において、前立腺癌は、アンドロゲン非依存的前立腺癌である。本発明の特定の実施形態において、前立腺癌は、侵攻性前立腺癌である。本発明の特定の実施形態において、前立腺癌は非侵攻性前立腺癌である。
本発明の特定の実施形態において、異常な前立腺癌は、良性前立腺過形成である。
別の態様において、本発明は、前立腺癌を発症する危険性が高い被験体を同定するための方法であって、
(1)被験体に由来する生物試料中のPSA、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群より選択される1種以上のさらなる前立腺癌関連マーカーとフィラミンAとの組み合わせのレベルを決定すること;ならびに
(2)生物試料中のフィラミンAおよび1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルと、正常対照試料中のマーカーのレベルとを比較すること
を含み、対照試料と比較した生物試料中のマーカーのレベルの変化が、被験体において前立腺癌を発症する危険性が高いことを示す、前記方法を提供する。別の実施形態においては、患者の年齢も連続予測変数として用いられる。
特定の実施形態においては、フィラミンAの検出は、フィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーの検出と組合わされる。特定の実施形態においては、正常対照試料と比較した生物試料中のフィラミンAならびにフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの増加は、被験体において前立腺癌を発症する危険性の増加を示す。特定の実施形態においては、正常対照試料と比較した生物試料中のフィラミンAならびにフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのそれぞれの発現の検出レベルの増加がないことは、被験体において前立腺癌を発症する危険性が高くないことを示す。別の実施形態においては、患者の年齢も連続予測変数として用いられる。
特定の実施形態においては、前記方法は、生物試料中の前立腺特異的抗原(PSA)と一緒にフィラミンAのレベルを検出することをさらに含む。この実施形態においては、前記方法は、生物試料中のフィラミンAおよびPSAのレベルを、正常対照試料中の対応するレベルと比較することを含む。特定の実施形態においては、前記方法は、正常対照試料と比較した、生物試料中のフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群から選択される1種以上のさらなる前立腺癌関連マーカーのレベルを測定することによって、被験体における前立腺癌を発症する予測値を増加させることをさらに含む。特定の他の実施形態においては、正常試料と比較した生物試料中のフィラミンAおよびPSAの発現の検出されたレベルの増加がないことは、前立腺癌を発症する危険性が高くないことを示す。さらなる実施形態においては、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群から選択される1種以上のさらなる前立腺癌関連マーカーの検出されたレベルの増加がないことは、前立腺癌の危険性が高くないことを示し、フィラミンAおよび/またはPSAのみを評価するよりも、前立腺癌の危険性が高くないことのより高い予測値を有する。別の実施形態においては、患者の年齢も連続予測変数として用いられる。
本発明の診断または予後診断方法の特定の実施形態においては、本発明の診断の方法は、フィラミンAに基づいて、場合により、PSAにさらに基づいて、さらに場合により、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群から選択される1種以上のさらなる前立腺癌関連マーカーに基づいて実行される。特定の実施形態においては、1種以上のさらなる前立腺癌関連マーカーは、ケラチン7、ケラチン8、およびケラチン15からなる群より選択される。特定の他の実施形態においては、1種以上のさらなる前立腺癌関連マーカーは、ケラチン7およびケラチン15からなる群より選択される。特定の他の実施形態においては、1種以上のさらなる前立腺癌マーカーは、ケラチン7、15および19からなる群より選択される。別の実施形態においては、患者の年齢も連続予測変数として用いられる。
特定の実施形態においては、フィラミンAおよびPSAのための対照試料は、本発明の1種以上のさらなる前立腺癌関連マーカーと同じ対照試料である。特定の実施形態においては、フィラミンAおよびPSAのための対照試料は、本発明の1種以上のさらなる前立腺癌関連マーカーのために用いられる対照試料とは異なる。さらに他の実施形態においては、フィラミンAのための対照試料は、PSAのために用いられる対照試料とは異なり、これは、それぞれ、1種以上のさらなる前立腺癌マーカーを測定するために用いられる対照試料とも異なる。
フィラミンAと組合わされる1種以上の前立腺癌関連マーカーが、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群より選択される、本発明の診断方法の特定の実施形態においては、正常対照試料と比較した、生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの増加は、被験体における異常な前立腺状態を示す。1種以上のさらなる前立腺癌関連マーカーが、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群より選択される、本発明の診断方法の特定の実施形態においては、正常対照試料と比較した、生物試料中の1種以上のさらなる前立腺癌関連マーカーのレベルの低下または正常なレベルは、被験体における異常な前立腺状態を示す。1種以上の前立腺癌関連マーカーが、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群より選択される、本発明の診断方法の特定の実施形態においては、正常対照試料と比較した、生物試料中の1種以上のさらなる前立腺癌関連マーカーのレベルの増加は、被験体における正常な前立腺状態を示す。1種以上の前立腺癌関連マーカーが、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群より選択される、本発明の診断方法の特定の実施形態においては、正常対照試料と比較した、生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの低下または正常なレベルは、被験体における正常な前立腺状態を示す。別の実施形態においては、患者の年齢も連続予測変数として用いられる。
フィラミンAと組合わされる1種以上のさらなる前立腺癌関連マーカーが、PSA、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群より選択される、本発明の予後診断方法(prognostic method)の特定の実施形態においては、正常対照試料と比較した、生物試料中の1種以上のさらなる前立腺癌関連マーカーのレベルの増加は、フィラミンAの増加に加えて、被験体において前立腺癌を発症する危険性が高いことを示す。1種以上のさらなる前立腺癌関連マーカーが、PSA、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群より選択される、本発明の予後診断方法の特定の実施形態においては、正常対照試料と比較した、生物試料中の1種以上のさらなる前立腺癌関連マーカーのレベルの低下または正常なレベルは、フィラミンAの低下に加えて、被験体において前立腺癌を発症する危険性が低いことを示す。1種以上のさらなる前立腺癌関連マーカーが、PSA、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群より選択される、本発明の予後診断方法の特定の実施形態においては、正常対照試料と比較した、生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの増加は、フィラミンAの増加に加えて、被験体において前立腺癌を発症する危険性が高いことを示す。1種以上のさらなる前立腺癌関連マーカーが、PSA、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群より選択される、本発明の予後診断方法の特定の実施形態においては、正常対照試料と比較した、生物試料中の1種以上のさらなる前立腺癌関連マーカーのレベルの低下または正常なレベルは、フィラミンAの低下に加えて、被験体において前立腺癌を発症する危険性が高くないことを示す。別の実施形態においては、患者の年齢も連続予測変数として用いられる。
フィラミンAとPSAの両方の検出を含む特定の実施形態においては、本発明の方法は、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群より選択される1種以上のさらなる前立腺癌関連マーカーの検出を含んでもよい。特定の実施形態においては、フィラミンAとPSAの両方のレベルの増加は、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群より選択される少なくとも1種のさらなる前立腺癌関連マーカーのレベルの増加と組合わせた場合、被験体における異常な前立腺状態を示し、前記方法は個々のマーカー単独のいずれかの値よりも高い診断値または予測値を有する。特定の他の実施形態においては、フィラミンAとPSAの両方のレベルの低下は、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群より選択される少なくとも1種のさらなる前立腺癌関連マーカーのレベルの低下と組合わせた場合、被験体における正常な前立腺状態を示し、前記方法は個々のマーカー単独のいずれかの値よりも高い診断値または予測値を有する。別の実施形態においては、患者の年齢も連続予測変数として用いられる。
本発明の診断または予後診断方法のいずれかの様々な実施形態において、前記方法は、生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルと、生物試料よりも早い時点で同じ被験体から得られた試料、良性前立腺過形成(BPH)を有する被験体に由来する試料、非転移性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、転移性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、アンドロゲン感受性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、アンドロゲン非感受性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、侵攻性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、および非侵攻性前立腺癌を有する被験体に由来する試料からなる群より選択される対照試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルとを比較することをさらに含んでもよい。そのような実施形態において、1種以上のさらなる対照試料との比較は、正常な前立腺と前立腺癌、良性前立腺過形成と前立腺癌、良性前立腺過形成と正常な前立腺、アンドロゲン依存的前立腺癌とアンドロゲン非依存的前立腺癌、侵攻性前立腺癌と非侵攻性前立腺癌、および転移性前立腺癌と非転移性前立腺癌からなる群より選択される2つの前立腺癌状態の識別;または正常な前立腺、前立腺癌、良性前立腺過形成、アンドロゲン依存的前立腺癌、アンドロゲン非依存的前立腺癌、侵攻性前立腺癌、非侵攻性前立腺癌、転移性前立腺癌、および非転移性前立腺癌のいずれか2つ以上の間の区別を容易にすることができる。
本発明の特定の実施形態において、腫瘍が存在する場合、前記方法は、被験体における前立腺腫瘍のサイズを検出することをさらに含む。
本発明の診断および予後診断方法の特定の実施形態において、前記方法は、被験体から試料を取得することをさらに含む。
本発明の診断および予後診断方法の特定の実施形態において、前記方法は、前立腺癌を有するか、または有すると疑われる被験体を選択することをさらに含む。
本発明の特定の実施形態において、前記方法は、1種以上の前立腺癌マーカーのレベルに基づいて被験体のための処置レジメンを選択することをさらに含む。本発明の特定の実施形態において、前記方法は、1種以上の前立腺癌マーカーのレベルに基づく処置レジメンで被験体を処置することをさらに含む。特定の実施形態において、処置レジメンは、外科手術、放射線、ホルモン療法、抗体療法、増殖因子療法、サイトカイン療法、および化学療法からなる群より選択される1種以上の処置を含む。
好適な場合、または具体的に放棄されない場合、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つは、それらの実施形態が本発明の異なる態様の下で記載される場合であっても、任意の他の1つ以上の実施形態と組合わせることができることが企図される。
これらの実施形態および他の実施形態は、以下の詳細な説明によって開示されるか、またはそれから明らかであり、包含される。
以下の詳細な説明は、例として与えられるものであり、記載される特定の実施形態だけに本発明を限定することを意図するものではなく、添付の図面と共に最良に理解することができる。
内容全体が参照により本明細書に組込まれるWO2012119129に提供される疑問プラットフォーム技術(Interrogative Platform Technology(商標)としても知られる)の基本原理を表す図である。 疑問プラットフォーム技術により推測されるヒト前立腺癌細胞におけるKRT4、KRT8、KRT15(図2A)およびKRT18(図2B)およびKRT19(図2C)を含むケラチンの因果関係を示す図である。 図2Aの続きである。 図2Bの続きである。 疑問プラットフォーム技術により推測されるミトコンドリア機能によるケラチンの調節における機構的洞察を示す図である。KRT8-KRT15の関係は、ユビデカレノン(ubidecaronone)処理の際に廃止される(図3A)。処理前(図3A)と処理後(図3B)のKRT7とKRT15の間の矢印の向きおよび位置の変化に留意されたい。チューブリン-ベータ3は、いくつかのタンパク質と相互作用する(図3C)。前立腺癌を有する被験体に由来する生物試料または対照試料中のケラチン19の発現レベル(図3D)。 図3Aの続きである。 図3Bの続きである。 図3Cの続きである。 前立腺癌における活性の拠点として、およびWO2012119129に提供される疑問プラットフォーム技術を用いるバイオマーカーとしてのフィラミンB(FLNB)の推測を示す図である。 フィラミンBがLY9に直接接続され、次いで、少なくとも1つの他のマーカーに接続されることを示す推測マップの一部を示す図である。 ヒト血清試料中のフィラミンBレベルの検証を示す図である。フィラミンB(図6A)およびPSA(図6B)のレベルは、正常血清と比較した場合、前立腺癌試料において上昇した。データは、平均変化率(%)を表し、正常ドナーを対数尺度で100%に設定した。 図6Aの続きである。 ヒト血清試料中のLY9レベルの検証を示す図である。LY9のレベルは、正常血清と比較した場合、前立腺癌試料において上昇した。データは、平均変化率(%)を表し、正常ドナーを対数尺度で100%に設定した。 ヒト血清試料中のフィラミンB(図8A)、LY9(図8B)、およびPSA(図8C)レベルの検証を示す図である。データは、血清中のマーカーのng/mlとして示される。 図8Aの続きである。 図8Bの続きである。 PSA、FLNBおよびPSAとFLNBとの組合せの感度および偽陽性率(FPR)のROC曲線分析(図9A)ならびにその分析に基づいて算出された曲線下面積の値(AUC)(図9B)である。PSAとFLNBの組合せは、いずれか単独のマーカーよりも高感度である。 図9Aの続きである。 線形(図10A)および非線形(図10B)スコアリング関数を用いる、PSA、FLNB、LY9ならびにPSA、FLNB、およびLY9の組合せのROC曲線分析である。PSA、LY9、およびFLNBの組合せは、いずれか単独のマーカーよりも高感度であった。 図10Aの続きである。 実施例13に記載されるような、フィラミンA ELISAに関連して用いられる血清試料に関する医学的注釈を示す図である。 図11−1の続きである。 図11−1の続きである。 図11−1の続きである。 実施例13に記載されるような、ケラチン19 ELISAに関連して用いられる血清試料に関する医学的注釈を示す図である。 図12−1の続きである。 図12−1の続きである。 図12−1の続きである。 図12−1の続きである。 図12−1の続きである。 図12−1の続きである。 図12−1の続きである。 図12−1の続きである。 図12−1の続きである。 図12−1の続きである。 図12−1の続きである。 ELISAにより決定される、前立腺癌を有する、および有さない患者に由来する血清中のフィラミンAタンパク質レベルを示す図である。 ELISAにより決定される、前立腺癌を有する、および有さない患者に由来する血清中のケラチン19タンパク質レベルを示す図である。 実施例14に関する、フィラミンA(FLNA)およびフィラミンC(FLNC)および組合せ(FLNA/C)に関するROC曲線分析を示す図である。 実施例14に関する、ケラチン18(KRT18)およびケラチン19(KRT19)および組合せ(KRT18/19)に関するROC曲線分析を示す図である。 PSA、年齢、フィラミンA(FLNA)、フィラミンB(FLNB)、ケラチン19(KRT19)、およびその組合せに関するAUCのAUCの概要を示す図である。 PCA対その他:感度一致PSAを示す図である。 PCA対その他に関する予測確率分布を示す図である。 PCA対その他に関する正確性分析を示す図である。 非常に高いグレソン対その他を示す図である。 非常に高いグレソン(8-10)対その他に関する予測確率分布を示す図である。 非常に高いグレソン(8-10)対その他に関する正確性分析を示す図である。 高いグレソン対その他を示す図である。 高いグレソン(7以上)対その他に関する予測確率分布を示す図である。 高いグレソン(7以上)対その他に関する正確性分析を示す図である。 前立腺癌(PCA)対良性前立腺過形成(BPH)感受性を示す図である。 前立腺癌(PCA)対良性前立腺過形成(BPH)に関する予測確率分布を示す図である。 前立腺癌(PCA)対良性前立腺過形成(BPH)に関する正確性分析を示す図である。 in vitroの前立腺癌細胞中でのFLNA、FLNB、およびKRT19発現を示す図である。 in vitroの前立腺癌細胞中でのFLNA、FLNB、およびKRT19発現を示す図である。 in vitroの前立腺癌細胞からのFLNA、FLNB、およびKRT19の分泌を示す図である。 in vitroでの低酸素(1%酸素)の前立腺関連刺激によるFLNA、FLNB、KRT19、およびPSA発現の転写調節を示す図である。 in vitroでのTNFα(10ng/mL)の前立腺関連刺激によるFLNA、FLNB、KRT19、およびPSA発現の転写調節を示す図である。 in vitroでのR1881(1nM)の前立腺関連刺激によるFLNA、FLNB、KRT19、およびPSA発現の転写調節を示す図である。 前立腺癌のためのバイオマーカーとしての血漿FLNAおよびFLNBレベルの評価を示す図である。
A. 概説
前立腺癌と関連する腫瘍マーカーまたは抗原の同定は、前立腺癌のスクリーニング、診断、予後診断(prognosis)、臨床管理および処置可能性、特に、前立腺癌の早期検出のための有望なツールとしてかなりの興味を刺激してきた。実際、早期検出は、癌が転移する危険性を軽減する。転移していない、局所的な前立腺腫瘍は、前立腺全摘出術または放射線療法によって治癒することが多いが、遠く拡散した疾患を有する患者については、治癒的処置は利用できない。これは、正確な早期検出のための機会を改善し得る新しい前立腺(癌)特異的診断ツールの必要性を強調するものである。
いくつかの前立腺特異的マーカー、例えば、前立腺特異的抗原および前立腺幹細胞抗原が公知であるが、前立腺癌のための分子診断剤として幅広く、または日常的に使用されているバイオマーカーはほとんどない。従って、特に、高い割合の偽結果に悩まされない、効率的で、正確で、および迅速な分子診断手段が依然として必要である。また、前立腺癌の正確な検出のための分子試験の開発は、適切な療法の改善された管理、および全体の改善された生存率をもたらすであろう。かくして、PSAおよび他の現在のスクリーニング試験よりも信頼性が高く、正確である前立腺癌の検出のための改善された診断試験を提供することが依然として必要である。本発明は、前立腺癌の正確で信頼性の高い検出のための、単独で、または他のマーカーと共に用いられる新しいバイオマーカーであるフィラミンAの使用を提供することにより、この必要性に対処するものである。
本明細書に記載のように、本発明は、少なくとも部分的には、フィラミンA(「FLNA」)が前立腺癌細胞中で示差的に調節され、前立腺癌の有用なバイオマーカーとして役立つという発見に基づく。一実施形態においては、フィラミンAは、被験体における前立腺癌の存在を予測および/または検出するための有用な診断バイオマーカーとして役立ち得る。別の実施形態においては、フィラミンAは、有用な診断バイオマーカーとして役立ち、処置を有する、または有さない被験体における前立腺癌の進行可能性に関して情報を提供するのに役立ち得る。さらに別の実施形態においては、フィラミンAは、特定の処置に対する前立腺癌の応答可能性を評価するのを助けるための有用な予測バイオマーカーとして役立ち得る。従って、本発明は、前立腺癌の診断(例えば、被験体における前立腺癌の存在の予測)、前立腺癌の予後診断(例えば、処置を有する、または有さない前立腺癌の経過または結果の予測)、および前立腺癌を処置することを意図される療法(すなわち、治療診断または予測マーカーとしてのフィラミンA)の評価において、バイオマーカー、例えば、フィラミンAを使用する方法を提供する。本発明はさらに、フィラミンAに特異的な結合または検出試薬および場合により、本発明の方法における使用のための他のバイオマーカーを含むパネルを含む、物質(例えば、フィラミンA mRNAに特異的なオリゴヌクレオチドプローブ、フィラミンAに特異的な抗体、フィラミンAを標的とする治療剤)の組成物、ならびに本発明の方法を実施するためのキットを提供する。
以下は、本発明の実行において当業者を援助するために提供される本発明の詳細な説明である。当業者であれば、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の実施形態において改変および変更を加えることができる。別途定義されない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書の本発明の説明において用いられる用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、本発明の限定を意図するものではない。本明細書に記載の全ての刊行物、特許出願、特許、図面および他の参考文献は、その全体が明示的に参照により組込まれるものとする。
本明細書に記載のものと類似するか、または等価である任意の方法および材料を、本発明の実行または試験において用いることもできるが、好ましい方法および材料をここで記載する。本明細書に記載の全ての刊行物は、該刊行物が引用されるものと関連する方法および/または材料を開示および記載するために参照により本明細書に組込まれるものとする。
B. 定義
別途定義されない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。開示全体が参照により本明細書に組込まれる以下の参考文献は、当業者に、本発明において用いられる多くの用語の一般的な定義(別途本明細書で定義されない限り)を提供する:Singletonら、Dictionary of Microbiology and Molecular Biology (第2版、1994); The Cambridge Dictionary of Science and Technology (Walkerら、1988); The Glossary of Genetics、第5版、R. Riegerら(編)、Springer Verlag (1991); およびHale & Marham、the Harper Collins Dictionary of Biology (1991)。一般に、本明細書に記載の、または本明細書で固有の分子生物学的方法の手順などは、当業界で用いられる一般的な方法である。そのような標準的な技術は、例えば、Sambrookら(2000、Molecular Cloning--A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratories); およびAusubelら(1994、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、New-York)などの参考マニュアルに見出すことができる。
以下の用語は、別途特定されない限り、以下に帰する意味を有してもよい。しかしながら、当業界における通常の知識を有する者によって公知であるか、または理解される他の意味も可能であり、本発明の範囲内にあることが理解されるべきである。本明細書に記載の全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体が参照により組込まれるものとする。矛盾する場合、定義を含む本明細書が制御する。さらに、材料、方法、および実施例は例示に過ぎず、限定を意図するものではない。
本明細書で用いられる場合、単数形の「a」、「and」および「the」は、文脈が別途明確に記載しない限り、複数の参照を含む。本明細書で用いられる全ての技術用語および科学用語は、同じ意味を有する。
特に記述されない限り、または本文から明らかでない場合、本明細書で用いられる用語「約」は、当業界における通常許容される範囲内にある、例えば、平均の2標準偏差内にあると理解される。約は、記述される値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%以内と理解することができる。別途本文から明確でない限り、本明細書に提供される全ての数値は、用語「約」によって修飾することができる。
本明細書で用いられる場合、用語「年齢」とは、被験体が生きてきた時間の長さを指す。例えば、被験体の年齢は、被験体の誕生の日付から現在の日付まで算出される。年齢は、前立腺癌の存在に関する連続予測変数として用いることができる。例えば、年齢の増加は、前立腺癌の危険性の増加と関連する。逆に、年齢の低下は、前立腺癌の危険性の低下と関連する。同様に、年齢は、前立腺癌のステージ、またはカテゴリーに関する連続予測変数として用いることができる。例えば、年齢は、前立腺癌のグリソン(Gleason)スコアに関する連続予測変数として用いることができる。
本明細書で用いられる用語「増幅」とは、複数のコピー(「アンプリコン」)の標的核酸配列またはその相補体もしくは断片を取得するための任意の公知のin vitroでの手順を指す。in vitroでの増幅とは、完全な標的領域配列またはその相補体より少ないものを含有し得る増幅された核酸の産生を指す。公知のin vitro増幅法としては、例えば、転写媒介性増幅、レプリカーゼ媒介性増幅、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、リガーゼ連鎖反応(LCR)増幅および鎖置換増幅(多鎖置換増幅法(MSDA)を含むSDA)が挙げられる。レプリカーゼ媒介性増幅は、自己複製性RNA分子、およびQ-β-レプリカーゼなどのレプリカーゼを用いる(例えば、Kramerらの米国特許第4,786,600号)。PCR増幅は、周知であり、DNAポリメラーゼ、プライマーおよびサーマルサイクリングを用いて、DNAまたはcDNAの2つの相補鎖の複数のコピーを合成する(例えば、Mullisら、米国特許第4,683,195号、第4,683,202号、および第4,800,159号)。LCR増幅は、少なくとも4つの別々のオリゴヌクレオチドを用いて、複数のサイクルのハイブリダイゼーション、ライゲーション、および変性を用いることにより、標的およびその相補鎖を増幅する(例えば、欧州特許出願公開第0 320 308号)。SDAは、プライマーが、エンドヌクレアーゼに、標的配列を含む半改変DNA二本鎖の一方の鎖に切れ目を入れさせた後、一連のプライマー伸長および鎖置換ステップにおいて増幅を行う、制限エンドヌクレアーゼのための認識部位を含有する方法である(例えば、Walkerらの米国特許第5,422,252号)。2つの他の公知の鎖置換増幅法は、エンドヌクレアーゼニッキングを必要としない(Dattaguptaらの米国特許第6,087,133号および第6,124,120号(MSDA))。当業者であれば、本発明のオリゴヌクレオチドプライマー配列を、ポリメラーゼによるプライマー伸長に基づいて任意のin vitro増幅法を容易に用いることができることを理解するであろう(一般的に、Kwohら、1990、Am. Biotechnol. Lab. 8:14-25およびKwohら、1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86、1173-1177; Lizardiら、1988、BioTechnology 6:1197-1202; Malekら、1994、Methods Mol. Biol.、28:253-260; およびSambrookら、2000、Molecular Cloning--A Laboratory Manual、第3版、CSH Laboratoriesを参照されたい)。当業界で一般的に公知のように、オリゴは、選択された条件下で相補配列に結合するように設計される。
本明細書で用いられる用語「抗原」とは、被験体における抗体応答を惹起する、または抗体により認識および結合される分子、例えば、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、断片、または他の生物部分を指す。
本明細書で用いられる用語「曲線下面積」または「AUC」とは、感度対特異度のプロットにおける曲線下面積を指す。例えば、図18、21、24および27を参照されたい。一実施形態においては、本発明のバイオマーカー、またはバイオマーカーの組合せに関するAUCは、0.5である。別の実施形態においては、本発明のバイオマーカー、またはバイオマーカーの組合せに関するAUCは、0.6である。別の実施形態においては、本発明のバイオマーカー、またはバイオマーカーの組合せに関するAUCは、0.7である。別の実施形態においては、本発明のバイオマーカー、またはバイオマーカーの組合せに関するAUCは、0.8である。別の実施形態においては、本発明のバイオマーカー、またはバイオマーカーの組合せに関するAUCは、0.9である。別の実施形態においては、本発明のバイオマーカー、またはバイオマーカーの組合せに関するAUCは、1.0である。特定の実施形態においては、本発明のバイオマーカー、またはバイオマーカーの組合せに関するAUCは、0.5、0.51、0.52、0.53、0.54、0.55、0.56、0.57、0.58、0.59、0.6、0.61、0.62、0.63、0.64、3.65、0.66、0.67、0.68、0.69、0.7、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99または1.0である。一実施形態においては、本発明のバイオマーカー、またはバイオマーカーの組合せに関するAUCは、少なくとも0.5である。別の実施形態においては、本発明のバイオマーカー、またはバイオマーカーの組合せに関するAUCは、少なくとも0.6である。別の実施形態においては、本発明のバイオマーカー、またはバイオマーカーの組合せに関するAUCは、少なくとも0.7である。別の実施形態においては、本発明のバイオマーカー、またはバイオマーカーの組合せに関するAUCは、少なくとも0.8である。別の実施形態においては、本発明のバイオマーカー、またはバイオマーカーの組合せに関するAUCは、少なくとも0.9である。別の実施形態においては、本発明のバイオマーカー、またはバイオマーカーの組合せに関するAUCは、少なくとも1.0である。特定の実施形態においては、本発明のバイオマーカー、またはバイオマーカーの組合せに関するAUCは、少なくとも0.5、0.51、0.52、0.53、0.54、0.55、0.56、0.57、0.58、0.59、0.6、0.61、0.62、0.63、0.64、3.65、0.66、0.67、0.68、0.69、0.7、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99または1.0である。
本明細書で用いられる用語「バイオマーカー」は、定量的または定性的様式で、生物の生理的状態を反映する測定可能な特徴を意味すると理解される。生物の生理的状態は、任意の疾患または非疾患状態、例えば、前立腺癌を有する被験体またはそうでなければ健康である被験体を含む。換言すれば、バイオマーカーは、正常なプロセス、病理学的プロセス、または治療的介入に対する薬理学的応答の指標として客観的に測定し、評価することができる特徴である。バイオマーカーは、臨床パラメータ(例えば、年齢、能力状態)、検査測定値(例えば、前立腺特異的抗原などの分子バイオマーカー)、画像化に基づく測定値、またはタンパク質マーカーのリン酸化もしくはアセチル化状態、核酸のメチル化状態、または生物分子に対する任意の他の検出可能な分子改変などの、遺伝子もしくは他の分子決定因子であってもよい。バイオマーカーの例としては、例えば、ポリペプチド、ペプチド、ポリペプチド断片、タンパク質、抗体、ホルモン、ポリヌクレオチド、RNAまたはRNA断片、マイクロRNA(miRNA)、脂質、多糖、および他の身体の代謝物が挙げられる。バイオマーカーの他の例としては、患者の年齢が挙げられる。
好ましくは、本発明のバイオマーカーは、第2の表現型を有する(例えば、疾患を有さない、例えば、対照)被験体または被験体群に由来する生物試料と比較した場合、第1の表現型を有する(例えば、疾患を有する)被験体または被験体群に由来する生物試料中で調節される(例えば、レベルが増加する、または低下する)。バイオマーカーは、任意のレベルで示差的に存在してもよいが、一般には、正常または対照レベルと比較して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、少なくとも150%以上増加したレベルで存在するか、または一般には、正常または対照レベルと比較して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは100%(すなわち、存在しない)低下したレベルで存在する。バイオマーカーは、好ましくは、統計的に有意であるレベルで示差的に存在する(例えば、WelchのT検定またはWilcoxonの順位和検定のいずれかを用いて決定された場合、0.05未満のp値および/または0.10未満のq値)。
本明細書で用いられる用語「生検」または「生検組織」とは、試料が癌性組織を含有するかどうかを決定する目的で被験体から取り出される組織(例えば、前立腺組織)の試料を指す。次いで、生検組織は、癌の存在または非存在について検査される(例えば、顕微鏡観察による)。
本明細書で用いられる用語「相補的」とは、2つの核酸鎖の領域間または同じ核酸鎖の2つの領域間の配列相補性の広い概念を指す。第1の核酸領域のアデニン残基は、残基がチミンまたはウラシルである場合に第1の領域と逆平行である第2の核酸領域の残基と特異的水素結合(「塩基対」)を形成することができることが知られている。同様に、第1の核酸鎖のシトシン残基は、残基がグアニンである場合に第1鎖と逆平行である第2の核酸鎖の残基と塩基対を形成することができることが知られている。核酸の第1の領域は、2つの領域が逆平行様式で配置され、第1の領域の少なくとも1個のヌクレオチド残基が第2の領域の残基と塩基対を形成することができる場合、同じか、または異なる核酸の第2の領域と相補的である。好ましくは、第1の領域は第1の部分を含み、第2の領域は第2の部分を含み、それにより、第1および第2の部分が逆平行様式で配置される場合、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約75%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%の第1の部分のヌクレオチド残基が、第2の部分中のヌクレオチド残基と塩基対を形成することができる。より好ましくは、第1の部分の全てのヌクレオチド残基が、第2の部分中のヌクレオチド残基と塩基対を形成することができる。
本明細書で用いられる用語「対照試料」とは、例えば、腫瘍性障害、例えば、前立腺癌に罹患していない健康な被験体に由来する試料、またはより早い時点、例えば、処置の前、より早い腫瘍評価時点、処置のより早い段階からの被験体に由来する試料などの、任意の臨床的に関連する比較試料を指す。対照試料は、キットと共に提供される精製された試料、タンパク質、および/または核酸であってもよい。そのような対照試料を、例えば、試験試料中の分析物、例えば、マーカーのレベルの定量的測定を可能にする希釈系列中で希釈することができる。対照試料は、1つ以上の被験体から誘導される試料を含んでもよい。対照試料はまた、評価しようとする被験体からより早い時点で作られた試料であってもよい。例えば、対照試料は、腫瘍性障害、例えば、前立腺癌の開始前に、疾患のより早い段階で、または処置もしくは処置の一部の施行の前に、評価しようとする被験体から取られた試料であってもよい。対照試料はまた、動物モデルに由来する、または腫瘍性障害、例えば、前立腺癌の動物モデルから誘導される組織もしくは細胞系に由来する試料であってもよい。測定値群からなる対照試料中の1種以上のマーカー(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8または9種またはそれ以上のマーカー)の活性または発現のレベルを、例えば、平均値、中央値、またはモーダル値などの代表値のような任意の適切な統計的尺度に基づいて決定することができる。対照からの差異は、好ましくは対照とは統計的に有意に異なる。
本明細書で用いられる場合、「対照と比較して変化した」試料または被験体は、正常な、未処置の、または異常な状態の対照試料に由来する試料とは統計的に異なるレベルで検出される分析物または診断もしくは治療指標(例えば、マーカー)のレベルを有するものと理解される。対照と比較した変化はまた、経時的に得られた一連の少なくとも2つの被験体試料中で得られる1つ以上のマーカーのレベルの変化の割合の差異を含んでもよい。統計的有意性の決定は、当業者の能力の範囲内にあり、例えば、陽性もしくは陰性の結果を構成する平均からの標準偏差の数、試料(例えば、前立腺癌試料)対対照もしくは健康な試料中のバイオマーカーの検出レベルの増大(増加はいくつかの閾値を超えるものである)、または試料(例えば、前立腺癌試料)対対照もしくは健康な試料中のバイオマーカーの検出レベルの低下(低下はいくつかの閾値を下回るものである)などの、統計的有意性を決定する、および/または測定するための任意の許容し得る手段を含んでもよい。閾値は、疾患、例えば、前立腺癌を有することが知られる複数の組織または試料中のバイオマーカーレベルを測定すること、およびこれらのレベルを正常試料と比較すること、および統計的に有意な閾値を算出することにより、任意の好適な手段によって決定することができる。
用語「対照レベル」とは、被験体試料中のマーカーの許容されるか、または所定のレベルを指す。対照レベルは、一定範囲の値であってもよい。マーカーレベルを、アッセイにとって必要に応じて、単一の対照値、一定範囲の対照値、正常の上限レベル、または正常の下限レベルと比較することができる。
一実施形態において、対照は、例えば、癌を有さない被験体、特に、前立腺癌を有さない被験体の集団からの1種以上のマーカーの発現のレベルの平均を用いて予め決定される対照などの、標準化された対照である。本発明のさらに他の実施形態においては、マーカーの対照レベルは癌を有する被験体から誘導される非癌性試料中のマーカーのレベルである。例えば、生検または他の医学的手順が組織の一部において癌の存在を示す場合、マーカーの対照レベルを、組織の非罹患部分を用いて決定し、この対照レベルを、組織の罹患部分中のマーカーのレベルと比較することができる。
特定の実施形態においては、対照は、異常な前立腺状態を有する被験体、または被験体の集団に由来するものであってもよい。例えば、対照は、良性前立腺過形成(BPH)、アンドロゲン感受性前立腺癌、アンドロゲン非感受性もしくは耐性前立腺癌、侵攻性前立腺癌、非侵攻性前立腺癌、転移性前立腺癌、または非転移性前立腺癌に罹患する被験体に由来するものであってよい。全部ではないマーカーが、列挙される異常な前立腺状態のそれぞれについて異なるレベルを有することが理解される。マーカーレベルの組合せは、おそらく他の診断方法と組合わせた場合、異常な前立腺状態間を区別するのに最も有用であってよいことが理解される。さらに、生物試料中のマーカーレベルを、2つ以上の試料(例えば、同じ被験体に由来する、集団対照に由来する、正常、異常)と比較することができる。マーカーレベルを、被験体のための診断を提供するために異常な前立腺状態の他の兆候または症状と組合わせて用いることができる。
対照は、より早い時点での、例えば、疾患が存在すると疑われる前の基準レベルでの、疾患の診断の前の、待機療法中のより早い評価時点での、特定の薬剤(例えば、化学療法、ホルモン療法)または介入(例えば、放射線、外科手術)を用いる処置の前の、被験体に由来する試料であってもよい。特定の実施形態においては、被験体におけるマーカーのレベルの変化は、例えば、対照と比較して、マーカーの絶対レベルよりも有意であってもよい。
本明細書で用いられる場合、「検出すること」、「検出」、「決定すること」などは、アッセイが、試料中のフィラミンAおよび/または1種以上のさらなる特異的マーカー、例えば、PSA、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群より選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8または9種以上)のマーカーの同定のために実施されることと理解される。試料中で検出されるマーカー発現または活性の量は、なくてもよく、またはアッセイもしくは方法の検出のレベルより下であってもよい。
本明細書で用いられる用語「DNA」または「RNA」分子または配列(ならびに時には、用語「オリゴヌクレオチド」)は、一般に、デオキシリボヌクレオチドのアデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)および/またはシトシン(C)を含む分子を指す。「RNA」においては、Tはウラシル(U)で置き換えられる。
用語「障害」、「疾患」、および「異常な状態」は、包括的に用いられ、身体の任意の部分、臓器、または系の正常な構造または機能からの任意の逸脱(またはその任意の組合せ)を指す。特定の疾患は、生物学的、化学的、およぶ物理的変化などの特徴的な症候により現れ、限定されるものではないが、人口統計的、環境的、雇用的、遺伝的、および病歴的因子などの様々な他の因子と関連することが多い。特定の特徴的な兆候、症状、および関連する因子を、重要な診断情報を得るための様々な方法を介して定量することができる。本明細書で用いられる場合、障害、疾患、または異常な状態は、良性前立腺過形成および癌、特に、前立腺癌などの異常な前立腺状態である。前立腺癌の異常な前立腺状態は、例えば、Prostate. In: Edge SB, Byrd DR, Compton CCら(編): AJCC Cancer Staging Manual、第7版、New York, NY: Springer, 2010, pp 457-68(その全体が参照により本明細書に組込まれる)に提供されるような前立腺癌のステージおよび等級にさらに細分することができる。さらに、異常な前立腺状態を、良性前立腺過形成(BPH)、アンドロゲン感受性前立腺癌、アンドロゲン非感受性または耐性前立腺癌、侵攻性前立腺癌、非侵攻性前立腺癌、転移性前立腺癌、および非転移性前立腺癌の1つ以上として分類することができる。
本明細書で用いられる場合、「より早い時点」で得られた試料は、臨床的に関連する情報を、より後の時点と比較してより早い時点に由来する試料中で得ることができるような十分な過去の時点で得られた試料である。特定の実施形態において、より早い時点は、少なくとも4週間早い。特定の実施形態において、より早い時点は、少なくとも6週間早い。特定の実施形態において、より早い時点は、少なくとも2カ月間早い。特定の実施形態において、より早い時点は、少なくとも3ヶ月間早い。特定の実施形態において、より早い時点は、少なくとも6ヶ月間早い。特定の実施形態において、より早い時点は、少なくとも9ヶ月間早い。特定の実施形態において、より早い時点は、少なくとも1年間早い。複数の被験体試料(例えば、3、4、5、6、7つ以上)を、経時的に規則的な、または不規則な間隔で取得し、マーカーレベルの変化の傾向について分析することができる。当業者であれば、特定の被験体について試験するための適切な間隔を、通常の考慮に基づいて決定することができる。
本明細書で用いられる用語「発現」は、ポリペプチドがDNAから生成されるプロセスを意味する。このプロセスは、遺伝子のmRNAへの転写およびこのmRNAからポリペプチドへの翻訳を含む。用いられる文脈に応じて、「発現」は、RNA、もしくはタンパク質、またはその両方の生成を指してもよい。
本明細書で用いられる場合、「より高い予測値」は、それが比較される試験よりも、有意により高い感度および/または特異性、好ましくは、より高い感度および特異性を有するアッセイと理解される。試験の予測値を、ROC分析を用いて決定することができる。ROC分析において、正常状態と疾患状態との間の完全な識別または精度を提供する試験は、曲線下面積(AUC)=1を有するが、無作為な機会よりも良好でない識別を提供する非常に弱い試験は、AUC=0.5を有する。本明細書で用いられる場合、より高い予測値を有する試験は、別のアッセイと比較した場合、統計的に改善されたAUCを有する。このアッセイは、適切な被験体集団中で実施される。
マーカーの「より高レベルの発現」、「より高レベル」などは、発現を評価するために用いられるアッセイの標準誤差よりも高く、好ましくは、対照試料(例えば、疾患、すなわち、異常な前立腺状態と関連するマーカーを有さない健康な被験体に由来する試料)中でのマーカーの発現レベルおよび好ましくは、いくつかの対照試料中でのマーカーまたは複数のマーカーの平均発現レベルよりも少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、または少なくとも10倍高い、試験試料中での発現レベルを指す。
「核酸ハイブリダイゼーション」におけるような、本明細書で用いられる用語「ハイブリダイゼーション」は、一般に、適切な条件下で、熱力学的に好ましい二本鎖構造を形成する、相補的塩基配列を有する2つの一本鎖核酸分子のハイブリダイゼーションを指す。ハイブリダイゼーション条件の例は、上記で参照された2つの実験室マニュアル(Sambrookら、2000、上掲およびAusubelら、1994、上掲、またはさらに、HigginsおよびHames (編)、「Nucleic acid hybridization, a practical approach」、IRL Press Oxford、Washington D.C., (1985))に見出すことができ、当業界で一般に公知である。例えば、周知のサザンブロッティング手順におけるような、ニトロセルロースフィルター(またはナイロンのような他のそのような支持体)へのハイブリダイゼーションの場合、ニトロセルロースフィルターを、高塩(6xSSCまたは5xSSPE)、5x Denhardt液、0.5%SDS、および100μg/ml変性担体DNA(例えば、サケ精子DNA)を含有する溶液中、標識されたプローブと共に、所望のストリンジェンシー条件を代表する温度(高ストリンジェンシーについては60〜65℃、中ストリンジェンシーについては50〜60℃および低ストリンジェンシー条件については40〜45℃)で一晩インキュベートすることができる。次いで、所望のストリンジェンシーを考慮して選択された温度:室温(低ストリンジェンシー)、42℃(中ストリンジェンシー)または65℃(高ストリンジェンシー)で、0.2x SSC/0.1%SDS中で数回洗浄することにより、非特異的に結合しているプローブを洗浄除去することができる。洗浄溶液の塩およびSDS濃度を調整して、所望のストリンジェンシーを提供することもできる。選択される温度および塩濃度は、DNAハイブリッドの融点(Tm)に基づく。勿論、RNA-DNAハイブリッドを形成させ、検出することもできる。そのような場合、ハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件は、当業者によって周知の方法に従って適合させることができる。好ましくは、ストリンジェントな条件が用いられる(Sambrookら、2000、上掲)。異なるアニーリングおよび洗浄溶液を用いる他のプロトコールまたは市販のハイブリダイゼーションキット(例えば、BD Biosciences ClonetechからのExpressHyb(登録商標))を、当業界で周知のように用いることもできる。周知の通り、プローブの長さおよび決定しようとする核酸の組成が、ハイブリダイゼーション条件のさらなるパラメータを構成する。上記条件の変化を、ハイブリダイゼーション実験におけるバックグラウンドを抑制するために用いられる交互ブロッキング試薬の含有および/または置換によって達成することができることに留意されたい。典型的なブロッキング試薬としては、Denhardt試薬、BLOTTO、ヘパリン、変性サケ精子DNA、および市販の特許製剤が挙げられる。特定のブロッキング試薬の含有は、適合性に関する問題のため、上記のハイブリダイゼーション条件の改変を必要とし得る。核酸分子のハイブリダイズは、上記の分子の断片も含む。さらに、上記の核酸分子のいずれかとハイブリダイズする核酸分子は、これらの核酸分子の相補的断片、誘導体および対立遺伝子変異体も含む。さらに、ハイブリダイゼーション複合体とは、相補的なGとC塩基の間および相補的なAとT塩基の間の水素結合の形成による2つの核酸配列間の複合体を指す;これらの水素結合は、塩基スタッキング相互作用によりさらに安定化することができる。2つの相補的核酸配列は逆平行の構成で水素結合する。ハイブリダイゼーション複合体を、溶液中(例えば、CotもしくはRot分析)または溶液中に存在するある核酸配列と、固相支持体(例えば、細胞が固定された、例えば、膜、フィルター、チップ、ピンもしくはスライドガラス)上に固定された別の核酸配列との間で形成させることができる。
2つ以上の核酸またはアミノ酸配列の文脈において本明細書で用いられる用語「同一の」または「同一性パーセント」とは、比較ウィンドウにわたって最大一致について比較および整列させた場合、または当業界で公知の配列比較アルゴリズムを用いて測定された場合に指定の領域にわたって、または手動でのアラインメントおよび目視によって、同じである、または同じであるアミノ酸残基もしくはヌクレオチドの特定のパーセンテージを有する(例えば、60%もしくは65%同一、好ましくは、70〜95%同一、より好ましくは、少なくとも95%同一)、2つ以上の配列もしくはサブ配列を指す。例えば、60%〜95%以上の配列同一性を有する配列は、実質的に同一であると考えられる。そのような定義はまた、試験配列の相補体にも適用される。好ましくは、記載される同一性は、少なくとも約15〜25アミノ酸またはヌクレオチド長である領域にわたって、より好ましくは、約50〜100アミノ酸またはヌクレオチド長である領域にわたって存在する。当業者であれば、例えば、当業界で公知のような、CLUSTALWコンピュータプログラム(Thompson Nucl. Acids Res. 2 (1994), 4673-4680)またはFASTDB (Brutlag Comp. App. Biosci. 6 (1990), 237-245)に基づくものなどのアルゴリズムを用いて、配列間の同一性パーセントを決定する方法を知っているであろう。FASTDBアルゴリズムは典型的には、配列中の内部の非一致欠失または付加、すなわち、ギャップを、その算出において考慮しないが、これを手動で補正して、同一性%の過大評価を回避することができる。しかしながら、CLUSTALWは、配列ギャップをその同一性の算出に考慮に入れる。また、当業者に利用できるものは、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズム(Altschul Nucl. Acids Res. 25 (1977), 3389-3402)である。核酸配列のためのBLASTNプログラムは、デフォルトとして、11のワード長(W)、10の期待値(E)、M=5、N=4、および両鎖の比較を用いる。アミノ酸配列については、BLASTPプログラムは、デフォルトとして、3のワード長(W)、および10の期待値(E)を用いる。BLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 89, (1989), 10915)は、50のアラインメント(B)、10の期待値(E)、M=5、N=4、および両鎖の比較を用いる。さらに、本発明はまた、上記のハイブリダイズする分子の配列との比較において縮重性である核酸分子配列にも関する。本発明に従って用いられる場合、用語「遺伝子コードの結果として縮重性である」とは、遺伝子コードの重複性のため、異なるヌクレオチド配列が同じアミノ酸をコードすることを意味する。本発明はまた、1つ以上の突然変異または欠失を含む核酸分子、および(a)突然変異または(b)欠失を示す、本明細書に記載の核酸分子の1つにハイブリダイズする核酸分子に関する。
本明細書で用いられる用語「含む(including)」は、語句「限定されるものではないが、含む」を意味し、それと互換的に用いられる。
「前立腺癌を発症する危険性が高い」被験体は、前立腺癌を発症しても、またはしなくてもよい。前立腺癌を発症する危険性が高い被験体の同定を、前立腺癌のさらなる兆候または症状についてモニタリングするべきである。前立腺癌を発症する危険性が高い被験体を同定するための本明細書に提供される方法を、限定されるものではないが、尿の流れの減少、尿意逼迫、排尿困難、夜間頻尿、不完全な排尿、および年齢などの前立腺癌の他の公知の危険因子または兆候の評価と共に用いることができる。
本明細書で用いられる用語「in vitro」とは、人工的環境および人工的環境内で起こるプロセスまたは反応を指す。in vitroの環境は、限定されるものではないが、試験管および細胞培養物からなってもよい。用語「in vivo」とは、自然の環境(例えば、動物または細胞)および自然の環境内で起こるプロセスまたは反応を指す。
本明細書で用いられる場合、「標識」とは、検出することができるか、または検出可能なシグナルをもたらすことができる分子部分または化合物を指す。標識は、抗体、核酸プローブまたは検出しようとするタンパク質/抗原または核酸(例えば、増幅配列)などの分子に、直接または間接に結合される。直接的標識は、標識を核酸に連結する結合または相互作用(例えば、共有結合または非共有相互作用)によって生じてもよいが、間接的標識は直接または間接に標識される、オリゴヌクレオチドまたは低分子炭素鎖などの、「リンカー」または架橋部分の使用によって生じてもよい。架橋部分は、検出可能なシグナルを増幅させることができる。標識は、任意の検出可能部分(例えば、放射性核種、ビオチンまたはアビジンなどのリガンド、酵素または酵素基質、反応基、色素または着色粒子などの発色団、生物発光化合物、リン光性化合物または化学発光化合物などの発光化合物、および蛍光化合物)を含んでもよい。好ましくは、標識されたプローブ上の標識は、均一アッセイ系、すなわち、混合物中で検出可能であり、結合した標識は、未結合の標識と比較して検出可能な変化を示す。
用語「遺伝子の発現のレベル」、「遺伝子発現レベル」、「マーカーのレベル」などは、細胞中の遺伝子によりコードされる、mRNA、ならびにプレmRNA発生期転写物、転写プロセッシング中間体、成熟mRNAおよび分解産物のレベル、またはタンパク質のレベルを指す。1種以上のバイオマーカーの「レベル」は、試料中のバイオマーカーの絶対的または相対的な量または濃度を意味する。
マーカーの「より低レベルの発現」または「より低レベル」とは、対照試料(例えば、疾患、すなわち、異常な前立腺状態と関連するマーカーを有さない健康な被験体に由来する試料)中でのマーカーの発現レベルおよび好ましくは、いくつかの対照試料中でのマーカーの平均発現レベルの90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、または10%未満である、試験試料中での発現レベルを指す。
用語「調節」とは、応答(例えば、マーカーの発現レベル)の上方調節(すなわち、活性化もしくは刺激)、下方調節(すなわち、阻害もしくは抑制)、または組合せもしくは別々の2つを指す。「モジュレータ」は、調節する化合物または分子であり、例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、アクチベータ、刺激因子、抑制因子、または阻害因子であってもよい。
本明細書で用いられる場合、「負の倍数変化」は、本明細書に列挙される遺伝子の「下方調節」または「発現の(減少)」を指す。
本明細書で用いられる場合、「核酸分子」または「ポリヌクレオチド」とは、ヌクレオチドのポリマーを指す。その非限定例としては、DNA(例えば、ゲノムDNA、cDNA)、RNA分子(例えば、mRNA)およびそのキメラが挙げられる。核酸分子を、クローニング技術により取得するか、または合成することができる。DNAは、二本鎖または一本鎖(コード鎖または非コード鎖[アンチセンス])であってもよい。従来のリボ核酸(RNA)およびデオキシリボ核酸(DNA)は、その類似語である用語「核酸」およびポリヌクレオチド中に含まれる。核酸主鎖は、糖-ホスホジエステル結合、ペプチド-核酸結合(「ペプチド核酸」(PNA)と呼ばれる;Hydig-Hielsenら、PCT国際公開第WO 95/32305号)、ホスホロチオエート結合、メチルホスホネート結合またはその組合せの1つ以上を含む、当業界で公知の様々な結合を含んでもよい。核酸の糖部分は、リボースもしくはデオキシリボース、または公知の置換、例えば、2'メトキシ置換(2'-O-メチルリボフラノシル部分を含有する;PCT第WO98/02582号を参照)および/もしくは2'ハロゲン化物置換を有する類似の化合物であってもよい。窒素塩基は、従来の塩基(A、G、C、T、U)、その公知の類似体(例えば、イノシンもしくはその他;The Biochemistry of the Nucleic Acids 5-36、Adamsら(編)、第11版、1992を参照)、またはプリンもしくはピリミジン塩基の公知の誘導体(Cook、PCT国際公開第WO 93/13121号)または主鎖が1個以上の残基について窒素塩基を含有しない「無塩基」残基(Arnoldら、米国特許第5,585,481号)であってもよい。核酸は、RNAおよびDNA中に見出されるような、従来の糖、塩基および結合のみを含んでもよいか、または従来の成分と置換の両方(例えば、メトキシ主鎖により連結された従来の塩基、または従来の塩基と1個以上の塩基類似体とを含む核酸)を含んでもよい。「単離された核酸分子」は、一般的に理解され、本明細書で用いられる場合、ヌクレオチドのポリマーを指し、限定されるべきではないが、DNAおよびRNAを含む。「単離された」核酸分子は、その自然のin vivo状態から精製され、クローニングにより得られ、または化学的に合成される。
本明細書で用いられる場合、用語「取得すること」は、製造すること、購入すること、またはさもなければ、手に入れることと本明細書では理解される。
本明細書で用いられる場合、「オリゴヌクレオチド」または「オリゴ」は、2個以上のヌクレオチド(リボまたはデオキシリボヌクレオチド)を有する分子を定義する。オリゴのサイズは、特定の状況によって、究極的には、その特定の使用上で記述され、当業者によって適合化される。オリゴヌクレオチドを、周知の方法に従って化学的に合成するか、またはクローニングにより誘導することができる。それらは通常、一本鎖の形態にあるが、それらは二本鎖の形態にあってもよく、さらには「調節領域」を含有してもよい。それらは自然の稀な、または合成のヌクレオチドを含有してもよい。それらを、例えば、安定性のような選択された基準を増強するように設計することができる。デオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドのキメラも、本発明の範囲内にあってもよい。
本明細書で用いられる場合、「1以上」は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10のそれぞれの値、および10より大きい任意の値と理解される。
用語「または」は、本文が別途明確に指摘しない限り、用語「および/または」を意味するように本明細書では包括的に用いられ、それと互換的に用いられる。例えば、本明細書で用いられる場合、フィラミンBまたはLY9は、フィラミンBのみ、LY9のみ、およびフィラミンBとLY9の組合せを含むと理解される。
本明細書で用いられる場合、「患者」または「被験体」は、ヒトまたは非ヒト動物、好ましくは、哺乳動物を意味してもよい。「被験体」は、ウマ、イヌ、ネコ、ブタ、ヤギ、ウサギ、ハムスター、サル、モルモット、ラット、マウス、トカゲ、ヘビ、ヒツジ、ウシ、魚類、および鳥類などの任意の動物を意味する。ヒト被験者は、患者と呼んでもよい。本明細書に記載の臨床観察は、ヒト被験者に関して行われたことに留意すべきであり、少なくともいくつかの実施形態においては、被験体はヒトである。
本明細書で用いられる場合、「正の倍数変化」は、本明細書に列挙される遺伝子の「上方調節」または「発現の(増加)」を指す。
本明細書で用いられる場合、「防止すること」または「防止」とは、疾患または障害を得る危険性の低下(すなわち、疾患の少なくとも1つの臨床症状が、疾患に曝露されるか、または疾患の素因を有するが、疾患の症状をまだ経験していないか、または示していない患者において生じないようにすること)を指す。防止は、疾患または状態が被験体において決して生じないことを必要とするものではない。防止は、疾患または状態の開始または重篤度を遅延させることを含む。
本明細書で用いられる場合、バイオマーカーの「所定の閾値」または「閾値」とは、正常な、または健康な被験体、例えば、前立腺癌を有さない男性から得られた対応する対照/正常試料または対照/正常試料群中のバイオマーカーのレベル(例えば、生物試料中の発現レベルまたは量(例えば、ng/ml))を指す。所定の閾値を、生物試料中のマーカーレベルの測定の前に、またはそれと同時に決定することができる。対照試料は、以前の時点の同じ被験体、または異なる被験体に由来するものであってもよい。
本明細書で用いられる場合、「プローブ」は、ハイブリダイゼーションを促進する条件下で、核酸またはその相補体中の標的配列に特異的にハイブリダイズすることによって、標的配列またはその増幅された核酸の検出を可能にする核酸オリゴマーまたはオリゴヌクレオチドを含むことを意味する。検出は、直接的(すなわち、標的もしくは増幅された配列に直接的にハイブリダイズするプローブから得られる)または間接的(すなわち、標的もしくは増幅された配列にプローブを連結する中間分子構造にハイブリダイズするプローブから得られる)であってもよい。プローブの「標的」は一般に、標準的な水素結合または「塩基対形成」によりプローブ配列の少なくとも一部に特異的にハイブリダイズする増幅された核酸配列内の配列(すなわち、増幅された配列のサブセット)を指す。「十分に相補的」である配列は、2つの配列が完全に相補的ではない場合であっても、プローブ配列の標的配列への安定なハイブリダイゼーションを可能にする。プローブは、標識されていても、または標識されていなくてもよい。プローブを、特異的DNA配列の分子クローニングにより産生するか、またはそれを合成することもできる。本発明が属する当業者であれば、本発明の文脈において設計および使用することができるいくつかのプライマーおよびプローブを容易に決定することができる。
本明細書で用いられる場合、用語「予後診断(prognosis)」、「ステージング」および「侵攻性の決定」は、前立腺癌の重症度およびその進化度の予測ならびに疾患の通常の経過から予測される回復の見込みと本明細書で定義される。本発明によれば、一度、前立腺癌の侵攻性が決定されたら、適切な処置の方法を選択することができる。
本明細書で用いられる場合、「予防的」または「治療的」処置とは、所望の臨床効果を提供するための1種以上の薬剤または介入の被験体への投与を指す。それが望ましくない状態(例えば、疾患または宿主動物の他の望ましくない状態)の臨床兆候の前に投与される場合、処置は予防的である、すなわち、それは望ましくない状態の少なくとも1つの兆候または症状が生じることから宿主を保護するが、望ましくない状態の兆候後に投与される場合、処理は治療的である(すなわち、それは存在する望ましくない状態またはそれに由来する副作用の少なくとも1つの兆候または症状を減少させる、改善する、または維持することが意図される)。
本明細書で用いられる場合、「前立腺癌」とは、任意の悪性または前悪性形態の前立腺の癌を指す。この用語は、in situの癌性、侵襲的癌状態、転移性癌状態および前悪性状態の前立腺を含む。この用語はまた、任意のステージまたは等級の前立腺の癌も包含する。前立腺癌が「転移性」である場合、癌は前立腺を超えて、例えば、リンパ節などの遠隔部位または骨に拡散または転移している。
本明細書で用いられる場合、バイオマーカーの「参照レベル」は、特定の疾患状態、表現型、またはその欠如、ならびに疾患状態、表現型、またはその欠如の組合せを示すバイオマーカーのレベルを意味する。バイオマーカーの「陽性」参照レベルは、特定の疾患状態または表現型を示すレベルを意味する。バイオマーカーの「陰性」参照レベルは、特定の疾患状態または表現型の欠如を示すレベルを意味する。例えば、バイオマーカーの「前立腺癌陽性参照レベル」は、被験体における前立腺癌の陽性診断を示すバイオマーカーのレベルを意味し、バイオマーカーの「前立腺癌陰性参照レベル」は、被験体における前立腺癌の陰性診断を示すバイオマーカーのレベルを意味する。バイオマーカーの「参照レベル」は、バイオマーカーの絶対もしくは相対量もしくは濃度、バイオマーカーの存在もしくは非存在、バイオマーカーの量もしくは濃度の範囲、バイオマーカーの最小および/もしくは最大量もしくは濃度、バイオマーカーの平均量もしくは濃度、ならびに/またはバイオマーカーの中央量もしくは濃度であってもよく、さらに、バイオマーカーの組合せの「参照レベル」はまた、互いに関して2種以上のバイオマーカーの絶対もしくは相対量もしくは濃度の比であってもよい。特定の疾患状態、表現型、またはその欠如に関するバイオマーカーの適切な陽性および陰性参照レベルを、1人以上の適切な被験体における所望のバイオマーカーのレベルを測定することによって決定し、そのような参照レベルを、被験体の特定の集団に対して調整することができる(例えば、参照レベルは年齢一致したものであってよく、特定の年齢の被験体に由来する試料中のバイオマーカーレベルと、特定の年齢群における特定の疾患状態、表現型、またはその欠如に関する参照レベルとの間で比較を行うことができる)。バイオマーカーのレベルが用いられる特定の技術に基づいて異なっていてもよい場合、そのような参照レベルはまた、生物試料中のバイオマーカーのレベルを測定するために用いられる特定の技術(例えば、LC-MS、GC-MSなど)に対して調整することもできる。
本明細書で用いられる場合、「試料」または「生物試料」は、任意の供給源から得られる標本または培養物を含む。生物試料を、血液(全血、血漿、血清、または特定の型の血液の細胞などの、任意の血液産物を含む)、尿、唾液などから取得することができる。生物試料はまた、予め固定された(例えば、ホルマリン簡易凍結、細胞プロセッシングなど)生検組織または病理組織などの組織試料も含む。一実施形態においては、生物試料は、血液に由来する。別の実施形態においては、生物試料は、前立腺に由来する生検組織である。
本明細書で用いられる場合、抗体およびタンパク質またはペプチドの相互作用を参照して用いられる場合の語句「特異的結合」または「特異的に結合する」とは、相互作用がタンパク質上の特定の構造(すなわち、抗原決定基またはエピトープ)の存在に依存すること、換言すれば、抗体は、一般に、タンパク質よりもむしろ特定のタンパク質構造を認識し、これに結合することを意味する。例えば、抗体がエピトープ「A」に特異的である場合、標識された「A」および抗体を含有する反応におけるエピトープAを含有するタンパク質(または遊離の、未標識のA)及び抗体の存在は、抗体に結合した標識されたAの量を減少させるであろう。
語句「特異的同定」は、検出方法が診断的に有用であるような、用いられるアッセイのバックグラウンドおよび試薬の交叉反応性が十分に低い、目的のマーカーの検出と理解される。特定の実施形態において、マーカーの特異的同定のための試薬は、マーカーのただ1つのアイソフォームに結合する。特定の実施形態において、マーカーの特異的同定のための試薬は、マーカーの1つより多いアイソフォームに結合する。特定の実施形態において、マーカーの特異的同定のための試薬は、マーカーの全ての既知のアイソフォームに結合する。
本明細書で用いられる語句「癌を有すると疑われる被験体」とは、癌を示す1つ以上の症状を呈するか、または癌についてスクリーニングされる(例えば、定期検診中に)被験体を指す。癌を有すると疑われる被験体はまた、1つ以上の危険因子を有してもよい。癌を有すると疑われる被験体は一般に、癌について試験されていない。しかしながら、「癌を有すると疑われる被験体」は、初期診断(例えば、多量または増加したPSAレベルを示すCTスキャン)を受けたが、癌のステージは未知である個体を包含する。この用語はさらに、一度、癌を有していた人々(例えば、寛解にある個体)を含む。
用語「など」は、語句「限定されるものではないが、など」を意味するように本明細書で用いられ、それと互換的に用いられる。
本明細書で用いられる用語「癌のステージ」とは、癌の進行のレベルの定性的または定量的評価を指す。癌のステージを決定するために用いられる基準としては、限定されるものではないが、腫瘍のサイズ、腫瘍が身体の他の部分に拡散しているかどうか、および癌が拡散した場所(例えば、身体の同じ臓器もしくは領域の中または別の臓器に)が挙げられる。
本明細書で用いられる用語「ステージング」とは、癌、例えば、前立腺癌を等級付ける/記述するための一般的に用いられるシステムを指す。一態様において、ステージングは、「グリソンスコア(Gleason Score)」の形態を取ってもよく、当業界で公知のように、腺癌の等級付け/ステージングおよび予後診断のための最も一般的に用いられるシステムである。このシステムは、2〜10のスコアを記載し、2が侵攻性が最も小さく、10が最も侵攻性である。スコアは、認められる腫瘍増殖の2つの最も一般的なパターン(等級1〜5)の和である。数えるためには、パターン(等級)が、生検標本の5%超を占める必要がある。スコアリングシステムは、正確であるためには、生検材料(コア生検または手術標本)を必要とする;細胞学的調製物を用いることはできない。「グリソン等級(Gleason Grade)」は、最も一般的に用いられる前立腺癌等級付けシステムである。それは、どれぐらいの癌細胞の配置が正常な前立腺細胞が腺を形成する方法を模倣するかに基づいて、癌性前立腺組織に1〜5の範囲の数字を割り当てることを含む。2つの等級が、出現する細胞の最も一般的なパターンに割り当てられる;次いで、これらの2つの等級(それらは同じか、または異なっていてもよい)を、一緒に加えて、グリソンスコア(1〜10の数字)を決定する。グリソンシステムは、前立腺腫瘍の腺の構造的パターンにのみ基づくものである。それは、任意の特定の癌の細胞がどれぐらい効率的に、正常な前立腺のものと似ている腺にそれら自身を構造化させることができるかを評価するものである。正常な腺構造を模倣する腫瘍の能力は、その分化と呼ばれ、経験は、構造がほぼ正常である(良好に分化した)腫瘍が、正常に比較的近い生物学的挙動をおそらく有すること、すなわち、あまり侵攻的に悪性ではないことを示した。
非常によく分化したもの(等級1)からほとんど分化していないもの(等級5)までのグリソンの等級付けは、通常、癌の低倍率顕微鏡画像を見ることによって多くの部分について行われる。より高い倍率を必要とする重要なさらなる詳細が存在し、任意の腫瘍を正確に等級付ける能力は、病理学における多くの訓練および経験によってのみ達成される。グリソンの等級1および2:これらの2つの等級は、正常な前立腺にほぼ近い。それらは一般集団中にはめったに存在せず、それらは等級3よりもほんのわずかに良好である予後的利益を提供するため、最も重要性が低い等級である。これらの等級は両方とも、多量に含まれる;等級2においては、それらはより緩く凝集し、いくらかの腺は周囲の筋肉(間質)中に徘徊する(侵襲する)。グリソンの等級3は、最も一般的な等級であり、よく分化しているとも考えられる(等級1および2と同様)。これは、3つ全ての等級が、正常な前立腺のもののように正常な「腺単位」を有する、すなわち、全ての細胞が中心空間(管腔)の系列を形成する丸い列の一部であるためである。管腔は、正常な前立腺のような前立腺分泌物を含有し、それぞれの腺単位は、腺単位を離して保持する前立腺筋肉によって取り囲まれている。等級2とは対照的に、間質(筋肉)への腺の徘徊(侵襲)は、非常に突出しており、主な決定的な特徴である。細胞は、淡いよりはむしろ暗く、腺はより多くの可変的形状を有することが多い。
グリソンの等級4は、それがかなり一般的であるため、また、その多くが存在する場合、患者の予後が通常は(常にではないが)相当な程度で悪いという事実のため、おそらく最も重要な等級である。等級4はまた、かなりの構造の喪失を示す。初めは、正常な腺単位の破壊および喪失が観察される。事実、等級4は、それぞれその別々の管腔(分泌空間)を有する、個々の、別々の腺単位を形成する能力の喪失によってほぼ全て同定される。この重要な区別は、概念においては単純であるが、実際は複雑である。その理由は、腺単位を形成する癌の努力を歪曲させ得る様々な異なる見かけ上の方法があるということである。それぞれの癌は、それが正常な構造の一部を構築するそれ自身部分的なセットのツールを有する。等級4は、等級1、2および3の(よく分化した)幹からのいくつかの方向に達する、大きい木の枝に類似する。この診断のためには多くの経験が必要であり、全てのパターンが等級3と容易に区別されるわけではない。これは、主要なクラスの低分化前立腺癌であり、等級3とのその区別は、最も一般的に重要な等級付け決定である。
グリソンの等級5は、それが通常は予後不良に向かう別の重要なステップを予測するため、重要な等級である。一般的な集団に関するその全体としての重要性は、それが等級4よりもあまり一般的ではなく、前立腺癌がその発生初期に診断される男性においてはめったに見られないという事実によって低い。この等級も、様々なパターンを示し、それらは全て、腺単位を形成する任意の試みの証拠を示さない。その特徴は他の臓器に生じる未分化癌とは異なるように見えるようにする有意な特徴ではないため、この等級は未分化と呼ばれることが多い。病理学者が顕微鏡下で前立腺癌標本を見て、それらにグリソン等級を与える場合、2つの構造パターンを同定し、それぞれのものにグリソン等級を割り当てる試みが行われる。病理学者がそれぞれの標本について記述しようとする、第1の、または最も一般的なパターン、次いで、第2の、または2番目に最も一般的なパターンが存在してもよい;あるいは、1つの純粋な等級のみが存在することも多い。彼のシステムを開発する際に、Dr.Gleasonは、彼が任意の特定の患者の標本中に見ることができた、2つの最も一般的なパターンの等級の組合せを与えることにより、彼は特定の患者がよくなる、または悪くなる可能性を良好に予測することができることを発見した。従って、それはわかりにくいように見えるかもしれないが、医師が通常、患者に与えるグリソンスコアは、実際には、非常に広く用いられるのに十分に正確である2つの数の組合せまたは和である。これらの組合わせたグリソン和またはスコアは、以下のように決定することができる。
最も低い可能なグリソンスコアは、2(1+1)であり、第1および第2のパターンの両方が1のグリソン等級を有し、従って、一緒に加えた場合、その組合わせた和は2である。
非常に典型的なグリソンスコアは5(2+3)であってもよく、第1のパターンは2のグリソン等級を有し、第2のパターンは3、または6(3+3)の等級を有するか、純粋なパターンを有する。
別の典型的なグリソンスコアは、7(4+3)であってもよく、第1のパターンは4のグリソン等級を有し、第2のパターンは3の等級を有する。
最後に、最も高い可能なグリソンスコアは、10(5+5)であり、第1および第2のパターンが両方とも、最も障害を有する5のグリソン等級を有する。
前立腺癌をステージングする別の方法は、TNMシステムを用いることによるものである。それは、原発腫瘍の程度(Tステージ)、近隣のリンパ節への拡散の非存在または存在(Nステージ)および遠隔拡散、または転移の非存在または存在(Mステージ)を記述する。TNMシステム分類の各カテゴリーは、その特定の状態を表すサブカテゴリーに分けられる。例えば、原発腫瘍(Tステージ)は、以下のように分類することができる。
T1:腫瘍を、デジタル直腸検査中に感知することができない、または画像試験によって見ることができないが、生検標本中では癌細胞が認められる。
T2:腫瘍を、DRE中に感知することができ、癌が前立腺内に限定される。
T3:腫瘍が、前立腺被膜(前立腺を取り囲む線維性組織の層)を通って、および/または精嚢(精子を保存する前立腺の隣の2つの小さい袋)まで拡張しているが、他の臓器は影響されていない。
T4:腫瘍が前立腺の隣の組織(精嚢以外)に拡散または付着している。
リンパ節の障害は以下の4つのカテゴリーに分けられる。
N0:癌が任意のリンパ節に拡散していない。
N1:癌が単一の所属リンパ節(骨盤内)に拡散しており、2センチメートルより大きくない。
N2:癌が1つ以上の所属リンパ節に拡散しており、2センチメートルより大きいが、5センチメートルより大きくない。
N3:癌がリンパ節に拡散しているが、5センチメートル(2インチ)よりも大きい。
転移は、一般に以下の2つのカテゴリーに分けられる。
M0:癌が所属リンパ節を超えて転移(拡散)していない。
M1:癌が遠隔のリンパ節(骨盤外)、骨、または肺、肝臓、もしくは脳などの他の遠隔臓器に転移している。
さらに、Tステージは、サブカテゴリーT1a-c、T2a-c、T3a-cおよびT4a-bにさらに分けられる。これらのサブカテゴリーのそれぞれの特徴は当業界で周知であり、いくつかの教科書に見出すことができる。
用語「試験化合物」および「候補化合物」とは、身体機能の疾患、疾病、病気、または障害(例えば、癌)を処置または防止するための使用のための候補である任意の化学的実体、医薬、薬物などを指す。試験化合物は、公知の、および潜在的な治療化合物の両方を含む。本発明のスクリーニング方法を用いてスクリーニングすることにより、試験化合物を治療的であると決定することができる。本発明のいくつかの実施形態においては、試験化合物は、アンチセンス化合物を含む。
用語「治療効果」とは、薬理学的に活性な物質により引き起こされる、動物、特に、哺乳動物、より特には、ヒトにおける局所または全身効果を指す。かくして、この用語は、動物またはヒトにおける疾患の診断、治癒、緩和、処置、もしくは防止における、または望ましい身体的もしくは精神的発達および状態の増強における使用について意図される任意の物質を意味する。治療効果は、腫瘍増殖の減少、腫瘍増殖速度の低下、全身腫瘍組織量の安定化もしくは減少、腫瘍サイズの安定化もしくは減少、腫瘍悪性度の安定化もしくは低下、腫瘍アポトーシスの増加、および/または腫瘍血管形成の減少と理解することができる。
本明細書で用いられる場合、「治療上有効量」は、疾患を処置するために患者に投与された場合、疾患のためのそのような処置を行うのに十分である化合物の量、例えば、任意の処置に対して適用可能な合理的な利益/危険比でいくらかの望ましい局所または全身効果をもたらす、例えば、疾患の少なくとも1つの兆候または症状を改善する、例えば、疾患または状態の進行を防止する、例えば、腫瘍増殖を防止する、腫瘍サイズを減少させる、腫瘍細胞アポトーシスを誘導する、腫瘍血管形成を減少させる、転移を防止するのに十分なものである物質の量を意味する。疾患を防止するために投与される場合、その量は疾患の開始を回避するか、または遅延させるのに十分なものである。「治療上有効量」は、化合物、その治療指数、溶解度、疾患およびその重篤度ならびに処置しようとする患者の年齢、体重などに依存して変化するであろう。例えば、本発明の方法により発見される特定の化合物を、そのような処置に対して適用可能である合理的な利益/危険比をもたらすのに十分な量で投与することができる。治療上有効量の化合物の投与は、1より多い用量の化合物の投与を必要としてもよい。
「転写されたポリヌクレオチド」または「ヌクレオチド転写物」は、本発明のマーカーの転写ならびに必要に応じて、RNA転写物の正常な転写後プロセッシング(例えば、スプライシング)、およびRNA転写物の逆転写により作られた成熟mRNAの全部または一部と相補的であるか、またはそれと高いパーセンテージの同一性(例えば、少なくとも80%の同一性)を有するポリヌクレオチド(例えば、mRNA、hnRNA、cDNA、またはそのようなRNAもしくはcDNAの類似体)である。
本明細書で用いられる場合、「処置」、特に、「積極的処置」とは、被験体における前立腺癌を処置するため、例えば、腫瘍の増殖速度、腫瘍負荷の減少の少なくとも1つを減少させるため、腫瘍サイズもしくは腫瘍の悪性度(例えば、転移の可能性)を減少させるか、もしくは維持するため;または治療剤、例えば、化学療法もしくはホルモン療法の施行、放射線療法(例えば、ペレット移植、小線源療法)の施行、もしくは腫瘍の外科的切除のうちの1つ以上により腫瘍におけるアポトーシスを増加させるための介入、または腫瘍の等級およびステージならびに他の日常的な考慮に基づく被験体の処置にとって好適なその任意の組合せを実施することを指す。積極的処置は、被験体および腫瘍をモニタリングするが、腫瘍に影響する介入を実施しない「待機療法」(すなわち、非積極的処置)とは区別される。待機療法は、腫瘍自体の増殖または病理を変化させるために投与されるのではない、腫瘍により引き起こされる効果(例えば、失禁、勃起不全)を変化させる薬剤の投与を含んでもよい。
本明細書の変数の任意の定義における化学基の一覧の記載は、任意の単一の基または列挙された基の組合せとしてのその変数の定義を含む。本明細書の変数または態様のための実施形態の記載は、任意の単一の実施形態としての、または任意の他の実施形態もしくはその一部と組合せたその実施形態を含む。
本明細書に提供される任意の組成物または方法を、本明細書に提供される他の組成物および方法のいずれかの1つ以上と組合わせることができる。
本明細書に提供される範囲は、その範囲内にある全ての値の短縮表現であると理解される。例えば、1〜50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50からなる群より選択される任意の数、数の組合せ、またはサブ範囲を含むと理解される。
ここで、本発明の例示的実施形態を詳細に参照する。本発明は例示的実施形態と共に記載されるが、それは本発明をこれらの実施形態に限定することを意図されるものではないことが理解されるであろう。逆に、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の精神および範囲内に含まれるように代替物、改変、および等価物を包含することが意図される。
本発明の例示的組成物および方法を、以下のセクション:(C)本発明のバイオマーカー;(D)前立腺組織試料;(E)本発明のバイオマーカーの検出および/または測定;(F)単離されたバイオマーカー;(G)本発明のバイオマーカーの適用;(H)治療剤;(I)薬物スクリーニング;および(J)キット/パネルでより詳細に説明する。
C.本発明のバイオマーカー
本発明は、少なくとも部分的には、フィラミンAが前立腺癌細胞中で示差的に調節されるという発見に基づく。特に、本発明は、フィラミンAレベルが、前立腺癌を有する患者の血清中で有意に上昇するという驚くべき発見に基づく。従って、本発明は、哺乳動物における、腫瘍疾患状態、例えば、前立腺癌を診断および/またはモニタリング(例えば、疾患進行もしくは処置のモニタリング)および/または予後診断するための方法を提供する。本発明はまた、腫瘍疾患状態、例えば、前立腺癌を有する被験体の血清中のフィラミンAのレベルに関する診断情報に基づいて処置する、または処置レジメンを調整するための方法も提供する。本発明はさらに、本発明の方法を実施するためのパネルおよびキットを提供する。
本発明は、腫瘍障害を診断および/または予後診断する際に使用するための新しいバイオマーカーおよびバイオマーカーの組合せ、特に、前立腺癌を診断および/または予後診断する際に使用するためのバイオマーカーを提供する。本発明のバイオマーカーは、定量的または定性的な様式で、生物の生理的状態、例えば、生物が前立腺癌を有するかどうかを反映する任意の測定可能な特徴を包含することを意味する。生物の生理的状態は、任意の疾患または非疾患状態、例えば、前立腺癌を有する被験体またはそうでなければ健康である被験体を含む。別の言い方をすれば、本発明のバイオマーカーは、特に、前立腺癌を含む、治療的介入に対する正常なプロセス、病原性プロセス、または薬理学的応答の指標として客観的に測定および評価することができる特徴を含む。バイオマーカーは、臨床パラメータ(例えば、年齢、能力状態)、検査測定値(例えば、前立腺特異的抗原などの分子バイオマーカー)、画像化に基づく測定値、または遺伝子もしくは他の分子決定因子、ならびにその組合せであってもよい。バイオマーカーの例としては、例えば、腫瘍疾患、例えば、前立腺癌を診断する、および/または示す、および/または予測する、ポリペプチド、ペプチド、ポリペプチド断片、タンパク質、抗体、ホルモン、ポリヌクレオチド、RNAまたはRNA断片、マイクロRNA(miRNA)、脂質、多糖、および他の身体の代謝物が挙げられる。バイオマーカーの例としては、前立腺癌などの腫瘍疾患の任意のステージまたは臨床フェーズを診断する、および/または示す、および/または予測する、ポリペプチド、ペプチド、ポリペプチド断片、タンパク質、抗体、ホルモン、ポリヌクレオチド、RNAまたはRNA断片、マイクロRNA(miRNA)、脂質、多糖、および他の身体の代謝物も挙げられる。臨床ステージまたはフェーズを、当業界で公知の任意の手段により、例えば、グリソンスコアシステムに基づいて、例えば、グリソン等級1、等級2、等級3、等級4、または等級5の前立腺癌と表すことができる。
一態様において、本発明は、フィラミンAのみ、または限定されるものではないが、前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1を含んでもよい、前立腺癌の1種以上のさらなるバイオマーカーと一緒のフィラミンAの使用、測定、検出などに関する。フィラミンAと組合わせて用いることができる他のマーカーは、定量的または定性的様式で、生物の生理的状態、例えば、生物が前立腺癌を有するかどうかを反映する本明細書に記載の任意の測定可能な特徴を含む。生物の生理的状態は、任意の疾患または非疾患状態、例えば、前立腺癌を有する被験体またはそうでなければ健康である被験体を含む。フィラミンAと組合わせて用いることができる本発明のバイオマーカーは、正常なプロセス、病理学的プロセス、または特に、前立腺癌を含む、治療的介入に対する薬理学的応答の指標として客観的に測定し、評価することができる特徴を含む。そのような組合せバイオマーカーは、臨床パラメータ(例えば、年齢、能力状態)、検査測定値(例えば、前立腺特異的抗原などの分子バイオマーカー)、画像化に基づく測定値、または遺伝子もしくは他の分子決定因子であってもよい。フィラミンAと組合わせた使用のためのバイオマーカーの例としては、前立腺癌、または前立腺癌の任意の特定のステージもしくはフェーズ、例えば、グリソン等級1、等級2、等級3、等級4、もしくは等級5の前立腺癌またはTNM分類を診断する、および/または示す、および/または予測する、例えば、ポリペプチド、ペプチド、ポリペプチド断片、タンパク質、抗体、ホルモン、ポリヌクレオチド、RNAまたはRNA断片、マイクロRNA(miRNA)、脂質、多糖、および他の身体の代謝物が挙げられる。他の実施形態においては、本発明はまた、任意の臨床および/または患者関連健康データ、例えば、電子的医療記録から得られたデータ(例えば、人口統計、病歴、投薬およびアレルギー、免疫化状態、検査室検査の結果、放射線画像、バイタルサイン、年齢および体重などの個人統計値、および請求書情報などの、様々な型のデータと関連する個々の患者または集団に関する電子健康情報の収集物)の分析および考慮も含む。
特定の実施形態においては、フィラミンAを、少なくとも1種の他のバイオマーカー、またはより好ましくは、少なくとも2種の他のバイオマーカー、またはさらにより好ましくは、少なくとも3種の他のバイオマーカー、またはさらにより好ましくは、少なくとも4種の他のバイオマーカーと組合わせて用いることができる。さらに、特定の実施形態においては、フィラミンAを、少なくとも5種の他のマーカー、または少なくとも6種の他のバイオマーカー、または少なくとも7種の他のバイオマーカー、または少なくとも8種の他のバイオマーカー、または少なくとも9種の他のバイオマーカー、または少なくとも10種の他のバイオマーカー、または少なくとも11種の他のバイオマーカー、または少なくとも12種の他のバイオマーカー、または少なくとも13種の他のバイオマーカー、または少なくとも14種の他のバイオマーカー、または少なくとも15種の他のバイオマーカー、または少なくとも16種の他のバイオマーカー、または少なくとも17種の他のバイオマーカー、または少なくとも18種の他のバイオマーカー、または少なくとも19種の他のバイオマーカー、または少なくとも20種の他のバイオマーカーと組合わせて用いることができる。さらに、フィラミンAを、多数の他のバイオマーカー、例えば、約20〜50種の他のバイオマーカー、または50〜100種、または100〜500種、または500〜1000種、または1000〜10,000種以上のバイオマーカーと組合わせて用いることができる。
特定の実施形態においては、本発明は、少なくとも1種の以下のバイオマーカーセット:前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1と組合わせたフィラミンAの検出および/または分析を含む。これらのタンパク質の公知の機能は、理論によって束縛されることを望むものではないが、以下のように提供される。
フィラミンA(FLN-A)。フィラミンA(FLN-A、FLN1、ABP-280、OPD1、OPD2、内皮アクチン結合タンパク質、CVD1、FMD、MNS、NHBP、XLVD、XMVD、アクチン結合タンパク質280、アルファ-フィラミン、フィラミン-1、フィラミン-Aとしても知られ、それぞれ、本明細書に出現してもよく、本明細書で用いられるものと等価な用語と考えられる)は、アクチンフィラメントを皮質細胞質中の直交ネットワーク中に架橋させると考えられる280kDのタンパク質である。この大きい分子量のタンパク質は、膜タンパク質のアクチン細胞骨格への固定にも関与する。細胞骨格の再モデリングは、細胞形状および移動細胞の調節にとって中心的である。FLNA遺伝子によってコードされるフィラミンAは、インテグリン、膜貫通受容体複合体、および第2メッセンジャーと相互作用することによってアクチン細胞骨格の再編成を調節する広く発現されるタンパク質である。少なくとも2つの異なるアイソフォーム、アイソフォーム1およびアイソフォーム2が公知であり、全て本発明により企図され、用語「フィラミンA」によって包含される。アイソフォーム1は、フィラミンAをコードする主要な転写物であることが理解される。アイソフォーム2は、交互のインフレームエクソンを含み、わずかにより長いタンパク質アイソフォームをコードする。FLNAとの相互作用は、脳室帯から皮質板への神経芽細胞の移動を可能にし得る。FLNAは、細胞表面に局在化したフリンを係留し、その内在化速度を調節し、その細胞内輸送を指令する。フィラミンAに対するさらなる参照を、科学文献、例えば、Gorlin JBら(October 1993)、「Actin-binding protein (ABP-280) filamin gene (FLN) maps telomeric to the color vision locus (R/GCP) and centromeric to G6PD in Xq28」、Genomics 17 (2): 496-8、およびRobertson SPら(March 2003)、「Localized mutations in the gene encoding the cytoskeletal protein filamin A cause diverse malformations in humans」、Nat Genet 33 (4): 487-91(それぞれ参照により本明細書に組込まれる)に見出すことができる。フィラミンAのヌクレオチドおよびアミノ酸配列を、GenBank受託番号NM_001456.3 (フィラミンA-アイソフォーム1-mRNA転写物配列-配列番号46)およびNP_001447.2の対応するポリペプチド配列(フィラミンA-アイソフォーム1-ポリペプチド配列-配列番号47)ならびにGenBank受託番号NM_001110556.1 (フィラミンA-アイソフォーム2-mRNA転写物配列-配列番号48)およびNP_001104026.1の対応するポリペプチド配列(フィラミンA-アイソフォーム2-ポリペプチド配列-配列番号49)として見出すことができる。これらのGenBank番号は、本出願の最も早い有効な出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる。
本発明は、少なくとも部分的には、フィラミンAが前立腺癌細胞中で示差的に調節されるという発見に基づく。特に、本発明は、フィラミンAレベルが前立腺癌を有する患者の血清中で有意に上昇するという驚くべき発見に基づく。従って、本発明は、哺乳動物における腫瘍疾患状態、例えば、前立腺癌を診断する、および/またはモニタリングする(例えば、疾患の進行もしくは処置のモニタリング)および/または予後診断するための方法を提供する。本発明はまた、腫瘍疾患状態、例えば、前立腺癌を有する被験体の血清中のフィラミンAのレベルと関連する診断情報に基づいて処置するため、または処置レジメンを調整するための方法も提供する。本発明はさらに、本発明の方法を実施するためのパネルおよびキットを提供する。
本発明は、断片がフィラミンAの特異的同定を可能にし得る限り、配列表に提供される1つ以上のフィラミンA配列またはその任意の断片の任意の組合せの使用を含むことが理解される。本発明の方法および試薬を用いて、フィラミンAの単一のアイソフォーム、例えば、アイソフォーム1およびアイソフォーム2、フィラミンAアイソフォームの組合せ、またはフィラミンAアイソフォームの全部を同時に検出することができる。特定されない限り、フィラミンAは、全フィラミンAを含む、フィラミンAの1つ以上のアイソフォームを指すと考えることができる。さらに、特定の疾患状態と関連してもよい、または関連しなくてもよい、フィラミンAの天然の変異体が存在し、その使用も本出願に含まれることが理解される。
本発明は、断片が本発明の検出方法によるフィラミンAの特異的同定を可能にする限り、フィラミンAポリペプチドの任意の断片の使用を含むことが理解される。例えば、ELISA抗体は、検出が可能であるようにフィラミンA断片に結合することができる必要がある。さらに、特定の疾患状態と関連してもよい、または関連しなくてもよいフィラミンAの天然の変異体が存在し、その使用も本出願に含まれることが理解される。従って、本発明は、疾患状態、例えば、前立腺癌、および/または疾患状態の特定のステージもしくはフェーズ、例えば、前立腺癌の等級1〜5と関連してもよいフィラミンAの断片および変異体も企図する。また、本発明は、例えば、フィラミンAをコードするDNA、フィラミンA mRNA、ならびにその断片および/または変異体を含む、フィラミンAをコードする核酸分子の使用を包含することも理解される。「フィラミンA」に対する参照は、別途指摘しない限り、フィラミンAポリペプチドまたはフィラミンA遺伝子を指してもよい。
ケラチン4. K4;CK4;CK-4;CYK4としても知られるケラチン4は、ケラチン遺伝子ファミリーのメンバーである。II型サイトケラチンは、単層および層別化された上皮組織の分化の間に同時発現されるヘテロ型ケラチン鎖の対に配置される塩基性または中性タンパク質からなる。II型サイトケラチンは、ファミリーメンバーKRT13と共に粘膜および食道の上皮の分化した層中で特異的に発現される。これらの遺伝子における突然変異は、口腔、食道、および肛門白板症を特徴とする、白色海綿状母斑と関連している。II型サイトケラチンは、染色体12q12-q13の領域にクラスター化している。
本明細書で用いられる場合、ケラチン4は、本文により別途明確に指摘されない限り、遺伝子とタンパク質の両方を指す。ヒトケラチン4のNCBI Gene IDは、3851であり、詳細な情報はNCBIのウェブサイト(本出願が優先権を主張する本出願の出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)に見出すことができる。ホモサピエンスのケラチン4、GenBank受託番号NM_002272アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号1および2に提供される(GenBank番号は、本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)。
本発明は、断片が本発明の検出方法によるケラチン4の特異的同定を可能にする限り、ケラチン4ポリペプチドの任意の断片の使用を含むことが理解される。例えば、ELISA抗体は、検出が可能となるようにケラチン4断片に結合することができる必要がある。さらに、特定の疾患状態と関連しても、またはしなくてもよいケラチン4の天然の変異体が存在し、その使用も本出願に含まれることが理解される。従って、本発明は、疾患状態、例えば、前立腺癌、および/または疾患状態の特定のステージもしくはフェーズ、例えば、前立腺癌の等級1〜5と関連してもよいケラチン4の断片および変異体も企図する。また、本発明は、例えば、ケラチン4をコードするDNA、ケラチン4 mRNA、ならびにその断片および/または変異体を含む、ケラチン4をコードする核酸分子の使用を包含することも理解される。「ケラチン4」に対する参照は、別途指摘しない限り、ケラチン4ポリペプチドまたはケラチン4遺伝子を指してもよい。
ケラチン7. CK7、K2C7、K7、SCL、CK-7;サイトケラチン7;サイトケラチン-7;ケラチン、55K II型細胞骨格;ケラチン、単層上皮I型、K7;ケラチン、II型細胞骨格7;ケラチン-7;サルコレクチン;II型中皮ケラチンK7;およびII型ケラチンKb7としても知られるケラチン7は、ケラチン遺伝子ファミリーのメンバーである。II型サイトケラチンは、単層、および層別化された上皮組織の分化の間に同時発現されるヘテロ型ケラチン鎖の対に配置される塩基性または中性タンパク質からなる。このII型サイトケラチンは、内臓の空洞の内側にある単層上皮中ならびに腺管および血管中で特異的に発現される。II型サイトケラチンをコードする遺伝子は、染色体12q12-q13の領域中でクラスター化している。選択的スプライシングはいくつかの転写物変異体をもたらしてもよいが、全ての変異体が完全に記載されているわけではない。
本明細書で用いられる場合、ケラチン7は、本文によって別途明確に指摘されない限り、遺伝子とタンパク質の両方を指す。ヒトケラチン7のNCBI GeneIDは、3855であり、詳細な情報はNCBIのウェブサイト(本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)に見出すことができる。ホモサピエンスのケラチン7、GenBank受託番号NM_005556アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号3および4に提供される(GenBank番号は、本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)。
本発明は、断片が本発明の検出方法によるケラチン7の特異的同定を可能にする限り、ケラチン7ポリペプチドの任意の断片の使用を含むことが理解される。例えば、ELISA抗体は、検出が可能となるようにケラチン7断片に結合することができる必要がある。さらに、特定の疾患状態と関連しても、またはしなくてもよいケラチン7の天然の変異体が存在し、その使用も本出願に含まれることが理解される。従って、本発明は、疾患状態、例えば、前立腺癌、および/または疾患状態の特定のステージもしくはフェーズ、例えば、前立腺癌の等級1〜5と関連してもよいケラチン7の断片および変異体も企図する。また、本発明は、例えば、ケラチン7をコードするDNA、ケラチン7 mRNA、ならびにその断片および/または変異体を含む、ケラチン7をコードする核酸分子の使用を包含することも理解される。「ケラチン7」に対する参照は、別途指摘しない限り、ケラチン7ポリペプチドまたはケラチン7遺伝子を指してもよい。
ケラチン8. K8;KO;CK8;CK-8;CYK8;K2C8;CARD2としても知られるケラチン8は、第12染色体の長腕上でクラスター化されたII型ケラチンファミリーのメンバーである。I型およびII型ケラチンはヘテロポリマー化して、上皮細胞の細胞質中で中間サイズのフィラメントを形成する。この遺伝子の産物は、典型的にはケラチン18とダイマー化して、単層上皮細胞中で中間フィラメントを形成する。このタンパク質は、細胞構造の完全性を維持する役割を果たし、また、シグナル伝達および細胞分化においても機能する。この遺伝子における突然変異は、原因不明肝硬変を引き起こす。選択的スプライシングされた転写物変異体が、この遺伝子について見出されている。
本明細書で用いられる場合、ケラチン8は、本文によって別途明確に指摘されない限り、遺伝子とタンパク質の両方を指す。ヒトケラチン8のNCBI GeneIDは、3856であり、詳細な情報はNCBIのウェブサイト(本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)に見出すことができる。ホモサピエンスのケラチン8、変異体1、GenBank受託番号NM_001256282アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号5および6に提供される;ホモサピエンスケラチン8、変異体3、GenBank受託番号NM_001256293アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号7および8に提供される(GenBank番号は、本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)。
本発明は、断片が本発明の検出方法によるケラチン8の特異的同定を可能にする限り、ケラチン8ポリペプチドの任意の断片の使用を含むことが理解される。例えば、ELISA抗体は、検出が可能となるようにケラチン8断片に結合することができる必要がある。さらに、特定の疾患状態と関連しても、またはしなくてもよいケラチン8の天然の変異体が存在し、その使用も本出願に含まれることが理解される。従って、本発明は、疾患状態、例えば、前立腺癌、および/または疾患状態の特定のステージもしくはフェーズ、例えば、前立腺癌の等級1〜5と関連してもよいケラチン8の断片および変異体も企図する。また、本発明は、例えば、ケラチン8をコードするDNA、ケラチン8 mRNA、ならびにその断片および/または変異体を含む、ケラチン8をコードする核酸分子の使用を包含することも理解される。「ケラチン8」に対する参照は、別途指摘しない限り、ケラチン8ポリペプチドまたはケラチン8遺伝子を指してもよい。
ケラチン15. K15;CK15;K1COとしても知られるケラチン15は、ケラチン遺伝子ファミリーのメンバーである。このケラチンは、上皮細胞の構造的完全性を担う中間フィラメントタンパク質であり、サイトケラチンと毛髪ケラチンに細分される。I型サイトケラチンの多くは、ヘテロ型ケラチン鎖の対に配置され、染色体17q21.2上の領域にクラスター化している酸性タンパク質からなる。
本明細書で用いられる場合、ケラチン15は、本文によって別途明確に指摘されない限り、遺伝子とタンパク質の両方を指す。ヒトケラチン15のNCBI GeneIDは、3866であり、詳細な情報はNCBIのウェブサイト(本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)に見出すことができる。ホモサピエンスのケラチン15、GenBank受託番号NM_002275アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号9および10に提供される(GenBank番号は、本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)。
本発明は、断片が本発明の検出方法によるケラチン15の特異的同定を可能にする限り、ケラチン15ポリペプチドの任意の断片の使用を含むことが理解される。例えば、ELISA抗体は、検出が可能となるようにケラチン15断片に結合することができる必要がある。さらに、特定の疾患状態と関連しても、またはしなくてもよいケラチン15の天然の変異体が存在し、その使用も本出願に含まれることが理解される。従って、本発明は、疾患状態、例えば、前立腺癌、および/または疾患状態の特定のステージもしくはフェーズ、例えば、前立腺癌の等級1〜5と関連してもよいケラチン15の断片および変異体も企図する。また、本発明は、例えば、ケラチン15をコードするDNA、ケラチン15 mRNA、ならびにその断片および/または変異体を含む、ケラチン15をコードする核酸分子の使用を包含することも理解される。「ケラチン15」に対する参照は、別途指摘しない限り、ケラチン15ポリペプチドまたはケラチン15遺伝子を指してもよい。
ケラチン18. K18;CYK18としても知られるケラチン18は、I型中間フィラメント鎖ケラチン18をコードする。ケラチン18は、そのフィラメントパートナーであるケラチン8と一緒に、おそらく中間フィラメント遺伝子ファミリーの最も一般的に見出されるメンバーである。それらは、体の単層上皮組織で発現される。この遺伝子における突然変異は、原因不明肝硬変と関連している。同じタンパク質をコードする2つの転写物変異体がこの遺伝子について見出されている。
本明細書で用いられる場合、ケラチン18は、本文によって別途明確に指摘されない限り、遺伝子とタンパク質の両方を指す。ヒトケラチン18のNCBI GeneIDは、3875であり、詳細な情報はNCBIのウェブサイト(本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)に見出すことができる。ホモサピエンスのケラチン18、変異体1のGenBank受託番号NM_000224アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号11および12に提供され、ホモサピエンスのケラチン18、変異体2のGenBank受託番号199187アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号13および14に提供される(GenBank番号は、本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)。
本発明は、断片が本発明の検出方法によるケラチン18の特異的同定を可能にする限り、ケラチン18ポリペプチドの任意の断片の使用を含むことが理解される。例えば、ELISA抗体は、検出が可能となるようにケラチン18断片に結合することができる必要がある。さらに、特定の疾患状態と関連しても、またはしなくてもよいケラチン18の天然の変異体が存在し、その使用も本出願に含まれることが理解される。従って、本発明は、疾患状態、例えば、前立腺癌、および/または疾患状態の特定のステージもしくはフェーズ、例えば、前立腺癌の等級1〜5と関連してもよいケラチン18の断片および変異体も企図する。また、本発明は、例えば、ケラチン18をコードするDNA、ケラチン18 mRNA、ならびにその断片および/または変異体を含む、ケラチン18をコードする核酸分子の使用を包含することも理解される。「ケラチン18」に対する参照は、別途指摘しない限り、ケラチン18ポリペプチドまたはケラチン18遺伝子を指してもよい。
ケラチン19. K19;CK19;K1CSとしても知られるケラチン19は、ケラチン遺伝子ファミリーのメンバーである。このケラチンは、上皮細胞の構造的完全性を担う中間フィラメントタンパク質であり、サイトケラチンと毛髪ケラチンに細分される。I型サイトケラチンは、ヘテロ型ケラチン鎖の対に配置される酸性タンパク質からなる。その関連するファミリーメンバーと違って、この最も小さい公知の酸性サイトケラチンは、上皮細胞中の塩基性サイトケラチンと対形成しない。それは、発生中の表皮を包む一時的に表面となる周皮中で特異的に発現される。I型サイトケラチンは、染色体17q12-q21上の領域にクラスター化している。
本明細書で用いられる場合、ケラチン19は、本文によって別途明確に指摘されない限り、遺伝子とタンパク質の両方を指す。ヒトケラチン19のNCBI GeneIDは、3880であり、詳細な情報はNCBIのウェブサイト(本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)に見出すことができる。ホモサピエンスのケラチン19、GenBank受託番号NM_002276アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号15および16に提供される(GenBank番号は、本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)。
本発明は、断片が本発明の検出方法によるケラチン19の特異的同定を可能にする限り、ケラチン19ポリペプチドの任意の断片の使用を含むことが理解される。例えば、ELISA抗体は、検出が可能となるようにケラチン19断片に結合することができる必要がある。さらに、特定の疾患状態と関連しても、またはしなくてもよいケラチン19の天然の変異体が存在し、その使用も本出願に含まれることが理解される。従って、本発明は、疾患状態、例えば、前立腺癌、および/または疾患状態の特定のステージもしくはフェーズ、例えば、前立腺癌の等級1〜5と関連してもよいケラチン19の断片および変異体も企図する。また、本発明は、例えば、ケラチン19をコードするDNA、ケラチン19 mRNA、ならびにその断片および/または変異体を含む、ケラチン19をコードする核酸分子の使用を包含することも理解される。「ケラチン19」に対する参照は、別途指摘しない限り、ケラチン19ポリペプチドまたはケラチン19遺伝子を指してもよい。
チューブリン-ベータ3. CDCBM;TUBB4;ベータ-4;CFEOM3Aとしても知られるチューブリン-ベータ3は、ベータチューブリンタンパク質ファミリーのクラスIIIメンバーである。ベータチューブリンは、ヘテロダイマー化し、集合して微小管を形成する2つのコアタンパク質ファミリー(アルファおよびベータチューブリン)の1つである。このタンパク質は主にニューロン中で発現され、ニューロン新生および軸索誘導および維持に関与し得る。この遺伝子における突然変異は、3型眼球外筋肉の先天性線維症の原因である。選択的スプライシングは複数の転写物変異体をもたらす。この遺伝子の偽遺伝子が、第6染色体上に見出される。
本明細書で用いられる場合、チューブリン-ベータ3は、本文によって別途明確に指摘されない限り、遺伝子とタンパク質の両方を指す。ヒトチューブリン-ベータ3のNCBI GeneIDは、10381であり、詳細な情報はNCBIのウェブサイト(本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)に見出すことができる。ホモサピエンスのチューブリン-ベータ3、変異体2のGenBank受託番号NM_001197181アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号17および18に提供される。ホモサピエンスのチューブリン-ベータ3、変異体1のGenBank受託番号NM_006086アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号19および20に提供される(GenBank番号は、本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)。
本発明は、断片が本発明の検出方法によるチューブリン-ベータ3の特異的同定を可能にする限り、チューブリン-ベータ3ポリペプチドの任意の断片の使用を含むことが理解される。例えば、ELISA抗体は、検出が可能となるようにチューブリン-ベータ3断片に結合することができる必要がある。さらに、特定の疾患状態と関連しても、またはしなくてもよいチューブリン-ベータ3の天然の変異体が存在し、その使用も本出願に含まれることが理解される。従って、本発明は、疾患状態、例えば、前立腺癌、および/または疾患状態の特定のステージもしくはフェーズ、例えば、前立腺癌の等級1〜5と関連してもよいチューブリン-ベータ3の断片および変異体も企図する。また、本発明は、例えば、チューブリン-ベータ3をコードするDNA、チューブリン-ベータ3 mRNA、ならびにその断片および/または変異体を含む、チューブリン-ベータ3をコードする核酸分子の使用を包含することも理解される。「チューブリン-ベータ3」に対する参照は、別途指摘しない限り、チューブリン-ベータ3ポリペプチドまたはチューブリン-ベータ3遺伝子を指してもよい。
フィラミンB. フィラミンBは、フィラミン-3、ベータ-フィラミン、ABP-280相同体、フィラミン相同体1、甲状腺自己抗原、アクチン結合タンパク質278、アクチン結合様タンパク質、Larsen症候群1(常染色体優性)、AOI;FH1;SCT;TAP;LRS1;TABP;FLN-B;FLN1L;ABP-278;およびABP-280としても知られる。この遺伝子は、フィラミンファミリーのメンバーをコードする。コードされるタンパク質は、血管傷害を修復するプロセスの一部として糖タンパク質Ibアルファと相互作用する。血小板糖タンパク質Ib複合体は糖タンパク質Ibアルファを含み、それはアクチン細胞骨格に結合する。この遺伝子における突然変異はいくつかの状態において見出されている:骨発生不全症1型および3型;ブーメラン型異形成;常染色体優性Larsen症候群;および脊椎手根足根骨癒合症候群。異なるタンパク質アイソフォームをコードする複数の選択的スプライシングされた転写物変異体がこの遺伝子について記載されている。
本明細書で用いられる場合、フィラミンBは、本文によって別途明確に指摘されない限り、遺伝子とタンパク質の両方を指す。フィラミンBのNCBI GeneIDは、2317であり、詳細な情報はNCBIのウェブサイト(本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)に見出すことができる。
ホモサピエンスのフィラミンB、ベータ(FLNB)、第3染色体、遺伝子座NG_012801上のRefSeqGeneは、配列番号21に示される。ホモサピエンスのフィラミンB、ベータ(FLNB)、転写物変異体1のGenBank受託番号NM_001164317.1アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号22および23に提供される。ホモサピエンスのフィラミンB、ベータ(FLNB)、転写物変異体3のGenBank受託番号NM_001164318.1アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号24および25に提供される。ホモサピエンスのフィラミンB、ベータ(FLNB)、転写物変異体4のGenBank受託番号NM_001164319.1アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号26および27に提供される。ホモサピエンスのフィラミンB、ベータ(FLNB)、転写物変異体2のGenBank受託番号NM_001457.3アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号28および29に提供される(それぞれのGenBank番号は、本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)。
本発明は、断片がフィラミンBの特異的同定を可能にする限り、配列表に提供される1つ以上のフィラミンB配列の任意の組合せまたはその任意の断片の使用を含むことが理解される。本発明の方法および試薬を用いて、フィラミンBの単一のアイソフォーム、フィラミンBのアイソフォームの組合せ、または全てのフィラミンBのアイソフォームを同時に検出することができる。特定されない限り、フィラミンBは、全フィラミンBなどのフィラミンBの1つ以上のアイソフォームを指すと考えることができる。さらに、特定の疾患状態と関連しても、またはしなくてもよいフィラミンBの天然の変異体が存在し、その使用も本出願に含まれることが理解される。
さらに、本発明は、断片が本発明の検出方法によるフィラミンBの特異的同定を可能にする限り、フィラミンBポリペプチドの任意の断片の使用を含むことが理解される。例えば、ELISA抗体は、検出が可能となるようにフィラミンB断片に結合することができる必要がある。さらに、特定の疾患状態と関連してもよいか、または関連しなくてもよいフィラミンBの天然の変異体が存在し、その使用も本出願に含まれることが理解される。従って、本発明は、疾患状態、例えば、前立腺癌、および/または疾患状態の特定のステージもしくはフェーズ、例えば、前立腺癌の等級1〜5と関連してもよいフィラミンBの断片および変異体も企図する。また、本発明は、例えば、フィラミンBをコードするDNA、フィラミンB mRNA、ならびにその断片および/または変異体を含む、フィラミンBをコードする核酸分子の使用を包含することも理解される。「フィラミンB」に対する参照は、別途指摘しない限り、フィラミンBポリペプチドまたはフィラミンB遺伝子を指してもよい。
リンパ球抗原9. リンパ球抗原9(LY9)は、RP11-312J18.1、CD229、SLAMF3、hly9、mLY9、Tリンパ球表面抗原Ly-9;および細胞表面分子Ly-9としても知られる。LY9は、SLAMファミリーの免疫調節受容体(SLAMF1;MIM603492を参照)に属し、アダプター分子SAP(SH2D1A; MIM300490)と相互作用する(Grahamら、2006)。
本明細書で用いられる場合、LY9は、本文によって別途明確に指摘されない限り、遺伝子とタンパク質の両方を指す。LY9のNCBI遺伝子IDは4063であり、詳細な情報はNCBIのウェブサイト(本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)に見出すことができる。
ホモサピエンスのリンパ球抗原9(LY9)、転写物変異体2のGenBank受託番号NM_001033667アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号30および31に提供される。ホモサピエンスのリンパ球抗原9(LY9)、転写物変異体3のGenBank受託番号NM_001261456アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号32および33に提供される。ホモサピエンスのリンパ球抗原9(LY9)、転写物変異体4のGenBank受託番号NM_001261457アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号34および35に提供される。ホモサピエンスのリンパ球抗原9(LY9)、転写物変異体1のGenBank受託番号NM_002348アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号36および37に提供される(それぞれのGenBank番号は、本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)。
本発明は、断片がLY9の特異的同定を可能にする限り、配列表に提供される1つ以上のLY9配列の任意の組合せまたはその任意の断片の使用を含むことが理解される。本発明の方法および試薬を用いて、LY9の単一のアイソフォーム、LY9のアイソフォームの組合せ、または全てのLY9のアイソフォームを同時に検出することができる。特定されない限り、LY9は、全LY9などのLY9の1つ以上のアイソフォームを指すと考えることができる。さらに、特定の疾患状態と関連しても、またはしなくてもよいLY9の天然の変異体が存在し、その使用も本出願に含まれることが理解される。
さらに、本発明は、断片が本発明の検出方法によるLY9の特異的同定を可能にする限り、LY9ポリペプチドの任意の断片の使用を含むことが理解される。例えば、ELISA抗体は、検出が可能となるようにLY9断片に結合することができる必要がある。さらに、特定の疾患状態と関連してもよいか、または関連しなくてもよいLY9の天然の変異体が存在し、その使用も本出願に含まれることが理解される。従って、本発明は、疾患状態、例えば、前立腺癌、および/または疾患状態の特定のステージもしくはフェーズ、例えば、前立腺癌の等級1〜5と関連してもよいLY9の断片および変異体も企図する。また、本発明は、例えば、LY9をコードするDNA、LY9 mRNA、ならびにその断片および/または変異体を含む、LY9をコードする核酸分子の使用を包含することも理解される。「LY9」に対する参照は、別途指摘しない限り、LY9ポリペプチドまたはLY9遺伝子を指してもよい。
前立腺特異的抗原. 前立腺特異的抗原(PSA)は、カリクレイン-3、セミニン、P-30抗原、セメノゲラーゼ、ガンマ-セミノタンパク質、APS、hK3、およびKLK2A1としても知られる。カリクレインは、多様な生理機能を有するセリンプロテアーゼのサブグループである。数多くの証拠が、多くのカリクレインが発癌に関与し、いくつかは新しい癌および他の疾患のバイオマーカーとしての能力を有することを示唆している。この遺伝子は、第19染色体上のクラスター中に位置する15種のカリクレインサブファミリーメンバーの1つである。そのタンパク質産物は、精漿中に存在するプロテアーゼである。それは、おそらく、高分子量精嚢タンパク質の加水分解による精子凝塊(seminal coagulum)の液化において通常機能すると考えられる。臨床設定においてPSAと呼ばれるこのタンパク質の血清レベルは、前立腺癌の診断およびモニタリングにおいて有用である。この遺伝子の選択的スプライシングは、異なるアイソフォームをコードするいくつかの転写物変異体を生成する。
本明細書で用いられる場合、PSAは、本文によって別途明確に指摘されない限り、プロセッシングされた形態とプロセッシングされていない形態の両方の、遺伝子とタンパク質の両方を指す。PSAのNCBI遺伝子IDは354であり、詳細な情報はNCBIのウェブサイト(本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)に見出すことができる。
ホモサピエンスのPSAは、第19染色体上の19q13.41配列に位置する:NC_000019.9(51358171...51364020)。ヒトPSAの4種のスプライス変異体が公知である。前立腺特異的抗原アイソフォーム3プレプロタンパク質、NM_001030047.1は、配列番号38および配列番号39として提供される。前立腺特異的抗原アイソフォーム4プレプロタンパク質、NM_001030048.1は、配列番号40および配列番号41として提供される。前立腺特異的抗原アイソフォーム6プレプロタンパク質、NM_001030050.1は、配列番号42および配列番号43として提供される。前立腺特異的抗原アイソフォーム1プレプロタンパク質、NM_001030048.2は、配列番号44および配列番号45として提供される(それぞれのGenBank番号は、本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)。
本発明は、断片がPSAの特異的同定を可能にする限り、配列表に提供される1つ以上のPSA配列の任意の組合せまたはその任意の断片の使用を含むことが理解される。本発明の方法および試薬を用いて、PSAの単一のアイソフォーム、PSAのアイソフォームの組合せ、または全てのPSAのアイソフォームを同時に検出することができる。特定されない限り、PSAは、全PSAなどのPSAの1つ以上のアイソフォームを指すと考えることができる。さらに、特定の疾患状態と関連しても、またはしなくてもよいPSAの天然の変異体が存在し、その使用も本出願に含まれることが理解される。
さらに、本発明は、断片が本発明の検出方法によるPSAの特異的同定を可能にする限り、PSAポリペプチドの任意の断片の使用を含むことが理解される。例えば、ELISA抗体は、検出が可能となるようにPSA断片に結合することができる必要がある。さらに、特定の疾患状態と関連してもよいか、または関連しなくてもよいPSAの天然の変異体が存在し、その使用も本出願に含まれることが理解される。従って、本発明は、疾患状態、例えば、前立腺癌、および/または疾患状態の特定のステージもしくはフェーズ、例えば、前立腺癌の等級1〜5と関連してもよいPSAの断片および変異体も企図する。また、本発明は、例えば、PSAをコードするDNA、PSA mRNA、ならびにその断片および/または変異体を含む、PSAをコードする核酸分子の使用を包含することも理解される。「PSA」に対する参照は、別途指摘しない限り、PSAポリペプチドまたはPSA遺伝子を指してもよい。
年齢。被験体の年齢を、前立腺癌の存在に関する連続予測変数として用いることができる。例えば、年齢の増加は、前立腺癌の危険性の増大と関連する。逆に、年齢の低下は、前立腺癌の危険性の低下と関連する。同様に、年齢を、前立腺癌のステージ、またはカテゴリーに関する連続予測変数として用いることができる。例えば、年齢を、前立腺癌のグリソンスコアに関する連続予測変数として用いることができる。
特に、フィラミンAのみ、またはPSA、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FLNB)、およびリンパ球抗原9(LY9)のうちのいずれか1種以上と組合わせたフィラミンAを含む、本発明のバイオマーカーを、ポリペプチドまたはその検出可能な断片として検出することができる。あるいは、特に、フィラミンAのみ、またはPSA、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FLNB)、およびリンパ球抗原9(LY9)のうちのいずれか1種以上と組合わせたフィラミンAを含む、本発明のバイオマーカーを、DNA、RNA、mRNA、マイクロRNAなどの核酸分子として検出することができる。さらに、フィラミンAのみ、またはPSA、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FLNB)、およびリンパ球抗原9(LY9)のうちのいずれか1種以上と組合わせたフィラミンAを含む、バイオマーカーの組合せを、ポリペプチドと核酸分子の任意の組合せとして検出することができる。特定の実施形態においては、全てのバイオマーカーが、ポリペプチドの形態にある。特定の他の実施形態においては、全てのバイオマーカーが、ポリヌクレオチドの形態にある。特定の他の実施形態においては、少なくともフィラミンAはポリペプチドの形態にあるが、試験される任意の他のマーカーはポリペプチドまたは核酸分子であってもよい。さらに他の実施形態においては、少なくともフィラミンAは核酸分子の形態にあるが、試験される任意の他のマーカーはポリペプチドまたは核酸分子であってもよい。
他の実施形態においては、特に、フィラミンAのみ、またはPSA、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FLNB)、リンパ球抗原9(LY9)、前立腺特異的膜抗原(PSM)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、TMPRSS2、PDEF、前立腺特異的遺伝子-1(HPG-1)、およびPCA3、PCGEM1などの非コードRNA(ncRNA)、ならびに遺伝子クラスターP704P、P712P、およびP775Pのうちのいずれか1種以上と組合わせたフィラミンAを含む、本発明のバイオマーカーを、ポリペプチドまたはその検出可能な断片として検出することができる。あるいは、特に、フィラミンAのみ、またはPSA、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FLNB)、リンパ球抗原9(LY9)、前立腺特異的膜抗原(PSM)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、TMPRSS2、PDEF、前立腺特異的遺伝子-1(HPG-1)、およびPCA3、PCGEM1などの非コードRNA(ncRNA)、ならびに遺伝子クラスターP704P、P712P、およびP775Pのうちのいずれか1種以上と組合わせたフィラミンAを含む、本発明のバイオマーカーを、DNA、RNA、mRNA、マイクロRNAなどの核酸分子として検出することができる。さらに、フィラミンAのみ、またはPSA、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FLNB)、リンパ球抗原9(LY9)、前立腺特異的膜抗原(PSM)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、TMPRSS2、PDEF、前立腺特異的遺伝子-1(HPG-1)、およびPCA3、PCGEM1などの非コードRNA(ncRNA)、ならびに遺伝子クラスターP704P、P712P、およびP775Pのうちのいずれか1種以上と組合わせたフィラミンAを含む、バイオマーカーの組合せを、ポリペプチドと核酸分子の任意の組合せとして検出することができる。特定の実施形態においては、全てのバイオマーカーが、ポリペプチドの形態にある。特定の他の実施形態においては、全てのバイオマーカーが、ポリヌクレオチドの形態にある。特定の他の実施形態においては、少なくともフィラミンAはポリペプチドの形態にあるが、試験される任意の他のマーカーはポリペプチドまたは核酸分子であってもよい。さらに他の実施形態においては、少なくともフィラミンAは核酸分子の形態にあるが、試験される任意の他のマーカーはポリペプチドまたは核酸分子であってもよい。
前立腺特異的膜抗原(PSM)として本明細書で同定される特異的マーカーは、参照により本明細書に組込まれるSokollら、1997、「Prostate-specific antigen - Its discovery and biochemical characteristics」、Urol. Clin. North Am.、24:253-259にさらに記載されている。
前立腺幹細胞抗原(PSCA)として本明細書で同定される特異的マーカーは、参照により本明細書に組込まれるFairら、1997、「Prostate-specific membrane antigen」、Prostate、32:140-148にさらに記載されている。
TMPRSS2として本明細書で同定される特異的マーカーは、参照により本明細書に組込まれるLinら、1999、「Prostate-localized and androgen-regulated expression of the membrane-bound serine protease TMPRSS2」、Cancer Res.、59:4180-4184にさらに記載されている。
PDEFとして本明細書で同定される特異的マーカーは、参照により本明細書に組込まれるOettgenら、「PDEF, a novel prostate epithelium-specific ETS transcription factor interacts with the androgen receptor and activates prostate-specific antigen gene expression」、J. Biol. Chem.、275: 1216-1225にさらに記載されている。
前立腺特異的遺伝子-1(HPG-1)として本明細書で同定される特異的マーカーは、参照により本明細書に組込まれるHerness、「A novel human prostate-specific gene-1 (HPG-1): molecular cloning, sequencing, and its potential involvement in prostate carcinogenesis」、2003、Cancer Res. 63:329-336にさらに記載されている。
PCA3として同定される非コードRNA(ncRNA)は、参照により本明細書に組込まれるBussemakersら、1999、「DD3: a new prostate-specific gene, highly overexpressed in prostate cancer」、Cancer Res. 59:5975-5979にさらに記載されている。
PCGEM1として同定される非コードRNAは、参照により本明細書に組込まれるSrikantanら、2000、「PCGEM1, a prostate-specific gene, is overexpressed in prostate cancer」、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:12216-12221にさらに記載されている。
遺伝子クラスターP704P、P712P、およびP775Pは、参照により本明細書に組込まれるStolkら、2004、「P704P, P712P, and P775P: A genomic cluster of prostate-specific genes」、Prostate 60:214-226にさらに記載されている。
本発明はまた、バイオマーカーの特定の組合せの使用も企図する。
一実施形態においては、本発明は、限定されるものではないが、以下のセット:フィラミンAとPSA;フィラミンAとPSA;フィラミンAとLY9;フィラミンAとケラチン4;フィラミンAとケラチン7;フィラミンAとケラチン8;フィラミンAとケラチン15;フィラミンAとケラチン18;フィラミンAとケラチン19;フィラミンAとチューブリン-ベータ3;フィラミンAと前立腺特異的膜抗原(PSM);フィラミンAと前立腺幹細胞抗原(PSCA);フィラミンAとTMPRSS2;フィラミンAとPDEF;フィラミンAと前立腺特異的遺伝子-1(HPG-1);フィラミンAとPCA3;フィラミンAとPCGEM1;およびフィラミンAと遺伝子クラスターP704P、P712P、およびP775P;ならびにフィラミンAと患者年齢を含んでもよい、少なくとも2種のメンバーを含むマーカーセットを企図する。任意のマーカーセットを、さらにPSAと組合わせて用いることができる。
別の実施形態においては、本発明は、1種のメンバーがフィラミンAであり、さらなる2種のメンバーが以下の2種のマーカーのセット:フィラミンB、LY9; フィラミンB、ケラチン4; フィラミンB、ケラチン7; フィラミンB、ケラチン8; フィラミンB、ケラチン15; フィラミンB、ケラチン18; フィラミンB、ケラチン19; フィラミンB、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、PSM; フィラミンB、PSCA; フィラミンB、TMPRSS2; フィラミンB、PDEF; フィラミンB、HPG-1; フィラミンB、PCA3; フィラミンB、PCGEM1; フィラミンB、P704P/P712P/P775P; LY9、ケラチン4; LY9、ケラチン7; LY9、ケラチン8; LY9、ケラチン15; LY9、ケラチン18; LY9、ケラチン19; LY9、チューブリン-ベータ3; LY9、PSM; LY9、PSCA; LY9、TMPRSS2; LY9、PDEF; LY9、HPG-1; LY9、PCA3; LY9、PCGEM1; LY9、P704P/P712P/P775P; ケラチン4、ケラチン7; ケラチン4、ケラチン8; ケラチン4、ケラチン15; ケラチン4、ケラチン18; ケラチン4、ケラチン19; ケラチン4、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、PSM; ケラチン4、PSCA; ケラチン4、TMPRSS2; ケラチン4、PDEF; ケラチン4、HPG-1; ケラチン4、PCA3; ケラチン4、PCGEM1; ケラチン4、P704P/P712P/P775P; ケラチン7、ケラチン8; ケラチン7、ケラチン15; ケラチン7、ケラチン18; ケラチン7、ケラチン19; ケラチン7、チューブリン-ベータ3; ケラチン7、PSM; ケラチン7、PSCA; ケラチン7、TMPRSS2; ケラチン7、PDEF; ケラチン7、HPG-1; ケラチン7、PCA3; ケラチン7、PCGEM1; ケラチン7、P704P/P712P/P775P; ケラチン8、ケラチン15; ケラチン8、ケラチン18; ケラチン8、ケラチン19; ケラチン8、チューブリン-ベータ3; ケラチン8、PSM; ケラチン8、PSCA; ケラチン8、TMPRSS2; ケラチン8、PDEF; ケラチン8、HPG-1; ケラチン8、PCA3; ケラチン8、PCGEM1; ケラチン8、P704P/P712P/P775P; ケラチン15、ケラチン18; ケラチン15、ケラチン19; ケラチン15、チューブリン-ベータ3; ケラチン15、PSM; ケラチン15、PSCA; ケラチン15、TMPRSS2; ケラチン15、PDEF; ケラチン15、HPG-1; ケラチン15、PCA3; ケラチン15、PCGEM1; ケラチン15、P704P/P712P/P775P; ケラチン18、チューブリン-ベータ3; ケラチン18、ケラチン19; およびケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン18、PSM; ケラチン18、PSCA; ケラチン18、TMPRSS2; ケラチン18、PDEF; ケラチン18、HPG-1; ケラチン18、PCA3; ケラチン18、PCGEM1; ケラチン18、P704P/P712P/P775Pから選択される、少なくとも3種のメンバーを含むマーカーセットを企図する。任意のマーカーセットを、患者年齢と組合わせて用いることができる。任意のマーカーセットを、さらにPSAと組合わせて用いることができる。
別の実施形態においては、本発明は、1種のメンバーがフィラミンAであり、さらなる3種のメンバーが、限定されるものではないが、以下のセット: フィラミンB、LY9、ケラチン4; フィラミンB、LY9、ケラチン7; フィラミンB、LY9、ケラチン8; フィラミンB、LY9、ケラチン15; フィラミンB、LY9、ケラチン18; フィラミンB、LY9、ケラチン19; フィラミンB、LY9、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン7; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン8; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン15; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン18; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン4、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン8; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン15; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン18; フィラミンB、ケラチン7、 ケラチン19; フィラミンB、ケラチン7、 チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン15; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン18; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン8、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン15、ケラチン18; フィラミンB、ケラチン15、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン15、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン19、チューブリン-ベータ3;LY9、ケラチン4、ケラチン7; LY9、ケラチン4、ケラチン8; LY9、ケラチン4、ケラチン15; LY9、ケラチン4、ケラチン18; LY9、ケラチン4、ケラチン19; LY9、ケラチン4、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン8; LY9、ケラチン7、ケラチン15; LY9、ケラチン7、ケラチン18; LY9、ケラチン7、 ケラチン19; LY9、ケラチン7、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン8、ケラチン15; LY9、ケラチン8、ケラチン18; LY9、ケラチン8、ケラチン19; LY9、ケラチン8、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン15、ケラチン18; LY9、ケラチン15、ケラチン19; LY9、ケラチン15、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン18; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン19; ケラチン4、ケラチン7、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン18; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン19; ケラチン4、ケラチン8、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18; ケラチン4、ケラチン15、ケラチン19; ケラチン4、ケラチン15、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン18、ケラチン19; ケラチン4、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15; ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18; ケラチン7、ケラチン8、ケラチン19; ケラチン7、ケラチン8、チューブリン-ベータ3; ケラチン7、ケラチン8、チューブリン-ベータ3; ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18; ケラチン7、ケラチン15、ケラチン19; ケラチン7、ケラチン15、チューブリン-ベータ3; ケラチン7、ケラチン18、ケラチン19; ケラチン7、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; およびケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3を含んでもよい、少なくとも4種のメンバーを含むマーカーセットを企図する。任意のマーカーセットを、患者年齢と組合わせて用いることができる。任意のマーカーセットを、PSAと組合わせて用いることができる。さらに、上記セットのいずれかを改変して、以下のさらなるマーカー:前立腺特異的膜抗原(PSM)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、TMPRSS2、PDEF、前立腺特異的遺伝子-1(HPG-1)、PCA3、PCGEM1、ならびに遺伝子クラスターP704P、P712P、およびP775Pのうちの1種以上を含むマーカーセット中の1種以上のマーカーと置き換えてもよい。
別の実施形態においては、1種のメンバーがフィラミンAであり、さらなる4種のメンバーが、限定されるものではないが、以下のセット: フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン8; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン15; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン18; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン19; フィラミンB、LY9、ケラチン4、 チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン18; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン7、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン7、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン8、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン15、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8; LY9、ケラチン4、ケラチン7、 ケラチン15; LY9、ケラチン4、ケラチン7、 ケラチン18; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン19; LY9、ケラチン4、ケラチン7、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15; LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18; LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン19; LY9、ケラチン7、ケラチン8、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18; LY9、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19; LY9、ケラチン8、ケラチン15、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン19; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; ならびにケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3を含んでもよい、少なくとも5種のメンバーを含むマーカーセットを企図する。任意のマーカーセットをPSAと組合わせて用いることができる。さらに、上記セットのいずれかを改変して、以下のさらなるマーカー:前立腺特異的膜抗原(PSM)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、TMPRSS2、PDEF、前立腺特異的遺伝子-1(HPG-1)、PCA3、PCGEM1、ならびに遺伝子クラスターP704P、P712P、およびP775Pのうちの1種以上を含むマーカーセット中の1種以上のマーカーと置き換えてもよい。任意のマーカーセットを、患者年齢と組合わせて用いることができる。
別の実施形態においては、本発明は、1種のメンバーがフィラミンAであり、さらなる5種のメンバーが、限定されるものではないが、以下のセット: ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19 チューブリン-ベータ3; ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、LY9、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン15、ケラチン19 チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン18、ケラチン19 チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン18、ケラチン19 チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン4、ケラチン18、ケラチン19およびチューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン7、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン18、ケラチン19 チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリン-ベータ3; ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、LY9、ケラチン7、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン7、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン7、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、LY9、ケラチン8、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン8、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、LY9、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン18、 チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18、 チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン4、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、 ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、 チューブリン-ベータ3; ならびにケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19を含んでもよい、少なくとも6種のメンバーを含むマーカーセットを企図する。任意のマーカーセットをPSAと組合わせて用いることができる。さらに、上記セットのいずれかを改変して、以下のさらなるマーカー:前立腺特異的膜抗原(PSM)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、TMPRSS2、PDEF、前立腺特異的遺伝子-1(HPG-1)、PCA3、PCGEM1、ならびに遺伝子クラスターP704P、P712P、およびP775Pのうちの1種以上を含むマーカーセット中の1種以上のマーカーと置き換えてもよい。任意のマーカーセットを、患者年齢と組合わせて用いることができる。
別の実施形態においては、本発明は、1種のメンバーがフィラミンAであり、さらなる6種のメンバーが、限定されるものではないが、以下のセット: ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、 チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19; ならびにLY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18を含んでもよい、少なくとも7種のメンバーを含むマーカーセットを企図する。任意のマーカーセットをPSAと組合わせて用いることができる。さらに、上記セットのいずれかを改変して、以下のさらなるマーカー:前立腺特異的膜抗原(PSM)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、TMPRSS2、PDEF、前立腺特異的遺伝子-1(HPG-1)、PCA3、PCGEM1、ならびに遺伝子クラスターP704P、P712P、およびP775Pのうちの1種以上を含むマーカーセット中の1種以上のマーカーと置き換えてもよい。任意のマーカーセットを、患者年齢と組合わせて用いることができる。
別の実施形態においては、本発明は、1種のメンバーがフィラミンAであり、さらなる7種のメンバーが、限定されるものではないが、以下のセット: ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、 チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、 ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、LY9、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19; ならびにフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18を含んでもよい、少なくとも8種のメンバーを含むマーカーセットを企図する。任意のマーカーセットをPSAと組合わせて用いることができる。さらに、上記セットのいずれかを改変して、以下のさらなるマーカー:前立腺特異的膜抗原(PSM)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、TMPRSS2、PDEF、前立腺特異的遺伝子-1(HPG-1)、PCA3、PCGEM1、ならびに遺伝子クラスターP704P、P712P、およびP775Pのうちの1種以上を含むマーカーセット中の1種以上のマーカーと置き換えてもよい。任意のマーカーセットを、患者年齢と組合わせて用いることができる。
別の実施形態においては、本発明は、1種のメンバーがフィラミンAであり、さらなる8種のメンバーが、限定されるものではないが、以下のセット: LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; ならびにフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19を含んでもよい、少なくとも9種のメンバーを含むマーカーセットを企図する。任意のマーカーセットをPSAと組合わせて用いることができる。さらに、上記セットのいずれかを改変して、以下のさらなるマーカー:前立腺特異的膜抗原(PSM)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、TMPRSS2、PDEF、前立腺特異的遺伝子-1(HPG-1)、PCA3、PCGEM1、ならびに遺伝子クラスターP704P、P712P、およびP775Pのうちの1種以上を含むマーカーセット中の1種以上のマーカーと置き換えてもよい。任意のマーカーセットを、患者年齢と組合わせて用いることができる。
別の実施形態においては、本発明は、1種のメンバーがフィラミンAであり、さらなる9種のメンバーが、限定されるものではないが、以下のセット:フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3を含んでもよい、少なくとも10種のメンバーを含むマーカーセットを企図する。さらに、上記セットのいずれかを改変して、以下のさらなるマーカー:前立腺特異的膜抗原(PSM)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、TMPRSS2、PDEF、前立腺特異的遺伝子-1(HPG-1)、PCA3、PCGEM1、ならびに遺伝子クラスターP704P、P712P、およびP775Pのうちの1種以上を含むマーカーセット中の1種以上のマーカーと置き換えてもよい。任意のマーカーセットを、患者年齢と組合わせて用いることができる。
任意のマーカーセットをPSAと組合わせて用いることができる。
本発明は、様々な組合せおよび部分的組合せのマーカーの使用を提供する。別途明確に指摘しない限り、本明細書に提供される任意の単一のマーカーまたはマーカーの組合せを用いることができることが理解される。さらに、本発明の任意の単一のマーカーまたはマーカーの組合せを、患者年齢と共に用いることができる。あるいは、本発明の任意の単一のマーカーまたはマーカーの組合せを、PSAと共に用いることができる。あるいは、本発明の任意の単一のマーカーまたはマーカーの組合せを、患者年齢およびPSAと共に用いることができる。
本出願を通じて、フィラミンB、LY9およびケラチン19の1種以上は、フィラミンB;LY9;ケラチン19;フィラミンBとLY9;フィラミンBとケラチン19;LY9とケラチン19;またはフィラミンB、LY9、およびケラチン19のいずれかと理解される。さらに、本発明の任意の単一のマーカーまたはマーカーの組合せを、PSAと共に用いることができる。さらに、本発明の任意の単一のマーカーまたはマーカーの組合せを、患者年齢と共に用いることができる。好ましくは、各マーカーセットは、既に示されていない場合、さらにフィラミンAを含む。
本出願を通じて、フィラミンBおよびLY9と、PSAとの組合せは、フィラミンB;LY9;フィラミンBとPSA;フィラミンBとLY9;LY9とPSA;フィラミンB、LY9、およびPSAのいずれかと理解される。好ましくは、各マーカーセットは、既に示されていない場合、さらにフィラミンAを含む。好ましくは、各マーカーセットは、既に示されていない場合、さらに患者年齢を含む。
本出願を通じて、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される1種以上の前立腺癌マーカーは、ケラチン4; ケラチン7; ケラチン8; ケラチン15; ケラチン18; チューブリンベータ-3; ケラチン4およびケラチン7; ケラチン4およびケラチン8; ケラチン4およびケラチン15; ケラチン4およびケラチン18; ケラチン4およびチューブリンベータ-3; ケラチン7およびケラチン8; ケラチン7およびケラチン15; ケラチン7およびケラチン18; ケラチンおよびチューブリンベータ-3; ケラチン8およびケラチン15; ケラチン8およびケラチン18; ケラチン8およびチューブリンベータ-3; ケラチン15およびケラチン18; ケラチン15およびチューブリンベータ-3; ケラチン18およびチューブリンベータ-3; ケラチン4、ケラチン7およびケラチン8; ケラチン4、ケラチン7およびケラチン15; ケラチン4、ケラチン7およびケラチン18; ケラチン4、ケラチン7およびチューブリンベータ-3; ケラチン4、ケラチン8およびケラチン15; ケラチン4、ケラチン8およびケラチン18; ケラチン4、ケラチン8およびチューブリンベータ-e; ケラチン4、ケラチン15およびケラチン18; ケラチン4、ケラチン15およびチューブリンベータ-e; ケラチン4、ケラチン18およびチューブリンベータ-3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8およびケラチン15; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8およびケラチン18; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8およびチューブリンベータ-3; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15およびケラチン18; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15およびチューブリンベータ-3; ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18およびチューブリンベータ-3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15およびケラチン18; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15,およびチューブリンベータ-3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18,およびチューブリンベータ-3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18,およびチューブリンベータ-3; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3; またはケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3のいずれかと理解される。さらに、本発明の任意の単一のマーカーまたはマーカーの組合せを、PSAと共に用いることができる。好ましくは、各マーカーセットは、既に示されていない場合、さらにフィラミンAを含む。好ましくは、各マーカーセットは、既に示されていない場合、さらに患者年齢を含む。
本出願を通じて、ケラチン7、15、および19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌マーカーは、ケラチン7; ケラチン15; ケラチン19; ケラチン7および15; ケラチン7および19; ケラチン15および19;ならびにケラチン7、15、および19のいずれかと理解される。さらに、本発明の任意の単一のマーカーまたはマーカーの組合せを、PSAと共に用いることができる。好ましくは、各マーカーセットは、既に示されていない場合、さらにフィラミンAを含む。好ましくは、各マーカーセットは、既に示されていない場合、さらに患者年齢を含む。
本出願を通じて、ケラチン7、8、および15からなる群より選択される1種以上の前立腺癌マーカーは、ケラチン7; ケラチン8; ケラチン15; ケラチン7および8; ケラチン7および15; ケラチン8および15;ならびにケラチン7、8、および15のいずれかと理解される。さらに、本発明の任意の単一のマーカーまたはマーカーの組合せを、PSAと共に用いることができる。好ましくは、各マーカーセットは、既に示されていない場合、さらにフィラミンAを含む。好ましくは、各マーカーセットは、既に示されていない場合、さらに患者年齢を含む。
本出願を通じて、ケラチン7および15からなる群より選択される1種以上の前立腺癌マーカーは、ケラチン7; ケラチン15; またはケラチン7および15のいずれかと理解される。さらに、本発明の任意の単一のマーカーまたはマーカーの組合せを、PSAと共に用いることができる。好ましくは、各マーカーセットは、既に示されていない場合、さらにフィラミンAを含む。好ましくは、各マーカーセットは、既に示されていない場合、さらに患者年齢を含む。
本出願を通じて、フィラミンB、LY9、またはケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌マーカーは、フィラミンB; LY9; ケラチン19; フィラミンBおよびLY9; フィラミンBおよびケラチン19; LY9およびケラチン19;ならびにフィラミンB、LY9、およびケラチン19のいずれかと理解される。さらに、本発明の任意の単一のマーカーまたはマーカーの組合せを、PSAと共に用いることができる。好ましくは、各マーカーセットは、既に示されていない場合、さらにフィラミンAを含む。好ましくは、各マーカーセットは、既に示されていない場合、さらに患者年齢を含む。
別の態様において、本発明は、前立腺癌の存在および/または危険性および/または予後と相関する、疾患を有する組織(例えば、前立腺腫瘍)におけるもの、または血清もしくは血液に直接由来するものを含む生物試料中の本発明のバイオマーカーのレベルに基づく「診断特徴」または「疾患プロファイル」の同定を提供する。「バイオマーカーのレベル」は、例えば、バイオマーカーmRNAの発現レベルを測定することによる、バイオマーカー遺伝子の発現レベルを指してもよい。「バイオマーカーのレベル」はまた、生物試料、例えば、前立腺組織または血清中のバイオマーカーポリペプチドのレベルを指してもよい。バイオマーカーポリペプチドおよび/または核酸分子の発現レベルの収集物または全体性は、前立腺癌の存在および/または診断および/または進行と相関する診断特徴を提供する。本発明の診断特徴または疾患プロファイルを取得するためのバイオマーカーは、定量的または定性的な様式で、生物の生理的状態、例えば、生物が前立腺癌を有するかどうかを反映する任意の測定可能な特徴を包含することを意味する。生物の生理的状態は、任意の疾患または非疾患状態、例えば、前立腺癌を有する被験体またはそうでなければ健康である被験体を含む。換言すれば、本発明の診断特徴または疾患プロファイルを同定するために用いられるバイオマーカーは、正常なプロセス、病理学的プロセス、または特に、前立腺癌を含む、治療的介入に対する薬理学的応答の指標として客観的に測定し、評価することができる特徴が挙げられる。バイオマーカーは、臨床パラメータ(例えば、年齢、能力状態)、検査測定値(例えば、前立腺特異的抗原などの分子バイオマーカー)、画像化に基づく測定値、または遺伝子もしくは他の分子決定因子であってもよい。バイオマーカーの例としては、腫瘍疾患、例えば、前立腺癌を診断する、および/または示す、および/または予測する、例えば、ポリペプチド、ペプチド、ポリペプチド断片、タンパク質、抗体、ホルモン、ポリヌクレオチド、RNAまたはRNA断片、マイクロRNA(miRNA)、脂質、多糖、および他の身体の代謝物が挙げられる。バイオマーカーの例としては、腫瘍疾患の任意のステージもしくは臨床フェーズ、例えば、グリソン等級1、等級2、等級3、等級4、もしくは等級5の前立腺癌を診断する、および/または示す、および/または予測する、ポリペプチド、ペプチド、ポリペプチド断片、タンパク質、抗体、ホルモン、ポリヌクレオチド、RNAまたはRNA断片、マイクロRNA(miRNA)、脂質、多糖、および他の身体の代謝物も挙げられる。
特定の実施形態においては、前立腺癌の疾患プロファイルまたは診断特徴は、フィラミンAと、限定されるものではないが、前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3、ならびにさらなるマーカーPSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1を含んでもよい、前立腺癌の1種以上のさらなるバイオマーカーとの組合せに基づいて決定される。フィラミンAと組合わせて用いることができる他のマーカーは、定量的または定性的な様式で、生物の生理的状態、例えば、生物が前立腺癌を有するかどうかを反映する任意の測定可能な特徴を含む。そのような特徴は、患者年齢を含んでもよい。生物の生理的状態は、任意の疾患または非疾患状態、例えば、前立腺癌を有する被験体またはそうでなければ健康である被験体を含む。換言すれば、フィラミンAと組合わせて用いることができる本発明のバイオマーカーは、正常なプロセス、病理学的プロセス、または特に、前立腺癌を含む、治療的介入に対する薬理学的応答の指標として客観的に測定し、評価することができる特徴を含む。そのような組合せバイオマーカーは、臨床パラメータ(例えば、年齢、能力状態)、検査測定値(例えば、前立腺特異的抗原などの分子バイオマーカー)、画像化に基づく測定値、または遺伝子もしくは他の分子決定因子であってもよい。フィラミンAと組合わせて使用するためのバイオマーカーの例としては、前立腺癌、または前立腺癌の任意の特定のステージもしくはフェーズ、例えば、グリソン等級1、等級2、等級3、等級4、もしくは等級5の前立腺癌を診断する、および/または示す、および/または予測する、例えば、ポリペプチド、ペプチド、ポリペプチド断片、タンパク質、抗体、ホルモン、ポリヌクレオチド、RNAまたはRNA断片、マイクロRNA(miRNA)、脂質、多糖、および他の身体の代謝物が挙げられる。特定の実施形態においては、フィラミンAと組合わせて使用するためのバイオマーカーとしては、前立腺癌、またはその任意のステージもしくは臨床フェーズ、例えば、グリソン等級1、等級2、等級3、等級4、もしくは等級5の前立腺癌またはTNM分類を診断する、および/または示す、および/または予測する、ポリペプチド、ペプチド、ポリペプチド断片、タンパク質、抗体、ホルモン、ポリヌクレオチド、RNAまたはRNA断片、マイクロRNA(miRNA)、脂質、多糖、および他の身体の代謝物が挙げられる。他の実施形態においては、本発明はまた、任意の臨床および/または患者関連健康データ、例えば、電子的医療記録から得られたデータ(例えば、人口統計、病歴、投薬およびアレルギー、免疫化状態、検査室検査の結果、放射線画像、バイタルサイン、年齢および体重などの個人統計値、および請求書情報などの、様々な型のデータと関連する個々の患者または集団に関する電子健康情報の収集物)の分析および考慮も含む。
特定の実施形態においては、診断特徴は、(1)生物試料中のフィラミンAのレベルを検出すること、(2)限定されるものではないが、前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1を含んでもよい1種以上のさらなるバイオマーカーのレベルを検出すること、ならびに(3)フィラミンAおよび1種以上のさらなるバイオマーカーのレベルと、対照試料に由来する同じバイオマーカーのレベルとを比較すること、(4)生物試料中で検出されたフィラミンAおよび1種以上のさらなるバイオマーカーが、特定の閾値レベルより上であるかどうかを決定することによって得られる。フィラミンAおよび少なくとも1種のさらに検出されるバイオマーカーが閾値レベルより上である場合、診断特徴は、生物試料中の前立腺癌を示す。特定の実施形態においては、生物試料がフィラミンAおよび1種以上のさらなるバイオマーカーのレベルに基づいて癌性であるかどうかを予測するアルゴリズムまたはコンピュータプログラムに基づいて、診断特徴を決定することができる。
特定の他の実施形態においては、診断特徴は、(1)生物試料中のフィラミンAのレベルを検出すること、(2)限定されるものではないが、前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1を含んでもよい2種以上のさらなるバイオマーカーのレベルを検出すること、ならびに(3)フィラミンAおよび2種以上のさらなるバイオマーカーのレベルと、対照試料に由来する同じバイオマーカーのレベルとを比較すること、(4)生物試料中で検出されたフィラミンAおよび2種以上のさらなるバイオマーカーが、特定の閾値レベルより上であるかどうかを決定することによって得られる。フィラミンAおよび少なくとも2種のさらに検出されるバイオマーカーが閾値レベルより上である場合、診断特徴は、生物試料中の前立腺癌を示す。特定の実施形態においては、生物試料がフィラミンAおよび2種以上のさらなるバイオマーカーのレベルに基づいて癌性であるかどうかを予測するアルゴリズムまたはコンピュータプログラムに基づいて、診断特徴を決定することができる。他の実施形態においては、診断特徴はまた、患者の年齢も考慮に入れる。
特定の他の実施形態においては、診断特徴は、(1)生物試料中のフィラミンAのレベルを検出すること、(2)限定されるものではないが、前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1を含んでもよい3種以上のさらなるバイオマーカーのレベルを検出すること、ならびに(3)フィラミンAおよび3種以上のさらなるバイオマーカーのレベルと、対照試料に由来する同じバイオマーカーのレベルとを比較すること、(4)生物試料中で検出されたフィラミンAおよび3種以上のさらなるバイオマーカーが、特定の閾値レベルより上であるかどうかを決定することによって得られる。フィラミンAおよび少なくとも3種のさらに検出されるバイオマーカーが閾値レベルより上である場合、診断特徴は、生物試料中の前立腺癌を示す。特定の実施形態においては、生物試料がフィラミンAおよび3種以上のさらなるバイオマーカーのレベルに基づいて癌性であるかどうかを予測するアルゴリズムまたはコンピュータプログラムに基づいて、診断特徴を決定することができる。他の実施形態においては、診断特徴はまた、患者の年齢も考慮に入れる。
他の実施形態においては、診断特徴は、(1)生物試料中のフィラミンAのレベルを検出すること、(2)限定されるものではないが、前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1を含んでもよい4種以上のさらなるバイオマーカーのレベルを検出すること、ならびに(3)フィラミンAおよび4種以上のさらなるバイオマーカーのレベルと、対照試料に由来する同じバイオマーカーのレベルとを比較すること、(4)生物試料中で検出されたフィラミンAおよび4種以上のさらなるバイオマーカーが、特定の閾値レベルより上であるかどうかを決定することによって得られる。フィラミンAおよび少なくとも4種のさらに検出されるバイオマーカーが閾値レベルより上である場合、診断特徴は、生物試料中の前立腺癌を示す。特定の実施形態においては、生物試料がフィラミンAおよび4種以上のさらなるバイオマーカーのレベルに基づいて癌性であるかどうかを予測するアルゴリズムまたはコンピュータプログラムに基づいて、診断特徴を決定することができる。他の実施形態においては、診断特徴はまた、患者の年齢も考慮に入れる。
他の実施形態においては、診断特徴は、(1)生物試料中のフィラミンAのレベルを検出すること、(2)限定されるものではないが、前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1を含んでもよい5種以上のさらなるバイオマーカーのレベルを検出すること、ならびに(3)フィラミンAおよび5種以上のさらなるバイオマーカーのレベルと、対照試料に由来する同じバイオマーカーのレベルとを比較すること、(4)生物試料中で検出されたフィラミンAおよび5種以上のさらなるバイオマーカーが、特定の閾値レベルより上であるかどうかを決定することによって得られる。フィラミンAおよび少なくとも5種のさらに検出されるバイオマーカーが閾値レベルより上である場合、診断特徴は、生物試料中の前立腺癌を示す。特定の実施形態においては、生物試料がフィラミンAおよび5種以上のさらなるバイオマーカーのレベルに基づいて癌性であるかどうかを予測するアルゴリズムまたはコンピュータプログラムに基づいて、診断特徴を決定することができる。他の実施形態においては、診断特徴はまた、患者の年齢も考慮に入れる。
他の実施形態においては、診断特徴は、(1)生物試料中のフィラミンAのレベルを検出すること、(2)限定されるものではないが、前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1を含んでもよい6種以上のさらなるバイオマーカーのレベルを検出すること、ならびに(3)フィラミンAおよび6種以上のさらなるバイオマーカーのレベルと、対照試料に由来する同じバイオマーカーのレベルとを比較すること、(4)生物試料中で検出されたフィラミンAおよび6種以上のさらなるバイオマーカーが、特定の閾値レベルより上であるかどうかを決定することによって得られる。フィラミンAおよび少なくとも6種のさらに検出されるバイオマーカーが閾値レベルより上である場合、診断特徴は、生物試料中の前立腺癌を示す。特定の実施形態においては、生物試料がフィラミンAおよび6種以上のさらなるバイオマーカーのレベルに基づいて癌性であるかどうかを予測するアルゴリズムまたはコンピュータプログラムに基づいて、診断特徴を決定することができる。他の実施形態においては、診断特徴はまた、患者の年齢も考慮に入れる。
他の実施形態においては、診断特徴は、(1)生物試料中のフィラミンAのレベルを検出すること、(2)限定されるものではないが、前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1を含んでもよい7種以上のさらなるバイオマーカーのレベルを検出すること、ならびに(3)フィラミンAおよび7種以上のさらなるバイオマーカーのレベルと、対照試料に由来する同じバイオマーカーのレベルとを比較すること、(4)生物試料中で検出されたフィラミンAおよび7種以上のさらなるバイオマーカーが、特定の閾値レベルより上であるかどうかを決定することによって得られる。フィラミンAおよび少なくとも7種のさらに検出されるバイオマーカーが閾値レベルより上である場合、診断特徴は、生物試料中の前立腺癌を示す。特定の実施形態においては、生物試料がフィラミンAおよび7種以上のさらなるバイオマーカーのレベルに基づいて癌性であるかどうかを予測するアルゴリズムまたはコンピュータプログラムに基づいて、診断特徴を決定することができる。他の実施形態においては、診断特徴はまた、患者の年齢も考慮に入れる。
他の実施形態においては、診断特徴は、(1)生物試料中のフィラミンAのレベルを検出すること、(2)限定されるものではないが、前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1を含んでもよい8種以上のさらなるバイオマーカーのレベルを検出すること、ならびに(3)フィラミンAおよび8種以上のさらなるバイオマーカーのレベルと、対照試料に由来する同じバイオマーカーのレベルとを比較すること、(4)生物試料中で検出されたフィラミンAおよび8種以上のさらなるバイオマーカーが、特定の閾値レベルより上であるかどうかを決定することによって得られる。フィラミンAおよび少なくとも8種のさらに検出されるバイオマーカーが閾値レベルより上である場合、診断特徴は、生物試料中の前立腺癌を示す。特定の実施形態においては、生物試料がフィラミンAおよび8種以上のさらなるバイオマーカーのレベルに基づいて癌性であるかどうかを予測するアルゴリズムまたはコンピュータプログラムに基づいて、診断特徴を決定することができる。他の実施形態においては、診断特徴はまた、患者の年齢も考慮に入れる。
他の実施形態においては、診断特徴は、(1)生物試料中のフィラミンAのレベルを検出すること、(2)限定されるものではないが、前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1を含んでもよい9種以上のさらなるバイオマーカーのレベルを検出すること、ならびに(3)フィラミンAおよび9種以上のさらなるバイオマーカーのレベルと、対照試料に由来する同じバイオマーカーのレベルとを比較すること、(4)生物試料中で検出されたフィラミンAおよび9種以上のさらなるバイオマーカーが、特定の閾値レベルより上であるかどうかを決定することによって得られる。フィラミンAおよび少なくとも9種のさらに検出されるバイオマーカーが閾値レベルより上である場合、診断特徴は、生物試料中の前立腺癌を示す。特定の実施形態においては、生物試料がフィラミンAおよび9種以上のさらなるバイオマーカーのレベルに基づいて癌性であるかどうかを予測するアルゴリズムまたはコンピュータプログラムに基づいて、診断特徴を決定することができる。他の実施形態においては、診断特徴はまた、患者の年齢も考慮に入れる。
様々な実施形態によれば、アルゴリズムを用いて、生物試料が疾患を有する、例えば、前立腺癌を有する可能性があるかどうかを予測することができる。当業者であれば、アルゴリズムが、スコアまたは「出力」、例えば、前立腺癌の診断を最終的にもたらすためのいくつかの明確に定義された連続ステップを介して、入力変数のセット(例えば、いくらかの閾値レベルを超えるレベルで検出されたマーカーの数(n)、またはいくらかの閾値レベルより下のレベルで検出されたマーカーの数(n))をプロセッシングする、任意の計算、式、統計調査、ノモグラフ、参照テーブル、決定ツリー法、またはコンピュータプログラムであってもよいことを理解できる。任意の好適なアルゴリズム(コンピュータに基づくもの、または手動によるもの(例えば、参照テーブル))が、本明細書で企図される。
特定の実施形態においては、生物試料が前立腺癌を有するかどうかを予測するために用いられる本発明のアルゴリズムは、試料中のフィラミンAの検出レベルおよび少なくとも1種、または2種、または3種、または4種、または5種、または6種、または7種、または8種、または9種以上のさらなる前立腺癌マーカー(例えば、前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群より選択される)のレベルに基づくスコアを生成し、スコアが特定の閾値スコアよりも上である場合、生物試料は前立腺癌を有する。特定の実施形態においては、アルゴリズムはまた、連続予測変数として患者の年齢を用いてスコアを生成する。例えば、年齢の増加は、より高い前立腺癌の危険性と関連する。
特定の実施形態においては、生物試料が前立腺癌を有するかどうかを予測するために用いられる本発明のアルゴリズムは、試料中のフィラミンAの検出レベルおよび少なくとも1種、または2種、または3種、または4種、または5種、または6種、または7種、または8種、または9種以上のさらなる前立腺癌マーカー(例えば、前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群より選択される)のレベルに基づくスコアを生成し、スコアが特定の閾値スコアよりも下である場合、生物試料は前立腺癌を有する。特定の実施形態においては、アルゴリズムはまた、連続予測変数として患者の年齢を用いてスコアを生成する。
特定の実施形態においては、生物試料が前立腺癌を有するかどうかを予測するために用いられる本発明のアルゴリズムは、試料中のフィラミンAの検出レベルおよび少なくとも1種、または2種、または3種、または4種、または5種、または6種、または7種、または8種、または9種以上のさらなる前立腺癌マーカー(例えば、前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群より選択される)のレベルに基づくスコアを生成し、スコアが特定の閾値スコアよりも上である場合、生物試料は前立腺癌を有さない。特定の実施形態においては、アルゴリズムはまた、連続予測変数として患者の年齢を用いてスコアを生成する。
特定の実施形態においては、生物試料が前立腺癌を有するかどうかを予測するために用いられる本発明のアルゴリズムは、試料中のフィラミンAの検出レベルおよび少なくとも1種、または2種、または3種、または4種、または5種、または6種、または7種、または8種、または9種以上のさらなる前立腺癌マーカー(例えば、前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群より選択される)のレベルに基づくスコアを生成し、スコアが特定の閾値スコアよりも下である場合、生物試料は前立腺癌を有さない。特定の実施形態においては、アルゴリズムはまた、連続予測変数として患者の年齢を用いてスコアを生成する。
さらに、フィラミンAを、少なくとも1種の他のバイオマーカー、またはより好ましくは、少なくとも2種の他のバイオマーカー、またはさらにより好ましくは、少なくとも3種の他のバイオマーカー、またはさらにより好ましくは、少なくとも4種の他のバイオマーカーと組合わせて検出することにより、前立腺癌の疾患プロファイルまたは特徴を得ることができる。さらに、特定の実施形態においては、フィラミンAを、少なくとも5種の他のマーカー、または少なくとも6種の他のバイオマーカー、または少なくとも7種の他のバイオマーカー、または少なくとも8種の他のバイオマーカー、または少なくとも9種の他のバイオマーカー、または少なくとも10種の他のバイオマーカー、または少なくとも11種の他のバイオマーカー、または少なくとも12種の他のバイオマーカー、または少なくとも13種の他のバイオマーカー、または少なくとも14種の他のバイオマーカー、または少なくとも15種の他のバイオマーカー、または少なくとも16種の他のバイオマーカー、または少なくとも17種の他のバイオマーカー、または少なくとも18種の他のバイオマーカー、または少なくとも19種の他のバイオマーカー、または少なくとも20種の他のバイオマーカーと組合わせて用いることができる。さらに、フィラミンAを、多数の他のバイオマーカー、例えば、約20〜50種の他のバイオマーカー、または50〜100種、または100〜500種、または500〜1000種、または1000〜10,000種以上のバイオマーカーと組合わせて用いることができる。特定の実施形態においては、患者の年齢も連続予測変数として用いられる。例えば、年齢の増加は、前立腺癌診断の危険性の増大と関連する。
特定の実施形態においては、本発明のバイオマーカーは、変異体配列を含んでもよい。より具体的には、本発明のバイオマーカーを検出するために用いられる結合剤/試薬は、本発明のバイオマーカーの変異体に結合する、および/またはこれを同定することができる。本明細書で用いられる用語「変異体」は、1個以上のヌクレオチドまたはアミノ酸残基が欠失、置換、または付加された、特異的に同定された配列とは異なるヌクレオチドまたはアミノ酸配列を包含する。変異体は、天然の対立遺伝子変異体、または非天然の変異体であってもよい。変異体配列(ポリヌクレオチドまたはポリペプチド)は、好ましくは、本明細書に開示される配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を示す。同一性パーセンテージは、以下に記載のように比較しようとする2つの配列を整列させること、整列された部分における同一の残基の数を決定すること、その数を、本発明の(問い合わされる)配列中の残基の総数で除算すること、およびその結果に100を乗算することによって決定される。
配列同一性の記載されたレベルを示すことに加えて、開示されるポリペプチドバイオマーカーの変異体は、好ましくは、それ自身、正常な、健康な個体における発現のレベルよりも高いか、または低いレベルで前立腺癌を有する被験体において発現される。
変異体配列は、一般に、保存的置換、欠失または改変によってのみ、特異的に同定された配列と異なる。本明細書で用いられる場合、「保存的置換」は、あるアミノ酸が、ペプチド化学の当業者が、ポリペプチドの二次構造およびヒドロパシー性(hydropathic nature)が実質的に未変化であると予想できるように、類似する特性を有する別のアミノ酸に置換されたものである。一般に、以下の群のアミノ酸が保存的変化を表す:(1)ala、pro、gly、glu、asp、gln、asn、ser、thr; (2)cys、ser、tyr、thr; (3)val、ile、leu、met、ala、phe; (4)lys、arg、his; および(5)phe、tyr、trp、his。変異体はまた、またはあるいは、ポリペプチドの抗原性特性、二次構造およびヒドロパシー性に対する最小の影響を有するアミノ酸の欠失または付加を含む、他の改変を含有してもよい。例えば、ポリペプチドを、タンパク質の移動を同時翻訳的または翻訳後的に指令するタンパク質のN末端のシグナル(またはリーダー)配列にコンジュゲートさせることができる。また、ポリペプチドを、ポリペプチドの合成、精製もしくは同定を容易にするため、または固相支持体へのポリペプチドの結合を増強するために、リンカーもしくは他の配列(例えば、ポリ-His)にコンジュゲートさせることもできる。例えば、ポリペプチドを、免疫グロブリンFc領域にコンジュゲートさせることができる。
ポリペプチドおよびポリヌクレオチド配列を整列させ、特定の領域中の同一のアミノ酸またはヌクレオチドのパーセンテージを、公共的に利用可能であるコンピュータアルゴリズムを用いて、別のポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列に対して決定することができる。ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の同一性パーセンテージは、デフォルトパラメータに設定された、それぞれ、BLASTNまたはBLASTPなどの適切なアルゴリズムを用いてポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列を整列させること;整列された部分にわたって同一の核酸またはアミノ酸の数を同定すること;同一の核酸またはアミノ酸の数を、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの核酸またはアミノ酸の総数で除算すること;次いで、100を乗算して、同一性パーセンテージを決定することによって決定される。
ポリヌクレオチド配列を整列させ、その同一性を同定するための2つの例示的なアルゴリズムは、BLASTNおよびFASTAアルゴリズムである。ポリペプチド配列のアラインメントおよび同一性を、BLASTPアルゴリズムを用いて検査することができる。BLASTXおよびFASTXアルゴリズムは、ポリペプチド配列に対して全ての読み枠で翻訳されたヌクレオチド問合せ配列を比較するものである。FASTAおよびFASTXアルゴリズムは、PearsonおよびLipman、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444-2448、1988; ならびにPearson、Methods in Enzymol. 183:63-98、1990に記載されている。FASTAソフトウェアパッケージは、University of Virginia, Charlottesville, Va. 22906-9025から入手可能である。文書に記載され、アルゴリズムと共に配布されるデフォルトパラメータに設定されたFASTAアルゴリズムを、ポリヌクレオチド変異体の決定において用いることができる。アルゴリズムと共に配布されるFASTAおよびFASTXバージョン2.0xのためのリードミーファイルは、アルゴリズムの使用を記載し、デフォルトパラメータを記載している。
BLASTNソフトウェアは、NCBI匿名FTPサーバー上で入手可能であり、National Center for Biotechnology Information (NCBI)、National Library of Medicine、Building 38A、Room 8N805、Bethesda、Md. 20894から入手可能である。文書に記載され、アルゴリズムと共に配布されるデフォルトパラメータに設定されたBLASTNアルゴリズムバージョン2.0.6 [Sep. 10, 1998]およびバージョン2.0.11 [Jan. 20, 2000]が、本発明による変異体の決定における使用にとって好ましい。BLASTNなどのBLASTファミリーのアルゴリズムの使用は、NCBIのウェブサイトおよびAltschulら、「Gapped BLAST and PSI-BLAST: a new generation of protein database search programs」、Nucleic Acids Res. 25:3389-3402、1997の刊行物に記載されている。
代替的な実施形態においては、変異体ポリペプチドは、ストリンジェントな条件下で開示されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチド配列によってコードされる。相補性を決定するためのストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、約1M未満、より通常は、約500mM未満、好ましくは、約200mM未満の塩条件を含む。ハイブリダイゼーション温度は、5℃程度に低くてよいが、一般には、約22℃より高く、より好ましくは、約30℃より高く、最も好ましくは、約37℃より高い。特異的ハイブリダイゼーションのためには、DNA断片が長いほど、高いハイブリダイゼーション温度を要し得る。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、プローブの組成、有機溶媒の存在および塩基不一致の程度などの他の因子によって影響され得るため、パラメータの組合せが、いずれか1つだけの絶対尺度よりも重要である。「ストリンジェントな条件」の例は、6XSSC、0.2%SDSの溶液中での予備洗浄、65℃、6XSSC、0.2%SDSで一晩のハイブリダイゼーション;次いで、65℃で1XSSC、0.1%SDS中、それぞれ30分の2回の洗浄および65℃で0.2XSSC、0.1%SDS中、それぞれ30分の2回の洗浄である。
D. 組織試料
本発明を、検出可能な疾患バイオマーカー、例えば、ポリペプチドバイオマーカー、核酸バイオマーカー、mRNAバイオマーカー、マイクロRNAバイオマーカーを潜在的に含有する、発現する、含む任意の好適な生物試料を用いて実行することができる。例えば、全血および血清を含む供給源から、疾患を有する、および/または健康な組織、例えば、前立腺腫瘍の生検まで、生物試料を取得することができる。本発明の方法は、任意の前立腺組織試料、すなわち、前立腺の組織または液体、ならびにそのような組織または液体から単離された細胞(またはその子孫)の試料の試験に特に適用することができる。別の実施形態においては、本発明を、新鮮に単離された、または被験体から収集された後、凍結もしくは保存された任意の好適な前立腺組織試料、または例えば、診断、処置および/または結果の履歴が知られた保管組織試料を用いて実行することができる。前立腺組織を、例えば、微細針吸引および針生検などの任意の非侵襲的な手段により、またはあるいは、例えば、外科生検などの侵襲的な方法により収集することができる。
本発明の方法を、単一細胞レベルで実施することができる(例えば、前立腺組織試料からの癌性細胞の単離および試験)。しかしながら、好ましくは、本発明の方法は、多くの細胞を含む試料を用いて実施され、アッセイは、試料中に存在する細胞および組織の全収集物にわたって発現を「平均化」する。目的の遺伝子のセットの発現レベルを正確かつ容易に決定するのに十分な前立腺組織試料があるのが好ましい。特定の実施形態においては、複数の試料を同じ前立腺組織から採取して、組織の代表的サンプリングを得ることができる。さらに、十分な生物材料を取得して、2回、3回またはさらなる周回の試験を実施することができる。
前立腺組織および/もしくは血液もしくは他の生物産物を単離および/もしくは取得するため、ならびに/または検出反応を行う前に前記材料をプロセッシングするための任意の市販のデバイスまたはシステムが企図される。
特定の実施形態においては、本発明は、バイオマーカー核酸分子(例えば、フィラミンA、抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3をコードするmRNA)の検出に関する。そのような実施形態においては、分析の前に、生物試料、例えば、前立腺組織試料から、RNAを抽出することができる。RNA抽出のための方法は、当業界で周知である(例えば、J. Sambrookら、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」、1989、第2版、Cold Spring Harbour Laboratory Press: New Yorkを参照されたい)。体液または組織からのRNA単離の多くの方法は、RNaseを迅速かつ効率的に不活化するタンパク質変性剤の存在下での組織の破壊に基づく。一般に、RNA単離試薬は、いくつかある成分の中でも、RNase阻害剤として作用することが知られる、グアニジニウムチオシアネートおよび/またはベータ-メルカプトエタノールを含む。次いで、単離された全RNAを、タンパク質夾雑物からさらに精製し、選択的エタノール沈降、フェノール/クロロホルム抽出、次いで、イソプロパノール沈降(例えば、P. ChomczynskiおよびN. Sacchi、Anal. Biochem.、1987、162: 156-159を参照されたい)または塩化セシウム、塩化リチウムもしくはトリフルオロ酢酸セシウム勾配遠心分離によって濃縮する。
いくつかの異なる多用途のキットを用いて、体液または組織(例えば、前立腺組織試料)からRNA(すなわち、全RNAまたはmRNA)を抽出することができ、それらは、例えば、Ambion, Inc.(Austin, Tex.)、Amersham Biosciences (Piscataway, N.J.)、BD Biosciences Clontech (Palo Alto, Calif.)、BioRad Laboratories (Hercules, Calif.)、GIBCO BRL (Gaithersburg, Md.)、およびGiagen, Inc. (Valencia, Calif.)から市販されている。通常、行おうとするプロトコールを非常に詳細に説明するユーザーガイドがこれらのキット全てに含まれる。感度、プロセッシング時間および費用は、キット間で異なっていてもよい。当業者であれば、特定の状況にとって最も適切なキットを容易に選択することができる。
特定の実施形態においては、抽出後、mRNAは増幅され、cDNAに転写された後、適切なRNAポリメラーゼによる複数回の転写のための鋳型として役立ち得る。増幅方法は、当業界で周知である(例えば、A. R. KimmelおよびS. L. Berger、Methods Enzymol. 1987、152: 307-316; J. Sambrookら、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」、1989、2.sup.nd Ed.、Cold Spring Harbour Laboratory Press: New York; 「Short Protocols in Molecular Biology」、F. M. Ausubel (編)、2002、5.sup.th Ed.、John Wiley & Sons; 米国特許第4,683,195号; 第4,683,202号および第4,800,159号を参照されたい)。固定されたオリゴ-dTプライマー、もしくはランダム配列プライマーなどの非特異的プライマーを用いて、またはモニタリングしようとするそれぞれの遺伝子プローブのためのRNAに対して相補的な標的特異的プライマーを用いて、または熱安定性DNAポリメラーゼ(ニワトリ骨髄芽球症ウイルス逆転写酵素もしくはモロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素など)を用いて、逆転写反応を実行することができる。
特定の実施形態においては、前立腺組織試料から単離されたRNA(例えば、cDNAまたはcRNAへの増幅および/または変換の後)を、分析する前に検出剤で標識する。検出剤の役割は、RNAの検出を容易にするか、またはハイブリダイズした核酸断片(例えば、アレイに基づくアッセイにおいて遺伝子プローブにハイブリダイズした核酸断片)の可視化を可能にすることである。好ましくは、検出剤は、それが測定することができるシグナルを生成し、その強度が分析される試料中に存在する標識された核酸の量と関連するように選択される。アレイに基づく分析方法においては、検出剤はまた、好ましくは、それが局在化されたシグナルを生成し、それによって、アレイ上の各スポットからのシグナルの空間的分解を可能にするように選択される。
核酸分子を標識するための方法は、当業界で周知である。標識化プロトコール、標識検出技術および当業界における最近の開発の概説については、例えば、L. J. Kricka、Ann. Clin. Biochem. 2002、39: 114-129; R. P. van Gijlswijkら、Expert Rev. Mol. Diagn. 2001、1: 81-91; およびS. Joosら、J. Biotechnol. 1994、35: 135-153を参照されたい。標準的な核酸標識化方法は、放射活性剤の組込み、蛍光色素(例えば、L. M. Smithら、Nucl. Acids Res. 1985、13: 2399-2412を参照されたい)または酵素(例えば、B. A. ConnolyおよびP. Rider、Nucl. Acids. Res. 1985、13: 4485-4502を参照されたい)の直接的結合; 免疫化学的に、または他の親和性反応により検出可能にする核酸断片の化学的改変(例えば、T. R. Brokerら、Nucl. Acids Res. 1978、5: 363-384; E. A. Bayerら、Methods of Biochem. Analysis、1980、26: 1-45; R. Langerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、1981、78: 6633-6637; R. W. Richardsonら、Nucl. Acids Res. 1983、11: 6167-6184; D. J. Brigatiら、Virol. 1983、126: 32-50; P. Tchenら、Proc. Natl Acad. Sci. USA、1984、81: 3466-3470; J. E. Landegentら、Exp. Cell Res. 1984、15: 61-72; およびA. H. Hopmanら、Exp. Cell Res. 1987、169: 357-368を参照されたい); ならびにランダムプライミング、ニックトランスレーション、PCRおよびターミナルトランスフェラーゼを用いるテーリングなどの酵素媒介性標識化方法(酵素的標識化に関する概説については、例えば、J. TemsamaniおよびS. Agrawal、Mol. Biotechnol. 1996、5: 223-232を参照されたい)を含む。
様々な検出剤のいずれかを、本発明の実行において用いることができる。好適な検出剤としては、限定されるものではないが、様々なリガンド、放射性核種、蛍光色素、化学発光剤、微粒子(例えば、量子ドット、ナノ結晶、リン光体など)、酵素(例えば、ELISAにおいて用いられるもの、すなわち、西洋わさびペルオキシダーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼなど)、比色標識、磁気標識、およびビオチン、ジオキシゲニンもしくは他のハプテンならびに抗血清もしくはモノクローナル抗体が利用できるタンパク質が挙げられる。
しかしながら、いくつかの実施形態においては、発現レベルは、遺伝子産物(例えば、タンパク質)の発現を検出することによって決定され、それにより、前立腺組織試料から遺伝子試料(例えば、RNA)を取得する必要性を排除する。
さらに他の実施形態においては、本発明は、既知の対照試料中での本発明のバイオマーカーの測定に基づいて前立腺癌のためのモデルを調製することによる、前立腺および/または前立腺癌の再発の可能性のための予測モデルを調製することに関する。より具体的には、本発明は、いくつかの実施形態においては、本発明のバイオマーカー、例えば、フィラミンAを、前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせて評価することにより、予測モデルを調製することに関する。
当業者であれば、前立腺細胞または前立腺癌細胞を含有する患者組織試料を、限定されるものではないが、再発確率を予測することを目的とするものなどの、本発明の方法において用いることができることを理解できる。これらの実施形態においては、試料、例えば、患者から得られた糞便および/または血液中の、特徴遺伝子産物、例えば、特徴遺伝子によりコードされるタンパク質およびRNA転写物ならびにタンパク質およびRNA転写物の断片の量、例えば、絶対量または濃度を評価することにより、特徴遺伝子の発現レベルを評価することができる。試料は、勿論、試料中の特徴遺伝子産物の量を評価する前に、様々な周知の収集後調製および保存技術(例えば、固定、保存、凍結、溶解、均一化、DNAまたはRNA抽出、限外濾過、濃縮、蒸発、遠心分離など)にかけてもよい。
本発明はさらに、前立腺癌の既知の試料中の本発明のバイオマーカーを評価することによる、前立腺癌または前立腺癌再発のためのモデルの調製に関する。より具体的には、本発明は、フィラミンAと、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSA、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群より選択される少なくとも1種の他の前立腺癌関連マーカーとを含んでもよい、本発明のバイオマーカーを用いて、前立腺癌または前立腺癌再発を診断および/またはモニタリングおよび/または予後診断するための前立腺癌モデルに関する。
前立腺癌および/または前立腺癌再発予測のためのモデルを調製することを目的とする本発明の方法においては、好ましくは、モデルに寄与するそれぞれの試料と関連する特定の臨床結果を知るべきであることが理解される。結果として、保管された組織試料を用いて、モデルを確立することができる。前立腺癌および/または前立腺癌再発予測のためのモデルを調製することを目的とする本発明の方法においては、目的の供給材料、一般には、ホルマリン固定パラフィン包埋組織などの保管された組織から、一般的には全RNAを抽出した後、精製することができる。ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織などの保管された組織から、強固かつ再現可能な遺伝子発現パターンを取得するための方法は、その全体が参照により本明細書に組込まれる米国特許出願公開第2004/0259105号に教示されている。例えば、ROCHE High Pure RNA Paraffin Kit (Roche) MasterPure(商標) Complete DNA and RNA Purification Kit (EPICENTRE(登録商標)Madison, Wis.); Paraffin Block RNA Isolation Kit (Ambion, Inc.)およびRNeasy(商標)Mini kit (Qiagen, Chatsworth, Calif.)などの、FFPE組織からのRNA抽出のための市販のキットおよびプロトコールが利用可能である。
RT-PCRのためのRNAの供給源としてのFFPE組織の使用は、以前に記載されている(Stantaら、Biotechniques 11:304-308 (1991); Stantaら、Methods Mol. Biol. 86:23-26 (1998); Jacksonら、Lancet 1:1391 (1989); Jacksonら、J. Clin. Pathol. 43:499-504 (1999); Finkeら、Biotechniques 14:448-453 (1993); Goldsworthyら、Mol. Carcinog. 25:86-91 (1999); StantaおよびBonin、Biotechniques 24:271-276 (1998); Godfreyら、J. Mol. Diagnostics 2:84 (2000); Spechtら、J. Mol. Med. 78:B27 (2000); Spechtら、Am. J. Pathol. 158:419-429 (2001))。RNA品質の迅速な分析のために、高度に発現される遺伝子、例えば、アクチン、ユビキチン、gapdhまたは他のよく記載された一般的に用いられるハウスキーピング遺伝子中の短い断片を標的とするプライマー対を用いて、RT-PCRを実施することができる。RNA試料から合成されたcDNAをこのプライマー対を用いて増幅させることができる場合、試料は、好ましい任意の方法、例えば、問合せオリゴヌクレオチドのアニーリングのために短いcDNA断片のみを必要とするDASLアッセイによる、RNA標的配列の定量的測定にとって好適である。
様々な疾患状態、最も顕著には、癌、特に、前立腺癌のあらゆるステージに由来する包括的な試料を含むいくつかの組織バンクおよびコレクションが存在する。これらの試料上で、定性的および定量的分析の両方を含む遺伝子型決定および/または遺伝子発現分析を実施する能力は、本発明の方法へのこの方法論の適用を可能にする。特に、臨床結果が既に公知である組織試料の遺伝子状態を探査することによって、遺伝子発現と、疾患の程度および/または結果の既知の予測因子との相関を確立する能力は、特定の分子特徴と、グリソンスコアなどの既知の予測因子との相関の確立を可能にし、既知の予測因子のみに基づくものよりも高感度の予後診断を可能にするスコアを誘導する。当業者であれば、既知の結果の組織試料から分子特徴のデータベースを構築することにより、多くのそのような相関を確立し、かくして、任意の状態の診断および予後診断の両方を可能にすることができることを理解するだろう。かくして、そのような手法を用いて、本発明のバイオマーカー、例えば、フィラミンAと、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、およびPSAからなる群より選択される少なくとも1種の他の前立腺癌関連マーカーの発現レベルを、前立腺癌の特定のステージと相関させることができる。
前立腺癌予測のためのモデルを調製するのに有用な組織試料としては、例えば、パラフィンおよびポリマー包埋試料、エタノール包埋試料ならびに/またはホルマリンおよびホルムアルデヒド包埋組織が挙げられるが、任意の好適な試料を用いることができる。一般に、保管試料から単離された核酸は、高度に分解されていてもよく、核酸調製物の品質は、試料の保存可能期間、固定技術および単離方法などのいくつかの因子に依存し得る。しかしながら、配列がオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズするのに十分な長さのものである限り、短い、または分解された標的を分析のために用いることができるという大きな利点を有する、米国特許出願公開第2004/0259105号に教示された方法を用いて、新鮮な試料に見出される結果を密接に模倣する高度に再現可能な結果を得ることができる。
本発明の全ての方法に用いることができる保管組織試料は、典型的には、供給源から得られ、保存されたものである。好ましい保存方法としては、当業界で公知であるように、限定されるものではないが、パラフィン包埋、エタノール固定ならびにホルムアルデヒドおよび他の誘導体を含むホルマリンによる固定が挙げられる。組織試料は、一時的に「古い」ものであってもよく、例えば、数カ月もしくは数年古いもの、または最近固定されたものであってもよい。例えば、術後手順は一般に、組織学的分析のための切り出された組織に対する固定ステップを含む。好ましい実施形態においては、組織試料は、疾患を有する組織試料、特に、一次および二次腫瘍組織ならびにリンパ節組織および転移組織を含む、前立腺癌組織である。
かくして、保管試料は異種性であってもよく、1種を超える細胞型または組織型、例えば、腫瘍および非腫瘍組織を包含する。好ましい組織試料は、限定されるものではないが、前立腺の腫瘍などの固形腫瘍試料を含む。前立腺癌以外の状態への本発明の適用において、腫瘍供給源は、脳、骨、心臓、乳房、卵巣、前立腺、子宮、脾臓、膵臓、肝臓、腎臓、膀胱、胃および筋肉であってもよいことが理解される。同様に、状態に応じて、好適な組織試料は、限定されるものではないが、体液(限定されるものではないが、実質的に任意の生物の、血液、尿、血清、リンパ、唾液、肛門および膣分泌物、汗および精液を含み、哺乳動物試料が好ましく、ヒト試料が特に好ましい)を含む。前立腺癌再発予測のためのモデルを確立する方法に関する実施形態においては、組織試料は、患者の病歴および結果が既知であるものである。一般に、本発明の方法を、保管試料中に含有される特徴遺伝子配列を用いて実行するか、または本発明の方法を実施する前に試料から物理的に分離された特徴遺伝子配列を用いて実行することができる。
E. バイオマーカーの検出および/または測定
本発明は、本発明のバイオマーカーを検出および/または測定するための任意の好適な手段、技術、および/または手順を企図する。当業者であれば、本発明のバイオマーカーを測定するために用いられる方法は、検出または測定されるバイオマーカーの型(例えば、mRNAバイオマーカーまたはポリペプチドバイオマーカー)および生物試料の供給源(例えば、全血対前立腺生検組織)に少なくとも依存することを理解できる。特定の生物試料はまた、本発明のバイオマーカーを測定する前に、特定の特殊な処理、例えば、mRNAバイオマーカーが測定される場合、生検組織からのmRNAの調製も必要とし得る。
1. 核酸バイオマーカーの検出
特定の実施形態においては、本発明は、核酸バイオマーカー、例えば、フィラミンAのみ、またはフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSA、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群より選択される少なくとも1種の他の前立腺癌関連マーカーと組合わせたフィラミンAのmRNAバイオマーカーの検出を含む。
様々な実施形態においては、本発明の診断/予後診断方法は、一般に、前立腺組織試料中の遺伝子セットの発現レベルの決定を含む。本発明の方法の実行における遺伝子発現レベルの決定を、任意の好適な方法によって実施することができる。例えば、遺伝子発現レベルの決定を、目的の遺伝子から発現されるmRNAの発現を検出することによって、および/または遺伝子によりコードされるポリペプチドの発現を検出することによって実施することができる。
本発明のバイオマーカーをコードする核酸を検出するために、限定されるものではないが、サザンブロット分析、ノーザンブロット分析、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば、米国特許第4,683,195号; 第4,683,202号、および第6,040,166号; 「PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications」、Innisら(編)、1990、Academic Press: New Yorkを参照されたい)、逆転写酵素PCR (RT-PCR)、アンカーPCR、競合的PCR (例えば、米国特許第5,747,251号を参照されたい)、cDNA末端の迅速増幅(RACE) (例えば、「Gene Cloning and Analysis: Current Innovations」、1997、pp. 99-115を参照されたい); リガーゼ連鎖反応(LCR) (例えば、EP 01 320 308を参照されたい)、片側PCR (Oharaら、Proc. Natl. Acad. Sci.、1989、86: 5673-5677)、in situハイブリダイゼーション、Taqmanに基づくアッセイ(Hollandら、Proc. Natl. Acad. Sci.、1991、88: 7276-7280)、示差ディスプレイ(例えば、Liangら、Nucl. Acid. Res.、1993、21: 3269-3275を参照されたい)および他のRNAフィンガープリンティング技術、核酸配列に基づく増幅(NASBA)および他の転写に基づく増幅系(例えば、米国特許第5,409,818号および第5,554,527号を参照されたい)、Qベータレプリカーゼ、鎖置換増幅(SDA)、修復鎖反応(RCR)、ヌクレアーゼ保護アッセイ、差分法、Rapid-Scan(登録商標)などの、任意の好適な方法を用いることができる。
他の実施形態においては、目的のバイオマーカーの遺伝子発現レベルを、mRNAから産生された相補的DNA(cDNA)または相補的RNA(cRNA)を増幅させること、およびマイクロアレイを用いてそれを分析することによって決定することができる。いくつかの異なるアレイ構成およびその製造方法が、当業者には公知である(例えば、米国特許第5,445,934号;第5,532,128号;第5,556,752号;第5,242,974号;第5,384,261号;第5,405,783号;第5,412,087号;第5,424,186号;第5,429,807号;第5,436,327号;第5,472,672号;第5,527,681号;第5,529,756号;第5,545,531号;第5,554,501号;第5,561,071号;第5,571,639号;第5,593,839号;第5,599,695号;第5,624,711号;第5,658,734号;および第5,700,637号を参照されたい)。マイクロアレイ技術は、多数の遺伝子の定常状態mRNAレベルを同時に測定することができる。現在広く用いられているマイクロアレイは、cDNAアレイおよびオリゴヌクレオチドアレイを含む。マイクロアレイを用いる分析は、一般的には、マイクロアレイ上の既知の位置に固定された核酸プローブにハイブリダイズする試料に由来するcDNA配列を検出するために用いられる標識されたプローブから受け取ったシグナルの強度の測定に基づく(例えば、米国特許第6,004,755号;第6,218,114号;第6,218,122号; および第6,271,002号を参照されたい)。アレイに基づく遺伝子発現法は、当業界で公知であり、いくつかの科学刊行物ならびに特許に記載されている(例えば、M. Schenaら、Science、1995、270: 467-470; M. Schenaら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1996、93: 10614-10619; J. J. Chenら、Genomics、1998、51: 313-324; 米国特許第5,143,854号;第5,445,934号;第5,807,522号;第5,837,832号;第6,040,138号;第6,045,996号;第6,284,460号;および第6,607,885号を参照されたい)。
1つの特定の実施形態においては、本発明は、フィラミンAのみ、またはフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSA、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群より選択される1種以上のマーカーと組合わせたフィラミンAを含む、新規前立腺癌バイオマーカー、および/またはバイオマーカーのパネルに対応する核酸を増幅および検出することによる、生物試料中の前立腺癌細胞の同定のための方法を含む。生物試料は、前立腺癌細胞が存在し得る任意の組織または液体であってもよい。様々な実施形態は、前立腺全摘出術標本、病理標本、骨髄吸引、骨髄生検、リンパ節吸引、リンパ節生検、脾臓組織、微細針吸引、皮膚生検または臓器組織生検を含む。他の実施形態は、体液が末梢血、血清、血漿、リンパ液、腹水、漿液、胸水、痰、脳脊髄液、涙液、糞便、前立腺液または尿である試料を含む。
増幅のための鋳型として用いられる核酸を、標準的な方法に従って、生物試料中に含有される細胞から単離することができる(Sambrookら、1989)。核酸は、ゲノムDNAまたは分画された、もしくは全細胞RNAであってもよい。RNAを用いる場合、RNAを相補的cDNAに変換することが望ましい場合がある。一実施形態においては、RNAは、全細胞RNAであり、増幅のための鋳型として直接的に用いられる。
本明細書で同定される前立腺癌バイオマーカーヌクレオチド配列のいずれかに対応する核酸に選択的にハイブリダイズするプライマー対を、選択的ハイブリダイゼーションを許容する条件下で単離された核酸と接触させる。一度ハイブリダイズしたら、核酸:プライマー複合体を、鋳型依存的核酸合成を容易にする1種以上の酵素と接触させる。「サイクル」とも呼ばれる、複数回の増幅を、十分な量の増幅産物が産生されるまで行う。次に、増幅産物を検出する。特定の適用においては、検出は、視覚的手段によって実施してもよい。あるいは、検出は、化学発光、取り込まれた放射標識もしくは蛍光標識の放射性シンチグラフィーまたはさらには、電気もしくは熱インパルスシグナルを用いるシステム(Affymax技術;Bellus、1994)による、産物の間接的同定を含んでもよい。検出後、所与の患者において見られた結果と、正常な患者および前立腺癌患者の統計的に有意な参照群とを比較することができる。このように、検出された核酸の量と、様々な臨床状態とを相関させることが可能である。
本明細書で定義される用語「プライマー」は、鋳型依存的プロセスにおける新生核酸の合成をプライミングすることができる任意の核酸を包含することを意味する。典型的には、プライマーは、10〜20塩基対長のオリゴヌクレオチドであるが、より長い配列を用いてもよい。プライマーを、二本鎖または一本鎖の形態で提供することができるが、一本鎖形態が好ましい。
いくつかの鋳型依存的プロセスが、所与の鋳型試料中に存在する核酸配列を増幅するために利用可能である。最もよく知られた増幅方法の1つは、それぞれ全体が参照により本明細書に組込まれる、米国特許第4,683,195号、第4,683,202号および第4,800,159号、ならびにInnisら、1990に詳細に記載されているポリメラーゼ連鎖反応(PCRと呼ばれる)である。
PCRにおいては、標的核酸配列の反対の相補鎖上の領域と相補的である2つのプライマー配列を調製する。過剰のデオキシヌクレオシド三リン酸を、DNAポリメラーゼ、例えば、Taqポリメラーゼと共に反応混合物に添加する。標的核酸配列が試料中に存在する場合、プライマーは標的核酸に結合し、ポリメラーゼは、ヌクレオチド上に付加することにより標的核酸配列に沿ってプライマーの伸長を引き起こすであろう。反応混合物の温度を上昇および低下させることにより、伸長されたプライマーは標的核酸から解離して、反応産物を形成し、過剰のプライマーは標的核酸および反応産物に結合し、プロセスが繰り返される。
逆転写酵素PCR増幅手順を実施して、増幅されたmRNAの量を定量することができる。RNAをcDNAに逆転写する方法は、周知であり、Sambrookら、1989に記載されている。逆転写のための代替的な方法は、熱安定性DNAポリメラーゼを用いるものである。これらの方法は、1990年12月21日に出願されたWO90/07641に記載されている。ポリメラーゼ連鎖反応法は、当業界で周知である。
増幅のための別の方法は、全体が参照により本明細書に組込まれる欧州特許出願第320 308号に開示されたリガーゼ連鎖反応(「LCR」)である。LCRにおいては、2つの相補的プローブ対を調製し、標的配列の存在下で、各対は、それらが隣接するように標的の反対の相補鎖に結合する。リガーゼの存在下で、2つのプローブ対は連結して、単一のユニットを形成する。PCRにおけるような、温度サイクリングにより、結合しライゲートされたユニットは標的から解離し、次いで、過剰のプローブ対のライゲーションのための「標的配列」として働く。米国特許第4,883,750号は、プローブ対を標的配列に結合させるためのLCRと類似する方法を記載する。
PCT出願PCT/US87/00880に記載されたQベータレプリカーゼを、本発明におけるさらに別の増幅方法として用いることもできる。この方法においては、標的のものと相補的な領域を有するRNAの複製配列を、RNAポリメラーゼの存在下で試料に添加する。ポリメラーゼは、複製配列をコピーした後、これを検出することができる。
制限エンドヌクレアーゼおよびリガーゼを用いて、制限部位の一方の鎖中にヌクレオチド5'-[α-チオ]-三リン酸を含有する標的分子の増幅を達成する、等温増幅法も、本発明における核酸の増幅において有用であり得る。全体が参照により本明細書に組込まれるWalkerら(1992)。
鎖置換増幅(SDA)は、複数回の鎖置換および合成を含む核酸の等温増幅、すなわち、ニックトランスレーションを実行する別の方法である。修復鎖反応(RCR)と呼ばれる、類似の方法は、増幅のために標的化される領域を介するいくつかのプローブのアニーリング、次いで、4つの塩基のうちの2つのみが存在する修復反応を含む。他の2つの塩基は、容易な検出のためにビオチン化誘導体として添加することができる。同様の手法がSDAにおいて用いられる。標的特異的配列を、サイクルプローブ反応(CPR)を用いて検出することもできる。CPRにおいては、非特異的DNAの3'および5'配列ならびに特異的RNAの中央配列を有するプローブを、試料中に存在するDNAにハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーションの際に、反応物をRNase Hで処理し、プローブの産物を、消化後に遊離される異なる産物として同定する。元の鋳型を別のサイクリングプローブにアニーリングさせ、反応を繰り返す。
それぞれ、その全体が参照により本明細書に組込まれるGB出願第2 202 328号、およびPCT出願第PCT/US89/01025号に記載されたさらに他の増幅方法を、本発明に従って用いることができる。前者の出願においては、「改変」プライマーが、PCRのような、鋳型および酵素依存的合成において用いられる。プライマーを、捕捉部分(例えば、ビオチン)および/または検出部分(例えば、酵素)で標識することによって改変することができる。後者の出願においては、過剰の標識されたプローブを試料に添加する。標的配列の存在下で、プローブが結合し、触媒的に切断される。切断後、標的配列は、過剰のプローブによって結合されて無傷のまま遊離する。標識されたプローブの切断は、標的配列の存在についてシグナルを発する。
他の企図される核酸増幅手順は、転写に基づく増幅系(TAS)、例えば、核酸配列に基づく増幅(NASBA)および3SRを含む。その全体が参照により本明細書に組込まれるKwohら(1989); Gingerasら、PCT出願WO 88/10315。NASBAにおいては、標準的なフェノール/クロロホルム抽出、臨床試料の熱変性、溶解バッファーによる処理ならびにDNAおよびRNAの単離のためのミニスピンカラムまたはRNAの塩化グアニジニウム抽出による増幅のために核酸を調製することができる。これらの増幅技術は、標的特異的配列を有するプライマーをアニーリングさせることを含む。重合後、DNA/RNAハイブリッドをRNase Hで消化するが、二本鎖DNA分子は再度熱変性させる。いずれの場合も、第2の標的特異的プライマーを添加した後、重合させることにより、一本鎖DNAを完全に二本鎖にする。次いで、二本鎖DNA分子を、T7またはSP6などのポリメラーゼにより増幅させる。等温サイクリック反応においては、RNAを二本鎖DNAに逆転写し、T7またはSP6などのポリメラーゼを用いてもう1回転写する。トランケートされたものでも完全なものでも、得られる産物は標的特異的配列を示す。
Daveyら、欧州特許出願第329 822号(その全体が参照により本明細書に組込まれる)は、一本鎖RNA(「ssRNA」)、ssDNA、および二本鎖DNA(dsDNA)を周期的に合成することを含む核酸増幅プロセスを開示し、本発明に従って用いることができる。ssRNAは、第1のプライマーオリゴヌクレオチドのための第1の鋳型であり、逆転写酵素(RNA依存的DNAポリメラーゼ)によって伸長する。次いで、リボヌクレアーゼH(RNase H、DNAまたはRNAのいずれかとの二本鎖中のRNAに特異的なRNase)の作用により、得られるDNA:RNA二本鎖からRNAを除去する。得られるssDNAは、第2のプライマーのための第2の鋳型であり、鋳型とのその相同性に対して5'側にRNAポリメラーゼプロモーター(例えば、T7 RNAポリメラーゼ)の配列も含む。このプライマーを、DNAポリメラーゼ(例えば、大腸菌DNAポリメラーゼ1の大きい「Klenow」断片)により伸長させ、プライマー間に元のRNAのものと同一の配列を有し、さらに、一方の末端に、プロモーター配列を有する、二本鎖DNA(「dsDNA」)分子をもたらす。このプロモーター配列を、適切なRNAポリメラーゼによって用いて、DNAの多くのRNAコピーを作ることができる。次いで、これらのコピーは、非常に敏速な増幅をもたらすサイクルに再進入することができる。酵素を適切に選択すれば、各サイクルで酵素を添加することなく、等温的にこの増幅を行うことができる。このプロセスの循環的性質のため、DNAまたはRNAのいずれかの形態であるように出発配列を選択することができる。
Millerら、PCT出願WO 89/06700(その全体が参照により本明細書に組込まれる)は、プロモーター/プライマー配列の標的一本鎖DNA(「ssDNA」)へのハイブリダイゼーション、次いで、配列の多くのRNAコピーの転写に基づく核酸配列増幅スキームを開示する。このスキームは循環的ではない、すなわち、新しい鋳型は得られるRNA転写物から産生されない。他の増幅方法は、「race」および「片側PCR.TM」を含む。それぞれその全体が参照により本明細書に組込まれる、Frohman(1990)およびOharaら(1989)。
得られる「ジ-オリゴヌクレオチド」の配列を有する核酸の存在下での2個(以上)のオリゴヌクレオチドのライゲーションによるジ-オリゴヌクレオチドの増幅に基づく方法を、本発明の増幅ステップにおいて用いることもできる。その全体が参照により本明細書に組込まれる、Wuら(1989)。
本発明のオリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーは、特定のアッセイ形式および特定の必要性および用いられる標的配列に応じて、任意の好適な長さのものであってもよい。好ましい実施形態においては、オリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーは、少なくとも10ヌクレオチド長(好ましくは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32...)であり、それらを、選択される核酸増幅系および/または用いられるハイブリダイゼーション系に特に適するように適合させることができる。当業界で周知の通り、より長いプローブおよびプライマーも、本発明の範囲内にある。30を超える、40を超える、50を超えるヌクレオチドを有するプライマーおよび100を超える、200を超える、300を超える、500を超える、800を超える、1000を超えるヌクレオチド長を有するプローブも、本発明によって包含される。勿論、より長いプライマーは、より高価であるという欠点を有し、かくして、当業界では12〜30ヌクレオチド長を有するプライマーが通常設計され、用いられる。当業界では周知の通り、10〜2000を超えるヌクレオチド長のプローブを、本発明の方法において用いることができる。上記の同一性の%に関して、プローブおよびプライマーの非特異的に記載されるサイズ(例えば、16、17、31、24、39、350、450、550、900、1240ヌクレオチド...)も、本発明の範囲内にある。一実施形態においては、本発明のオリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーは、フィラミンA RNA(もしくはその相補配列)またはフィラミンA mRNAと特異的にハイブリダイズする。より好ましくは、フィラミンAプライマーおよびプローブは、前立腺癌と関連するフィラミンA RNAを検出するために選択されるであろう。
他の実施形態においては、検出手段は、例えば、特異的プライマーまたはプローブを選択して、目的の標的バイオマーカー、例えば、フィラミンAにアニーリングさせた後、選択的ハイブリダイゼーションの検出を行うハイブリダイゼーション技術を用いることができる。当業界で一般に公知であるように、オリゴヌクレオチドプローブおよびプライマーを、その標的配列とのハイブリダイゼーションの融点を考慮に入れることによって設計することができる(以下およびSambrookら、1989、Molecular Cloning--A Laboratory Manual、第2版、CSH Laboratories; Ausubelら、1994、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons Inc., N.Y.を参照されたい)。
本発明のアッセイ条件下でハイブリダイゼーションを起こさせるために、オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブは、フィラミンAまたは本発明の別のバイオマーカーのポリヌクレオチドの一部に対して少なくとも70%(少なくとも71%、72%、73%、74%)、好ましくは、少なくとも75%(75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%)、より好ましくは、少なくとも90%(90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%)の同一性を有するオリゴヌクレオチド配列を含むべきである。本発明のプローブおよびプライマーは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするもの、および少なくとも中程度にストリンジェントな条件下で本発明のバイオマーカー相同体にハイブリダイズするものである。特定の実施形態においては、本発明のプローブおよびプライマーは、本発明のバイオマーカー(フィラミンA、遺伝子配列(例えば、cDNAまたはmRNA)に対する完全な配列同一性を有する。当業界で公知のコンピュータアラインメントおよび配列分析の方法を用いることにより、本明細書に開示される本発明のバイオマーカーに基づいて本発明において他のプローブおよびプライマーを容易に設計および使用することができることが理解されるべきである(Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory(編)、2000を参照されたい)。
2. ポリペプチドバイオマーカーの検出
本発明は、本発明のポリペプチドバイオマーカーを検出するための任意の好適な方法を企図する。特定の実施形態においては、検出方法は、本発明の1種以上のバイオマーカー、例えば、フィラミンAのみ、またはフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSA、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群より選択される少なくとも1種の他の前立腺癌関連マーカーと組合わせたフィラミンAに特異的に結合する抗体を含む免疫検出方法である。様々な有用な免疫検出方法のステップが、例えば、参照により本明細書に組込まれるNakamuraら(1987)などの科学文献に記載されている。
一般に、免疫結合方法は、バイオマーカータンパク質、ペプチドまたは抗体を含有すると疑われる試料を取得すること、および場合により、免疫複合体の形成を可能にするのに有効な条件下で、該試料を、本発明による抗体またはタンパク質またはペプチドと接触させることを含む。
免疫結合方法は、試料中の反応成分の量を検出または定量するための方法であって、結合プロセス中に形成される任意の免疫複合体の検出または定量を必要とする、前記方法を含む。ここで、前立腺特異的なタンパク質、ペプチドまたは対応する抗体を含有すると疑われる試料を取得し、場合により、該試料を抗体またはコードされるタンパク質もしくはペプチドと接触させた後、特定の条件下で形成される免疫複合体の量を検出または定量することができる。
バイオマーカー検出に関して、分析される生物試料は、フィラミンAならびにフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3およびPSAからなる群より選択される少なくとも1種の他の前立腺癌関連マーカーなどの、前立腺癌特異的バイオマーカーを含有すると疑われる任意の試料であってもよい。生物試料は、例えば、前立腺もしくはリンパ節組織切片もしくは標本、ホモジェナイズされた組織抽出物、単離された細胞、細胞膜調製物、分離もしくは精製された形態の任意の上記タンパク質含有組成物、またはさらには、血液もしくはリンパ液などの、前立腺組織と接触する任意の生物学的液体であってもよい。
免疫複合体(一次免疫複合体)の形成を可能にするのに有効な条件下での、十分な時間にわたる、選択された生物試料と、タンパク質(例えば、フィラミンAまたは血液中の抗フィラミンA抗体と結合するその抗原)、ペプチド(例えば、血液中の抗フィラミンA抗体と結合するフィラミンA断片)、または抗体(例えば、生物試料中のフィラミンAに結合する検出試薬として)との接触。一般に、複合体形成は、単に生物試料に組成物を添加し、抗体が存在する任意の抗原と免疫複合体を形成する、すなわち、それに結合するのに十分な時間にわたって混合物をインキュベートすることである。この時間の後、一般には、組織切片、ELISAプレート、ドットブロットまたはウェスタンブロットなどの試料-抗体組成物を洗浄して、任意の非特異的に結合した抗体種を除去し、検出しようとする一次免疫複合体内にこれらの抗体のみを特異的に結合させることができる。
一般に、免疫複合体形成の検出は、当業界で周知であり、いくつかの手法の適用によって達成することができる。これらの方法は、一般に、当業界で標準的に使用される放射性、蛍光、生物学的もしくは酵素的タグまたは標識などの、標識またはマーカーの検出に基づく。そのような標識の使用に関する米国特許としては、参照により本明細書に組込まれる米国特許第3,817,837号; 第3,850,752号; 第3,939,350号; 第3,996,345号; 第4,277,437号; 第4,275,149号および第4,366,241号が挙げられる。勿論、当業界で公知のように、第2の抗体またはビオチン/アビジンリガンド結合配置などの第2の結合リガンドの使用によってさらなる利点を見出すことができる。
検出において用いられる、コードされたタンパク質(例えば、フィラミンA)、ペプチド(例えば、フィラミンAペプチド)または対応する抗体(検出試薬としての抗フィラミンA抗体)を、それ自身、検出可能な標識に連結してもよく、その後、この標識を単に検出し、それによって、組成物中の一次免疫複合体の量を決定することができる。
あるいは、一次免疫複合体内に結合するようになる第1の添加された成分を、コードされたタンパク質、ペプチドまたは対応する抗体に対する結合親和性を有する第2の結合リガンドによって検出することができる。これらの場合、第2の結合リガンドを、検出可能な標識に連結することができる。第2の結合リガンドはそれ自身、抗体であることが多く、かくして、「第2」の抗体と呼ぶことができる。二次免疫複合体の形成を可能にするのに有効な条件下、および十分な時間にわたって、一次免疫複合体を、標識された、二次結合リガンド、または抗体と接触させる。次いで、一般的には、二次免疫複合体を洗浄して、非特異的に結合した標識された第2の抗体またはリガンドを除去した後、二次免疫複合体中の残存する標識を検出する。
さらなる方法は、2ステップの手法による一次免疫複合体の検出を含む。コードされたタンパク質、ペプチドまたは対応する抗体に対する結合親和性を有する、抗体などの第2の結合リガンドを用いて、上記のような二次免疫複合体を形成する。洗浄後、二次免疫複合体を、再度、免疫複合体(三次免疫複合体)の形成を可能にするのに有効な条件下、および十分な時間にわたって、第2の抗体に対する結合親和性を有する第3の結合リガンドまたは抗体と接触させる。第3のリガンドまたは抗体を検出可能な標識に連結し、かくして形成された三次免疫複合体の検出を可能にする。この系は、これが望ましい場合、シグナル増幅を提供することができる。
本発明の免疫検出方法は、前立腺癌などの状態の診断における明らかな有用性を有する。ここで、コードされたタンパク質またはペプチドまたは対応する抗体のいずれかを含有すると疑われる生物試料または臨床試料を用いる。しかしながら、これらの実施形態はまた、抗原または抗体試料の滴定、ハイブリドーマの選択などにおける、非臨床試料への適用も有する。
本発明は、特に、免疫検出アッセイの型としてのELISAの使用を企図する。本発明のバイオマーカータンパク質またはペプチドは、前立腺癌の診断および予後モニタリングにおけるELISAアッセイにおける免疫原として有用であることが企図される。イムノアッセイは、その最も単純かつ直接的な意味において、結合アッセイである。特定の好ましいイムノアッセイは、当業界で公知の様々な型の酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)およびラジオイムノアッセイ(RIA)である。組織切片を用いる免疫組織化学的検出も特に有用である。しかしながら、検出はそのような技術に限定されず、ウェスタンブロッティング、ドットブロッティング、FACS分析なども用いることができることが容易に理解されるであろう。
1つの例示的なELISAにおいては、本発明のバイオマーカーに結合する抗体を、ポリスチレンマイクロタイタープレート中のウェルなどの、タンパク質親和性を示す選択された表面上に固定する。次いで、臨床試料などの、前立腺癌マーカー抗原を含有すると疑われる試験組成物を、ウェルに添加する。結合させ、洗浄して非特異的に結合した免疫複合体を除去した後、結合した抗原を検出することができる。検出は、一般に、検出可能な標識に連結された標的タンパク質に特異的な第2の抗体の添加によって達成される。この型のELISAは、単純な「サンドイッチELISA」である。検出はまた、第2の抗体の添加、次いで、第2の抗体に対する結合親和性を有する、検出可能な標識に連結された第3の抗体の添加により達成することもできる。
別の例示的なELISAにおいては、前立腺癌マーカー抗原を含有すると疑われる試料を、ウェル表面上に固定した後、本発明の抗バイオマーカー抗体と接触させる。結合させ、洗浄して、非特異的に結合した免疫複合体を除去した後、結合した抗原を検出する。初期の抗体を検出可能な標識に連結する場合、免疫複合体を直接的に検出することができる。再度、免疫複合体を、第1の抗体に対する結合親和性を有する、検出可能な標識に連結された第2の抗体を用いて検出することができる。
用いられる形式とは関係なく、ELISAは一般に、コーティング、インキュベートまたは結合、非特異的に結合した種を除去するための洗浄、および結合した免疫複合体の検出などの特定の特徴を有する。これらのものは、以下のように記載される。
プレートを抗原または抗体でコーティングする際に、一般に、プレートのウェルを、抗原または抗体の溶液と共に、一晩または特定の時間にわたってインキュベートする。次いで、プレートのウェルを洗浄して、不完全に吸着した材料を除去する。次いで、ウェルの残りの利用可能な表面を、試験抗血清に関して抗原的に中性である非特異的タンパク質で「コーティング」する。これらのものとしては、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼインおよびミルク粉末の溶液が挙げられる。コーティングは、固定化表面上の非特異的吸着部位のブロッキングを可能にし、かくして、表面上への抗血清の非特異的結合を原因とするバックグラウンドを軽減することができる。
ELISAにおいては、直接的手順よりもむしろ、二次または三次検出手段を使用することがおそらくより慣用的である。かくして、タンパク質または抗体のウェルへの結合、バックグラウンドを軽減するための非反応性材料によるコーティング、未結合の材料を除去するための洗浄の後、固定化表面を、試験しようとする対照ヒト前立腺、癌および/または臨床試料もしくは生物試料と、免疫複合体(抗原/抗体)形成を可能にするのに有効な条件下で接触させる。次いで、免疫複合体の検出には、標識された二次結合リガンドもしくは抗体、または二次結合リガンドもしくは抗体と共に、標識された三次抗体もしくは第3の結合リガンドが必要である。
語句「免疫複合体(抗原/抗体)形成を可能にするのに有効な条件下」とは、その条件が、好ましくは、抗原および抗体を、BSA、ウシガンマグロブリン(BGG)およびリン酸緩衝生理食塩水(PBS)/Tweenなどの溶液で希釈することを含むことを意味する。これらの添加される薬剤もまた、非特異的バックグラウンドの軽減を援助する傾向がある。
「好適な」条件はまた、インキュベーションが有効な結合を可能にするのに十分な温度で、および時間にわたって行われることを意味する。インキュベーションステップは、好ましくは、25〜27℃の温度で、典型的には、約1〜2〜4hであるか、または約4℃で一晩などであってもよい。
ELISAにおける全てのインキュベーションステップの後、接触した表面を洗浄して、複合体化されていない材料を除去する。好ましい洗浄手順は、PBS/Tween、またはホウ酸バッファーなどの溶液を用いる洗浄を含む。試験試料と元々結合した材料との特異的な免疫複合体の形成、およびその後の洗浄の後、さらに微量の免疫複合体の出現を決定することができる。
検出手段を提供するために、第2または第3の抗体は、検出を可能にする関連する標識を有する。好ましくは、これは、適切な発色基質とのインキュベーションの際に発色現像を生成する酵素である。かくして、例えば、さらなる免疫複合体形成の発達に都合が良い時間および条件下で、第1または第2の免疫複合体を、ウレアーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリホスファターゼまたは水素ペルオキシダーゼ結合抗体と接触させ、インキュベートすることを望むであろう(例えば、PBS-TweenなどのPBS含有溶液中、室温で2hのインキュベーション)。
標識された抗体とのインキュベーション、未結合の材料を除去するためのその後の洗浄の後、例えば、尿素およびブロモクレゾールパープルなどの発色基質とのインキュベーションにより、標識の量を定量する。次いで、例えば、可視スペクトル分光光度計を用いて、色の生成の程度を測定することにより、定量を達成する。
本発明のタンパク質バイオマーカー(例えば、フィラミンAのみ、またはフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSA、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちのいずれか1種以上と組合わせたフィラミンA)を、タンパク質質量分析法および機器を用いて測定、定量、検出、およびさもなければ分析することもできる。タンパク質質量分析とは、タンパク質の試験への質量分析の適用を指す。限定を意図するものではないが、質量分析を用いてタンパク質を特徴付けるために、典型的には2つの手法が用いられる。第1には、無傷のタンパク質をイオン化した後、質量分析器に導入する。この手法は、タンパク質分析の「トップダウン」戦略と呼ばれる。全タンパク質のイオン化のための2つの主要な方法は、電子スプレーイオン化(ESI)およびマトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)である。第2の手法においては、タンパク質を、トリプシンなどのプロテアーゼを用いてより小さいペプチドに酵素的に消化する。続いて、これらのペプチドを、質量分析計に導入し、ペプチド質量フィンガープリンティングまたはタンデム質量分析により同定する。従って、この後者の手法(「ボトムアップ」プロテオミクスとも呼ばれる)は、ペプチドレベルでの同定を使用し、タンパク質の存在を推察するものである。
本発明のバイオマーカーの全タンパク質質量分析を、飛行時間(TOF)MS、またはフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FT-ICR)を用いて行うことができる。これらの2つの型の機器は、その広い質量範囲のため、FT-ICRの場合、その高い質量精度のため有用である。ペプチド質量分析のために最も広く用いられる機器は、それらが高いペースでペプチド質量フィンガープリント(PMF)の獲得を可能にするため(1PMFを約10secで分析することができる)、MALDI飛行時間機器である。多段階四重極飛行時間および四重極イオントラップも本出願において有用である。
本発明のバイオマーカーを、タンパク質と生物媒体または試料中に同時に存在する分子との複雑な混合物中で測定することもできるが、試料の分画化が必要であることもあり、本明細書で企図される。タンパク質の複雑な混合物のイオン化は、多い方のタンパク質が同じ試料中の少ない方のタンパク質からシグナルを「かき消す」または抑制する傾向を有する状況をもたらし得ることが理解されるであろう。さらに、複雑な混合物に由来する質量スペクトルは、圧倒的な数の混合物成分のため、解釈するのが難しいことがある。分画化を用いて、最初にタンパク質の複雑な混合物を分離した後、質量分析を行うことができる。酵素消化物からタンパク質、またはそのペプチド産物を分画するために2つの方法が広く用いられている。第1の方法は、全タンパク質を分画し、二次元ゲル電気泳動と呼ばれる。第2の方法である高速液体クロマトグラフィー(LCまたはHPLC)は、酵素的消化の後にペプチドを分画するために用いられる。いくつかの状況においては、これらの技術の両方を組合わせることが望ましい場合がある。タンパク質混合物を分画するための当業界で公知の任意の他の好適な方法も、本明細書で企図される。
2Dゲル上で同定されるゲルスポットは通常、1つのタンパク質に起因する。タンパク質の同一性が望ましい場合、通常は、目的のタンパク質スポットが切り出され、タンパク質分解的に消化される、ゲル内消化の方法が適用される。消化の結果得られるペプチド質量を、ペプチド質量フィンガープリンティングを用いる質量分析によって決定することができる。この情報がタンパク質の明確な同定を可能にしない場合、そのペプチドを、de novo配列決定のためにタンデム質量分析にかけることができる。
HPLC/MSを用いたタンパク質混合物の特徴付けを、当業界では「ショットガンプロテオミクス」およびMuDPIT(多次元タンパク質同定技術)と呼ぶこともできる。タンパク質混合物の消化の結果生じるペプチド混合物を、1または2ステップの液体クロマトグラフィー(LC)によって分画する。クロマトグラフィー段階からの溶離液を、電子スプレーイオン化によって質量分析器に直接導入するか、またはMALDIを用いるレーザー質量分析のために一連の小スポット上に沈着させることができる。
本発明のバイオマーカー(例えば、フィラミンAのみ、またはフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSA、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちのいずれか1種以上と組合わせたフィラミンA)を、様々な技術を用いるMSを用いて同定することができ、全て本明細書で企図される。ペプチド質量フィンガープリンティングは、既知のタンパク質の一覧の消化から生じた予測質量のデータベースの検索への入力としてタンパク質分解ペプチドの質量を使用する。参照一覧中のタンパク質配列が、実験値と一致する有意数の予測質量を生じる場合、このタンパク質が元の試料中に存在していたことのいくつかの証拠がある。マイクロキャピラリー液体クロマトグラフィー(LC)およびデータベース検索と組合わせた自動化データ依存的電子スプレーイオン化(ESI)タンデム質量分析(MS/MS)のための方法および機器の開発は、ゲル分離されたタンパク質の同定の有意に高い感度および速度を有することをさらに理解されるであろう。マイクロキャピラリーLC-MS/MSは、ゲル電気泳動分離を用いることなく混合物から直接的に個々のタンパク質を大規模に同定するために上手く用いられてきた(Linkら、1999; Opitekら、1997)。
いくつかの最近の方法は、質量分析によるタンパク質の定量を可能にする。例えば、安定な(例えば、非放射性の)より重い炭素(13C)または窒素(15N)のアイソトープを、1つの試料中に組込むことができるが、他のものを対応する軽いアイソトープ(例えば、12Cおよび14N)で標識することができる。2つの試料を、分析前に混合する。異なる試料に由来するペプチドを、その質量の差異のため識別することができる。そのピーク強度の比は、ペプチド(およびタンパク質)の相対存在量に対応する。アイソトープ標識化のための最も有名な方法は、SILAC(細胞培養物中のアミノ酸による安定アイソトープ標識化)、トリプシン触媒された18O標識化、ICAT(アイソトープコード親和性タグ付け)、iTRAQ(相対的および絶対的定量のための等圧タグ)である。「半定量的」質量分析は、試料を標識することなく実施することができる。典型的には、これはMALDI分析を用いて行われる(線形モードで)。個々の分子(典型的には、タンパク質)に由来する、ピーク強度、またはピーク面積は、ここで、試料中のタンパク質の量と相関する。しかしながら、個々のシグナルは、タンパク質の一次構造、試料の複雑性、および機器の設定に依存する。他の型の「標識を含まない」定量的質量分析は、相対タンパク質量を決定するための手段として消化されたタンパク質のスペクトル計数(またはペプチド計数)を用いる。
一実施形態においては、いずれか1種以上の本発明のバイオマーカー(例えば、フィラミンAのみ、またはフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSA、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちのいずれか1種以上と組合わせたフィラミンA)を、発明を限定することを意図しない、以下の例示的な方法に従う質量分析を用いて、または他の質量分析に基づく方法を用いて、複雑な生物試料から同定および定量することができる。
この実施形態の第1のステップにおいては、(A)生物試料、例えば、タンパク質の複雑な混合物(少なくとも1種の目的のバイオマーカーを含む)を含む前立腺癌を有すると疑われる生物試料を、断片化し、安定アイソトープXで標識する。(B)次に、少なくとも1種の目的の標的バイオマーカーと同一である標準タンパク質を断片化することにより調製され、安定アイソトープYで標識された、既知量の内部標準を生物試料に添加する。(C)次いで、得られたこの試料を、LC-MS/MS装置に導入し、多反応モニタリング(MRM)分析を、MRMクロマトグラムを得るための内部標準について選択されたMRM遷移を用いて実施する。(D)次いで、MRMクロマトグラムを見て、内部標準(内部標準ペプチド)に由来するペプチドと同じ保持時間を示す生物試料に由来する標的ペプチドバイオマーカーを同定し、内部標準ペプチドのピーク面積と、標的ペプチドバイオマーカーのピーク面積とを比較することにより試験試料中の標的タンパク質バイオマーカーを定量する。
血液、尿、唾液、毛髪、細胞、細胞組織、生検材料、およびその処理産物に由来する生物試料;ならびに遺伝子組換え技術により調製されたタンパク質含有試料などの、任意の好適な生物試料を、LC-MS/MS/MRM分析のための出発点として用いることができる。
上記ステップ(A)〜(D)のそれぞれを、以下でさらに説明する。
ステップ(A)(断片化および標識化)。ステップ(A)においては、標的タンパク質バイオマーカーをペプチドの収集物に断片化した後、安定アイソトープXで標識する。標的タンパク質を断片化するために、例えば、標的タンパク質をトリプシンなどのタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)で消化する方法、および臭化シアンを用いる方法などの化学的切断方法を用いることができる。プロテアーゼによる消化が好ましい。タンパク質分解的消化を完了まで進行させた場合、所与のモル量のタンパク質は、同じモル量の各トリプシンペプチド切断産物を産生することが公知である。かくして、所与のタンパク質に対するトリプシンペプチドのモル量の決定は、試料中の元のタンパク質のモル量の決定を可能にする。標的タンパク質の絶対的定量を、プロテアーゼ消化物(ペプチドの収集物)中に含まれる標的タンパク質由来ペプチドの絶対量を決定することによって達成することができる。従って、タンパク質分解的消化を完了まで進行させるために、還元およびアルキル化処理を実施した後、トリプシンによるプロテアーゼ消化を行って、標的タンパク質中に含まれるジスルフィド結合を還元およびアルキル化するのが好ましい。
続いて、得られた消化物(生物試料中の標的バイオマーカーのペプチドを含む、ペプチドの収集物)を、安定アイソトープXによる標識化にかける。安定アイソトープXの例としては、水素原子については1Hおよび2H、炭素原子については12Cおよび13C、ならびに窒素原子については14Nおよび15Nが挙げられる。任意のアイソトープを、それらから好適に選択することができる。安定アイソトープXによる標識化を、消化物(ペプチドの収集物)を、安定アイソトープを含有する試薬と反応させることによって実施することができる。市販のそのような試薬の好ましい例としては、アミン特異的な安定アイソトープ試薬キットである、mTRAQ(登録商標)(Applied Biosystemsにより製造)が挙げられる。mTRAQは、アイソトープ標識化の結果としてそれらの間で一定の質量差を有し、ペプチドのN末端またはリシン残基の一次アミンに結合する2または3つの型の試薬(mTRAQ-lightおよびmTRAQ-heavy;またはmTRAQ-D0、mTRAQ-D4、およびmTRAQ-D8)から構成される。
ステップ(B)(内部標準の添加)。ステップ(B)においては、既知量の内部標準を、ステップ(A)で得られた試料に添加する。本明細書で用いられる内部標準は、測定しようとする標的タンパク質(標的バイオマーカー)と同じアミノ酸配列からなるタンパク質(標準タンパク質)を断片化すること、および得られた消化物(ペプチドの収集物)を安定アイソトープYで標識化することにより得られる消化物(ペプチドの収集物)である。断片化処理を、標的タンパク質について上記されたのと同じ様式で実施することができる。安定アイソトープYによる標識化も、標的タンパク質について上記されたのと同じ様式で実施することができる。しかしながら、本明細書で用いられる安定アイソトープYは、標的タンパク質消化物を標識するために用いられる安定アイソトープXのものと異なる質量を有するアイソトープでなければならない。例えば、上記のmTRAQ(登録商標)(Applied Biosystemsにより製造)を用いる場合、mTRAQ-lightを用いて標的タンパク質消化物を標識する時は、mTRAQ-heavyを用いて標準タンパク質消化物を標識するべきである。
ステップ(C)(LC-MS/MSおよびMRM分析)。ステップ(C)においては、ステップ(B)で得られた試料を最初にLC-MS/MS装置に入れた後、内部標準のために選択されたMRM遷移を用いて、多反応モニタリング(MRM)分析を実施する。LC-MS/MS装置を用いるLC(液体クロマトグラフィー)により、ステップ(B)で得られた試料(安定アイソトープで標識されたペプチドの収集物)を、最初に一次元または多次元高速液体クロマトグラフィーによって分離する。そのような液体クロマトグラフィーの特定例としては、ペプチド間の電荷差を用いることによって分離を行う陽イオン交換クロマトグラフィー;およびペプチド間の疎水性の差を用いることによって分離を行う逆相クロマトグラフィーが挙げられる。これらの方法は両方とも、組合わせて用いてもよい。
続いて、それぞれの分離されたペプチドを、直列に接続した2つの質量分析計を含むタンデム質量分析計(MS/MS分光計)を用いることによるタンデム質量分析にかける。そのような質量分析計の使用により、数fmolレベルの標的タンパク質の検出が可能となる。さらに、MS/MS分析により、ペプチド上の内部配列情報の分析が可能になり、かくして、偽陽性なしに同定が可能となる。磁気セクター質量分析計(Sector MS)、四重極質量分析計(QMS)、飛行時間質量分析器(TOFMS)、およびフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析計(FT-ICRMS)、ならびにこれらの分析器の組合せなどの、他の型のMS分析を用いることもできる。
続いて、得られたデータを、検索エンジンに通し、スペクトルの割り当てを実施し、それぞれのタンパク質について実験的に検出されたペプチドを列挙する。好ましくは、検出されたペプチドをそれぞれのタンパク質についてグループ化し、好ましくは、前駆体イオンのものよりも大きいm/z値を有する少なくとも3つの断片および好ましくは、500以上のm/z値を有する少なくとも3つの断片を、スペクトル上でのシグナル強度の降順にそれぞれのMS/MSスペクトルから選択する。これらのものから、強度の降順に2つ以上の断片を選択し、強度の平均を、MRR遷移の予想感度と定義する。1つのタンパク質から複数のペプチドが検出される場合、最も高い感度を有する少なくとも2つのペプチドを、指標としての予想感度を用いて標準ペプチドとして選択する。
ステップ(D)(試験試料中の標的タンパク質の定量)。ステップ(D)は、ステップ(C)で検出されたMRMクロマトグラム中で、内部標準に由来するペプチド(内部標準ペプチド)と同じ保持時間を示す標的タンパク質(目的の標的バイオマーカー)に由来するペプチドを同定すること、および内部標準ペプチドのピーク面積と、標的ペプチドのピーク面積とを比較することにより、試験試料中の標的タンパク質を定量することを含む。事前に調製された標準タンパク質の較正曲線を用いることによって、標的タンパク質を定量することができる。
較正曲線を、以下の方法によって調製することができる。最初に、標的バイオマーカータンパク質のものと同一であるアミノ酸配列からなる組換えタンパク質を、上記のように、トリプシンなどのプロテアーゼで消化する。続いて、既知の濃度の前駆体-断片遷移選択標準(PFTS)を、2つの異なる型の安定アイソトープで個別に標識する(すなわち、一方は内部標準ペプチドを標識するために用いられる安定異性体で標識される(ISで標識される)が、他方は標的ペプチドを標識するために用いられる安定異性体で標識される(Tで標識される))。特定の量のIS標識されたPTFSを、様々な濃度のT標識されたPTFSと混合することにより、複数の試料を作製する。これらの試料を、上記のLC-MS/MS装置に入れて、MRM分析を実施する。得られたMRMクロマトグラム上でのT標識されたPTFSとIS標識されたPTFSとの面積比(T標識されたPTFS/IS標識されたPTFS)を、T標識されたPTFSの量に対してプロットして、較正曲線を調製する。試験試料中に含まれる標的タンパク質の絶対量を、較正曲線を参照することにより算出することができる。
3. 抗体および標識(例えば、蛍光部分、色素)
いくつかの実施形態においては、本発明は、本発明の生体分子、例えば、フィラミンAのみ、またはフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSA、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1からなる群より選択される少なくとも1種の他の前立腺癌関連マーカーと組合わせたフィラミンAの高感度検出および定量のための標識を含む方法および組成物を提供する。当業者であれば、粒子の混合物(例えば、標識された抗フィラミンA抗体もしくは標識された二次抗体、またはフィラミンA mRNAに特異的にハイブリダイズする標識されたオリゴヌクレオチドプローブ)中でのその検出または識別を可能にする標的分子を標識するために多くの戦略を用いることができることを認識できる。標識を、標識と標的との非特異的または特異的相互作用を用いる方法などの、任意の公知の手段によって結合させることができる。標識は、検出可能なシグナルを提供するか、または電界中での粒子の移動性に影響し得る。さらに、直接的に、または結合パートナーを介して、標識化を達成することができる。
いくつかの実施形態においては、標識は、目的のバイオマーカーに結合する結合パートナーを含み、結合パートナーは蛍光部分に結合している。本発明の組成物および方法は、高度に蛍光性の部分、例えば、レーザーが部分を含む直径約5μm以上のスポットに集中し、レーザーによってスポットを指向する総エネルギーが約3マイクロジュール以下である、部分の励起波長で光を放出するレーザーによってシミュレートした場合に少なくとも約200個の光子を放出することができる部分を用いてもよい。本発明の組成物および方法にとって好適な部分を、以下でより詳細に説明する。
いくつかの実施形態においては、本発明は、蛍光部分が、部分の励起波長で光を放出するレーザーによりシミュレートした場合に少なくとも約200個の光子を放出することができ、レーザーが、部分を含む直径約5μm以上のスポットに集中し、レーザーによってスポットを指向する総エネルギーが約3マイクロジュール以下である、蛍光部分に結合する生物分子のための結合パートナーを含む生物分子を検出するための標識を提供する。いくつかの実施形態においては、部分は、複数の蛍光実体、例えば、約2〜4、2〜5、2〜6、2〜7、2〜8、2〜9、2〜10、または約3〜5、3〜6、3〜7、3〜8、3〜9、または3〜10個の蛍光実体を含む。いくつかの実施形態においては、部分は、約2〜4個の蛍光実体を含む。いくつかの実施形態においては、生物分子は、タンパク質または小分子である。いくつかの実施形態においては、生物分子は、タンパク質である。蛍光実体は蛍光色素分子であってもよい。いくつかの実施形態においては、蛍光色素分子は、インドリウム環の3炭素上の置換基が化学反応基またはコンジュゲートした物質を含有する、少なくとも1個の置換されたインドリウム環系を含む。いくつかの実施形態においては、色素分子は、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 680またはAlexa Fluor 700からなる群より選択されるAlexa Fluor分子である。いくつかの実施形態においては、色素分子は、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 680またはAlexa Fluor 700からなる群より選択されるAlexa Fluor分子である。いくつかの実施形態においては、色素分子は、Alexa Fluor 647色素分子である。いくつかの実施形態においては、色素分子は、第1の型および第2の型の色素分子、例えば、第1の型および第2の型の色素分子が異なる放出スペクトルを有する、例えば、2つの異なるAlexa Fluor分子を含む。第1の型の色素分子の数と第2の型の色素分子の数との比は、例えば、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3または1:4であってもよい。結合パートナーは、例えば、抗体であってもよい。
いくつかの実施形態においては、本発明は、標識が、マーカーのための結合パートナーおよび蛍光部分を含み、蛍光部分が部分の励起波長で光を放出するレーザーによってシミュレートした場合に少なくとも約200個の光子を放出することができ、レーザーが部分を含む直径約5μm以上のスポットに集中し、レーザーによってスポットを指向する総エネルギーが約3マイクロジュール以下である、本発明の生物マーカーの検出のための標識を提供する。いくつかの実施形態においては、蛍光部分は、蛍光分子を含む。いくつかの実施形態においては、蛍光部分は、複数の蛍光分子、例えば、約2〜10、2〜8、2〜6、2〜4、3〜10、3〜8、または3〜6個の蛍光分子を含む。いくつかの実施形態においては、標識は、約2〜4個の蛍光分子を含む。いくつかの実施形態においては、蛍光色素分子は、インドリウム環の3炭素上の置換基が化学反応基またはコンジュゲートした物質を含有する、少なくとも1個の置換されたインドリウム環系を含む。いくつかの実施形態においては、蛍光分子は、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 680またはAlexa Fluor 700からなる群より選択される。いくつかの実施形態においては、蛍光分子は、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 680またはAlexa Fluor 700からなる群より選択される。いくつかの実施形態においては、蛍光分子は、Alexa Fluor 647分子である。いくつかの実施形態においては、結合パートナーは、抗体を含む。いくつかの実施形態においては、抗体は、モノクローナル抗体である。他の実施形態においては、抗体は、ポリクローナル抗体である。
様々な実施形態においては、目的のバイオマーカー、例えば、フィラミンAまたはフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3およびPSAを検出するための結合パートナーは、抗体またはその抗原結合断片である。本明細書で用いられる用語「抗体」は、広い用語であり、限定されるものではないが、天然の抗体ならびに非天然の抗体、例えば、一本鎖抗体、キメラ、二官能性およびヒト化抗体、ならびにその抗原結合断片などを指すように、その通常の意味で用いられる。抗体の「抗原結合断片」とは、抗原結合に関与する抗体の部分を指す。抗原結合部位は、重(「H」)鎖および軽(「L」)鎖のN末端可変(「V」)領域のアミノ酸残基によって形成される。抗体が生じる分子のエピトープまたは領域の選択は、例えば、存在する場合、様々な形態の分子に対する、または全部(例えば、分子の全部、もしくは実質的に全部)に対する、その特異性を決定づけることが理解されるであろう。
抗体を製造するための方法は、確立されている。当業者であれば、例えば、Antibodies, A Laboratory Manual、HarlowおよびDavid Lane(編)、Cold Spring Harbor Laboratory (1988)、Cold Spring Harbor、N.Y.に記載のような、抗体の製造のための多くの手順が利用可能であることを認識するであろう。当業者であれば、抗体を模倣する結合断片またはFab断片を、様々な手順によって遺伝子情報から調製することもできることもまた認識するであろう(Antibody Engineering: A Practical Approach (Borrebaeck, C.(編))、1995、Oxford University Press、Oxford; J. Immunol. 149、3914-3920 (1992))。分子、例えば、タンパク質に対するモノクローナルおよびポリクローナル抗体、ならびにマーカーも市販されている(R and D Systems、Minneapolis、Minn.; HyTest、HyTest Ltd.、Turku Finland; Abcam Inc.、Cambridge、Mass.、USA、Life Diagnostics, Inc.、West Chester、Pa.、USA; Fitzgerald Industries International, Inc.、Concord、Mass. 01742-3049 USA; BiosPacific、Emeryville、Calif.)。
いくつかの実施形態においては、抗体は、ポリクローナル抗体である。他の実施形態においては、抗体は、モノクローナル抗体である。
当業者には公知の様々な方法のいずれかによって、抗体を調製することができる(例えば、HarlowおよびLane、Antibodies: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、1988を参照されたい)。一般的には、本明細書に記載のモノクローナル抗体の生成を含む細胞培養技術により、または好適な細菌もしくは哺乳動物細胞宿主への抗体遺伝子のトランスフェクションを介して抗体を産生して、組換え抗体の産生を可能にすることができる。
KohlerおよびMilstein (Eur. J. Immunol. 6:511-519、1976)の技術、およびその改良法などのハイブリドーマ法を用いて、モノクローナル抗体を調製することができる。これらの方法は、所望の特異性を有する抗体を産生することができる不死細胞系の調製を含む。モノクローナル抗体を、米国特許第4,816,567号に記載のものなどの組換えDNA法によって作製することもできる。開示される方法において用いられる抗体をコードするDNAを、従来の手順を用いて単離および配列決定することができる。組換え抗体、抗体断片、および/またはその融合物を、in vitroで、または原核細胞(例えば、細菌)もしくは真核細胞(例えば、酵母、昆虫もしくは哺乳動物細胞)中で発現させ、周知の方法を用いて必要に応じてさらに精製することができる。
より具体的には、モノクローナル抗体(MAb)を、参照により本明細書に組込まれる米国特許第4,196,265号に例示されたものなどの周知の技術の使用によって容易に調製することができる。典型的には、この技術は、好適な動物を、選択された免疫原組成物、例えば、精製された、または部分的に精製された発現されたタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドで免疫することを含む。この免疫化組成物は、抗体産生細胞を刺激するのに有効な様式で投与される。モノクローナル抗体(MAb)を生成するための方法は、ポリクローナル抗体を調製するための方法と同じ系列に沿って始まる。マウスおよびラットなどのげっ歯類が好ましい動物であるが、ウサギ、ヒツジまたはカエル細胞の使用も可能である。ラットの使用は、特定の利点(Goding、1986、pp.60-61)を提供し得るが、マウスが好ましく、BALB/cマウスが最も日常的に用いられ、一般的にはより高い割合の安定な融合物を与えるため、これが最も好ましい。
動物に、上記の抗原を注射する。抗原を、必要に応じて、キーホールリンペットヘモシアニンなどの担体分子に結合させてもよい。抗原を、典型的には、Freundの完全または不完全アジュバントなどのアジュバントと混合することができる。同じ抗原を用いる追加注射は、約2週間間隔で行うことができる。免疫化後、抗体を産生する能力を有する体細胞、特に、Bリンパ球(B細胞)を、MAb生成プロトコールにおける使用のために選択する。これらの細胞を、生検した脾臓、扁桃腺もしくはリンパ節から、または末梢血試料から取得することができる。脾臓細胞および末梢血細胞が好ましく、前者は、それらが分裂している形質芽球段階にある抗体産生細胞の豊富な供給源であるため、後者は、末梢血が容易に入手できるためである。しばしば、動物のパネルは免疫化されており、最も高い抗体力価を有する動物の脾臓が取り出され、脾臓リンパ球は、脾臓を注射筒でホモジェナイズすることにより得られる。
次いで、免疫された動物に由来する抗体産生Bリンパ球を、不死ミエローマ細胞の細胞、一般的には、免疫された動物と同じ種のものと融合する。ハイブリドーマ産生融合手順における使用にとって適したミエローマ細胞系は、好ましくは、非抗体産生性であり、高い融合効率を有し、所望の融合細胞(ハイブリドーマ)のみの増殖を支援する特定の選択培地中で増殖することをできなくさせる酵素欠損を有する。
次いで、選択されたハイブリドーマを連続希釈し、個々の抗体産生細胞系中にクローニングした後、このクローンを無期限に増殖させて、MAbを産生させることができる。この細胞系を、2つの基本的な方法でのMAb産生のために活用することができる。ハイブリドーマの試料を、元の融合物のための体細胞およびミエローマ細胞を提供するために用いた型の組織適合性動物中に注射することができる(腹腔への注射が多い)。注射された動物は、融合した細胞ハイブリッドにより産生される特異的なモノクローナル抗体を分泌する腫瘍を生じる。次いで、血清または腹水などの動物の体液をタップして、高濃度のMAbを提供することができる。個々の細胞系を、in vitroで培養することもでき、MAbを高濃度で容易に得ることができる培養培地中にそれらが天然に分泌される。いずれかの手段により産生されたMAbを、必要に応じて、濾過、遠心分離およびHPLCまたはアフィニティクロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー法を用いてさらに精製することができる。
本発明の大量のモノクローナル抗体を、ハイブリドーマ細胞をin vivoで増殖させることによって取得することもできる。細胞クローンを、親細胞と組織適合性である哺乳動物、例えば、同系マウスに注射して、抗体産生腫瘍の増殖を引き起こす。場合により、注射の前に、動物を、炭化水素、特に、プリスタン(テトラメチルペンタデカン)などの油でプライミングする。
本発明によれば、本発明のモノクローナル抗体の断片を、ペプシンもしくはパパインなどの酵素による消化および/または化学的還元によるジスルフィド結合の切断を含む方法により、上記のように産生されたモノクローナル抗体から取得することができる。あるいは、本発明により包含されるモノクローナル抗体断片を、自動化ペプチド合成装置を用いて合成することができる。
また、抗体を、in silicoで設計され、合成的に生成されるポリヌクレオチドによりコードされたアミノ酸配列に基づく組換え抗体ライブラリーから誘導することもできる。in silicoで作出された配列を設計および取得するための方法は、当業界で公知である(Knappikら、J. Mol. Biol. 296:254:57-86、2000; Krebsら、J. Immunol. Methods 254:67-84、2001; 米国特許第6,300,064号)。
その抗原結合断片を産生するための抗体の消化を、当業界で周知の技術を用いて実施することができる。例えば、タンパク質分解酵素であるパパインは、IgG分子を選択的に切断して、いくつかの断片をもたらし、その2つ(「F(ab)」断片)はそれぞれ、無傷の抗原結合部位を含む共有ヘテロ二量体を含む。ペプシン酵素は、IgG分子を切断して、両方とも抗原結合部位を含む「F(ab')2」断片を含む、いくつかの断片をもたらすことができる。「Fv」断片を、IgM、IgGまたはIgA免疫グロブリン分子の選択的タンパク質分解的切断により産生することができるが、それらはより一般的には、当業界で公知の組換え技術を用いて誘導される。Fv断片は、天然抗体分子の抗原認識および結合能力の多くを保持する抗原結合部位を含む、非共有的VH:VLヘテロ二量体を含む(Inbarら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 69:2659-2662 (1972); Hochmanら、Biochem. 15:2706-2710 (1976); およびEhrlichら、Biochem. 19:4091-4096 (1980))。
本明細書に開示されるポリペプチドバイオマーカーに特異的に結合する抗体断片を、米国特許第5,885,793号に記載のものなどの、公知の技術を用いて、scFvのライブラリーから単離することもできる。
Fab断片、scFv、VLおよびVHなどの抗体断片の産生のために、様々な発現系が当業界で利用可能である。例えば、原核起源と真核起源の両方の発現系を、抗体断片の大規模生産のために用いることができる。特に有利なものは、培養培地中への大量の抗体断片の分泌を可能にする発現系である。哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物、トランスジェニック動物、および下等真核生物に基づく、抗体断片および抗体融合タンパク質の大規模生産のための真核発現系が記載されている。例えば、抗体断片の費用効果的な大規模生産を、酵母発酵系において達成することができる。これらの生物の大規模発酵は当業界で周知であり、いくつかの組換えタンパク質のバルク生産のために現在用いられている。
本発明の方法において用いられるポリペプチドバイオマーカーに結合する抗体は、当業者には周知であり、いくつかの場合、市販されているか、または過度の実験を行うことなく取得することができる。
さらに他の実施形態においては、特に、mRNAバイオマーカーまたは他の核酸系バイオマーカーを検出し、これにハイブリダイズする結合パートナーとしてオリゴヌクレオチドを用いる場合、結合パートナー(例えば、オリゴヌクレオチド)は、標識、例えば、蛍光部分または色素を含んでもよい。さらに、本発明の任意の結合パートナー、例えば、抗体を、蛍光部分で標識することもできる。前記部分の蛍光は、本明細書に記載の単一分子検出器などの、単一分子検出器における検出を可能にするのに十分なものである。本明細書で用いられる用語「蛍光部分」は、全蛍光が、本明細書に記載の単一分子検出器中で部分を検出することができるようなものである1つ以上の蛍光実体を含む。かくして、蛍光部分は、単一の実体(例えば、量子ドットもしくは蛍光分子)または複数の実体(例えば、複数の蛍光分子)を含んでもよい。本明細書で用いられる用語「部分」が蛍光実体の群、例えば、複数の蛍光色素分子を指す場合、それぞれ個々の実体を別々に結合パートナーに結合させるか、または群としての実体が検出しようとする十分な蛍光を提供する限り、実体を一緒に結合させることができることが理解される。
典型的には、部分の蛍光は、量子効率と、部分が単一分子検出器中でバックグラウンドレベルを超えて検出可能であるのに十分な光退色の欠如との組合せを含み、アッセイの望ましい検出限界、正確性、および精度にとって必要な一貫性を有する。例えば、いくつかの実施形態においては、蛍光部分の蛍光は、それが、本明細書に記載の機器において、約10、5、4、3、2、1、0.1、0.01、0.001、0.00001、または0.000001pg/ml未満の検出限界および約20、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1%未満またはそれ以下、例えば、約10%以下の変動係数で、分子、例えば、マーカーの検出および/または定量を可能にするようなものである。いくつかの実施形態においては、蛍光部分の蛍光は、本明細書に記載の機器において、約5、1、0.5、0.1、0.05、0.01、0.005、0.001pg/ml未満の検出限界および約10%未満の変動係数で、分子、例えば、マーカーの検出および/または定量を可能にするようなものである。本明細書で用いられる用語「検出限界」またはLoDは、当業者が試料を、目的の物質の分子を含有すると同定することができる最も低い濃度、例えば、最初の非ゼロ値を含む。それを、ゼロの変動性および標準曲線の勾配によって定義することができる。例えば、アッセイの検出限界を、標準曲線を実行すること、標準曲線ゼロ値を決定すること、およびその値に2標準偏差を加えることによって決定することができる。この値に等しいシグナルを産生する目的の物質の濃度は、「検出下限」濃度である。
さらに、部分は、選択されたアッセイにおけるその使用と一致する特性を有する。いくつかの実施形態においては、アッセイは、蛍光部分を抗体に結合させるイムノアッセイである;部分は、それが他の抗体もしくはタンパク質と凝集しないか、またはアッセイの必要な正確性および精度と一致するものよりも多くの凝集は経験しないような特性を有する必要がある。いくつかの実施形態においては、好ましい蛍光部分は、1)高い吸収係数;2)高い量子収量;3)高い光安定性(低い光退色性);および4)本発明の分析装置およびシステムを用いて分析することができるように目的の分子(例えば、タンパク質)を標識することとの適合性(例えば、目的のタンパク質の沈降、または部分が結合したタンパク質の沈降を引き起こさない)の組合せを有する蛍光部分、例えば、色素分子である。
任意の好適な蛍光部分を用いることができる。例としては、限定されるものではないが、Alexa Fluor色素(Molecular Probes、Eugene、Oreg.)が挙げられる。Alexa Fluor色素は、その全体が参照により本明細書に組込まれる米国特許第6,977,305号; 第6,974,874号; 第6,130,101号; および第6,974,305号に開示されている。本発明のいくつかの実施形態は、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 610、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、およびAlexa Fluor 750からなる群より選択される色素を用いる。本発明のいくつかの実施形態は、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 700、およびAlexa Fluor 750からなる群より選択される色素を用いる。本発明のいくつかの実施形態は、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 610、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、およびAlexa Fluor 750からなる群より選択される色素を用いる。本発明のいくつかの実施形態は、約650〜660nmに吸収最大値を有し、約660〜670nmに放出最大値を有するAlexa Fluor 647分子を用いる。Alexa Fluor 647色素は、単独で、または他のAlexa Fluor色素と組合わせて用いられる。
いくつかの実施形態においては、本発明の分析装置システムを用いて試料中のバイオマーカーを検出するために用いられる蛍光標識部分は、量子ドットである。半導体ナノ結晶または人工原子としても知られる量子ドット(QD)は、100〜1,000個の電子を含有し、2〜10nmの範囲にある半導体結晶である。いくつかのQDは、直径10〜20nmであってもよい。QDは、高い量子収量を有し、それらを光学的適用にとって特に有用にする。QDは、伝統的なフルオロフォアの励起状態と類似するが、最大200ナノ秒のはるかに長い寿命を有する、励起子を形成することによって蛍光を発するフルオロフォアである。この特性は、光退色性が低いQDを提供する。QDのエネルギーレベルを、QDのサイズおよび形状、ならびにQDポテンシャルの深さを変化させることによって制御することができる。小さい励起子QDの1つの光学的特徴は配色であり、これはドットのサイズによって決定される。ドットが大きいほど、蛍光がより赤くなるか、またはより赤系統の色域に向かう。ドットが小さいほど、蛍光がより青くなるか、またはより青系統に向かう。蛍光のエネルギー、従って、蛍光の色を決定づけるバンドギャップエネルギーは、QDのサイズの2乗に反比例する。より大きいQDは、より高いエネルギーレベルを有し、より密集し、かくして、QDに、低いエネルギーを含有する光子、すなわち、赤系統の色域に近いものを吸収させる。ドットの放出頻度はバンドギャップに依存するため、ドットの出力波長を非常に精密に制御することが可能である。いくつかの実施形態においては、単一分子分析装置システムを用いて検出されるタンパク質は、QDで標識される。いくつかの実施形態においては、単一分子分析装置は、異なる波長で異なるタンパク質の検出を可能にするフィルターを用いて、1つのQDで標識されたタンパク質を検出するために用いられる。
F. 単離されたバイオマーカー
1. 単離されたポリペプチドバイオマーカー
本発明の一態様は、単離されたマーカータンパク質およびその生物学的に活性な部分、ならびにマーカータンパク質またはその断片に対する抗体を上昇させるための免疫原としての使用にとって好適なポリペプチド断片に関する。一実施形態においては、天然のマーカータンパク質を、標準的なタンパク質精製技術を用いる適切な精製スキームにより細胞または組織源から単離することができる。別の実施形態においては、マーカータンパク質の全部またはセグメントを含むタンパク質またはペプチドは、組換えDNA技術により生成される。組換え発現とは別に、そのようなタンパク質またはペプチドを標準的なペプチド合成技術を用いて化学的に合成することができる。
「単離された」または「精製された」タンパク質またはその生物学的に活性な部分は、タンパク質が誘導される細胞もしくは組織源に由来する細胞材料もしくは他の夾雑タンパク質を実質的に含まないか、または化学的に合成される場合、化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない。用語「細胞材料を実質的に含まない」は、タンパク質が、それが単離されるか、または組換え的に産生される細胞の細胞成分から分離されたタンパク質の調製物を含む。かくして、細胞材料を実質的に含まないタンパク質は、約30%、20%、10%、または5%未満(乾燥重量で)の異種タンパク質(本明細書では「夾雑タンパク質」とも呼ばれる)を有するタンパク質の調製物を含む。タンパク質またはその生物学的に活性なタンパク質を組換え生産する場合、それはまた好ましくは、培養培地を実質的に含まない、すなわち、培養培地はタンパク質調製物の容量の約20%、10%、または5%未満である。タンパク質を化学的合成により生成する場合、それは好ましくは化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まない、すなわち、それはタンパク質の合成に関与する化学的前駆体または他の化学物質から分離される。従って、タンパク質のそのような調製物は、目的のポリペプチド以外に約30%、20%、10%、5%未満(乾燥重量で)の化学的前駆体または化合物を有する。
マーカータンパク質の生物学的に活性な部分は、マーカータンパク質のアミノ酸配列と十分に同一であるか、またはそれから誘導されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含み、これは完全長タンパク質よりも少ないアミノ酸を含み、対応する完全長タンパク質の少なくとも1つの活性を示す。典型的には、生物学的に活性な部分は、対応する完全長タンパク質の少なくとも1つの活性を有するドメインまたはモチーフを含む。本発明のマーカータンパク質の生物学的に活性な部分は、例えば、長さ10、25、50、100個以上のアミノ酸であるポリペプチドであってもよい。さらに、マーカータンパク質の他の領域が欠失した他の生物学的に活性な部分を、組換え技術により調製し、天然形態のマーカータンパク質の1つ以上の機能的活性について評価することができる。
好ましいマーカータンパク質は、配列表に提供されるヌクレオチド配列によりコードされる。他の有用なタンパク質は、これらの配列の1つと実質的に同一であり(例えば、少なくとも約40%、好ましくは、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)、対応する天然のマーカータンパク質の機能的活性を保持するが、天然の対立遺伝子変異または突然変異誘発のためアミノ酸配列が異なる。
2つのアミノ酸配列または2つの核酸の同一性パーセントを決定するために、それらの配列を、最適な比較のために整列させる(例えば、第2のアミノ酸または核酸配列との最適なアラインメントのために第1のアミノ酸または核酸配列の配列中にギャップを導入してもよい)。次いで、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置のアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列中の位置が、第2の配列中の対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドにより占有される場合、分子はその位置で同一である。好ましくは、2つの配列間の同一性パーセントを、全体的アラインメントを用いて算出する。あるいは、2つの配列間の同一性パーセントを、部分的アラインメントを用いて算出する。2つの配列間の同一性パーセントは、配列により共有される同一の位置の数の関数(すなわち、同一性% = 同一の位置数/位置の総数(例えば、重複する位置)x100)である。一実施形態においては、2つの配列は同じ長さである。別の実施形態においては、2つの配列は同じ長さではない。
2つの配列間の同一性パーセントの決定を、数学的アルゴリズムを用いて達成することができる。2つの配列の比較のために用いられる数学的アルゴリズムの好ましい非限定例は、KarlinおよびAltschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5877におけるように改変された、KarlinおよびAltschul (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-2268のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、Altschulら(1990) J. Mol. Biol. 215:403-410のBLASTNおよびBLASTXプログラムに組込まれている。BLASTヌクレオチド検索を、BLASTNプログラム、スコア=100、ワード幅=12を用いて実施して、本発明の核酸分子と相同なヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質検索をBLASTPプログラム、スコア=50、ワード幅=3を用いて実施して、本発明のタンパク質分子と相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較のためのギャップ付アラインメントを得るために、プログラムBLASTN、BLASTPおよびBLASTXのためのギャップ付部分的アラインメントを実施することができる、Gapped BLASTと呼ばれるより新しいバージョンのBLASTアルゴリズムを、Altschulら(1997) Nucleic Acids Res. 25:3389-3402に記載のように使用することができる。あるいは、PSI-Blastを用いて、分子間の距離関係を検出する反復検索を実施することができる。BLAST、Gapped BLAST、およびPSI-Blastプログラムを用いる場合、対応するプログラム(例えば、BLASTXおよびBLASTN)のデフォルトパラメータを用いることができる。NCBIのウェブサイトを参照されたい。配列の比較のために用いられる数学的アルゴリズムの別の好ましい非限定例は、MyersおよびMiller(1988) CABIOS 4:11-17のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、GCG配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組込まれている。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを用いる場合、PAM120ウェイト残テーブル(weight residue table)、12のギャップ長ペナルティ、および4のギャップペナルティを用いることができる。部分配列類似性およびアラインメントの領域を同定するためのさらに別の有用なアルゴリズムは、PearsonおよびLipman (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444-2448に記載のFASTAアルゴリズムである。ヌクレオチドまたはアミノ酸配列を比較するためにFASTAアルゴリズムを用いる場合、例えば、PAM120ウェイト残テーブルを、2のκ-タプル値を共に用いることができる。
2つの配列間の同一性パーセントを、ギャップを可能にするか、または可能にせずに、上記のものと類似する技術を用いて決定することができる。同一性パーセントを算出する際に、正確な一致のみを計数する。
本発明の別の態様は、本発明のタンパク質に対する抗体に関する。好ましい実施形態においては、抗体はマーカータンパク質またはその断片に特異的に結合する。本明細書では互換的に用いられる用語「抗体」および「複数の抗体」は、免疫グロブリン分子ならびに免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分を含むその断片および誘導体(すなわち、そのような部分は、マーカータンパク質、例えば、マーカータンパク質のエピトープなどの抗原に特異的に結合する抗原結合部位を含有する)を指す。本発明のタンパク質に特異的に結合する抗体は、タンパク質に結合するが、試料、例えば、自然ではタンパク質を含有する生物試料中の他の分子には実質的に結合しない抗体である。免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分の例としては、限定されるものではないが、一本鎖抗体(scAb)、F(ab)およびF(ab')2断片が挙げられる。
本発明の単離されたタンパク質またはその断片を、免疫原として用いて、抗体を生成することができる。完全長タンパク質を用いることができるか、またはあるいは、本発明は免疫原としての使用のための抗原ペプチド断片を提供する。本発明のタンパク質の抗原ペプチドは、本発明のタンパク質の1つのアミノ酸配列の少なくとも8個(好ましくは、10、15、20、または30個以上)のアミノ酸残基を含み、ペプチドに対して生じた抗体がタンパク質との特異的免疫複合体を形成するようなタンパク質の少なくとも1つのエピトープを包含する。抗原ペプチドにより包含される好ましいエピトープは、タンパク質の表面上に位置する領域、例えば、親水性領域である。疎水性配列分析、親水性配列分析、または同様の分析を用いて、親水性領域を同定することができる。好ましい実施形態においては、単離されたマーカータンパク質またはその断片は、免疫原として用いられる。
本発明は、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体を提供する。本明細書で用いられる場合、用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」とは、特定のエピトープと免疫反応することができるただ1種の抗原結合部位を含有する抗体分子の集団を指す。好ましいポリクローナルおよびモノクローナル抗体組成物は、本発明のタンパク質に対する抗体について選択されたものである。特に好ましいポリクローナルおよびモノクローナル抗体調製物は、マーカータンパク質またはその断片に対する抗体のみを含有するものである。ポリクローナル、モノクローナル、および組換え抗体および抗体断片を作製する方法は、当業界で周知である。
2. 単離された核酸バイオマーカー
本発明の一態様は、マーカータンパク質またはその一部をコードする核酸を含む、単離された核酸分子に関する。本発明の単離された核酸はまた、マーカー核酸分子、およびマーカー核酸分子の断片を同定するためのハイブリダイゼーションプローブとしての使用にとって十分な核酸分子、例えば、特定の生成物の増幅またはマーカー核酸分子の突然変異のためのPCRプライマーとしての使用にとって好適なものも含む。本明細書で用いられる用語「核酸分子」は、DNA分子(例えば、cDNAもしくはゲノムDNA)およびRNA分子(例えば、mRNA)ならびにヌクレオチド類似体を用いて生成されるDNAもしくはRNAの類似体を含むことが意図される。核酸分子は、一本鎖または二本鎖であってもよいが、好ましくは、二本鎖DNAである。
「単離された」核酸分子は、核酸分子の天然の供給源中に存在する他の核酸分子から分離されたものである。一実施形態においては、「単離された」核酸分子(好ましくは、タンパク質をコードする配列)は、その核酸が誘導される生物のゲノムDNA中で核酸に自然に隣接する配列(すなわち、核酸の5'および3'末端に位置する配列)を含まない。例えば、様々な実施形態においては、単離された核酸分子は、核酸が誘導される細胞のゲノムDNA中の核酸分子に自然に隣接する約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kbまたは0.1kb未満のヌクレオチド配列を含有してもよい。別の実施形態においては、cDNA分子などの「単離された」核酸分子は、組換え技術により産生される場合、他の細胞材料、もしくは培養培地を実質的に含まないか、または化学的に合成される場合、化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まなくてもよい。細胞材料を実質的に含まない核酸分子は、約30%、20%、10%、または5%未満の異種核酸(本明細書では「夾雑核酸」とも呼ばれる)を有する調製物を含む。
本発明の核酸分子を、標準的な分子生物学技術および本明細書に記載のデータベース記録中の配列情報を用いて単離することができる。そのような核酸配列の全部または一部を用いて、本発明の核酸分子を、標準的なハイブリダイゼーションおよびクローニング技術(例えば、Sambrookら(編)、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY、1989に記載のような)を用いて単離することができる。
本発明の核酸分子を、標準的なPCR増幅技術に従って、鋳型としてのcDNA、mRNA、またはゲノムDNAおよび適切なオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅することができる。そのように増幅された核酸を、適切なベクター中にクローニングし、DNA配列分析により特性評価することができる。さらに、本発明の核酸分子の全部または一部に対応するヌクレオチドを、例えば、自動化DNA合成装置を用いて、標準的な合成技術により調製することができる。
別の好ましい実施形態においては、本発明の単離された核酸分子は、マーカー核酸のヌクレオチド配列またはマーカータンパク質をコードする核酸のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列を有する核酸分子を含む。所与のヌクレオチド配列と相補的である核酸分子は、それが所与のヌクレオチド配列にハイブリダイズすることによって安定な二本鎖を形成することができるような、所与のヌクレオチド配列と十分に相補的であるものである。
さらに、本発明の核酸分子は、核酸配列の一部のみを含んでもよく、ここで、完全長核酸配列は、マーカー核酸を含むか、またはマーカータンパク質をコードする。そのような核酸を、例えば、プローブまたはプライマーとして用いることができる。プローブ/プライマーは、典型的には、1つ以上の実質的に精製されたオリゴヌクレオチドとして用いられる。オリゴヌクレオチドは、典型的には、ストリンジェントな条件下で、本発明の核酸の少なくとも約15、より好ましくは、少なくとも約25、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、または400個以上の連続するヌクレオチドにハイブリダイズするヌクレオチド配列の領域を含む。
本発明の核酸分子の配列に基づくプローブを用いて、本発明の1種以上のマーカーに対応する転写物またはゲノム配列を検出することができる。特定の実施形態においては、プローブは、スプライス部位を横断する核酸配列にハイブリダイズする。プローブは、それに結合する標識基、例えば、放射性アイソトープ、蛍光化合物、酵素、または酵素コファクターを含む。そのようなプローブを、被験体に由来する細胞試料中でタンパク質をコードする核酸分子のレベルを測定すること、例えば、mRNAレベルを検出すること、またはタンパク質をコードする遺伝子もしくはその翻訳制御配列が突然変異もしくは欠失しているかどうかを決定することなどにより、タンパク質を発現するか、または誤発現する細胞または組織を同定するための診断試験キットまたはパネルの一部として用いることができる。
本発明はさらに、遺伝子コードの縮重性のため、マーカータンパク質(例えば、配列表に提供される配列を有するタンパク質)をコードする核酸のヌクレオチド配列と異なり、かくして、同じタンパク質をコードする核酸分子を包含する。
アミノ酸配列の変化をもたらすDNA配列多型が集団(例えば、ヒト集団)内に存在してもよいことが当業者には理解できる。そのような遺伝子多型は、天然の対立遺伝子変異および癌において生じることが知られる変化のため、集団内の個体間に存在してもよい。対立遺伝子は、所与の遺伝子座に選択的に生じる遺伝子群の1つである。さらに、その遺伝子の全体の発現レベルに影響し得る(例えば、調節または分解に影響することにより)RNA発現レベルに影響するDNA多型も存在してもよいことが理解される。
本明細書で用いられる語句「対立遺伝子変異体」は、所与の遺伝子座に生じるヌクレオチド配列またはそのヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドを指す。
本明細書で用いられる用語「遺伝子」および「組換え遺伝子」とは、本発明のマーカーに対応するポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを含む核酸分子を指す。そのような天然の対立遺伝子変異は、典型的には、所与の遺伝子のヌクレオチド配列において1〜5%の相違をもたらし得る。選択的対立遺伝子を、いくつかの異なる個体において目的の遺伝子を配列決定することによって同定することができる。これは、様々な個体において同じ遺伝子座を同定するためのハイブリダイゼーションプローブを用いることにより容易に実行することができる。天然の対立遺伝子変異の結果であり、機能的活性を変化させない、任意かつ全てのそのようなヌクレオチド変異および及び得られるアミノ酸多型または変異は、本発明の範囲内にあることが意図される。
別の実施形態においては、本発明の単離された核酸分子は、長さ少なくとも15、20、25、30、40、60、80、100、150、200、250、300、350、400、450、550、650、700、800、900、1000、1200、1400、1600、1800、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3500、4000、4500個以上のヌクレオチドであり、マーカー核酸またはマーカータンパク質をコードする核酸に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。本明細書で用いられる用語「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」は、互いに少なくとも60%(65%、70%、好ましくは75%)同一であるヌクレオチド配列が、典型的には、互いにハイブリダイズしたままであるハイブリダイゼーションおよび洗浄のための条件を記述することを意図される。そのようなストリンジェントな条件は当業者には公知であり、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y. (1989)の6.3.1〜6.3.6節に見出すことができる。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の好ましい非限定例は、約45℃での6X塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのハイブリダイゼーション、次いで、50〜65℃での0.2X SSC、0.1%SDS中での1回以上の洗浄である。
G. バイオマーカーの適用
本発明は、被験体における、異常な前立腺状態、例えば、BPHまたは腫瘍疾患状態、例えば、前立腺癌を診断するための方法を提供する。本発明はさらに、異常な前立腺状態、例えば、BPHまたは前立腺癌の進行を予後診断もしくはモニタリングする、または積極的処置もしくは経過観察中の治療的処置に対する異常な前立腺状態、例えば、BPHまたは前立腺癌の応答をモニタリングするための方法を提供する。
一態様において、本発明は、前立腺癌と本発明のバイオマーカーとの発見された相関よりはるかにうまくいく、フィラミンAのみ、またはフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAなどの、本発明の前立腺癌バイオマーカーの分析、検出、および/または測定に関連して本発明の方法により得られる診断情報の適用を構成する。
例えば、本明細書に記載のような、本発明のポリペプチドバイオマーカーを検出および/または測定するために本発明の方法を実行する場合、生物試料を、目的のバイオマーカーに選択的に結合する検出試薬、例えば、モノクローナル抗体と接触させて、タンパク質-タンパク質複合体を形成させた後、直接的に(抗体が標識を含む場合)または間接的に(二次検出試薬、例えば、二次抗体を使用し、次いで、標識する場合)さらに検出する。かくして、本発明の方法は、本発明のポリペプチドマーカーを、検出可能な一次抗体または一次およびさらに二次抗体を含むタンパク質-タンパク質複合体に転換する。そのようなタンパク質-タンパク質複合体の形成は、目的のバイオマーカーの存在を同定するために必要であり、本発明の方法を行う結果として、目的のバイオマーカーの物理的特徴および特性を必然的に変化させる。
本発明の核酸バイオマーカーを検出するために本発明の方法を行う場合であっても同じ原理が適用される。特に、増幅方法を用いて本発明のバイオマーカー(例えば、フィラミンA mRNA)を検出する場合、増幅プロセスは、事実、新しいアンプリコン集団、すなわち、新しく合成され、元の生物試料中に存在しない分子の形成をもたらし、それによって、生物試料を物理的に転換する。同様に、ハイブリダイゼーションプローブを用いて標的バイオマーカーを検出する場合、物理的な新しい分子種が、標的バイオマーカーmRNA(または他の核酸)へのプローブ(場合により、標識を含む)のハイブリダイゼーションによって実際に作出され、次いで、検出される。そのようなポリヌクレオチド産物は、本発明の方法を実行する結果として効率的に新しく作出または形成される。
本発明は、一実施形態において、腫瘍障害、例えば、前立腺癌を診断するための方法を提供する。本発明の方法を、当業者によって用いられる任意の他の方法と共に実行して、腫瘍障害の発生もしくは再発および/または腫瘍障害について処置される被験体の生存を予後診断することができる。本明細書に提供される診断および予後診断方法を用いて、追加の、および/またはより侵襲的な試験またはモニタリングを被験体に対して実施するべきかどうかを決定することができる。腫瘍障害のような複雑な疾患は、単一の試験を用いて診断されることは稀であることが理解される。従って、本明細書に提供される診断、予後診断、およびモニタリング方法は、典型的には、当業界で公知の他の方法と共に用いられることが理解される。例えば、本発明の方法を、被験体から得られた試料の形態学的もしくは細胞学的分析、画像分析、および/または身体検査と共に実施してもよい。細胞学的方法は、他のマーカーと共に、任意の他の分子マーカー自体の免疫組織化学的検出または免疫蛍光検出(および必要に応じて、定量)を含む。他の方法は、in situ PCRによる、または組織を抽出し、リアルタイムPCRにより他のマーカーを定量することによる、他のマーカーの検出を含む。PCRは、ポリメラーゼ連鎖反応と定義される。
経過観察中の腫瘍進行または処置レジメン、例えば、化学療法、放射線療法、外科手術、ホルモン療法、もしくは被験体における腫瘍障害を処置するために有用な任意の他の治療手法の効能を評価するための方法も提供される。これらの方法においては、一対の試料(処置レジメンより早い時点または前に被験体から得られた第1の試料と、より後の時点、例えば、被験体が処置レジメンの少なくとも一部を受けた時より後の時点で被験体から得られた第2の試料)中のマーカーの量を評価する。本発明の方法は、マーカーレベルの評価のために、規則的または不規則的な間隔で3つ以上の試料(例えば、3、4、5、6、7、8、9つ以上の試料)を取得および分析することを含むことが理解される。連続的または非連続的被験体試料間でペアワイズ比較を行うことができる。マーカーレベルの傾向およびマーカーレベルの変化の速度を、いずれか2つ以上の連続的または非連続的被験体試料について分析することができる。
本発明はまた、腫瘍障害、例えば、前立腺癌が侵攻性であるかどうかを決定するための方法も提供する。この方法は、試料中に存在するマーカーの量を決定すること、およびその量を、「定義」において定義された1種以上の対照試料中の存在するマーカーの対照量と比較することによって、腫瘍障害が侵攻性であるかどうかを決定することを含む。マーカーレベルを、同じ被験体から異なる時点で得られた試料中のマーカーレベルまたは正常な、もしくは異常な前立腺状態の被験体に由来するマーカーレベルと比較することができる。マーカーレベルの急速な増加は、マーカーレベルの遅い増加または増加もしくは変化しないものよりも侵攻性が高いことを示し得る。
本発明の方法を用いて、腫瘍障害、例えば、前立腺癌の侵攻性を調節する、すなわち、減少させることができる化合物を選択することもできる。この方法においては、癌細胞を、試験化合物と接触させ、癌細胞中で本発明のマーカーの発現および/または活性を調節する試験化合物の能力を決定し、それによって、腫瘍障害の侵攻性を調節することができる化合物を選択する。
本明細書に記載の方法を用いて、様々な分子をスクリーニングして、本発明のマーカー、例えば、フィラミンAのみ、またはPSA、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FLNB)、およびリンパ球抗原9(LY9)、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAの発現および/または活性を調節する、例えば、増加させる、または減少させる分子を同定することができる。そのように同定された化合物を被験体に提供して、被験体における腫瘍障害の侵攻性を阻害し、被験体における腫瘍障害の再発を防止し、または被験体における腫瘍障害を処置することができる。
本発明は、診断アッセイ、予後診断アッセイ、薬理ゲノミクス、およびモニタリング臨床試験を予後診断(予測)目的で用いることによって、個体を予防的に処置する予測医療の分野に関する。従って、本発明の一態様は、1種以上のマーカータンパク質または核酸の発現のレベルを決定して、個体が、限定されるものではないが、腫瘍性障害、例えば、前立腺癌などの疾患または障害を発症する危険性があるかどうかを決定するための診断アッセイに関する。そのようなアッセイを、予後診断または予測目的で用いることによって、障害の開始前に個体を予防的に処置することができる。
本発明のさらに別の態様は、臨床試験における本発明のバイオマーカーの発現または活性に対する、薬剤(例えば、薬物または他の治療化合物)の影響のモニタリングに関する。これらおよび他の適用は、以下のセクションでさらに詳細に説明される。
1. 診断アッセイ
生物試料中のマーカータンパク質または核酸の発現レベルの存在または非存在または変化を検出するための例示的方法は、試験被験体から生物試料(例えば、腫瘍性障害関連体液)を取得し、生物試料と、ポリペプチドまたは核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNA、もしくはcDNA)を検出することができる化合物または薬剤と接触させることを含む。かくして、本発明の検出方法を用いて、例えば、in vitroならびにin vivoで、生物試料中のmRNA、タンパク質、cDNA、またはゲノムDNAを検出することができる。
生物試料中のマーカータンパク質または核酸の発現レベルの存在、非存在、変化を検出するための本明細書に提供される方法は、検出しようとするマーカータンパク質または核酸を含有してもよいか、または含有しなくてもよい被験体から生物試料を取得すること、その試料と、検出しようとするマーカータンパク質または核酸と複合体を形成することができるマーカー特異的結合剤(すなわち、1種以上のマーカー特異的結合剤)とを接触させること、ならびに形成された場合、試料と、マーカー-マーカー特異的結合剤複合体の検出のための検出試薬とを接触させることを含む。生物試料中のマーカーの発現レベルを検出するための本明細書に提供される方法は、アッセイを実施するための工程を含むことが理解される。検出方法の特定の実施形態においては、試料中のマーカータンパク質または核酸のレベルはないか、または検出のための閾値より低い。
前記方法は、マーカーと、マーカー特異的結合剤との一過的または安定な複合体の形成を含む。この方法には、形成される場合、検出試薬が複合体に結合するのを可能にし、検出可能なシグナル(例えば、蛍光シグナル、酵素反応、例えば、ペルオキシダーゼ反応、ホスファターゼ反応、ベータ-ガラクトシダーゼ反応、もしくはポリメラーゼ反応の生成物からのシグナル)を生成するのに十分な時間にわたって複合体が形成されることが必要である。
特定の実施形態においては、全てのマーカーが、同じ方法を用いて検出される。特定の実施形態においては、全てのマーカーが、同じ生物試料(例えば、同じ体液または組織)を用いて検出される。特定の実施形態においては、異なるマーカーは、様々な方法を用いて検出される。特定の実施形態においては、マーカーは、異なる生物試料中で検出される。
2. タンパク質の検出
本発明の特定の実施形態においては、検出しようとするマーカーは、タンパク質である。タンパク質は、例えば、成分の1つが自然に存在する化合物ではないか、または検出のためのマーカーとマーカー特異的結合剤とが同じ生物に由来しない(例えば、マウス、ラット、またはヤギに由来するマーカー特異的結合抗体を用いて検出されるヒトマーカータンパク質)ため、検出しようとするマーカータンパク質と、マーカー特異的結合剤との複合体が自然に存在しないいくつかのアッセイを用いて検出される。本発明の好ましい実施形態においては、検出のためのマーカータンパク質は、ヒトマーカータンパク質である。特定の検出アッセイにおいて、検出のためのヒトマーカーは、マーカー特異的、非ヒト抗体により結合され、かくして、複合体は自然では形成されない。マーカータンパク質の複合体を、例えば、マーカーに直接結合する標識されたマーカー特異的抗体の使用によるか、またはさらなる成分のマーカーへの結合--マーカー特異的抗体の複合体により、直接検出することができる。特定の実施形態においては、さらなる成分は、第1のマーカー特異的抗体と同時にマーカーに結合することができる第2のマーカー特異的抗体である。特定の実施形態においては、さらなる成分は、マーカー特異的抗体に結合する第2の抗体であり、ここで第2の抗体は、好ましくは検出可能な標識(例えば、蛍光標識、酵素標識、ビオチン)に連結される。第2の抗体が酵素的検出標識(例えば、ペルオキシダーゼ、ホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ)に連結される場合、第2の抗体は、酵素検出標識と、適切な基質とを接触させて、比色分析、蛍光、または他の検出可能な、好ましくは定量的に検出可能な生成物を生成させることによって検出される。本発明の方法における使用のための抗体は、ポリクローナルであってもよいが、好ましい実施形態においては、モノクローナル抗体が用いられる。無傷抗体、またはその断片もしくは誘導体(例えば、FabまたはF(ab')2)を、本発明の方法において用いることができる。マーカータンパク質検出のそのような戦略は、例えば、ELISA、RIA、ウェスタンブロット、および免疫蛍光アッセイ方法において用いられる。
特定の検出アッセイにおいては、検出のための生物試料中に存在するマーカーは酵素であり、検出試薬は酵素基質である。例えば、酵素はプロテアーゼであり、基質は適切なプロテアーゼ切断部位を含む任意のタンパク質であってもよい。あるいは、酵素はキナーゼであり、基質はキナーゼのための任意の基質であってもよい。好ましい実施形態においては、検出しようとするマーカー酵素と複合体を形成する基質は、ヒト被験者における酵素のための基質ではない。
特定の実施形態においては、マーカー--マーカー特異的結合剤複合体は、マーカーの検出のために固相支持体に結合される。複合体を、基質上で形成させるか、または基質上への捕捉の前に形成させることができる。例えば、ELISA、RIA、免疫沈降アッセイ、ウェスタンブロット、免疫蛍光アッセイ、ゲル中酵素アッセイにおいて、検出のためのマーカーは、直接的または間接的に固相支持体に結合される。ELISA、RIA、または免疫蛍光アッセイにおいて、マーカーは典型的には、抗体または結合タンパク質を介して固相支持体に間接的に結合される。ウェスタンブロットまたは免疫蛍光アッセイにおいて、マーカーは、典型的には固相支持体に直接結合される。ゲル中酵素アッセイについては、マーカーは、酵素のための基質が組込まれたゲル、典型的には、アクリルアミドゲル中で分解される。
3. 核酸検出
本発明の特定の実施形態においては、マーカーは、核酸である。核酸は、例えば、成分の1つが自然に存在する化合物ではないため、検出しようとするマーカー核酸と、マーカー特異的プローブとの複合体が自然に存在しないいくつかのアッセイを用いて検出される。特定の実施形態においては、分析物は核酸を含み、プローブは1種以上の合成一本鎖核酸分子、例えば、DNA分子、DNA-RNAハイブリッド、PNA、または1個以上の人工塩基、糖、もしくは骨格部分を含有する改変された核酸分子を含む。特定の実施形態においては、合成核酸は一本鎖であり、蛍光標識を含むDNA分子である。特定の実施形態においては、合成核酸は、長さ約12〜約50ヌクレオチドの一本鎖オリゴヌクレオチド分子である。特定の実施形態においては、検出しようとする核酸はmRNAであり、形成される複合体はmRNAと相補的である一本鎖DNA分子にハイブリダイズしたmRNAである。特定の実施形態においては、RNAは、最初にプライマー、例えば、ポリA RNAを転写するための一般的なポリTプライマーとしてRNAにハイブリダイズする一本鎖DNAを用いる、RNA鋳型からのDNA分子(すなわち、cDNA分子)の生成により検出される。次いで、cDNAを、マーカー特異的プローブを用いる増幅反応、例えば、PCR、プライマー伸長アッセイのための鋳型として用いることができる。特定の実施形態においては、標識された一本鎖DNAを、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)によるRNAの検出のため、またはノーザンブロットによるRNAの検出のために試料中に存在するRNAにハイブリダイズさせることができる。
例えば、mRNAの検出のためのin vitro技術としては、ノーザンハイブリダイゼーション、in situハイブリダイゼーション、およびrtPCRが挙げられる。ゲノムDNAの検出のためのin vitro技術としては、サザンハイブリダイゼーションが挙げられる。mRNAの検出のための技術としては、PCR、ノーザンハイブリダイゼーションおよびin situハイブリダイゼーションが挙げられる。方法は、定性的および定量的方法の両方を含む。
そのような診断、予後診断、およびモニタリングアッセイの一般的原理は、適切な条件下で、ならびにマーカーとプローブが相互作用し、結合し、かくして、反応混合物中で除去および/または検出することができる複合体を形成することができる十分な時間にわたってマーカー、およびプローブを含有してもよい試料または反応混合物を調製することを含む。これらのアッセイを、当業界で公知の様々な方法、例えば、ELISAアッセイ、PCR、FISHにおいて行うことができる。
4. 発現レベルの検出
マーカーレベルを、絶対発現レベルまたは正規化もしくは相対発現レベルに基づいて検出することができる。絶対マーカーレベルの検出は、被験体の処置をモニタリングするか、または被験体の前立腺癌状態の変化が存在するかどうかを決定する場合に好ましい。例えば、1種以上のマーカーの発現レベルを、例えば、毎月の間隔などの規則的間隔で、前立腺癌のための処置を受けている被験体においてモニタリングすることができる。1種以上のマーカーのレベルの調節を経時的にモニタリングして、マーカーレベルの変化における傾向を観察することができる。被験体における本発明のバイオマーカー、例えば、フィラミンAのみ、または前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAの発現レベルは、正常な試料中のこれらのマーカーの発現レベルよりも高くてもよいが、以前の発現レベルより低くてもよく、かくして、被験体のための処置レジメンの利益を示す。同様に、マーカーレベルの変化の速度は、前立腺癌のための積極的な処置を受けていない被験体(例えば、待機療法)において重要であり得る。マーカーレベルの変化があるかないかは、集団中に存在するマーカーレベルよりも被験体のための処置決定とより関連し得る。さもなければ正常な前立腺を有すると考えられる被験体におけるマーカーレベルの急速な変化は、そのマーカーが集団にとって正常な範囲にある場合でも、異常な前立腺状態を示し得る。
マーカーの絶対発現レベルに基づいて決定を行う代わりに、決定は、マーカーの正規化された発現レベルに基づくものであってもよい。発現レベルは、マーカーの発現を、マーカーではない遺伝子、例えば、構成的に発現されるハウスキーピング遺伝子の発現と比較することにより、その絶対発現レベルを補正することによって正規化される。正規化のための好適な遺伝子としては、アクチン遺伝子、または上皮細胞特異的遺伝子などのハウスキーピング遺伝子が挙げられる。この正規化により、ある試料、例えば、患者試料における発現レベルを、別の試料、例えば、非癌試料と比較する、または異なる供給源に由来する試料間で比較することができる。
あるいは、発現レベルを、適切な対照、例えば、集団対照、隣接した正常組織対照、より早い時点での対照などと比較した場合の相対発現レベルとして提供することができる。好ましくは、基準決定において用いられる試料は、非癌細胞に由来するものである。細胞供給源の選択は、相対発現レベルの使用に依存する。平均発現スコアとして正常組織中に見出される発現を用いることは、アッセイされるマーカーが癌特異的(正常細胞に対して)であるかどうかを検証する際の助けとなる。さらに、より多くのデータが蓄積されるため、平均発現値を修正し、蓄積されたデータに基づいて改善された相対発現値を提供することができる。癌細胞からの発現データは、癌状態の重症度を等級付けるための手段を提供する。
5. 診断、予後診断、および処置方法
本発明は、
(1)被験体に由来する生物試料と、各検出試薬が1つの前立腺癌関連タンパク質に特異的であり、前立腺癌関連タンパク質が、以下のような前立腺癌関連タンパク質:フィラミンAのみ、または前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAから選択される、1種以上の検出試薬のパネルとを接触させること;
(2)各検出試薬によって生物試料中で検出された各前立腺癌関連マーカーの量を測定すること;ならびに
(3)被験体から得られた生物試料中の1種以上の前立腺癌関連タンパク質の発現レベルと、対照試料中の1種以上の前立腺癌関連タンパク質の発現レベルとを比較することによって、異常な前立腺状態を検出すること
により、被験体において異常な前立腺状態を検出するための方法を提供する。
特定の実施形態においては、異常な前立腺状態の検出は、被験体における前立腺癌状態を診断することを含む。特定の実施形態においては、異常な前立腺状態は、前立腺癌を発症する素因を同定することを含む。
本発明は、
(1)被験体に処置レジメンの少なくとも一部を施す前に被験体から得られた第1の生物試料と、検出試薬のパネルとを接触させることであって、ここでそれぞれの検出試薬が1つの前立腺癌関連タンパク質に特異的であり、前立腺癌関連タンパク質が以下の前立腺癌関連タンパク質セット:フィラミンAのみ、または前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAから選択され;
(2)被験体に処置レジメンの少なくとも一部を施した後に被験体から得られた第2の生物試料と、検出試薬のパネルとを接触させることであって、ここでそれぞれの検出試薬が1つの前立腺癌関連タンパク質に特異的であり、前立腺癌関連タンパク質が以下の前立腺癌関連タンパク質セット:フィラミンAのみ、または前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAから選択され;
(3)それぞれの検出試薬により、それぞれ第1の生物試料および第2の生物試料中で検出される前立腺癌関連マーカーの量を測定すること;ならびに
(4)第1の試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現のレベルと、第2の試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現レベルとを比較することによって、被験体における前立腺癌の処置をモニタリングすること
により、前立腺癌の処置をモニタリングするための方法を提供する。
本発明は、
(1)被験体に処置レジメンを施す前に被験体から得られた第1の生物試料と、検出試薬のパネルとを接触させることであって、ここでそれぞれの検出試薬が1つの前立腺癌関連タンパク質に特異的であり、前立腺癌関連タンパク質が以下の前立腺癌タンパク質:フィラミンAのみ、または前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1の1種以上と組合わせたフィラミンAから選択され;
(2)被験体に処置レジメンを施す前に被験体から得られた第2の生物試料と、それぞれの検出試薬が1つの前立腺癌関連タンパク質に特異的であり、前立腺癌関連タンパク質が以下のようなフィラミンAのみ、または前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせた前立腺癌関連タンパク質セットから選択される1種以上の検出試薬のパネルとを接触させること;
(3)それぞれの検出試薬により、それぞれ第1の生物試料および第2の生物試料中で検出される前立腺癌関連マーカーの量を測定すること;ならびに
(4)第1の試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現のレベルと、第2の試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現レベルとを比較すること
による、被験体における前立腺癌の積極的処置の施行の選択または積極的処置の施行に反対する選択のための方法であって、前立腺癌の積極的処置の施行の選択または積極的処置に反対する選択が、第1の試料と第2の試料との1種以上のマーカーの発現のレベルの変化の存在または非存在に基づくものである、前記方法を提供する。
本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、2種以上のマーカーである。本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、3種以上のマーカーである。本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、4種以上のマーカーである。本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、5種以上のマーカーである。本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、6種以上のマーカーである。本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、7種以上のマーカーである。本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、8種以上のマーカーである。本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、9種以上のマーカーである。
本明細書に提供される診断方法の特定の実施形態においては、正常な対照試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現レベルと比較した、生物試料中のフィラミンAのみ、または前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAからなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現レベルの増加は、被験体が前立腺癌に罹患していることを示す。本明細書に提供される診断方法の特定の実施形態においては、正常な対照試料中の発現レベルと比較した、生物試料中のフィラミンAまたは前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上の検出された発現レベルの増加がないことは、被験体が前立腺癌に罹患していないか、または前立腺癌を発症する素因がないことを示す。一実施形態においては、患者の年齢も決定し、予測変数として用いる。例えば、患者年齢の増加は、被験体が前立腺癌に罹患しているか、または前立腺癌を発症する素因があることを示す。
本明細書に提供される診断方法の特定の実施形態においては、正常な対照試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現レベルと比較した、生物試料中のフィラミンAのみ、または前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAからなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現レベルの増加は、被験体が前立腺癌を発症する素因があることを示す。一実施形態においては、患者の年齢も決定し、予測変数として用いる。例えば、患者年齢の増加は、被験体が前立腺癌に罹患しているか、または前立腺癌を発症する素因があることを示す。
本明細書に提供されるモニタリング方法の特定の実施形態においては、第1の試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現レベルと比較した、第2の試料中のフィラミンAのみ、または前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAからなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのいずれかの検出された発現レベルの増加がないことは、療法が被験体における前立腺癌を処置するのに有効であることを示す。特定の実施形態においては、本明細書に提供されるモニタリング方法は、第1の試料中のフィラミンAのみ、もしくは前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAからなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現レベルまたは第2の試料中のフィラミンAのみ、もしくは前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAからなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現レベルと、対照試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現とを比較することをさらに含む。
本明細書に提供されるモニタリング方法の特定の実施形態においては、第1の試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現レベルと比較した、第2の試料中のフィラミンAのみ、または前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAからなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現レベルの増加は、被験体における前立腺癌の積極的処置の選択を示す。本明細書に提供されるモニタリング方法の特定の実施形態においては、第1の試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現レベルと比較した、第2の試料中のフィラミンAのみ、または前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAからなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのいずれかの検出された発現レベルの増加がないことは、被験体における前立腺癌の積極的処置の選択を示す。本明細書に提供されるモニタリング方法の特定の実施形態においては、第1の試料中の発現レベルと比較した、第2の試料中のフィラミンAのみ、または前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAの発現レベルの増加は、療法が前立腺癌の処置において有効ではないことを示す。
本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、フィラミンAのみ、または前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAの群より選択される。本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、少なくともケラチン7、ケラチン8、およびケラチン15を含む。本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、ケラチン7、ケラチン15、およびケラチン19の群より選択される。本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、少なくともケラチン7またはケラチン15を含む。本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、正常対照試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルと比較した、生物試料中の少なくともケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3を含む1種以上の前立腺癌関連マーカーは、前立腺癌状態における調節を示す。
本明細書に提供されるモニタリング方法の特定の実施形態においては、第1の試料中の対応するマーカーの発現レベルと比較した、第2の試料中のフィラミンAのみ、または前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAからなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現レベルの調節は、被験体における前立腺癌の処置に応答する前立腺癌状態の変化を示す。本明細書に提供されるモニタリング方法の特定の実施形態においては、前記方法はさらに、第1の試料中のケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現のレベル、または第2の試料中のケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現のレベルを、正常対照試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現のレベルと比較することを含む。
上記の実施形態のいずれかにおいて、前記方法はまた、前立腺癌を有するか、または前立腺癌について処置される被験体が特定の処置に応答するかどうかを決定するステップを含んでもよい。そのようなステップは、例えば、抗前立腺癌処置を投与する前に、フィラミンAのみ、または前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAからなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現レベルを測定すること、ならびに抗前立腺癌処置を投与した後に、フィラミンAのみ、または前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAからなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現レベルを測定すること、ならびに処置の前後の発現レベルを比較することを含んでもよい。1種以上のマーカーの発現レベルが処置後と比較して処置前により低い場合、前立腺癌が処置に応答すると決定される。この方法は、処置に対する応答性を増加させるために処置をより高用量に調整するステップ、または処置に対する応答性を低下させるために処置をより低用量に調整するステップをさらに含んでもよい。
上記の実施形態のいずれかにおいて、前記方法はまた、前立腺癌を有するか、または前立腺癌について処置される被験体が特定の処置に応答するかどうかを決定するステップを含んでもよい。そのようなステップは、例えば、抗前立腺癌処置を投与する前に、フィラミンAのみ、または前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAからなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現レベルを測定すること、ならびに抗前立腺癌処置を投与した後に、フィラミンAのみ、または前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAからなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現レベルを測定すること、ならびに処置の前後の発現レベルを比較することを含んでもよい。1種以上のマーカーの発現レベルが処置後と比較して処置前により高い場合、前立腺癌が処置に応答すると決定される。この方法は、処置に対する応答性を増加させるために処置をより高用量に調整するステップ、または処置に対する応答性を低下させるために処置をより低用量に調整するステップをさらに含んでもよい。
上記の実施形態のいずれかにおいて、前記方法はまた、前立腺癌を有するか、または前立腺癌について処置される被験体が特定の処置に応答しないかどうかを決定するステップを含んでもよい。そのようなステップは、例えば、抗前立腺癌処置を投与する前に、フィラミンAのみ、または前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAからなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現レベルを測定すること、ならびに抗前立腺癌処置を投与した後に、フィラミンAのみ、または前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAからなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現レベルを測定すること、ならびに処置の前後の発現レベルを比較することを含んでもよい。1種以上のマーカーの発現レベルが処置後と比較して処置前により低い場合、前立腺癌が処置に応答しないと決定される。この方法は、処置に対する応答性を増加させるために処置をより高用量に調整するステップをさらに含んでもよい。
上記の実施形態のいずれかにおいて、前記方法はまた、前立腺癌を有するか、または前立腺癌について処置される被験体が特定の処置に応答しないかどうかを決定するステップを含んでもよい。そのようなステップは、例えば、抗前立腺癌処置を投与する前に、フィラミンAのみ、または前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAからなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現レベルを測定すること、ならびに抗前立腺癌処置を投与した後に、フィラミンAのみ、または前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAからなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現レベルを測定すること、ならびに処置の前後の発現レベルを比較することを含んでもよい。1種以上のマーカーの発現レベルが処置後と比較して処置前により高い場合、前立腺癌が処置に応答しないと決定される。この方法は、処置に対する応答性を増加させるために処置をより高用量に調整するステップをさらに含んでもよい。
特定の実施形態においては、本明細書に提供される診断方法は、生物試料中の前立腺特異的抗原(PSA)の発現のレベルを検出することをさらに含み、好ましくは生物試料中のPSAの発現のレベルと、正常対照試料中のPSA発現レベルとを比較することをさらに含む。特定の実施形態においては、PSAレベルと、1種以上の前立腺癌マーカーレベルとの組合せは、方法の予測値を増加させる。
特定の実施形態において、本明細書に提供されるモニタリング方法は、第1の試料および第2の試料中の前立腺特異的抗原(PSA)の発現のレベルを検出することをさらに含み、好ましくは、第1の試料中のPSAの発現のレベルと、第2の試料中のPSAの発現のレベルとを比較することをさらに含む。特定のモニタリング方法においては、前立腺癌マーカーレベルの変化と組合わせたPSAレベルの変化は、方法の予測値を増加させる。
特定の実施形態においては、本明細書に提供される診断およびモニタリング方法は、生物試料中の1種以上の前立腺マーカーの検出レベルと、対照試料が生物試料よりも早い時点で同じ被験体から得られた試料、良性前立腺過形成(BPH)を有する被験体から得られた試料、非転移性前立腺癌を有する被験体から得られた試料、転移性前立腺癌を有する被験体から得られた試料、アンドロゲン感受性前立腺癌を有する被験体から得られた試料、アンドロゲン非感受性前立腺癌を有する被験体から得られた試料、侵攻性前立腺癌を有する被験体から得られた試料、および非侵攻性前立腺癌を有する被験体から得られた試料のうちの1つ以上である、1つ以上の対照試料とを比較することをさらに含む。生物試料中のマーカーレベルと、様々な正常および異常な前立腺状態を有する被験体から得られた対照試料との比較により、正常な前立腺と前立腺癌、良性前立腺過形成と前立腺癌、良性前立腺過形成と正常な前立腺、アンドロゲン依存的前立腺癌とアンドロゲン非依存的前立腺癌、侵攻性前立腺癌と非侵攻性前立腺癌、侵攻性前立腺癌と非侵攻性前立腺癌などの様々な前立腺状態間、または正常な前立腺、前立腺癌、良性前立腺過形成、アンドロゲン依存的前立腺癌、アンドロゲン非依存的前立腺癌、侵攻性前立腺癌、非侵攻性前立腺癌、転移性前立腺癌、および非転移性前立腺癌を含む任意の2つ以上の前立腺状態間の識別が容易になる。
特定の実施形態においては、本明細書に提供される診断およびモニタリング方法は、被験体における前立腺腫瘍のサイズを検出することをさらに含む。特定の実施形態においては、本明細書に提供されるモニタリング方法は、腫瘍のサイズまたは相対的侵攻性の変化を検出することをさらに含む。特定の実施形態においては、被験体における前立腺腫瘍のサイズは、被験体に処置レジメンの少なくとも一部を施す前に検出される。特定の実施形態において、被験体における前立腺腫瘍のサイズは、被験体に処置レジメンの少なくとも一部を施した後に検出される。特定のモニタリング方法は、被験体に処置レジメンの少なくとも一部を投与する前の被験体における前立腺腫瘍のサイズと、被験体に処置レジメンの少なくとも一部を投与した後の被験体における前立腺腫瘍のサイズとを比較することをさらに含む。診断およびモニタリング方法の特定の他の実施形態は、前立腺癌の特定のステージまたは等級、例えば、グリソン等級1、等級2、等級3、等級4、もしくは等級5の前立腺癌またはTNM分類を決定することをさらに含む。他の実施形態においては、本発明はまた、任意の臨床および/または患者関連健康データ、例えば、電子的医療記録から得られたデータ(例えば、人口統計、病歴、投薬およびアレルギー、免疫化状態、検査室検査の結果、放射線画像、バイタルサイン、年齢および体重などの個人統計値、および請求書情報などの、様々な型のデータと関連する個々の患者または集団に関する電子健康情報の収集物)の分析および考慮も含む。
特定の実施形態においては、本明細書に提供される診断およびモニタリング方法は、被験体試料を取得することをさらに含む。
特定の実施形態においては、本明細書に提供される診断およびモニタリング方法は、フィラミンAのみ、またはフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAからなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現レベルに基づいて、被験体のための処置レジメンを選択することをさらに含む。
特定の実施形態においては、本明細書に提供される診断およびモニタリング方法は、前立腺癌を有するか、または有すると疑われる被験体を選択することをさらに含む。
特定の実施形態においては、本明細書に提供される診断およびモニタリング方法は、被験体を、外科手術、放射線、ホルモン療法、抗体療法、増殖因子を用いる療法、サイトカイン、および化学療法からなる群より選択される1種以上の処置を含むレジメンで処置することをさらに含む。
特定の実施形態においては、本明細書に提供される診断およびモニタリング方法は、本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の結果に基づいて、被験体のための1種以上の特異的処置レジメンを選択することをさらに含む。一実施形態においては、被験体/試料中で検出されるバイオマーカー特徴を有する前立腺癌に対して有効であることが知られる処置レジメンを、被験体のために選択する。特定の実施形態においては、処置方法は、例えば、被験体が処置レジメンに応答していると決定される場合、または被験体が処置レジメンに応答していないと決定される場合、または被験体が処置レジメンに十分に応答していないと決定される場合、本発明の診断または予後診断方法に由来する結果に基づいて開始、変更、修正、または維持される。特定の実施形態においては、処置方法は、診断または予後診断方法に由来する結果に基づいて変更される。
特定の他の実施形態においては、本明細書に提供される診断およびモニタリング方法は、本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の結果に基づいて被験体のための1つ以上の特定の処置レジメンを導入することをさらに含む。一実施形態においては、前立腺癌に対して有効であることが知られる処置レジメンを、被験体のために選択する。特定の実施形態においては、処置方法は、例えば、被験体が処置レジメンに応答していると決定される場合、または被験体が処置レジメンに応答していないと決定される場合、または被験体が処置レジメンに十分に応答していないと決定される場合、本発明の診断または予後診断方法に由来する結果に基づいて開始、変更、修正、または維持される。特定の実施形態においては、処置方法は、診断または予後診断方法に由来する結果に基づいて変更される。
さらに他の実施形態においては、本明細書に提供される診断およびモニタリング方法は、本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の結果に基づいて、治療上有効量の抗前立腺癌療法を投与するステップをさらに含む。一実施形態においては、前立腺癌に対して有効であることが知られる処置レジメンを、被験体のために選択する。特定の実施形態においては、処置方法は、例えば、被験体が前立腺癌を示すいくらかの閾値レベルより上の本発明の1種以上のバイオマーカー(例えば、フィラミンAのみ、またはフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンA)を発現すると決定される場合、本発明の診断または予後診断方法に由来する結果に基づいて投与される。
さらに他の実施形態においては、本明細書に提供される診断およびモニタリング方法は、本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の結果に基づいて、治療上有効量の抗前立腺癌療法を投与するステップをさらに含む。一実施形態においては、前立腺癌に対して有効であることが知られる処置レジメンを、被験体のために選択する。特定の実施形態においては、処置方法は、例えば、被験体が前立腺癌を示すいくらかの閾値レベルより下の本発明の1種以上のバイオマーカー(例えば、フィラミンAのみ、またはフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンA)を発現すると決定される場合、本発明の診断または予後診断方法に由来する結果に基づいて投与される。
さらに他の実施形態においては、本明細書に提供される診断およびモニタリング方法は、本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の結果に基づいて、抗前立腺癌療法の用量を増加させる、減少させる、または変更するステップをさらに含む。一実施形態においては、前立腺癌に対して有効であることが知られる処置レジメンを、被験体のために選択する。特定の実施形態においては、処置方法は、例えば、被験体が前立腺癌を示すいくらかの閾値レベルより上の本発明の1種以上のバイオマーカー(例えば、フィラミンAのみ、またはフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンA)を発現すると決定される場合、本発明の診断または予後診断方法に由来する結果に基づいて投与される。
さらに他の実施形態においては、本明細書に提供される診断およびモニタリング方法は、本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の結果に基づいて、抗前立腺癌療法の用量を増加させる、減少させる、または変更するステップをさらに含む。一実施形態においては、前立腺癌に対して有効であることが知られる処置レジメンを、被験体のために選択する。特定の実施形態においては、処置方法は、例えば、被験体が前立腺癌を示すいくらかの閾値レベルより下の本発明の1種以上のバイオマーカー(例えば、フィラミンAのみ、またはフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンA)を発現すると決定される場合、本発明の診断または予後診断方法に由来する結果に基づいて投与される。
特定の実施形態においては、処置レジメンの変更は、ホルモンに基づく療法処置を変更することを含む。特定の実施形態においては、前立腺癌のための処置は、本明細書に提供されるその後の診断、予後診断、またはモニタリング方法を実施する前の一定間隔での請求項1〜64のいずれか一項に記載の方法の結果に基づく外科手術、放射線、ホルモン療法、抗体療法、増殖因子を用いる療法、サイトカイン、または化学療法の1種以上を含む。
本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、方法は、生物試料の成分を単離することをさらに含む。
本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、方法は、生物試料の成分を標識することをさらに含む。
本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、方法は、生物試料の成分を増幅することをさらに含む。
本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、方法は、プローブおよび生物試料の成分と複合体を形成させることを含む。特定の実施形態においては、プローブとの複合体の形成は、少なくとも1つの非天然試薬と複合体を形成させることを含む。本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、方法は、生物試料を処理することを含む。本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、少なくとも2つのマーカーのレベルを検出する方法は、マーカーのパネルを含む。本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、レベルを検出する方法は、検出しようとするマーカーを固相表面に結合させることを含む。
本発明は、被験体における前立腺癌の積極的処置の施行を選択するか、または積極的処置の施行への反対を選択する方法であって、
(1)第1の時点で前立腺癌を有する被験体から得られた第1の試料中のフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータからなる群より選択される1種以上のマーカーのレベルを検出することであって、ここで被験体は前立腺癌について積極的に処置されておらず;
(2)第2の時点で被験体から得られた第2の試料中のフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3からなる群より選択される1種以上のマーカーのレベルを検出することであって、例えば、ここで被験体は積極的に処置されておらず;
(3)第1の試料中のフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3からなる群より選択される1種以上のマーカーのレベルと、第2の試料中のフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3からなる群より選択される1種以上のマーカーのレベルとを比較すること
を含み、前立腺癌の積極的処置の施行または積極的処置の施行への反対を選択することは、第1の試料と第2の試料との間の1種以上のマーカーの発現のレベルの変化の存在または非存在に基づくものである、前記方法を提供する。
特定の実施形態においては、前記方法は、第3の時点で被験体から得られた第3の試料を取得すること(例えば、ここで被験体は積極的に処置されておらず)、第3の試料中のフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3からなる群より選択される1種以上のマーカーのレベルを検出すること、ならびに第3の試料中のフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3からなる群より選択される1種以上のマーカーのレベルと、第1の試料中の1種以上のマーカーおよび/または第2の試料中の1種以上のマーカーのレベルとを比較することをさらに含む。
特定の実施形態においては、第1の試料中のマーカーのレベルと比較した、第2の試料中のフィラミンAのみ、またはフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAのレベルの増加は、療法が前立腺癌の処置において有効ではないことを示す。
特定の実施形態においては、第1の試料中のマーカーのレベルと比較した、第2の試料中のフィラミンAのみ、またはフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAのレベルの増加は、前立腺癌のための積極的な処置を選択するための示唆である。
特定の実施形態においては、前記方法は、第1の試料中の、フィラミンAのみ、もしくはフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAからなる群より選択される1種以上のマーカーのレベルまたは第2の試料中の、フィラミンAのみ、もしくはフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAからなる群より選択される1種以上のマーカーのレベルと、対照試料中の、フィラミンAのみ、もしくはフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAの1種以上のレベルとを比較することをさらに含む。特定の実施形態においては、前記方法は、第1の試料中の、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリン-ベータ3のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAのレベルを検出すること;第2の試料中の、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリン-ベータ3のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAのレベルを検出すること;ならびに第2の試料中のケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリン-ベータ3のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAのレベルと、第1の試料中のケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリン-ベータ3と組合わせたフィラミンAのレベルの1つ以上とを比較することを含む。特定の実施形態においては、前記方法は、ケラチン7、ケラチン8、およびケラチン15;フィラミンAと組合わせたケラチン7、15、および19;ならびにケラチン7またはケラチン15などの、ケラチンのサブセットの検出を含む。特定の実施形態においては、前記方法は、第1の試料中の、フィラミンAと組合わせたケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3のうちの1種以上のレベル;または第2の試料中の、フィラミンAと組合わせたケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3のうちの1種以上の発現レベルと、対照試料中の、フィラミンAと組合わせたケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3のうちの1種以上のレベルとを比較することをさらに含む。
特定の実施形態においては、第1の試料と第2の試料との間で、フィラミンAのみ、またはフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAからなる群より選択される1種以上のマーカーの発現レベルの変化がないことは、前立腺癌のための積極的処置への反対を選択するための示唆である。
特定の実施形態においては、前記方法は、第1の試料および第2の試料中の前立腺特異的抗原(PSA)のレベルを検出することをさらに含み、次いで、好ましくは、第1の試料中のPSAのレベルと、第2の試料中のPSAのレベルとを比較することをさらに含む。
特定の実施形態においては、第1の試料中の、フィラミンAのみ、またはフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAのうちの1種以上のレベルと比較した、第2の試料中の、フィラミンAのみ、またはフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAのうちの1種以上のレベルの低下と組合わせた、第1の試料中のPSAのレベルと比較した第2の試料中のPSAのレベルの低下は、療法が単一のマーカー単独の分析よりも、被験体における前立腺癌を処置するのに有効であることのより高い予測値を有する。
特定の実施形態においては、第1の試料中の、フィラミンA、またはフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAのうちの1種以上のレベルと比較した、第2の試料中の、フィラミンAのみ、またはフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAのうちの1種以上のレベルの低下と組合わせた、第1の試料中のPSAのレベルと比較した第2の試料中のPSAの発現レベルの低下は、単一のマーカー単独の分析よりも、前立腺癌のための積極的処置への反対を選択するためのより高い予測値を有する。
6. 臨床試験のモニタリング
本発明のマーカーの発現のレベルに対する薬剤(例えば、薬物化合物)の影響のモニタリングを、単一の被験体の処置の基礎的薬物スクリーニングまたはモニタリングだけでなく、臨床試験においても適用することができる。例えば、マーカー発現に影響する薬剤の有効性を、腫瘍性障害のための処置を受けている被験体の臨床試験においてモニタリングすることができる。好ましい実施形態においては、本発明は、薬剤(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド模倣物質、タンパク質、ペプチド、核酸、低分子、または他の薬物候補)を用いる被験体の処置の有効性をモニタリングするための方法であって、(i)薬剤の投与の前に被験体から投与前試料を取得するステップ;(ii)投与前試料中の本発明の1種以上の選択されたマーカー(例えば、場合によりPSAと組合わせた、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3)の発現のレベルを検出するステップ;(iii)被験体から1種以上の投与後試料を取得するステップ;(iv)投与後試料中のマーカーの発現のレベルを検出するステップ;(v)投与前試料中のマーカーの発現のレベルと、投与後試料中のマーカーの発現のレベルとを比較するステップ;ならびに(vi)それに応じて被験体への薬剤の投与を変化させるステップを含む、前記方法を提供する。例えば、処置の経過中のマーカー遺伝子の発現の増加は、用量が無効であること、および用量を増加させることが望ましいことを示してもよい。逆に、マーカー遺伝子の発現の低下は、処置が有効であること、および用量を変化させる必要がないことを示してもよい。
H. 処置/治療剤
本発明は、被験体、例えば、哺乳動物、例えば、ヒトにおける疾患状態を処置するための、フィラミンA、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FNLB)、およびリンパ球抗原9(LY9)からなる群より選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、または9種)のマーカーの使用のための方法を提供する。
本発明はまた、フィラミンAのみ、またはフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、PSM、PSCA、TMPRSS2、PDEF、HPG-1、PCA3、およびPCGEM1のうちの1種以上と組合わせたフィラミンAからなる群より選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8または9種)のマーカーの発現または活性を調節する(例えば、減少させる、または増加させる、好ましくは、減少させる)治療剤、例えば、核酸に基づく治療剤を用いた、前立腺癌を有する被験体の処置のための方法も提供する。
本発明はまた、対照と比較した、フィラミンA、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FNLB)、およびリンパ球抗原9(LY9)からなる群より選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、または9種)のマーカーのレベルの変化の検出に応じた、公知の処置剤、特に、ホルモンに基づく療法と非ホルモンに基づく療法、および活動的または積極的処置と「待機療法」の選択および/または施行のための方法も提供する。処置レジメンの選択は、治療方法の選択を補助するためのPSAの検出をさらに含んでもよい。処置方法の選択はまた、画像試験の結果、腫瘍のサイズまたは増殖速度、結果不良の危険性、日常活動の崩壊、および年齢、グリソンスコア(例えば、等級1、等級2、等級3、等級4、または等級5の前立腺癌)、TNM分類、臨床および/または患者関連健康データ、例えば、電子的医療記録から得られたデータ(例えば、人口統計、病歴、投薬およびアレルギー、免疫化状態、検査室検査の結果、放射線画像、バイタルサイン、年齢および体重などの個人統計値、および請求書情報などの、様々な型のデータと関連する個々の患者または集団に関する電子健康情報の収集物)などの、他の診断的考慮および患者の特徴を含んでもよい。
本明細書で用いられる場合、侵攻性前立腺癌などの用語「侵攻性腫瘍性障害」は、速く増殖する腫瘍を含む腫瘍性障害を指す。侵攻性腫瘍性障害は、典型的には、治療的処置に対して応答しない、弱く応答する、または応答を失う。例えば、前立腺癌は、ホルモン療法、化学療法、外科手術、および/または放射線を含む必要とする処置に対する応答の喪失時に侵攻性前立腺癌になると考えられる。本明細書で用いられる場合、侵攻性前立腺癌は、例えば、転移する可能性があるか、または転移したものである。本明細書で用いられる場合、侵攻性前立腺癌は、腫瘍が増殖するにつれて生活の質の有意な変化をもたらすものである。積極的処置は、侵攻性腫瘍性障害、例えば、侵攻性前立腺癌について治療的に指示される。
本明細書で用いられる場合、非侵攻性前立腺癌などの用語「非侵攻性腫瘍性障害」とは、ゆっくりと増殖する腫瘍を含む腫瘍性障害を指す。非侵攻性腫瘍性障害は、典型的には、治療的処置に好意的に、もしくは適度に応答するか、または即時的処置が保証されないほどゆっくりと増殖する。非侵攻性前立腺腫瘍は、当業者、例えば、腫瘍学者であれば、積極的処置は、特に高齢被験体においては、疾患よりも害を及ぼし得るため、癌の処置のための通常の介入、例えば、化学療法、放射線、外科手術で積極的に処置しないことを決定することができるものである。非侵攻性前立腺腫瘍は、当業者であれば、その人を腫瘍の存在または増殖を変化させるための任意の積極的な治療的介入(例えば、放射線、外科手術、化学療法、ホルモン療法)にかけるよりもむしろ、「待機療法」を用いてモニタリングすることを決定することができるものである。
1. 核酸治療剤
核酸治療剤は、当業界で周知である。核酸治療剤は、細胞中の標的配列と相補的である一本鎖および二本鎖の両方(すなわち、1つまたは2つの核酸鎖であってもよい少なくとも15ヌクレオチドの長さの相補的領域を有する核酸治療剤)の核酸を含む。核酸治療剤を、例えば、核酸を、培養培地に単独で、または薬剤と一緒に添加して、細胞中への核酸の取込みを促進することにより、培養中の細胞に送達することができる。核酸治療剤を、任意の投与経路により、被験体中の細胞に、すなわち、in vivoで送達することができる。特定の製剤は、投与経路に依存する。
本明細書で用いられる場合、別途指摘しない限り、用語「相補的」は、第2のヌクレオチド配列との関連で第1のヌクレオチド配列を記述するために用いられる場合、当業者によって理解されるように、第1のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドが、特定の条件下で、第2のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドとハイブリダイズし、二本鎖構造を形成する能力を指す。そのような条件は、例えば、ストリンジェントな条件であってもよく、その場合、ストリンジェントな条件は、50℃または70℃で12〜16時間の400mM NaCl、40mM PIPES pH6.4、1mM EDTA、次いで、洗浄を含んでもよい。生物の内部で遭遇し得るような生理的に関連する条件などの他の条件も適用することができる。当業者であれば、ハイブリダイズしたヌクレオチドの最終的な適用に従って、2つの配列の相補性の試験にとって最も適切な条件のセットを決定することができる。
配列は、第1および第2のヌクレオチドの全長にわたって、第1のヌクレオチド配列のヌクレオチドと、第2のヌクレオチド配列のヌクレオチドとの塩基対形成が存在する場合、それぞれに関して「完全に相補的」であってもよい。しかしながら、本明細書において第1の配列を、第2の配列に関して「実質的に相補的」であると言う場合、2つの配列は、完全に相補的であってもよいか、またはそれらはハイブリダイゼーション時に1個以上であるが、一般には4、3または2個以下の不一致の塩基対を形成してもよいが、その最終的な適用と最も関連する条件下でハイブリダイズする能力を保持する。しかしながら、2つのオリゴヌクレオチドが、ハイブリダイゼーションの際に、二本鎖核酸治療剤において一般的であるように、1個以上の一本鎖突出を形成するように設計される場合、そのような突出は、相補性の決定に関して不一致と見なすべきではない。例えば、長さ21ヌクレオチドの1つのオリゴヌクレオチドおよび長さ23ヌクレオチドの別のオリゴヌクレオチドを含むdsRNAであって、長い方のオリゴヌクレオチドが短い方のオリゴヌクレオチドと完全に相補的である21ヌクレオチドの配列を含むdsRNAは、依然として本明細書に記載の目的のために「完全に相補的」であると言うことができる。
本明細書で用いられる「相補的」配列はまた、ハイブリダイズするそれらの能力に関して上記の要件が満たされる限り、非ワトソン・クリック塩基対および/または非天然の改変されたヌクレオチドから形成される塩基対を含むか、または全体としてそれから形成されていてもよい。そのような非ワトソン・クリック塩基対は、限定されるものではないが、G:U WobbleまたはHoogsteinの塩基対が挙げられる。
本明細書における用語「相補的」、「完全に相補的」および「実質的に相補的」は、それらの使用の文脈から理解されるように、dsRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖の間、またはアンチセンス核酸もしくはdsRNAのアンチセンス鎖と、標的配列の間の塩基不一致に関して用いることができる。
本明細書で用いられる場合、メッセンジャーRNA(mRNA)の「少なくとも一部と実質的に相補的」であるポリヌクレオチドは、5'UTR、オープンリーディングフレーム(ORF)、または3'UTRを含む、目的のmRNA(例えば、フィラミンB、LY9、ケラチン、チューブリン-ベータ3、またはPSAをコードするmRNA)の連続的部分と実質的に相補的であるポリヌクレオチドを指す。例えば、ポリヌクレオチドは、その配列がフィラミンB、LY9、ケラチン、チューブリン-ベータ3、またはPSAをコードするmRNAの非中断部分と実質的に相補的である場合、フィラミンB、LY9、ケラチン、チューブリン-ベータ3、またはPSAのmRNAの少なくとも一部と相補的である。
核酸治療剤は、典型的には、その安定性を改善するため、ならびにその薬物動態的および薬力学的特性を調節するための化学的改変を含む。例えば、ヌクレオチド上の改変としては、限定されるものではないが、LNA、HNA、CeNA、2'-ヒドロキシル、およびその組合せが挙げられる。
核酸治療剤は、少なくとも1個のホスホロチオエートまたはメチルホスホネートヌクレオチド間結合をさらに含んでもよい。ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートヌクレオチド間結合改変は、鎖の任意の位置でセンス鎖またはアンチセンス鎖またはその両方(センス鎖を含む核酸治療剤における)の任意のヌクレオチド上に存在してもよい。例えば、ヌクレオチド間結合改変は、センス鎖もしくはアンチセンス鎖上の全てのヌクレオチド上に存在してもよい;それぞれのヌクレオチド間結合改変は、センス鎖もしくはアンチセンス鎖上に交互のパターンで存在してもよい;またはセンス鎖もしくはアンチセンス鎖は、交互のパターンで両方のヌクレオチド間結合改変を含んでもよい。センス鎖上のヌクレオチド間結合改変の交互パターンは、アンチセンス鎖と同じであるか、または異なっていてもよく、センス鎖上のヌクレオチド間結合改変の交互パターンは、アンチセンス鎖上のヌクレオチド間結合改変の交互パターンに対してシフトを有してもよい。
A. 一本鎖治療剤
典型的には、約16〜30ヌクレオチド長である、アンチセンス核酸治療剤一本鎖核酸治療剤は、培養物または生物中で、標的細胞中の標的核酸配列と相補的である。
アンチセンス核酸、化学的改変、および治療的使用に関する特許は、例えば、化学的に改変されたRNAを含有する治療化合物に関する米国特許第5,898,031号、および治療剤としてこれらの化合物を用いる方法に関する米国特許第6,107,094号に提供される。一本鎖化学的改変RNA様化合物を投与することによって患者を処置する方法に関する米国特許第7,432,250号;および一本鎖化学的改変RNA様化合物を含有する医薬組成物に関する米国特許第7,432,249号。米国特許第7,629,321号は、複数のRNAヌクレオシドおよび少なくとも1個の化学的改変を有する一本鎖オリゴヌクレオチドを用いる標的mRNAを切断する方法に関する。本段落に列挙された特許はそれぞれ、参照により本明細書に組込まれるものとする。
B. 二本鎖治療剤
多くの実施形態において、二本鎖領域は、長さ15〜30ヌクレオチド対である。いくつかの実施形態においては、二本鎖領域は、長さ17〜23ヌクレオチド対、長さ17〜25ヌクレオチド対、長さ23〜27ヌクレオチド対、長さ19〜21ヌクレオチド対、または長さ21〜23ヌクレオチド対である。
特定の実施形態においては、それぞれの鎖は、15〜30ヌクレオチドを有する。
本発明の方法において用いられるRNAi剤は、例えば、WO2009/073809およびWO/2012/037254(それぞれの全内容は参照により本明細書に組込まれるものとする)に開示された化学的改変を有する薬剤を含む。
本発明の方法における使用のための核酸治療剤は、二本鎖核酸治療剤も含む。「RNAi剤」、「二本鎖RNAi剤」、「二本鎖RNA(dsRNA)分子」は、「dsRNA剤」、「dsRNA」、「siRNA」、「iRNA剤」とも呼ばれ、本明細書で互換的に用いられるが、以下に定義されるように、2個の逆平行の、実質的に相補的な核酸鎖を含む二本鎖構造を有する、リボ核酸分子の複合体を指す。本明細書で用いられる場合、RNAi剤は、dsiRNAを含んでもよい(例えば、参照により本明細書に組込まれる米国特許出願公開第20070104688号を参照されたい)。一般に、それぞれの鎖のヌクレオチドの大部分はリボヌクレオチドであるが、本明細書に記載のように、それぞれ、または両方の鎖は、1個以上の非リボヌクレオチド、例えば、デオキシリボヌクレオチドおよび/または改変ヌクレオチドを含んでもよい。さらに、本明細書で用いられる場合、「RNAi剤」は、化学的改変を含むリボヌクレオチドを含んでもよい;RNAi剤は、複数のヌクレオチドに実質的な改変を含んでもよい。そのような改変は、本明細書に開示されるか、または当業界で公知のあらゆる型の改変を含んでもよい。siRNA型分子において用いられる場合、任意のそのような改変は、本明細書および特許請求の範囲のために「RNAi剤」により包含される。本発明の方法において用いられるRNAi剤は、例えば、2011年11月18日に出願された米国特許仮出願第61/561,710号、2010年9月15日に出願された国際出願第PCT/US2011/051597号、およびPCT公開WO2009/073809(それぞれの全内容が参照により本明細書に組込まれる)に開示されたような化学的に改変された薬剤を含む。二本鎖構造を形成する2つの鎖は、1つのより大きなRNA分子の異なる部分であってもよく、またはそれらは別々のRNA分子であってもよい。2つの鎖が一つのより大きな分子の一部であり、従って、二本鎖構造を形成する一方の鎖の3'末端と、対応する他方の鎖の5'末端とのヌクレオチドの非中断鎖によって接続される場合、接続するRNA鎖は、「ヘアピンループ」と呼ばれる。2つの鎖が、二本鎖構造を形成する一方の鎖の3'末端と、対応する他の鎖の5'末端とのヌクレオチドの非中断鎖以外の手段によって共有的に接続される場合、接続構造は「リンカー」と呼ばれる。RNA鎖は、同じか、または異なる数のヌクレオチドを有してもよい。塩基対の最大数は、dsRNAの最も短い鎖中のヌクレオチド数から、二本鎖中に存在する任意の突出部を差し引いたものである。二本鎖構造に加えて、RNAi剤は、1個以上のヌクレオチド突出を含んでもよい。用語「siRNA」は、本明細書では上記のRNAi剤を指すように用いられる。
別の態様において、前記薬剤は、一本鎖アンチセンスRNA分子である。アンチセンスRNA分子は、標的mRNA内の配列と相補的である。アンチセンスRNAは、mRNAと塩基対を形成し、翻訳機構を物理的に妨害することによって、化学量論的様式で翻訳を阻害することができる。Dias, N.ら(2002) Mol Cancer Ther 1:347-355を参照されたい。アンチセンスRNA分子は、標的mRNAと相補的である約15〜30個のヌクレオチドを有してもよい。例えば、アンチセンスRNA分子は、本明細書に提供されるフィラミンBまたはLY9と相補的な少なくとも15、16、17、18、19、20個以上の連続するヌクレオチドの配列を有してもよい。
用語「アンチセンス鎖」は、標的配列(例えば、ヒトTTR mRNA)と実質的に相補的である領域を含む二本鎖RNAi剤の鎖を指す。本明細書で用いられる用語「トランスサイレチンをコードするmRNAの一部と相補的な領域」とは、TTR mRNA配列の一部と実質的に相補的であるアンチセンス鎖上の領域を指す。相補性の領域が標的配列と完全に相補的ではない場合、不一致は、末端領域中で最も許容され、存在する場合、一般的には末端領域中、例えば、5'および/または3'末端の6、5、4、2、または2ヌクレオチド以内にある。
本明細書で用いられる用語「センス鎖」とは、アンチセンス鎖の領域と実質的に相補的である領域を含むdsRNAの鎖を指す。
本発明はまた、分子ビーコンが試料中の本発明の核酸の存在を定量するのに有用であるような、本発明の核酸と相補的である少なくとも1つの領域を有する分子ビーコン核酸も含む。「分子ビーコン」核酸は、一対の相補的領域を含み、フルオロフォアおよびそれと会合する蛍光クエンチャーを有する核酸である。フルオロフォアとクエンチャーは、相補的領域が互いにアニーリングする場合、フルオロフォアの蛍光がクエンチャーによってクエンチされるような向きで、核酸の異なる部分と会合する。核酸の相補的領域が互いにアニーリングしない場合、フルオロフォアの蛍光は、より低い程度でクエンチされる。分子ビーコン核酸は、例えば、米国特許第5,876,930号に記載されている。
I. 薬物スクリーニング
上述の通り、発現レベルが1種以上の選択された前立腺疾患特徴(例えば、前立腺癌の進行)と相関するバイオマーカーのセットは、これらのバイオマーカー遺伝子および/またはその産物の発現を阻害または増強する化合物または実体を検出するためのスクリーニングによる新しい治療剤の同定のための魅力的な標的である。従って、本発明は、前立腺癌進行を調節するのに潜在的に有用な化合物の同定のための方法を提供する。特に、本発明は、化合物が、フィラミンA、ならびに/または前立腺特異的抗原(PSA)、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3などの他のバイオマーカーと組合わせたフィラミンAの発現を調節する(例えば、増加させる、または減少させる、好ましくは、減少させる、または阻害する)前立腺癌進行を調節するのに潜在的に有用な化合物の同定のための方法を提供する。
そのようなアッセイは、典型的には、本発明のマーカーと、1つ以上のアッセイ成分との反応を含む。他の成分は、試験化合物自体、または試験化合物と、本発明のマーカーの天然の結合パートナーとの組合せのいずれかであってもよい。本明細書に記載のものなどのアッセイにより同定された化合物は、例えば、疾患を調節する、例えば、阻害する、改善する、処置する、または防止するのに有用であってもよい。場合によりPSAと組合わせて、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB、またはLY9の1つ以上の発現レベルを調節するために同定される化合物は、好ましくは、癌、好ましくは、前立腺癌の処置において有用な活性、例えば、腫瘍細胞増殖の阻害、腫瘍血管形成の阻害、腫瘍細胞のアポトーシスの誘導等についてさらに試験される。
本発明のスクリーニングアッセイにおいて用いられる試験化合物を、天然および/または合成化合物の体系的ライブラリーを含む、任意の利用可能な供給源から取得することができる。また、試験化合物を、生物ライブラリー;ペプトイドライブラリー(ペプチドの機能を有するが、酵素的分解に対して抵抗性であるが、それにも拘らず生物活性を保持する新規非ペプチド骨格を有する分子のライブラリー;例えば、Zuckermannら、1994, J.Med.Chem.37:2768-85を参照されたい);空間的に接近可能な平行固相または液相ライブラリー;解析を要する合成ライブラリー法;「1ビーズ1化合物」ライブラリー法;およびアフィニティクロマトグラフィー選択を用いる合成ライブラリー法などの当業界で公知のコンビナトリアルライブラリー法におけるいくつかの手法のいずれかにより取得することもできる。生物ライブラリーおよびペプトイドライブラリー手法はペプチドライブラリーに限定されるが、他の4つの手法はペプチド、非ペプチドオリゴマーまたは低分子化合物ライブラリー(Lam、1997、Anticancer Drug Des. 12:145)に適用可能である。
分子ライブラリーの合成のための方法の例を、当業界において、例えば、DeWittら(1993) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90:6909; Erbら(1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:11422; Zuckermannら(1994). J. Med. Chem. 37:2678; Choら(1993) Science 261:1303; Carrellら(1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2059; Carellら(1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2061; およびGallopら(1994) J. Med. Chem. 37:1233に見出すことができる。
化合物のライブラリーを、溶液中(例えば、Houghten, 1992, Biotechniques 13:412-421)、またはビーズ(Lam, 1991, Nature 354:82-84)、チップ(Fodor, 1993, Nature 364:555-556)、細菌および/または胞子(Ladner, USP 5,223,409)、プラスミド上(Cullら、1992, Proc Natl Acad Sci USA 89:1865-1869)またはファージ上(ScottおよびSmith, 1990, Science 249:386-390; Devlin, 1990, Science 249:404-406; Cwirlaら、1990, Proc. Natl. Acad. Sci. 87:6378-6382; Felici, 1991, J. Mol. Biol. 222:301-310; Ladner、上掲)で提供することができる。
本発明のスクリーニング方法は、細胞、例えば、疾患を有する細胞、特に、前立腺癌細胞と、試験化合物とを接触させること、および試験化合物が、その細胞中で、場合によりPSAと組合わせて、フィラミンB、LY9、またはケラチン19の発現および/または活性を調節する能力を決定することを含む。場合によりPSAと組合わせた、フィラミンB、LY9、またはケラチン19の発現および/または活性を、本明細書に記載のものなどの、当業界で公知の任意の方法を用いて決定することができる。
別の実施形態においては、本発明は、本発明のマーカーまたはその生物学的に活性な部分の基質である候補または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。さらに別の実施形態においては、本発明は、本発明のマーカーまたはその生物学的に活性な部分に結合する候補または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。試験化合物がマーカーに直接結合する能力の決定を、例えば、当業界で公知の任意の方法により達成することができる。
本発明はさらに、上記スクリーニングアッセイにより同定される新規薬剤に関する。従って、適切な動物モデルにおいて本明細書に記載のように同定される薬剤をさらに使用することは、本発明の範囲内にある。例えば、本明細書に記載のように同定される本発明のマーカーの発現および/または活性を調節することができる薬剤を動物モデルにおいて用いて、そのような薬剤を用いる処置の有効性、毒性、または副作用(例えば前立腺癌の)を決定することができる。あるいは、本明細書に記載のように同定される薬剤を動物モデルにおいて用いて、そのような薬剤の作用機序を決定することができる。さらに、本発明は、上記処置のための上記スクリーニングアッセイにより同定される新規薬剤の使用に関する。
特定の実施形態においては、スクリーニング方法は、多ウェルアッセイプレートの複数のウェル中に含有される細胞を用いて実施される。そのようなアッセイプレートは、例えば、Stratagene Corp. (La Jolla, Calif.)およびCorning Inc. (Acton, Mass.)から市販されており、例えば、48ウェル、96ウェル、384ウェルおよび1536ウェルプレートが挙げられる。
同じ濃度の同じ候補化合物を用いて2回以上分析を実施することにより(例えば、アッセイプレートの2個以上のウェル中で細胞をインキュベートすることにより)、結果の再現性を試験することができる。さらに、候補化合物は、化合物の性質およびその作用機構の性質に応じて様々な濃度で有効であり得るため、様々な濃度の候補化合物を試験してもよい。一般的には、スクリーニングのためには1fM〜約10mMの候補化合物濃度が用いられる。好ましいスクリーニング濃度は、一般に、約10pM〜約100μMである。
本発明のスクリーニング方法は、「ヒット」または「リード」、すなわち、望ましいが、最適化されていない生物活性を有する化合物を提供する。臨床有用性にとって必要とされる全ての物理化学的、薬物動態的、および毒性的因子を満たすためにこれらの化合物に対して実施されるリード最適化は、改善された薬物候補を提供することができる。本発明はまた、これらの改善された薬物候補および前立腺癌進行を調節するための治療剤としてのその使用も包含する。
J. キット/パネル
本発明はまた、疾患もしくは障害、障害の再発、または障害(例えば、異常な前立腺状態、BPH、腫瘍障害、例えば、前立腺癌)について処置される被験体の生存を診断、予後診断、またはモニタリングするための組成物およびキットも提供する。これらのキットは、1つ以上の以下のもの:本発明のマーカーに特異的に結合する検出抗体、本発明のマーカーに特異的に結合する検出抗体、染色のための被験体組織試料を取得および/または調製するための試薬、ならびに使用のための説明書を含む。
本発明はまた、生物試料中のマーカータンパク質または核酸の存在を検出するためのキットも包含する。そのようなキットを用いて、被験体が異常な前立腺状態に罹患しているか、またはそれを発症する危険性が高いかどうかを決定することができる。例えば、キットは、生物試料中のマーカータンパク質または核酸を検出することができる標識された化合物または薬剤と、試料中のタンパク質またはmRNAの量を決定するための手段(例えば、タンパク質もしくはその断片に結合する抗体、またはタンパク質をコードするDNAもしくはmRNAに結合するオリゴヌクレオチドプローブ)とを含んでもよい。キットはまた、本明細書に提供される方法のいずれかを実施するため、または本明細書に提供される教示に基づいてキットを用いて得られた結果を解釈するための、キットの使用のための説明書を含んでもよい。キットはまた、試料中に存在するマーカーの量の正規化のための、異常な前立腺状態と関連しない試料中の対照タンパク質、例えば、組織試料のためのアクチン、血液もしくは血液由来試料中のアルブミンの検出のための試薬を含んでもよい。キットはまた、対照としての使用のための検出のため、またはキットを用いて行われたアッセイの定量のための精製されたマーカーを含んでもよい。
キットは、被験体における前立腺癌を診断するため(または前立腺癌を発症する素因を有する被験体を同定するためなど)の方法における使用のための試薬のパネルを含み、そのパネルは、少なくとも2つの検出試薬を含み、それぞれの検出試薬は、1つの前立腺癌特異的タンパク質に特異的であり、前記前立腺癌特異的タンパク質は、本明細書に提供される前立腺癌特異的タンパク質から選択される。
抗体に基づくキットについては、キットは、例えば、(1)第1のマーカータンパク質に結合する第1の抗体(例えば、固相支持体に結合した);および場合により、(2)第1のマーカータンパク質または第1の抗体のいずれかに結合し、検出可能な標識にコンジュゲートされた第2の異なる抗体を含んでもよい。特定の実施形態においては、キットは、(1)第2のマーカータンパク質に結合する第2の抗体(例えば、固相支持体に結合した);および場合により、(2)第2のマーカータンパク質または第2の抗体のいずれかに結合し、検出可能な標識にコンジュゲートされた第2の異なる抗体を含む。第1および第2のマーカータンパク質は、異なる。ある実施形態においては、第1および第2のマーカーは、本発明のマーカー、例えば、フィラミンA、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB、LY9、およびPSAである。特定の実施形態においては、第1のマーカーも第2のマーカーもPSAではない。特定の実施形態においては、キットは、第1および第2のマーカータンパク質とは異なる第3のマーカータンパク質に結合する第3の抗体と、第3のマーカータンパク質または第1および第2のマーカータンパク質とは異なる第3のマーカータンパク質に結合する抗体のいずれかに結合する第2の異なる抗体とを含む。
オリゴヌクレオチドに基づくキットについては、キットは、例えば、(1)マーカータンパク質をコードする核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、例えば、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドまたは(2)マーカー核酸分子を増幅するのに有用な一対のプライマーを含んでもよい。特定の実施形態においては、キットは、例えば、(1)第2のマーカータンパク質をコードする核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、例えば、第2の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドまたは(2)第2のマーカー核酸分子を増幅するのに有用な一対のプライマーをさらに含んでもよい。第1および第2のマーカーは、異なる。ある実施形態においては、第1および第2のマーカーは、本発明のマーカー、例えば、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB、LY9、およびPSAである。特定の実施形態においては、第1のマーカーも第2のマーカーもPSAではない。特定の実施形態においては、キットは、例えば、(1)第3のマーカータンパク質をコードする核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、例えば、第3の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドまたは(2)第1および第2のマーカーと異なる第3のマーカー核酸分子を増幅するのに有用な一対のプライマーをさらに含んでもよい。特定の実施形態においては、キットは、定量的PCR方法を用いる検出を可能にするそれぞれの核酸マーカーに特異的な第3のプライマーを含む。
クロマトグラフィー方法について、キットは、クロマトグラフィーによる、本発明の1種以上のマーカー、例えば、フィラミンA、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB、LY9、および場合によりPSAの検出および同定を可能にする、標識されたマーカーなどのマーカーを含んでもよい。特定の実施形態においては、クロマトグラフィー方法のためのキットは、本発明の1種以上のマーカーの誘導体化のための化合物を含む。特定の実施形態においては、クロマトグラフィー方法のためのキットは、方法のマーカーを分解するためのカラムを含む。
本発明のマーカー、例えば、フィラミンA、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB、LY9、およびPSAの検出にとって特異的な試薬により、複雑な混合物、例えば、血清、組織試料中のマーカーの検出および定量が可能になる。特定の実施形態においては、試薬は、種特異的である。特定の実施形態においては、試薬は、種特異的ではない。特定の実施形態においては、試薬は、アイソフォーム特異的である。特定の実施形態においては、試薬は、アイソフォーム特異的ではない。特定の実施形態においては、試薬は、全ケラチン8、ケラチン18、フィラミンB、PSA、またはLY9を検出する。
特定の実施形態においては、前立腺癌を診断、モニタリング、または特性評価するためのキットは、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3、フィラミンB、およびLY9からなる群より選択される少なくとも1種のマーカーの発現のレベルの検出にとって特異的な少なくとも1つの試薬を含む。特定の実施形態においては、キットは、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3、フィラミンB、およびLY9からなる群より選択される少なくとも1種のマーカーの発現のレベルに基づく前立腺癌の診断、モニタリング、または特性評価のための説明書をさらに含む。特定の実施形態においては、キットは、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3、フィラミンB、およびLY9からなる群より選択される少なくとも1種のマーカーが検出される試料中のPSAのレベルを検出するための説明書をさらに含む。特定の実施形態においては、キットは、PSAの特異的検出のための少なくとも1つの試薬をさらに含む。
本発明は、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3、フィラミンB、およびLY9からなる群より選択される少なくとも1種のマーカーの発現のレベルの検出にとって特異的な少なくとも1つの試薬と、PSAの発現のレベルの検出にとって特異的な少なくとも1つの試薬とを含むキットを提供する。
特定の実施形態においては、キットは、例えば、緩衝剤、保存剤、タンパク質安定化剤、反応バッファーを含んでもよい。キットは、検出可能な標識(例えば、酵素または基質)を検出するのに必要な成分をさらに含んでもよい。キットはまた、アッセイし、試験試料と比較することができる対照試料または一連の対照試料を含有してもよい。対照は、必要に応じて、既知のレベルの標的マーカーを含む、精製されたタンパク質または核酸の対照血清または対照試料であってもよい。キットの各成分を、個々の容器内に封入してもよく、全ての様々な容器が、キットを用いて行われるアッセイの結果を解釈するための説明書と共に、単一のパッケージ内にあってもよい。
本発明のキットは、場合により、本発明の方法を実施するのに有用な追加の成分を含んでもよい。
本発明は、被験体試料中の1種以上の前立腺関連マーカーの検出のための試薬と、少なくとも1種の対照試薬とのパネルをさらに提供する。特定の実施形態においては、対照試薬は、パネルが陽性対照としての使用のためのマーカーを含有する対照試料と共に提供される生物試料中での検出のためのマーカーを検出するためのもの、および場合により、生物試料中に存在するマーカーの量を定量するためのものである。特定の実施形態においては、パネルは、それぞれ、陽性または陰性対照を提供する、生物試料中の存在するか、または存在しないことが知られる異常な前立腺状態と関連しないマーカーのための検出試薬を含む。パネルを、異常な前立腺状態と関連しない試料中の対照タンパク質、例えば、組織試料のためのアクチン、試料中に存在するマーカーの量の正規化のための血液または血液由来試料中のアルブミンの検出のための試薬と共に提供することができる。パネルを、対照としての使用のための検出のため、またはパネルを用いて行われるアッセイの定量のための精製されたマーカーと共に提供することができる。
好ましい実施形態においては、パネルは、好ましくは対照試薬と共に、2種以上の本発明のマーカー(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9種)の検出のための試薬を含む。パネルにおいて、それぞれのマーカーは、そのマーカーに特異的な試薬によって検出される。特定の実施形態においては、パネルは、PSAの検出のための試薬をさらに含む。特定の実施形態においては、パネルは、生物試料および対照試料の様々な希釈液(例えば、連続希釈液)の分析を可能にするための複製ウェル、スポット、または部分を含む。好ましい実施形態においては、パネルは、1種以上の本発明のマーカーの定量的検出を可能にする。
特定の実施形態においては、パネルは、1種以上のマーカーの検出のためのタンパク質チップである。特定の実施形態においては、パネルは、1種以上のマーカーの検出のためのELISAプレートである。特定の実施形態においては、パネルは、1種以上のマーカーの検出のための定量的PCRのためのプレートである。
特定の実施形態においては、検出試薬のパネルは、1種以上の本発明のマーカーのための検出試薬と、少なくとも1つの対照試料とを含む単一のデバイス上に提供される。特定の実施形態においては、検出試薬のパネルは、2種以上の本発明のマーカーのための検出試薬と、少なくとも1つの対照試料とを含む単一のデバイス上に提供される。特定の実施形態においては、本発明の異なるマーカーの検出のための複数のパネルは、パネル間の結果の比較を容易にするための少なくとも1つの均一な対照試料と共に提供される。
本発明の様々な実施形態を以下に示す。
1.被験体における前立腺癌の存在を診断するための方法であって、(a)被験体の生物試料中のフィラミンAのレベルを検出すること、および(b)生物試料中のフィラミンAのレベルと、所定の閾値とを比較することを含み、所定の閾値より上のフィラミンAのレベルが、被験体における前立腺癌の存在を示す、前記方法。
2.前立腺癌の1種以上のさらなるマーカーのレベルを検出することをさらに含む、上記1に記載の方法。
3.前立腺癌の1種以上のさらなるマーカーが、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、および前立腺特異的抗原(PSA)からなる群より選択される、上記2に記載の方法。
4.生物試料が血液、血清、尿、臓器組織、生検組織、糞便、皮膚、毛髪、および頬組織からなる群より選択される、上記1に記載の方法。
5.ステップ(a)が、生物試料中のフィラミンAタンパク質の量を決定することを含む、上記1に記載の方法。
6.フィラミンAタンパク質のレベルがイムノアッセイまたはELISAによって決定される、上記5に記載の方法。
7.フィラミンAタンパク質のレベルが質量分析によって決定される、上記5に記載の方法。
8.ステップ(a)が、(i)生物試料と、フィラミンAに選択的に結合する試薬とを接触させて、バイオマーカー複合体を形成させること、および(ii)バイオマーカー複合体を検出することを含む、上記1に記載の方法。
9.試薬が、フィラミンAの少なくとも1つのエピトープに選択的に結合する抗フィラミンA抗体である、上記8に記載の方法。
10.ステップ(a)が、生物試料中のフィラミンA mRNAの量を決定することを含む、上記1に記載の方法。
11.生物試料中のフィラミンA mRNAの量を決定するために増幅反応が用いられる、上記10に記載の方法。
12.増幅反応が(a)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR);(b)核酸配列に基づく増幅アッセイ(NASBA);(c)転写媒介性増幅(TMA);(d)リガーゼ連鎖反応(LCR);または(e)鎖置換増幅(SDA)である、上記11に記載の方法。
13.生物試料中のフィラミンA mRNAの量を決定するためにハイブリダイゼーションアッセイが用いられる、上記10に記載の方法。
14.フィラミンA mRNAを検出するためのハイブリダイゼーションアッセイにおいて、フィラミンA mRNAの一部と相補的なオリゴヌクレオチドが用いられる、上記13に記載の方法。
15.被験体における前立腺癌の存在を診断するための方法であって、(a)生物試料と、フィラミンAに選択的に結合する試薬とを接触させること;(b)試薬とフィラミンAとの間で複合体を形成させること;(c)複合体のレベルを検出すること、および(d)複合体のレベルと、所定の閾値とを比較することを含み、所定の閾値より上の複合体のレベルが被験体における前立腺癌の存在を示す、前記方法。
16.試薬が抗フィラミンA抗体である、上記15に記載の方法。
17.抗体が検出可能な標識を含む、上記16に記載の方法。
18.複合体のレベルを検出するステップが、複合体と、検出可能な二次抗体とを接触させること、および二次抗体のレベルを測定することをさらに含む、上記16に記載の方法。
19.前立腺癌の1種以上のさらなるマーカーのレベルを検出することをさらに含む、上記15に記載の方法。
20.前立腺癌の1種以上のさらなるマーカーが、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、および前立腺特異的抗原(PSA)からなる群より選択される、上記19に記載の方法。
21.1種以上のさらなるマーカーのレベルが所定の閾値と比較して増加する、上記20に記載の方法。
22.1種以上のさらなるマーカーのレベルが所定の閾値と比較して低下する、上記20に記載の方法。
23.生物試料が血液、血清、尿、臓器組織、生検組織、糞便、皮膚、毛髪、および頬組織からなる群より選択される、上記15に記載の方法。
24.複合体のレベルがイムノアッセイまたはELISAによって検出される、上記15に記載の方法。
25.前立腺癌がフィラミンAの過剰発現を特徴とする前立腺癌である、上記15に記載の方法。
26.前立腺癌が前立腺上皮内新生物、腺癌、小細胞癌、または扁平上皮癌である、上記1または15に記載の方法。
27.前立腺癌がアンドロゲン依存的前立腺癌である、上記1または15に記載の方法。
28.前立腺癌がアンドロゲン非依存的前立腺癌である、上記1または15に記載の方法。
29.前立腺癌が侵攻性前立腺癌である、上記1または15に記載の方法。
30.前立腺癌が非侵攻性前立腺癌である、上記1または15に記載の方法。
31.診断が被験体における前立腺癌の存在を示す場合、治療的抗癌処置を投与することをさらに含み、抗癌処置が(a)放射線療法、(b)化学療法、(c)外科手術、(d)ホルモン療法、(e)抗体療法、(f)免疫療法、(g)サイトカイン療法、(h)増殖因子療法、および(i)(a)〜(h)の任意の組合せからなる群より選択される、上記1または15に記載の方法。
32.前立腺癌を有すると疑われる、または有する危険性がある被験体を選択することをさらに含む、上記1〜31のいずれかに記載の方法。
33.前立腺癌を有すると疑われる、または有する危険性がある被験体から生物試料を取得することをさらに含む、上記1〜32のいずれかに記載の方法。
34.生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルと、生物試料よりも早い時点で同じ被験体から得られた試料、良性前立腺過形成(BPH)を有する被験体に由来する試料、非転移性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、転移性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、アンドロゲン感受性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、アンドロゲン非感受性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、侵攻性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、および非侵攻性前立腺癌を有する被験体に由来する試料からなる群より選択される対照試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルとを比較することをさらに含む、上記1〜33のいずれか1項に記載の方法。
35.正常な前立腺と前立腺癌、良性前立腺過形成と前立腺癌、良性前立腺過形成と正常前立腺、アンドロゲン依存的前立腺癌とアンドロゲン非依存的前立腺癌、侵攻性前立腺癌と非侵攻性前立腺癌、および転移性前立腺癌と非転移性前立腺癌からなる群より選択される2つの前立腺癌状態の間を区別することをさらに含む、上記1〜34のいずれか1項に記載の方法。
36.被験体における前立腺癌をモニタリングする方法であって、
(1)前立腺癌を有する被験体から第1の時間に得られた第1の生物試料中のフィラミンAのレベルを決定すること;
(2)第1の時間より後である第2の時間に被験体から得られた第2の生物試料中のフィラミンAのレベルを決定すること;ならびに
(3)第2の試料中のフィラミンAのレベルと、第1の試料中のフィラミンAのレベルとを比較すること
を含み、フィラミンAのレベルの変化が、被験体における前立腺癌状態の変化を示す、前記方法。
37.決定ステップ(1)および(2)が、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、およびPSAからなる群より選択される1種以上のさらなる前立腺癌関連マーカーのレベルを決定することをさらに含む、上記36に記載の方法。
38.被験体が第2の試料を取得する前に前立腺癌について積極的に処置されている、上記36に記載の方法。
39.被験体が第2の試料を取得する前に前立腺癌について積極的に処置されていない、上記36に記載の方法。
40.第1の生物試料と比較した第2の生物試料中のフィラミンAおよび/または1種以上のさらなる前立腺癌関連マーカーのレベルの増加が、被験体における前立腺癌の進行を示す、上記36または37に記載の方法。
41.第1の生物試料と比較した第2の生物試料中のフィラミンAおよび/または1種以上のさらなる前立腺癌関連マーカーのレベルの低下またはレベルが等しいことが、被験体における前立腺癌の非進行を示す、上記36または37に記載の方法。
42.第1の生物試料または第2の生物試料中のフィラミンAのレベルおよび/または1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルと、正常対照試料、良性前立腺過形成(BPH)を有する被験体に由来する試料、非転移性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、転移性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、アンドロゲン感受性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、アンドロゲン非感受性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、侵攻性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、および非侵攻性前立腺癌を有する被験体に由来する試料からなる群より選択される対照試料中のフィラミンAのレベルおよび/または1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルとを比較することをさらに含む、上記36または37に記載の方法。
43.被験体における前立腺癌のサイズを検出することをさらに含む、上記36または37に記載の方法。
44.被験体から第1の試料および第2の試料を取得することをさらに含む、上記36または37に記載の方法。
45.被験体における前立腺癌の進行に基づいて被験体のための異なる処置レジメンを選択することおよび/または施すことをさらに含む、上記40に記載の方法。
46.被験体における前立腺癌の進行に基づいて治療的抗癌処置を投与することをさらに含み、抗癌処置が(a)放射線療法、(b)化学療法、(c)外科手術、(d)ホルモン療法、(e)抗体療法、(f)免疫療法、(g)サイトカイン療法、(h)増殖因子療法、および(i)(a)〜(h)の任意の組合せからなる群より選択される、上記40に記載の方法。
47.被験体における前立腺癌の非進行に基づいて被験体における前立腺癌の積極的処置を保留することをさらに含む、上記41に記載の方法。
48.(a)被験体から生物試料を取得すること、(b)被験体からの生物試料を提出して、フィラミンAのレベルに関する診断情報を取得すること、(c)生物試料中のフィラミンAのレベルが閾値レベルよりも上である場合、治療上有効量の抗癌療法を被験体に投与することを含む、前立腺癌を有すると疑われる被験体における前立腺癌を処置する方法。
49.(a)被験体に由来する生物試料中のフィラミンAのレベルに関する診断情報を取得すること、および(b)生物試料中のフィラミンAのレベルが閾値レベルよりも上である場合、治療上有効量の抗癌療法を被験体に投与することを含む、被験体における前立腺癌を処置する方法。
50.(a)フィラミンAのレベルに関する診断情報を同定するのに使用するために被験体から生物試料を取得すること、(b)被験体に由来する生物試料中のフィラミンAのレベルを測定すること、(c)フィラミンAのレベルが閾値レベルよりも上である場合、抗癌療法を被験体に投与するように医療提供者に推奨することを含む、前立腺癌を有すると疑われる被験体における前立腺癌を処置する方法。
51.前立腺癌の1種以上のさらなるマーカーのレベルに関する診断情報を取得することをさらに含む、上記48または49に記載の方法。
52.前立腺癌の1種以上のさらなるマーカーのレベルを測定することをさらに含む、上記50に記載の方法。
53.前立腺癌の1種以上のさらなるマーカーが、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、および前立腺特異的抗原(PSA)からなる群より選択される、上記51または52に記載の方法。
54.被験体に由来する生物試料中のフィラミンAのレベルおよび前立腺癌の少なくとも1種のさらなるマーカーのレベルが閾値レベルよりも上である場合、治療上有効量の抗癌療法を被験体に投与することをさらに含む、上記51に記載の方法。
55.被験体に由来する生物試料中のフィラミンAのレベルおよび前立腺癌の少なくとも1種のさらなるマーカーのレベルが閾値レベルよりも上である場合、抗癌療法を被験体に投与するように医療提供者に推奨することをさらに含む、上記52に記載の方法。
56.生物試料が血液、血清、尿、臓器組織、生検組織、糞便、皮膚、毛髪、および頬組織からなる群より選択される、上記48〜50のいずれかに記載の方法。
57.フィラミンAのレベルが、生物試料中のフィラミンAタンパク質の量を測定することによって決定される、上記48〜50のいずれかに記載の方法。
58.フィラミンAタンパク質のレベルが、イムノアッセイまたはELISAによって決定される、上記57に記載の方法。
59.フィラミンAタンパク質のレベルが、質量分析によって決定される、上記57に記載の方法。
60.フィラミンAのレベルが、(i)生物試料と、フィラミンAに選択的に結合する試薬とを接触させて、バイオマーカー複合体を形成させること、および(ii)バイオマーカー複合体を検出することによって決定される、上記50に記載の方法。
61.試薬がフィラミンAの少なくとも1つのエピトープに選択的に結合する抗フィラミンA抗体である、上記60に記載の方法。
62.フィラミンAのレベルが、生物試料中のフィラミンA mRNAの量を測定することによって決定される、上記48〜50のいずれかに記載の方法。
63.生物試料中のフィラミンA mRNAの量を測定するために増幅反応が用いられる、上記62に記載の方法。
64.増幅反応が、(a)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR);(b)核酸配列に基づく増幅アッセイ(NASBA);(c)転写媒介性増幅(TMA);(d)リガーゼ連鎖反応(LCR);または(e)鎖置換増幅(SDA)である、上記63に記載の方法。
65.生物試料中のフィラミンA mRNAの量を決定するためにハイブリダイゼーションアッセイが用いられる、上記62に記載の方法。
66.フィラミンA mRNAを検出するためのハイブリダイゼーションアッセイにおいて、フィラミンA mRNAの一部と相補的なオリゴヌクレオチドが用いられる、上記62に記載の方法。
67.抗癌療法が、フィラミンA過剰発現を特徴とする前立腺癌を処置するのに好適である、上記48〜50のいずれかに記載の方法。
68.被験体に由来する生物試料中のフィラミンAのレベルを測定するための少なくとも1つの試薬、および被験体に由来する生物試料中のフィラミンAのレベルを測定するための説明書のセットを含む、前立腺癌を有する、有すると疑われる、または有する危険性がある被験体に由来する生物試料中のフィラミンAを検出するためのキット。
69.試薬が抗フィラミンA抗体である、上記68に記載のキット。
70.抗フィラミンA抗体を検出するための手段をさらに含む、上記69に記載のキット。
71.抗フィラミンA抗体を検出するための手段が、検出可能な二次抗体である、上記70に記載のキット。
72.試薬がフィラミンA mRNAと相補的なオリゴヌクレオチドである、上記68に記載のキット。
73.説明書が、生物試料中のフィラミンAレベルを検出するためのイムノアッセイまたはELISAを説明する、上記68に記載のキット。
74.説明書が、生物試料中のフィラミンAレベルを検出するための質量分析アッセイを説明する、上記68に記載のキット。
75.説明書が、生物試料中のフィラミンA mRNAのレベルをアッセイするための増幅反応を説明する、上記68に記載のキット。
76.増幅反応が、生物試料中のフィラミンA mRNAの量を決定するために用いられる、上記75に記載のキット。
77.増幅反応が、(a)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR);(b)核酸配列に基づく増幅アッセイ(NASBA);(c)転写媒介性増幅(TMA);(d)リガーゼ連鎖反応(LCR);または(e)鎖置換増幅(SDA)である、上記75に記載のキット。
78.説明書が、生物試料中のフィラミンA mRNAの量を決定するためのハイブリダイゼーションアッセイを説明する、上記75に記載のキット。
79.キットが、フィラミンA mRNAの一部と相補的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドをさらに含む、上記78に記載のキット。
80.説明書が、被験体に由来する生物試料中のフィラミンAのレベルと、フィラミンAの閾値とを比較することをさらに説明する、上記68に記載のキット。
81.説明書が、フィラミンAの閾値と比較した被験体に由来する生物試料中のフィラミンAのレベルに基づいて前立腺癌の診断を行うことをさらに説明する、上記80に記載のキット。
82.前立腺癌に関する少なくとも2種のマーカーを検出する方法における使用のためのパネルであって、パネルが少なくとも2種の検出試薬を含み、それぞれの検出試薬が、マーカーセットの少なくとも1種の前立腺癌マーカーの検出にとって特異的であり、マーカーセットがフィラミンAならびにフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3およびPSAからなる群より選択される少なくとも1種の他の前立腺癌関連マーカーを含む、前記パネル。
83.前立腺癌を処置する方法における使用のためのパネルであって、パネルが少なくとも2つの検出試薬を含み、それぞれの検出試薬がマーカーセットの少なくとも1種の前立腺癌マーカーの検出にとって特異的であり、マーカーセットがフィラミンAならびにフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3およびPSAからなる群より選択される少なくとも1種の他の前立腺癌関連マーカーを含む、前記パネル。
84.前立腺癌の処置をモニタリングする方法における使用のためのパネルであって、パネルが少なくとも2つの検出試薬を含み、それぞれの検出試薬がマーカーセットの少なくとも1種の前立腺癌マーカーの検出にとって特異的であり、マーカーセットがフィラミンAならびにフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3およびPSAからなる群より選択される少なくとも1種の他の前立腺癌関連マーカーを含む、前記パネル。
85.上記82に記載のパネルおよび前立腺癌の1種以上のマーカーのレベルに基づいて診断情報を取得するための説明書のセットを含むキット。
86.前立腺癌を診断および/または処置するための方法における前立腺癌のマーカーを検出するのに特異的な複数の検出試薬を含むパネルの使用であって、パネルの少なくとも1つの検出試薬がフィラミンAの検出にとって特異的であり、残りの1つ以上の検出試薬がフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3およびPSAからなる群より選択される前立腺癌マーカーの検出にとって特異的である、前記使用。
87.被験体の年齢を決定することをさらに含む、上記1〜35のいずれかに記載の方法。
88.対照と比較した被験体の年齢の増加が被験体における前立腺癌の存在をさらに示す、上記87に記載の方法。
89.被験体の年齢を決定することをさらに含む、上記36〜47のいずれかに記載の方法。
90.対照と比較した被験体の年齢の増加が被験体における前立腺癌状態の変化を示す、上記89に記載の方法。
91.被験体の年齢を決定することをさらに含む、上記48〜67のいずれかに記載の方法。
92.被験体の年齢を決定するための説明書をさらに含む、上記68〜81および85のいずれかに記載のキット。
93.説明書が、被験体に由来する生物試料中のフィラミンAのレベルと組合わせて、被験体の年齢に基づいて前立腺癌の診断を行うことをさらに説明する、上記92に記載のキット。
本発明は、限定と解釈されるべきではない以下の実施例によってさらに例示される。本出願を通して引用される全ての参考文献ならびに公開された特許および特許出願の内容は、参照により本明細書に組込まれるものとする。
(実施例)
本発明は、限定と解釈されるべきではない以下の実施例によってさらに例示される。本出願を通して引用される全ての参考文献、GenBank受託番号および遺伝子番号ならびに公開された特許および特許出願の内容は、参照により本明細書に組込まれるものとする。当業者であれば、開示された構造、材料、組成物および方法に対する変更を用いて本発明を実行することができ、そのような変更が本発明の範囲内にあると見なされることを認識できる。
前立腺癌マーカーとしてのケラチンおよびチューブリンの同定
細胞外ケラチンは、上皮由来前立腺癌の細胞増殖および転移に影響することが知られている。アンドロゲン不応性前立腺癌は、正常組織と比較した場合、ケラチン8(K8)の示差的発現を示す。次に、ケラチンの調節および分解は、活性酸素種(ROS)のミトコンドリアでの生成により媒介される。これらの進歩にも拘らず、前立腺癌の転移および増殖におけるケラチンおよび他のECタンパク質の理解に対する体系的アプローチは不足している。
WO2012119129(参照により本明細書に組込まれる)に開示され、図1に図示される、疑問システム生物学に基づく探索プラットフォーム(すなわち、Interrogative Platform Technologyまたは別名、Interrogative Biology(商標)は、前立腺癌細胞の挙動におけるミトコンドリアの役割の理解における新しい機構的洞察を提供する。この探索プラットフォームは、in vitroのヒト細胞に基づくモデルおよび前立腺癌患者に由来するヒト血清試料を含むシステムの階層にわたる探索ならびに人工知能(AI)に基づく情報モジュールを用いる下流のデータ統合および数学的モデリングを含む。細胞モデルについては、アンドロゲン感受性LnCAP細胞系および転移性アンドロゲン不応性PC3細胞系を、ユビデカレノン(コエンザイムQ10)で処理して、ミトコンドリア機構に従事させた。プロテオミック特徴を、2D LC-MS orbitrap技術を用いて捕捉した。全タンパク質特徴を、AIに基づく情報モジュールに入力して、原因タンパク質ネットワーク(図2)を生成した。ミトコンドリアのROS、ATPおよびキャスパーゼ3活性化を特異的に測定するウェットラボアッセイにより、これらのマーカーの細胞内レベルの変化を確認した。
図3に示されるように、PC3細胞中でユビデカレノンによるミトコンドリア機構の誘導を支配するいくつかの新規タンパク質原因的相互作用を観察した。原因タンパク質マップは、PC3モデルにおいてはケラチン8および15の関係を示したが、LnCAPでは示さなかった。ケラチン8/15の関係は、ユビデカレノンを用いる処置の際に失われ、ケラチン7と15の直接的関係が確立された(図3)。
これらの結果は、ケラチン7、8および15の間の相互作用の変化が、被験体の前立腺癌状態における処置に対する応答または前立腺癌状態の変化を証明するのに特に有用であることを示唆している。さらに、ケラチン8および15は、アンドロゲン不応性、転移性PC3細胞系およびアンドロゲン感受性LnCAP細胞系において示差的に関係した。これは、ケラチン8および15が前立腺癌状態間、例えば、アンドロゲン感受性と転移性、アンドロゲン不応性前立腺癌との間を区別するのに有用であることを示している。
前立腺癌と関連するケラチン19の発現の増加を、適切に一致させた対照集団と比較して、前立腺癌に罹患する被験体から得られた血清試料のパネルを用いて確認した(図2Cおよび図3Dを参照されたい)。
かくして、前立腺癌の増殖および転移の調節におけるミトコンドリアの役割における新しい機構的洞察が、新しい化学系生物学手法を用いて得られた。
ここで提供される結果は、アンドロゲン不応性前立腺癌におけるケラチンの調節および潜在的な因果関係がプラットフォーム技術によって推測されることを示すものである。これは、プラットフォーム技術により解読された、ミトコンドリア機能の調節に応答するケラチン調節の潜在的機構を提供する。かくして、癌病態生理学の新規伝達機構が、患者血清試料中で検証された。
前立腺癌マーカーとしてのフィラミンBの同定
疑問システム生物学に基づく探索プラットフォームを用いて(すなわち、Interrogative Platform Technologyまたは別名、Interrogative Biology(商標))、前立腺癌細胞の挙動におけるミトコンドリアの役割の理解における機構的洞察を得た。WO2012119129に詳述されるこのプラットフォーム技術は、in vitroのヒト細胞に基づくモデルおよび前立腺癌患者に由来するヒト血清試料を含むシステムの階層にわたる探索ならびに人工知能(AI)に基づく情報モジュールを用いる下流のデータ統合および数学的モデリングを含む。
本実施例で提供される結果は、プラットフォーム技術を用いて推測された、アンドロゲン不応性前立腺癌におけるフィラミンBおよびLY9の調節、ならびに潜在的な因果関係を証明するものである。本実施例は、プラットフォーム技術により解読された、ミトコンドリア機能の調節に応答するフィラミンBおよびLY9の調節の潜在的機構を提供し、患者血清試料中でのマーカーの検証を提供する。
プラットフォーム方法を用いて、ヒト前立腺癌細胞PC3(アンドロゲン非感受性、転移性)およびLnCap(アンドロゲン感受性)を、低酸素症、還元環境、および高血糖などの癌の微小環境中、ならびにコエンザイムQ10の存在下でモデリングした。正常細胞(ヒト真皮線維芽細胞(HDFa)およびSV40で形質転換されたヒト肝臓細胞(THLE2))を、上記実施例2と同様の条件下でモデリングした。細胞タンパク質および上清中に分泌されたタンパク質のプロテオミクスを、LCMSにより実行した。データをBayesian Network Inference(BNI)アルゴリズムREFS(商標)に入力した。
タンパク質間の因果関係を、BNIにより誘導した。示差的ネットワーク分析を用いて、正常な微小環境中の正常細胞と比較した場合の前立腺癌における活性の拠点を引き出した。フィラミンBは、PC3においては活性の示差的拠点であると同定されたが、LnCapおよび正常細胞においてはそうではなかった。すなわち、フィラミンBは、アンドロゲン感受性LnCAP細胞系と、転移性、アンドロゲン不応性PC3細胞系との間で異なることがわかった。これは、フィラミンBが前立腺癌状態間、例えば、アンドロゲン感受性前立腺癌と、アンドロゲン不応性前立腺癌との間を区別するのに有用であり得ることを示している。相互作用拠点の中心にフィラミンBを置く相互作用マトリックスを、図4に示す。LY9とフィラミンBとの相互作用を、図5に示す。
ヒト試料中での前立腺癌マーカーとしてのフィラミンBの検証
プラットフォーム技術を用いて前立腺癌マーカーとしてフィラミンBを同定したら、正常な被験体および前立腺癌を有する被験体から得られたヒト血清試料を用いて、前立腺癌マーカーとしてのフィラミンBを確認した。
具体的には、ヒト血清試料を、ヒト血清を供給する商業的販売会社から入手した。20の試料は正常なドナーに由来するものであり、20の試料は前立腺癌と診断された患者に由来するものであった。前立腺癌試料は、癌の様々な予後および侵攻性を有する患者に由来するものであった。被験体の臨床特性を、表に提供する。
Figure 0006759229
フィラミンBおよびPSAのための商業的に入手可能なELISA試験を、商業的供給源から入手した。アッセイを、製造業者の説明書を用いて実施した。アッセイから得られた結果を、図6に示す。この結果は、前立腺癌を有さない対照被験体と比較した、前立腺癌の診断を有する患者におけるFlnBおよびPSAのレベルの差異を示す。
示されるように、フィラミンBとPSAレベルは両方とも、前立腺癌と診断された患者からの血清試料中で上昇した。血清試料中のPSA発現とFlnB発現との相関は0.20075であり、変数間の比較的低い相関を示している。これは、フィラミンBおよびPSAが異なる被験体において前立腺癌の検出にとって有用であることを示している。これらの結果は、フィラミンBが前立腺癌の診断にとって有用であり、フィラミンBがPSAによる前立腺癌の検出を改善するのに有用であることを示している。
ヒト試料中での前立腺癌マーカーとしてのLY9の検証
実施例3において用いた同じヒト血清試料をさらに試験して、LY9の存在を検出した。LY9のための商業的に入手可能なELISA試験を、商業的供給源から入手した。アッセイを、製造業者の説明書を用いて実施した。アッセイから得られた結果を、図7に示す。この結果は、前立腺癌を有さない対照被験体と比較した、前立腺癌の診断を有する患者におけるLY9のレベルの差異を示す。示されるように、前立腺癌を有する被験体から得られた試料は、正常被験体と比較してより高レベルのLY9を有することがわかった。ヒト血清中のフィラミンBとLY9の両方の発現レベルのアッセイから得られた結果を、タンパク質のng/mlとして表した結果と共に、図8に示す。
フィラミンBレベルの分析はPSAのみと比較して前立腺癌の検出を改善する
フィラミンBのレベルが前立腺癌を有する被験体の血清中で増加することが証明されたら、その結果を同じ試料中のPSAレベルの試験と共に分析して、フィラミンBとPSAの一緒になった予測値が、いずれかのマーカー単独よりも良好であるかを決定した。PSA、フィラミンB、およびPSAとフィラミンBとの組合せの感度および偽陽性率(FPR)の受信者操作特性(ROC)曲線分析を生成した。この曲線と曲線下面積(AUC)値を、図9AおよびBに示す。この分析の目的は、特異的カットオフとは無関係の試験の予測力を測定することであった。ROC分析を用いた場合、正常状態と疾患状態との間の完全な識別または精度をもたらす試験はAUC=1を有するが、無作為な機会より良好でない識別をもたらす非常に弱い試験はAUC=0.5を有する。
この分析により示されるように、フィラミンBは単独で、非常に良好に機能し、最も重要なことに、PSAといくらか直交する。PSAは、非常に高い偽陽性率、例えば、約75%を有すると報告されている(参照により本明細書に組込まれる、Gilligan, "The new data on prostate cancer screening: What should we do now?" Cleveland Clin. J. Med. 76: 446-448, 2009に報告されている)。すなわち、それは高い感度および低い特異性を有する。提示された特異的試験において、FLNBのAUCは、PSAのAUCより低い。しかしながら、実施例3で決定された0.20075の相関レベルは、変数間の比較的低い相関を示す。すなわち、フィラミンBレベルが上昇していると同定された被験体は、必ずしも高いPSAレベルを有するわけではなく、その逆もまた真実であったが、これは、組合わせたマーカーが、いずれかのマーカー単独よりも予測試験をより提供することができることを示唆している。
これは、ROC分析において確認された。示されるように、PSAとフィラミンBとの組合せは、PSA単独よりも試験の良好な識別を示すより高いAUCを有し、いずれかのマーカー単独よりも高い予測性を有することがわかった。PSAとフィラミンBとの組合せは、前立腺癌の非常に良好な予測因子であり、試験に関する主要な問題であるPSAの試験特異性を超える劇的な増加を提供する。
一緒になったフィラミンB、LY9、およびPSAレベルの分析はいずれかのマーカー単独と比較して前立腺癌の検出を改善する
それぞれのフィラミンB、LY9、およびPSAが前立腺癌を有する被験体から得られた血清試料中で全て上昇することを証明したら、線形スコアリング関数を用いて、3つのマーカーのそれぞれを個別に3つ全部のマーカーの組合せと比較し、非線形スコアリング関数を用いて、3つ全部のマーカーの組合せに対する、フィラミンBとLY9との組合せ、およびフィラミンBとPSAとの組合せを比較するROC曲線分析を実施して、マーカーの組合せが被験体における前立腺癌の検出のためのそれぞれ単一のマーカーよりも有効であることを決定した。示されるように、3つ全部のマーカーの組合せは、いずれかのマーカー単独よりも予測性が高かった(図10A)。LY9を含むか、または含まない、フィラミンBとPSAとの組合せは、フィラミンBとLY9との組合せよりも予測性が高かった(図10B)。追加の試料を分析して、結果をさらに改良することができる。AUCの結果を、表にまとめる。
Figure 0006759229
ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3を用いる前立腺癌を有する被験体の層別化
それぞれ実施例3および4で示されたように、フィラミンBレベルとLY9レベルとを用いて、前立腺癌に罹患しているか、または罹患していない被験体を識別することができる。さらに、実施例5および6で示されたように、場合によりLY9とさらに組合わせた、フィラミンBとPSAの両方の分析は、いずれかのマーカー単独に基づく分析よりも高感度である。同様に、マーカーであるケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3を、ヒト試料中で、実施例3〜6に記載されたように分析する。
一連の被験体試料を、適切な供給源、例えば、試料が、様々なステージの前立腺癌、例えば、侵攻性前立腺癌、アンドロゲン感受性、アンドロゲン非感受性、転移性を有する被験体から、または前立腺癌に罹患していない被験体、例えば、正常な前立腺を有する被験体もしくはBPHを有する被験体から得られた商業的供給源から取得する。この試料を、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3のうちの少なくとも1種、好ましくは、ケラチン7、ケラチン15、およびケラチン19のうちの少なくとも1種;場合によりさらにフィラミンB、LY9、およびPSAのうちの少なくとも1種の発現レベルについて分析する。単独の、および様々な組合せのマーカーの発現レベルは、疾患の存在または非存在、および前立腺癌の重症度と相関する。例えば、前立腺癌に罹患していない被験体から得られた正常試料と比較した、ケラチン19、フィラミンB、LY9、およびPSAのうちの1種以上の発現レベルの増加は、被験体における前立腺癌を示す。ケラチン7、8および15の発現レベルはまた、前立腺癌を有する被験体の層別化において特に有用であり得る。
ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3を用いる前立腺癌処置のモニタリング
前立腺癌を有するとの診断の時点で、被験体は試験に参加するよう招かれる。被験体試料、例えば、血液を取得する。定期的に、モニタリング、待機療法、または被験体の積極的処置、例えば、化学療法、放射線療法、外科手術、ホルモン療法を通じて、新しい被験体試料を取得する。試験の終わりに、全ての被験体試料を、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3のうちの少なくとも1種、好ましくは、ケラチン7、ケラチン15、およびケラチン19のうちの少なくとも1種;場合によりさらにフィラミンB、LY9、およびPSAのうちの少なくとも1種の発現レベルについて試験する。被験体試料を、被験体の医療記録と一致させて、マーカーレベルを、診断時の前立腺癌状態、疾患の進行速度、1つ以上の介入に対する被験体の応答、およびアンドロゲン依存的と非依存的状態の間の移行と相関させる。前立腺癌に罹患していない被験体から得られた正常試料と比較した、ケラチン19、フィラミンB、LY9、およびPSAのうちの1種以上の発現レベルの増加は、被験体における前立腺癌を示す。ケラチン7、8および15の発現レベルはまた、前立腺癌を有する被験体の診断およびモニタリングにおいて特に有用であり得る。
ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3を用いる前立腺癌の検出およびモニタリング
わずか25〜40%の正の予測値などのその限界にも拘らず、PSAは依然として唯一の一般に受け入れられている前立腺癌のためのバイオマーカーである。さらに、前立腺癌は最も一般には、高齢男性においてゆっくり増殖する腫瘍であるため、この癌の処置は、腫瘍自体よりも被験体にとってより有害である可能性がある。従って、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3のうちの少なくとも1種、好ましくは、ケラチン7、ケラチン15、およびケラチン19のうちの少なくとも1種;場合によりさらにフィラミンB、LY9、およびPSAのうちの少なくとも1種の発現レベルに関する試験を一緒に、前立腺癌の検出およびモニタリングのために用いる。単独の、および様々な組合せのマーカーの発現レベルを、前立腺癌の危険性が高い男性(例えば、高齢、家族歴、民族など)における日常的な、防止的、スクリーニング方法などの検出において、またはさらなる、潜在的により侵襲性の診断試験、例えば、前立腺検査もしくは生検、デジタル直腸検査、またはより積極的な処置を必要とする被験体を良好に同定するのに有用であり得る、処置前もしくは処置中の前立腺癌と診断された被験体のモニタリングにおいて用いる。マーカー、またはその様々な組合せの発現のレベルの検出はまた、他の兆候または症状の変化、例えば、ホルモン療法に対する腫瘍応答の喪失の前に、特定の処置レジメンに対する良好な、または弱い応答を示してもよい。
前立腺癌のための日常的なスクリーニング方法においては、被験体から得られた血清試料を、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3のうちの少なくとも1種、好ましくは、ケラチン7、ケラチン15、およびケラチン19のうちの少なくとも1種;場合によりさらにフィラミンB、LY9、およびPSAのうちの少なくとも1種の発現のレベルについて試験する。このレベルを、1種以上の適切な対照、例えば、他の正常な被験体、前立腺癌を有する被験体と比較する。ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3のうちの少なくとも1種、好ましくは、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、およびケラチン19のうちの少なくとも1種の異常なレベルの検出は、被験体が前立腺癌の存在に関するさらなる試験を考えるべきであることを示す。被験体における、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3のうちの少なくとも1種、好ましくは、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、およびケラチン19のうちの少なくとも1種のレベルの変化は、集団対照と比較して前立腺癌状態の変化をより示すものであってもよい。
前立腺癌についてまだ積極的に処置されていない(すなわち、待機療法)前立腺癌を有する被験体のための治療レジメンを決定する際に、規則的な間隔で試験することがして、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3のうちの少なくとも1種、好ましくは、ケラチン7、ケラチン15、およびケラチン19のうちの少なくとも1種;場合によりさらにフィラミンB、LY9、およびPSAのうちの少なくとも1種の発現レベルの変化が存在するかどうかを決定することができる。ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3のうちの少なくとも1種、好ましくは、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、およびケラチン19のうちの少なくとも1種;場合によりさらにフィラミンB、LY9、およびPSAのうちの少なくとも1種のレベルの調節は、被験体が前立腺癌をモニタリングするためのさらなる試験を考えるべきであること、およびより積極的な治療的介入を考えるべきであることを示す。
前立腺癌のための処置(例えば、ホルモン療法、化学療法、放射線療法、外科手術)を受けている被験体においては、処置の開始の前ならびに処置中および/または処置後に試験して、処置がケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3のうちの少なくとも1種、好ましくは、ケラチン7、ケラチン15、およびケラチン19のうちの少なくとも1種;場合によりさらにフィラミンB、LY9、およびPSAのうちの少なくとも1種の発現のレベルの低下をもたらすかどうかを決定することができる。ケラチン19、フィラミンB、LY9、またはPSAのレベルの低下は、処置に対する応答を示す。ケラチン7、8および15の発現レベルはまた、前立腺癌を有する被験体の診断およびモニタリングにおいて特に有用であり得る。
フィラミンB、PSA、またはLY9を用いる前立腺癌を有する被験体の層別化
それぞれ実施例3および4に示されたように、フィラミンBレベルおよびLY9レベルを用いて、前立腺癌に罹患しているか、または罹患していない被験体を識別することができる。さらに、実施例5および6に示されたように、場合によりさらにLY9と組合わせた、フィラミンBとPSAの両方の分析は、いずれかのマーカー単独に基づく分析よりも高感度である。
一連の被験体試料を、適切な供給源、例えば、試料が、様々なステージの前立腺癌、例えば、侵攻性前立腺癌、アンドロゲン感受性、アンドロゲン非感受性、転移性を有する被験体から、または前立腺癌に罹患していない被験体、例えば、正常な前立腺を有する被験体もしくはBPHを有する被験体から得られた商業的供給源から取得する。この試料を、フィラミンBとPSAの発現レベル、および場合によりLY9のレベル、ならびにさらにケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3の1種以上、特に、ケラチン19について分析する。フィラミンB、LY9およびPSAのレベルは、単独で、および様々な組合せで、場合により他のマーカー、例えば、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3、特に、ケラチン19と共に、疾患の存在または非存在、および前立腺癌の重篤度と相関する。
フィラミンB、PSA、またはLY9を用いる前立腺癌処置のモニタリング
前立腺癌を有するとの診断の時点で、被験体は試験に参加するよう招かれる。被験体試料、例えば、血液を取得する。定期的に、モニタリング、待機療法、または被験体の積極的処置、例えば、化学療法、放射線療法、外科手術、ホルモン療法を通じて、新しい被験体試料を取得する。試験の終わりに、全ての被験体試料を、フィラミンB、PSAのレベルについて、場合によりさらにLY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3の1種以上と組合わせて試験する。被験体試料を、被験体の医療記録と一致させて、必要に応じて、フィラミンB、PSA、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、またはチューブリン-ベータ3のレベルを、診断時の前立腺癌状態、疾患の進行速度、1つ以上の介入に対する被験体の応答、およびアンドロゲン依存的と非依存的状態の間の移行と相関させる。
フィラミンB、PSA、またはLY9を用いる前立腺癌の検出およびモニタリング
わずか25〜40%の正の予測値などのその限界にも拘らず、PSAは依然として唯一の一般に受け入れられている前立腺癌のためのバイオマーカーである。さらに、前立腺癌は最も一般には、高齢男性においてゆっくり増殖する腫瘍であるため、この癌の処置は、腫瘍自体よりも被験体にとってより有害である可能性がある。本明細書に示されるように、前立腺癌を有する被験体においては、フィラミンBとPSAのレベルの上昇には低い相関がある。さらに、LY9のレベルの上昇は、前立腺癌と関連することが示された。従って、前立腺癌の危険性が高い男性(例えば、高齢、家族歴、民族など)における日常的な、防止的、スクリーニング方法などの検出における、または処置前もしくは処置中の前立腺癌と診断された被験体のモニタリングにおける、場合によりLY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3の1種以上、特に、ケラチン19と組合わせた、特に、フィラミンBとPSAと一緒の試験は、さらなる、潜在的により侵襲性の診断試験、例えば、前立腺検査もしくは生検、デジタル直腸検査、またはより積極的な処置を必要とする被験体を良好に同定するのに有用であり得る。フィラミンB、PSA、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3、特に、ケラチン19の発現のレベルの検出はまた、他の兆候または症状の変化、例えば、ホルモン療法に対する腫瘍応答の喪失の前に、特定の処置レジメンに対する良好な、または弱い応答を示してもよい。
前立腺癌のための日常的なスクリーニング方法においては、被験体から得られた血清試料を、フィラミンBとPSAの両方、および場合により、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3の1種以上、特に、ケラチン19の発現のレベルについて試験する。このレベルを、1種以上の適切な対照、例えば、他の正常な被験体、前立腺癌を有する被験体と比較する。フィラミンB、PSA、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3の1種以上、特に、ケラチン19の異常なレベルの検出は、被験体が前立腺癌の存在に関するさらなる試験を考えるべきであることを示す。被験体における、場合によりPSA、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、またはチューブリン-ベータ3の1種以上と組合わせた、フィラミンB、特に、PSAと組合わせたケラチン19のレベルの変化は、集団対照と比較して前立腺癌状態の変化をより示すものであってもよい。
前立腺癌についてまだ積極的に処置されていない前立腺癌を有する被験体のための治療レジメン(すなわち、待機療法)を決定する際に、規則的な間隔で試験して、フィラミンB、PSA、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3の発現レベルの変化が存在するかどうかを決定することができる。フィラミンB、PSA、ケラチン19、またはLY9のレベルの増加は、被験体が前立腺癌をモニタリングするためのさらなる試験を考えるべきであること、およびより積極的な治療的介入を考えるべきであることを示す。
前立腺癌のための処置(例えば、ホルモン療法、化学療法、放射線療法、外科手術)を受けている被験体においては、処置の開始の前ならびに処置中および/または処置後に試験して、処置がフィラミンB、PSA、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3のうちの1種以上の発現のレベルの変化をもたらすかどうかを決定する。フィラミンB、PSA、ケラチン19、またはLY9のレベルの低下は、処置に対する応答を示す。
前立腺癌を有する、および有さない患者に由来するヒト血清中でのELISAによるフィラミンAおよびケラチン19の検出
ELISAアッセイを市販のヒト血清試料上で行って、前立腺癌を有する、および有さない患者に由来する試料中のフィラミンAおよびケラチン19のレベルを検出した。
フィラミンAのELISAのために用いた市販のヒト血清試料を図11に示し、そのデータ/注釈はAsterand and Bioreclamationのウェブサイトで公共的に利用可能である。ケラチン19のELISAのために用いた市販のヒト血清試料を図12に示し、そのデータ/注釈はAsterand and Bioreclamationのウェブサイトで公共的に利用可能である。
フィラミンAの試験のために、CEDARLANE(Cusabio)から商業的かつ公共的に入手可能であるHuman Filamin A(FLNa)ELISAキット、カタログ番号CSB-EL008724HU(その内容は参照により本明細書に組込まれる)に従って、ELISAを行った。
ケラチン19の試験のために、CEDARLANE(Cusabio)から商業的かつ公共的に入手可能であるHuman Keratin-19(KRT19)ELISAキット、カタログ番号E91239HU(その内容は参照により本明細書に組込まれる)に従って、ELISAを行った。
図13は、ELISAによって決定された、前立腺癌を有する、および有さない患者に由来する血清中のフィラミンAタンパク質レベルを示す。
図14は、ELISAによって決定された、前立腺癌を有する、および有さない患者に由来する血清中のケラチン19タンパク質レベルを示す。
フィラミンAおよびケラチン19は前立腺癌を有する患者と正常な個体とを区別する
本発明者らは、アンドロゲン非依存的PC3およびアンドロゲン依存的LNCaP前立腺癌細胞系などのいくつかの癌および正常細胞系に基づいて前立腺癌のin vitroモデルを開発した。Berg Interrogative Biology(商標)により推測された重要な調節結節点を、前立腺癌のバイオマーカーとしてヒト血清中での概念実証の検証のために選択した。
最初の2つのバイオマーカーFLNBおよびLY9は、正常な血清と前立腺癌患者由来血清とを区別する予測力を示した。この報告は、さらなるバイオマーカーであるFLNA、FLNC、KRT18およびKRT19の統計的特徴を再検討するものである。
候補マーカーの統計性能:Bioreclamation試料セット#1:
正常な個体および前立腺癌を有する個体に由来するヒト血清試料を、実施例13に従って、商業的供給源から獲得した。バイオマーカーのパネルを、実施例13に従って、市販のELISAキットによって測定した。
図15は、20個の正常試料および20個の前立腺癌試料のセットにおける候補マーカーの性能を示す。FLN-Aは、正常と癌患者とを区別する予測力を示したが、FLN-Cはいかなる正の傾向も示さなかった。FLN-AとFLN-Cの組合せパネルは、FLN-A単独の性能を改良しなかった。
候補マーカーの統計性能:BioreclamationおよびAsterand試料セット#2:
正常な個体および前立腺癌を有する個体に由来するヒト血清試料を、実施例13に従って、2つの商業的供給源から獲得した。バイオマーカーのパネルを、実施例13に従って、市販のELISAキットによって測定した。
図16は、20個の正常試料および20個の前立腺癌試料のセットにおける候補マーカーの性能を示す。KRT19は、正常と癌患者とを区別する予測力を示した。KRT18は正常と癌の標本との区別を示さなかった。KRT18とKRT19の組合せパネルは、KRT19単独の性能を改良しなかった。
結論:
この概念実証試験の結果に基づいて、KRT19およびFLNAは、前立腺癌を有する患者と正常な個体とを区別する能力を有する。これらの2つのバイオマーカーを、市販の、または社内で開発されたELISAアッセイによって、より大きい臨床検証試験において評価することができる。上記の結果は、FLNaおよびKRT19が前立腺癌の統計的に有意なバイオマーカーであり、従って、現在のスクリーニングツールを超える有意な改良であり得ることを示している。
フィラミンA、フィラミンB、ケラチン19、および年齢は前立腺癌を有する患者と正常な個体とを区別する
前立腺癌パネル試験が、前立腺癌のためのスクリーニングにおけるPSAと同等である、それより良好である、またはそれより弱いかどうかを試験するために、本発明者らは、4つの異なるMVI(多変量指標)モデルを用いる上記の4つの比較を試験して、パネルの有用性を最良に試験した。
試料を、訓練/検定セットおよび検証セットとして分割した。332個の試料からなる検定セットを用いて、モデルを開発した。171個の試料の検証セットを用いて、モデルを試験した。
検証試料の注釈は盲検であった。確率単位線形回帰モデルを、試料セットの検定部分を用いて見積もった。回帰モデルを作出して、高いグリソンスコア(>6および>7)を有する、前立腺癌と診断された患者、および良性前立腺過形成と診断された患者に由来する試料を分類した。前立腺癌パネル予測アルゴリズムを、回帰モデルおよび特定のレベルの試験感度または特異度を達成するように選択された確率カットオフに基づいて実行した。それぞれの予測アルゴリズムを、仲間外れ(left-out)検証試料セット上で検証した。
パネル中のバイオマーカーは、
1)フィラミンA
2)フィラミンB
3)ケラチン19
4)連続予測変数として用いられる年齢
である。
臨床情報と共に様々な組合せのパネルを用いて、PSA単独と比較した前立腺癌に関するスクリーニングにおける予測力を試験した。特定の試験対象は、
1)前立腺癌を有する、および有さない患者に由来する試料間を区別するバイオマーカーパネルの予測力および有用性を決定する、
2)高いグリソンスコア(8〜10)、中間のグリソンスコア(7)、および低いグリソンスコア(6)の前立腺癌を有する患者に由来する試料間を区別するバイオマーカーパネルの予測力を決定する、
3)前立腺癌を有するが、PSA濃度は低い(4ng/ml未満)患者に由来する試料を同定するバイオマーカーパネルの予測力を決定する、
4)前立腺癌を有する患者および良性前立腺過形成を有する患者に由来する試料間を区別するバイオマーカーパネルの予測力を決定する
ことであった。
癌のカテゴリーのために用いた用語は、
非常に高い=グリソンスコア8以上、
高=グリソンスコア7以上、
低=グリソンスコア6、
その他=特定のカテゴリーを残りの試料と比較する場合の他の全ての試料
である。
試験設計
Mt. Sinai Hospital、Toronto、Canadaから、回顧的および臨床的に注釈された試料セットを取得した。試料マトリックスは血清であり、その収集およびプロセッシング以来凍結されている。
これは、前立腺センターの患者からの662個の試料を含む臨床的に注釈された試料セットである。患者は前立腺生検の参加者全員であった。このセットからの120個の試料を、提唱された前立腺癌パネルのための概念実証セットとして用いた。残りの試料は利用可能な容量により選別した。350μlに足りないものを除外した後、試料を2:1の比で分離し、「検定」セットおよび「検証」セットとして同定した。
検定または検証セットと関係なく、全ての試料を、CLIAに認証された研究室中の前立腺癌パネルを用いて分析した。研究室は、「検定」または「検証」セットの試料の指定にとって盲目であった。
試料を、「検定」および「検証」セットとして無作為化および分離した。
参加者の募集および試料採取
血清試料を、662人の男性患者から収集した。全患者を、前立腺生検のために前立腺センターに照会した。これらの患者は、臨床症状、デジタル直腸検査に基づいて、または、より頻繁には、血清PSA上昇(3ng/mlを超える)のため、前立腺癌について疑わしかった。患者は、個人面接によってこの研究に参加することに同意し、臨床操作または前立腺生検の前に採血した。
最終診断を確立するために、病理報告を臨床担当者によって検査し、患者を、グリソンスコアを割り当てられた前立腺癌(n=311)、良性状態(n=122)、非定型小腺房増殖(n=26)、前立腺上皮内新生物(n=69)、良性前立腺過形成(n=60)、炎症(n=58)、微小焦点腺癌(n=16)と分類した。
試料収集プロトコール
・静脈血を、BDからの5mLのSSTチューブ中に収集した。
・チューブを1/2〜1時間、室温で垂直に保持し、血液を凝固させた。
・試料を、4℃で10分間、2000RCFで遠心分離した。
・上清血清を収集し、0.5mlの滅菌スクリューキャップチューブにアリコートし、適切な識別番号で標識した。
・試料を-80℃ですぐに保存した。
データ収集
・訓練データセット中には332個の試料および検証データセット中には171個の試料がある。試料を、2群を作るために無作為化した。
・全試料数=332。
・8を超えるグリソン数=19。
・グリソン 6を有する試料数=103。
・癌を有さない試料数=159。
・BPH試料数=23。
試験集団
試料をドライアイス上に移し、CLIA認証研究室に-80℃で保存した。
試料は、以下の注釈付きの回顧的試料に由来するものである:
・PSA試験値
・診断
・患者年齢
・生検の理由
・総生検スコア、ステージ評価、および等級評価(グリソンスコア)
・陽性コア数
・腫瘍の位置。
参照標準および論拠
・PSA試験は、パネルの結果を比較した参照標準である。
・この回顧的試料セットは、データ分析において用いられた文書化されたPSA値を有する。
・このセットもまた、グリソンスコアと共に文書化された生検の結果を有していた。
検証されたアッセイ
全試料を、以下に記載のアッセイを用いて試験した:
・FLN-A ELISA:3.125〜200ng/mlの範囲でELISAにより血清および血漿中のFLN-Aを測定する。
・FLN-B ELISA:0.156〜10pMの範囲でELISAによりヒト血清および血漿中のFLN-Bの濃度を測定する。
・ケラチン19 ELISA:ヒト血清中の可溶性サイトケラチン19断片を測定する。
・FLN-A IP MRM:P2については125pg/ml〜2000pg/ml、P3については250pg/ml〜6000pg/mlおよびP4については1125pg/ml〜36000pg/mlの範囲で免疫沈降およびLC-MS/MSを用いてヒト血清に由来するFLN Aペプチドの濃度を測定する。
定義および単位の論拠
・PSAを、ng/mlの単位で報告する。値を、試料セットの注釈から取る。
・フィラミンA ELISA: ng/ml。
・フィラミンAペプチドIP-MRM: pg/ml。
・ケラチン19断片ELISA:ng/ml。
・フィラミンB ELISA:ピコモル、pM。
結果
検定セット試料から生成されたモデルは、表1中の以下のAUCデータおよび表2中の予測力データを生成した。
Figure 0006759229
Figure 0006759229
前立腺癌を有する、および有さない患者由来試料間を区別するバイオマーカーパネルの予測力および有用性を、以下に示す。
Figure 0006759229
検定セット
このモデルを訓練してPSA=4カットオフの感度に一致させ、PSA試験と比較した上記で同定されたバイオマーカーパネルの特異度を試験した。図18は、PCA対その他:0.4455のカットオフを有する感度一致PSAを示す。
検証セット
予測確率および正確性分析の箱ひげ図を、それぞれ、図19および図20に示す。
次に、非常に高いグリソンスコア(8〜10)、高いグリソンスコア(7以上)、および低いグリソンスコア(6)の前立腺癌を有する患者由来試料間を区別するバイオマーカーパネルの予測力を決定した。
Figure 0006759229
検定セット
モデルを訓練して、0.95以上の感度を得た。このモデルにより、生成されたカットオフは0.01997であった。図21を参照されたい。
検証セット
予測確率および正確性分析の箱ひげ図を、それぞれ、図22および図23に示す。
次に、高いグリソンスコア対その他全てを有する患者由来試料間を区別するバイオマーカーパネルの予測力を決定した。
検定セット
モデルを訓練して、0.8以上の感度を得た。結果は、0.1603を有するバイオマーカーパネルのカットオフ値であった。図24を参照されたい。
検証セット
予測確率および正確性分析の箱ひげ図を、それぞれ、図25および図26に示す。
次に、前立腺癌を有するがPSA濃度は低い(4ng/ml未満)患者由来試料を同定するバイオマーカーパネルの予測力を決定した。この試験のために、癌を有していた検定試料を、低いPSA(4ng/ml未満)および高いPSA(4ng/mlを超える)として区別した。かくして、PSA AUCは1に等しかった。次に、低いPSAおよび高いPSAを、上記に同定されたバイオマーカーパネルを用いて予測した。以下の表は、高いPSAの癌対低いPSAの癌に関するAUCの概要を示す。
Figure 0006759229
次に、前立腺癌および良性前立腺過形成を有する患者由来試料間を区別するバイオマーカーパネルの予測力を決定した。以下の表を参照されたい。
Figure 0006759229
検定セット
バイオマーカーパネルを、0.8以上の感度を得るように設定した。このモデルにより生成されたカットオフは0.8758であった。図27を参照されたい。
検証セット
予測確率および正確性分析の箱ひげ図を、それぞれ、図28および図29に示す。
結論
検定および検証試験は、PCAパネルの4つの臨床適用における有用性を示す。開発されたモデルは、侵攻性の低い形態を侵攻性の高い形態から識別する能力を有意に改善した。グリソンスコア8以上を有する患者から採取した試料を識別するためのAUCは0.8であった(PSA単独に関する0.67に対する)。患者値がモデルのカットオフより低い場合、負の予測値はこのモデルについて非常に高く、患者が疾患を有さない確率は95%であった。
モデルはまた、BPH対前立腺癌を有する患者を識別するのに良好に機能した。モデルのカットオフよりも高い患者値は、BPHの代わりに前立腺癌を有する患者の約90%の確率と関連していた。このモデルのAUCは0.75であった(PSA単独に関する0.56に対する)。
前立腺癌を有する患者に由来する試料と前立腺癌を有さない患者に由来する試料とを識別する能力は、55〜70パーセンタイル中に予測値を有していた。しかしながら、AUCはPSA単独の使用と比較して改善された。
Figure 0006759229
新規前立腺癌バイオマーカーの同定および検証
前立腺癌は、男性の間で最も多い癌診断であり、癌関連死の第2位の主因である。前立腺癌スクリーニングのためのデジタル直腸検査(DRE)および前立腺特異的抗原(PSA)の血液に基づくスクリーニングの幅広い使用にもかかわらず、その特異性および予後診断値における有意な制限がある。i)良性前立腺過形成(BPH)からPSAが低い前立腺癌を識別する、およびii)遅発性と侵攻性の疾患経過を識別するバイオマーカーは、満たされない臨床必要性の代表である。実験的に、前立腺癌細胞系および非腫瘍性ヒト一次細胞のパネルを、酸素供給不足、低pH、栄養微小環境の縮小、および代謝摂動(24〜48h)を刺激するように設計されたin vitro条件に曝露した後、細胞溶解物のiTRAQプロテオミック分析を行った。次いで、疑問生物学プラットフォームを用いて、プロテオミックデータをベイジアンネットワーク学習にかけて、分子相互作用をマッピングし、細胞骨格および足場タンパク質フィラミンA(FLNA)、フィラミンB(FLNB)、およびケラチン19(KRT19)を候補前立腺癌バイオマーカーとして同定した。
バイオマーカー発現を検証するために、mRNAおよびタンパク質を、一次ヒト前立腺上皮細胞(HPrEC)およびアンドロゲン感受性(LnCAP)または不応性(DU145、PC-3)前立腺癌細胞のパネル中で定量したところ、それぞれ、HPrECと比較して1種以上の前立腺癌細胞系中で示差的に検出された(図30および図31)。具体的には、in vitroでの前立腺癌細胞中でのFLNA、FLNB、およびKRT19の基底発現を評価した。mRNAおよび細胞溶解物を、HPrEC、LnCAP、DU145、およびPC-3細胞から調製した。FLNA、FLNB、およびKRT19の発現を、定量的RT-PCRにより評価し、TBPに対して正規化した。細胞溶解物をSDS-PAGEにより分解し、FLNA、FLNB、およびKRT19に特異的な抗体でプローブ化した。代表的な画像を、図30および図31に示す。FLNA、FLNB、およびKRT19に関する濃度測定分析を、それぞれのブロットの下に報告する。値は、平均+SEM、N=3を表す。*HPrECと比較したp<0.05。
プロテオミック分析を用いて、FLNA、FLNBおよびKRT19に由来するペプチドを、前立腺癌細胞により条件化された細胞培養培地中で検出したところ(24h)、それらが分泌され得ることが示された(図32)。具体的には、低酸素状態(1%酸素)、TNFα(10ng/mL)、またはR1881(1nM)に24時間曝露したLnCAP、DU145、およびPC-3細胞に由来する条件化培地を収獲し、プロテオミック分析を実施した。値は、平均+SEM、N=3を表す。*酸素正常状態対照と比較したp<0.05。
重要なことに、PSA発現と違って、FLNA、FLNB、およびKRT19発現の全体的な調節は、複数の前立腺癌関連刺激(例えば、低酸素状態、アンドロゲン、および炎症刺激)を用いた処置後に変化しないままであった(図33〜35)。具体的には、mRNAを、低酸素状態(1%酸素;A)、TNFα(10ng/mL; B)、またはR1881(1nM; C)に24h曝露したLnCAP、DU145、およびPC-3細胞から調製した。FLNA、FLNB、およびKRT19の発現を、定量的RT-PCRにより評価し、TBPに対して正規化し、PSAと比較した。値は、平均+SEM、N=3を表す。*酸素正常状態/対照と比較したp<0.05。
スクリーニングマーカーとしての血漿FLNAおよびFLNBレベルの評価を、47の血漿試料の概念実証試料コホート中で評価した(図36)。注文された試験が完了した後、患者試料から残留ヘパリンリチウム血漿を収集した。組み入れ基準は、PSAの結果の上昇(≧2.6ng/mL)、45〜70歳の年齢、および700μLの最小容量であった。結果は、FLNAおよびFLNBがヒト血漿中で検出され、前立腺癌患者の同定における予測力を有することを示している。
最後に、次に、in vivoでの検証を、CLIA認証研究室でのLDT ELISAアッセイを用いて、前立腺癌、良性前立腺腫瘍、またはBPHが確認された男性(N-447)に由来する血清中で行った。PSAと比較したFLNA、FLNB、およびKRT19の感度および特異度を評価するために、ROC曲線分析を実施した。それぞれのバイオマーカー単独の個々の予測力は、PSAのものと同等であった。しかしながら、年齢、FLNA、FLNB、およびKRT19のレベルと、PSAとの組合せは、BPHの良性状態、グリソンスコア、および発生率と比較して層別化された前立腺癌を有する患者の同定において、PSA単独よりも優れていた。同時に、これらのデータは、FLNA、FLNB、およびKRT19を、当業界における重要な満たされない必要性である、より高感度かつ特異的な前立腺癌スクリーニングのためにPSAおよび/または年齢と共に用いることができることを示している。
等価物
当業者であれば、日常的なものに過ぎない実験を用いて、本明細書に記載の特定の実施形態および方法に対する多くの等価物を認識するか、または確認することができる。そのような等価物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
本明細書に記載される詳細な実施例および実施形態は例示目的でのみ例として与えられるものであり、いかなる意味でも本発明を限定するものと考えられるものではないことが理解される。それに照らした様々な改変または変更が当業者に対して提示され、本出願の精神および範囲内に含まれ、添付される特許請求の範囲内にあると考えられる。例えば、成分の相対量を変化させて、所望の効果を最適化し、さらなる成分を添加し、および/または同様の成分を、記載された1種以上の成分に置換することができる。本発明のシステム、方法、およびプロセスと関連するさらなる有利な特徴および機能は、添付の特許請求の範囲から明らかとなる。さらに、当業者であれば、日常的なものに過ぎない実験を用いて、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または確認することができる。そのような等価物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。

Claims (22)

  1. 被験体における前立腺癌の存在を診断するための方法であって、前記被験体は増大した前立腺特異的抗原(PSA)レベルを示す被験体であり、(a) 前記被験体の生物試料中のフィラミンAのレベルを検出すること、および(b)生物試料中のフィラミンAのレベルと、正常な対照試料中のフィラミンAのレベルとを比較することを含み、正常な対照試料中のフィラミンAのレベルより上のフィラミンAのレベルが、被験体における前立腺癌の存在を示す、前記方法。
  2. 前立腺癌の1種以上のさらなるマーカーのレベルを検出することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 立腺癌の1種以上のさらなるマーカーが、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、および前立腺特異的抗原(PSA)からなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
  4. ステップ(a)が、生物試料中のフィラミンAタンパク質のレベルを決定することを含、請求項1に記載の方法。
  5. ィラミンAタンパク質のレベルがイムノアッセイ、ELISAまたは質量分析によって決定される、請求項に記載の方法。
  6. 被験体における前立腺癌の存在を診断するための方法であって、前記被験体は増大した前立腺特異的抗原(PSA)レベルを示す被験体であり、(a)生物試料と、フィラミンAに選択的に結合する試薬とを接触させること;(b)試薬とフィラミンAとの間で複合体を形成させること;(c)複合体のレベルを検出すること、および(d)複合体のレベルと、正常な対照試料中のフィラミンAのレベルとを比較することを含み、正常な対照試料中のフィラミンAのレベルより上の複合体のレベルが被験体における前立腺癌の存在を示す、前記方法。
  7. 前立腺癌の1種以上のさらなるマーカーのレベルを検出することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
  8. 立腺癌の1種以上のさらなるマーカーが、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、および前立腺特異的抗原(PSA)からなる群より選択される、請求項に記載の方法。
  9. 1種以上のさらなるマーカーのレベルが所定の閾値と比較して増加するか、または1種以上のさらなるマーカーのレベルが所定の閾値と比較して低下する、請求項7または8に記載の方法。
  10. 生物試料が血液、血清、尿、臓器組織、生検組織、糞便、皮膚、毛髪、および頬組織からなる群より選択される、請求項1またはに記載の方法。
  11. 前立腺癌が前立腺上皮内新生物、腺癌、小細胞癌、または扁平上皮癌であるか、または前立腺癌がアンドロゲン依存的前立腺癌、アンドロゲン非依存的前立腺癌、侵攻性前立腺癌、または非侵攻性前立腺癌である、請求項1またはに記載の方法。
  12. 被験体の治療的抗癌処置のための組成物であって、該被験体は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法により被験体における前立腺癌の存在される被験体であり、前記組成物は、化学療法物質ルモ、サイトカイ殖因、およびそのいずれかの組合せからなる群より選択される物質を含む前記組成物
  13. 前立腺癌を有すると疑われる、または有する危険性がある被験体を選択することをさらに含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  14. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法が、前立腺癌を有すると疑われる、または有する危険性がある被験体を選択することをさらに含む、請求項12に記載の組成物
  15. 生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルと、生物試料よりも早い時点で同じ被験体から得られた試料、良性前立腺過形成(BPH)を有する被験体に由来する試料、非転移性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、転移性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、アンドロゲン感受性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、アンドロゲン非感受性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、侵攻性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、および非侵攻性前立腺癌を有する被験体に由来する試料からなる群より選択される対照試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルとを比較することをさらに含むか、または
    正常な前立腺と前立腺癌、良性前立腺過形成と前立腺癌、良性前立腺過形成と正常前立腺、アンドロゲン依存的前立腺癌とアンドロゲン非依存的前立腺癌、侵攻性前立腺癌と非侵攻性前立腺癌、および転移性前立腺癌と非転移性前立腺癌からなる群より選択される2つの前立腺癌状態の間を区別することをさらに含む、請求項1〜11及び13のいずれか1項に記載の方法。
  16. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法、又は請求項13に記載されている方法が、生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルと、生物試料よりも早い時点で同じ被験体から得られた試料、良性前立腺過形成(BPH)を有する被験体に由来する試料、非転移性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、転移性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、アンドロゲン感受性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、アンドロゲン非感受性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、侵攻性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、および非侵攻性前立腺癌を有する被験体に由来する試料からなる群より選択される対照試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルとを比較することをさらに含むか、または
    正常な前立腺と前立腺癌、良性前立腺過形成と前立腺癌、良性前立腺過形成と正常前立腺、アンドロゲン依存的前立腺癌とアンドロゲン非依存的前立腺癌、侵攻性前立腺癌と非侵攻性前立腺癌、および転移性前立腺癌と非転移性前立腺癌からなる群より選択される2つの前立腺癌状態の間を区別することをさらに含む、請求項12または14に記載の組成物
  17. 被験体に由来する生物試料中のフィラミンAのレベルを測定するための少なくとも1つの試薬、および被験体に由来する生物試料中のフィラミンAのレベルを測定するための説明書のセットを含む、請求項1〜11、13及び15のいずれか1項に記載の方法に使用するためのキット。
  18. 説明書が、生物試料中のフィラミンA mRNAの量を決定するためのハイブリダイゼーションアッセイを説明する、請求項17に記載のキット。
  19. ットが、フィラミンA mRNAの一部と相補的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドをさらに含み、かつ場合により説明書が、被験体に由来する生物試料中のフィラミンAのレベルと、フィラミンAの閾値とを比較することをさらに説明する、請求項18に記載のキット。
  20. 説明書が、生物試料中のフィラミンA mRNAまたはタンパク質の量を決定するためのハイブリダイゼーションアッセイを説明する、請求項17に記載のキット。
  21. ットが、フィラミンA mRNAの一部と相補的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチド、またはフィラミンAタンパク質またはその断片と結合する少なくとも1つの抗体をさらに含み、かつ場合により説明書が、被験体に由来する生物試料中のフィラミンAのレベルと、フィラミンAの閾値とを比較することをさらに説明する、請求項20に記載のキット。
  22. 被験体の年齢を決定するための説明書をさらに含む、請求項1721のいずれか1項に記載のキット。
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