[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による撮像装置について、図1乃至図30を用いて説明する。本実施形態では、撮像のための撮像素子や撮影光学系等と、画像再生装置とを備えた撮像装置を、本発明の好適な実施の形態の一例として説明する。ただし、画像再生装置は、必ずしも撮像装置の一部として構成される必要はなく、撮像素子や撮影光学系とは別のハードウェアにより構成されていてもよい。また、画像再生装置の機能の全部又は一部を、撮像素子に搭載するようにしてもよい。
図1は、本実施形態による撮像装置の一例としてのデジタルスチルモーションカメラの外観図である。図1(a)がその正面図を示し、図1(b)がその背面図を示している。
本実施形態による撮像装置100は、筐体151と、筐体151の正面部に設けられた撮影光学系152と、筐体151の上面部に設けられたスイッチST154及びプロペラ162とを有している。また、撮像装置100は、筐体151の背面部に、表示部153と、スイッチMV155と、撮影モード選択レバー156と、メニューボタン157と、アップダウンスイッチ158,159と、ダイアル160と、再生ボタン161とを有している。
筐体151は、撮像素子やシャッター装置等の撮像装置100を構成する種々の機能部品を収納する容器である。撮影光学系152は、被写体の光学像を結像するための光学系である。表示部153は、撮影情報や映像を表示するための表示装置により構成される。表示部153には、必要に応じて画面の向きを変えるための可動機構を設けてもよい。表示部153は、ダイナミックレンジの広い映像もその輝度範囲を抑制することなく表示できるだけの表示輝度範囲を有している。スイッチST154は、主に静止画の撮影を行うために使用するシャッターボタンである。スイッチMV155は、動画撮影の開始及び停止を行うためのボタンである。撮影モード選択レバー156は、撮影モードを選択するための切り替えスイッチである。メニューボタン157は、撮像装置100の機能設定を行う機能設定モードへ移行するためのボタンである。アップダウンスイッチ158,159は、各種の設定値を変更する際に用いるボタンである。ダイアル160は、各種の設定値を変更するためのダイアルである。再生ボタン161は、撮像装置100に収納されている記録媒体に記録されている映像を表示部153上で再生する再生モードへ移行するためのボタンである。プロペラ162は、空中からの撮影を行うために撮像装置100を空中に浮上させるためのものである。
図2は、本実施形態による撮像装置100の概略構成を示すブロック図である。撮像装置100は、図2に示すように、絞り181、絞り制御部182、光学フィルター183、撮像素子184、アナログフロントエンド185,186、デジタル信号処理部187,188、タイミング発生部189を有している。また、撮像装置100は、システム制御CPU178、スイッチ入力手段179、映像メモリ190、飛行制御装置200を有している。また、撮像装置100は、表示インターフェース部191、記録インターフェース部192、記録媒体193、プリントインターフェース部194、外部インターフェース部196、無線インターフェース部198を有している。
撮像素子184は、撮影光学系152を介して結像された被写体の光学像を電気的な画像信号に変換するためのものである。撮像素子184は、特に限定されるものではないが、例えば、UHDTV(Ultra High Definition Television)の規格を満たすに十分な画素数、信号読み出し速度、色域、ダイナミックレンジを有している。絞り181は、撮影光学系152を通る光の量を調節するためのものである。絞り制御部182は、絞り181を制御するためのものである。光学フィルター183は、撮像素子184に入射する光の波長、撮像素子184に伝達する空間周波数を制限するためのものである。撮影光学系152、絞り181、光学フィルター183、撮像素子184は、撮影光学系152の光軸180上に配置されている。
アナログフロントエンド185,186は、撮像素子184から出力される画像信号のアナログ信号処理及びアナログ−デジタル変換処理を行うためのものである。アナログフロントエンド185,186は、例えば、ノイズを除去する相関二重サンプリング(CDS)回路、信号ゲインを調整するアンプ、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器等により構成される。デジタル信号処理部187,188は、アナログフロントエンド185,186から出力されるデジタル映像データに対して各種の補正を行った後、映像データを圧縮するためのものである。デジタル信号処理部187,188が行う補正には、後述するクロストーク補正が含まれる。タイミング発生部189は、撮像素子184、アナログフロントエンド185,186、デジタル信号処理部187,188に各種タイミング信号を出力するためのものである。システム制御CPU178は、各種演算の実行や撮像装置100の全体の制御を司る制御部である。映像メモリ190は、映像データを一時的に記憶するためのものである。
表示インターフェース部191は、撮影された映像を表示部153に表示するためのシステム制御CPU178と表示部153との間のインターフェースである。記録媒体193は、映像データや付加データ等を記録するための半導体メモリ等の記録媒体であり、撮像装置100に備え付けられていてもよいし着脱可能でもよい。記録インターフェース部192は、記録媒体193に記録又は記録媒体193から読み出しを行うためのシステム制御CPU178と記録媒体193との間のインターフェースである。外部インターフェース部196は、外部コンピュータ197等の外部機器と通信するためのシステム制御CPU178と外部機器との間のインターフェースである。プリントインターフェース部194は、撮影された映像を小型インクジェットプリンタ等のプリンタ195に出力し印刷するためのシステム制御CPU178とプリンタ195との間のインターフェースである。無線インターフェース部198は、インターネット等のネットワーク199と通信するためのシステム制御CPU178とネットワーク199との間のインターフェースである。スイッチ入力手段179は、スイッチST154やスイッチMV155、各種モードの切り替えを行う複数のスイッチを含む。飛行制御装置200は、空中からの撮影を行うためにプロペラ162を制御して撮像装置100を飛行させるための制御装置である。
本実施形態で説明する撮像装置100のような画像再生装置を備えた撮像装置では、撮影した映像データを表示部153や外部モニタ等を用いて再生することができる。映像データの再生時には、記録媒体193から映像データや付加データが読み出される。読み出されたデータは、システム制御CPU178の指示によりデジタル信号処理部187,188で復調され、表示インターフェース部191を介して表示部153に画像として提示される。また、再生時の動作は、撮像装置100の背面に備えられた操作部(メニューボタン157、アップダウンスイッチ158,159、ダイアル160など)をユーザが操作することによって制御することができる。ユーザの操作には、動画の再生、停止、一時停止などが含まれる。
図3は、撮像素子184の構成例を示すブロック図である。撮像素子184は、図3に示すように、画素アレイ302、垂直走査回路307、読み出し回路308A,308B及びタイミング制御回路309A,309Bを含む。
画素アレイ302には、複数の画素303が行列状に配置されている。なお、画素アレイ302に属する画素303の実際の配列数は一般的には多数となるが、ここでは図面の簡略化のため、4行×4列の行列状に配置された16個の画素303のみを示している。複数の画素303の各々は、画素要素303Aと画素要素303Bとの組みを有する。図3では、画素303の上半分の領域を画素要素303Aとし、画素303の下半分の領域を画素要素303Bとしている。画素要素303A及び画素要素303Bは、それぞれ光電変換により信号を生成する。
画素アレイ302の各列には、列方向に延在する信号出力線304A,304Bが、それぞれ設けられている。各列の信号出力線304Aは、当該列に属する画素要素303Aに接続されている。信号出力線304Aには、画素要素303Aからの信号が出力される。各列の信号出力線304Bは、当該列に属する画素要素303Bに接続されている。信号出力線304Bには、画素要素303Bからの信号が出力される。画素アレイ302の各列には、また、列方向に延在する電源線305及び接地線306が、それぞれ設けられている。各列の電源線305及び接地線306は、当該列に属する画素303に接続されている。電源線305及び接地線306は、行方向に延在する信号線としてもよい。
垂直走査回路307は、画素アレイ302に対して行方向に隣接して配置される。垂直走査回路307は、画素アレイ302の複数の画素303に対して行単位で、行方向に延在して配された図示しない制御線を介して、画素303内の読み出し回路を制御するための所定の制御信号が出力される。図には、制御信号として、リセットパルスφRESn、転送パルスφTXnA,TXnBを示している(nは、行番号に対応した整数)。
読み出し回路308A,308Bは、画素アレイ302を挟むように、画素アレイ302に対して列方向に隣接して配置されている。読み出し回路308Aは、各列の信号出力線304Aに接続されている。読み出し回路308Aは、各列の信号出力線304Aを順次選択的に活性化することで、各列の信号出力線304Aからの信号を順次読み出し、所定の信号処理を実施する。同様に、読み出し回路308Bは、各列の信号出力線304Bに接続されている。読み出し回路308Bは、各列の信号出力線304Bを順次選択的に活性化することで、各列の信号出力線304Bからの信号を順次読み出し、所定の信号処理を実施する。読み出し回路308A,308Bは、それぞれ、雑音除去回路、増幅回路、アナログデジタル変換回路、水平走査回路などを含むことができ、所定の信号処理を実施した信号を順次出力する。
タイミング制御回路309Aは、垂直走査回路307及び読み出し回路308Aに接続されている。タイミング制御回路309Aは、垂直走査回路307及び読み出し回路308Aの駆動タイミングを制御する制御信号を出力する。タイミング制御回路309Bは、垂直走査回路307及び読み出し回路308Bに接続されている。タイミング制御回路309Bは、垂直走査回路307及び読み出し回路308Bの駆動タイミングを制御する制御信号を出力する。
図4は、撮像素子184の画素303の内部構造を示す断面図である。それぞれの画素303は、図4に示すように、2つのフォトダイオード310A,310Bと、ライトガイド255と、カラーフィルタ256とを含む。フォトダイオード310Aは画素要素303Aの一部を構成し、フォトダイオード310Bは画素要素303Bの一部を構成する。フォトダイオード310A,310Bは、シリコン基板251内に設けられている。ライトガイド255は、シリコン基板251上に設けられた絶縁層254内に設けられている。絶縁層254は例えば酸化シリコンにより構成され、ライトガイド255は絶縁層254よりも高屈折率の材料、例えば窒化シリコンにより構成される。ライトガイド255間の絶縁層254には、配線層252が設けられている。ライトガイド255上には、所定の分光透過率特性を有するカラーフィルタ256が設けられている。なお、図4には、隣接する2つの画素303のカラーフィルタを、互いに異なる分光透過率特性を有するカラーフィルタ256,257により構成した例を示している。
ライトガイド255は、絶縁層254との間の屈折率差によって内部に光を閉じ込める性質を有している。これにより、カラーフィルタ256を介して入射した光をライトガイド255によってフォトダイオード310A,310Bに導くことができる。フォトダイオード310A,310Bは、ライトガイド255に対して非対称に配置されており、ライトガイド255を伝搬した光束は、高い効率でフォトダイオード310Aに入射し、低い効率でフォトダイオード310Bに入射する。更に、ライトガイド255は、その深さや傾斜角を調節することにより、フォトダイオード310A,310Bが有効に光電変換できる入射光束に対して、その入射角特性に偏りが生じないようになっている。
図5は、画素に入射する光線の角度とフォトダイオードからの出力との関係を示すグラフである。図5において、横軸が画素に入射する光線の角度を表し、縦軸がフォトダイオードからの出力を表している。図5には、フォトダイオード310Aからの出力特性261と、フォトダイオード310Bからの出力特性262とを示している。
図5に示すように、特性261及び特性262は、ともに光線の入射角度がゼロのときをピークとする左右対称の僅かに山なりの形状となっている。また、特性262のピーク強度PBは、特性261のピーク強度PAの1/8程度になっている。このことは、フォトダイオード310A,310Bの入射角依存性はともに小さく、それらの受光効率はフォトダイオード310Aに比べてフォトダイオード310Bが1/8であるということを表している。すなわち、フォトダイオード310Bは、ISO感度の設定値に置き換えると、フォトダイオード310Aよりも3段分、感度が低いことになる。
次に、撮影光学系152と撮像素子184との関係を、図6を用いてより詳しく説明する。図6は、撮影光学系152と撮像素子184との関係を説明する図である。図6(a)は、撮影光学系152をその光軸180方向から見た図である。図6(b)は、図2の撮影光学系152から撮像素子184に至る部分をより詳細に示した図である。
撮像素子184が、図6(b)に示すように、撮像領域の中央部に位置する画素276と、撮像領域の外縁近傍に位置する画素277とを含むものとする。この場合、画素276は、光線272と光線273とで囲まれた領域からの光束を受光することができる。また、画素277は、光線274と光線275とで囲まれた領域からの光束を受光することができる。この際、フィールドレンズ270が光学フィルター183と撮影光学系152との間に配置されているため、撮影光学系152の付近では、画素276が受光する光束と画素277が受光する光束とは、図6(a)に領域271で示すように重なっている。この結果、撮影光学系152から射出される光束を何れの画素においても高効率で受光することが可能となっている。
図7は、撮像素子から出力される映像信号を説明する概略図である。ここで、画素アレイ302に、図7(a)に示すカラーフィルタ配列281で、所定の光透過率特性を有するカラーフィルタが配置されている場合を想定する。図7(a)は、6行×8列の行列状に画素303が配列された画素アレイ302と、各画素に配置されるカラーフィルタの色を模式的に示したものである。図中、Rは赤色カラーフィルタを、G1及びG2は緑色カラーフィルタを、Bは青色カラーフィルタを、それぞれ表している。図示するカラーフィルタ配列281は、いわゆるベイヤー配列と呼ばれるカラーフィルタ配列であり、行毎に、G1BG1B…,RG2RG2…,G1BG1B…,…、といった繰り返しで、各色のカラーフィルタが配置されている。
このようなカラーフィルタ配列281を有する画素アレイ302からは、図7(b)及び図7(c)に示される出力データ282,283が得られる。図7(b)中、g1A及びg2Aは、緑色カラーフィルタが配置された画素303の画素要素303Aからの出力を表している。bAは、青色カラーフィルタが配置された画素303の画素要素303Aからの出力を表している。rAは、赤色カラーフィルタが配置された画素303の画素要素303Aからの出力を表している。図7(c)中、g1B及びg2Bは、緑色カラーフィルタが配置された画素303の画素要素303Bからの出力を表している。bBは、青色カラーフィルタが配置された画素303の画素要素303Bからの出力を表している。rBは、赤色カラーフィルタが配置された画素303の画素要素303Bからの出力を表している。
図3を用いて説明したように、撮像素子184からは、読み出し回路308A,308Bからの2系統の出力が得られ、そのうちの一方が図7(b)に示す出力データ282であり、他方が図7(c)に示す出力データ283である。出力データ282は、所定の信号処理ののちに映像信号「picture A」となる。また、出力データ283は、所定の信号処理ののちに映像信号「picture B」となる。以後の説明では、出力データ282に基づく映像信号を「picture A」、出力データ283に基づく映像信号を「picture B」と表記するものとする。なお、「picture A」,「picture B」は、厳密には所定の補正等の処理を行った後の映像信号であるが、説明の便宜上、補正前或いは補正途中の映像信号についても「picture A」,「picture B」と表記することがある。
図8は、画素303の構成例を示す回路図である。画素303は、上記のように、画素要素303A及び画素要素303Bを有する。画素要素303Aは、フォトダイオード310Aと、転送トランジスタ311Aと、フローティングディフュージョン領域313Aと、リセットトランジスタ314Aと、増幅トランジスタ315Aとを有する。画素要素303Bは、フォトダイオード310Bと、転送トランジスタ311Bと、フローティングディフュージョン領域313Bと、リセットトランジスタ314Bと、増幅トランジスタ315Bとを有する。なお、フォトダイオード310Aは、図4に示したフォトダイオード310Aに対応し、フォトダイオード310Bは、図4に示したフォトダイオード310Bに対応する。
フォトダイオード310Aのアノードは接地線306に接続され、フォトダイオード310Aのカソードは転送トランジスタ311Aのソースに接続されている。転送トランジスタ311Aのドレインは、リセットトランジスタ314Aのソース及び増幅トランジスタ315Aのゲートに接続されている。転送トランジスタ311Aのドレイン、リセットトランジスタ314Aのソース及び増幅トランジスタ315Aのゲートの接続ノードが、第1のフローティングディフュージョン領域313Aを構成する。リセットトランジスタ314Aのドレイン及び増幅トランジスタ315Aのドレインは、電源線305に接続されている。画素信号出力部316Aを構成する増幅トランジスタ315Aのソースは、信号出力線304Aに接続されている。
同様に、フォトダイオード310Bのアノードは接地線306に接続され、フォトダイオード310Bのカソードは転送トランジスタ311Bのソースに接続されている。転送トランジスタ311Bのドレインは、リセットトランジスタ314Bのソース及び増幅トランジスタ315Bのゲートに接続されている。転送トランジスタ311Bのドレイン、リセットトランジスタ314Bのソース及び増幅トランジスタ315Bのゲートの接続ノードが、第2のフローティングディフュージョン領域313Bを構成する。リセットトランジスタ314Bのドレイン及び増幅トランジスタ315Bのドレインは、電源線305に接続されている。画素信号出力部316Bを構成する増幅トランジスタ315Bのソースは、信号出力線304Bに接続されている。
各列の画素303は、垂直走査回路307から行方向に配されたリセット制御線319及び転送制御線320A,320Bに接続されている。リセット制御線319は、リセットトランジスタ314Aのゲート及びリセットトランジスタ314Bのゲートに接続されている。転送制御線320Aは、コンタクト部312Aを介して転送トランジスタ311Aのゲートに接続されている。転送制御線320Bは、コンタクト部312Bを介して転送トランジスタ311Bのゲートに接続されている。リセット制御線319は、リセットトランジスタ314Aのゲート及びリセットトランジスタ314Bのゲートに、垂直走査回路307から出力されるリセットパルスφRESnを供給する。転送制御線320Aは、転送トランジスタ311Aのゲートに、垂直走査回路307から出力される転送パルスφTXnAを供給する。転送制御線320Bは、転送トランジスタ311Bのゲートに、垂直走査回路307から出力される転送パルスφTXnBを供給する。なお、リセットパルスφRESn、転送パルスφTXnA及び転送パルスφTXnBの符号に付したnは、行番号に対応した整数である。図面には、nを行番号に対応した整数で置き換えた符号で表している。
フォトダイオード310Aは光電変換により電荷を生成する第1の光電変換部であり、フォトダイオード310Bは光電変換により電荷を生成する第2の光電変換部である。フローティングディフュージョン領域313A,313Bは、電荷を蓄積する領域である。転送トランジスタ311Aは、フォトダイオード310Aにより生成された電荷をフローティングディフュージョン領域313Aに転送するためのものである。転送トランジスタ311Bは、フォトダイオード310Bにより生成された電荷をフローティングディフュージョン領域313Bに転送するためのものである。
垂直走査回路307からハイレベルの転送パルスφTXnAが出力されると、転送トランジスタ311Aがオン状態となり、フォトダイオード310Aとフローティングディフュージョン領域313Aとが接続される。同様に、垂直走査回路307からハイレベルの転送パルスφTXnBが出力されると、転送トランジスタ311Bがオン状態となり、フォトダイオード310Bとフローティングディフュージョン領域313Bとが接続される。垂直走査回路307からハイレベルのリセットパルスφRESnが出力されると、リセットトランジスタ314A,314Bがオン状態となり、フォトダイオード310A,310B、フローティングディフュージョン領域313A,313Bがリセットされる。
垂直走査回路307からローレベルの転送パルスφTXnAが出力されると、転送トランジスタ311Aがオフ状態となり、フォトダイオード310Aは、光電変換により生成した信号電荷の蓄積を開始する。次いで、垂直走査回路307からハイレベルの転送パルスφTXnAが出力されると、転送トランジスタ311Aがオン状態となり、フォトダイオード310Aの信号電荷はフローティングディフュージョン領域313Aに転送される。すると、増幅トランジスタ315Aは、フォトダイオード310Aから転送された信号電荷の量に応じたフローティングディフュージョン領域313Aの電圧を増幅して信号出力線304Aに出力する。
同様に、垂直走査回路307からローレベルの転送パルスφTXnBが出力されると、転送トランジスタ311Bがオフ状態となり、フォトダイオード310Bは、光電変換により生成した信号電荷の蓄積を開始する。次いで、垂直走査回路307からハイレベルの転送パルスφTXnBが出力されると、転送トランジスタ311Bがオン状態となり、フォトダイオード310Bの信号電荷はフローティングディフュージョン領域313Bに転送される。すると、増幅トランジスタ315Bは、フォトダイオード310Bから転送された信号電荷の量に応じたフローティングディフュージョン領域313Bの電圧を増幅して信号出力線304Bに出力する。
図9及び図10は、画素303の要部を示す平面レイアウト図である。図9には、画素303の構成要素のうち、フォトダイオード310A,310B、転送トランジスタ311A,311B、フローティングディフュージョン領域313A,313Bを示している。リセットトランジスタ314A,314B及び増幅トランジスタ315A,315Bを含むその他の回路要素は、図面において読み出し回路部321として表し、詳細な図示は省略している。また、画素303の垂直方向に配される信号出力線304A,304B及び電源線305を省略し、リセット制御線319、電源線305、接地線306のコンタクト部を省略している。図10には、図9に示した構成要素に加え、図4において説明したライトガイド255を示している。ライトガイド255は、斜影線を付した部分が低屈折率領域を示し、白抜き部分が高屈折率領域、すなわち導光部分を示している。
図9及び図10において、コンタクト部312Aは、転送制御線320Aと転送トランジスタ311Aのゲートとを接続するコンタクト部である。コンタクト部312Bは、転送制御線320Bと転送トランジスタ311Bのゲートとを接続するコンタクト部である。フォトダイオード310A,310Bは、光電変換を行う光電変換部であり、第1導電型(例えばP型)の半導体領域と、第1導電型の半導体領域とPN接合を構成する第2導電型(例えばN型)の半導体領域(N型の電子蓄積領域)とを有する。フォトダイオード310Aの第2導電型の半導体領域とフォトダイオード310Bの第2導電型の半導体領域とは、分離部322によって分離されている。
転送トランジスタ311A,311B、コンタクト部312A,312B、転送制御線320A,320Bは、フォトダイオード310A,310B間にある分離部322に対し、それぞれ線対称又は略線対称に配置されている。一方、ライトガイド255は、図10に示すように、分離部322に対して偏った位置に配置されている。すなわち、フォトダイオード310Aがライトガイド255の底部分の多くの面積を占めるのに対して、フォトダイオード310Bはライトガイド255の底部分に僅かに掛かるだけとなっている。この結果、フォトダイオード310Aの受光効率は高く、フォトダイオード310Bの受光効率は低くなっている。
本実施形態による撮像素子184では、フォトダイオード310A,310Bの受光効率の比を8:1程度、すなわち感度の差を3段程度に設定している。そして、2つの映像が異なる蓄積時間の設定で撮影しつつ、画素要素においては同程度の信号電荷を得て、どちらもS/N比の良好なノイズ感のない映像としたり、或いは、品位の高いHDR映像を合成可能としたりすることに供している。詳細については、後述する。
図11は、撮像素子184の読み出し回路308A,308Bの構成例を示す回路図である。なお、図11には、読み出し回路308Aを想定して、一部の構成要素の符号の末尾に「A」を付記している。読み出し回路308Bにおいては、対応する構成要素の符号の末尾に「B」が付記されるものと理解されたい。
読み出し回路308Aは、図11に示すように、クランプ容量C0、フィードバック容量Cf、オペアンプ406、基準電圧源407、スイッチ423を含む。オペアンプ406の一方の入力端子は、クランプ容量C0を介して信号出力線304Aに接続されている。オペアンプ406の当該一方の入力端子と出力端子との間には、フィードバック容量Cfとスイッチ423とが並列に接続されている。オペアンプの他方の入力端子は、基準電圧源407に接続されている。基準電圧源407は、オペアンプ406に基準電圧Vrefを供給するためのものである。スイッチ423は、信号PC0Rで制御されるスイッチであり、信号PC0Rがハイレベルのときにオン状態となり、フィードバック容量Cfの両端を短絡させる。
読み出し回路308Aは、また、スイッチ414,415,418,419、容量CTSA、容量CTNA、水平出力線424,425、出力アンプ421を含む。スイッチ414,415は、容量CTSA,CTNAへの画素信号の書き込みを制御するスイッチである。スイッチ414は、信号PTSAで制御されるスイッチであり、信号PTSAがハイレベルのときにオン状態となり、オペアンプ406の出力端子と容量CTSAとを接続する。スイッチ415は、信号PTNAで制御されるスイッチであり、信号PTNAがハイレベルのときにオン状態となり、オペアンプ406の出力端子と容量CTNAとを接続する。
スイッチ418,419は、容量CTSA,CTNAに保持されている画素信号の出力アンプ421への出力を制御するためのスイッチである。スイッチ418,419は、水平シフトレジスタからの制御信号に応じてオン状態となる。これにより、容量CTSAに書き込まれた信号は、スイッチ418及び水平出力線424を介して出力アンプ421に出力される。また、容量CTNAに書き込まれた信号は、スイッチ419及び水平出力線425を介して出力アンプ421に出力される。信号PC0R、信号PTNA及び信号PTSAは、システム制御CPU178による制御の下でタイミング発生部189から供給される信号である。
読み出し回路308Bも、読み出し回路308Aと同等の構成を有している。また、以下の説明における信号PTNB及び信号PTSBは、システム制御CPU178による制御の下でタイミング発生部189から供給される信号であって、読み出し回路308Aでの信号PTNA及び信号PTSAと同等の役割を担っている。
次に、撮像素子184におけるリセット、蓄積及び読み出しの動作について、第1行目の画素303からの読み出し動作を例にして、図12のタイミングチャートを用いて順次説明する。
まず、時刻t1において、垂直走査回路307は、転送制御線320A,320Bに出力する転送パルスφTX1A,TX1Bを、ローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、転送トランジスタ311A,311Bは、オン状態となる。このとき、垂直走査回路307からは、リセット制御線319にハイレベルのリセットパルスφRES1が出力されており、リセットトランジスタ314A,314Bもオン状態である。これにより、フォトダイオード310A,310Bは、転送トランジスタ311A,311B及びリセットトランジスタ314A,314Bを介して電源線305に接続され、リセット状態となる。この際、フローティングディフュージョン領域313A,313Bも、リセット状態となる。
次いで、時刻t2において、垂直走査回路307は、転送パルスφTX1Bをハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、転送トランジスタ311Bはオフ状態となり、フォトダイオード310Bでは光電変換による信号電荷の蓄積が開始する。
次いで、時刻t3において、垂直走査回路307は、転送パルスφTX1Aをハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、転送トランジスタ311Aはオフ状態となり、フォトダイオード310Aでは光電変換による信号電荷の蓄積が開始する。
次いで、時刻t4において、垂直走査回路307は、リセットパルスφRES1をハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、リセットトランジスタ314A,314Bはオフ状態となり、フローティングディフュージョン領域313A,313Bのリセットを解除する。
これにより、フローティングディフュージョン領域313Aの電位が信号出力線304Aに増幅トランジスタ315Aを介してリセット信号レベルとして読み出され、読み出し回路308Aに入力される。また、フローティングディフュージョン領域313Bの電位が信号出力線304Bに増幅トランジスタ315Bを介してリセット信号レベルの画素信号として読み出され、読み出し回路308Bに入力される。
時刻t4において、タイミング発生部189から読み出し回路308A及び読み出し回路308Bには、ハイレベルの信号PC0Rが出力されており、スイッチ423はオン状態である。このため、読み出し回路308Aには、オペアンプ406が基準電圧Vrefの出力をバッファする状態で、画素要素303Aからリセット信号レベルの画素信号が入力される。図には示していないが、読み出し回路308Bにも同様に、画素要素303Bからリセット信号レベルの画素信号が入力される。
次いで、時刻t5において、タイミング発生部189から読み出し回路308A及び読み出し回路308Bに出力する信号PC0Rをハイレベルからローレベルへと遷移し、スイッチ423をオフ状態にする。
次いで、時刻t6において、タイミング発生部189から読み出し回路308Aへ出力する信号PTNAをローレベルからハイレベルへと遷移してスイッチ415をオン状態にし、そのときのオペアンプ406の出力を容量CTNAへ書き込む。同様に、タイミング発生部189から読み出し回路308Bへ出力する信号PTNBをローレベルからハイレベルへと遷移してスイッチ415をオン状態にし、そのときのオペアンプ406の出力を容量CTNBへ書き込む。
次いで、時刻t7において、タイミング発生部189から読み出し回路308Aへ出力する信号PTNAをハイレベルからローレベルへと遷移してスイッチ415をオフ状態にし、容量CTNAへの書き込みを終了する。同様に、タイミング発生部189から読み出し回路308Bへ出力する信号PTNBをハイレベルからローレベルへと遷移してスイッチ415をオフ状態にし、容量CTNBへの書き込みを終了する。
次いで、時刻t8において、垂直走査回路307は、転送パルスφTX1A,φTX1Bをローレベルからハイレベルへと遷移し、転送トランジスタ311A,311Bをオン状態にする。これにより、フォトダイオード310Aに蓄積されていた信号電荷をフローティングディフュージョン領域313Aに転送し、フォトダイオード310Bに蓄積されていた信号電荷をフローティングディフュージョン31Bに転送する。
時刻t8において転送パルスφTX1A,φTX1Bを同時にハイレベルにすることで、フォトダイオード310A,310Bの蓄積期間の終了タイミングが揃うため、両者が蓄積しきったところで同時に読み出すことになる。したがって、「picture A」のデータを用いて「picture B」のデータを補正する、「picture B」のデータを用いて「picture B」のデータを補正する、といったクロストーク補正が非常に簡単な演算で実現できるようになる。
次いで、時刻t9において、垂直走査回路307は、転送パルスφTX1A,φTX1Bをハイレベルからローレベルへと遷移し、転送トランジスタ311A,311Bをオフ状態にする。これにより、フォトダイオード310Aに蓄積された信号電荷のフローティングディフュージョン領域313Aへの読み出し及びフォトダイオード310Bに蓄積された信号電荷のフローティングディフュージョン領域313Bへの読み出しを終了する。
これにより、信号電荷により変化したフローティングディフュージョン領域313Aの電位が信号出力線304Aに増幅トランジスタ315Aを介して光信号レベルとして読み出され、読み出し回路308Aに入力される。また、信号電荷により変化したフローティングディフュージョン領域313Bの電位が信号出力線304Bに増幅トランジスタ315Bを介して光信号レベルとして読み出され、読み出し回路308Bに入力される。
そして、読み出し回路308Aでは、クランプ容量C0とフィードバック容量Cfとの容量比率で電圧変化に対して反転ゲインがかかった電圧が、オペアンプ406から出力される。同様に、読み出し回路308Bにおいても、クランプ容量C0とフィードバック容量Cfとの容量比率で電圧変化に対して反転ゲインがかかった電圧が、オペアンプ406から出力される。
次いで、時刻t10において、タイミング発生部189から読み出し回路308Aへ出力する信号PTSAをローレベルからハイレベルへと遷移してスイッチ414をオン状態にし、そのときのオペアンプ406の出力を容量CTSAへ書き込む。同様に、タイミング発生部189から読み出し回路308Bへ出力する信号PTSBをローレベルからハイレベルへと遷移してスイッチ414をオン状態にし、そのときのオペアンプ406の出力を容量CTSBへ書き込む。
次いで、時刻t11において、タイミング発生部189から読み出し回路308Aへ出力する信号PTSAをハイレベルからローレベルへと遷移してスイッチ414をオフ状態にし、容量CTSAへの書き込みを終了する。同様に、タイミング発生部189から読み出し回路308Bへ出力する信号PTSBをハイレベルからローレベルへと遷移してスイッチ414をオフ状態にし、容量CTSBへの書き込みを終了する。
次いで、時刻t12において、垂直走査回路307は、リセットパルスφRES1をローレベルからハイレベルへと遷移し、リセットトランジスタ314A,314Bをオン状態とする。これにより、フローティングディフュージョン領域313A,313Bは、リセットトランジスタ314A,314Bを介して電源線305に接続され、リセット状態となる。
図13は、フォトダイオード310A,310Bにおいて光電変換によって生成され蓄積されていく信号電荷の時間的な変化を示すグラフである。同図において、グラフの横軸は時間を表し、縦軸は信号電荷の量を表している。時間軸上には、図12に示した時刻t1から時刻t12を表示している。
時刻t2において、転送パルスφTX1Bをローレベルとして転送トランジスタ311Bをオフ状態にし、フォトダイオード310Bにおける信号電荷の蓄積を開始すると、フォトダイオード310Bが保持する信号電荷の量は、時間の経過とともに増加する。信号電荷の増加は、時刻t8において転送パルスφTX1Bをハイレベルにして転送トランジスタ311Bをオン状態にし、フォトダイオード310Bの信号電荷をフローティングディフュージョン領域313Bへ転送するまで継続する。
また、時刻t3において、転送パルスφTX1Aをローレベルとして転送トランジスタ311Aをオフ状態にし、フォトダイオード310Aにおける信号電荷の蓄積を開始する。これにより、フォトダイオード310Aが保持する信号電荷の量は、時間の経過とともに増加する。信号電荷の増加は、時刻t8において転送パルスφTX1Aをハイレベルにして転送トランジスタ311Aをオン状態にし、フォトダイオード310Aの信号電荷をフローティングディフュージョン領域313Aへ転送するまで継続する。
時刻t8において、フォトダイオード310Bが保持する信号電荷量LBとフォトダイオード310Aが保持する信号電荷量LAとは、受光効率の差を蓄積時間の差によって相殺することにより、ほぼ同程度となっている。
転送パルスφTX1Bと転送パルスφTX1Aがともにローレベルである期間TM1において、フォトダイオード310Aとフォトダイオード310Bの間のクロストークが発生する。期間TM1は、フォトダイオード310Aの蓄積期間とフォトダイオード310Bの蓄積時間のうちの短い方の値である。クロストーク量は、信号電荷の量にほぼ比例するので、信号電荷量が大きくなる期間TM1の後半の期間TM2において、相対的に多くのクロストークが発生する。
フォトダイオード310Aからフォトダイオード310Bへのクロストーク量CTABは、右下がりの斜影線を付した領域953の面積に比例する。また、フォトダイオード310Bからフォトダイオード310Aへのクロストーク量CTBAは、左下がりの斜影線を付した領域954の面積に比例する。これらの比例定数をそれぞれk,gと定義すると、クロストーク量CTAB,CTBAは、
CTAB=k×(LA×TM1)/2 …(1)
CTBA=g×(LA+LBS)×TM1/2 …(2)
と表すことができる。ここで、LBSは、時刻t3におけるフォトダイオード310Bの信号電荷量である。また、この図には表現していないが、時刻t2から時刻t3までの期間が期間TM1に対して十分に小さいと仮定すると、LB=LBSと近似することができる。したがって、式(2)は、
CTBA=g×LB×TM1 …(3)
と変形することができる。
したがって、式(1)及び式(3)から、クロストーク量CTABは、信号電荷量LAと、フォトダイオード310Aの蓄積期間とフォトダイオード310Bの蓄積時間のうちの短い方の値(期間TM1)との関数であることが判る。また、クロストーク量CTBAは、信号電荷量LBと、フォトダイオード310Aの蓄積期間とフォトダイオード310Bの蓄積時間のうちの短い方の値(期間TM1)との関数であることが判る。
図14は、図9のA−B線に沿った画素303のポテンシャル図である。図14(a)は図12の時刻taにおけるポテンシャル図、図14(b)は図12の時刻tbにおけるポテンシャル図、図14(c)は図12の時刻tcにおけるポテンシャル図である。
時刻taにおいては、図14(a)に示すように、転送トランジスタ311A,311Bはオフ状態であり、フォトダイオード310A,310Bには、それぞれ信号蓄積レベル323A,323Bの信号電荷が蓄積されている。前述のように、フォトダイオード310Aとフォトダイオード310Bとでは受光効率が異なるが、蓄積時間の差によって受光効率の差を相殺することで、信号蓄積レベル323A,323Bは同程度になっている。この状態は比較的長く続くため、フォトダイオード310Aの蓄積電荷が隣接するフォトダイオード310Bに漏れる現象及びフォトダイオード310Bの蓄積電荷が隣接するフォトダイオード310Aに漏れる現象が、無視できないレベルで発生する。
時刻tbにおいては、図14(b)に示すように、転送トランジスタ311A,311Bはオン状態であり、転送トランジスタ311A,311Bのポテンシャル障壁が低くなっている。これにより、フォトダイオード310Aに蓄積されていた信号電荷はフローティングディフュージョン領域313Aに転送され、フォトダイオード310Bに蓄積されていた信号電荷はフローティングディフュージョン領域313Bに転送される。この際、分離部322のポテンシャル障壁も低くなるが、転送トランジスタ311A,311Bのポテンシャル障壁は十分に小さくなっている。そのため、このタイミングでフォトダイオード310A,310Bの蓄積電荷が分離部322を介して隣接するフォトダイオード310B,310Aへ漏れる現象はほとんど生じない。
時刻tcにおいては、図14(c)に示すように、転送トランジスタ311A,311Bはオフ状態であり、ポテンシャルは図14(a)の状態に戻る。
図15は、撮像素子184の内部における光の伝搬と光電変換により発生した信号電荷の挙動を示す断面図である。図において、矢印451は画素303に入射する光束である。光束451は、まずカラーフィルタ256に入射して所定の波長成分がここで吸収され、絶縁層254の最上部にあたる界面不活性化膜(図示せず)を通過し、ライトガイド255に入射する。ライトガイド255内では、先に図5を用いて説明したように、光の波動的な振る舞いによって光線の方位情報、すなわち瞳情報が消失する。光束451は、ライトガイド255と絶縁層254との屈折率差によってライトガイド255の内部に閉じ込められたままシリコン基板251側に進み、ライトガイド255の底部分に達する。ライトガイド255の底部分はシリコン基板251に隣接し、ライトガイド255を射出した光束はシリコン基板251に入射する。シリコン基板251内に隣接して設けられたフォトダイオード310Aとフォトダイオード310Bとは、ライトガイド255に対して大きく偏芯して配置されている。このため、ライトガイド255を射出した光束のうちの大部分の光束452がフォトダイオード310Aへ入射し、ライトガイド255を射出した光束のうちの残りの一部分の光束453がフォトダイオード310Bへ入射する。フォトダイオード310A,310Bでは、入射した光子が信号電荷へと変換される。
この際、撮像素子184のシリコン基板251内部で発生した信号電荷は、拡散によって隣接する画素要素に漏れ込む。例えば、フォトダイオード310Aで発生した信号電荷454は、拡散によってフォトダイオード310Bに漏れ込む。また。フォトダイオード310Bで発生した信号電荷455は、拡散によってフォトダイオード310Aに漏れ込む。この現象は映像に悪影響を及ぼし、画像の滲みとなって現れる。
図16は、本実施形態による撮像装置における撮像シーケンスを説明するためのタイミングチャートである。図面の最上部の「タイムコード」は、電源を投入してからの時間を示し、「00:00:00:00」は、「時:分:秒:フレーム」を表している。
時刻t31は、撮像装置100の電源投入時刻である。
時刻t32において、動画撮影ボタンであるスイッチMV155が使用者によって操作されてONとなり、これに応じて、「picture B」の撮像及び「picture A」の撮像が開始される。動画撮影のためのボタンであるスイッチMV155が操作されることに応じて、「picture B」については、所定の信号処理を経て記録媒体193にその映像データが書き込まれる。
なお、「picture B」の撮像だけでなく「picture A」の撮像も同時に行っているのは、後述するクロストーク補正を常に有効にするためである。図13に示した転送パルスφTX1Aがローレベルにならなければ、転送トランジスタ311Aはオン状態であるため、フォトダイオード310Aで発生した信号電荷は蓄積されることはない。しかし、仮にスイッチST154が操作された期間のみをクロストーク補正の対象にすると、クロストーク補正誤差の影響で、スイッチST154の操作タイミングにおいて記録された「picture B」に微妙な輝度変化や色相の変化が生じることとなる。
時刻t33から時刻t34の期間及び時刻t35から時刻t36の期間では、静止画の撮影を行うために使用するスイッチST154が操作されている。これを受けてこれら期間においては、「picture A」についても、所定の信号処理を経て記録媒体193にその映像データが書き込まれる。なお、「picture A」の映像データは、時刻t33から時刻t34の期間及び時刻t35から時刻t36の期間のみならず、「picture B」の映像データと同じ期間の間、記録媒体193に書き込むようにしてもよい。
「picture A」及び「picture B」の何れについても、記録媒体193に記録された各映像データは、同一フレームレート、例えば60fpsの動画であり、NTSC方式のタイムコードが付加されているものとする。動画データの各フレームに付加されるタイムコードの値は、例えば図17に示すようになる。
図18は、「picture A」及び「picture B」の映像データのファイル構造の一例を示す図である。ここでは映像データのフォーマットとしてMP4ファイルの例を示すが、映像データのフォーマットはこれに限定されるものではない。MP4ファイルフォーマットは、ISO/IEC 14496−1/AMD6で規格化されている。全ての情報はBoxと呼ばれる構造体に格納されており、多重化されたビデオおよびオーディオビットストリーム(メディアデータ)と、これらメディアデータに対する管理情報(メタデータ)から構成されている。各Boxは4文字の識別子でそれぞれのBoxタイプが表される。ファイルタイプBox501(ftyp)は、ファイル先頭にあり、ファイルを識別するためのBoxである。メディアデータBox502(mdat)は、ビデオとオーディオのビットストリームが多重化されて格納されている。ムービーBox503(moov)は、メディアデータBox502に格納されたビットストリームを再生するための管理情報が格納されている。スキップBox504(skip)は、再生時にはスキップBox504内に格納されているデータを読み飛ばし、スキップするためのBoxである。
スキップBox504内には、この映像データファイルを含むクリップのクリップ名508、本素材に付与されているクリップのUMID(Unique Material Identifier)509(CLIP−UMID)が格納される。スキップBox504内には、また、クリップ先頭フレームのタイムコード値(タイムコード先頭値)510、本素材ファイルが記録された記録メディアのシリアル番号511が格納される。なお、本図においては、スキップBox504に、フリースペース505、ユーザデータ506、メタデータ507も含まれている。本素材ファイルのUMIDや記録メディアのシリアル番号のような特殊なデータは、スキップBoxに格納されているので、汎用のビューアで再生する際に影響を与えない。
「picture A」及び「picture B」のそれぞれのMP4ファイルには、同じCLIP−UMIDが設定される。これにより、CLIP―UMIDを使って1つの素材ファイルから同じCLIP−UMIDのファイルを検索し、人手による確認作業をすることなく機械的に関連付けを行うことができるようになる。
図19は、「picture A」及び「picture B」の撮影条件の設定画面を説明する図である。撮影モード選択レバー156を、例えば図1(b)の位置から時計方向に90度回転させることによって、2つの映像を同時に撮影することができるデュアル映像モードに入るものとする。表示部153には、そのときの被写体の輝度に応じたBv値521、Fナンバー522、「picture A」及び「picture B」のそれぞれのISO感度523,524、シャッタースピード525,526が表示される。また、「picture A」及び「picture B」のそれぞれについて、現在設定されているピクチャーモード527,528が表示される。ピクチャーモードは、アップダウンスイッチ158,159及びダイアル160を用いて複数の選択肢の中から撮影の目的に合ったものを選択することができる。
前述したように、フォトダイオード310Aとフォトダイオード310Bとの間の受光効率の差は、3段に設定されている。このため、「picture A」と「picture B」との間のISO感度範囲には、3段の差がある。図20に示すように、「picture A」はISO100〜ISO102400、「picture B」はISO12〜ISO12800となっている。
図21は、デュアル映像モードにおけるプログラムAE(Automatic Exposure)線図である。横軸がTv値とそれに対応するシャッタースピードを示し、縦軸がAv値とそれに対応する絞り値を示している。また、斜め方向は等Bv線となっている。「picture A」のBv値とISO感度との関係がゲイン表記領域556に表されており、「picture B」のBv値とISO感度との関係がゲイン表記領域557に表されている。なお、図21において各Bv値は、他のパラメータと区別するために、四角で囲んだ数値で表している。
高輝度から低輝度になるに従って、シャッタースピード、絞り値、ISO感度がどのように変化するかについて、図21を用いて説明する。
まず、Bv13のときは、「picture A」では、ISO感度はISO100に設定される。「picture A」の等Bv線は、「picture A」のプログラム線図558と点551で交差し、点551からシャッタースピード1/4000秒、絞り値F11と定まる。一方、「picture B」では、ISO感度はISO12に設定される。「picture B」の等Bv線は、「picture B」のプログラム線図559と点552で交差し、点552からシャッタースピード1/500秒、絞り値F11と定まる。
Bv10のときは、「picture A」では、ISO感度は1段分上昇してISO200に設定される。「picture A」の等Bv線は、「picture A」のプログラム線図558と点553で交差し、点553からシャッタースピード1/1000秒、絞り値F11と定まる。一方、「picture B」では、ISO感度はISO12に設定される。「picture B」の等Bv線は、「picture B」のプログラム線図559と点560で交差し、点560からシャッタースピード1/60秒、絞り値F11と定まる。
Bv6のときは、「picture A」では、ISO感度はISO200に設定される。「picture A」の等Bv線は、「picture A」のプログラム線図558と点554で交差し、点554からシャッタースピード1/1000秒、絞り値F2.8と定まる。一方、「picture B」では、ISO感度はISO12に設定される。「picture B」の等Bv線は、「picture B」のプログラム線図559と点555で交差し、点555からシャッタースピード1/60秒、絞り値F2.8と定まる。
Bv5のときは、「picture A」では、ISO感度は1段分上昇してISO400に設定される。「picture A」の等Bv線は、「picture A」のプログラム線図558と点554で交差し、点554からシャッタースピード1/1000秒、絞り値F2.8と定まる。一方、「picture B」では、ISO感度はISO25に設定される。「picture B」の等Bv線は、「picture B」のプログラム線図559と点555で交差し、点555からシャッタースピード1/60秒、絞り値F2.8と定まる。
以降、輝度が下がるにつれて、「picture A」、「picture B」ともに、シャッタースピードと絞り値は変化せずにゲインアップしISO感度が上昇していく。
このプログラムAE線図に示した露光動作を行うことにより、表記した全輝度範囲において「picture A」は1/1000秒以上のシャッタースピードを保ち、「picture B」は多くの輝度範囲で1/60秒のシャッタースピードを保っている。これにより、「picture A」ではストップモーション効果を得つつ、「picture B」ではジャーキネスの抑制された高品位な動画を得ることができる。
図22は、「picture A」と「picture B」との間のシャッタースピードの差異を撮像シーケンス上で説明する図である。図には、横軸を時間として、V同期信号481、「picture A」の蓄積期間482,483、「picture B」の蓄積期間484,485を示している。nは、フレーム番号である。
蓄積期間482は、「picture A」の画面上端ラインの蓄積期間であり、蓄積期間483は、「picture A」の画面下端ラインの蓄積期間である。撮像素子184はローリング電子シャッター機能で露光動作を行うために、画面上端のラインから画面下端のラインに向かって、所定の時間間隔で順次蓄積が開始され、当該時間間隔で順次蓄積が終了する。蓄積が終了すると信号電荷は撮像素子184から順次読み出され、アナログフロントエンド185に入力される。時刻t53から時刻t54までが蓄積期間482であり、時刻t55から時刻t56までが蓄積期間483である。
また、蓄積期間484は、「picture B」の画面上端ラインの蓄積期間であり、蓄積期間485は、「picture B」の画面下端ラインの蓄積期間である。「picture B」においても「picture A」と同様に、画面上端のラインから画面下端のラインに向かって、所定の時間間隔で蓄積が開始され、当該時間間隔で順次蓄積が終了する。蓄積が終了すると信号電荷は撮像素子184から順次読み出され、アナログフロントエンド186に入力される。時刻t51から時刻t54までが蓄積期間484であり、時刻t52から時刻t56までが蓄積期間485である。
「picture A」と「picture B」の2つの映像は、異なる蓄積時間の設定で撮影されるが、「picture A」についてゲインアップするのではなく、撮像素子184において同程度のレベルの信号電荷を得ている。このため、「picture A」及び「picture B」のどちらもS/N比の良好なノイズ感のない映像となる。
図23は、撮像素子184に電源を投入した後のライブビュー表示中の表示部153の様子を表す図である。表示部153には、撮影光学系152を通して捉えられた人物163のスポーツシーンが表示されている。また、撮影モード選択レバー156が図1(b)の状態から時計方向に90度回動した位置にあるので、デュアル映像モードでの「picture A」と「picture B」のシャッタースピード491,492及びFナンバー493が表示されている。
図24(a),(b)は、スイッチST154、スイッチMV155を操作することにより取得された映像のうちの1フレームを示したものである。図24(a)は、シャッタースピード1/1000秒、絞り値F4.0で撮影された「picture A」の映像である。図24(b)は、シャッタースピード1/60秒、絞り値F4.0で撮影された「picture B」の映像である。図24(b)に示した映像は、シャッタースピードが遅いため、被写体の動きが止まらずにぶれている。ただし、これを60fps程度のフレームレートの動画として再生すると、このぶれがむしろ良い方向に働いてジャーキネスの抑制された滑らかな高品位な映像となる。一方、図24(a)に示した映像は、シャッタースピードが速く、本来であればストップモーション効果が現れるはずである。しかしながら、図15を用いて先に説明したように、シリコン基板内部で発生した信号電荷が拡散によって隣接する画素要素に漏れ込み、図24(b)に示した映像があたかも足し合わされたかのような滲んだ映像となっている。このクロストーク現象は、図24(b)に示した映像においても発生しているが、元々ぶれた映像であるためほとんど目立たない。
そこで、速いシャッタースピードによる本来のストップモーション効果を得るために、本実施形態による撮像装置においては、撮像素子184から出力された映像信号に対して以下に説明するクロストーク補正を施す。
図25は、クロストーク補正を含む一連の処理手順を示すフローチャートである。本実施形態による撮像装置100における撮像から記録までの処理は、例えば図25に示すステップS151〜ステップS155により実行される。
ステップS151においては、図16を用いて説明した時刻t32におけるスイッチMV155の操作に応じて、図12を用いて説明したシーケンスに従い、フォトダイオード310A,310Bへの信号電荷の蓄積と信号電荷の読み出しとを行う。
ステップS152では、撮像素子184から読み出された信号がアナログフロントエンド185,186に入力され、ここでアナログ信号がデジタル化される。
ステップS153では、シリコン基板内部で発生した信号電荷が隣接画素要素に漏れ込んだことにより生じたクロストークを低減するための補正(クロストーク補正)を行う。クロストーク補正は、デジタル信号処理部187,188において行われる。すなわち、デジタル信号処理部187,188は、クロストーク補正部として機能する。
ステップS154では、現像と、必要に応じて圧縮処理を行う。なお、現像処理では、一連の処理のうちの1つとしてガンマ補正が行われる。ガンマ補正とは、入力された光量分布に対してガンマ関数を施す処理である。この結果、入力された光量分布に対してその出力は線形性が保たれず、クロストークの比もその時の光量によって変わってきてしまう。このため、クロストーク補正は、図25に示すように、ステップS154よりも前段階で行うことが望ましい。なお、現像後にクロストーク補正を行う場合には、光量の大きさによってクロストーク処理を変更し、或いは、画像信号そのものを逆ガンマ補正してからクロストーク補正を行なうようにすればよい。
ステップS155では、記録媒体193への映像の記録を行う。記録媒体193に記録する代わりに或いは記録媒体193への記録とともに、無線インターフェース部198を介してネットワーク199上の記憶装置等に保存するようにしてもよい。
図26は、ステップS153においてデジタル信号処理部187,188において行われるクロストーク補正処理を説明するための図である。実際の処理は、デジタル信号処理として実行される。
デジタル信号処理部187において、A/D変換処理が施された後の信号471Aは、クロストーク量補正部473Aに入力され、また、クロストーク量演算部472Aを介してクロストーク量補正部473Bに入力される。同様に、デジタル信号処理部188において、A/D変換処理が施された後の信号471Bは、クロストーク量補正部473Bに入力され、また、クロストーク量演算部472Bを介してクロストーク量補正部473Aに入力される。
クロストーク量補正部473Aでは、信号471Aと、クロストーク量演算部472Bにおいてクロストーク補正関数gij(n)により所定の演算が施された後の信号471Bとに基づき、信号471Aのクロストーク補正を行い、出力信号474Aを得る。出力信号474Aに対しては、デジタル信号処理部187における後段の処理である現像や圧縮処理が施される。
クロストーク量補正部473Bでは、信号471Bと、クロストーク量演算部472Aにおいてクロストーク補正関数fij(n)により所定の演算が施された後の信号471Aとに基づき、信号471Bのクロストーク補正を行い、出力信号474Bを得る。出力信号474Bに対しては、デジタル信号処理部188における後段の処理である現像や圧縮処理が施される。
クロストークは生成される信号電荷の量に依存するため、クロストーク量補正部473A,473Bにより、一方の画素要素で生成された信号電荷の量に応じたクロストーク量によって他方の画素要素の出力信号を補正することでクロストーク補正が可能となる。これにより、他方の画素の出力信号から、これに重畳している一方の画素要素からのクロストーク成分を除去することができる。
ここで、nフレーム目の「picture A」の画素アドレスijにおけるデータをDATA_Aij(n)、nフレーム目の「picture B」の画素アドレスijにおけるデータをDATA_Bij(n)、補正係数をαとする。クロストークは入力光量に依存することから、nフレーム目の「picture A」の画素アドレスijの補正されたデータC_DATA_Aij(n)は、式(4)のように表すことができる。
C_DATA_Aij(n)
=DATA_Aij(n)−α×DATA_Bij(n) …(4)
クロストーク補正関数fij(n)を、
fij(n)=−α×DATA_Bij(n)
とすると、式(4)は、
C_DATA_Aij(n)=DATA_Aij(n)+fij(n)
と表すことができる。
同様に、nフレーム目の「picture B」の画素アドレスijにおける補正されたデータC_DATA_Bij(n)は、補正係数をβとして、式(5)のように表すことができる。
C_DATA_Bij(n)
=DATA_Bij(n)−β×DATA_Aij(n) …(5)
クロストーク補正関数gij(n)を、
gij(n)=−β×DATA_Aij(n)
とすると、式(5)は、
C_DATA_Bij(n)=DATA_Bij(n)+gij(n) …(6)
と表すことができる。
前述したように、「picture B」でもクロストークは発生しているが、元々ぶれた映像であるためにほとんど目立たないので、式(5)〜式(6)に示した処理は省略してもよい。比較的短い蓄積時間の映像に対してはクロストーク補正を行い、比較的長い蓄積時間の映像に対してはクロストーク補正を行わないようにすれば、演算負荷を低減することも可能である。
図27は、クロストーク補正関数fij(n),gij(n)の具体例を示す図である。同図において、横軸が入力データの大きさを示し、縦軸が補正すべきクロストーク補正量を示している。クロストーク補正関数fij(n),gij(n)は、いずれも、入力データに比例したクロストーク補正量を得る関数である。厳密には、画素構造に依存して異なるものの、補正係数αと補正係数βとは同程度の数値となる。ただし、画素要素への光の入射角に依存してシリコン基板内部で発生した信号電荷が拡散によって隣接する画素要素に漏れ込む度合いは異なる。このことから、絞り181を開けてFナンバーが大きくなっているときほどクロストークは大きく、クロストーク補正量の絶対値も大きくなる。一方、絞り181を絞ってFナンバーが小さくなっているときほどクロストークは小さく、クロストーク補正量の絶対値も小さくなる。図において、特性591はF2.8のときのクロストーク補正関数であり、特性592はF5.6のときのクロストーク補正関数であり、特性593はF11のときのクロストーク補正関数である。特性591、特性592、特性593の順に傾きが小さくなっている。なお、撮影光学系152のFナンバーは連続的に変化させることができるので、補正係数α及び補正係数βをFナンバーの関数とすれば、より高精度なクロストーク補正を実現することができる。
また、図13を用いて先に説明したように、補正係数αと補正係数βは、相対的に短く設定した「picture A」用のフォトダイオードの蓄積時間の関数とするとよい。
さらに、像高によってもクロストーク補正量を変えることで、より正確なクロストーク補正を実現することができる。ライトガイド255への光の入射が斜めになることでクロストークは増加するので、画素アドレスijを基に光軸180から画素までの距離ZKを算出し、距離ZKに比例して絶対値が増加するようにクロストーク補正を加えればよい。さらに、ライトガイド255への光の入射角の変化は、撮影光学系152の射出瞳と撮像素子184との距離HKにも依存するので、クロストーク補正関数を距離HKの関数とすることでより高精度な補正を行うことができる。
図28は、シャッタースピード1/1000秒、絞り値F4.0で撮影された「picture A」の映像(図24(a))に対してクロストーク補正を施した後の「picture A」の映像である。図24(a)の映像では、シリコン基板内部で発生した信号電荷が拡散により隣接画素要素に漏れ込み、図24(b)に示した映像があたかも足し合わされたかのような滲んだ映像となっていた。それに対して、図28の映像では、本来の速いシャッタースピードによるストップモーション効果が現れている。デジタルスチルモーションカメラの表示部153上では、再生ボタン161が操作されたときに、例えば図29に示すように、「picture A」496と「picture B」497の両方を並べて表示できることが望ましい。このようにすれば、映像を比較することでストップモーション効果のレベルを確認することができる。なお、この処理は、映像データを、ネットワークを介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータがプログラムを読み出して実行するように構成してもよい。
図30は、ストレージに格納された「picture A」及び「picture B」を含むデータファイルの画像再生装置における再生方法を説明する図である。画像再生装置としては、本実施形態で説明した撮像装置100が有する画像再生装置のみならず、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、テレビモニタなどを活用することができる。タブレット端末、パーソナルコンピュータ、テレビモニタ等の装置には、MP4ファイル等の動画ファイルを再生するための構成(CPU、復調部、表示部など)が設けられており、画像再生装置として動作する。本実施形態の撮像装置100では、画像再生部としての機能は、主にシステム制御CPU178が実施する。
ここで、「picture A」及び「picture B」のデータファイルは、ネットワーク上のストレージ等に格納されているものとする。図において、フレーム群581は、MP4ファイルに格納された「picture A」のフレーム群であり、フレーム群571は、別のMP4ファイルに格納された「picture B」のフレーム群である。これらのMP4ファイルには、撮影時に同じCLIP−UMIDが設定され、関連付けがなされている。
動画の再生をスタートすると、「picture B」のフレーム群571の先頭フレーム572から決められたフレームレートで順次フレームが再生される。「picture B」は、シャッタースピードが過度に速くならないような設定(この例では1/60秒)で撮影されているため、再生された映像はジャーキネスの抑制された高品位なものである。なお、本明細書では、撮影時のフレームレート以上のフレームレートで動画の再生を行う場合の動画ファイルの再生モードを、時間に応じて提示画像を変化する提示モードと表現することがある。
ここで、「picture B」の動画の提示中に、使用者から再生モードの切り替え指示があった場合を想定する。例えば、フレーム573まで再生が進んだ時点で使用者が一時停止の操作を行うと、自動的に「picture B」に対応する「picture A」のデータファイルから同一タイムコードのフレーム582が検索され、表示される。「picture A」は、ストップモーション効果が得られやすい高速シャッタースピード(この例では1/1000秒)で撮影されており、スポーツシーンの一瞬を写し止めた迫力のある映像である。「picture A」,「picture B」の2つの映像は、異なる蓄積時間の設定で撮影されるが、「picture A」についてゲインアップするのではなく、撮像素子184において同程度の信号電荷を得ている。このため、「picture A」及び「picture B」のどちらもS/N比の良好なノイズ感のない映像となる。
ここで、印刷の指示を行うと、「picture A」のフレーム582のデータがプリントインターフェース部194を介してプリンタ195に対して出力される。したがって、印刷物も、「picture A」を反映したストップモーション効果がある迫力のあるものとなる。
使用者が一時停止を解除すると、自動的に「picture B」のフレーム群571に戻って、フレーム574から再生が再開する。このとき、再生される映像はジャーキネスの抑制された高品位なものである。
なお、図30の例では「picture B」の再生を一時停止したときに「picture A」のフレーム提示に遷移したが、「picture B」をコマ送り再生にしたときに「picture A」のフレーム提示に遷移してもよい。本明細書では、一時停止やコマ送り再生を行う場合の動画ファイルの再生モードを、時間に応じて提示画像を変化しない提示モードと表現することがある。或いは、一定以上フレームレートを下げて連続的に一コマごと画像を確認しながら再生を行うようなモードにしたときに「picture A」のフレーム提示に遷移してもよい。すなわち、通常の再生フレームレート(撮影時のフレームレート)よりもコマの送り速度が十分に小さい場合は、提示モードの切り替え指示の有無にかかわらず「picture A」を提示すると都合がよい。
再生画像に現れる上記のような効果の違いは、時間に応じて提示画像を変化するような提示と、時間に応じて提示画像を変化しない提示(コマ送り再生も含む)という、画像の提示方法の違いによって生じていると考えられる。つまり、ジャーキネスの抑制された映像に対する要求とストップモーション効果の高い映像に対する要求という、相反する要求のどちらが重要であるかという提示条件によって異なっている。
本実施形態では、撮像装置での画像取得の特長に鑑みて、時間に応じて提示画像を変化するような提示(動提示)においては、相対的に蓄積時間が長い画素からの信号に基づく画像を提示する。一方、時間に応じて提示画像を変化しないような提示(静止提示)においては、相対的に蓄積時間が短い画素からの信号に基づく画像を提示する。これにより、ジャーキネスの抑制された映像とストップモーション効果の高い映像という、相反する要求に応じた映像の提供を可能にしている。この効果は非常に大きいといえる。
本実施形態に示したような画像の提示方法を用いることで、単一の撮像素子を用いて複数の映像を同時に撮影し鑑賞する際に、動画/静止画のそれぞれの鑑賞に適した画像を提供することができる。
このように、本実施形態によれば、動画及び静止画の双方の鑑賞に適した画像を取得し再生することができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による撮像装置について、図31を用いて説明する。図1乃至図30に示す第1実施形態による撮像装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。
第1実施形態では、従来のファイルフォーマットとの互換性を重視して、複数の動画ファイルを生成し、これら複数の動画ファイルについて機械的に関連付けを行う方法を示した。
本実施形態では、別の好ましいファイルフォーマットの例と、その際の「picture A」と「picture B」との関連付けについて説明する。なお、「picture A」及び「picture B」を得るための撮像装置の構成は、第1実施形態と同様である。
図31(a)は、第1実施形態において説明した方法を示す模式図である。図31(b)は、本実施形態で説明する方法を示す模式図である。図31(c),(d),(e)は、本実施形態における画像の格納方法を具体的に説明するための図である。
第1実施形態の方法では、図31(a)に示すように、システム制御CPU178が、「picture A」の動画ファイルであるファイル6001と、「picture B」の動画ファイルであるファイル6002とを、別々に生成した。システム制御CPU178は、動画ファイル生成部としての機能を備える。ファイル6001とファイル6002は、第1実施形態で説明したように、CLIP―UMIDを使って関連付けを行っている。すなわち、ファイル6001は、「picture A」の動画と、「picture A」の動画と「picture B」の動画とをフレーム単位で同期させる同期情報とを含む。また、ファイル6002は、「picture B」の動画と、「picture A」の動画と「picture B」の動画とをフレーム単位で同期させる同期情報とを含む。
これに対し、本実施形態の方法では、図31(b)に示すように、システム制御CPU178は、「picture A」の動画データ及び「picture B」の動画データから、1つのファイル6003を生成する。ファイル6003への具体的な格納方法の例を、図31(c)乃至図31(e)に示す。
図31(c)に示す方法は、いわゆるサイドバイサイドと呼ばれるステレオ画像のフォーマットを利用した例である。図5を用いて示したように、第1実施形態の撮像装置により得られる「picture A」と「picture B」との間には視差がないため、ステレオ画像のフォーマットを利用しているからといって立体感を得るような画像になっているわけではない。ステレオ画像のフォーマットを利用して情報を格納しているだけである。
すなわち、ステレオ画像においては、右目に提示する画像と左目に提示する画像とを記録する方法の1つとして、これら画像を左右に並べた1つの画像として記憶する方法(サイドバイサイド)が提案されている。図31(c)の例では、この方法を利用して、「picture A」の画像と「picture B」の画像とを図示するように並べた1つの画像のデータとして格納する。1つの画像として格納する「picture A」の画像と「picture B」の画像とは、同期期間に同期して取得されたものである。このときの特定のフレーム6004に着目すると、フレーム6004のデータは、「picture A」からなる画像6005と「picture B」からなる画像6006とが隣り合って、横方向に2倍の大きさを持つ画像となっている。すなわち、ファイル6003は、「picture A」の動画のフレームの画像と、これに同期して取得された「picture B」の動画のフレームの画像とを、各フレームが含む動画ファイルである。
動画の再生をスタートすると、「picture B」のフレーム群の先頭フレームから決められたフレームレートで順次フレームの画像が再生される。つまり、再生装置においては、ステレオ画像フォーマットでいうところの片方の目に提示すべき画像のみを連続して提示する。サイドバイサイドの方式においては「picture B」に対応する領域を切り出して提示すればよい。「picture B」はシャッタースピードが過度に速くならないような設定(この例では1/60秒)で撮影されているため、再生された映像はジャーキネスの抑制された高品位なものである。
例えばフレーム6004まで再生が進んだ時点で使用者が一時停止の操作を行うと、「picture B」からなる画像6006に対応する「picture A」からなる画像6005が自動的に表示される。すなわち、ステレオ画像フォーマットでいうところの他方の目に提示すべき画像に切り替わる。「picture A」はストップモーション効果が得られやすい高速シャッタースピード(この例では1/1000秒)で撮影されており、スポーツシーンの一瞬を写し止めた迫力のある映像である。「picture A」と「picture B」の2つの映像は、異なる蓄積時間の設定で撮影されるが、「picture A」についてゲインアップするのではなく、撮像素子184において同程度の信号電荷を得ている。このため、「picture A」及び「picture B」のどちらもS/N比の良好なノイズ感のない映像となる。
図31(d)に示す方法は、ステレオ画像の別のフォーマット、いわゆる液晶シャッター式の再生装置に適したステレオ画像のフォーマットを活用した例である。液晶シャッターを利用した再生装置では、右目に提示する画像と左目に提示する画像とを時分割的に切り替えて提示する。このフォーマットを利用することによっても、「picture A」と「picture B」とを1つのファイルに格納することができる。例えば、撮影時の画像のフレームレートが60fpsと指定された場合には、「picture A」と「picture B」とを、倍の120fpsの動画のフレームとして交互に格納する。例えば、同期して取得された「picture A」の画像と「picture B」の画像の組を、フレーム6007,6008のデータとして格納する。そして、次のタイミングで同期して取得された 「picture A」の画像と「picture B」の画像の組をフレーム6009,6010のデータとして格納する。このように格納されたデータは、「picture A」又は「picture B」の一方のデータのみに着目すると、撮影時のフレームレートと同じ60fpsの動画である。すなわち、ファイル6003は、「picture A」の動画のフレームと「picture B」の動画のフレームとが交互に提示されるように記録された動画ファイルである。そして、この動画ファイルには、同期した「picture A」の動画のフレームと「picture B」の動画のフレームとが連続して記録されている。
動画の再生をスタートすると、「picture B」のフレーム群の先頭フレームから決められたフレームレートで順次フレームの画像が再生される。つまり、再生装置においては、ステレオ画像フォーマットでいうところの片方の目に提示すべき画像のみを連続して提示する。図31(d)の例では、「picture B」のみになるように1コマおきに再生すればよい。
例えばフレーム6008まで再生が進んだ時点で使用者が一時停止の操作を行うと、フレーム6008の「picture B」の画像に対応するフレーム6007の「picture A」の画像が表示される。このようにすることで、動画/静止画のそれぞれの鑑賞に適した画像を提供することができる。
図31(e)に示す方法は、複数の動画をマルチトラックの動画として1つのファイルに格納するフォーマットを利用した例である。図31(e)のフォーマットは、補助画像や視差画像などを複数のトラックとして格納できるフォーマットとなっている。「picture B」をトラック1の主画像6012として記録し、「picture A」をトラック2の補助画像6011として記録するとともに、メタデータ記録部に撮像装置の情報などを格納する。複数のトラックの動画は、1つのタイムコードと対応している。すなわち、ファイル6003は、「picture A」の動画と同期情報とを含む第1の動画トラックと、「picture B」の動画と同期情報とを含む第2の動画トラックとを含む動画ファイルである。
動画の再生をスタートすると、「picture B」のフレーム群の先頭フレームから決められたフレームレートで順次フレームの画像が再生される。つまり、再生装置においては、トラック1の画像を提示する。使用者が一時停止の操作を行ったときには、同じタイムコードに対応するトラック2の画像を提示すればよい。このようにすることで、動画/静止画のそれぞれの鑑賞に適した画像を提供することができる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による撮像装置について、図32乃至図38を用いて説明する。図1乃至図31に示す第1及び第2実施形態による撮像装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。
第1及び第2実施形態では、受光効率(感度)の異なる2つのフォトダイオード310A,310Bを蓄積時間に応じて使い分けることで様々な撮影シーン適した動画撮影を可能にした。本実施形態では、1つのフォトダイオードの蓄積時間を制御することによって第1及び第2の実施形態と同様の効果を実現する例を説明する。
本実施形態による撮像装置は、撮像素子184の画素303の回路構成が異なるほかは、第1実施形態による撮像装置と同様である。
図32は、本実施形態による撮像装置の撮像素子184の画素303の回路構成を示す回路図である。図32には、画素アレイ302を構成する複数の画素303のうち、第1列、第1行の画素303と、第1列、第m行の画素303とを示している。それぞれの画素303は、図32に示すように、フォトダイオード600、転送トランジスタ601A,601B,602A,602B,603、リセットトランジスタ604、増幅トランジスタ605及び選択トランジスタ606を含む。
フォトダイオード600のアノードは、接地線に接続されている。フォトダイオード600のカソードは、転送トランジスタ601Aのソース、転送トランジスタ601Bのソース及び転送トランジスタ603のソースに、それぞれ接続されている。転送トランジスタ601Aのドレインは、転送トランジスタ602Aのソースに接続されている。転送トランジスタ601Aのドレインと転送トランジスタ602Aのソースとの間の接続ノードは、信号保持部607Aを構成する。転送トランジスタ601Bのドレインは、転送トランジスタ602Bのソースに接続されている。転送トランジスタ601Bのドレインと転送トランジスタ602Bのソースとの間の接続ノードは、信号保持部607Bを構成する。
転送トランジスタ602Aのドレイン及び転送トランジスタ602Bのドレインは、リセットトランジスタ604のソース及び増幅トランジスタ605のゲートに接続されている。転送トランジスタ602Aのドレイン、転送トランジスタ602Bのドレイン、リセットトランジスタ604のソース及び増幅トランジスタ605のゲートの接続ノードは、フローティングディフュージョン領域608を構成する。増幅トランジスタ605のソースは、選択トランジスタ606のドレインに接続されている。リセットトランジスタ604のドレイン及び増幅トランジスタ605のドレインは、電源線620に接続されている。転送トランジスタ603のドレインは、電源線621に接続されている。選択トランジスタ606のソースは、信号出力線623に接続されている。
このように、本実施形態による撮像装置の撮像素子184の画素303は、1つのフォトダイオード600に対して、2つの信号保持部607A,607Bを有している。なお、信号保持部を有するCMOS型撮像素子184の基本構造は、例えば同一出願人による特許文献3に開示されているため、ここでの詳細な説明は省略する。
画素アレイ302の複数の画素303は、行単位で、垂直走査回路307から行方向に配された制御線に接続されている。各行の制御線は、転送トランジスタ601A,602A,601B,602B,603、リセットトランジスタ604及び選択トランジスタ606のゲートのそれぞれに接続された複数の制御線を含む。転送トランジスタ601Aは転送パルスφTX1Aで制御され、転送トランジスタ602Aは転送パルスφTX2Aで制御される。転送トランジスタ601Bは転送パルスφTX1Bで制御され、転送トランジスタ602Bは転送パルスφTX2Bで制御される。リセットトランジスタ604はリセットパルスφRESで制御され、選択トランジスタ606は選択パルスφSELで制御される。転送トランジスタ603は転送パルスφTX3で制御される。各制御パルスは、垂直走査回路307から送出される。各トランジスタは、制御パルスがハイレベルのときにオンとなり、制御パルスがローレベルのときにオフとなる。
本実施形態の撮像装置を構成する撮像素子184は、1つのフォトダイオード600に対して2つの信号保持部607A,607Bを有している。これにより、ストップモーション効果を得られる第1の動画と、ジャーキネスの抑制された第2の動画とを同時に撮影することが可能となっている。そのため、S/N比の低下を伴わずに蓄積期間の異なる二つの画像を読み出すことが可能となっている。
撮像装置における第1の動画(「picture A」に相当)及び第2の動画(「picture B」に相当)の撮影条件の設定は、第1及び第2実施形態と同様に行えばよい。
図33は、デュアル映像モードにおけるプログラムAE線図である。横軸がTv値とそれに対応するシャッタースピードを示し、縦軸がAv値とそれに対応する絞り値を示している。また、斜め方向は等Bv線となっている。第1の動画(「picture A」)のBv値とISO感度との関係がゲイン表記領域556に表されており、第2の動画(「picture B」)のBv値とISO感度との関係がゲイン表記領域557に表されている。なお、図33において各Bv値は、他のパラメータと区別するために、四角で囲んだ数値で表している。
高輝度から低輝度になるに従って、シャッタースピード、絞り値、ISO感度がどのように変化するかについて、図33を用いて説明する。本実施形態の撮像装置は第1の動画と第2の動画とを同時に撮影するため、プログラムAE線図は同じ被写体輝度に対して同じ絞り値になるように設定されている。
まず、Bv14のときは、第1の動画では、ISO感度はISO100に設定される。第1の動画の等Bv線は、第1の動画のプログラム線図558と点551で交差し、点551からシャッタースピード1/4000秒、絞り値F11と定まる。一方、第2の動画では、ISO感度はISO1に設定される。第2の動画の等Bv線は、第2の動画のプログラム線図559と点552で交差し、点552からシャッタースピード1/60秒、絞り値F11と定まる。
Bv11のときは、第1の動画では、ISO感度は1段分上昇してISO200に設定される。第1の動画の等Bv線は、第1の動画のプログラム線図558と点553で交差し、点553からシャッタースピード1/1000秒、絞り値F11と定まる。一方、第2の動画では、ISO感度はISO12に設定される。第2の動画の等Bv線は、第2の動画のプログラム線図559と点552で交差し、点552からシャッタースピード1/60秒、絞り値F11と定まる。
Bv7のときは、第1の動画では、ISO感度はISO200に設定される。第1の動画の等Bv線は、第1の動画のプログラム線図558と点554で交差し、点554からシャッタースピード1/1000秒、絞り値F2.8と定まる。一方、第2の動画では、ISO感度はISO12に設定される。第2の動画の等Bv線は、第2の動画のプログラム線図559と点555で交差し、点555からシャッタースピード1/60秒、絞り値F2.8と定まる。
Bv6のときは、第1の動画では、ISO感度は1段分上昇してISO400に設定される。第1の動画の等Bv線は、第1の動画のプログラム線図558と点554で交差し、点554からシャッタースピード1/1000秒、絞り値F2.8と定まる。一方、第2の動画では、ISO感度はISO25に設定される。第2の動画の等Bv線は、第2の動画のプログラム線図559と点555で交差し、点555からシャッタースピード1/60秒、絞り値F2.8と定まる。
以降、輝度が下がるにつれて、第1の動画、第2の動画ともに、シャッタースピードと絞り値は変化せずにゲインアップしISO感度が上昇していく。
このプログラムAE線図に示した露光動作を行うことにより、表記した全輝度範囲において第1の動画は1/1000秒以上のシャッタースピードを保ち、第2の動画は全輝度範囲で1/60秒のシャッタースピードを保っている。これにより、第1の動画ではストップモーション効果を得つつ、第2の動画ではジャーキネスの抑制された高品位な動画を得ることができる。
ところで、同じ絞り値で同時に撮影される第1の動画と第2の動画はISO感度が異なるように制御されるが、第1の動画が適正露出になるように露出制御を行うと、第2の動画の信号は飽和してしまいISO感度の制御ができなくなる。そこで、本実施形態による撮像装置では、第2の動画のフレームレートに相当するシャッタースピード1/60秒の間、均等な時間間隔で短い蓄積期間をNp回(Npは2以上の整数(Np>1))行う。そして、Np回の蓄積期間のそれぞれの間に蓄積された電荷を加算して画像を生成することにより、実質的にISO感度が小さくなるようにしている。
本実施形態では、第2の動画のシャッタースピード1/60秒に対応する期間を、第2の動画のためのNp回の短い蓄積期間を実施する期間とする。また、第1の動画のシャッタースピード1/1000秒に対応する期間を、第1の動画のための蓄積期間(第1の動画のための蓄積時間は1/1000秒)とする。そして、第2の動画のためのトータルの蓄積時間が第1の動画の蓄積時間と同じになるように、第2の動画のための短い蓄積期間の時間を制御する。
すなわち、第2の動画のシャッタースピードに対応する期間中にNp回実施する短い蓄積期間の間に蓄積された電荷を加算することにより生成された第2の動画のためのトータルの蓄積時間は、第1の動画のための蓄積時間と同じになるように制御する。また、一の第2の動画のISO感度が当該一の撮影周期に撮影される第1の動画のISO感度と同じになるように、第2の動画のためのNp回の蓄積期間のそれぞれの蓄積時間を制御する。
一例として、輝度Bv7のときに、シャッタースピード1/60秒に対応する期間中に16回に分けて蓄積加算を行うことによって第2の動画を生成することを考える。この場合、第2の動画のISO感度を第1の動画のISO感度(ISO200)と同等に制御するために、第2の動画を生成するためのNp回の蓄積期間のそれぞれの蓄積時間を1/16000秒に設定する。
図34は、第1の動画と第2の動画とを同時に撮影するデュアル映像モードにおける撮影動作のフローチャートである。なお、第1の動画はストップモーション効果が得られ静止画としての鑑賞に適しているため、以下の説明において第1の動画と第2の動画とを区別する際に、第1の動画を「静止画」、第2の動画を「動画」と表記することがある。また、本実施形態における撮影モードを、便宜的に「動画静止画撮影モード」と呼ぶことがある。
本実施形態の撮像装置は、第1の動画と第2の動画とを同時に撮影する際、滑らかな動画が撮影できる動画撮影モード及びCMOS型撮像素子で一般的に生じるローリング歪みが発生しない動画撮影モードのいずれかで撮影を行うことができる。そこで、本実施形態では、第1の動画のシャッタースピードから滑らかな動画が撮影できる第1の動画静止画撮影モードか、ローリング歪みが発生しない動画が撮影できる第2の動画静止画撮影モードかを選択するようにしている。以下、図34のフローチャートを用いて、デュアル映像モードにおける撮影動作を説明する。
まず、ステップS501において、撮像装置の制御手段であるシステム制御CPU178は、撮影者により設定された動画・静止画撮影モードを確認する。システム制御CPU178は、撮影モードが第1の動画と第2の動画とを同時撮影するデュアル映像モードであることを確認すると、ステップS502へと移行する。
次いで、ステップS502において、システム制御CPU178は、設定された第2の動画の撮影周期を確認する。
次いで、ステップS503において、システム制御CPU178は、撮影者により設定された第1の動画のシャッタースピード(静止画シャッタースピード)を確認する。
次いで、ステップS504において、システム制御CPU178は、設定された第1の動画のシャッタースピードが所定値よりも速いかどうかを判定する。第1の動画のシャッタースピードが、動きの速い被写体に対してストップモーション効果のある画像を得るために所定のシャッタースピードTthよりも速いシャッタースピードに設定されたと判定された場合(yes)、ステップS505へと移行する。ステップS505において、システム制御CPU178は、動画静止画撮影モードをローリング歪みが発生しない第2の動画静止画撮影モード(歪み無し動画撮影モード)に設定し、ステップS507へと移行する。
一方、第1のシャッタースピードが所定のシャッタースピードTthよりも遅いシャッタースピードに設定されたと判定された場合(no)、ステップS506へと移行する。ステップS506において、システム制御CPU178は、動画静止画撮影モードを滑らかな動画が撮影できる第1の動画静止画撮影モード(滑らか動画撮影モード)へと設定し、ステップS507へと移行する。
ステップS505又はステップS506において動画静止画撮影モードが設定されると、ステップS507において、システム制御CPU178は、設定された動画静止画撮影モードに応じた撮像素子184の制御方法を設定する。第1の動画静止画撮影モード及び第2の動画静止画撮影モードにおける撮像素子184の制御方法については、後述する。
次いで、ステップS508において、システム制御CPU178は、スイッチ入力手段179を介して、動画撮影の開始及び停止を行うためのボタンであるスイッチMV155の状態を確認し、撮影を開始するかどうかを判定する。スイッチMV155で動画の撮影開始が指示されていない場合(no)には、ステップS501に戻り、動画・静止画撮影モードの確認から繰り返す。一方、スイッチMV155で動画の撮影開始が指示されている場合(yes)には、ステップS509へと移行する。
ステップS509において、システム制御CPU178は、それ以前に撮像された画像のAE情報と設定された第1の動画のシャッタースピードとに基づき、撮影光学系152の絞り181を絞り制御部182を介して制御する。
次いで、ステップS510において、システム制御CPU178は、タイミング発生部189を介して撮像素子184を駆動し、撮影を実行する。本実施形態では、第1の動画と第2の動画とを同時撮影するデュアル映像モードであることより、動画撮影の開始及び停止を行うためのボタンであるスイッチMV155によって撮影動作が実行される。撮影動作の実行は、ステップS507で設定された撮像素子184の制御方法に従う。撮像素子184の制御方法については、後述する。 次いで、ステップS511において、システム制御CPU178は、スイッチ入力手段179を介して、動画撮影の開始及び停止を行うためのボタンスイッチMV155の状態を確認し、撮影が終了したかどうかを判定する。スイッチMV155が撮影状態に設定されている場合(no)には、ステップS509に戻り、撮影を続行する。一方、スイッチMV155が撮影停止状態に設定されている場合(yes)には、ステップS512に移行し、撮影を停止する。
図35は、本実施形態の撮像装置において、滑らかな動画の撮影ができる第1の動画静止画撮影モードで第1の動画と第2の動画とを同時に撮影する際の、撮像素子184の蓄積及び読み出しタイミングを説明する図である。ここでいう蓄積とは、フォトダイオード600で発生した電荷を信号保持部607A,607Bに転送して蓄積する動作である。また、読み出しとは、信号保持部607A,607Bに保持された電荷に基づく信号を、フローティングディフュージョン領域608を介して撮像素子184の外部に出力する動作である。
図35には、横軸を時間として、垂直同期信号650、水平同期信号651、静止画蓄積期間661、静止画転送期間662、静止画読み出し期間665、動画蓄積期間663、動画転送期間664、動画読み出し期間666を示している。ここで、静止画蓄積期間661とは、第1の動画のための信号電荷のフォトダイオード600への蓄積期間を示している。静止画転送期間662とは、第1の動画のための信号電荷をフォトダイオード600から信号保持部607Aに転送する期間を示している。静止画読み出し期間665とは、第1の動画の読み出し期間である。動画蓄積期間663とは、第2の動画のための信号電荷のフォトダイオード600への蓄積期間を示している。動画転送期間664とは、第2の動画のための信号電荷をフォトダイオード600から信号保持部607Bに転送する期間を示している。動画読み出し期間666とは、第2の動画の読み出し期間である。
本駆動例では、垂直同期信号650の1周期の間に第1の動画と第2の動画とを読み出すようになっている。また、図35には便宜的に16行のタイミングを図示しているが、実際の撮像素子184は数千行を有する。図35では、最終行を第m行としている。
第1の動画は、垂直同期信号650の1周期(時間Tf)の間に全行同時に実施される1回の蓄積期間(静止画蓄積期間661)の間に生じた信号電荷に基づいて生成される。また、第2の動画は、Np回(Npは2以上の整数(Np>1))に分割された蓄積期間(動画蓄積期間663)の間にそれぞれ生じた信号電荷を加算した信号電荷に基づいて生成される。1撮影周期の間に行われる第2の動画の蓄積期間の回数Npは、例えば16回であり、これら蓄積期間は均等な時間間隔で行われる。垂直同期信号650の間隔(時間Tf)は、1/60秒であり、第1の動画静止画撮影モードでは、おおよそ第2の動画のNp回の蓄積期間を行う期間に相当する。第1の動画の蓄積は、1撮影周期中の第2の動画の読み出し(動画読み出し期間666)中に行う。
このようにすることで、第1の動画と第2の動画とを同時に撮影することが可能である。また、第1の動画として、撮影者の意図する蓄積時間の短いブレのない画像を取得することが可能である。また、Np回の蓄積期間を均等な時間間隔で行うことは、実質的には第1回目の蓄積期間の開始時刻からNp回目の蓄積期間の終了時刻までが1つの長い蓄積期間である。したがって、第2の動画として、ジャーキネスの抑制された滑らかな画像を取得することが可能である。
図35において、第1の動画の蓄積期間(静止画蓄積期間661)は、撮影者によって設定されたシャッタースピードT1に相当する時間に設定されている。本駆動例では、シャッタースピードT1は、1/500秒とする。第1の動画の蓄積期間は、全行同時であり、第1の動画の第1行目の読み出し(静止画読み出し期間665)の開始直前に終了するように設定されている。第1の動画の蓄積期間の終了時刻は、垂直同期信号650から時間Taの経過後の時刻である。時間Taは、垂直同期信号650の間隔Tfの半分以下に設定される。第1の動画の蓄積期間(静止画蓄積期間661)の終了時刻は全行同時のため、垂直同期信号650に対する第1の動画の蓄積期間の開始時刻は、第1の動画のシャッタースピードT1に応じて設定されるようになっている。
一方、第2の動画の蓄積期間(動画蓄積期間663)は、1周期中に均等な時間間隔で複数回行われる。本駆動例では、各行の読み出し(動画読み出し期間666)の開始直前までに16回に分割された蓄積期間が終了するように時間間隔が設定されている。第2の動画の蓄積期間の時間間隔は、水平同期信号651の間隔Thの整数倍に設定される。これにより、第2の動画の各行の蓄積タイミングは同じになっている。図35では、第2の動画の蓄積期間の時間間隔は、便宜的に水平同期信号651の間隔Thの2倍になるように図示されている。通常は、第2の動画の蓄積期間の時間間隔は、撮像素子184の行数をm、1周期中の第2の動画の蓄積回数をNpとすると、m/Npを超えない整数に水平同期信号651の間隔Thを掛けた値に設定される。
また、第2の動画の1回の蓄積時間は、T1/Np(=1/8000秒)に設定される。第2の動画の各行の蓄積期間の開始時刻は、垂直同期信号650に対して固定である。第2の動画の1回の蓄積期間の終了時刻は、撮影者によって設定された静止画のシャッタースピードT1に応じて、垂直同期信号650に対して設定されるようになっている。
なお、図35では、第1の動画の蓄積時間(T1)が長いため、1周期中における第2の動画の蓄積回数Npは14回になっている。そのため、1撮影周期で生成された第2の動画は、同一撮影周期で生成された第1の動画を用いて補正を行っている。
次に、図36のタイミングチャートを用いて、図35の時刻t1から開始する撮影周期における撮像素子184の制御方法の一例を説明する。図36において垂直同期信号φVが立ち上がる時刻t1は、図35において垂直同期信号650が立ち上がる時刻t1と同じである。
ここでは、撮像素子184が垂直方向にm行の画素列を有している場合を想定する。図36には、これらのうち第1行と最終行の第m行のタイミングを示している。図36において、信号φVは垂直同期信号であり、信号φHは水平同期信号である。
まず、時刻t1において、タイミング発生部189から供給される垂直同期信号φV及び水平同期信号φHがローレベルからハイレベルへと遷移する。
次いで、垂直同期信号φVがハイレベルになるのに同期した時刻t2において、垂直走査回路307から供給される第1行のリセットパルスφRES(1)がハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、第1行の画素303のリセットトランジスタ604がオフとなり、フローティングディフュージョン領域608のリセット状態が解除される。同時に、垂直走査回路307から供給される第1行の選択パルスφSEL(1)がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第1行の画素303の選択トランジスタ606がオンとなり、第1行の画素303からの画像信号の読み出しが可能となる。
次いで、時刻t3において、垂直走査回路307から供給される第1行の転送パルスφTX2B(1)がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第1行の画素303の転送トランジスタ602Bがオンとなり、直前の撮影周期(時刻t1に終了する撮影周期)中に信号保持部607Bに蓄積された第2の動画の信号電荷がフローティングディフュージョン領域608に転送される。すると、フローティングディフュージョン領域608の電位の変化に応じた信号が、増幅トランジスタ605及び選択トランジスタ606を介して信号出力線623に読み出される。信号出力線623に読み出された信号は、不図示の読み出し回路に供給されて第2の動画の第1行の画像信号として外部に出力される(図35の動画読み出し期間666に相当)。
次いで、時刻t4において、垂直走査回路307から供給される第1行の転送パルスφTX2B(1)及び全行の転送パルスφTX2A(φTX2A(1),φTX2A(m))がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第1行の画素303の転送トランジスタ602B及び全行の画素303の転送トランジスタ602Aがオンとなる。このとき、既に全行のリセットパルスφRES(φRES(1),φRES(m))はハイレベルに遷移しており、リセットトランジスタ604はオン状態になっている。これにより、全行の画素303のフローティングディフュージョン領域608、全行の画素303の信号保持部607A、第1行の画素303の信号保持部607Bは、リセットされる。このとき、第1行の選択パルスφSEL(1)もローレベルに遷移しており、第1行の画素303は非選択の状態に戻っている。
次いで、時刻t5において、垂直走査回路307から供給される全行の転送パルスφTX3(φTX3(1),φTX3(m))がハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、全行の画素303の転送トランジスタ603がオフとなり、全行のフォトダイオード600のリセットが解除され、全行の画素303のフォトダイオード600で第2の動画の信号電荷の蓄積が開始される(図35の動画蓄積期間663に相当)。
ここで、垂直同期信号φVがハイレベルになる時刻t1と全行の画素303のフォトダイオード600で第2の動画の信号電荷の蓄積が開始する時刻t5との時間間隔Tbは、固定である。
なお、図36の時刻t5での第2の動画の第1行の蓄積期間の開始は、図35の時刻t1からの撮影周期における第2の動画の蓄積期間の開始を表している。また、時刻t5での第2の動画の第m行の蓄積期間の開始は、図35の時刻t1より前の撮影周期における第2の動画の蓄積期間の開始を表している。
次いで、時刻t7の直前に、垂直走査回路307から供給される全行の転送パルスφTX1B(φTX1B(1),φTX1B(m))がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、全行の画素303の転送トランジスタ601Bがオンとなり、全行の画素303のフォトダイオード600に蓄積された信号電荷が信号保持部607Bに転送される(図35の動画転送期間664に相当)。
次いで、時刻t7において、全行の転送パルスφTX1B (φTX1B(1),φTX1B(m))がハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、全行の画素303の転送トランジスタ601Bがオフとなり、フォトダイオード600に蓄積された信号電荷の信号保持部607Bへの転送が終了する。
時刻t5から時刻t7までの時間が、第2の動画のためのNp回の蓄積期間のそれぞれにおける蓄積時間(=T1/16)に相当する。
同じく時刻t7において、全行の転送パルスφTX3(φTX3(1),φTX3(m))がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、全行の画素303の転送トランジスタ603がオンとなり、全行の画素303のフォトダイオード600がリセット状態になる。
時刻t1から始まる撮影周期における第2の動画の第1回目の蓄積期間の開始の時刻t5から水平同期信号φHの間隔Thの2倍の時間が経過した時刻t8に、第2の動画の第2回目の蓄積期間が開始される。
時刻t8から始まり時刻t10に終了する第2の動画の第2回目の蓄積期間の動作は、前述の時刻t5から始まり時刻t7に終了する第2の動画の第1回目の蓄積期間の動作と同様なので、説明は省略する。
ここで、第2の動画の第1回目及び第2回目の蓄積期間の動作において、これら2回の蓄積期間の間に生じた第2の動画の信号電荷は、信号保持部607Bにおいて加算して保持される。
次いで、時刻t10から時刻t11の間に、前述の時刻t5から時刻t7までの期間と同様にして、第2の動画の第3回目から第5回目の蓄積期間が行われる。
次いで、時刻t11から、第2の動画の第6回目の蓄積期間が開始される。ここで、第2の動画の第6回目の蓄積期間の開始の時刻t11は、垂直同期信号φVがハイレベルになる時刻t1から時間T(=6×2×Th+Tb)が経過した後の時刻に設定されている。ここで、Thは水平同期信号φHの時間間隔であり、Tbは垂直同期信号φVがハイレベルになる時刻t1とフォトダイオード600で第2の動画の第1回目の蓄積期間が開始される時刻t5との時間間隔である。
時刻t11から始まり時刻t13に終了する第2の動画の第6回目の蓄積期間の動作は、前述の時刻t5から始まり時刻t7に終了する第2の動画の第1回目の蓄積期間の動作と同様なので説明は省略する。
次いで、時刻t14から、第1の画像である第1の動画の蓄積期間が開始される。本駆動例では、1撮影周期中における第1の動画の蓄積期間の回数は1回である。垂直同期信号φVに対する第1の動画の読み出し期間(図35の静止画読み出し期間665に相当)の開始時刻は固定されている。そのため、垂直同期信号φVに対する第1の動画の蓄積期間の終了時刻は、開始時刻から時間Taの経過後の時刻に固定され、第1の動画の蓄積期間は時刻t19に終了するように設定されている。ここで、時刻t1から時刻t19の間の時間間隔が、図35の時間Taに相当する。撮影者によって設定された第1の動画のシャッタースピードT1に基づいて、第1の動画の蓄積期間の開始の時間が制御される。
第1の動画の蓄積期間の終了の時刻t19より時間T1だけ遡った時刻t14において、全行の転送パルスφTX3(φTX3(1),φTX3(m))がハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、全行の画素303の転送トランジスタ603がオフとなり、全行の画素303のフォトダイオード600のリセットが解除される。そして、全行の画素303のフォトダイオード600において、第1の動画の信号電荷の蓄積期間が開始される(図35の静止画蓄積期間661に相当)。
また、第1の動画の信号電荷の蓄積期間中に、時刻t1に終了する1つ前の撮影周期の第m行の第2の動画の読み出し期間が終了する。
まず、時刻t15において、垂直走査回路307から供給される第m行のリセットパルスφRES(m)がハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、第m行の画素303のリセットトランジスタ604がオフとなり、フローティングディフュージョン領域608のリセット状態が解除される。同時に、垂直走査回路307から供給される第m行の選択パルスφSEL(m)がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第m行の画素303の選択トランジスタ606がオンとなり、第m行の画素303からの画像信号の読み出しが可能となる。
次いで、時刻t16において、第m行の転送パルスφTX2B(m)がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第m行の画素303の転送トランジスタ602Bがオンとなり、時刻t1に終了する1つ前の撮影周期中に信号保持部607Bに蓄積された第2の動画の信号電荷がフローティングディフュージョン領域608に転送される。すると、フローティングディフュージョン領域608の電位の変化に応じた信号が、増幅トランジスタ605及び選択トランジスタ606を介して信号出力線623に読み出される。信号出力線623に読み出された信号は、不図示の読み出し回路に供給されて第2の動画の第m行の画像信号として外部に出力される(図35の動画読み出し期間666に相当)。
これにより、時刻t1に終了する1つ前の撮影周期の第2の動画の読み出しが完了し、次に、時刻t1から開始する撮影周期の第1の動画の読み出しが行われる(図35の静止画読み出し期間665に相当)。
次いで、時刻t17において、第m行の転送パルスφTX2B(m)がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第m行の画素303の転送トランジスタ602Bがオンとなる。このとき既に第m行のリセットパルスφRES(m)はハイレベルに遷移しており、リセットトランジスタ604はオン状態になっている。これにより、第m行の画素303のフローティングディフュージョン領域608、第m行の画素303の信号保持部607Bは、リセットされる。このとき、第m行の選択パルスφSEL(m)もローレベルに遷移しており、第m行の画素303は非選択の状態に戻っている。
次いで、時刻t18において、第1行のリセットパルスφRES(1)がハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、第1行の画素303のリセットトランジスタ604がオフとなり、フローティングディフュージョン領域608のリセット状態が解除される。同時に、第1行の選択パルスφSEL(1)がローレベルからハイレベルに遷移する。これにより、第1行の画素303の選択トランジスタ606がオンとなり、第1行の画素303からの画像信号の読み出しが可能となる。
次いで、時刻t19の直前に、垂直走査回路307から供給される全行の転送パルスφTX1A(φTX1A(1),φTX1A(m))がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、全行の画素303の転送トランジスタ601Aがオンとなり、全行の画素303のフォトダイオード600に蓄積された信号電荷が信号保持部607Aに転送される(図35の静止画転送期間662に相当)。
時刻t19において、全行の転送パルスφTX1A(φTX1A(1),φTX1A(m))がハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、全行の画素303の転送トランジスタ601Aがオフとなり、全行の画素303のフォトダイオード600に蓄積された信号電荷の信号保持部607Aへの転送が終了する。
時刻t14から時刻t19までの時間が、時刻t1から開始する撮影周期における第1の動画の蓄積時間(T1)に相当する。本駆動例では、1撮影周期中の第1の動画の蓄積期間の回数は1回のため、第1の動画の蓄積時間と蓄積期間に相当する時間とは同じである。
次いで、時刻t20において、第1行の転送パルスφTX2A(1)がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第1行の画素303の転送トランジスタ602Aがオンとなり、第1行の画素303の信号保持部607Aに蓄積された信号電荷がフローティングディフュージョン領域608に転送される。すると、フローティングディフュージョン領域608の電位の変化に応じた信号が、第1行の画素303の増幅トランジスタ605及び選択トランジスタ606を介して信号出力線623に読み出される。信号出力線623に読み出された信号は、不図示の読み出し回路に供給されて第1の動画の第1行の画像信号として外部に出力される(図35の静止画読み出し期間665に相当)。
次いで、時刻t21から、第2の動画の第7回目の蓄積期間が開始される。ここで、第2の動画の第7回目の蓄積期間の開始の時刻t21は、垂直同期信号φVがハイレベルとなる時刻t1から時間T(=(7+2)×2×Th+Tb)が経過した後の時刻に設定されている。本駆動例では、第2の動画の2回の蓄積期間が第1の動画の蓄積期間(図35の静止画蓄積期間661に相当)と重なっている。このため、第2の動画の第7回目の蓄積期間の開始の時刻t21は、時刻t1に開始する撮影周期の第2の動画の第9回目の蓄積期間の開始の時刻と同等になっている。
時刻t21から始まり時刻t23に終了する第2の動画の第7回目の蓄積期間の動作は、前述の時刻t5から始まり時刻t7に終了する第2の動画の第1回目の蓄積期間の動作と同様なので、説明は省略する。
次いで、時刻t23から時刻t24の間に、前述の時刻t5から時刻t7までの期間と同様にして、第2の動画の第8回目から第13回目の蓄積期間が行われる。
次いで、時刻t24から、時刻t1から開始する撮影周期における第2の動画の最後の第14回目の蓄積期間が開始される。ここで、第2の動画の第14回目の蓄積期間の開始の時刻t24は、垂直同期信号φVがハイレベルとなる時刻t1から時間T(=(14+2)×2×Th+Tb)が経過した後の時刻に設定されている。
時刻t24から始まり時刻t26に終了する第2の動画の第14回目の蓄積期間の動作は、前述の時刻t5から始まり時刻t7に終了する第2の動画の第1回目の蓄積期間の動作と同様なので説明は省略する。本撮影モードにおいて、第2の動画のNp回の蓄積期間を行う期間は、時刻t5から時刻t26である。
次いで、時刻t27において、第m行のリセットパルスφRES(m)がハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、第m行の画素303のリセットトランジスタ604がオフとなり、フローティングディフュージョン領域608のリセット状態が解除される。同時に、第m行の選択パルスφSEL(m)がローレベルからハイレベルへとする。これにより、第m行の画素303の選択トランジスタ606がオンとなり、第m行の画素303からの画像信号の読み出しが可能となる。
次いで、時刻t28において、第m行の転送パルスφTX2A(m)がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第m行の画素303の転送トランジスタ602Aがオンとなり、第m行の画素303の信号保持部607Aに蓄積された第1の動画の信号電荷がフローティングディフュージョン領域608に転送される。すると、フローティングディフュージョン領域608の電位の変化に応じた信号が、第m行の画素303の増幅トランジスタ605及び選択トランジスタ606を介して信号出力線623に読み出される。信号出力線623に読み出された信号は、不図示の読み出し回路に供給されて第1の動画の第m行の画像信号として外部に出力される(図35の静止画読み出し期間665に相当)。
次いで、時刻t29において、タイミング発生部189から供給される垂直同期信号φVがローレベルからハイレベルへと遷移し、次の撮影周期が開始される。
以上のように、第1の動画静止画撮影モードでは、第1の動画の蓄積期間の終了時刻を垂直同期信号に対して固定とし、1撮影周期中に複数回行われる第2の動画の蓄積期間の開始の時刻は垂直同期信号に対して固定にしている。これにより、同一撮影周期内に第1の動画と第2の動画とを読み出すことを可能にしている。
これにより、第1の動画のシャッタースピードT1が所定のシャッタースピードTthよりも遅い場合、1撮影周期中に、蓄積時間が短くブレのない第1の動画と、蓄積期間が長くジャーキネスの抑制された第2の動画と、を同時に撮影することができる。
図37は、本実施形態の撮像装置において、ローリング歪みが発生しない動画の撮影ができる第2の動画静止画撮影モードで第1の動画と第2の動画とを同時に撮影する際の、撮像素子184の蓄積及び読み出しタイミングを説明する図である。ここでいう蓄積とは、フォトダイオード600で発生した電荷を信号保持部607A,607Bに転送して蓄積する動作である。また、読み出しとは、信号保持部607A,607Bに保持された電荷に基づく信号を、フローティングディフュージョン領域608を介して撮像素子184の外部に出力する動作である。
図37には、横軸を時間として、垂直同期信号650、水平同期信号651、静止画蓄積期間661、静止画転送期間662、静止画読み出し期間665、動画蓄積期間663、動画転送期間664、動画読み出し期間666を示している。本駆動例では、垂直同期信号650の1周期の間に第1の動画と第2の動画とを読み出すようになっている。また、図37では便宜的に16行のタイミングを図示しているが、実際の撮像素子184は数千行を有する。図37では、最終行を第m行としている。
第1の動画は、垂直同期信号650の1周期(時間Tf)の間に全行同時に実施される1回の蓄積期間(静止画蓄積期間661)の間に生じた信号電荷に基づいて生成される。また、第2の動画は、Np回(Npは2以上の整数(Np>1))に分割された蓄積期間(動画蓄積期間663)の間にそれぞれ生じた信号電荷を加算した信号電荷に基づいて生成される。1撮影周期の間に行われる第2の動画の蓄積期間の回数Npは、例えば8回であり、第1の動画の読み出し期間(静止画読み出し期間565)中に全行において均等な時間間隔で行われる。垂直同期信号650の間隔(時間Tf)は、動画のフレームレートに相当し、本駆動例では1/60秒である。また、第1の動画の蓄積は、1撮影周期中の第2の動画の読み出し(動画読み出し期間666)中行う。
このようにすることで、第1の動画と第2の動画とを同時に撮影することが可能である。また、第1の動画として、撮影者の意図する蓄積時間の短いブレのない画像を取得することが可能である。また、Np回の蓄積期間を均等な時間間隔で行うことは、実質的には第1回目の蓄積期間の開始時刻からNp回目の蓄積期間の終了時刻までが1つの長い蓄積期間である。したがって、第2の動画として、ジャーキネスが抑制されローリング歪みのない画像を取得することが可能である。
図37の時刻t51に終了する1つ前の撮影周期において、第1の動画の蓄積期間(静止画蓄積期間661)は、撮影者によって設定されたシャッタースピードT2に相当する時間に設定されている。本駆動例では、シャッタースピードT2は、1/2000秒とする。第1の動画の蓄積期間の中心時刻は全行同じ(垂直同期信号650から時間Tcの経過後の時刻)であり、第1の動画の第1行の読み出し期間(静止画読み出し期間665)の前に蓄積期間が終了するように設定されている。ここで、第1の動画の蓄積期間の中心時刻までの時間Tcは全行同じのため、第1の動画のシャッタースピードT2に応じて、垂直同期信号650に対する第1の動画の蓄積期間の開始時刻と終了時刻とが設定されるようになっている。第1の動画の蓄積期間の中心時刻までの時間Tcは、第2の動画の読み出し期間(動画読み出し期間666)の中心になるように設定され、垂直同期信号650の間隔に相当する時間Tfの約1/4に設定される。
一方、第2の動画の蓄積期間(動画蓄積期間663)は、第1の動画の読み出し期間(静止画読み出し期間665)中に均等な時間間隔で複数回行われる。本駆動例では、第2の動画の第1行の読み出し期間(動画読み出し期間666)の開始直前までに8回に分割された蓄積期間が終了するように時間間隔が設定されている。第2の動画の蓄積期間の時間間隔は、水平同期信号651の間隔Thの整数倍に設定される。これにより、第2の動画の全行のNp回の蓄積期間が同じになっている。図37では、第2の動画の蓄積期間の時間間隔は、便宜的に水平同期信号651の間隔Thの2倍になるように図示されている。通常は、第2の動画の蓄積期間の時間間隔は、撮像素子184の行数をm、1周期中の第2の動画の蓄積回数をNpとすると、m/Npを超えない整数に水平同期信号651の間隔Thを掛けた値に設定される。
また、第2の動画の1回の蓄積時間は、T2/Np(=1/16000秒)に設定される。第2の動画の全行の蓄積期間の開始時刻は、垂直同期信号650に対して固定である。第2の動画の1回の蓄積期間の終了時刻は、撮影者によって設定された第1の動画のシャッタースピードT2に応じて、垂直同期信号650に対して設定されるようになっている。
時刻t51に終了する1つ前の撮影周期で生成された第2の動画は、この撮影周期で生成された第1の動画を用いて欠落時間の補正を行うのも有効である。
このように、第2の動画の蓄積期間は、静止画の読み出し期間(静止画読み出し期間665)中に全行同じタイミングで行うことにより、ローリング歪みが発生しない動画を取得することができるようになっている。
次に、図38のタイミングチャートを用いて、図37の時刻t51から開始する撮影周期における撮像素子184の制御方法の一例を説明する。図38において垂直同期信号φVが立ち上がる時刻t51は、図37において垂直同期信号650が立ち上がる時刻t51と同じである。
ここでは、撮像素子184が垂直方向にm行の画素列を有している場合を想定する。図38には、これらのうち第1行と最終行の第m行のタイミングを示している。図38において、信号φVは垂直同期信号であり、信号φHは水平同期信号である。
まず、時刻t51において、タイミング発生部189から供給される垂直同期信号φV及び水平同期信号φHがローレベルからハイレベルへと遷移する。
次いで、垂直同期信号φVがハイレベルになるのに同期した時刻t52において、垂直走査回路307から供給される第1行のリセットパルスφRES(1)がハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、第1行の画素303のリセットトランジスタ604がオフとなり、フローティングディフュージョン領域608のリセット状態が解除される。同時に、垂直走査回路307から供給される第1行の選択パルスφSEL(1)がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第1行の画素303の選択トランジスタ606がオンとなり、第1行の画素303からの画像信号の読み出しが可能となる。
次いで、時刻t53において、垂直走査回路307から供給される第1行の転送パルスφTX2B(1)がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第1行の画素303の転送トランジスタ602Bがオンとなり、直前の撮影周期(時刻t51に終了する撮影周期)中に信号保持部607Bに蓄積された第2の動画の信号電荷がフローティングディフュージョン領域608に転送される。すると、フローティングディフュージョン領域608の電位の変化に応じた信号が、増幅トランジスタ605及び選択トランジスタ606を介して信号出力線623に読み出される。信号出力線623に読み出された信号は、不図示の読み出し回路に供給されて第2の動画の第1行の画像信号として外部に出力される(図37の動画読み出し期間666に相当)。
次いで、時刻t54において、垂直走査回路307から供給される第1行の転送パルスφTX2B(1)及び全行の転送パルスφTX2A(φTX2A(1),φTX2A(m))がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第1行の画素303の転送トランジスタ602B及び全行の画素303の転送トランジスタ602Aがオンとなる。このとき、既に全行のリセットパルスφRES(φRES(1),φRES(m))はハイレベルに遷移しており、リセットトランジスタ604はオン状態になっている。これにより、全行の画素303のフローティングディフュージョン領域608、全行の画素303の信号保持部607A、第1行の画素303の信号保持部607Bは、リセットされる。このとき、第1行の選択パルスφSEL(1)もローレベルに遷移しており、第1行の画素303は非選択の状態に戻っている。
次いで、時刻t55から第1の動画の蓄積期間が実行される。本駆動例では、1撮影周期中の第1の動画の蓄積期間の回数は1回である。第1の動画の蓄積期間の中心時刻は全行同じ(垂直同期信号650から時間Tcの経過後の時刻)であり、第1の動画の第1行の読み出し期間(静止画読み出し期間665)の前に蓄積が終了するように設定されている。ここで、第1の動画の蓄積期間の中心時刻までの時間Tcは全行同じのため、撮影者によって設定された第1の動画のシャッタースピードT2に応じて、垂直同期信号650に対する第1の動画の蓄積期間の開始時刻と終了時刻とが設定される。
第1の動画の蓄積期間の中心時刻である時刻t56より時間T2/2だけ遡った時刻t55において、全行の転送パルスφTX3(φTX3(1),φTX3(m))がハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、全行の画素303の転送トランジスタ603がオフとなり、全行の画素303のフォトダイオード600のリセットが解除される。そして、全行の画素303のフォトダイオード600において、第1の動画の信号電荷の蓄積期間が開始される(図37の静止画蓄積期間661に相当)。ここで、時刻t51から時刻t56までの時間が、図37の時間Tcに相当する。また、時刻t51までの撮影周期における第2の動画の第m行の読み出し期間(図37の動画読み出し期間666に相当)が終わる前に、第1の動画の信号電荷の蓄積が終了するようになっている。
次いで、時刻t57の直前に、垂直走査回路307から供給される全行の転送パルスφTX1A(φTX1A(1),φTX1A(m))がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、全行の画素303の転送トランジスタ601Aがオンとなり、全行の画素303のフォトダイオード600に蓄積された信号電荷が信号保持部607Aに転送される(図37の静止画転送期間662に相当)。
次いで、時刻t57において、全行の転送パルスφTX1A(φTX1A(1),φTX1A(m))がハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、全行の画素303の転送トランジスタ601Aがオフとなり、フォトダイオード600に蓄積された信号電荷の信号保持部607Aへの転送が終了する。
時刻t55から時刻t57までの時間が、図37の時刻t51から開始する撮影周期における第1の動画の蓄積時間(シャッタースピードT2)に相当する。本駆動例では1撮影周期中の第1の動画の蓄積期間の回数は1回であるため、1撮影周期中の第1の動画の蓄積時間と蓄積期間とは同じである。
次いで、時刻t58において、第m行のリセットパルスφRES(m)がハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、第m行の画素303のリセットトランジスタ604がオフとなり、フローティングディフュージョン領域608のリセット状態が解除される。同時に、第m行の選択パルスφSEL(m)がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第m行の画素303の選択トランジスタ606がオンとなり、第m行の画素303からの画像信号の読み出しが可能となる。
次いで、時刻t59において、垂直走査回路307から供給される第m行の転送パルスφTX2B(m)がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第m行の画素303の転送トランジスタ602Bがオンとなり、直前の撮影周期(図37の時刻t51までの撮影周期)中に信号保持部607Bに蓄積された第2の動画の信号電荷がフローティングディフュージョン領域608に転送される。すると、フローティングディフュージョン領域608の電位の変化に応じた信号が、増幅トランジスタ605及び選択トランジスタ606を介して信号出力線623に読み出される。信号出力線623に読み出された信号は、不図示の読み出し回路に供給されて第2の動画の第m行の画像信号として外部に出力される(図37の動画読み出し期間666に相当)。
次いで、時刻t60において、第m行の転送パルスφTX2B(m)がローレベルからハイレベルとへと遷移する。これにより、第m行の画素303の転送トランジスタ602Bがオンとなる。このとき既に第m行のリセットパルスφRES(m)がハイレベルに遷移しており、リセットトランジスタ604はオン状態になっている。これにより、第m行の画素303のフローティングディフュージョン領域608、第m行の画素303の信号保持部607Bは、リセットされる。このとき、第m行の選択パルスφSEL(m)もローレベルに遷移しており、第m行の画素303は非選択の状態に戻っている。
時刻t51に終了する1つ前の撮影周期の第2の画像である動画の読み出しが完了すると、時刻t51から開始する撮影周期の第1の動画の読み出し(図37の静止画読み出し期間665に相当)が開始される。また、第2の動画の蓄積(図37の動画蓄積期間663に相当)が開始される。
時刻t61において、第1行のリセットパルスφRES(1)がハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、第1行の画素303のリセットトランジスタ604がオフとなり、フローティングディフュージョン領域608のリセット状態が解除される。同時に、第1行の選択パルスφSEL(1)がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第1行の画素303の選択トランジスタ606がオンとなり、第1行の画素303からの画像信号の読み出しが可能となる。
次いで、時刻t62において、第1行の転送パルスφTX2A(1)がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第1行の画素303の転送トランジスタ602Aがオンとなり、第1行の画素303の信号保持部607Aに蓄積された信号電荷がフローティングディフュージョン領域608に転送される。すると、フローティングディフュージョン領域608の電位の変化に応じた信号が、第1行の画素303の増幅トランジスタ605及び選択トランジスタ606を介して信号出力線623に読み出される。信号出力線623に読み出された信号は、不図示の読み出し回路に供給されて第1の動画の第1行の画像信号として外部に出力される(図37の静止画読み出し期間665に相当)。
次いで、時刻t63において、全行の転送パルスφTX3(φTX3(1),φTX3(m))がハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、全行の画素303の転送トランジスタ603がオフとなり、全行の画素303のフォトダイオード600のリセットが解除され、フォトダイオード600での信号電荷の蓄積が開始される(図37の動画蓄積期間663に相当)。
ここで、垂直同期信号φVがハイレベルになる時刻t51と全行の画素303のフォトダイオード600で信号電荷の蓄積が開始する時刻t63との時間間隔Tbは固定である。
次いで、時刻t64の直前に、垂直走査回路307から供給される全行の転送パルスφTX1B(φTX1B(1),φTX1B(m))がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、全行の画素303の転送トランジスタ601Bがオンとなり、全行の画素303のフォトダイオード600に蓄積された信号電荷が信号保持部607Bに転送される(図37の動画転送期間664に相当)。
次いで、時刻t64において、全行の転送パルスφTX1B(φTX1B(1),φTX1B(m))がハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、全行の画素303の転送トランジスタ601Bがオフとなり、フォトダイオード600に蓄積された信号電荷の信号保持部607Bへの転送が終了する。
時刻t63から時刻t64までの時間が、第2の動画のための1回の蓄積期間における蓄積時間(=T2/8)に相当する。
同じく時刻t64において、全行の転送パルスφTX3(φTX3(1),φTX3(m))がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、全行の画素303の転送トランジスタ603がオンとなり、全行の画素303のフォトダイオード600がリセット状態になる。
時刻t51から始まる撮影周期における第2の動画の第1回目の蓄積期間の開始の時刻t63から水平同期信号φHの間隔Thの2倍の時間が経過した時刻t65に、第2の動画の第2回目の蓄積期間が開始される。
時刻t65から始まり時刻t66に終了する第2の動画の第2回目の蓄積期間の動作は、前述の時刻t63から始まり時刻t64に終了する第2の動画の第1回目の蓄積期間の動作と同様なので、説明は省略する。
ここで、第2の動画の第1回目及び第2回目の蓄積期間の動作において、これら2回の蓄積期間の間に生じた第2の動画のための信号電荷は、信号保持部607Bにおいて加算して保持される。
次いで、時刻t66から時刻t67の間に、前述の時刻t63から時刻t64までの期間と同様にして、第2の動画の第3回目から第7回目の蓄積期間が行われる。
次いで、時刻t67から、1撮影周期中の最後となる第2の動画の第8回目の蓄積期間が開始される。ここで第2の動画の第8回目の蓄積期間の開始の時刻t67は、垂直同期信号φVがハイレベルになる時刻t51から時間T(=8×2×Th+Tb)が経過した後の時刻に設定されている。ここで、Thは水平同期信号φHの時間間隔であり、Tbは垂直同期信号φVがハイレベルになる時刻t51とフォトダイオード600で第2の動画の第1回目の蓄積期間が開始される時刻t63との時間間隔である。
時刻t67から始まり時刻t68に終了する第2の動画の第8回目の蓄積期間の動作は、前述の時刻t63から始まり時刻t64に終了する第2の動画の第1回目の蓄積期間の動作と同様なので、説明は省略する。
時刻t63から時刻t68までが本撮影モードにおける第2の動画のための信号電荷を蓄積するための期間であり、第1の動画の読み出し期間(時刻t62から時刻t70までの期間)中に行われる。
第2の動画の蓄積期間が終了している時刻t69において、第m行のリセットパルスφRES(m)がハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、第m行の画素303のリセットトランジスタ604がオフとなり、フローティングディフュージョン領域608のリセット状態が解除される。同時に、第m行の選択パルスφSEL(m)がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第m行の画素303の選択トランジスタ606がオンとなり、第m行の画素303からの画像信号の読み出しが可能となる。
次いで、時刻t70において、第m行の転送パルスφTX2A(m)がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第m行の画素303の転送トランジスタ602Aがオンとなり、第m行の画素303の信号保持部607Aに蓄積された信号電荷がフローティングディフュージョン領域608に転送される。すると、フローティングディフュージョン領域608の電位の変化に応じた信号が、第m行の増幅トランジスタ605及び選択トランジスタ606を介して信号出力線623に読み出される。信号出力線623に読み出された信号は、不図示の読み出し回路に供給されて第1の動画の第m行の画像信号として外部に出力される(図37の静止画読み出し期間665に相当)。
次いで、時刻t71において、タイミング発生部189から供給される垂直同期信号φVがローレベルからハイレベルへと遷移し、次の撮影周期が開始される。
このように、第2の動画静止画撮影モードでは、第2の動画の蓄積期間は、第1の動画の読み出し期間(静止画読み出し期間665)中に全行同じタイミングで行う。これにより、ローリング歪みが発生しない動画を取得することができる。また、第1の動画の蓄積期間に対して第2の動画の蓄積期間が長くなるようにしているため、ジャーキネスの抑制された画像を取得することができる。
このように、本実施形態によれば、ストップモーション効果が得られる「picture A」と、ジャーキネスを抑制した「picture B」とを同時に取得することができる。このような特性の異なる2つの動画に対して、第1実施形態で示したような画像の提示方法を用いることで、単一の撮像素子184を用いて複数の映像を同時に撮影し鑑賞する際に、動画/静止画のそれぞれの鑑賞に適した画像を提供することができる。
[変形実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態に記載の撮像装置の構成は、一例を示したものであり、本発明を適用可能な撮像装置は、図1及び図2に示した構成に限定されるものではない。また、撮像素子の各部の回路構成も、図3、図8、図11、図32等に示した構成に限定されるものではない。
また、上記第1実施形態では、より好適な態様として、「picture A」,「picture B」に対してクロストーク補正を実施する例を示したが、クロストーク補正は必ずしも実施する必要はない。
また、上記第1実施形態では、「picture A」と「picture B」とを同じフレームレートで撮影する例を示したが、「picture A」と「picture B」は、必ずしも同じフレームレートである必要はない。この場合、例えば「picture B」の1フレーム期間内に撮影される「picture A」の複数のフレームのうち少なくとも1つのフレームを「picture B」のフレームに対応づければよい。
また、上記第3実施形態では、第1の動画の蓄積期間を1回、第2の動画の蓄積期間を16回又は8回としたが、これら蓄積期間の回数は、撮影条件等に応じて適宜選択されるものであり、これらに限定されるものではない。例えば、第1の動画の蓄積回数は、少なくとも1回行えばよく、2回以上であってもよい。また、第2の動画の蓄積回数は、少なくとも2回以上であればよい。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。