以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下で説明する図面において、同じ機能を有するものは同一の符号を付し、その説明を省略又は簡潔にすることもある。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による撮像装置について、図1乃至図23を用いて説明する。本実施形態では、撮像素子から出力される映像信号を処理するための映像処理装置に、撮像のための撮影光学系等を追加してなる撮像装置を、本発明の好適な実施形態の一例として説明する。ただし、映像処理装置は、必ずしも撮像装置の一部として構成される必要はなく、撮像素子や撮影光学系とは別のハードウェアにより構成されていてもよい。また、映像処理装置の機能の全部又は一部を、撮像素子に搭載するようにしてもよい。
図1は、本実施形態による撮像装置の一例としてのデジタルスチルモーションカメラの外観図である。図1(a)がその正面図を示し、図1(b)がその背面図を示している。
本実施形態による撮像装置100は、筐体151と、筐体151の正面部に設けられた撮影光学系152と、筐体151の上面部に設けられたスイッチST154及びプロペラ162とを有している。また、撮像装置100は、筐体151の背面部に、表示部153と、スイッチMV155と、撮影モード選択レバー156と、メニューボタン157と、アップダウンスイッチ158,159と、ダイアル160と、再生ボタン161とを有している。
筐体151は、撮像素子やシャッター装置等の撮像装置100を構成する種々の機能部品を収納する容器である。撮影光学系152は、被写体の光学像を結像するための光学系である。表示部153は、撮影情報や映像を表示するための表示装置により構成される。表示部153には、必要に応じて画面の向きを変えるための可動機構を設けてもよい。表示部153は、ダイナミックレンジの広い映像もその輝度範囲を抑制することなく表示できるだけの表示輝度範囲を有している。スイッチST154は、主に静止画の撮影を行うために使用するシャッターボタンである。スイッチMV155は、動画撮影の開始及び停止を行うためのボタンである。撮影モード選択レバー156は、撮影モードを選択するための切り替えスイッチである。メニューボタン157は、撮像装置100の機能設定を行う機能設定モードへ移行するためのボタンである。アップダウンスイッチ158,159は、各種の設定値を変更する際に用いるボタンである。ダイアル160は、各種の設定値を変更するためのダイアルである。再生ボタン161は、撮像装置100に収納されている記録媒体に記録されている映像を表示部153上で再生する再生モードへ移行するためのボタンである。プロペラ162は、空中からの撮影を行うために撮像装置100を空中に浮上させるためのものである。
図2は、本実施形態による撮像装置100の概略構成を示すブロック図である。撮像装置100は、図2に示すように、絞り181、絞り制御部182、光学フィルター183、撮像素子184、アナログフロントエンド185,186、デジタル信号処理部187,188、タイミング発生部189を有している。また、撮像装置100は、システム制御CPU178、スイッチ入力手段179、映像メモリ190、飛行制御装置200を有している。また、撮像装置100は、表示インターフェース部191、記録インターフェース部192、記録媒体193、プリントインターフェース部194、外部インターフェース部196、無線インターフェース部198を有している。
撮像素子184は、撮影光学系152を介して結像された被写体の光学像を電気的な映像信号に変換するためのものである。撮像素子184は、特に限定されるものではないが、例えば、UHDTV(Ultra High Definition Television)の規格を満たすに十分な画素数、信号読み出し速度、色域、ダイナミックレンジを有している。絞り181は、撮影光学系152を通る光の量を調節するためのものである。絞り制御部182は、絞り181を制御するためのものである。光学フィルター183は、撮像素子184に入射する光の波長、撮像素子184に伝達する空間周波数を制限するためのものである。撮影光学系152、絞り181、光学フィルター183、撮像素子184は、撮影光学系152の光軸180上に配置されている。
アナログフロントエンド185,186は、撮像素子184から出力される映像信号のアナログ信号処理及びアナログ−デジタル変換を行うためのものである。アナログフロントエンド185,186は、例えば、ノイズを除去する相関二重サンプリング(CDS)回路、信号ゲインを調整するアンプ、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器等により構成される。デジタル信号処理部187,188は、アナログフロントエンド185,186から出力されるデジタル映像データに対して各種の補正を行った後、映像データを圧縮するためのものである。タイミング発生部189は、撮像素子184、アナログフロントエンド185,186、デジタル信号処理部187,188に各種タイミング信号を出力するためのものである。システム制御CPU178は、各種演算の実行や撮像装置100の全体の制御を司る制御部である。映像メモリ190は、映像データを一時的に記憶するためのものである。
表示インターフェース部191は、撮影された映像を表示部153に表示するためのシステム制御CPU178と表示部153との間のインターフェースである。記録媒体193は、映像データや付加データ等を記録するための半導体メモリ等の記録媒体であり、撮像装置100に備え付けられていてもよいし着脱可能でもよい。記録インターフェース部192は、記録媒体193に記録又は記録媒体193から読み出しを行うためのシステム制御CPU178と記録媒体193との間のインターフェースである。外部インターフェース部196は、外部コンピュータ197等の外部機器と通信するためのシステム制御CPU178と外部機器との間のインターフェースである。プリントインターフェース部194は、撮影された映像を小型インクジェットプリンタ等のプリンタ195に出力し印刷するためのシステム制御CPU178とプリンタ195との間のインターフェースである。無線インターフェース部198は、インターネット等のネットワーク199と通信するためのシステム制御CPU178とネットワーク199との間のインターフェースである。スイッチ入力手段179は、スイッチST154、スイッチMV155、各種モードの切り替えを行う複数のスイッチを含む。飛行制御装置200は、空中からの撮影を行うためにプロペラ162を制御して撮像装置100を飛行させるための制御装置である。
図3は、撮像素子184の構成例を示すブロック図である。撮像素子184は、図3に示すように、画素アレイ302、垂直走査回路307、読み出し回路308A,308B及びタイミング制御回路309A,309Bを含む。
画素アレイ302には、複数の画素303が行列状に配置されている。なお、画素アレイ302に属する画素303の実際の配列数は一般的には多数となるが、ここでは図面の簡略化のため、4行×4列の行列状に配置された16個の画素303のみを示している。複数の画素303の各々は、画素要素303Aと画素要素303Bとの組みを有する。図3では、画素303の上半分の領域を画素要素303Aとし、画素303の下半分の領域を画素要素303Bとしている。画素要素303A及び画素要素303Bは、それぞれ光電変換により信号を生成する。
画素アレイ302の各列には、列方向に延在する信号出力線304A,304Bが、それぞれ設けられている。各列の信号出力線304Aは、当該列に属する画素要素303Aに接続されている。信号出力線304Aには、画素要素303Aからの信号が出力される。各列の信号出力線304Bは、当該列に属する画素要素303Bに接続されている。信号出力線304Bには、画素要素303Bからの信号が出力される。画素アレイ302の各列には、列方向に延在する電源線305及び接地線306が、それぞれ設けられている。各列の電源線305及び接地線306は、当該列に属する画素303に接続されている。電源線305及び接地線306は、行方向に延在する信号線としてもよい。
垂直走査回路307は、画素アレイ302に対して行方向に隣接して配置される。垂直走査回路307は、画素アレイ302の複数の画素303に対して行単位で、行方向に延在して配された図示しない制御線を介して、画素303内の読み出し回路を制御するための所定の制御信号が出力される。図には、制御信号として、リセットパルスφRESn、転送パルスφTXnA,TXnBを示している(nは、行番号に対応した整数)。
読み出し回路308A,308Bは、画素アレイ302を挟むように、画素アレイ302に対して列方向に隣接して配置されている。読み出し回路308Aは、各列の信号出力線304Aに接続されている。読み出し回路308Aは、各列の信号出力線304Aを順次選択的に活性化することで、各列の信号出力線304Aからの信号を順次読み出し、所定の信号処理を実施する。同様に、読み出し回路308Bは、各列の信号出力線304Bに接続されている。読み出し回路308Bは、各列の信号出力線304Bを順次選択的に活性化することで、各列の信号出力線304Bからの信号を順次読み出し、所定の信号処理を実施する。読み出し回路308A,308Bは、それぞれ、雑音除去回路、増幅回路、アナログデジタル変換回路、水平走査回路などを含むことができ、所定の信号処理を実施した信号を順次出力する。
タイミング制御回路309Aは、垂直走査回路307及び読み出し回路308Aに接続されている。タイミング制御回路309Aは、垂直走査回路307及び読み出し回路308Aの駆動タイミングを制御する制御信号が出力される。タイミング制御回路309Bは、垂直走査回路307及び読み出し回路308Bに接続されている。タイミング制御回路309Bは、垂直走査回路307及び読み出し回路308Bの駆動タイミングを制御する制御信号が出力される。
図4は、撮像素子184の画素303の内部構造を示す断面図である。それぞれの画素303は、図4に示すように、2つのフォトダイオード310A,310Bと、ライトガイド255と、カラーフィルタ256とを含む。フォトダイオード310Aは画素要素303Aの一部を構成し、フォトダイオード310Bは画素要素303Bの一部を構成する。フォトダイオード310A,310Bは、シリコン基板251内に設けられている。ライトガイド255は、シリコン基板251上に設けられた絶縁層254内に設けられている。絶縁層254は例えば酸化シリコンにより構成され、ライトガイド255は絶縁層254よりも高屈折率の材料、例えば窒化シリコンにより構成される。ライトガイド255間の絶縁層254には、配線層252が設けられている。ライトガイド255上には、所定の分光透過率特性を有するカラーフィルタ256が設けられている。なお、図4には、隣接する2つの画素303のカラーフィルタを、互いに異なる分光透過率特性を有するカラーフィルタ256,257により構成した例を示している。
ライトガイド255は、絶縁層254との間の屈折率差によって内部に光を閉じ込める性質を有している。これにより、カラーフィルタ256を介して入射した光をライトガイド255によってフォトダイオード310A,310Bに導くことができる。フォトダイオード310A,310Bは、ライトガイド255に対して非対称に配置されており、ライトガイド255を伝搬した光束は、高い効率でフォトダイオード310Aに入射し、低い効率でフォトダイオード310Bに入射する。更に、ライトガイド255は、その深さや傾斜角を調節することにより、フォトダイオード310A,310Bが有効に光電変換できる入射光束に対して、その入射角特性に偏りが生じないようになっている。
図5は、画素に入射する光線の角度とフォトダイオードからの出力との関係を示すグラフである。図5において、横軸が画素に入射する光線の角度を表し、縦軸がフォトダイオードからの出力を表している。図5には、フォトダイオード310Aからの出力特性261と、フォトダイオード310Bからの出力特性262とを示している。
図5に示すように、出力特性261及び出力特性262は、ともに光線の入射角度がゼロのときをピークとする左右対称の僅かに山なりの形状となっている。また、出力特性262のピーク強度PBは、出力特性261のピーク強度PAの1/8程度になっている。このことは、フォトダイオード310A,310Bの入射角依存性はともに小さく、それらの受光効率はフォトダイオード310Aに比べてフォトダイオード310Bが1/8であるということを表している。すなわち、フォトダイオード310Bは、ISO感度の設定値に置き換えると、フォトダイオード310Aよりも3段分、感度が低いことになる。
次に、撮影光学系152と撮像素子184との関係を、図6を用いてより詳しく説明する。図6は、撮影光学系152と撮像素子184との関係を説明する図である。図6(a)は、撮影光学系152をその光軸180方向から見た図である。図6(b)は、図2の撮影光学系152から撮像素子184に至る部分をより詳細に示した図である。
撮像素子184が、図6(b)に示すように、撮像領域の中央部に位置する画素276と、撮像領域の外縁近傍に位置する画素277とを含むものとする。この場合、画素276は、光線272と光線273とで囲まれた領域からの光束を受光することができる。また、画素277は、光線274と光線275とで囲まれた領域からの光束を受光することができる。この際、フィールドレンズ270が光学フィルター183と撮影光学系152との間に配置されているため、撮影光学系152の付近では、画素276が受光する光束と画素277が受光する光束とは、図6(a)に領域271で示すように重なっている。この結果、撮影光学系152からの光束を何れの画素においても高効率で受光することが可能となっている。
図7は、撮像素子から出力される映像信号を説明する概略図である。ここで、画素アレイ302に、図7(a)に示すカラーフィルタ配列281で、所定の光透過率特性を有するカラーフィルタが配置されている場合を想定する。図7(a)は、6行×8列の行列状に画素303が配列された画素アレイ302と、各画素に配置されるカラーフィルタの色を模式的に示したものである。図中、Rは赤色カラーフィルタを、G1及びG2は緑色カラーフィルタを、Bは青色カラーフィルタを、それぞれ表している。図示するカラーフィルタ配列281は、いわゆるベイヤー配列と呼ばれるカラーフィルタ配列であり、行毎に、G1BG1B…,RG2RG2…,G1BG1B…,…、といった繰り返しで、各色のカラーフィルタが配置されている。
このようなカラーフィルタ配列281を有する画素アレイ302からは、図7(b)及び図7(c)に示される出力データ282,283が得られる。図7(b)中、g1A及びg2Aは、緑色カラーフィルタが配置された画素303の画素要素303Aからの出力を表している。bAは、青色カラーフィルタが配置された画素303の画素要素303Aからの出力を表している。rAは、赤色カラーフィルタが配置された画素303の画素要素303Aからの出力を表している。図7(c)中、g1B及びg2Bは、緑色カラーフィルタが配置された画素303の画素要素303Bからの出力を表している。bBは、青色カラーフィルタが配置された画素303の画素要素303Bからの出力を表している。rBは、赤色カラーフィルタが配置された画素303の画素要素303Bからの出力を表している。
図3を用いて説明したように、撮像素子184からは、読み出し回路308A,308Bからの2系統の出力が得られ、そのうちの一方が図7(b)に示す出力データ282であり、他方が図7(c)に示す出力データ283である。出力データ282は、所定の信号処理ののちに映像信号「picture A」となる。また、出力データ283は、所定の信号処理ののちに映像信号「picture B」となる。以後の説明では、出力データ282に基づく映像信号を「picture A」、出力データ283に基づく映像信号を「picture B」と表記するものとする。なお、「picture A」,「picture B」は、厳密には所定の補正等の処理を行った後の映像信号であるが、説明の便宜上、補正前或いは補正途中の映像信号についても「picture A」,「picture B」と表記することがある。
図8は、画素303の構成例を示す回路図である。画素303は、上記のように、画素要素303A及び画素要素303Bを有する。画素要素303Aは、フォトダイオード310Aと、転送トランジスタ311Aと、フローティングディフュージョン領域313Aと、リセットトランジスタ314Aと、増幅トランジスタ315Aとを有する。画素要素303Bは、フォトダイオード310Bと、転送トランジスタ311Bと、フローティングディフュージョン領域313Bと、リセットトランジスタ314Bと、増幅トランジスタ315Bとを有する。なお、フォトダイオード310Aは、図4に示したフォトダイオード310Aに対応し、フォトダイオード310Bは、図4に示したフォトダイオード310Bに対応している。
フォトダイオード310Aのアノードは接地線306に接続され、フォトダイオード310Aのカソードは転送トランジスタ311Aのソースに接続されている。転送トランジスタ311Aのドレインは、リセットトランジスタ314Aのソース及び増幅トランジスタ315Aのゲートに接続されている。転送トランジスタ311Aのドレイン、リセットトランジスタ314Aのソース及び増幅トランジスタ315Aのゲートの接続ノードが、第1のフローティングディフュージョン領域313Aを構成する。リセットトランジスタ314Aのドレイン及び増幅トランジスタ315Aのドレインは、電源線305に接続されている。画素信号出力部316Aを構成する増幅トランジスタ315Aのソースは、信号出力線304Aに接続されている。
同様に、フォトダイオード310Bのアノードは接地線306に接続され、フォトダイオード310Bのカソードは転送トランジスタ311Bのソースに接続されている。転送トランジスタ311Bのドレインは、リセットトランジスタ314Bのソース及び増幅トランジスタ315Bのゲートに接続されている。転送トランジスタ311Bのドレイン、リセットトランジスタ314Bのソース及び増幅トランジスタ315Bのゲートの接続ノードが、第2のフローティングディフュージョン領域313Bを構成する。リセットトランジスタ314Bのドレイン及び増幅トランジスタ315Bのドレインは、電源線305に接続されている。画素信号出力部316Bを構成する増幅トランジスタ315Bのソースは、信号出力線304Bに接続されている。
各列の画素303は、垂直走査回路307から行方向に配されたリセット制御線319及び転送制御線320A,320Bに接続されている。リセット制御線319は、リセットトランジスタ314Aのゲート及びリセットトランジスタ314Bのゲートに接続されている。転送制御線320Aは、コンタクト部312Aを介して転送トランジスタ311Aのゲートに接続されている。転送制御線320Bは、コンタクト部312Bを介して転送トランジスタ311Bのゲートに接続されている。リセット制御線319は、リセットトランジスタ314Aのゲート及びリセットトランジスタ314Bのゲートに、垂直走査回路307から出力されるリセットパルスφRESnを供給する。転送制御線320Aは、転送トランジスタ311Aのゲートに、垂直走査回路307から出力される転送パルスφTXnAを供給する。転送制御線320Bは、転送トランジスタ311Bのゲートに、垂直走査回路307から出力される転送パルスφTXnBを供給する。なお、リセットパルスφRESn、転送パルスφTXnA及び転送パルスφTXnBの符号に付したnは、行番号に対応した整数である。図面には、nを行番号に対応した整数で置き換えた符号で表している。
フォトダイオード310Aは光電変換により電荷を生成する第1の光電変換部であり、フォトダイオード310Bは光電変換により電荷を生成する第2の光電変換部である。フローティングディフュージョン領域313A,313Bは、電荷を蓄積する領域である。転送トランジスタ311Aは、フォトダイオード310Aにより生成された電荷をフローティングディフュージョン領域313Aに転送するためのものである。転送トランジスタ311Bは、フォトダイオード310Bにより生成された電荷をフローティングディフュージョン領域313Bに転送するためのものである。
垂直走査回路307からハイレベルの転送パルスφTXnAが出力されると、転送トランジスタ311Aがオン状態となり、フォトダイオード310Aとフローティングディフュージョン領域313Aとが接続される。同様に、垂直走査回路307からハイレベルの転送パルスφTXnBが出力されると、転送トランジスタ311Bがオン状態となり、フォトダイオード310Bとフローティングディフュージョン領域313Bとが接続される。垂直走査回路307からハイレベルのリセットパルスφRESnが出力されると、リセットトランジスタ314A,314Bがオン状態となり、フォトダイオード310A,310B、フローティングディフュージョン領域313A,313Bがリセットされる。
垂直走査回路307からローレベルの転送パルスφTXnAが出力されると、転送トランジスタ311Aがオフ状態となり、フォトダイオード310Aは、光電変換により生成した信号電荷の蓄積を開始する。次いで、垂直走査回路307からハイレベルの転送パルスφTXnAが出力されると、転送トランジスタ311Aがオン状態となり、フォトダイオード310Aの信号電荷はフローティングディフュージョン領域313Aに転送される。すると、増幅トランジスタ315Aは、フォトダイオード310Aから転送された信号電荷の量に応じたフローティングディフュージョン領域313Aの電圧値に基づく入力を増幅して信号出力線304Aに出力する。
同様に、垂直走査回路307からローレベルの転送パルスφTXnBが出力されると、転送トランジスタ311Bがオフ状態となり、フォトダイオード310Bは、光電変換により生成した信号電荷の蓄積を開始する。次いで、垂直走査回路307からハイレベルの転送パルスφTXnBが出力されると、転送トランジスタ311Bがオン状態となり、フォトダイオード310Bの信号電荷はフローティングディフュージョン領域313Bに転送される。すると、増幅トランジスタ315Bは、フォトダイオード310Bから転送された信号電荷の量に応じたフローティングディフュージョン領域313Bの電圧を増幅して信号出力線304Bに出力する。
図9及び図10は、画素303の要部を示す平面レイアウト図である。図9には、画素303の構成要素のうち、フォトダイオード310A,310B、転送トランジスタ311A,311B、フローティングディフュージョン領域313A,313Bを示している。リセットトランジスタ314A,314B及び増幅トランジスタ315A,315Bを含むその他の回路要素は、図面において読み出し回路部321として表し、詳細な図示は省略している。また、画素303の垂直方向に配される信号出力線304A,304B及び電源線305を省略し、リセット制御線319、電源線305、接地線306のコンタクト部を省略している。図10には、図9に示した構成要素に加え、図4において説明したライトガイド255を示している。ライトガイド255は、斜影線を付した部分が低屈折率領域を示し、白抜き部分が高屈折率領域、すなわち導光部分を示している。
図9及び図10において、コンタクト部312Aは、転送制御線320Aと転送トランジスタ311Aのゲートとを接続するコンタクト部である。コンタクト部312Bは、転送制御線320Bと転送トランジスタ311Bのゲートとを接続するコンタクト部である。フォトダイオード310A,310Bは、光電変換を行う光電変換部であり、第1導電型(例えばP型)の半導体領域と、第1導電型の半導体領域とPN接合を構成する第2導電型(例えばN型)の半導体領域(N型の電子蓄積領域)とを有する。フォトダイオード310Aの第2導電型の半導体領域とフォトダイオード310Bの第2導電型の半導体領域とは、分離部322によって分離されている。
転送トランジスタ311A,311B、コンタクト部312A,312B、転送制御線320A,320Bは、フォトダイオード310A,310B間にある分離部322に対し、それぞれ線対称又は略線対称に配置されている。一方、ライトガイド255は、図10に示すように、分離部322に対して偏った位置に配置されている。すなわち、フォトダイオード310Aがライトガイド255の底部分の多くの面積を占めるのに対して、フォトダイオード310Bはライトガイド255の底部分に僅かに掛かるだけとなっている。この結果、フォトダイオード310Aの受光効率は高く、フォトダイオード310Bの受光効率は低くなっている。
本実施形態による撮像素子184では、フォトダイオード310A,310Bの受光効率の比を8:1程度、すなわち感度の差を3段程度に設定している。そして、2つの映像を異なる蓄積時間の設定で撮影しつつ、画素要素においては同程度の信号電荷を得て、どちらもS/N比の良好なノイズ感のない映像としたり、或いは、品位の高いHDR映像を合成可能としたりすることに供している。詳細については、後述する。
図11は、撮像素子184の読み出し回路の構成例を示す回路図である。なお、図11には、読み出し回路308Aを想定して、一部の構成要素の符号の末尾に「A」を付記している。読み出し回路308Bにおいては、対応する構成要素の符号の末尾に「B」が付記されるものと理解されたい。
読み出し回路308Aは、図11に示すように、クランプ容量C0、フィードバック容量Cf、オペアンプ406、基準電圧源407、スイッチ423を含む。オペアンプ406の一方の入力端子は、クランプ容量C0を介して信号出力線304Aに接続されている。オペアンプ406の当該一方の入力端子と出力端子との間には、フィードバック容量Cfとスイッチ423とが並列に接続されている。オペアンプの他方の入力端子は、基準電圧源407に接続されている。基準電圧源407は、オペアンプ406に基準電圧Vrefを供給するためのものである。スイッチ423は、信号PC0Rで制御されるスイッチであり、信号PC0Rがハイレベルのときにオン状態となり、フィードバック容量Cfの両端を短絡させる。
読み出し回路308Aは、また、スイッチ414,415,418,419、容量CTSA、容量CTNA、水平出力線424,425、出力アンプ421を含む。スイッチ414,415は、容量CTSA,CTNAへの画素信号の書き込みを制御するスイッチである。スイッチ414は、信号PTSAで制御されるスイッチであり、信号PTSAがハイレベルのときにオン状態となり、オペアンプ406の出力端子と容量CTSAとを接続する。スイッチ415は、信号PTNAで制御されるスイッチであり、信号PTNAがハイレベルのときにオン状態となり、オペアンプ406の出力端子と容量CTNAとを接続する。
スイッチ418,419は、容量CTSA,CTNAに保持されている画素信号の出力アンプ421への出力を制御するためのスイッチである。スイッチ418,419は、水平シフトレジスタからの制御信号に応じてオン状態となる。これにより、容量CTSAに書き込まれた信号は、スイッチ418及び水平出力線424を介して出力アンプ421に出力される。また、容量CTNAに書き込まれた信号は、スイッチ419及び水平出力線425を介して出力アンプ421に出力される。信号PC0R、信号PTNA及び信号PTSAは、システム制御CPU178による制御の下でタイミング発生部189から供給される信号である。
読み出し回路308Bも、読み出し回路308Aと同様の構成を有している。また、以下の説明における信号PTNB及び信号PTSBは、システム制御CPU178による制御の下でタイミング発生部189から供給される信号であって、読み出し回路308Aでの信号PTNA及び信号PTSAと同等の役割を担っている。
次に、撮像素子184におけるリセット、蓄積及び読み出しの動作について、第1行目の画素303からの読み出し動作を例にして、図12のタイミングチャートを用いて順次説明する。
まず、時刻t1において、垂直走査回路307は、転送制御線320A,320Bに出力する転送パルスφTX1A,TX1Bを、ローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、転送トランジスタ311A,311Bは、オン状態となる。このとき、垂直走査回路307からは、リセット制御線319にハイレベルのリセットパルスφRES1が出力されており、リセットトランジスタ314A,314Bもオン状態である。これにより、フォトダイオード310A,310Bは、転送トランジスタ311A,311B及びリセットトランジスタ314A,314Bを介して電源線305に接続され、リセット状態となる。この際、フローティングディフュージョン領域313A,313Bも、リセット状態となる。
次いで、時刻t2において、垂直走査回路307は、転送パルスφTX1Bをハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、転送トランジスタ311Bはオフ状態となり、フォトダイオード310Bでは光電変換による信号電荷の蓄積が開始する。
次いで、時刻t3において、垂直走査回路307は、転送パルスφTX1Aをハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、転送トランジスタ311Aはオフ状態となり、フォトダイオード310Aでは光電変換による信号電荷の蓄積が開始する。
次いで、時刻t4において、垂直走査回路307は、リセットパルスφRES1をハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、リセットトランジスタ314A,314Bはオフ状態となり、フローティングディフュージョン領域313A,313Bのリセットを解除する。
これにより、フローティングディフュージョン領域313Aの電位が信号出力線304Aに増幅トランジスタ315Aを介してリセット信号レベルとして読み出され、読み出し回路308Aに入力される。また、フローティングディフュージョン領域313Bの電位が信号出力線304Bに増幅トランジスタ315Bを介してリセット信号レベルの画素信号として読み出され、読み出し回路308Bに入力される。
時刻t4において、タイミング発生部189から読み出し回路308A及び読み出し回路308Bには、ハイレベルの信号PC0Rが出力されており、スイッチ423はオン状態である。このため、読み出し回路308Aには、オペアンプ406が基準電圧Vrefの出力をバッファする状態で、画素要素303Aからリセット信号レベルの画素信号が入力される。図には示していないが、読み出し回路308Bにも同様に、画素要素303Bからリセット信号レベルの画素信号が入力される。
次いで、時刻t5において、タイミング発生部189から読み出し回路308A及び読み出し回路308Bに出力する信号PC0Rをハイレベルからローレベルへと遷移し、スイッチ423をオフ状態にする。
次いで、時刻t6において、タイミング発生部189から読み出し回路308Aへ出力する信号PTNAをローレベルからハイレベルへと遷移してスイッチ415をオン状態にし、そのときのオペアンプ406の出力を容量CTNAへ書き込む。同様に、タイミング発生部189から読み出し回路308Bへ出力する信号PTNBをローレベルからハイレベルへと遷移してスイッチ415をオン状態にし、そのときのオペアンプ406の出力を容量CTNBへ書き込む。
次いで、時刻t7において、タイミング発生部189から読み出し回路308Aへ出力する信号PTNAをハイレベルからローレベルへと遷移してスイッチ415をオフ状態にし、容量CTNAへの書き込みを終了する。同様に、タイミング発生部189から読み出し回路308Bへ出力する信号PTNBをハイレベルからローレベルへと遷移してスイッチ415をオフ状態にし、容量CTNBへの書き込みを終了する。
次いで、時刻t8において、垂直走査回路307は、転送パルスφTX1A,φTX1Bをローレベルからハイレベルへと遷移し、転送トランジスタ311A,311Bをオン状態にする。これにより、フォトダイオード310Aに蓄積されていた信号電荷をフローティングディフュージョン領域313Aに転送し、フォトダイオード310Bに蓄積されていた信号電荷をフローティングディフュージョン領域313Bに転送する。
時刻t8において転送パルスφTX1A,φTX1Bを同時にハイレベルにすることで、フォトダイオード310A,310Bの蓄積時間の終了タイミングが揃うため、両者が蓄積しきったところで同時に読み出すことになる。
次いで、時刻t9において、垂直走査回路307は、転送パルスφTX1A,φTX1Bをハイレベルからローレベルへと遷移し、転送トランジスタ311A,311Bをオフ状態にする。これにより、フォトダイオード310Aに蓄積された信号電荷のフローティングディフュージョン領域313Aへの読み出し及びフォトダイオード310Bに蓄積された信号電荷のフローティングディフュージョン領域313Bへの読み出しを終了する。
これにより、信号電荷により変化したフローティングディフュージョン領域313Aの電位が信号出力線304Aに増幅トランジスタ315Aを介して光信号レベルとして読み出され、読み出し回路308Aに入力される。また、信号電荷により変化したフローティングディフュージョン領域313Bの電位が信号出力線304Bに増幅トランジスタ315Bを介して光信号レベルとして読み出され、読み出し回路308Bに入力される。
そして、読み出し回路308Aでは、クランプ容量C0とフィードバック容量Cfとの容量比率で電圧変化に対して反転ゲインがかかった電圧が、オペアンプ406から出力される。同様に、読み出し回路308Bにおいても、クランプ容量C0とフィードバック容量Cfとの容量比率で電圧変化に対して反転ゲインがかかった電圧が、オペアンプ406から出力される。
次いで、時刻t10において、タイミング発生部189から読み出し回路308Aへ出力する信号PTSAをローレベルからハイレベルへと遷移してスイッチ414をオン状態にし、そのときのオペアンプ406の出力を容量CTSAへ書き込む。同様に、タイミング発生部189から読み出し回路308Bへ出力する信号PTSBをローレベルからハイレベルへと遷移してスイッチ414をオン状態にし、そのときのオペアンプ406の出力を容量CTSBへ書き込む。
次いで、時刻t11において、タイミング発生部189から読み出し回路308Aへ出力する信号PTSAをハイレベルからローレベルへと遷移してスイッチ414をオフ状態にし、容量CTSAへの書き込みを終了する。同様に、タイミング発生部189から読み出し回路308Bへ出力する信号PTSBをハイレベルからローレベルへと遷移してスイッチ414をオフ状態にし、容量CTSBへの書き込みを終了する。
次いで、時刻t12において、垂直走査回路307は、リセットパルスφRES1をローレベルからハイレベルへと遷移し、リセットトランジスタ314A,314Bをオン状態とする。これにより、フローティングディフュージョン領域313A,313Bは、リセットトランジスタ314A,314Bを介して電源線305に接続され、リセット状態となる。
図13は、本実施形態による撮像装置における撮像シーケンスを説明するためのタイミングチャートである。図面の最上部の「タイムコード」は、電源を投入してからの時間を示し、「00:00:00:00」は「時:分:秒:フレーム」を表している。
時刻t31は、撮像装置100の電源投入時刻である。
時刻t32において、動画撮影ボタンであるであるスイッチMV155が使用者によって操作されてONとなり、これに応じて、「picture B」の撮像及び「picture A」の撮像が開始される。動画撮影のためのボタンであるスイッチMV155が操作されることに応じて、「picture B」については、所定の信号処理を経て記録媒体193にその映像データが書き込まれる。
時刻t33から時刻t34の期間及び時刻t35から時刻t36の期間では、静止画の撮影を行うために使用するスイッチST154が操作されている。これを受けてこれら期間においては、「picture A」についても、所定の信号処理を経て記録媒体193にその映像データが書き込まれる。なお、「picture A」の映像データは、時刻t33から時刻t34の期間及び時刻t35から時刻t36の期間のみならず、「picture B」の映像データと同じ期間の間、記録媒体193に書き込むようにしてもよい。
「picture A」及び「picture B」の何れについても、記録媒体193に記録された各映像データは同一フレームレートで、例えば、60fpsの動画であり、NTSC方式のタイムコードが付加されているものとする。動画データの各フレームに付加されるタイムコードの値は、例えば図14に示すようになる。
図15は、「picture A」及び「picture B」の映像データのファイル構造の一例を示す図である。ここでは映像データのフォーマットとしてMP4ファイルの例を示すが、映像データのフォーマットはこれに限定されるものではない。MP4ファイルフォーマットは、ISO/IEC 14496−1/AMD6で規格化されている。全ての情報はBoxと呼ばれる構造体に格納されており、多重化されたビデオ及びオーディオビットストリーム(メディアデータ)と、これらメディアデータに対する管理情報(メタデータ)から構成されている。各Boxは4文字の識別子でそれぞれのBoxタイプが表される。ファイルタイプBox501(ftyp)は、ファイル先頭にあり、ファイルを識別するためのBoxである。メディアデータBox502(mdat)は、ビデオとオーディオのビットストリームが多重化されて格納されている。ムービーBox503(moov)は、メディアデータBoxに格納されたビットストリームを再生するための管理情報が格納されている。スキップBox504(skip)は、再生時にはスキップBox504内に格納されているデータを読み飛ばし、スキップするためのBoxである。
スキップBox504内には、この映像データファイルを含むクリップのクリップ名508、本素材に付与されているクリップのUMID(Unique Material Identifier)509(CLIP−UMID)が格納される。スキップBox504内には、クリップ先頭フレームのタイムコード値(タイムコード先頭値)510、本素材ファイルが記録された記録メディアのシリアル番号511が格納される。なお、本図においては、スキップBox504に、フリースペース505、ユーザデータ506、メタデータ507も含まれている。本素材ファイルのUMIDや記録メディアのシリアル番号のような特殊なデータは、スキップBoxに格納されているので、汎用のビューアで再生する際に影響を与えない。
「picture A」及び「picture B」のそれぞれのMP4ファイルには、同じCLIP−UMIDが設定される。これにより、CLIP―UMIDを使って1つの素材ファイルから同じCLIP−UMIDのファイルを検索し、人手による確認作業をすることなく機械的に関連付けを行うことができるようになる。
図16は、「picture A」及び「picture B」の撮影条件の設定画面を説明する図である。撮影モード選択レバー156を、例えば図1(b)の位置から時計方向に90度回転させることによって、2つの映像を同時に撮影することができるデュアル映像モードに入るものとする。表示部153には、そのときの被写体の輝度に応じたBv値521、Fナンバー522、「picture A」及び「picture B」のそれぞれのISO感度523,524、シャッタースピード525,526が表示される。また、「picture A」及び「picture B」のそれぞれについて、現在設定されているピクチャーモード527,528が表示される。ピクチャーモードは、アップダウンスイッチ158,159及びダイアル160を用いて複数の選択肢の中から撮影の目的に合ったものを選択することができる。
前述したように、フォトダイオード310Aとフォトダイオード310Bとの間の受光効率の差は、3段に設定されている。このため、「picture A」と「picture B」との間のISO感度範囲には3段の差がある。図17に示すように、「picture A」はISO100〜ISO102400、「picture B」はISO12〜ISO12800となっている。
図18は、デュアル映像モードにおけるプログラムAE(Automatic Exposure)線図である。横軸がTv値とそれに対応するシャッタースピードを示し、縦軸がAv値とそれに対応する絞り値を示している。また、斜め方向は等Bv線となっている。「picture A」のBv値とISO感度との関係がゲイン表記領域556に表されており、「picture B」のBv値とISO感度との関係がゲイン表記領域557に表されている。なお、図18において各Bv値は、他のパラメータと区別するために、四角で囲んだ数値で表している。
高輝度から低輝度になるに従って、シャッタースピード、絞り値、ISO感度がどのように変化するかについて、図18を用いて説明する。
まず、Bv13のときは、「picture A」では、ISO感度はISO100に設定される。「picture A」の等Bv線は、「picture A」のプログラム線図558と点551で交差し、点551からシャッタースピード1/4000、絞り値F11と定まる。一方、「picture B」では、ISO感度はISO12に設定される。「picture B」の等Bv線は、「picture B」のプログラム線図559と点552で交差し、点552からシャッタースピード1/500、絞り値F11と定まる。
Bv10のときは、「picture A」では、ISO感度は1段分上昇してISO200に設定される。「picture A」の等Bv線は、「picture A」のプログラム線図558と点553で交差し、点553からシャッタースピード1/1000、絞り値F11と定まる。一方、「picture B」では、ISO感度はISO12に設定される。「picture B」の等Bv線は、「picture B」のプログラム線図559と点560で交差し、点560からシャッタースピード1/60、絞り値F11と定まる。
Bv6のときは、「picture A」では、ISO感度はISO200に設定される。「picture A」の等Bv線は、「picture A」のプログラム線図558と点554で交差し、点554からシャッタースピード1/1000、絞り値F2.8と定まる。一方、「picture B」では、ISO感度はISO12に設定される。「picture B」の等Bv線は、「picture B」のプログラム線図559と点555で交差し、点555からシャッタースピード1/60、絞り値F2.8と定まる。
Bv5のときは、「picture A」では、ISO感度は1段分上昇してISO400に設定される。「picture A」の等Bv線は、「picture A」のプログラム線図558と点554で交差し、点554からシャッタースピード1/1000、絞り値F2.8と定まる。一方、「picture B」では、ISO感度はISO25に設定される。「picture B」の等Bv線は、「picture B」のプログラム線図559と点555で交差し、点555からシャッタースピード1/60、絞り値F2.8と定まる。
以降、輝度が下がるにつれて、「picture A」、「picture B」ともに、シャッタースピードと絞り値は変化せずにゲインアップしISO感度が上昇していく。
このプログラムAE線図に示した露光動作を行うことにより、表記した全輝度範囲において「picture A」は1/1000以上のシャッタースピードを保ち、「picture B」は多くの輝度範囲で1/60のシャッタースピードを保っている。これにより、「picture A」ではストップモーション効果を得つつ、「picture B」ではコマ送り的なジャーキネスのない高品位な動画を得ることができる。
図19は、「picture A」と「picture B」との間のシャッタースピードの差異を撮像シーケンス上で説明する図である。図には、横軸を時間として、V同期信号481、「picture A」の蓄積期間482,483、「picture B」の蓄積期間484,485を示している。nは、フレーム番号である。
蓄積期間482は、「picture A」の画面上端ラインの蓄積期間であり、蓄積期間483は、「picture A」の画面下端ラインの蓄積期間である。撮像素子184はローリング電子シャッター機能で露光動作を行うために、画面上端のラインから画面下端のラインに向かって、所定の時間間隔で順次蓄積が開始され、当該時間間隔で順次蓄積が終了する。蓄積が終了すると信号電荷は撮像素子184から順次読み出され、アナログフロントエンド185に入力される。時刻t53から時刻t54までが蓄積期間482であり、時刻t55から時刻t56が蓄積期間483である。
また、蓄積期間484は、「picture B」の画面上端ラインの蓄積期間であり、蓄積期間485は「picture B」の画面下端ラインの蓄積期間である。「picture B」においても「picture A」と同様に、画面上端のラインから画面下端のラインに向かって、所定の時間間隔で蓄積が開始され、当該時間間隔で順次蓄積が終了する。蓄積が終了すると信号電荷は撮像素子184から順次読み出され、アナログフロントエンド186に入力される。時刻t51から時刻t54までが蓄積期間484であり、時刻t52から時刻t56が蓄積期間485である。
「picture A」と「picture B」の2つの映像は、異なる蓄積時間の設定で撮影されるが、「picture A」についてゲインアップするのではなく、撮像素子184において同程度のレベルの信号電荷を得ている。このため、「picture A」及び「picture B」のどちらもS/N比の良好なノイズ感のない映像となる。
図20は、撮像素子184に電源を投入した後のライブビュー表示中の表示部153の様子を表す図である。表示部153には、撮影光学系152を通して捉えられた人物163のスポーツシーンが表示されている。また、撮影モード選択レバー156が図1(b)の状態から時計方向に90度回動した位置にあるので、デュアル映像モードでの「picture A」と「picture B」のシャッタースピード491,492及びFナンバー493が表示されている。
図21(a),(b)は、スイッチST154、スイッチMV155を操作することにより取得された映像のうちの1フレームを示したものである。図21(a)は、シャッタースピード1/1000、絞り値F4.0で撮影された「picture A」の映像である。図21(b)は、シャッタースピード1/60、絞り値F4.0で撮影された「picture B」の映像である。図21(b)に示した映像は、シャッタースピードが遅いため、被写体の動きが止まらずにブレている。ただし、これを60fps程度のフレームレートの動画として再生すると、このブレがむしろ良い方向に働いてコマ送り的なパラパラ間のない滑らかな高品位な映像となる。
一方、図21(a)に示した映像はシャッタースピードが速く、ストップモーション効果が現れる。デジタルスチルモーションカメラの表示部153上では、再生ボタン161が操作されたときに、例えば図22に示すように、「picture A」496と「picture B」497の両方を並べて表示できることが望ましい。このようにすれば、映像を比較することでストップモーション効果のレベルを確認することができる。なお、この処理は、映像データを、ネットワークを介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータがプログラムを読み出して実行するように構成してもよい。
図23は、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、テレビモニタなどにおける、ストレージに格納された「picture A」及び「picture B」の活用例を説明するための図である。
「picture A」及び「picture B」のデータファイルは、ネットワーク上のストレージ等に格納されているものとする。図において、フレーム群581は、MP4ファイルに格納された「picture A」のフレーム群であり、フレーム群571は、別のMP4ファイルに格納された「picture B」のフレーム群である。これらのMP4ファイルには撮影時に同じCLIP−UMIDが設定され、関連付けがなされている。
まず、動画の再生をスタートすると、「picture B」のフレーム群571の先頭フレーム572から決められたフレームレートで順次フレームが再生される。「picture B」は、シャッタースピードが過度に速くならないような設定(この例では1/60秒)で撮影されているため、再生された映像はコマ送りのようなジャーキネスのない高品位なものである。図23ではフレーム573の被写体周囲をぼかしてジャーキネスが出ない程度の被写体の動きを表現している。
フレーム573まで再生が進んだ時点で使用者が一時停止の操作を行うと、自動的に「picture B」に対応する「picture A」のデータファイルから同一タイムコードのフレーム582が検索されて表示される。「picture A」は、ストップモーション効果が得られやすい高速シャッタースピード(この例では1/1000秒)で撮影されており、スポーツシーンの一瞬を写し止めた迫力のある映像である。「picture A」,「picture B」の2つの映像は、異なる蓄積時間の設定で撮影されるが、「picture A」についてゲインアップするのではなく、撮像素子184において同程度の信号電荷を得ている。このため、「picture A」及び「picture B」のどちらもSN比の良好なノイズ感のない映像となる。
ここで、印刷の指示を行うと、「picture A」のフレーム582のデータがプリントインターフェース部194を介してプリンタ195に対して出力される。したがって、印刷物も、「picture A」を反映したストップモーション効果がある迫力のあるものとなる。使用者が一時停止を解除すると、自動的に「picture B」のフレーム群571に戻って、フレーム574から再生が再開する。このとき、再生される映像はコマ送りのようなジャーキネスのない高品位なものである。
このように、「picture B」を、動画用の映像信号として用いることにより、ジャーキネスのない動画向きの映像を得ることができる。また、「picture A」を、静止画用の映像信号として用いることにより、ストップモーション効果が得られた静止画及び印刷向きの映像を得ることができる。本実施形態の撮像装置では、これら2つの効果を1つの撮像素子を用いて実現できる。
また、本実施形態においては、再生時の操作性向上のために、静止画用のファイルと動画用のファイルとを分けて、記録媒体193の別々のフォルダにファイルしている。例えば、前述したように、「picture A」、「picture B」とも、同一フレームレート且つ同一のMP4フォーマットで、動画用のフォルダと静止画用のフォルダに分けて記録する。そして、再生ボタン161が操作されると、動画用のファイルデータとして記録された「picture B」が、動画として連続再生される。また、静止画用のファイルデータとして記録された「picture A」が、画像送り操作と共に一枚ずつ静止画として再生される。
動画再生中の静止画の表示については、スイッチST154が操作されたタイミングで、再生中の動画の「picture B」と同一タイムコードの静止画「picture A」を表示するようにしてもよい。また、アップダウンスイッチ158、159を操作してその前後の静止画を表示してもよい。
動画撮影及び静止画撮影に用いる「picture A」、「picture B」の組み合わせは、後述するように撮影時に決定される。そして、撮影された「picture A」、「picture B」の各々が動画用、静止画用のフォルダにファイルされる。
以上のように、本実施形態では、第1の光電変換部(第1のフォトダイオード)と第1の光電変換部よりも受光効率が低い第2の光電変換部(第2のフォトダイオード)とを有する撮像素子を備えている。また、動画及び静止画撮影の蓄積期間を含む撮影条件を設定する撮影条件設定手段(スイッチ入力手段、システム制御CPU)を備えている。これにより、撮影条件に応じて、動画撮影及び静止画撮影に用いる第1及び第2のフォトダイオードの組み合わせを選択することができる。例えば、被写体が暗い場合には、動画も静止画も高受光効率の第1のフォトダイオードの画像「picture A」を用いる事で画像信号のS/N劣化を軽減することができる。あるいは、被写体が明るい場合には、動画も静止画も低受光効率の第2のフォトダイオードの画像「picture B」を用いる事で画像信号のS/N劣化を軽減することができる。
また、本実施形態では、静止画撮影された映像データと動画撮影された映像データとを分けて記録媒体に記録している。これにより、同時に撮像された動画と静止画を個別に再生するばかりではなく、異なる撮影条件で撮像された動画と静止画とを連動させて表示させることができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による撮像装置について、図24乃至図27を用いて説明する。本実施形態では、動画撮影及び静止画撮影の蓄積期間を含む撮影条件に応じて、動画撮影及び静止画撮影に用いる第1、第2のフォトダイオードを選択する方法について、シーン1〜4の例を用いて具体的に説明する。
シーン1: 波がダイナミックに打ち寄せる岸壁の静止画(蓄積期間:1/1000秒)
シーン2: 糸の様に流れる滝の静止画(蓄積期間:1/15秒)
シーン3: 躍動感あふれるスケートボードのジャンプ動画(蓄積期間:1/30秒)
シーン4: バレエのしなやかな動きを伝える動画(蓄積期間:1/30秒)
ここで、「蓄積期間」とは、シャッタースピードのことを意味する。シーン1〜4それぞれで設定された各蓄積期間の撮影条件において、S/N比劣化や信号飽和のない画像信号を得るためには、被写体の明るさに応じて、動画と静止画のそれぞれの撮影に使用する第1、第2のフォトダイオードを選択する必要がある。
図24は、本発明の第2実施形態による撮像装置における、動画と静止画の両方を短い蓄積期間で撮影するシーン1の例を示す図である。例えば、ダイナミックな波しぶきを撮影したいときのように、動画も静止画も蓄積期間を短くしたい場合には、動画及び静止画の両方を第1のフォトダイオードを用いて撮影する。但し、被写体が非常に明るく画素信号が飽和するような撮影条件では、動画も静止画も第2のフォトダイオードを用いる。
図24では、動画及び静止画の両方の映像信号として「picture A」を用いる。具体的には、蓄積期間1/250秒の撮影条件で、ジャーキネスのある波しぶきの動画を撮影する。そして、静止画撮影の操作が行われたタイミングのフレーム3002aに対しては、蓄積期間を1/1000秒に変更して、よりストップモーション効果のある波3001aを撮影する。撮影した「picture A」の映像は、動画用及び静止画用の両方のフォルダにファイルする。このように、デュアル映像モードにおいて動画用と静止画用の蓄積期間が異なるシーン1では、スイッチMV155が操作されると動画を撮影する。そして、動画撮影中にスイッチST154が操作されると、その操作が行われた時点のフレームのみ静止画用の蓄積期間で撮影する。このとき得られたフレーム3002aは、静止画フォルダにもファイルされる。
図25は、本発明の第2実施形態による撮像装置における、動画と静止画の両方を長い蓄積期間で撮影するシーン2の例を示す図である。例えば、糸の様に流れる滝を撮影したいときのように、動画も静止画も蓄積期間を長くしたい場合には、動画及び静止画の両方を第2のフォトダイオードを用いて撮影する。但し、被写体が非常に暗く画素信号が不足するような撮影条件では、動画も静止画も第1のフォトダイオードを用いる。
図25では、動画及び静止画の両方の映像信号として「picture B」を用いる。具体的には、蓄積期間1/30秒の撮影条件で、ジャーキネスの無い滝の動画を撮影する。そして、静止画撮影の操作が行われたタイミングのフレーム3002bに対しては、蓄積期間を1/15秒に変更して、糸の様に流れる滝の被写体3001cを撮影する。なお、図25では、被写体3001c及び被写体3001dの周囲には、被写体像の動きを表現するためにぼかしを入れている。撮影した「picture B」の映像は、動画用及び静止画用の両方のフォルダにファイルする。このように、デュアル映像モードにおいて動画用と静止画用の蓄積期間が異なるシーン2では、スイッチMV155が操作されると動画を撮影する。そして、動画撮影中にスイッチST154が操作されると、その操作が行われた時点のフレームのみ静止画用の蓄積期間で撮影する。このとき得られたフレーム3002bは、静止画フォルダにもファイルされる。
図26は、本発明の第2実施形態による撮像装置における、動画を短い蓄積期間で撮影し、静止画を長い蓄積期間で撮影するシーン3の例を示す図である。例えば、スケートボードの動きをぶらして撮影したいときのように、動画の蓄積期間を短くして、静止画の蓄積期間を長くしたい場合には、動画は第1のフォトダイオードを用い、静止画は第2のフォトダイオードを用いる。
図26では、「picture A」を用いて、蓄積期間1/250秒の撮影条件でジャーキネスのあるスケートボードの動画を撮影する。また、「picture B」を用いて、蓄積期間1/30秒の撮影条件でぶらした躍動感のあるスケートボードの静止画を撮影する。「picture A」は動画用のフォルダにファイルされ、「picture B」は静止画用のフォルダにファイルされる。但し、被写体が非常に明るく画素信号が飽和するような撮影条件では、動画も第2のフォトダイオードを用いる。
そして、撮影者が「picture A」の動画を再生中に、例えば好みのフレーム3002cの被写体3001eを選択すると、被写体3001fの画像が静止画として再生される。
図27は、本発明の第2実施形態による撮像装置における、動画を長い蓄積期間で撮影し、静止画を短い蓄積期間で撮影するシーン4の例を示す図である。例えば、バレエをストップモーションで撮影したいときのように、動画の蓄積期間を長くして、静止画の蓄積期間を短くしたい場合には、動画は第2のフォトダイオードを用い、静止画は第1のフォトダイオードを用いる。
図27では、「picture B」を用いて、蓄積期間1/30秒の撮影条件でジャーキネスの無い滑らかなバレエを撮影する。また、「picture A」を用いて、蓄積期間1/250秒の撮影条件でストップモーション効果のあるバレエを撮影する。「picture B」は動画用のフォルダにファイルされ、「picture A」は静止画用のフォルダにファイルされる。但し、被写体が非常に明るく画素信号が飽和するような撮影条件では、静止画も第2のフォトダイオードを用いる。
そして、撮影者が「picture B」の動画を再生中に、例えば好みのフレーム3002dの被写体3001gを選択すると、被写体3001hの画像が静止画として再生される。
以上のように、本実施形態では、動画撮影及び静止画撮影の蓄積期間を含む撮影条件に応じて、動画撮影及び静止画撮影に用いる第1及び第2のフォトダイオードの組み合わせを選択している。これにより、シーンに応じて最適化された品位の高い映像を撮影することができる。また、第1、第2のフォトダイオードのいずれか一方のみを用いて撮影する場合に、静止画撮影のタイミングに合わせて動画を静止画撮影の蓄積期間で撮影している。これにより、被写体が明るすぎる場合や暗すぎる場合でも、露出を適正化してS/N比の劣化を抑制することができる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による撮像装置について、図28乃至図33を用いて説明する。第2実施形態では、蓄積期間を含む撮影条件に応じて、動画撮影及び静止画撮影に用いるフォトダイオードを選択する方法について説明した。更に本実施形態では、被写体の明るさに応じて、動画撮影及び静止画撮影に用いるフォトダイオードを選択する方法について説明する。
本実施形態による撮像装置の概略構成は、第1実施形態による撮像装置の概略構成を示す図2と同じである。図2に示すアナログフロントエンド185には、第1のフォトダイオード310Aの信号が入力され、アナログフロントエンド186には、第2のフォトダイオード310Bの信号が入力される。一般的な撮影条件においては、静止画撮影はストップモーション効果を得るために高受光効率の第1のフォトダイオード310Aが用いられる。このとき、第1のフォトダイオード310Aからの信号は、スイッチST154の操作に基づいてアナログフロントエンド185を介して取り込まれる。また、動画撮影はジャーキネスをなくすために低受光効率の第2のフォトダイオード310Bが用いられる。このとき、第2のフォトダイオード310Bからの信号は、スイッチMV155の操作に基づいてアナログフロントエンド186を介して取り込まれる。
一方、撮影モード選択レバー156を時計方向に回転させたデュアル映像モードにおいては、第1のフォトダイオード310A及び第2のフォトダイオード310Bの信号を、同時にアナログフロントエンド185、186に取り込む。なお、図24、図25で説明したシーン1、2の例のように、デュアル撮影モードにおいても撮影者が設定する蓄積期間によっては、第1のフォトダイオードの画像或いは第2のフォトダイオードの画像のうちの一方のみを用いる場合もある。アナログフロントエンド185、186に取り込んだ画像信号は、前述のように、デジタル信号処理部187、188で処理され、動画と静止画とで別々に記録媒体193のフォルダに記録される。再生時には、動画と静止画を個別に再生するばかりではなく、図23を用いて説明したように、動画の所定フレームに対応する静止画をストップモーション効果のある映像として再生する。
システム制御CPU178は、デジタル信号処理部187、188の画像信号に基づいて撮影被写体の明るさを検出する。このとき、デジタル信号処理部187からの第1のフォトダイオード信号が非常に大きくて飽和に近い場合には、デジタル信号処理部188からの第2のフォトダイオード信号に基づいて被写体の明るさを検出する。逆に、デジタル信号処理部188からの第2のフォトダイオード信号が非常に小さい場合には、デジタル信号処理部187からの第1のフォトダイオード信号に基づいて被写体の明るさを検出する。また、第1、第2のフォトダイオード信号のいずれにも飽和や劣化がない場合には、蓄積期間の短いデジタル信号処理部187からの第1のフォトダイオード信号を用いて被写体の明るさを検出する。このように、被写体の明るさを検出するフォトダイオードを、被写体の明るさに応じて第1、第2のフォトダイオードから選択することにより、被写体ブレや手ブレの無い画像信号から被写体の明るさを精度よく検出することができる。
図28は、本発明の第3実施形態による撮像装置における、被写体の明るさを第1、第2のフォトダイオードを用いて検出する方法のフローチャートである。図28に示すフローチャートは、撮像素子184が動作を開始してから終了するまでの間、システム制御CPU178により繰り返して実行される。なお、このフローチャートでは本発明に関係の無い動作は省いて、アルゴリズムを分かりやすく示している。
ステップS3001では、被写体の明るさ(以下では「被写体輝度」ともいう)が、第1のフォトダイオード信号が飽和しているか否かを検出する。第1のフォトダイオードが飽和している場合はステップS3003に進み、そうでない場合はステップS3002に進む。ステップS3002では、第1のフォトダイオード信号が飽和していないので、第1のフォトダイオードを用いて被写体輝度を検出する。これは、受光効率の高い第1のフォトダイオードを用いる方が、受光効率の低い第2のフォトダイオードを用いるよりも短い蓄積期間で、手ブレや被写体ブレの影響の少ない被写体輝度を検出できるためである。一方、ステップS3003では、第1のフォトダイオード信号が飽和しており被写体輝度を正確に検出できないため、第2のフォトダイオードを用いて被写体輝度を検出する。
なお、ステップS3001では、第1のフォトダイオード信号の飽和を判定することによりその後のフローを分けたが、このような方法に限定されるものではない。例えば、第1、第2のフォトダイオードのいずれが被写体輝度の検出に適しているか否かを判定することによりその後のフローを分けてもよい。具体的には、第1のフォトダイオードの蓄積電荷が3/4程度まで飽和しており、第2のフォトダイオードを用いた方が被写体輝度の検出リニアリティが高い場合には、第2のフォトダイオードを用いて被写体輝度を検出する。このように、図28のフローチャートに従うことによって被写体の明るさを正確に検出することができる。
次に、検出した被写体の明るさに応じて、動画撮影及び静止画撮影に用いるフォトダイオードを選択する方法について説明する。第2実施形態で説明したように、動画及び静止画の蓄積期間を含む撮影条件は、撮影者による好みで、スイッチ入力手段179を用いて設定され、システム制御CPU178に入力される。撮影条件を優先する撮影条件優先モードにおいては、撮影者が設定した撮影条件は変更されることなく維持される。一方、撮影条件優先モードでない場合には、撮影者が設定した撮影条件は露出等を適正化するために変更されることがある。撮影条件優先モードとは、例えば前述したシーン1〜4のように、波やせせらぎ、スケートボードやバレエの撮影効果を得るために、動画及び静止画の蓄積期間を含む撮影条件(シーン)を、撮影者が予め指定するモードのことである。
ここで、被写体の明るさに応じて露出を適正化する場合には、動画と静止画とで絞りが共通である点に注意する必要がある。すなわち、本実施形態では、動画と静止画とを同時に撮影することが可能なので、撮影者が設定した蓄積期間を含む撮影条件の値によっては、動画または静止画のうちの一方の露出を適正化すると他方が適正でなくなってしまう場合がある。例えば、動画撮影と静止画撮影で得たい撮影効果が異なるような場合には、動画と静止画で異なる蓄積時間が設定されることがある。撮影者は、図1に示したデジタルスチルモーションカメラにおいて、アップダウンスイッチ158、159、及びダイアル160を用いて、動画及び静止画の蓄積期間をそれぞれ独立に設定できる。例えば、静止画に用いる第1のフォトダイオードの蓄積期間を1/250秒とし、動画に用いる第2のフォトダイオードの蓄積期間を3段低い1/30秒とし、共通の絞り値をF5.6とした場合に、動画、静止画とも適正露出が得られるものとする。このとき、撮影者が、静止画の蓄積期間をより速く設定したいと考え、例えば第1のフォトダイオードの蓄積期間を1/1000秒に設定すると、共通の絞り値F5.6では静止画の露出が2段アンダーになってしまう。
そこで、本実施形態の撮影条件優先モードでは、動画または静止画の一方を他方に優先させて露出を適正化する。例えば、動画優先モードでは、動画は蓄積期間1/30秒、F5.6で適正露出とし、静止画は蓄積期間1/1000秒、F5.6で露出2段アンダーとする。一方、静止画優先モードでは、動画は蓄積期間1/30秒、F2.8で露出2段オーバーとするが、静止画は蓄積期間1/1000秒、F2.8で適正露出とする。露出がアンダー或いはオーバーになった分は、デジタル信号処理部187、188によるゲイン調整により補う。
一方、撮影条件優先モードでない場合は、撮影者によって設定された蓄積期間が変更される。例えば、動画優先モードでは、動画は蓄積期間1/30秒、F5.6で適正蓄積期間とし、静止画は蓄積期間1/250秒、F5.6で静止画のストップモーション効果を低下させる。一方、静止画優先モードでは、動画は蓄積期間1/125秒、F2.8で動画の滑らかさを犠牲にするが(ジャーキネスが残る)、静止画は蓄積期間1/1000秒、F2.8で適正蓄積期間にする。なお、撮影条件優先モードでない場合のカメラ任せの撮影条件設定は、画質の評価が厳しい静止画優先モードのみを有して動画優先モードについては省略し、撮影条件の設定操作を簡略化するようにしてもよい。
図29は、本発明の第3実施形態による撮像装置における、動画及び静止画を適正化する方法を示すフローチャートである。図29に示すフローチャートは撮像素子184が動作を開始してからその動作を終了するまでの間、システム制御CPU178により繰り返して実行される。なお、このフローチャートでは本発明に関係のない動作は省いて、アルゴリズムを分かりやすく示している。
ステップS3101では、スイッチ入力手段179により撮影者が撮影条件の設定を行ったことを検出するまで待機する。ステップS3102では、撮影モードが撮影条件優先モードの場合にはステップS3104に進む。一方、撮影モードが撮影条件優先モードでない場合にはステップS3103に進む。ステップS3104では、動画、静止画ともに、それぞれ撮影者が設定した蓄積期間で第1、第2のフォトダイオードの蓄積を行う。このとき、前述したように、第1、第2のフォトダイオードのそれぞれの受光効率、及び感度差(3段)は予め決まっている。したがって、動画或いは静止画のうちの一方の露出を適正化するように被写体の明るさに応じて絞り値を決めると、他方の露出はアンダー或いはオーバーとなってしまう。ステップS3104では、動画優先モードの場合はステップS3107に進み、静止画優先モードの場合にはステップS3108に進む。
ステップS3107では、撮影者が設定した蓄積期間で動画が適正露出になるように絞り値を設定する。その結果、撮影者が設定した蓄積期間では静止画の露出がアンダー或いはオーバーとなるが、ゲインを調整する事で静止画の露出補正を行う。ステップS3108では、撮影者が設定した蓄積期間で静止画が適正露出になるように絞り値を設定する。その結果、撮影者が設定した蓄積期間では動画の露出はアンダー或いはオーバーとなるが、ゲインを調整する事で動画の露出補正を行う。
ステップS3103では、撮影条件優先モードではないため、撮影者が設定した撮影条件の変更が許容される。このような、露出の適正化を撮影条件に優先させるモードでは、被写体の明るさに応じて蓄積期間等の撮影条件を調整する。前述のように、第1、第2のフォトダイオードのそれぞれの受光効率、及び両者の感度差(3段)は予め決まっている。したがって、動画或いは静止画のうちの一方の露出を適正化するように、被写体の明るさに応じて絞り値を決めると、他方の露出はアンダー或いはオーバーとなってしまう。そこで、撮影条件優先モードではない場合には、適正露出を得るために動画或いは静止画の蓄積期間を変更する。ステップS3103では、動画優先モードの場合はステップS3106に進む。一方、静止画優先モードの場合はステップS3105に進む。
ステップS3106では、撮影者が設定した蓄積期間で動画が適正露出となるように絞り値を設定する。その結果、撮影者が設定した蓄積期間において、静止画の露出がアンダー或いはオーバーとなるような場合には、静止画の蓄積期間を調整して静止画の露出を適正化する。即ち、動画の蓄積期間は撮影者が設定した初期値と同じであるが、静止画の蓄積期間は撮影者が設定した初期値とは異なってくる場合がある。ステップS3105では、撮影者が設定した蓄積期間で静止画が適正露出となるように絞り値を設定する。その結果、撮影者が設定した蓄積期間において、動画の露出がアンダー或いはオーバーとなるような場合には、動画の蓄積期間を調整して動画の露出を適正化する。即ち、静止画の蓄積期間は撮影者が設定した初期値と同じであるが、動画の蓄積期間は撮影者が設定初期値とは異なってくる場合がある。
このように、(a)蓄積期間を含む撮影条件、(b)撮影条件優先モードか否か、(c)動画優先モード/静止画優先モード、について予め設定しておけば、図29に示すフローチャートに従って動画及び静止画を最適化することができる。
図28、図29を用いて説明したように、本実施形態では、撮影者等が設定した静止画撮影及び動画撮影の蓄積期間を含む撮影条件を、撮像素子184により検出される被写体の明るさ応じて適正化しながら撮影を行う。このように、第1のフォトダイオードと第2のフォトダイオードを、被写体の明るさや撮影条件に応じて使い分けることで、動画及び静止画の露出をより適正化することができる。また、様々な撮影シーンに適した撮影条件で、第1、第2のフォトダイオードを使い分けることで、撮影者の求める撮影を行うことができる。
次に、動画撮影及び静止画撮影に用いる第1、第2のフォトダイオードを、撮影条件及び被写体の明るさに応じて選択する方法について、いくつかの撮影条件の例を挙げて説明する。
1.撮影条件優先モードでない場合
これは、図29に示すフローチャートのステップS3103に相当し、被写体の明るさに応じて蓄積期間或いは絞り値が自動で適正化される場合である。例えば、被写体が適度に明るくて、第2のフォトダイオードにおいて蓄積期間1/30秒、最大絞りF2.0としたときに適正露出が得られる場合には、第2のフォトダイオードを用いて動画撮影を行う。また、第1のフォトダイオードは蓄積期間1/125秒、絞りF2.0として静止画撮影に用いる。
また、被写体が非常に暗い場合、例えば、第2のフォトダイオードにおいて蓄積期間1/30秒、最大絞りF2.0としても露出が3段アンダーとなる場合には、動画、静止画とも、第1のフォトダイオードを用いて撮影を行う。逆に、被写体が非常に明るい場合、例えば、第1のフォトダイオードにおいて蓄積期間1/250秒、最小絞りF16としても露出が3段オーバーになる場合には、動画、静止画とも、第2のフォトダイオードを用いて撮影を行う。
2.撮影条件優先モードの場合
これは、図29に示すフローチャートのステップS3104に相当し、撮影者が設定した動画及び静止画の蓄積期間を含む撮影条件を優先する場合である。
シーン1(ダイナミックな波): 動画と静止画の両方を短い蓄積期間で撮影する場合
例えば、動画と静止画の両方の蓄積期間を1/1000秒に設定し、絞り値をF5.6に設定する。この撮影条件で適正露出となる場合には、動画、静止画とも第1のフォトダイオードを用いる。但し、被写体が非常に明るくて、蓄積期間1/1000秒、最小絞りF16としても画素信号が飽和する(露出オーバーとなる)場合には、動画、静止画とも第2のフォトダイオードを用いる。
シーン2(せせらぎ): 動画と静止画の両方を長い蓄積期間で撮影する場合
例えば、動画と静止画の両方の蓄積期間を1/6秒に設定し、絞り値を最小のF16に設定する。この撮影条件で適正露出となる場合には、動画、静止画とも第2のフォトダイオードを用いる。但し、被写体が暗くて、蓄積期間1/6秒、最大絞りF2.0としても露出アンダーとなる場合には、動画、静止画とも第1のフォトダイオードを用いる。
シーン3(スケートボードの動きをぶらして撮影): 動画を短い蓄積期間で撮影し、静止画を長い蓄積期間で撮影する場合
例えば、動画の蓄積期間を短く1/250秒に設定し、静止画の蓄積期間を長く1/30秒に設定する。動画は第1のフォトダイオードを用い、静止画は第2のフォトダイオードを用いる。但し、被写体が非常に明るくて、第1のフォトダイオードの画素信号が飽和する(露出オーバーとなる)場合には、動画も第2のフォトダイオードを用いる。
シーン4(バレエをストップモーション): 動画を長い蓄積期間で撮影し、静止画を短い蓄積期間で撮影する場合
例えば、動画の蓄積期間を長く1/30秒に設定し、静止画の蓄積期間を短く1/250秒に設定する。動画は第2のフォトダイオードを用い、静止画は第1のフォトダイオードを用いる。但し、被写体が非常に明るくて、第1のフォトダイオードにおいて、蓄積期間1/250秒、最小絞りF16としても画素信号が飽和する(露出オーバーとなる)場合には、静止画も第2のフォトダイオードを用いる。
図30は、本発明の第3実施形態による撮像装置における、撮影条件優先モードでない場合に、静止画を優先させてフォトダイオードを選択する方法を示すフローチャートである。図30は、図29に示すフローチャートのステップS3105のサブルーチンである。図30では、静止画撮影の蓄積期間を動画撮影の蓄積期間に優先させて第1、動画撮影及び静止画撮影に用いる第1、第2のフォトダイオードを選択する。
ステップS31051では、静止画撮影及び動画撮影に用いる第1、第2のフォトダイオードの初期値を設定する。例えば、静止画には第1のフォトダイオード(蓄積期間1/250秒)を用い、動画には第2のフォトダイオード(蓄積期間1/30秒)を用いる。
ステップS31052では、被写体の明るさに応じてフォトダイオードの選択を行う。静止画の蓄積期間を、初期値1/250秒よりも短い最小蓄積期間1/1000秒とし、絞りを最小絞り値(F16)としても、被写体が明るすぎて静止画の露出がオーバーするような場合には、ステップS31053に進む。一方、1/1000秒より長い蓄積期間でも適正露出が得られる場合には、本フローチャートを抜けて図29のフローチャートに戻る。ステップS31053では、静止画撮影も動画撮影と同様に第2のフォトダイオードを用いるよう設定する。そして、本フローチャートを終了して図29のフローチャートに戻る。
即ち、図30に示すフローチャートでは、被写体が明るすぎる場合には、第1、第2のフォトダイオードのうちの第2のフォトダイオードのみを用いる。このように、動画及び静止画の両方を第2のフォトダイオードを用いて撮影する事により、露出を3段分抑えて画像の飽和を防ぐ事ができる。
図31は、本発明の第3実施形態による撮像装置における、撮影条件優先モードでない場合に、動画を優先させてフォトダイオードを選択する方法を示すフローチャートである。図31は、図29に示すフローチャートのステップS3106のサブルーチンである。図31では、動画撮影の蓄積期間を静止画撮影の蓄積期間に優先させて第1、動画撮影及び静止画撮影に用いる第1、第2のフォトダイオードを選択する。
ステップS31061では、静止画撮影及び動画撮影に用いる第1、第2のフォトダイオードの初期値を設定する。例えば、静止画には第1のフォトダイオード(蓄積期間1/250秒)を用い、動画には第2のフォトダイオード(蓄積期間1/30秒)を用いる。
ステップS31062では、被写体の明るさに応じてフォトダイオードの選択を行う。動画の蓄積期間を、初期値1/30秒よりも長い、手ブレ限界である最大蓄積期間1/15秒とし、絞りを最大絞り値(F2.0)としても、被写体が暗すぎて動画の露出がアンダーになるような場合には、ステップS31063に進む。一方、1/15秒より短い蓄積期間でも適正露出が得られる場合には、本フローチャートを抜けて図29のフローチャートに戻る。ステップS31063では、動画撮影も静止画撮影と同様に第1のフォトダイオードを用いるよう設定する。そして、本フローチャートを終了して図29のフローチャートに戻る。
即ち、図31に示すフローチャートでは、被写体が暗すぎる場合には、第1、第2のフォトダイオードのうちの第1のフォトダイオードのみを用いる。このように、動画及び静止画の両方を第1のフォトダイオードを用いて撮影する事により、露出を3段分高くして画像に重畳するノイズを抑える事ができる。
図32は、本発明の第3実施形態による撮像装置における、撮影条件優先モードの場合に、動画を優先させてフォトダイオードを選択する方法を示すフローチャートである。図32は、図29に示すフローチャートのステップS3107のサブルーチンである。図32では、動画撮影の露出を静止画撮影の露出に優先させて第1、動画撮影及び静止画撮影に用いる第1、第2のフォトダイオードを選択する。
ステップS31071では、静止画は第1のフォトダイオード、動画は第2のフォトダイオードとし、それぞれ撮影者が設定した蓄積期間で撮影するものとする。ステップS31072では、被写体の明るさに応じて動画に用いるフォトダイオードの選択を行う。最大絞り値(F2.0)としても、被写体が暗くて動画の露出がアンダーになるような場合にはステップS31073に進む。一方、最大絞り値未満でも適正露出が得られる場合にはステップS31074に進む。ステップS31073では、動画撮影を第1のフォトダイオードを用いて行う設定に変更する。そして、動画の露出が適正になるように絞り値を設定する。
ステップS31074でも、ステップS31072と同様に、被写体の明るさに応じて静止画に用いるフォトダイオードの選択を行う。ステップS31073で設定された絞り値と撮影者が指定した蓄積期間で静止画の露出がオーバーになるような場合にはステップS31075に進む。一方、ステップS31073で設定された絞り値と撮影者が指定した蓄積期間でも適正露出が得られる場合にはステップS31076に進む。ステップS31075では、静止画撮影を第2のフォトダイオードを用いて行う設定に変更する。ステップS31076では、動画、静止画で適正露出が得られない場合には信号のゲイン補正を行う。そして、本フローチャートを終了して図29のフローチャートに戻る。
即ち、図32に示すフローチャートでは、被写体が暗すぎる場合には、高受光効率の第1のフォトダイオードを用いて動画を撮影する。また、被写体が明るすぎる場合には、低受光効率の第2のフォトダイオードを用いて静止画を撮影する。
図33は、本発明の第3実施形態による撮像装置における、撮影条件優先モードの場合に、静止画を優先させてフォトダイオードを選択する方法を示すフローチャートである。図33は、図29に示すフローチャートのステップS3108のサブルーチンである。図33では、静止画撮影の露出を動画撮影の露出に優先させて第1、動画撮影及び静止画撮影に用いる第1、第2のフォトダイオードを選択する。
ステップS31081では、静止画は第1のフォトダイオード、動画は第2のフォトダイオードとし、それぞれ撮影者が設定した蓄積期間で撮影するものとする。ステップS31082では、被写体の明るさに応じて静止画に用いるフォトダイオードの選択を行う。最小絞り値(F16)としても、被写体が明るくて静止画の露出がオーバーになるような場合にはステップS31083に進む。一方、最小絞り値より大きくても適正露出が得られる場合にはステップS31084に進む。ステップS31083では、静止画撮影を第2のフォトダイオードを用いて行う設定に変更する。そして、静止画の露出が適正になるように絞り値を設定する。
ステップS31084でも、ステップS31082と同様に、被写体の明るさに応じて動画に用いるフォトダイオードの選択を行う。ステップS31083で設定された絞り値と撮影者が指定した蓄積期間で動画の露出がアンダーになるような場合にはステップS31085に進む。一方、ステップS31083で設定された絞り値と撮影者が指定した蓄積期間でも適正露出が得られる場合にはステップS31086に進む。ステップS31085では、動画撮影を第1のフォトダイオードを用いて行う設定に変更する。ステップS31086では動画、静止画で適正露出が得られない場合には信号のゲイン補正を行う。そして、本フローチャートを終了して図29のフローチャートに戻る。
即ち、図33に示すフローチャートでは、被写体が明るすぎる場合には、低受光効率の第2のフォトダイオードを用いて静止画を撮影する。また、被写体が暗すぎる場合には、高受光効率の第1のフォトダイオードを用いて動画を撮影する。
以上のように、本実施形態では、被写体の明るさに応じて、動画撮影及び静止画撮影に用いる第1及び第2のフォトダイオードの組み合わせを選択している。これにより、動画、静止画とも露出の適正化が図れ、単一の撮像素子を用いて撮影条件が異なる2つの映像を同時に撮影する際に、動画及び静止画の露出をより適正化することができる。また、本実施形態では、第1、第2のフォトダイオードの両方を用いる場合に、被写体の明るさ及び第1、第2のフォトダイオードの受光効率に応じて、第1、第2のフォトダイオード信号の利得(ゲイン)を補正している。これにより、動画撮影及び静止画撮影の一方の蓄積期間を優先させるだけでなく、他方の露出についても適正化することができる。なお、撮影条件優先モードでない場合には、必ずしも撮影者によって蓄積期間を含む撮影条件が設定されている必要はない。この場合、撮影条件は被写体の明るさに応じて自動的に設定される。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態による撮像装置について、図34を用いて説明する。第3実施形態においては、例えば図30に示すステップS31051、図31に示すS31061で、動画の蓄積期間を1/30秒に設定した。これは、動画の蓄積期間1/30秒が、ジャーキネスが少なく、且つ手ブレの影響も少ない蓄積期間であるからである。しかしながら、ジャーキネスの大きさは被写体の動きに依存し、被写体の動きがゆっくりしている場合にはより短い蓄積期間であってもジャーキネスが少ない場合もある。例えば、静止している被写体の動画では蓄積期間を1/30秒よりも短い1/125秒等に設定することも可能である。そこで、本実施形態では、被写体の動きの大きさに応じて動画の蓄積時間を調整する方法について説明する。
図34は、本発明の第4実施形態による撮像装置における、被写体の動きの大きさに応じて動画の蓄積期間を調整する方法のフローチャートである。図34に示すフローチャートは撮像素子184の動作を開始してからその動作を終了するまでの間、システム制御CPU178により繰り返して実行される。なお、このフローチャートでは本発明に関係のない動作は省いてアルゴリズムを分かりやすく示している。
ステップS3201では、スイッチ入力手段179により撮影者が撮影条件の設定を行ったことを検出するまで待機する。ステップS3202では、被写体の動きを検出する。被写体の動きは、例えば撮像素子からの画像信号の時間比較で得られる動きベクトルなどを利用して検出することができる。動きベクトルが小さく、その向きが頻繁に変化しない場合は被写体の動きが小さいと判定する。そして、被写体の動きが小さい場合にはステップS3204に進み、そうでない場合にはステップS3203に進む。ステップS3203では、動画の撮影蓄積期間の初期値を1/30秒に設定する。一方、ステップS3204では、ステップS3203で設定した動画の撮影蓄積期間の初期値1/30秒を、被写体の明るさに応じて最小で1/125秒まで短く設定する。
これにより、動画の蓄積期間として設定可能な下限値がより小さくなるので、適正露出で撮影できる動画の蓄積期間の領域が広がる。なお、図34では、被写体の動きが小さい場合に動画撮影の蓄積期間の下限値を調整する例を示したが、同様に、被写体の動きが大きい場合に動画撮影の蓄積期間の上限値を調整することも可能である。
以上のように、本実施形態では、被写体の動きの大きさに応じて動画撮影の蓄積期間を調整している。これにより、適正露出で撮影できる動画の蓄積期間の領域が広がるため、動画及び静止画の露出をより適正化することができる。
また、被写体の明るさや、撮影者が設定した蓄積期間に応じて第1、第2のフォトダイオードを選択し、撮影されたデータをそれぞれ動画、静止画のデータとして記録することで、様々な撮影条件においてノイズの少ない映像を得ることができる。更に、動画と静止画を同時撮影する場合においても、撮影条件に応じて第1、第2のフォトダイオードを動画と静止画に各々組み合わせることで、高品位な画像を得ることができる。
また、適正露出を優先するか蓄積期間を優先するか(ジャーキネスをなくす、ストップモーション効果)を、動画と静止画における第1のフォトダイオードと第2のフォトダイオードの選択に加えることで、簡単な操作で高品位な撮影を進めることができる。更に、撮影条件を設定する場合においても、第1、第2のフォトダイオードを適宜選択して被写体輝度を検出することで、精度のよい撮影条件設定が可能となる。
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態による撮像装置について、図35及び図36を用いて説明する。第3実施形態では、被写体の明るさに応じて、動画撮影及び静止画撮影に用いるフォトダイオードを切り替える方法について説明した。本実施形態では、フォトダイオードを切り替える際に映像の変化が目立たないようにする方法について説明する。
被写体の明るさは撮影中常に一定であるとは限らない。そのため、動画撮影中に被写体が暗くなって、第2のフォトダイオードによる動画撮影から第1のフォトダイオードによる動画撮影に切り替わることがある。逆に、被写体が明るくなって、第1のフォトダイオードから第2のフォトダイオードによる動画撮影に切り替わることもある。そこで、本実施形態では、このような場合に撮影中の画素切り替えを高品位に行う方法について説明する。
例えば、動画撮影中に被写体が急に暗くなり、第2のフォトダイオードよる撮影から第1のフォトダイオードによる撮影に切り替える場合を考える。今、第2のフォトダイオードは、1フレーム期間の自然数倍となる最大蓄積期間1/15秒で動画撮影を行っているものとする。そして、被写体が暗くなったために、より長い蓄積期間(例えば1/4秒)が必要になったとする。このとき、蓄積期間を長くすることなく光量を確保するために、第2のフォトダイオードによる撮影から第1のフォトダイオードによる撮影に切り替える。第1のフォトダイオードは第2のフォトダイオードよりも3段分感度が高いので、蓄積期間は、1/30秒まで小さくすることが可能である。しかし、これまでの蓄積期間1/15秒と蓄積期間が異なると撮影者の意図する動画とならないので、第1のフォトダイオードの蓄積期間も1/15秒として撮影する。このとき、適正露出を得るためには、絞り値を更に一段絞りこむことになる。このように蓄積期間を揃えたまま、且つ絞りを変化させることで動画露出を適正化しても、それまでの動画とは被写体深度が変化するために動画表現が異なってくる。そこで、デジタル信号処理部188は、第1のフォトダイオードで得られた信号に対して、更に一段ゲインを下げる事で第2のフォトダイオードから第1のフォトダイオードに切り替わったときの露出を補正する。
上記の処理により、動画表現は変化させずにS/N比劣化の無い動画が継続できる。しかし、第1、第2のフォトダイオードの感度ばらつきがあるために、フォトダイオードを一気に切り替えると映像の変化が生じ動画品位を落としてしまう。そこで、本実施形態においては、フォトダイオードを予め定めた時定数で徐々に切り替える。
図35は、本発明の第5実施形態による撮像装置における、動画撮影に用いるフォトダイオードを徐々に切り替える方法を説明するための図である。図35は、フォトダイオードを切り替える際の10フレーム分の映像を示している。図35には、各フレームの下にフレーム番号を示している。例えば「(1)」は第1フレームを示している。以下の説明では第nフレームのことを「フレーム(n)」と記載する。
フレーム(1)は、第2のフォトダイオード(「picture B」)を用いて蓄積期間1/15で撮影している。フレーム(1)では、被写体である走行車両3003aが、その近傍の照明3004aによって明るく照らされている。走行車両3003aが画面の中心になるように撮影を続けたあと、フレーム(2)は、フレーム(1)と同じ第2のフォトダイオード(「picture B」)を用いて蓄積期間1/15で撮影している。フレーム(2)では、走行車両3003bに対して照明3004bの位置が変化している。その後、フレーム(3)からは、照明3004bがフレームアウトして、走行車両3003c〜3003jが暗くなっている。
そこで、本実施形態では、撮影に用いるフォトダイオードを第1のフォトダイオード(「picture A」)に切り替える。これにより、画像のS/N比劣化を防ぐ。上述したように、第2のフォトダイオードを第1のフォトダイオードに切り替える際には、露出を補う必要があるため、デジタル信号処理部188は、第1のフォトダイオード信号のゲインを一段下げる。この場合、ゲインを下げる方向のためにS/N比の劣化は大きくない。フレーム(3)以降は被写体が暗いままなので、第1のフォトダイオードを用いて撮影することが望ましい。しかし、本実施形態では、フォトダイオードを切り替えたことによる映像の変化が目立たなくなるように、フレーム(4)(5)では、再び第2のフォトダイオード(「picture B」)を用いて撮影する。露出が不足する分は第2のフォトダイオード信号のゲインを二段上げる事で対応する。この場合、ゲインを二段上げるためにS/N比は劣化することになる。
フレーム(6)(7)では、第1のフォトダイオード(「picture A」)を用いて撮影しており、露出がオーバーになる分は、第1のフォトダイオード信号のゲインを一段下げる事で対応する。フレーム(8)では、再び第2のフォトダイオード(「picture B」)を用いて撮影しており、露出が不足する分は第2のフォトダイオード信号のゲインを二段上げる事で対応する。フレーム(9)以降は、第1のフォトダイオード(「picture A」)を用いて撮影しており、露出がオーバーになる分は第1のフォトダイオード信号のゲインを一段上げる事で対応する。
このように、所定の時間をかけてフォトダイオードの切り替えを行うために被写体の明るさが変わっても画質が急に変わることがなく高品位の動画撮影を続行できる。
図36は、本発明の第5実施形態による撮像装置における、動画撮影に用いるフォトダイオードを徐々に切り替える方法のフローチャートである。図36は、撮影動作を開始してからその動作を終了するまでの間、システム制御CPU178により繰り返して実行される。なお、図36のフローチャートは、本発明に関係のない動作は省いてアルゴリズムを分かりやすく示している。
ステップS3301では、被写体の明るさが所定以上変化したか否かを判定する。被写体の明るさが所定以上変化していない間は、ステップS3301を繰り返す。被写体の明るさが所定以上変化した場合にはステップS3302に進む。ステップS3302では、被写体の明るさに応じて第1或いは第2のフォトダイオードに切り替える。
例えば、図35を用いて説明したように、撮影被写体が暗くなった場合には第1のフォトダイオードに切り替えるとともに必要に応じて信号ゲインを調整する。逆に、被写体が明るくなった場合には、第2のフォトダイオードに切り替えるとともに必要に応じて信号ゲインを調整する。現在、第2のフォトダイオードで撮影しており、被写体が更に明るくなった場合には、フォトダイオードは切り替えず、信号のゲインを下げる。また、現在、第1のフォトダイオードで撮影しており、被写体が更に暗くなった場合も、フォトダイオードは切り替えず、信号のゲインを上げる。
ステップS3303では、図35のフレーム(3)からフレーム(8)で説明したように、撮影フレームが進むごとに(時間と共に)、切り替えるフレームを徐々に増やしていく。
ステップS3304では、フォトダイオードの切り替えが完了したか否かを判定する。切り替え後のフォトダイオードで撮影したフレームの比率が100%になるまでは、ステップS3303に戻って切り替え処理を繰り返す。そして、フォトダイオードの切り替えが完了するとステップS3301に戻る。
以上のように、本実施形態では、動画に用いるフォトダイオードを切り替える際に、切り替え後のフォトダイオードを用いて撮影したフレームの比率を予め定めた時定数で徐々に増やしている。これにより、フォトダイオードを切り替えることによる映像の変化が目立たないようにできる。
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態による撮像装置について、図37及び図38を用いて説明する。第5実施形態では、フォトダイオードを切り替える際に、切り替え後のフォトダイオードを用いて撮影したフレームの比率を徐々に増やしていく方法について説明した。これに対し、本実施形態では、切り替え後のフォトダイオードを用いて撮影したフレーム内の画素領域(単に「領域」という)を徐々に拡大していく方法について説明する。
図37は、本発明の第6実施形態による撮像装置における、動画撮影に用いるフォトダイオードを徐々に切り替える方法を説明するための図である。図37は、フォトダイオードを切り替える際の10フレーム分の映像を示している。図37には、各フレームの下にフレーム番号を示している。例えば「(1)」は第1フレームを示している。以下の説明では第nフレームのことを「フレーム(n)」と記載する。
フレーム(1)は、第2のフォトダイオード(「picture B」)を用いて蓄積期間1/15で撮影している。フレーム(1)では、被写体である走行車両3003aが、その近傍の照明3004aによって明るく照らされている。走行車両3003aが画面の中心になるように撮影を続けたあと、フレーム(2)は、フレーム(1)と同じ第2のフォトダイオード(「picture B」)を用いて蓄積期間1/15で撮影している。フレーム(2)では、走行車両3003bに対して照明3004bの位置が変化している。その後、フレーム(3)からは、照明3004bがフレームアウトして、走行車両3003c〜3003jが暗くなっている。
そこで、本実施形態では、フレーム内の一部の領域3006cを第1のフォトダイオード(「picture A」)を用いた撮像に切り替える。これにより、その領域3006cにおける画像のS/N比劣化を防ぐ。上述したように、第2のフォトダイオードを第1のフォトダイオードに切り替える際には、露出を補う必要があるため、デジタル信号処理部188は、第1のフォトダイオード信号のゲインを一段下げる。領域3006c以外の領域は、第2のフォトダイオードを継続して用いて撮像しており、被写体が暗くなった分だけゲインを2段上げて露出を補正する。フレーム(4)では、領域3006dを第1のフォトダイオードを用いて撮像し、その他の領域は第2のフォトダイオードを用いて撮像する。そして、同様にフレーム(5)からフレーム(8)まで、領域3006eから3006hに示すように、第1のフォトダイオードを用いる領域を増やしていく。フレーム(9)からは、すべての領域を第1のフォトダイオードを用いて撮影する。
このように、所定の時間をかけてフォトダイオードの切り替えを行うために被写体の明るさが変わっても画質が急に変わることがなく高品位の動画撮影を続行できる。
なお、図37では、画面の左より徐々に第1のフォトダイオードの領域を増やしていく場合の例を示した。これは、被写体を追尾してカメラをパンさせてゆく時に、パンの方向とフォトダイオード切り替えの方向が合っている方が画質の変化が目立たないためである。したがって、フレーム画角内における被写体の動きに応じて、切り替える領域の始点及び方向を決定することが好ましい。例えば、被写体を追う方向が図37に示す場合と異なる場合は、被写体を追う方向に合わせてフォトダイオードを切り替える領域の始点を変更する。一方、被写体が静止しているような場合は、主要被写体の中心を始点にして放射状にフォトダイオードを切り替えてゆく。
図38は、本発明の第6実施形態による撮像装置における、動画撮影に用いるフォトダイオードを徐々に切り替える方法のフローチャートである。図38は、撮影動作を開始してからその動作を終了するまでの間、システム制御CPU178により繰り返して実行される。なお、図38のフローチャートは、本発明に関係のない動作は省いてアルゴリズムを分かりやすく示している。
ステップS3401では、被写体の明るさが所定以上変化したか否かを判定する。被写体の明るさが所定以上変化していない間は、ステップS3401を繰り返す。被写体の明るさが所定以上変化した場合にはステップS3402に進む。ステップS3402では、被写体の明るさに応じて第1或いは第2のフォトダイオードに切り替える。
例えば、図37を用いて説明したように、撮影被写体が暗くなった場合には第1のフォトダイオードに切り替えるとともに必要に応じて信号ゲインを調整する。逆に、被写体が明るくなった場合には、第2のフォトダイオードに切り替えるとともに必要に応じて信号ゲインを調整する。現在、第2のフォトダイオードで撮影しており、被写体が更に明るくなった場合には、フォトダイオードは切り替えず、信号のゲインを下げる。また、現在、第1のフォトダイオードで撮影しており、被写体が更に暗くなった場合も、フォトダイオードは切り替えず、信号のゲインを上げる。
ステップS3403では、フォトダイオードを切り替え始める領域を設定する。前述したように、カメラをパンして被写体を撮影している場合には、そのカメラの方向変化をジャイロや撮像素子の動きベクトルで検出し、その方向や動きに応じて画面端を切り替え始める領域を設定する。一方、カメラがパンしていない場合にはコントラストの高い領域(例えばピントの合っている主被写体)を切り替え始める領域として設定する。
ステップS3404では、図37のフレーム(3)からフレーム(8)で説明したように、撮影フレームが進むごとに(時間と共に)、フォトダイオードを切り替える領域を拡大していく。ここもカメラがパンしている場合のように、カメラが動いている時にはステップS3401で設定した切り替え領域の始点からパン方向に沿って切り替え領域を拡大する。一方、カメラがパンしていない場合には、主被写体を中心に放射状に切り替え領域を拡大する。ここで、切り替える画素領域の始点及び方向は、カメラの動きではなく画面で捉えられる被写体の動きで判定してもよい。
ステップS3405では、フォトダイオードの切り替えがすべての領域で完了したか否かを判定する。フォトダイオードの切り替えがすべての領域で切り替わるまではステップS3404に戻って切り替え処理を繰り返す。そして、フォトダイオードの切り替えが完了するとステップS3401に戻る。
以上のように、本実施形態では、動画に用いるフォトダイオードを切り替える際に、切り替え後のフォトダイオードを用いて撮影したフレーム画素領域を予め定めた時定数で徐々に拡大している。これにより、フォトダイオードを切り替えることによる映像の変化が目立たないようにできる。
[第7実施形態]
本発明の第7実施形態による撮像装置について、図39乃至図43を用いて説明する。第1実施形態では、受光効率の異なる2つのフォトダイオードを、動画撮影用及び静止画撮影用の撮影条件に応じて使い分ける方法について説明した。これに対し、本実施形態では、1つのフォトダイオードの蓄積期間の長さを、動画撮影用及び静止画撮影用の撮影条件に応じて制御することにより、概ね第1実施形態と同様の効果を得る方法について説明する。
図39は、本発明の第7実施形態による撮像装置における撮像素子184の等価回路を示す概略図である。本実施形態の撮像素子184は、フォトダイオード310、オーバーフロートランジスタ317、転送トランジスタ311C、電荷保持部318C、読み出し回路308C、及びデジタル信号処理部187、188を有して構成される。
フォトダイオード310は、被写体からの光束を光電変換するとともに、光電変換によって生じた電荷を蓄積する。転送トランジスタ311Cは、フォトダイオード310に蓄積された電荷を、電荷保持部318Cへ転送する。電荷保持部318Cは、フォトダイオード310から転送された電荷を保持する。読み出し回路308Cは、電荷保持部318Cが保持する電荷量に応じた画素信号を読み出す。デジタル信号処理部187、188は、読み出し回路308Cが読み出した画素信号を処理する。
本実施形態の撮像素子184は、オーバーフロートランジスタ317を有することを特徴としている。オーバーフロートランジスタ317は、図3に示す垂直走査回路307により制御され得る。オーバーフロートランジスタ317がオンされると、フォトダイオード310に蓄積されている電荷が、電源ノード等のオーバーフロードレインへ排出される。このため、オーバーフロートランジスタ317を制御することで、フォトダイオード310に電荷が蓄積される期間である蓄積期間を制御することができる。
具体的には、垂直走査回路307は、オーバーフロートランジスタ317をオンからオフへ制御して、フォトダイオード310による電荷の蓄積を開始する。そして所望の蓄積期間が経過した後に、垂直走査回路307は、転送トランジスタ311Cをオンして、フォトダイオード310に蓄積された電荷を電荷保持部318Cへ転送する。これにより、オーバーフロートランジスタ317がオフである期間に電荷保持部318Cに蓄積された電荷が、電荷保持部318Cへ転送される。同時に、垂直走査回路307は、オーバーフロートランジスタ317をオフからオンへ制御して、フォトダイオード310による電荷の蓄積を終了する。その後、読み出し回路308Cは、電荷保持部318Cが保持する電荷量に応じた画素信号を読み出す。
以下、図39に示す本実施形態の撮像素子184における撮像方法の一例として、図24乃至図27に示す各シーンの動画及び静止画を撮影する場合のフォトダイオード310の蓄積期間の制御方法について説明する。なお、以下の説明では、デジタル信号処理部187が静止画を生成し、デジタル信号処理部188が動画を生成するものとするが、逆にしてもよいし、フレーム期間ごとにデジタル信号処理部187、188を切り替えて用いてもよい。
図40は、本発明の第7実施形態による撮像装置における、動画と静止画の両方を短い蓄積期間で撮影する場合の制御方法を示す図である。図40には、図24に示す動画及び静止画を撮影する場合の1フレーム期間におけるフォトダイオード310の蓄積期間の制御方法を示している。
垂直走査回路307は、まず、オーバーフロートランジスタ317を制御して、蓄積期間TS=1/1000秒の撮影条件でフォトダイオード310に電荷を蓄積する。次に、垂直走査回路307は、転送トランジスタ311Cを制御して、フォトダイオード310に蓄積された電荷を電荷保持部318Cへ転送する。デジタル信号処理部187は、電荷保持部318Cに転送された電荷量に基づく画素信号を、読み出し回路308Cを介して読み出し、図24に示す静止画を生成する。
続いて、垂直走査回路307は、まず、オーバーフロートランジスタ317を制御して、蓄積期間TM=1/250秒の撮影条件でフォトダイオード310に電荷を蓄積する。次に、垂直走査回路307は、転送トランジスタ311Cを制御して、フォトダイオード310に蓄積された電荷を電荷保持部318Cへ転送する。デジタル信号処理部188は、電荷保持部318Cに転送された電荷量に基づく画素信号を、読み出し回路308Cを介して読み出し、図24に示す動画を生成する。
この結果、短い蓄積期間1/250秒の撮影条件でジャーキネス効果のある動画を撮影しつつ、短い蓄積期間1/1000秒の撮影条件でストップモーション効果のある静止画を撮影することができる。
図41は、本発明の第7実施形態による撮像装置における、動画と静止画の両方を長い蓄積期間で撮影する場合の制御方法を示す図である。図41には、図25に示す動画及び静止画を撮影する場合の1フレーム期間におけるフォトダイオード310の蓄積期間の制御方法を示している。
図41に示す制御方法は、動画と静止画の両方をより長い蓄積期間で撮影する点を除いて、図40に示す制御方法と同じである。具体的には、蓄積期間TS=1/15秒の撮影条件でフォトダイオード310に蓄積した電荷量に基づく画素信号を読み出して、図25に示す静止画を生成する。同様に、蓄積期間TM=1/30秒の撮影条件でフォトダイオード310に蓄積した電荷量に基づく画素信号を読み出して、図25に示す動画を生成する。この結果、長い蓄積期間1/15秒の撮影条件で、ブレ感のある静止画を撮影しつつ、長い蓄積期間1/30秒の撮影条件で、ジャーキネスを抑えた動画を撮影することができる。
図42は、本発明の第7実施形態による撮像装置における、動画を短い蓄積期間で撮影し、静止画を長い蓄積期間で撮影する場合の制御方法を示す図である。図42には、図26に示す動画及び静止画を撮影する場合の1フレーム期間におけるフォトダイオード310の蓄積期間の制御方法を示している。
図42に示す制御方法は、動画を短い蓄積期間で撮影し、静止画を長い蓄積期間で撮影する点を除いて、図40に示す制御方法と基本的に同じである。但し、1/30秒の1フレーム期間内に4回の蓄積期間TSを分散して配置させることで、実質的に、静止画撮影用の蓄積期間を1/30秒相当としている。
具体的には、垂直走査回路307は、まず、オーバーフロートランジスタ317を制御して、蓄積期間TM=1/250秒の撮影条件でフォトダイオード310に電荷を蓄積する。次に、垂直走査回路307は、転送トランジスタ311Cを制御して、フォトダイオード310に蓄積された電荷を電荷保持部318Cへ転送する。デジタル信号処理部188は、電荷保持部318Cに転送された電荷量に基づく画素信号を、読み出し回路308Cを介して読み出し、図26に示す動画を生成する。
続いて、垂直走査回路307は、まず、オーバーフロートランジスタ317を制御して、蓄積期間TS=1/1000秒の撮影条件でフォトダイオード310に電荷を蓄積する。次に、垂直走査回路307は、転送トランジスタ311Cを制御して、フォトダイオード310に蓄積された電荷を電荷保持部318Cへ転送する。垂直走査回路307は、この処理を1フレーム期間内に4回繰り返す。その後、デジタル信号処理部187は、電荷保持部318Cに転送された4回の蓄積期間TS分の電荷量に基づく画素信号を、読み出し回路308Cを介して読み出し、図26に示す静止画を生成する。
この結果として生成される静止画の蓄積期間は、実際には1/1000秒×4回=1/250秒であり、図26に示す静止画の蓄積期間1/30秒よりも短い。しかし、図42に示すように、4回の蓄積期間TSを1/30秒の1フレーム期間内に分散して配置していることで、図26と同様に蓄積期間が実質的に1/30秒相当の静止画を得ることができる。これによりブレ感のある躍動感のある静止画を撮影することができる。
図43は、本発明の第7実施形態による撮像装置における、動画を長い蓄積期間で撮影し、静止画を短い蓄積期間で撮影する場合の制御方法を示す図である。図43には、図27に示す動画及び静止画を撮影する場合の1フレーム期間におけるフォトダイオード310の蓄積期間の制御方法を示している。
図43に示す制御方法は、動画を長い蓄積期間で撮影し、静止画を短い蓄積期間で撮影する点を除いて、図42に示す制御方法と同じである。具体的には、蓄積期間TS=1/250秒の撮影条件でフォトダイオード310に蓄積した電荷量に基づく画素信号を読み出して、図27に示す静止画を生成する。続いて、蓄積期間TM=1/1000秒の撮影条件でフォトダイオード310に蓄積した4回の蓄積期間TM分の電荷量に基づく画素信号を読み出して、図27に示す動画を生成する。
この結果として生成される動画の蓄積期間は、実際には1/1000秒×4回=1/250秒であり、図27に示す動画の蓄積期間1/30秒よりも短い。しかし、図43に示すように、4回の蓄積期間TMを1/30秒の1フレーム期間内に分散して配置していることで、図27と同様に蓄積期間が実質的に1/30秒相当の動画を得ることができる。これによりジャーキネスを抑えた動画を撮影することができる。
以上のように、本実施形態の撮像素子は、被写体からの光束を光電変換して生じた電荷を蓄積する第3の光電変換部(フォトダイオード310)と、第3の光電変換部に蓄積された電荷を排出するオーバーフロートランジスタとを有している。そして、本実施形態の制御手段(垂直走査回路、システム制御CPU)は、オーバーフロートランジスタを制御して、第3の光電変換部における動画撮影用の蓄積期間及び静止画撮影用の蓄積期間を制御する。これにより、撮影条件に応じて動画撮影用及び静止画撮影用の蓄積期間の長さを制御することが可能となり、第1実施形態と概ね同様の効果を得ることができる。なお、図42及び図43では、1フレーム期間内に4回の蓄積期間を分散して配置したが、蓄積期間の回数は4回には限定されず、1フレーム期間内に更に多くの蓄積期間を配置した場合であっても同様の効果を得ることが可能である。
[第8実施形態]
本発明の第8実施形態による撮像装置について、図44乃至図48を用いて説明する。第7実施形態では、1つの撮像素子184が1つの電荷保持部318Cを有する構成について説明した。これに対し、本実施形態では、1つの撮像素子184が2つの電荷保持部318C、318Dを有する構成について説明する。以下、第7実施形態と異なる構成を中心に説明し、第7実施形態と同様の構成については説明を省略することもある。
図44は、本発明の第8実施形態による撮像装置における撮像素子184の等価回路を示す概略図である。本実施形態の撮像素子184は、2つの電荷保持部318C、318Dを有することを特徴としている。また、これに伴い、撮像素子184は、フォトダイオード310に蓄積された電荷を、電荷保持部318C、318Dへそれぞれ転送する転送トランジスタ311C、311Dを有している。また、撮像素子184は、電荷保持部318C、318Dが保持する電荷量に応じた画素信号をそれぞれ読み出す読み出し回路308C、308Dを有している。
このような構成により、本実施形態の撮像素子184は、電荷保持部318C、318Dの一方に保持された電荷量に応じた画素信号を読み出している間であっても、電荷保持部318C、318Dの他方へ電荷を転送して保持することができる。また、2つの転送トランジスタ311C、311Dを独立に制御して、電荷保持部318C、318Dへ電荷をそれぞれ独立に転送することができる。また、2つの読み出し回路308C、308Dを独立に制御して、電荷保持部318C、318Dから画素信号をそれぞれ独立に読み出すこともできる。これにより、図40乃至図43に示すような、前の蓄積期間が終了してから次の蓄積期間が開始するまでに設けられた、電荷保持部318C、318Dから画素信号を読み出すための待機期間をなくすことができる。
以下、図44に示す本実施形態の撮像素子184における撮像方法の一例として、図24乃至図27に示す各シーンの動画及び静止画を撮影する場合のフォトダイオード310の蓄積期間の制御方法について説明する。なお、以下の説明では、静止画撮影用の電荷を電荷保持部318Cに保持し、動画撮影用の電荷を電荷保持部318Dに保持するものとするが、逆にしてもよいし、フレーム期間ごとに電荷保持部318C、318Dを切り替えて用いてもよい。
図45は、本発明の第8実施形態による撮像装置における、動画と静止画の両方を短い蓄積期間で撮影する場合の制御方法を示す図である。図45には、図24に示す動画及び静止画を撮影する場合の1フレーム期間におけるフォトダイオード310の蓄積期間の制御方法を示している。
本実施形態の撮像装置は、2つの電荷保持部318C、318Dを有しているので、電荷保持部318C、318Dに保持された電荷量に応じた画素信号を読み出すための、蓄積期間の待機期間を設ける必要がない。このため、図45に示すように、静止画の蓄積期間TSが終了した後すぐに、動画の蓄積期間TMを開始することができる。
図45に示す制御方法は、静止画の蓄積期間TSが終了してから動画の蓄積期間TMが開始するまでに、蓄積期間の待機期間を設けていない点を除いて、図40に示す制御方法と同じである。具体的には、デジタル信号処理部187は、蓄積期間TS=1/1000秒の撮影条件でフォトダイオード310に蓄積した電荷量に基づく画素信号を読み出して、図24に示す静止画を生成する。続いて、デジタル信号処理部188は、蓄積期間TSの終了後すぐに、蓄積期間TM=1/250秒の撮影条件でフォトダイオード310に蓄積を開始し、蓄積された電荷量に基づく画素信号を読み出して、図24に示す動画を生成する。これにより、第7実施形態と同様の効果に加え、動画撮影用及び静止画撮影用の蓄積期間を、撮影条件に応じてより柔軟に制御することができる。
図46は、本発明の第8実施形態による撮像装置における、動画と静止画の両方を長い蓄積期間で撮影する場合の制御方法を示す図である。図46には、図25に示す動画及び静止画を撮影する場合の1フレーム期間におけるフォトダイオード310の蓄積期間の制御方法を示している。
図46に示す制御方法は、動画と静止画の両方を長い蓄積期間で撮影する点を除いて、図45に示す制御方法と同じである。具体的には、デジタル信号処理部187は、蓄積期間TS=1/15秒の撮影条件でフォトダイオード310に蓄積した電荷量に基づく画素信号を読み出して、図25に示す静止画を生成する。続いて、デジタル信号処理部188は、蓄積期間TSの終了後すぐに、蓄積期間TM=1/30秒の撮影条件でフォトダイオード310に蓄積を開始し、蓄積された電荷量に基づく画素信号を読み出して、図25に示す動画を生成する。これにより、第7実施形態と同様の効果に加え、動画撮影用及び静止画撮影用の蓄積期間を、撮影条件に応じてより柔軟に制御することができる。
図47は、本発明の第8実施形態による撮像装置における、動画を短い蓄積期間で撮影し、静止画を長い蓄積期間で撮影する場合の制御方法を示す図である。図47には、図26に示す動画及び静止画を撮影する場合の1フレーム期間におけるフォトダイオード310の蓄積期間の制御方法を示している。
本実施形態の撮像装置は、2つの電荷保持部318C、318Dを有しているので、図47に示すように、前フレームの静止画の蓄積期間TSが終了した後すぐに、次フレームの静止画の蓄積期間TSを開始することができる。また、1フレーム期間内においても、前の蓄積期間TS、TMが終了してから次の蓄積期間TS、TMを開始するまでの待機期間を短くすることができる。
具体的には、垂直走査回路307は、前フレームの蓄積期間TSの終了後すぐに、蓄積期間TS=1/1000秒の撮影条件でフォトダイオード310による電荷の蓄積を開始する。垂直走査回路307は、1フレーム期間内に蓄積期間TSの蓄積を分散させて4回行い、それぞれの蓄積期間TSが終了するたびごとに、フォトダイオード310に蓄積された電荷を電荷保持部318Cへ転送する。その後、デジタル信号処理部187は、電荷保持部318Cが保持する4回の蓄積期間TS分の電荷量に基づく画素信号を読み出して、図26に示す静止画を生成する。
並行して、垂直走査回路307は、静止画用の蓄積が行われていない1フレーム期間内の中央の期間において、蓄積期間TM=1/250秒の撮影条件で蓄積を行い、フォトダイオード310に蓄積された電荷を電荷保持部318Dへ転送する。その後、デジタル信号処理部188は、電荷保持部318Dが保持する蓄積期間TM分の電荷量に基づく画素信号を読み出して、図26に示す動画を生成する。
この結果、図47に示す制御方法では、第7実施形態と比較して、静止画撮影用の4回の蓄積期間が1/30秒の1フレーム期間内に更に分散して配置されるので、よりブレ感のある躍動感のある静止画を撮影することができる。また、動画撮影用の蓄積期間を1フレーム期間内の中央に配置させることができるので、同一フレーム期間に撮影された静止画と動画とで時間重心が一致し、被写体が高速で動いている場合であっても画像上の被写体の位置を両者で一致させることができる。
図48は、本発明の第8実施形態による撮像装置における、動画を長い蓄積期間で撮影し、静止画を短い蓄積期間で撮影する場合の制御方法を示す図である。図48には、図27に示す動画及び静止画を撮影する場合の1フレーム期間におけるフォトダイオード310の蓄積期間の制御方法を示している。具体的な処理は、静止画の蓄積期間TSと動画の蓄積期間TMとが逆になっている点が図47に示す制御方法と異なる他は、図47と同じであるので説明は省略する。
以上のように、本実施形態の撮像素子は、第3の光電変換部(フォトダイオード310)から転送された電荷を保持する2つの電荷保持部を有している。そして、本実施形態の制御手段(垂直走査回路、システム制御CPU)は、2つの電荷保持部のうちの一方に保持された電荷量に基づく画素信号を読み出している間は、2つの電荷保持部のうちの他方に電荷を転送して保持する。これにより、動画撮影用及び静止画撮影用の蓄積期間を、撮影条件に応じてより柔軟に制御することができる。
[変形実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態に記載の撮像装置の構成は、一例を示したものであり、本発明を適用可能な撮像装置は、図1及び図2に示した構成に限定されるものではない。また、撮像素子の各部の回路構成も、図3、図8、図11、図39、図44等に示した構成に限定されるものではない。また、光電変換部は必ずしも図4に示すようなフォトダイオードに限定されるものではなく、光電変換機能を有するものであればどのようなものであってもよい。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。