[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による撮像装置について、図1乃至図27を用いて説明する。本実施形態では、撮像のための撮影光学系と、撮像素子と、撮像素子から出力される映像信号を処理するための映像処理装置と、を有する撮像装置を、本発明の好適な実施形態の一例として説明する。ただし、映像処理装置は、必ずしも撮像装置の一部として構成される必要はなく、撮像素子や撮影光学系とは別のハードウェアにより構成されていてもよい。また、映像処理装置の機能の全部又は一部を、撮像素子に搭載するようにしてもよい。
図1は、本実施形態による撮像装置の一例としてのデジタルスチルモーションカメラの外観図である。図1(a)がその正面図を示し、図1(b)がその背面図を示している。
本実施形態による撮像装置100は、筐体151と、筐体151の正面部に設けられた撮影光学系152と、筐体151の上面部に設けられたスイッチST154及びプロペラ162とを有している。また、撮像装置100は、筐体151の背面部に、表示部153と、スイッチMV155と、撮影モード選択レバー156と、メニューボタン157と、アップダウンスイッチ158,159と、ダイアル160と、再生ボタン161とを有している。
筐体151は、撮像素子やシャッター装置等の撮像装置100を構成する種々の機能部品を収納する容器である。撮影光学系152は、被写体の光学像を結像するための光学系である。表示部153は、撮影情報や映像を表示するための表示装置により構成される。表示部153には、必要に応じて画面の向きを変えるための可動機構を設けてもよい。表示部153は、ダイナミックレンジの広い映像もその輝度範囲を抑制することなく表示できるだけの表示輝度範囲を有している。スイッチST154は、主に静止画の撮影を行うために使用するシャッターボタンである。スイッチMV155は、動画撮影の開始及び停止を行うためのボタンである。撮影モード選択レバー156は、撮影モードを選択するための切り替えスイッチである。メニューボタン157は、撮像装置100の機能設定を行う機能設定モードへ移行するためのボタンである。アップダウンスイッチ158,159は、各種の設定値を変更する際に用いるボタンである。ダイアル160は、各種の設定値を変更するためのダイアルである。再生ボタン161は、撮像装置100に収納されている記録媒体に記録されている映像を表示部153上で再生する再生モードへ移行するためのボタンである。プロペラ162は、空中からの撮影を行うために撮像装置100を空中に浮上させるためのものである。
図2は、本実施形態による撮像装置の概略構成を示すブロック図である。撮像装置100は、図2に示すように、絞り181、絞り制御部182、光学フィルター183、撮像素子184、デジタル信号処理部187、タイミング発生部189を有している。また、撮像装置100は、システム制御CPU178、スイッチ入力手段179、映像メモリ190、飛行制御装置200を有している。また、撮像装置100は、表示インターフェース部191、記録インターフェース部192、記録媒体193、プリントインターフェース部194、外部インターフェース部196、無線インターフェース部198を有している。
撮像素子184は、撮影光学系152を介して結像された被写体の光学像を電気的な映像信号に変換するためのものである。撮像素子184は、特に限定されるものではないが、例えば、UHDTV(Ultra High Definition Television)の規格を満たすに十分な画素数、信号読み出し速度、色域、ダイナミックレンジを有している。絞り181は、撮影光学系152を通る光の量を調節するためのものである。絞り制御部182は、絞り181を制御するためのものである。光学フィルター183は、撮像素子184に入射する光の波長、撮像素子184に伝達する空間周波数を制限するためのものである。
デジタル信号処理部187は、撮像素子184から出力されるデジタル映像データに対して各種の補正を行った後、映像データを圧縮するためのものである。デジタル信号処理部187が行う補正には、後述するクロストーク補正が含まれる。タイミング発生部189は、撮像素子184、デジタル信号処理部187に各種タイミング信号を出力するためのものである。システム制御CPU178は、タイミング発生部189とともに、各種演算の実行や撮像装置100の全体の制御を司る制御部である。
映像メモリ190は、映像データを一時的に記憶するためのものである。表示インターフェース部(表示I/F)191は、撮影された映像を液晶ディスプレイ等の表示部153に表示するためのシステム制御CPU178と表示部153との間のインターフェースである。記録媒体193は、映像データや付加データ等を記録するための半導体メモリ等の記録媒体であり、撮像装置100に備え付けられていてもよいし着脱可能でもよい。記録インターフェース部(記録I/F)192は、記録媒体193に記録又は記録媒体から読み出しを行うためのシステム制御CPU178と記録媒体193との間のインターフェースである。外部インターフェース部(外部I/F)196は、外部コンピュータ197等の外部機器と通信するためのシステム制御CPU178と外部機器との間のインターフェースである。プリントインターフェース部(プリントI/F)194は、撮影された映像を小型インクジェットプリンタ等のプリンタ195に出力し印刷するためのシステム制御CPU178とプリンタ195との間のインターフェースである。無線インターフェース部(無線I/F)198は、インターネット等のネットワーク199と通信するためのシステム制御CPU178とネットワーク199との間のインターフェースである。スイッチ入力手段179は、スイッチST154、スイッチMV155、各種モードの切り替えを行う複数のスイッチを含む。飛行制御装置200は、空中からの撮影を行うためにプロペラ162を制御して撮像装置100を飛行させるための制御装置である。
図3は、撮像素子184の構成例を示すブロック図である。撮像素子184は、図3に示すように、画素アレイ302、垂直走査回路307、読み出し回路308及びタイミング制御回路309を含む。
画素アレイ302には、複数の画素303が行列状に配置されている。なお、画素アレイ302に属する画素303の実際の配列数は一般的には多数となるが、ここでは図面の簡略化のため、4行×4列の行列状に配置された16個の画素303のみを示している。複数の画素303の各々は、画素要素303Aと画素要素303Bとの組みを有する。図3では、画素303の上半分の領域を画素要素303Aとし、画素303の下半分の領域を画素要素303Bとしている。画素要素303A及び画素要素303Bは、それぞれ光電変換により信号を生成する。
画素アレイ302の各列には、列方向に延在する信号出力線304が設けられている。各列の信号出力線304は、当該列に属する画素要素303A及び画素要素303Bに接続されている。信号出力線304には、画素要素303Aからの信号と、画素要素303Bからの信号とが出力される。画素アレイ302の各列には、また、列方向に延在する電源線305及び接地線306が、それぞれ設けられている。各列の電源線305及び接地線306は、当該列に属する画素303に接続されている。電源線305及び接地線306は、行方向に延在する信号線としてもよい。
垂直走査回路307は、画素アレイ302に対して行方向に隣接して配置されている。垂直走査回路307は、画素アレイ302の複数の画素303に対して行単位で、行方向に延在して配された図示しない制御線を介して、画素303内の読み出し回路を制御するための所定の制御信号を出力する。図には、制御信号として、リセットパルスφRESn、転送パルスφTXnA,φTXnBを示している(nは、行番号に対応した整数)。
読み出し回路308は、画素アレイ302に対して列方向に隣接して配置されている。読み出し回路308は、各列の信号出力線304に接続されている。読み出し回路308は、各列の信号出力線304を順次選択的に活性化することで、各列の信号出力線304の信号を順次読み出し、所定の信号処理を実施する。読み出し回路308は、雑音除去回路、増幅回路、アナログデジタル変換回路、水平走査回路などを含むことができ、所定の信号処理を実施した信号を順次出力する。
タイミング制御回路309は、垂直走査回路307及び読み出し回路308に接続されている。タイミング制御回路309は、垂直走査回路307及び読み出し回路308の駆動タイミングを制御する制御信号を出力する。
図4は、撮像素子184の画素303の内部構造を示す断面図である。それぞれの画素303は、図4に示すように、2つのフォトダイオード310A,310Bと、ライトガイド255と、カラーフィルタ256とを含む。フォトダイオード310Aは画素要素303Aの一部を構成し、フォトダイオード310Bは画素要素303Bの一部を構成する。フォトダイオード310A,310Bは、シリコン基板251内に設けられている。ライトガイド255は、シリコン基板251上に設けられた絶縁層254内に設けられている。絶縁層254は例えば酸化シリコンにより構成され、ライトガイド255は絶縁層254よりも高屈折率の材料、例えば窒化シリコンにより構成される。ライトガイド255間の絶縁層254には、配線層252が設けられている。ライトガイド255上には、所定の分光透過率特性を有するカラーフィルタ256が設けられている。なお、図4には、隣接する2つの画素303のカラーフィルタを、互いに異なる分光透過率特性を有するカラーフィルタ256,257により構成した例を示している。
ライトガイド255は、絶縁層254との間の屈折率差によって内部に光を閉じ込める性質を有している。これにより、カラーフィルタ256を介して入射した光をライトガイド255によってフォトダイオード310A,310Bに導くことができる。フォトダイオード310A,310Bは、ライトガイド255に対して非対称に配置されており、ライトガイド255を伝搬した光束は、高い効率でフォトダイオード310Aに入射し、低い効率でフォトダイオード310Bに入射する。さらに、ライトガイド255は、その深さや傾斜角を調節することにより、フォトダイオード310A,310Bが有効に光電変換できる入射光束に対して、その入射角特性に偏りが生じないようになっている。
図5は、画素に入射する光線の角度とフォトダイオードからの出力との関係を示すグラフである。図5において、横軸が画素に入射する光線の角度を表し、縦軸がフォトダイオードからの出力を表している。図5には、フォトダイオード310Aからの出力特性261と、フォトダイオード310Bからの出力特性とを示している。
図5に示すように、特性261及び特性262は、ともに光線の入射角度ゼロのときをピークとする左右対称の僅かに山なりの形状となっている。また、特性262のピーク強度PBは、特性261のピーク強度PAの1/8程度になっている。このことは、フォトダイオード310A,310Bの入射角依存性はともに小さく、それらの受光効率はフォトダイオード310Aに比べてフォトダイオード310Bが1/8であるということを表している。すなわち、フォトダイオード310Bは、ISO感度の設定値に置き換えると、フォトダイオード310Aよりも3段分、感度が低いことになる。
次に、撮影光学系152と撮像素子184との関係を、図6を用いてより詳しく説明する。図6は、撮影光学系152と撮像素子184との関係を説明する図である。図6(a)は、撮影光学系152をその光軸180方向から見た図である。図6(b)は、図2の撮影光学系152から撮像素子184に至る部分をより詳細に示した図である。
撮像素子184は、図6(b)に示すように、撮像領域の中央部に位置する画素276と、撮像領域の外縁近傍に位置する画素277とを含むものとする。この場合、画素276は、光線272と光線273とで囲まれた領域からの光束を受光することができる。また、画素277は、光線274と光線275とで囲まれた領域からの光束を受光することができる。この際、フィールドレンズ270が光学フィルター183と撮影光学系152との間に配置されているため、撮影光学系152の付近では、画素276が受光する光束と画素277が受光する光束とは、図6(a)に領域271で示すように重なっている。この結果、撮影光学系152から射出される光束を何れの画素においても高効率で受光することが可能となっている。
図7は、撮像素子から出力される映像信号を説明する概略図である。ここで、画素アレイ302に、図7(a)に示すカラーフィルタ配列281で、所定の光透過率特性を有するカラーフィルタが配置されている場合を想定する。図7(a)は、6行×8列の行列状に画素303が配列された画素アレイ302と、各画素に配置されるカラーフィルタの色とを模式的に示したものである。図中、Rは赤色カラーフィルタを、G1及びG2は緑色カラーフィルタを、Bは青色カラーフィルタを、それぞれ表している。図示するカラーフィルタ配列281は、いわゆるベイヤー配列と呼ばれるカラーフィルタ配列であり、行毎に、G1BG1B…,RG2RG2…,G1BG1B…,…、といった繰り返しで、各色のカラーフィルタが配置されている。
このようなカラーフィルタ配列281を有する画素アレイ302からは、図7(b)及び図7(c)に示される出力データ282,283が得られる。図7(b)中、g1A及びg2Aは、緑色カラーフィルタが配置された画素303の画素要素303Aからの出力を表している。bAは、青色カラーフィルタが配置された画素303の画素要素303Aからの出力を表している。rAは、赤色カラーフィルタが配置された画素303の画素要素303Aからの出力を表している。図7(c)中、g1B及びg2Bは、緑色カラーフィルタが配置された画素303の画素要素303Bからの出力を表している。bBは、青色カラーフィルタが配置された画素303の画素要素303Bからの出力を表している。rBは、赤色カラーフィルタが配置された画素303の画素要素303Bからの出力を表している。
図3を用いて説明したように、撮像素子184からは、画素要素303Aからの出力と画素要素303Bからの出力との2系統の出力が得られ、そのうちの一方が図7(b)に示す出力データ282であり、他方が図7(c)に示す出力データ283である。出力データ282は、所定の信号処理ののちに第1の映像信号「picture A」となる。また、出力データ283は、所定の信号処理の後に第2の映像信号「picture B」となる。以後の説明では、出力データ282に基づく映像信号を「picture A」、出力データ283に基づく映像信号を「picture B」と表記するものとする。なお、「picture A」,「picture B」は、厳密には所定の補正等の処理を行った後の映像信号であるが、説明の便宜上、補正前或いは補正途中の映像信号についても「picture A」,「picture B」と表記することがある。
図8は、画素303の構成例を示す回路図である。画素303は、上述のように、画素要素303A及び画素要素303Bを有する。画素要素303Aは、フォトダイオード310Aと、転送トランジスタ311Aと、フローティングディフュージョン領域313と、リセットトランジスタ314と、増幅トランジスタ315と、選択トランジスタ317とにより構成されている。画素要素303Bは、フォトダイオード310Bと、転送トランジスタ311Bと、フローティングディフュージョン領域313と、リセットトランジスタ314と、増幅トランジスタ315と、選択トランジスタ317とにより構成されている。フローティングディフュージョン領域313、リセットトランジスタ314、増幅トランジスタ315及び選択トランジスタ317は、画素要素303Aと画素要素303Bとで共用されている。これにより、フォトダイオード領域の面積を広くとることが可能となっている。フォトダイオード310Aは、図4に示したフォトダイオード310Aに対応し、フォトダイオード310Bは、図4に示したフォトダイオード310Bに対応する。
フォトダイオード310Aのアノードは接地線306に接続され、フォトダイオード310Aのカソードは転送トランジスタ311Aのソースに接続されている。フォトダイオード310Bのアノードは接地線306に接続され、フォトダイオード310Bのカソードは転送トランジスタ311Bのソースに接続されている。転送トランジスタ311A,311Bのドレインは、リセットトランジスタ314のソース及び増幅トランジスタ315のゲートに接続されている。転送トランジスタ311A,311Bのドレイン、リセットトランジスタ314のソース及び増幅トランジスタ315のゲートの接続ノードが、フローティングディフュージョン領域313を構成する。リセットトランジスタ314のドレイン及び増幅トランジスタ315のドレインは、電圧VRESが供給される電源線305に接続されている。増幅トランジスタ315のソースは、選択トランジスタ317のドレインに接続されている。画素信号出力部316を構成する選択トランジスタ317のソースは、信号出力線304に接続されている。
各列の画素303は、行毎に、垂直走査回路307から行方向に配された選択信号線318、リセット制御線319及び転送制御線320A,320Bに接続されている。選択信号線318は、選択トランジスタ317のゲートに接続されている。リセット制御線319は、リセットトランジスタ314のゲートに接続されている。転送制御線320Aは、コンタクト部312Aを介して転送トランジスタ311Aのゲートに接続されている。転送制御線320Bは、コンタクト部312Bを介して転送トランジスタ311Bのゲートに接続されている。リセット制御線319は、リセットトランジスタ314のゲートに、垂直走査回路307から出力されるリセットパルスφRESnを供給する。転送制御線320Aは、転送トランジスタ311Aのゲートに、垂直走査回路307から出力される転送パルスφTXnAを供給する。転送制御線320Bは、転送トランジスタ311Bのゲートに、垂直走査回路307から出力される転送パルスφTX1Bを供給する。なお、リセットパルスφRESn、転送パルスφTXnA及び転送パルスφTXnBの符号に付したnは、行番号に対応した整数である。図面には、nを行番号に対応した整数で置き換えた符号で表している。
フォトダイオード310Aは光電変換により電荷を生成する第1の光電変換部であり、フォトダイオード310Bは光電変換により電荷を生成する第2の光電変換部である。フローティングディフュージョン領域313は、電荷を蓄積する領域である。転送トランジスタ311Aは、フォトダイオード310Aにより生成された電荷をフローティングディフュージョン領域313に転送するためのものである。転送トランジスタ311Bは、フォトダイオード310Bにより生成された電荷をフローティングディフュージョン領域313に転送するためのものである。
垂直走査回路307からハイレベルの転送パルスφTXnAが出力されると、転送トランジスタ311Aがオン状態となり、フォトダイオード310Aとフローティングディフュージョン領域313とが接続される。同様に、垂直走査回路307からハイレベルの転送パルスφTXnBが出力されると、転送トランジスタ311Bがオン状態となり、フォトダイオード310Bとフローティングディフュージョン領域313とが接続される。垂直走査回路307からハイレベルのリセットパルスφRESnが出力されると、リセットトランジスタ314がオン状態となり、フォトダイオード310A,310B、フローティングディフュージョン領域313がリセットされる。
垂直走査回路307からローレベルの転送パルスφTXnAが出力されると、転送トランジスタ311Aがオフ状態となり、フォトダイオード310Aは、光電変換により生成した信号電荷の蓄積を開始する。次いで、垂直走査回路307からハイレベルの転送パルスφTXnAが出力されると、転送トランジスタ311Aがオン状態となり、フォトダイオード310Aが蓄積する信号電荷はフローティングディフュージョン領域313に転送される。すると、増幅トランジスタ315は、フォトダイオード310Aから転送された信号電荷の量に応じたフローティングディフュージョン領域313の電圧を増幅する。垂直走査回路307からハイレベルの選択パルスφSELnが出力されると、選択トランジスタ317がオン状態となり、増幅トランジスタ315により増幅された電圧が、選択トランジスタ317を介して信号出力線304に出力される。
同様に、垂直走査回路307からローレベルの転送パルスφTXnBが出力されると、転送トランジスタ311Bがオフ状態となり、フォトダイオード310Bは、光電変換により生成した信号電荷の蓄積を開始する。次いで、垂直走査回路307からハイレベルの転送パルスφTXnBが出力されると、転送トランジスタ311Bがオン状態となり、フォトダイオード310Bが蓄積する信号電荷はフローティングディフュージョン領域313に転送される。すると、増幅トランジスタ315は、フォトダイオード310Bから転送された信号電荷の量に応じたフローティングディフュージョン領域313の電圧を増幅する。垂直走査回路307からハイレベルの選択パルスφSELnが出力されると、選択トランジスタ317がオン状態となり、増幅トランジスタ315により増幅された電圧が、選択トランジスタ317を介して信号出力線304に出力される。
図9及び図10は、画素303の要部を示す平面レイアウト図である。図9には、画素303の構成要素のうち、フォトダイオード310A,310B、転送トランジスタ311A,311B、フローティングディフュージョン領域313を示している。リセットトランジスタ314、増幅トランジスタ315及び選択トランジスタ317を含むその他の回路要素は、図面において読み出し回路321として表し、詳細な図示は省略している。また、画素303の垂直方向に配される信号出力線304及び電源線305を省略し、リセット制御線319、電源線305、接地線306のコンタクト部を省略している。図10には、図9に示した構成要素に加え、図4において説明したライトガイド255を示している。ライトガイド255は、斜影線を付した部分が低屈折率領域を示し、白抜き部分が高屈折率領域、すなわち導光部分を示している。
図9及び図10において、コンタクト部312Aは、転送制御線320Aと転送トランジスタ311Aのゲートとを接続するコンタクト部である。コンタクト部312Bは、転送制御線320Bと転送トランジスタ311Bのゲートとを接続するコンタクト部である。フォトダイオード310A,310Bは、光電変換を行う光電変換部であり、第1導電型(例えばP型)の半導体領域と、第1導電型の半導体領域とPN接合を構成する第2導電型(例えばN型)の半導体領域(N型の電子蓄積領域)とを有する。フォトダイオード310Aの第2導電型の半導体領域とフォトダイオード310Bの第2導電型の半導体領域とは、分離部322によって分離されている。
転送トランジスタ311A,311B、コンタクト部312A,312B、転送制御線320A,320Bは、フォトダイオード310A,310B間にある分離部322に対し、それぞれ線対称又は略線対称に配置されている。一方、ライトガイド255は、図10に示すように、分離部322に対して偏った位置に配置されている。すなわち、フォトダイオード310Aがライトガイド255の底部分の多くの面積を占めるのに対して、フォトダイオード310Bはライトガイド255の底部分に僅かに掛かるだけとなっている。この結果、フォトダイオード310Aの受光効率は高く、フォトダイオード310Bの受光効率は低くなっている。
本実施形態による撮像素子184では、フォトダイオード310A,310Bの受光効率の比を8:1程度、すなわち感度の差を3段程度に設定している。そして、2つの映像を異なる蓄積時間の設定で撮影しつつ、2つの画素要素においては同程度の信号電荷を得て、どちらもSN比の良好なノイズ感のない映像としたり、或いは、品位の高いHDR映像を合成可能としたりすることに供している。詳細については、後述する。
図11は、撮像素子184の読み出し回路308の構成例を示す回路図である。
読み出し回路308は、図11に示すように、クランプ容量C0、フィードバック容量Cf、オペアンプ406、基準電圧源407、スイッチ423を含む。オペアンプ406の一方の入力端子は、クランプ容量C0を介して信号出力線304に接続されている。オペアンプ406の当該一方の入力端子と出力端子との間には、フィードバック容量Cfとスイッチ423とが並列に接続されている。オペアンプの他方の入力端子は、基準電圧源407に接続されている。基準電圧源407は、オペアンプ406に基準電圧Vrefを供給するためのものである。スイッチ423は、信号PC0Rで制御されるスイッチであり、信号PC0Rがハイレベルのときにオン状態となり、フィードバック容量Cfの両端を短絡させる。
読み出し回路308は、また、スイッチ414A,415A,414B,415B,418A,418B,419A,419B、容量CTSA,CTNA,CTSB,CTNB、水平出力線424,425、出力アンプ421を含む。スイッチ414A,415A,414B,415Bは、それぞれ、容量CTSA,CTNA,CTSB,CTNBへの画素信号の書き込みを制御するスイッチである。スイッチ414Aは、信号PTSAで制御されるスイッチであり、信号PTSAがハイレベルのときにオン状態となり、オペアンプ406の出力端子と容量CTSAとを接続する。スイッチ415Aは、信号PTNAで制御されるスイッチであり、信号PTNAがハイレベルのときにオン状態となり、オペアンプ406の出力端子と容量CTNAとを接続する。スイッチ414Bは、信号PTSBで制御されるスイッチであり、信号PTSBがハイレベルのときにオン状態となり、オペアンプ406の出力端子と容量CTSBとを接続する。スイッチ415Bは、信号PTNBで制御されるスイッチであり、信号PTNBがハイレベルのときにオン状態となり、オペアンプ406の出力端子と容量CTNBとを接続する。
スイッチ418A,419A,418B,419Bは、容量CTSA,CTNA,CTSB,CTNBに保持されている画素信号の出力アンプ421への出力を制御するためのスイッチである。スイッチ418A,419A,418B,419Bは、水平シフトレジスタからの制御信号に応じてオン状態になる。これにより、容量CTSAに書き込まれた信号は、スイッチ418A及び水平出力線424を介して出力アンプ421に出力される。また、容量CTNAに書き込まれた信号は、スイッチ419A及び水平出力線425を介して出力アンプ421に出力される。同様に、容量CTSBに書き込まれた信号は、スイッチ418B及び水平出力線424を介して出力アンプ421に出力される。また、容量CTNBに書き込まれた信号は、スイッチ419B及び水平出力線425を介して出力アンプ421に出力される。
信号PC0R、信号PTNA、信号PTSA、信号PTNB、信号PTSBは、制御手段であるシステム制御CPU178による制御の下でタイミング発生部189から供給される信号である。
次に、本実施形態による撮像装置の駆動方法について、図12のタイミングチャートを用いて説明する。ここでは、撮像素子184がm行の画素アレイ302を有する場合を想定する。図12は、同一のラインに配置された画素303の画素要素303Aを構成するフォトダイオード310Aと画素要素303Bを構成するフォトダイオード310Bとの蓄積開始タイミングが同一になるように制御する場合の例である。
まず、時刻t1において、垂直走査回路307は、転送制御線320A,320Bに供給する転送パルスφTX1A,φTX1Bを、ローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、転送トランジスタ311A,311Bは、オン状態になる。このとき、垂直走査回路307からリセット制御線319にはハイレベルのリセットパルスφRES1が供給されており、リセットトランジスタ314もオン状態である。これにより、第1行目の画素303のフォトダイオード310A,310Bは、転送トランジスタ311A,311B及びリセットトランジスタ314を介して電源線305に接続され、リセット状態になる。この際、フローティングディフュージョン領域313も、リセット状態になる。
次いで、時刻t2において、垂直走査回路307は、転送パルスφTX1A,φTX1Bをハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、転送トランジスタ311A,311Bはオフ状態となり、第1行目の画素303のフォトダイオード310A,310Bでは光電変換による信号電荷の蓄積が開始する。すなわち、時刻t2が、第1行目の画素303のフォトダイオード310A,310Bの蓄積期間の始期となる。
次いで、同様の手順を繰り返し行い、第2行目から第m−1行目の画素303のフォトダイオード310A,310Bにおける信号電荷の蓄積を、順次開始する。
次いで、時刻t3において、垂直走査回路307は、転送制御線320A,320Bに供給する転送パルスφTXmA,φTXmBを、ローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第1行目と同様に、第m行目の画素303のフォトダイオード310A,310Bをリセットする。
次いで、時刻t4において、垂直走査回路307は、転送パルスφTXmA,φTXmBをハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、第m行目の画素303のフォトダイオード310A,310Bでの信号電荷の蓄積を開始する。すなわち、時刻t4が、第m行目の画素303のフォトダイオード310A,310Bの蓄積期間の始期となる。
次いで、時刻t5において、垂直走査回路307は、選択信号線に供給する選択パルスφSEL1をローレベルからハイレベルへと遷移し、第1行目の画素303の選択トランジスタ317をオン状態にする。これにより、第1行目の画素303を選択する。
次いで、時刻t6において、垂直走査回路307は、リセットパルスφRES1をハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、第1行目の画素303のリセットトランジスタ314をオフ状態とし、フローティングディフュージョン領域313のリセットを解除する。これにより、フローティングディフュージョン領域313の電位が、リセット信号レベルとして、増幅トランジスタ315及び選択トランジスタ317を介して信号出力線304に読み出され、読み出し回路308に入力される。
時刻t6において、タイミング発生部189から読み出し回路308にはハイレベルの信号PC0Rが供給されており、スイッチ423はオン状態である。このため、読み出し回路308には、オペアンプ406が基準電圧Vrefの出力をバッファする状態でリセット信号レベルの画素信号が入力される。
次いで、時刻t7において、タイミング発生部189から読み出し回路308に供給する信号PC0Rをハイレベルからローレベルへと遷移し、スイッチ423をオフ状態にする。これにより、読み出し回路308では、リセット信号レベルの画素信号に対してクランプ容量C0とフィードバック容量Cfとの容量比率で電圧変化に対して反転ゲインがかかった電圧が、オペアンプ406から出力される。
次いで、時刻t8において、タイミング発生部189から読み出し回路308に供給する信号PTNAをローレベルからハイレベルへと遷移してスイッチ415Aをオン状態にし、そのときのオペアンプ406の出力を容量CTNAへ書き込む。
次いで、時刻t9において、タイミング発生部189から読み出し回路308に供給する信号PTNAをハイレベルからローレベルへと遷移してスイッチ415Aをオフ状態にし、容量CTNAへの書き込みを終了する。
次いで、時刻t10において、垂直走査回路307は、転送パルスφTX1Aをローレベルからハイレベルへと遷移し、転送トランジスタ311Aをオン状態にする。これにより、フォトダイオード310Aに蓄積されていた信号電荷をフローティングディフュージョン領域313に転送する。
次いで、時刻t11において、垂直走査回路307は、転送パルスφTX1Aをハイレベルからローレベルへと遷移し、転送トランジスタ311Aをオフ状態にする。これにより、フォトダイオード310Aに蓄積された信号電荷のフローティングディフュージョン領域313への読み出しを終了する。すなわち、時刻t11が、第1行目の画素303のフォトダイオード310Aの蓄積期間の終期となる。第1行目の画素303のフォトダイオード310Aの蓄積期間は、時刻t2から時刻t11である。
これにより、信号電荷により変化したフローティングディフュージョン領域313の電位が、光信号レベルとして、増幅トランジスタ315及び選択トランジスタ317を介して信号出力線304に読み出され、読み出し回路308に入力される。そして、読み出し回路308では、光信号レベルの画素信号に対してクランプ容量C0とフィードバック容量Cfとの容量比率で電圧変化に対して反転ゲインがかかった電圧が、オペアンプ406から出力される。
次いで、時刻t12において、タイミング発生部189から読み出し回路308に供給する信号PTSAをローレベルからハイレベルへと遷移してスイッチ414Aをオン状態にし、そのときのオペアンプ406の出力を容量CTSAへ書き込む。
次いで、時刻t13において、タイミング発生部189から読み出し回路308に供給する信号PTSAをハイレベルからローレベルへと遷移してスイッチ414Aをオフ状態にし、容量CTSAへの書き込みを終了する。
次いで、時刻t14において、垂直走査回路307は、選択パルスφSEL1をハイレベルからローレベルへと遷移し、第1行目の画素303の選択トランジスタ317をオフ状態にし、第1行目の画素303の選択を解除する。
この後、水平シフトレジスタからの信号を受けてスイッチ418A,419Aが列毎に順次オン状態になる。これにより、容量CTSAに書き込まれた信号は水平出力線424を介して、また、容量CTNAに書き込まれた信号は水平出力線425を介して、それぞれ出力アンプ421に入力される。
このようにして、第1行目の各列の画素303の画素要素303Aからの読み出しを行う。
次いで、上述した第1行目の各列の画素303の画素要素303Aからの読み出しと同様にして、第2行目から第m−1行目の各列の画素303の画素要素303Aからの読み出しを行う。
次いで、時刻t15において、垂直走査回路307は、リセットパルスφRES1をローレベルからハイレベルへと遷移し、リセットトランジスタ314をオン状態にする。これにより、フローティングディフュージョン領域313は、リセットトランジスタ314を介して電源線305に接続され、リセット状態となる。
次いで、時刻t16において、タイミング発生部189は、信号PC0Rをローレベルからハイレベルへと遷移し、スイッチ423をオン状態にする。これにより、オペアンプ406が基準電圧Vrefの出力をバッファする状態になる。
次いで、時刻t17において、垂直走査回路307は、選択パルスφSELmをローレベルからハイレベルへと遷移し、第m行目の画素303の選択トランジスタ317をオン状態にする。これにより、第m行目の画素303を選択する。
次いで、時刻t18において、垂直走査回路307は、リセットパルスφRESmをハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、第m行目の画素303のリセットトランジスタ314をオフ状態とし、フローティングディフュージョン領域313のリセットを解除する。これにより、フローティングディフュージョン領域313の電位が、リセット信号レベルとして、増幅トランジスタ315及び選択トランジスタ317を介して信号出力線304に読み出され、読み出し回路308に入力される。
時刻t18において、タイミング発生部189から読み出し回路308にはハイレベルの信号PC0Rが供給されており、スイッチ423はオン状態である。このため、読み出し回路308には、オペアンプ406が基準電圧Vrefの出力をバッファする状態でリセット信号レベルの画素信号が入力される。
次いで、時刻t19において、タイミング発生部189から読み出し回路308に供給する信号PC0Rをハイレベルからローレベルへと遷移し、スイッチ423をオフ状態にする。これにより、読み出し回路308では、リセット信号レベルの画素信号に対してクランプ容量C0とフィードバック容量Cfとの容量比率で電圧変化に対して反転ゲインがかかった電圧が、オペアンプ406から出力される。
次いで、時刻t20において、タイミング発生部189から読み出し回路308に供給する信号PTNAをローレベルからハイレベルへと遷移してスイッチ415Aをオン状態にし、そのときのオペアンプ406の出力を容量CTNAへ書き込む。
次いで、時刻t21において、タイミング発生部189から読み出し回路308に供給する信号PTNAをハイレベルからローレベルへと遷移してスイッチ415Aをオフ状態にし、容量CTNAへの書き込みを終了する。
次いで、時刻t22において、垂直走査回路307は、転送パルスφTXmAをローレベルからハイレベルへと遷移し、転送トランジスタ311Aをオン状態にする。これにより、フォトダイオード310Aに蓄積されていた信号電荷をフローティングディフュージョン領域313に転送する。
次いで、時刻t23において、垂直走査回路307は、転送パルスφTXmAをハイレベルからローレベルへと遷移し、転送トランジスタ311Aをオフ状態にする。これにより、フォトダイオード310Aに蓄積された信号電荷のフローティングディフュージョン領域313への読み出しを終了する。すなわち、時刻t23が、第m行目の画素303のフォトダイオード310Aの蓄積期間の終期となる。第m行目の画素303のフォトダイオード310Aの蓄積期間は、時刻t4から時刻t23である。
これにより、信号電荷により変化したフローティングディフュージョン領域313の電位が、光信号レベルとして、増幅トランジスタ315及び選択トランジスタ317を介して信号出力線304に読み出され、読み出し回路308に入力される。そして、読み出し回路308では、光信号レベルの画素信号に対してクランプ容量C0とフィードバック容量Cfとの容量比率で電圧変化に対して反転ゲインがかかった電圧が、オペアンプ406から出力される。
次いで、時刻t24において、タイミング発生部189から読み出し回路308に供給する信号PTSAをローレベルからハイレベルへと遷移してスイッチ414Aをオン状態にし、そのときのオペアンプ406の出力を容量CTSAへ書き込む。
次いで、時刻t25において、タイミング発生部189から読み出し回路308に供給する信号PTSAをハイレベルからローレベルへと遷移してスイッチ414Aをオフ状態にし、容量CTSAへの書き込みを終了する。
次いで、時刻t26において、垂直走査回路307は、選択パルスφSELmをハイレベルからローレベルへと遷移し、第m行目の画素303の選択トランジスタ317をオフ状態にし、第m行目の画素303の選択を解除する。
この後、水平シフトレジスタからの信号を受けてスイッチ418A,419Aが列毎に順次オン状態になる。これにより、容量CTSAに書き込まれた信号は水平出力線424を介して、また、容量CTNAに書き込まれた信号は水平出力線425を介して、それぞれ出力アンプ421に入力される。
このようにして、第m行目の各列の画素303の画素要素303Aからの読み出しを行う。
上述した第1行目から第m行目までの画素303の画素要素303Aからの読み出しは、画素要素303Bの蓄積期間中に行われる。つまり、以降に実施する画素要素303Bからの読み出しの前に、画素要素303Aからの読み出しは終了する。したがって、画素要素303Aの読み出し動作が画素要素303Bの読み出しのフレームレートに影響を与えることはない。
次いで、時刻t27において、垂直走査回路307は、リセットパルスφRESmをローレベルからハイレベルへと遷移し、リセットトランジスタ314をオン状態にする。これにより、フローティングディフュージョン領域313は、リセットトランジスタ314を介して電源線305に接続され、リセット状態になる。
次いで、時刻t28において、タイミング発生部189は、信号PC0Rをローレベルからハイレベルへと遷移し、スイッチ423をオン状態にする。これにより、オペアンプ406が基準電圧Vrefの出力をバッファする状態になる。
次いで、画素要素303Aからの読み出しが終了し、画素要素303Bの蓄積時間に応じた所定の時間が経過した後、画素要素303Bからの読み出しを開始する。
所定の時間が経過した後の時刻t29において、垂直走査回路307は、選択パルスφSEL1をローレベルからハイレベルへと遷移し、第1行目の画素303の選択トランジスタ317をオン状態にする。これにより、第1行目の画素303を選択する。
次いで、時刻t30において、垂直走査回路307は、リセットパルスφRES1をハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、第1行目の画素303のリセットトランジスタ314をオフ状態とし、フローティングディフュージョン領域313のリセットを解除する。これにより、フローティングディフュージョン領域313の電位が、リセット信号レベルとして、増幅トランジスタ315及び選択トランジスタ317を介して信号出力線304に読み出され、読み出し回路308に入力される。
時刻t30において、タイミング発生部189から読み出し回路308にはハイレベルの信号PC0Rが供給されており、スイッチ423はオン状態である。このため、読み出し回路308には、オペアンプ406が基準電圧Vrefの出力をバッファする状態でリセット信号レベルの画素信号が入力される。
次いで、時刻t31において、タイミング発生部189から読み出し回路308に供給する信号PC0Rをハイレベルからローレベルへと遷移し、スイッチ423をオフ状態にする。これにより、読み出し回路308では、リセット信号レベルの画素信号に対してクランプ容量C0とフィードバック容量Cfとの容量比率で電圧変化に対して反転ゲインがかかった電圧が、オペアンプ406から出力される。
次いで、時刻t32において、タイミング発生部189から読み出し回路308に供給する信号PTNBをローレベルからハイレベルへと遷移してスイッチ415Bをオン状態にし、そのときのオペアンプ406の出力を容量CTNBへ書き込む。
次いで、時刻t33において、タイミング発生部189から読み出し回路308に供給する信号PTNBをハイレベルからローレベルへと遷移してスイッチ415Bをオフ状態にし、容量CTNBへの書き込みを終了する。
次いで、時刻t34において、垂直走査回路307は、転送パルスφTX1Bをローレベルからハイレベルへと遷移し、転送トランジスタ311Bをオン状態にする。これにより、フォトダイオード310Bに蓄積されていた信号電荷をフローティングディフュージョン領域313に転送する。
次いで、時刻t35において、垂直走査回路307は、転送パルスφTX1Bをハイレベルからローレベルへと遷移し、転送トランジスタ311Bをオフ状態にする。これにより、フォトダイオード310Bに蓄積された信号電荷のフローティングディフュージョン領域313への読み出しを終了する。すなわち、時刻t35が、第1行目の画素303のフォトダイオード310Bの蓄積期間の終期となる。第1行目の画素303のフォトダイオード310Bの蓄積期間は、時刻t2から時刻t35である。
これにより、信号電荷により変化したフローティングディフュージョン領域313の電位が、光信号レベルとして、増幅トランジスタ315及び選択トランジスタ317を介して信号出力線304に読み出され、読み出し回路308に入力される。そして、読み出し回路308では、光信号レベルの画素信号に対してクランプ容量C0とフィードバック容量Cfとの容量比率で電圧変化に対し反転ゲインがかかった電圧が、オペアンプ406から出力される。
本実施形態による撮像装置の駆動方法では、画素要素303Bのフォトダイオード310Bの蓄積時間は一定とする。フォトダイオード310Bの蓄積時間は、後述するように、コマ送りのような、いわゆるジャーキネスが抑制された高品位な動画が得られるように、適宜設定される。
画素要素303Aのフォトダイオード310Aの蓄積タイミングを制御するためのパラメータである第2の設定時間T2は、例えば画素要素303Bのフォトダイオード310Bの蓄積時間の半分、すなわち、T2=(t35−t2)/2、に設定される。第2の設定時間T2を用いた画素要素303Aのフォトダイオード310Aの蓄積タイミングの制御方法については、後述する。
次いで、時刻t36において、タイミング発生部189から読み出し回路308に供給する信号PTSBをローレベルからハイレベルへと遷移してスイッチ414Bをオン状態にし、そのときのオペアンプ406の出力を容量CTSBへ書き込む。
次いで、時刻t37において、タイミング発生部189から読み出し回路308に供給する信号PTSBをハイレベルからローレベルへと遷移してスイッチ414Bをオフ状態にし、容量CTSBへの書き込みを終了する。
次いで、時刻t38において、垂直走査回路307は、選択パルスφSEL1をハイレベルからローレベルへと遷移し、第1行目の画素303の選択トランジスタ317をオフ状態にし、第1行目の画素303の選択を解除する。
この後、水平シフトレジスタからの信号を受けてスイッチ418B,419Bが列毎に順次オン状態になる。これにより、容量CTSBに書き込まれた信号は水平出力線424を介して、また、容量CTNBに書き込まれた信号は水平出力線425を介して、それぞれ出力アンプ421に入力される。
このようにして、第1行目の各列の画素303の画素要素303Bからの読み出しを行う。
次いで、時刻t39において、垂直走査回路307は、リセットパルスφRES1をローレベルからハイレベルへと遷移し、リセットトランジスタ314をオン状態にする。これにより、フローティングディフュージョン領域313は、リセットトランジスタ314を介して電源線305に接続され、リセット状態になる。
次いで、時刻t40において、タイミング発生部189は、信号PC0Rをローレベルからハイレベルへと遷移し、スイッチ423をオン状態にする。これにより、オペアンプ406が基準電圧Vrefの出力をバッファする状態になる。
次いで、時刻t41において、垂直走査回路307は、転送制御線320A,320Bに供給する転送パルスφTX1A,φTX1Bを、ローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、転送トランジスタ311A,311Bは、オン状態になる。このとき、垂直走査回路307からは、リセット制御線319にハイレベルのリセットパルスφRES1が供給されており、リセットトランジスタ314もオン状態である。これにより、第1行目の画素303のフォトダイオード310A,310Bは、転送トランジスタ311A,311B及びリセットトランジスタ314を介して電源線305に接続され、リセット状態になる。この際、フローティングディフュージョン領域313も、リセット状態になる。
次いで、時刻t42において、垂直走査回路307は、転送パルスφTX1A,φTX1Bをハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、転送トランジスタ311A,311Bはオフ状態となり、第1行目の画素303のフォトダイオード310A,310Bでは光電変換による信号電荷の蓄積が開始する。さらに、各行の画素303のフォトダイオード310A,310Bの蓄積を順次開始する。すなわち、時刻t42が、第1行目の画素303のフォトダイオード310A,310Bの次フレームの蓄積期間の始期となる。
次いで、上述した第1行目の各列の画素303の画素要素303Bからの読み出しと同様にして、第2行目から第m−1行目の各列の画素303の画素要素303Bからの読み出しを行う。
次いで、時刻t43において、垂直走査回路307は、選択パルスφSELmをローレベルからハイレベルへと遷移し、第m行目の画素303の選択トランジスタ317をオン状態にする。これにより、第1行目の画素303を選択する。
次いで、時刻t44において、垂直走査回路307は、リセットパルスφRESmをハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、第m行目の画素303のリセットトランジスタ314をオフ状態とし、フローティングディフュージョン領域313のリセットを解除する。これにより、フローティングディフュージョン領域313の電位が、リセット信号レベルとして、増幅トランジスタ315及び選択トランジスタ317を介して信号出力線304に読み出され、読み出し回路308に入力される。
時刻t44において、タイミング発生部189から読み出し回路308にはハイレベルの信号PC0Rが供給されており、スイッチ423はオン状態である。このため、読み出し回路308には、オペアンプ406が基準電圧Vrefの出力をバッファする状態でリセット信号レベルの画素信号が入力される。
次いで、時刻t45において、タイミング発生部189から読み出し回路308に供給する信号PC0Rをハイレベルからローレベルへと遷移し、スイッチ423をオフ状態にする。これにより、読み出し回路308では、リセット信号レベルの画素信号に対してクランプ容量C0とフィードバック容量Cfとの容量比率で電圧変化に対して反転ゲインがかかった電圧が、オペアンプ406から出力される。
次いで、時刻t46において、タイミング発生部189から読み出し回路308に供給する信号PTNBをローレベルからハイレベルへと遷移してスイッチ415Bをオン状態にし、そのときのオペアンプ406の出力を容量CTNBへ書き込む。
次いで、時刻t47において、タイミング発生部189から読み出し回路308に供給する信号PTNBをハイレベルからローレベルへと遷移してスイッチ415Bをオフ状態にし、容量CTNBへの書き込みを終了する。
時刻t48において、垂直走査回路307は、転送パルスφTXmBをローレベルからハイレベルへと遷移し、転送トランジスタ311Bをオン状態にする。これにより、フォトダイオード310Bに蓄積されていた信号電荷をフローティングディフュージョン領域313に転送する。
次いで、時刻t49において、垂直走査回路307は、転送パルスφTXmBをハイレベルからローレベルへと遷移し、転送トランジスタ311Bをオフ状態にする。これにより、フォトダイオード310Bに蓄積された信号電荷のフローティングディフュージョン領域313への読み出しを終了する。すなわち、時刻t49が、第m行目の画素303のフォトダイオード310Bの蓄積期間の終期となる。第m行目の画素303のフォトダイオード310Bの蓄積期間は、時刻t4から時刻t49である。
これにより、信号電荷により変化したフローティングディフュージョン領域313の電位が、光信号レベルとして、増幅トランジスタ315及び選択トランジスタ317を介して信号出力線304に読み出され、読み出し回路308に入力される。そして、読み出し回路308では、光信号レベルの画素信号に対してクランプ容量C0とフィードバック容量Cfとの容量比率で電圧変化に対し反転ゲインがかかった電圧が、オペアンプ406から出力される。
次いで、時刻t50において、タイミング発生部189から読み出し回路308に供給する信号PTSBをローレベルからハイレベルへと遷移してスイッチ414Bをオン状態にし、そのときのオペアンプ406の出力を容量CTSBへ書き込む。
次いで、時刻t51において、タイミング発生部189から読み出し回路308に供給する信号PTSBをハイレベルからローレベルへと遷移してスイッチ414Bをオフ状態にし、容量CTSBへの書き込みを終了する。
次いで、時刻t52において、垂直走査回路307は、選択パルスφSELmをハイレベルからローレベルへと遷移し、第m行目の画素303の選択トランジスタ317をオフ状態にし、第m行目の画素303の選択を解除する。
この後、水平シフトレジスタからの信号を受けてスイッチ418B,419Bが列毎に順次オン状態になる。これにより、容量CTSBに書き込まれた信号は水平出力線424を介して、また、容量CTNBに書き込まれた信号は水平出力線425を介して、それぞれ出力アンプ421に入力される。
このようにして、第m行目の各列の画素303の画素要素303Bからの読み出しを行う。
次いで、時刻t53において、垂直走査回路307は、リセットパルスφRESmをローレベルからハイレベルへと遷移し、リセットトランジスタ314をオン状態にする。これにより、フローティングディフュージョン領域313は、リセットトランジスタ314を介して電源線305に接続され、リセット状態になる。
次いで、時刻t54において、タイミング発生部189は、信号PC0Rをローレベルからハイレベルへと遷移し、スイッチ423をオン状態にする。これにより、オペアンプ406が基準電圧Vrefの出力をバッファする状態になる。
次いで、時刻t55において、垂直走査回路307は、転送制御線320A,320Bに供給する転送パルスφTXmA,φTXmBを、ローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、転送トランジスタ311A,311Bは、オン状態になる。このとき、垂直走査回路307からは、リセット制御線319にハイレベルのリセットパルスφRESmが出力されており、リセットトランジスタ314もオン状態である。これにより、第m行目の画素303のフォトダイオード310A,310Bは、転送トランジスタ311A,311B及びリセットトランジスタ314を介して電源線305に接続され、リセット状態になる。この際、フローティングディフュージョン領域313も、リセット状態になる。
次いで、時刻t56において、垂直走査回路307は、転送パルスφTXmA,φTXmBをハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、転送トランジスタ311A,311Bはオフ状態となり、第m行目の画素303のフォトダイオード310A,310Bでは光電変換による信号電荷の蓄積が開始する。すなわち、時刻t56が、第m行目の画素303のフォトダイオード310A,310Bの次フレームの蓄積期間の始期となる。
画素要素303Aのフォトダイオード310Aの蓄積タイミングを制御するためのパラメータである第1の設定時間T1は、例えば総ての画素要素303Bを読み出す期間に相当する時間、すなわち、T1=t56−t35、に設定される。第1の設定時間T1を用いた画素要素303Aのフォトダイオード310Aの蓄積タイミングの制御方法については、後述する。
図13は、図9のA−B線に沿った画素303のポテンシャル図である。図13(a)は図12の時刻taにおけるポテンシャル図、図13(b)は図12の時刻tbにおけるポテンシャル図、図13(c)は図12の時刻tcにおけるポテンシャル図である。
時刻taにおいては、図13(a)に示すように、転送トランジスタ311A,311Bはオフ状態であり、フォトダイオード310A,310Bには、それぞれ信号蓄積レベル323A,323Bの信号電荷が蓄積されている。前述のように、フォトダイオード310Aとフォトダイオード310Bとでは受光効率が異なるため、同時刻における信号蓄積レベル323Aは信号蓄積レベル323Bよりも高い。
時刻tbにおいては、図13(b)に示すように、転送トランジスタ311Aはオン状態である。この場合、転送トランジスタ311Aのポテンシャル障壁が低くなり、フォトダイオード310Aに蓄積されていた信号電荷はフローティングディフュージョン領域313に転送される。このとき、転送トランジスタ311Aのポテンシャル障壁の低下によって、分離部322のポテンシャル障壁も低くなる。しかしながら、転送トランジスタ311Aのポテンシャル障壁が十分小さくなっているため、このタイミングでフォトダイオード310Aに蓄積された信号電荷が分離部322を介して隣接するフォトダイオード310Bへ漏れる現象はほとんど生じない。
時刻tcにおいては、図13(c)に示すように、転送トランジスタ311Bはオン状態である。この場合、転送トランジスタ311Bのポテンシャル障壁が低くなり、フォトダイオード310Bに蓄積されていた信号電荷がフローティングディフュージョン領域313に転送される。このとき、フォトダイオード310Aに蓄積されていた信号電荷は、読み出し回路308に読み出されている。また、転送トランジスタ311Bのポテンシャル障壁の低下によって、分離部322のポテンシャル障壁も低くなる。しかしながら、転送トランジスタ311Bのポテンシャル障壁が十分小さくなっているため、このタイミングでフォトダイオード310Bに蓄積された信号電荷が分離部322を介して隣接するフォトダイオード310Aへ漏れる現象はほとんど生じない。
図14は、撮像素子184の内部における光の伝搬と光電変換により発生した信号電荷の挙動を示す断面図である。画素303に入射する光束451は、まずカラーフィルタ256に入射して所定の波長成分がここで吸収され、絶縁層254の最上部にあたる界面不活性化膜(図示せず)を通過し、ライトガイド255に入射する。ライトガイド255内では、図5を用いて説明したように、光の波動的な振る舞いによって光線の方位情報、すなわち瞳情報が消失する。光束451は、ライトガイド255と絶縁層254との屈折率差によってライトガイド255の内部に閉じ込められたままシリコン基板251側に進み、ライトガイド255の底部分に達する。ライトガイド255の底部分はシリコン基板251に隣接し、ライトガイド255を射出した光束はシリコン基板251に入射する。シリコン基板251内に隣接して設けられたフォトダイオード310Aとフォトダイオード310Bとは、ライトガイド255に対して大きく偏心して配置されている。このため、ライトガイド255を射出した光束のうちの大部分の光束452がフォトダイオード310Aへ入射し、ライトガイド255を射出した光束のうちの残りの一部分の光束453がフォトダイオード310Bへ入射する。フォトダイオード310A,310Bでは、入射した光子が信号電荷へと変換される。
この際、撮像素子184のシリコン基板251内部で発生した信号電荷は、拡散によって隣接する画素要素に漏れ込む。例えば、フォトダイオード310Aで発生した信号電荷454は、拡散によってフォトダイオード310Bに漏れ込む。また。フォトダイオード310Bで発生した信号電荷455は、拡散によってフォトダイオード310Aに漏れ込む。この現象は映像に悪影響を及ぼし、画像の滲みとなって現れる。
図15は、「picture A」及び「picture B」の撮影条件の設定画面を説明する図である。撮影モード選択レバー156を、例えば図1(b)の位置から時計方向に90度回転させることによって、2つの映像を同時に撮影することができるデュアル映像モードに入るものとする。表示部153には、そのときの被写体の輝度に応じたBv値521、Fナンバー522、「picture A」及び「picture B」のそれぞれのISO感度523,524、シャッタースピード525,526が表示される。また、「picture A」及び「picture B」のそれぞれについて、現在設定されているピクチャーモード527,528が表示される。ピクチャーモードは、アップダウンスイッチ158,159及びダイアル160を用いて複数の選択肢の中から撮影の目的に合ったものを選択することができる。
前述したように、フォトダイオード310Aとフォトダイオード310Bとの間の受光効率の差は、3段に設定されている。このため、「picture A」と「picture B」との間のISO感度範囲には、3段の差がある。図16に示すように、「picture A」はISO100〜ISO102400、「picture B」はISO12〜ISO12800となっている。
図17は、デュアル映像モードにおけるプログラムAE(Automatic Exposure)線図である。横軸がTv値とそれに対応するシャッタースピードを示し、縦軸がAV値とそれに対応する絞り値を示している。また、斜め方向は等Bv線となっている。「picture A」のBv値とISO感度との関係がゲイン表記領域556に表されており、「picture B」のBv値とISO感度との関係がゲイン表記領域557に表されている。なお、図17において各Bv値は、他のパラメータと区別するために、四角で囲んだ数値で表している。
高輝度から低輝度になるに従って、シャッタースピード、絞り値、ISO感度がどのように変化するかについて、図17を用いて説明する。
まず、Bv13のときは、「picture A」では、ISO感度はISO100に設定される。「picture A」の等Bv線は、「picture A」のプログラム線図558と点551で交差し、点551からシャッタースピード1/4000、絞り値F11と定まる。一方、「picture B」では、ISO感度はISO12に設定される。「picture B」の等Bv線は、「picture B」のプログラム線図559と点552で交差し、点552からシャッタースピード1/500、絞り値F11と定まる。
Bv10のときは、「picture A」では、ISO感度は1段分上昇してISO200に設定される。「picture A」の等Bv線は、「picture A」のプログラム線図558と点553で交差し、点553からシャッタースピード1/1000、絞り値F11と定まる。一方、「picture B」では、ISO感度はISO12に設定される。「picture B」の等Bv線は、「picture B」のプログラム線図559と点560で交差し、点560からシャッタースピード1/60、絞り値F11と定まる。
Bv6のときは、「picture A」では、ISO感度はISO200に設定される。「picture A」の等Bv線は、「picture A」のプログラム線図558と点554で交差し、点554からシャッタースピード1/1000、絞り値F2.8と定まる。一方、「picture B」では、ISO感度はISO12に設定される。「picture B」の等Bv線は、「picture B」のプログラム線図559と点555で交差し、点555からシャッタースピード1/60、絞り値F2.8と定まる。
Bv5のときは、「picture A」では、ISO感度は1段分上昇してISO400に設定される。「picture A」の等Bv線は、「picture A」のプログラム線図558と点554で交差し、点554からシャッタースピード1/1000、絞り値F2.8と定まる。一方、「picture B」では、ISO感度はISO25に設定される。「picture B」の等Bv線は、「picture B」のプログラム線図559と点555で交差し、点555からシャッタースピード1/60、絞り値F2.8と定まる。
以降、輝度が下がるにつれて、「picture A」、「picture B」ともに、シャッタースピードと絞り値は変化せずにゲインアップしISO感度が上昇していく。
このプログラムAE線図に示した露光動作を行うことにより、表記した全輝度範囲において「picture A」は1/1000以上のシャッタースピードを保ち、「picture B」は多くの輝度範囲で1/60のシャッタースピードを保っている。これにより、「picture A」ではストップモーション効果を得つつ、「picture B」ではコマ送りのような、いわゆるジャーキネスが抑制された高品位な動画を得ることができる。
一般に、動画撮影時のシャッタースピードが速いと、再生時にコマ送りのようないわゆるジャーキネスが現れて映像の滑らかさが失われてしまう。こういったジャーキネスを抑えた滑らかな映像を得るためには、一連の撮影において、1フレーム期間に近い蓄積時間を設定する必要がある。すなわち、フレームレートが30fpsであれば、1/30秒や1/60秒といった比較的長い蓄積時間が適切となる。特に、空撮などのカメラの姿勢が不安定な状況においては、この設定が重要である。
一方、静止画においては、ブレを抑えて一瞬を写し止めた、いわゆるストップモーション効果のある映像を撮影することが求められる。このため、例えば1/1000秒程度の短い蓄積時間を設定する必要がある。また、高フレームレートの動画では、1フレーム期間が短いので、例えばフレームレートが120fpsであれば、1/125秒や1/250秒といった必然的に短い蓄積時間を設定することになる。
単一の撮影レンズを通して動画と静止画或いは通常フレームレートの動画と高フレームレートの動画の2つの映像を同時に撮影するということは、それらの撮影で使用される絞りが共通であるということである。このときにも、2つの映像が異なる蓄積時間の設定で撮影されながらも、撮像素子においては同程度の信号電荷を得て、どちらもS/N比の良好なノイズ感のない映像となることが望ましい。
図18は、本実施形態による撮像装置の駆動方法を示すフローチャートである。本実施形態による撮像装置の駆動方法では、画素要素303Aの蓄積時間に応じて、画素要素303Aの読み出しの有無や、画素要素303Aの蓄積開始タイミング又は蓄積終了タイミングを変更する。具体的には、図18に示すステップS101からステップS108の手順に従い、画素要素303A,303Bの蓄積及び読み出しを実施する。
まず、被写体の輝度が検出されると、ステップS101において、検出された被写体の輝度に応じて、画素要素303Aの蓄積時間Tkが設定される。
次いで、ステップS102において、設定された画素要素303Aの蓄積時間Tkが、第2の設定時間T2よりも長いかどうかを判定する。ここでは、第2の設定時間T2は、画素要素303Bの蓄積時間の半分の時間に設定するものとする。第2の設定時間T2は、必ずしも画素要素303Bの蓄積時間の半分の時間である必要はなく、一例では、ストップモーション効果を期待できる最長の蓄積時間として規定することができる。
画素要素303Aの蓄積時間Tkが第2の設定時間T2よりも長い場合(図18中、「yes」)、ステップS103へ移行する。この場合、画素要素Aの出力から得られる「picture A」にはストップモーション効果を期待できないため、画素要素303Aからの読み出しを中止し(ステップS103)、ステップS108へ移行する。
一方、画素要素303Aの蓄積時間Tkが第2の設定時間T2以下の場合(図18中、「no」)、ステップS104へ移行する。
ステップS104では、画素要素303Aの蓄積時間Tkが第1の設定時間T1以下であるかどうかを判定する。ここでは、第1の設定時間T1は、撮像素子184の総ての画素要素303Bを読み出すのに要する期間(例えば、時刻t35から時刻t56の期間)に相当する時間に設定するものとする。
画素要素303Aの蓄積時間TKが第1の設定時間T1以下の場合(図18中、「yes」)、ステップS105へ移行する。ステップS105において、制御手段は、画素要素303Aの蓄積期間が、前フレームの画素要素303Bの読み出し期間よりも後に終了するように、画素要素303Aの蓄積期間を設定する。一例では、第1行目の画素要素303Aの蓄積期間の終了するタイミングが、第m行目の画素要素303Bの蓄積期間の開始するタイミングと一致するように、画素要素303Aの蓄積期間を設定する。すなわち、画素要素303Aの蓄積期間の終了タイミングを、画素要素303Bの蓄積期間に応じた所定時刻に固定するように、画素要素303Aの蓄積期間を設定する。
一方、画素要素303Aの蓄積時間TKが第1の設定時間T1よりも長い場合(図18中、「no」)、ステップS106へ移行する。ステップS106において、制御手段は、画素要素303Aの蓄積期間が、前フレームの画素要素303Bの読み出し期間中に終了しないように、画素要素303Aの蓄積期間を設定する。一例では、第1行目の画素要素303Aの蓄積期間の開始するタイミングが、第1行目の画素要素303Bの蓄積期間の開始するタイミングと一致するように、画素要素303Aの蓄積期間を設定する。すなわち、画素要素303Aの蓄積期間の開始タイミングを、画素要素303Bの蓄積期間に応じた所定時刻に固定するように、画素要素303Aの蓄積期間を設定する。
このようにして、ステップS105又はステップS106において画素要素303Aの蓄積期間を設定した後、ステップS107へ移行する。
画素要素303Aの蓄積タイミングが設定されると、制御手段は、ステップS107において、画素要素303Aの蓄積及び読み出しを実行する。画素要素303Aの蓄積及び読み出しが終了した後、ステップS108へ移行する。
次いで、ステップS108において、制御手段は、画素要素303Bの蓄積及び読み出しを実行する。
ステップS105及びステップS106における画素要素303Aの蓄積期間の設定手法について、図19を用いてより詳細に説明する。図19は、画素要素303Aの出力である「picture A」と画素要素303Bの出力である「picture B」のシャッタースピードの差異を撮像シーケンス上で説明する図である。図には、横軸を時間として、V同期信号481、「picture A」の蓄積期間482,483、「picture B」の蓄積期間484,485を示している。nは、フレーム番号である。
図19(a)は、画素要素303Aの蓄積時間Tkが第1の設定時間T1以下の場合(Tk≦T1)における撮像シーケンスの一例である。図19(a)において、蓄積期間482は、「picture A」の画面上端ライン(第1ライン)の蓄積期間であり、蓄積期間483は、「picture A」の画面下端ライン(第mライン)の蓄積期間である。撮像素子184はローリング電子シャッター機能で露光動作を行うために、画面上端のラインから画面下端のラインに向かって、所定の時間間隔で順次蓄積が開始され、当該時間間隔で順次蓄積が終了する。蓄積が終了すると、信号電荷は読み出し回路308により順次読み出される。時刻t60から時刻t4までが蓄積期間482であり、時刻t61から時刻t23が蓄積期間483である。
また、蓄積期間484は、「picture B」の画面上端ライン(第1ライン)の蓄積期間であり、蓄積期間485は、「picture B」の画面下端ライン(第mライン)の蓄積期間である。「picture B」においても「picture A」と同様に、画面上端のラインから画面下端のラインに向かって、所定の時間間隔で順次蓄積が開始され、当該時間間隔で順次蓄積が終了する。蓄積が終了すると、信号電荷は読み出し回路308により順次読み出される。時刻t2から時刻t35までが蓄積期間484であり、時刻t4から時刻t49までが蓄積期間485である。本実施形態による撮像装置の駆動方法において、「picture B」の蓄積時間は固定である。
ここで、Tk≦T1の場合に、例えば画素要素303Aの蓄積期間と画素要素303Bの蓄積期間の開始タイミングを同じにすると、前フレームの画素要素303Bの読み出しが終了する前に画素要素303Aの読み出しが開始する虞がある。例えば、蓄積期間482を時刻t2に開始すると、時刻t4よりも前に蓄積期間482が終了する。この場合、画素要素303Aの読み出し期間と前フレームの画素要素303Bの読み出し期間とが重なり、画素要素303Bの読み出しのフレームレートに影響を与えることになる。
そこで、本実施形態による撮像装置の駆動方法では、ステップS106において、画素要素303Aの蓄積期間の終了タイミングを、画素要素303Bの蓄積期間の開始タイミングに応じて設定する。一例では、図19(a)に示すように、第1行目の画素要素303Aの蓄積期間の終了タイミングが、第m行目の画素要素303Bの蓄積期間の開始タイミングと同じになるように、画素要素303Aの蓄積期間を設定する。なお、第m行目の画素要素303Bの蓄積期間の開始のタイミングは、画素要素303Bの前フレームの読み出し期間の終了のタイミングでもある。こうすることで、画素要素303Aの蓄積期間が前フレームの画素要素303Bの読み出し期間よりも後に終了するようになり、画素要素303Bの読み出しのフレームレートに影響を与えることを防止することができる。
なお、第1行目の画素要素303Aの蓄積期間の終了タイミングは、第m行目の画素要素303Aの読み出しが時刻t35までに終了するタイミングであれば、第m行目の画素要素303Bの蓄積期間の開始タイミング以降でもよい。例えば、画素要素303Aの蓄積期間が、画素要素303Bの蓄積期間の中間近傍に終了するように、画素要素303Aの蓄積期間の終了タイミングを設定することも有効である。こうすることには、画素要素303Aの蓄積時間の重心位置と、画素要素303Bの蓄積時間の重心位置とを近づける効果がある。
図19(b)は、画素要素303Aの蓄積時間Tkが第1の設定時間T1よりも長い場合(Tk>T1)における撮像シーケンスの一例である。図19(b)において、蓄積期間482は、「picture A」の画面上端ライン(第1ライン)の蓄積期間であり、蓄積期間483は、「picture A」の画面下端ライン(第mライン)の蓄積期間である。撮像素子184はローリング電子シャッター機能で露光動作を行うために、画面上端のラインから画面下端のラインに向かって、所定の時間間隔で順次蓄積が開始され、当該時間間隔で順次蓄積が終了する。蓄積が終了すると、信号電荷は読み出し回路308により順次読み出される。時刻t2から時刻t11までが蓄積期間482であり、時刻t4から時刻t23までが蓄積期間483である。
また、蓄積期間484は、「picture B」の画面上端ライン(第1ライン)の蓄積期間であり、蓄積期間485は、「picture B」の画面下端ライン(第mライン)の蓄積期間である。「picture B」においても「picture A」と同様に、画面上端のラインから画面下端のラインに向かって、所定の時間間隔で順次蓄積が開始され、当該時間間隔で順次蓄積が終了する。蓄積が終了すると、信号電荷は読み出し回路308により順次読み出される。時刻t2から時刻t35までが蓄積期間484であり、時刻t4から時刻t49までが蓄積期間485である。本実施形態による撮像装置の駆動方法において、「picture B」の蓄積時間は固定である。
ここで、Tk>T1の場合に、画素要素303Aの蓄積期間を画素要素303Bの蓄積期間よりも先に開始すると、前フレームの画素要素303Bの読み出しが終了する前に画素要素303Aの読み出しが開始する虞がある。例えば、蓄積期間482を時刻t2よりも前に開始すると、時刻t4よりも前に蓄積期間482が終了する時刻t11が到来することが考えられる。この場合、画素要素303Aの読み出し期間と前フレームの画素要素303Bの読み出し期間とが重なり、画素要素303Bの読み出しのフレームレートに影響を与えることになる。
そこで、本実施形態による撮像装置の駆動方法では、ステップS105において、画素要素303Aの蓄積期間の開始タイミングを、画素要素303Bの蓄積期間の開始タイミングに応じて設定する。一例では、図19(b)に示すように、画素要素303Aの蓄積期間の開始タイミングが、画素要素303Bの蓄積期間の開始タイミングと同じになるように、画素要素303Aの蓄積期間を設定する。こうすることで、画素要素303Aの蓄積期間が前フレームの画素要素303Bの読み出し期間よりも後に終了するようになり、画素要素303Bの読み出しのフレームレートに影響を与えることを防止することができる。
なお、第1行目の画素要素303Aの蓄積期間の開始タイミングは、第m行目の画素要素303Aの読み出しが時刻t35までに終了するタイミングであれば、第1行目の画素要素303Bの蓄積期間の開始タイミング以降でもよい。例えば、画素要素303Aの蓄積期間が、画素要素303Bの蓄積期間の中間近傍に終了するように、画素要素303Aの蓄積期間の開始タイミングを設定することも有効である。こうすることには、画素要素303Aの蓄積時間の重心位置と、画素要素303Bの蓄積時間の重心位置とを近づける効果がある。
このように、本実施形態による撮像装置の駆動方法では、画素要素303Aの読み出し期間と画素要素303Bの読み出し期間とが重ならないように、画素要素303Aの蓄積期間を制御している。より具体的には、画素要素303Aの読み出しを、画素要素303Bの蓄積時間中であって、画素要素303Bの読み出しを行う前に終了する。これにより、画素要素303Aの読み出しが画素要素303Bの読み出しのフレームレートに影響を与えることはない。
図20は、撮像装置100に電源を投入した後のライブビュー表示中の表示部153の様子を表す図である。表示部153には、撮影光学系152を通して捉えられた人物163のスポーツシーンが表示されている。また、撮影モード選択レバー156が図1(b)の状態から時計方向に90度回動した位置にあるので、デュアル映像モードでの「picture A」と「picture B」のシャッタースピード491,492及びFナンバー493が表示されている。
図21は、スイッチST154、スイッチMV155を操作することにより取得し映像のうちの1フレームを示したものである。図21(a)は、シャッタースピード1/1000、絞り値F4.0で撮影された「picture A」の映像である。図21(b)は、シャッタースピード1/60、絞り値F4.0で撮影された「picture B」の映像である。図21(b)に示した映像は、シャッタースピードが遅いため、被写体の動きが止まらずにぶれている。ただし、これを60fps程度のフレームレートの動画として再生すると、このぶれがむしろ良い方向に働いてジャーキネスが抑制された滑らかな高品位な映像となる。一方、図21(a)に示した映像は、シャッタースピードが速く、本来であればストップモーション効果が現れるはずである。しかしながら、図14を用いて先に説明したように、シリコン基板内部で発生した信号電荷が拡散によって隣接する画素要素に漏れ込み、図21(b)に示した映像があたかも足し合わされたかのような滲んだ映像となっている。このクロストーク現象は、図21(b)に示した映像においても発生しているが、元々ぶれた映像であるためほとんど目立たない。
そこで、速いシャッタースピードによる本来のストップモーション効果を得るために、本実施形態による撮像装置においては、撮像素子184から出力された映像信号に対してクロストーク補正を施す。
図22は、クロストーク補正を含む一連の処理手順を示すフローチャートである。本実施形態による撮像装置100における撮像から記録までの処理は、例えば図22に示すステップS151〜ステップS155により実行される。
ステップS151においては、スイッチMV155の操作に応じて、図12を用いて説明したシーケンスに従い、フォトダイオード310A,310Bへの信号電荷の蓄積と信号電荷の読み出しとを行う。
ステップS153では、シリコン基板内部で発生した信号電荷が隣接画素要素に漏れ込んだことにより生じたクロストークを低減するための補正(クロストーク補正)を行う。クロストーク補正は、デジタル信号処理部187において行われる。すなわち、デジタル信号処理部187は、クロストーク補正部として機能する。
ステップS154では、現像と、必要に応じて圧縮処理を行う。なお、現像処理では、一連の処理のうちの1つとしてガンマ補正が行われる。ガンマ補正とは、入力された光量分布に対してガンマ関数を施す処理である。この結果、入力された光量分布に対してその出力は線形性が保たれず、クロストークの比もその時の光量によって変わってきてしまう。このため、クロストーク補正は、図21に示すように、ステップS154よりも前段階で行うことが望ましい。なお、現像後にクロストーク補正を行うばあいには、光量の大きさによってクロストーク処理を変更し、或いは、映像信号そのものを逆ガンマ補正してからクロストーク補正を行うようにすればよい。
ステップS155では、記録媒体193への映像の記録を行う。記録媒体193に記録する代わりに或いは記録媒体193への記録とともに、無線インターフェース部198を介してネットワーク上の記録装置等に保存するようにしてもよい。
図23は、ステップS153でデジタル信号処理部187において行われるクロストーク補正処理を説明するための図である。実際の処理は、デジタル信号処理として実行される。
デジタル信号処理部187において、A/D変換処理が施された後の信号471Aは、クロストーク量補正部473Aに入力され、また、クロストーク量演算部472Aを介してクロストーク量補正部473Bに入力される。同様に、デジタル信号処理部188において、A/D変換処理が施された後の信号471Bは、クロストーク量補正部473Bに入力され、また、クロストーク量演算部472Bを介してクロストーク量補正部473Aに入力される。
クロストーク量補正部473Aでは、信号471Aと、クロストーク量演算部472Bにおいてクロストーク補正関数gij(n)により所定の演算が施された後の信号471Bとに基づき、信号471Aのクロストーク補正を行い、出力信号474Aを得る。出力信号474Aに対しては、デジタル信号処理部187における後段の処理である現像や圧縮処理が施される。
クロストーク量補正部473Bでは、信号471Bと、クロストーク量演算部472Aにおいてクロストーク補正関数fij(n)により所定の演算が施された後の信号471Aとに基づき、信号471Bのクロストーク補正を行い、出力信号474Bを得る。出力信号474Bに対しては、デジタル信号処理部188における後段の処理である現像や圧縮処理が施される。
クロストークは生成される信号電荷の量に依存するため、クロストーク量補正部473A,473Bにより、一方の画素要素で生成された信号電荷の量に応じたクロストーク量によって他方の画素要素の出力信号を補正することでクロストーク補正が可能となる。これにより、他方の画素の出力信号から、これに重畳している一方の画素要素からのクロストーク成分を除去することができる。
ここで、nフレーム目の「picture A」の画素アドレスijにおけるデータをDATA_Aij(n)、nフレーム目の「picture B」の画素アドレスijにおけるデータをDATA_Bij(n)、補正係数をαとする。クロストークは入力光量に依存することから、nフレーム目の「picture A」の画素アドレスijの補正されたデータをC_DATA_Aij(n)は、式(4)のように表すことができる。
C_DATA_Aij(n)
=DATA_Aij(n)−α×DATA_Bij(n) …(4)
クロストーク補正関数fij(n)を、
fij(n)=−α×DATA_Bij(n)
とすると、式(4)は、
C_DATA_Aij(n)=DATA_Aij(n)+fij(n)
と表すことができる。
同様に、nフレーム目の「picture B」の画素アドレスijにおける補正されたデータC_DATA_Bij(n)は、補正係数をβとして、式(5)のように表すことができる。
C_DATA_Bij(n)
=DATA_Bij(n)−β×DATA_Aij(n) …(5)
クロストーク補正関数gij(n)を、
gij(n)=−β×DATA_Aij(n)
とすると、式(5)は、
C_DATA_Bij(n)=DATA_Bij(n)+gij(n) …(6)
と表すことができる。
前述したように、「picture B」でもクロストークは発生しているが、元々ぶれた映像であるためにほとんど目立たないので、式(5)〜式(6)に示した処理は省略してもよい。比較的短い蓄積時間の映像に対してはクロストーク補正を行い、比較的長い蓄積時間の映像に対してはクロストーク補正を行わないようにすれば、演算負荷を低減することも可能である。
図24は、クロストーク補正関数fij(n),gij(n)の具体例を示す図である。同図において、横軸が入力データの大きさを示し、縦軸が補正すべきクロストーク補正量を示している。クロストーク補正関数fij(n),gij(n)は、いずれも、入力データに比例したクロストーク補正量を得る関数である。厳密には、画素構造に依存して異なるものの、補正係数αと補正係数βとは同程度の数値となる。ただし、画素要素への光の入射角に依存してシリコン基板内部で発生した信号電荷が拡散により隣接画素要素に漏れ込む度合いは異なる。このことから、絞り181を開けてFナンバーが大きくなっているときほどクロストークは大きく、クロストーク補正量の絶対値も大きくなる。一方、絞り181を絞ってFナンバーが小さくなっているときほどクロストークは小さく、クロストーク補正量の絶対値も小さくなる。図において、特性591はF2.8のときのクロストーク補正関数であり、特性592はF5.6のときのクロストーク補正関数であり、特性593はF11のときのクロストーク補正関数である。特性591、特性592、特性593の順に傾きが小さくなっている。なお、撮影光学系152のFナンバーは連続的に変化させることができるので、補正係数α及び補正係数βをFナンバーの関数とすれば、より高精度なクロストーク補正を実現することができる。
また、補正係数αと補正係数βは、相対的に短く設定した「picture A」用のフォトダイオードの蓄積時間の関数とするとよい。さらに、像高によってもクロストーク補正量を変えることで、より正確なクロストーク補正を実現することができる。ライトガイド255への光の入射が斜めになることでクロストークは増加するので、画素アドレスijを基に光軸180から画素までの距離ZKを算出し、距離ZKに比例して絶対値が増加するようにクロストーク補正を加えればよい。さらに、ライトガイド255への光の入射角の変化は、撮影光学系152の射出瞳と撮像素子184との距離HKにも依存するので、クロストーク補正関数を距離HKの関数とすることでより高精度な補正を行うことができる。
図25は、シャッタースピード1/1000、絞り値F4.0で撮影された「picture A」の映像(図21(a))に対してクロストーク補正を施した後の「picture A」の映像である。図21(a)の映像では、シリコン基板内部で発生した信号電荷が拡散により隣接画素要素に漏れ込み、図21(b)に示した映像があたかも足し合わされたかのような滲んだ映像となっていた。それに対して、図25の映像では、本来の速いシャッタースピードによるストップモーション効果が現れている。デジタルスチルモーションカメラの表示部153上では、再生ボタン161が操作されたときに、例えば図26に示すように、「picture A」496と「picture B」497の両方を並べて表示できることが望ましい。このようにすれば、映像を比較することでストップモーション効果のレベルを確認することができる。なお、この処理は、映像データを、ネットワークを介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータがプログラムを読み出して実行するように構成してもよい。
図27は、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、テレビモニタなどにおける、ストレージに格納された「picture A」及び「picture B」の活用例を説明するための図である。
「picture A」及び「picture B」のデータファイルは、ネットワーク上のストレージ等に格納されているものとする。図において、フレーム群581は、MP4ファイルに格納された「picture A」のフレーム群であり、フレーム群571は、別のMP4ファイルに格納された「picture B」のフレーム群である。これらのMP4ファイルには撮影時に同じCLIP−UMIDが設定され、関連付けがなされている。
まず、動画の再生をスタートすると、「picture B」のフレーム群571の先頭フレーム572から決められたフレームレートで順次フレームが再生される。「picture B」は、シャッタースピードが過度に速くならないような設定(この例では1/60秒)で撮影されているため、再生された映像はジャーキネスが抑制された高品位なものである。
ここで、「picture B」の動画の提示中に、使用者から再生モードの切り替え指示があった場合を想定する。例えば、フレーム573まで再生が進んだ時点で使用者が一時停止の操作を行うと、自動的に「picture B」に対応する「picture A」のデータファイルから同一タイムコードのフレーム582が検索され、表示される。「picture A」は、ストップモーション効果が得られやすい高速シャッタースピード(この例では1/1000秒)で撮影されており、スポーツシーンの一瞬を写し止めた迫力のある映像である。「picture A」と「picture B」の2つの映像は、異なる蓄積時間の設定で撮影されるが、「picture A」についてゲインアップするのではなく、撮像素子184において同程度の信号電荷を得ている。このため、「picture A」及び「picture B」のどちらもS/N比の良好なノイズ感のない映像となっている。
ここで、印刷の指示を行うと、「picture A」のフレーム582のデータがプリントインターフェース部194を介してプリンタ195に対して出力される。したがって、印刷物も、「picture A」を反映したストップモーション効果がある迫力のあるものとなる。
使用者が一時停止を解除すると、自動的に「picture B」のフレーム群571に戻って、フレーム574から再生が再開する。このとき、再生される映像はジャーキネスが抑制された高品位なものである。
このように、本実施形態によれば、1つの撮像素子を用いて蓄積期間の異なる信号に基づく複数の映像を同時に撮影する際に、フレームレートを犠牲にすることなく、これら複数の映像を読み出すことができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による撮像装置について、図28乃至図30を用いて説明する。図1乃至図27に示す第1実施形態による撮像装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。
第1実施形態では、受光効率(感度)の異なる2つのフォトダイオード310A,310Bを蓄積時間に応じて使い分けることで様々な撮影シーン適した映像の撮影を可能にした。本実施形態では、1つのフォトダイオードの蓄積時間を制御することによって第1実施形態と同様の効果を実現する例を説明する。
本実施形態による撮像装置は、撮像素子184の画素303の回路構成が異なるほかは、第1実施形態による撮像装置と同様である。
図28は、本実施形態による撮像装置の撮像素子184の画素303の回路構成を示す回路図である。図28には、画素アレイ302を構成する複数の画素303のうち、第1列、第1行の画素303と、第1列、第m行の画素303とを示している。それぞれの画素303は、図28に示すように、フォトダイオード600、転送トランジスタ601A,601B,602A,602B,603、リセットトランジスタ604、増幅トランジスタ605及び選択トランジスタ606を含む。
フォトダイオード600のアノードは、接地線に接続されている。フォトダイオード600のカソードは、転送トランジスタ601Aのソース、転送トランジスタ601Bのソース及び転送トランジスタ603のソースに、それぞれ接続されている。転送トランジスタ601Aのドレインは、転送トランジスタ602Aのソースに接続されている。転送トランジスタ601Aのドレインと転送トランジスタ602Aのソースとの間の接続ノードは、信号保持部607Aを構成する。転送トランジスタ601Bのドレインは、転送トランジスタ602Bのソースに接続されている。転送トランジスタ601Bのドレインと転送トランジスタ602Bのソースとの間の接続ノードは、信号保持部607Bを構成する。
転送トランジスタ602Aのドレイン及び転送トランジスタ602Bのドレインは、リセットトランジスタ604のソース及び増幅トランジスタ605のゲートに接続されている。転送トランジスタ602Aのドレイン、転送トランジスタ602Bのドレイン、リセットトランジスタ604のソース及び増幅トランジスタ605のゲートの接続ノードは、フローティングディフュージョン領域608を構成する。増幅トランジスタ605のソースは、選択トランジスタ606のドレインに接続されている。リセットトランジスタ604のドレイン及び増幅トランジスタ605のドレインは、電源線620に接続されている。転送トランジスタ603のドレインは、電源線621に接続されている。選択トランジスタ606のソースは、信号出力線623に接続されている。
このように、本実施形態による撮像装置の撮像素子184の画素303は、1つのフォトダイオード600に対して、2つの信号保持部607A,607Bを有している。なお、信号保持部を有するCMOS型撮像素子の基本構造は、例えば同一出願人による特許文献2に開示されているため、ここでの詳細な説明は省略する。
画素アレイ302の複数の画素303は、行単位で、垂直走査回路307から行方向に配された制御線に接続されている。各行の制御線は、転送トランジスタ601A,602A,601B,602B,603、リセットトランジスタ604及び選択トランジスタ606のゲートにそれぞれ接続された複数の制御線を含む。転送トランジスタ601Aは転送パルスφTX1Aで制御され、転送トランジスタ602Aは転送パルスφTX2Aで制御される。転送トランジスタ601Bは転送パルスφTX1Bで制御され、転送トランジスタ602Bは転送パルスφTX2Bで制御される。リセットトランジスタ604はリセットパルスφRESで制御され、選択トランジスタ606は選択パルスφSELで制御される。転送トランジスタ603は転送パルスφTX3で制御される。各制御パルスは、撮像装置のシステム制御CPU178からの制御信号に基づいて不図示の垂直走査回路307から送出される。各トランジスタは、制御パルスがハイレベルのときにオンとなり、制御パルスがローレベルのときにオフとなる。
本実施形態の撮像装置を構成する撮像素子184は、1つのフォトダイオード600に対して2つの信号保持部607A,607Bを有している。これにより、第1の映像信号である静止画と第2の映像信号である動画とを同時に撮影することが可能となっている。そのため、S/N比の低下を伴わずに蓄積期間の異なる二つの映像信号を読み出すことが可能となっている。
図29は、本実施形態の撮像装置において、第1の映像信号である静止画と第2の映像信号である動画とを同時に撮影する際の、撮像素子184の蓄積及び読み出しタイミングを説明する図である。ここでいう蓄積とは、フォトダイオード600で発生した電荷を信号保持部607A,607Bに転送して蓄積する動作である。また読み出しとは、信号保持部607A,607Bに保持された電荷に基づく信号を、フローティングディフュージョン領域608を介して撮像素子184の外部に出力する動作である。
図29には、横軸を時間として、垂直同期信号650、水平同期信号651、静止画蓄積期間661、静止画転送期間662、静止画読み出し期間665、動画蓄積期間663、動画転送期間664、動画読み出し期間666を示している。ここで、静止画蓄積期間661とは、静止画のための信号電荷のフォトダイオード600への蓄積期間を示している。静止画転送期間662とは、静止画のための信号電荷をフォトダイオード600から信号保持部607に転送する期間を示している。静止画読み出し期間665とは、静止画の読み出し期間である。動画蓄積期間663とは、動画のための信号電荷のフォトダイオード600への蓄積期間を示している。動画転送期間664とは、動画のための信号電荷をフォトダイオード600から信号保持部607に転送する期間を示している。動画読み出し期間666とは、動画の読み出し期間である。
本駆動例では、垂直同期信号650の1周期の間に静止画と動画とを読み出すようになっている。また、図29には便宜的に16行のタイミングを図示しているが、実際の撮像素子184は数千行を有する。図29では、最終行を第m行としている。
第1の映像信号である静止画は、垂直同期信号650の1周期(時間Tf)の間に全行同時に実施される1回の蓄積期間(静止画蓄積期間661)の間に生じた信号電荷に基づいて生成される。また、第2の映像信号である動画は、Np回(Npは2以上の整数(Np>1))に分割された蓄積期間(動画蓄積期間663)の間にそれぞれ生じた信号電荷を加算した信号電荷に基づいて生成される。本実施形態では第2の映像信号である動画の1撮影周期中に行われる蓄積期間の回数Npは、例えば16回であり、これら蓄積期間は均等な時間間隔で行われる。垂直同期信号650の間隔Tf(時間Tf)は動画のフレームレートに相当し、例えば本実施形態では1/60秒である。
このようにすることで、動画と静止画とを同時に撮影することが可能である。また、静止画として、撮影者の意図する蓄積時間の短いブレのない画像を取得可能である、一方、動画として、ジャーキネスの抑制された滑らかな画像を取得することが可能である。
図29に記載の最初の撮影周期(Tf)において、静止画の蓄積時間(静止画蓄積期間661)は、撮影者によって設定されたシャッタースピードT1に相当する時間に設定されている。本駆動例では、シャッタースピードT1は、1/2000秒である。静止画の蓄積期間は全行同時であり、静止画の第1行目の読み出し(静止画読み出し期間665)の開始直前に終了するように設定されている。静止画の蓄積期間の終了時刻は、垂直同期信号650から時間Taの経過後の時刻である。時間Taは、垂直同期信号650の間隔Tfの半分以下に設定される。静止画の蓄積期間(静止画蓄積期間661)の終了時刻は全行同時のため、垂直同期信号650に対する静止画の蓄積期間の開始時刻は、静止画のシャッタースピードT1に応じて設定されるようになっている。第1の映像信号である静止画の読み出し(静止画読み出し期間665)は、第2の映像信号である動画の蓄積期間(動画蓄積期間663)中に実行される。
一方、動画の蓄積期間(動画蓄積期間663)は、1周期中に均等な時間間隔で複数回行われる。本駆動例では、各行の読み出し(動画読み出し期間666)の開始直前までに16回に分割された蓄積期間が終了するように時間間隔が設定される。動画の蓄積期間の時間間隔は、水平同期信号651の間隔Thの整数倍に設定される。これにより、動画の各行の蓄積タイミングは同じになっている。図29では、動画の蓄積期間の時間間隔は、便宜的に水平同期信号651の間隔Thの2倍になるように図示されている。通常は、動画の蓄積期間の時間間隔は、撮像素子184の行数をm、1周期中の動画の蓄積期間の回数をNpとすると、m/Npを超えない整数に水平同期信号651の間隔Thを掛けた値に設定される。
また、動画の1回の蓄積時間は、T1/Np(=1/32000秒)に設定される。動画の各行の蓄積期間の開始時刻は、垂直同期信号650に対して固定である。動画の1回の蓄積期間の終了時刻は、撮影者によって設定された静止画のシャッタースピードT1に応じて、垂直同期信号650に対して設定されるようになっている。
一方、被写体輝度が低いときに撮影者が静止画のシャッタースピードT2を長めに設定(例えば、T2=1/500秒)した例を示したのが、図29の時刻t1から開始する2番目の撮影周期(Tf)である。
最初の撮影周期において説明したように、静止画の蓄積期間の終了時刻は全行同時(垂直同期信号650から時間Taの経過後の時刻)であり、静止画の第1行目の読み出し(静止画読み出し期間665)の開始直前に終了するように設定されている。静止画の蓄積期間の終了時刻は全行同時のため、静止画のシャッタースピードT1に応じて、垂直同期信号650に対する静止画の蓄積期間の開始時刻が設定されるようになっている。第1の映像信号である静止画の読み出し(静止画読み出し期間665)は、第2の映像信号である動画の蓄積期間(動画蓄積期間663)中に実行される。
最初の撮影周期の場合と同様に、動画の蓄積期間は、1周期中に均等な時間間隔で複数回行われる。本駆動例では、各行の読み出し(動画読み出し期間666)の開始直前までに16回に分割された蓄積期間が終了するように時間間隔が設定される。動画の蓄積期間の時間間隔は、水平同期信号651の間隔Thの整数倍に設定される。これにより、動画の各行の蓄積タイミングは同じになっている。また、動画の1回の蓄積時間は、T2/Np(=1/8000秒)に設定される。動画の各行の蓄積期間の開始時刻は、垂直同期信号650に対して固定である。動画の1回の蓄積期間の終了時刻は、撮影者によって設定された静止画のシャッタースピードT2に応じて、垂直同期信号650に対して設定されるようになっている。
次に、図30のタイミングチャートを用いて、図29の時刻t1から開始する2番目の撮影周期における撮像素子184の制御方法の一例を説明する。図30において、垂直同期信号φVが立ち上がる時刻t1は、図29において垂直同期信号650が立ち上がる時刻t1と同じである。
ここでは、撮像素子184が垂直方向にm行の画素列を有している場合を想定する。図30には、これらのうち第1行と最終行の第m行のタイミングを示している。図30において、信号φVは垂直同期信号であり、信号φHは水平同期信号である。
まず、時刻t1において、タイミング発生部189から供給される垂直同期信号φV及び水平同期信号φHがローレベルからハイレベルへと遷移する。
次いで、垂直同期信号φVがハイレベルになるのに同期した時刻t2において、垂直走査回路307から供給される第1行のリセットパルスφRES(1)がハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、第1行の画素303のリセットトランジスタ604がオフとなり、フローティングディフュージョン領域608のリセット状態が解除される。同時に、垂直走査回路307から供給される第1行の選択パルスφSEL(1)がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第1行の画素303の選択トランジスタ606がオンとなり、第1行の画素303からの映像信号の読み出しが可能となる。
次いで、時刻t3において、垂直走査回路307から供給される第1行の転送パルスφTX2B(1)がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第1行の画素303の転送トランジスタ602Bがオンとなり、直前の撮影周期(時刻t1に終了する撮影周期)中に信号保持部607Bに蓄積された動画の信号電荷がフローティングディフュージョン領域608に転送される。すると、フローティングディフュージョン領域608の電位の変化に応じた信号が、増幅トランジスタ605及び選択トランジスタ606を介して信号出力線623に読み出される。信号出力線623に読み出された信号は、不図示の読み出し回路に供給されて動画の第1行の画像信号として外部に出力される(図29の動画読み出し期間666に相当)。
次いで、時刻t4において、垂直走査回路307から供給される第1行の転送パルスφTX2B(1)及び全行の転送パルスφTX2A(φTX2A(1),φTX2A(m))がローレベルからハイレベルとへと遷移する。これにより、第1行の画素303の転送トランジスタ602B及び全行の画素303の転送トランジスタ602Aがオンとなる。このとき、既に全行のリセットパルスφRES(φRES(1),φRES(m))はハイレベルに遷移しており、リセットトランジスタ604はオン状態になっている。これにより、全行の画素303のフローティングディフュージョン領域608、全行の画素303の信号保持部607A、第1行の画素303の信号保持部607Bは、リセットされる。このとき、第1行の選択パルスφSEL(1)はローレベルに遷移しており、第1行の画素303は非選択の状態に戻っている。
次いで、時刻t5において、垂直走査回路307から供給される全行の転送パルスφTX3(φTX3(1),φTX3(m))がハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、全行の画素303の転送トランジスタ603がオフとなり、全行の画素303のフォトダイオード600のリセットが解除される。そして、全行の画素303のフォトダイオード600において、動画の信号電荷の蓄積が開始される(図29の動画蓄積期間663に相当)。
ここで、垂直同期信号φVがハイレベルになる時刻t1と全行の画素303のフォトダイオード600で動画の信号電荷の蓄積が開始する時刻t5との時間間隔Tbは、固定である。
なお、図30の時刻t5における動画の第1行の蓄積期間の開始は、図29の時刻t1から開始する撮影周期における動画の蓄積期間の開始を表している。また、時刻t5における動画の第m行の蓄積期間の開始は、図29の時刻t1に終了する撮影周期における動画の蓄積期間の開始を表している。
図29において、時刻t1に終了する撮影周期と時刻t1から開始する撮影周期とでは、静止画及び動画の蓄積時間が異なっている。時刻t1に終了する撮影周期における蓄積時間は、時刻t1から開始する撮影周期における蓄積時間より短いため、時刻t1に終了する撮影周期における動画の第m行の蓄積期間が先に終了する。
次いで、時刻t6の直前に、第m行の転送パルスφTX1B(m)がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第m行の画素303の転送トランジスタ601Bがオンとなり、第m行の画素303のフォトダイオード600に蓄積された信号電荷が信号保持部607Bに転送される(図29の動画転送期間664に相当)。
次いで、時刻t6において、第m行の転送パルスφTX1B(m)がハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、第m行の画素303の転送トランジスタ601Bがオフとなり、フォトダイオード600に蓄積された信号電荷の信号保持部607Bへの転送が終了する。
時刻t5から時刻t6までの時間が、図29の時刻t1に終了する撮影周期における動画のためのNp回の蓄積期間のそれぞれにおける蓄積時間(=T1/16)に相当する。
同じく時刻t6において、第m行の転送パルスφTX3(m)がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第m行の画素303の転送トランジスタ603がオンとなり、第m行の画素303のフォトダイオード600がリセット状態になる。
次いで、時刻t7の直前に、垂直走査回路307から供給される第1行の転送パルスφTX1B(1)がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第1行の画素303の転送トランジスタ601Bがオンとなり、第1行の画素303のフォトダイオード600に蓄積された信号電荷が信号保持部607Bに転送される。
次いで、時刻t7において、第1行の転送パルスφTX1B(1)がハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、第1行の画素303の転送トランジスタ601Bがオフとなり、第1行の画素303のフォトダイオード600に蓄積された信号電荷の信号保持部607Bへの転送が終了する。
時刻t5から時刻t7までの時間が、図29の時刻t1から開始する撮影周期における動画のためのNp回の蓄積期間のそれぞれにおける蓄積時間(=T2/16)に相当する。
同じく時刻t7において、第1行の転送パルスφTX3(1)がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第1行の画素303の転送トランジスタ603がオンとなり、第1行の画素303のフォトダイオード600がリセット状態になる。
時刻t1から開始する撮影周期における動画の第1回目の蓄積期間の開始の時刻t5から水平同期信号φHの間隔Thの2倍の時間が経過した時刻t8に、動画の第2回目の蓄積期間が開始される。
時刻t8から始まり時刻t10に終了する動画の第2回目の蓄積期間の動作は、前述の時刻t5から始まり時刻t7に終了する動画の第1回目の蓄積期間の動作と同様なので、説明は省略する。
ここで、動画の第1回目及び第2回目の蓄積期間の動作において、これら2回の蓄積期間の間に生じた動画の信号電荷は、信号保持部607Bにおいて加算して保持される。
次いで、時刻t10から時刻t11の間に、前述の時刻t5から時刻t7までの期間と同様にして、動画の第3回目から第5回目の蓄積期間が行われる。
次いで、時刻t11から、動画の第6回目の蓄積期間が開始される。ここで、動画の第6回目の蓄積期間の開始の時刻t11は、垂直同期信号φVがハイレベルになる時刻t1から時間T(=6×2×Th+Tb)が経過した後の時刻に設定されている。ここで、Thは水平同期信号φHの時間間隔であり、Tbは垂直同期信号φVがハイレベルになる時刻t1とフォトダイオード600で動画の第1回目の蓄積期間が開始される時刻t5との時間間隔である。
時刻t11から始まり時刻t13に終了する動画の第6回目の蓄積期間の動作は、前述の時刻t5から始まり時刻t7に終了する動画の第1回目の蓄積期間の動作と同様なので説明は省略する。
次いで、時刻t14から、第1の映像信号である静止画の蓄積期間が開始される。本駆動例では、1撮影周期中における静止画の蓄積期間の回数は1回である。垂直同期信号φVに対する静止画の読み出し期間(図29の静止画読み出し期間665に相当)の開始時刻は固定されている。そのため、垂直同期信号φVに対する静止画の蓄積期間の終了時刻は、開始時刻から時間Taの経過後の時刻に固定され、静止画の蓄積時間は時刻t19に終了するように設定されている。撮影者によって静止画のシャッタースピードT2が設定されると、本実施形態の撮像装置では静止画の蓄積期間の開始時刻が制御される。
静止画の蓄積期間の終了の時刻t19より時間T2だけ遡った時刻t14において、全行の転送パルスφTX3(φTX3(1),φTX3(m))がハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、全行の画素303の転送トランジスタ603がオフとなり、全行の画素303のフォトダイオード600のリセットが解除される。そして、全行の画素303のフォトダイオード600において、静止画の信号電荷の蓄積期間が開始される(図29の静止画蓄積期間661に相当)。
また、静止画の信号電荷の蓄積期間中に、時刻t1に終了する1つ前の撮影周期の動画の第m行の読み出し期間が終了する。
まず、時刻t15において、垂直走査回路307から供給される第m行のリセットパルスφRES(m)がハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、第m行の画素303のリセットトランジスタ604がオフとなり、フローティングディフュージョン領域608のリセット状態が解除される。同時に、垂直走査回路307から供給される第m行の選択パルスφSEL(m)がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第m行の画素303の選択トランジスタ606がオンとなり、第m行の画素303からの映像信号の読み出しが可能となる。
次いで、時刻t16において、第m行の転送パルスφTX2B(m)がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第m行の画素303の転送トランジスタ602Bがオンとなり、時刻t1に終了する1つ前の撮影周期中に信号保持部607Bに蓄積された動画の信号電荷がフローティングディフュージョン領域608に転送される。すると、フローティングディフュージョン領域608の電位の変化に応じた信号が、増幅トランジスタ605及び選択トランジスタ606を介して信号出力線623に読み出される。信号出力線623に読み出された信号は、不図示の読み出し回路に供給されて動画の第m行の画像信号として外部に出力される(図29の動画読み出し期間666に相当)。
これにより、時刻t1に終了する1つ前の撮影周期の第2の映像信号である動画の読み出しが完了し、次に、時刻t1から開始する撮影周期の第1の映像信号である静止画の読み出しが行われる(図29の静止画読み出し期間665に相当)。
次いで、時刻t17において、第m行の転送パルスφTX2B(m)がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第m行の画素303の転送トランジスタ602Bがオンとなる。このとき既に第m行のリセットパルスφRES(m)はハイレベルに遷移しており、リセットトランジスタ604はオン状態になっている。これにより、第m行の画素303のフローティングディフュージョン領域608、第m行の画素303の信号保持部607Bは、リセットされる。このとき、第m行の選択パルスφSEL(m)もローレベルに遷移しており、第m行の画素303は非選択の状態に戻っている。
次いで、時刻t18において、第1行のリセットパルスφRES(1)がハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、第1行の画素303のリセットトランジスタ604がオフとなり、フローティングディフュージョン領域608のリセット状態が解除される。同時に、第1行の選択パルスφSEL(1)がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第1行の画素303の選択トランジスタ606がオンとなり、第1行の画素303からの映像信号の読み出しが可能となる。
次いで、時刻t19の直前に、垂直走査回路307から供給される全行の転送パルスφTX1A(φTX1A(1),φTX1A(m))がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、全行の画素303の転送トランジスタ601Aがオンとなり、全行の画素303のフォトダイオード600に蓄積された信号電荷が信号保持部607Aに転送される(図29の静止画転送期間662に相当)。
次いで、時刻t19において、全行の転送パルスφTX1A(φTX1A(1),φTX1A(m))がハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、全行の画素303の転送トランジスタ601Aがオフとなり、全行の画素303のフォトダイオード600に蓄積された信号電荷の信号保持部607Aへの転送が終了する。
時刻t14から時刻t19までの時間が、時刻t1から開始する撮影周期における静止画の蓄積時間T2に相当する。
次いで、時刻t20において、第1行の転送パルスφTX2A(1)がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第1行の画素303の転送トランジスタ602Aがオンとなり、第1行の画素303の信号保持部607Aに蓄積された信号電荷がフローティングディフュージョン領域608に転送される。すると、フローティングディフュージョン領域608の電位の変化に応じた信号が、第1行の画素303の増幅トランジスタ605及び選択トランジスタ606を介して信号出力線623に読み出される。信号出力線623に読み出された信号は、不図示の読み出し回路に供給されて静止画の第1行の画像信号として外部に出力される(図29の静止画読み出し期間665に相当)。このように、第1の映像信号である静止画の第1行の画像信号は、第2の映像信号である動画の第1行の画像信号の蓄積期間(時刻t5から時刻t26の間)に読み出される。
次いで、時刻t21から、動画の第7回目の蓄積期間が開始される。ここで、動画の第7回目の蓄積期間の開始の時刻t21は、垂直同期信号φVがハイレベルとなる時刻t1から時間T(=(7+2)×2×Th+Tb)が経過した後の時刻に設定されている。本駆動例では、動画の2回の蓄積期間が静止画の蓄積期間(図29の静止画蓄積期間661に相当)と重なっている。このため、動画の第7回目の蓄積期間の開始の時刻t21は、時刻t1に開始する撮影周期の動画の第9回目の蓄積期間の開始の時刻と同等になっている。
時刻t21から始まり時刻t23に終了する動画の第7回目の蓄積期間の動作は、前述の時刻t5から始まり時刻t7に終了する動画の第1回目の蓄積期間の動作と同様なので、説明は省略する。
次いで、時刻t23から時刻t24の間に、前述の時刻t5から時刻t7までの期間と同様にして、動画の第8回目から第13回目の蓄積期間が行われる。
次いで、時刻t24から、時刻t1から開始する撮影周期における動画の最後の第14回目の蓄積期間が開始される。ここで、動画の第14回目の蓄積期間の開始の時刻t24は、垂直同期信号φVがハイレベルとなる時刻t1から時間T(=(14+2)×2×Th+Tb)が経過した後の時刻に設定されている。
時刻t24から始まり時刻t26に終了する動画の第14回目の蓄積期間の動作は、前述の時刻t5から始まり時刻t7に終了する動画の第1回目の蓄積期間の動作と同様なので説明は省略する。
次いで、時刻t27において、第m行のリセットパルスφRES(m)がハイレベルからローレベルへと遷移する。これにより、第m行の画素303のリセットトランジスタ604がオフとなり、フローティングディフュージョン領域608のリセット状態が解除される。同時に、第m行の選択パルスφSEL(m)がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第m行の画素303の選択トランジスタ606がオンとなり、第m行の画素303からの映像信号の読み出しが可能となる。
次いで、時刻t28において、第m行の転送パルスφTX2A(m)がローレベルからハイレベルへと遷移する。これにより、第m行の画素303の転送トランジスタ602Aがオンとなり、第m行の画素303の信号保持部607Aに蓄積された静止画の信号電荷がフローティングディフュージョン領域608に転送される。すると、フローティングディフュージョン領域608の電位の変化に応じた信号が、第m行の画素303の増幅トランジスタ605及び選択トランジスタ606を介して信号出力線623に読み出される。信号出力線623に読み出された信号は、不図示の読み出し回路に供給されて静止画の第m行の画像信号として外部に出力される(図29の静止画読み出し期間665に相当)。このように、第1の映像信号である静止画の第m行の画像信号は、第2の映像信号である動画の第m行の画像信号の蓄積期間に読み出される。
次いで、時刻t29において、タイミング発生部189から供給される垂直同期信号φVがローレベルからハイレベルへと遷移し、次の撮影周期が開始される。
以上のように、本駆動例では、静止画の蓄積期間の終了時刻を垂直同期信号に対して固定とし、1撮影周期中に複数回行われる動画の蓄積期間の開始の時刻は垂直同期信号に対して固定にしている。これにより、同一撮影周期内に動画と静止画とを読み出すことを可能にしている。
これにより、動画のシャッタースピードT1が所定のシャッタースピードTthよりも遅い場合に、1撮影周期中に、蓄積時間が短くブレのない静止画と、蓄積期間が長くジャーキネスの抑制された動画と、を同時に撮影することができる。
このように、本実施形態によれば、1つの撮像素子を用いて蓄積期間の異なる信号に基づく複数の映像を同時に撮影する際に、フレームレートを犠牲にすることなく、これら複数の映像を読み出すことができる。
[変形実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態に記載の撮像装置の構成は、一例を示したものであり、本発明を適用可能な撮像装置は、図1及び図2に示した構成に限定されるものではない。また、撮像素子の各部の回路構成も、図3、図8、図11、図28等に示した構成に限定されるものではない。
例えば、図8に示す画素回路では2つの画素要素303A,303Bにおいてリセットトランジスタ314、増幅トランジスタ315及び選択トランジスタ317を共用しているが、これらトランジスタを画素要素303A,303Bにそれぞれ設けてもよい。また、図8に示す画素回路において、1つの画素を構成する画素要素は2つに限定されるものではなく、3つ以上でもよい。
また、図8に示すサンプルホールド回路では、画素要素303Aからの画素信号を保持する容量と、画素要素303Bからの画素信号を保持する容量とを別々にしているが、これら容量は共用するようにしてもよい。
また、上記第2実施形態では、静止画の蓄積期間を1回、動画の蓄積期間を16回としたが、これら蓄積期間の回数は、撮影条件等に応じて適宜選択されるものであり、これらに限定されるものではない。例えば、静止画の蓄積回数は、少なくとも1回行えばよく、2回以上であってもよい。また、動画の蓄積回数は、少なくとも2回以上であればよい。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。