JP6756990B2 - アルコキシ基を含む置換基を1つ有するイソシアヌル酸誘導体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
(式中、R1は炭素原子数1乃至10のアルキル基を表し、R2は炭素原子数1乃至5のアルキレン基を表し、nは0乃至5の整数を表す。)
(式中、R1、R2及びnはそれぞれ前記式(1)と同義であり、Bnはベンゼン環の少なくとも1つの水素原子がメチル基で置換されていてもよいベンジル基を表す。)
前記式(1’)で表される化合物を含む溶液とアルコール化合物とを、トリフルオロメタンスルホン酸又はトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルの存在下で反応させて得られた反応生成物に、有機塩基を加え当該反応生成物を濃縮し、その後、これをエステル類からなる群から選択される少なくとも1種の溶媒を用いて洗浄することにより下記式(1)で表される化合物(但し、式中nは0を表す。)を得る第二工程を含み、
全ての工程が100℃を超えない温度で行われる、アルコキシ基を含む置換基を1つ有するイソシアヌル酸誘導体の製造方法である。
さらにまた、本発明は下記式(2)で表される化合物を、芳香族炭化水素類及びエーテル類からなる群から選択される少なくとも1種の溶媒中でアルカリ金属炭酸塩と反応させた後に、下記式(3)で表される化合物と反応させることにより下記式(1’)で表される化合物(但し、式(3)及び式(1’)中、nは1乃至5の整数を表す。)を含む溶液を得る第一工程、及び
前記式(1’)で表される化合物を含む溶液とアルコール化合物とを、トリフルオロメタンスルホン酸又はトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルの存在下で反応させて得られた反応生成物に、有機塩基を加え当該反応生成物を濃縮し、そして非プロトン性極性溶媒に溶解し、その後、これをエステル類からなる群から選択される少なくとも1種の溶媒を用いて再結晶させることにより下記式(1)で表される化合物(但し、式中nは1乃至5の整数を表す。)を得る第二工程を含み、
全ての工程が100℃を超えない温度で行われる、アルコキシ基を含む置換基を1つ有するイソシアヌル酸誘導体の製造方法である。
(式中、R1は炭素原子数1乃至10のアルキル基を表し、R2は炭素原子数1乃至5のアルキレン基を表し、nは0、又は1乃至5の整数を表し、Bnはベンゼン環の少なくとも1つの水素原子がメチル基で置換されていてもよいベンジル基を表し、Xはクロロ基、ブロモ基又はヨード基を表す。)
後述する例に示す選択率は、HPLCによる測定結果であり、測定条件等は次のとおりである。
装置:(株)島津製作所製、LC−2010A
カラム:XBridge〔登録商標〕BEH C18 Column,130Å,5μm,4.6mm×250mm(日本ウォーターズ(株))
溶離液:アセトニトリル/0.2%酢酸アンモニウム水溶液=3/7(v/v)(0分〜5分),3/7(v/v)から8/2(v/v)へ組成比を変更(5分〜10分),8/2(v/v)(10分〜15分)
流量 :1.0mL/分
検出器 :UV(210nm)
カラム温度 :40℃
分析時間 :25分
注入量 :1.0μL
希釈溶媒 :アセトニトリル/水=1/1(w/w)
後述する実施例及び比較例に示す選択率は、HPLC分析条件より得られた式(1’−1)又は式(1’−2)で表される中間体の面積値、及び図1に示すリテンションタイム13.88分又は図2に示すリテンションタイム13.82分の副生成物の割合を百分率で算出したものである。
後述する合成例及び実施例に示す収率は、得られた化合物の質量と理論収量を用いて百分率で算出したものである。なお、前記理論収量は、合成に使用した原料化合物のモル数と得られる化合物の分子量を乗じることにより算出したものである。
<合成例1>
シアヌル酸クロリド(東京化成工業(株)製)100.00g、ベンジルアルコール(関東化学(株)製)234.56g、及びクロロホルム600.00gを混合し、撹拌しながら0℃まで冷却した。そこへ、ジイソプロピルエチルアミン280.33gおよびクロロホルム300.00gを混合した溶液を滴下した。滴下終了後、25℃まで昇温し15時間撹拌を行い、反応溶液へ飽和NH4Cl水溶液200.00g加え、分液し、有機層を取り出した。引き続き、その有機層に飽和食塩水200.00gを加え、この分液操作を2回繰り返した。得られた有機層を減圧下で溶媒留去した後、残渣を40℃にて減圧乾燥した。そこへエタノール200.00gを加え0℃で30分撹拌を行った。撹拌後、ろ過し、ろ物をエタノール100.00gで2回洗浄した。得られた結晶を40℃にて減圧乾燥することで、上記式(4)で表されるトリアジン化合物を淡黄色固体として127.24g得た(収率71.2%)。
得られた前記式(4)で表されるトリアジン化合物127.24g、酢酸(関東化学(株)製)46.62g及びメタノール636.20gを混合し、5℃まで冷却した。そこへ、N−メチルモルホリン(東京化成工業(株)製)157.07gを撹拌しながら加えた。引き続き、25℃まで昇温し30分間撹拌を行い、反応溶液へクロロホルム1272.40g、1M HCl 1272.40gを加え分液した。さらに有機層へ飽和食塩水1272.40gを加え分液し、有機層を取り出した。その有機層を40℃にて減圧乾燥し、トルエン254.48gを加え25℃で10分撹拌を行った。撹拌後、ろ過し、ろ物をトルエン127.24gで2回洗浄した。得られた結晶を40℃にて減圧乾燥することで、上記式(2)で表されるトリアジン−オン化合物を白色固体として109.21g得た(収率90.9%)。
合成例1で得られた前記式(2)で表されるトリアジン−オン化合物100.00g、炭酸セシウム(東京化成工業(株)製)131.67g及びトルエン1000.00gを混合し、40℃で30分撹拌した。撹拌後、25℃まで冷却し、そこへ、クロロメチルメチルエーテル(東京化成工業(株)製)32.54gを滴下した。滴下終了後、0℃で30分撹拌を行い、化合物を含む反応溶液を得た。得られた化合物をHPLCにて分析を行ったところ、上記式(1’−1)で表される中間体の選択率は91.2%であった。当該測定により得られたクロマトグラムを図1に示す。
合成例1で得られた前記式(2)で表されるトリアジン−オン化合物1.00g及び溶媒としてトルエンに替えてシクロペンチルメチルエーテル10.00gを用いたこと以外は、実施例1と同様に行い、化合物を含む反応溶液を得た。得られた化合物をHPLCにて分析を行ったところ、上記式(1’−1)で表される中間体の選択率は85.8%であった。
合成例1で得られた前記式(2)で表されるトリアジン−オン化合物1.00g及び溶媒としてトルエンに替えてジメチルスルホキシド10.00gを用いたこと以外は実施例1と同様に行い、化合物を含む反応溶液を得た。得られた化合物をHPLCにて分析を行ったところ上記式(1’−1)で表される中間体の選択率は32.0%であった。
合成例1で得られた前記式(2)で表されるトリアジン−オン化合物1.00g及び溶媒としてトルエンに替えてクロロホルム10.00gを用いたこと以外は実施例1と同様に行い、化合物を含む反応溶液を得た。得られた化合物をHPLCにて分析を行ったところ上記式(1’−1)で表される中間体の選択率は82.0%であった。
合成例1で得られた前記式(2)で表されるトリアジン−オン化合物1.00g及び溶媒としてトルエンに替えて酢酸エチル10.00gを用いたこと以外は実施例1と同様に行い、化合物を含む反応溶液を得た。得られた化合物をHPLCにて分析を行ったところ上記式(1’−1)で表される中間体の選択率は83.1%であった。
合成例1で得られた前記式(2)で表されるトリアジン−オン化合物1.00g及び溶媒としてトルエンに替えてアセトン10.00gを用いたこと以外は実施例1と同様に行い、化合物を含む反応溶液を得た。得られた化合物をHPLCにて分析を行ったところ上記式(1’−1)で表される中間体の選択率は63.5%であった。
実施例1で得られた上記式(1’−1)で表される中間体を含む反応溶液をろ過することにより、炭酸セシウムの残渣を除去し、トルエン100.00gで2回洗浄を行った。その後、ろ液に水1000.00gを加え、2回分液し、有機層を取り出した。上記式(1’−1)で表される中間体を単離することなく得られた前記有機層へメタノール24.86gを混合し、撹拌しながら25℃で、トリフルオロメタンスルホン酸(東京化成工業(株)製)14.56gを滴下した。滴下終了後、25℃で2時間撹拌を行い、反応溶液へトリエチルアミン39.26g加えた。減圧下で反応溶液から溶媒を留去した後、残渣を40℃にて減圧乾燥した。引き続き、酢酸エチルを300.00g加え、25℃で10分撹拌を行った。撹拌後、ろ過し、さらにろ物を酢酸エチル100.00gで2回洗浄した。得られた結晶を40℃にて減圧乾燥することで、上記式(1−1)で表されるモノメトキシメチルイソシアヌル酸を白色固体として26.33g得た(収率47.0%)。また、この化合物の1HNMR(500MHz,DMSO−d6)を測定したところ、δ 11.50(s,2H),5.00(s,2H),3.27(s,3H)であった。
合成例1で得られた前記式(2)で表されるトリアジン−オン化合物100.00g、炭酸セシウム(東京化成工業(株)製)131.67g及びトルエン1000.00gを混合し、40℃で30分撹拌した。撹拌後、25℃まで冷却し、そこへ、2−メトキシエトキシメチルクロリド(東京化成工業(株)製)50.34gを滴下した。滴下終了後、0℃で30分撹拌を行い、化合物を含む反応溶液を得た。得られた化合物をHPLCにて分析を行ったところ上記式(1’−2)で表される中間体の選択率は90.3%であった。当該測定により得られたクロマトグラムを図2に示す。
実施例4で得られた上記式(1’−2)で表される中間体を含む反応溶液をろ過することにより、炭酸セシウムの残渣を除去し、トルエン100.00gで2回洗浄を行った。その後、ろ液に水1000.00gを加え、2回分液し、有機層を取り出した。上記式(1’−2)で表される中間体を単離することなく得られた前記有機層へメタノール24.86gを混合し、撹拌しながら25℃で、トリフルオロメタンスルホン酸(東京化成工業(株)製)9.70gを滴下した。滴下終了後、25℃で2時間撹拌を行い、反応溶液へトリエチルアミン39.26g加えた。減圧下で反応溶液から溶媒を留去した後、残渣を40℃にて減圧乾燥した。引き続き、ジメチルスルホキシドを80.00g加え、100℃で完全に溶解させた後、25℃まで冷却し、酢酸エチル800.00gを加え、0℃で1時間撹拌を行った。撹拌後、ろ過し、さらにろ物を酢酸エチル100.00gで2回洗浄した。得られた結晶を40℃にて減圧乾燥することで、上記式(1−13)で表されるモノメトキシエトキシメチルイソシアヌル酸を白色固体として26.44gで得た(収率37.7%)。また、この化合物の1HNMR(500MHz,DMSO−d6)を測定したところ、δ 11.51(s,2H),5.10(s,2H),3.63(t,2H),3.40(t,2H),3.22(s,3H)であった。
Claims (18)
- 下記式(1)で表される、アルコキシ基を含む置換基を1つ有するイソシアヌル酸誘導体。
- 請求項1に記載の式(1)で表されるアルコキシ基を含む置換基を1つ有するイソシアヌル酸誘導体の製造中間体である、下記式(1’)で表される、前記アルコキシ基を含む置換基を1つ有するイソシアヌル酸誘導体。
- 前記R1は炭素原子数1又は2のアルキル基を表す、請求項1に記載のアルコキシ基を含む置換基を1つ有するイソシアヌル酸誘導体。
- 前記R2は炭素原子数1又は2のアルキレン基を表す、請求項1に記載のアルコキシ基を含む置換基を1つ有するイソシアヌル酸誘導体。
- 前記R1は炭素原子数1又は2のアルキル基を表す、請求項2に記載のアルコキシ基を含む置換基を1つ有するイソシアヌル酸誘導体。
- 前記R2は炭素原子数1又は2のアルキレン基を表す、請求項2に記載のアルコキシ基を含む置換基を1つ有するイソシアヌル酸誘導体。
- 下記式(2)で表される化合物を、芳香族炭化水素類及びエーテル類からなる群から選択される少なくとも1種の溶媒中でアルカリ金属炭酸塩と反応させた後に、下記式(3)で表される化合物と反応させることにより下記式(1’)で表される化合物を含む溶液を得る第一工程、及び
前記式(1’)で表される化合物を含む溶液とアルコール化合物とを、トリフルオロメタンスルホン酸又はトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルの存在下で反応させて得られた反応生成物に、有機塩基を加え当該反応生成物を濃縮し、その後、これをエステル類からなる群から選択される少なくとも1種の溶媒を用いて洗浄することにより下記式(1)で表される化合物を得る第二工程を含み、
全ての工程が100℃を超えない温度で行われる、アルコキシ基を含む置換基を1つ有するイソシアヌル酸誘導体の製造方法。
- 下記式(2)で表される化合物を、芳香族炭化水素類及びエーテル類からなる群から選択される少なくとも1種の溶媒中でアルカリ金属炭酸塩と反応させた後に、下記式(3)で表される化合物と反応させることにより下記式(1’)で表される化合物を含む溶液を得る第一工程、及び
前記式(1’)で表される化合物を含む溶液とアルコール化合物とを、トリフルオロメタンスルホン酸又はトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルの存在下で反応させて得られた反応生成物に、有機塩基を加え当該反応生成物を濃縮し、そして非プロトン性極
性溶媒に溶解し、その後、これをエステル類からなる群から選択される少なくとも1種の溶媒を用いて再結晶させることにより下記式(1)で表される化合物を得る第二工程を含み、
全ての工程が100℃を超えない温度で行われる、アルコキシ基を含む置換基を1つ有するイソシアヌル酸誘導体の製造方法。
- 前記式(3)で表される化合物はクロロメチルメチルエーテル、ブロモメチルメチルエーテル又はクロロメチルエチルエーテルである、請求項7に記載のアルコキシ基を含む置換基を1つ有するイソシアヌル酸誘導体の製造方法。
- 前記第一工程で用いるアルカリ金属炭酸塩は炭酸カリウム又は炭酸セシウムである、請求項7又は請求項9に記載のアルコキシ基を含む置換基を1つ有するイソシアヌル酸誘導体の製造方法。
- 前記第一工程で用いる芳香族炭化水素類及びエーテル類はそれぞれトルエン及びシクロペンチルメチルエーテルである、請求項7、請求項9又は請求項10に記載のアルコキシ基を含む置換基を1つ有するイソシアヌル酸誘導体の製造方法。
- 前記第二工程で用いる少なくとも1種の溶媒は酢酸エチルである、請求項7、請求項9乃至請求項11のいずれか一項に記載のアルコキシ基を含む置換基を1つ有するイソシアヌル酸誘導体の製造方法。
- 前記100℃を超えない温度は0℃乃至50℃である、請求項7、請求項9乃至請求項12のいずれか一項に記載のアルコキシ基を含む置換基を1つ有するイソシアヌル酸誘導体の製造方法。
- 前記式(3)で表される化合物は2−メトキシエトキシメチルクロリドである、請求項8に記載のアルコキシ基を含む置換基を1つ有するイソシアヌル酸誘導体の製造方法。
- 前記第一工程で用いるアルカリ金属炭酸塩は炭酸カリウム又は炭酸セシウムである、請求項8又は請求項14に記載のアルコキシ基を含む置換基を1つ有するイソシアヌル酸誘導体の製造方法。
- 前記第一工程で用いる芳香族炭化水素類及びエーテル類はそれぞれトルエン及びシクロペンチルメチルエーテルである、請求項8、請求項14又は請求項15に記載のアルコキシ基を含む置換基を1つ有するイソシアヌル酸誘導体の製造方法。
- 前記第二工程で用いる少なくとも1種の溶媒は酢酸エチルである、請求項8、請求項14乃至請求項16のいずれか一項に記載のアルコキシ基を含む置換基を1つ有するイソシアヌル酸誘導体の製造方法。
- 前記100℃を超えない温度は0℃乃至50℃である、請求項8、請求項14乃至請求項17のいずれか一項に記載のアルコキシ基を含む置換基を1つ有するイソシアヌル酸誘導体の製造方法。
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