JP2906909B2 - 新規な結晶構造を有するヒドロキシフェニルプロピオン酸エステル - Google Patents

新規な結晶構造を有するヒドロキシフェニルプロピオン酸エステル

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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D493/00Heterocyclic compounds containing oxygen atoms as the only ring hetero atoms in the condensed system
    • C07D493/02Heterocyclic compounds containing oxygen atoms as the only ring hetero atoms in the condensed system in which the condensed system contains two hetero rings
    • C07D493/10Spiro-condensed systems

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な結晶構造を有す
るヒドロキシフェニルプロピオン酸エステルに関するも
のである。本発明で対象とする化合物は、化学名を3,
9−ビス〔2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキ
シ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,
1−ジメチルエチル〕−2,4,8,10−テトラオキ
サスピロ〔5・5〕ウンデカンといい、下記の式(I)
で示される。以下、単にヒドロキシフェニルプロピオン
酸エステル、またはさらに単純に式(I)の化合物と呼
ぶことがある。
【0002】
【化1】
【0003】
【従来の技術】上記式(I)で示されるヒドロキシフェ
ニルプロピオン酸エステルは、特公平3-9134 号公報
(=特開昭 59-25826 号公報)、特開昭 59-231089号公
報および特公平 3-64546号公報(=特開昭 60-197747号
公報)に記載され、公知である。式(I)の化合物は、
ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィ
ン、ポリスチレンや耐衝撃性ポリスチレン、ABSのよ
うなスチレン系合成樹脂、ポリアセタールやポリアミド
のようなエンジニアリングプラスチック、さらにはポリ
ウレタンなど、各種合成樹脂の加工時や使用時の熱、光
および酸素の作用による軟化、脆化、表面亀裂、変色な
どの劣化現象を防止するための安定剤として有用であ
る。
【0004】この化合物は一般に、対応するヒドロキシ
フェニルプロピオン酸の低級アルキルエステルと3,9
−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−
2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5・5〕ウン
デカンとのエステル交換反応によって製造されている。
【0005】そして、この化合物は結晶多形であること
が、特開昭 62-149679号公報および特開昭 62-149680号
公報に開示されており、従来次のような結晶形が知られ
ていた。
【0006】(i) 特公平 3-64546号公報に記載の方
法によって得られ、融点範囲約45〜55℃のガラス状
物質である、いわゆるγ晶、(ii) 特開昭 62-149680
号公報記載の方法によって得られ、融点範囲約104〜
109℃の白色結晶である、いわゆるαβ晶、(iii)
特開昭 62-149679号公報記載の方法によって得られ、融
点範囲約124〜127℃の白色結晶である、いわゆる
δ晶。
【0007】γ晶は、反応によって得られた不純物を含
んだままの混合物や、カラムロクマトグラフィーなどに
より純度を向上させて精製したものを溶融し、これを溶
媒を用いずに急冷することによって得られ、その融点範
囲は約45〜55℃である。また、そのCu−Kα波長の
X線を用いたX線回折パターンは、図5に示すようなも
のとなる。
【0008】αβ晶は、n−ヘキサンやシクロヘキサン
などからの再結晶によって得られ、その融点範囲は約1
04〜109℃である。例えば、式(I)のヒドロキシ
フェニルプロピオン酸エステルと類似の化学構造を有す
る3,9−ビス〔2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−
1,1−ジメチルエチル〕−2,4,8,10−テトラ
オキサスピロ〔5・5〕ウンデカンの精製法として、特
公平 3-9134 号公報にはn−ヘキサンからの再結晶法が
記載されているが、この方法をそのまま式(I)の化合
物に適用した場合に、αβ晶が得られる。αβ晶を、Cu
−Kα波長のX線を用いたX線回折にかけると、図4の
ような回折パターンを示す。
【0009】δ晶は、水溶性溶媒と水との混合物または
環状脂肪族炭化水素類を再結晶溶媒として用い、40℃
以上で結晶を析出させるか、あるいは非水溶性溶媒と鎖
状脂肪族炭化水素類との混合物から再結晶させることに
よって得られ、その融点範囲は約124〜127℃であ
る。δ晶は、Cu−Kα波長のX線を用いたX線回折にか
けると、図3のような回折パターンを示す。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上のような、従来知
られている式(I)のヒドロキシフェニルプロピオン酸
エステルの結晶形のうち、γ晶はガラス状であり、また
αβ晶およびδ晶は微粉末であって、いずれも工業的ス
ケールで製造する際の濾過性、あるいは製品取扱い時の
流動性が悪く、計量性、輸送性、作業性などの面で必ず
しも満足できるものではなかった。
【0011】そこでさらに研究を重ねた結果、特定の再
結晶溶媒を組み合わせることによって、従来のものとは
まったく異なる結晶構造を有する式(I)のヒドロキシ
フェニルプロピオン酸エステルが得られ、しかもこのよ
うな新規な結晶構造を有するヒドロキシフェニルプロピ
オン酸エステルは、製造時の濾過性が改善され、さらに
は製品の嵩比重が大きく、また流動性などの作業性にも
優れることを見出し、本発明に至った。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、Cu−
Kα波長のX線を用いたX線回折測定により、回折角2
θ=7.9°に鋭いX線回折ピークを示す結晶構造を有す
る前記式(I)で示されるヒドロキシフェニルプロピオ
ン酸エステルを提供するものである。
【0013】本発明による新規な結晶構造(以下、ε晶
と呼ぶ)を有する前記式(I)のヒドロキシフェニルプ
ロピオン酸エステルは、Cu−Kα波長のX線を用いたX
線回折測定により、図1のような回折パターンを示す。
図1の回折パターンを詳しく解析すると表1のようにな
る。
【0014】
【表1】
【0015】こうした本発明によるε晶の融点は、純度
が極めて高ければ約116〜119℃の範囲にあるが、
通常の化合物と同様、純度低下や他の結晶形との混合に
よって、上記の融点範囲より若干低い、またはより広い
融点範囲を示すことがある。その融点範囲は一概にいえ
ないが、概ね110〜124℃の範囲に入る。
【0016】また本発明のε晶は、表1および図1に示
したようなCu−Kα波長のX線を用いたX線回折パター
ンのうち、特に2θ=7.9°にある鋭い回折ピークによ
り、容易に従来公知のδ晶、αβ晶およびγ晶と区別す
ることができる。すなわち、δ晶は特開昭 62-149679号
公報に記載されまた図3に示すように、2θ=4.2°お
よび2θ=10.6°に鋭い回折ピークを示し、αβ晶は
特開昭 62-149680号公報に記載されまた図4に示すよう
に、2θ=2.8°、2θ=8.7°および2θ=11.7°
に鋭い回折ピークを示すが、いずれも2θ=7.9°には
回折ピークはみられない。一方γ晶は、図5に示すよう
に固有の回折ピークを示さない。さらに本発明のε晶
は、δ晶やαβ晶にみられる2θ=3〜4°付近の回折
ピークがない点でも、δ晶やαβ晶と区別される。
【0017】本発明によるε晶は、δ晶およびαβ晶に
比べて結晶が成長しやすく、その結果大きな結晶が得ら
れ、製造時の濾過性および製品取扱い時の輸送性、計量
性、作業性などが改善される。またε晶は、晶析操作の
際、反応によって生成する不純物の取り込みが少なく、
結果としてδ晶およびαβ晶より純度の高い製品を得る
ことができる。
【0018】ε晶はまた、有機溶媒に対して、δ晶およ
びαβ晶より低い溶解度を示し、さらには反応によって
生成する不純物との相互溶解度も低いため、高い収率で
得られる。表2は、ε晶およびδ晶の各種有機溶媒に対
する溶解度を20℃で測定した結果を示している。
【0019】
【表2】
【0020】さらにε晶は、従来の結晶であるαβ晶や
δ晶に比べて吸湿性が小さいため、ポリウレタン製造時
など、水分の影響を受けやすい用途に対しても、再乾
燥、防湿包装といった追加操作を加えることなく、簡便
に好適に用いることができる。表3は、ε晶およびδ晶
について、製品粉末を室温、相対湿度100%の雰囲気
に一定期間暴露し、各期間暴露後の水分量をカールフィ
シャー法にて求めた結果を示している。
【0021】
【表3】
【0022】このように、本発明によるε晶は種々の優
れた特性を有し、こうした特性は、従来技術からはまっ
たく予測できないものであった。
【0023】かかるε晶は、式(I)で示されるヒドロ
キシフェニルプロピオン酸エステルを、炭素数6〜12
の芳香族炭化水素類から選ばれる第1の溶媒と、炭素数
6〜10の脂肪族炭化水素類から選ばれる第2の溶媒と
の混合溶媒に溶かし、次いで種晶を投入して再結晶を行
うことにより、得ることができる。この場合、第1の溶
媒と2の溶媒との割合、あるいはヒドロキシフェニルプ
ロピオン酸エステルに対する混合溶媒の量や晶析温度な
どの晶析条件により、その他の結晶形との混合物になっ
たり、製品純度低下を招くことがある。そこで、式
(I)で示されるヒドロキシフェニルプロピオン酸エス
テルを、前記第1の溶媒および前記第2の溶媒に加え
て、さらに水溶性の有機溶媒から選ばれる第3の溶媒を
用いた混合溶媒に溶かし、次いで種晶を用いて結晶化を
行う方法を採用すれば、高品質の製品を高い収率で得る
ことができる。
【0024】第1の溶媒である炭素数6〜12の芳香族
炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、エチルベン
ゼン、キシレン、クメン、シメン、クロルベンゼンなど
を挙げることができ、なかでも、トルエンおよびキシレ
ンが好ましく用いられる。一方、第2の溶媒である炭素
数6〜12の脂肪族炭化水素類としては、n−ヘキサ
ン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカンなどを挙
げることができ、なかでも、n−ヘキサンおよびn−ヘ
プタンが特に好ましい。
【0025】また、第3の溶媒である水溶性の有機溶媒
を用いる場合、かかる水溶性の溶媒としては、アルコー
ル類、グリコール類、脂肪族ケトン類、脂肪族ニトリル
類、環状脂肪族エーテル類、アミド類、および3級アミ
ン類などが挙げられ、これらのなかでも、特にアルコー
ル類が好ましく用いられる。アルコール類としては、炭
素数1〜8のもの、例えばメタノール、エタノール、n
−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、
イソブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサ
ノールなどが挙げられ、なかでもメタノールが特に好ま
しい。グリコール類としては炭素数2〜6のものが好ま
しく、例えばエチレングリコール、トリメチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール
などが挙げられる。脂肪族ケトン類としては、例えばア
セトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチル
イソブチルケトンなどが挙げられ、脂肪族ニトリル類と
しては、例えばアセトニトリル、プロピオニトリルなど
を挙げることができる。環状脂肪族エーテル類として
は、例えば1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランな
どが挙げられ、 アミド類としては、例えばN,N−ジ
メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、
N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられ、また3級
アミン類としては、例えばトリエチルアミン、ピリジン
などが挙げられる。
【0026】混合溶媒を構成する2種の溶媒あるいは3
種の溶媒のうち、第1の溶媒である芳香族炭化水素類お
よび第3の溶媒である水溶性の有機溶媒は通常、式
(I)で示されるヒドロキシフェニルプルピオン酸エス
テルの晶析過程における溶解剤として作用し、精製効果
を向上させたりする。また第2の溶媒である脂肪族炭化
水素類は、晶析過程において、ヒドロキシフェニルプロ
ピオン酸エステルの第1の溶媒に対する溶解度および結
晶の析出時間を制御し、収率を向上させたりする。第3
の溶媒である水溶性の有機溶媒を用いる場合、この水溶
性溶媒は、第2の溶媒との相溶性が比較的悪いため、第
1の溶媒および第2の溶媒と併用される。第3の溶媒で
ある水溶性溶媒は通常、ヒドロキシフェニルプルピオン
酸エステルを溶解している第1の溶媒に、第2の溶媒と
ともに添加されるが、第1の溶媒と第3の溶媒の混合溶
媒としてヒドロキシフェニルプルピオン酸エステルを溶
解し、そこに第2の溶媒を添加することもできる。
【0027】晶析操作においては、ヒドロキシフェニル
プロピオン酸エステルの重量を基準として、第1の溶媒
を50〜150重量%程度用いるのが好ましい。また第
2の溶媒は、第1の溶媒の重量を基準として0.8〜2.5
重量倍程度用いるのが好ましい。これらの範囲をはずれ
ると、目的物の品質や収率を低下させたり、他の結晶形
が得られたりする。また晶析装置へのスケーリングをも
たらすこともあるので好ましくない。第3の溶媒を用い
る場合は、第1の溶媒の重量を基準として0.2〜10重
量%程度用いるのが好ましい。種晶の結晶形はε晶が好
ましいが、δ晶を種晶とすることもできる。
【0028】晶析操作は通常、まず第1の溶媒を単独で
用い、沸点またはそれ以下の温度にて、式(I)で示さ
れるヒドロキシフェニルプルピオン酸エステルの粗生成
物を完全に溶解させ、その後第2の溶媒を添加し、ある
いは第2の溶媒および第3の溶媒を添加し、30〜70
℃の温度範囲でさらに結晶の核となる種晶を加えて、結
晶析出が行われる。そののち冷却して、析出が完全に行
われるようにする。また場合によっては、第1の溶媒お
よび第2の溶媒を同時に用い、あるいは第1の溶媒、第
2の溶媒および第3の溶媒を同時に用い、そこに粗生成
物を溶解させて晶析する方法をとることもできる。析出
した結晶は、濾過などによって母液から分離し、洗浄、
乾燥することによって、単離されたε晶とすることがで
きる。
【0029】この晶析操作において、ε晶を得るには結
晶化をゆるやかに行うことが必要であり、また混合溶媒
の割合や混合溶媒の量、さらには結晶化温度や種晶の結
晶形も、得られる結晶の形に影響する。上記の操作を短
時間で行った場合、δ晶あるいはδ晶とε晶の混合物と
なり、さらには結晶の凝集が著しくなって、純度や色相
などの製品品質が低下する傾向にある。
【0030】かくして、本発明のε晶は、特定の溶媒を
用いることにより得られ、高品質でしかも高嵩比重の流
動性に優れた結晶である。
【0031】
【実施例】次に、具体的な参考例および実施例を示し
て、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら
によって限定されるものではない。なお、例中にある%
は、特にことわらないかぎり重量基準である。
【0032】参考例1 理論段数6段でスルーザーパッキンを充填した内径20
mmの精留塔、攪拌装置および温度計を備えた2リットル
四つ口フラスコに、3−(3−t−ブチル−4−ヒドロ
キシ−5−メチルフェニル)プロピオン酸メチル86
3.4g(3.45モル)、 3,9−ビス(2−ヒドロキ
シ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テ
トラオキサスピロ〔5・5〕ウンデカン456.6g
(1.5モル)、およびトルエン750gを仕込んだ。攪
拌下、徐々に100mmHgまで減圧してから昇温し、精留
塔上部の受器に600gのトルエンの留出と受器からの
トルエンの戻りを確認したあと、約90℃、100mmHg
の条件で1時間還流させた。次いで窒素ガスを供給して
大気圧に戻し、リチウムアミド3.45g(0.15モル)
をメタノール51.5gに溶解したものを常圧で加えた。
常圧で徐々に昇温し、生成するメタノールを留去しつ
つ、140℃で6時間保温、還流し、反応を完結させ
た。
【0033】反応終了後、少量のトルエンを加えて85
℃まで冷却し、酢酸12g(0.2モル)にて中和後、水
洗して水層を分液除去した。次に、減圧下で有機層から
溶媒を完全に留去し、淡黄色飴状の蒸留残査1266g
を得た。この蒸留残査には、3,9−ビス〔2−{3−
(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニ
ル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル〕
−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5・5〕ウ
ンデカン82.8%、原料である3−(3−t−ブチル−
4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオン酸メ
チル8.1%、その他副反応物9.1%が含まれていること
を確認した。この飴状物は、Cu−Kα波長のX線回折に
より、図5に示す回折パターンを与えた。
【0034】実施例1 温度計、撹拌装置、冷却管および滴下装置を備えた反応
容器中にて、参考例1で得られた蒸留残査200.0gを
120.0gのトルエンに80℃で溶解させたのち、撹拌
下でn−ヘキサン280.0gを徐々に加え、そして50
℃で、ε晶の種晶1.0gを投入した。次に、50〜55
℃の温度範囲で7時間保温して結晶を析出させ、さらに
20℃まで徐々に冷却し、得られた結晶を同温度にて濾
過し、n−ヘキサンで洗浄した。その後減圧下、65℃
で乾燥して、融点115〜118℃の白色結晶164.1
gを得た。
【0035】この白色結晶を分析したところ、目的物の
3,9−ビス〔2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒド
ロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−
1,1−ジメチルエチル〕−2,4,8,10−テトラ
オキサスピロ〔5・5〕ウンデカンが98.4%含まれて
おり、また3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5
−メチルフェニル)プロピオン酸メチルおよびその他副
反応生成物が、それぞれ0.3%および1.3%含まれてい
ることが認められた。この白色結晶について、Cu−Kα
波長によるX線回折測定を行ったところ、図1に示すX
線回折パターンが得られ、回折角2θ=7.9°に鋭いX
線回折ピークが認められた。この結晶の物性値を表4に
示す。
【0036】実施例2 上記実施例1で用いたのと同じ反応容器中にて、参考例
1で得られた蒸留残査200.0gを120.0gのキシレ
ンに80℃で溶解させたのち、攪拌下でn−ヘプタン2
00.0gおよびメタノール2.0gを徐々に加え、そして
50℃で、ε晶の種晶1.0gを投入した。次に、50〜
55℃の温度範囲で12時間保温して結晶を析出させ、
さらに20℃まで徐々に冷却し、得られた結晶を同温度
にて濾過し、n−ヘプタンで洗浄した。その後減圧下、
65℃で乾燥して、融点115〜118℃の白色結晶1
58.0gを得た。
【0037】この白色結晶を分析したところ、目的物の
3,9−ビス〔2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒド
ロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−
1,1−ジメチルエチル〕−2,4,8,10−テトラ
オキサスピロ〔5・5〕ウンデカンが98.5%含まれて
おり、また3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5
−メチルフェニル)プロピオン酸メチルおよびその他副
反応生成物が、それぞれ0.3%および1.2%含まれてい
ることが認められた。この白色結晶について、Cu−Kα
波長によるX線回折測定を行ったところ、図1と同様な
X線回折パターンが得られ、回折角2θ=7.9°に鋭い
X線回折ピークが認められた。この結晶の物性値を表4
に示す。
【0038】実施例3 実施例2で得られた結晶50.0gを、トルエン40.0g
とメタノール1.0gの混合溶媒に65℃で溶解させたの
ち、撹拌下でn−ヘキサン60.0gを加え、そして50
℃で、δ晶の種晶0.25gを投入し、50〜55℃の温
度範囲で12時間保温した。その後は実施例2と同様の
操作を行い、融点116〜119℃の白色結晶47.2g
を得た。この結晶について、Cu−Kα波長によるX線回
折を行ったところ、図1と同様なX線回折パターンが得
られた。この結晶を得るまでの成績および物性値測定結
果は表4に示した。
【0039】比較例1 実施例1におけるε晶の種晶の代わりにδ晶の種晶を用
いた以外は、同様の操作を行い、融点121〜124℃
の白色結晶168.5gを得た。この白色結晶について、
Cu−Kα波長によるX線回折測定を行ったところ、図2
に示すX線回折パターンが得られた。この結晶を得るま
での成績および物性値測定結果は表5に示した。
【0040】比較例2 実施例1におけるトルエンの代わりにメタノール34
0.0gを用いて50℃で溶解させ、またn−ヘキサンの
代わりに水60.0gを用いた以外は、同様の操作を行
い、融点124〜127℃の白色結晶165.6gを得
た。この白色結晶について、Cu−Kα波長によるX線回
折測定を行ったところ、図3に示すX線回折パターンが
得られた。この結晶を得るまでの成績および物性値測定
結果は表5に示した。
【0041】比較例3 実施例1におけるトルエンとn−ヘキサンの混合溶媒の
代わりにn−ヘキサンのみを1000g用い、70℃で
溶解させたのち30℃まで冷却し、種晶1.0gを投入し
たあと、同温度で7時間保温し結晶を析出させた以外
は、同様の操作を行い、融点93〜101℃の淡黄色結
晶170.9gを得た。この結晶について、Cu−Kα波長
によるX線回折測定を行ったところ、図4に示すX線回
折パターンが得られた。この結晶を得るまでの成績は表
5に示した。
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】
【発明の効果】本発明は、従来まったく知られていなか
った新規な結晶構造(ε晶)を有する式(I)で示され
るヒドロキシフェニルプロピオン酸エステルを提供す
る。そしてこのε晶は、高品質であり、また大きな結晶
となるので製造時の濾過性に優れるほか、嵩比重が大き
く、流動性に優れることから、工業的に極めて有用な結
晶形である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得た本発明による結晶形を持つ化合
物(ε晶)のX線回折パターンである。
【図2】比較例1で得た結晶(δε晶)のX線回折パタ
ーンである。
【図3】比較例2で得た結晶(δ晶)のX線回折パター
ンである。
【図4】比較例3で得た結晶(αβ晶)のX線回折パタ
ーンである。
【図5】参考例1で得た飴状物質(γ晶)のX線回折パ
ターンである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−149680(JP,A) 特開 昭62−149679(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07D 493/10 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Cu−Kα波長のX線を用いたX線回折測定
    により、回折角2θ=7.9°に鋭いX線回折ピークを示
    す結晶構造を有する3,9−ビス〔2−{3−(3−t
    −ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロ
    ピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル〕−2,
    4,8,10−テトラオキサスピロ〔5・5〕ウンデカ
    ン。
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