以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
また、以下の説明では、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入される方向が前方向51と定義される。また、前方向51と反対方向であって、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から脱抜される方向が後方向52と定義される。本実施形態において、前方向51及び後方向52は水平方向であるが、前方向51及び後方向52は水平方向でなくてもよい。また、重力方向が下方向53と定義され、重力方向と反対方向が上方向54と定義される。また、前方向51及び下方向53と直交する方向が、右方向55及び左方向56と定義される。より具体的には、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110の装着位置まで挿入された状態、つまりインクカートリッジ30が装着姿勢にある状態(装着状態)において、インクカートリッジ30を前方から後方に視た場合において、右に延びる方向が右方向55と定義され、左に延びる方向が左方向56と定義される。
また、前方向51及び後方向52は、前後方向51、52と定義される。また、上方向54及び下方向53は、上下方向53、54と定義される。また、右方向55及び左方向56は、左右方向55、56と定義される。
また、本明細書等において、「前方を向く」とは、前方の成分を含む方向を向くことを含み、「後方を向く」とは、後方の成分を含む方向を向くことを含み、「下方を向く」とは、下方の成分を含む方向を向くことを含み、「上方を向く」とは、上方の成分を含む方向を向くことを含む。例えば、「前面が前方を向く」とは、前面が前方を向いていてもよいし、前面が前方に対して傾斜した方向を向いていてもよい。
[プリンタ10の概要]
図1に示されるように、プリンタ10は、インクジェット記録方式に基づいて、用紙に対してインク滴を選択的に吐出することにより画像を記録するものである。プリンタ10(液体消費装置の一例)は、記録ヘッド21(消費部の一例)と、インク供給装置100と、記録ヘッド21及びインク供給装置100を接続するインクチューブ20とを備えている。インク供給装置100には、カートリッジ装着部110(装着部の一例)が設けられている。カートリッジ装着部110には、インクカートリッジ30(液体カートリッジの一例)が装着され得る。カートリッジ装着部110には、その一面に開口112が設けられている。インクカートリッジ30は、開口112を通じてカートリッジ装着部110に前方に挿入され、或いはカートリッジ装着部110から後方へ抜き出される。
インクカートリッジ30には、プリンタ10で使用可能なインク(液体の一例)が貯留されている。カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着が完了した状態において、インクカートリッジ30と記録ヘッド21とは、インクチューブ20で接続されている。記録ヘッド21にはサブタンク28が設けられている。サブタンク28は、インクチューブ20を通じて供給されるインクを一時的に貯留する。記録ヘッド21は、インクジェット記録方式によって、サブタンク28から供給されたインクをノズル29から選択的に吐出する。具体的には、記録ヘッド21に設けられたヘッド制御基板から各ノズル29に対応して設けられたピエゾ素子29Aに選択的に駆動電圧が印加される。これにより、ノズル29から選択的にインクが吐出される。つまり、記録ヘッド21は、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30に貯留されたインクを消費する。
プリンタ10は、給紙トレイ15と、給紙ローラ23と、搬送ローラ対25と、プラテン26と、排出ローラ対27と、排紙トレイ16と、を備えている。給紙トレイ15から給紙ローラ23によって搬送路24へ給送された用紙は、搬送ローラ対25によってプラテン26上へ搬送される。記録ヘッド21は、プラテン26上を通過する用紙に対してインクを選択的に吐出する。これにより、用紙に画像が記録される。プラテン26を通過した用紙は、排出ローラ対27によって、搬送路24の最下流側に設けられた排紙トレイ16に排出される。
[インク供給装置100]
図1に示されるように、インク供給装置100は、プリンタ10に設けられている。インク供給装置100は、プリンタ10が備える記録ヘッド21にインクを供給するものである。インク供給装置100は、インクカートリッジ30を装着可能なカートリッジ装着部110を備えている。なお、図1においては、カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着が完了した状態が示されている。つまり、図1において、インクカートリッジ30は装着状態である。
[カートリッジ装着部110]
図2及び図7に示されるように、カートリッジ装着部110は、ケース101と、インクニードル102と、残量センサ103と、装着センサ113と、4つの接点106と、ロック部145とを備えている。カートリッジ装着部110には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色に対応する4つのインクカートリッジ30が収容可能である。また、インクニードル102、残量センサ103、装着センサ113、4つの接点106、及びロック部145は、4つのインクカートリッジ30それぞれに対応して、4つずつ設けられている。
[ケース101]
図2及び図7に示されるように、カートリッジ装着部110の筐体を形成するケース101は、ケース101の内部空間の天部を確定している天面と、底部を確定している底面と、天部と底部とをつないでいる終面と、終面と前後方向51、52に対向する位置に設けられた開口112とを有する箱形状である。開口112は、ユーザがプリンタ10を使用するときに対面する面であるプリンタ10のユーザインタフェース面に露出し得る。
開口112を通じてケース101へインクカートリッジ30が挿抜される。インクカートリッジ30は、天面及び底面に設けられたガイド溝109に、インクカートリッジ30の上端部及び下端部が挿入されることによって、図7において前後方向51、52へ案内される。ケース101には、内部空間を上下方向53、54に長い4つの空間に仕切り分ける3つのプレート104が設けられている。このプレート104によって仕切り分けられた各空間それぞれにインクカートリッジ30が収容される。
[インクニードル102]
図7に示されるように、インクニードル102(液体供給管の一例)は、管状の樹脂からなり、ケース101の終面の下部に位置している。インクニードル102は、ケース101の終面において、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30のインク供給部34(液体供給部の一例)に対応する位置に配置されている。インクニードル102は、ケース101の終面から後方へ突出している。
インクニードル102の周囲には、円筒形状のガイド部105が設けられている。ガイド部105は、ケース101の終面から後方へ突出し、その突出端が開口している。インクニードル102は、ガイド部105の中心に配置されている。ガイド部105は、インクカートリッジのインク供給部34が内方に進入する形状である。
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に前方へ挿入される過程において、つまりインクカートリッジ30が装着位置へ移動する過程において、インクカートリッジ30のインク供給部34がガイド部105に進入する(図9参照)。さらにインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に前方へ挿入されると、インクニードル102が、インク供給部34に形成されたインク供給口71に挿入される。これにより、インクニードル102とインク供給部34とは連結され、インク供給部34は位置決めされる。そして、インクカートリッジ30の内部に形成された貯留室36に貯留されたインクは、インク供給部34の内部に形成された筒壁73の内部空間及びインクニードル102の内部空間を通じてインクニードル102に接続されたインクチューブ20に流出される。なお、インクニードル102の先端は、平坦であってもよく、尖っていてもよい。
[ロック部145]
図7に示されるように、ロック部145が、ケース101の天面付近且つ開口112付近において、ケース101の左右方向55、56に延出されている。ロック部145は、左右方向55、56に沿って延びる棒状の部材である。ロック部145は、例えば、金属の円柱である。ロック部145の左右方向55、56の両端は、ケース101の左右方向55、56の両端を確定している壁に固定されている。したがって、ロック部145は、ケース101に対して回動等の相対移動をしない。ロック部145は、4つのインクカートリッジ30が収納可能な4つの空間に渡って左右方向55、56に延びている。インクカートリッジ30が収容される各空間において、ロック部145の周囲には空間が存在する。したがって、ロック部145に対して、上方へ向かって、また、後方へ向かってアクセスすることができる。
ロック部145は、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30を装着位置に保持するためのものである。インクカートリッジ30は、カートリッジ装着部110に挿入されて、装着姿勢に回動されることにより、ロック部145に係合され、また、ロック部145は、インクカートリッジ30のコイルバネ78がインクカートリッジ30を後方へ押す力に抗してインクカートリッジ30をカートリッジ装着部110内に保持する。
[接点106]
図2及び図7に示されるように、ケース101の天面における終面付近には4つの接点106が設けられている。各図には詳細に示されていないが、4つの接点106は、左右方向55、56に離れて配置されている。4つの接点106の配置は、後述されるインクカートリッジ30の4つの電極65の配置(図3,4参照)に対応している。各接点106は、導電性及び弾性を有する部材で構成されており、上方へ弾性的に変形可能である。4つの接点106は、ケース101に収容可能な4つのインクカートリッジ30に対応して、4組が設けられている。なお、接点106の個数及び電極65の個数は任意である。
各接点106は、電気回路を介して演算装置に電気的に接続されている。演算装置は、例えばCPU,ROM,RAMなどからなるものであり、プリンタ10の制御部として構成されていてもよい。接点106と対応する電極65とが電気的に導通されることによって、電圧Vcが電極65に印加されたり、電極65がアースされたり、電極65に電力が供給されたりする。接点106と対応する電極65との電気的に導通により、インクカートリッジ30のICに格納されたデータにアクセス可能となる。電気回路からの出力は演算装置に入力される。
[ロッド125]
図2及び図7に示されるように、ケース101の終面におけるインクニードル102より上方に、ロッド125が形成されている。ロッド125は、ケース101の終面から後方へ突出している。ロッド125は、円筒形状の上半分の如く、前後方向51、52と直交する断面形状が逆向きU字形状であって、その最上部分から上方へ突出した形状である。当該リブは、前後方向51、52へ延びている。ロッド125は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態において、つまりインクカートリッジ30が装着位置に位置する状態において、インクカートリッジ30のIC基板64の下方の凹部96へ挿入される。
[残量センサ103]
図2及び図7に示されるように、ケース101の天面には、残量センサ103が配置されている。残量センサ103は、発光部及び受光部を備える。発光部は、受光部よりも右方または左方に、受光部と間隔を空けて配置されている。カートリッジ装着部110への装着が完了したインクカートリッジ30の被検知部62は、発光部及び受光部の間に配置される。換言すれば、発光部及び受光部は、カートリッジ装着部110への装着が完了したインクカートリッジ30の被検知部62を挟んで対向配置されている。
残量センサ103は、発光部から出力された光が受光部で受光されたか否かに応じて異なる検知信号を出力する。例えば、残量センサ103は、発光部から出力された光が受光部で受光できない(すなわち、受光強度が所定の強度未満である)ことを条件として、ローレベル信号(「信号レベルが閾値レベル未満の信号」を指す。)を出力する。一方、残量センサ103は、発光部から出力された光が受光部で受光できた(すなわち、受光強度が所定の強度以上である)ことを条件として、ハイレベル信号(「信号レベルが閾値レベル以上の信号」を指す。)を出力する。
[装着センサ113]
図7に示されるように、ケース101の天面には、装着センサ113が配置されている。装着センサ113は、残量センサ103よりも前方且つ接点106よりも後方に位置している。装着センサ113は、発光部及び受光部を備える。発光部は、受光部よりも右方または左方に、受光部と間隔を空けて設けられている。カートリッジ装着部110への装着が完了したインクカートリッジ30の後述する遮光板67は、発光部及び受光部の間に配置される。換言すれば、発光部及び受光部は、カートリッジ装着部110への装着が完了したインクカートリッジ30の遮光板67を挟んで対向配置されている。
装着センサ113は、発光部から左右方向55、56に沿って照射された光が受光部で受光されたか否かに応じて異なる検知信号を出力する。例えば、装着センサ113は、発光部から出力された光が受光部で受光できない(すなわち、受光強度が所定の強度未満である)ことを条件として、ローレベル信号を出力する。一方、装着センサ113は、発光部から出力された光が受光部で受光できた(すなわち、受光強度が所定の強度以上である)ことを条件として、ハイレベル信号を出力する。
[インクカートリッジ30]
図3〜図6に示されるインクカートリッジ30はインクが貯留される容器である。インクカートリッジ30の内部に形成されている空間がインクを貯留する貯留室36(液体貯留室の一例)である。貯留室36は、インクカートリッジ30の外観を形成している後部カバー31(第2カバーの一例)及び前部カバー32(第1カバーの一例)に収納された内部フレーム35によって形成されているが、後部カバー31及び前部カバー32などによって形成されていてもよい。
図3〜図6及び図11に示されているインクカートリッジ30の姿勢は、インクカートリッジ30が装着姿勢にあるときの姿勢である。すなわち、インクカートリッジ30は、後述されるように、前面140と、後面41と、上面39,141と、下面42,142とを備えるが、図3〜図6に示されているインクカートリッジ30の姿勢は、後面41から前面140に向かう方向が前方向51に一致し、前面140から後面41に向かう方向が後方向52に一致し、上面39,141から下面42,142に向かう方向が下方向53に一致し、下面42,142から上面39,141に向かう方向が上方向54に一致する姿勢である。また、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されるときに、前面140は前方を向き、後面41は後方を向き、下面42,142は下方を向き、上面39,141は、上方を向く。
図3〜図6に示されるように、インクカートリッジ30は、略直方体形状の後部カバー31と、前面140を構成する前部カバー32と、貯留室36を区画する内部フレーム35とで構成される。後部カバー31に前部カバー32が組み付けられて、インクカートリッジ30の外形が構成されている。内部フレーム35は、組み付けられた後部カバー31及び前部カバー32の内部に収納される。インクカートリッジ30は、全体として、左右方向55、56に沿った寸法が細く、上下方向53、54及び前後方向51、52それぞれに沿った寸法が、左右方向55、56に沿った寸法よりも大きい扁平形状である。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿入されるときに前方を向く前部カバー32の面が前面140であり、後方を向く後部カバー31の面が後面41である。すなわち、後面41は、前部カバー32の前面140との間に貯留室36を挟んで配置されている。
[後部カバー31]
図3及び図4に示されるように、後部カバー31は、左右方向55、56において互いに隔てて配置された側面37、38と、後部カバー31の上端に位置しており上方を向く上面39、後部カバー31の下端に位置しており下方を向く下面42(第1面の一例)とが後面41から前方に延設されて構成されており、前方へ向かって開口された箱形である。後部カバー31の内部には、開口を通じて内部フレーム35が挿入される。すなわち、後部カバー31は、内部フレーム35の後部を覆っている。また、下面42は、内部フレーム35が挿入された状態において、上面39との間に貯留室36を挟んで配置されている。
図5に示されるように、後部カバー31は、装着姿勢において、前部カバー32よりも後方に位置している。また、後部カバー31における後端から前部カバー32との境界までの前後方向51、52に沿った長さL1は、後部カバー31における前端から前部カバー32との境界までの前後方向51、52に沿った長さL2よりも長い。本実施形態においては、後部カバー31における後端から前部カバー32との境界は、前部カバー32の遮光板67及びIC基板64より後方かつ内部フレーム35の被検知部材59より前方に位置している。
なお、長さL1と長さL2とが同じ長さであってもよい。つまり、長さL1は、長さL2以上であればよい。なお、L1、L2は、ともに境界から各々のカバー31、32の端部までの前後方向51、52に沿った長さのうち最大のもの同士を比較している。
また、本実施形態では、前部カバー32の後端部分が後部カバー31の前部の外表面に重なることでインクカートリッジ30の側面に前部カバー32と後部カバー31との境界が形成されているが、後部カバー31の前端部分が前部カバー32の後端部分の外表面に重なることでインクカートリッジ30の側面に前部カバー32と後部カバー31との境界が形成されてもよいし、後部カバー31の前端と前部カバー32の後端とが前後方向51、52において対向することで境界が形成されていてもよい。
図3及び図4に示されるように、後面41は、上部分41Uと下部分41Lとを有する。上部分41Uは、下部分41Lよりも上方に位置する。下部分41Lは、上部分41Uよりも前方に位置する。上部分41U及び下部分41Lは、いずれも平面であり、相互に直交せずに交差している。下部分41Lは、下面42に近づくほど前面140に近くなるように上下方向53、54に対して傾斜している。図11(B)に示されているように、上部分41Uには、ユーザが押すことを促す「PUSH」などの文字、矢印などの記号、指で押すことを示した図などが記されたシートが貼られている。
図5に示されるように、下面42は、前端が後端よりも下方に位置するように、前後方向51、52に対して傾斜した傾斜面である。なお、図5では、下面42の前後方向51、52に対する傾斜を識別し易くするために、前後方向51、52が一点鎖線においても示されている。下面42(傾斜面)の前端は、後部カバー31の前端に位置している。また、下面42(傾斜面)の前端は、後述するロック面151よりも前方に位置している。下面42(傾斜面)の後端は、後面41の下部分41Lの下端と繋がっている。
図3及び図4に示されるように、後部カバー31の上面39には、凸部43が設けられている。凸部43は、上面39における左右方向55、56の中央において前後方向51、52に沿って延びている。凸部43において後方を向く面がロック面151(第2面の一例)である。ロック面151は、後部カバー31の下面42よりも上方に位置している。ロック面151は、上下方向53、54に沿って延びている。ロック面151は、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が装着された状態において、ロック部145と後方へ向かって接触し得る面である。ロック面151がロック部145と後方へ向かって接触することにより、インクカートリッジ30がコイルバネ78の付勢力に抗してカートリッジ装着部110に保持される。
凸部43においてロック面151より前方には、水平面154がロック面151と連続して設けられている。水平面154は、左右方向55、56と前後方向51、52に沿って拡がる面である。水平面154より前方には、傾斜面155が水平面154と連続して設けられている。傾斜面155は、上方且つ前方を向いている。水平面154を介してロック面151と傾斜面155とが連続しているので、ロック面151と傾斜面155との境界が尖った山形状とならない。傾斜面155及び水平面154により、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入される過程において、ロック部145が傾斜面155及び水平面154に当接しながらロック面151より後方まで円滑に案内される。
後部カバー31の上面39において、ロック面151より後方には、操作部90が設けられている。後部カバー31の上面39の後端には、上面39のその他の部分より下方に位置するサブ上面91が形成されている。サブ上面91の上方において空間を隔てて操作部90が配置されている。操作部90は、上面39のその他の部分とサブ上面91との境界付近から上方へ向けて凸部43より上方まで突出し、さらに後方且つ下方へ斜め下方向に折れ曲がった平板形状である。操作部90とサブ上面91との間には、操作部90及びサブ上面91に連続しており、且つ後方へ延びるリブ94が設けられている。図11に示されるように、左右方向55、56に沿ったリブ94の寸法は、左右方向55、56に沿った操作部90の寸法及びサブ上面91の寸法のそれぞれより小さい。
操作部90において、上方且つ後方を向く面が操作面92である。操作面92とサブ上面91とは、前後方向51、52に沿った方向における位置が重複している。換言すれば、インクカートリッジ30を下方に視たとき、操作面92とサブ上面91とは重複した位置にある。操作面92には、複数の突起、例えば、左右方向55、56に沿って延出する複数の突条93が、前後方向51、52に間隔を隔てて形成されている。複数の突起としての突条93により、ユーザが操作面92を認識しやすくなり、また、ユーザが操作面92を指で操作するときに、指が操作面92に対して滑りにくくなる。
図11に示されるように、操作面92は、インクカートリッジ30を下方に視たときに視認可能であり、且つ、インクカートリッジ30を前方に視たときに視認可能である。操作面92は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態からインクカートリッジ30を取り出すために、ユーザが操作するための面である。なお、操作部90は、後部カバー31と一体に成型されるなどして、後部カバー31に対して固定されており、後部カバー31に対して回動などの相対移動をしないように構成されている。したがって、操作面92にユーザから加えられる力は、方向を変えずに後部カバー31にそのまま伝達される。また、本実施形態では、操作部90は、内部フレーム35や貯留室36に対しても回動などの相対移動をしないように構成されている。
[前部カバー32]
図3及び図4に示されるように、前部カバー32は、左右方向55、56において互いに隔てて配置された側面143、144と、上下方向53、54において互いに隔てて配置された上面141及び下面142とが前面140から後方に延設されて構成されており、後方へ向かって開口された箱形である。前部カバー32の内部には、開口を通じて内部フレーム35が挿入される。すなわち、前部カバー32は、内部フレーム35のうちの後部カバー31によって覆われていない前部を覆っている。
前部カバー32及び後部カバー31が組み付けられた状態、すなわちインクカートリッジ30が組み立てられた状態において、前部カバー32の上面141は、後部カバー31の上面39と共にインクカートリッジ30の上面を構成する。前部カバー32の下面142、後部カバー31の下面42と共にインクカートリッジ30の下面を構成する。
詳細には、インクカートリッジ30が装着姿勢にあるときに、前部カバー32の下面142は前後方向51、52に沿って延びており、後部カバー31の下面42は、下方且つ後方を向いて傾斜している。前部カバー32の側面143、144は後部カバー31の側面37、38と共にインクカートリッジ30の側面を構成する。
また、インクカートリッジ30が組み立てられた状態において、インクカートリッジ30の前面を構成する前部カバー32の前面140と、インクカートリッジ30の後面を構成する後部カバー31の後面41とは、前後方向51、52において互いに隔てて配置されている。
なお、インクカートリッジ30の前面、後面、上面、下面、側面は、必ずしも1つの平面をなしている必要はない。すなわち、装着姿勢のインクカートリッジ30を後方に視たときに視認し得る面であり、且つ、装着姿勢のインクカートリッジ30の前後方向51、52の中心よりも前方に位置する面が前面である。装着姿勢のインクカートリッジ30を前方に視たときに視認し得る面であり、且つ、装着姿勢のインクカートリッジ30の前後方向51、52の中心よりも後方に位置する面が後面である。装着姿勢のインクカートリッジ30を下方に視たときに視認し得る面であり、且つ、装着姿勢のインクカートリッジ30の上下方向の中心よりも上方に位置する面が上面である。装着姿勢のインクカートリッジ30を上方に視たときに視認し得る面であり、且つ、装着姿勢のインクカートリッジ30の上下方向53、54の中心よりも下方に位置する面が下面である。側面に関しても同様である。
前部カバー32の前面140の上部には、後方へ凹む凹部96が形成されている。凹部96には、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態においてロッド125が進入する。したがって、凹部96の前後方向51、52に直交する断面は、ロッド125の断面形状に対応する形状である。
前部カバー32の前面140の下部には、後方へ貫通する孔97が形成されている。孔97は、前部カバー32に内部フレーム35が挿入された状態において、内部フレーム35のインク供給部34を外部へ露出させるための孔になる。したがって、孔97は、内部フレーム35のインク供給部34に対応する位置、寸法、及び形状に形成されている。
前部カバー32の前面140には、第1突出部85及び第2突出部86が形成されている。第1突出部85は、前部カバー32の上端において前方へ突出している。凹部96は、第1突出部85の先端に設けられている。第1突出部85の先端は前面140の一部をなす。
第2突出部86は、前部カバー32の前面140の下端、すなわちインク供給部34より下方において、前面140から前方へ突出している。第2突出部86の下面には、前方及び下方に開口する凹部87が形成されている。凹部87の一部は、前部カバー32の下面142より下方へ突出している。
前部カバー32の上面141には、下方に貫通する孔98が形成されている。孔98は、前部カバー32に内部フレーム35が挿入された状態において、内部フレーム35の被検知部62を外部へ露出させるための孔になる。したがって、孔98は、内部フレーム35の被検知部62に対応する位置、寸法、及び形状に形成されている。
前部カバー32の上面141には、上方に突出する遮光板67が形成されている。遮光板67は、前後方向51、52に延びている。遮光板67は、内部フレーム35の凸部62よりも前方に位置している。遮光板67は、後述する電気的インターフェース60よりも後方に位置している。
遮光板67は、左右方向55、56に進行する装着センサ113の光を遮断する。より詳細には、装着センサ113の発光部から出力された光が受光部に到達するまでの間に遮光板67に当たることによって、受光部に到達する光の強度が所定の強度未満、例えば、ゼロとなる。遮光板67は、光が左右方向55、56に進むのを完全に遮断してもよいし、光を部分的に減衰させてもよいし、光の進行方向を曲げてもよいし、光を全反射させてもよい。
前部カバー32の上面141であって、第1突出部85の上方、すなわちインク供給部34の上方には、IC基板64(電気的インターフェースの一例)が設けられている。IC基板64は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着される途中において左右方向55、56に沿って4つが並ぶ接点106(図2参照)と導通し、かつインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態においても接点106と導通する。
IC基板64には、IC(各図には現れていない)と、4つの電極65が搭載されている。4つの電極65は、左右方向55、56に沿って並んでいる。ICは、半導体集積回路であり、インクカートリッジ30に関する情報、例えば、ロット番号や製造年月日、インク色などの情報を示すデータが読み出し可能に格納されている。
各電極65はICと電気的に接続されている。各電極65は、それぞれが前後方向51、52に沿って延出されており、4つの電極65は、左右方向55、56に離間されて配置されている。各電極65は、IC基板64の上面に電気的にアクセス可能に露出されている。
[内部フレーム35]
各図には現れていないが、内部フレーム35は、左右方向55、56一対の端面が開放された環状に構成されている。内部フレーム35において、開放された一対の面がフィルム(不図示)によって封止されることにより、その内部にインクを貯留可能な貯留室36が形成されている。貯留室36を区画する前面40は、内部フレーム35が前部カバー32に挿入された際に、前部カバー32の前面140の裏面に対向する面であり、インク供給部34が設けられている。
後部カバー31は、内部フレーム35に固定されている。
一方、前部カバー32は、内部フレーム35に対して前後方向51、52及び上下方向53、54へ相対移動可能である。
詳述すると、図3〜図5に示されるように、前部カバー32の側面143、144には、開口115が形成されている。また、図5に示されるように、内部フレーム35における開口115に対応する位置には、左右方向55、56に突出した凸部116が形成されている。凸部116は、開口115に進入している。開口115の前後方向51、52及び上下方向53、54の長さは、それぞれ凸部116の前後方向51、52及び上下方向53、54の長さよりも長い。凸部116が開口115内を前後方向51、52に移動することによって、前部カバー32は、内部フレーム35に対して前後方向51、52へ相対移動する。凸部116が開口115内を上下方向53、54に移動することによって、前部カバー32は、内部フレーム35に対して上下方向53、54へ相対移動する。
[インク供給部34]
図6に示されるように、インク供給部34は、前面140の下部において、内部フレーム35の前面40から前方へ突出している。インク供給部34は、円筒形状の外形をなしている。インク供給部34は、前部カバー32の前面140に設けられた孔97を貫通して外方へ突出している。インク供給部34は、内部空間を有する円筒形状の筒壁73と、筒壁73に取り付けられたシール部材76及びキャップ79とを備えている。
筒壁73は、貯留室36の内部から外部に亘って延設している。筒壁73の後端部は、貯留室36において開口している。筒壁73の前端部は、インクカートリッジ30の外部に開口している。これにより、筒壁73は、内部空間を介して貯留室36及びインクカートリッジ30の外部と連通している。つまり、インク供給部34は、貯留室36に貯留されたインクを筒壁73の内部空間を通じてインクカートリッジ30の外部に供給する。筒壁73の前端には、シール部材76及びキャップ79が取り付けられている。
筒壁73の内部空間には、弁体77及びコイルバネ78が収容されている。弁体77及びコイルバネ78は、インク供給部34の状態を、筒壁73の内部空間を通じて貯留室36からインクカートリッジ30の外部にインクが流出される状態(図10参照)と、筒壁73の内部空間からインクカートリッジ30の外部にインクが流出されない状態(図6参照)との間で選択的に切り換えるためのものである。
弁体77は、前後方向51、52に沿って移動することにより、シール部材76の中央に貫通されたインク供給口71を開閉する。コイルバネ78は弁体77を前方へ付勢している。したがって、外力が付与されていない状態において、弁体77は、シール部材76のインク供給口71を閉じている。
シール部材76は、筒壁73の先端に配置されている。シール部材76は、中央に貫通孔が形成された円盤形状の部材である。シール部材76は、例えば、ゴムやエラストマのような弾性材料から形成されている。シール部材76の中央が前後方向51、52に貫通されて筒状の内周面が形成され、その内周面によりインク供給口71が形成されている。インク供給口71の内径は、インクニードル102の外径より若干小さい。シール部材76は、筒壁73の外側に嵌め込まれたキャップ79によって、筒壁73の先端に液密に当接している。
弁体77がインク供給口71を閉じている状態において、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入されると、インク供給口71にインクニードル102が進入する。インクニードル102には、シール部材76を弾性変形しつつ、その外周面がインク供給口71を画定する内周面に液密に接触する。インクニードル102の先端がシール部材76を通過して筒壁73の内部空間へ進入すると、弁体77に当接する。さらにインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿入されることにより、インクニードル102が弁体77をコイルバネ78の付勢力に抗して後方へ移動させる。これにより、貯留室36に貯留されているインクが筒壁73の内部空間を通じてインクニードル102の先端部分へ流通することが可能となる。各図には現れていないが、インクニードル102の先端部分に形成された貫通孔を通じて、筒壁73の内部空間からインクニードル102の内部空間へインクが流通する。これにより、貯留室36に貯留されたインクが、筒壁73の内部空間、インクニードル102を通じて外部へ流出可能となる。
なお、インク供給部34において、インク供給口71を閉じる弁体77は必ずしも設けられなくてもよい。例えば、インク供給口71がフィルムなどで閉塞されており、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されると、インクニードル102がフィルムを突き破ることによりインク供給口71を通じてインクニードル102の先端部分が筒壁73の内部空間へ進入する構成であってもよい。また、インク供給口71は、シール部材76の弾性により閉じており、インクニードル102が挿入されたときのみに、インクニードル102に押し拡げられるように形成されていてもよい。
[被検知部62]
図6に示されるように、内部フレーム35は、上面から上方へ突出する被検知部62を有している。被検知部62は、内部空間が貯留室36と連続する空間を有する凸部であり、左右方向55,56へ向かって光を透過する透光性を有する。被検知部62は、前部カバー32の孔98を通じて外部へ露出している。
内部フレーム35の貯留室36内には、被検知部材59が配置されている。被検知部材59は、左右方向55、56に沿って延びる回動軸61に支持されており、回動軸61周りに回動可能である。
被検知部材59は、フロート63を有している。フロート63は、貯留室36に貯留されたインクより比重が小さい。したがって、貯留室36内において、フロート63はインク中に存在する状態において浮力を生じさせる。貯留室36がインクでほぼ満たされている状態では、フロート63の浮力によって、被検知部材59は、図6における反時計回りに回動する。被検知部材59の一部は、被検知部62内に進入しており、被検知部材59が被検知部62の前端を確定する壁に当接することによって、被検知部材59の姿勢が維持される。この状態において、被検知部材59は、被検知部62を右方向55又は左方向56に進行する残量センサ103の光を遮断等する。
より詳細には、被検知部材59によって、残量センサ103の発光部から出力された光が被検知部62の右面及び左面の一方に到達したときに、被検知部62の右面及び左面の他方の面から出て受光部に到達する光の強度が所定の強度未満、例えば、ゼロとなる。被検知部材59は、光が右方向55もしくは左方向56に進むのを完全に遮断してもよいし、光を部分的に吸収してもよいし、光の進行方向を曲げてもよいし、光を全反射させてもよい。
貯留室36においてインクが減り、被検知部材59が被検知部62を進行する光を遮断等するときの姿勢におけるフロート63の位置より、インクの液面が下降すると、フロート63がインクの液面と共に下降する。これにより、被検知部材59は、図6における時計回りに回動する。この時計回りの回動によって、被検知部62内に進入していた被検知部材59の一部は、残量センサ103の発光部から受光部への光路から外れる。これにより、残量センサ103の受光部に到達する光の強度が所定の強度以上となる。
[インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着される動作]
以下、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着される過程が説明される。
図7に示されるように、カートリッジ装着部110に装着される前のインクカートリッジ30において、弁体77は、シール部材76のインク供給口71を閉じている。これにより、貯留室36からインクカートリッジ30の外部へのインクの流通は遮断されている。
また、図7に示されるように、カートリッジ装着部110に装着される前のインクカートリッジ30において、残量センサ103の発光部と受光部との間には、他の部材が位置しないため、残量センサ103からプリンタ10の制御部へハイレベル信号が出力される。また、装着センサ113の発光部と受光部との間には、他の部材が位置しないため、装着センサ113からプリンタ10の制御部へハイレベル信号が出力される。
図7に示されるように、カートリッジ装着部110の開口112を通じてケース101へインクカートリッジ30が挿入される。後部カバー31の後面41の上部分41Uは下部分41Lよりも後方に位置している、すなわち、ユーザの近くに位置しているので、ユーザは、上部分41Uを押しつつインクカートリッジ30をカートリッジ装着部110に対して前方へ挿入する。また、前述されたように、上部分41Uには、「PUSH」などの文字、矢印などの記号、指で押すことを示した図などが記されたシートが貼られていることにより、ユーザは上部分41Uを押すように促される。インクカートリッジ30の下部、すなわち前部カバー32及び後部カバー31のそれぞれ下部は、ケース101の下方のガイド溝109に進入した状態となる。前部カバー32の下部には、第2突出部86が設けられており、前部カバー32の下面142から下方へ突出する凹部87の一部がガイド溝109の下面と当接することにより、前部カバー32の前部が持ち上げられるようにして下面142が前方に対して傾斜する。つまり、ガイド溝109の下面には、前部カバー32の凹部87の一部と、下面142の後端付近の一部とが当接している。
図8に示されるように、インクカートリッジ30が前方へ更に挿入されると、インク供給部34のキャップ79がガイド部105に進入し始める。また、前部カバー32の凹部96がロッド125と対向して、ロッド125が凹部96に進入し始める。
また、図8に示されるように、インクカートリッジ30が前方へ更に挿入されると、残量センサ103の発光部と受光部との間に、遮光板67が位置するため、残量センサ103からプリンタ10の制御部へ出力される信号がハイレベルからローレベルへ変わる。なお、装着センサ113からプリンタ10の制御部へ出力される信号は、ハイレベルのままである。
図9に示されるように、インクカートリッジ30が前方へ更に挿入されると、インク供給部34のキャップ79がガイド部105に進入し、かつインクニードル102がインク供給口71へ進入して、弁体77をコイルバネ78の付勢力に抗してシール部材76から離間させる。これにより、インク供給部34が位置決めされる。インクカートリッジ30には、コイルバネ78の付勢力が後方へ付与される。
また、第1突出部85において下方を向いている下面85Aが、カートリッジ装着部110のガイド部105の上方に位置し上方を向いている面170によって支持される。これにより、インクカートリッジ30が上下方向53、54に位置決めされる。なお、下面85Aは、上方から見たときにIC基板64と重複する位置に配置されている。また、面170以外、例えば、ロッド125がインクカートリッジ30を支持して、インクカートリッジ30を上下方向53、54に位置決めしてもよい。
また、ロッド125が前部カバー32の凹部96に進入して、前部カバー32を下方から支持する。接点106の下方にIC基板64が到達することにより、接点106を上方へ弾性変形させつつ各電極65が対応する接点106と電気的に接続される。このとき、IC基板64は接点106の弾性変形によって下方へ付勢されるが、ロッド125が前部カバー32を下方から支持していることにより、IC基板64の接点106に対する位置決めが正確になされる。なお、ロッド125は必ずしも前部カバー32を下方から支持しなくてもよく、例えばインクニードル102の周りの環状の部材と前部カバー32とが当接することで支持するようにしてもよい。
また、図9に示されるように、インクカートリッジ30が前方へ更に挿入されると、残量センサ103の発光部と受光部との間に、遮光板66が位置するため、残量センサ103からプリンタ10の制御部へ出力される信号がローレベルに維持される。また、装着センサ113の発光部と受光部との間に、遮光板67が位置するため、装着センサ113からプリンタ10の制御部へ出力される信号は、ハイレベルからローレベルへ変わる。これにより、プリンタ10の制御部は、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が装着されたことを認識する。
また、後部カバー31の凸部43がロック部145へ到達し、傾斜面155がロック部145に対して摺動する。インクカートリッジ30には、後面41の上部分41Uをユーザが前方へ押すことにより、図9における反時計回りに回転モーメントが加わっている。しかし、傾斜面155とロック部145との当接により、この回転モーメントに反して、インクカートリッジ30は、インクニードル102が挿入されたシール部材76のインク供給口71の中心を回動中心として、換言すれば、インクニードル102における、インク供給口71を画定するシール部材76の内周面が接触している部分の中心を回動中心として図9における時計回りに回動する。
なお、図8に示されるように、後部カバー31の下面42が前後方向51、52に対して傾斜した傾斜面であることにより、後部カバー31の下面42とカートリッジ装着部110の底面との間には、上述した回動(図9における時計回りの回動)のためのスペースがある。
図10に示されるように、コイルバネ78の付勢力に抗して、インクカートリッジ30が前方へ更に挿入されると、後部カバー31の凸部43の傾斜面155及び水平面154がロック部145よりケース101の終面に近い位置となる。インクカートリッジ30には、後面41の上部分41Uをユーザが前方へ押すことにより、図10における反時計回りに回転モーメントが加わっている。そのため、傾斜面155及び水平面154がロック部145と当接しなくなることにより、インクカートリッジ30は、インクニードル102が挿入されたシール部材76のインク供給口71の中心を回動中心として図10における反時計回りに回動する。
インクカートリッジ30が図10に示される姿勢にあるときに、ロック面151は、後方へ向かってロック部145と向かい合う。ユーザがインクカートリッジ30を前方へ押し込むことを止めると、インクカートリッジ30は、コイルバネ78の付勢力によって後方へ移動する。ロック面151は後方へ向かってロック部145と向かい合っているので、インクカートリッジ30が後方へ移動すると、ロック面151がロック部145と当接する。これにより、インクカートリッジ30が後方へ移動することが規制される。すなわち、インクカートリッジ30はカートリッジ装着部110内に位置決めされて装着が完了した状態となる。
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から脱抜されるときには、ユーザは、操作面92を下方へ押す。インクカートリッジ30が図10に示される姿勢である状態において、操作面92は、上方かつ後方を向いているので、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に対して位置決めされた状態から解除する際に、ユーザが操作面92を操作すると、インクカートリッジ30には下方及び前方へ力が作用する。前方へ作用する力によって、ロック面151がロック部145から離れる。下方へ作用する力によって、インクカートリッジ30が図10における時計回りに回動する。
インクカートリッジ30が図10における時計回りに回動することにより、ロック面151がロック部145よりも下方に位置する。そうすると、コイルバネ78の付勢力によって、インクカートリッジ30はカートリッジ装着部110に対して後方へ移動する。これにより、ユーザは後部カバー31を挟み持ってインクカートリッジ30をカートリッジ装着部110から取り出すことができる。
インクカートリッジ30が後方へ移動すると、遮光板67が装着センサ113の発光部と受光部との間から離間する。そのため、装着センサ113からプリンタ10の制御部へ出力される信号がローレベルからハイレベルへ変わる。これにより、プリンタ10の制御部は、カートリッジ装着部110からインクカートリッジ30が脱抜されたことを認識する。
[本実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、後部カバー31の後端から前部カバー32との境界までの前後方向51、52に沿った長さL1は、前部カバー32の前端から後部カバー31との境界までの前後方向51、52に沿った長さL2以上である。そのため、後部カバー31の下面42の傾斜面部分が前部カバー32にまで及ばないように、インクカートリッジ30を構成することが容易である。そして、傾斜面が前部カバー32に含まれないようにインクカートリッジ30が構成されることにより、前部カバー32においてショートショットが生じる可能性を低くすることができる。
また、本実施形態によれば、インクカートリッジ30が前方へ挿入されてカートリッジ装着部110に装着される場合に、カートリッジ装着部110が備えるロック部145にロック面151を係合させることによって、インクカートリッジ30の後方への移動を規制することができる。つまり、インクカートリッジ30をカートリッジ装着部110に装着された状態にロックすることができる。
また、本実施形態によれば、後部カバー31の下面42(傾斜面)の前端は、ロック面151よりも前方に位置している。そのため、下面42(傾斜面)の前端がロック面151よりも後方に位置している場合よりも、傾斜面の前後方向51、52に沿った長さを長くできる。そのため、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30がインク供給部34において位置決めされてインク供給部34を中心に回動可能となり、且つ、カートリッジ装着部110が備えるロック部145にロック面151を係合させることによってインクカートリッジ30をカートリッジ装着部110に装着された状態にロック可能となる場合において、インクカートリッジ30の回動可能量を大きくすることができる。これにより、インクカートリッジ30を安定してロックすることができる。
また、本実施形態によれば、後部カバー31の下面42(傾斜面)の前端は、後部カバー31の前端に位置している。そのため、傾斜面の前後方向51、52に沿った長さを長くできるため、インクカートリッジ30の回動可能量を大きくすることができる。
また、本実施形態によれば、前部カバー32は、内部フレーム35に対して上下方向53、54へ相対移動可能である。そのため、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30がインク供給部34において位置決めされる場合において、前部カバー32に備えられたIC基板64を、内部フレーム35に設けられたインク供給部34とは別に位置決めすることができる。これにより、仮に、インク供給部34が位置ずれを起こした場合であっても、IC基板64の位置を維持することができる。
[変形例]
前述された実施形態では、後部カバー31の下面42の前端から後端に亘って傾斜面であったが、下面42の少なくとも後端部が傾斜面であればよい。具体的には、図12に示されるように、下面42は、傾斜面である後部分42Bと、前後方向51、52に延びた平面である前部分42Fとを有していてもよい。この場合、後部分42Bは、下面42の後端を含む。前部分42Fは、下面42の前端を含む。後部分42Bの前端と前部分42Fの後端とが繋がっている。後部分42Bの前端は、ロック面151よりも前方に位置している。
前述された実施形態では、遮光板67は、装着センサ113の光を遮断するものであった。つまり、遮光板67は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されているか否かを検知する目的で配置されていた。しかし、遮光板67は、前記目的とは別の目的で配置されたものであってもよい。例えば、遮光板67は、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30の種類(例えば貯留されているインクの色)を識別する目的で配置されていてもよい。
また、前述された実施形態では、インクが液体の一例として説明されているが、例えば、インクに代えて、印刷時にインクに先立って用紙などに吐出される前処理液が液体カートリッジに貯留されていてもよい。また、記録ヘッド21を洗浄するための水が液体カートリッジに貯留されていてもよい。