JP6755819B2 - 耐火樹脂成形体およびそれを備えた建具 - Google Patents

耐火樹脂成形体およびそれを備えた建具 Download PDF

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本発明は、耐火樹脂成型体およびそれを備えた建具に関する。
防火サッシおよび防火ドアには熱膨張性耐火シートが用いられているものがあり、熱膨張性耐火シートには難燃剤としてポリリン酸塩が配合されている場合がある。そのような例として、特許文献1には、平均粒子径15〜35μmである被覆ポリリン酸アンモニウムを用いた、合成樹脂をバインダーとする発泡耐火材が開示されている。
特開平9-286875
サッシまたはドアが取り付けられる場所によっては、熱膨張性耐火シートが結露や風雨に晒される環境に置かれる場合があるところ、ポリリン酸塩は難燃性には非常に優れているが、水分に弱く、加水分解後、熱膨張性シートの表面に白色の析出物が生じ(ブリードアウトし)、発生した析出物によりシート外観を損なう場合があった。熱膨張性シートの表面の耐水性が向上すれば、析出物の発生も抑制される。
本発明の目的は、難燃性および耐水性に優れた耐火樹脂成型体を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく、耐火樹脂成形体を構成する耐火樹脂組成物中の可塑剤の量を従来よりも過剰量にする事により、可塑剤が耐火樹脂成形体の表面に油膜を形成して、それにより表面を撥水するため耐水性が顕著に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の通りである。
[1]樹脂成分と、ポリリン酸塩とを含む耐火樹脂成型体であって、表面に可塑剤の油膜を備えた耐火樹脂成型体。
[2]可塑剤が、樹脂成分に対する相溶性の異なる複数の可塑剤である項1に記載の耐火樹脂成型体。
[3]前記樹脂成分と前記可塑剤とのsmall法で計算される相溶性パラメーターの差が0
.5より大きい可塑剤と、
前記樹脂成分と前記可塑剤とのsmall法で計算される相溶性パラメーターの差が0.5以
下の可塑剤とを含有することを特徴とする項1又は2に記載の耐火樹脂成型体。
[4]前記樹脂成分と前記可塑剤とのsmall法で計算される相溶性パラメーターの差が0
.5より大きい可塑剤の含有量が、前記樹脂成分と前記可塑剤とのsmall法で計算される
相溶性パラメーターの差が0.5以下の可塑剤の含有量よりも多いことを特徴とする項3に記載の耐火樹脂成型体。
[5]前記可塑剤の含有量が前記樹脂成分の含有量よりも多い項1〜4のいずれか一項に記載の耐火樹脂成型体。
[6]樹脂成分と、ポリリン酸塩とを含む耐火樹脂成型体であって、可塑剤の含有量が前記樹脂成分の含有量よりも多い耐火樹脂成型体。
[7]熱膨張性黒鉛をさらに含有する項1〜6のいずれかに記載の耐火樹脂成型体。
[8]可塑剤がリン系の可塑剤を含有する項1〜7のいずれかに記載の耐火樹脂成型体。[9]項1〜8のいずれか一項に記載の耐火樹脂成形体を備えた建具。
[10]樹脂成分と、ポリリン酸塩とを含む耐火樹脂組成物の表面に可塑剤の被膜を形成することを含む、耐火樹脂組成物におけるポリリン酸塩の加水分解による析出物の発生の抑制方法。
本発明によれば、難燃性に優れ、かつ析出物の発生が抑制された耐火樹脂成型体を提供することが可能となる。
本発明の耐火樹脂成形体をサッシ枠に設けた耐火窓を示す略正面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の耐火樹脂成形体は、樹脂成分と、ポリリン酸塩とを含有し、表面に可塑剤の油膜を備える。樹脂成分は、樹脂、エラストマー、ゴム、またはこれらの組み合わせからなる。なお、表面に可塑剤の油膜を備えるとは、耐火樹脂成形体の表面全体に可塑剤の油膜を備えることに限られず、耐火樹脂成形体の表面の一部に可塑剤の油膜を備えることも含む。
樹脂成分としての樹脂は、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよい。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリ(1−)ブテン樹脂、ポリペンテン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(塩素化塩化ビニル樹脂を含む)、これらの組み合わせ等が挙げられる。なかでも、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、またはポリ塩化ビニル樹脂が好ましい。
上記熱可塑性樹脂はいずれも、樹脂組成物としての耐火性能を阻害しない範囲で、架橋、変性して用いてもよい。樹脂の架橋方法についても、特に限定はなく、熱可塑性樹脂の通常の架橋方法、例えば、各種架橋剤、過酸化物を使用する架橋、電子線照射による架橋等が挙げられる。
熱硬化性樹脂の例としてはエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミド等が挙げられる。なかでも、エポキシ樹脂が好ましい。
本発明で用いられるエポキシ樹脂は、特に限定されないが、基本的にはエポキシ基をもつモノマーと硬化剤とを反応させることにより得られる。上記エポキシ基をもつモノマーとしては、例えば、2官能のグリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、多官能のグリシジルエーテル型等のモノマーが例示される。
これらのエポキシ基をもつモノマーは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化剤としては、重付加型または触媒型のものが用いられる。重付加型の硬化剤と
しては、例えば、ポリアミン、酸無水物、ポリフェノール、ポリメルカプタン等が例示される。また、上記触媒型の硬化剤としては、例えば、3級アミン、イミダゾール類、ルイス酸錯体等が例示される。エポキシ樹脂の硬化方法は、特に限定されず、公知の方法によって行うことができる。
エラストマーの例としてはオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、これらの組み合わせ等が挙げられる。
ゴムの例の例としては、天然ゴム、シリコーンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、これらの組み合わせ等が挙げられる。なかでも、ブチルゴムが好ましい。
ポリリン酸塩は、難燃剤として機能し、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン等が含まれる。ポリリン酸塩は好ましくはポリリン酸アンモニウムである。ポリリン酸アンモニウムの市販品としては、クラリアント社製「AP422」、「AP462」、住友化学工業社製「スミセーフP」、チッソ社製「テラージュC60」が挙げられる。
好ましいポリリン酸アンモニウムは、表面被覆されたポリリン酸アンモニウム(被覆ポリリン酸アンモニウムとも称する)であり、被覆ポリリン酸アンモニウムのうち、メラミンで表面被覆されたメラミン被覆ポリリン酸アンモニウムについては特開平9-286875に記載されており、シランで表面被覆されたシラン被覆ポリリン酸アンモニウムについては特開2000-63562に記載されている。メラミン被覆ポリリン酸アンモニウムは、(a)粉末状ポリリン酸アンモニウム粒子表面にメラミンを付加および/または付着したメラミン被覆ポリリン酸アンモニウム、(b)前記メラミン被覆ポリリン酸アンモニウム粒子の被覆層に存在するメラミン分子中のアミノ基が持つ活性水素と、該活性水素と反応しうる官能基を有する化合物とによって該粒子表面が架橋された被覆ポリリン酸アンモニウム、および/または(c)粉末状ポリリン酸アンモニウムまたは前記メラミン被覆ポリリン酸アンモニウム粒子表面を熱硬化性樹脂で被覆した被覆ポリリン酸アンモニウムである。メラミン被覆ポリリン酸アンモニウム粒子の市販品としては、例えば、クラリアント社製「AP462」、Budenheim Iberica社製「FR CROS 484」、「FR
CROS 487」等が挙げられる。シラン被覆ポリリン酸アンモニウム粒子の市販品としては、例えば、Budenheim Iberica社製「FR CROS 486」が挙げられる。
被覆ポリリン酸アンモニウムの平均粒子径は好ましくは15〜35μmである。なお、被覆ポリリン酸アンモニウムの平均粒子径はレーザー回折式粒度分布測定にて測定できる。
可塑剤としては、下記に例示する1種または2種以上の可塑剤を組み合わせて使用し得る:ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ジウンデシルフタレート(DUP)、または炭素原子数10〜13程度の高級アルコールまたは混合アルコールのフタル酸エステル等のフタル酸エステル系可塑剤;
ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−n−オクチルアジペート、ジ−n−デシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等の脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤;
トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート(TOTM)、トリ−n−オクチルトリメリ
テート、トリデシルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート、ジ−n−オクチル−n−デシルトリメリレート等のトリメリット酸エステル系可塑剤;
アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル(DOA)およびアジピン酸ジイソデシル(DIDA)等のアジピン酸エステル系可塑剤;
セバシン酸ジブチル(DBS)およびセバシン酸ジ−2−エチルヘキシル(DOS)等のセバシン酸エステル系可塑剤;
トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリクロロエチルホスフェート、トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモクロロプロピル)ホスフェート、ビス(2,3−ジブロモプロピル)−2,3−ジクロロプロピルホスフェート、ビス(クロロプロピル)モノオクチルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤;
2,3,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸テトラヘプチルエステル等のビフェニルテトラカルボン酸テトラアルキルエステル系可塑剤;
ポリエステル系高分子可塑剤;
エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化綿実油、液状エポキシ樹脂等のエポキシ系可塑剤;
塩素化パラフィン;
五塩化ステアリン酸アルキルエステル等の塩素化脂肪酸エステル;および
常温で液状のリン化合物等。
リン化合物としては、特に限定されず、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリス(2エチルヘキシル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル等が挙げられる。
好ましい可塑剤は、リン系の可塑剤である。リン系の可塑剤には、リンを含む任意の可塑剤が含まれ、上記のリン酸エステル系可塑剤及びリン化合物が含まれる。
好ましくは、可塑剤は、樹脂成分に対する相溶性の異なる複数の可塑剤を含む。
さらに好ましくは、可塑剤は、樹脂成分と前記可塑剤とのsmall法で計算される相溶性
パラメーターの差が、0.5より大きい可塑剤と、樹脂成分と前記可塑剤とのsmall法で
計算される相溶性パラメーターの差が0.5以下の可塑剤とを含む。
相溶性の異なる複数の可塑剤を使用し、さらには樹脂成分と前記可塑剤とのsmall法で
計算される相溶性パラメーターの差が0.5より大きい可塑剤と0.5以下の可塑剤とを使用すれば、難燃性及び耐水性に優れた耐火樹脂成形体の製造が容易となる。
樹脂成分と前記可塑剤とのsmall法で計算される相溶性パラメーターの差が0.5より
大きい可塑剤及び0.5以下の可塑剤の含有量は特に限定されないが、相溶性パラメーターの差が0.5より大きい可塑剤の含有量が多いことが好ましい。相溶性パラメーターの差が0.5より大きい可塑剤の含有量が多いと、難燃性及び耐水性に優れた耐火樹脂成形体をより容易に製造することができる。
可塑剤は、本発明の耐火樹脂成形体を構成する耐火樹脂組成物に、樹脂成分の量よりも多量に含有される。可塑剤を樹脂成分の量よりも多量に含有させることにより、可塑剤が耐火樹脂組成物の表面に浮き出し、耐火樹脂組成物の表面に油膜を形成する。表面全体に油膜をかかる油膜は肉眼で観察可能である。例えば、耐火樹脂成形体がシート状である場
合、油膜をシートの幅広の一表面に少なくとも設けられるようにする。好ましくは可塑剤の含有量は、可塑剤の合計量で、樹脂成分100重量部に対し60重量部以上、300重量部以下、より好ましくは80重量部以上、300重量部以下である。より好ましい可塑剤の含有量は、樹脂成分100重量部に対し80〜200重量部である。
本発明の耐火樹脂成形体を構成する耐火樹脂組成物は、熱膨張性黒鉛をさらに含有してもよい。耐火樹脂組成物が熱膨張性黒鉛を含有する場合、耐火樹脂組成物は、加熱により膨張する熱膨張性耐火樹脂組成物となる。
熱膨張性黒鉛は、従来公知の物質であり、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたもので、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。
熱膨張性黒鉛は任意選択で中和処理されてもよい。つまり、上記のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛を、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和する。上記脂肪族低級アミンとしては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。上記アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物としては、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。中和処理した熱膨張性黒鉛の具体例としては、例えば、日本化成社製「CA−60S」、東ソー社製「GREP−EG」等が挙げられる。
本発明で用いられる熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュのものが好ましい。粒度が200メッシュより大きいと、黒鉛の膨張度が大きく、望む耐火断熱層が得られ、粒度が20メッシュより小さいと、樹脂と混練する際の、分散性が良好である。
熱膨張性黒鉛の含有量は特に限定されないが、樹脂成分100重量部に対して10〜500重量部であることが好ましく、樹脂成分100重量部に対して50〜300重量部であることがより好ましく、樹脂成分100重量部に対して50〜200重量部であることさらに好ましい。含有量が10重量部以上であると、体積膨張率が大きく樹脂サッシを構成する合成樹脂製部材が焼失した部分を十分埋めきることができ防火性能が発揮され、500重量部以下であると機械的強度が維持される。
本発明の耐火樹脂成形体を構成する耐火樹脂組成物は、無機充填剤をさらに含有してもよい。
無機充填剤は、膨張断熱層が形成される際、熱容量を増大させ伝熱を抑制するとともに、骨材的に働いて膨張断熱層の強度を向上させる。無機充填剤としては特に限定されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類等の金属酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩等が挙げられる。
また、無機充填剤としては、これらの他に、硫酸カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカルシウム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、
セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。これらの無機充填剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
無機充填剤の粒径としては、0.5〜100μmが好ましく、より好ましくは1〜50μmである。無機充填剤は、添加量が少ないときは、分散性が性能を大きく左右するため、粒径の小さいものが好ましいが、0.5μm未満になると二次凝集が起こり、分散性が悪くなる。添加量が多いときは、高充填が進むにつれて、樹脂組成物の粘度が高くなり成形性が低下するが、粒径を大きくすることで樹脂組成物の粘度を低下させることができる点から、粒径の大きいものが好ましい。粒径が100μmを超えると、成形体の表面性、樹脂組成物の力学的物性が低下する。
一つの実施形態では、無機充填剤は金属酸化物、含水無機物、金属炭酸塩、シリカ、およびこれらの組み合わせから選択される。含水無機物は、アルカリ土類金属水酸化物を含む。
無機充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウムでは、粒径18μmの「ハイジライトH−31」(昭和電工社製)、粒径25μmの「B325」(ALCOA社製)、炭酸カルシウムでは、粒径1.8μmの「ホワイトンSB赤」(備北粉化工業社製)、粒径8μmの「BF300」(備北粉化工業社製)等が挙げられる。
無機充填剤の含有量は特に限定されないが、樹脂成分100重量部に対して30〜500重量部であることが好ましい。含有量が30重量部以上であると、十分な防火性能が得られ、500重量部以下であると機械的強度が維持される。無機充填剤の含有量は、より好ましくは40〜350重量部である。
また、本発明の耐火樹脂成形体を構成する耐火樹脂組成物には、その物性を損なわない範囲で、熱安定剤、滑剤、加工助剤、熱分解型発泡剤、酸化防止剤、帯電防止剤、顔料等が添加されてもよい。
熱安定剤としては、例えば、三塩基性硫酸鉛、三塩基性亜硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、ステアリン酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛等の鉛熱安定剤;有機錫メルカプト、有機錫マレート、有機錫ラウレート、ジブチル錫マレート等の有機錫熱安定剤;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸熱安定剤等が挙げられ、これらは単独で用いられもよいし、二種以上が併用されてもよい。
滑剤としては、例えば、ポリエチレン、パラフィン、モンタン酸等のワックス類;各種エステルワックス類;ステアリン酸、リシノール酸等の有機酸類;ステアリルアルコール等の有機アルコール類;ジメチルビスアミド等のアミド化合物等が挙げられ、これらは単独で用いられもよいし、二種以上が併用されてもよい。
加工助剤としては、例えば、塩素化ポリエチレン、メチルメタクリレート−エチルアクリレート共重合体、高分子量のポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
熱分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、p,p−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等が挙げられる。
上記の耐火樹脂組成物を、常法に従って、一軸押出機、二軸押出機等の押出機で溶融押出することにより、本発明の耐火樹脂成形体を得ることができる。溶融温度は、樹脂成分によって異なり、特に限定されないが、例えばポリ塩化ビニル樹脂の場合130〜170℃である。
本発明の耐火樹脂成形体は、窓、障子、扉(すなわちドア)、戸、ふすま、および欄間等の建具;船舶;並びにエレベータ等の構造体に耐火性を付与するために使用され得る。上記の耐火樹脂組成物は成形性に優れているので、シート状の他、構造体の複雑な形状に適合させた異型成形体を容易に得ることができる。
図1は、建具としての窓1のサッシ枠に本発明の耐火樹脂成形体4を付与した例である。この例では、サッシ枠は2つの内枠2と、内枠2を包囲する1つの外枠3とを有し、内枠2および外枠3の枠本体の各辺に沿って、内枠2および外枠3の内部に耐火樹脂成形体3が取り付けられている。このようにして、本発明の耐火樹脂成形体4を設けることにより、窓1に耐火性を付与することができる。
本発明は、樹脂成分と、ポリリン酸塩とを含む耐火樹脂組成物の表面に可塑剤の被膜を形成することを含む、耐火樹脂組成物におけるポリリン酸塩の加水分解による析出物の発生の抑制方法も包含する。耐火樹脂組成物中の各成分については耐火樹脂組成物について上述した通りである。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
1.耐火シートの作成
実施例1
表1に示した配合量で、合成樹脂としてポリ塩化ビニル100重量部、可塑剤としてトリクレジルホスフェート(TCP)75重量部およびジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)75重量部、難燃剤としてポリリン酸アンモニウム(APP)(クラリアント社製「AP422」)20重量部、熱膨張性黒鉛(東ソー社製「GREP−EG」)、および無機充填剤として炭酸カルシウム(備北粉化社製「ホワイトンBF−300」)30重量部をニーダーにて混合した後、その混合物をカレンダーロールにてシート化に成型し、厚さ1.5mmの耐火樹脂成形体としての耐火シートを得た。
実施例2〜11、比較例1
実施例2〜11および比較例1についても、表1に示した配合量で成分を混合および押出成形し、耐火シートを得た。比較例1では2つの可塑剤の合計量をポリ塩化ビニルと同じ100重量部とした。
樹脂と可塑剤については、small法で計算される相溶性パラメーター(SP値)を記載し
た。
2.油膜の形成の確認
実施例1〜11の耐火シートについて、その表面に油膜が形成されていることを以下の方法で確認した。当該油膜の主成分は可塑剤であった。一方、比較例1では、その表面に油膜は形成されていなかった。
<表面に油膜が形成されている点の確認方法>
油性ペンで耐火シートの表面に5本線を描き、0℃、室温、及び50℃で1週間静置後、いずれの条件でもにじみがあるものを○(油膜あり)、そうでないものを×(油膜なし)とした。
<油膜に可塑剤が含まれていることの確認>
上記静置前後の耐火シートの表面を赤外分光法にて分析し、樹脂成分由来のピークに対して、可塑剤由来のピークが増加していることで油膜に可塑剤が含まれていることを確認した。
3.耐火シートの耐水性評価
実施例1〜11および比較例1の耐火シートに水滴をスポイトにて2ml落とし、終夜(24時間)放置し、水滴を乾燥させ、翌日、シートの表面を観察し、耐水性を目視で評価した。◎は非常に良好(水滴を落とした部分の表面に白色物が見えない)、○を良好(水滴を落とした部分の表面に一部白色物はあるが概ねなし)、△をやや良好(水滴を落とした部分の表面に○よりも多く一部白色物はあるが概ねなし)、×を不良(水滴を落とした部分の表面に白色析出物発生)とした。
実施例1〜11の耐火シートは耐水性に優れており、耐火シート表面における白色の析出物の発生が抑制された。
4.耐火性評価
実施例及び比較例の耐火シートを10cm角に切り出し、300gの水道水に浸漬し、23℃で1週間浸漬した。
(膨張倍率)
水浸漬後のサンプルを50℃で3日間乾燥の後、浸漬前後の重量差より、溶出率を算出した。さらに、乾燥後の試験片を厚みを測定し、電気炉に供給し、600℃で30分間加熱した後、試験片の厚さを測定し、(加熱後の試験片の厚さ)/(加熱前の試験片の厚さ)を膨張倍率として算出した。
(残渣硬さ)
膨張倍率を測定した加熱後の試験片を圧縮試験機(カトーテック社製、「フィンガーフイリングテスター」)に供給し、0.25cm2の圧子で0.1cm/秒の速度で圧縮し
、破断点応力を測定した。
(形状保持性)
膨張倍率を測定した加熱後の試験片を90°に傾け、試験片が崩れず、形状保持ができたものを○、崩れてしまったものを×と評価した。

Claims (3)

  1. 樹脂成分と、ポリリン酸塩と、熱膨張性黒鉛と、可塑剤とを含む耐火樹脂組成物であって、前記可塑剤は
    前記樹脂成分に対するsmall法で計算される相溶性パラメーターの差が0.5より大きい可塑剤と、
    前記樹脂成分に対するsmall法で計算される相溶性パラメーターの差が0.5以下の可塑剤と、を含み、
    前記樹脂成分100重量部に対して、前記可塑剤の合計量が60重量部以上、300重量部以下であり、前記small法で計算される相溶性パラメーターの差が0.5より大きい可塑剤の含有量が、可塑剤全量中60重量%以上である、耐火樹脂組成物。
  2. 前記可塑剤の含有量が前記樹脂成分の含有量よりも多い、請求項1に記載の耐火樹脂組成物。
  3. 前記可塑剤がリン系の可塑剤を含有する請求項1又は2に記載の耐火樹脂組成物。
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