JP6755499B2 - 水蒸気改質触媒および水蒸気改質方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、反応温度が800℃以上の高温水蒸気環境では、水蒸気改質反応に用いる触媒(以下、単に改質触媒ともいう)が酸化されてしまうことによる、触媒成分のシンタリング(焼結)や、触媒の表面に炭素が析出することにより、触媒活性が低減してしまう問題があった。
特許文献1には、この改質触媒を用いることにより、700〜750℃で行われるメタンもしくはイソオクタンの水蒸気改質反応において、炭素の析出量を低減できたことが記載されている。
特許文献2には、ペロブスカイト型酸化物を含む担体として用いた改質触媒を用いることにより、炭素析出の虞を低減しつつ、550℃で行われるエタノールの改質反応において、触媒活性を向上できたことが記載されている。
これに対して、上記の先行技術文献で提案されている改質触媒は、反応温度を低下した際に増加する炭素の析出量を低減させることができたとしても、スチーム/カーボン比を小さくした場合にも、炭素の析出を低減させるものではなかった。
特許文献3には、このように上下に2つの異なる触媒層を用いる改質方法により、反応温度が650〜700℃で、スチーム/カーボン比が1.5である場合、下流側の触媒層のみを用いた場合と比較して、JIS1号灯油の転化率を低下させることなく、炭素の析出量を低減できたことが記載されている。
しかしながら、改質反応の温度が、700℃より高いと、触媒活性成分の焼結が起こり得る。また、触媒反応を二段階で行うためには、触媒層を別々に準備する必要性が生じてしまう。さらに、この二段階の構成を実用化する際には、異なる触媒層を備える装置の構成も複雑化してしまう。
また、スチーム/カーボン比を2〜2.5付近まで下げた場合にも、高い転化率で二酸化炭素と水素を生成できる、高性能な水蒸気改質触媒が望まれている。
さらに、スチーム/カーボン比を1付近まで下げた場合にも、高い転化率で一酸化炭素と水素を生成することができる、高性能な水蒸気改質触媒が望まれている。
また、水蒸気改質触媒としては、触媒担体に対してニッケルが10重量%以上の高担持型ニッケル系触媒が汎用されているが、上記のような高温下では触媒活性成分の焼結や、炭素析出等が発生し易いため、触媒の性能低下が進み、その寿命が短くなるという問題があった。
よって、改質反応の温度が700℃以下で、かつ低スチーム/カーボン比の反応条件においても、優れた触媒活性を有する、水蒸気改質触媒が求められている。
酸化ジルコニウムを主成分とする担体と、触媒活性金属としてのニッケルおよびロジウムを含有することを特徴とする、水蒸気改質触媒。
前記酸化ジルコニウムに対して、前記ニッケルの含有率が1〜3重量%、かつ前記ロジウムの含有率が0.5〜2重量%であることを特徴とする、構成1に記載の水蒸気改質触媒。
前記担体が、シリカ、アルミナ、チタニア、およびマグネシウム・アルミナからなる群から選択される1種類以上の金属酸化物をさらに含むことを特徴とする、構成1または2に記載の水蒸気改質触媒。
前記酸化ジルコニウムが、前記金属酸化物の表面層に存在することを特徴とする、構成3に記載の水蒸気改質触媒。
炭化水素と水蒸気の混合気体を水蒸気改質触媒に接触させる、水蒸気改質反応工程を包含する水蒸気改質方法であって、前記水蒸気改質触媒が、構成1〜4のいずれかに記載の水蒸気改質触媒であることを特徴とする、水蒸気改質方法。
水蒸気改質反応のために通気される供給気体中の炭化水素の濃度が90%以上であり、前記水蒸気改質反応工程は、反応温度が400℃〜800℃、かつスチーム/カーボン比が1〜3の条件で行われることを特徴とする、構成5に記載の方法。
炭化水素としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン等の炭素数が1〜4の炭化水素ガスや、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコールが挙げられる。
また、本発明の水蒸気改質触媒は、酸化ジルコニウムを主成分とする担体を用い、この担体に、必須の触媒活性金属として、ニッケルおよびロジウムを担持させたものである。
好ましい実施態様において、本発明に用いるジルコニウム化合物は、オキシ塩化ジルコニウムである。オキシ塩化ジルコニウムは、例えば、オキシ塩化ジルコニウム水溶液を中和法や加水分解法によって、オキシ水酸化ジルコニウムを生成し、乾燥と焼成を行うことにより酸化ジルコニウム(ジルコニア)を生成する。このようにして得られた酸化ジルコニウムは単斜晶と正方晶の結晶形態を有している。
なお、市販されている酸化ジルコニウムを用いても良い。
酸化ジルコニウムの見かけ比表面積を大きくする方法として、例えば、平均粒径が1〜2μm、比表面積が200m2/gの多孔質シリカ粒子の集合体(粒径:10〜50μm)との組み合わせで、ジルコニウム化合物を多孔質シリカ量に対して、ジルコニアが5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%となるように調整して用いる方法が挙げられる。
具体的には、ジルコニウム化合物がこのような含有率となるように、オキシ塩化ジルコニウム水溶液と上記の多孔質シリカ粒子を混合し、pHを調整することにより、シリカ粒子の表面を、オキシ水酸化ジルコニウムで被覆したジルコニウム化合物の表面層を形成し、乾燥、焼成(700℃)を行う。この処理方法により、多孔質シリカの表面にジルコニア層を形成することにより、ジルコニウムの比表面積を大きくすることができる。
なお、本発明において、ニッケルおよびロジウムの含有率は、ジルコニア担体の重量に対してニッケル金属重量、およびロジウム金属重量を用いて算出されるものである。
ニッケル化合物としては、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケルなどが挙げられる。これらの中でも、硝酸ニッケルまたは酢酸ニッケルが好ましい。
ニッケルが、0.5重量%より少ないと、所定の改質性能が得られ難い。
一方、ニッケルが、5重量%より多いと、炭素析出が起こり、触媒表面を覆うために、所定の改質性能が確保し難くなる。
好ましい実施形態において、本発明の改質触媒では、ジルコニア担体に、ニッケルが1〜3重量%で担持されている。ニッケルがこの範囲で担持されていると、本発明の効果が得られ易い。
本発明の改質触媒では、ニッケルが1〜2重量%であることがより好ましい。
ロジウム化合物としては、硝酸ロジウム、塩化ロジウム、塩化ロジウムナトリウム、塩化ロジウム5アミン、硫酸ロジウム、および酢酸ロジウムなどが挙げられる。これらの中でも、硝酸ロジウムが好ましい。
ロジウムが、0.5重量%より少ないと、微量の炭素析出が起こり、ロジウムを添加することによる所定の効果が得られ難い。
一方、ロジウムが、3重量%より多いと、反応生成物中に二酸化炭素が増加するなど、ロジウムの触媒としての効果が得られ難い。
好ましい実施形態において、本発明の改質触媒では、ロジウムが0.5〜2重量%で担持されている。ロジウムがこの範囲で担持されていると、本発明の効果が得られ易い。
本発明の改質触媒では、ロジウムが1〜2重量%であることがより好ましい。
触媒活性金属水溶液とジルコニア担体との接触による担持操作には、当業者に公知の担持方法を採用することができる。例えば、常温・常圧担持法、加温担持法、真空担持法および噴霧担持法などのいずれの担持方法を用いても良い。
具体的には、50℃の加温担持法により、触媒活性金属(溶液重量)/担体(重量)比=1.5〜2.0の条件下で、撹拌混合することにより、ニッケルの担持操作を行った後、100〜120℃で乾燥し、さらに600℃の空気雰囲気中で焼成を行って、ニッケル/ジルコニア触媒を調製する。次いで、ロジウム塩の水溶液を調製し、この溶液とニッケル/ジルコニア触媒との混合溶液を、50℃の加温担持法により、ロジウムの担持操作を行った後、同様にして乾燥、さらに焼成を行うことにより、ロジウム−ニッケル/ジルコニア触媒を作製することができる。
また、ニッケル成分層の金属成分がジルコニア担体層に、あるいはジルコニア担体層のジルコニウムがニッケル成分層に拡散しても良いし、ロジウム成分層とジルコニア担体層との間において同様の拡散が生じても良い。
なお、600℃の空気雰囲気中での焼成後、水蒸気改質触媒中のニッケルとロジウムは、通常、金属酸化物として存在するが、実際の水蒸気改質反応に用いる際には、その前処理として、これらの金属触媒成分に対して水素還元を行うことにより、金属状態に戻してから、改質反応を行うことができる。
好ましい実施形態において、ニッケルは1〜2重量%であり、かつロジウムが0.5〜2重量%であることを特徴とする。ジルコニア担体に対して、異なる2つの金属成分をこれらの含有率で組み合わせて担持させることにより、改質反応の効率を、より向上させることができる。
なお、金属触媒成分の分散度は公知の試験法であるCOパルスインジェクション法で測定することができる。
混合高分散型の本発明の改質触媒では、特に、ニッケルが1〜2重量%であり、かつロジウムが0.5〜1重量%であることが好ましい。混合高分散型の改質触媒において、ニッケルとロジウムが、この含有率の範囲で担持されることにより、本発明の効果がさらに向上する。また、改質触媒に用いる触媒活性金属の量を節約することができる。
触媒性能を向上させる、あるいは使用する触媒活性金属の量を減らす観点から、本発明の改質触媒の製造工程において、ジルコニア担体に、ニッケルとロジウムの混合物を担持することが好ましい。すなわち、混合分散型の改質触媒であることが好ましい。
また、触媒性能をより向上させる観点から、改質触媒の製造工程において、ジルコニア担体に、ニッケルおよびロジウムと、一価アルコールおよび二価アルコールからなる群から選択される少なくとも1種との混合物を担持することがより好ましい。すなわち、混合高分散型の改質触媒であることがより好ましい。この場合、改質触媒の製造段階において、上記ニッケルおよびロジウムの各々が、一価アルコールまたは二価アルコールと金属錯体を形成した状態で、ジルコニア担体に担持されている。
水蒸気改質方法に用いる炭化水素としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン等の炭素数が1〜4の炭化水素ガスや、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類が挙げられる。
本発明の改質触媒は、特にメタン、エタンに対して優れた効果を有する。
しかしながら、前述の通り、スチーム/カーボン比を低くすると、触媒活性金属表面における炭素の析出量が増加する問題がある。
よって、炭素の析出量を少なくする観点からは、スチーム/カーボン比を相対的に上昇させることが好ましいが、その反面、加熱エネルギーも大幅に増加することになる。
また、スチーム/カーボン比の選択範囲が狭くなることは、改質反応による水素以外の生成物の選択域も狭くなる問題がある。
しかしながら、高温高圧下では、触媒活性成分の焼結や、炭素析出の発生という問題がある。
よって、700℃以下で効率的に水蒸気改質反応を行うための方法が望まれていた。
本発明の水蒸気改質方法では、本発明の水蒸気改質触媒を用いるため、水蒸気改質反応の温度を600℃以下に低下させた場合にも、優れた触媒活性を有している。
また、反応温度を低下させることにより、触媒活性金属の焼結を抑制し、また、炭素の析出も低減することができる。
なお、この好ましい温度範囲を外れ、特に、400℃より低くなると、水蒸気改質反応が不十分になってしまう傾向がある。
また、連続流通法による場合にも、スチーム/カーボン比は、1〜2.5であることが好ましい。これらの条件により、本発明の優れた効果が得られる。
よって、通気される気体(すなわち、炭化水素を含有する水蒸気改質反応前の供給気体)に含まれる炭化水素の濃度が90%以上で高濃度であっても、高い転化効率で、水素を生成することができる。
また、水蒸気改質反応の温度が800℃以下、好ましくは700℃以下、より好ましくは600℃以下である場合にも、炭素析出を抑え、効率的な水蒸気改質反応を促進することができる改質方法でもある。
反応温度とS/C比のそれぞれにおいて、選択可能な範囲が広がったことから、これらの範囲内で適宜調整することにより、反応生成物の選択域を広げることが可能となる。よって、本発明は、新規な省エネルギー型反応触媒装置の開発に資するものでもある。
(1)触媒−1の作製
ジルコニア担体として酸化ジルコニウム(キシダ化学製)70gを用い、硝酸ニッケル六水和物(和光純薬工業製)6.9gを純水105gに溶解した水溶液に加えて、撹拌しながら50℃の加熱状態で2時間担持し、100℃で10時間、乾燥した後、500℃の空気雰囲気中で2時間焼成することにより、触媒−1(2%ニッケル/ジルコニア触媒)を得た。
ジルコニア担体として酸化ジルコニウム(キシダ化学製)20gを用い、硝酸ロジウム溶液(田中貴金属工業製 49.88g/L)4.0gを純水30gに溶解した水溶液に加えて、撹拌しながら50℃の加熱状態で2時間担持し、100℃で10時間乾燥した後、500℃の空気雰囲気中で2時間焼成することにより、触媒−2(1%ロジウム/ジルコニア触媒)を得た。
硝酸ロジウム溶液(田中貴金属工業製 49.88g/L)4.0gを純水30gに溶解した水溶液に、上記の触媒−1(2%ニッケル/ジルコニア触媒)20gを加えて、撹拌しながら50℃の加熱状態で2時間担持し、続いて100℃で10時間乾燥した後、さらに500℃の空気雰囲気中で2時間焼成することにより、本発明の触媒−3(1%ロジウム−2%ニッケル/ジルコニア触媒(層状型))を得た。
硝酸ニッケル六水和物(和光純薬工業製)2.0gを純水30gに溶解し、これに硝酸ロジウム溶液(田中貴金属工業製 49.88g/L)4.0gを加えて撹拌混合した。次いで、この混合液に、ジルコニア(キシダ化学製)20gを加えて、撹拌しながら50℃の加熱状態で2時間担持し、続いて100℃で10時間乾燥した後、さらに500℃の空気雰囲気中で2時間焼成することにより、本発明の触媒−4(1%ロジウム−2%ニッケル/ジルコニア触媒(混合分散型))を得た。
硝酸ニッケル六水和物(和光純薬工業製)1.0gを純水30gに溶解し、これに硝酸ロジウム溶液(田中貴金属工業製 49.88g/L)2.0gを加え、pHを7.5に調整した後、ジエチレングリコール(和光純薬工業製)1.6gを撹拌混合しながら加えて、50℃で1時間保持した。次いで、この混合液に、ジルコニア(キシダ化学製)20gを加えて、撹拌しながら50℃の加熱状態で2時間担持した後、90℃で10時間乾燥した。続いて、300℃の空気雰囲気中で1時間、さらに400℃で1時間、続けて600℃で1時間、空気雰囲気中で焼成することにより、本発明の触媒−5(0.5%ロジウム−1%ニッケル/ジルコニア触媒(高分散型))を得た。
なお、触媒−5は、触媒−4と比較して、金属触媒の量を約50%低減した水蒸気改質触媒である。
ジルコニア担体を、γ−アルミナ(水澤化学工業製)担体に変更したこと以外は、触媒−3と同様の方法により、触媒−6(1%ロジウム−2%ニッケル/γ−アルミナ触媒(層状型))を得た。
ジルコニア担体を、酸化チタン(堺化学工業製)担体に変更したこと以外は、触媒−3と同様の方法により、触媒−7(1%ロジウム−2%ニッケル/チタニア触媒(層状型))を得た。
触媒−3を加圧成形したのち、0.5〜1.0mm程度の粒径になるように粉砕、整粒し、その1.0ccを外径10mmの石英ガラス反応管に充填した。次いで、水素気流中にて、300℃で1.0時間、触媒の還元処理を行ったのち、下記の条件で水蒸気改質反応を行い、ガス分析を行うことにより、メタン転化率を算出した。
なお、調製した触媒を酸湿式分解した後、ICP質量分析法により測定して得られた値を元素換算することにより算出した、触媒−3における触媒活性金属の担持量は、ニッケル原子の含有率が1.9重量%であり、ロジウム原子の含有率が1.1重量%であった。これらは、触媒の作製に用いた材料から算出される理論上の濃度とほぼ同じであった。
・メタン(99.6%) :100cc/分
・スチーム/カーボン比(S/C比):1.0または2.0
・反応温度 :400℃〜800℃
・空間速度(SV) :11,000〜16,500(1/hr)
供給ガスと反応生成ガスの分析は、以下の検出器を用いて、ガスクロマトグラフを用いて測定した。また、メタン転化率は、下記の計算式(2)により算出した。
・CH4(メタン) :水素炎イオン化型(GC−FID)
・CO(一酸化炭素)、CO2(二酸化炭素):熱伝導度型(GC−TCD)
触媒−4について、実施例1におけるのと同様の処理を行い、触媒の分析および性能試験を行った。得られた結果を、表1に併せて示す。
なお、ICP質量分析法による、触媒−4のニッケルの含有率は2.1重量%であり、ロジウムの含有率は1.2重量%であった。
触媒−5について、実施例1におけるのと同様の処理を行い、触媒の分析および性能試験を行った。
また、本触媒では、水蒸気改質反応の温度として、700℃と800℃の2水準を追加した性能試験も行い、さらに、耐久性試験として、スチーム/カーボン比が2.0で、反応温度が600℃、700℃、800℃の各温度で3時間の連続試験を行った。得られた結果を、表1に併せて示す。
なお、ICP質量分析法による、触媒−5のニッケルの含有率は1.3重量%であり、ロジウムの含有率は0.4重量%であった。
触媒−1について、実施例1におけるのと同様の処理を行い、触媒の性能試験を行った。得られた結果を、表1に併せて示す。
触媒−2について、実施例1におけるのと同様の処理を行い、触媒の性能試験を行った。得られた結果を、表1に併せて示す。
触媒−6について、実施例1におけるのと同様の処理を行い、触媒の性能試験を行った。得られた結果を、表1に併せて示す。
触媒−7について、実施例1におけるのと同様の処理を行い、触媒の性能試験を行った。得られた結果を、表1に併せて示す。
よって、本発明の改質触媒は、水蒸気改質反応が600℃以下のように、比較的低い温度であっても、優れた触媒性能を有していることが分かる。
また、スチーム/カーボン比(表中、S/C比)が低い場合にも、メタン転化率が高かった。
よって、本発明の改質触媒は、スチーム/カーボン比が1〜2のように、比較的低い場合であっても、優れた触媒性能を有していることが分かる。
また、層状型の触媒−3と比較すると、混合分散型の触媒−4は、触媒の性能が向上する傾向が観察された。
本発明の水蒸気改質触媒は、反応温度が比較的高い800℃程度の連続試験後にも触媒活性を維持していた。これは、触媒活性金属の焼結が抑制されているためであると考えられる。
また、600℃程度に反応温度が低い条件下、連続試験後にも触媒活性を維持していた。これは、反応温度の低下に依存する炭素の析出が、本発明の水蒸気改質触媒において、低減されているためであると考えられる。
さらに、S/C比が比較的低い条件で、触媒活性を維持していた。これは、S/C比に依存する炭素の析出も、本発明の水蒸気改質触媒において、低減されているためであると考えられる。
また、本発明の水蒸気改質触媒は、混合高分散型であると、触媒活性金属の量を減らした場合にも、十分な触媒性能を有することが明らかとなった。
これに対して、ジルコニア担体に、ニッケルとロジウムを組み合わせて共存させた本発明の水蒸気改質触媒(触媒−3〜触媒−5)のメタン転化率は、触媒−1および触媒−2に比べて約3倍以上の性能を示していた。よって、本発明の水蒸気改質触媒がその性能に優れていることが分かる。
よって、本発明の効果を得るには、ニッケルとロジウムを共存させるだけでは足りず、ジルコニア担体と組み合わせることが重要であることが分かる。
Claims (7)
- 酸化ジルコニウムを主成分とする担体と、触媒活性金属としてのニッケルおよびロジウムを含有し、
前記酸化ジルコニウムに対して、前記ニッケルの含有率が0.5〜5重量%かつ前記ロジウムの含有率が0.5〜3重量%であり、
前記ニッケルの含有率および前記ロジウムの含有率は、製造過程を経て得られた最終生成物に対するICP質量分析により測定して得られた値であり、
反応温度が500℃〜600℃およびスチーム/カーボン比が1〜2の条件下での水蒸気改質反応に使用する際に、66.5%以上のメタン転化率を達成することを特徴とする、水蒸気改質触媒。 - 前記担体上にニッケル層が設けられ、前記ニッケル層上にロジウム層が設けられた層状型であることを特徴とする、請求項1に記載の水蒸気改質触媒。
- 前記酸化ジルコニウムに対して、前記ニッケルの含有率が1〜3重量%かつ前記ロジウムの含有率が0.5〜2重量%であり、
前記ニッケルの含有率および前記ロジウムの含有率は、製造過程を経て得られた最終生成物に対するICP質量分析により測定して得られた値であることを特徴とする、請求項1または2に記載の水蒸気改質触媒。 - 前記担体が、シリカ、アルミナ、チタニア、およびマグネシウム・アルミナからなる群から選択される1種類以上の金属酸化物をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の水蒸気改質触媒。
- 前記酸化ジルコニウムが、前記金属酸化物の表面層に存在することを特徴とする、請求項4に記載の水蒸気改質触媒。
- 炭化水素と水蒸気の混合気体を水蒸気改質触媒に接触させる、水蒸気改質反応工程を包含する水蒸気改質方法であって、
前記水蒸気改質触媒が、請求項1〜5のいずれかに記載の水蒸気改質触媒であることを特徴とする、水蒸気改質方法。 - 水蒸気改質反応のために通気される供給気体中の炭化水素の濃度が90%以上であり、前記水蒸気改質反応工程は、反応温度が400℃〜800℃、かつスチーム/カーボン比が1〜3の条件で行われることを特徴とする、請求項6に記載の水蒸気改質方法。
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