JP6752579B2 - 人工皮革基材及びその製造方法、並びにオイル調,起毛調,または銀面調人工皮革 - Google Patents

人工皮革基材及びその製造方法、並びにオイル調,起毛調,または銀面調人工皮革 Download PDF

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Description

本発明は、衣料、靴、家具、カーシート、雑貨製品等の表面素材として用いられる人工皮革の製造に用いられる人工皮革基材に関し、詳しくは、表面平滑性に優れた人工皮革基材に関する。
従来、表面をオイルレザー調に仕上げたオイル調人工皮革や、スエード調人工皮革やヌバック調人工皮革のような立毛調人工皮革や、表面に銀面調の樹脂層を積層した銀面調人工皮革が知られている。これらの各種人工皮革は、不織布を主体とする人工皮革基材の表面に、種々の表面処理加工を施すことにより製造されている。近年においては、天然皮革に近い充実感を有する人工皮革を製造するために、複数の極細繊維の束である極細繊維束を絡合させた繊維絡合体に高分子弾性体を含浸付与させた不織布を基材とする人工皮革基材が広く用いられている。
例えば、オイル調人工皮革を製造する場合、人工皮革基材を染色し、その表面にワックスやオイル,ポリウレタン等の樹脂成分,着色材等の表面仕上剤等を塗布し、バフィングして磨きを掛ける等の処理により仕上げられる。また、立毛調人工皮革を製造する場合、人工皮革基材を染色し、その表面をバフィングして繊維を起毛させ、さらに風合調整剤等を浸透させることにより仕上げられる。また、銀面調人工皮革を製造する場合、人工皮革基材の表面に樹脂を塗布し、固化させて樹脂層を形成することにより表面に銀面調の樹脂層を積層して仕上げられる。
例えば下記特許文献1は、極細繊維からなる絡合不織布とその内部に高分子弾性体が含浸された基体の少なくとも表面に、ポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸ビニル重合体、スチレン重合体、塩化ビニル重合体、ブチラール樹脂およびエチレン酢酸ビニル重合体から選ばれる少なくとも1つの重合体と、ポリビニルアルコール樹脂の混合物が存在しているオイル調皮革様シートを開示する。
特開2011−157641号公報
オイル調人工皮革、立毛調人工皮革、銀面調人工皮革等のような何れの人工皮革においても、人工皮革基材の表面を仕上げ処理して製造される。人工皮革においては、仕上げ処理後の状態をより天然皮革に近づけること、具体的には、表面が緻密で表面平滑性が高く、密度ムラの少ない表面を形成することが求められていた。人工皮革基材の表面には繊維が存在し、仕上げ面においては極細繊維束の不織布の密度斑に起因する極細繊維束の輪郭による凹凸が反映される。
人工皮革基材の表面を平滑化する方法の一つとしては、表面に比較的厚い樹脂層を形成することにより極細繊維束の輪郭による凹凸を表面に反映させなくする方法も知られている。比較的厚い銀面層を保持させるような用途に用いられる銀面調人工皮革を製造する場合においてはこのような方法を採用することができる。しかしながら、半銀調人工皮革とも称されるような表面に繊維感を残したような薄い銀面層を形成するような仕上げが求められる場合や、表面に樹脂層を形成しないように仕上げられる起毛調人工皮革やオイル調の人工皮革の場合には、このような方法を採用することができなかった。
本発明は、各種人工皮革に仕上げ加工される人工皮革基材において、表面に厚い樹脂層を形成することなく平滑な表面を保持させるための人工皮革基材を提供することを目的とする。
従来の極細繊維束を絡合させた繊維絡合体を含む人工皮革基材は、極細繊維束を絡合させた繊維絡合体と含浸付与された高分子弾性体とを含む不織布を準備し、所定の厚みにスライスし、いずれか一方の面をバフィングすることにより平坦化することにより製造されていた。このような人工皮革基材の製造においては、バフィング工程において極細繊維束の輪郭の凹凸が反映されて、バフィング後の表面に極細繊維束の輪郭の凹凸が表出する。そのために、従来の製造方法により製造された極細繊維束を絡合させた繊維絡合体を含む人工皮革基材においては、平滑性の低い表面しか得られなかった。本発明者らは、繊維絡合体を形成する極細繊維束を表層において開繊し、開繊した極細繊維を表層に付与した樹脂で固定した複合層を形成し、この複合層をバフィングすることにより、極細繊維束の輪郭の凹凸の影響を小さくした状態で表面を平滑化するような方法により、表面に厚い樹脂層を形成することなく高い表面平滑性を保持する人工皮革基材を得ることを実現した。
すなわち、本発明の一局面は、平均単繊維径10μm以下の複数の極細繊維の束である極細繊維束を絡合させた繊維絡合体と、繊維絡合体に含浸付与された第一の高分子弾性体と、を含む不織布を含み、不織布は、少なくとも一面の表層に、極細繊維束を開繊させた極細繊維と表層に局在するように含浸付与された樹脂の層である表層樹脂層とを含み、表層樹脂層は、樹脂と極細繊維との複合層を含み、一面の表面の算術平均高さSが10μm以下である人工皮革基材である。このような構成において、表層に形成される表層樹脂層の、樹脂と極細繊維との複合層はバフィング等により平滑化されるために、表面の算術平均高さSが10μm以下であるような高い平滑性を有する表面を実現させる。
また、表層樹脂層は200〜500μmの厚さを有し、複合層が50〜150μmの厚さを有することが、表面平滑性が高く、仕上げ加工に用いる表面仕上剤の浸透性も優れる点から好ましい。
また、表層樹脂層内において、樹脂が少なくとも一部の極細繊維束内に侵入していることが極細繊維束及び開繊した繊維が確りと固定される点から好ましい。
また、人工皮革基材は、0.55g/cm3以上の見掛け密度を有することが充実感に優れる点から好ましい。
また、上記一面の表面における、水滴吸い込み時間が10秒以下であり、ガーレー式デンソメーターによる通気度が5.0cm/cm/秒以上であることが好ましい。
また、充填された樹脂は、第二の高分子弾性体とシリコーン樹脂,フッ素樹脂,ポリエチレンワックス等の合成樹脂系滑剤とを、90:10〜80:20の固形分比率で含有することが表面の柔軟性に優れる点から好ましい。
また、第二の高分子弾性体はポリウレタンであり、合成樹脂系滑剤はシリコーン樹脂であることが好ましい。
また、厚さ方向と平行な断面における表層樹脂層の空隙率が10〜20%であることが、仕上げ加工に用いる表面仕上剤の浸透性に優れる点から好ましい。
また、本発明の他の一局面は、上述した人工皮革基材の表層樹脂層に、ワックス,オイル,ポリウレタン等の樹脂成分,及び着色材からなる群れから選ばれる少なくとも一種を含むオイル調表面仕上剤を含浸付与させて得られるオイル調人工皮革、人工皮革基材の一面が、極細繊維を起毛させた面である起毛調人工皮革、人工皮革基材の一面に積層された銀面調樹脂層をさらに備える銀面調人工皮革である。
また、本発明の他の一局面は、平均単繊維径10μm以下の複数の極細繊維の束である極細繊維束を絡合させた繊維絡合体と繊維絡合体に含浸付与された第一の高分子弾性体とを含む、見掛け密度0.55g/cm3以上の不織布を準備する工程と、不織布の少なくとも一面に第一のバフィング処理を施して表層の極細繊維束を開繊させる工程と、不織布の第一のバフィング処理を施された一面に樹脂を塗工して200〜500μmの厚さの表層樹脂層を形成する工程と、表層樹脂層を形成させた面に第二のバフィング処理を施して平滑化する工程と、を備える人工皮革基材の製造方法を提供する。
また、第一のバフィング処理を施された面を、樹脂を塗工する前に熱プレスする工程をさらに備えることが表面平滑性をより向上させることができる点から好ましい。
また、平滑化する工程が、表面の算術平均高さSが10μm以下になるように調整する工程であることが好ましい。
本発明によれば、表面に厚い樹脂層を形成することなく高い表面平滑性を保持する人工皮革基材が得られる。
図1(a)は、実施形態の人工皮革基材10の厚み方向に平行な方向の模式断面図であり、(b)は、人工皮革基材10の表層付近の拡大模式図である。 図2は、実施例1で得られた人工皮革基材の厚み方向に平行な方向の80倍の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 図3は、比較例2で得られた人工皮革基材の厚み方向に平行な方向の80倍の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 図4は、実施例4で得られた人工皮革基材の厚み方向に平行な方向の80倍の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 図5は、比較例6で得られた人工皮革基材の厚み方向に平行な方向の80倍の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
本実施形態の人工皮革基材を、図1を参照して説明する。図1(a)は、人工皮革基材10の厚み方向に平行な方向の模式断面図であり、図1(b)は、図1(a)の人工皮革基材10の表層付近の拡大模式図である。図1に示すように、人工皮革基材10は、平均単繊維径10μm以下の複数の長繊維の極細繊維1aの束である極細繊維束1を絡合させた繊維絡合体と、繊維絡合体に含浸付与された第一の高分子弾性体2と、を含む不織布を含み、不織布は、少なくとも一面の表層に、極細繊維束1を開繊させた極細繊維1aと表層に局在するように含浸付与された樹脂3を含む層である表層樹脂層5とを含み、表層樹脂層5は、樹脂3と開繊された極細繊維1aとの複合層6を含み、複合層6の表面の算術平均高さSが10μm以下である人工皮革基材である。
本実施形態の人工皮革基材をその製造方法の一例に沿って詳しく説明する。
本実施形態の人工皮革基材の製造においては、はじめに、平均単繊維径10μm以下の複数の長繊維の極細繊維の束である極細繊維束を絡合させた繊維絡合体と繊維絡合体の全体に含浸付与された第一の高分子弾性体とを含む、不織布を準備する。
不織布の製造においては、はじめに、極細繊維発生型繊維の繊維ウェブを製造する。繊維ウェブの製造方法としては、例えば、極細繊維発生型繊維を溶融紡糸し、これを意図的に切断することなく長繊維のまま捕集するような方法が挙げられる。なお、長繊維とは、所定の長さで切断処理されたステープルではない繊維であり、その長さとしては、例えば、100mm以上、さらには、200mm以上であることが繊維密度を充分に高めることができる点から好ましい。長繊維の上限は、特に限定されないが、連続的に紡糸された数m、数百m、数kmあるいはそれ以上の繊維長であってもよい。
なお、極細繊維発生型繊維とは、紡糸後の繊維に化学的な後処理または物理的な後処理を施すことにより、極細繊維を形成するための繊維である。その具体例としては、例えば、繊維断面において、マトリクスとなる海成分のポリマー中に、海成分とは異なる種類のドメインとなる島成分のポリマーが分散されており、後に海成分を除去することにより、島成分のポリマーを主体とする繊維束状の極細繊維を形成する海島型複合繊維や、繊維外周に複数の異なる樹脂成分が交互に配置されて花弁形状や重畳形状を形成しており、物理的処理により各樹脂成分が剥離することにより分割されて束状の極細繊維を形成する剥離分割型複合繊維、等が挙げられる。海島型複合繊維によれば、後述するニードルパンチ処理等の絡合処理を行う際に、割れ、折れ、切断などの繊維損傷が抑制される。本実施形態では、代表例として海島型複合繊維を用いて長繊維の極細繊維(極細長繊維)を形成する場合について詳しく説明する。
海島型複合繊維は少なくとも2種類のポリマーからなる多成分系複合繊維であり、海成分ポリマーからなるマトリクス中に島成分ポリマーが分散した断面を有する。海島型複合繊維の長繊維ウェブは、海島型複合繊維を溶融紡糸し、これを切断せずに長繊維のままネット上に捕集して形成される。
島成分ポリマーは極細繊維を形成しうるポリマーであれば特に限定されない。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリトリメチレンテレフタレート(PTT),ポリブチレンテレフタレート(PBT),ポリエステル弾性体等のポリエステル系樹脂またはそれらのイソフタル酸等による変性物;ポリアミド6,ポリアミド66,ポリアミド610,ポリアミド12,芳香族ポリアミド,半芳香族ポリアミド,ポリアミド弾性体等のポリアミド系樹脂またはそれらの変性物;ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリエステル系ポリウレタンなどのポリウレタン系樹脂等が挙げられる。これらの中では、PET,PTT,PBT,これらの変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂が、熱処理により収縮しやすいために充実感のある人工皮革基材が得られる点から好ましい。また、ポリアミド6,ポリアミド66等のポリアミド系樹脂はポリエステル系樹脂に比べて吸湿性があってしなやかな極細繊維が得られるために、膨らみ感のある柔らかな風合いを有する人工皮革基材が得られる点から好ましい。また、島成分ポリマーは本発明の効果を損なわない範囲で、顔料などの着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光剤、防黴剤、無機微粒子等をさらに含有してもよい。
海成分ポリマーとしては、島成分ポリマーよりも溶剤に対する溶解性または分解剤による分解性が高いポリマーが選ばれる。また、島成分ポリマーとの親和性が小さく、かつ、紡糸条件において溶融粘度及び/又は表面張力が島成分ポリマーよりも小さいポリマーが海島型複合繊維の紡糸安定性に優れている点から好ましい。このような海成分ポリマーの具体例としては、例えば、水溶性ポリビニルアルコール系樹脂(水溶性PVA)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン−プロピレン系共重合体、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−エチレン系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体などが挙げられる。これらの中では水溶性PVAが有機溶剤を用いることなく水系溶媒により溶解除去が可能であるために環境負荷が低い点から好ましい。
海島型複合繊維は海成分ポリマーと島成分ポリマーとを複合紡糸用口金から溶融押出する溶融紡糸により製造することができる。複合紡糸用口金の口金温度は海島型複合繊維を構成するそれぞれのポリマーの融点よりも高い溶融紡糸可能な温度であれば特に限定されないが、通常、180〜350℃の範囲が選ばれる。
海島型複合繊維の平均繊維径は、平均単繊維径10μm以下の極細繊維を形成できる限りとくに限定されないが、7〜22μm、さらには12〜17μmであることが好ましい。また、海島型複合繊維の断面における海成分ポリマーと島成分ポリマーとの平均面積比は5/95〜70/30、さらには10/90〜50/50であることが好ましい。また、海島型複合繊維の断面における島成分のドメインの数は特に限定されないが、工業的な生産性の観点からは5〜1000個、さらには、10〜300個程度であることが好ましい。
複合紡糸用口金から吐出された溶融状態の海島型複合繊維は、冷却装置により冷却され、さらに、エアジェットノズルなどの吸引装置により目的の繊度となるように1000〜6000m/分の引取速度に相当する速度の高速気流により牽引細化される。そして牽引細化された長繊維を移動式ネットなどの捕集面上に堆積させることにより長繊維ウェブが得られる。なお、必要に応じて、形態を安定化させるために長繊維ウェブをさらに熱プレスすることにより部分的に圧着させてもよい。このようにして得られる長繊維ウェブの目付はとくに限定されないが、例えば、10〜1000g/m2の範囲であることが好ましい。
そして、得られた長繊維ウェブに絡合処理を施すことにより絡合ウェブを製造する。
長繊維ウェブの絡合処理の具体例としては、例えば、長繊維ウェブをクロスラッパー等を用いて厚さ方向に複数層重ね合わせた後、その両面から同時または交互に少なくとも1つ以上のバーブが貫通する条件でニードルパンチするような処理が挙げられる。ニードルパンチによる1cmあたりのパンチ数(パンチ/cm)としては、2000〜5000パンチ/cm、さらには、2500〜4500パンチ/cmであることが好ましい。
長繊維ウェブには海島型複合繊維の紡糸工程から絡合処理までのいずれかの段階において、油剤や帯電防止剤を付与してもよい。さらに、必要に応じて、長繊維ウェブを70〜150℃程度の温水に浸漬する収縮処理を行うことにより、長繊維ウェブの絡合状態を予め緻密にしておいてもよい。また、ニードルパンチの後、熱プレス処理することによりさらに繊維密度を緻密にして形態安定性を付与してもよい。
また、絡合ウェブを必要に応じて熱収縮させることにより繊維密度および絡合度合が高められる処理を施してもよい。熱収縮処理の具体例としては、例えば、絡合ウェブを水蒸気に接触させる方法や、絡合ウェブに水を付与した後、絡合ウェブに付与した水を加熱エアーや赤外線などの電磁波により加熱する方法が挙げられる。また、熱収縮処理により緻密化された絡合ウェブをさらに緻密化するとともに、絡合ウェブの形態を固定化したり、表面を平滑化したりすること等を目的として、必要に応じて、熱プレス処理を行うことによりさらに、繊維密度を高めてもよい。収縮処理工程における絡合ウェブの目付の変化としては、収縮処理前の目付に比べて、1.1倍(質量比)以上、さらには、1.3倍以上で、2倍以下、さらには1.6倍以下であることが好ましい。このようにして得られる絡合ウェブの目付としては100〜2000g/m2程度の範囲であることが好ましい。
本実施形態の人工皮革基材の製造においては、海島型複合繊維の絡合ウェブに、得られる不織布に形態安定性や充実感を付与するために、絡合ウェブの内部空隙に第一の高分子弾性体を全体的に均質に含浸付与する。
第一の高分子弾性体の具体例としては、例えば、ポリウレタン、アクリル系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂等の弾性体が挙げられる。これらの中ではポリウレタンが好ましい。
なお、ポリウレタンは、ポリウレタンエマルジョン、または、水系溶媒に分散されたポリウレタン分散液から凝固されるようなポリウレタンが特に好ましい。また、エマルジョンが感熱ゲル化性を有している場合には、エマルジョン粒子がマイグレーションすることなく感熱ゲル化するので、高分子弾性体を不織布に均一に付与することができる。
絡合ウェブに第一の高分子弾性体を含浸付与する方法としては、絡合ウェブに第一の高分子弾性体を含有するエマルジョン,分散液,または溶液を含浸させた後、乾燥凝固させる乾式法または湿式法等により凝固させる方法が極細繊維の表面との間に空隙が形成されることによりしなやかな風合いを有する人工皮革基材が得られる点から好ましい。なお、凝固後に架橋構造を形成する高分子弾性体を用いた場合には、架橋を促進させるために、必要に応じて、凝固及び乾燥後に熱処理するキュア処理を行ってもよい。
第一の高分子弾性体のエマルジョン、分散液、または溶液等の含浸方法としては、プレスロール等で所定の含浸状態になるように絞るという処理を1回又は複数回行うディップニップ法等が挙げられる。
なお、第一の高分子弾性体は、本発明の効果を損なわない範囲で、染料や顔料などの着色剤、凝固調節剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光剤、防黴剤、浸透剤、消泡剤、滑剤、撥水剤、撥油剤、増粘剤、増量剤、硬化促進剤、発泡剤、ポリビニルアルコールやカルボキシメチルセルロースなどの水溶性高分子化合物、無機微粒子、導電剤などをさらに含有してもよい。
第一の高分子弾性体の含有割合としては、形成される極細繊維束の繊維絡合体の質量に対して、0.1〜60質量%、さらには0.5〜50質量%、とくには1〜30質量%、ことには5〜20質量%であることが、得られる人工皮革基材の充実感としなやかさ等のバランスに優れる点から好ましい。第一の高分子弾性体の含有割合が高すぎる場合には得られる人工皮革基材がゴムライクになり硬くなる傾向がある。
そして、第一の高分子弾性体を含浸付与された絡合ウェブ中の海島型複合繊維から海成分ポリマーを除去することにより、極細繊維束の繊維絡合体が形成される。海島型複合繊維から海成分ポリマーを除去する方法としては、海成分ポリマーのみを選択的に除去しうる溶剤または分解剤で絡合ウェブを処理するような従来から知られた極細繊維の形成方法が特に限定なく用いられうる。具体的には、例えば、海成分ポリマーとして水溶性PVAを用いる場合には溶剤として熱水が用いられ、海成分ポリマーとして易アルカリ分解性の変性ポリエステルを用いる場合には、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性分解剤が用いられる。
海成分ポリマーとして水溶性PVAを用いる場合、80〜100℃の熱水中で100〜600秒間処理することにより、水溶性PVAの除去率が95〜100質量%程度になるまで抽出除去することが好ましい。なお、ディップニップ処理を繰り返すことにより、水溶性PVAを効率的に抽出除去できる。水溶性PVAを用いた場合には、有機溶剤を用いずに海成分ポリマーを選択的に除去することができるために、環境負荷が低く、また、VOCの発生を抑制できる点から好ましい。
極細繊維束を形成する極細繊維の平均単繊維径は10μm以下であり、1〜7μm、さらには2〜5μmであることが好ましい。極細繊維の平均単繊維径が10μmを超える場合には、しなやかな風合いが低下するとともに、表面平滑性が低下する傾向がある。
このようにして平均単繊維径10μm以下の複数の極細繊維の束である極細繊維束を絡合させた繊維絡合体と繊維絡合体の全体に均質に含浸付与された第一の高分子弾性体とを含む、不織布が得られる。このようにして得られた不織布は、必要に応じて厚さ方向と垂直な方向に複数枚にスライスされて厚さ調節される。不織布の厚さとしては、0.5〜4mm、さらには1〜3mmであることが好ましい。
次に、不織布の少なくとも一面に第一のバフィング処理を施して表層の極細繊維束を開繊させる。バフィング処理は、例えば、120〜600番手、さらに好ましくは320〜600番手程度のサンドペーパーやエメリーペーパーを用いてバフィング処理するような方法が挙げられる。バフィング処理による研削厚さは特に限定されないが、100〜500μm程度、さらには200〜300μm程度であることが好ましい。このようにして不織布の表層の極細繊維束が開繊されて表面に起毛した極細繊維が存在する起毛面が形成される。
このようにバフィング処理された不織布は、そのバフィングされた表面を平滑化するためにさらに熱プレス処理されてもよい。バフィング処理された後に、さらに熱プレスされることにより、極細繊維束が開繊されて表面に起毛した極細繊維が表面に存在する極細繊維束間に押し込められることにより、表面がより平滑化する。バフィングされた面の算術平均高さSとしては50μm以下、さらには30μm以下程度であることが好ましい。
次に、不織布の第一のバフィング処理を施された一面に樹脂を塗工して表層に局在するように含浸付与された樹脂の層である表層樹脂層を形成する。本工程は、上述したバフィング処理されて形成された表層に存在する開繊された極細繊維、及び表層で開繊されない状態で存在する極細繊維束を樹脂で固定するための工程である。このような工程により、次工程の第二のバフィング処理の際に、表層部の開繊された極細繊維及び極細繊維束を移動させず、安定して研磨できるようになる。
表層樹脂層の形成は、不織布の第一のバフィング処理を施された一面に表層樹脂層を形成するための樹脂液を塗布した後、樹脂を凝固させる。このように不織布の第一のバフィング処理を施された一面に表層樹脂層を形成することにより、開繊された極細繊維及び開繊された極細繊維を支持する極細繊維束を動きにくくするように固定する。そして、表層樹脂層の表層部に開繊された極細繊維が存在し、後述する第二のバフィング処理において極細繊維束を直接バフィングさせないために研磨しやすくなり、平滑化しやすくなる。
表層樹脂層を形成する樹脂は、第一の高分子弾性体と同様に高分子弾性体(第二の高分子弾性体)を主成分とすることが好ましい。また、第一の高分子弾性体と第二の高分子弾性体とは同じものでも、種類や分子量等が異なるものであってもよい。すなわち、第二の高分子弾性体の具体例としては、例えば、ポリウレタン、アクリル系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂等の弾性体が挙げられる。これらの中では、風合いや耐摩耗性に優れる点からポリウレタンが好ましい。
また、表層樹脂層は第二の高分子弾性体に加えて、繊維の滑り性を付与して柔軟な風合いを発現させるために、シリコーン樹脂,フッ素樹脂,ポリエチレンワックスのような合成樹脂系滑剤を含むことが好ましい。第二の高分子弾性体と合成樹脂系滑剤とを併用する場合には、第二の高分子弾性体と合成樹脂系滑剤との配合比率としては、90:10〜80:20程度の固形分比率で含有させることが好ましい。また、とくには、第二の高分子弾性体としてポリウレタンを用い、合成樹脂系滑剤としてシリコーン樹脂を用いることがより優れた柔軟な風合いが得られる点から好ましい。
不織布の第一のバフィング処理を施された一面に表層樹脂層を形成するための樹脂液を塗布する方法としては、グラビアコーティング法、バーコーティング法、ナイフコーティング法、ロールコーティング法、コンマコーティング法、スプレーコーティング法等が挙げられる。そして、第一のバフィング処理を施された一面に表層樹脂層を形成するための樹脂液を塗布し、乾燥凝固させることにより、開繊された極細繊維及び開繊された極細繊維を支持する極細繊維束を固定する表層に浸透した表層樹脂層が形成される。
また、表層樹脂層は、上述のように、極細繊維と樹脂が混在一体化された複合層を表層に有する。このような複合層は、開繊された極細繊維を含むことにより極細繊維束を後述する第二のバフィング処理において直接バフィングさせないために平滑化されやすくなる。
表層樹脂層を形成する樹脂の目付としては、第一のバフィング処理を施された一面において、5〜50g/m2、さらには5〜45g/m2であることが、表面の風合いを硬くさせすぎずに後述する第二のバフィング処理の際に平滑化しやすい面が形成される点から好ましい。
また、厚さ方向と平行な断面における表層樹脂層の空隙率は、10〜20%であることが仕上加工における表面仕上剤を吸収しやすい点から好ましい。
表層樹脂層には、本発明の効果を損なわない範囲で、染料や顔料などの着色剤、凝固調節剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光剤、防黴剤、浸透剤、消泡剤、滑剤、撥水剤、撥油剤、増粘剤、増量剤、硬化促進剤、発泡剤、ポリビニルアルコールやカルボキシメチルセルロースなどの水溶性高分子化合物、無機微粒子、導電剤などをさらに含有してもよい。
次に、上述のように不織布の表層樹脂層を形成された面に第二のバフィング処理を施すことにより、表面を平滑化する。第二のバフィング処理は、主として複合層を研磨して平滑化する処理である。第二のバフィング処理も、例えば、120〜600番手、さらに好ましくは320〜600番手程度のサンドペーパーやエメリーペーパーを用いてバフィング処理するような方法が挙げられる。バフィング処理による研削厚さは複合層を残すように第一のバフィング処理に比べて著しく少なく研磨し、具体的には、例えば、5〜80μm、さらには10〜60μmであることが好ましい。このようにして不織布の表層樹脂層のさらに表層に、極細繊維束が開繊されて形成された極細繊維と樹脂との複合体であって平滑化された表面を有する複合層が形成される。
表層樹脂層の厚さとしては、200〜500μm、さらには、200〜300μmであることが好ましい。表層樹脂層が厚すぎる場合には得られる人工皮革基材の風合いが硬くなりすぎたり、後述する仕上げ加工の際の着色材やワックスやオイル、ポリウレタン等の樹脂成分等の仕上げ材が浸透しにくくなったりする傾向がある。また、表層樹脂層が薄すぎる場合には後述する第二のバフィング処理の際に、表層の開繊された極細繊維及び極細繊維束が動きやすくなるために高い表面平滑性を実現できるような平滑化処理が難しくなる傾向がある。
また、複合層の厚さとしては、50〜150μm、さらには80〜130μmであることが好ましい。複合層が薄すぎる場合には平滑性が悪くなる傾向があり、厚すぎる場合には折れシワが大きくなる傾向がある。また、表層樹脂層内においては、少なくとも一部の極細繊維束内に樹脂が侵入していることが極細繊維束及び開繊した繊維が確りと固定される点から好ましい。
また、表層樹脂層中の複合層の厚さの割合としては、10〜60%、さらには20〜50%、とくには30〜40%であることが高い表面平滑性を実現できる点からより好ましい。
第二のバフィング処理が施された不織布の表面は、第一のバフィング処理された表面に比べて平滑化される。そのために、本実施形態の人工皮革基材の表面は、厚い樹脂層を形成することなく平滑な表面を保持する。このような第二のバフィング処理された面の算術平均高さSは10μm以下であることが好ましく、さらには8μm以下、であることが好ましい。このような平滑な表面を形成することにより、後述する人工皮革を天然皮革に近い、緻密で平滑性が高く、密度ムラの少ない表面に仕上げることができる。また、厚い樹脂層を形成させて平滑化した面ではないために、後述する仕上げ加工の際の着色材やワックスやオイル,ポリウレタン等の樹脂成分,等の仕上げ材を浸透させやすい表面を形成できる。
このようにして、本実施形態の人工皮革基材が得られる。人工皮革基材は必要に応じて染色されたり、風合いを調整するために柔軟性を付与する収縮加工処理や揉み柔軟化処理を施したり、逆シールのブラッシング処理、防汚処理、親水化処理、滑剤処理、柔軟剤処理、酸化防止剤処理、紫外線吸収剤処理、蛍光剤処理、難燃処理等の仕上げ処理を施されたりしてもよい。
染色する場合、染料としては極細繊維の種類により適切なものが適宜選択される。例えば、極細繊維がポリエステル系樹脂から形成されている場合には分散染料で染色することが好ましい。分散染料の具体例としては、例えば、ベンゼンアゾ系染料(モノアゾ、ジスアゾなど)、複素環アゾ系染料(チアゾールアゾ、ベンゾチアゾールアゾ、キノリンアゾ、ピリジンアゾ、イミダゾールアゾ、チオフェンアゾなど)、アントラキノン系染料、縮合系染料(キノフタリン、スチリル、クマリンなど)等が挙げられる。これらは、例えば、「Disperse」の接頭辞を有する染料として市販されている。これらは、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、染色方法としては、高圧液流染色法、ジッガー染色法、サーモゾル連続染色機法、昇華プリント方式等による染色方法が特に限定なく用いられる。
以上のような工程を経て、各種人工皮革基材の仕上げ加工において、表面に厚い樹脂層を形成することなく平滑な表面を保持させることのできる本実施形態の人工皮革基材が得られる。このような人工皮革基材の見かけ密度としては、0.55〜0.75g/cm3、さらには0.60〜0.70g/cm3であることが、表面平滑性が高く、また、ボキ折れしない充実感と柔軟な風合いとのバランスに優れた人工皮革基材が得られる点から好ましい。
また、人工皮革基材の表面は、後述するような水滴吸い込み時間が10秒以下、さらには5秒以下であること、または、後述するようなガーレー式デンソメーターによる通気度が5.0cm/cm/秒以上、さらには10.0cm/cm/秒以上であることが後述する仕上加工における表面仕上剤を吸収しやすい点から好ましい。
このようにして形成された人工皮革基材は、表層樹脂層に、ワックス,オイル,ポリウレタン等の樹脂成分や着色材等の表面仕上剤等を塗布して含浸させ、バフィングして磨きを掛ける等の処理による公知のオイル仕上げによりオイル調人工皮革に仕上げられる。本実施形態の人工皮革基材を用いて仕上げられたオイル調人工皮革は、表面平滑性が高いために表面が緻密で平滑性が高く、密度ムラの少ないオイルレザーに似た表面が得られる。また、ワックス,オイルやポリウレタン等の樹脂成分、着色材等の表面仕上剤の浸透性に優れるために、引っ張ると色が明るくなり印象の変わるような、いわゆるプルアップレザーに似た意匠性を発現させることもできる。
また、着色された人工皮革基材の表層樹脂層の表層の極細繊維を起毛させ、さらに風合調整剤等を浸透させることによりヌバック調やスエード調の起毛調人工皮革に仕上げられる。さらに、人工皮革基材の表層樹脂層に銀面調の樹脂層、または、繊維感を残すような薄い半銀調の樹脂層を積層することにより銀面調人工皮革に仕上げられる。このようにして仕上げられるオイル調人工皮革、立毛調人工皮革、銀面調人工皮革等のような何れの人工皮革においても、平滑性に優れた表面が得られる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明の範囲は実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1]
海成分の熱可塑性樹脂としてエチレン変性ポリビニルアルコール(PVA)、島成分の熱可塑性樹脂としてイソフタル酸変性した変性PET(イソフタル酸単位の含有割合6モル%)を、それぞれ個別に溶融させた。そして、海成分中に均一な断面積の島成分が12個分布した断面を形成しうるような、12個のノズル孔が並列状に配置された複合紡糸用口金に、それぞれの溶融樹脂を供給した。このとき、海成分と島成分との質量比が海成分/島成分=25/75となるように圧力調整しながら供給した。そして、口金温度260℃に設定されたノズル孔より吐出させた。
そして、ノズル孔から吐出された溶融繊維を紡糸速度が3700m/分となるように気流の圧力を調節したエアジェットノズル型の吸引装置で吸引することにより延伸し、平均繊度3.0dtexの海島型複合長繊維を紡糸した。紡糸された海島型複合長繊維は、可動型のネット上に、ネットの裏面から吸引しながら連続的に堆積された。このようにして、目付40g/m2の長繊維ウェブ(スパンボンドシート)を得た。
次に、クロスラッパー装置を用いて長繊維ウェブを16層重ねて総目付が640g/m2の重ね合せウェブを作成し、更に、針折れ防止油剤をスプレーした。そして、重ね合せウェブをニードルパンチングすることにより三次元絡合処理した。具体的には、バーブ数1個でニードル番手42番のニードル針、及びバーブ数6個でニードル番手42番のニードル針を用いて積重体を3645パンチ/cmでニードルパンチ処理して絡合させることによりウェブ絡合シートを得た。得られたウェブ絡合シートの目付は840g/m2であった。
得られたウェブ絡合シートを110℃、23.5%RHの条件でスチーム処理し、面積収縮させた。そして、90〜110℃のオーブン中で乾燥させた後、さらに、115℃で熱プレスすることにより、目付1580g/m、見掛け密度0.681g/cm、厚み2.28mmの熱収縮処理されたウェブ絡合シートを得た。
次に、熱収縮処理されたウェブ絡合シートに、ポリウレタン弾性体のエマルジョン(固形分22.5質量%)をpick up50%で含浸させた。なお、ポリウレタン弾性体は、ポリカーボネート系無黄変ポリウレタンである。エマルジョンには、ポリウレタン弾性体100質量部に対してカルボジイミド系架橋剤4.9質量部と硫酸アンモニウム6.4質量部が添加され、ポリウレタン弾性体の固形分が極細繊維の質量に対して13%となるよう調整されていた。ポリウレタン弾性体は熱処理することにより架橋構造を形成する。そして、エマルジョンが含浸された熱収縮処理されたウェブ絡合シートを115℃、25%RH雰囲気下で乾燥処理し、さらに、150℃で乾燥処理した。次に、ポリウレタン弾性体が充填されたウェブ絡合シートを、ニップ処理、及び高圧水流処理しながら95℃の熱水中に10分間浸漬することによりPVAを溶解除去し、さらに、乾燥することにより、平均単繊維径3μm、目付950g/m、見掛け密度0.62g/cm、厚み1.6mmである、ポリウレタン弾性体と極細繊維の長繊維の繊維束の絡合体を含む不織布を得た。
次に、表面を♯180のペーパーで、速度3.0m/分、回転数700rpmの条件で各面を約80μm〜160μm研削する第一のバフィング処理を施した。第一のバフィング処理後の表面は算術平均高さ(sa)23.6μmに仕上げられた。
そして、第一のバフィング処理を施されたポリウレタン弾性体と極細繊維の長繊維の繊維束の絡合体を含む不織布にポリウレタン弾性体のエマルジョンにカーボンブラックを分散させた顔料芯染液を含浸させた後、乾燥させることにより着色した。そして、着色された不織布を110℃の加熱ロールに通過させて熱プレスすることにより表面を平坦化させた。
そして、表面を平坦化された不織布の一面に第二の高分子弾性体としてポリカーボネート系無黄変ポリウレタンとシリコーン樹脂を80:20(質量比)で含むエマルジョンを固形分で10g/mの割合になるようにグラビアコートし、乾燥させることにより表層樹脂層を形成した。
そして、不織布の表層樹脂層を形成した一面に、さらに、♯400のペーパーで、速度3.0m/分、回転数650rpmの条件で研削する第二のバフィング処理を施した。第二のバフィング処理後の表面は算術平均高さ(sa)6.4μmに仕上げられた。このようにして、見掛け密度0.61g/cm、厚み1.36mmである人工皮革基材を得た。実施例1で得られた人工皮革基材の厚み方向に平行な方向の80倍の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図2に示す。また、150倍のSEM写真によれば、表層樹脂層において、樹脂が極細繊維束内に侵入していた。
そして、得られた人工皮革基材の特性を以下のように評価した。
〈平均単繊維径〉
人工皮革基材の厚さ方向と平行な任意の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で1000倍に拡大撮影し、万遍なく選択された15本の繊維径の平均値として求めた。
〈表層樹脂層及び複合層の厚さ〉
人工皮革基材の厚さ方向と平行な任意の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて80倍で拡大撮影したSEM写真を得た。そして、得られたSEM写真をA4サイズに拡大した。そして、表層樹脂層の厚さを測定するために、A4サイズに拡大したSEM写真において、表層樹脂が存在する領域の上側の境界に沿って曲線Aを引いた。また、不織布中の極細繊維束内に樹脂が侵入している極細繊維束が存在する領域の下側の境界に沿って曲線Bを引いた。そして、曲線A及び曲線Bに沿って、100μm間隔で厚み方向に平行な複数本の直線Pn(P,P,P,・・・P15)を引いた。そして、直線Pn上の曲線Aから曲線Bまでの線分の長さをそれぞれ測定した。そして、異なる15本の各直線Pn上の線分の長さを求めそれらの平均値を求めた。このようにして、3枚のSEM写真において平均値をそれぞれ求め、各平均値をさらに平均した値を表層樹脂層の厚さとした。
また、複合層の厚さを測定するために、A4サイズに拡大したSEM写真において、不織布中の極細繊維束が存在する領域の上側の境界に沿って曲線Cを引いた。また、観察面のもっとも手前の立毛している極細繊維の先端に沿って曲線Dを引いた。そして、曲線C及びDに沿って、100μm間隔で厚み方向に平行な複数本の直線Rn(R・・・R15)を引いた。そして、直線Rn上の曲線Cから曲線Dまでの線分の長さをそれぞれ測定した。そして、異なる15本の各直線Rn上の線分の長さを求めそれらの平均値を求めた。このようにして、3枚のSEM写真において平均値をそれぞれ求め、各平均値をさらに平均した値を複合層の厚さとした。
〈表層樹脂層または表層の空隙率〉
人工皮革基材の厚さ方向と平行な任意の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて50倍で拡大撮影したSEM写真を得た。そして、得られたSEM写真を画像処理ソフトimage-pro plus(media cybernetics社)を用いて空隙部と非空隙部とを2値化する画像処理をし、全体の面積における空隙部の面積の割合を求めた。
〈表面の算術平均高さ(sa)〉
表面の毛足方向を揃えられた、30mm×160mmの人工皮革基材を厚紙へ貼付けたものを試料とし、毛足方向を揃えた表面の凹凸高さを測定した。測定は、ワンショット3D測定マイクロスコープVR-3200(株式会社 キーエンス)を起動し、試料をセットし、ピント合わせた後、18mm×24mmの範囲の写真を撮影した。そして解析アプリを立ち上げて画像処理を実行した。画像処理は、面形補正及びうねり除去を行って水平な平面に補正し、表面の凹凸高さを計測して算術平均高さ(Sa)を得た。なお、3点の平均値を算術平均高さとした。
〈水滴吸い込み時間〉
20℃及び湿度65%の条件で、20×20mmに切り出した人工皮革基材の表面に、JISL1907−7.1.1の滴下法に準じて測定した。具体的には、切り出した人工皮革基材表面からビューレットの先端までが10mmの高さになるように調整した。そして、人工皮革基材の表面にビューレットから水を1滴滴下させ、水滴が試験片の表面に達したときからその試験片が水滴を吸収するにつれて鏡面反射が消え、湿潤だけが残った状態までの時間をストップウォッチで測定した。そして、5点測定したときの平均値を水滴吸い込み時間とした。
〈ガーレー式デンソメーターによる通気度〉
JISL1096に準じ、ガーレー式デンソメーターにより通気度を測定した。そして3点測定したときの平均値を通気度とした。
〈仕上剤浸透性〉
人工皮革基材の表層樹脂層側の表面に、数平均分子量が1.7×10のポリエチレンとポリビニルアルコールとを含むポリエチレンエマルジョン(PE381:固形分濃度53% 成瀬化学(株)製)を、ポリエチレンエマルジョン70に対して水30を添加し希釈した混合液をグラビアコートにより固形分付着量で15g/m2付着させ、110℃の熱風を表面から吹きつけて乾燥した。さらにそのシートを機械もみ処理してオイル調皮革様シートを得た。評価は下記の方法で評価を行った。
A:仕上剤が均一に浸透した。
B:仕上剤が斑になって浸透した。
C:仕上剤が浸透不良となった。
〈人工皮革の表面平滑性〉
ヌバック調天然皮革と比べたときの得られた人工皮革の表面の表面平滑性を、5名のモニターが目視と触感により評価した。
A:5名全員が表面平滑性ありと判定した。
B:3〜4名が表面平滑性ありと判定した。
C:2名以下が表面平滑性ありと判定した。
〈折れ皴〉
50mm×50mmに切り出した人工皮革基材を準備し、SATRA製break/Pipiness Scale and Mandrelを使用し折れ皺の級判定を行った。まず、Mandrel(鉄パイプの主軸)の矩形の穴より切り出した人工皮革基材の表面が見えるように主軸へ沿わし曲げた。矩形の穴を通して見える人工皮革基材の折れ皺と、Scaleの1〜8に区別された皺の見本を比較し、最も同様なScale見本の番号を級数とした。そして、3点測定したときの平均値を折れ皺の級数とした。
1級:折れ皺は、ほとんど無し(折れ皺良好)
8級:大きな折れ皺が発生(折れ皺不良)
結果をまとめて表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、第二のバフィング条件の回転数650rpmを500rpmに変更した以外は同様にして人工皮革基材を得、評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、第二のバフィング条件の#400のペーパーの代わりに#600のペーパーを用いた以外は同様にして人工皮革基材を得、評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、第二のバフィング処理を施す工程を省略した以外は同様にして人工皮革基材を得、評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1において、表層樹脂層を形成する工程及び第二のバフィング処理を施す工程を省略した以外は同様にして人工皮革基材を得、評価した。結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1において、不織布を熱プレスする工程、表層樹脂層を形成する工程及び第二のバフィング処理を施す工程を省略した以外は同様にして人工皮革基材を得、評価した。結果を表1に示す。実施例3で得られた人工皮革基材の厚み方向に平行な方向の80倍の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図3に示す。
[比較例4]
実施例1において、第一のバフィング処理を施された不織布を着色する工程、熱プレスする工程、表層樹脂層を形成する工程及び第二のバフィング処理を施す工程を省略した以外は同様にして人工皮革基材を得、評価した。結果を表1に示す。
[実施例4]
海成分の熱可塑性樹脂としてエチレン変性ポリビニルアルコール(PVA)、島成分の熱可塑性樹脂としてイソフタル酸変性した変性PET(イソフタル酸単位の含有割合6モル%)を、それぞれ個別に溶融させた。そして、海成分中に均一な断面積の島成分が12個分布した断面を形成しうるような、12個のノズル孔が並列状に配置された複合紡糸用口金に、それぞれの溶融樹脂を供給した。このとき、海成分と島成分との質量比が海成分/島成分=25/75となるように圧力調整しながら供給した。そして、口金温度260℃に設定されたノズル孔より吐出させた。
そして、ノズル孔から吐出された溶融繊維を紡糸速度が3700m/分となるように気流の圧力を調節したエアジェットノズル型の吸引装置で吸引することにより延伸し、平均繊度3.0dtexの海島型複合長繊維を紡糸した。紡糸された海島型複合長繊維は、可動型のネット上に、ネットの裏面から吸引しながら連続的に堆積された。このようにして、目付40g/m2の長繊維ウェブ(スパンボンドシート)を得た。
次に、クロスラッパー装置を用いて長繊維ウェブを16層重ねて総目付が640g/m2の重ね合せウェブを作成し、更に、針折れ防止油剤をスプレーした。そして、重ね合せウェブをニードルパンチングすることにより三次元絡合処理した。具体的には、バーブ数1個でニードル番手42番のニードル針、及びバーブ数6個でニードル番手42番のニードル針を用いて積重体を3645パンチ/cmでニードルパンチ処理して絡合させることによりウェブ絡合シートを得た。得られたウェブ絡合シートの目付は840g/mであった。
得られたウェブ絡合シートを110℃、23.5%RHの条件でスチーム処理し、48%面積収縮させた。そして、90〜110℃のオーブン中で乾燥させた後、さらに、115℃で熱プレスすることにより、目付1580g/m、見掛け密度0.681g/cm、厚み2.28mmの熱収縮処理されたウェブ絡合シートを得た。
次に、熱収縮処理されたウェブ絡合シートに、ポリウレタン弾性体のエマルジョン(固形分22.5質量%)をpick up50%で含浸させた。なお、ポリウレタン弾性体は、ポリカーボネート系無黄変ポリウレタンである。エマルジョンには、ポリウレタン弾性体100質量部に対してカルボジイミド系架橋剤4.9質量部と硫酸アンモニウム6.4質量部が添加され、ポリウレタン弾性体の固形分が極細繊維の質量に対して13%となるよう調整されていた。ポリウレタン弾性体は熱処理することにより架橋構造を形成する。そして、エマルジョンが含浸された熱収縮処理されたウェブ絡合シートを115℃、25%RH雰囲気下で乾燥処理し、さらに、150℃で乾燥処理した。次に、ポリウレタン弾性体が充填されたウェブ絡合シートを、ニップ処理、及び高圧水流処理しながら95℃の熱水中に10分間浸漬することによりPVAを溶解除去し、さらに、乾燥することにより、平均繊維径4.2μm(単繊維繊度0.19dtex)、目付1110g/m、見掛け密度0.555g/cm、厚み2.00mmである、ポリウレタン弾性体と極細繊維の長繊維の繊維束の絡合体を含む不織布を得た。そして得られた不織布を分散染料を用いて120℃で高圧染色を行うことにより茶色に染色した。
次に、不織布の表面を♯180のペーパーで、速度3.0m/分、回転数700rpmの条件で各面を約160μm研削する第一のバフィング処理を施した。第一のバフィング処理後の表面は算術平均高さ(sa)16.12μmに仕上げられた。
そして、表面を平坦化された不織布の一面に第二の高分子弾性体としてポリカーボネート系無黄変ポリウレタンとシリコーン樹脂を80:20(質量比)で含むエマルジョンを固形分で30g/mの割合になるようにグラビアコートし、乾燥させることにより表層樹脂層を形成した。
そして、不織布の表層樹脂層を形成した一面に、さらに、♯400のペーパーで、速度3.0m/分、回転数650rpmの条件で研削する第二のバフィング処理を施した。第二のバフィング処理後の表面は算術平均高さ(sa)6.9μmに仕上げられた。このようにして、見掛け密度0.656g/cm、厚さ1.35mmである人工皮革基材を得た。実施例2で得られた人工皮革基材の厚み方向に平行な方向の80倍の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図4に示す。また、150倍のSEM写真によれば、表層樹脂層において、樹脂が極細繊維束内に侵入していた。そして、得られた人工皮革基材の特性を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
[比較例5]
実施例2において、第二のバフィング処理を施す工程を省略した以外は同様にして人工皮革基材を得、評価した。結果を表1に示す。
[比較例6]
実施例1において、表層樹脂層を形成する工程及び第二のバフィング処理を施す工程を省略した以外は同様にして人工皮革基材を得、評価した。比較例6で得られた人工皮革基材の厚み方向に平行な方向の80倍の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図5に示す。結果を表1に示す。
[比較例7]
実施例1において、表層樹脂層を形成する工程、第二のバフィング処理を施す工程及び第一のバフィング処理を施す工程を省略した以外は同様にして人工皮革基材を得、評価した。結果を表1に示す。
本発明の人工皮革基材から仕上げられた人工皮革は、衣料、靴、家具、カーシート、雑貨製品等の表皮素材として好ましく用いられる。
1 極細繊維束
1a 極細繊維
2 第一の高分子弾性体
3 樹脂
5 表層樹脂層
6 複合層
10 人工皮革基材

Claims (14)

  1. 平均単繊維径10μm以下の複数の極細繊維の束である極細繊維束を絡合させた繊維絡合体と、前記繊維絡合体に含浸付与された第一の高分子弾性体と、を含む不織布を含み、前記不織布は、少なくとも一面の表層に、前記極細繊維束を開繊させた前記極細繊維と前記表層に局在するように含浸付与された樹脂の層である表層樹脂層とを含み、前記表層樹脂層は、前記樹脂と前記極細繊維との複合層を含み、前記一面の表面の算術平均高さSが10μm以下である人工皮革基材と、
    前記人工皮革基材の前記一面に積層された銀面調樹脂層と、を備えることを特徴とする銀面調人工皮革。
  2. 前記表層樹脂層は200〜500μmの厚さを有し、前記複合層は50〜150μmの厚さを有する請求項1に記載の銀面調人工皮革。
  3. 前記表層樹脂層内において、前記樹脂が少なくとも一部の前記極細繊維束内に侵入している請求項1または2に記載の銀面調人工皮革。
  4. 前記不織布は0.55g/cm3以上の見掛け密度を有する請求項1〜3の何れか1項 に記載の銀面調人工皮革。
  5. 前記一面の表面における、水滴吸い込み時間が10秒以下であり、ガーレー式デンソメ ーターによる通気度が5.0cm/cm/秒以上である請求項1〜4の何れか1項に記載の銀面調人工皮革。
  6. 充填された前記樹脂は、第二の高分子弾性体と合成樹脂系滑剤とを、90:10〜80 :20の固形分比率で含有する請求項1〜5の何れか1項に記載の銀面調人工皮革。
  7. 前記第二の高分子弾性体はポリウレタンであり、前記合成樹脂系滑剤はシリコーン樹脂 である請求項6に記載の銀面調人工皮革。
  8. 厚さ方向と平行な断面における前記表層樹脂層の空隙率が10〜20%である請求項1〜7の何れか1項に記載の銀面調人工皮革。
  9. 平均単繊維径10μm以下の複数の極細繊維の束である極細繊維束を絡合させた繊維絡合体と、前記繊維絡合体に含浸付与された第一の高分子弾性体と、を含む不織布を含み、前記不織布は、少なくとも前記一面の表層に、前記極細繊維束を開繊させた前記極細繊維と前記表層に局在するように含浸付与された樹脂の層である表層樹脂層とを含み、前記表層樹脂層は、前記樹脂と前記極細繊維との複合層を含み、前記一面の表面の算術平均高さS が10μm以下である人工皮革基材と、
    前記人工皮革基材の前記表層樹脂層に含浸付与された、ワックス,オイル,樹脂成分,及び着色材からなる群れから選ばれる少なくとも一種を含むオイル調表面仕上剤を含むことを特徴とするオイル調人工皮革。
  10. 平均単繊維径10μm以下の複数の極細繊維の束である極細繊維束を絡合させた繊維絡合体と、前記繊維絡合体に含浸付与された第一の高分子弾性体と、を含む不織布を含み、前記不織布は、少なくとも前記一面の表層に、前記極細繊維束を開繊させた前記極細繊維と前記表層に局在するように含浸付与された樹脂の層である表層樹脂層とを含み、前記表層樹脂層は、前記樹脂と前記極細繊維との複合層を含み、前記一面の表面の算術平均高さS が10μm以下である人工皮革基材を含み、
    前記人工皮革基材の前記一面が、前記極細繊維を起毛させた面であることを特徴とする起毛調人工皮革。
  11. 平均単繊維径10μm以下の複数の極細繊維の束である極細繊維束を絡合させた繊維絡合体と、前記繊維絡合体に含浸付与された第一の高分子弾性体と、を含む不織布を含み、
    前記不織布は、少なくとも一面の表層に、前記極細繊維束を開繊させた極細繊維と前記表層に局在するように含浸付与されたポリウレタンを含む樹脂の層である表層樹脂層とを含み、
    前記表層樹脂層は、前記樹脂と前記極細繊維との複合層を含み、
    前記一面の表面の算術平均高さS が10μm以下であることを特徴とする人工皮革基材。
  12. 平均単繊維径10μm以下の複数の極細繊維の束である極細繊維束を絡合させた繊維絡合体と前記繊維絡合体に含浸付与された第一の高分子弾性体とを含む、見掛け密度0.5 5g/cm3以上の不織布を準備する工程と、
    前記不織布の少なくとも一面に第一のバフィング処理を施して表層の前記極細繊維束を 開繊させる工程と、
    前記不織布の第一のバフィング処理を施された前記一面に樹脂を塗工して200〜500μmの厚さの表層樹脂層を形成する工程と、
    前記表層樹脂層を形成させた面に第二のバフィング処理を施して平滑化する工程と、を備えることを特徴とする人工皮革基材の製造方法。
  13. 前記第一のバフィング処理を施された面を、前記樹脂を塗工する前に熱プレスする工程をさらに備える請求項12に記載の人工皮革基材の製造方法。
  14. 前記平滑化する工程が、表面の算術平均高さSが10μm以下になるように調整する工程である請求項12または13に記載の人工皮革基材の製造方法。
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