JP6749887B2 - 封止用フィルム及びそれを用いた電子部品装置 - Google Patents

封止用フィルム及びそれを用いた電子部品装置 Download PDF

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Description

本発明は、封止用フィルム及びそれを用いた電子部品装置に関する。
電子機器の軽薄短小化に伴って、半導体装置の小型化及び薄型化が進んでいる。例えば、半導体素子とほぼ同じ大きさの半導体装置、及び半導体装置の上に半導体装置を積むパッケージ・オン・パッケージといった実装形態も盛んに行われている。そのため、今後、半導体装置の小型化及び薄型化が一段と進むことが予想される。
半導体装置の小型化及び薄型化を実現するうえで課題もある。例えば、半導体素子の微細化が進展し、端子数が増加してくると、半導体素子上にすべての外部接続用端子を設けることが難しくなる。無理に外部接続用端子を設けた場合、端子間のピッチが狭くなるとともに、端子の高さが低くなり、半導体装置を実装した後の接続信頼性の確保が難しくなる。
そこで近年、新たな実装方式が提案されている。例えば、下記特許文献1〜3には、半導体ウェハから作製され、個片化された半導体素子を、適度な間隔を有するように再配置したのち、これらを固形又は液状の封止樹脂を用いて封止する工程を備える実装方法及びこの方法を用いて作製される半導体装置が開示されている。この方式では、複数の半導体素子が封止された封止成型物に対して、外部接続用端子を配置するための配線及び外部接続用端子の形成等の工程が実施されるため、再配置される半導体素子が多いほど、一度の工程で作製可能な半導体装置が増えることになる。
そこで封止成型物を大きくする検討が行われている。現状、配線形成には半導体製造装置が使用されるため、ウェハ形状に成型された封止成型物の大径化が図られている。別の形状として、より大判化が可能で、半導体製造装置よりも安価なプリント配線板製造装置等の使用が可能となる封止成型物のパネル化も検討されている。
特許第3616615号公報 特開2001−244372号公報 特開2001−127095号公報
再配置した半導体素子の封止は、液状又は固形の樹脂封止材を金型で成型するモールド成型が使用される。従来は、ペレット状の樹脂封止材を溶融させ、金型内に封止樹脂を流し込むことで封止するトランスファーモールド成型が使用されていた。しかしながら、トランスファーモールド成型では、溶融させた樹脂を流し込んで成型するため、大面積を封止しようとする場合、未充填部が発生する可能性がある。
他の成型方法として、あらかじめ金型又は被封止体に樹脂封止材を供給してから成型を行うコンプレッションモールド成型がある。コンプレッションモールド成型では、被封止体又は金型に直接、封止材を供給するため、大面積の封止でも未充填部が発生しにくい利点がある。しかしながら、この成型方法であっても、被封止体が大型化した場合、液状樹脂封止材では液流れ等が発生し、被封止体上への均一な供給が困難となりやすい。一方、ペレット状の固形樹脂封止材は被封止体上に均一に供給することが難しく、顆粒及び粉体の樹脂封止材は発塵原となって装置及びクリーンルームを汚染することが懸念される。
他方、金型の大型化に伴う問題もある。大型化した金型は、高い金型精度が求められることから技術面での難易度が上がるとともに、製造コストが大幅に増加する課題も有している。
上記事情に鑑み本発明者らは、金型を必要としない封止成型方法にも対応でき、発塵の懸念が少なく、上述の封止成型物のパネル化も期待できる封止方法として、フィルム状の封止樹脂をラミネート又はプレスすることを検討した。フィルム状の封止樹脂を用いる場合、仮固定材上に配置した半導体素子を封止樹脂で封止した後、封止成型物を仮固定材から剥離し、これを硬化させた後、再配線層形成プロセスに入る。このとき、硬化後の硬化体が反っていると再配線層を水平に形成することができないため、硬化体を吸着機に吸着させて水平にすることが行われる。しかし、この反りが大きいと、吸着機に硬化体が十分に吸着されず、再配線層を形成することが困難となる傾向にある。
本発明の目的は、半導体素子等の電子部品を良好に封止することができるとともに、反り量が十分に抑制された硬化体を形成することができる封止用フィルム、及びそれを用いた電子部品を提供することにある。
本発明者らは、フィルム中のフィラー含有率を上げることで、封止用フィルムのCTE(熱膨張係数)を半導体チップのCTEに近づけて、低反り化を試みた。しかし、フィラー含有率を上げたことで、流動性が悪化し、樹脂のフローマークの発生及び未充填部分の発生という別の課題が生じた。そこで、本発明者らは、封止後の成型物を硬化する過程で発生する応力及び硬化収縮量が、硬化後の反りに影響するとの推定に基づき、応力緩和成分の配合と封止成型物の硬化体の反り量との関係について検討した。そして、本発明者らは、特定のエラストマー成分を特定量配合した封止用フィルムによってシリコンチップを封止した封止体が、硬化後においても反り量が十分に小さいことを見出し、係る知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)ブタジエン系ゴム及びシリコーン系ゴムからなる群より選択される1種以上のエラストマー、並びに、(D)無機充填材を含有し、(C)成分の含有量が、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の総質量を基準として、0.5〜7.0質量%である、封止用フィルムを提供する。
本発明の封止用フィルムによれば、半導体素子等の電子部品を良好に封止することができるとともに、反り量が十分に抑制された硬化体を形成することができ、続く再配線層の形成が可能となる。
本発明の封止用フィルムは、上記(A)成分として、25℃において液状のエポキシ樹脂を、上記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の総質量を基準として、5質量%以上含有してもよい。この場合、硬化体の反りをより抑制することができる。
本発明の封止用フィルムは、(E)硬化促進剤を更に含有してもよい。
本発明の封止用フィルムは、(F)有機溶剤を、封止用フィルムの総質量を基準として、0.2〜1.5質量%含有してもよい。有機溶剤の含有量が上記範囲にある場合、封止用フィルムに割れ及び気泡が発生することを抑制でき、より良好な埋め込み性を得ることができる。
本発明の封止用フィルムにおいて、上記(D)成分の含有量が、上記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の総質量を基準として、65質量%以上であってもよい。(D)成分の含有量が上記範囲にある場合、封止用フィルムと被封止体との熱膨張率の差を少なくすることができ、硬化体の反りをより小さくすることができる。
本発明の封止用フィルムは、フィルムの厚みを50〜250μmとすることができる。
本発明はまた、電子部品と、該電子部品を封止する、上記封止用フィルムの硬化体とを備える電子部品装置を提供する。
本発明によれば、半導体素子等の電子部品を良好に封止することができるとともに、反り量が十分に抑制された硬化体を形成することができる封止用フィルム、及びそれを用いた電子部品を提供することができる。
電子部品装置の製造方法の一実施形態を説明するための模式断面図である。 シリコンチップの配置例を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態の封止用フィルムは、(A)エポキシ樹脂(以下(A)成分という場合もある。)、(B)硬化剤(以下(B)成分という場合もある。)、(C)ブタジエン系ゴム及びシリコーン系ゴムからなる群より選択される1種以上のエラストマー(以下(C)成分という場合もある。)、並びに(D)無機充填材(以下(D)成分という場合もある。)を含有し、(C)成分の含有量が、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の総質量を基準として、0.5〜7.0質量%である。また、本実施形態の封止用樹脂フィルムは、(E)硬化促進剤(以下(E)成分という場合もある。)を更に含有してもよい。封止用樹脂フィルムが(E)成分を含有する場合、(C)成分の含有量は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)成分の総質量を基準として、0.5〜7.0質量%であってもよい。
(A)エポキシ樹脂
(A)エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のグリシジル基を有するものであれば特に制限なく用いることができる。(A)成分としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAP型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビスフェノールB型エポキシ樹脂、ビスフェノールBP型エポキシ樹脂、ビスフェノールC型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールG型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールPH型エポキシ樹脂、ビスフェノールTMC型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂、ヘキサンジオールビスフェノールSジグリシジルエーテル等のビスフェノールS型エポキシ樹脂、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビキシレノールジグリシジルエーテル等のビキシレノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールAグリシジルエーテル等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びそれらの二塩基酸変性ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
(A)成分には、市販のエポキシ樹脂を使用することもできる。市販のエポキシ樹脂としては、例えば、DIC株式会社製の商品名:EXA4700(4官能ナフタレン型エポキシ樹脂)、日本化薬株式会社製の商品名:NC−7000(ナフタレン骨格含有多官能固形エポキシ樹脂)等のナフタレン型エポキシ樹脂;日本化薬株式会社製の商品名:EPPN−502H(トリスフェノールエポキシ樹脂)等のフェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物(トリスフェノール型エポキシ樹脂);DIC株式会社製の商品名:エピクロンHP−7200H(ジシクロペンタジエン骨格含有多官能固形エポキシ樹脂)等のジシクロペンタジエンアラルキル型エポキシ樹脂;日本化薬株式会社製の商品名:NC−3000H(ビフェニル骨格含有多官能固形エポキシ樹脂)等のビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂;DIC株式会社製の商品名:エピクロンN660、エピクロンN690、日本化薬株式会社製の商品名:EOCN−104S等のノボラック型エポキシ樹脂;日産化学工業株式会社製の商品名:TEPIC等のトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、DIC株式会社製の商品名:エピクロン860、エピクロン900−IM、エピクロンEXA―4816、エピクロンEXA−4822、旭チバ株式会社製の商品名:アラルダイトAER280、東都化成株式会社製の商品名:エポトートYD−134、三菱化学株式会社製の商品名:JER834、JER872、住友化学株式会社製の商品名:ELA−134、三菱化学株式会社製の商品名:エピコート807、815、825、827、828、834、1001、1004、1007、1009、ダウケミカル社製の商品名:DER−330、301、361、東都化成株式会社製の商品名:YD8125、YDF8170等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱化学株式会社製の商品名:JER806等のビスフェノールF型エポキシ樹脂;DIC株式会社製の商品名:エピクロンHP−4032等のナフタレン型エポキシ樹脂;DIC株式会社製の商品名:エピクロンHP−4032等のナフタレン型エポキシ樹脂;DIC株式会社製の商品名:エピクロンN−740等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナガセケムテックス株式会社製の商品名:ナデコールDLC301等の脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
(A)成分としては、25℃において液状のエポキシ樹脂を用いてもよい。液状のエポキシ樹脂としては、25℃において液状を示すものであれば特に限定はされない。液状のエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA系、ビスフェノールF系、ビフェニル系、ノボラック系、ジシクロペンタジエン系、多官能フェノール系、ナフタレン系、アラルキル変性系、脂環式系及びアルコール系等のグリシジルエーテル、グリシジルアミン系、並びにグリシジルエステル系樹脂が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。液状のエポキシ樹脂としては、上記の中でも、取り扱い性付与の観点から、ビスフェノールF型エポキシ樹脂であってもよい。
本明細書において、25℃において液状のエポキシ樹脂とは、E型粘度計又はB型粘度計で測定した25℃における粘度が400Pa・s以下であるものを指す。
(A)成分の含有量は、封止用フィルムに良好な取り扱い性を付与する観点から、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の総質量を基準として、5〜20質量%であってもよく、5〜15質量%であってもよく、6〜11質量%であってもよい。また、封止用樹脂フィルムが(E)成分を含有する場合、(A)成分の含有量は、封止用フィルムに良好な取り扱い性を付与する観点から、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)成分の総質量を基準として、5〜20質量%であってもよく、5〜15質量%であってもよく、6〜11質量%であってもよい。
本実施形態の封止用フィルムが25℃において液状のエポキシ樹脂を含有する場合、その含有量は、封止用フィルムに良好な取り扱い性を付与する観点から、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の総質量を基準として、5質量%以上であってもよく、6質量%以上であってもよい。一方、フィルム表面の過度なタックを抑制するという観点から、25℃において液状のエポキシ樹脂の含有量は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の総質量を基準として、20質量%以下であってもよく、15質量%以下であってもよく、11質量%以下であってもよい。また、封止用樹脂フィルムが(E)成分を含有する場合、25℃において液状のエポキシ樹脂の含有量は、封止用フィルムに良好な取り扱い性を付与する観点から、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)成分の総質量を基準として、5質量%以上であってもよく、6質量%以上であってもよい。一方、フィルム表面の過度なタックを抑制するという観点から、25℃において液状のエポキシ樹脂の含有量は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)成分の総質量を基準として、20質量%以下であってもよく、15質量%以下であってもよく、11質量%以下であってもよい。
(B)硬化剤
(B)硬化剤としては、グリシジル基と反応できる官能基を1分子中に2個以上有するものであれば特に制限なく用いることができる。グリシジル基と反応できる官能基としては、例えば、フェノール性水酸基、アミン、酸無水物(無水フタル酸等)が挙げられる。(B)成分としては、例えば、フェノール樹脂、酸無水物、イミダゾール化合物、脂肪族アミン、脂環族アミンが挙げられる。(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
フェノール樹脂としては、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するものであれば、特に制限なく公知のフェノール樹脂を用いることができる。フェノール樹脂としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド類とを酸性触媒下で縮合あるいは共縮合させて得られる樹脂、ビフェニル骨格型フェノール樹脂、パラキシリレン変性フェノール樹脂、メタキシリレン・パラキシリレン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、シクロペンタジエン変性フェノール樹脂、多環芳香環変性フェノール樹脂、キシリレン変性ナフトール樹脂が挙げられる。フェノール樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
フェノール樹脂には、市販のフェノール樹脂を使用することもできる。市販のフェノール樹脂としては、例えば、DIC株式会社製の商品名:フェノライトLF2882、フェノライトLF2822、フェノライトTD−2090、フェノライトTD−2149、フェノライトVH−4150、フェノライトVH4170、三井化学株式会社製の商品名:XLC−LL、XLC−4L、新日鉄住金化学株式会社製の商品名:SN−100、SN−300、SN−400、エア・ウォーター株式会社製の商品名:SKレジンHE910が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
(B)成分の含有量は、未反応の(A)及び(B)成分を少なくするという観点から、(A)成分100質量部に対して、50〜75質量部であってもよく、55〜60質量部であってもよく、60〜65質量部であってもよい。
(A)成分及び(B)成分の比率は、(A)成分のグリシジル基の当量と、(B)成分におけるグリシジル基と反応できる官能基の当量との比率(エポキシ樹脂におけるグリシジル基の当量/硬化剤におけるグリシジル基と反応する官能基の当量)として、0.7〜2.0であってもよく、0.8〜1.8であってもよく、0.9〜1.7であってもよい。この比率が上記範囲の場合、未反応の(A)成分又は(B)成分が少なくなり、封止用フィルムを硬化させたときに所望の硬化膜物性が得られやすい傾向にある。
(C)エラストマー
(C)エラストマーとしては、分散性・溶解性の観点から、ブタジエン系ゴム及びシリコーン系ゴムからなる群より選択される1種以上のエラストマーが好ましい。このような(C)成分としては、例えば、スチレンブタジエン粒子、シリコーンパウダ、シリコーンオリゴマー、シリコーンレジンによる樹脂改質を行ったシリコーンゴム等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。本実施形態においては、ブタジエン又はシリコーンに由来する骨格をブロック共重合体、又はグラフト共重合体として含有するコアシェル型の粒子が好ましい。
市販の(C)成分の中には、エラストマー単体ではなく、予め液状のエポキシ樹脂中に分散して販売されているものもあり、これらも問題なく用いることができる。液状のエポキシ樹脂中にエラストマーが予め分散されているものとしては、例えば、株式会社カネカ製の商品名:MX−136、MX−217、MX−267、MX−965等が挙げられる。
(C)成分の含有量は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の総質量を基準として、0.5〜7.0質量%であってもよく、1.0〜6.0質量%以下であってもよく、1.0〜5.7質量%であってもよく、1.0〜4.6質量%であってもよい。(C)成分の含有量が、上記範囲であると、半導体素子等の電子部品を封止用フィルムで封止した封止成型物を硬化した際に、硬化体の反りを十分に抑制することができ、続く再配線層を形成することができる。また、封止用樹脂フィルムが(E)成分を含有する場合、(C)成分の含有量は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)成分の総質量を基準として、0.5〜7.0質量%であってもよく、1.0〜6.0質量%以下であってもよく、1.0〜5.7質量%であってもよく、1.0〜4.6質量%であってもよい。(C)成分の含有量が、上記範囲であると、半導体素子等の電子部品を封止用フィルムで封止した封止成型物を硬化した際に、硬化体の反りを十分に抑制することができ、続く再配線層を形成することができる。
(C)成分が粒子である場合、その平均粒径は、特に制限なく用いることができる。eWLB(embedded wafer level ball grid array)等の用途では、チップ間を埋め込む必要があるため、(C)成分の平均粒径は50μm以下であってもよく、20μm以下であってもよく、5.0μm以下であってもよい。また、分散性の観点から、(C)成分の平均粒径は0.05μm以上であってもよく、0.1μm以上であってもよく、0.5μm以上であってもよく、1.0μm以上であってもよい。
(D)無機充填材
(D)無機充填材としては、従来公知の無機充填材が使用でき、特定のものに限定されない。(D)成分としては、例えば、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウムが挙げられる。(D)成分としては、表面改質等により、樹脂中への分散性の向上及びワニス中での沈降抑制がしやすいこと、また比較的小さい熱膨張率を有することから所望の硬化膜特性が得られやすいことから、シリカ類であってもよい。
(D)成分は、表面改質を行ってもよい。表面改質の手法は特に限定されず、例えば、表面改質が簡便であり、官能基の種類が豊富なため所望の特性を付与しやすいことからシランカップリング剤を用いた手法であってもよい。シランカップリング剤としては、例えば、アルキルシラン、アルコキシシラン、ビニルシラン、エポキシシラン、アミノシラン、アクリルシラン、メタクリルシラン、メルカプトシラン、スルフィドシラン、イソシアネートシラン、サルファーシラン、スチリルシラン、アルキルクロロシラン等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−ドデシルメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、トリフェニルシラノール、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、n−オクチルジメチルクロロシラン、テトラエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノシラン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
(D)成分の含有量は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の総質量を基準として、65〜95質量%であってもよく、75〜90質量%であってもよく、80〜90質量%であってもよい。(D)成分の含有量が65質量%以上の場合、封止用フィルムの熱膨張率を効果的に低減でき、半導体装置又は電子部品装置の反りが小さくなる傾向にある。(D)成分の含有量が95質量%以下の場合、塗工時の乾燥工程にて封止用フィルムの割れ又は封止用フィルムの溶融粘度の上昇が抑制される傾向にある。(D)成分の含有量が90質量%以下の場合、この傾向が更に強まる。また、封止用フィルムと被封止体との熱膨張率の差を少なくし、硬化体の反りをより小さくする観点から、(D)成分の含有量は、65質量%以上であってよく、70質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよい。また、封止用樹脂フィルムが(E)成分を含有する場合、(D)成分の含有量は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)成分の総質量を基準として、65〜95質量%であってもよく、75〜90質量%であってもよく、80〜90質量%であってもよい。(D)成分の含有量が65質量%以上の場合、封止用フィルムの熱膨張率を効果的に低減でき、半導体装置又は電子部品装置の反りが小さくなる傾向にある。(D)成分の含有量が95質量%以下の場合、塗工時の乾燥工程にて封止用フィルムの割れ又は封止用フィルムの溶融粘度の上昇が抑制される傾向にある。(D)成分の含有量が90質量%以下の場合、この傾向が更に強まる。また、封止用フィルムと被封止体との熱膨張率の差を少なくし、硬化体の反りをより小さくする観点から、(D)成分の含有量は、65質量%以上であってよく、70質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよい。
(D)成分の平均粒径は、0.01〜50μmであってもよく、0.1〜25μmであってもよく、0.3〜10μmであってもよい。平均粒径が0.01μm以上の場合、無機充填材の凝集が抑制され、無機充填材の分散が容易となる傾向にある。一方、平均粒径が50μm以下の場合、無機充填材のワニス中での沈降が抑制され、封止用フィルムの作製が容易となる傾向にある。平均粒径とは、粒子の全体積を100%として粒径による累積度数分布曲線を求めたとき、体積50%に相当する点の粒径であり、レーザー回折散乱法を用いた粒度分布測定装置等で測定することができる。
(E)硬化促進剤
本実施形態の封止用フィルムは、(E)硬化促進剤を更に含有してもよい。(E)硬化促進剤としては、特に制限なく用いることができ、アミン系又はリン系の硬化促進剤であってもよい。アミン系の硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物、脂肪族アミン、芳香族アミン、変性アミン、ポリアミド樹脂等が挙げられる。リン系の硬化促進剤としては、例えば、ホスフィンオキサイド、ホスホニウム塩、ダイホスフィン等の有機リン化合物が挙げられる。これらの硬化促進剤の中でも、誘導体が豊富であり、所望の活性温度を得やすい観点から、(E)成分はイミダゾール化合物であってもよい。
(E)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総質量を基準として、0.01〜5質量%であってもよく、0.1〜3質量%であってもよく、0.3〜1.5質量%であってもよい。(E)成分の含有量が、0.01質量%以上の場合には、十分な硬化促進効果が得られやすい。一方、(E)成分の含有量が、5質量%以下の場合、塗工時の乾燥工程中又は保管中の硬化の進行が抑制され、封止用フィルムの割れ又は溶融粘度の上昇に伴う成型不良が少なくなる傾向にある。
(F)有機溶媒
本実施形態の封止用フィルムには、(F)有機溶剤(以下、(F)成分という場合もある。)を更に含有させることができる。(F)成分は、従来公知の有機溶剤が使用できる。(F)成分は、(D)成分以外の成分を溶解できるものが好ましく、例えば、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、テルペン類、ハロゲン類、エステル類、ケトン類、アルコール類、アルデヒド類が挙げられる。(F)成分は、環境負荷が小さく、(A)成分及び(B)成分を溶解しやすいという観点から、エステル類、ケトン類、アルコール類であってもよい。(F)成分としては、これらの中でも、(A)成分及び(B)成分を特に溶解しやすいという観点から、ケトン類であってもよい。ケトン類としては、中でも、室温での揮発が少なく、乾燥時に除去しやすいという観点から、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンであってもよい。
封止用フィルムに含まれる(F)成分の含有量は、封止用フィルムの総質量を基準として、0.2〜1.5質量%であってもよく、0.3〜1質量%であってもよい。(F)成分の含有量が、封止用フィルムの総質量を基準として、0.2質量%以上の場合、フィルム割れ等の不具合が抑制されるとともに最低溶融粘度が低く抑えられ、良好な埋め込み性が得られる傾向にある。一方で、(F)成分の含有量が、封止用フィルムの総質量を基準として、1.5質量%以下の場合、封止用フィルムの粘着性が抑えられ、良好なフィルムの取扱い性が得られるとともに、熱硬化時に有機溶剤の揮発に伴う発泡等の不具合が生じにくい傾向にある。封止用フィルムに含まれる(F)成分の含有量は、本明細書の実施例で用いた方法で算出することができる。
本実施形態の封止用フィルムには、本発明の効果を損なわない範囲で、更に他の添加剤を用いることができる。このような添加剤の具体例としては、顔料、染料、離型剤、酸化防止剤、表面張力調整剤等を挙げることができる。また、上記各成分の分散性・溶解性を向上させる目的で、シリコーンオイルを含有させてもよい。
本実施形態の封止用フィルムは、例えば、次のようにして製造することができる。上述した(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分、並びに必要に応じて(E)成分及び添加剤を、上述した(F)有機溶剤に混合したワニスを調製する。混合方法は、特に限定されないが、例えば、ミル、ミキサー、撹拌羽が使用できる。(F)成分は、本実施形態に係る(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を溶解又は分散しワニスとする、又はワニスとすることを補助することができる。また、封止用樹脂フィルムが(E)成分を含有する場合、(F)成分は、本実施形態に係る(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)成分を溶解又は分散しワニスとする、又はワニスとすることを補助することができる。
このようにして製造したワニスを、フィルム状の支持体に塗布した後、熱風吹き付け等によって加熱乾燥させる。
フィルム状の支持体としては、例えば、高分子フィルム、金属箔等を用いることができる。
高分子フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、アセチルセルロースフィルム、テトラフルオロエチレンフィルム等が挙げられる。金属箔としては、例えば、銅、及びアルミ等が挙げられる。
フィルム状の支持体の厚みは、特に限定されるものではなく、作業性及び乾燥性の観点から2〜200μmであってもよい。フィルム状の支持体の厚みが2μm以上の場合、塗工時に切れたり、ワニスの重さでたわんだりする不具合が抑えられる傾向にある。支持体の厚みが200μm以下の場合、主に、塗工面と裏面の両面から熱風が吹きつけられる乾燥機において、ワニス中の溶剤乾燥が妨げられる不具合を抑えやすい。
塗布に使用するコーティング方法は、特に限定されず、例えば、コンマコーター、バーコーター、キスコーター、ロールコーター、グラビアコーター、ダイコーター等の塗工装置を用いることができる。
支持体に塗布したワニスを加熱乾燥させる方法としては、特に限定されるわけではなく、例えば、熱風吹きつけ等の方法が挙げられる。加熱乾燥の条件としては、例えば、100〜140℃で、5〜20分間の加熱が挙げられる。
塗布したワニスを乾燥する工程で、(F)成分が除去されることで、本実施形態の封止用フィルムが形成される。なお、封止用フィルムに(F)成分を含有させる場合、フィルム中に残存する(F)成分が上述した含有量となるように、ワニスを乾燥させることができる。
本実施形態の封止用フィルムは、フィルムの厚みが50〜250μmであってもよい。また、本実施形態の封止用フィルムを複数枚積層して、250μmを超える封止用フィルムを製造することもできる。
フィルム状の支持体に形成した封止用フィルム上に、保護を目的とした層を形成させてもよい。封止用フィルムに保護を目的とした層を形成することで、取扱い性が向上する傾向にある。封止用フィルムに保護を目的とした層を形成する場合、例えば、封止用フィルムを巻き取りした場合にも、フィルム状の支持体の裏面に封止用フィルムが張り付くといった不具合を回避することができる。
保護を目的とした層としては、例えば、高分子フィルム、又は金属箔を用いることができる。高分子フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、アセチルセルロースフィルム、テトラフルオロエチレンフィルムが挙げられる。金属箔としては、例えば、銅又はアルミが挙げられる。
次に、本実施形態の封止用フィルムを用いた電子部品装置の製造方法について説明する。ここでは、電子部品が半導体素子である場合について説明する。図1は、半導体装置の製造方法の一実施形態を説明するための模式断面図である。本実施形態に係る方法は、仮固定材40を有する基板30上に並べて配置された被埋め込み対象である半導体素子20に、支持体1と支持体1上に設けられた封止用フィルム2とを備える支持体付き封止用フィルム10を対向させ、半導体素子20に封止用フィルム2を加熱下で押圧することにより、封止用フィルム2に半導体素子20を埋め込む工程(図1(a)及び(b))と、半導体素子が埋め込まれた封止用フィルムを硬化させる工程(図1(c))とを備える。本実施形態においては、ラミネート法によって半導体素子を封止用フィルムによって封止した封止成型物を得、これを熱硬化した硬化物2aに埋め込まれた半導体素子20を備える電子部品装置が得られているが、封止成型物をコンプレッションモールドにより得てもよい。
使用するラミネーターとしては、特に限定されるものではなく、例えば、ロール式、バルーン式等のラミネーターが挙げられる。ラミネーターとしては、これらの中でも、埋め込み性の観点から真空加圧が可能なバルーン式であってもよい。
ラミネート温度は、通常、支持体の軟化点以下で行う。ラミネート温度は、更に、封止用フィルムの最低溶融粘度付近が好ましい。ラミネート時の圧力は、埋め込む半導体素子又は電子部品のサイズ、密集度によって変わり、0.2〜1.5MPaの範囲で行ってもよく、0.3〜1.0MPaの範囲で行ってもよい。ラミネート時間も、特に限定されるものではなく、20〜600秒であってもよく、30〜300秒であってもよく、40〜120秒であってもよい。
硬化は、例えば、大気雰囲気下又は不活性ガス雰囲気下で行うことができる。硬化温度としては、特に限定されるものではなく、80〜280℃であってもよく、100〜240℃であってもよく、120〜200℃であってもよい。硬化温度が80℃以上であれば、封止用フィルムの硬化が十分に進み、不具合の発生を一層抑制することができる。硬化温度が280℃以下の場合は、他の材料への熱害の発生を一層抑制することができる傾向にある。硬化時間も、特に限定されるものではなく、30〜600分であってもよく、45〜300分であってもよく、60〜240分であってもよい。硬化時間がこれらの範囲であれば、封止用フィルムの硬化が十分に進み、より良好な生産効率が得られる。また、硬化条件は、複数を組み合わせてもよい。
以上、本発明に係る封止用フィルム及び電子部品装置の好適な実施形態について説明した。本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を行ってもよい。半導体素子以外の電子部品としては、例えば、配線板材料用途にも適用することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
封止用フィルムを作製するために下記の成分を用意した。
(A成分:エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂A1:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製の商品名:グレード806、エポキシ当量:160、25℃において液状)
エポキシ樹脂A2:ナフタレン骨格含有多官能固形エポキシ樹脂(DIC株式会社製の商品名:EXA−4750、エポキシ当量:182)
エポキシ樹脂A3(エラストマーC4):平均粒径0.1μmブタジエンエラストマー含有ビスフェノールF型エポキシ樹脂(株式会社カネカ製の商品名:MX−136、ブタジエンエラストマー含有量25質量%、25℃において液状)
エポキシ樹脂A4(エラストマーC5):平均粒径0.2μmブタジエンエラストマー含有ビスフェノールF型エポキシ樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂(株式会社カネカ製の商品名:MX−267、ブタジエンエラストマー含有量37質量%、25℃において液状)
エポキシ樹脂A5(エラストマーC6):平均粒径0.1μmシリコーンエラストマー含有ビスフェノールF型エポキシ樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂(株式会社カネカ製の商品名:MX−965、シリコーンエラストマー含有量25質量%、25℃において液状)
エポキシ樹脂A6(エラストマーC7):平均粒径0.1μmブタジエンエラストマー含有フェノールノボラック型エポキシ樹脂(株式会社カネカ製の商品名:MX−217、ブタジエンエラストマー含有量25質量%、25℃において液状)
(B成分:硬化剤)
硬化剤B1:フェノールノボラック(旭有機材工業株式会社製の商品名:PAPS−PN2、フェノール性水酸基当量:104)
硬化剤B2:ナフタレンジオールノボラック(新日鉄住金化学株式会社製の商品名:SN−395)
(C成分:エラストマー)
エラストマーC1:シリコーンパウダ(信越化学工業株式会社製の商品名:KMP−605、平均粒径2μm)
エラストマーC2:シリコーンパウダ(信越化学工業株式会社製の商品名:KMP−600、平均粒径5μm)
エラストマーC3:シリコーンパウダ(信越化学工業株式会社製の商品名:KMP−602、平均粒径30μm)
(D成分:無機充填材)
無機充填材D1:シリカ(電気化学工業株式会社製の商品名:FB−5SDC、フェニルアミノシラン処理、平均粒径5.0μm)
無機充填材D2:シリカ(電気化学工業株式会社製の商品名:SFP−20M、フェニルアミノシラン処理、平均粒径0.5μm)
無機充填材D3:シリカ(株式会社アドマテックス製の商品名:SX−E2、フェニルアミノシラン処理、/平均粒径5.8μm)
(E成分:硬化促進剤)
硬化促進剤E:イミダゾール(四国化成工業株式会社製の商品名:2P4MZ)
(F成分:有機溶剤)
有機溶剤F:メチルエチルケトン
<封止用フィルムの作製>
(実施例1)
10Lのポリエチレン容器に有機溶剤Fを673.2g入れ、これに無機充填材D3を3962g加え、撹拌羽で無機充填材D3を分散させた。この分散液に、25℃にて液状を示すエポキシ樹脂A1を100g、25℃にて液状を示さないエポキシ樹脂A2を70g、粒径0.1μmブタジエンエラストマー含有ビスフェノールF型エポキシ樹脂A3を180g、及び25℃にて液状を示さない硬化剤B1を183g加えて撹拌した。25℃にて液状を示さない硬化剤B1が溶解したのを目視にて確認した後、分散液に、硬化促進剤Eを2.1g加え、更に1時間撹拌した。この分散液をナイロン製#200メッシュ(開口75μm)でろ過し、ろ液を採取してワニス状エポキシ樹脂組成物を作製した。このワニス状エポキシ樹脂組成物を、塗工機を使用して支持体(38μm厚のポリエチレンテレフタレート)上に、以下の条件で塗布し、フィルムの厚みが185μm、200μm及び225μmの封止用フィルムをそれぞれ作製した。
・塗布ヘッド方式:コンマ
・塗布及び乾燥速度:1m/分
・乾燥条件(温度/炉長):110℃/3.3m、130℃/3.3m、140℃/3.3m
その後、フィルムの厚みが185μm及び225μmの封止用フィルムについては、2枚の封止用フィルム同士が接するように重ね、真空加圧ラミネーターにより以下の条件で張り合わせた。
・ラミネーター装置:真空加圧ラミネーター(株式会社名機製作所製の商品名MVLP−500)
・ラミネート温度:90℃
・ラミネート圧力:0.15MPa
・真空引き時間:10秒
・ラミネート時間:5秒
こうして、フィルムの厚みが370μm及び450μmである封止用フィルムをそれぞれ用意した。
(実施例2)
10Lのポリエチレン容器に有機溶剤Fを1945g入れ、これに無機充填材D1を9700g、D2を1712g加え、撹拌羽で無機充填材D1及びD2を分散させた。この分散液に、25℃にて液状を示さないエポキシ樹脂A2を134g、粒径0.1μmブタジエンエラストマー含有ビスフェノールF型エポキシ樹脂A3を1206g、シリコーンパウダC1を106g、25℃にて液状を示さない硬化剤B2を684g加えて撹拌した。25℃にて液状を示さない硬化剤B2が溶解したのを目視にて確認した後、分散液に、硬化促進剤Eを5.4g加え、更に1時間撹拌した。この分散液をナイロン製#200メッシュ(開口75μm)でろ過し、ろ液を採取してワニス状エポキシ樹脂組成物を作製した。このワニス状エポキシ樹脂組成物を、塗工機を使用して支持体(38μm厚のポリエチレンテレフタレート)上に、以下の条件で塗布し、フィルムの厚みが185μm、200μm及び225μmの封止用フィルムをそれぞれ作製した。
・塗布ヘッド方式:コンマ
・塗布及び乾燥速度:1m/分
・乾燥条件(温度/炉長):110℃/3.3m、130℃/3.3m、140℃/3.3m
その後、実施例1と同様にして、フィルムの厚みが370μm及び450μmである封止用フィルムをそれぞれ用意した。
(実施例3)
10Lのポリエチレン容器に有機溶剤Fを1217g入れ、これに無機充填材D1を6070g、D2を1071g加え、撹拌羽で無機充填材D1及びD2を分散させた。この分散液に、粒径0.2μmブタジエンエラストマー含有ビスフェノールF型エポキシ樹脂A4を808g、ブタジエンエラストマー含有フェノールノボラック型エポキシ樹脂A6を90g、シリコーンパウダC1を66g、25℃にて液状を示さない硬化剤B2を369g加えて撹拌した。25℃にて液状を示さない硬化剤B2が溶解したのを目視にて確認した後、分散液に、硬化促進剤Eを2.7g加え、更に1時間撹拌した。この分散液をナイロン製#200メッシュ(開口75μm)でろ過し、ろ液を採取してワニス状エポキシ樹脂組成物を作製した。このワニス状エポキシ樹脂組成物を、塗工機を使用して支持体(38μm厚のポリエチレンテレフタレート)上に、以下の条件で塗布し、フィルムの厚みが185μm、200μm及び225μmの封止用フィルムをそれぞれ作製した。
・塗布ヘッド方式:コンマ
・塗布及び乾燥速度:1m/分
・乾燥条件(温度/炉長):110℃/3.3m、130℃/3.3m、140℃/3.3m
その後、実施例1と同様にして、フィルムの厚みが370μm及び450μmである封止用フィルムをそれぞれ用意した。
(実施例4)
1Lのポリエチレン容器に有機溶剤Fを100g入れ、これに無機充填材D1を713g、D2を126g加え、撹拌羽で無機充填材D1及びD2を分散させた。この分散液に、粒径0.1μmブタジエンエラストマー含有ビスフェノールF型エポキシ樹脂A3を104g、25℃にて液状を示さない硬化剤B2を52g加えて撹拌した。25℃にて液状を示さない硬化剤B2が溶解したのを目視にて確認した後、分散液に、硬化促進剤Eを0.4g加え、更に1時間撹拌した。この分散液をナイロン製#200メッシュ(開口75μm)でろ過し、ろ液を採取してワニス状エポキシ樹脂組成物を作製した。このワニス状エポキシ樹脂組成物を、塗工機を使用して支持体(38μm厚のポリエチレンテレフタレート)上に、以下の条件で塗布し、フィルムの厚みが185μm、200μm及び225μmの封止用フィルムをそれぞれ作製した。
・塗布ヘッド方式:コンマ
・塗布及び乾燥速度:1m/分
・乾燥条件(温度/炉長):110℃/3.3m、130℃/3.3m、140℃/3.3m
その後、実施例1と同様にして、フィルムの厚みが370μm及び450μmである封止用フィルムをそれぞれ用意した。
(実施例5)
1Lのポリエチレン容器に有機溶剤Fを100g入れ、これに無機充填材D1を713g、D2を126g加え、撹拌羽で無機充填材D1及びD2を分散させた。この分散液に、25℃にて液状を示すエポキシ樹脂A1を34g、粒径0.2μmブタジエンエラストマー含有ビスフェノールF型エポキシ樹脂A4を71g、25℃にて液状を示さない硬化剤B2を52g加えて撹拌した。25℃にて液状を示さない硬化剤B2が溶解したのを目視にて確認した後、分散液に、硬化促進剤Eを0.4g加え、更に1時間撹拌した。この分散液をナイロン製#200メッシュ(開口75μm)でろ過し、ろ液を採取してワニス状エポキシ樹脂組成物を作製した。このワニス状エポキシ樹脂組成物を、塗工機を使用して支持体(38μm厚のポリエチレンテレフタレート)上に、以下の条件で塗布し、フィルムの厚みが185μm、200μm及び225μmのフィルム状エポキシ樹脂組成物をそれぞれ作製した。
・塗布ヘッド方式:コンマ
・塗布及び乾燥速度:1m/分
・乾燥条件(温度/炉長):110℃/3.3m、130℃/3.3m、140℃/3.3m
その後、実施例1と同様にして、フィルムの厚みが370μm及び450μmである封止用フィルムをそれぞれ用意した。
(実施例6)
1Lのポリエチレン容器に有機溶剤Fを41g入れ、これに無機充填材D1を204g、D2を36g加え、撹拌羽で無機充填材D1及びD2を分散させた。この分散液に、25℃にて液状を示すエポキシ樹脂A1を0.2g、シリコーンエラストマー含有ビスフェノールF型エポキシ樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂A5)を30g、25℃にて液状を示さない硬化剤B2を15g加えて撹拌した。25℃にて液状を示さない硬化剤B2が溶解したのを目視にて確認した後、分散液に、硬化促進剤Eを0.1g加え、更に1時間撹拌した。この分散液をナイロン製#200メッシュ(開口75μm)でろ過し、ろ液を採取してワニス状エポキシ樹脂組成物を作製した。このワニス状エポキシ樹脂組成物を、塗工機を使用して支持体(38μm厚のポリエチレンテレフタレート)上に、以下の条件で塗布し、フィルムの厚みが185μm、200μm及び225μmの封止用フィルムをそれぞれ作製した。
・塗布ヘッド方式:コンマ
・塗布及び乾燥速度:1m/分
・乾燥条件(温度/炉長):110℃/3.3m、130℃/3.3m、140℃/3.3m
その後、実施例1と同様にして、フィルムの厚みが370μm及び450μmである封止用フィルムをそれぞれ用意した。
(実施例7)
1Lのポリエチレン容器に有機溶剤Fを100g入れ、これに無機充填材D1を713g、D2を126g加え、撹拌羽で無機充填材D1及びD2を分散させた。この分散液に、25℃にて液状を示すエポキシ樹脂A1を78g、シリコーンパウダC2を26g、25℃にて液状を示さない硬化剤B2を53g加えて撹拌した。25℃にて液状を示さない硬化剤B2が溶解したのを目視にて確認した後、分散液に、硬化促進剤Eを0.3g加えて更に1時間撹拌した。この分散液をナイロン製#200メッシュ(開口75μm)でろ過し、ろ液を採取してワニス状エポキシ樹脂組成物を作製した。このワニス状エポキシ樹脂組成物を、塗工機を使用して支持体(38μm厚のポリエチレンテレフタレート)上に、以下の条件で塗布し、フィルムの厚みが185μm、200μm及び225μmの封止用フィルムをそれぞれ作製した。
・塗布ヘッド方式:コンマ
・塗布及び乾燥速度:1m/分
・乾燥条件(温度/炉長):110℃/3.3m、130℃/3.3m、140℃/3.3m
その後、実施例1と同様にして、フィルムの厚みが370μm及び450μmである封止用フィルムをそれぞれ用意した。
(実施例8)
1Lのポリエチレン容器に有機溶剤Fを100g入れ、これに無機充填材D1を713g、D2を126g加え、撹拌羽で無機充填材D1及びD2を分散させた。この分散液に、25℃にて液状を示すエポキシ樹脂A1を78g、シリコーンパウダC3を26g、25℃にて液状を示さない硬化剤B2を53g加えて撹拌した。25℃にて液状を示さない硬化剤B2が溶解したのを目視にて確認した後、分散液に、硬化促進剤Eを0.3g加えて更に1時間撹拌した。この分散液をナイロン製#200メッシュ(開口75μm)でろ過し、ろ液を採取してワニス状エポキシ樹脂組成物を作製した。このワニス状エポキシ樹脂組成物を、塗工機を使用して支持体(38μm厚のポリエチレンテレフタレート)上に、以下の条件で塗布し、フィルムの厚みが185μm、200μm及び225μmの封止用フィルムをそれぞれ作製した。
・塗布ヘッド方式:コンマ
・塗布及び乾燥速度:1m/分
・乾燥条件(温度/炉長):110℃/3.3m、130℃/3.3m、140℃/3.3m
その後、実施例1と同様にして、フィルムの厚みが370μm及び450μmである封止用フィルムをそれぞれ用意した。
(実施例9)
1Lのポリエチレン容器に有機溶剤Fを100g入れ、これに無機充填材D1を713g、D2を126g加え、撹拌羽で無機充填材D1及びD2を分散させた。この分散液に、25℃にて液状を示すエポキシ樹脂A1を78g、シリコーンパウダC1を26g、25℃にて液状を示さない硬化剤B2を53g加えて撹拌した。25℃にて液状を示さない硬化剤B2が溶解したのを目視にて確認した後、分散液に、硬化促進剤Eを0.3g加えて更に1時間撹拌した。この分散液をナイロン製#200メッシュ(開口75μm)でろ過し、ろ液を採取してワニス状エポキシ樹脂組成物を作製した。このワニス状エポキシ樹脂組成物を、塗工機を使用して支持体(38μm厚のポリエチレンテレフタレート)上に、以下の条件で塗布し、フィルムの厚みが185μm、200μm及び225μmの封止用フィルムをそれぞれ作製した。
・塗布ヘッド方式:コンマ
・塗布及び乾燥速度:1m/分
・乾燥条件(温度/炉長):110℃/3.3m、130℃/3.3m、140℃/3.3m
その後、実施例1と同様にして、フィルムの厚みが370μm及び450μmである封止用フィルムをそれぞれ用意した。
(比較例1)
10Lのポリエチレン容器に有機溶剤Fを406.8g入れ、これに無機充填材D3を2394g加え、撹拌羽で無機充填材D3を分散させた。この分散液に、25℃にて液状を示すエポキシ樹脂A1を160g、25℃にて液状を示さないエポキシ樹脂A2を40g、25℃にて液状を示さない硬化剤B1を122g加えて撹拌した。25℃にて液状を示さない硬化剤B1が溶解したのを目視にて確認した後、分散液に、硬化促進剤Eを1.2g加えて更に1時間撹拌した。この分散液をナイロン製#200メッシュ(開口75μm)でろ過し、ろ液を採取してワニス状エポキシ樹脂組成物を作製した。このワニス状エポキシ樹脂組成物を、塗工機を使用して支持体(38μm厚のポリエチレンテレフタレート)上に、以下の条件で塗布し、フィルムの厚みが185μm、200μm及び225μmの封止用フィルムをそれぞれ作製した。
・塗布ヘッド方式:コンマ
・塗布及び乾燥速度:1m/分
・乾燥条件(温度/炉長):110℃/3.3m、130℃/3.3m、140℃/3.3m
その後、実施例1と同様にして、フィルムの厚みが370μm及び450μmである封止用フィルムをそれぞれ用意した。
(比較例2)
10Lのポリエチレン容器に有機溶剤Fを1329.1g入れ、これに無機充填材D3を7821g加え、撹拌羽で無機充填材D3を分散させた。この分散液に、25℃にて液状を示すエポキシ樹脂A1を382g、25℃にて液状を示さないエポキシ樹脂A2を134g、粒径0.1μmブタジエンエラストマー含有ビスフェノールF型エポキシ樹脂A3を111g、シリコーンエラストマー含有ビスフェノールF型エポキシ樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂A5)を43g、25℃にて液状を示さない硬化剤B1を382g加えて撹拌した。25℃にて液状を示さない硬化剤B1が溶解したのを目視にて確認した後、分散液に、硬化促進剤Eを4.0g加えて更に1時間撹拌した。この分散液をナイロン製#200メッシュ(開口75μm)でろ過して、ろ液を採取してワニス状エポキシ樹脂組成物を作製した。このワニス状エポキシ樹脂組成物を、塗工機を使用して支持体(38μm厚のポリエチレンテレフタレート)上に、以下の条件で塗布し、フィルムの厚みが185μm、200μm及び225μmの封止用フィルムをそれぞれ作製した。
・塗布ヘッド方式:コンマ
・塗布及び乾燥速度:1m/分
・乾燥条件(温度/炉長):110℃/3.3m、130℃/3.3m、140℃/3.3m
その後、実施例1と同様にして、フィルムの厚みが370μm及び450μmである封止用フィルムをそれぞれ用意した。
(比較例3)
1Lのポリエチレン容器に有機溶剤Fを100g入れ、これに無機充填材D1を713g、D2を126g加え、撹拌羽で無機充填材D1及びD2を分散させた。この分散液に、25℃にて液状を示すエポキシ樹脂A1を93g、25℃にて液状を示さない硬化剤B2を64g加えて撹拌した。25℃にて液状を示さない硬化剤B2が溶解したのを目視にて確認した後、分散液に、硬化促進剤Eを0.4g加えて更に1時間撹拌した。この分散液をナイロン製#200メッシュ(開口75μm)でろ過して、ろ液を採取してワニス状エポキシ樹脂組成物を作製した。このワニス状エポキシ樹脂組成物を、塗工機を使用して支持体(38μm厚のポリエチレンテレフタレート)上に、以下の条件で塗布し、フィルムの厚みが185μm、200μm及び225μmの封止用フィルムをそれぞれ作製した。
・塗布ヘッド方式:コンマ
・塗布及び乾燥速度:1m/分
・乾燥条件(温度/炉長):110℃/3.3m、130℃/3.3m、140℃/3.3m
その後、実施例1と同様にして、フィルムの厚みが370μm及び450μmである封止用フィルムをそれぞれ用意した。
実施例及び比較例の封止用フィルムの組成について、表1に示す。
なお、封止用フィルムにおける(F)成分の含有量は以下のように算出した。得られた支持体付きの封止用フィルムを5cm角の試料に切り出した。この試料を予め質量を測定したアルミカップに入れて、試料が入ったアルミカップの質量を測定した。次いで、試料をアルミカップに入れたまま、180℃のオーブンで10分間加熱し、室温にて10分間放置した後、試料が入ったアルミカップの質量を再度測定した。次いで、加熱前又は加熱後の試料が入ったアルミカップの質量の測定値から、別途測定した5cm角にカットした支持体の質量及びアルミカップの質量を差し引いて、加熱前及び加熱後の封止用フィルムの質量をそれぞれ求めた。そして、加熱前の封止用フィルムの質量から加熱後の封止用フィルムの質量を差し引いた値を封止用フィルムに含まれる有機溶剤の量とした。そして、加熱前の封止用フィルムの質量に対する有機溶媒の量の割合を有機溶媒の含有率とした。
Figure 0006749887
<評価方法>
(1)封止用フィルムを用いてシリコンチップを封止し、eWLBパッケージとした際の硬化物の反り評価方法
封止用フィルムとしては、厚みが185μmの封止用フィルムを2枚重ね、厚みを370μmとしたフィルムを用いた。以下の手順で、封止用フィルムを用いて、SUS板上の厚さ350μmのシリコンチップを封止し、8インチサイズのeWLBパッケージを作製した。実施例に示す方法で作製した封止用フィルムを直径20cmの円に切り取った。支持体を全て剥離し、SUS板上に配置されたシリコンチップの上に載せ、コンプレッションモールド装置を用いて、以下の条件でチップを封止し、封止体を作製した。図2には、本測定系におけるシリコンチップの配置図を示す。SUS板50上に、7.3mm角シリコンチップ60及び3mm角シリコンチップ70を図2のように配置した。
・コンプレッションモールド装置:アピックヤマダ株式会社製の商品名WCM−300
・コンプレッションモールド成型温度:140℃
・コンプレッションモールド圧力:2.5MPa
・コンプレッションモールド時間:10分
作製した封止体を以下の条件で硬化し、硬化体を作製した。
・オーブン:エスペック株式会社製の商品名SAFETY OVEN SPH−201
・オーブン温度:140℃
・時間:120分
作製した硬化体の反り量を、以下の装置を用いて測定した。
・反り測定ステージ装置名:コムス株式会社製の商品名CP−500
・反り測定レーザー光装置名:株式会社キーエンス製の商品名LK−030
硬化体表面の中心部を0(基準点)として、端部の高さを反り量として測定し、以下の評価基準に基づいて評価した。
○:反り量≦2.0mm
×:反り量>2.0mm
(2)封止用フィルムを12インチのシリコンウェハにラミネートし、硬化させた際の硬化物の反り評価方法
封止用フィルムとしては、厚み200μmであるフィルムを用いた。以下の手順で、封止用フィルムを用いて、厚さが800μmであり、12インチサイズのシリコンウェハにラミネートし、硬化させて封止体を作製した。ラミネートは以下の条件で実施した。
・ラミネーター装置:真空加圧ラミネーター(株式会社名機製作所製の商品名MVLP−500)
・ラミネート温度:90℃
・ラミネート圧力:0.5MPa
・真空引き時間:30秒
・ラミネート時間:40秒
作製した封止体を以下の条件で硬化し、硬化体を作製した。
・オーブン:エスペック株式会社製の商品名SAFETY OVEN SPH−201
・オーブン温度:140℃
・時間:120分
作製した硬化体の反り量を以下の装置を用いて測定した。
・反り測定ステージ装置名:コムス株式会社製の商品名CP−500
・反り測定レーザー光装置名:株式会社キーエンス製の商品名LK−030
ウェハ表面の中心部を0(基準点)として、ウェハ端部の高さを反りとして測定し、以下の評価基準に基づいて評価した。
○:反り量≦2.0mm
×:反り量>2.0mm
(3)封止用フィルムを個片化したシリコンウェハにプレス成型で圧着して硬化させた硬化体の反り評価方法
封止用フィルムとしては、厚みが225μmの封止用フィルムを2枚重ね、厚みを450μmとしたフィルムを用いた。封止用フィルムを120mm×10mmのサイズにカットし、120mm×10mmのサイズにカットした厚さ725μmのシリコンウェハ上に載せ、プレス成型で圧着し、封止体を得た。プレス成型は、以下の条件で実施した。
・圧着装置:株式会社マサダ製作所製の商品名MH−50Y
・圧着温度:140℃
・ラミネート圧力:1.0MPa
・圧着時間:20分
作製した封止体を以下の条件で硬化し、硬化体を作製した。
・オーブン:エスペック株式会社製の商品名SAFETY OVEN SPH−201
・オーブン温度:140℃
・時間:120分
作製した硬化体の反り量を、以下の装置を用いて測定した。
・反り測定ステージ装置名:コムス株式会社製の商品名CP−500
・反り測定レーザー光装置名:株式会社キーエンス製の商品名LK−030
個片化したシリコンウェハ表面の中心部を0(基準点)として、端部の高さを反りとして測定し、以下の評価基準に基づいて評価した。
○:反り量≦1.5mm
×:反り量>1.5mm
<評価結果>
表2に示す実施例1及び比較例1、2の結果から、エラストマー成分の添加量の増加により、eWLBパッケージで評価した硬化体の反りに関して所望の効果を得られることが分かった。また、実施例2、3及び比較例2の結果から、12インチのシリコンウェハで評価した硬化体の反りに関しても、エラストマーの添加量の増加により所望の効果が得られることが分かった。
表3に示す実施例4〜9及び比較例3の結果から、いずれのエラストマー成分を添加した場合でも、硬化体の反りを改善できることが分かる。また、ブタジエンエラストマーと比較して、シリコーンエラストマーの方が、反りの低減に対して効果的であることが分かった。シリコーンエラストマーの中でも、粒径が小さい程、反りの低減に効果があることが分かった。
以上の結果から、封止用フィルム中にエラストマー成分を、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の総質量を基準として0.5〜7.0質量%添加することで、硬化体の反り量を抑制できることが分かった。
Figure 0006749887
Figure 0006749887
1…支持体、2…封止用フィルム、2a…硬化物、10…支持体付き封止用フィルム、20…半導体素子、30…基板、40…仮固定材、50…SUS板、60…7.3mm角シリコンチップ、70…3mm角シリコンチップ

Claims (6)

  1. 仮固定材を有する基板上に並べて配置された半導体素子に、封止用フィルムを加熱下で押圧することにより、前記封止用フィルムに前記半導体素子を埋め込む工程と、
    前記半導体素子が埋め込まれた前記封止用フィルムを硬化させて硬化体を得る工程と、
    前記硬化体に再配線層を形成する工程と、を備え、
    押圧する前記封止用フィルムが、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)ブタジエン系ゴム及びシリコーン系ゴムからなる群より選択される種以上のエラストマー、(D)無機充填材、並びに(F)有機溶剤を含有し、
    前記(A)成分として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を含み、
    前記(C)成分として、平均粒径が0.05μm以上50μm以下のシリコーンパウダであるシリコーン系ゴムと、ブタジエン系ゴムとを含み、
    押圧する前記封止用フィルムにおける、前記(C)成分の含有量が、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分及び前記(D)成分の総質量を基準として、0.5〜7.0質量%であり、前記(F)成分の含有量が、前記封止用フィルムの総質量を基準として、0.2〜1.5質量%である、半導体装置の製造方法
  2. 押圧する前記封止用フィルムが、前記(A)成分として、25℃において液状のエポキシ樹脂を、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分及び前記(D)成分の総質量を基準として、5質量%以上含有する、請求項1に記載の半導体装置の製造方法
  3. 押圧する前記封止用フィルムが、(E)硬化促進剤を更に含有する、請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法
  4. 押圧する前記封止用フィルムにおける前記(D)成分の含有量が、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分及び前記(D)成分の総質量を基準として、65質量%以上である、請求項1〜のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法
  5. 押圧する前記封止用フィルムの厚みが50〜250μmである、請求項1〜のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法
  6. 押圧する前記封止用フィルムが、厚みが50〜250μmである封止用フィルムを複数枚積層して得られるものであり、厚みが250μmを超える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法
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