JP6749730B2 - 建物外壁の接合具、建物外壁の接合構造及び建物外壁の接合方法 - Google Patents

建物外壁の接合具、建物外壁の接合構造及び建物外壁の接合方法 Download PDF

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Description

本発明は、建物の外壁材として使用されるサイディングボードをシーリング材無しで接合する、いわゆるシーリングレス工法において使用できる建物外壁の接合具、該接合具を備えた建物外壁の接合構造及び該接合構造を構築する際に実行される建物外壁の接合方法に関する。
建築物の外壁工事等を行う場合には、下記の特許文献1に開示されているようなサイディングボードが広く使用されている。サイディングボードとしては多種のデザイン、質感、色のものが用意されており、また建築構造躯体の壁面部を外装するのに使用される平面部用サイディングボードの他、建築構造躯体の出隅と入隅を含むコーナー部を外装するのに使用されるコーナー部用のサイディングボードがある。
そして、このようなサイディングボードを使用して建築物の外壁工事等を行う場合には、隣り合うサイディングボード間にできる隙間にシーリング材を充填してサイディングボードを接合する下記の特許文献1に示すようなシーリング工法が従来から多く行われている。しかし、近時は施工のやり易さと施工後の建物外壁の外観品質が良いことが注目されて、サイディングボードをシーリング材無しで接合する、シーリングレス工法が主流になってきている。
また、接合するサイディングボード101、102の突合わせ部に通気性の確保と位置決めを目的にして図10に示すようなハット型の形状をした「ハット型ジョイナー」と呼ばれている接合金物103が使用される場合がある(下記特許文献1の図8にも開示されている)。
このものは、接合するサイディングボード101、102間に形成した隙間104に嵌まる内部に通気口105が形成された嵌合凸部106と、木材下地107等を介して建築構造躯体108の表面側の壁面部に取り付けられる取付け座板109と、が一体に形成された接合金物103である。また、図10では上記接合金物103の頂部の高さがサイディングボード101、102間に形成した隙間104の上端の高さよりも低くなっており、これによってできた段差凹部にシーリング材110を充填してサイディングボード101、102間に形成した隙間を埋める構成になっている。
特開平11−311010号公報
上述したシーリングレス工法では、施工が容易で施工後の建物外壁の外観が優れる反面、建物内への雨水等の浸入の心配がある。そこで雨水等の浸入を防ぐための上記シーリング材に代わる構造が必要になってくる。この場合、接合するサイディングボードの一方の突合せ部の内方に凹部を形成し、該凹部を利用して上述したハット型をした接合金物を取り付けて止水性を高める構成が考えられる。
しかし、接合されたサイディングボードの突合せ部に対して形成される、僅かな隙間からでも上記接合金物の表面を伝ってサイディングボードの内側に雨水等は容易に浸入する。そして、サイディングボードの内側に浸入した雨水等は、木材下地に達し、その内部の建築構造躯体にしみ込んで建築構造躯体に大きなダメージを与える。
本発明はこのような点に基づいてなされたもので、その目的とするところは施工が容易で施工後の外観に優れるシーリングレス工法に対応でき、シーリング材を使用しなくても高い止水性が得られる安価な建築外壁の接合具、該接合具を備えた建物外壁の接合構造及び該接合構造を構築する際に実行される建物外壁の接合方法を提供することにある。
上記目的を達成すべく本発明の請求項1による建物外壁の接合構造は、サイディングボードを使用した建築物の外壁工事に使用される建物外壁の接合構造において、突合わせ部の内方に所定形状及び所定深さの受入れ凹部が形成されたサイディングボードと、上記受入れ凹部に対して、少なくともその頂部が入り込んだ状態で配置される導水壁と、該導水壁を挟んでその左右に適の間隔を隔てて配置される2枚の遮水壁と、上記導水壁と2枚の遮水壁の基端部を支持し、建築構造躯体の一部または上記サイディングボードと建築構造躯体との間に配置される補助躯体ないし固定金具によって構成される中間部材に対して取り付けられる取付け座板と、を備える建物外壁の接合具と、を具備し、
上記導水壁と2枚の遮水壁と取付け座板は、上記サイディングボードに形成された受入れ凹部の伸長方向に沿い、当該受入れ凹部とほぼ同じ長さで一様断面の金属製または合成樹脂製の長尺部材によって構成されており、
上記導水壁には、該導水壁をくるむように被覆する吸水性を有するスポンジ材が取り付けられており、上記導水壁の頂部に設けられたスポンジ材は、上記サイディングボードに形成されている上記受入れ凹部に入り込んだ状態で配置されており、上記導水壁の基端部に設けられたスポンジ材は導水壁と遮水壁と取付け座板とサイディングボードの内壁面とによって区画された空間によって形成される排水路に配置されていることを特徴とするものである。
また、請求項2による建物外壁の接合構造は、請求項1記載の建物外壁の接合構造において、上記建物外壁の接合具における取付け座板と建築構造躯体との間、または上記中間部材と建築構造躯体との間には、透湿防水シートが貼設されていることを特徴とするものである。
また、請求項3による建物外壁の接合構造は、請求項1または2記載の建物外壁の接合構造において、上記サイディングボードに形成される受入れ凹部は、サイディングボードの突合わせ面に沿って形成される矩形溝形状の凹部であることを特徴とするものである。
また、請求項4による建物外壁の接合構造は、請求項1〜3のいずれかに記載の建物外壁の接合構造において、上記サイディングボードに形成される受入れ凹部は、サイディングボードの突合わせ面に沿って形成される、途中に屈曲部を有する合しゃくり溝形状の凹部であることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項5による建物外壁の接合方法は、サイディングボードを使用した建築物の外壁工事に使用される建物外壁の接合方法において、
接合するサイディングボードの突合わせ部に位置する建築構造躯体、または同位置のサイディングボードと建築構造躯体の間に設けられる補助躯体ないし固定金具によって構成される中間部材に対して、建物外壁の接合具を取り付ける接合具設置工と、
上記建物外壁の接合具は、中央に導水壁、その左右に2枚の遮水壁、これらの基端部を支持する取付け座板と、を備えており、
上記導水壁と2枚の遮水壁と取付け座板は、上記サイディングボードに形成された受入れ凹部の伸長方向に沿い、当該受入れ凹部とほぼ同じ長さで一様断面の金属製または合成樹脂製の長尺部材によって構成されており、
このうち上記導水壁に対して吸水性を有するスポンジ材を宛がい、当該スポンジ材で導水壁をくるんで被覆するスポンジ材設置工程と、
上記スポンジ材で被覆した導水壁の頂部を上記サイディングボードの突合わせ部内方に形成されている受入れ凹部に押し込むようにして入れ、上記導水壁の基端部に設けられたスポンジ材を導水壁と遮水壁と取付け座板とサイディングボードの内壁面とによって区画された空間によって形成される排水路に置し、該導水壁の左右に配置される2枚の遮水壁の頂部を、上記受入れ凹部を挟んだ上記サイディングボードの内壁面に当接または近傍する位置に至らせるサイディングボード設置工程と、を具備していることを特徴とするものである。
また、請求項6による建物外壁の接合方法は、請求項5記載の建物外壁の接合方法において、上記建物外壁の接合具を、コーナー部用のサイディングボードを使用した建物外壁のコーナー部に設置する場合には、当該コーナー部用のサイディングボードと接合する左右2枚の平面部用のサイディングボードとの間に形成される2ヶ所の突合わせ部に対して、1組ずつ、計2組の建物外壁の接合具を設置してサイディングボードを接合するようにしたことを特徴とするものである。
また、請求項7による建物外壁の接合方法は、請求項5記載の建物外壁の接合方法において、上記建物外壁の接合具を、コーナー部用のサイディングボードを使用しない建物外壁のコーナー部に設置する場合には、上記取付け座板が折り曲げられた形状または曲面形状で、上記左右の遮水壁が互いに交差する位置に配置されている1組の建物外壁の接合具を使用して当該コーナー部に存する2枚の平面部用のサイディングボードを接合するようにしたことを特徴とするものである。
そして、上記手段によって以下のような効果が得られる。即ち、本発明の建物外壁の接合具によると、接合部に凹部や隙間が存在しないサイディングボードが使用できるから、サイディングボードをシーリング材無しで接合するシーリングレス工法による建築物の外壁工事に使用できる。また、設置状態において受入れ凹部に対して、頂部が入り込んだ状態で配置される導水壁を設けたから、サイディングボードの突合わせ面から浸入した雨水等は、当該導水壁を伝って、導水壁と遮水壁と取付け座板とサイディングボードの内壁面とによって区画された樋状の空間に導かれ、下方に流れてその下端の排水口から外部に排出される。従って、雨水等はサイディングボードの内方空間には至るが、建物内部へのそれ以上の浸入は防止されている。
そして、このとき、建物内部への雨水等の浸入を防止する主な役割を有しているのが遮水壁であり、該遮水壁の存在によってサイディングボードの内方空間に導かれた雨水等は、サイディングボードと建築構造躯体との間に配置される中間部材側に浸入することが防止されている。
また、サイディングボードを設置した状態で上記遮水壁の頂部をサイディングボードの内壁面に当接またはその近傍に位置するように配置し、左右の遮水壁の間隔を上記受入れ凹部の間隙よりも大きくなるように設定した場合には、上記サイディングボードの突合わせ面から浸入した雨水等は、上記樋状の空間に確実に導かれるから、上記中間部材側への雨水等の浸入が効果的に防止される。
また、建物外壁の接合具が、上記受入れ凹部の伸長方向に沿い、当該受入れ凹部とほぼ同じ長さの一様断面の長尺部材によって構成されている場合には、上記樋状の空間に導かれた雨水等は、流下途中で外に漏れることなく、確実に排水口に導かれて外部に排出される。また、建物外壁の接合具を金属製とした場合には、機械的強度が増大し耐久性が向上する。一方、建物外壁の接合具を合成樹脂製とした場合には、安価で軽量の建物外壁の接合具を提供することが可能になり、複雑な形状の建物外壁の接合具を成形することも可能になる。
また、建物外壁の接合具の取付け座板を、取り付ける建物外壁の形状や部位に合わせて平面形状、折り曲げられた形状または曲面形状に形成し、左右の遮水壁の位置を取り付ける建物外壁の形状や部位に合わせて左右対称の位置、左右非対称の位置または左右の遮水壁が平行ないし交差する適宜の位置に配置するようにした場合には、種々の形状や部位の建物外壁に対応し得る建物外壁の接合具を提供できるようになる。
また、本発明の建物外壁の接合構造によると、サイディングボードの突合わせ部の内方の所定形状及び所定深さの受入れ凹部を形成し、該受入れ凹部に対して、少なくともその頂部が入り込んだ状態で配置される導水壁と、該導水壁を挟んでその左右に配置される2枚の遮水壁と、上記導水壁と2枚の遮水壁の基端部を支持する取付け座板と、を備える建物外壁の接合具を具備しているから、シーリングレス工法による建築物の外壁工事を低コストで短期間に行うことが可能になる。
また、上記導水壁と2枚の遮水壁と取付け座板とサイディングボードの内壁面とによって区画された樋状の空間が形成されて当該空間が排水路として機能するから、サイディングボードの内方空間に浸入した雨水等を建築構造躯体側に浸入させることなく確実に排水口に導いて外部に排出することが可能になる。
また、上記導水壁に対して、該導水壁をくるむように被覆する吸水性を有するスポンジ材を取り付け、該スポンジ材の一部を上記受入れ凹部に入り込ませた状態で配置した場合には、サイディングボードの突合わせ面から受入れ凹部内に浸入した雨水等は、スポンジ材の有する毛細管現象によって吸水され、スポンジ材によって捕捉された状態で下端の排水口から外部に確実に排出されるようになる。
また、上記取付け座板と建築構造躯体との間、または上記中間部材と建築構造躯体との間に透湿防水シートを貼設した場合には、当該部位に浸入した雨水等の建築構造躯体側へのそれ以上の浸入を防止でき、建物外壁の接合構造の止水性を更に向上させることができる。また、透湿防水シートは液体の水は通さないが気体である水蒸気(湿気)や乾いた空気は通すので建物外壁内外の通気性も確保できる。
また、上記受入れ凹部の形状をサイディングボードの突合わせ面に沿って形成される矩形溝形状に形成した場合には、受入れ凹部の形成が容易になって安価なサイディングボードの提供が可能になる。
また、上記受入れ凹部の形状をサイディングボードの突合わせ面に沿って形成される途中に屈曲部を有する合しゃくり溝形状に形成した場合には、突合わせ面からの雨水等の浸入の虞れが更に少ない止水性の優れたサイディングボードの提供が可能になる。
また、本発明の建物外壁の接合方法によると、基本的に接合具設置工程と、スポンジ材設置工程と、サイディングボード設置工程の3工程によってサイディングボードの接合を行うことができるから、従来のシーリング工法において設けられていた面倒なシーリング材の充填工程が不要になり、建築物の外壁工事の施工性が向上する。また、シーリングレス工法に対応できるから施工後の建物外壁の外観品質が良好であり、導水壁と遮水壁と取付け座板とを備えた建物外壁の接合具の採用によって建物外壁の止水性が向上する。
また、建物外壁のコーナー部にコーナー部用のサイディングボードを使用している場合には、建物外壁の接合具を2組使用することにより、コーナー部用のサイディングボードを挟んで左右に位置する平面部用のサイディングボードとの接合にも対応できるようになる。また、取付け座板を折り曲げられた形状または曲面形状とし、左右の遮水壁を互いに交差する位置に配置した1組の建物外壁の接合具を使用することにより、建物外壁のコーナー部にコーナー部用のサイディングボードを使用しない場合でも、交差した状態で配置される2枚の平面部用のサイディングボードを接合することが可能になる。
本発明の第1の実施の形態を示す図で、本発明の建物外壁の接合構造を適用した建築物の一部を示す斜視図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、本発明の建物外壁の接合構造を適用した建物外壁の一部を示す側断面図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、本発明の建物外壁の接合構造を示す平断面図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、本発明の建物外壁の接合構造の変形例を示す平断面図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、本発明の建物外壁の接合構造の他の変形例を示す平断面図である。 本発明の第2の実施の形態を示す図で、本発明の建物外壁の接合構造を示す平断面図である。 本発明の第3の実施の形態を示す図で、本発明の建物外壁の接合方法を示すブロック図である。 本発明の第4の実施の形態を示す図で、本発明の建物外壁の接合具を建物外壁のコーナー部に設置する場合の態様を示す平断面図である。 本発明の第5の実施の形態を示す図で、本発明の建物外壁の接合具を建物外壁のコーナー部に設置する場合の他の態様を示す平断面図である。 従来例を示す図で、従来の建物外壁の接合構造を示す平断面図である。
以下、図1〜図5に示す第1の実施の形態と、図6に示す第2の実施の形態と、図7に示す第3の実施の形態と、図8に示す第4の実施の形態と、図9に示す第5の実施の形態の5つの実施の形態を例にとって、本発明の建物外壁の接合具、該接合具を備えた建物外壁の接合構造、該接合構造を構築する際に実行される建物外壁の接合方法の内容を具体的に説明する。
尚、以下の説明では、第1の実施の形態を例にとって、本発明の建物外壁の接合具と、該建物外壁の接合具を備えた本発明の建物外壁の接合構造の具体的構成とその作用について説明する。また、第2の実施の形態では、受入れ凹部3の形状が異なる他の建物外壁の接合構造の構成を上記第1の実施の形態との差異を中心に説明する。
また、第3の実施の形態では、本発明の建物外壁の接合方法を、上記図3に示す第1の実施の形態の建物外壁の接合構造を構築する場合を例にとって説明する。
また、第4の実施の形態では、建物外壁のコーナー部に本発明の建物外壁の接合具を設置する場合の態様を説明する。また、第5の実施の形態では、建物外壁のコーナー部に本発明の建物外壁の接合具を設置する場合の他の態様と、当該態様に使用する建物外壁の接合具の具体的構成について説明する。
(1)第1の実施の形態(図1〜図5参照)
本発明の建物外壁の接合具1は、サイディングボード2を使用した建築物の外壁工事に使用され、サイディングボード2の突合わせ部3の内方に形成される受入れ凹部4に対して、少なくともその頂部5aが入り込んだ状態で配置される導水壁5と、該導水壁5を挟んでその左右に適宜の間隔Wを隔てて配置される2枚の遮水壁6L、6Rと、上記導水壁5と2枚の遮水壁6L、6Rのそれぞれの基端部5b、6bを支持し、建築構造躯体7の一部、またはサイディングボード2と建築構造躯体7との間に配置される補助躯体8ないし固定金具9によって構成される中間部材に対して取り付けられる取付け座板10と、を備えることによって基本的に構成されている。尚、図3においては、サイディングボード2と建築構造躯体7、補助躯体8によって構成される中間部材等の取り付けには、通常の釘やビス等の取り付け手段が使用されているが、ここではその記載を省略している。
また、本発明の建物外壁の接合構造11は、同じくサイディングボード2を使用した建築物の外壁工事に使用され、突合わせ部3の内方に所定形状及び所定深さの受入れ凹部4が形成されたサイディングボード2と、上記構成の建物外壁の接合具1と、を具備することによって基本的に構成されている。
本実施の形態による建物外壁の接合具1は、建物外壁13の平面部14の外壁工事に使用される2枚の平面部用のサイディングボード2L、2Rの接合に使用される。そして、上記遮水壁6L、6Rの頂部6a、6aは、サイディングボード2L、2Rを設置した状態において、図3に示すようにサイディングボード2L、2Rの内壁面2aに当接またはその近傍に位置するように配置されており、左右の遮水壁6L、6Rの間隔Wは、一例として右側のサイディングボード2Rに形成されている受入れ凹部4の間隙Dよりも大きくなるように設定されている。
また、上記導水壁5と2枚の遮水壁6L、6Rと取付け座板10は、上記サイディングボード2Rに形成された受入れ凹部4の伸長方向Zに沿い、当該受入れ凹部4とほぼ同じ長さで一様断面の金属製または合成樹脂製の長尺部材によって構成されている。
また、本実施の形態では建物外壁13の平面部14に対して平面部用のサイディングボード2L、2Rを設置するため、当該建物外壁13の形状と部位に合わせて平面形状の取付け座板10が使用されている。また、取付け座板10には、当該建物外壁の接合具1を建築構造躯体7や上記中間部材8、9にビス17で取り付けるための図示しない取付け穴が形成されている。
また、本実施の形態では、左右の遮水壁6L、6Rの位置は、上記建物外壁13の形状と部位に合わせて左右対称の位置に配置されており、上記導水壁5と2枚の遮水壁6L、6Rは共に平行で、上記取付け座板10から直角に立ち上げられた状態で設けられている。
尚、このようにして構成される建物外壁の接合具1を取り付ける建築構造躯体7としては、図3に示す間柱19が一例として適用できる。また、図3では14mm厚のサイディングボード2を使用する場合の建物外壁の接合構造11Aが図示されており、上記間柱19の左右に間柱19とほぼ同じ大きさの補助木材下地21、21を配置し、該補助木材下地21、21に対して一例として木材下地によって構成される補助躯体8を中間部材として配置している。
そして、上記補助躯体8の厚さによってサイディングボード2と建築構造躯体7の間隔が設定されている。
また、上記導水壁5には、該導水壁5をくるむように被覆する吸水性を有するスポンジ材23が設けられており、該スポンジ材23の一部は、図3に示すようにサイディングボード2Rに形成されている上記受入れ凹部4に入り込んだ状態で配置されている。
尚、スポンジ材23としては、毛細管現象による良好な吸水性を発揮し得る種々の材料が適用でき、一例としてPVAスポンジ、PUスポンジ等が適用可能である。また、他の材質の吸水性材料を使用したものでも良い。
また、導水壁5にスポンジ材23を設けるに当たっては、予め導水壁5にスポンジ材23を設けたものを用意しても良いし、後述するように、接合具1を取り付ける際にスポンジ材23を設置しても良い。
更に、導水壁5にスポンジ材23を設けない構成とすることも可能であるし、導水壁5自体に毛細管現象を利用して水を誘導するヒダや凹凸を形成とすることも考えられる。
また、本実施の形態では、上記間柱19と中間部材となる補助躯体8との間に透湿防水シート25を貼設している。透湿防水シート25は、液体である水は通さないが気体である水蒸気(湿気)や乾いた空気を通す性質を有するシートである。
因みに、透湿防水シート25としては、日本工業規格JISA6111で規定されている厚さ0.1〜0.5mm程度のポリエチレン製の不織布シートが一例として適用可能である。
また、本実施の形態では、図3に示すように左右のサイディングボード2L、2Rの突合わせ面3aは、サイディングボード2L、2Rの表面ないし裏面に対して直角な平滑な切断面によって構成されており、上述したように右側のサイディングボード2Rの突合わせ部3の内方のコーナー部のみに受入れ凹部4が形成されている。
上記受入れ凹部4は、本実施の形態では、サイディングボード2Rの突合わせ面3aに沿って形成される矩形溝形状をした凹部によって構成されており、該受入れ凹部4の間隙Dは、上述したスポンジ材23で被覆した導水壁5の頂部5aを収容できる大きさに設定されている。
次に、このようにして構成される本実施の形態による建物外壁の接続構造11Aの作用と併せて、該建物外壁の接続構造11Aに雨水等が浸入した場合の雨水等の流れについて説明する。左右のサイディングボード2L、2Rは、ほとんど隙間なく突き合わせた状態で接合されている。しかし、サイディングボード2の突合わせ面3aにできる僅かな隙間からでも雨水等はサイディングボード2の内方空間に浸入する。
突合わせ面3aの隙間を通って浸入した雨水等は、受入れ凹部4に到達し、受入れ凹部4に存するスポンジ材23で被覆された導水壁5の頂部5aからスポンジ材23の有する毛細管現象によって吸水されて導水壁5と遮水壁6と取付け座板10とサイディングボード2の内壁面2aとによって区画された空間によって形成される排水路31に導かれ、該排水路31の下端の排水口33から外部に排出される。
そして、上記排水路31内では、遮水壁6の存在によって中間部材である補助躯体8側への雨水等の浸入が防止されており、建物外壁の接合具1と間柱19との間と、補助躯体8と補助木材下地21との間に貼設されている透湿防水シート25によって、建築構造躯体7側への更なる雨水等の浸入も防止されている。
また、このようにして構成される本実施の形態に係る建物外壁の接合具1と建物外壁の接合構造11には、次に述べるような(A)第1の変形例と(B)第2の変形例が存在する。
(A)第1の変形例(図4参照)
図4に示す建物外壁の接合構造11Bは、15、16、18、21mm厚のサイディングボード2を使用する場合に適用される建物外壁の接合構造11を示している。具体的には、間柱19と補助木材下地21の表面に透湿防水シート25を貼り、該透湿防水シート25を挟んで幅方向Xに長い木材下地によって構成される補助躯体8を配置し、更に該補助躯体8の表面に建物外壁の接合具1を収容し得る所定の間隔を隔てて、2つの固定金具9を配置した構成が採用されている。
これに伴い、サイディングボード2と建築構造躯体7との間隔は、上記図3に示す建物外壁の接合構造11Aよりも広くなっており、建物外壁の接合具1の取付け位置は、間柱19の表面から中間部材である補助躯体8の表面に変更されている。
また、図4に示す変形例では、左右に配置した遮水壁6L、6Rの間隔Wを図3に示す建物外壁の接合具1の場合よりも狭くしている。
(B)第2の変形例(図5参照)
図5に示す建物外壁の接合構造11Cは、上記第1の変形例と同じ15、16、18、21mm厚のサイディングボード2を使用する場合に適用される建物外壁の接合構造11を示している。具体的には、補助木材下地21の表面に透湿防水シート25を貼り、該透湿防水シート25を挟んで図3に示す建物外壁の接合構造11Aよりも厚みのある中間部材となる固定金具9を配置し、図3に示す建物外壁の接合構造11Aにおいて設けていた中間部材となる補助躯体8を取り除いた構成が採用されている。
これに伴い、サイディングボード2と建築構造躯体7との間は、上記第1の変形例と同様に、上記図3に示す建物外壁の接合構造11Aよりも広くなっており、導水壁5と遮水壁6L、6Rの高さは、上記図3に示す建物外壁の接合具1の場合よりも高くなっている。
そして、このようにして構成される本実施の形態による建物外壁の接合具1及び建物外壁の接合構造11によれば、施工が容易で施工後の外観品質に優れるシーリングレス工法に対応でき、シーリング材を使用しなくても高い止水性を発揮する安価な建物外壁の接合具1と、該接合具1を備えた建物外壁の接合構造11を提供することが可能になる。
(2)第2の実施の形態(図6参照)
次に、第2の実施の形態による建物外壁の接合構造11Dの具体的構成を説明する。本実施の形態による建物外壁の接合構造11Dは、前述した第1の実施の形態の図4に示す第1の変形例と基本的に同様の構成を有しており、サイディングボード2に形成される受入れ凹部4の形状が上記第1の変形例と相違している点で差異を有している。従って、ここでは上記第1の実施の形態と同様の構成については説明を省略し、上記第1の実施の形態と相違する受入れ凹部4の形状に絞って説明する。
即ち、本実施の形態では、サイディングボード2に形成される受入れ凹部4がサイディングボード2の屈曲した突合わせ面3aに沿って形成される、途中に屈曲部4aを有する合しゃくり溝形状の凹部によって構成されている。
具体的には、左側のサイディングボード2Lの突合わせ部3側の端部には、表面側に凹部27、裏面側に凸部28が設けられており、右側のサイディングボード2Rの突合わせ部3側の端部には、表面側に上記凹部27に係合する凸部29、裏面側に上記凸部28と係合する凹部30がそれぞれ設けられている。そして、図6に示すように凸部28の上面と凸部29の下面との間と、凸部28の右端面と凹部30の右側の内壁面との間には逆L字状の空隙部が形成されており、この空隙部が受入凹部4として機能するように構成されている。
そして、このようにして構成される本実施の形態による建物外壁の接合構造11Dによっても、上記第1の実施の形態と同様の作用、効果を享受でき、更に本実施の形態にあっては、サイディングボードの屈曲した突合わせ面3aの存在によって、サイディングボード2の内方空間への雨水等の浸入の虞れが小さくなるから建物外壁13の止水性が一層向上する。
(3)第3の実施の形態(図7参照)
次に、前述した第1の実施の形態の図3に示す構造の建物外壁の接合構造11Aを例にとって、該接合構造11Aを構築する際に実行される建物外壁の接合方法について具体的に説明する。
本発明の建物外壁の接合方法は、サイディングボード2を使用した建築物の外壁工事を行う際に実行されるサイディングボードの接合方法であり、シーリング材を使用しないシーリングレス工法に基づく建物外壁の接合方法である。
具体的には、建物外壁の接合具1を取り付ける接合具設置工程P2と、スポンジ材設置工程P4と、サイディングボード設置工程P5の3つの工程を備えることによって本発明の建物外壁の接合方法は基本的に構成されている。
また、本実施の形態では、上記接合具設置工程P2の前工程として透湿防水シート25を貼設する透湿防水シート貼設工程P1を備え、上記接合具設置工程P2の後工程として中間部材8、9を設置する中間部材設置工程P3を備えた計5工程により建物外壁の接合方法が構成されている。以下、これらの工程を具体的に説明する。
(A)透湿防水シート貼設工程(図3及び図7参照)
透湿防水シート貼設工程P1は、建築構造躯体7の表面に透湿防水シート25を貼設する工程である。
即ち、本実施の形態では、間柱19の左右に補助木材下地21L、21Rを配置し、間柱19と左右の補助木材下地21L、21Rの表面に透湿防水シート25を貼設する。
(B)接合具設置工程(図3及び図7参照)
接合具設置工程P2は、接合するサイディングボード2L、2Rの突合わせ部3に位置する建築構造躯体7、または同位置の中間部材8、9に対して、建物外壁の接合具1を取り付ける工程である。
即ち、建物外壁の接合具1における取付け座板10を、間柱19と補助木材下地21の表面に貼設した透湿防水シート25上に設置し、ビス17等を使用して建物外壁の接合具1を建築構造躯体7の表面に取り付ける。尚、上記建物外壁の接合具1の取付け位置は、接合するサイディングボード2L、2Rに形成される受入れ凹部4の位置に導水壁5がくるように位置合わせして決定する。
(C)中間部材設置工程(図3及び図7参照)
中間部材設置工程P3は、接合するサイディングボード2L、2Rの突合わせ部3に位置する建築構造躯体7に対して、中間部材となる補助躯体8ないし固定金具9を設置する工程である。
即ち、本実施の形態では、上記左右の補助木材下地21L、21Rの表面に上記透湿防水シート25と取付け座板10を挟んで補助躯体8となる木材下地をビス等を使用して取り付ける。
(D)スポンジ材設置工程(図3及び図7参照)
スポンジ材設置工程P4は、建物外壁の接合具1の導水壁5に対して吸水性を有するスポンジ材23を宛がい、当該スポンジ材23で導水壁5をくるんで被覆する工程である。
例えば、導水壁5の基端部5bから導水壁5の表面に沿わせて伸長させたスポンジ材23を導水壁5の頂部5aで折り返し、導水壁5の裏面に沿わせて導水壁5の基端部5bに至らせるように配置する。
(E)サイディングボード設置工程(図3及び図7参照)
サイディングボード設置工程P5は、上記スポンジ材23で被覆した導水壁5の頂部5aをサイディングボード2の受入れ凹部4に押し込むようにして入れ、左右の遮水壁6L、6Rの頂部6aを、上記受入れ凹部4を挟んだサイディングボード2の内壁面2aに当接または近接する位置に至らせる工程である。
この場合、導水壁5の頂部5aを案内にして左右のサイディングボード2L、2Rを一枚ずつ補助躯体8である木材下地の表面に配置し、サイディングボード2L、2Rの取付け位置が決まったところでビス等を利用してサイディングボード2L、2Rを補助躯体8の表面に固定する。
そして、このようにして構成される本発明の建物外壁の接合方法によれば、従来のシーリング工法において設けられていた面倒なシーリング材の充填工程が不要になり、建築物の外壁工事の施工性が向上する、また、シーリングレス工法に対応できるから施工後の建物外壁の外観品質が良好になる。また、スポンジ材23による毛細管現象によって吸水された雨水等は、導水壁5と、遮水壁6と、取付け座板10と、サイディングボード2の内壁面2aと、によって区画された空間に導かれ、該空間が排水路31となって、該排水路31の下端の排水口33から外部に排出されるから止水性が大幅に向上している。
(4)第4の実施の形態(図8参照)
次に、第4の実施の形態による建物外壁の接合方法について説明する。第4の実施の形態による建物外壁の接合方法は、コーナー部用のサイディングボード2Cを使用した建物外壁13のコーナー部15に建物外壁の接合具1を設置する場合に適用される建物外壁の接合方法である。
即ち、上記コーナー部用のサイディングボード2Cと、その左右に接合する2枚の平面部用のサイディングボード2L、2Rとの間に形成される2ヶ所の突合わせ部3、3に対して、1組ずつ、計2組の建物外壁の接合具1、1を使用して、これら3枚のサイディングボード2L、2C、2Rを接合することによって本実施の形態による建物外壁の接合方法は構成されている。
具体的には、図8では出隅15aとなる建物外壁13のコーナー部15が図示されており、建築構造躯体7となる出隅15aに位置する柱20の直交する第1表面20aと第2表面20bに対して、それぞれ同構造の2組の建物外壁の接合構造11を配置することによって上記3枚のサイディングボード2L、2C、2Rの接合を行っている。また、図8では一例として図4に示すタイプの建物外壁の接合構造11Bを2組使用している。
そして、このようにして構成される本実施の形態による建物外壁の接合方法を採用した場合にも、上記第3の実施の形態による建物外壁の接合方法と同様の作用、効果を享受することができ、更に本実施の形態では、建物外壁13の平面部14で使用したものと同構造の建物外壁の接合構造11がそのまま使用できるから、施工が円滑になり、施工コストの削減も寄与し得る。
(5)第5の実施の形態(図9参照)
次に、第5の実施の形態による建物外壁の接合方法について説明する。第5の実施の形態による建物外壁の接合方法は、コーナー部用のサイディングボード2Cを使用しない建物外壁13のコーナー部15に建物外壁の接合具1を設置する場合に適用される建物外壁の接合方法である。
即ち、前述した構成の建物外壁の接合具1とは別タイプの専用の建物外壁の接合具1Fを使用して当該コーナー部15に存する交差する2枚の平面部用のサイディングボード2L、2Rを接合することによって本実施の形態による建物外壁の接合方法は構成されている。
具体的には、図9では入隅15bとなる建物外壁13のコーナー部15が図示されており、図示のような形状の建物外壁の接合具1Fが1組のみ使用されて交差する2枚のサイディングボード2L、2Rの接合が行われている。本実施の形態で使用される建物外壁の接合具1Fは、取付け座板10が建物外壁13のコーナー部15の形状に合わせて折り曲げられた形状または曲面形状に形成されており、左右の遮水壁6L、6Rの位置が当該コーナー部の形状に合わせて左右非対称の位置で、且つ左右の遮水壁6L、6Rが交差する状態で配置された構成になっている。
そして、図9では、建築構造躯体7となる入隅15bに位置する柱20の第1表面20aに接するように配置されている補助木材下地21Rと対向する位置に第1座板部10a、柱20の第2表面20bに接するように配置されている補助木材下地21Lと対向する位置に第2座板部10bを有する直角に折り曲げられた取付け座板10を備え、上記第1座板部10aから導水壁5と一方の遮水壁6Rを立ち上げ、上記第2座板部10bから他方の遮水壁6Lを立ち上げた構成の建物外壁の接合具1Fが図示されている。
また、このようにして構成される本実施の形態による建物外壁の接合方法を採用した場合にも、上記第3の実施の形態による建物外壁の接合方法と同様の作用、効果を享受することができ、更に本実施の形態では、建物外壁13の形状や部位の違う種々の建築物の外壁工事に対応できるから建物外壁の接合具1の適用範囲を拡大することができる。
(6)他の実施の形態
本発明の建物外壁の接合具1、建物外壁の接合構造11及び建物外壁の接合方法は、前述した5つの実施の形態のものに限定されず、その説明の要旨内での変更が可能である。
例えば、本発明の建物外壁の接合具1を金属製材料によって形成する場合には1枚の金属製平板材料を折り曲げることによって導水壁5と、2枚の遮水壁6L、6Rと取付け座板10を連続的に一体に形成することが可能である。
また、サイディングボード2の突合わせ部3の内方に設けた受入れ凹部4は、図3、4、5に示すように右側のサイディングボード2Rに設ける場合に限らず、左側のサイディングボード2L側に設けてもよいし、左右のサイディングボード2L、2Rの両方に凹部を設けて、これら2つの凹部を組み合わせることによって受入れ凹部4を形成することも可能である。
また、受入れ凹部4の形状は、前述した2種類の形状に限らず、V字溝形状、U字溝形状等、種々の形状の受入れ凹部4を採用することが可能である。また、建物外壁13が曲面を有している場合には、曲面形状の取付け座板10を採用することができ、建物外壁13が段差部を有している場合には、当該段差部に設ける建物外壁の接合具1としては、当該段差部に合わせて屈曲させた形状の取付け座板10を採用することも可能である。
この他、本発明の建物外壁の接合構造11を設置する建築構造躯体7としては、上述した間柱19やコーナー部15に設ける柱20に限らず、これらの間に設けられる縦枠や横枠あるいは梁や筋交い等であっても構わない。
本発明の建物外壁の接合具、建物外壁の接合構造及び建物外壁の接合方法は、建築物の外壁工事を行っている施工分野や該外壁工事で使用する建物外壁の接合具やサイディングボードの製造・使用分野等で利用でき、特にシーリングレス工法に対応でき、施工が容易で止水性に優れ、外観品質が良好な建物外壁を構築したい場合に利用可能性を有する。
1 建物外壁の接合具
2 サイディングボード
2a 内壁面
3 突合わせ部
3a 突合わせ面
4 受入れ凹部
4a 屈曲部
5 導水壁
5a 頂部
5b 基端部
6 遮水壁
6a 頂部
6b 基端部
7 建築構造躯体
8 補助躯体(中間部材)
9 固定金具(中間部材)
10 取付け座板
10a 第1座板部
10b 第2座板部
11 建物外壁の接合構造
13 建物外壁
14 平面部
15 コーナー部
15a 出隅
15b 入隅
17 ビス
19 間柱
20 柱
20a 第1表面
20b 第2表面
21 補助木材下地
23 スポンジ材
25 透湿防水シート
27 凹部
28 凸部
29 凸部
30 凹部
31 排水路
33 排水口
W 間隔
D 間隙
Z 伸長方向
X 幅方向
P1 透湿防水シート貼設工程
P2 接合具設置工程
P3 中間部材設置工程
P4 スポンジ材設置工程
P5 サイディングボード設置工程

Claims (7)

  1. サイディングボードを使用した建築物の外壁工事に使用される建物外壁の接合構造において、
    突合わせ部の内方に所定形状及び所定深さの受入れ凹部が形成されたサイディングボードと、
    上記受入れ凹部に対して、少なくともその頂部が入り込んだ状態で配置される導水壁と、該導水壁を挟んでその左右に適の間隔を隔てて配置される2枚の遮水壁と、上記導水壁と2枚の遮水壁の基端部を支持し、建築構造躯体の一部または上記サイディングボードと建築構造躯体との間に配置される補助躯体ないし固定金具によって構成される中間部材に対して取り付けられる取付け座板と、を備える建物外壁の接合具と、を具備し、
    上記導水壁と2枚の遮水壁と取付け座板は、上記サイディングボードに形成された受入れ凹部の伸長方向に沿い、当該受入れ凹部とほぼ同じ長さで一様断面の金属製または合成樹脂製の長尺部材によって構成されており、
    上記導水壁には、該導水壁をくるむように被覆する吸水性を有するスポンジ材が取り付けられており、上記導水壁の頂部に設けられたスポンジ材は、上記サイディングボードに形成されている上記受入れ凹部に入り込んだ状態で配置されており、上記導水壁の基端部に設けられたスポンジ材は導水壁と遮水壁と取付け座板とサイディングボードの内壁面とによって区画された空間によって形成される排水路に配置されていることを特徴とする建物外壁の接合構造。
  2. 上記建物外壁の接合具における取付け座板と建築構造躯体との間、または上記中間部材と建築構造躯体との間には、透湿防水シートが貼設されていることを特徴とする請求項1記載の建物外壁の接合構造。
  3. 上記サイディングボードに形成される受入れ凹部は、サイディングボードの突合わせ面に沿って形成される矩形溝形状の凹部であることを特徴とする請求項1または2記載の建物外壁の接合構造。
  4. 上記サイディングボードに形成される受入れ凹部は、サイディングボードの突合わせ面に沿って形成される、途中に屈曲部を有する合しゃくり溝形状の凹部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の建物外壁の接合構造。
  5. サイディングボードを使用した建築物の外壁工事に使用される建物外壁の接合方法において、
    接合するサイディングボードの突合わせ部に位置する建築構造躯体、または同位置のサイディングボードと建築構造躯体の間に設けられる補助躯体ないし固定金具によって構成される中間部材に対して、建物外壁の接合具を取り付ける接合具設置工程と、
    上記建物外壁の接合具は、中央に導水壁、その左右に2枚の遮水壁、これらの基端部を支持する取付け座板と、を備えており、
    上記導水壁と2枚の遮水壁と取付け座板は、上記サイディングボードに形成された受入れ凹部の伸長方向に沿い、当該受入れ凹部とほぼ同じ長さで一様断面の金属製または合成樹脂製の長尺部材によって構成されており、
    このうち上記導水壁に対して吸水性を有するスポンジ材を宛がい、当該スポンジ材で導水壁をくるんで被覆するスポンジ材設置工程と、
    上記スポンジ材で被覆した導水壁の頂部を上記サイディングボードの突合わせ部内方に形成されている受入れ凹部に押し込むようにして入れ、上記導水壁の基端部に設けられたスポンジ材を導水壁と遮水壁と取付け座板とサイディングボードの内壁面とによって区画された空間によって形成される排水路に配置し、該導水壁の左右に配置される2枚の遮水壁の頂部を、上記受入れ凹部を挟んだ上記サイディングボードの内壁面に当接または近傍する位置に至らせるサイディングボード設置工程と、を具備していることを特徴とする建物外壁の接合方法。
  6. 上記建物外壁の接合具を、コーナー部用のサイディングボードを使用した建物外壁のコーナー部に設置する場合には、当該コーナー部用のサイディングボードと接合する左右2枚の平面部用のサイディングボードとの間に形成される2ヶ所の突合わせ部に対して、1組ずつ、計2組の建物外壁の接合具を設置してサイディングボードを接合するようにしたことを特徴とする請求項5記載の建物外壁の接合方法。
  7. 上記建物外壁の接合具を、コーナー部用のサイディングボードを使用しない建物外壁のコーナー部に設置する場合には、上記取付け座板が折り曲げられた形状または曲面形状で、上記左右の遮水壁が互いに交差する位置に配置されている1組の建物外壁の接合具を使用して当該コーナー部に存する2枚の平面部用のサイディングボードを接合するようにしたことを特徴とする請求項5記載の建物外壁の接合方法。
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