JP2022131288A - 建物の防水構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】シール切れを生じにくくすることにより、防水性能を確実に確保することができる建物の防水構造を提供する。【解決手段】建物の外壁部18にはブラケット40が固定され、ブラケット40には庇本体25が取り付けられている。庇本体25は、外壁部18側に開口する中空状をなし、その内部にブラケット40を収容した状態でブラケット40に取り付けられている。ブラケット40は、上板部26と外壁部18との間に所定の隙間48が生じるように庇本体25を取り付ける。ブラケット40は、上板部26と外壁部18との境界部に沿って延び、外壁部18とともに隙間48の奥側に凹んだ溝部55を形成する溝形成部56を有している。溝部55は、シーリング材37が充填されるシール用溝部55となっており、そのシーリング材37により上板部26と外壁部18との境界部がシールされている。【選択図】図6
Description
本発明は、建物の防水構造に関する。
住宅等の建物には、出入口の上方に庇部が設けられる場合がある(例えば、特許文献1参照)。庇部は、外壁部から屋外側に張り出す庇本体を有しており、その庇本体は外壁部に固定されたブラケットに取り付けられるようになっている。例えば、庇本体は、外壁部の側に開口する中空状に形成され、その内側にブラケットを収容した状態で当該ブラケットに取り付けられる。
庇本体と外壁部との境界部には、不定形シール材によるシール処理が施される。これにより、上記境界部を通じて雨水等の水が入り込むことが防止される。かかるシール処理としては、庇本体の表面と外壁部の壁面とに跨る、いわゆる三角シールによる処理が行われることが多い。
ところで、庇本体と外壁部との境界部が三角シールにより処理されている場合、経年劣化に伴うシール切れが生じることが想定される。その場合、シール切れが生じた箇所から雨水等が浸入するおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、シール切れを生じにくくすることにより、防水性能を確実に確保することができる建物の防水構造を提供することを主たる目的とするものである。
上記課題を解決すべく、第1の発明の建物の防水構造は、外壁部に固定された庇取付部材と、前記外壁部に対して屋外側に張り出して設けられるとともに、前記外壁部側に開口する中空状に形成された庇本体と、を備え、前記庇本体は、その内側に前記庇取付部材を入り込ませた状態で前記庇取付部材に取り付けられている建物に適用され、前記庇本体は、前記庇本体の上面を形成する上板部と、前記庇本体の側面を形成する側板部とをそれぞれ外板部として有しており、前記外板部と前記外壁部との境界部が不定形シール材によりシールされている建物の防水構造であって、前記庇取付部材は、前記外板部と前記外壁部との間に所定の隙間が生じるように前記庇本体を取り付けるものであり、前記庇取付部材は、前記外板部と前記外壁部との境界部に沿って延び、前記外壁部とともに前記隙間の奥側に凹んだ溝部を形成するように前記外板部と前記外壁部とに跨るように設けられた溝形成部を有しており、前記溝形成部と前記外壁部とにより形成される前記溝部は、前記不定形シール材が充填されるシール用溝部となっている、ことを特徴とする。
第1の発明によれば、庇本体が庇取付部材に取り付けられた状態において、庇本体の外板部と外壁部との間には所定の隙間が生じている。庇取付部材は、外板部と外壁部との境界部に沿って延びる溝形成部を有している。溝形成部は、外壁部とともに上記隙間の奥側に凹んだ溝部を形成するように外板部と外壁部とに跨るように設けられている。そして、上記の溝部が不定形シール材が充填されるシール用溝部となっている。この場合、シール用溝部に不定形シール材を充填することにより、外板部と外壁部との境界部をシールすることができる。そのため、三角シールによりシールする場合と比べ、シール切れを生じにくくすることができる。これにより、防水性能を確実に確保することができる。
第2の発明の建物の防水構造は、第1の発明において、前記庇取付部材は、前記溝形成部として、前記上板部と前記外壁部との境界部に沿って延びる第1溝形成部と、前記側板部と前記外壁部との境界部に沿って延びる第2溝形成部とを有しており、前記第1溝形成部と前記外壁部とにより形成される前記シール用溝部と、前記第2溝形成部と前記外壁部とにより形成される前記シール用溝部とは互いに連続するように設けられている、ことを特徴とする。
第2の発明によれば、庇取付部材が、庇本体の上板部と外壁部との境界部に沿って延びる第1溝形成部と、側板部と外壁部との境界部に沿って延びる第2溝形成部とを有している。第1溝形成部と外壁部とにより形成されるシール用溝部と、第2溝形成部と外壁部とにより形成されるシール用溝部とは互いに連続するように設けられている。この場合、それら各シール用溝部に連続して不定形シール材を充填することができる。そのため、防水性能をより確実に確保することができる。
第3の発明の建物の防水構造は、第1又は第2の発明において、前記溝形成部は、前記外板部の表面より突出しないように設けられている、ことを特徴とする。
第3の発明によれば、溝形成部が外板部の表面より突出していないため、不定形シール材がシール用溝部に充填されることにより溝形成部がほぼ隠れた状態となる。これにより、外板部と外壁部との取合部の見栄えを良好なものとすることができる。
第4の発明の建物の防水構造は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記庇取付部材は、板材により形成されているとともに、前記上板部の裏面に重ねられ前記上板部が取り付けられた上板取付板部を有しており、前記上板取付板部は、前記上板部と前記外壁部との境界部に沿って延びており、前記庇取付部材は、さらに、前記上板取付板部の前記外壁部側の端部から前記上板取付板部の裏面側に延びる第1板部と、前記第1板部における前記上板取付板部とは反対側の端部から前記外壁部へと延びる第2板部と、前記第2板部の前記外壁部側の端部から前記第1板部が延びている側とは反対側に向けて延び前記外壁部に固定された第3板部とを有しており、前記第1板部と前記第2板部とにより、前記上板部と前記外壁部との境界部に沿って延びる前記溝形成部としての第1溝形成部が構成され、前記第1板部と前記第2板部と前記外壁部とにより前記シール用溝部としての第1シール用溝部が形成されている、ことを特徴とする。
庇取付部材において、庇本体の上板部が取り付けられる上板取付板部は上板部と外壁部との境界部に沿って延びるように形成されることが考えられる。そこで、第4の発明では、庇取付板部を、上板取付板部から延びる第1板部、第2板部及び第3板部を有して構成し、第1板部と第2板部とにより、上板部と外壁部との境界部に沿って延びる第1溝形成部を構成している。この場合、庇取付部材において、上板取付板部と、外壁部に固定される第3板部との間の中間部分に曲げを追加するだけで、比較的簡単に第1溝形成部を形成することができる。
第5の発明の建物の防水構造は、第4の発明において、前記庇取付部材は、前記側板部の裏面に重ねられ前記側板部が取り付けられた側板取付板部を有しており、前記側板取付板部は、前記側板部と前記外壁部との境界部に沿って延びており、前記庇取付部材は、さらに、前記側板取付板部の前記外壁部側の端部から前記側板取付板部の裏面側に延びる第4板部と、前記第4板部における前記側板取付板部とは反対側の端部から前記外壁部へと延びる第5板部と、前記第5板部の前記外壁部側の端部から前記第4板部が延びている側とは反対側に向けて延び前記外壁部に固定された第6板部とを有しており、前記第4板部と前記第5板部とにより、前記側板部と前記外壁部との境界部に沿って延びる前記溝形成部としての第2溝形成部が構成され、前記第4板部と前記第5板部と前記外壁部とにより前記シール用溝部としての第2シール用溝部が形成されている、ことを特徴とする。
第5の発明によれば、庇本体の側板部と外壁部との境界部に沿って延びる第2溝形成部についても、上記第4の発明と同様、比較的容易に形成することができる。
第6の発明の建物の防水構造は、第5の発明において、前記一対の側板部は、下端側が前記庇本体の内側に凹んだ段差状をなしており、前記側板取付板部は、その下端部が前記段差の生じた段差部分よりも上方に位置しており、前記第2溝形成部は、前記側板部よりも前記外壁部側に設けられているとともに、前記段差部分よりも下方に延出して下端部が前記側板部の下端部と略同じ高さ位置に位置している、ことを特徴とする。
庇本体には、水切り等の目的で、側板部の下端側が庇本体の内側に凹んだ段差状をなしている場合がある。そこで、第6の発明では、庇取付部材の第2溝形成部を側板部よりも外壁部側に設けるとともに、側板部の段差部分よりも下方に延出させている。そして、第2溝形成部の下端部を側板部の下端部と略同じ高さ位置に位置させている。これにより、側板部の下端側が段差状をなす構成にあっても、シール用溝部を側板部の下端部まで連続して形成することができる。そのため、側板部の下端位置まで連続して不定形シール材を充填することができる。
第7の発明の建物の防水構造は、第1乃至第6のいずれかの発明において、前記外壁部は、並べて設けられた複数の外壁面材を有し、前記庇本体の前記外板部と前記外壁部との境界部が、隣接する前記外壁面材の間の目地に沿って延びている、ことを特徴とする。
庇本体の外板部と外壁部との境界部が隣接する外壁面材の目地に沿って延びている場合、外板部と外壁部との境界部を三角シールによりシール処理すると、シール部分が外壁面材の目地に沿って設けられるシール部材に被さってしまうおそれがある。その場合、三角シールのシール切れがより生じ易くなると考えられる。その点、第7の発明では、こうした構成に上記第1の発明を適用しているため、かかる構成にあっても、シール切れを生じにくくすることができる。
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、建物における出入口の上方に庇部が設けられた構成を示す斜視図である。
図1に示すように、住宅等の建物10には、建物10への出入りを行うための出入口11が設けられている。出入口11は、例えば勝手口とされている。出入口11には、ドア12が設けられている。ドア12の周縁部にはドア枠13が設けられ、そのドア枠13によりドア12が開閉可能に支持されている。
出入口11は、建物10の外壁部18に設けられている。外壁部18は、外壁面を形成する外壁面材21と、外壁面材21の裏面に設けられたフレーム材22とを有している(図4も参照)。外壁面材21は、窯業系サイディングボードからなり、横並びに複数配置されている。複数の外壁面材21には、ドア枠13を挟んだ両側に設けられた外壁面材21aと、ドア枠13の上方に設けられた外壁面材21bとが含まれている。各外壁面材21aはドア枠13よりも上方に延びており、それら各外壁面材21aの間に外壁面材21bが配置されている。また、フレーム材22は、外壁面材21の側縁部に沿って上下に延びており、このフレーム材22に外壁面材21がビス等により固定されている。
出入口11の上方には、庇部15が設けられている。庇部15は、外壁部18(詳しくは外壁面材21b)から屋外側に張り出した状態で設けられている。庇部15の横幅は外壁面材21bの横幅よりも若干小さくなっている。この場合、庇部15の側面(詳しくは後述する庇本体25の側板部27)と外壁部18との境界部が、隣接する外壁面材21a,21bの間の目地23(縦目地)に沿って延びている。なお、目地23には、定形シール材としてのガスケット24が設けられ、目地23を通じた雨水の入り込みが防止されている(図4参照)。
続いて、外壁部18に対する庇部15の取付構成について図1に加え図2に基づき説明する。なお、図2は、庇部15が外壁部18に取り付けられた取付構成を示す縦断面図である。
図1及び図2に示すように、庇部15は、庇部15を構成する庇本体25を備える。庇本体25は、外壁部18に対して屋外側に張り出した状態で設けられ、後述するブラケット40を介して外壁部18に取り付けられている。庇本体25は、外壁部18側に開口した中空状に形成され、例えばアルミ製となっている。庇本体25は、庇本体25の上面を形成する上板部26と、庇本体25の各側面を形成する一対の側板部27と、庇本体25の下面を形成する下板部28と、庇本体25の前面(先端面)を形成する前板部29とを有している。
上板部26は、基端側(外壁部18側)が水平板状の水平部となっているとともに、水平部よりも先端側(反外壁部18側)が先端に向けて緩やかに下方傾斜した傾斜板状に形成されている。各側板部27は、上板部26の幅方向の両端部から下方に延びており、下板部28の幅方向の両端部にそれぞれ接続されている。この場合、上板部26及び各側板部27がそれぞれ外板部に相当する。また、庇本体25の内側には、各板部26~29により囲まれた内側空間31が形成されている。
各側板部27及び前板部29はそれぞれ下端側が庇本体25の内側に凹んだ段差状をなしている。これにより、各側板部27及び前板部29において、段差部分27a,29aよりも下側の部分は段差部分27a,29aよりも上側の部分より内側空間31側に位置している。この段差部分27a,29aにより、各板部27,29を伝って流下する雨水等の水が水切りされるようになっている。
庇本体25と外壁部18との境界部は不定形シール材としてのシーリング材37によりシールされている。シーリング材37は、例えばシリコンシーラからなる。シーリング材37は、庇本体25の上板部26と外壁部18との境界部に沿って設けられているとともに、庇本体25の各側板部27と外壁部18との境界部に沿って設けられている。これにより、庇本体25と外壁部18との間を通じて雨水等の水が入り込むことが防止されている。
庇本体25の上板部26及び下板部28には各裏面に補強用の合板33が取り付けられている。また、下板部28には、庇部15の下方を照らすダウンライト34が取り付けられている。下板部28には、ダウンライト34を取り付けるための取付孔35が形成され、その取付孔35を通じてダウンライト34が内側空間31に入り込んだ状態で取り付けられている。
外壁部18には、庇本体25を取り付けるためのブラケット40が固定されている。ブラケット40は、庇取付部材に相当するものである。以下、ブラケット40に関する構成について図2に加え、図3~図5を用いながら説明する。図3は、庇本体25がブラケット40を介して外壁部18に取り付けられた取付構成を拡大して示す縦断面図である。なお、図3では、庇本体25における図示手前側の側板部27を取り外した状態でブラケット40を側面視している(この点は、先述の図2も同様)。図4は、庇本体25がブラケット40を介して外壁部18に取り付けられた取付構成を拡大して示す横断面図である。なお、図4では、庇本体25よりも上方から見た状態を示している。また、図5は、ブラケット40の構成を示す斜視図である。
図2~図5に示すように、ブラケット40は、その一部が庇本体25の内側空間31に入り込んでおり、その状態でブラケット40に庇本体25の基端側が取り付けられている。ブラケット40は、金属製の板材が曲げ加工されることにより形成され、詳しくは一の板材が曲げ加工されることにより形成されている。ブラケット40は、庇本体25の内部に設けられ庇本体25が取り付けられた庇取付部41と、庇取付部41から延出し外壁部18に固定された複数の延出部42~44とを有する。庇本体25が庇取付部41に取り付けられた状態において、庇本体25と外壁部18とは所定の隙間を隔てて離間している。これにより、庇本体25の上板部26と外壁部18との間には所定の隙間48が存在し、側板部27と外壁部18との間には所定の隙間49が存在している。
庇取付部41は、庇本体25の上板部26と各側板部27とに跨って設けられ、全体としてコ字状に形成されている。庇取付部41は、上板部26が取り付けられる上板取付板部45と、各側板部27が取り付けられる一対の側板取付板部46とを有している。上板取付板部45は、上板部26の裏面に重ねられ、その状態で上板部26が上板取付板部45にリベット等により固定されている。また、上板取付板部45は、上板部26の幅方向に延びており、換言すると上板部26と外壁部18との境界部に沿って延びている。
一対の側板取付板部46は、上板取付板部45の両端部からそれぞれ下方に延びている。側板取付板部46は、側板部27の裏面に重ねられ、その状態で側板部27が側板取付板部46にリベット等により固定されている。また、側板取付板部46は、側板部27と外壁部18との境界部に沿って延びており、その下端部が側板部27の段差部分27aよりも上方に位置している。
続いて、複数の延出部42~44について説明する。本実施形態では、これらの延出部42~44を用いて、上述したシーリング材37を充填するためのシール用溝部が形成されるようになっている。そこで、以下では、かかる延出部42~44に関する構成について図3~図5に加え、図6及び図7を用いながら詳しく説明する。なお、図6は、シール用溝部にシーリング材37が充填された状態を示す縦断面図であり、図7は、シール用溝部にシーリング材37が充填された状態を示す横断面図である。
図3~図5に示すように、複数(具体的には3つ)の延出部42~44は、上板取付板部45から延出する上側の延出部42と、各側板取付板部46からそれぞれ延出する左右一対の延出部43,44とを有している。これら各延出部42~44は、庇本体25よりも外壁部18側に設けられ、庇本体25と外壁部18とに跨るように配置されている。
上側の延出部42は、上板取付板部45の長手方向の略全域から延出しており、庇本体25の上板部26と外壁部18との境界部に沿って延びている。延出部42は、段曲げされることにより形成され、外壁部18に固定された壁固定部と、壁固定部と上板取付板部45との間の中間部とを有している。詳しくは、延出部42は、上板取付板部45の外壁部18側の端部から下方に(換言すると、上板取付板部45の裏面側に)延びる中間板部51と、中間板部51の下端部から外壁部18側に延びる中間板部52と、中間板部52の外壁部18側の端部から下方に延び外壁部18に固定された固定板部53とを有する。なお、中間板部51が第1板部に相当し、中間板部52が第2板部に相当し、固定板部53が第3板部に相当する。
中間板部51は外壁部18と離間対向しており、中間板部52は中間板部51における上板取付板部45側とは反対側の端部から外壁部18まで延びている。この場合、各中間板部51,52と外壁部18とにより、上方に開口された溝部55が形成されている。この溝部55は、庇本体25の上板部26と外壁部18との隙間48の奥側に向けて凹んだ凹状をなしている。溝部55は、上板部26と外壁部18との境界部に沿って延びており、詳しくは上記境界部の略全域に亘って延びている。
図6及び図7に示すように、溝部55は、シーリング材37を充填するためのシール用溝部55となっている。シール用溝部55には、その全域に亘ってシーリング材37が充填されている。これにより、庇本体25の上板部26と外壁部18との境界部がシーリング材37によりシールされている。なお、シール用溝部55が第1シール用溝部に相当する。また、この場合、各中間板部51,52により断面L字状の溝形成部56が構成されている。溝形成部56は、上板部26の外壁部18側の端部と外壁部18とに跨るように設けられている。なお、溝形成部56が第1溝形成部に相当する。
図3~図5に示すように、固定板部53は、中間板部52の外壁部18側の端部から中間板部51が延びている側とは反対側に向けて延びている。固定板部53は、外壁部18の壁面に重ねられ、外壁部18にビス57により固定されている。固定板部53には、ビス57を挿通するための孔部58が形成されている。孔部58は、固定板部53の長手方向に間隔をおいて複数設けられている。外壁面材21bの裏面側には、木製の板材からなる下地材59が設けられている。ビス57は、固定板部53の孔部58を通じて外壁面材21を貫通しており、その貫通状態で下地材59に打ち込まれている。
続いて、左右の各延出部43,44について説明する。各延出部43,44は、その形状が左右対称となっている。そのため、以下では、各延出部43,44の構成をまとめて説明する。また、各延出部43,44の各部についても同じ符号を付して説明する。
左右の各延出部43,44は、側板取付板部46の長手方向の略全域から延出しており、庇本体25の側板部27と外壁部18との境界部に沿って延びている。各延出部43,44は、段曲げされることにより形成され、外壁部18に固定された壁固定部と、壁固定部と側板取付板部46との間の中間部とを有している。詳しくは、各延出部43,44は、側板取付板部46の外壁部18側の端部から互いに接近する側に(換言すると、側板取付板部46の裏面側に)延びる中間板部61と、中間板部61の上記接近側の端部から外壁部18側に延びる中間板部62と、中間板部62の外壁部18側の端部から互いに接近する側に延び外壁部18に固定された固定板部63とをそれぞれ有する。なお、中間板部61が第4板部に相当し、中間板部62が第5板部に相当し、固定板部63が第6板部に相当する。
中間板部61は外壁部18と離間対向しており、中間板部62は中間板部61における側板取付板部46側とは反対側の端部から外壁部18まで延びている。この場合、各中間板部61,62と外壁部18とにより、側方に開口された溝部65が形成されている。この溝部65は、庇本体25の側板部27と外壁部18との隙間49の奥側に向けて凹んだ凹状をなしており、側板部27と外壁部18との境界部に沿って延びている。
各中間板部61,62は、側板取付板部46の下端部よりも下方に延出した延出部分61a,62aを有している。延出部分61a,62aは、側板部27の段差部分27aよりも下方に延びており、その下端部が庇本体25の側板部27の下端部(ひいては庇本体25の下端部)と略同じ高さ位置に位置している。これにより、上記の溝部65は、側板部27と外壁部18との境界部の略全域に亘って延びている。また、溝部65は、その上端部において溝部55(シール用溝部55)と連続している。
図6及び図7に示すように、溝部65は、シーリング材37を充填するためのシール用溝部65となっている。シール用溝部65には、その全域に亘ってシーリング材37が充填されている。これにより、庇本体25の側板部27と外壁部18との境界部がシーリング材37によりシールされている。また、シーリング材37は、シール用溝部55と各シール用溝部65とに連続して充填されている。なお、シール用溝部65が第2シール用溝部に相当する。また、この場合、各中間板部61,62により断面L字状の溝形成部66が構成されている。溝形成部66は、側板部27の外壁部18側の端部と外壁部18とに跨るように設けられている。なお、溝形成部66が第2溝形成部に相当する。
固定板部63は、中間板部62の外壁部18側の端部から中間板部61が延びている側とは反対側に向けて延びている。固定板部63は、外壁部18の壁面に重ねられ、外壁部18にビス57により固定されている。固定板部53には、ビス57を挿通するための孔部58が形成されている。ビス57は、固定板部53の孔部58を通じて外壁面材21を貫通しており、その貫通状態で下地材59に打ち込まれている。
上述したように、ブラケット40の各延出部42~44は、取付板部45,46から延出して外壁部18まで延びている。上側の延出部42と、左右の延出部43,44とは互いに隣接しており、各々の境界部68が外壁部18側から見て各取付板部45,46の角部から斜め下方に直線状に延びている。この境界部68において延出部42と延出部43,44とは互いに分離されている。また、延出部42と延出部43,44とは分離されているものの、互いに近接又は当接した状態となっている。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
庇本体25がブラケット40に取り付けられた状態において、庇本体25の上板部26と外壁部18との間には所定の隙間48が生じている。ブラケット40は、上板部26と外壁部18との境界部に沿って延びる溝形成部56を有している。溝形成部56は、外壁部18とともに上記隙間48の奥側に凹んだ溝部55を形成するように上板部26と外壁部18とに跨るように設けられている。そして、上記の溝部55がシーリング材37が充填されるシール用溝部55となっている。この場合、シール用溝部55にシーリング材37を充填することにより、上板部26と外壁部18との境界部をシールすることができる。
また、これと同様に、ブラケット40は、庇本体25の側板部27と外壁部18との境界部に沿って延びる溝形成部66を有している。溝形成部66は外壁部18とともにシーリング材37が充填されるシール用溝部65を形成している。この場合、シール用溝部65にシーリング材37を充填することにより、側板部27と外壁部18との境界部をシールすることができる。
よって、以上より、三角シールによりシールする場合と比べ、シール切れを生じにくくすることができる。これにより、防水性能を確実に確保することができる。
ブラケット40は、庇本体25の上板部26と外壁部18との境界部に沿って延びる溝形成部56と、側板部27と外壁部18との境界部に沿って延びる溝形成部66とを有している。溝形成部56と外壁部18とにより形成されるシール用溝部55と、溝形成部66と外壁部18とにより形成されるシール用溝部65とは互いに連続するように設けられている。この場合、それら各シール用溝部55,65に連続してシーリング材37を充填することができる。そのため、防水性能をより確実に確保することができる。
溝形成部56が上板部26の表面より突出していないため、シーリング材37がシール用溝部55に充填されることにより溝形成部56がほぼ隠れた状態となる。これにより、上板部26と外壁部18との取合部の見栄えを良好なものとすることができる。また、溝形成部66についても側板部27の段差部分27aよりも上側の部分については側板部27の表面より突出していないため、側板部27と外壁部18との取合部の見栄えを良好なものとすることができる。
ブラケット40において、庇本体25の上板部26が取り付けられる上板取付板部45は上板部26と外壁部18との境界部に沿って延びるように形成されることが考えられる。そこで、上記の実施形態では、ブラケット40を、上板取付板部45から延びる中間板部51,52及び固定板部53を有して構成し、各中間板部51,52により、上板部26と外壁部18との境界部に沿って延びる溝形成部56を構成している。この場合、ブラケット40において、上板取付板部45と、外壁部18に固定される固定板部53との間の中間部に曲げを追加するだけで、比較的簡単に溝形成部56を形成することができる。
また、これと同様に、ブラケット40の側板取付板部46が側板部27と外壁部18との境界部に沿って延びていることから、ブラケット40を、側板取付板部46から延びる中間板部61,62及び固定板部63を有して構成し、各中間板部61,62により、側板部27と外壁部18との境界部に沿って延びる溝形成部66を構成している。この場合、ブラケット40において、側板取付板部46と、外壁部18に固定される固定板部63との間の中間部に曲げを追加するだけで、比較的簡単に溝形成部66を形成することができる。
庇本体25の側板部27の下端側が庇本体25の内側に凹んだ段差状をなしている構成にあって、ブラケット40の溝形成部66を側板部27よりも外壁部18側に設けるとともに、側板部27の段差部分27aよりも下方に延出させている。そして、溝形成部66の下端部を側板部27の下端部と略同じ高さ位置に位置させている。これにより、側板部27の下端側が段差状をなす構成にあっても、シール用溝部65を側板部27の下端部まで連続して形成することができる。そのため、側板部27の下端位置までシーリング材37を連続して充填することができる。
また、溝形成部66の下端部が側板部27の下端部と略同じ高さ位置に位置していることで、庇本体25を取り付ける際の位置出しを容易にすることができる。
庇本体25の側板部27(ひいては外板部)と外壁部18との境界部が隣接する外壁面材21a,21bの目地23に沿って延びている場合、側板部27と外壁部18との境界部を三角シールによりシール処理すると、シール部分が目地23に沿って設けられるガスケット24に被さってしまうおそれがある。その場合、三角シールのシール切れがより生じ易くなると考えられる。その点、上記の実施形態では、こうした構成に、シール用溝部55にシーリング材37を充填する上述のシール構造を適用しているため、かかる構成にあっても、シール切れを生じにくくすることができる。
庇本体25を取り付けるためのブラケット40に、シール用溝部55,65を形成する溝形成部56,66を設けたため、庇本体25の構成に影響を与えることなく、また、部品点数の増加を伴うことなく、防水性能の向上を図ることができる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
・上記実施形態では、ブラケット40が、第1溝形成部としての溝形成部56と、第2溝形成部としての溝形成部66とを有していたが、ブラケットが、第1溝形成部及び第2溝形成部のうちいずれか一方のみ有する構成としてもよい。例えば、ブラケットとして、庇本体25に取り付けられる上板取付板部45及び側板取付板部46のうち、上板取付板部45のみ有するものが想定されるが、そのようなブラケットにおいては、上板部26と外壁部18との境界部に沿って延びる第1溝形成部のみ有する構成とすることが考えられる。
・上記実施形態では、溝形成部66(各中間板部51,52)を側板取付板部46よりも下方に延出させたが、側板取付板部46よりも下方に延出させなくてもよい。この場合、溝形成部66よりも下方については、別途、断面L字状の溝形成部材を設けるようにしてもよい。例えば、溝形成部材を、その上端部において溝形成部66と連結し、それにより、溝形成部66と溝形成部材とに跨る連続した溝部を外壁部18とともに形成してもよい。
・上記実施形態では、ブラケット40を、一の板材を曲げ加工することにより形成したが、ブラケットを、複数の板材を溶接等により接合することで形成してもよい。
・上記実施形態では、出入口11の上方に設けられる庇本体25に本発明の防水構造を適用したが、窓部の上方に設けられる庇本体等、その他の部位に設けられる庇本体に本発明の防水構造を適用してもよい。
10…建物、15…庇部、18…外壁部、21…外壁面材、23…目地、25…庇本体、26…外板部としての上板部、27…外板部としての側板部、37…不定形シール材としてのシーリング材、40…庇取付部材としてのブラケット、45…上板取付板部、46…側板取付板部、48…隙間、49…隙間、51…第1板部としての中間板部、52…第2板部としての中間板部、53…第3板部としての固定板部、55…第1シール用溝部としてのシール用溝部、56…第1溝形成部としての溝形成部、61…第1板部としての中間板部、62…第2板部としての中間板部、63…第3板部としての固定板部、65…第2シール用溝部としてのシール用溝部、66…第2溝形成部としての溝形成部。
Claims (7)
- 外壁部に固定された庇取付部材と、
前記外壁部に対して屋外側に張り出して設けられるとともに、前記外壁部側に開口する中空状に形成された庇本体と、を備え、
前記庇本体は、その内側に前記庇取付部材を入り込ませた状態で前記庇取付部材に取り付けられている建物に適用され、
前記庇本体は、前記庇本体の上面を形成する上板部と、前記庇本体の側面を形成する側板部とをそれぞれ外板部として有しており、
前記外板部と前記外壁部との境界部が不定形シール材によりシールされている建物の防水構造であって、
前記庇取付部材は、前記外板部と前記外壁部との間に所定の隙間が生じるように前記庇本体を取り付けるものであり、
前記庇取付部材は、前記外板部と前記外壁部との境界部に沿って延び、前記外壁部とともに前記隙間の奥側に凹んだ溝部を形成するように前記外板部と前記外壁部とに跨るように設けられた溝形成部を有しており、
前記溝形成部と前記外壁部とにより形成される前記溝部は、前記不定形シール材が充填されるシール用溝部となっている、建物の防水構造。 - 前記庇取付部材は、前記溝形成部として、
前記上板部と前記外壁部との境界部に沿って延びる第1溝形成部と、
前記側板部と前記外壁部との境界部に沿って延びる第2溝形成部とを有しており、
前記第1溝形成部と前記外壁部とにより形成される前記シール用溝部と、前記第2溝形成部と前記外壁部とにより形成される前記シール用溝部とは互いに連続するように設けられている、請求項1に記載の建物の防水構造。 - 前記溝形成部は、前記外板部の表面より突出しないように設けられている、請求項1又は2に記載の建物の防水構造。
- 前記庇取付部材は、板材により形成されているとともに、前記上板部の裏面に重ねられ前記上板部が取り付けられた上板取付板部を有しており、
前記上板取付板部は、前記上板部と前記外壁部との境界部に沿って延びており、
前記庇取付部材は、さらに、前記上板取付板部の前記外壁部側の端部から前記上板取付板部の裏面側に延びる第1板部と、前記第1板部における前記上板取付板部とは反対側の端部から前記外壁部へと延びる第2板部と、前記第2板部の前記外壁部側の端部から前記第1板部が延びている側とは反対側に向けて延び前記外壁部に固定された第3板部とを有しており、
前記第1板部と前記第2板部とにより、前記上板部と前記外壁部との境界部に沿って延びる前記溝形成部としての第1溝形成部が構成され、
前記第1板部と前記第2板部と前記外壁部とにより前記シール用溝部としての第1シール用溝部が形成されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の建物の防水構造。 - 前記庇取付部材は、前記側板部の裏面に重ねられ前記側板部が取り付けられた側板取付板部を有しており、
前記側板取付板部は、前記側板部と前記外壁部との境界部に沿って延びており、
前記庇取付部材は、さらに、前記側板取付板部の前記外壁部側の端部から前記側板取付板部の裏面側に延びる第4板部と、前記第4板部における前記側板取付板部とは反対側の端部から前記外壁部へと延びる第5板部と、前記第5板部の前記外壁部側の端部から前記第4板部が延びている側とは反対側に向けて延び前記外壁部に固定された第6板部とを有しており、
前記第4板部と前記第5板部とにより、前記側板部と前記外壁部との境界部に沿って延びる前記溝形成部としての第2溝形成部が構成され、
前記第4板部と前記第5板部と前記外壁部とにより前記シール用溝部としての第2シール用溝部が形成されている、請求項4に記載の建物の防水構造。 - 前記一対の側板部は、下端側が前記庇本体の内側に凹んだ段差状をなしており、
前記側板取付板部は、その下端部が前記段差の生じた段差部分よりも上方に位置しており、
前記第2溝形成部は、前記側板部よりも前記外壁部側に設けられているとともに、前記段差部分よりも下方に延出して下端部が前記側板部の下端部と略同じ高さ位置に位置している、請求項5に記載の建物の防水構造。 - 前記外壁部は、並べて設けられた複数の外壁面材を有し、
前記庇本体の前記外板部と前記外壁部との境界部が、隣接する前記外壁面材の間の目地に沿って延びている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の建物の防水構造。
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JP2021030153A JP2022131288A (ja) | 2021-02-26 | 2021-02-26 | 建物の防水構造 |
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JP2021030153A Pending JP2022131288A (ja) | 2021-02-26 | 2021-02-26 | 建物の防水構造 |
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2021
- 2021-02-26 JP JP2021030153A patent/JP2022131288A/ja active Pending
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