JP7171012B2 - 建物外壁の構築方法及び建物外壁の接合具 - Google Patents
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Description
本発明はこのような点に基づいてなされたもので、その目的とするところはサイディングボードの切断、取り付け等の施工が容易で工期の大幅な短縮を図ることができると共に、サイディングボードの高い切断加工精度によって施工後の外観品質に優れる建物の外壁工事が可能な建物外壁の構築方法及び建物外壁の接合具を提供することにある。
建築構造躯体に対して、出隅用接合具、入隅用接合具、壁面用接合具及び窓枠用接合具を必要な数、使用して建物の南面、北面、東面及び西面の所定の位置に設置する接合具設置工程と、
設置した接合具間の間隔を所定の測定基準に従って測定する測定工程と、
測定した測定値に基づいて建物の南面、北面、東面及び西面ごとのサイディングボードの割付け図を作成する割付け図作成工程と、
作成した割付け図に基づいてサイディングボードの原材に対する歩留まりの良い配置と切断位置を示したパーツ図を作成するパーツ図作成工程と、
作成したパーツ図に基づいてサイディングボードの原材を切断して各パーツを製作するサイディングボード切断工程と、
切断した各パーツを上記割付け図に基づいて建物の南面、北面、東面及び西面の所定の位置に取り付けて建物外壁を構築するサイディングボード取付け工程と、を備え、
上記接合具設置工程で使用される出隅用接合具は、建物の出隅に配置されるコーナー部用下地材の外面側に取り付ける建物外壁の接合具であって、
上記コーナー部用下地材の第1側面に沿うように配置される第1翼板と、
上記コーナー部用下地材の第1側面と交差する第2側面に沿うように配置され、上記第1翼板と山折れ状態で連結されることで出隅用取付け座板を形成する第2翼板と、
上記第1翼板の中間部から外方に向けて突出する第1嵌合凸部と、
上記第2翼板の中間部から外方に向けて突出する第2嵌合凸部と、を備えており、
上記接合具設置工程で使用される入隅用接合具は、建物の入隅に配置されるコーナー部用下地材の外面側に取り付ける建物外壁の接合具であって、
上記コーナー部用下地材の第1側面から第1の方向に延びる第1補助下地材の外面に沿うように配置される第1翼板と、
上記コーナー部用下地材の第1側面と交差する第2側面から第2の方向に延びる第2補助下地材の外面に沿うように配置される第2翼板と、
上記第1翼板の基端部に連結され、上記第2の方向に延びる第1中折れ板と、
上記第1中折れ板の先端部に先端部が連結され、上記第1の方向に延びる基端部が上記第2翼板の基端部に連結される第2中折れ板と、を備えており、
上記接合具設置工程で使用される壁面用接合具は、建物の壁面の中間部に配置される平面部用下地材の外面側に取り付ける建物外壁の接合具であって、
上記平面部用下地材の外面に沿う第1の方向に延びるように配置される第1翼板と、
上記平面部用下地材の外面に沿う上記第1の方向と反対の第2の方向に延びるように配置される第2翼板と、
上記第1翼板の基端部と上記第2翼板の基端部に連結され、外方に向けて突出する嵌合凸部と、を備えており、
上記接合具設置工程で使用される窓枠用接合具は、建物の窓枠と壁面の境界部に配置される窓枠部用下地材の外面側に取り付ける建物外壁の接合具であって、
上記窓枠部用下地材の外面に沿う第1の方向または該第1の方向と反対の第2の方向に延びるように配置される翼板と、
上記翼板の基端部から外方に向けて突出する嵌合凸部と、を備えており、
上記測定工程では、設置した接合具間の間隔を測定する測定基準として、出隅用接合具、壁面用接合具または窓枠用接合具に備えられている各嵌合凸部と、入隅用接合具に備えられている第1中折れ板と第2中折れ板によって構成される入隅凸部と、を利用して、対向する各嵌合凸部間、各嵌合凸部と入隅凸部の間または隣接する入隅凸部間のそれぞれの内面間の距離を測定することによって設置した接合具間の水平方向の間隔を測定するようにしたことを特徴とするものである。
また、サイディングボードの切断作業を設備等の環境が整った他の場所で行うことが可能になるから、サイディングボードの切断加工精度の向上が期待できる。従って、現場でのサイディングボードの取付け作業を容易かつ正確に行えるようになるから、施工後の建物の外観品質も向上する。
また、上記接合具を建物の高さ方向に延びる長尺な板材によって構成した場合には、上記嵌合凸部や、連結された二枚の中折れ板の内方空間を利用してサイディングボードの目地部分等から浸入した雨水等を建物の外部に排出することが可能になる。
また、上記作成されたパーツ図に基づいてサイディングボードをプレカットすることが可能になるから、パーツの生産性と切断加工精度が向上する。また、上記作成された割付け図に基づいてプレカットされたすべてのパーツを一挙に建物の壁面に取り付けることが可能になるから建物外壁の構築工事の工期を大幅に短縮して建物外壁の外観品質も向上する。
また、上記接合具を建物の高さ方向に延びる長尺な板材によって構成した場合には、上記嵌合凸部や連結された二枚の中折れ板の内方空間を利用してサイディングボードの目地部分等から浸入した雨水等を建物の外部に排出することが可能になる。
また、最後に上記実施の形態とは部分的構成を異にする建物外壁の構築方法及び建物外壁の接合具の他の実施の形態の構成に言及する。
本発明による建物外壁の構築方法は、建物12の出隅15、入隅16、壁面17、窓枠18を含む外壁工事において外壁材としてサイディングボード2を使用する場合に適用できる建物外壁の構築方法であって、接合具設置工程P2と、測定工程P3と、割付け図作成工程P4と、パーツ図作成工程P5と、サイディングボード切断工程P6と、サイディングボード取付け工程P9と、を備えることによって基本的に構成されている。
また、本実施の形態では上記接合具設置工程P2の前に透湿防水シート貼設工程P1を備え、サイディングボード切断工程P6とサイディングボード取付け工程P9の間に固定金具設置工程P7と止水材設置工程P8との2工程を備えた、P1~P9の9工程によって建物外壁の構築方法が構成されている。以下、これらの工程の内容について説明する。
透湿防水シート貼設工程P1は、建築構造躯体7の南面、北面、東面、西面の壁面17S、17N、17E、17Wに透湿防水シート25を貼設する工程である。
即ち、本実施の形態では、建物12の出隅15では、図4に示すように当該出隅15に位置する通し柱等によって構成されるコーナー部用下地材20の外方の二面を覆うように透湿防水シート25を貼設する。
また、建物12の窓枠18では、図6に示すように当該窓枠18に位置する間柱等によって構成される窓枠部用下地材50の外方に臨んでいる一面を覆うように透湿防水シート25を貼設し、窓枠18部分の透湿防水シート25を切り抜いて使用する。
また、建物12の入隅16では、図7に示すように当該入隅16に位置する通し柱等によって構成されるコーナー部用下地材20から第1の方向Aに延びている第1補助下地材21と第2の方向Bに延びている第2補助下地材22の外面を覆うように透湿防水シート25を貼設する。
具体的には、日本工業規格JISA6111で規定されている厚さ0.1~0.5mm程度のポリエチレン製の不織布シートを透湿防水シート25として適用することが可能である。
接合具設置工程P2は、建築構造躯体7に対して出隅用接合具1A、入隅用接合具1B、壁面用接合具1C及び窓枠用接合具1Dを必要な数、使用して建物12の南面17S、北面17N、東面17E、及び西面17Wの所定の位置に設置する工程である。
即ち、上記貼設した透湿防水シート25の外面に補助躯体8を取り付け、補助躯体8の外面に上記出隅用接合具1A、入隅用接合具1B、壁面用接合具1C及び窓枠用接合具1Dを配置してこれらの取付け座板10A、10B、10C、10Dを、ビス19等を使用して取り付ける。
測定工程P3は、設置した接合具1A、1B、1C,1D間の間隔Sを所定の測定基準に従って測定する工程である。
具体的にはメジャー等を使用して隣接する接合具1A、1B、1C、1D間の水平方向Xの間隔Sと、窓枠18の窓幅C及び窓高さDと、窓の高さ基準位置Oからの窓枠18の高さHを建物12の南面17S、北面17N、東面17E及び西面17Wのすべてについて測定し記録する。尚、測定基準については別に項を設けて後に具体的に説明する。
割付け図作成工程P4は、測定した測定値に基づいて建物12に南面17S、北面17N、東面17E及び西面17Wごとのサイディングボードの割付け図60を作成する工程である。
尚、割付け図60の具体的な作成過程については別に項を設けて後に具体的に説明する。
パーツ図作成工程P5は、作成した割付け図60に基づいてサイディングボードの原材2Aに対する歩留まりの良い配置と切断位置を示したパーツ図70を作成する工程である。
尚、パーツ図70の具体的な作成過程については別に項を設けて後に具体的に説明する。
サイディングボード切断工程P6は、作成したパーツ図70に基づいてサイディングボード2の原材2Aを切断して各パーツ71を製作する工程である。
サイディングボード切断工程P6は施工現場において行うことも可能であるが、設備が整った工場等において、まとめてサイディングボード2をプレカットすることで実行されることが好ましい。また、プレカットに際しては、NCカッター等を使用してもよいし、ハンドカッター等を使用して作業者が手作業で実行することも可能である。尚、サイディングボード2には平面部用サイディングボード2Fとコーナー部用サイディングボード2Cがあり、本工程で切断するサイディングボード2は主に平面部用サイディングボード2Fである。
固定金具設置工程P7は、サイディングボード2を建物12の壁面17に固定するための固定金具9を取り付ける工程である。
具体的には、中間部材である補助躯体8に対して直接、あるいは上記各接合具1A、1B、1C、1Dのそれぞれの取付け座板10A、10B、10C、10Dと共締めする態様でビス19等を使用して固定金具9を補助躯体8に取り付ける。
止水材設置工程P8は、上記各接合具1A、1B、1C、1Dの嵌合凸部5や入隅凸部6をくるむように止水材23を宛がって被覆する工程である。
止水材23は適用する嵌合凸部5や入隅凸部6の外形形状に合わせて適宜折り曲げた状態で設置する。または、これらの周囲にできた空間27を埋めるために設置する。
また、合成樹脂系の弾性発泡体としては、株式会社東洋クオリティワン製造の機能性シーリングフォーム(ポリエーテル系ポリウレタンフォーム(PUF))である商品名「グリーンシール」が一例として適用可能である。
これにより、止水材23の存在によって雨水等の更に内方への浸入が規制される。また、止水材23の表面に到達した雨水等の一部は止水材23中に吸収され、該止水材23中を高さ方向Zの下方に向かって流れ、止水材23が設けられている隙間や空間27の下端に達し、該下端に設けられている図2に示す排水口33から外部に排出される。
サイディングボード取付け工程P9は、切断したサイディングボード2の各パーツ71を上記割付け図60に基づいて建物12の南面17S、北面17N、東面17E及び西面17Wの所定の位置に取り付けて建物外壁13を構築する工程である。
本実施の形態では、上記サイディングボード切断工程P6によって使用するすべてのサイディングボード2が所定の大きさ、形状に切断されてパーツ71として準備されているから、これらすべてのパーツ71を施工現場に持ち込んで一挙に取り付けることが可能になっている。
(A)出隅用接合具とその接合構造(図4参照)
上記接合具設置工程で使用される出隅用接合具1Aは、図4に示すように建物12の出隅15に配置されるコーナー部用下地材20の外面側に取り付ける建物外壁の接合具であって、上記コーナー部用下地材20の第1側面20aに沿うように配置される第1翼板14aと、上記コーナー部用下地材20の第1側面20aと交差する第2側面20bに沿うように配置され、上記第1翼板14aと山折れ状態で連結されることで出隅用取付け座板10Aを形成する第2翼板14bと、上記第1翼板14aの中間部から外方に向けて突出する第1嵌合凸部5Aと、上記第2翼板14bの中間部から外方に向けて突出する第2嵌合凸部5Bと、を備えることによって一例として構成されている。
具体的には、一枚のガルバリウム鋼板(登録商標)を折り曲げて上記出隅用取付け座板10Aを平面視L字状に形成し、上記第1嵌合凸部5Aと第2嵌合凸部5Bを平面視コの字状に形成している。
これに伴い、上記第1目地3Aの位置に上記第1嵌合凸部5Aが臨むように位置し、上記第2目地3Bの位置に上記第2嵌合凸部5Bが臨むように位置するように設定されている。
そして、図4に示すようにサイディングボード2C、2F、2Fを設置した状態では、上記第1嵌合凸部5Aと第2嵌合凸部5Bの少なくともその一部が上記第1目地3Aと第2目地3Bの空間に入り込んだ状態になる。
上記接合具設置工程で使用される入隅用接合具1Bは、本発明による建物外壁の接合具であって、図7に示すように建物12の入隅16に配置されるコーナー部用下地材20の外面側に取り付ける建物外壁の接合具である。そして、入隅用接合具1Bは、上記コーナー部用下地材20の第1側面20aから第1の方向Aに延びる第1補助下地材21の外面に沿うように配置される第1翼板14aと、上記コーナー部用下地材20の第1側面20aと交差する第2側面20bから第2の方向Bに延びる第2補助下地材22の外面に沿うように配置される第2翼板14bと、上記第1翼板14aの基端部に連結され、上記第2の方向Bに延びる第1中折れ板28aと、上記第1中折れ板28aの先端部に先端部が連結され、上記第1の方向Aに延びる基端部が上記第2翼板14bの基端部に連結される第2中折れ板28bと、を備えることによって基本的に構成されている。
また、入隅用接合具1Bも上記出隅用接合具1Aと同様、一枚の板材を折り曲げることによって形成される建物12の高さ方向Zに延びる長尺な板材によって構成されている。具体的には、一枚のガルバリウム鋼板(登録商標)を折り曲げて第1の方向Aに延びる第1翼板14aと第2の方向Bに延びる第2翼板14bとからなる入隅用取付け座板10Bを形成し、該入隅用取付け座板10Bの中間部に平面視L字形の上記入隅凸部6を外方に突出させるように形成している。
そして、図7に示すようにサイディングボード2F、2Fを設置した状態では、上記入隅凸部6を構成している上記第1中折れ板28aまたは第2中折れ板28bの一部が上記目地3Cの空間に臨んだ状態になる。
上記接合具設置工程で使用される壁面用接合具1Cは、建物12の壁面17の中間部に配置される平面部用下地材40の外面側に取り付ける建物外壁の接合具であって、上記平面部用下地材40の外面に沿う第1の方向Aに延びるように配置される第1翼板14aと、上記平面部用下地材40の外面に沿う上記第1の方向Aと反対の第2の方向Bに延びるように配置される第2翼板14bと、上記第1翼板14aの基端部と上記第2翼板14bの基端部に連結され、外方に向けて突出する嵌合凸部5Cと、を備えることによって一例として構成されている。
具体的には、一枚のガルバリウム鋼板(登録商標)を折り曲げて上記同一平面上に二枚の翼板14a、14bが存する壁面用取付け座板10Cの中間部に、上記嵌合凸部5Cを平面視コの字状に形成している。
これに伴い、二枚の平面部用サイディングボード2F、2Fは目地3D分、間隔を空けて配置されており、上記目地3Dの位置に嵌合凸部5Cが臨むように壁面用接合具1Cが設けられている。
そして、図5に示すようにサイディングボード2F、2Fを設置した状態では、上記嵌合凸部5Cの少なくともその一部が上記目地3Dの空間に入り込んだ状態になる。
上記接合具設置工程で使用される窓枠用接合具1Dは、建物12の窓枠18と壁面17の境界部に配置される窓枠部用下地材50の外面側に取り付ける建物外壁の接合具であって、上記窓枠部用下地材50の外面に沿う第1の方向Aまたは該第1の方向Aと反対の第2の方向Bに延びるように配置される翼板14cと、該翼板14cの基端部から外方に向けて突出する嵌合凸部5Dと、を備えることによって一例として構成されている。
具体的には、一枚のガルバリウム鋼板(登録商標)を折り曲げて上記一枚の翼板14cのみによって構成される平面状の窓枠用取付け座板10Dを備えると共に、該窓枠用取付け座板10Dの窓枠18側の端部に平面視コの字状の嵌合凸部5Dを備えることによって構成されている。
また、このような窓枠用接合具1Dを備える建物外壁の接合構造11Dは、当該窓枠用接合具1Dに加えて上記窓枠18の左右に配置されるサイディングボード2F、2Fを固定する上述した固定金具9と、上記嵌合凸部5Dの外面を覆って、その周囲の隙間や空間27を埋める止水材23と、上記目地3Eを外部から埋めるために充填されるシーリング材29と、を備えることによって一例として構成されている。
そして、図6に示すようにサイディングボード2Fを設置した状態では、上記嵌合凸部5Dの少なくともその一部が上記目地3Eの空間に入り込んだ状態になる。
次に、上記測定工程P3で設置した接合具1A、1B、1C、1D間の間隔Sを測定する場合に使用される測定基準の内容を、出隅用接合具1A、入隅用接合具1B、壁面用接合具1Cまたは窓枠用接合具1D間の水平方向Xの間隔Sを測定する場合に使用される第1の測定基準と、傾斜屋根に接する最上部のサイディングボード2の高さ方向Zの寸法Tを測定する場合に使用される第2の測定基準と、窓枠18に掛かるサイディングボード2の水平方向Xの寸法Uと高さ方向Zの寸法Vを測定する場合に、使用される第3の測定基準の3つの測定基準に分けて説明する。
第1の測定基準は、出隅用接合具1A、入隅用接合具1B、壁面用接合具1Cまたは窓枠用接合具1D間における水平方向Xの間隔Sを測定する場合に使用される測定基準であって、この場合には出隅用接合具1Aに備えられている第1嵌合凸部5Aまたは第2嵌合凸部5Bと、入隅用接合具1Bに備えられている第1中折れ板28aと第2中折れ板28bによって構成される入隅凸部6と、壁面用接合具1Cに備えられている嵌合凸部5Cと、窓枠用接合具1Dに備えられている嵌合凸部5Dと、を利用して、対向する各嵌合凸部5間、各嵌合凸部5と入隅凸部6の間または隣接する入隅凸部6間のそれぞれの内面間の距離を測定するようにしている。
尚、測定に際しては例えばメジャー等を使用して人手によって、それぞれの水平方向Xの距離を測定する。この点については、以下述べる他の測定基準の事例においても同様である。因みに、図8(a)では、左右両端に出隅15を備える壁面17の中間部に高さ方向Zに延びる目地3が複数(図示の事例では2つ)存在する場合を示している。
また、図8(b)及び図9(a)、(b)に示すように隣接する入隅用接合具1Bと壁面用接合具1Cとの間の間隔S3を測定する場合は、入隅用接合具1Bの入隅凸部6を構成している第1中折れ板28aまたは第2中折れ板28bの内面と、該内面と対向する壁面用接合具1Cの嵌合凸部5Cの内面と、の間の距離を測定する。
また、図9(a)、(b)では、左右両端に入隅16に備える壁面17の中間部に高さ方向Zに延びる目地3が存在する場合を示しており、図9(a)では目地3が複数(図示の事例では2つ)存在する場合、図9(b)では目地3が1つのみ存在する場合をそれぞれ示している。
因みに、図8(c)では、左端に入隅16、右端に出隅15を備える壁面17の中間部に高さ方向Zに延びる目地3が存在していない場合を示している。
因みに、図9(c)では左右両端に入隅16を備える壁面17の中間部に高さ方向Zに延びる目地3が存在していない場合を示している。
因みに、この場合には左右両端に出隅15を備える壁面17の中間部に高さ方向Zに延びる目地3が存在していない状態になる。
第2の測定基準は、切妻屋根等の傾斜屋根30に接する最上部のサイディングボード2の高さ方向Zの寸法Tを測定する場合に使用される測定基準であって、この場合には傾斜屋根30の傾斜に合わせて切断されるサイディングボード2の最上点Qと、当該サイディングボード2の取付け基準位置Rとなる、直下のサイディングボード2の上端の位置との距離を測定して当該サイディングボード2の高さ方向Zの寸法Tとする。
第3の測定基準は、窓枠18に掛かるサイディングボード2の水平方向Xの寸法Uと高さ方向Zの寸法Vを測定する場合に使用される測定基準であって、この場合には窓幅Cと窓高さDを規定する窓寸法と、窓枠18の高さ方向Zの位置を規定する窓の高さ位置と、窓枠18の水平方向Xの位置を規定する、窓の水平位置と、を測定する。
具体的には窓寸法は、図11(a)に示すように窓枠18の左右の外面間の長さを測定することによって窓幅Cが求められ、窓枠18の上下の外面間の長さを測定することによって窓高さDが求められる。尚、図11(b)ではドア枠18Aが図示されており、この場合のドア寸法も同様に、ドア枠18Aの左右の外面間の長さを測定することによってドア幅C´が求められ、ドア枠18の上下の外面間の長さを測定することによってドア高さD´が求められる。
また、窓の水平位置は、図11(a)に示すように窓枠18の外方に位置する壁面用接合具1Cを基準とする場合には、当該壁面用接合具1Cの嵌合凸部5Cの内面と、該内面と対向する窓枠用接合具1Dの嵌合凸部5Dの内面と、の間の寸法U1を測定して窓の水平位置とする。
また、窓の水平位置は、図12(b)に示すように窓枠18の外方に位置する入隅用接合具1Bを基準とする場合には、当該入隅用接合具1Bの入隅凸部6を構成する第1中折れ板28aまたは第2中折れ板28bの内面と、該内面と対向する窓枠用接合具1Dの嵌合凸部5Dの内面と、の間の寸法U3を測定して窓の水平位置とする。
また、窓の水平位置は、図13に示すように複数の窓枠18が水平方向Xに並んでいる場合には、基準となる直前の窓枠18の窓枠用接合具1Dの嵌合凸部5Dの内面と、該内面と対向する隣接する当該窓枠18の窓枠用接合具1Dの嵌合凸部5Dの内面との間の寸法U5を測定して窓の水平位置とする。
そして、この場合の右端の窓枠18に取り付けられる右方の窓枠用接合具1Dと、その右方に位置する壁面用接合具1Cと、の水平方向Xの間隔Sを測定する場合は、上記第1の測定基準に従って行い、S7となる。
次に、上記測定工程P3で測定した測定値に基づいて実行される割付け図60とパーツ図70の作成過程について説明する。
即ち、上記割付け図作成工程P4で作成される割付け図60と、上記パーツ図作成工程P5で作成されるパーツ図70は、上記測定工程P3で測定した測定値を入力装置35に入力することで、制御装置37により自動的に生成されるように構成されている。以下、図14~図17に示す建物12を例にとって図17に示す該建物12の西面17Wの割付け図60とパーツ図70の作成過程について具体的に説明する。
図14~図18及び図3に示すように建物12の1階の南面17Sと東面17Eには、玄関41が設けられている部位に入隅16が現れている。また、建物12の2階の南面17S、東面17E、西面17Wには外方に張り出すベランダ43が設けられており、建物12の最上部には、図14及び図15に示すように切妻屋根によって構成される傾斜屋根30が設けられている。
例えば、左列1段目のパーツ71A-1の水平方向Xの長さは1805mmであるのに対して、左列8段目のパーツ71A-8の水平方向Xの長さは1809mmと4mm長くなっており、右列10段目のパーツ71B-10の水平方向Xの長さは1018mmであるのに対して、右列12段目のパーツ71B-12の水平方向Xの長さは1016mmと2mm短くなっている。
因みに、図20(a)~(e)では左列1段目~5段目のパーツ71A-1~パーツ71A-5をパーツ取りする場合の態様を示しており、このうち例えば図20(a)では、左列1段目のパーツ71A-1と右列10段目のパーツ71B-10とを一枚の原材2Aからパーツ取りする態様が図示されている。尚、パーツ71A-1とパーツ71B-10との間の寸法3mmは、サイディングボード2を切断する場合に生ずる切断刃による「切断しろ」である。
建物12の南面17S、北面17N及び東面17Eにおいても、上記西面17Wと同様に割付け図60とパーツ図70を作成し、上記サイディングボード切断工程P6とサイディングボード取付け工程P9を実行することによって、当該建物12全体の建物外壁13の構築が完了する。
また、設備が整った工場等においてサイディングボード2の切断を行うことができるから、サイディングボード2の切断加工精度が向上し、サイディングボード2の取付け作業が容易になって施工後の外観品質に優れる建物12の外壁工事が可能になる。
本発明の建物外壁の構築方法及び建物外壁の接合具1は、上述した実施の形態のものに限定されず、その説明の要旨内での変更が可能である。
例えば、シーリング材29の目地3への充填によって高い止水性が確保できる場合には、上記止水材設置工程P8を省略して止水材23を有しない建物外壁の接合構造11とすることも可能である。
また、サイディングボード2をシーリング材29無しで接合するシーリングレス工法を採用することも可能である。この場合には、サイディングボード2を接合する目地3の幅を小さくして、サイディングボード2の内面側に上記嵌合凸部5や入隅凸部6の少なくともその一部を収容する深さの受入れ凹部を形成するようにする。
この他、建物12の壁面17や出隅15または入隅16が湾曲していたり、90°以外の角度で交差している場合には、その形状に合わせて取付け座板10の形状を湾曲させたり、90°以外の角度で交差するように形成することが可能である。更に、測定工程P3ではメジャーを使用して建物外壁の接合具1間の間隔S等を測定する他、レーザー測定器等、他の測定手段を使用して測定することも可能である。
2 サイディングボード
2A 原材
2C コーナー部用サイディングボード
2F 平面部用サイディングボード
3 目地
5 嵌合凸部
6 入隅凸部
7 建築構造躯体
8 補助躯体(中間部材)
9 固定金具(中間部材)
10 取付け座板
11 建物外壁の接合構造
12 建物
13 建物外壁
14 翼板
15 出隅
16 入隅
17 壁面
18 窓枠
18A ドア枠
19 ビス
20 コーナー部用下地材
20a 第1側面
20b 第2側面
21 第1補助下地材
22 第2補助下地材
23 止水材
25 透湿防水シート
27 空間
28 中折れ板
29 シーリング材
30 傾斜屋根
33 排水口
35 入力装置
37 制御装置
40 平面部用下地材
41 玄関
43 ベランダ
45 簡易割付け図
50 窓枠部用下地材
60 割付け図
70 パーツ図
71 パーツ
A 第1の方向
B 第2の方向
C 窓幅
C´ ドア幅
D 窓高さ
D´ ドア高さ
O (窓の)高さ基準位置
H 高さ
X 水平方向
Z 高さ方向
S 間隔
T 寸法
U 寸法
V 寸法
Q 最上点
R 取付け基準位置
P1 透湿防水シート貼設工程
P2 接合具設置工程
P3 測定工程
P4 割付け図作成工程
P5 パーツ図作成工程
P6 サイディングボード切断工程
P7 固定金具設置工程
P8 止水材設置工程
P9 サイディングボード取付け工程
Claims (1)
- 建物の出隅、入隅、壁面、窓枠を含む外壁工事において、外壁材としてサイディングボードを使用する場合に適用できる建物外壁の構築方法であって、
建築構造躯体に対して、出隅用接合具、入隅用接合具、壁面用接合具及び窓枠用接合具を必要な数、使用して建物の南面、北面、東面及び西面の所定の位置に設置する接合具設置工程と、
設置した接合具間の間隔を所定の測定基準に従って測定する測定工程と、
測定した測定値に基づいて建物の南面、北面、東面及び西面ごとのサイディングボードの割付け図を作成する割付け図作成工程と、
作成した割付け図に基づいてサイディングボードの原材に対する歩留まりの良い配置と切断位置を示したパーツ図を作成するパーツ図作成工程と、
作成したパーツ図に基づいてサイディングボードの原材を切断して各パーツを製作するサイディングボード切断工程と、
切断した各パーツを上記割付け図に基づいて建物の南面、北面、東面及び西面の所定の位置に取り付けて建物外壁を構築するサイディングボード取付け工程と、を備え、
上記接合具設置工程で使用される出隅用接合具は、建物の出隅に配置されるコーナー部用下地材の外面側に取り付ける建物外壁の接合具であって、
上記コーナー部用下地材の第1側面に沿うように配置される第1翼板と、
上記コーナー部用下地材の第1側面と交差する第2側面に沿うように配置され、上記第1翼板と山折れ状態で連結されることで出隅用取付け座板を形成する第2翼板と、
上記第1翼板の中間部から外方に向けて突出する第1嵌合凸部と、
上記第2翼板の中間部から外方に向けて突出する第2嵌合凸部と、を備えており、
上記接合具設置工程で使用される入隅用接合具は、建物の入隅に配置されるコーナー部用下地材の外面側に取り付ける建物外壁の接合具であって、
上記コーナー部用下地材の第1側面から第1の方向に延びる第1補助下地材の外面に沿うように配置される第1翼板と、
上記コーナー部用下地材の第1側面と交差する第2側面から第2の方向に延びる第2補助下地材の外面に沿うように配置される第2翼板と、
上記第1翼板の基端部に連結され、上記第2の方向に延びる第1中折れ板と、
上記第1中折れ板の先端部に先端部が連結され、上記第1の方向に延びる基端部が上記第2翼板の基端部に連結される第2中折れ板と、を備えており、
上記接合具設置工程で使用される壁面用接合具は、建物の壁面の中間部に配置される平面部用下地材の外面側に取り付ける建物外壁の接合具であって、
上記平面部用下地材の外面に沿う第1の方向に延びるように配置される第1翼板と、
上記平面部用下地材の外面に沿う上記第1の方向と反対の第2の方向に延びるように配置される第2翼板と、
上記第1翼板の基端部と上記第2翼板の基端部に連結され、外方に向けて突出する嵌合凸部と、を備えており、
上記接合具設置工程で使用される窓枠用接合具は、建物の窓枠と壁面の境界部に配置される窓枠部用下地材の外面側に取り付ける建物外壁の接合具であって、
上記窓枠部用下地材の外面に沿う第1の方向または該第1の方向と反対の第2の方向に延びるように配置される翼板と、
上記翼板の基端部から外方に向けて突出する嵌合凸部と、を備えており、
上記測定工程では、設置した接合具間の間隔を測定する測定基準として、出隅用接合具、壁面用接合具または窓枠用接合具に備えられている各嵌合凸部と、入隅用接合具に備えられている第1中折れ板と第2中折れ板によって構成される入隅凸部と、を利用して、対向する各嵌合凸部間、各嵌合凸部と入隅凸部の間または隣接する入隅凸部間のそれぞれの内面間の距離を測定することによって設置した接合具間の水平方向の間隔を測定するようにしたことを特徴とする建物外壁の構築方法。
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