JP6749254B2 - 下水道設備の監視制御装置及び下水ポンプ場の運転制御方法 - Google Patents

下水道設備の監視制御装置及び下水ポンプ場の運転制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、下水道設備の監視制御装置及び下水ポンプ場の運転制御方法に係り、特に、雨天時に雨水が流入して下水流量が増加する合流式下水道などにおける、下水ポンプ場に設置されたポンプを好適に起動停止し得る下水道設備の監視制御装置及び下水ポンプ場の運転制御方法に関するものである。
国内外で広く導入されている下水道システムは、雨水への対応の観点で合流式下水道と分流式下水道に大別される。雨水排除ラインが下水集水ラインに繋がっているものを合流式、繋がっておらず別ラインで排除されるものを分流式と称している。前者の合流式は、日本国内の場合、下水道インフラ整備が先行して実施された大規模都市部を中心に導入されている。合流式下水道の特徴は、雨水が下水に混入してくるため、雨天時に下水処理場への流入下水量が大きく増加する点である。
こうした雨天時の流入下水量の増加に対処するために、下水処理場よりも上流側に中間施設として下水ポンプ場が設置されており、流入下水を円滑に下水処理場に送ると共に、流入下水の一部を下水処理場に流入させること無く、河川などの公共用水域に排除することが一般的に行われている。この下水ポンプ場でのポンプ制御などを適切に実施することによって、以下のような事象を回避する試みがなされている。すなわち、(1)下水処理区の浸水(内水氾濫)、(2)下水処理の不良、(3)簡易放流による公共用水域の水質汚濁、及び(4)下水ポンプ場の水没などの事象を回避又は緩和することがポンプ制御上の目標となっている。
下水処理区に降った雨水の排除(遮集水量)が十分でないと、マンホールなどから雨水が溢れ、内水氾濫を起こすことになる。また、下水処理場への送水(汚水処理量)が過剰になると、生物反応槽での処理時間が確保できずに処理不良となり、処理水質が悪化する。他方、内水氾濫や処理不良を避けるために公共用水域への未処理下水放流(簡易放流量)を増やしすぎると、公共用水域への汚濁負荷が増加する。また、流入下水量に比べてポンプ吐出量が十分でないと、ポンプ井の水位が上昇し、下水ポンプ場が水没することになる。
増加する流入下水量に対して、下水ポンプ場の施設能力が十分でない場合には、上記の(1)〜(4)の事象を回避できないケースも発生するが、下水ポンプ場の運用の工夫によって、可能な範囲で回避する工夫がなされている。
例えば、特許文献1では、下水管渠内の所定の箇所における水位計測値と予測値、及び、下水ポンプ場への流入下水量の予測結果に基づいて、下水管渠内の所定の箇所における水位が浸水危険レベルを超えぬようポンプの起動停止、及びポンプの吐出量を決定する方法が開示されている。この方法によれば、下水ポンプ場の施設能力の範囲内で、可能な限り下水処理区の浸水を回避することができるとされている。
特開2003−239372号公報
雨天時における合流式下水道においては、処理区から排出された汚水に加えて降雨由来の雨水が下水管渠に流入することから、処理区の浸水、下水処理の不良、簡易放流による水質汚濁、及び下水ポンプ場の水没などのリスクが増大する。
しかしながら、特許文献1の構成では、上述のようなリスクを回避するための運転制御の対象が、該当する下水ポンプ場のポンプ起動停止、およびポンプ吐出量のみであるため、実行可能な制御範囲は、設置されたポンプ性能の範囲内のみに限定されてしまう。換言すれば、運転制御の対象は、一つの下水ポンプ場のみに限られるため、リスク回避が困難なケースが生じ得る。
そこで、本発明は、下水ポンプ場のみならず、当該下水ポンプ場以外の関連施設とも連携して、より広範な制御範囲に拡張可能な下水道設備の監視制御装置及び下水ポンプ場の運転制御方法を提供する。
上記課題を解決するため、本発明に係る下水道設備の監視制御装置は、下水管渠に接続され、前記下水管渠から流入する下水を下水処理場及び/又は放流先へ送水する複数の下水ポンプ場を有する下水道設備の監視制御装置であって、前記監視制御装置は、前記複数の下水ポンプ場毎の水位に基づき、各下水ポンプ場に設置される少なくともポンプの動作、及び下水処理プロセスとしての活性汚泥処理を再現するポンプ場シミュレータと、前記ポンプ場シミュレータの情報を参照すると共に、制御対象となる一の下水ポンプ場及び前記一の下水ポンプ場と連携する下水処理場から放流先への汚濁負荷に基づく汚濁負荷リスク指標、及び同一の下水処理区内に設置される複数の下水管渠毎の水位に基づく前記下水処理区内の浸水リスク指標、並びに同一の下水処理区内に設置される複数の下水ポンプ場毎の水位に基づく前記下水ポンプ場の水没リスク指標を算出するリスク算出部と、前記汚濁負荷リスク指標、及び前記下水処理区内の浸水リスク指標、並びに前記下水ポンプ場の水没リスク指標が最小となる前記一の下水ポンプ場に設置されるポンプの吐出量を求めるポンプ吐出量算出部と、を有し、前記ポンプ吐出量算出部により求められたポンプの吐出量に基づき前記一の下水ポンプ場を制御することを特徴とする。
また、本発明に係る下水ポンプ場の運転制御方法は、下水管渠に接続され、前記下水管渠から流入する下水を下水処理場及び/又は放流先へ送水する複数の下水ポンプ場の運転制御方法であって、ポンプ場シミュレータにより、前記複数の下水ポンプ場毎の水位に基づき、各下水ポンプ場に設置されるポンプの動作、及び下水処理プロセスとしての活性汚泥処理を再現し、前記ポンプ場シミュレータの情報を参照すると共に、制御対象となる一の下水ポンプ場及び前記一の下水ポンプ場と連携する下水処理場から放流先への汚濁負荷に基づく汚濁負荷リスク指標、及び同一の下水処理区内に設置される複数の下水管渠毎の水位に基づく前記下水処理区内の浸水リスク指標、並びに同一の下水処理区内に設置される複数の下水ポンプ場毎の水位に基づく前記下水ポンプ場の水没リスク指標を算出し、前記汚濁負荷リスク指標、及び前記下水処理区内の浸水リスク指標、並びに前記下水ポンプ場の水没リスク指標が最小となる前記一の下水ポンプ場に設置されるポンプの吐出量を求め、求めたポンプの吐出量に基づき前記一の下水ポンプ場を制御することを特徴とする。
本発明によれば、下水ポンプ場のみならず、当該下水ポンプ場以外の関連施設とも連携して、より広範な制御範囲に拡張可能な下水道設備の監視制御装置及び下水ポンプ場の運転制御方法を提供することが可能となる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の一実施例に係る下水道設備と監視制御装置の全体概略構成図である。 図1に示す監視制御装置の機能ブロック図である。 図1に示す一の下水ポンプ場の概略構成図である。 下水ポンプ場の概要を説明する図である。 図2に示す監視制御装置を構成するリスク算出部の処理フローを説明する図である。 図2に示す監視制御装置を構成するポンプ吐出量算部の処理フローを説明する図である。 図2に示す監視制御装置を構成するポンプ制御部の処理フローを説明する図である。
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。
本実施例では、一例として、合流式下水道の下水処理区に設置された下水ポンプ場に対する雨天時のポンプ運転制御方法、及び、少なくとも下水ポンプ場及び下水処理場を含む下水道設備の監視制御装置について説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る下水道設備と監視制御装置の全体概略構成図である。図1に示すように、下水道設備は、下水ポンプ場2a、下水ポンプ場2b、下水ポンプ場2n、及び下水処理場3を備える。下水ポンプ場2aは、下水管渠4aから流入した下水を受け入れ、当該受け入れた下水のうち雨水を河川などの公共用水域である放流先7へ未処理水として放流管渠6aを介して放流すると共に、上記受け入れた下水のうち雨水を除く下水を下水処理場3へ流入管渠5aを介して送水する。同様に、下水ポンプ場2bは、下水管渠4bから流入した下水を受け入れ、当該受け入れた下水のうち雨水を河川などの公共用水域である放流先7へ未処理水として放流管渠6bを介して放流すると共に、上記受け入れた下水のうち雨水を除く下水を下水処理場3へ流入管渠5bを介して送水する。下水ポンプ場2nは、下水管渠4nから流入した下水を受け入れ、当該受け入れた下水のうち雨水を河川などの公共用水域である放流先7へ未処理水として放流管渠6nを介して放流すると共に、上記受け入れた下水のうち雨水を除く下水を下水処理場3へ流入管渠5nを介して送水する。
下水処理場3は、流入管渠5aを介して下水ポンプ場2aより送水される下水、流入管渠5bを介して下水ポンプ場2bより送水される下水、及び、流入管渠5nを介して下水ポンプ場2nより送水される下水に対し、生物処理槽(図示せず)による活性汚泥処理などの高度下水処理後の処理水を河川などの公共用水域である放流先7へ放流管渠6を介して放流する。図1では、これら複数の下水管渠4a,4b,4n、下水ポンプ場2a,2b,2n、流入管渠5a,5b,5n、及び放流管渠6,6a,6b,6nを下水処理区8とした場合を想定している。
また、下水ポンプ場2a、下水ポンプ場2b、下水ポンプ場2n、及び下水処理場3は、通信ネットワーク9を介して、下水処理場3から離間する遠隔地に設置される監視制御装置1と相互に通信可能に接続されている。なお、監視制御装置1を下水処理場3内に設置する構成としても良い。この場合、監視制御装置1は、信号線(有線か無線かを問わない)を介して、下水ポンプ場2a、下水ポンプ場2b、及び下水ポンプ場2nと相互に通信する。
(下水ポンプ場)
図3は図1に示す一の下水ポンプ場2aの概略構成図であり、図4は下水ポンプ場2aの概要を説明する図である。なお、他の下水ポンプ場2b及び下水ポンプ場2nも同様の構成を備えている。
図3に示すように、後述する監視制御装置1の制御対象である下水ポンプ場2aは、少なくとも、下水管渠4aから流入する下水を受け入れる雨水ポンプ井23、雨水ポンプ井23内の水位を計測するための水位計24、雨水ポンプ21、及び汚水ポンプ22を備える。水位計24により計測されたデータ、雨水ポンプ21、汚水ポンプ22の動作状況に関連したデータを含む計測値32は、通信ネットワーク9を介して監視制御装置1へ送信される。他方、後述する監視制御装置1より通信ネットワーク9を介して、雨水ポンプ21、汚水ポンプ22などへ制御信号33が入力される。
また、図4に示すように、下水ポンプ場2aは、下水管渠4aとの接続部側に設置される流入ゲート25、沈砂池26、及び沈砂池26の下流側(雨水ポンプ井23側)に設置され高さを変更可能な越流堰(図示せず)を有する。下水処理区8内で降雨が生ずると、下水管渠4aを通流する汚水に雨水が混入し、流入ゲート25を通過し下水(汚水と雨水を含む)が沈砂池26内に流入する。このとき、図示しない越流堰を超える下水は、雨水ポンプ井23に流入し、雨水ポンプ21により汲み出され、河川などの公共用水域である放流先7へ放流管渠6aを介して沈砂池26のみによる未処理水(簡易処理水:下水中の固形物(夾雑物)のみ除去)を放流する。換言すれば、雨水ポンプ21は、流入した下水のうち、下水処理場3で活性汚泥処理などの高度下水処理をせずに放流管渠6aを介してバイパスさせて、河川などの公共用水域に排除する水を吐出するポンプである。他方、汚水ポンプ22は、流入した下水のうち、下水処理場3で処理する水を吐出するためのポンプである。沈砂池26内の上澄み水は汚水ポンプ井(図示せず)に流入し、汚水ポンプ22により汲み出され、下水処理場3へ流入管渠5aを介して送水される。下水ポンプ場2aは、雨水ポンプ井23に設置された水位計24のデータや後述する各種データを用いて、雨水ポンプ21及び汚水ポンプ22それぞれの吐出量を適切に決定し、雨水を含んだ下水を処理する機能を有する施設である。なお、放流管渠6aに凝集槽を設け、凝集剤によりフロックを形成し当該凝集槽内にフロックを沈降させ、簡易処理水として凝集槽内の上澄み水を河川などの放流先7に放流管渠6aを介して放流するよう構成しても良い。
(監視制御装置)
図2は、図1に示す監視制御装置1の機能ブロック図である。図2に示すように、監視制御装置1は、ポンプ場シミュレータ10、計測値取得部11、下水処理区DB12、リスク算出部13、ポンプ吐出量算出部14、ポンプ制御部15、通信I/F16、及び入出力I/F17を備え、これらは相互に内部バス20を介して接続されている。また、表示部18及び入力部19は、入出力I/F17を介して内部バス20に接続されている。表示部18は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)又は有機ELディスプレイにて構成され、入力部19は、例えば、マウス及びキーボードにて構成される。
これら、ポンプ場シミュレータ10、計測値取得部11、リスク算出部13、ポンプ吐出量算出部14、及びポンプ制御部15は、例えば、図示しないCPU等のプロセッサ、各種プログラムを格納するROM、演算過程のデータを一時的に格納するRAM、外部記憶装置等の記憶装置にて実現されると共に、CPU等のプロセッサがROMに格納された各種プログラムを読み出し実行し、実行結果である演算結果をRAM又は外部記憶装置に格納する。
監視制御装置1は、下水処理区8で計測された降雨量、下水管渠4a,4b,4nへの下水の流入流量と水位などを含む外部計測値31、下水ポンプ場2a,2b,2nで計測された水位計24のデータや雨水ポンプ21、汚水ポンプ22の動作状況に関連したデータを含む計測値32に基づいて、後述する各種の演算処理を行い、制御信号33を出力することで、下水ポンプ場2a,2b,2n内の設備や機器を動作させる機能を有する。
ポンプ場シミュレータ10は、図4に示した下水ポンプ場2aの沈砂池26や雨水ポンプ井23などの施設構造物や、流入ゲート25や雨水ポンプ21、汚水ポンプ22などの装置の動作を再現する数理モデルを備えており、外部計測値31や計測値32などを入力として、下水ポンプ場2aの動作を再現することができる。ここでいう下水ポンプ場2aの動作とは、例えば、ある流入下水量に対して、雨水ポンプ21や汚水ポンプ22の吐出量を制御した時に、雨水ポンプ井23の水位がどう変化するか、また、これに伴い下水ポンプ場2aに接続する下水管渠4aの水位がどのように変化するかを指している。このようなシミュレーションを行うことで、ポンプ制御を行った際に下水ポンプ場2aの水没リスクや下水処理区8の浸水リスクがどう変化するかを評価し、適切な制御信号33を設定することが可能となる。なお、制御信号33は、内部バス20及び通信I/F16を介して通信ネットワーク9へ送信され、通信ネットワーク9を介して下水ポンプ場2aにて受信される。
また、ここで備える数理モデルは、例えば、雨水ポンプ井23に対しては、その構造物の寸法や配管の取り合いに関する情報が含まれており、水理公式によって流入流量の変化に対する雨水ポンプ井23内の水位の変化などを算定できるモデルとなっている。雨水ポンプ21や汚水ポンプ22に対するモデルは、揚程と吐出量との関係、ポンプ回転数と吐出量との関係、ポンプ回転数と消費電力との関係などを表現するモデルが用いられる。さらに、ポンプ場シミュレータ10の内部又は外部に、連携する下水処理場3の処理水質などを評価できる下水処理場シミュレータ(図示せず)を備えている。例えば、下水処理プロセスとして一般的な生物処理槽による活性汚泥処理を再現できる数理モデルとして、活性汚泥モデルを下水処理場シミュレータ(図示せず)に備える。なお、仮に、下水ポンプ場2aを監視制御装置1による制御対象とした場合、当該下水ポンプ場2aに関連する施設又は設備は、同一の下水処理区8内に設置される、下水ポンプ場2b、下水ポンプ場2n、及び下水処理場3となる。
下水処理区DB12には、上述したように下水処理区8で計測された降雨量、下水管渠4a,4b,4nへの下水の流入流量と水位などのデータのほか、下水処理区に降る雨量を予測するための気象レーダ(マイクロ波レーダ)のデータ、流入下水の水質計測値(懸濁物質、有機物、pHなど)のデータなども外部計測値31として必要に応じて保存されていることが望ましい。
計測値取得部11は、通信I/F16及び内部バス20を介して上述の外部計測値31及び計測値32を取得する。計測値取得部11は、取得した外部計測値31及び計測値32に対し、例えば、ノイズ除去、平滑化、或は正規化など処理を施し、内部バス20を介して、ポンプ場シミュレータ10、リスク算出部13、ポンプ吐出量算出部14へ転送すると共に下水処理区DB12へ格納する。
リスク算出部13は、内部バス20を介してポンプ場シミュレータ10の情報を参照し、運転制御の良否を判断するためのリスク指標を算出する。ここで算出するリスク指標は、下水処理区8の浸水、下水処理不良、汚濁負荷、下水ポンプ場の水没に関するリスクを定量的に表現したものである。リスク算出部13は、算出したリスク指標をポンプ吐出量算出部14へ内部バス20を介して転送する。
また、ポンプ吐出量算出部14は、内部バス20を介してリスク算出部13より転送されたリスク指標を最小化するような雨水ポンプ21と汚水ポンプ22のポンプ吐出量を算出する。ポンプ吐出量算出部14は、算出したリスク指標を最小化する雨水ポンプ21と汚水ポンプ22のポンプ吐出量を、内部バス20を介してポンプ制御部15へ転送する。
ポンプ制御部15は、内部バス20を介してポンプ吐出量算出部14より転送されたリスク指標を最小化する雨水ポンプ21と汚水ポンプ22のポンプ吐出量に対応したポンプの制御動作を決定し、制御信号33を下水ポンプ場2a,2b,2nへ、内部バス20、通信I/F16、及び通信ネットワーク9を介して送信し、下水ポンプ場2a,2b,2nを動作させる。
次に、監視制御装置1を構成する、リスク算出部13、ポンプ吐出量算出部14、及びポンプ制御部15の具体的な処理フローについて説明する。なお、以下では、監視制御装置1による制御対象が下水ポンプ場2aの場合を一例として説明する。
図5は、図2に示す監視制御装置1を構成するリスク算出部13の処理フローを説明する図である。
図5に示すように、ステップS101では、リスク算出部13が計測値読み込み工程を実行する。具体的には、リスク算出部13は、計測値取得部11により、通信I/F16及び内部バス20を介して取得された上述の下水ポンプ場2aに関する外部計測値31及び計測値32に対し、例えば、ノイズ除去、平滑化、或は正規化など処理を施されたデータを取得する。これにより、下水ポンプ場2aに関する外部計測値31及び計測値32は、次工程以降での演算に利用可能な状態となる。
ステップS102では、リスク算出部13がポンプ場シミュレータ10の出力読み込み工程を実行する。具体的には、リスク算出部13は、内部バス20を介してポンプ場シミュレータ10へアクセスし、ポンプ場シミュレータ10により算出された各種シミュレーション結果、例えば、あるポンプ制御の条件で算出された下水ポンプ場2a内の雨水ポンプ井30の水位や下水管渠4aの水位などのデータを読み込む。これらステップS101及びステップS102にて読み込むデータは、現況値またはシミュレーションによる将来の予測値を含む。なお、上述のステップS101及びステップS102では、制御対象である下水ポンプ場2a以外の関連施設として、同一の下水処理区8に設置される下水ポンプ場2b及び下水ポンプ場2nについても同様の処理を実行する。すなわち、リスク算出部13は、下水ポンプ場2bに関する外部計測値31及び計測値32に対し、例えば、ノイズ除去、平滑化、或は正規化など処理を施されたデータを取得し、あるポンプ制御の条件で算出された下水ポンプ場2b内の雨水ポンプ井30の水位や下水管渠4bの水位などのデータを読み込む。また、リスク算出部13は、下水ポンプ場2nに関する外部計測値31及び計測値32に対し、例えば、ノイズ除去、平滑化、或は正規化など処理を施されたデータを取得し、あるポンプ制御の条件で算出された下水ポンプ場2n内の雨水ポンプ井30の水位や下水管渠4nの水位などのデータを読み込む。
ステップS103では、リスク算出部13が下水処理区8(図1)の浸水リスク算出工程を実行する。下水処理区8の浸水は、下水処理区8内の流入下水量(事業場や家庭から排出される汚水量+降雨に由来する雨水量)に対して、下水管渠4aを経由して下水ポンプ場2aから排除される流量が十分でない場合に発生する。浸水リスクは、具体的には下水処理区8内の主要な下水管渠(合流幹線などとも称される)の水位、ここでは、下水管渠4aの水位に基づいて算出されるもので、例えば、予め設定した危険水位レベルに対する下水管渠4a水位の百分率割合(水位÷危険水位レベル×100)でリスク算出部13により算出される。予め設定した危険水位レベルに対する下水管渠4a水位の百分率割合に代えて、下水管渠4aの水位の上昇速度に基づいて下水処理区8内の浸水リスクを算出してもよい。また、下水処理区8全体での浸水リスクは、主要な下水管渠4a,4b,4nの水位の百分率割合の合計として算出してもよい。なお、ステップS103においても、制御対象である下水ポンプ場2a以外の関連施設として、同一の下水処理区8に設置される下水ポンプ場2b及び下水ポンプ場2nについても同様の処理を実行する。すなわち、リスク算出部13は、予め設定した危険水位レベルに対する下水管渠4b水位の百分率割合として浸水リスクを算出すると共に、予め設定した危険水位レベルに対する下水管渠4n水位の百分率割合として浸水リスクを算出する。
ステップS104では、リスク算出部13が下水ポンプ場2aの水没リスク算出工程を実行する。下水ポンプ場2aの水没は、下水管渠4aからの流入下水量に対して、ポンプ吐出量が十分でない場合に発生する。水没リスクは、具体的には図4に示した下水ポンプ場2aの沈砂池26と雨水ポンプ井23の水位に基づいて算出されるもので、浸水リスクの場合と同様に、例えば、予め設定した危険水位レベルに対して、沈砂池26と雨水ポンプ井23の水位の百分率割合でリスク算出部13により算出される。予め設定した危険水位レベルに対して、沈砂池26と雨水ポンプ井23の水位の百分率割合に代えて、下水ポンプ場2aの沈砂池26と雨水ポンプ井23の水位上昇速度に基づいて下水ポンプ場2aの水没リスクを算出しても良い。なお、ステップS104においても、制御対象である下水ポンプ場2a以外の関連施設として、同一の下水処理区8に設置される下水ポンプ場2b及び下水ポンプ場2nについても同様の処理を実行する。すなわち、リスク算出部13は、予め設定した危険水位レベルに対して、下水ポンプ場2bの沈砂池26と雨水ポンプ井23の水位の百分率割合で下水ポンプ場2bの水没リスクを算出すると共に、予め設定した危険水位レベルに対して、下水ポンプ場2nの沈砂池26と雨水ポンプ井23の水位の百分率割合で下水ポンプ場2nの水没リスクを算出する。
ステップS105では、リスク算出部13が汚濁負荷リスク算出工程を実行する。リスク算出部13は、下水ポンプ場2aと下水処理場3から河川などの公共用水域へ放流される汚濁負荷に関するリスクを定量的に算出する。対象となる汚濁負荷は、下水ポンプ場2aから直接放流(簡易放流などとも称される)による汚濁負荷と下水処理場3から放流される処理水由来の汚濁負荷との合計である。ここでの汚濁負荷の種類は、一般的には懸濁物質(SS;Suspended Solids)と有機物(BOD;Biological Oxygen Demand、又はCOD;Chemical Oxygen Demand)である。また、必要に応じて、大腸菌などの病原性微生物やウィルスなども汚濁負荷の項目とすることもできる。
下水ポンプ場2aからの直接放流(簡易放流)に由来する汚濁負荷リスクは、下水ポンプ場2aの沈砂池26内へ流入する流入下水の水質濃度と直接放流量との積でリスク算出部13により算出される。ポンプ制御の判断に必要な数時間先までの汚濁負荷リスクを算出する場合には、水質濃度の現況値を用いることができないため、ポンプ場シミュレータ10若しくは別の手法で予測した将来水質濃度を用いることになる。また、下水処理場3の放流に由来する汚濁負荷リスクも同様に、処理水の水質濃度と処理水量との積でリスク算出部13により算出される。ポンプ制御の良否判断のために、ある制御動作を想定した条件での汚濁負荷リスクの算出には、例えば、公知技術である活性汚泥法モデルを用いて、各種条件での推定した処理水質データを用いることもできる。ステップS105においても、制御対象である下水ポンプ場2a以外の関連施設として、同一の下水処理区8に設置される下水ポンプ場2b及び下水ポンプ場2nについても同様の処理を実行する。すなわち、リスク算出部13は、下水ポンプ場2bからの直接放流(簡易放流)に由来する汚濁負荷リスクを、下水ポンプ場2bの沈砂池26内へ流入する流入下水の水質濃度と直接放流量との積で算出すると共に、下水ポンプ場2nからの直接放流(簡易放流)に由来する汚濁負荷リスクを、下水ポンプ場2nの沈砂池26内へ流入する流入下水の水質濃度と直接放流量(簡易放流)との積で算出する。
ステップS106では、リスク算出部13が消費エネルギー算出工程を実行する。下水ポンプ場2aの現在の制御状況、もしくは想定した制御動作における消費エネルギー(エネルギーリスク)を算出する。具体的には、リスク算出部13は、内部バス20を介してポンプ場シミュレータ10にアクセスし、雨水ポンプ21、汚水ポンプ22、及び流入ゲート25や各種の補機類などの消費電力を算出する。また、これに加えて、下水ポンプ場aだけでなく、同一の下水処理区8に設置され、下水ポンプ場2aと連携する下水処理場3の消費電力を合わせて算出しても良い。なお、ステップS106においても、制御対象である下水ポンプ場2a以外の関連施設として、同一の下水処理区8に設置される下水ポンプ場2b及び下水ポンプ場2nについても同様の処理を実行する。すなわち、リスク算出部13は、内部バス20を介してポンプ場シミュレータ10にアクセスし、下水ポンプ場2bの雨水ポンプ21、汚水ポンプ22、及び流入ゲート25や各種の補機類などの消費電力を算出する。また、リスク算出部13は、内部バス20を介してポンプ場シミュレータ10にアクセスし、下水ポンプ場2nの雨水ポンプ21、汚水ポンプ22、及び流入ゲート25や各種の補機類などの消費電力を算出する。
ステップS107では、リスク算出部13が算出リスク出力工程を実行する。具体的には、リスク算出部13は、これまでの工程で算出したリスク指標と消費エネルギーをポンプ場シミュレータ10へ内部バス20を介して転送する。なお、本実施例では、上述のように、下水処理区8の浸水リスク、制御対象である下水ポンプ場2aの水没リスク及び下水処理区8に設置される下水ポンプ場2b及び下水ポンプ場2nの水没リスク、汚濁負荷リスクの全てを算出し出力する構成に代えて、例えば、汚濁負荷リスクのみを算出し出力する構成としても良く、制御対象である下水ポンプ場2aの水没リスク及び下水処理区8に設置される下水ポンプ場2b及び下水ポンプ場2nの水没リスクのみを出力する構成としても良い。さらには、これら水没リスクと汚濁負荷リスクを算出し出力する構成としても良い。また、予め設定した各リスク指標の重み係数を乗じた積和で一つのリスク指標として取り扱っても良い。
図6は、図2に示す監視制御装置1を構成するポンプ吐出量算出部14の処理フローを説明する図である。
6に示すように、ステップS201では、ポンプ吐出量算出部14が計測値読み込み工程を実行する。具体的には、ポンプ吐出量算出部14は、計測値取得部11により、通信I/F16及び内部バス20を介して取得された上述の下水ポンプ場2aに関する外部計測値31及び計測値32に対し、例えば、ノイズ除去、平滑化、或は正規化など処理を施されたデータを取得する。これにより、下水ポンプ場2aに関する外部計測値31及び計測値32は、次工程以降での演算に利用可能な状態となる。
ステップ202では、ポンプ吐出量算出部14がポンプ吐出量範囲設定工程を実行する。具体的には、下水ポンプ場2aに設置された雨水ポンプ21、汚水ポンプ22のそれぞれに対して、ポンプ吐出量算出部14は、内部バス20を介してポンプ場シミュレータ10へアクセスし、上述の数理モデルに格納されるポンプ仕様に基づいて、以降の工程で最適吐出量を探索する際の計算範囲を設定する。一般的には、それぞれ複数台のポンプが設置されているので、その各々の容量の総計で設定することができるが、ポンプ再起動に掛かる制約や保守上の理由で起動できないポンプがある場合には、そのポンプ分の容量を減ずる必要がある。
ステップS203では、ポンプ吐出量算出部14がポンプ吐出量データセット出力工程を実行する。具体的には、ポンプ吐出量算出部14は、上述のステップS202にて設定したポンプ吐出量の範囲を所定幅で分割したデータ(雨水ポンプ21の吐出量と汚水ポンプ22の吐出量の組合せデータ)のセットを作成し、ポンプ場シミュレータ10などが演算に利用可能な形態とし、内部バス20を介してポンプ場シミュレータ10などへ転送する。ポンプ吐出量算出部14より転送されたデータセットを条件として、ポンプ場シミュレータ10、及び必要に応じて下水処理場シミュレータでのシミュレーションが実行される。また、これらのシミュレーション結果を参照して、上述のようにリスク算出部13が各種リスク指標を算出する。
ステップS204では、ポンプ吐出量算出部14が算出リスクデータセット読み込み工程を実行する。具体的には、上述のリスク算出部13により算出されたリスクデータセットを、内部バス20を介して読み込む。この算出されたリスクデータセットには、上述のステップS203にて出力したポンプ吐出量データセットに対応したリスク指標の算出結果が含まれている。
ステップS205では、ポンプ吐出量算出部14が最適ポンプ吐出量判定工程を実行する。ポンプ吐出量算出部14は、リスクデータセットに含まれる算出結果のうち、最小のリスク指標に対応するポンプ吐出量データ、すなわち最小のリスクを実現できる最適なポンプ吐出量を判定して、抽出する。ここで、最適ポンプ吐出量判定工程についてさらに詳細に説明する。
監視制御装置1による制御対象である下水ポンプ場2aの運転制御においては、対象となる下水ポンプ場2aのみならず、図1に示したように、下水の吐出先となる下水処理場3、及び同一の下水処理区8に設置されている複数の下水ポンプ場群(下水ポンプ場2b,・・・2n)と連携した運転制御を行うことが重要となる。具体的には、下水ポンプ場2a,2b,・・・2nの下水管渠4a,4b,・・・4nを経由して排除される量、すなわちポンプ吐出量(以下、遮集水量と称する)を個別に設定するのではなく、それぞれの遮集水量を増減させた場合の下水処理区8全体での浸水リスクなどをポンプ場シミュレータ10で予測し、トータルリスクが最小となるような遮集水量の組合せで運転制御する。
或は、下水処理場3での汚水処理量を増減させた場合の放流管渠6からの汚濁負荷を、下水処理場シミュレータを用いて予測し、トータルリスクが最小となるような汚水処理量、すなわち各下水ポンプ場からのポンプ吐出量の総量を適宜変更しながら運転制御を行う。そのため、上述の図5に示したリスク算出部13による処理フローにおけるステップS103〜ステップS105にて算出される各リスク指標(下水処理区の浸水リスク、下水ポンプ場の水没リスク、汚濁負荷リスク)は、制御対象である下水ポンプ場2aのみならず、同一の下水処理区8に設置されている下水ポンプ場2b,・・・2n、及び制御対象である下水ポンプ場2aと連携する下水処理場3を考慮して算出する構成としている。
なお、ここでトータルリスクとは、例えば、浸水リスク、汚濁負荷リスク、および消費エネルギーのそれぞれに重み係数wi(i:リスクの種類)を掛けた値の線形和として。以下の式(1)で算出することができる。
トータルリスクR(t)=Σ〔wi×リスク{i,Q(t)}]・・・(1)
ポンプ吐出量算出部14は、上記式(1)に示すトータルリスクR(t)が最小となるポンプ吐出量を抽出する。
なお、重み係数wiは、各リスクを同等に取り扱う場合は、総て同じ値(例えば、1.0)とするが、任意に変更して設定することもできる。
ステップS206では、ポンプ吐出量算出部14が最適ポンプ吐出量出力工程を実行する。具体的には、ポンプ吐出量算出部14は、ステップS205にて抽出したトータルリスクを最小化する最適ポンプ吐出量を、内部バス20を介してポンプ場シミュレータ10へ転送する。なお、ポンプ吐出量算出部14は、基本的には後述するポンプ制御部15による制御周期ごとに実行するが、必要に応じて、監視制御装置1の使用者により入力部19を介して入力される指示によって実行することもできる。
図7は、図2に示す監視制御装置1を構成するポンプ制御部15の処理フローを説明する図である。
図7に示すように、ステップS301では、ポンプ制御部15が最適ポンプ吐出量読み込み工程510では、最適ポンプ吐出量読み込み工程を実行する。具体的には、ポンプ制御部15は、上述のステップS206にてポンプ吐出量算出部14より出力された最適ポンプ吐出量(雨水ポンプ21の吐出量と汚水ポンプ22の吐出量の組合せ)を、内部バス20を介して読み込み、以降の工程で利用可能な状態とする。
ステップS302では、ポンプ制御部15がポンプ割り当てルール読み込み工程を実行する。具体的には、ポンプ制御部15は、内部バス20を介してポンプ場シミュレータ10へアクセスし、複数あるポンプにどんな順序や規則で起動停止や吐出量を割り当てるかのルールをポンプ場シミュレータ10から読み込む。このルールは、例えば、各ポンプの起動停止履歴に基づいて、各ポンプの稼働率に偏りが出ないように起動するポンプや停止するポンプの決定方法を定義したものである。また、最適ポンプ吐出量となるような各ポンプへの吐出量の割り当てについても、例えば、容量の異なるポンプや固定速/可変速のポンプが混在する場合には、所定の吐出量までは可変速ポンプ起動からスタートし、所定吐出量を超えたところで固定速ポンプに切り替えるなどのルールも含む。また、停止直後のポンプは、所定の時間だけ起動対象から外すなどのルールを含めることもできる。
ステップS303では、ポンプ制御部15がポンプ起動停止・吐出量決定工程を実行する。具体的には、ポンプ制御部15は、上述のステップS303にて読み込んだルールに基づき、各ポンプ(各々複数台が設置された雨水ポンプ21と汚水ポンプ22)の起動停止、吐出量を決定し、内部バス20を介してポンプ場シミュレータ10へ転送する。ポンプ制御部15は、ここで出力されたポンプの起動停止と吐出量に関する制御信号33を、内部バス20、通信I/F16、及び通信I/F16を介して、制御対象である下水ポンプ場2aへ送信し、実際のポンプの制御動作が実行される。
上述した機能に加えて、監視制御装置1の使用者(下水ポンプ場2aの運転者)を支援する機能として、表示部18の表示画面上(図示せず)に運転状態や制御状態を視認可能に表示する構成とすることが望ましい。具体的には、リスク算出部13により算出されたリスク指標を、該当する下水処理区8のマップ内に表示する。または、下水ポンプ場2aのポンプなどの設備レイアウト図内に起動停止や吐出量の現況値或は数時間先までの先行制御の予測値などを表示する。これにより、現在の運転状態と制御状態を容易に且つ正確に把握し、必要な対策をとることが可能となる。
なお、本実施例では、制御対象である下水ポンプ場2aに関連する施設又は設備として、同一の下水処理区8内に設置される他の下水ポンプ場2a,2b,・・・2n、及び下水処理場3とする場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものでは無い。例えば、制御対象である下水ポンプ場が接続される下水管渠と同一の下水管渠に接続される他の下水ポンプ場を、制御対象である下水ポンプ場に関連する施設又は設備としても良い。
また、上述の式(1)に規定される重み係数wi(i:リスクの種類)を以下のように設定しても良い。同一の下水管渠に接続される複数の下水ポンプ場又は同一の下水処理区に設置される複数の下水ポンプ場及び下水処理場は、それぞれその設置場所が異なり、例えば、都市部或いは住宅地区を下水処理区とする下水処理場、比較的宅地の少ない田畑或いは山間部に比較的近い区域を下水処理区とする下水処理場等がある。都市部或いは住宅地区が下水処理区の場合においては、浸水リスクを回避することが必須となり、これに対し、比較的宅地の少ない田畑或いは山間部に比較的近い区域が下水処理区の場合においては、浸水リスクの回避優先度は低くなる。そのため、比較的宅地の少ない田畑或いは山間部に比較的近い区域が下水処理区の場合においては、下水ポンプ場からの直接放流(簡易放流)を多めに設定する、すなわち、浸水リスクに対する重み係数を低く設定しても良い。
以上のとおり、本実施例によれば、下水ポンプ場のみならず、当該下水ポンプ場以外の関連施設とも連携して、より広範な制御範囲に拡張可能な下水道設備の監視制御装置及び下水ポンプ場の運転制御方法を提供することが可能となる。
また、本実施例によれば、雨天時に下水処理区内に降った雨水が下水管渠に流入する合流式下水道において、従来は下水ポンプ場の水没などを回避するためのポンプ運転制御が行われてきた。本実施例では、これに加えて、その他の回避すべき事象のリスクも同時に考慮するだけでなく、他の下水ポンプ場や下水処理場と連携したポンプ運転制御を実現することにより、雨天時の下水流入量の増加に伴う下水処理区の浸水、下水処理場での処理水質悪化、簡易放流に伴う公共用水域への汚濁負荷増加を抑制することが可能となる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
1・・・監視制御装置
2a,2b,2n・・・下水ポンプ場
3・・・下水処理場
4a,4b,4n・・・下水管渠
5a,5b,5n・・・流入管渠
6,6a,6b,6n・・・放流管渠
7・・・放流先
8・・・下水処理区
9・・・通信ネットワーク
10・・・ポンプ場シミュレータ
11・・・計測値取得部
12・・・下水処理区DB
13・・・リスク算出部
14・・・ポンプ吐出量算出部
15・・・ポンプ制御部
16・・・通信I/F
17・・・入出力I/F
18・・・表示部
19・・・入力部
20・・・内部バス
21・・・雨水ポンプ
22・・・汚水ポンプ
23・・・雨水ポンプ井
24・・・水位計
25・・・流入ゲート
26・・・沈砂池
31・・・外部計測値
32・・・計測値
33・・・制御信号

Claims (3)

  1. 下水管渠に接続され、前記下水管渠から流入する下水を下水処理場及び/又は放流先へ送水する複数の下水ポンプ場を有する下水道設備の監視制御装置であって、
    前記監視制御装置は、
    前記複数の下水ポンプ場毎の水位に基づき、各下水ポンプ場に設置される少なくともポンプの動作、及び下水処理プロセスとしての活性汚泥処理を再現するポンプ場シミュレータと、
    前記ポンプ場シミュレータの情報を参照すると共に、制御対象となる一の下水ポンプ場及び前記一の下水ポンプ場と連携する下水処理場から放流先への汚濁負荷に基づく汚濁負荷リスク指標、及び同一の下水処理区内に設置される複数の下水管渠毎の水位に基づく前記下水処理区内の浸水リスク指標、並びに同一の下水処理区内に設置される複数の下水ポンプ場毎の水位に基づく前記下水ポンプ場の水没リスク指標を算出するリスク算出部と、
    前記汚濁負荷リスク指標、及び前記下水処理区内の浸水リスク指標、並びに前記下水ポンプ場の水没リスク指標が最小となる前記一の下水ポンプ場に設置されるポンプの吐出量を求めるポンプ吐出量算出部と、を有し、前記ポンプ吐出量算出部により求められたポンプの吐出量に基づき前記一の下水ポンプ場を制御することを特徴とする下水道設備の監視制御装置。
  2. 請求項1に記載の下水道設備の監視制御装置において、
    前記ポンプ場シミュレータにより得られる前記各下水ポンプ場に設置されるポンプの運転状態又は前記汚濁負荷リスク指標及び前記下水ポンプ場の水没リスク指標を画面上に表示する表示部を備えることを下水道設備の監視制御装置。
  3. 下水管渠に接続され、前記下水管渠から流入する下水を下水処理場及び/又は放流先へ送水する複数の下水ポンプ場の運転制御方法であって、
    ポンプ場シミュレータにより、前記複数の下水ポンプ場毎の水位に基づき、各下水ポンプ場に設置されるポンプの動作、及び下水処理プロセスとしての活性汚泥処理を再現し、
    前記ポンプ場シミュレータの情報を参照すると共に、制御対象となる一の下水ポンプ場及び前記一の下水ポンプ場と連携する下水処理場から放流先への汚濁負荷に基づく汚濁負荷リスク指標、及び同一の下水処理区内に設置される複数の下水管渠毎の水位に基づく前記下水処理区内の浸水リスク指標、並びに同一の下水処理区内に設置される複数の下水ポンプ場毎の水位に基づく前記下水ポンプ場の水没リスク指標を算出し、
    前記汚濁負荷リスク指標、及び前記下水処理区内の浸水リスク指標、並びに前記下水ポンプ場の水没リスク指標が最小となる前記一の下水ポンプ場に設置されるポンプの吐出量を求め、
    求めたポンプの吐出量に基づき前記一の下水ポンプ場を制御することを特徴とする下水ポンプ場の運転制御方法。
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