以下、図面を参照して、実施形態について説明する。なお、以下の実施形態では、2種類のファスナ8、9を使用して作業材Wを締結可能な締結工具1を例示する。
まず、図1および図2を参照して、締結工具1で使用可能なファスナ8、9について説明する。ファスナ8、9は、何れも複数部材加締め式のファスナ(multi-piece swage type fastener)とも称される公知のファスナであって、互いに別体として形成されたピン80、90と、カラー85、95とを備えている。以下、ファスナ8、9の詳細について説明する。
図1に示すファスナ8は、複数部材加締め式のファスナのうち、いわゆる破断式のファスナと称されるものである。ファスナ8は、ピン80およびカラー85を主体として構成されている。
ピン80は、軸部81と、軸部81の一端部に一体形成されたヘッド83とを有する。ヘッド83は、軸部81よりも大径の扁平円形状に形成されている。軸部81は棒状に形成されており、全長に亘って概ね均一の径を有する。但し、軸部81の軸方向における略中央部は、他の部分よりも小径に形成されている。この部分を、破断用の小径部811という。小径部811は、他の部分よりも比較的強度の弱い部分であり、ピン80が軸方向に引っ張られると、最初に破断するように構成されている。より詳細には、小径部811の強度は、カラー85を加締めるのに要するものより大きな軸線方向の力、すなわち引張り力が所定の大きさとなると破断するように構成されている。
軸部81のうち、小径部811に対してヘッド83とは反対側の領域は、最終的にピン80から分離されるピンテール812と称される部分である。本実施形態では、ピンテール812の外周面には、後述のピン把持部65が確実にピン80を把持して引っ張ることができるように、環状の引張り溝813が形成されている。本実施形態では、引張り溝813は、ピンテール812のほぼ全域に亘って形成されている。
一方、軸部81のうち、小径部811とヘッド83の間の領域は、ベース部816と称される部分である。ベース部816の外周面には、加締め溝817が形成されている。詳細は後述するが、加締め溝817は、締結工程において変形されたカラー85が密着状に入り込むことが可能な溝として構成されている。なお、本実施形態では、加締め溝817は、環状に形成され、ベース部816の小径部811側の領域の大部分に亘って設けられている。なお、上述のように、所定の引張り力において軸部81が小径部811で破断するように、引張り溝813および加締め溝817が形成された部分の最小径は、小径部811の径よりも大きい。
カラー85は、中空部86(貫通孔)を有する円筒状に形成されている。カラー85の外周部における一端部には、締結工程において、作業材Wに当接されるフランジ851が形成されている。フランジ851以外の外周部は、締結作業において後述するアンビル61のテーパ部622(図5参照)に係合する係合部852を構成する。係合部852は、カラー85のうち、アンビル61に負荷される加締め力によって変形する加締め領域である。カラー85の内径は、ピン80のベース部816の径よりも僅かに大きく設定されている。カラー85は、ピン80の軸部81が中空部86に挿通されることで、ピン80と係合する。なお、本実施形態では、中空部86を規定するカラー85の内周面は平滑面として処理されている。
図2に示すファスナ9は、複数部材加締め式のファスナのうち、いわゆる非破断式のファスナと称されるものである。ファスナ9は、ピン90およびカラー95を主体として構成されている。
ピン90は、軸部91と、軸部91の一端部に一体形成されたヘッド93とを有する。ヘッド93は、軸部91よりも大径の扁平円形状に形成されている。軸部91のヘッド93とは反対側の端部領域の外周面には、環状の引張り溝913が形成されている。軸部91のうち、引張り溝913とヘッド93の間の領域であるベース部916の大部分には、環状の加締め溝917が形成されている。なお、軸部91のうち、引張り溝913に対してヘッド93とは反対側の領域は、ファスナ8のピンテール812(図1参照)に比べて短く、また、ベース部916よりも小径に形成されている。
カラー95は、ファスナ8のカラー85と同様、中空部96(貫通孔)を有する円筒状に形成されており、フランジ951と係合部952を含む。また、カラー95は、ピン90よりも僅かに大きい内径を有する。
図1および図2に示すように、ファスナ8、9の夫々を用いた2枚の作業材Wの締結においては、使用者は、まず、ヘッド83、93が一方の作業材Wに当接した状態となるように、作業材Wに形成された取付け孔W1にピン80、90の軸部81、91を挿通する。その後、使用者は、他方の作業材Wの側から、カラー85、95を軸部81、91に遊嵌状に係合させる。このとき、カラー85、95は軸部81、91の加締め溝817、917に密着した状態ではない。以下では、このような状態を、仮留め状態という。カラー85、95が軸部81、91に仮留めされた状態で、使用者は、締結工具1によってカラー85、95を軸部81、91に加締め、作業材Wを締結する作業を行う。
なお、締結工具1では、図1で例示されたファスナ8のほか、ピン80(ピンテール812)およびカラー85の軸方向の長さや径、引張り溝813および加締め溝817の位置や形状等が異なる複数種類の破断式のファスナが使用可能である。同様に、締結工具1では、図2で例示されたファスナ9のほか、ピン90およびカラー95の軸方向の長さや径、引張り溝913および加締め溝917等の位置や形状等が異なる複数種類の非破断式のファスナが使用可能である。
以下、締結工具1の物理的な構成について説明する。まず、図3を参照して、締結工具1の外観構成について簡単に説明する。図3に示すように、締結工具1の外郭は、主にアウタハウジング11と、ハンドル部15と、ノーズ保持部69によって保持されたノーズアセンブリ6によって形成されている。
アウタハウジング11は、所定の軸線A1方向に延在する駆動機構収容部111と、駆動機構収容部111の軸線A1方向における一端部から軸線A1方向に交差する方向に延在するモータ収容部113と、モータ収容部113の突出側の端部から駆動機構収容部111に概ね対向して延在するコントローラ収容部115とを含む。ハンドル部15は、駆動機構収容部111の他端からモータ収容部113に対向するように突出し、コントローラ収容部115に接続している。アウタハウジング11(駆動機構収容部111、モータ収容部113、コントローラ収容部115)とハンドル部15は、全体として環状をなしている。
以下では、締結工具1の方向に関して、説明の便宜上、軸線A1方向を締結工具1の前後方向、モータ収容部113が配置されている側を前側、ハンドル部15が配置されている側を後側と定義する。また、軸線A1に直交し、駆動機構収容部111からのハンドル部15の突出方向に対応する方向を上下方向、駆動機構収容部111が配置される側を上側、コントローラ収容部115が配置される側を下側と定義する。
駆動機構収容部111の前側には、ノーズ保持部69を介して、ノーズアセンブリ6が保持されている。なお、本実施形態では、締結工具1は、破断式のファスナ8および非破断式のファスナ9の両方を使用可能ないわゆる兼用機として構成されている。そこで、ノーズアセンブリ6は、アウタハウジング11に対して着脱可能に構成されており、ファスナ8、9に夫々に対応するノーズアセンブリ6A(図5参照)、6B(図7参照)の2種類が用意されている。使用者は、ノーズアセンブリ6A、6Bのうち、実際に使用するファスナ8または9に対応する一方を締結工具1に装着して使用する。なお、以下では、ノーズアセンブリ6A、6Bを総称する場合および何れかの区別なく指す場合には、単にノーズアセンブリ6というものとする。
また、兼用機として構成された締結工具1では、使用されるファスナ8または9の種類に応じて動作を制御する必要がある。そこで、締結工具1には、破断式のファスナ8に対応する第1モードと、非破断式のファスナ9に対応する第2モードの2種類の動作モードが設定されており、駆動機構収容部111の左側部には、使用者が動作モードを選択可能な押圧式のモード選択スイッチ171が設けられている。なお、モード選択スイッチ171は、第1モードに対応するAボタンと、第2モードに対応するBボタンとを含み、押圧されたボタンに応じた信号を出力する。また、駆動機構収容部111の左側面には、モード選択スイッチ171に隣接して、後述の回収容器7の装着に関する警告用のLEDランプ173が設けられている。
駆動機構収容部111の後端部には、締結工程において分離されたピンテール812(図1参照)を収容可能な回収容器7が取り外し可能に装着されている。なお、上述のように、分離されたピンテール812が生じるのは、破断式のファスナ8が使用された場合のみである。よって、使用者は、必要に応じて回収容器7を締結工具1に着脱する。
モータ収容部113には、モータ20(図4参照)を冷却するための冷却風が流入する吸気口113Bと、冷却風を外部へ排出する排気口113Aとが形成されている。なお、吸気口113Bは、モータ20に対向する位置に配置されており、排気口113Aは、後述するファン23(図4参照)に対向する位置に配置されている。
コントローラ収容部115の下部には、バッテリ19を着脱可能に構成されたバッテリ装着部18が設けられている。バッテリ19は、締結工具1の各部およびモータ20へ電力を供給するための、繰り返し充電が可能な電源である。また、コントローラ収容部115の上部には、回動式の設定ダイアル175が設けられている。詳細は後述するが、設定ダイアル175は、非破断式のファスナ9が使用される場合に締結工程の完了の判断に使用される駆動電流値の閾値を設定するために使用される。また、ハンドル部15の上端部の前側には、使用者が押圧操作可能なトリガ150が設けられている。
以下、図4〜図7を参照して、締結工具1の内部構造等の詳細構成について説明する。
図4に示すように、ハンドル部15には、使用者によるトリガ150の押圧操作に応じてオン・オフされるスイッチ151が収容されている。また、アウタハウジング11には、主に、コントローラ28と、モータ20と、伝達機構3と、ボールネジ機構40を含む駆動機構4とが収容されている。なお、これらのうち、伝達機構3と駆動機構4の一部は、インナハウジング12に収容されている。インナハウジング12は、アウタハウジング11に固定状に保持されている。この観点から、アウタハウジング11とインナハウジング12とをハウジング10として一体的にとらえることもできる。
本実施形態では、インナハウジング12は、アウタハウジング11のうち駆動機構収容部111の前側部分とモータ収容部113の上側部分を占めるように配置されている。なお、アウタハウジング11は樹脂製である。インナハウジング12のうち、後述の遊星ギア機構31を収容する下端部分のみが樹脂製であり、他の部分は金属製である。両者は互いにネジ(図示略)で連結固定されている。
コントローラ28について説明する。図4に示すように、コントローラ28は、アウタハウジング11のコントローラ収容部115に収容されている。本実施形態では、コントローラ28としては、CPU、ROM、RAM等を含むマイクロコンピュータで構成された制御回路が採用されている。コントローラ28は、図示しない配線によって、スイッチ151等に接続されている。
モータ20について説明する。図4に示すように、モータ20は、モータ収容部113の下部に収容されている。本実施形態では、モータ20として、小型で高出力なブラシレスDCモータが採用されている。モータ20は、モータシャフト21の回転軸が軸線A1に交差して斜め上下方向に延在するように配置されている。モータシャフト21において、モータ20の上方に突出した部分には、モータ20を冷却するためのファン23が固定されている。モータ20が駆動されると、ファン23は、吸気口113B(図3参照)からモータ収容部113へ流入してモータ20の周囲を流れ、排気口113A(図3参照)から外部へ流出する冷却風の流れを形成する。
伝達機構3について説明する。図4に示すように、伝達機構3は、モータ20およびファン23の上方で、インナハウジング12に収容された状態で、モータ収容部113上部から駆動機構収容部111の下部に亘って配置されている。伝達機構3は、モータシャフト21の回転をボールネジ機構40のナット41に伝達するように構成されている。本実施形態では、伝達機構3は、減速機構として構成されており、2段の遊星ギア機構31と、ベベルギア37およびナット駆動ギア38を有する中間シャフト36とを含む。
モータシャフト21の上端部には、遊星ギア機構31のうち1段目の遊星ギア機構のサンギア32が固定されている。遊星ギア機構31の2段目のキャリア33に連結された出力シャフト34は、上端部にベベルギア35を有する。ベベルギア35には、中間シャフト36の前端部に形成されたベベルギア37が噛合している。中間シャフト36は、軸線A1方向(前後方向)に延在するように配置されている。遊星ギア機構31は、モータシャフト21の回転を、その回転速度よりも遅くした上で中間シャフト36に伝達する。中間シャフト36の後端部には、ナット駆動ギア38が形成されている。ナット駆動ギア38は、ナット41の外周部に形成された被動ギア411(図5参照)に噛合している。
以下、図5および図6を参照して、駆動機構4について説明する。図5に示すように、駆動機構4は、ボールネジ機構40と、連結機構5とを主体として構成されている。
まず、ボールネジ機構40と、その周辺の構成について説明する。ボールネジ機構40は、ナット41と、ネジシャフト46とを主体として構成されている。本実施形態では、ボールネジ機構40は、ナット41の回転運動をネジシャフト46の直線運動に変換して、連結機構5を介して連結されたピン把持部65を直線状に移動可能に構成されている。
ナット41は、軸線A1周りに回動可能、且つ、軸線A1方向への移動が規制された状態で、インナハウジング12に支持されている。詳細には、図5に示すように、円筒状に形成されたナット41は、外周部に一体に設けられた被動ギア411を有する。ナット41は、被動ギア411の前側および後側で、ナット41に外嵌された一対のラジアル転がりベアリング412、413を介して、インナハウジング12に対して軸線A1周りに回転可能に支持されている。なお、本実施形態では、ラジアル転がりベアリング412、413には、何れもニードルベアリングが採用されている。被動ギア411は、上述のナット駆動ギア38に噛合している。被動ギア411がナット駆動ギア38からモータ20の回転出力を受けることで、ナット41が軸線A1周りに回転される。
また、詳細は後述するが、締結工程において、ナット41には軸線A1方向(前後方向)に強い軸力が作用する。このため、ナット41の前端とインナハウジング12の間には、スラスト転がりベアリング415が配置され、ナット41の後端とインナハウジング12の間には、スラストワッシャ467を介してスラスト転がりベアリング416が配置されている。なお、本実施形態では、前側のスラスト転がりベアリング415にはボールベアリングが採用され、後側のスラスト転がりベアリング416にはニードルベアリングが採用されている。
軸線A1方向(前方向または後方向)の軸力(スラスト荷重)がナット41に作用した場合、スラスト転がりベアリング415、416の何れか一方がその軸力を確実に受けつつ、ナット41が軸線A1周りに円滑に回転することを許容し、ナット41の回転動作が強い軸力によって阻害されるリスクを未然回避している。なお、スラスト転がりベアリング415、416は、ナット41の前端部および後端部におけるナット41の外径よりも大径となるように設定されている。これにより、ナット41に作用する軸力(スラスト荷重)の単位面積当たりの受圧量が増大することを回避し、動作性および耐久性向上が図られている。
ネジシャフト46は、軸線A1に沿って移動可能、且つ、軸線A1周りの回動が規制された状態で保持されている。詳細には、図5および図6に示すように、ネジシャフト46は、長尺体として構成され、軸線A1に沿って延在するように、ナット41に挿通されている。周知の構成であるため詳細の図示は省略するが、ナット41の内周面に形成されたネジ溝とネジシャフト46の外周面に形成されたネジ溝によって規定される螺旋状の軌道内には、多数のボールが転動可能に配置されており、ネジシャフト46は、ボールを介してナット41に係合している。なお、ナット41の前後に配置されたスラスト転がりベアリング415、416とネジシャフト46の間には、夫々、スラストワッシャ466、467のスリーブ部分が介在状に配置されている。
図6に示すように、ネジシャフト46の後端部には、ローラシャフト463の中央部が固定されている。ローラシャフト463は、ネジシャフト46に直交してネジシャフト46から左右方向に突出するように配置されている。ローラシャフト463の左右端部には、夫々、ローラ464が回転可能に保持されている。一方、図5および図6に示すように、インナハウジング12の後端部には、左右一対のガイドプレート122が連結固定されている。ガイドプレート122は、左右方向に対向するように配置されており、夫々、軸線A1方向(前後方向)に延在する長穴状のガイド穴123を有する。左右一対のローラ464は、左右一対のガイド穴123に沿って軸線A1方向に転動可能に保持されている。
なお、本実施形態ではネジシャフト46側にローラ464、インナハウジング12(ガイドプレート122)側にガイド穴123が夫々設けられているが、反対に、ネジシャフト46側にガイド穴、インナハウジング12側にローラが夫々設けられてもよい。また、ガイド穴123は、ローラ464の当接が確保できる範囲において、例えばガイドレール等といった他の構成に代替されてもよい。
以上のように構成されたボールネジ機構40において、ナット41が軸線A1周りに回転されると、転動するボールを介してナットに41係合したネジシャフト46は、ナット41およびハウジング10に対して軸線A1方向に直線状に移動する。なお、ナット41の回転に伴い、ネジシャフト46には軸線A1周りの回転トルクが作用する可能性もあるが、ローラ464がガイド穴123に当接することで、かかる回転トルクに起因するネジシャフト46の軸線A1周りの回転が規制されている。
なお、図5および図6に示すように、インナハウジング12のうち、ナット41を収容するナット収容部126は、略矩形箱状に形成されている。被動ギア411の径は、ナット収容部126の上面に形成された開口部127を通じて、インナハウジング12の外面と略面一となるように設定されている。つまり、被動ギア411の外周がインナハウジング12の上面よりも外向へと突出しないように構成されている。これにより、締結工具1におけるいわゆるセンターハイト(軸線A1からアウタハウジング11の上面までの距離)CH(図4参照)の低減化が図られている。
更に、ネジシャフト46の後端(詳細には、ローラシャフト463の後側)には、延設シャフト47が連結固定されている。このため、ネジシャフト46が軸線A1に沿って前後方向に移動すると、延設シャフト47は、ネジシャフト46と一体的に前後方向に移動する。また、ネジシャフト46および延設シャフト47は、夫々、長軸方向に延在する概ね同径の貫通孔461および471を有し、貫通孔461、471が連通するように、同軸状に連結されている。なお、貫通孔461および471の径は、締結工具1で使用可能な破断式のファスナのピンテールの最大径よりも僅かに大きい程度に設定されている。
アウタハウジング11の後端部における軸線A1上には、アウタハウジング11の内部と外部とを連通する開口部117が形成されている。開口部117には、円筒状のガイドチューブ118が嵌めこまれている。ガイドチューブ118は、延設シャフト47を軸線A1に沿って摺動案内するように構成されている。このため、ガイドチューブ118の貫通孔118Aの径(ガイドチューブ118の内径)は、延設シャフト47の外径と概ね同じに設定されている。ガイドチューブ118の外周部には、フランジ118Bが設けられている。一方、アウタハウジング11の後端部の開口部117の周辺には、環状の2つのリブ117Aが形成されている。
本実施形態では、アウタハウジング11およびハンドル部15は、夫々の左側部分と右側部分とが樹脂で一体成形され、内部部品が収容された後、ネジ(図示せず)によって連結される。アウタハウジング11およびハンドル部15の組み付け前に、フランジ118Bがアウタハウジング11の左側または右側部分の2つのリブ117Aの間に配置され、その後、左側部分と右側部分とが連結されることで、ガイドチューブ118がリブ117Aによって固定される。
延設シャフト47の後端は、ネジシャフト46がその移動可能範囲における最前方位置に配置されたとき(図5および図6に示す位置)、ガイドチューブ118の前端部内に配置される。ナット41の回転に伴ってネジシャフト46が最前方位置から後方へ移動されると、延設シャフト47はガイドチューブ118の貫通孔118A内を摺動しながら後方へ移動する。上述のようにガイドチューブ118を配置することで、延設シャフト47の全長を抑えつつ、延設シャフト47が最前方位置に配置されたときにアウタハウジング11内にピンテール812が入り込むのを防止することができる。
また、図5および図6に示すように、アウタハウジング11の後端部には、円筒状に形成されて後方へ突出する容器連結部13が設けられている。容器連結部13は、ピンテール812用の回収容器7を着脱可能に構成されている。容器連結部13と回収容器7の連結構造については後で詳述する。
更に、図5に示すように、ネジシャフト46には、ローラシャフト463の前側に隣接して、ネジシャフト46から下方に延びる磁石保持アーム485が固定されている。磁石保持アーム485の下端には、磁石486が取り付けられている。磁石486は、ネジシャフト46と一体化されているため、ネジシャフト46の軸線A1方向(前後方向)の移動に伴って移動する。
一方、アウタハウジング11には、軸線A1方向におけるハウジング10に対するネジシャフト46の相対的位置を、磁石486を介して検出するように構成された位置検出機構48が設けられている。位置検出機構48は、初期位置センサ481と最後方位置センサ482とを含む。初期位置センサ481および最後方位置センサ482は、何れも図示しない配線を介してコントローラ28(図4参照)に電気的に接続されており、磁石486が所定の検出範囲内に配置されている場合、所定の信号をコントローラ28へ出力するように構成されている。初期位置センサ481は、ネジシャフト46がその移動可能範囲における最前方位置(初期位置ともいう)に配置されたときに磁石486を検出可能な位置に取り付けられている。最後方位置センサ482は、ネジシャフト46がその移動可能範囲における最後方位置に配置されたときに磁石486を検出可能な位置に取り付けられている。なお、本実施形態では、位置検出機構48の検出結果に応じて駆動機構4の動作が制御されるが、この点については後で詳述する。
以下、連結機構5について説明する。連結機構5は、ネジシャフト46とピン把持部65とを、軸線A1方向に連結する機構である。図6に示すように、本実施形態では、連結機構5は、ネジシャフト46側(後端側)から順に軸線A1方向に連結された、第1連結部51、第2連結部52、第3連結部53、第4連結部54を含む。なお、第1連結部51と第2連結部52、第3連結部53と第4連結部54とは、夫々、螺合によって固定状に連結されている。一方で、円筒状に形成された第2連結部52の内部に第3連結部53の後端部が摺動可能に配置されることで、第2連結部52と第3連結部53とは、軸線A1方向に互いに相対移動可能に連結されている。
図6を参照して、連結機構5の詳細な連結態様について説明する。まず、第1連結部51の後側部分には、雌ネジが形成された凹部が設けられている。一方、ネジシャフト46の前端部には、雄ネジが形成された小径部が設けられている。この小径部が第1連結部51の凹部に螺入されることで、ネジシャフト46の前側に第1連結部51が連結固定されている。第1連結部51は、ネジシャフト46と概ね同径に形成されている。第1連結部51の前側部分の外周面には、雄ネジが形成されている。また、雄ネジが形成された部分の後側に隣接して、左右へ突出するガイドリブ511が設けられている。ガイドリブ511は、ネジシャフト46が最後方位置へ移動したときにスラストワッシャ466の前端面に当接する後方ストッパとして設けられている。
第2連結部52は、第1連結部51の外径と概ね同じ内径を有する有底円筒状に形成され、その底壁が軸線A1に直交するように前側に配置されている。第2連結部52の後側部分の内周面には、雌ネジが形成されている。円筒体として形成された第3連結部53は、本体531と、本体531の後端に一体的に形成された係止フランジ532とを含む。第2連結部52の前壁(底壁)521には、第3連結部53の本体と概ね同径の貫通孔が設けられている。
第3連結部53は、係止フランジ532が第2連結部52の内部に配置され、本体531が前方へ向けて第2連結部52の前壁521の貫通孔に挿通されている。更に、第1連結部51の前端部に設けられた凹部と第3連結部53の係止フランジ532との間にコイルバネ55が介装された状態で、第2連結部52の後側部分に第1連結部51の雄ネジ部分が螺入されている。ネジシャフト46が初期位置に配置されている場合、係止フランジ532は、コイルバネ55の付勢力で前壁521に向けて付勢される。かかる構成により、第3連結部53は、第2連結部52および第1連結部51に対して軸線A1方向に相対移動可能とされている。
第3連結部53の前側部分の外周には雄ネジが形成される一方、第4連結部54の後側部分には、雌ネジが形成された凹部が設けられている。第3連結部53の前側部分が第4連結部54の凹部に螺入されることで、第3連結部53と第4連結部54とが固定状に連結されている。また、第4連結部54の前側部分は、後側部分よりも小径の小径部として構成されており、その外周面には、ピン把持部65を螺合可能な雄ネジが形成されている。
第1連結部51、第3連結部53、および第4連結部54は、夫々、ネジシャフト46の貫通孔461と概ね同径で、軸線A1方向に延在する貫通孔を有する。よって、連結機構5全体としては、第1連結部51、第2連結部52(詳細にはコイルバネ55の内部)、第3連結部53、および第4連結部54を貫通する通路が形成されている。更に、上述した、ネジシャフト46の貫通孔461および延設シャフト47の貫通孔471、ガイドチューブ118の貫通孔118Aをあわせると、連結機構5、ネジシャフト46、および延設シャフト47、ガイドチューブ118内を、軸線A1に沿って、アウタハウジング11の後端部に設けられた開口部117まで延在する通路が形成される。この通路は、破断式のファスナ8の締結工程においてピン80から分離されるピンテール812が通過可能な回収通路700を構成する。
図5および図6に示すように、インナハウジング12の上前端部は円筒状に形成されており、その内部に、円筒状のガイドスリーブ124がネジシャフト46と同軸状に螺合されている。ガイドスリーブ124は、第1連結部51のガイドリブ511が設けられた部分の径、および第2連結部52の外径と概ね同一の内径を有し、第1連結部51および第2連結部52を軸線A1方向に摺動可能にガイドするように構成されている。アウタハウジング11の上前端部には、軸線A1を中心とする開口部119が設けられている。ガイドスリーブ124のフランジ状の前端部は、アウタハウジング11の開口部119から突出しており、円筒状のノーズ連結部125をハウジング10に対して固定状に保持している。ノーズ連結部125は、ネジシャフト46と同軸状に配置され、外周面には雄ネジが形成されている。
ノーズ連結部125には、ノーズ保持部69が取り外し可能に連結されている。ノーズ保持部69は、内側スリーブ691と外側スリーブ695とを含む。
内側スリーブ691は、円筒体として形成されており、連結機構5および後述のピン把持部65を軸線A1方向に摺動可能に保持するように構成されている。具体的には、内側スリーブ691は、第2連結部52の外径およびアンビル61の外径に概ね同じ内径を有するとともに、軸線A1方向における中央部には、径方向内側に突出するアンビル係止部692が形成されている。アンビル係止部692が形成された部分の内径は、ピン把持部65の外径と概ね同じである。また、内側スリーブ691の後端部には、フランジ693が設けられている。フランジ693は、ノーズ連結部125の外径よりも若干小径に形成されている。
外側スリーブ695は、内側スリーブ691よりも一回り大きい円筒体として形成され、ノーズ連結部125に着脱可能に構成されている。具体的には、外側スリーブ695は、内側スリーブ691の外径と概ね同じ内径を有する小径部696と、ノーズ連結部125の外径と概ね同一の内径を有する大径部698とを含む。小径部696は、軸線A1方向において、内側スリーブ691のフランジ693を除いた部分よりも長く形成されており、前端部697が径方向内側に突出している。大径部698の内周面には、ノーズ連結部125の雄ネジに螺合可能な雌ネジが形成されている。
ノーズ連結部125にフランジ693の後端面が当接された状態で、内側スリーブ691の外側に外側スリーブ695が嵌めこまれ、大径部698がノーズ連結部125に螺合されることで、ノーズ保持部69がハウジング10に対して連結固定される。このとき、外側スリーブ695の前端部697と内側スリーブ691の前端との間には、後述のアンビル61の係止リブ625、635(図5および図7参照)が配置される隙間が形成される。
以下、図5および図7を参照して、ノーズアセンブリ6について説明する。なお、ノーズアセンブリ6の方向に関しては、ノーズアセンブリ6がハウジング10に装着された状態を基準として説明する。
ノーズアセンブリ6は、アンビル61と、ピン把持部65を主体として構成されている。但し、上述したように、本実施形態の締結工具1は、破断式のファスナ8および非破断式のファスナ9の両方を締結可能な兼用機として構成されており、アウタハウジング11に対して着脱可能なノーズアセンブリ6A(図5参照)、6B(図7参照)の2種類が用意されている。このため、アンビル61とピン把持部65の詳細な構成は、ノーズアセンブリ6A、6Bで異なっている。以下、ノーズアセンブリ6Aのアンビル61、ピン把持部65を、夫々アンビル61A、ピン把持部65Aといい、ノーズアセンブリ6Bのアンビル61、ピン把持部65を、夫々、アンビル61B、ピン把持部65Bというものとする。
なお、アンビル61A、61Bは、夫々、カラー85、95に係合可能、且つ、ノーズ保持部69等を介してハウジング10に着脱可能に構成されている。また、ピン把持部65A、65Bは、夫々、ピン80、90の軸部81、91を把持可能に構成されるとともに、軸線A1に沿ってアンビル61A、61Bに対して相対移動可能に保持されている。この意味で、ノーズアセンブリ6A、6Bは、基本的には同じ構成を有するということができる。
まず、図5を参照して、破断式のファスナ8に対応するノーズアセンブリ6Aについて説明する。
アンビル61Aは、軸線A1方向に延在するボア621を有する円筒体として構成されている。ボア621は、テーパ部622と、ガイド部623とを含む。
テーパ部622は、ボア621の前端領域を構成しており、軸線A1方向(前後方向)に関して、カラー85の係合部852(図1参照)の高さよりも若干長く設定されている。テーパ部622は、ボア621の開口端(前端)620に向けて緩やかに拡径する。テーパ部622の径は、開口端620では係合部852の外径よりも僅かに大きいが、開口端620よりも後方では係合部852の外径よりも小さくなるように設定されている。これにより、係合部852の変形を促す強い軸力が作用する場合にのみ、係合部852は、開口端620からテーパ部622へと変形を伴いながら入り込むことができる。
ガイド部623は、ボア621のうち、テーパ部622の後側の領域を構成している。ガイド部623は、テーパ部622の後端の径よりも大きく、且つ、後述するピン把持部65Aの外径と概ね同一の径を有し、ピン把持部65Aを軸線A1方向に摺動可能に保持する。
また、アンビル61Aの外周部の中央部よりもやや後端側には、径方向外側に突出する係止リブ625が設けられている。係止リブ625が外側スリーブ695および内側スリーブ691の間に係止されることで、アンビル61Aは、ノーズ保持部69を介してハウジング10に対して軸線A1方向に移動不能に保持される。
ピン把持部65Aは、アンビル61Aのガイド部623内に同軸状に摺動可能に配置されている。つまり、ピン把持部65Aは、軸線A1に沿ってアンビル61Aに対して相対移動可能に保持されている。なお、本実施形態では、ピン把持部65Aとして、ピンテール812(図1参照)の一部を把持可能な複数の爪(ジョーとも称される)と、その保持体とを主体とした周知の構成が採用されている。詳細な図示は省略するが、ピン把持部65Aは、軸線A1に沿って初期位置(最前方位置)から後方へ移動するのに伴って、爪による把持力が増大するように構成されている。このような構成は、例えば、複数の爪が、保持体の前端部内に設けられた円錐状の軌道に対して押圧されつつ移動可能に配置されることで実現される。なお、本実施形態では、爪の内側には、ピンテール812に形成された引張り溝813に係合可能な複数の突起が形成されている。
なお、図では、複数の爪と保持体、その他の部品が一体として簡略化されて示されているが、ピン把持部65Aは、全体としては、軸線A1方向に延在するボア661を有する円筒体として形成されている。ボア661の径は、ピンテール812の径より僅かに大きく設定されている。詳細は後述するが、ボア661は、ピンテール812が挿入され、分離された後に通過する内部通路662を構成する。また、ピン把持部65Aの後端部には、断面円形の凹部628が形成されている。凹部628の内周面には、第4連結部54の小径部の外周面に形成された雄ネジに螺合可能な雌ネジが形成されている。これにより、ピン把持部65Aは、連結機構5を介してネジシャフト46に対して着脱可能とされている。
ピン把持部65Aが第4連結部54に連結されることで、ピン把持部65Aの内部通路662と、連結機構5等を貫通する回収通路700とが連通する。つまり、ピンテール812が挿入されるボア661の開口端660から、アウタハウジング11の後端部の開口部117まで軸線A1に沿って直線状に延在する通路が形成される。
次に、図7を参照して、非破断式のファスナ9に対応するノーズアセンブリ6Bについて説明する。
アンビル61Bは、軸線A1方向に延在するボア631を有する円筒体として構成されている。また、アンビル61Bの外周部の中央部よりもやや後端側には、径方向外側に突出する係止リブ635が設けられている。ボア631は、テーパ部632と、把持爪ガイド部633と、基部ガイド部634とを含む。
テーパ部632は、上述のテーパ部622と同様の構成を有する。つまり、テーパ部632は、ボア631の前端領域を構成し、カラー95の係合部952(図2参照)の高さよりも若干長く設定されるとともに、ボア631の開口端(前端)630に向けて緩やかに拡径する。テーパ部632の径は、開口端630では係合部952の外径よりも僅かに大きく、開口端630よりも後方では係合部952の外径よりも小さくなるように設定されている。これにより、係合部952の変形を促す強い軸力が作用する場合にのみ、係合部952は、開口端630からテーパ部632へと変形を伴いながら入り込むことができる。
把持爪ガイド部633は、ボア631のうち、テーパ部632の後側に連続する中間領域である。把持爪ガイド部633は、テーパ部632の後端の径と同径に設定されている。ネジシャフト46が軸線A1方向(前後方向)に移動されるのに伴い、把持爪671は、把持爪ガイド部633内を前後方向に移動される。
基部ガイド部634は、ボア631のうち、把持爪ガイド部633の後側の領域を構成している。基部ガイド部634は、把持爪ガイド部633の径よりも大きく、且つ、後述するピン把持部65Bの基部672の外径と概ね同一の径を有し、ピン把持部65Bを軸線A1方向に摺動可能に保持する。
ピン把持部65Bは、アンビル61Bのボア631内に、アンビル61Bと同軸状に摺動可能に配置されている。つまり、ピン把持部65Bは、軸線A1に沿ってアンビル61Bに対して相対移動可能に保持されている。なお、本実施形態では、ピン把持部65Bは、ファスナ9の軸部91の端部領域の一部を把持可能な複数の把持爪(ジョーとも称される)671と、把持爪671と一体形成された基部672とを含む。
本実施形態では、合計3つの把持爪671は、軸線A1を中心とする仮想円周状に等間隔で配置されている。また、把持爪671は、隣接する把持爪671との間の間隔が前端に向かって広がるように構成されている。把持爪671の軸線A1方向の長さは、アンビル61Bのテーパ部632および把持爪ガイド部633をあわせた長さよりも長く設定されている。このため、アンビル61Bに対してピン把持部65Bが最前方位置に配置された場合、把持爪671の前端部は、アンビル61Bのボア631の開口端630よりも前方に突出する。また、基部672は前端が閉塞された有底円筒状に形成されており、後端部の内周面には、第4連結部54の外周面に形成された雄ネジに螺合可能な雌ネジが形成されている。これにより、ピン把持部65Bは、連結機構5を介してネジシャフト46に対して着脱可能とされている。把持爪671による把持力は、上記の構成により、把持爪671がボア631に引き込まれ、後方へ移動するのに伴って増大する。
以下、ノーズアセンブリ6のハウジング10に対する着脱方法について説明する。
図5および図7に示すようにハウジング10に装着されているノーズアセンブリ6を取り外す場合、使用者は、ノーズ連結部125に螺合されている外側スリーブ695を、ノーズ連結部125に対して回転させ、ノーズ連結部125から取り外す。これにより、内側スリーブ691の保持および係止リブ625、635に対する係止が解除される。よって、使用者は、アンビル61および内側スリーブ691を、ピン把持部65および連結機構5から前方へ引き抜き、更に、第4連結部54に螺合されているピン把持部65を第4連結部54に対して回転させ、取り外すことができる。ノーズアセンブリ6をハウジング10に装着する場合は、使用者は上記の工程を逆に行えばよい。なお、アンビル61と内側スリーブ691との軸線A1方向における位置決めは、アンビル61の後端が内側スリーブ691のアンビル係止部692に当接することで行われる。また、外側スリーブ695が装着されると、係止リブ625、635は、外側スリーブ695の前端部697に当接する。
以下、図4、図7〜図8を参照して、破断式のファスナ8のピン80から分離されたピンテール812の回収容器7と、その連結構造について説明する。
図4に示すように、アウタハウジング11(駆動機構収容部111)後端部には、容器連結部13を介して回収容器7が取り外し可能に連結されている。本実施形態では、回収容器7は、容器連結部13に着脱可能な筒状部材71を少なくとも1つと、筒状部材71に着脱可能な蓋部材75とを含む。筒状部材71は他の筒状部材71に対しても連結可能に構成されており、使用者は、連結する筒状部材71の数を変更することで、回収容器7の容積を変更することができる。本実施形態では、回収容器7は、樹脂で形成されている。以下、容器連結部13、筒状部材71、蓋部材75の構成について、順に説明する。なお、回収容器7の方向については、便宜上、図4に示すように、アウタハウジング11に装着された状態を基準として定義する。
図4に示すように、容器連結部13は、円筒状に形成され、アウタハウジング11の後端部において軸線A1上に形成された開口部117を囲むように後方へ突出している。容器連結部13の外周面には、雄ネジが形成されている。
図4に示すように、筒状部材71は、円筒状に形成されており、前端部および後端部に夫々設けられた第1連結部713および第2連結部715を有する。第1連結部713は、容器連結部13に螺合可能に構成されている。詳細には、第1連結部713は、他の部分よりも大径に形成されており、その内周面には、容器連結部13の雄ネジに螺合可能な雌ネジが形成されている。一方、第2連結部715は、外周面に、容器連結部13と同一形状に形成された雄ネジを有する。なお、ここでいう同一形状とは、ネジのピッチ、径、ネジ山の角度が同じことをさすものである。
蓋部材75は、有底の円筒状に形成されており、開放側の端部、つまり前端部に設けられた第3連結部753を有する。第3連結部753は、内周面に、筒状部材71の第1連結部713と同一形状に形成された雌ネジを有する。なお、後述するように、蓋部材75の軸線A1方向の長さは、蓋部材75のみが容器連結部13に装着される場合を想定して、ネジシャフト46が最後方位置に配置されたときの延設シャフト47の後端を覆うことができるように設定されている。
かかる構成によって、以下の連結態様が確保される。第1の連結態様として、図4に示すように、容器連結部13に対して筒状部材71の第1連結部713が連結され、筒状部材71の第2連結部715に対して蓋部材75の第3連結部753が連結される態様が挙げられる。第2の連結態様として、図8に示すように、容器連結部13に対し、第1の筒状部材71の第1連結部713が連結されるとともに、第2連結部715に対し、第2の筒状部材71の第1連結部713が連結され、更に、第2の筒状部材71の第2連結部715に対し、蓋部材75の第3連結部753が連結される態様が挙げられる。更に、第3の連結態様として、図7に示すように、容器連結部13に対し、蓋部材75の第3連結部753が連結される態様が挙げられる。
なお、第2の連結態様においては、図8には筒状部材71が2つ連結された例が挙げられているが、3つ以上の筒状部材71が連結されてもよく、この場合、最後端の筒状部材71の第2連結部715に対し、蓋部材75の第3連結部753が連結されればよい。なお、本実施形態では、複数の筒状部材71が連結される場合、すべての筒状部材71が同一構成を有するため、どの筒状部材71でも容器連結部13に装着可能である。つまり、使用者は、容器連結部13に装着すべき筒状部材71と、第2連結部715に連結すべき筒状部材71とを区別する必要がないため、容易に回収容器7の着脱を行うことができる。
上述の第1、第2の連結態様は、ピンテール812が分離される破断式のファスナ8が使用される場合に好ましい態様であって、使用者が所望する回収容器7からのピンテール812の排出頻度に応じて、何れかの態様が選択されればよい。一方、第3の連結態様は、回収容器7の容積がゼロとなる態様である。第3の連結態様は、非破断式のファスナ9が使用される場合に好ましい態様といえる。なお、回収容器7は、アウタハウジング11の後端部(容器連結部13)に着脱可能であるため、中間部等に配置される場合に比べ、アウタハウジング11への着脱操作が容易である。
図4に示すように、本実施形態では、回収容器7の螺合時の回転軸A2は、締結工具1の作業軸としての軸線A1に対して下方にオフセットされている。なお、回収容器7の外径D(回転軸A2から回収容器7の外表面までの最大距離)は、回収容器7がアウタハウジング11に装着された場合に、上下方向において、回収容器7の外表面がアウタハウジング11の上面と概ね同じ位置に配置されるように設定されている。つまり、回収容器の外径Dは、センターハイトCHよりも大きい。これによって、センターハイトCHはできるだけ抑えつつ、回収容器7の内部空間の拡大が図られている。
更に、本実施形態では、締結工具1には、回収容器7を検出するための構成が設けられている。具体的には、図4に示すように、アウタハウジング11の後端部において、容器連結部13の下端部に隣接して、容器検出スイッチ70が設けられている。容器検出スイッチ70は、押圧式のスイッチとして構成されており、アウタハウジング11の後端部内にスイッチ本体が配置されるとともに、アウタハウジング11外部に突出するプランジャを有する。容器検出スイッチ70は、回収容器7が容器連結部13に装着されていない場合には、プランジャが伸長した初期状態で保持されてオフとされ、回収容器7(筒状部材71または蓋部材75)が容器連結部13に装着されると、回収容器7の前端によってプランジャが押圧され、オンとされるように構成されている。
以下、締結工具1の電気的な構成について説明する。図9に示すように、締結工具1は、コントローラ28と、三相インバータ281と、ホールセンサ283とを備えている。三相インバータ281は、6つの半導体スイッチング素子を用いた三相ブリッジ回路を備えており、コントローラ28からの制御信号が示すデューティ比に従って三相ブリッジ回路の各スイッチング素子をスイッチング動作させることで、そのデューティ比に応じた電流をモータ20に供給する。コントローラ28は、ホールセンサ283から入力されたロータ回転角を示す信号に基づいて、三相インバータ281を介してモータ20への通電を制御することで、モータ20の回転数を制御する。
また、コントローラ28には、電流検出アンプ285が電気的に接続されている。電流検出アンプ285は、モータ20の駆動電流をシャント抵抗によって電圧に変換し、更にアンプによって増幅した信号をコントローラ28に出力する。詳細は後述するが、コントローラ28は、非破断式のファスナ9に対応する第2モードが選択されている場合、この信号に基づいて、モータ20を介して駆動機構4の動作を制御する。
更に、コントローラ28には、スイッチ151、モード選択スイッチ171、設定ダイアル175、容器検出スイッチ70、初期位置センサ481、最後方位置センサ482、およびLEDランプ173が電気的に接続されている。コントローラ28は、スイッチ151、モード選択スイッチ171、設定ダイアル175、容器検出スイッチ70、初期位置センサ481、最後方位置センサ482の出力信号に基づいて、適宜、モータ20、LEDランプ173等の動作を制御する。
以下、図4、図7、図10〜図13を参照して、締結工具1によるファスナ8、9を介した作業材Wの締結工程について、破断型のファスナ8を用いて作業材Wを締結する場合、非破断型のファスナ9を用いて作業材Wを締結する場合の順に説明する。
破断型のファスナ8を用いて作業材Wを締結する場合について説明する。使用者は、まず、図4に示すように、ファスナ8(図1参照)に対応するノーズアセンブリ6Aをハウジング10に装着する。更に、使用者は、モード選択スイッチ171のAボタン(図3参照)を押圧する。つまり、モード選択スイッチ171を介して破断式のファスナ8に対応する第1モードを選択する。この場合、コントローラ28は、モード選択スイッチ171の出力信号に基づいて第1モードが選択されたと判断し、次のように動作する。なお、トリガ150が押圧操作されない初期状態では、ネジシャフト46は初期位置(最前方位置)に配置されている。
コントローラ28は、容器検出スイッチ70の出力信号がオフ状態を示す場合、LEDランプ173(図3参照)を点滅させることで、回収容器7が装着されていないことを使用者に報知する。使用者は、報知に応じて、適宜、回収容器7を装着することができる。また、コントローラ28は、容器検出スイッチ70の出力信号がオフ状態を示す間は、トリガ150が押圧操作され、スイッチ151の出力信号がオン状態を示しても、三相インバータ281(図9参照)に制御信号を出力せず、モータ20の駆動開始を保留してもよい。この場合、回収容器7が装着されない状態で締結作業が行われ、ピンテール812が回収通路700の後端から外部へ排出されることを確実に防止することができる。
使用者は、トリガ150の押圧操作の前に、図10に示すように、ファスナ8を仮留め状態とし、ピンテール812の一部を、アンビル61Aのテーパ部622を介してピン把持部65Aの内部通路662内に挿入しておく。回収容器7が装着されており、容器検出スイッチ70がオンとされている場合、コントローラ28(図4参照)は、トリガ150が押圧操作され、スイッチ151がオンとされると、モータ20(図4参照)の正転駆動を開始する。なお、正転駆動とは、モータシャフト21(図4参照)が、ネジシャフト46を後方へ移動させる方向に回転する駆動態様である。
コントローラ28は、第1モードが選択されている場合には、第1モードの正転駆動に対応して予め設定され、メモリに記憶されているモータ20の目標回転数に基づいてモータ20の駆動を制御する。モータ20の回転は、伝達機構3を介してナット41に伝達され、ネジシャフト46が初期位置(最前方位置)から後方へ移動される。これに伴い、連結機構5を介してピン把持部65Aが後方へ引き込まれることで、ピンテール812も、ピン把持部65Aの爪が引張り溝813(図1参照)に係合した状態で強固に把持され、軸方向に後方へ引き込まれる。
上述のように、カラー85の外径は、アンビル61Aのテーパ部622の径よりも僅かに大きく設定されているものの、ピン把持部65Aがピンテール812を把持して後方へ強く引っ張ることで、カラー85は、テーパ部622へと縮径しながら進入する。これに伴い、カラー85は、テーパ部622の傾斜角の軸線A1方向成分および径方向成分に対応する形で、前方および径方向内側へと押圧され変形する。ネジシャフト46によってピン把持部65Aが更に後方へ引き込まれると、アンビル61Aに係止されたカラー85は、テーパ部622により深く入り込む。この結果、カラー85は更に前方および径方向内側へと強く押圧され、ヘッド83との間で作業材Wを強固に挟持した状態で、その内周面が、ベース部816に形成された加締め溝817(図1参照)に強く圧着される。これにより、カラー85と加締め溝817との間で塑性変形による噛み込みが生じ、カラー85の軸部81(ベース部816)に対する加締めが完了する。
なお、カラー85を軸部81(ベース部816)に加締めるには、強い負荷が必要である。この負荷は、ピン把持部65A、連結機構5、ネジシャフト46を経由して、前側方向への軸力として、ナット41に作用する。これに対し、本実施形態では、ナット41の前端がスラスト転がりベアリング415を介してインナハウジング12に支持されている。よって、スラスト転がりベアリング415が軸線A1周りに転動してナット41の回転動作を許容しつつ、前側方向への軸力を確実に受けることで、軸力がナット41の円滑な回転動作の妨げとなることを未然に防止している。
上述のように、ピン80の小径部811の強度は、カラー85をベース部816に加締めるのに要するものより大きな軸力(引張り力)が所定の大きさとなると破断するように構成されている。よって、カラー85がベース部816に加締められた後、ネジシャフト46が更に後方へ移動されると、ネジシャフト46が最後方位置に達する前に、引張り力が所定の大きさに達した時点で、軸部81が小径部811で破断し、カラー85に加締められたベース部816から、ピンテール812が分離される。ピンテール812を把持しているピン把持部65Aは、破断とともにピンテール812が分離することにより、後方への衝撃を受けるが、第3連結部53がコイルバネ55の弾性力を受けつつ第2連結部52に対して軸線A1方向に相対移動することで、衝撃が効果的に緩和される。
分離されたピンテール812がピン把持部65Aに把持された状態で、ネジシャフト46が更に後方へ移動され、図11に示すように、最後方位置に達すると、磁石486が最後方位置センサ482の検出範囲内に進入する。コントローラ28(図4参照)は、最後方位置センサ482の出力信号に基づき、ネジシャフト46が最後方位置に達したと判断すると、モータ20の駆動を停止することで、ネジシャフト46の後方への移動を停止する。これにより、ファスナ8による作業材Wの締結工程が完了する。
その後、コントローラ28は、次の締結工程に備えるべく、ピン把持部65Aを初期状態へ復帰させる処理を行う。まず、コントローラ28は、使用者によるトリガ150の押圧操作が解除され、スイッチ151がオフとされると、モータ20の逆転駆動を開始する。なお、逆転駆動とは、モータシャフト21が、ネジシャフト46を前方へ移動させる方向に回転する駆動態様である。コントローラ28は、第1モードの逆転駆動に対応して予め設定され、メモリに記憶されているモータ20の目標回転数に基づいてモータ20の駆動を制御する。モータ20の回転は、伝達機構3を介してナット41に伝達され、ネジシャフト46が最後方位置から前方へ移動される。これに伴い、連結機構5を介してピン把持部65Aが前方へ移動される。
コントローラ28は、初期位置センサ481の出力信号に基づき、ネジシャフト46が初期位置(最前方位置)に達したと判断すると、モータ20の駆動を停止することで、ネジシャフト46の前方への移動を停止する。なお、ピンテール812は、多くの場合、ピン把持部65Aとともに初期位置に戻されるが、ピン把持部65Aの爪が引張り溝813(図1参照)に緩く係合した状態にあるため、ピンテール812は、ピン把持部65Aから離脱可能となる。回収通路700は、次の締結工程で別のファスナ8のピンテール812によって後方へ押し込まれたピンテール812、あるいは、締結工具1が動かされて係合が解除されたピンテール812の通過を許容する。図10および図11に示すように、回収容器7は、回収通路700を通過し、回収容器7まで到達したピンテール812を収容する。なお、本実施形態では、回収通路700は軸線A1に沿って直線状に設けられているため、ピンテール812のスムーズな通過を許容する。
非破断型のファスナ9を用いて作業材Wを締結する場合について説明する。使用者は、まず、図7に示すように、ファスナ9(図2参照)に対応するノーズアセンブリ6Bをハウジング10に装着する。なお、ファスナ9の場合、ピン90は破断しないため、使用者は、締結工具1の全長を短くするために、回収容器7のうち、蓋部材75のみを容器連結部13に装着すればよい。また、使用者は、設定ダイアル175(図3参照)を手動操作して、コントローラ28(図4参照)によって加締めの完了判断に用いられるモータ20(図4参照)の駆動電流値に関する閾値を設定する。なお、閾値は、作業材Wの材質や仕様、ファスナ9の材質や仕様等の作業スペックに対応して必要となる引張り力、すなわち加締めに必要な負荷に応じて使用者が任意に設定することができる。
なお、本実施形態では、設定ダイアル175は、回転位置(基準位置からの回転量)に応じて無段階で閾値の調整が可能とされており、上面には、その目安としての数値が段階的に(例えば、6段階で)表示されている。コントローラ28は、設定ダイアル175からの出力信号に基づいて、設定された閾値(基準位置からの回転量)を特定し、メモリに記憶する。
更に、使用者は、モード選択スイッチ171のBボタン(図3参照)を押圧する。つまり、モード選択スイッチ171を介して非破断式のファスナ9に対応する第2モードを選択する。この場合、コントローラ28は、モード選択スイッチ171の出力信号に基づいて第2モードが選択されたと判断し、次のように動作する。
本実施形態では、第2モードが選択された場合には、コントローラ28は、回収容器7の装着有無に関する判断は行わない。但し、蓋部材75のみが装着された場合でも、蓋部材75によって、容器検出スイッチ70はオンとされる。ネジシャフト46が最後方位置に配置されると、延設シャフト47の後端がガイドチューブ118から後方へ突出するため、蓋部材75は装着された方がより好ましいともいえる。よって、コントローラ28は、第1モードの場合と同様、LEDランプ173による報知や、モータ20の駆動開始を保留する処理を行ってもよい。
使用者は、トリガ150(図4参照)の押圧操作の前に、図12に示すように、ファスナ9を仮留め状態とし、軸部91の後端部を、アンビル61Bの開口端630から突出している把持爪671に挿入し、把持爪671を引張り溝913(図2参照)に係合させる。コントローラ28(図4参照)は、トリガ150が押圧操作され、スイッチ151(図4参照)がオンとされると、モータ20の正転駆動を開始する。コントローラ28は、第2モードの正転駆動に対応して予め設定され、メモリに記憶されているモータ20の目標回転数に基づいてモータ20の駆動を制御する。なお、コントローラ28は、設定ダイアル175を介して設定された閾値に応じて、目標回転数を設定してもよい。
モータ20の回転は、伝達機構3を介してナット41に伝達され、ネジシャフト46が初期位置(最前方位置)から後方へ移動される。これに伴い、連結機構5を介してピン把持部65Bが後方へ引き込まれることで、軸部91の後端部も把持爪671が引張り溝913(図2参照)に係合した状態で強固に把持され、軸方向に後方へ引き込まれる。
ファスナ8の場合と同様、ピン把持部65Bが軸部91の後端部を把持して後方へ強く引っ張ることで、カラー95は、テーパ部632へと縮径しながら進入する。ピン把持部65Bが後方へ引き込まれるのにつれて、カラー95は、前方および径方向内側へと強く押圧され変形する。このとき、スラスト転がりベアリング415は、第1モードの場合と同様に作用する。更にネジシャフト46が後方へ移動され、図13に示すように、カラー95がそれ以上ボア631内で後方へ入り込むことができない状態に陥ると(すなわち加締めの最終段階に至ると)、モータ20(図4参照)の駆動状態が急激に変化する。具体的には、モータ20の負荷が急激に増大する。そこで、本実施形態では、コントローラ28(図4参照)は、モータ20の負荷に対応する物理量であるモータ20の駆動電流に基づき、加締めの完了を判断する。
具体的には、コントローラ28は、電流検出アンプ285(図9参照)の出力信号に基づいて、モータ20の駆動電流値を算出し、予め設定され、メモリに記憶されている所定の閾値と比較する。なお、閾値は、上述のように使用者が設定ダイアル175(図3参照)を手動操作することで適宜設定されている。コントローラ28は、モータ20の駆動電流値が閾値を超えていると判断した場合、加締めが完了したと判断し、三相インバータ281(図9参照)を介してモータ20の駆動を停止する。これにより、ファスナ9による作業材Wの締結工程が完了する。なお、本実施形態では、駆動電流値が所定の閾値を超える場合、電気ブレーキを作動させてモータ20を急停止させる構成が採用されている。なお、電気ブレーキに代えて、機械的なブレーキによって、モータ20を急停止させる構成が採用されてもよい。
その後、コントローラ28は、次の締結工程に備えるべく、ピン把持部65Bを初期状態へ復帰させる処理を行う。まず、コントローラ28は、使用者によるトリガ150の押圧操作が解除され、スイッチ151がオフとされると、モータ20の逆転駆動を開始する。コントローラ28は、第2モードの逆転駆動に対応して予め設定され、メモリに記憶されているモータ20の目標回転数に基づいてモータ20の駆動を制御する。モータ20の回転は、伝達機構3を介してナット41に伝達され、ネジシャフト46が後方への移動を停止された時の位置から前方へ移動される。これに伴い、軸部91の後端部を把持した状態のピン把持部65Bが、連結機構5を介して前方へ移動される。
なお、軸部91への加締め時に強い負荷がかけられたことで、カラー95は、アンビル61Bのテーパ部632に強固に圧着されている。このため、軸部91の後端部を把持したピン把持部65Bを前方へ移動させ、カラー95をアンビル61Bから離脱させるためには、第1モードにおいて、分離されたピンテール812を把持したピン把持部65Aを前方へ移動させる場合に比べ、相応に強い負荷が必要とされる。この負荷は、把持爪671、基部672、連結機構5、ネジシャフト46を経由して、後側方向への軸力として、ナット41に作用する。これに対し、本実施形態では、ナット41の後端がスラスト転がりベアリング416を介してインナハウジング12に支持されている。よって、スラスト転がりベアリング416が軸線A1周りに転動してナット41の回転動作を許容しつつ、後側方向への軸力を確実に受けることで、軸力がナット41の円滑な回転動作の妨げとなることが未然に防止される。
なお、加締め作業において必要とされる軸力に比べれば、カラー95をアンビル61Bから離脱させるのに必要とされる軸力は相対的に小さい。よって、本実施形態では、ナット41の後端側に配置されるスラスト転がりベアリング416として、占有空間がボールベアリングよりも小さくて済むスラストニードルベアリングが採用されている。
コントローラ28は、初期位置センサ481の出力信号に基づいて、ネジシャフト46が初期位置(最前方位置)に達したと判断すると、モータ20の駆動を停止することで、ネジシャフト46の前方への移動を停止する。なお、ネジシャフト46が初期位置まで戻ると、図12に示すように、把持爪671はボア631の開口端630よりも前方に突出しており、カラー95はアンビル61Bから前方へ離脱し、軸部91の後端部は、把持爪671から離脱可能な状態となる。
ところで、本実施形態では、ネジシャフト46の軸線A1方向における移動可能範囲として、初期位置センサ481と最後方位置センサ482の離間距離相当分が割り当てられている。換言すれば、磁石486が初期位置センサ481に対応する位置から、最後方位置センサ482に対応する位置までの間の距離が、ネジシャフト46の移動可能範囲として与えられる。例えば、把持爪671が軸部91に係合していない状態でトリガ150が押圧操作された場合、実質的に無負荷状態にあるモータ20の駆動電流値は所定の閾値に達することがない。この場合、ネジシャフト46は、磁石486が最後方位置センサ482の検出範囲に到達するまで、後方に移動可能である。一方、把持爪671が軸部91を把持し、上述した加締めを行う場合は、加締め作業の完了に際してモータ20の駆動電流値が急増し、磁石486が最後方位置センサ482の検出範囲に到達するよりも前に、駆動電流値が所定の閾値を超え、その時点でモータ20の駆動が停止されることとなる。
以上に説明したように、本実施形態の締結工具1では、駆動機構4が電動式のモータ20によって駆動されるため、流体圧を用いた駆動機構が採用される場合に比べ、締結工具1全体の構成をコンパクト化することができる。また、駆動機構4の動作モードは、破断式のファスナ8に対応する第1モードと、非破断式のファスナ9に対応する第2モードの間で選択的に切り替え可能である。軸部81を破断させて締結工程を完了する第1モードは、破断式のファスナ8には対応できるが、非破断式のファスナ9に対応できない。そこで、本実施形態では、駆動機構4がモータ20によって駆動される場合、加締めの進行に伴ってピン90とカラー95に作用する相対的な軸方向の力が増大するにつれ、モータ20の駆動状態が変化する(モータ20の駆動電流値が増大する)点に着目して、非破断式のファスナ9に対応可能な第2モードが用意されている。これにより、締結工具1は、動作モードの切替えによって、破断式のファスナ8および非破断式のファスナ9のどちらにも対応することができる。
また、本実施形態の締結工具1では、ピンテール812の回収容器7の容積が可変であるため、使用者は、自己のニーズに応じて回収容器7の容積を変更すればよい。例えば、回収容器7からのピンテール812の排出頻度を少なくしたい使用者は、筒状部材71の連結数を増やすことで、回収容器7の容積を大きくすればよい。一方、例えば、使用するファスナ8の数がそれほど多くない場合、回収容器7の容積を大きくする必要はないため、筒状部材71の連結数を最小限とすればよい。このように、使用者のニーズにより柔軟に対応可能なピンテール812の回収容器7を備えた締結工具1が実現されている。
上記実施形態は単なる例示であり、本発明に係る締結工具は、例示された締結工具1の構成に限定されるものではない。例えば、下記に例示される変更を加えることができる。なお、これらの変更は、これらのうちいずれか1つのみ、あるいは複数が、実施形態に示す締結工具1、あるいは各請求項に記載された発明と組み合わされて採用されうる。なお、以下の説明では、上記実施形態で説明した締結工具1と基本的に同一の構成には、同じ符号を付して説明を省略または適宜簡略化するものとする。
[回収容器の変形例]
以下、図14および図15を参照して、変形例に係る回収容器701について説明する。
図14および図15に示すように、回収容器701は、上記実施形態のアウタハウジング11(詳細には、容器連結部13)に着脱可能に構成されている。回収容器701は、第1部材702と、少なくとも第1部材702の軸方向(軸線A1方向、締結工具1の前後方向)に相対移動可能に第1部材702に連結された第2部材707とを含む。本変形例では、回収容器701は、樹脂製である。
第1部材702は、円筒状に形成され、アウタハウジング11に着脱可能に構成されている。より詳細には、第1部材702の前端部には、筒状部材71の第1連結部713(図4参照)と同様の連結部703が設けられている。連結部703の内周面には、容器連結部13の雄ネジに螺合可能な雌ネジが形成されている。また、第1部材702には、係止溝704が形成されている。係止溝704は、概ね前後方向に(第1部材702の軸方向に)直線状に延在するガイド部705と、ガイド部705に直交する方向に切り欠かれた複数の係止部706とを含む。本実施形態では、7つの係止部706が、前後方向において等間隔に配置されている。
一方、第2部材707は、有底円筒状に形成されている。図15に示すように、第2部材707には、径方向内側に突出する円柱状の係止突起708が設けられている。なお、係止突起708は、第2部材707と一体成形されていてもよいし、別体として形成されたピン(例えば、金属製やゴム製)が固定されていてもよい。
第1部材702の係止溝704のうち、前後方向に延在するガイド部705の幅(周方向(図14の上下方向)の長さ)は、係止突起708の径よりも若干大きく形成されており、係止突起708がガイド部705内に遊嵌状に配置されたときには、係止突起708は、ガイド部705に沿って第1部材702に対して前後方向に相対移動可能である。
一方、第1部材702の係止溝704のうち、係止部706については、ガイド部705との隣接部分は係止突起708の径と概ね同じ幅とされ、隣接部分よりも係止部706の閉塞端側の部分は、係止突起708の径よりも若干広幅に形成されている。これにより、係止突起708がガイド部705から、隣接部分を通って係止部706の閉塞端に近い部分に配置されると、係止突起708は、使用者が操作しない限り、ガイド部705に戻ることなくガイド部705内に保持される。または、係止突起708が弾性を有するピン(例えばラバーピン)として形成されている場合には、係止部706は均一幅で形成されていてもよい。
使用者は、連結部703を容器連結部13に螺合することで回収容器701をアウタハウジング11に装着した後、第1部材702に対する第2部材707の軸線A1方向の位置を変更することで、回収容器701の容積を変更することができる。具体的には、使用者は、第2部材707を周方向に上方へ回動させることで係止突起708を係止部706から離脱させた後、ガイド部705に沿って軸線A1方向に所望の位置まで移動させ、係止突起708を別の係止部706に係止させればよい。使用者は、このように簡便な方向で、回収容器701の容積を変更することができる。なお、回収容器701が透明の樹脂で形成された場合には、使用者は、回収容器701にたまったピンテール812の量を視認できるため、多数のファスナ8を締結する過程で、必要に応じて容積を大きくすることができる。
なお、更なる変形例として、第1部材702に係止溝704を設ける代わりに、第1部材702の外周面に、多段式の係止突起を軸方向(軸線A1方向、前後方向)に延在するように設け、第2部材707に、係止突起に係止可能な可撓性のある係止爪を設けてもよい。また、第1部材702の外周面の概ね全長に亘って雄ネジを形成し、第2部材707の内周面の概ね全長に亘って第1部材702の雄ネジに螺合可能な雌ネジを形成してもよい。この場合、第1部材702に対する第2部材707の軸方向(軸線A1方向、前後方向)における位置を、無段階に変更することができる。つまり、回収容器の容積を無段階で調整することができる。また、例えば、軸線A1方向に伸縮可能な蛇腹状に形成された回収容器も採用可能である。なお、回収容器7、701や、ここに例示された変形例はすべて、回収容器自体の体積(外形ともいえる)が容積(内部に収容可能なピンテール812の容量ともいえる)に応じて変化する例である。しかし、回収容器自体の体積は変化せず、容積のみが可変であってもよい。
また、回収容器7、701は、必ずしも全体がアウタハウジング11から取り外し可能に構成されていなくてもよい。例えば、回収容器7のうち、筒状部材71の1つがアウタハウジング11に固定され、固定された筒状部材71に対して別の筒状部材71または蓋部材75が着脱可能であってもよい。回収容器701のうち、第1部材702はアウタハウジング11に固定され、第2部材707の後端面に開閉可能な蓋部が設けられていてもよい。また、回収容器7、701のハウジング11への着脱や、筒状部材71同士または筒状部材71と蓋部材75との連結は、螺合のほか、突起と凹部の係合、バヨネット結合等に変更されてもよい。なお、螺合の場合、上述の例と、雄ネジと雌ネジの配置関係が逆にされてもよい。
また、上記実施形態では、回収容器7の複数の筒状部材71は、すべてが同一構成を有する。この場合、上述の通り、筒状部材71を区別して扱う必要がないため着脱が容易であることに加え、同じ金型で製造できることから、コスト面からも好ましい。しかしながら、回収容器7のように、複数の部材が選択的に連結されることで容積が可変とされる場合、連結可能な複数の部材は、すべて同一構成を有する必要はない。例えば、複数の部材の夫々で、容積、形状、材質、連結のための構成のうち少なくとも1つが異なってもよい。
更に、回収通路700は、軸線A1に沿って直線状に設けられる必要はない。つまり、回収容器7、701のアウタハウジング11に対する装着位置は、後端部に限られず、駆動機構4の構成や回収通路700の配置に応じて、適切にピンテール812をハウジング10の外部に排出可能な位置に変更されればよい。
[回収容器を検出するための構成の変形例]
以下、図16を参照して、回収容器7を検出するための構成の変形例として、容器検出センサ791について説明する。
図16に示すように、容器検出センサ791は、容器検出スイッチ70(図4参照)と同様、アウタハウジング11の後端部に配置されている。容器検出センサ791は、非接触で回収容器701を検出可能に構成されている。具体的には、容器検出センサ791は、初期位置センサ481および最後方位置センサ482(図4参照)と同様の磁気式センサとして構成されており、アウタハウジング11に形成された貫通孔から後方を臨むように配置されている。一方、回収容器7(詳細には、第1連結部713)の外面には、第1連結部713が容器連結部13に完全に螺合されたときに容器検出センサ791に対向するように磁石792が取り付けられる。
回収容器7がアウタハウジング11に装着されると、容器検出センサ791の検出範囲内に磁石792が配置され、容器検出センサ791によって検出される。本変形例においても、コントローラ28(図4参照)は、容器検出センサ791からの出力信号に基づいて、適宜、LEDランプ173(図3参照)を点滅させる、モータ20の駆動開始を保留する等の処理を行うことができる。
なお、非接触で回収容器7を検出するための構成は、磁気式のセンサに限られず、例えば、投光部と受光部を備えた周知の光電センサ等が採用可能である。また、回収容器7を検出する構成は、ピンテール812が外部に排出されるのを未然に防止するという観点からは設けられることが好ましいが、必ずしも設けられる必要はない。検出結果に基づいて報知が行われる場合には、例示されたLEDランプ173を介した光による報知に代えて、スピーカを介した音による報知、ディスプレイを介した画像による報知が採用されてもよいし、これらのうち複数が組み合わせられてもよい。また、回収容器7、701が装着されていない場合に、報知は行わずに、モータ20の駆動開始を保留する処理のみを行ってもよい。
[動作モードを選択的に切り替えるための構成の変形例]
以下、破断式のファスナ8に対応する第1モードと、非破断式のファスナ9に対応する第2モードの間で動作モードを選択的に切り替えるための構成の変形例について説明する。
まず、第1の変形例として、動作モードを選択可能な操作部材が変更された例について説明する。上記の実施形態では、動作モードの選択には、締結工具1のアウタハウジング11に設けられたモード選択スイッチ171(図3参照)が使用されている。これに対し、締結工具1は、使用者が設定ダイアル175(図3参照)を手動操作することで、上記実施形態の駆動電流値に関する閾値の設定に加え、動作モードの選択を行えるようにされてもよい。この場合、締結工具1には、モード選択スイッチ171は設けられなくてよい。
本変形例では、コントローラ28は、設定ダイアル175からの出力信号に基づいて、設定ダイアル175の回転位置が、基準位置から所定範囲内にあると判断した場合には、第2モードが選択されたと判断する。そして、回転位置に応じた閾値を設定し、上述の実施形態と同様、駆動電流値と閾値との比較結果に基づいて締結工程を完了する。一方、コントローラ28は、設定ダイアル175の回転位置が所定範囲を超えたと判断した場合には、第1モードが選択されたと判断し、ピン80を破断させて締結工程を完了する。
より具体的には、例えば、設定ダイアル175に複数の数値を示す目盛を設けておき、このうちの所定の数値を、第2モードと第1モードとを切り替える境界とすることができる。この場合、使用者は、設定ダイアル175を目盛上の所定の数値未満の位置まで無段階に回転させることで、第2モードの選択および駆動電流値に関する閾値の設定を行う一方、所定の数値以上の位置まで回転させることで、第1モードの選択を行えばよい。このように、本変形例では、動作モードの選択と、第2モードにおいて加締めの完了の判断に用いられる駆動電流値の閾値の設定という2つの機能が単一の設定ダイアル175で実現されている。
なお、動作モードを選択可能な操作部材としては、モード選択スイッチ171や設定ダイアル175(図3参照)のほか、例えば、タッチパネルが採用されてもよい。
以下、動作モードを選択的に切り替えるための構成の第2の変形例について説明する。第2の変形例は、ハウジング10に装着されているノーズアセンブリ6の種類に応じて、コントローラ28が、動作モードを第1モードと第2モードの間で自動的に切り替える例である。
具体的には、図17に示すように、第2の変形例に係る締結工具101には、締結工具1のモード選択スイッチ171(図3参照)に代えて、リーダ178が設けられ、コントローラ28に電気的に接続されている。一方、図示は省略するが、ノーズアセンブリ6A、6Bには、夫々の識別情報が記憶された周知の電子タグ(ICタグ、RFタグ、無線タグともいう)が取り付けられている。リーダ178は、例えば無線電波を利用して、非接触で電子タグに記憶された識別情報を読み取り可能な周知の構成を有する。
本変形例では、ノーズアセンブリ6Aまたは6Bがノーズ保持部69を介してアウタハウジング11に装着されると、電子タグがリーダ178の通信領域に進入し、リーダ178が、電子タグに記憶された識別情報を読み取り、識別情報に応じた信号を出力する。コントローラ28は、リーダ178の出力信号に基づいて、動作モードを選択的に切り替え、上述の実施形態と同様に、モータ20を介して駆動機構4の動作を制御する。
具体的には、コントローラ28は、リーダ178の出力信号に基づき、ノーズアセンブリ6Aが装着されていると判断した場合、ピン80を破断させて締結工程を完了する。一方、コントローラ28は、ノーズアセンブリ6Bが装着されていると判断した場合、駆動電流値と閾値との比較結果に基づいて締結工程を完了する。
なお、ハウジング10に装着されているノーズアセンブリ6の種類を検出する構成としては、非接触で電子タグに記憶された識別情報を読み取るリーダ178に代えて、接触式のスイッチが採用されてもよい。
また、第2モードが選択された場合、加締めの完了の判断に用いられる駆動電流値に代えて、モータ20の駆動状態(具体的にはモータ20の負荷)に対応する他の物理量が用いられてもよい。例えば、バッテリの内部抵抗値や電圧降下値等が採用されてもよい。この場合、電流検出アンプ285に代えて、採用された物理量を検出可能な任意の構成が採用されうる。
上記実施形態およびその変形例の各構成要素と本発明の各構成要素との対応関係を以下に示す。ファスナ8、9は、各々が本発明の「ファスナ」に対応する構成例であって、夫々、「破断式のファスナ」、「非破断式のファスナ」に対応する構成例である。ピン80、90は、本発明の「ピン」に対応する構成例である。軸部81、91は、本発明の「軸部」、ヘッド83、93は本発明の「ヘッド」に夫々対応する構成例である。小径部811、812は、夫々、本発明の「小径部」、「ピンテール」に夫々対応する構成例である。軸部91の後端部は、本発明の「端部領域」に対応する構成例である。カラー85、95は、本発明の「カラー」に対応する構成例である。作業材Wは、本発明の「作業材」に対応する構成例である。
締結工具1は、本発明の「締結工具」に対応する構成例である。軸線A1は、本発明の「軸線」に対応する構成例である。アンビル61(61A、61B)は、夫々、本発明の「アンビル」に対応する構成例である。ピン把持部65(65A、65B)は、本発明の「ピン把持部」に対応する構成例である。駆動機構4は、本発明の「駆動機構」に対応する構成例である。ボールネジ機構40、ネジシャフト46、ナット41は、夫々、本発明の「ボールネジ機構」、「ネジシャフト」、「ナット」に対応する構成例である。モータ20は、本発明の「モータ」に対応する構成例である。コントローラ20は、本発明の「制御部」に対応する構成例である。ハウジング10(アウタハウジング11、インナハウジング12)は、本発明の「ハウジング」に対応する構成例である。電流検出アンプ285は、本発明の「駆動状態検出部」に対応する構成例である。
内部通路662、回収通路700は、開口部117は、夫々、本発明の「内部通路」、「回収通路」、「排出口」に対応する構成例である。回収容器7、701は、各々、本発明の「回収容器」に対応する構成例である。容器連結部13は、本発明の「容器連結部」に対応する構成例である。容器検出スイッチ70、容器検出センサ791は、各々、本発明の「容器検出部」に対応する構成例である。モード選択スイッチ171、設定ダイアル175は、各々、本発明の「操作部材」に対応する構成例である。リーダ178は、本発明の「種類検出部」に対応する構成例である。
更に、本発明および上記実施形態とその変形例の趣旨に鑑み、以下の態様が構築される。以下の態様は、実施形態に示す締結工具1、上記変形例、または各請求項に記載された発明と組み合わされて採用されうる。
[態様1]
前記制御部は、前記第1モードが選択された場合には、前記駆動機構を介して、前記カラーを前記溝に加締めるのに要するよりも大きく、前記軸部が前記小径部で破断するだけの大きさの所定の引張り力を前記ピン把持部に与えた後、前記ピン把持部の前記アンビルに対する前記第1方向への相対移動を終了させることで前記締結工程を完了させてもよい。
本態様によれば、所定の引張り力を設定することで、制御部が適切なタイミングで第1モードにおける締結工程を完了させることができる。
[態様2]
態様1において、
前記制御部は、前記駆動機構を介して、前記所定の引張り力よりも大きい引張り力を与えることが可能な所定の位置まで、前記ピン把持部を前記アンビルに対して前記第1方向に相対移動させてもよい。
本態様によれば、所定の位置を設定することで、制御部が適切なタイミングで第1モードにおける締結工程を完了させることができる。
[態様3]
前記モータの前記駆動状態は、前記モータの駆動電流値であってもよい。
本態様によれば、カラーの軸部に対する加締めが完了に近づくにつれてモータの駆動電流が増大することを有効に利用して、綿密な出力管理を行うことができる。
[態様4]
態様3において、
前記制御部は、前記第2モードが選択された場合には、前記駆動電流値が所定の閾値を超える場合に、前記ピン把持部の前記アンビルに対する前記第1方向への相対移動を終了させることで前記締結工程を完了させてもよい。
本態様によれば、モータの駆動電流値に関する所定の閾値を設定することで、制御部が適切なタイミングで第2モードにおける締結工程を完了させることができる。
[態様5]
前記制御部は、前記第1モードが選択された場合には、前記締結工程を完了させた後、前記ピンテールが前記ピン把持部から離脱可能な状態で、前記駆動機構を介して前記ピン把持部を前記アンビルに対して前記第2方向へと相対移動させてもよい。また、前記制御部は、前記第2モードが選択された場合には、前記締結工程を完了させた後、前記駆動機構を介して前記端部領域を把持した状態の前記ピン把持部を前記アンビルに対して前記第2方向へと相対移動させ、これによって、前記軸部に加締められた状態の前記カラーを前記アンビルから離脱させるとともに、前記端部領域を前記ピン把持部から離脱可能としてもよい。
本態様によれば、制御部は、第1モードおよび第2モードの夫々について、締結工程が完了した後、次の締結工程に備えるべく、ピン把持部を初期状態に復帰させることができる。
[態様6]
前記駆動機構は、ネジシャフトとナットとを備えたボールネジ機構を含んでもよい。前記ネジシャフトは、前記軸線に沿って延在するように配置され、前記軸線に沿って移動可能、且つ、前記軸線周りの回動が規制された状態で保持されている。前記ナットは、前記軸線の延在方向への移動が規制された状態で、前記軸線周りに回転可能に前記ハウジングに支持されるとともに、前記モータによって回転駆動されることで、前記ネジシャフトを前記軸線に沿って前記ハウジングに対して相対移動させるように構成されている。前記ピン把持部は、直接的または間接的に前記ネジシャフトに連結されていてもよい。前記締結機構は、更に、前記ナットの前記第1方向側および第2方向側には、夫々、前記ナットの回動を許容しつつ、前記ピン把持部から前記ネジシャフトを介して前記ナットへと伝達される前記軸線方向の軸力を受けるスラスト転がりベアリングが設けられていてもよい。
本態様によれば、ナットの第2方向側に設けられるスラスト転がりベアリングは、ピン把持部をアンビルに対して第1方向に相対移動することでカラーを加締める際に、ピン把持部からナットを介してネジシャフトへと伝達される強い軸力を確実に受け止め、ナットの回転動作が軸力によって阻害されるリスクを未然回避することができる。一方、ナットの第1方向側に設けられるスラスト転がりベアリングは、第2モードにおいて、ピン把持部をアンビルに対して第2方向に相対移動することで軸部に加締められたカラーをアンビルから離脱させる際に、ピン把持部からネジシャフトを介してナットへ伝達される強い軸力を確実に受け止め、ナットの回転動作が強い軸力によって阻害されるリスクを未然回避することができる。