JP6747847B2 - 発光装置 - Google Patents

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(Organic Electro Luminescence:OEL)素子あるいは有機LED(Organic Light Emitting diode:OLED)素子等の発光素子を備えた発光装置に関するものである。
従来の発光装置の1例を図3(a),(b)に示す。図3(a)は発光装置の全体の平面図、図3(b)は(a)のA部及びIC,LSI等から成る駆動素子34を拡大して示す回路図である。この発光装置は、有機LEDプリンタ(OLEDP)ヘッドに適用されるものであり、ガラス基板等から成る長板状の基板31の一面に、複数の発光素子33の発光(点灯)をそれぞれ駆動する複数の駆動回路ブロック32と、基板31の長手方向に沿って2列(2行または2段)に並べられて配置された複数の発光素子33と、駆動回路ブロック32を構成する配線及び駆動回路ブロック32と発光素子33を接続する配線とが、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等の薄膜形成法によって形成されている。複数の駆動回路ブロック32は、複数の発光素子33の列に沿って列状に並べられており、例えば1つの駆動回路ブロック32が400個の発光素子33を駆動するものであり、その駆動回路ブロック32が20個並べられている。従って、発光素子33は合計で8000個ある。また、基板31の一面の一端部には駆動回路ブロック32及び発光素子33を駆動し発光素子33の発光を制御する駆動素子34が、チップオングラス(Chip On Glass:COG)方式等の実装方法によって、設置されている。また、基板31の一面における駆動素子34設置部の近傍の縁部に、フレキシブル回路基板(Flexible Printed Circuit:FPC)35が設置されている。このFPC35は、駆動素子34との間で駆動信号、制御信号等を入出力する。なお、図3において、符号37で示す部位は、駆動素子34と駆動回路ブロック32を接続するデータ配線等の配線である。
図3(b)に示すように、2列を成す2個の発光素子33a,33bに対して1組の駆動回路が形成されており、1組の駆動回路は、シフトレジスタ40、論理和否定(NOR)回路41、インバータ42、CMOSトランスファゲート素子43a,43b、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)44a,44bを有している。TFT44a,44bの各ドレイン電極部に有機LED素子等から成る発光素子33a,33bがそれぞれ接続されている。
1組の駆動回路は、以下のように順次動作する。シフトレジスタ40は、クロック端子(CLK)にハイ(「1」)のクロック信号(CLK)が入力されるとともに入力端子(in)にハイの同期信号(Vsync)が入力されたときに、出力端子(Q)からハイの信号が出力されるとともに反転出力端子(XQ)からロー(「0」)の信号が出力される。次に、NOR回路41は、反転出力端子(XQ)からローの信号が入力されるとともに反転イネーブル信号(XENB)であるローの信号が入力されて、ハイの信号を出力する。次に、インバータ42はローの信号を出力する。次に、CMOSトランスファゲート素子43aは、n型MOSトランジスタのゲート電極部にNOR回路41からのハイの信号が入力されるとともにp型MOSトランジスタのゲート電極部にインバータ42からローの信号が入力されてオン状態となり、データ信号(DATA11)を出力する。次に、データ信号(DATA11)がTFT44aのゲート電極部に入力されてTFT44aがオン状態となり、データ信号(DATA11)に応じた電源電圧(VDD)による電源電流が発光素子33aに供給される。同時に、CMOSトランスファゲート素子43bは、n型MOSトランジスタのゲート電極部にNOR回路41からのハイの信号が入力されるとともにp型MOSトランジスタのゲート電極部にインバータ42からローの信号が入力されてオン状態となり、データ信号(DATA12)を出力する。次に、データ信号(DATA12)がTFT44bのゲート電極部に入力されてTFT44bがオン状態となり、データ信号(DATA12)に応じた電源電圧(VDD)による電源電流が発光素子33bに供給される。以上の一連の動作が、次段の駆動回路によって順次実行されていき、すべての発光素子33が順次発光していく。
また図4は、他の従来例を示す図であり、基板31の長手方向に沿って4列(4行または4段)に並べられて配置された複数の発光素子33を有する構成を示す。この場合、上側2列の発光素子33群に電源電流を供給する上側の駆動回路ブロック32群と、下側2列の発光素子33群に電源電流を供給する下側の駆動回路ブロック32群と、を有している。
また、図3、図4に示すように、基板31の発光素子搭載面の周縁部と、封止基板36の基板31に対向する面の周縁部とが、シール部38によって接着され封止されている。
図5(a)は、図4のB部を拡大して示す部分拡大平面図、図5(b)は、(a)のC1−C2線における断面図である。これらの図に示すように、発光装置は、ガラス基板等の透光性を有する基板51上に形成されたTFT62と、TFT62上にアクリル樹脂、窒化シリコン(SiNx)等から成る絶縁層57を挟んで積層された有機発光体部71、及び有機発光体部71とTFT62のドレイン電極56bとを導電接続するコンタクトホール72を有している。有機発光体部71は、TFT62の側からコンタクトホール72に電気的に接続された第1の電極層58、有機発光層60、第2の電極層61が積層されており、絶縁層57及び第1の電極層58上に有機発光層60を囲むようにアクリル樹脂等から成る他の絶縁層59が形成されている。
また、図5(b)において、符号70で示す部位は第1の電極層58及び第2の電極層61によって有機発光層60に直接的に電界が印加されて発光する発光部である。発光素子33は、平面視で、発光部70、その周囲の第1の電極層58及び有機発光層60を含む部位である。また、第1の電極層58が陽極であってインジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide :ITO)等の透明電極から成り、第2の電極層61が陰極であってAl,Al−Li合金,Mg−Ag合金(Agを5〜10重量%程度含む),Mg−Cu合金(Cuを5〜10重量%程度含む)等の仕事関数が約4.0V以下と低く遮光性、光反射性を有する金属、合金から成る場合、有機発光層60で発光した光は基板51側から出射される。即ち、発光方向(図5(b)の白抜き矢印で示す方向)が下方(底部方向)であるボトムエミッション型の発光装置となる。一方、第1の電極層58が陰極であって上記の遮光性、光反射性を有する金属またはそれらの合金から成り、第2の電極層61が陽極であって透明電極から成る場合、発光方向が上方(頂部方向)であるトップエミッション型の発光装置となる。
TFT62は、基板51側から、ゲート電極52、ゲート絶縁膜53、チャネル部としてのポリシリコン膜54及びポリシリコンに不純物をチャネル部よりも高濃度に含有させた高濃度不純物領域54aから成る半導体膜、窒化シリコン(SiNx),酸化シリコン(SiO2)等から成る絶縁膜55、ソース電極56a及びドレイン電極56bが、順次積層された構成を有している。なお、図5(b)において、符号54acで示す部位はソース電極側の半導体膜54aとソース電極56aとを接続するコンタクトホール、符号54bcで示す部位はドレイン電極側の半導体膜54aとドレイン電極56aとを接続するコンタクトホール、符号56aLで示す部位はソース電極56aにソース信号(電源電流)を伝達するソース信号線(電源線)、符号52Lで示す部位はゲート電極52にゲート信号を伝達するゲート信号線である。各ゲート信号線52Lに入力するゲート信号の電圧を制御することにより、各有機発光層60の発光強度を制御することができる。すなわち、ソース信号線56aLは電源線として機能する。
また図6は、他の従来例を示すものであり、図3(b)のA1部に相当する部位を拡大して示す部分拡大平面図である。また図7は、図6のD1−D2線における断面図である。図6、図7において、図5と同様の部位には同じ符号を付している。図6に示すように、TFT62を介して発光部33の第1の電極層58にソース信号(電源電流)を伝達するソース信号線(電源配線)100(図5の56aLに相当する)は、TFT62からみて発光部33の第1の電極層58と反対側に、TFT62と平面視で重ならない位置に配置されている。また、平面視で電源配線100とTFT62の間には容量素子93が配置されており、容量素子93は、TFT62のゲート電極52と電源配線100とを結ぶ接続線上に配置されている。また、その接続線にはゲート信号線52Lが接続されている。
容量素子93は、一方の電極91とそれと対向する他方の電極92を有しており、電極92は接続電極94およびコンタクトホール95を介して電源配線100に接続されている。また、TFT62のドレイン電極としての接続配線80がゲート電極52と同層に配置されており、接続配線80は接続電極81およびコンタクトホール72を介して第1の電極層58に接続されている。
特開2005−215354号公報
しかしながら、図6、図7に示す上記従来の発光装置においては、以下の問題点があった。すなわち、TFT62と電源配線100が平面視で重ならずに配置されているとともに、電源配線100がTFT62からみて発光部70の第1の電極層58と反対側に配置されているために、発光部70と電源配線100との平面視における間隔が大きくなる。その結果、発光装置の面積が増大して大型化するという問題点があった。
また、図3、図4に示すように、複数の発光部70が基板31の長手方向に並んで配置されている場合、複数の発光部70が並ぶ方向に平行に電源配線100を伸ばして形成しているので、電源配線100を伝達するソース信号(電源電流)が、電源配線100の延伸方向に伝達されるに伴って、電源配線100の抵抗によって電圧降下を起こすという問題点があった。特に、図6に示すように、発光装置の大型化を抑える目的で、電源配線100の幅を小さくすると、上記の電圧降下がより顕著になっていた。
そこで、上記の電圧降下を小さくする目的で、電源供給層をTFTおよび画素電極(発光部70に相当する)の形成領域と重なるように、回路層と異なる層に設ける構成が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。しかしながら、この特許文献1に開示された構成は、新たに付加した絶縁層を間に介して、電源供給層をTFTおよび画素電極の形成領域と重なるように配置しているために、発光装置の厚みが増大して大型化するという問題点があった。また、電源供給層が画素電極の形成領域と重なっているので、電源供給層が遮光層となり、トップエミッション型かボトムエミッション型のいずれかにしか使用できないという問題点があった。
本発明は、上記の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、発光装置の面積を縮小して小型化することができ、また電源配線の電圧降下を小さくすることができ、さらにトップエミッション型とボトムエミッション型のいずれにも使用できる多機能の発光装置とすることである。
本発明の発光装置は、基板と、前記基板上に配置されている薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタと平面視で重ならない前記基板上の部位に配置されるとともに、前記薄膜トランジスタを介して電源電流が供給される有機発光層を有する発光部と、を有している発光装置であって、前記薄膜トランジスタは、前記発光部の発光強度を制御する薄膜トランジスタであり、前記基板上に、絶縁層を介して前記薄膜トランジスタの全体を覆うとともに前記発光部に平面視で重ならずに配置されている、前記電源電流を供給する配線を有している構成である。
本発明の発光装置は、好ましくは、前記発光部は、複数のものが所定の方向に並んで配置されており、前記配線は、前記所定の方向に平行に配置されている。
また本発明の発光装置は、好ましくは、前記薄膜トランジスタは、容量素子が接続されており、前記容量素子は、平面視で前記薄膜トランジスタの周囲に、前記薄膜トランジスタよりも前記発光部に近いかまたは遠くに位置して前記基板上の部位に配置されており、前記配線は、前記容量素子を覆っている。
本発明の発光装置は、基板と、前記基板上に配置されている薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタと平面視で重ならない前記基板上の部位に配置されるとともに、前記薄膜トランジスタを介して電源電流が供給される有機発光層を有する発光部と、を有している発光装置であって、前記薄膜トランジスタは、前記発光部の発光強度を制御する薄膜ト
ランジスタであり、前記基板上に、絶縁層を介して前記薄膜トランジスタの全体を覆うとともに前記発光部に平面視で重ならずに配置されている、前記電源電流を供給する配線を有している構成であることから、以下の効果を奏する。すなわち、平面視で配線を発光部に近い位置に配置できるので、発光装置の面積が縮小される。また、配線の幅を大きくすることができるので、配線の電圧降下を小さくすることができる。さらに、配線が発光部の遮光層とならないので、トップエミッション型とボトムエミッション型のいずれにも使用できる発光装置となる。
本発明の発光装置は、前記発光部は、複数のものが所定の方向に並んで配置されており、前記配線は、前記所定の方向に平行に配置されている場合、配線の電圧降下が小さいので、発光部の発光輝度が所定の方向に進むに伴って低下していくことを抑えることができる。
また本発明の発光装置は、前記薄膜トランジスタは、容量素子が接続されており、前記容量素子は、平面視で前記薄膜トランジスタの周囲に、前記薄膜トランジスタよりも前記発光部に近いかまたは遠くに位置して前記基板上の部位に配置されており、前記配線は、前記容量素子を覆っている場合、配線の幅がより大きくなるので、配線の電圧降下をより小さくすることができる。
図1は、本発明の発光装置について実施の形態の1例を示す図であり、発光装置における1つの発光部とTFTと容量素子と配線の部位を示す平面図である。 図2は、図1のE1−E2線における断面図である。 図3(a),(b)は、従来の発光装置の1例を示すものであり、(a)は発光装置の平面図、(b)は(a)のA部および駆動素子を拡大して示す回路図である。 図4は、従来の発光装置の他例を示すものであり、発光装置の平面図である。 図5(a)は、図4のB部を拡大して示す部分拡大平面図、(b)は(a)のC1−C2線における断面図である。 図6は、従来の発光装置の他例を示すものであり、図3(b)のA1部に相当する部位の平面図である。 図7は、図6のD1−D2線における断面図である。
以下、本発明の発光装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。但し、以下で参照する各図は、本発明の発光装置の実施の形態における構成部材のうち、本発明の発光装置を説明するための主要な構成部材を示している。従って、本発明の発光装置は、図に示されていない回路基板、配線導体、制御IC,LSI等の周知の構成部材を備えていてもよい。
図1、図2は本発明の発光装置を示すものであり、図1は、本発明の発光装置について実施の形態の1例を示す図であり、発光装置における1つの発光部とTFTと容量素子と配線の部位を示す平面図である。図2は、図1のE1−E2線における断面図である。これらの図に示すように、本発明の発光装置は、基板51と、基板51上に配置されているTFT62と、TFT62と平面視で重ならない基板51上の部位に配置されるとともに、TFT62を介して電源電流(ソース信号)が供給される有機発光層60を有する発光部70と、を有している発光装置であって、基板51上に、絶縁層57を介してTFT62を覆うとともに発光部70に平面視で重ならずに配置されている、電源電流を供給する配線82を有している構成である。この構成により以下の効果を奏する。すなわち、平面視で配線82を発光部70に近い位置に配置できるので、発光装置の面積が縮小される。また、配線82の幅を大きくすることができるので、配線82の電圧降下を小さくすることができる。さらに、配線82が発光部70の遮光層とならないので、トップエミッション型とボトムエミッション型のいずれにも使用できる発光装置となる。
本発明の発光装置は、例えば図3に示すように、発光部70は、複数のものが所定の方向、例えば長方形状の基板51の長手方向に、並んで配置されており、配線82は、所定の方向に平行に配置されていることが好ましい。この場合、配線82の電圧降下が小さいので、発光部70の発光輝度が所定の方向に進むに伴って低下していくことを抑えることができる。
また本発明の発光装置は、図1に示すように、TFT62は、容量素子93が接続されており、容量素子93は、平面視でTFT62の周囲に、TFT62よりも発光部70に近いかまたは遠くに位置して基板51上の部位に配置されており、配線82は、容量素子93を覆っていることが好ましい。この場合、配線82の幅がより大きくなるので、配線82の電圧降下をより小さくすることができる。またこの場合、容量素子93は、平面視でTFT62の周囲に、TFT62よりも発光部70に近くに位置して基板51上の部位に配置されていることがより好適である。そうすると、配線82が発光部に平面視でより近い位置に配置されるので、発光装置の面積をより縮小させることができる。
また容量素子93は、平面視でTFT62の周囲に、TFT62よりも発光部70に近いかまたは遠くに位置して基板51上の部位に配置される場合に、TFT62と比べて容量素子93の一部が、TFT62よりも発光部70に近くにあるかまたは遠くにある構成を含むものである。
図1、図2に示す本発明の発光装置は、例えば有機LEDプリンタ(OLEDP)ヘッドに適用されるものであり、その全体構成、駆動制御、発光素子等の構成は、図3〜図7に示す従来例と同様であるので、従来例と共通する部位には同じ符号を付してそれらの詳細な説明は省略する。
配線82は、図3に示す電源配線(ソース信号線)37Dであり、アルミニウム(Al),チタン(Ti),モリブデン(Mo),タンタル(Ta),タングステン(W),クロム(Cr),銀(Ag),銅(Cu),ネオジウム(Nd)等から選ばれた元素から成る金属材料、これらの元素を主成分とする合金材料などを用いて形成される。また配線82は、これらの材料から成る単層構造の導電層、または複数層を積層した積層構造の導電層とすることができる。積層構造とすることにより、低抵抗化を実現することもできる。また配線82は、透光性が必要な場合、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化珪素を添加したインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)等の導電性材料であって、透光性を有する材料を用いて形成することができる。また、配線82の幅は、従来は100μm〜200μm程度であったものが、TFT62のみを覆う構成である場合は200μm〜300μm程度とすることができる。また配線82の幅は、図1、図2に示すように、TFT62および容量素子93を覆う構成である場合、200μm〜600μm程度とすることができる。
また、基板51と配線82との間にある絶縁層57は、有機絶縁層である場合、アクリル樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、エポキシ樹脂、ベンゾシクロブテン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA樹脂)、ポリシロキサン、ポリシラザン等の樹脂材料、またこれら樹脂材料の感光性のものを用いて形成することができる。ポリシロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合によって骨格構造が形成されたものである。またポリシロキサンは、その酸素の置換基として、少なくとも水素を含む有機基、例えばアルキル基、芳香族炭化水素基を有するもの、また酸素の置換基として、少なくとも水素を含む有機基とフルオロ基を有するものであってもよい。ポリシラザンは、珪素(Si)と窒素(N)の結合を有するポリマー材料を出発原料として形成される材料である。さらに有機絶縁層は、感光性の樹脂材料から成る場合、耐久性が良いという理由等から、感光性のアクリル樹脂、感光性のポリイミド、感光性のポリシロキサンから成ることがよい。さらに有機絶縁層は、耐久性に優れること、光透過率が93%程度と高いこと、加工性が高いこと、安価であることから、アクリル樹脂、特には感光性のアクリル樹脂から成ることが好ましい。
また、絶縁層57は、例えば窒化珪素(SiNx),酸化珪素(SiO2)等の無機絶縁層であってもよい。さらに、絶縁層57は、有機絶縁層上に無機絶縁層を積層した構成であってもよい。無機絶縁層は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等の薄膜形成法によって形成される。また図2に示すように、配線82と第1の電極層58が絶縁層57上に同位、すなわち同じ高さ位置にあることがよい。この場合、配線82を上に積層するための新たな絶縁層を絶縁層57と別に形成する必要がないので、発光装置の薄型化が達成される。
本発明の発光装置は、その発光素子33の発光部70が有機発光層60を有するものであるが、発光部70は、第1の電極層58、有機発光層60、第2の電極層61が積層されて構成される。第1の電極層58または第2の電極層61が陽極である場合、その陽極に用いられる透明電極は、インジウム錫酸化物(ITO)、インイジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化珪素を添加したインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)、リン,ボロンを含むシリコン(Si)等の導電性材料であって透光性を有する材料から成る。第1の電極層58または第2の電極層61が陰極である場合、その陰極は、Al,Al−Li合金,Mg−Ag合金(Agを5〜10重量%程度含む),Mg−Cu合金(Cuを5〜10重量%程度含む)等の仕事関数が約4.0V以下と低く遮光性、光反射性を有する金属、合金から成る。
発光素子33をスイッチング制御するTFT62は、基板51側から、ゲート電極52、ゲート絶縁膜53、チャネル部としてのポリシリコン膜54及びポリシリコンに不純物をチャネル部よりも高濃度に含有させた高濃度不純物領域54aから成る半導体膜、窒化シリコン(SiNx),酸化シリコン(SiO2)等から成る絶縁膜55、ソース電極56aが、順次積層された構成を有している。なお、ドレイン電極としての接続配線80は、基板51上に、ゲート電極52と同じ材質でゲート電極52と同層に形成される。TFT62を構成する半導体は低温ポリシリコン(Low-Temperature Poly Silicon:LTPS)、アモルファスシリコン、インジウムガリウム亜鉛酸化物(Indium Gallium Zinc Oxide:IGZO)等の酸化物半導体などから成っていてもよい。またTFT62は、ゲート電極52がチャネル部の下方にあるボトムゲート型のTFTであるか、またはゲート電極がチャネル部の上方にあるトップゲート型のTFTであってもよく、さらにゲート電極がチャネル部の下方及び上方の双方にあるダブルゲート型のTFTであってもよい。トップゲート型のTFT、ダブルゲート型のTFTは、一般に遮光性を有する金属等から成るゲート電極がチャネル部の上方にあるので、チャネル部に光が入り込むことをより抑えることができ好適である。
有機発光層60は、バックライトが不要な自発光型の有機電界発光性を有するものである。例えば有機発光層60は数100nm程度の厚みを有する積層構造体であり、陰極側から電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極を積層したものである。電極層間の各層の厚みは数nm〜数100nm程度である。電極層を含む厚みは1μm程度である。有機発光層60の発光層の発光材料としては、低分子蛍光色素材料、蛍光性の高分子材料、金属錯体材料等が採用し得る。
発光層に正孔を注入しやすくするためには発光層のイオン化エネルギーが6.0eV以下であることがよく、発光層に電子を注入しやすくするためには発光層の電子親和力が2.5eV以上であることがよい。発光層の発光材料としては、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)、ビス(ベンゾキノリノラト)ベリリウム錯体(BeBq)、トリ(ジベンゾイルメチル)フェナントロリンユーロピウム錯体(Eu(DBM)3(Phen))、ジトルイルビニルビフェニル(DTVBi)などがある。高分子材料としては、蛍光性のポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリアルキルチオフェン等のπ共役高分子があり、これらの高分子材料は置換基の導入によってキャリア輸送性を制御することができる。電子輸送層の材料としては、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレンテトラカルボン酸誘導体等が採用し得る。正孔輸送層の材料としては、1,1-ビス(4-ジ-p-アミノフェニル)シクロヘキサン、トリフェニルアミン誘導体、カルバゾール誘導体等が採用し得る。正孔輸送層に正孔を注入する正孔注入層の材料としては、銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン、芳香族ジアミン等が採用し得る。
第1の電極層58、有機発光層60、第2の電極層61は、蒸着法、スパッタリング法等の薄膜形成法等によって形成され得る。例えば、第1の電極層58はスパッタリング法等によって形成でき、有機発光層60は真空蒸着法、インクジェット法、スピンコート法、印刷法等によって形成でき、第2の電極層61は電子ビーム(Electron Beam:EB)蒸着法、スパッタリング法等によって形成できる。
なお、本発明の発光装置は、上記実施の形態に限定されるものではなく、適宜の設計的な変更、改良が施されていてもよい。
本発明の発光装置は、例えば、長板状の基板51の長手方向(所定の方向)に複数の発光素子33を列状に並ぶように形成することによって、有機LEDプリンタ(OLEDP)ヘッドとして構成し得る。また、基板51が矩形状等の形状であり、複数の発光素子33を2次元的(平面的に)並ぶように形成することによって有機EL表示装置として構成し得る。さらに本発明の発光装置及び発光装置を用いた有機EL表示装置は、各種の電子機器に適用できる。その電子機器としては、照明装置、自動車経路誘導システム(カーナビゲーションシステム)、船舶経路誘導システム、航空機経路誘導システム、自動車等の乗り物の計器用インジケータ、インスツルメントパネル、スマートフォン端末、携帯電話、タブレット端末、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、電子手帳、電子書籍、電子辞書、パーソナルコンピュータ、複写機、ゲーム機器の端末装置、テレビジョン、商品表示タグ、価格表示タグ、産業用のプログラマブル表示装置、カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー、ファクシミリ、プリンター、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機、医療用表示装置、デジタル表示式腕時計、スマートウォッチなどがある。
51 基板
57 絶縁層
62 薄膜トランジスタ
60 有機発光層
70 発光部
82 配線
93 容量素子

Claims (3)

  1. 基板と、
    前記基板上に配置されている薄膜トランジスタと、
    前記薄膜トランジスタと平面視で重ならない前記基板上の部位に配置されるとともに、前記薄膜トランジスタを介して電源電流が供給される有機発光層を有する発光部と、を有している発光装置であって、
    前記薄膜トランジスタは、前記発光部の発光強度を制御する薄膜トランジスタであり、
    前記基板上に、絶縁層を介して前記薄膜トランジスタの全体を覆うとともに前記発光部に平面視で重ならずに配置されている、前記電源電流を供給する配線を有している発光装置。
  2. 前記発光部は、複数のものが所定の方向に並んで配置されており、
    前記配線は、前記所定の方向に平行に配置されている請求項1に記載の発光装置。
  3. 前記薄膜トランジスタは、容量素子が接続されており、
    前記容量素子は、平面視で前記薄膜トランジスタの周囲に、前記薄膜トランジスタよりも前記発光部に近いかまたは遠くに位置して前記基板上の部位に配置されており、
    前記配線は、前記容量素子を覆っている請求項2に記載の発光装置。
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