JP6747629B1 - フラックス入りワイヤ、及び溶接継手の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本願は、2018年11月27日に、日本に出願された特願2018−221542号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
Pts=[C]+[Si]/7+[Mn]/5+[Cu]/7+[Ni]/20+[Cr]/8+[Mo]/2+[Ti]/5
(2)上記(1)に記載のフラックス入りワイヤでは、前記弗化物、前記酸化物、及び前記炭酸塩を除く化学成分が、前記フラックス入りワイヤの全質量に対する質量%で、Si:0〜0.200%であり、あらゆる形態のSiの合計含有量が、前記フラックス入りワイヤの前記全質量に対する質量%で0.20%以下であってもよい。
(3)上記(1)に記載のフラックス入りワイヤでは、前記弗化物、前記酸化物、及び前記炭酸塩を除く化学成分が、前記フラックス入りワイヤの全質量に対する質量%で、Mn:0.5〜2.6%であってもよい。
(4)上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載のフラックス入りワイヤでは、前記鋼製外皮がシームレス形状であってもよい。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載のフラックス入りワイヤは、前記鋼製外皮の外表面に送給潤滑剤をさらに備え、前記送給潤滑剤の、前記フラックス入りワイヤ10kg当たりの量が0.20〜1.00gであってもよい。
(6)本発明の別の態様に係る溶接継手の製造方法は、上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載のフラックス入りワイヤを用いて鋼材をガスシールドアーク溶接する。
(7)上記(6)に記載の溶接継手の製造方法では、下記式1によって算出される前記鋼材のPcmが0.25%以上であってもよい。
Pcm=C+Mn/20+Si/30+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5×B:式1
(8)上記(6)又は(7)に記載の溶接継手の製造方法では、前記鋼材が、板厚0.8〜3.6mm且つ引張強さ590〜1800MPaの鋼板であってもよい。
なお、通常のフラックス入りワイヤのフラックスにTiO2が含まれる場合がある。このフラックス入りワイヤのフラックス中のTiO2は、電着塗装性の確保の観点からは好ましくない。本実施形態に係るフラックス入りワイヤでは、TiO2を低減する必要があるが、合金成分としてのTiの含有量を最適化する必要がある。合金成分としてフラックス入りワイヤに存在するTiは、溶接の際にTi酸化物へと変化し、スラグに導電性を付与する。
Cは、アークを安定化し、溶滴を細粒化する作用を有する。C含有量が0.03%未満では、溶滴が大きくなってアークが不安定になる。また、C含有量が0.03%未満では、所望の引張強さを有する溶接部を得ることができない。従って、C含有量は0.03%以上とする。C含有量は、好ましくは0.06%以上、0.10%以上、又は0.15%以上である。
Siは、合金元素としてワイヤに存在する場合、溶接金属の脱酸元素として働く。通常の溶接ワイヤでは、脱酸元素として合金Siが積極的に添加される。即ち、アーク溶接時に合金Siを用いて溶融池の脱酸を促進することにより、溶融金属凝固時のCO反応によるブローホールの発生を防止すると共に、溶接金属合金成分の酸化消耗を抑制し溶接部の引張強さを向上させる。しかしながら、電着塗装性の観点では、溶接時に生じるSi酸化物を極力低減させることが望ましい。従って本実施形態に係るワイヤでは、Si含有量を、溶接材料としてはかなり低い水準である0.250%以下とする必要がある。Si含有量は、好ましくは0.200%以下、0.150%以下、又は0.100%以下である。
Mnは、Siと同様に脱酸作用を有する元素である。即ち、Mnはアーク溶接時における溶融池の脱酸を促進し、溶着金属の引張強さを向上させる。従って、Mn含有量は0.5%以上とする。Mn含有量を0.8%以上、1.0%以上、又は1.2%以上としてもよい。
[S:0.030%以下]
P及びSは、溶接金属の靱性を損ね、溶接金属の凝固割れ発生を助長する一方で、有利な効果を有しない。従って、本実施形態に係るワイヤはP及びSを含む必要がなく、P及びSの含有量の下限値は0%である。しかしながら、鋼製外皮及びフラックス中に不純物としてP及びSが含まれる場合がある。P及びSは可能な限り除去されるべきであるが、0.030%以下のP及び0.030%以下のSの含有は許容される。P及びSそれぞれの上限値を0.020%、又は0.025%としてもよい。また、精錬コストを考慮して、P及びSそれぞれの下限値を0.001%以上、0.002%以上、又は0.005%以上としてもよい。
Tiは、合金元素としてワイヤに存在する場合、脱酸剤として作用する。さらにTiは、溶接金属中にTiの微細酸化物を生成することにより、溶接金属の靭性を向上させる効果も有する。加えて、本発明者らは、Ti酸化物を主体とするスラグは電着塗装性を損なわないことを見出した。これは、Ti酸化物が導電性を有するからであると推定される。従って、シールドガス中の酸素をTiと反応させ、スラグの成分をTi酸化物主体とすることで、溶接金属の機械特性を向上させながら溶接部の電着塗装性を確保することが可能となる。さらに、TiはSiの代わりに溶接金属の脱酸元素として作用する。このため、Tiには、溶接金属凝固時のCOガス生成を抑制することによりブローホール生成を抑制する働きもある。上述の効果を得るために、Ti含有量を0.10%以上とする。Ti含有量は、好ましくは0.12%以上、0.15%以上、又は0.18%以上である。
Alは、本実施形態に係るワイヤの課題を解決するために必須ではない。従ってAl含有量の下限値を0%としてもよい。しかし、Alは脱酸元素であって、アーク溶接時における溶融金属の脱酸を促進することにより、溶着金属の引張強さを向上させる。そのため、Al含有量を0.001%以上とすることが好ましい。Al含有量は、さらに好ましくは0.005%以上、0.010%以上、又は0.050%以上である。
Cuは、本実施形態に係るワイヤの課題を解決するために必須ではない。従ってCu含有量の下限値を0%としてもよい。しかし、ワイヤ送給性及びワイヤ導電性を安定化するために、ワイヤの鋼製外皮の表面にCuをめっきしてもよい。この場合、ワイヤの全質量に対する質量%で、Cu含有量が0.2%から0.3%程度となるようにCuめっきすることが好ましい。また、Cuは析出強化作用を有し、溶接金属において変態温度を低下させ、組織を微細化することによりその靭性を安定させる。従って、ワイヤにおいて、Cuは、Cuめっき以外の形態であってもよい。Cu含有量は、好ましくは0.05%以上、0.10%以上、又は0.20%以上である。
Niは、本実施形態に係るワイヤの課題を解決するために必須ではない。従ってNi含有量の下限値を0%としてもよい。しかしNiは、合金元素としてワイヤに存在する場合、溶接部の引張強さと伸びを向上させる効果を有する。従って、Ni含有量を0.01%以上、0.1%以上、0.5%以上、0.8%以上、又は1.0%以上としてもよい。一方、Ni含有量が過剰である場合、溶接割れが発生しやすくなる。従って、Ni含有量は3.0%以下とする。Ni含有量は、好ましくは2.5%以下、2.0%以下、又は1.5%以下である。
Crは、本実施形態に係るワイヤの課題を解決するために必須ではない。従ってCr含有量の下限値を0%としてもよい。しかしCrは、合金元素としてワイヤに存在する場合、溶接部の焼入れ性を高めて引張強さを向上させる効果を有する。従って、Cr含有量を0.01%以上、0.10%以上、0.30%以上、又は0.50%以上としてもよい。一方、Cr含有量が過剰である場合、溶接部の伸びが低下する。従って、Cr含有量は1.50%以下とする。Cr含有量は、好ましくは1.25%以下、1.00%以下、0.80%、0.60%又は0.40%以下である。
Moは、本実施形態に係るワイヤの課題を解決するために必須ではない。従ってMo含有量の下限値を0%としてもよい。しかしMoは、合金元素としてワイヤに存在する場合、溶接部の焼入れ性を高めて引張強さを向上させる効果を有する。従って、Mo含有量を0.01%以上、0.10%以上、0.20%以上、又は0.30%以上としてもよい。一方、Mo含有量が過剰である場合、溶接部の伸びが低下する。従って、Mo含有量は0.70%以下とする。Mo含有量は、好ましくは0.60%以下、0.50%以下、0.40%又は0.30%以下である。
Bは、本実施形態に係るワイヤの課題を解決するために必須ではない。従ってB含有量の下限値を0%としてもよい。しかしBは、合金元素としてワイヤに存在する場合、溶接部の焼入れ性を高めて引張強さを向上させる効果を有する。従って、B含有量を0.0001%以上、0.0020%以上、0.0030%以上、又は0.0040%以上としてもよい。一方、B含有量が過剰である場合、溶接部の伸びが低下する。従って、B含有量は0.0100%以下とする。B含有量を0.0080%以下、0.0060%以下、又は0.0050%以下としてもよい。
Nbは、本実施形態に係るワイヤの課題を解決するために必須ではない。従ってNb含有量の下限値を0%としてもよい。しかしNbは、合金元素としてワイヤに存在する場合、溶接金属中で微細炭化物を形成することにより、析出強化を生じさせて溶接金属の引張強さを向上させる効果を有する。従って、Nb含有量を0.001%以上、0.005%以上、0.010%以上、又は0.050%以上としてもよい。一方、Nb含有量が過剰である場合、溶接部の靭性が低下するおそれがある。従って、Nb含有量は0.300%以下とする。Nb含有量を0.250%以下、0.200%以下、0.050%又は0.030%以下としてもよい。
Snは、本実施形態に係るワイヤの課題を解決するために必須ではない。従ってSn含有量の下限値を0%としてもよい。しかしSnは、合金元素としてワイヤに存在する場合、溶接金属の耐食性を向上させる働きがある。従って、Sn含有量を0.001%以上、0.002%以上、又は0.005%以上としてもよい。一方、Sn含有量が0.010%を超える場合、液体金属脆化割れが生じるおそれがある。従って、Sn含有量を0.010%以下とする。Sn含有量を0.009%以下、0.008%以下、又は0.007%以下としてもよい。
本実施形態に係るワイヤにおいてZrは必須ではない。従って、Zrの含有量の下限値を0%としてもよい。しかしZrは、合金元素としてワイヤに存在する場合、Tiと同様にスラグの導電性を高める効果がある。従って、Zr含有量の下限値を0.001%、0.03%、0.05%、又は0.10%としてもよい。一方、Zr含有量が0.40%を超えると、溶接金属の伸びや靱性が低下する。従って、Zr含有量の上限値を0.40%とする。V含有量を0.35%以下、0.30%以下、又は0.20%以下としてもよい。
[Mg:0〜0.20%]
本実施形態に係るワイヤにおいてMgは必須ではない。従ってMgの含有量の下限値を0%としてもよい。しかしMgは、合金元素としてワイヤに存在する場合、脱酸効果を有し、これにより溶接金属の酸素量を低減して溶接金属の靱性を向上させる。従って、Mg含有量の下限値を0.03%、0.05%、又は0.08%としてもよい。一方、Mg含有量が0.20%を超えると、生成スラグ量が増加してスラグ巻込み等の溶接欠陥が発生しやすくなる。従って、Mg含有量の上限値を0.20%とする。Mg含有量を0.18%以下、0.15%以下、又は0.10%以下としてもよい。
本実施形態に係るワイヤにおいてVは必須ではない。従ってVの含有量の下限値を0%としてもよい。しかしVは、合金元素としてワイヤに存在する場合、溶接金属の強度を向上させることができる。従って、V含有量の下限値を0.001%、0.03%、0.05%、又は0.10%としてもよい。一方、V含有量が0.40%を超えると、溶接金属の靱性を低下することがある。従って、V含有量の上限値を0.40%とする。V含有量を0.35%以下、0.30%以下、又は0.20%以下としてもよい。
Fは、蛍石(CaF2)、弗化ソーダ(NaF)、弗化カリウム(KF)、弗化リチウム(LiF)、弗化マグネシウム(MgF2)、珪弗化カリウム(K2SiF6)、六弗化ジルコン酸カリウム(K2ZrF6)、氷晶石(Na3AlF6)、弗化アルミニウム(AlF3)等の弗化物を構成する成分であり、溶接金属の拡散性水素量を低減して低温割れを防止する効果を有する。また、NaF、Na3AlF6、AlF3、K2SiF6、及びMgF2等は、含有量が適切であれば、アーク安定剤としての働きも有する。しかし、下記により算出されるF換算値の合計(以下、単にF換算値ともいう。)が0.10%未満である場合は、低温割れを十分に抑制できない。一方、弗化物はスパッタを増大させる働きを有し、特にF換算値が0.30%を超えると、アークが荒く不安定になりスパッタ発生量が許容上限を超える。従って、F換算値は0.10〜0.30%とする。F換算値の上限値を0.28%、0.25%、又は0.20%としてもよい。F換算値の下限値を0.12%、0.15%、又は0.18%としてもよい。
また、弗化物の一種であるCaF2は、スパッタ量を増大させて溶接ビード形状を悪化させるおそれがある。従って、原則的に弗化物の種類に制限はないものの、CaF2量は少ないほうが好ましい。具体的には、フラックス入りワイヤの全質量に対する質量%での、弗化物の含有量に対するCaF2の含有量の比が0〜0.50であることが一層好ましい。
(ワイヤのF換算値)=(ワイヤの全質量に対する質量%でのKF含有量)×〔(Fの原子量)/{(Kの原子量)+(Fの原子量)}〕
ワイヤの弗化物が二種以上の弗化物からなる場合、各弗化物から上述の式で算出される値を合計したものが、ワイヤのF換算値となる。したがって、例えば、フラックス入りワイヤの弗化物が、CaF2、MgF2、Na3AlF6、LiF、NaF、K2ZrF6、BaF2、及びK2SiF6である場合、フラックス入りワイヤの全質量に対するF換算値の合計は、以下の数式によって求められる。
(F換算値の合計)=0.487×[CaF2]+0.610×[MgF2]+0.732×[LiF]+0.452×[NaF]+0.402×[K2ZrF6]+0.217×[BaF2]+0.517×[K2SiF6]+0.543×[Na3AlF6]
ここで、上記で括弧で囲まれた化学式は、各化学式に対応する弗化物の、フラックス入りワイヤの全質量に対する質量%での含有量である。
なお、後述する「Ca換算値」、及び「Zr換算値」の定義も、それぞれ、F換算値と同様に、ワイヤ中のCa化合物、及びZr化合物におけるCa、及びZrの、ワイヤ全質量に対する質量%での含有量である。「Ca換算値」、及び「Zr換算値」は、F換算値と同様に算出することができる。後述する「Na2O換算値」及び「K2O換算値」は、ワイヤ中のNa及びKをすべてNa20及びK2Oと見做した場合のNa2O及びK2Oの質量%での含有量である。「Na2O換算値」及び「K2O換算値」は、ワイヤ中のNaの含有量及びKの含有量から算出することができる。
酸化物は、溶接の際にスラグを形成し、溶接ビードの形状を整える作用を有する。上述の作用を得るために、酸化物の含有量は、ワイヤの全質量に対する質量%で0.05%以上とする。酸化物の含有量を0.08%以上、0.10%以上、又は0.15%以上としてもよい。一方、過剰な量のスラグは電着塗装不良を招くおそれがある。従って、酸化物の含有量は、ワイヤの全質量に対する質量%で0.28%以下とする。酸化物の含有量を0.25%以下、0.22%以下、又は0.20%以下としてもよい。なお、酸化物とは、例えばSi酸化物、Ca酸化物(CaO等)、及びTi酸化物(TiO2等)などであり、これらの個々の酸化物の含有量については後述される。
本実施形態に係るワイヤにおいて炭酸塩は必須ではない。従って炭酸塩の含有量の下限値を0%としてもよい。一方、炭酸塩は、溶接の際に分解して炭酸ガスを発生させ、溶接金属への水素侵入を防止する働きを有する。従って、炭酸塩の含有量を0.05%以上、0.08%以上、又は0.10%以上としてもよい。ただし、過剰な量の炭酸塩は、アークを不安定にし、ビード形状不良等を招くおそれがある。従って、炭酸塩の含有量の上限値は0.50%とする。炭酸塩の含有量を0.45%以下、0.40%以下、又は0.30%以下としてもよい。なお、炭酸塩として、例えば、MgCO3、Na2CO3、Li2CO3、CaCO3、K2CO3、BaCO3、FeCO3、及び、MnCO3などが挙げられる。これら個々の炭酸塩の含有量自体は、特に限定されない。即ち、炭酸塩の具体的な種類は特に限定されない。
本実施形態に係るワイヤにおいて鉄粉は必須ではない。従って鉄粉の含有量の下限値を0%としてもよい。一方、鉄粉は、フラックスの充填率の調整のために用いることができる。例えば鉄粉の含有量を0.1%以上、0.5%以上、1.0%以上などとしてもよい。ただし、過剰な量の鉄粉は、鉄粉表面に生成する酸化被膜が原因となりスラグ量を増大させ、電着塗装不良を招くおそれがある。従って、鉄粉の含有量は、フラックス入りワイヤの全質量に対する質量%で10%以下とする。鉄粉の含有量を9%以下、8%以下、又は7%以下としてもよい。鉄粉の種類は特に限定されないが、溶接金属の酸素量の増加を抑制するためにアトマイズ鉄粉が望ましい。
Si酸化物は、珪砂(SiO2)、ジルコンサンド(ZrSiO4)、珪酸ソーダ(Na2SiO3)、及び珪酸カリウム(K2SiO3)等の形態としてワイヤのフラックスに存在する場合がある。Si酸化物は、ビード止端部のなじみを良好にしてビード外観及びビード形状を良好にする働きを有するので、通常のワイヤにおいては所定量以上とされる。しかしながら、本実施形態に係るワイヤにおいては、Si酸化物の含有量を可能な限り低減する必要がある。フラックス中のSi酸化物は、溶接時にスラグ中に排出され、ビード表面に絶縁領域を生じさせる。この絶縁領域において電着塗装性が悪化する。従って、Si酸化物の含有量はSiO2換算値で0.150%以下とされる。Si酸化物の含有量は、好ましくはSiO2換算値で0.100%以下、0.080%以下、0.050%以下、又は0.040%以下である。また、Si酸化物の含有量の下限値はSiO2換算値で0%としてもよい。但し、ワイヤの製造効率を向上させるために、フラックスのバインダーとして水ガラス等のSi酸化物系の材料を用いることは、Si酸化物が上述の範囲内である限り許容される。Si酸化物の含有量をSiO2換算値で0.020%以上、0.025%以上、又は0.030%以上と規定してもよい。
2.14=(28.1+16.0×2)/28.1
Na2O、及びNa2SiO3等の酸化物を構成するNa、並びにK2O、及びK2SiO3等の酸化物を構成するKは、アークを安定化して、スパッタ量を抑制する働きを有する。アークが不安定になると溶接部のシールド状態が乱れ、大気(窒素)の巻き込みによるブローホールの原因となる。また、アークが不安定になると、ワイヤ溶滴先端の溶滴の移行の形態が乱れ、溶融金属の流動状態も不安定となる。これらの結果、溶融金属表面に生成するスラグが局所的に集積し、電着塗装性を低下させる恐れがある。また、スパッタの付着した鋼板表面では、凹凸な表面形状に起因して電着塗装の膜厚がばらつく。このため、スパッタの抑制も電着塗装性向上の観点で必要な要素となる。
[CaO:ワイヤの全質量に対する質量%で0〜0.15%]
Caは、上述のように弗化物(蛍石)、又はCa酸化物のようなCa化合物としてワイヤに存在する場合がある。ただし、Ca化合物はスパッタ量を特に増大させやすい化合物である。従って、Ca化合物の含有量を、フラックスワイヤの全質量に対するCa換算値で0%とすることが好ましい。但し、Caが不純物としてフラックス中に混入する場合がある。不純物としてのCa化合物の含有量は、フラックスワイヤの全質量に対するCa換算値で約0.100%までとする。Ca化合物の含有量の上限値をフラックスワイヤの全質量に対するCa換算値で0.090%、0.080%、又は0.050%としてもよい。また、Ca化合物の含有量の下限値をフラックスワイヤの全質量に対するCa換算値で0.001%、0.010%、又は0.020%としてもよい。
Ca化合物の中でも、特に溶接作業性へ影響が大きいCaOに関しては、別の限定を設ける。具体的には、CaOの含有量を、ワイヤの全質量に対する質量%で0〜0.15%の範囲内とする。CaOの含有量を、0.01%以上、0.02%以上、又は0.03%以上としてもよい。CaOの含有量を、0.13%以下、0.11%以下、0.08%以下又は0.05%以下としてもよい。
本実施形態に係るワイヤにおいてZr化合物は必須ではない。従ってZr化合物の含有量の下限値は0%である。しかし、Zr化合物は、ワイヤに存在する場合、脱酸効果を有しておりこれにより溶接金属の酸素量を低減させる。また、Zr化合物にはビード止端部の形状を改善する効果がある。このため、Zr化合物の含有量を0.020%以上、0.060%以上、又は0.090%以上としても良い。一方、Zr化合物の含有量が0.200%を超えると、生成スラグ量が増加してスラグ巻込み等の溶接欠陥が発生しやすくなる。従って、Zr化合物の含有量の上限値は0.200%とされる。Zr化合物の含有量の上限値を0.180%、0.150%、又は0.100%としてもよい。Zr化合物は、例えばZrSiO4やK2ZrF6などである。
フラックスに含まれるTiO2は、溶接金属に移行せず、スラグとして溶接金属の外に排出される。TiO2は、TiO等のその他のTi酸化物とは異なり、導電性が低い。従って、TiO2は電着塗装性を損なうおそれがある。電着塗装性の確保のために、TiO2の含有量を0.07%以下とする。また、TiO2は本実施形態に係るワイヤの課題を解決するために不要であるので、TiO2の下限値は0%である。TiO2の含有量を0.06%以下、0.05%以下、又は0.04%以下としてもよい。TiO2の含有量を0.01%以上、0.02%以上、又は0.03%以上としてもよい。
なお、本実施形態に係るワイヤの成分である弗化物、Si酸化物、Na化合物、K化合物、Ca化合物、及びZr化合物のうち2以上に該当する化合物の含有量は、その化合物が属する物質それぞれの含有量に算入することとする。例えばZrSiO4はZr化合物に該当し、且つSi酸化物にも該当するが、ZrSiO4がワイヤに存在する場合、ZrSiO4の含有量は、Zr化合物の含有量(Zr換算値)、及びSi酸化物の含有量(SiO2換算値)のいずれにも算入するものとする。換言すると、ZrSiO4の含有量のうちZrが占める部分が、Zr化合物の含有量(Zr換算値)に算入され、ZrSiO4の含有量のうちSiが占める部分が、Si酸化物の含有量(SiO2換算値)に算入される。同様に、K2ZrF6がワイヤに存在する場合、K2ZrF6の含有量は、Zr化合物の含有量(Zr換算値)、K化合物の含有量(K2O換算値)及び弗化物の含有量(F換算値)のいずれにも算入するものとする。
本実施形態に係るワイヤの成分の残部は、Fe及び不純物である。Feは、鋼製外皮、充填率調整のための鉄粉、並びにFe−Si、Fe−Mn、及びFe−Ti合金などの鉄合金粉からなる群から選択されるいずれか一種以上の形態としてワイヤに存在することとなる。不純物とは、本実施形態に係るワイヤを工業的に製造する際に、原料、又は製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本実施形態に係るワイヤに悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。例えば、不純物として鋼製外皮の製鋼時に混入されうるAlは、上述されたように電着塗装性を低下させ得るので少ない方が好ましいが、ワイヤの全質量に対する質量%で0.300%以下であれば許容される。P及びSは、上述されたように溶接金属の靭性を低下させるが、ワイヤの全質量に対する質量%で0.030%以下であれば許容される。Nは、固溶Nとして溶接金属に存在する場合に溶接金属の靭性を損なうが、ワイヤの全質量に対する質量%で0.01%以下であれば許容される。
本実施形態に係るワイヤは、図3及び図4に示されるように、鋼製外皮11を筒状に成型し、その内部にフラックス12を充填した構造である。ワイヤの種類としては、成形された鋼製外皮11の突き合わせ部を溶接して得られる、鋼製外皮11に継ぎ目13の無いワイヤ1と、鋼製外皮11の突き合わせ部の溶接を行わないままとした、鋼製外皮11に継ぎ目13を有するワイヤ2とに大別できる。本実施形態に係るワイヤにおいては、何れの断面構造をも採用することができる。本実施形態に係るフラックス入りワイヤが、継ぎ目13をかしめることによって得られるかしめワイヤであってもよい。
本実施形態に係るワイヤは、鋼製外皮の外表面に送給潤滑剤をさらに備えてもよい。ワイヤの表面の送給潤滑剤は、特に半自動溶接の場合にワイヤの送給性を良好にして、アークが安定でスパッタの発生量を少なくするとともに、溶接欠陥の発生を防止する。ワイヤの表面の送給潤滑剤の量がワイヤ10kg当たり0.20g未満であると、ワイヤ送給性が不良となりアークが不安定でスパッタ発生量が多くなる場合がある。また、この場合、スラグ巻込み欠陥が生じやすくなる場合がある。一方、ワイヤ表面の送給潤滑剤がワイヤ10kg当たり1.00gを超えると、送給ローラ部でワイヤがスリップして、アークが不安定となってスパッタ発生量が多くなる場合がある。また、この場合、溶接金属の拡散性水素量が多くなって低温割れが生じやすくなる場合がある。
Pcm=C+Mn/20+Si/30+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5×B:式1
一般に、鋼材のPcmが高いほど、鋼材の溶接部に低温割れが発生しやすくなる。しかしながら、本実施形態に係る溶接継手の製造方法は、鋼材のPcmが0.25%以上であっても低温割れを充分に抑制することが出来るので、様々な鋼材の溶接に適用可能である。
(i)本発明の別の態様に係るフラックス入りワイヤは、筒状の鋼製外皮と、前記鋼製外皮の内部に充填されたフラックスとを備えるフラックス入りワイヤであって、前記フラックス入りワイヤの全質量に対する質量%で、合金成分として、C:0.03〜0.25%、Si:0.001〜0.250%、Mn:0.5〜3.0%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Ti:0.10〜0.30%、Al:0.001〜0.300%、Cu:0〜0.50%、Ni:0〜3.0%、Cr:0〜1.50%、Mo:0〜0.70%、B:0〜0.0100%、Nb:0〜0.050%、Sn:0〜0.010%、及びMg:0〜0.20%を含有し、さらに、前記フラックス入りワイヤの前記全質量に対する質量%で、弗化物:F換算値の合計で0.10〜0.30%、Si酸化物:SiO2換算値で0〜0.150%、Na化合物及びK化合物:Na換算値及びK換算値の合計で0.100〜0.200%、Ca化合物:Ca換算値で0〜0.100%、及びZr化合物:Zr換算値で0〜0.200%を含有し、残部が前記鋼製外皮、鉄粉、及び鉄合金粉のいずれか一種以上の形態としてのFeと不純物とからなる。
(ii)上記(i)に記載のフラックス入りワイヤでは、あらゆる形態のSiの合計含有量が、前記フラックス入りワイヤの前記全質量に対する質量%で0.30%以下であってもよい。
(iii)上記(i)又は(ii)に記載のフラックス入りワイヤでは、前記鋼製外皮がシームレス形状であってもよい。
(iv)上記(i)〜(iii)のいずれか一項に記載のフラックス入りワイヤは、前記鋼製外皮の外表面に送給潤滑剤をさらに備え、前記送給潤滑剤の、前記フラックス入りワイヤ10kg当たりの量が0.20〜1.00gであってもよい。
(v)本発明の別の態様に係る溶接継手の製造方法は、上記(i)〜(iv)のいずれか一項に記載のフラックス入りワイヤを用いて鋼材をガスシールドアーク溶接する。
(vi)上記(v)に記載の溶接継手の製造方法では、下記式1によって算出される前記鋼材のPcmが0.25%以上であってもよい。
Pcm=C+Mn/20+Si/30+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5×B:式1
(vii)上記(v)又は(vi)に記載の溶接継手の製造方法では、前記鋼材が、板厚0.8〜3.6mm且つ引張強さ590〜1180MPaの鋼板であってもよい。
溶着金属の引張強さは、以下の手順で評価した。まず、BT−HT630に規定される板厚20mmの鋼板を用いて、JIS Z3111:2005に準じて、表4に示す「溶着金属試験」の溶接条件で溶着金属を作製した。この溶着金属部からA0号引張試験片を採取し、これに引張試験を行うことによって測定した。引張強さの基準としては、JIS Z3312:2009の軟鋼および高張力鋼用ソリッドワイヤ「YGW14」または「YGW17」を目安に、420MPa以上の引張強さを有する溶着金属を、引張強さに関して合格と判断した。
電着塗装性の評価に対しては、板厚2.9mmの鋼板を、表4に示す「重ね隅肉溶接試験」の条件で溶接し、その溶接ビード部を評価した。作製した溶接継手を脱脂処理及び化成処理し、その後に、膜厚が20μmとなるように、溶接継手に電着塗装を施した。そして、溶接ビードの電着塗装部を写真撮影し、その画像から、溶接ビード面積に対する電着塗装不良部の面積の比率を測定した。尚、電着塗装不良である部位は、絶縁性の酸化物が露出しているため、色の違いから識別可能である。電着塗装部の画像の例を図2−2に示す。塗装不良面積が面積率で10%以下となったワイヤを、電着塗装性が良好なものであると判断した。なお、重ね隅肉継手の作製に使用した鋼板は、C=0.2%、Si=0.3%、Mn=1.3%,Pcm=0.27%の1.5GPa級ホットスタンプ用鋼板である。
溶接部の耐低温割れ性も、板厚2.9mmの鋼板を重ね隅肉溶接することによって評価した。低温割れを誘発するために、図5に示される低温割れ評価用の溶接継手4を作製した。ここでは、薄板試験片(図5中の鋼板(上板)44及び鋼板(下板)45)の端部に溶接を施し(図5中の拘束溶接部42)、これにより薄板試験片を板厚20mmの拘束板41に拘束した。この状態で、低温割れ評価用の重ね隅肉溶接を実施して、重ね隅肉溶接部43を形成した。溶接後2日以上経過した後に重ね隅肉溶接部43の断面を観察し、観察用断面作成部46における3断面で割れ発生の有無を調査した。なお、溶接条件および使用した鋼板は電着塗装性の評価と同じである。
本発明の溶接ワイヤは、Siの添加量を少なく規定しているので、溶接金属の脱酸不足によるブローホールの発生が懸念される。また、本発明のワイヤにおける合金元素のTiやAl、フラックス成分の弗化物やSi酸化物、NaやKの化合物はアークの安定性に影響を及ぼし、シールド不良に伴うブローホール発生の原因となる。
溶融金属内にブローホールが発生すると、ピットとして溶接金属表面の穴として観察される。そこで、溶接金属表面のピット発生状況を目視で調査し、溶接ビード上に1つでも
ピットの発生したものは脱酸能力もしくはアーク安定性(シールド状態)が不良であると判断した。
具体的には、比較例B1は、合金Si量が過剰であったのでスラグが過剰となり、且つ合金Ti量が不足したのでスラグに導電性を充分に付与することができず、電着塗装性が不足した。
比較例B2は、合金Ti量が不足したのでスラグに導電性を充分に付与することができず、電着塗装性が不足した。
比較例B3は、合金Ti量が不足ししたので、溶融金属の脱酸不足によるピットが発生した。
比較例B4は、合金Mn量が不足したので、溶接金属に十分な引張強さを付与することができなかった。
比較例B5は、合金Mn量が過剰であったので、絶縁性のMn系スラグが溶接ビードの表面に著しく発生し、電着塗装不良が発生した。
比較例B6は、合金Ti量が過剰であったので、アークの発生状態が不安定となってシールド不良が生じ、耐ピット性が不足した。
比較例B7は、合金Al量が過剰であったので、絶縁性のAl系スラグが溶接ビードの表面に著しく生成し、電着塗装不良が発生した。
比較例B8は、合金C量が不足したので、溶接金属に十分な引張強さを付与することができなかった。
比較例B9は、合金成分が所定範囲内であったが、弗化物量が不足したので耐低温割れ性を確保することができなかった。
比較例B10は、合金成分が所定範囲内であったが、Si酸化物量(SiO2換算値)が過剰であったので絶縁性スラグが多量に発生し、電着塗装不良が発生した。
比較例B11は、合金成分が所定範囲内であったが、弗化物量が過剰であったのでスパッタが多く発生し、スパッタの付着した鋼板表面の凹凸な表面形状に起因して電着塗装性が損なわれた。
比較例B12は、合金成分が所定範囲内であったが、Na化合物及びK化合物の合計量が過剰であったのでスパッタが多く発生し、スパッタの付着した鋼板表面の凹凸な表面形状に起因して電着塗装性が損なわれた。
比較例B13は、合金成分が所定範囲内であったが、Na化合物及びK化合物の合計量が不足したのでスパッタが多く発生し、スパッタの付着した鋼板表面の凹凸な表面形状に起因して電着塗装性が損なわれた。また、比較例B13は、Na化合物及びK化合物の合計量が不足したので、アークの安定性が損なわれたのでシールド不良が生じ、耐ピット性も損なわれた。
比較例B14は、合金C量が過剰であったので、溶接金属に過剰硬化が生じ、耐低温割れ性が損なわれた。
比較例B15は、弗化物を含有しないソリッドワイヤであるため、溶接金属への拡散性水素の混入による水素脆化割れが発生した。
比較例B16は、酸化物の合計量が過剰であったので、スラグが過剰となり、電着塗装性が不足した。
比較例B17は、TiO2量が過剰であったので、スラグが過剰となり、電着塗装性が不足した。TiO2は、Ti酸化物の一種であるものの導電性が低いので、スラグを改質する作用を持たない。
11 鋼製外皮
12 フラックス
13 継ぎ目
3 重ね隅肉溶接継手
31 溶接金属
32 鋼材
33 低温割れ
4 低温割れ評価用の溶接継手
41 拘束板(板厚20mm)
42 拘束溶接部
43 重ね隅肉溶接部
44 鋼板(上板)
45 鋼板(下板)
46 観察用断面作成部
Claims (8)
- 筒状の鋼製外皮と、
前記鋼製外皮の内部に充填されたフラックスと
を備えるフラックス入りワイヤであって、
前記フラックスの成分が、
弗化物:F換算値で0.10〜0.30%、
酸化物:前記フラックス入りワイヤの全質量に対する質量%で0.05〜0.28%、
炭酸塩:前記フラックス入りワイヤの全質量に対する質量%で0〜0.50%、及び
鉄粉:前記フラックス入りワイヤの前記全質量に対する質量%で0〜10%、
を含み、
前記フラックスにおいて、
Si酸化物の含有量:SiO2換算値で0〜0.150%、
Na化合物の含有量及びK化合物の含有量の合計:Na2O換算値及びK2O換算値の合計で0.010〜0.200%、
Ca化合物の含有量:Ca換算値で0〜0.100%、
CaOの含有量:前記フラックス入りワイヤの前記全質量に対する質量%で0〜0.15%、
Zr化合物の含有量:Zr換算値で0〜0.200%、及び
TiO2の含有量:前記フラックス入りワイヤの前記全質量に対する質量%で0〜0.07%
であり、
前記弗化物、前記酸化物、及び前記炭酸塩を除く化学成分が、前記フラックス入りワイヤの全質量に対する質量%で、
C:0.03〜0.25%、
Si:0〜0.250%、
Mn:0.5〜3.0%、
P:0.030%以下、
S:0.030%以下、
Ti:0.10〜0.30%、
Al:0〜0.300%、
Cu:0〜0.50%、
Ni:0〜3.0%、
Cr:0〜1.50%、
Mo:0〜0.70%、
B:0〜0.0100%、
Nb:0〜0.300%、
Sn:0〜0.010%、
Mg:0〜0.40%、
Zr:0〜0.40%、
V:0〜0.40%、及び
残部:Fe及び不純物
であり、
あらゆる形態のSiの合計含有量が、前記フラックス入りワイヤの前記全質量に対する質量%で0.30%未満である
ことを特徴とするフラックス入りワイヤ。 - 前記弗化物、前記酸化物、及び前記炭酸塩を除く化学成分が、前記フラックス入りワイヤの全質量に対する質量%で、
Si:0〜0.200%であり、
あらゆる形態のSiの合計含有量が、前記フラックス入りワイヤの前記全質量に対する質量%で0.20%以下である
ことを特徴とする請求項1に記載のフラックス入りワイヤ。 - 前記弗化物、前記酸化物、及び前記炭酸塩を除く化学成分が、前記フラックス入りワイヤの全質量に対する質量%で、
Mn:0.5〜2.6%である
ことを特徴とする請求項1に記載のフラックス入りワイヤ。 - 前記鋼製外皮がシームレス形状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のフラックス入りワイヤ。
- 前記鋼製外皮の外表面に送給潤滑剤をさらに備え、
前記送給潤滑剤の、前記フラックス入りワイヤ10kg当たりの量が0.20〜1.00gである
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のフラックス入りワイヤ。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載のフラックス入りワイヤを用いて鋼材をガスシールドアーク溶接することを特徴とする溶接継手の製造方法。
- 下記式1によって算出される前記鋼材のPcmが0.25%以上であることを特徴とする請求項6に記載の溶接継手の製造方法。
Pcm=C+Mn/20+Si/30+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5×B:式1 - 前記鋼材が、板厚0.8〜3.6mm且つ引張強さ590〜1800MPaの鋼板であることを特徴とする請求項6又は7に記載の溶接継手の製造方法。
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