JP6747578B2 - 締結構造及び鍵盤装置 - Google Patents

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Description

本発明は、締結構造及び鍵盤装置に関する。
本願は、2017年3月23日に、日本に出願された特願2017−58077号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来、被締結部品に貫通させたねじを、木材部品に締め付けることにより、被締結部品を木材部品に締結する構造がある。
特許文献1には、打ち込みにより木材に食い込む機能に加え、ドライバーで回転させることにより木材に食い込むねじ機能を有する釘を用い、二つの木材部品が固定された構造が開示されている。
特開2002−266824号公報
木材部品は、吸湿により膨張し、乾燥により収縮する。このため、ねじにより被締結部品が締結された木材部品が吸湿すると、木材部品が膨張して、ねじには木材部品から引き抜かれる方向の力が作用する。その結果、ねじの雄ねじ部に噛み合う部分において、木材部品が塑性的に変形してボロボロになるおそれがある。
雄ねじ部に噛み合う部分が塑性的に変形した木材部品が乾燥すると、被締結部品と木材部品との間に隙間が生じ、被締結部品と木材部品との締結状態が緩むおそれがある。締結構造が各種の楽器(例えばアコースティックピアノ)に含まれている場合、締結構造の緩みは、楽器の演奏に悪影響を及ぼすため、特に好ましくない。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、木材部品が膨張又は収縮しても、被締結部品と木材部品との締結状態の緩みを抑制することが可能な締結構造及び鍵盤装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、以下の手段を提案している。
締結構造は、木材部品に対してねじにより被締結部品を締結する締結構造であって、前記木材部品は比重が0.85g/cm以下の木材からなり、前記ねじは呼び径が3.5mm以下であり、前記ねじの軸部に形成された雄ねじ部と前記木材部品とが噛み合う部分である有効ねじ部の長手方向における中間位置と、前記木材部品の前記被締結部品との当接面との距離が8mm以下である。
第1実施形態の締結構造の一例を示す断面図である。 第1実施形態の締結構造の改変例を示す断面図である。 第2実施形態の締結構造において、当接面を示す断面図である。 第2実施形態の締結構造を示し、ねじの長手方向に沿った断面図である。 第2実施形態の締結構造の改変例を示す分解斜視図である。 第3実施形態の締結構造の一例を示す断面図である。 第4実施形態の締結構造の一例を示す断面図である。 鍵盤装置の要部を示す斜視図である。
以下、好適な実施形態に基づいて、本発明を説明する。
図1は、第1実施形態の締結構造の一例を模式的に示す。
本実施形態の締結構造は、木材部品10と、被締結部品20と、ねじ30と、を備えている。ねじ30の軸部32が被締結部品20を通して木材部品10に締結されることにより、被締結部品20が木材部品10に締結されている。
本実施形態においては、ねじ30の長さは30mm以下である。木材部品10の厚さは、約30mmである。
木材部品10を構成する木材は、比重が0.08〜0.85g/cmであることが好ましい。比重が0.08g/cmの木材には、例えばバルサ材が該当する。比重が0.85g/cmの木材には、例えばインディアンローズウッド材が該当する。
針葉樹等の軟質材は、比重が小さいが、木製キー等の楽器部品に適した長尺の部材を得やすい。木材部品10の比重の例示としては、0.85g/cm程度、0.7g/cm程度、0.6g/cm程度、0.5g/cm程度、0.4g/cm程度、0.3g/cm程度、などが挙げられる。
被締結部品20は、特に限定されないが、樹脂、金属、基材等から構成することができる。ねじ30は、頭部31と軸部32を有する。頭部31は、軸部32の一端に設けられている。ねじ30の頭部31としては、特に限定されないが、なべ頭、皿頭、丸皿頭、チーズ頭、トラス頭、バインド頭、低頭、などが例示される。頭部31には、ドライバー等の工具でねじ30を回すための駆動用凹部が設けられる。駆動用凹部としては、すりわり(溝)、十字穴、六角穴、四角穴等が挙げられる。
頭部31は、軸部32との境界部に、ねじ30を締め付ける際に直接力を受ける部分として、座面を有する。座面の形状としては、平面、円錐面等が挙げられる。座面が非平面である場合には、座面全体が頭部31に含まれる。
軸部32には、雄ねじ部33が形成されている。雄ねじ部33は、頭部31の座面の近傍まで形成されていてもよい。雄ねじ部33の形状としては、三角ねじ、角ねじ、台形ねじ、電球ねじ等が挙げられる。頭部31と雄ねじ部33との間の軸部32に、ねじ山及びねじ溝を有しない円筒部が設けられていてもよい。
木材部品10に対する締結用のねじとしては、木ねじ、タッピングねじ等が挙げられる。ねじ30としては、呼び径Dが0.8mm〜3.5mmのねじが用いられる。ねじ30の呼び径としては、1.6mm程度、1.8mm程度、2.1mm程度、2.4mm程度、2.7mm程度、3.1mm程度、3.5mm程度、などが挙げられる。
被締結部品20のうち軸部32の周囲の部分は、木材部品10の表面11とねじ30の頭部31との間に挟み込まれている。当接面12は、木材部品10の表面11のうち、被締結部品20側に当接する部分である。軸近傍部13は、当接面12からねじ30の軸線Aと平行に延長した範囲である。有効ねじ部34は、雄ねじ部33と木材部品10とが噛み合う部分である。
木材部品10と被締結部品20との間に、詳しくは後述するように、高さや角度の微調整などのため、スペーサーが介在されてもよい。この場合、被締結部品20及びスペーサーの2種以上を、木材部品10に締結される被締結部品ということができる。
本実施形態の締結構造では、有効ねじ部34の長手方向における中間位置35と、木材部品10の被締結部品20との当接面12との距離L1が、1mm以上15mm以下であり、より好ましくは8mm以下である。距離L1が1mm未満になると、ねじ30の実用強度が発生しなくなる。また、距離L1の上限である15mmは、木材部品10の厚さ30mmの約1/2であり、15mmより長くなっても、ねじ30の締結強度は変化しないと考えられる。距離L1を上記のとおりに設定することにより、温度又は湿度の変化により木材部品10の膨張又は収縮が起こっても、有効ねじ部34と当接面12との距離L1が短いため、木材部品10に当接する被締結部品20の変位量が小さくなる。
吸湿時等において木材部品10が膨張したときには、ねじ30の長手方向に沿って頭部31にねじ30を引き抜く方向に、被締結部品20が変位し得る。被締結部品20の変位量が大きいと、ねじ30を引き抜く方向の力がより強く作用する。その結果、雄ねじ部33と木材部品10との間の噛み合いに塑性的な永久変形が生じて、締結構造に劣化又は損傷が生じ、締結状態が緩むおそれがある。
ねじ30にバネ座金を設けて被締結部品20の変位を吸収させることも考えられる。しかし、別部品が追加されると、締結作業時に扱いが難しく、コスト増となり、外観上も品位を落とすおそれがある。
被締結部品20の変位量が小さい場合には、雄ねじ部33に対して噛み合う木材部品10の組織が粘弾性的に変形し、変位を可逆的に吸収し得る締結構造が構成される。
木材部品10の膨張時に、被締結部品20の変位に影響を及ぼし得る対象範囲は、おおよそ当接面12から有効ねじ部34までの距離の範囲と見積もられる。雄ねじ部33との噛み合い箇所の平均位置は、有効ねじ部34の中間位置35である。この中間位置35と当接面12との距離L1は、木材部品10が膨張したときに、被締結部品20を介してねじ30の頭部31を変位させる対象範囲の大きさを示す。すなわち、距離L1の大小は、木材部品10の膨張時における中間位置35に対する被締結部品20の変位量の大小に反映される。
このため、被締結部品20の変位量を低減するためには、中間位置35と当接面12との距離L1に上限を規定することで、基準を設定することができる。すなわち、木材部品10の膨張時に被締結部品20の変位に影響する対象範囲が短くすれば、有効ねじ部34近傍でねじ30が引き抜かれる量が小さくなる。その結果、ねじ30が引き抜かれる量は、木材組織が可逆的に変形する範囲に収まりやすくなる。
距離L1の上限値は、例えば、針葉樹等の軟質材に対する締結構造について実験的に求めることもできる。距離L1が8mm以下であれば、締結構造の状態の緩みが効果的に防止される。距離L1の例示としては、特に限定されないが、8mm程度、7mm程度、6mm程度、5mm程度、4mm程度、3mm程度、などが挙げられる。
一般に、呼び径が細く、短いねじを針葉樹等の軟質材に用いることは、絶対的な強度不足を招き、締付条件が定まらないために信頼性が無く、避けられてきた。締結されたねじが適度に緩む状態は、用途によっては構造物の柔軟性に寄与し、又は複数のねじを用いて冗長性をもたらすことにより、適用範囲を拡張できる可能性がある。しかし、楽器に用いられる部品をねじで締結する場合、特に被締結部品が楽器の音や操作を制御する機能を有する場合等には、ねじの緩みに起因する僅かな雑音や操作感のガタツキが問題となることがある。
図1に示す例では、木材部品10に対するねじ30の締結を容易にするため、木材部品10に下孔14が設けられている。下孔14の内径は、通常は下孔14の内面に雄ねじ部33が噛み合いやすくするため、ねじ30の軸部32よりも細くされている。
図2は、第1実施形態の締結構造の改変例を模式的に示す。ただし、図2では、被締結部品20の図示が省略されている。図2に示す例では、木材部品10に下孔を設けることなく、ねじ30が木材部品10に噛み合わされている。また、図2に示す例では、木材部品10の当接面12とは反対側に凹部15が形成されている。雄ねじ部33は凹部15内において木材部品10に噛み合わされない。このため、雄ねじ部33が凹部15内に露出されている範囲は、有効ねじ部34から除外される。
図3は、第2実施形態の締結構造の一例を模式的に示す。図3Aは当接面12における横断面図、図3Bは、ねじ30の長手方向に沿った縦断面図である。本実施形態の締結構造では、当接面12の面積が、ねじ1本当たり100mm以下である。第1実施形態と同様に、木材部品10の比重は0.85g/cm以下であり、ねじ30の呼び径が0.8mm以上3.5mm以下であることが好ましい。また、図1と同様に、有効ねじ部34の中間位置35と木材部品10の当接面12との距離L1が、1mm以上15mm以下、より好ましくは8mm以下であることが好ましい。
ねじ30の締結に伴い、木材部品10と被締結部品20との間で作用・反作用の荷重が当接面12に集中する。そこで、本実施形態では、当接面12の面積に上限を設けることにより、木材部品10の当接面12の近傍となる表面11側の層を可逆に圧縮変形させることができる。距離L1に上限を設ける条件と、ねじ1本当たりの当接面12の面積に上限を設ける条件とを併用することにより、有効ねじ部34に噛み合う木材組織が可逆的に変形する効果と併せ、ねじ30の緩みを防止する効果を拡大することができる。
ねじ1本当たりの当接面12の面積の上限値は、例えば、針葉樹等の軟質材に対する締結構造について実験的に求めることもできる。ねじ1本当たりの当接面12の面積が100mm以下であれば、締結構造の状態の緩みが効果的に防止される。ねじ1本当たりの当接面12の面積の例示としては、特に限定されないが、100mm程度、90mm程度、80mm程度、70mm程度、60mm程度、50mm程度、40mm程度、30mm程度、などが挙げられる。
ねじ1本当たりの当接面12の面積を狭くするため、木材部品10の表面11又は被締結部品20の裏面21の少なくとも一方に、1又は2以上の突起が設けられてもよい。図4に、第2実施形態の締結構造の改変例を模式的に示す。図4に示す例では、被締結部品20が木材部品10と対向する側である裏面21に、複数の突起22が形成されている。
1本のねじ30に対応する複数の突起22が木材部品10に当接する面積の合計が、ねじ1本当たりの当接面12の面積となる。突起22の形状は特に限定されないが、山切り状、ドット状、ボス状、リブ状等が挙げられる。木材部品10と被締結部品20とが対向する少なくとも一方の面に、突起22を設けた場合、突起22の先端面が、突起22に対向する部品と当接する。
図5は、第3実施形態の締結構造の一例を模式的に示す。本実施形態においては、被締結部品20の被押圧面23と、木材部品10の被締結部品20との当接面12との距離L2が、2mm以下である。ここで、被押圧面23とは、被締結部品20がねじ30の頭部31から押圧される部分である。
第1実施形態と同様に、本実施形態の木材部品10の比重は0.85g/cm以下であり、ねじ30の呼び径が0.8mm〜3.5mmであることが好ましい。また、図1と同様に、有効ねじ部34の中間位置35と木材部品10の当接面12との距離L1が、1mm以上、15mm以下、より好ましくは8mm以下であることが好ましい。第2実施形態と同様に、当接面12の面積が、ねじ1本当たり100mm以下であってもよい。
被締結部品20が木材を含む場合は、被締結部品20に含まれる木材が、吸湿により膨張し、乾燥により収縮する。また、被締結部品20が金属、樹脂等の非木質材料である場合は、木材に比べて温度による膨張又は収縮が大きく、高温で膨張し、低温で収縮する。
被締結部品20が膨張したときには、ねじ30の長手方向に沿って頭部31にねじ30を引き抜く方向に、ねじ30の頭部31が変位し得る。頭部31の変位量が大きいと、ねじ30を引き抜く方向の力がより強く作用し、雄ねじ部33と木材部品10との間の噛み合いに塑性的な永久変形が生じて、締結構造に劣化又は損傷が生じ、締結状態が緩むおそれがある。
そこで、本実施形態では、被押圧面23と当接面12との距離L2に上限を設けることにより、被締結部品20の膨張又は収縮の絶対量を小さくし、被締結部品20の膨張又は収縮に起因するねじ30の緩みを抑制することができる。距離L2の例示としては、特に限定されないが、2mm程度、1.5mm程度、1mm程度、0.5mm程度、などが挙げられる。
ねじ30の頭部31の座面が非平面である場合、被押圧面23の位置は、頭部31が被締結部品20に接触する箇所のなかで、最も当接面12に近い位置としてもよい。ねじ30の頭部31と被締結部品20の被押圧面23との間に不図示の座金を介在させる場合は、座金の厚さを距離L2から除外してもよい。
距離L1に上限を設ける条件と、距離L2に上限を設ける条件とを併用することにより、有効ねじ部34に噛み合う木材組織が可逆的に変形する効果と併せ、ねじ30の緩みを防止する効果を拡大することができる。
被締結部品20が、木材部品10と同様に、比重が0.85g/cm以下の木材から構成される場合は、距離L1と距離L2との合計量、すなわち、有効ねじ部34の中間位置35と、被締結部品20の被押圧面23との距離に上限が設けられてもよい。距離L1と距離L2との合計量をL3とする場合、距離L3が10mm以下であることが好ましい。
距離L3の例示としては、特に限定されないが、10mm程度、9mm程度、8mm程度、7mm程度、6mm程度、5mm程度、4mm程度、3mm程度、などが挙げられる。
図6は、第4実施形態の締結構造の一例を模式的に示す。上述の締結構造において、有効ねじ部34が、木材部品10の冬目16に絡んでいてもよい。温帯から寒帯で成長する木材は、通常、季節による細胞壁の成長速度の違いにより、冬目16と夏目17とが交互に形成されて年輪が生じる。夏目17よりも冬目16のほうが高い強度を有し、冬目16と夏目17との特性差によるバラツキが大きい。このため、雄ねじ部33が冬目16を含む部分に噛み合う場合には、粘弾性的な可逆変形特性を高めることができる。
例えば、有効ねじ部34の近傍において、平均年輪間隔Rを、ねじ30の軸線Aと年輪面の法線Nとの成す角度θの余弦で除算した値(R/cosθ)は、軸線Aに沿う方向における冬目16の平均距離となる。そこで、有効ねじ部34の長さをR/cosθより大きく設定することで、有効ねじ部34が冬目16に絡む締結構造をより確実に構成することができる。
ねじ30による締結は、接着等に比べ管理項目が少なく作業性に優れる。また、ねじ30は脱着可能なため、木材部品10と被締結部品20との間にスペーサーを介在させた場合には、高さや角度を試行しながら調節することが可能になる。接着等で被締結部品を固定した場合、その後で被締結部品の高さや角度を微調整しようと思っても着脱が困難である。このため、例えば鍵盤楽器における木製キー等の木材部品に機能部品を固定する際に、機能部品をねじにより木材部品に締結することで、品質の安定性や作業性の改善を図ることができる。機能部品が木材部品に対して着脱可能とすることにより、高さや角度の異なるスペーサーに交換することが可能になる。
楽器用の機能部品としては、動作力伝達部材(スイッチ駆動(SW)アクチュエータ、ハンマ駆動アクチュエータ、アフターセンサ押し子等)、動作検出手段(センサ、反射板、グレースケール、シャッター板等)、キーガイド機構、キー動作規制機構(レスト、アガキ、L足部等)、緩衝材(フェルト、ゴム、発泡材等)、質量体(カウンターウェート等)、保護板(グリスカバー等)等が挙げられる。楽器としては、特に限定されないが、ピアノ等の鍵盤楽器、ハープ等の弦楽器、打楽器、管楽器等が挙げられる。
図7は、鍵盤楽器における鍵盤装置の要部を模式的に示す。図7は、鍵盤装置40のうち、白鍵41Wと黒鍵41Bを1つずつ示す。木製キー41は、長尺部品である、このため、木理の直進性が高く、節などの除外部位が一定距離にわたって無い部材を得やすい針葉樹から木製キー41を構成することが有利である。木製キー41の一方の端部付近にはバックチェック部品42が固定されている。バックチェック部品とは、鍵盤楽器のアクション機構(図示しない)に含まれるハンマを受ける機構部品である。木製キー41が押鍵されたとき、その動作に連動してハンマが弦を叩きにいったのち、反発して戻ってくる。
その戻ってくるハンマをバックチェック部品が受けて制動する。
例えば、木製キー41にバックチェック部品42を固定する際に、ねじ30による締結構造として、上述の各実施形態の締結構造を採用することができる。この場合、木製キー41に対する被締結部品としては、バックチェック部品42又はスペーサーが挙げられる。木製キー41とバックチェック部品42との間にスペーサーが介在される場合は、図1に示す木材部品10の被締結部品20との当接面12の位置は、木製キーがスペーサーに当接する面の位置であってもよい。
鍵盤装置の木製キーには、ハンマなどのアクション部分とのバランスをとるための質量体としてカウンターウェートを固定することがある。木製キーにカウンターウェートを固定する場合は、木製キーに形成した凹部にカウンターウェートを収容し、木製キーに対してカウンターウェートをねじで締結することが可能である。木製キーとカウンターウェートとの締結構造として、上述の各実施形態の締結構造を採用することができる。
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
上述の実施形態では楽器を主として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。上述の締結構造は、例えば長尺の木材部品に他の部品が締結され、緩みにくい締結状態が求められる用途に好適である。他の用途の例示として、例えば、工芸品、からくり等が挙げられる。
また、上述した実施形態において用いられたねじは、一般的な一条ねじに限らず、二条ねじを用いてもよい。一条ねじは、1回転で進む距離(リード)がピッチに等しく、1回転で1ピッチ移動する。二条ねじは、1ピッチ間に2条のらせんがあり、一条ねじに比べてリードが2倍となるねじである。
上述した本発明の実施形態によれば、木材部品が膨張又は収縮しても、被締結部品と木材部品との締結状態の緩みを抑制することが可能になる。
A ねじの軸線
D ねじの呼び径
L1 有効ねじ部の中間位置と当接面との距離
L2 被押圧面と当接面との距離
N 年輪面の法線
R 平均年輪間隔
θ ねじの軸線と年輪面の法線との成す角度
10 木材部品
11 表面
12 当接面
13 軸近傍部
14 下孔
15 凹部
16 冬目
17 夏目
20 被締結部品
21 裏面
22 突起
23 被押圧面
30 ねじ
31 頭部
32 軸部
33 雄ねじ部
34 有効ねじ部
35 中間位置
40 鍵盤装置
41 木製キー
42 バックチェック部品。

Claims (7)

  1. 木材部品に対してねじにより被締結部品を締結する締結構造であって、
    前記木材部品は比重が0.08g/cm以上0.85g/cm以下の木材からなり、
    前記ねじは呼び径が0.8mm以上3.5mm以下であり、
    前記ねじの軸部に形成された雄ねじ部と前記木材部品とが噛み合う部分である有効ねじ部の長手方向における中間位置と、前記木材部品の前記被締結部品との当接面との距離が1mm以上15mm以下である締結構造。
  2. 前記当接面の面積が、前記ねじ1本当たり100mm以下である請求項1に記載の締結構造。
  3. 前記木材部品と前記被締結部品とが対向する少なくとも一方の面に、複数の突起を有する請求項2に記載の締結構造。
  4. 前記被締結部品が前記ねじの頭部から押圧される被押圧面と、前記当接面との距離が2mm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の締結構造。
  5. 前記有効ねじ部が、前記木材部品の冬目に絡んでいる請求項1〜4のいずれか1項に記載の締結構造。
  6. 木製キーを有する鍵盤装置であって、前記木製キーが前記木材部品であり、請求項1〜5のいずれか1項に記載の締結構造を有する鍵盤装置。
  7. 前記被締結部品がバックチェック部品である請求項6に記載の鍵盤装置。
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