JP6747495B2 - 被覆金属材の耐食性試験方法 - Google Patents

被覆金属材の耐食性試験方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6747495B2
JP6747495B2 JP2018231983A JP2018231983A JP6747495B2 JP 6747495 B2 JP6747495 B2 JP 6747495B2 JP 2018231983 A JP2018231983 A JP 2018231983A JP 2018231983 A JP2018231983 A JP 2018231983A JP 6747495 B2 JP6747495 B2 JP 6747495B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
coated metal
corrosion resistance
metal material
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018231983A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020094881A (ja
Inventor
照朗 浅田
照朗 浅田
重永 勉
勉 重永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP2018231983A priority Critical patent/JP6747495B2/ja
Priority to US16/699,848 priority patent/US11262329B2/en
Priority to CN201911232024.9A priority patent/CN111307705B/zh
Priority to EP19213764.4A priority patent/EP3667293B1/en
Publication of JP2020094881A publication Critical patent/JP2020094881A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6747495B2 publication Critical patent/JP6747495B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N27/00Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means
    • G01N27/26Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means by investigating electrochemical variables; by using electrolysis or electrophoresis
    • G01N27/403Cells and electrode assemblies
    • G01N27/413Concentration cells using liquid electrolytes measuring currents or voltages in voltaic cells
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N17/00Investigating resistance of materials to the weather, to corrosion, or to light
    • G01N17/006Investigating resistance of materials to the weather, to corrosion, or to light of metals
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N17/00Investigating resistance of materials to the weather, to corrosion, or to light
    • G01N17/02Electrochemical measuring systems for weathering, corrosion or corrosion-protection measurement

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Ecology (AREA)
  • Environmental & Geological Engineering (AREA)
  • Biodiversity & Conservation Biology (AREA)
  • Environmental Sciences (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • Testing Resistance To Weather, Investigating Materials By Mechanical Methods (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Electric Means (AREA)

Description

本開示は被覆金属材の耐食性試験方法に関する。
従来より、塗膜性能を評価する手法として複合サイクル試験等の腐食促進試験が行われている。
しかし、かかる腐食促進試験においては、評価に数ヶ月を要するため、例えば塗装鋼板の構成材料や焼付条件の異なる塗膜の膜質を簡便に評価し、塗装条件の最適化等を迅速に行うことが困難である。従って、材料開発、塗装工場の工程管理、車両防錆に係る品質管理の場において、塗装鋼板の耐食性を迅速且つ簡便に評価する定量評価法の確立が望まれている。
これに対して、特許文献1には、金属部材の表面に施された皮膜の耐食性を評価する手法として、金属部材及び対極部材を水又は電解質液に浸漬し、測定電源の負端子側を金属部材に、正端子側を対極部材に電気的に接続し、対極部材から皮膜を通して金属部材に流れる酸素拡散限界電流に基づいて当該皮膜の防食性能を評価することが記載されている。
特許文献2には、塗装金属材の塗膜表面側に電解質材料を介して電極を配置し、塗装金属材の基材と塗膜表面との間に電圧を印加し、塗膜が絶縁破壊するときの電圧値に基づいて、塗装金属材の耐食性を評価することが記載されている。
特許文献3には、塗装金属材の塗膜表面側に電解質材料を介して電極を配置し、塗装金属材の塗膜に電解質材料を浸透させ、塗装金属材の基材と塗膜表面との間に電圧を印加し、該電圧の印加に伴って流れる電流に関する値に基づき、塗装金属材の耐食性を評価することが記載されている。
特開2007−271501号公報 特開2016−50915号公報 特開2016−50916号公報
特許文献1〜3に記載された耐食性試験方法は、いずれも被覆金属材の表面側に電極を配置し、この電極から金属製基材に電解質材料及び表面処理膜を介して通電する。その通電により、電解質材料から表面処理膜へのイオンの移動及び水の浸透が生じる。この場合、この表面処理膜に浸透したイオン及び水が金属製基材への通電に関与するから、耐食性試験の信頼性向上及び試験時間の短縮のためには、表面処理膜への速やか且つ均一なイオンの移動及び水の浸透を実現することが望ましい。
そこで、本発明は、表面処理膜への速やか且つ均一なイオンの移動及び水の浸透を促し、耐食性試験の信頼性向上及び試験時間の短縮を可能とする耐食性試験方法をもたらすことを課題とする。
上記課題を解決するために、ここに開示する耐食性試験方法は、金属製基材に表面処理膜が設けられてなる被覆金属材の耐食性試験方法であって、水、支持電解質及び水浸透促進剤を含有する含水電解質材料を、上記被覆金属材の当該表面処理膜の表面と電極の間に介在させる処理ステップと、上記含水電解質材料を上記表面処理膜の表面上に配置した状態で1分以上1日以下保持する保持ステップと、上記電極から上記被覆金属材に上記含水電解質材料を介して通電する通電ステップとを備え、上記保持ステップでは、上記水浸透促進剤により、上記表面処理膜への少なくとも上記水の浸透が促進されることを特徴とする。
なお、上記保持ステップでは、上記被覆金属材及び/又は上記含水電解質材料の温度を30℃以上100℃以下とすることが好ましい。
本構成によれば、含水電解質材料に水浸透促進剤を含有させるとともに、通電ステップ前に保持ステップを設けることにより、表面処理膜へのイオンの移動及び水の浸透を予め促すことができる。そうして、試験時間の短縮化及び耐食性試験の信頼性向上が可能となる。
上記水浸透促進剤は、粘土鉱物であることが望ましく、上記含水電解質材料は、泥状物であることが望ましい。粘土鉱物は、表面処理膜へのイオンの移動及び水の浸透を促進させ、腐食の進行を効果的に促すことができる。また、含水電解質材料が泥状物であることにより、表面処理膜が水平になっていない場合でも、該表面処理膜の表面に含水電解質材料を設けることができる。上記粘土鉱物は、層状ケイ酸塩鉱物又はゼオライトであることが好ましい。そして、上記層状ケイ酸塩鉱物は、カオリナイト、モンモリロナイト、セリサイト、イライト、グローコナイト、クロライト及びタルクから選択される少なくとも一つであることが好ましい。
また、上記支持電解質は、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム及び塩化カルシウムから選択される少なくとも一つの塩であることが好ましい。
ここに開示する耐食性試験方法は、金属製基材に表面処理膜が設けられてなる被覆金属材の耐食性試験方法であって、上記被覆金属材の相離れた2箇所に、上記表面処理膜を貫通して上記金属製基材に達する人工傷を加えるステップと、水、支持電解質及び水浸透促進剤を含有する含水電解質材料を、上記被覆金属材の当該表面処理膜の表面と電極の間に介在させる処理ステップと、上記含水電解質材料を上記表面処理膜の表面上に配置した状態で1分以上1日以下保持する保持ステップと、上記電極から上記被覆金属材に上記含水電解質材料を介して通電する通電ステップとを備え、上記処理ステップでは、上記2箇所の人工傷各々において、上記表面処理膜の表面と上記電極の間に上記含水電解質材料を介在させて該両人工傷を外部回路で電気的に接続し、上記通電ステップでは、上記外部回路によって上記金属製基材に通電することにより、上記2箇所の人工傷の一方をアノードサイトとし、他方をカソードサイトとして、上記被覆金属材の腐食を進行させる。
金属の腐食は、水と接触する金属が溶解(イオン化)して遊離電子を生ずるアノード反応(酸化反応)と、その遊離電子によって水中の溶存酸素が水酸基OHを生成するカソード反応(還元反応)が同時に起こることで進行することが知られている。
本技術によれば、被覆金属材の2箇所の人工傷のうちの一方が、金属製基材の金属の溶出反応(酸化反応)を生ずるアノードサイトとなる。アノードサイトで発生した電子が金属製基材を通って流入する他方の人工傷が、電子による還元反応が起きるカソードサイトとなる。
アノードサイトでは、溶出した金属イオンは、電極(負極)に引き寄せられ、含水電解質材料中の溶存酸素や電極(負極)での水の電気分解により発生したOHと反応して水酸化鉄になる。このアノードサイトでは、電子が供給されるから、電気防食と同じ原理で、金属製基材の金属がイオンになって含水電解質材料に多少溶解するものの、被覆金属材の腐食は進まない。
一方、カソードサイトでは、アノードサイトから金属製基材を介して流入する電子が、表面処理膜を浸透した水や溶存酸素、水中の電離Hと反応して水素やOHが発生する。また、水の電気分解による水素も発生する。これにより、表面処理膜下でのpHが上がり、被覆金属材の腐食が進行する。
上記カソードサイトにおけるOHの生成は上述の腐食モデルのカソード反応に相当するから、上記耐食性試験は、外部回路による金属製基材への通電により、当該被覆金属材の実際の腐食を加速再現するものであるということができる。
上記2箇所の人工傷のうちのカソードサイトでは、アルカリ性になること(OHの生成)により、金属製基材表面の下地処理(化成処理)がダメージを受けて表面処理膜の密着性が低下し(下地処理がされていない場合は単純に金属製基材と表面処理膜の密着性が低下し)、表面処理膜の膨れが発生する。また、水の電気分解やHの還元により発生した水素ガスが表面処理膜の膨れを促進する。従って、この表面処理膜の膨れの程度をみることによって、当該耐食性試験における供試材の腐食進展速度を計ることができる。
このように、当該耐食性試験は、実際の腐食を加速再現するから、得られる腐食進展速度データは、実際の腐食進展速度と相関性が高いものになる。よって、当該腐食進展速度データによって、供試材の耐食性について信頼性が高い評価を行なうことができる。
上記カソードサイトの人工傷の径は0.1mm以上5mm以下とすることが望ましい。
カソードサイトの人工傷の径(金属製基材の露出径)に関しては、その径が小さくなるほど、通電性が低下してカソード反応が進み難くなる。一方、その径が大きくなると、カソード反応が不安定になり、腐食の加速再現性が低下する。人工傷の径を上記範囲とすることにより、カソード反応の促進と腐食の加速再現性を両立させることができる。
また、上記通電は、電流値を10μA以上10mA以下に設定して行うことが好ましい。
通電の電流値に関しては、該電流値が小さくなるほど腐食の加速性が低下して試験に長時間を要するようになる。一方、その電流値が大きくなると、腐食反応速度が不安定になり、実際の腐食の進行との相関性が悪くなる。電流値を上記範囲とすることにより、試験時間の短縮化と試験の信頼性の向上とを両立させることができる。
当該耐食性試験に供するに適した被覆金属材としては、例えば、金属製基材に表面処理膜として樹脂塗膜が設けられた塗装金属材がある。
金属製基材は、例えば、家電製品、建材、自動車部品等を構成する鋼材、例えば、冷間圧延鋼板(SPC)、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)、高張力鋼板又はホットスタンプ材等であり、或いは軽合金材であってもよい。金属製基材は、表面に化成皮膜(リン酸塩皮膜(例えば、リン酸亜鉛皮膜),クロメート皮膜等)が形成されたものであってもよい。
樹脂塗膜としては、例えば、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系等のカチオン電着塗膜(下塗り塗膜)があり、電着塗膜に上塗り塗膜が重ねられた積層塗膜、電着塗膜に中塗り塗膜及び上塗り塗膜が重ねられた積層塗膜等であってもよい。
上記金属製基材への通電のために、電極を上記含水電解質材料に埋没状態に設けることができる。そのような電極としては、炭素電極、白金電極等を使用することができる。また、特に、上記表面処理膜に相対する少なくとも一つの貫通孔を有する有孔電極を採用することができ、該有孔電極を上記表面処理膜と略平行に配置することが好ましい。例えば、有孔電極は、中央に貫通孔を有するリング状とされ、該貫通孔が上記人工傷に相対するように設けられる。或いは、有孔電極としてメッシュ状の電極を採用し、該メッシュ電極を上記含水電解質材料に埋没した状態で上記表面処理膜と略平行になるように配置してもよい。
本開示によれば、通電ステップ前に保持ステップを設けるとともに、含水電解質材料に水浸透促進剤を含有させることにより、表面処理膜へのイオンの移動及び水の浸透を予め促すことができる。そうして、試験時間の短縮化及び耐食性試験の信頼性向上が可能となる。
第1実施形態に係る耐食性試験の原理を示す図。 比較例3の供試材1の耐食性試験結果を示す図表。 実施例1の腐食進展速度と試験例1の腐食進展速度の相関を示すグラフ。 塗膜上の付着物が水、5%NaCl(スプレー)、及び5%CaClスプレーであるときの塗膜の吸水量及び膨れ発生率を示す図表。 塗膜上の付着物が模擬泥であるときの塗膜の吸水量及び膨れ発生率を示す図表。 塗膜上の付着物が5%NaCl(浸漬)であるときの塗膜の吸水量及び膨れ発生率を示す図表。 各種塗膜上付着物における塗膜への水の浸入速度を示すグラフ。 第1実施形態の耐食性試験における定電流通電制御時の電流プロット図。 第1実施形態の耐食性試験における定電圧通電制御時の電流プロット図。 第2実施形態に係る耐食性試験方法の説明図。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
[第1実施形態]
図1は腐食試験原理を示す。同図において、1は被覆金属材である。本実施形態における被覆金属材1は、金属製基材としての表面に化成皮膜3が形成された鋼板2の上に表面処理膜としての樹脂塗膜、すなわち、本実施形態では電着塗膜4が設けられたものである。
被覆金属材1には、相離れた2箇所に電着塗膜4及び化成皮膜3を貫通して鋼板2に達する人工傷5(人工傷)が加えられている。
本実施形態に係る耐食性試験方法は、例えば図1に示す耐食性試験装置により行うことができる。すなわち、耐食性試験装置は、導電材として機能する含水材料6(含水電解質材料)を介して被覆金属材1の上記2箇所の人工傷5部分を電気的に接続する外部回路7と、該外部回路7によって上記鋼板2に通電する直流の定電流源からなる通電手段8を備えてなる。
被覆金属材1の当該2箇所には、人工傷5よりも大径の円筒11が人工傷5と同心状に設けられている。含水材料6は、円筒11内に収容され、電着塗膜4の表面に接触しているとともに、人工傷5内に浸入している。外部回路7の両端には電極12が設けられ、その電極12は円筒11内の含水材料6に埋没状態に設けられている。
含水材料6は、水、支持電解質及び水浸透促進剤としての粘土鉱物を含有してなる泥状物である。
支持電解質(塩)としては、例えば、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、酒石酸水素カリウム及び硫酸マグネシウムから選択される少なくとも一つの塩を採用することができ、特に好ましくは塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム及び塩化カルシウムから選択される少なくとも一つの塩を採用することができる。含水電解質材料における支持電解質の含有量は、好ましくは1質量%以上20質量%以下、より好ましくは3質量%以上15質量%以下であること、特に好ましくは5質量%以上10質量%以下である。
粘土鉱物は、含水材料6を泥状にするとともに、電着塗膜4へのイオンの移動及び水の浸透を促進させ、腐食の進行を促すためのものである。粘土鉱物としては、例えば、層状ケイ酸塩鉱物又はゼオライトを採用することができる。層状ケイ酸塩鉱物としては、例えば、カオリナイト、モンモリロナイト、セリサイト、イライト、グローコナイト、クロライト及びタルクから選択される少なくとも一つを採用することができ、特に好ましくはカオリナイトを採用することができる。含水電解質材料における粘土鉱物の含有量は、好ましくは1質量%以上70質量%以下、より好ましくは10質量%以上50質量%以下、特に好ましくは20質量%以上30質量%以下である。なお、含水材料6が泥状物であることにより、電着塗膜4が水平になっていない場合でも、該電着塗膜4の表面に含水材料6を設けることができる。
含水材料6は、水、支持電解質及び粘土鉱物以外の添加物を含有してもよい。このような添加物としては、具体的には例えばアセトン、エタノール、トルエン、メタノール等の有機溶剤が挙げられる。含水材料6が有機溶剤を含有する場合は、有機溶剤の含有量は、水に対して体積比で5%以上60%以下であることが好ましい。その体積比は、10%以上40%以下であること、20%以上30%以下であることがさらに好ましい。
電極12は、中央に貫通孔12aを有するリング状の有孔電極であり、該貫通孔12aが人工傷5に相対し該人工傷5と同心になるように、電着塗膜4と平行に配置されている。
人工傷5において発生する水素ガスは電極12の貫通孔12aを通って抜けるため、電極12と電着塗膜4の間に水素ガスが滞留することは避けられ、すなわち、通電性が悪化することが避けられる。
通電手段8としては、例えば、ガルバノスタットを採用することができる。そして、電流値は好ましくは10μA以上10mA以下、より好ましくは100μA以上5mA以下、特に好ましくは500μA以上2mA以下に制御される。
<耐食性試験方法>
上記耐食性試験装置を用いる被覆金属材1の耐食性試験方法をステップ順に説明する。
−人工傷を加えるステップ−
被覆金属材1の相離れた2箇所に電着塗膜4及び化成皮膜3を貫通して鋼板2に達する人工傷5を加える。
一般に、塗膜を備えた被覆金属材では、例えば塩水などの腐食因子が塗膜に浸透し、基材に到達することで腐食が開始する。従って、被覆金属材の腐食過程は、腐食が発生するまでの過程と腐食が進展する過程とに分けられ、それぞれ腐食が開始するまでの期間(腐食抑制期間)と腐食が進展する速度(腐食進展速度)とを求めることにより評価することができる。
電着塗膜4及び化成皮膜3を貫通して鋼板2に達する人工傷5を加えると、人工傷5が加えられた箇所は錆び始める。従って、人工傷5を加えることにより、被覆金属材の腐食過程のうち、腐食が発生するまでの過程が終了した状態、すなわち腐食抑制期間終了時の状態を模擬的に作り出すことができる。
人工傷5による鋼板2の露出部の径は、好ましくは0.1mm以上5mm以下(露出面の面積が0.01mm以上25mm以下)、より好ましくは0.3mm以上2.0mm以下、特に好ましくは0.5mm以上1.5mm以下とすることができる。人工傷5を付ける道具の種類は特に問わない。人工傷5の大きさや深さにばらつきを生じないように、すなわち、定量的に傷を付けるために、例えば、ビッカース硬さ試験機を用い、その圧子によって所定荷重で傷を付けることが好ましい。2箇所の人工傷5間の距離はカソードサイトの電着塗膜4の膨れの確認の容易さの観点から、2cm以上であることが好ましく、3cm以上であることがさらに好ましい。
−処理ステップ−
被覆金属材1の電着塗膜4の上に、2箇所の人工傷5各々を囲む円筒11を立て、円筒11の中に泥状の含水材料6を所定量入れる。このとき、通電手段8を備えた外部回路7のリング状の電極12が含水材料6に埋没した状態になるようにする。円筒11は人工傷5と同心に設けることが好ましい。電極12は、電着塗膜4の表面と平行になるように、且つ人工傷5と同心になるように設けることが好ましい。
以上により、円筒11内に収容された含水材料6が電着塗膜4の表面に接触しているとともに、人工傷5内に浸入した状態になる。そして、上記2箇所の人工傷5が、該人工傷5に接触する含水材料6を介して外部回路7で電気的に接続された状態になる。
−保持ステップ−
含水材料6を電着塗膜4の表面上に配置した状態で、好ましくは1分以上1日以下、より好ましくは10分以上120分以下、特に好ましくは15分以上60分以下保持することにより、含水材料6を電着塗膜4へ浸透させる。
本実施形態に係る耐食性試験方法では、次の通電ステップ前に、保持ステップを設けることにより、腐食抑制期間が終了した状態の電着塗膜4へのイオンの移動及び水の浸透、特に図1中ドット模様で示すように、腐食抑制期間が終了した状態の人工傷5周りの電着塗膜4へのイオンの移動及び水の浸透を予め促すことができる。そうして、次の通電ステップにおける化成皮膜3及び鋼板2の腐食をよりスムーズに進行させ、腐食が進展する過程を表す腐食進展速度を評価するための電着塗膜4の塗膜膨れの進行を促すことができ、試験時間の短縮化を図ることができる。また、いわば腐食抑制期間が終了した状態から通電を行うから、腐食進展速度を精度よく測定することができ、耐食性試験の信頼性を向上させることができる。
なお、電着塗膜4へのイオンの移動及び水の浸透をさらに促進させる観点から、被覆金属材1及び/又は含水材料6の温度を好ましくは30℃以上100℃以下、より好ましくは50℃以上100℃以下、特に好ましくは50℃以上80℃以下とすることが望ましい。具体的には例えば、図1において、被覆金属材1の下側に、ホットプレート等を配置したり、円筒11周りにラバーヒータやフィルムヒータ等を巻くことにより、被覆金属材1及び含水材料6の加温及び温度調整を行う構成とすることができる。なお、被覆金属材1及び含水材料6の加温及び温度調整はいずれか一方のみ行う構成とすることもできる。また、装置全体を炉内で加温及び温度調整するようにしてもよい。
−通電ステップ−
通電手段8を作動させ、外部回路7によって被覆金属材1の鋼板2に電極12、含水材料6及び電着塗膜4を介して通電する。この通電は、電流値が上述の範囲の定電流値となるように定電流制御することが好ましい。
上記通電により、上記2箇所の人工傷5のうちの通電手段8の負極側に接続された一方(図1の左側)では、含水材料6から電子eが鋼板2に流入する。この一方の人工傷5がアノードサイトになる。鋼板2に流入したeは鋼板2を通って他方の人工傷5(図1の右側)に移動し、該他方の人工傷5において含水材料6に放出される。この他方の人工傷5がカソードサイトになる。
アノードサイトでは、eが供給されるから、電気防食と同じ原理で、鋼板2のFeがイオンになって含水材料6に溶解する(Fe → Fe2++2e)ものの、被覆金属材1の腐食は進まない。
これに対して、カソードサイトでは、アノードサイトから電子が移動してくるから、含水材料6の水、溶存酸素及び当該電子eの反応によりOHを生ずる(HO+1/2O+2e → 2OH)。また、含水材料6の電離した水素イオンと当該電子eの反応により水素が発生する(2H+2e → H)。OH及び水素の生成はカソード反応(還元反応)である。また、水の電気分解による水素も発生する。
カソードサイトでは、アルカリ性になること(OHの発生)により、化成皮膜3が溶解し、また、鋼板2の腐食が進む(水和酸化鉄の生成)ことで、電着塗膜4の鋼板2に対する付着力が低下する。そして、上記水素ガスの発生によって、電着塗膜4の膨れを生じ、鋼板2の腐食が人工傷5の部位から周囲に進展していく。
具体的に、図2は、後述する耐食性試験の比較例3の供試材1のアノードサイト及びカソードサイトの外観写真を示している。なお、外観写真(剥離前)は、試験後の被覆金属材1の表面の写真であり、外観写真(剥離後)は、試験後、被覆金属材1の表面から膨れ上がった電着塗膜4を粘着テープで剥離した後の写真である。アノードサイトでは、人工傷5の形成を確認することができるものの、電着塗膜4の膨れは観察できない。一方、カソードサイトでは、人工傷5と、当該人工傷5の周りに形成された電着塗膜4の膨れが観察される。
また、上記外部回路7による通電では、カソードサイトにおいて、含水材料6に電圧が加わることにより、含水材料6中の陽イオン(Na等)が電着塗膜4を通って鋼板2に向かって移動する。そして、この陽イオンに引きずられて水が電着塗膜4に浸透していく。また、アノードサイトにおいても、含水材料6の陰イオン(Cl等)が電着塗膜4を通って鋼板2に向かって移動し、これに引きずられて水が電着塗膜4に浸透していく。
特に、本実施形態では、電極12が人工傷5を囲むように配置されているから、人工傷5周りの電着塗膜4に電圧が安定して印加され、通電時における該電着塗膜4へのイオンの移動及び水の浸透が効率良く行なわれる。また、カソードサイトでは、人工傷5部分において上述のように水素ガスが発生するところ、この水素ガスは電極12の貫通孔12aを通って抜けるため、通電性が悪化することが避けられる。
また、含水材料6が粘土鉱物を含有する泥状物であるから、イオン及び水が人工傷5周りの電着塗膜4に浸透し易くなる。
このように、アノードサイト及びカソードサイトにおいて、上記保持ステップに加え、通電により、人工傷5周りの電着塗膜4へのイオン及び水の浸透が促進されるから、電気の流れが速やかに安定した状態になる。よって、カソードサイトにおける人工傷5からその周囲への腐食の進展が安定したものになる。
通電ステップにおける通電時間は、塗膜膨れの十分な広がりを得る観点から、例えば、0.5時間以上24時間以下とすればよい。その通電時間は、好ましくは1時間以上10時間以下、より好ましくは1時間以上5時間以下とする。
<耐食性評価ステップ>
上述の如く、カソードサイトにおける腐食の進展は、電着塗膜4の膨れの進展、つまり、塗膜膨れ範囲の拡大となって現れる。従って、上記通電開始から所定時間を経過した時点での塗膜膨れの広がり程度をみることによって、当該供試材の耐食性、特に腐食進展速度を評価することができる。
塗膜膨れの広がりの程度は、耐食性試験後に、電着塗膜4に粘着テープを貼り、電着塗膜4の膨れた部分を剥がし、露出した鋼板2の露出面の径(以下、「剥離径」という。)を測定することによって知ることができる。
供試材の耐食性を実腐食試験と関連付けて評価する場合は、当該耐食性試験による腐食進展速度(単位時間当たりの塗膜膨れ径の広がり量)と、実腐食試験での腐食進展速度との関係を予め求めておき、当該耐食性試験結果に基づいて、それが実腐食試験においてどの程度の耐食性に相当するかをみることができる。
<実施例>
−耐食性試験−
供試材(被覆金属材)として、塗装条件、すなわちリン酸亜鉛による化成処理時間及び電着塗装の焼付条件が異なる表1に示す7種類を準備した。供試材1〜7はいずれも金属製基材が鋼板2であり、電着塗膜4の厚さは10μmである。なお、表1に示す塗装条件A〜Gの詳細は表2に示している。各供試材について、図1に示す態様で本耐食性試験を行なった。
供試材には、ビッカース硬さ試験機を用いて定量的に、すなわち、荷重(試験力)30kgで鋼板に達する1mm径の人工傷5を2箇所に4cmの間隔をあけて付与した。
比較例1,2の試験では、含水材料6として、水1.3Lに対し、支持電解質としての塩化ナトリウム50gを混合させてなる塩化ナトリウム水溶液を用いた。また、比較例3,4及び実施例1の試験では、含水材料6として、水1.3Lに対し、支持電解質としての塩化ナトリウム50g、及び粘土鉱物としてのカオリナイト500gを混合させてなる模擬泥を用いた。
電極12としては、外径約32mm、内径約30mmのリング状の有孔電極(白金製)を用いた。なお、電極12としては、白金電極に限らず、炭素電極等他の電極を用いてもよい。
鋼板の下側にホットプレートを配置するとともに、円筒周りにラバーヒータを巻き、鋼板及び含水材料6の温度を表1に示す温度に加温・保持した。
通電手段8の電流値は1mAとし、表1に示す通電時間の間、通電を行った。なお、比較例1〜4では、処理ステップ後すぐに通電を行った。実施例1では、処理ステップ後、通電ステップ前に、70℃で30分間保持した。
通電終了後、上記耐食性評価ステップに記載の方法で、各供試材について腐食進展速度(塗膜の膨れの進展速度)を測定した。
表1に、実施例1及び比較例1〜4の試験により得られた腐食進展速度(塗膜の膨れの進展速度)を示す。また、試験例1として各供試材について人工傷5に模擬泥を付着させて、温度50℃、湿度98%の環境に暴露する実腐食試験の結果得られた腐食進展速度を示す。さらに、図3に、実施例1の腐食進展速度と試験例1の腐食進展速度との相関を示す。
表1,図3に示すように、実施例1の供試材1〜5,7について、本耐食性試験に係る腐食進展速度と実腐食試験に係る腐食進展速度の相関をみると、その相関性が高い(R=0.96)ことが判る。
一方、表1に示すように、比較例2,4の試験では、試験例1の腐食進展速度との相関をみると、それぞれR=0.68,0.70で相関性が低いことが判る。また、比較例3では、R=0.86で相関性は比較的高いものの、通電時間が5時間と長いことが判る。なお、比較例1の試験では、供試材2〜7において塗膜膨れは観測されなかった。
このように、本実施形態に係る耐食性試験方法によれば、含水材料6に粘土鉱物を含有させるとともに、通電ステップ前に保持ステップを設けることにより、電着塗膜4へのイオンの移動及び水の浸透を予め促すことができるから、腐食進展速度の評価をより短時間で精度よく行うことができる。
−含水材料による塗膜の吸水促進性−
焼付条件又は膜厚が異なる各種電着塗膜4の表面に種々の付着物を設けて、その電着塗膜4の9日経過後の吸水量及び9日経過後の膨れ発生率を調べた。図4〜図6に示すように、付着物の種類及び形態は、「水」、「5%NaCl(スプレー)」、「5%CaCl(スプレー)」、「模擬泥」及び「5%NaCl(浸漬)」の5種類である。なお、「模擬泥」の組成は、水:カオリナイト:塩化ナトリウム:硫酸ナトリウム:塩化カルシウム=500:500:25:25:25(質量比)である。
図4によれば、水、5%NaCl(スプレー)及び5%CaCl(スプレー)のいずれも、9日経過後でも、吸水量はわずかであり、塗膜の膨れもほとんどみられない。
これに対して、図5によれば、模擬泥の場合は、9日経過後の吸水量及び膨れ発生率が、水、5%NaCl(スプレー)及び5%CaCl(スプレー)に比べると、格段に大きくなっている。特に、電着塗膜4の焼付条件が同じ150℃×20分であるケースで比較すると、模擬泥の場合は、当該吸水量及び膨れ発生率が桁違いに大きくなっていることがわかる。
図6によれば、5%NaCl(浸漬)の場合は、当該吸水量及び膨れ発生率が、水、5%NaCl(スプレー)及び5%CaCl(スプレー)よりも大きくなっているが、図5の模擬泥に比べるとかなり低い。
図7は上記5種類について、電着塗膜4の焼付条件が150℃×20分であるケースでの塗膜への水の浸入速度を比較したものである。塗膜への水の浸入速度は、塗膜の吸水量が25μg/mmmに到達するまで時間から計算している。同図によれば、塩水スプレー等に比べて、模擬泥の場合には、塗膜への水の浸入速度が格段に大きいことがわかる。
以上から、水浸透促進剤としての粘土鉱物を含有する模擬泥を含水材料6として採用すると、水が塗膜に対して速やかに浸透し、上述の電気化学的手法による耐食性試験を迅速に且つ安定して行なうことができることがわかる。
−通電制御について−
本実施形態に係る耐食性試験において、金属製基材(鋼板)2に対する通電は、定電流制御方式に限らず、定電圧制御方式にすることもできる。
なお、図8は1mAの定電流制御による通電の電流プロット(比較例3の供試材1の試験)であり、図9は1mAの電流が流れる程度の定電圧を印加したときの電流プロットである。この定電流制御の耐食性試験及び定電圧制御の耐食性試験において、通電条件を除く、他の試験条件は比較例3の供試材1の試験条件と同じである。
定電流制御の場合、電流値が通電初期において多少ばらつくものの、略1mAに制御されている。このように腐食の加速に直接関与する電流値が安定することにより、腐食の加速再現性が良くなる。すなわち、耐食性試験の信頼性が高くなる。
これに対して、定電圧制御の場合、電流値が大きく変動しており、腐食の加速再現性の面で不利になることがわかる。通電開始から7000秒付近までの電流値の変動が大きい期間は、電着塗膜4に水が浸透する期間にあたり、塗膜への水の浸透が定常的に進まないために、電流値が大きく変動しているものと認められる。その後も、電流値は0.5mA〜1.5mAの範囲で変動しており、化成皮膜の劣化や発錆に伴う抵抗値の変動の影響と認められる。なお、本実施形態に係る耐食性試験方法では、通電ステップ前に保持ステップを設けているため、通電開始から7000秒付近までの電流値の変動は抑制され得る。定電圧制御での電流プロット(電流波形)から、腐食が進展する過程における腐食の進行状態ないしは腐食の程度を捉えることが可能になると考えられる。
[第2実施形態]
以下、本開示に係る他の実施形態について詳述する。なお、これらの実施形態の説明において、第1実施形態と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
上記第1実施形態では、被覆金属材1の表面上に人工傷5を2個所設ける構成であったが、人工傷5を設けない構成としてもよい。また、上記第1実施形態では、電極12を2個所に配置する構成であったが、電極12を1個所に設ける構成としてもよい。
具体的には例えば、図10に示すように、耐食性試験装置は、電極12と、この電極12と被覆金属材1の鋼板2とに接続された、電源部及び電流検出部としての通電手段8と、該通電手段8と通信可能に接続された、制御部及び判定部としての情報処理端末25を備える。
電極12は、鋼板2と電着塗膜4との間に電圧を印加するためのものであり、第1実施形態と同じリング状の有孔電極によって構成され、第1実施形態と同様の含水材料6に埋没状態に設けられている。電極12は、電着塗膜4の表面と平行に配置し、電着塗膜4とは非接触にする。通電手段8の他方の配線を鋼板2に接続する。
含水材料6は、液漏れ防止用のゴムマット23を介して電着塗膜4の表面上に設けられた容器21に入れられている。電極12と電着塗膜4とは僅かに離間されており、両者の間に含水材料6が介在している。
このように、人工傷5を設けず、電極12を1個所に設ける構成とすることにより、耐食性試験をより簡易に行うことができる。
なお、含水材料6と電着塗膜4との接触面積(測定面積)は、例えば19.6mm以上314mm以下とすることが好ましい。より好ましくは、50.2mm以上113mm以下である。なお、電極12が電着塗膜4に接する構成としてもよい。
通電手段8は、電極12と鋼板2とに接続されており、電着塗膜4の表面と鋼板2との間に電圧を印加する電源部としての役割を担うとともに、両者間に流れる電流を検出する電流検出部としての役割も担う。具体的には、例えば電圧/電流の印加法として制御可能なポテンショ/ガルバノスタット等を使用することができる。
情報処理端末25は、通電手段8による印加電圧を制御する制御部としての役割を有する。また、通電手段8により検出された電流に関する値に基づき、被覆金属材1の耐食性を評価する判定部としての役割を有する。この点については、次の耐食性試験方法において詳細に説明する。情報処理端末25として、例えば、汎用のコンピュータ等を使用することができる。
(その他の実施形態)
上記実施形態では、表面処理膜として電着塗膜4を備えた構成であったが、被覆金属材1は、表面処理膜として二層以上の多層膜を備えた構成とすることができる。具体的には例えば、電着塗膜4に加え、該電着塗膜4表面上に中塗り塗膜を備えた構成、若しくは該中塗り塗膜上にさらに上塗り塗膜等を備えた構成の多層膜とすることができる。
中塗り塗膜は、被覆金属材1の仕上り性と耐チッピング性を確保するとともに、電着塗膜4と上塗り塗膜との密着性を向上させる役割を有する。また、上塗り塗膜は、被覆金属材1の色、仕上り性及び耐候性を確保するものである。これらの塗膜は、具体的には例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂等の基体樹脂と、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート化合物(ブロック体も含む)等の架橋剤とからなる塗料等により形成することができる。
本構成によれば、例えば自動車部材の製造工程等において、塗装工程毎に製造ラインから部品を取り出し、塗膜の品質等を確認することができる。
また、上記実施形態では、水浸透促進剤として、粘土鉱物を例に挙げたが、電着塗膜4への水の浸透を促す機能を有するものであれば粘土鉱物に限られるものではなく、例えばアセトン、エタノール、トルエン、メタノール等の溶剤、塗膜の濡れ性を向上させるような物質等を採用してもよい。
上記実施形態では、電極12は貫通孔12aを有する有孔電極であったが、貫通孔12aを有しない電極であってもよい。また電極形状は、特に限定されるものではなく、電気化学測定において一般的に用いられる形状の電極を採用することができる。
本開示は、表面処理膜への速やか且つ均一なイオンの移動及び水の浸透を促し、耐食性試験の信頼性向上及び試験時間の短縮を可能とする耐食性試験方法をもたらすことができるので、極めて有用である。
1 被覆金属材
2 鋼板(金属製基材)
3 化成皮膜(金属製基材)
4 電着塗膜(表面処理膜)
5 人工傷
6 含水材料(含水電解質材料)
7 外部回路
8 通電手段
12 電極
12a 貫通孔

Claims (11)

  1. 金属製基材に表面処理膜が設けられてなる被覆金属材の耐食性試験方法であって、
    水、支持電解質及び水浸透促進剤を含有する含水電解質材料を、上記被覆金属材の当該表面処理膜の表面と電極の間に介在させる処理ステップと、
    上記含水電解質材料を上記表面処理膜の表面上に配置した状態で1分以上1日以下保持する保持ステップと、
    上記電極から上記被覆金属材に上記含水電解質材料を介して通電する通電ステップとを備え
    上記保持ステップでは、上記水浸透促進剤により、上記表面処理膜への少なくとも上記水の浸透が促進される
    ことを特徴とする被覆金属材の耐食性試験方法。
  2. 請求項1において、
    上記保持ステップでは、上記被覆金属材及び/又は上記含水電解質材料の温度を30℃以上100℃以下とする
    ことを特徴とする被覆金属材の耐食性試験方法。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    上記水浸透促進剤は、粘土鉱物であり、
    上記含水電解質材料は、泥状物であることを特徴とする被覆金属材の耐食性試験方法。
  4. 請求項3において、
    上記粘土鉱物は、層状ケイ酸塩鉱物又はゼオライトであることを特徴とする被覆金属材の耐食性試験方法。
  5. 請求項4において、
    上記層状ケイ酸塩鉱物は、カオリナイト、モンモリロナイト、セリサイト、イライト、グローコナイト、クロライト及びタルクから選択される少なくとも一つであることを特徴とする被覆金属材の耐食性試験方法。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一において、
    上記支持電解質は、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム及び塩化カルシウムから選択される少なくとも一つの塩であることを特徴とする被覆金属材の耐食性試験方法。
  7. 金属製基材に表面処理膜が設けられてなる被覆金属材の耐食性試験方法であって、
    上記被覆金属材の相離れた2箇所に、上記表面処理膜を貫通して上記金属製基材に達する人工傷を加えるステップと、
    水、支持電解質及び水浸透促進剤を含有する含水電解質材料を、上記被覆金属材の当該表面処理膜の表面と電極の間に介在させる処理ステップと、
    上記含水電解質材料を上記表面処理膜の表面上に配置した状態で1分以上1日以下保持する保持ステップと、
    上記電極から上記被覆金属材に上記含水電解質材料を介して通電する通電ステップとを備え、
    上記処理ステップでは、上記2箇所の人工傷各々において、上記表面処理膜の表面と上記電極の間に上記含水電解質材料を介在させて該両人工傷を外部回路で電気的に接続し、
    上記通電ステップでは、上記外部回路によって上記金属製基材に通電することにより、上記2箇所の人工傷の一方をアノードサイトとし、他方をカソードサイトとして、上記被覆金属材の腐食を進行させることを特徴とする被覆金属材の耐食性試験方法。
  8. 請求項7において、
    上記カソードサイトの人工傷の径は0.1mm以上5mm以下であることを特徴とする被覆金属材の耐食性試験方法。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれか一において、
    上記通電は、電流値を10μA以上10mA以下に設定して行うことを特徴とする被覆金属材の耐食性試験方法。
  10. 請求項1乃至請求項9のいずれか一において、
    上記表面処理膜は、樹脂塗膜であることを特徴とする被覆金属材の耐食性試験方法。
  11. 請求項1乃至請求項10のいずれか一において、
    上記電極は、炭素電極又は白金電極であることを特徴とする被覆金属材の耐食性試験方法。
JP2018231983A 2018-12-11 2018-12-11 被覆金属材の耐食性試験方法 Active JP6747495B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018231983A JP6747495B2 (ja) 2018-12-11 2018-12-11 被覆金属材の耐食性試験方法
US16/699,848 US11262329B2 (en) 2018-12-11 2019-12-02 Method of testing corrosion resistance of coated metal material
CN201911232024.9A CN111307705B (zh) 2018-12-11 2019-12-05 包覆金属材料的耐腐蚀性试验方法
EP19213764.4A EP3667293B1 (en) 2018-12-11 2019-12-05 Method of testing corrosion resistance of coated metal material

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018231983A JP6747495B2 (ja) 2018-12-11 2018-12-11 被覆金属材の耐食性試験方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020094881A JP2020094881A (ja) 2020-06-18
JP6747495B2 true JP6747495B2 (ja) 2020-08-26

Family

ID=68806624

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018231983A Active JP6747495B2 (ja) 2018-12-11 2018-12-11 被覆金属材の耐食性試験方法

Country Status (4)

Country Link
US (1) US11262329B2 (ja)
EP (1) EP3667293B1 (ja)
JP (1) JP6747495B2 (ja)
CN (1) CN111307705B (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3660488B1 (en) * 2017-08-04 2023-03-15 Mazda Motor Corporation Corrosion resistance test method and corrosion resistance test apparatus for coated metal material
JP2020118468A (ja) * 2019-01-18 2020-08-06 マツダ株式会社 被覆金属材の耐食性試験装置
JP7484481B2 (ja) * 2020-06-19 2024-05-16 マツダ株式会社 被覆金属材の耐食性試験方法
JP2022001834A (ja) * 2020-06-19 2022-01-06 マツダ株式会社 被覆金属材の耐食性試験方法及び試験片
JP6801805B1 (ja) * 2020-06-22 2020-12-16 マツダ株式会社 計測方法及び計測装置、並びに、被覆金属材の耐食性試験方法及び耐食性試験装置
JP6835279B1 (ja) * 2020-06-22 2021-02-24 マツダ株式会社 電極部装置、被覆金属材の耐食性試験方法及び耐食性試験装置
JP6835280B1 (ja) * 2020-06-22 2021-02-24 マツダ株式会社 傷の処理方法及び処理装置、並びに、被覆金属材の耐食性試験方法及び耐食性試験装置
JP6849140B1 (ja) * 2020-07-30 2021-03-24 マツダ株式会社 被覆金属材の耐食性試験装置及び耐食性試験方法
JP6835286B1 (ja) 2020-09-29 2021-02-24 マツダ株式会社 被覆金属材の耐食性試験方法及び該方法に用いられる含水材料
JP6835287B1 (ja) 2020-09-29 2021-02-24 マツダ株式会社 被覆金属材の耐食性試験方法及び該方法に用いられる含水材料

Family Cites Families (20)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3293155A (en) 1965-07-12 1966-12-20 Ford Motor Co Method for determining the corrosion resistance of anodized aluminum parts
JPS5890157A (ja) * 1981-11-25 1983-05-28 Kawasaki Steel Corp 外面被覆鋼管または鋼板の陰極剥離試験方法および装置
JPS6091250A (ja) * 1983-10-25 1985-05-22 Toshiba Corp 電気化学測定方法
JP4051409B2 (ja) * 1997-07-15 2008-02-27 日本防蝕工業株式会社 大気環境中の塗装金属体の電気防食装置
JP2007271501A (ja) 2006-03-31 2007-10-18 Osaka Gas Co Ltd 被膜の防食評価方法
JP5108843B2 (ja) * 2009-08-06 2012-12-26 住友電気工業株式会社 腐食試験方法
JP5108844B2 (ja) * 2009-05-12 2012-12-26 住友電気工業株式会社 腐食試験方法
EP2373976A1 (en) * 2009-01-02 2011-10-12 E. I. du Pont de Nemours and Company Corrosion resistance evaluator
WO2012088256A2 (en) * 2010-12-21 2012-06-28 E. I. Du Pont De Nemours And Company Process for evaluating corrosion resistance of coating
MX2013007138A (es) * 2010-12-21 2013-08-01 Coatings Foreign Ip Co Llc Proceso para evaluar la resistencia a la corrosion de un revestimiento.
CN102183453A (zh) * 2011-01-24 2011-09-14 南通宝钢钢铁有限公司 一种耐氯离子腐蚀抗震钢材的微观电极电位的测定方法
JP5830910B2 (ja) * 2011-04-12 2015-12-09 Jfeスチール株式会社 缶成型体の内容物に対する耐腐食性を評価する方法
CN102691059A (zh) * 2012-06-18 2012-09-26 深圳市诚达科技股份有限公司 一种在高腐蚀环境中不锈钢抗腐蚀的表面处理方法
JP5588539B2 (ja) * 2013-04-23 2014-09-10 セイコーインスツル株式会社 電気化学セル
CN204142965U (zh) * 2014-08-08 2015-02-04 苏州格林泰克科技有限公司 一种不极化电极
JP6213426B2 (ja) * 2014-09-02 2017-10-18 マツダ株式会社 塗装金属材の耐食性評価方法及び耐食性評価装置
JP6436688B2 (ja) 2014-09-02 2018-12-12 国立大学法人広島大学 塗装金属材の耐食性評価方法及び耐食性評価装置
CN104458536A (zh) * 2014-12-16 2015-03-25 天津大学 一种测量混凝土离子渗透率的装置和方法及其应用
EP3660488B1 (en) 2017-08-04 2023-03-15 Mazda Motor Corporation Corrosion resistance test method and corrosion resistance test apparatus for coated metal material
CN108823439A (zh) * 2018-07-19 2018-11-16 佛山市高明区爪和新材料科技有限公司 一种高强型生物用锌镁合金复合材料的制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020094881A (ja) 2020-06-18
CN111307705B (zh) 2023-05-09
US20200182824A1 (en) 2020-06-11
EP3667293B1 (en) 2022-02-02
EP3667293A1 (en) 2020-06-17
US11262329B2 (en) 2022-03-01
CN111307705A (zh) 2020-06-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6747495B2 (ja) 被覆金属材の耐食性試験方法
CN111033224B (zh) 包覆金属材料的耐腐蚀性试验方法和装置
JP6565980B2 (ja) 被覆金属材の耐食性試験装置及び被覆金属材の耐食性試験方法
CN111458287B (zh) 包覆金属材料的耐腐蚀性试验装置
JP6565979B2 (ja) 被覆金属材の耐食性試験装置及び耐食性試験方法
JP6733844B1 (ja) 被覆金属材の耐食性試験方法及び耐食性試験装置
JP6515963B2 (ja) 被覆金属材の耐食性試験方法及び耐食性試験装置
JP6213426B2 (ja) 塗装金属材の耐食性評価方法及び耐食性評価装置
JP6835281B1 (ja) 計測方法及び計測装置、並びに、被覆金属材の耐食性試験方法及び耐食性試験装置
JP2022001855A (ja) 電極部装置、被覆金属材の耐食性試験方法及び耐食性試験装置
JP6801805B1 (ja) 計測方法及び計測装置、並びに、被覆金属材の耐食性試験方法及び耐食性試験装置
JP2022026202A (ja) 被覆金属材の耐食性試験装置及び耐食性試験方法
JP6835280B1 (ja) 傷の処理方法及び処理装置、並びに、被覆金属材の耐食性試験方法及び耐食性試験装置
JP6813122B2 (ja) 被覆金属材の耐食性試験方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200424

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20200424

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20200511

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200526

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200624

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200707

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200720

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6747495

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150