JP6436688B2 - 塗装金属材の耐食性評価方法及び耐食性評価装置 - Google Patents

塗装金属材の耐食性評価方法及び耐食性評価装置 Download PDF

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Description

本発明は、塗装金属材の耐食性を定量的に評価する耐食性評価方法及び耐食性評価装置に関するものである。
従来より、塗装後の総合塗膜(化成皮膜/電着塗膜/中塗り塗膜/上塗り塗膜)性能を評価する手法として複合サイクル試験等の腐食促進試験が行われている。
しかし、斯かる腐食促進試験においては、評価に数ヶ月を要するため、例えば塗装鋼板の構成材料や焼付条件の異なる総合塗膜の膜質を簡便に評価し、塗装条件の最適化等を迅速に行うことが困難である。従って、材料開発、塗装工場の工程管理、車両防錆品質の育成の場において、塗装鋼板の耐食性を迅速且つ簡便に評価する定量評価法の確立が望まれている。
そこで、被覆金属の簡易な寿命予測方法として、金属と皮膜との間に定電圧を印加して、電流が流れ出すまでの時間と電圧との関係から、電圧を印加していないときに腐食因子が素地に到達するまでの時間を予測する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開昭61−54437号公報
しかしながら、上記従来の特許文献1のものでは、評価に時間がかかるとともに、測定毎にグラフを作成して評価しなければならず現実的ではないという問題があった。
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、塗装鋼板の耐食性を簡便且つ定量的に評価できる手法を構築するとともに、実践的且つ簡易な耐食性評価装置を開発することにある。
上記の目的を達成するために、この発明では、電気化学的計測法を用いて塗膜の絶縁性を破壊し、その絶縁破壊電圧(以下、「絶縁電圧」という)を測定することにより、塗装金属材の耐食性を定量的且つ簡易に評価するようにした。
具体的には、本発明に係る耐食性評価方法は、基材上に塗膜を備えた塗装金属材の耐食性を定量的に評価する耐食性評価方法であって、前記基材は、自動車部材用鋼版であり、前記塗装金属材の基材と前記塗膜表面との間に電圧を印加し、前記塗膜が絶縁破壊するときの電圧値に基づいて、前記塗装金属材の耐食性を評価することを特徴とする。
前記塗膜が絶縁破壊するときの電圧値、すなわち絶縁電圧は塗膜の耐食性に係る絶縁性の良否を表すため、これを測定することにより塗装金属材の耐食性を評価することができる。従って、本発明によれば、塗装金属材の耐食性を腐食促進試験により評価する必要が無く、塗装金属材の基材の種類、塗膜の構成材料、膜厚、及び焼付条件等の条件出しや品質管理、工程管理等の面において本方法を活用することができる。
また、本発明に係る耐食性評価方法は、腐食促進試験により前記塗装金属材の腐食が開始するまでの期間としての腐食抑制期間を予め求めておき、前記塗装金属材の基材と前記塗膜表面との間に、時間に対して徐々に増大する電圧を印加し、前記塗膜が絶縁破壊するときの電圧値を予め求めておき、被測定物である塗装金属材の基材と塗膜表面との間に、前記電圧を印加し、塗膜が絶縁破壊するときの電圧値の実測値を求め、予め求めておいた前記腐食抑制期間と予め求めておいた前記電圧値との関係に基づいて、前記被測定物の前記実測値から、前記被測定物の耐食性として、前記被測定物の腐食抑制期間を求める構成とすることができる。
一般に、塗装金属材では、例えば塩水などの腐食因子が塗膜に浸透し、基材に到達することで錆の発生、すなわち腐食が開始する。従って、塗装金属材の腐食過程は、錆が発生するまでの過程と発生した錆が進展する過程とに分けられ、それぞれ腐食が開始するまでの期間(腐食抑制期間)と腐食が進展する速度(腐食速度)とを求めることにより評価することができる。前記絶縁電圧は、上述のごとく塗膜の耐食性に係る絶縁性の良否を示すため、前記塗装金属材の腐食抑制期間と相関関係がある。
前記腐食抑制期間は、複合サイクル試験や塩水噴霧試験等の腐食促進試験により別途実験的に測定することができる。従って、腐食抑制期間と絶縁電圧との相関関係を予め実験的に求めておき、この関係に基づいて、試験片の絶縁電圧の実測値から当該試験片の腐食抑制期間を求めることにより、塗装金属材の基材の種類、塗膜の構成材料、膜厚、及び焼付条件等の異なる試験片に対して、より正確且つ定量的に塗装金属材の耐食性を評価することができる。
また、本発明に係る耐食性評価方法は、前記塗装金属材の基材と前記塗膜表面との間に前記電圧を時間に対して比例的に増大させながら印加することが好ましい。
同構成によれば、絶縁電圧をより精度良く検出することができる。
なお、前記塗膜は化成皮膜と電着塗膜とを備えた構成であることが好ましい。
さらに、前記塗膜は、樹脂系塗料を用いて形成された電着塗膜を備えた構成であることが好ましい。
また、本発明に係る耐食性評価装置は、基材上に塗膜を備えた塗装金属材の耐食性を定量的に評価する耐食性評価装置であって、前記基材は、自動車部材用鋼版であり、前記塗装金属材の前記塗膜側に配置する電極と、前記塗膜と前記電極との間に両者に接触するように電解質材料を配置した状態で、前記電極と前記塗装金属材の基材との間に電圧を印加する電源部と、前記電極と前記基材との間に流れる電流を検出する電流検出部と、前記電源部による印加電圧を制御する制御部と、前記電源部による電圧の印加に伴い前記塗膜が絶縁破壊するときの電圧値に基づいて、前記塗装金属材の耐食性を評価する判定部とを備えたことを特徴とする。
同構成では、支持電解質存在下、塗装金属材に電圧を印加することにより、腐食因子としての支持電解質の塗膜への浸透を促すことができる。そして、腐食因子が基材に到達したときの電圧値、すなわち塗膜が絶縁破壊するときの絶縁電圧を測定すれば、上述のごとく前記腐食抑制期間という観点から塗装金属材の耐食性を評価することができる。これにより、塗装金属材の耐食性を腐食促進試験により評価する必要が無く、塗装金属材の基材の種類、塗膜の構成材料、膜厚、及び焼付条件等の条件出しや品質管理、工程管理等の面において本装置を活用することができる。
また、本発明に係る耐食性評価装置において、前記判定部は、腐食促進試験により前記塗装金属材の腐食が開始するまでの期間として予め求めておいた腐食抑制期間と、前記塗装金属材の基材と前記塗膜表面との間に、時間に対して徐々に増大する電圧を印加して予め求めておいた前記塗膜が絶縁破壊するときの電圧値と、の関係に基づいて、被測定物である塗装金属材の基材と塗膜表面との間に前記電圧を印加して求めた塗膜が絶縁破壊するときの電圧値の実測値から、前記被測定物の耐食性として、前記被測定物の腐食抑制期間を求める構成とすることが好ましい。
上述のごとく、前記腐食抑制期間は別途実験的に測定することができるため、本構成とすることにより、塗装金属材の基材の種類、塗膜の構成材料、膜厚、及び焼付条件等の異なる試験片に対して、より正確且つ定量的に塗装金属材の耐食性を評価することができる。
また、本発明に係る耐食性評価装置において、前記制御部は前記電圧を時間に対して比例的に増大させながら印加することが好ましい。
同構成によれば、絶縁電圧をより精度良く検出することができる。
なお、前記塗膜は化成皮膜と電着塗膜とを備えた構成であることが好ましい。
また、前記塗膜は、樹脂系塗料を用いて形成された電着塗膜を備えた構成であることが好ましい。
以上説明したように、本発明によれば、電気化学的計測法を用いて塗膜の絶縁性を破壊し、その絶縁電圧を測定することにより、塗装金属材の耐食性を定量的且つ簡易に評価することができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る耐食性評価装置を用いた耐食性評価方法を説明するための図である。 図2は、第1実施形態において、電極と塗装金属材の基材との間に印加される電圧の変化(一点鎖線)、及び該電圧の印加に伴い前記電極と前記基材との間に流れる電流の変化(実線)を示す図である。 図3は、絶縁電圧と塗膜膨れ発生サイクル数との相関関係を示す図である。 図4は、本発明の第2実施形態に係る耐食性評価装置を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
[第1実施形態]
(耐食性評価装置)
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る耐食性評価装置1は、電極6と、この電極6と評価対象である塗装鋼板2(塗装金属材)とに接続された、電源部及び電流検出部としての電源装置10と、前記電源装置10と通信可能に接続された、制御部及び判定部としての情報処理端末11を備える。
電極6は、前記塗装鋼板2の基材である鋼板3と該鋼板3表面上に形成された塗膜である化成皮膜4及び電着塗膜5との間に電圧を印加するためのものであり、具体的には例えば、炭素電極、白金電極等を使用することができる。電極6は、塗装鋼板2の電着塗膜5側に配置されており、電着塗膜5と電極6との間には両者に接触するように電解質材料としての電解質溶液8が配置されている。
電解質溶液8は、導電性を増加させるとともに、腐食因子としての役割を有し、支持電解質を含む溶液であればいずれのものも使用することができる。具体的には例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、硝酸カリウム、リン酸カルシウム、酒石酸水素カリウム等の水溶液等を使用することができる。本実施形態においては5%塩化ナトリウム水溶液を使用する。
図1に示すように、電解質溶液8は、液漏れ防止用のゴムマット9を介して電着塗膜5表面上に設けられた容器7に入れられ、その電解質溶液8の中に、前記電極6が浸漬された状態で配置されている。また、電極6と電着塗膜5とは僅かに離間されており、両者の間は電解質溶液8で満たされている。
ここで、電解質溶液8と電着塗膜5との接触面積が測定面積であり、具体的には例えば5mmφ(19.6mm)以上20mmφ(314mm)以下の測定面積を有することが好ましい。より好ましくは、8mmφ(50.2mm)以上12mmφ(113mm)以下である。
電源装置10は、前記電極6と、前記塗装鋼板2の基材である鋼板3とに接続されており、両者間に電圧を印加する電源部としての役割を担うとともに、両者間に流れる電流を検出する電流検出部としての役割も担う。具体的には、例えば電圧/電流の印加法として制御可能なポテンショ/ガルバノスタット等を使用することができる。
情報処理端末11は、電源装置10により電極6と鋼板3との間に印加される電圧を制御する制御部としての役割を有する。また、電源装置10による電圧の印加に伴い前記塗膜4,5が絶縁破壊するときの電圧値に基づいて、塗装鋼板2の耐食性を評価する判定部としての役割を有する。この点については、後述の(耐食性評価方法)において詳細に説明する。情報処理端末11として、具体的には例えば、汎用のコンピュータ等を使用することができる。
(耐食性評価方法)
前記耐食性評価装置1を使用して、本発明に係る耐食性評価を行う方法について、図1〜3を参照して詳述する。
まず、被測定物としての塗装鋼板2の試験片を準備する。本実施形態において、塗装鋼板2は、基材としての鋼板3と、この鋼板3の表面に形成された化成皮膜4と、さらにその上に形成された電着塗膜5とにより構成されている。
鋼板3は、家電製品、建材又は自動車部品等を製造するための鋼板であり、より好ましくは自動車部材用鋼板である。具体的には例えば、冷間圧延鋼板(SPC)、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)、高張力鋼板又はホットスタンプ材等を使用することができ、より好ましくはSPC又はGAである。
化成皮膜4は、腐食因子が直接鋼板3に触れるのを防ぐとともに、化成皮膜4自身が反応し、鋼板3表面をアルカリ性環境にして錆を防ぐ役割を有する。また、電着塗膜5と鋼板3との密着性を向上させる役割も有する。具体的には例えば、クロメート化成皮膜やリン酸亜鉛皮膜等である。
電着塗膜5は、高いつきまわり性と均一性を有し、焼付工程後には高い耐食性を示すことにより、鋼板3を保護する役割を有する。具体的には例えば、エポキシ樹脂系塗料、アクリル樹脂系塗料等を使用することができる。
次に、塗装鋼板2の電着塗膜5表面上に、前記ゴムマット9を介して容器7を設置し、該容器7内に前記電解質溶液8を充填する。
そして、この電解質溶液8内に、電源装置10に接続された電極6を浸漬させ、電着塗膜5表面上方に非接触状態で保持する。
さらに、電源装置10の他方の配線を前記塗装鋼板2の鋼板3に接続させる。
この状態において、前記情報処理端末11の制御のもとで、電源装置10により電極6と鋼板3との間に電圧が印加される。このとき、電源装置10により印加される電圧は、図2の一点鎖線に示すように、時間に対して徐々に増大、すなわち漸増させながら印加する。これにより、絶縁電圧をより精度良く検出することができる。印加電圧の掃引速度は、具体的には例えば、0.1〜10V/sの範囲であり、より好ましくは0.5〜2V/sである。
次に、電源装置10は、前記印加電圧に対して、前記電極6と前記鋼板3との間に流れる電流を検出する。図2において実線で示すように、両者間の電流は印加電圧を上昇させても、時刻tに電圧値Vとなるまではほとんど流れない。しかし、電圧値Vを超えると電流量が急激に増加し、電圧値V(時刻t)において電流量は閾値Aに到達する。
これは、電圧値Vに至るまでは塗膜4,5における腐食因子の遮断性能が維持されており、電流量が抑えられているものの、図1の符号12で示すように、印加電圧の上昇が塗膜4,5への腐食因子の浸透を助ける、もしくは塗膜4,5が徐々に破壊され、腐食因子としての電解質溶液8が塗膜4,5内部へ徐々に浸透し、やがて鋼板3の表面に到達したことにより、急激に電流量が増加したことを示している。換言すると、電圧の印加に伴い腐食因子の塗膜4,5への浸透が促され、腐食因子が鋼板3の表面に到達したことにより、塗膜4,5は絶縁破壊され、その遮断性能は失われたといえる。
そして、電流量が閾値Aに達したときの電圧値Vを絶縁電圧とすると、絶縁電圧Vとなる時間tは、腐食因子が鋼板3に到達するまでの期間、すなわち鋼板3の腐食抑制期間に対応すると考えられる。
そこで、実際に前記絶縁電圧Vと前記腐食抑制期間との対応関係について考察する。
図3は、鋼板3としてSPCを使用し、その表面上に化成皮膜4、電着塗膜5を形成した塗装鋼板2について、腐食促進試験である複合サイクル試験により得られた、腐食抑制期間を示す塗膜膨れ発生サイクル数と、前記絶縁電圧Vとの相関関係を示している。
なお、複合サイクル試験においては、試験片に対し、塩水噴霧(8時間)、乾燥(8時間)、湿潤(8時間)の各工程を24時間1サイクルとして施し、当該試験片表面の20%に塗膜膨れ(錆)が形成されたサイクル数、すなわち塗膜膨れ発生サイクル数を腐食抑制期間として求めるものである。
図3において、S1〜S4に示す4点は、それぞれ電着塗膜5の膜厚が5μm、7μm、10μm、及び15μmの塗装鋼板2において、焼付条件150℃・20分のものを示す。また、S5,S6,S3の3点は、電着塗膜5の膜厚10μmの塗装鋼板2において、焼付条件をそれぞれ、140℃・15分、140℃・20分、及び150℃・20分としたものを示す。図3に示すように、上記の点は電着塗膜5の膜厚及び焼付条件が変化しても回帰直線に沿ったものであり、その決定係数Rは0.83であることから、腐食抑制期間としての塗膜膨れ発生サイクル数と絶縁電圧Vとの間には高い相関関係があると言える。
従って、腐食促進試験により塗装鋼板2の腐食抑制期間を測定する代わりに、塗膜4,5の絶縁電圧Vを測定することにより、塗装鋼板2の耐食性を評価することができる。
すなわち、本実施形態に係る耐食性評価方法は、前記塗装鋼板2の鋼板3と塗膜4,5表面との間に電圧を増大させながら印加し、前記塗膜4,5が絶縁破壊するときの電圧値、すなわち電源装置10により検出された電流量が閾値Aに到達したときの絶縁電圧Vを求めることにより、この絶縁電圧Vに基づいて前記塗膜4,5の耐食性を評価することを特徴とする。
同構成によれば、電解質溶液8存在下、塗装鋼板2に電圧を印加することにより、腐食因子としての電解質溶液8の塗膜4,5への浸透を促すことができる。そして、腐食因子が鋼板3に到達したときの電圧値、すなわち塗膜4,5が絶縁破壊するときの絶縁電圧Vを測定すれば、この絶縁電圧Vは前記腐食抑制期間と相関関係があるため、前記腐食抑制期間という観点から塗装鋼板2の耐食性を評価することができる。これにより、塗装鋼板2の耐食性を腐食促進試験により評価する必要が無く、鋼板3の種類、塗膜4,5の構成材料、膜厚、及び焼付条件等の条件出しや品質管理、工程管理等の面において本方法を活用することができる。
なお、前記電流量の閾値Aは、急激な電流量の増加を検出できる程度に設定されていればよく、具体的には例えば0.5mA以上であることが好ましい。また、より好ましくは、1〜50mA、特に好ましくは、5〜15mAである。
さらに、上記測定に際し、試験温度は10〜40℃において一定に保持されていることが好ましい。また、より好ましくは、20〜30℃、特に好ましくは、23〜27℃である。
また、前記塗装鋼板2の耐食性として、予め実験的に求めておいた塗装鋼板2の前記腐食抑制期間と前記絶縁電圧Vとの関係に基づいて、試験片の前記絶縁電圧Vの実測値から当該試験片の腐食抑制期間を求めることが好ましい。
より具体的には例えば、参照データとして、膜厚の異なる塗装鋼板2について、予め腐食促進試験により腐食抑制期間を求めるとともに絶縁電圧Vを測定して両者の相関関係を求めておき、焼付条件等の異なる塗装鋼板2の試験片の絶縁電圧Vの実測値から、前記相関関係に基づいて当該試験片の腐食抑制期間を求め、試験片上に形成された塗膜4,5の膜質等を評価する。
これにより、鋼板3の種類、塗膜4,5の構成材料、膜厚、及び焼付条件等の異なる試験片に対して、より正確且つ定量的に塗装鋼板2の耐食性を評価することができる。
以下、本発明に係る他の実施形態について詳述する。なお、これらの実施形態の説明において、第1実施形態と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
[第2実施形態]
(耐食性評価装置)
図4に示すように、図1における容器7及びゴムマット9に代えて、電解質溶液8を含有する導電性固形物28を使用することができる。
導電性固形物28は、電解質溶液8を含有しながら、被測定物の形状に合わせて任意形状を取り得る固形物であって、導電性を有するものであればよい。具体的には例えば、グリアジン、グルテニン及びデンプン等からなる固形物原料粉に対し、塩化ナトリウム、酒石酸水素カリウム、蒸留水及びオレイン酸、リノール酸等の油分を含む固形物が好ましい。このとき、それぞれの成分の配合比は、体積比において、固形物原料粉30〜50%、塩化ナトリウム10〜30%、酒石酸水素カリウム10〜30%、蒸留水10〜45%、油分3〜15%であることが好ましい。
本構成とすることにより、平坦面を有さない試験片、具体的には例えば塗装鋼板2のエッジ部や、曲面等において、試験片の形状が制約されることなく、測定を行うことができる。
[その他の実施形態]
上記第1又は第2実施形態において、被測定物である塗装鋼板2は、塗膜として二層以上の多層膜を備えた構成とすることができる。具体的には例えば、化成皮膜4及び電着塗膜5に加え、該電着塗膜5表面上に中塗り塗膜を備えた構成、若しくは該中塗り塗膜上にさらに上塗り塗膜等を備えた構成の多層膜とすることができる。
中塗り塗膜は、塗装鋼板2の仕上り性と耐チッピング性を確保するとともに、化成皮膜4及び電着塗膜5により構成される下塗り塗膜と上塗り塗膜との密着性を向上させる役割を有する。また、上塗り塗膜は、塗装鋼板2の色、仕上り性及び耐候性を確保するものである。これらの塗膜は、具体的には例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂等の基体樹脂と、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート化合物(ブロック体も含む)等の架橋剤とからなる塗料等により形成される。
本構成とすることにより、例えば自動車部材の製造工程等において、塗装工程毎に製造ラインから部品を取り出し、塗膜の品質等を確認することができる。
本発明は、塗装金属材の耐食性を迅速且つ簡易に評価することができるので、極めて有用である。
1 耐食性評価装置
2 塗装鋼板(塗装金属材)
3 鋼板(基材)
4 化成皮膜
5 電着塗膜
6 電極
8 電解質溶液(電解質材料)
10 電源装置(電源部、電流検出部)
11 情報処理端末(制御部、判定部)
絶縁電圧(塗膜が絶縁破壊するときの電圧値)

Claims (10)

  1. 基材上に塗膜を備えた塗装金属材の耐食性を定量的に評価する耐食性評価方法であって、
    前記基材は、自動車部材用鋼版であり、
    前記塗装金属材の基材と前記塗膜表面との間に電圧を印加し、前記塗膜が絶縁破壊するときの電圧値に基づいて、前記塗装金属材の耐食性を評価する
    ことを特徴とする耐食性評価方法。
  2. 腐食促進試験により前記塗装金属材の腐食が開始するまでの期間としての腐食抑制期間を予め求めておき、
    前記塗装金属材の基材と前記塗膜表面との間に、時間に対して徐々に増大する電圧を印加し、前記塗膜が絶縁破壊するときの電圧値を予め求めておき、
    被測定物である塗装金属材の基材と塗膜表面との間に、前記電圧を印加し、塗膜が絶縁破壊するときの電圧値の実測値を求め、
    予め求めておいた前記腐食抑制期間と予め求めておいた前記電圧値との関係に基づいて、前記被測定物の前記実測値から、前記被測定物の耐食性として、前記被測定物の腐食抑制期間を求める
    ことを特徴とする請求項1に記載の耐食性評価方法。
  3. 前記塗膜は化成皮膜と電着塗膜とを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の耐食性評価方法。
  4. 前記塗装金属材の基材と前記塗膜表面との間に前記電圧を時間に対して比例的に増大させながら印加することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐食性評価方法。
  5. 前記塗膜は、樹脂系塗料を用いて形成された電着塗膜を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐食性評価方法。
  6. 基材上に塗膜を備えた塗装金属材の耐食性を定量的に評価する耐食性評価装置であって、
    前記基材は、自動車部材用鋼版であり、
    前記塗装金属材の前記塗膜側に配置する電極と、
    前記塗膜と前記電極との間に両者に接触するように電解質材料を配置した状態で、前記電極と前記塗装金属材の基材との間に電圧を印加する電源部と、
    前記電極と前記基材との間に流れる電流を検出する電流検出部と、
    前記電源部による印加電圧を制御する制御部と、
    前記電源部による電圧の印加に伴い前記塗膜が絶縁破壊するときの電圧値に基づいて、前記塗装金属材の耐食性を評価する判定部と
    を備えたことを特徴とする耐食性評価装置。
  7. 前記判定部は、
    腐食促進試験により前記塗装金属材の腐食が開始するまでの期間として予め求めておいた腐食抑制期間と、
    前記塗装金属材の基材と前記塗膜表面との間に、時間に対して徐々に増大する電圧を印加して予め求めておいた前記塗膜が絶縁破壊するときの電圧値と、
    の関係に基づいて、
    被測定物である塗装金属材の基材と塗膜表面との間に前記電圧を印加して求めた塗膜が絶縁破壊するときの電圧値の実測値から、前記被測定物の耐食性として、前記被測定物の腐食抑制期間を求める
    ことを特徴とする請求項6に記載の耐食性評価装置。
  8. 前記塗膜は化成皮膜と電着塗膜とを備えたことを特徴とする請求項6又は7に記載の耐食性評価装置。
  9. 前記制御部は前記電圧を時間に対して比例的に増大させながら印加することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の耐食性評価装置。
  10. 前記塗膜は、樹脂系塗料を用いて形成された電着塗膜を備えたことを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の耐食性評価装置。
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