以下、添付図面を参照しながら、本発明の各実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の各実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
[第1の実施形態]
まず、図1〜図4を参照しつつ、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置10の構成について説明する。ここで、図1は画像形成装置10の構成を示す断面模式図である。また、図3はADF1及び画像読取部2の構成の一部を示す断面模式図である。また、図4はCCD26の構成を示す模式図である。
なお、説明の便宜上、画像形成装置10が使用可能な設置状態(図1に示される状態)で鉛直方向を上下方向D1と定義する。また、図1に示される画像形成装置10の紙面手前側の面を正面(前面)として前後方向D2を定義する。また、前記設置状態の画像形成装置10の正面を基準として左右方向D3を定義する。
画像形成装置10は、原稿から画像データを読み取るスキャン機能、及び画像データに基づいて画像を形成するプリント機能と共に、ファクシミリ機能、及びコピー機能などの複数の機能を有する複合機である。なお、画像形成装置10は、プリンター、コピー機、又はファクシミリ装置であってもよい。
図1及び図2に示されるように、画像形成装置10は、ADF(自動原稿搬送装置)1、画像読取部2、画像形成部3、給紙部4、制御部5、及び操作表示部7を備える。
画像形成部3は、画像読取部2によって読み取られた画像データに基づいて電子写真方式で画像を形成することが可能である。具体的に、画像形成部3は、感光体ドラム、帯電装置、光走査装置、現像装置、転写装置、クリーニング装置、定着装置、及び排紙トレイを備える。給紙部4は、給紙カセット、シート搬送路、及び複数の搬送ローラーを備え、画像形成部3にシートを供給する。画像形成部3は、給紙部4から供給されるシートに、画像データに基づく画像を形成する。画像形成部3による画像形成後のシートは、前記排紙トレイに排出される。なお、画像形成部3は、インクジェット方式などの他の画像形成方式により画像を形成するものであってもよい。
制御部5は、不図示のCPU、ROM、RAM、及びEEPROM(登録商標)などの制御機器を備える。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶媒体である。前記RAMは揮発性の記憶媒体であり、前記EEPROMは不揮発性の記憶媒体である。前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。制御部5では、前記CPUにより前記ROMに予め記憶された各種の制御プログラムが実行される。これにより、画像形成装置10が制御部5により統括的に制御される。なお、制御部5は、集積回路(ASIC)などの電子回路で構成されたものであってもよく、画像形成装置10を統括的に制御するメイン制御部とは別に設けられた制御部であってもよい。
操作表示部7は、制御部5からの制御指示に応じて各種の情報を表示する液晶ディスプレーなどの表示部、及びユーザーの操作に応じて制御部5に各種の情報を入力する操作キー又はタッチパネルなどの操作部を有する。
ADF1は、画像読取部2によって画像データが読み取られる原稿を搬送する。具体的に、ADF1は、図1及び図3に示されるように、原稿載置部11、複数の搬送ローラー12、原稿ガイド13、及び排紙部14を備える。また、ADF1は、後述する原稿台21に対して開閉可能に支持されており、原稿台21のコンタクトガラス211に載置される原稿に対する原稿カバーを兼ねている。
ADF1では、搬送ローラー12各々が不図示のモーターで駆動される。これにより、原稿載置部11に載置された原稿が、ADF1の内部に形成された原稿搬送路を図3に示される搬送方向D4へ搬送される。前記原稿搬送路を搬送される原稿は、原稿ガイド13によって原稿台21のコンタクトガラス211における読取領域X(図3参照)に案内された後、排紙部14に排出される。なお、読取領域Xは、後述する読取位置X1〜X3を含む主走査方向(前後方向D2)に長尺な矩形状の領域である。
画像読取部2は、原稿から画像データを読み取ることが可能である。具体的に、画像読取部2は、図1及び図3に示されるように、原稿台21、読取ユニット22、ミラー23、ミラー24、光学レンズ25、及びCCD26を備える。
原稿台21は、画像形成装置10の筐体の上面に設けられる。原稿台21は、図1及び図3に示されるように、コンタクトガラス211を備える。コンタクトガラス211には、原稿が載置される。ここに、コンタクトガラス211が、本発明における透光部材の一例である。
読取ユニット22は、図1及び図3に示されるように、コンタクトガラス211の下側に設けられている。読取ユニット22は、ステッピングモーター等の駆動部を有する不図示の移動機構によって、左右方向D3へ移動可能に構成されている。読取ユニット22は、図1に示されるように、光源221及びミラー222を備える。
光源221は、前後方向D2に沿って配列された複数の白色LEDである。光源221は、コンタクトガラス211へ向けて前記主走査方向(前後方向D2)の1ライン分の白色光を照射する。光源221から射出された光は、コンタクトガラス211を透過して、コンタクトガラス211に載置された原稿又はADF1によって搬送される原稿に照射される。ミラー222は、光源221から射出されて原稿で反射された光をミラー23へ反射させる。
画像読取部2では、コンタクトガラス211に載置された原稿から画像データが読み取られる場合、読取ユニット22が前記移動機構によって左右方向D3へ移動される。これにより、光源221から原稿に照射される光が副走査方向(左右方向D3)へ走査される。また、画像読取部2では、ADF1によって搬送される原稿から画像データが読み取られる場合、読取ユニット22が前記移動機構によって光源221から射出される光が読取領域X(図3参照)を通過する位置に移動される。これにより、光源221から射出される光がコンタクトガラス211を透過して、ADF1によって読取領域Xを順次通過して搬送される原稿に照射される。
ミラー23は、読取ユニット22のミラー222で反射された光をミラー24へ反射させる。ミラー24は、ミラー23で反射された光を光学レンズ25へ反射させる。光学レンズ25は、ミラー24で反射された光を集光してCCD26へ入射させる。
CCD26は、光学レンズ25から水平方向へ出射された光を受光する受光面を有しており、図4に示されるように、前記受光面に第1光電変換素子群261、第2光電変換素子群262、及び第3光電変換素子群263を有するイメージセンサーである。
第1光電変換素子群261は、前記主走査方向(前後方向D2)に沿って配列された複数の光電変換素子を有する。第1光電変換素子群261は、原稿から読み取られる画像データに含まれる赤色の色データに対応するアナログの電気信号を出力する。例えば、第1光電変換素子群261は、前記光電変換素子各々の受光面に赤色の光のみを透過する光学フィルターを備える。
第2光電変換素子群262は、前記主走査方向(前後方向D2)に沿って配列された複数の光電変換素子を有する。第2光電変換素子群262は、原稿から読み取られる画像データに含まれる青色の色データに対応するアナログの電気信号を出力する。例えば、第2光電変換素子群262は、前記光電変換素子各々の受光面に青色の光のみを透過する光学フィルターを備える。
第3光電変換素子群263は、前記主走査方向(前後方向D2)に沿って配列された複数の光電変換素子を有する。第3光電変換素子群263は、原稿から読み取られる画像データに含まれる緑色の色データに対応するアナログの電気信号を出力する。例えば、第3光電変換素子群263は、前記光電変換素子各々の受光面に緑色の光のみを透過する光学フィルターを備える。
第1光電変換素子群261、第2光電変換素子群262、及び第3光電変換素子群263は、図4に示されるように、上下方向D1において互いに離間して配置されている。また、画像読取部2では、ADF1によって搬送される原稿から画像データが読み取られる場合、当該画像データに含まれる各色の色データに対応する読取位置X1〜X3が左右方向D3において互いに離間している。
例えば、ADF1によって搬送される原稿から画像データが読み取られる場合、読取位置X1(図3参照)において原稿の画像データに含まれる赤色の色データが読み取られる。即ち、光源221から射出されて読取位置X1で原稿に反射された光L1(図3参照)は、第1光電変換素子群261に入射される。また、読取位置X2において原稿の画像データに含まれる青色の色データが読み取られる。即ち、光源221から射出されて読取位置X2で原稿に反射された光L2は、第2光電変換素子群262に入射される。また、読取位置X3において原稿の画像データに含まれる緑色の色データが読み取られる。即ち、光源221から射出されて読取位置X3で原稿に反射された光L3が、第3光電変換素子群263に入射される。
CCD26から出力される各色の色データに対応するアナログの電気信号は、不図示のアナログフロントエンド回路によりデジタルの電気信号に変換されて、制御部5に入力される。これにより、原稿の画像データが読み取られる。即ち、画像読取部2で読み取られる原稿の画像データには、赤色、青色、及び緑色に対応する複数の色データが含まれる。
例えば、画像読取部2は、濃度が256階調(0〜255)で表現された画素を含む色データ各々を制御部5へ出力する。ここで、以下の説明では、濃度の濃淡を示す256段階の各数値を階調値と呼ぶ。この階調値は、本発明の濃度値の一例である。一般に、前記階調値が0の場合に画素の濃度が最も濃く、前記階調値が255の場合に画素の濃度が最も薄い。本実施形態では、前記階調値を示す数字が大きいほど、つまり濃度が薄いほど、本発明における注目画素の濃度値が高いと評価する。また、前記階調値を示す数字が小さいほど、つまり、濃度が濃いほど、本発明における注目画素の濃度値が低いと評価する。
なお、CCD26は、第1光電変換素子群261、第2光電変換素子群262、及び第3光電変換素子群263のような光電変換素子群を、4つ以上備えていてもよい。具体的に、CCD26は、上下方向D1において互いに離間して配置された4つ以上の前記光電変換素子群を備えていてもよい。
ところで、画像形成装置10では、コンタクトガラス211における画像データの読取領域Xに紙粉などの異物が付着することがある。この場合、画像形成装置10でADF1及び画像読取部2を用いて読み取られた原稿の画像データに、前記副走査方向に沿った筋状の濃度変化が表れる。例えば、読取位置X1に異物が付着すると、画像読取部2によって読み取られた赤色の色データに周囲よりも濃度が濃い前記副走査方向に沿った筋画像が表れる。この濃度の濃い筋画像は、黒色の筋画像として表れることから黒筋とも呼ばれている。これに対し、原稿から読み取られた画像データに基づいて、コンタクトガラス211における読取領域Xに付着した異物による濃度変化を補正可能な画像読取装置が知られている。
ここで、原稿から読み取られた画像データにおける濃度の濃い領域では、画像データに含まれる絵柄等による濃度変化と、読取領域Xに付着した異物による濃度増加との区別が困難となる。そのため、従来、濃度の濃い領域で読取領域Xに付着した異物によって濃度変化が生じた画素を補正対象画素として設定することは困難であった。
これに対し、本発明の実施形態に係る画像形成装置10では、以下に説明するように、読取領域Xに付着した異物に起因して画像データ上の濃度の濃い領域に筋状の濃度変化が生じた場合に、当該領域の画素を前記補正対象画素として正確に設定することが可能である。
具体的に、制御部5の前記ROMには、前記CPUに後述の搬送読取処理(図5のフローチャート参照)を実行させるための搬送読取プログラムが予め記憶されている。なお、前記搬送読取プログラムは、CD、DVD、フラッシュメモリーなどのコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されており、前記記録媒体から読み取られて制御部5の前記EEPROMなどにインストールされるものであってもよい。
そして、制御部5は、図2に示されるように、読取処理部51、第1判定処理部52、検出処理部53、第2判定処理部54、第1カウント処理部55、第2カウント処理部56、第1設定処理部57、データ設定部58、第2設定処理部59、第1補正処理部60、第1取得処理部61、第2取得処理部62、及び第2補正処理部63を含む。具体的に、制御部5は、前記CPUを用いて前記ROMに記憶されている前記搬送読取プログラムを実行する。これにより、制御部5は、読取処理部51、第1判定処理部52、検出処理部53、第2判定処理部54、第1カウント処理部55、第2カウント処理部56、第1設定処理部57、データ設定部58、第2設定処理部59、第1補正処理部60、第1取得処理部61、第2取得処理部62、及び第2補正処理部63として機能する。ここに、ADF1、画像読取部2、及び制御部5を備える装置が、本発明における画像読取装置の一例である。
なお、制御部5において、読取処理部51、第1判定処理部52、検出処理部53、第2判定処理部54、第1カウント処理部55、第2カウント処理部56、第1設定処理部57、データ設定部58、第2設定処理部59、第1補正処理部60、第1取得処理部61、第2取得処理部62、及び第2補正処理部63の一部又は全部は電子回路で構成されていてもよい。
読取処理部51は、ADF1及び画像読取部2を用いて、コンタクトガラス211における読取位置X1〜X3を順次通過して搬送される原稿から、読取位置X1〜X3各々に対応する複数の色データを含む画像データを読み取る。
第1判定処理部52は、読取処理部51によって読み取られた複数の色データのうちいずれか一つの第1色データに含まれる注目画素の濃度が予め定められた基準濃度と同じ、又は前記基準濃度よりも薄いか否かを判定する。具体的に、第1判定処理部52は、前記注目画素の濃度を示す前記階調値が、前記基準濃度を示す設定階調値(本発明の基準濃度値の一例)以上であるか否かを判定する。
例えば、画像形成装置10では、読取処理部51によって前記主走査方向の1ライン分の画像データが読み取られる毎に、当該1ライン分の画像データに含まれる三つの色データのうちいずれか一つの色データが前記第1色データとして設定される。また、画像形成装置10では、前記第1色データに含まれる複数の画素のうち、前記主走査方向における予め定められた第1方向の最上流の画素が前記注目画素として設定される。以下、赤色の色データが前記第1色データとして設定されるものと仮定して説明を行う。なお、以下の説明は、前記第1色データが青色、又は緑色の色データであっても、等しく当てはまるものである。
前記設定階調値は、以下の要領で定めることができる。例えば、前記設定階調値は、読取位置X1に異物を付着させた状態で読取処理部51によって所定の原稿を事前に読み取らせておき、その読み取られた画像データにおける赤色の色データに表れる筋画像(濃い赤色の筋画像)の濃度を測定し、その濃度よりも薄い濃度を示す前記階調値に定めることができる。例えば、前記設定階調値は、100である。この設定階調値は、制御部5のEEPROMに記憶されている。なお、前記設定階調値は、操作表示部7におけるユーザー操作によって任意に設定されてもよい。
検出処理部53は、第1判定処理部52によって前記注目画素の濃度が前記基準濃度と同じ、又は前記基準濃度よりも薄いと判定された場合に、当該注目画素に前記主走査方向の両側で隣接する画素各々と当該注目画素とからなる画素領域における濃度の変化量が予め定められた第1閾値を超えるか否かを判定する。具体的に、検出処理部53は、前記画素領域における各画素の前記階調値の変化量を算出し、その算出値が前記第1閾値を超えるか否かを判定する。
検出処理部53は、以下に示す式(1)に基づいて、前記画素領域における濃度の変化量を算出する。なお、式(1)において、Aは前記注目画素に前記第1方向の上流側で隣接する画素の前記階調値を示し、Bは前記注目画素に前記第1方向の下流側で隣接する画素の前記階調値を示し、Cは前記画素領域における各画素の前記階調値の変化量を示している。
C=A−B・・・(1)
ここで、前記第1閾値は、高い値であるほど、画像データに含まれる絵柄等による濃度変化を読取位置X1に付着した異物による濃度変化であると誤判定する可能性が低くなる一方で、読取位置X1に付着した異物による濃度変化の捕捉率が低下する。そのため、前記第1閾値は、画像データに含まれる絵柄等による濃度変化を読取位置X1に付着した異物による濃度変化であると誤判定する可能性と、読取位置X1に付着した異物による濃度変化の捕捉率とのバランスを考慮して適宜の値に設定することが望ましい。なお、前記第1閾値は、操作表示部7におけるユーザー操作によって任意に設定されてもよい。
また、検出処理部53は、前記画像領域における濃度の変化量が前記第1閾値を超えると判定した場合に、前記注目画素を先頭画素とし、前記先頭画素に前記主走査方向における前記第1方向側で連続する画素各々の濃度と前記先頭画素の濃度とを順次比較する。そして、検出処理部53は、濃度が前記先頭画素の濃度よりも薄い画素を終了画素とし、前記先頭画素から前記終了画素までの画素群を判定対象領域として検出する。具体的に、検出処理部53は、濃度を示す前記階調値が前記先頭画素の前記階調値を超える画素を前記終了画素であると判定する。
なお、前記画素領域は、前記注目画素に前記主走査方向の片側で隣接する画素と前記注目画素とからなる領域であってもよい。例えば、前記画素領域は、前記注目画素に前記主走査方向の下流側で隣接する画素と前記注目画素とからなる領域であってもよい。この場合、検出処理部53は、以下に示す式(2)に基づいて、前記画素領域における濃度の変化量を算出する。なお、式(2)において、Dは前記注目画素の前記階調値を示し、Eは前記注目画素に前記第1方向の下流側で隣接する画素の階調値を示し、Fは前記画素領域における各画素の前記階調値の変化量を示している。
F=D−E・・・(2)
第2判定処理部54は、検出処理部53によって検出された前記判定対象領域に含まれる画素数が予め定められた第2閾値未満であるか否かを判定する。
ここで、前記第2閾値は、読取位置X1に付着する異物のサイズに応じた値に設定される。なお、前記第2閾値は、操作表示部7におけるユーザー操作によって任意に設定されてもよい。
また、第2判定処理部54は、前記判定対象領域に含まれる画素数が前記第2閾値未満であると判定した場合に、複数の色データから前記第1色データを除いた残りの色データ各々において、当該判定対象領域の前記先頭画素に対応する画素の濃度と当該判定対象領域の全画素に対応する複数の画素の平均濃度との間の濃度差が予め定められた第3閾値未満であるか否かを判定する。具体的に、第2判定処理部54は、当該残りの色データ各々において、当該判定対象領域の前記先頭画素に対応する画素の前記階調値と当該判定対象領域の全画素に対応する複数の画素の前記階調値の平均値との差が前記第3閾値未満であるか否かを判定する。
ここで、前記第1色データとは異なる色データにおける当該判定対象領域の前記先頭画素に対応する画素、とは、当該異なる色データに含まれる画素のうち、画像データにおける位置が前記先頭画素と共通の画素のことである。同様に、前記第1色データとは異なる色データにおける当該判定対象領域の全画素に対応する複数の画素、とは、当該異なる色データに含まれる画素のうち、画像データにおける位置が当該判定対象領域に含まれる画素各々と共通の複数の画素のことである。
前記第3閾値は、以下の要領で定めることができる。例えば、前記第3閾値は、読取位置X1に異物を付着させた状態で読取処理部51によって所定の原稿を事前に読み取らせておき、その読み取られた画像データにおける赤色の色データに表れる前記主走査方向の1ライン分の筋画像において、前記第1方向の最上流の画素の前記階調値と当該筋画像に含まれる全画素の前記階調値の平均値との差と同一又はそれよりも低い値である。なお、前記第3閾値は、操作表示部7におけるユーザー操作によって任意に設定されてもよい。
そして、第2判定処理部54は、複数の色データから前記第1色データを除いた残りの色データのうちの少なくとも一つにおいて、当該判定対象領域の前記先頭画素に対応する画素の濃度と当該判定対象領域の全画素に対応する複数の画素の平均濃度との間の濃度差が前記第3閾値未満であると判定した場合に、当該判定対象領域を仮異物領域であると判定する。
また、第2判定処理部54は、読取処理部51によって前記主走査方向の1ライン分の画像データが読み取られる毎に、前記第1色データにおける前記仮異物領域の有無を判定する。換言すると、画像形成装置10では、読取処理部51によって前記主走査方向の1ライン分の画像データが読み取られる毎に、第1判定処理部52、検出処理部53、及び第2判定処理部54による処理が実行されて、当該1ライン分の画像データに含まれる前記第1色データにおける前記仮異物領域の有無が判定される。
なお、第2判定処理部54は、複数の色データから前記第1色データを除いた残りの色データの両方において、当該判定対象領域の前記先頭画素に対応する画素の濃度と当該判定対象領域の全画素に対応する複数の画素の平均濃度との間の濃度差が前記第3閾値未満であると判定した場合に、当該判定対象領域を前記仮異物領域であると判定してもよい。
また、第2判定処理部54は、読取処理部51によって前記主走査方向の全ライン分の画像データが読み取られた後に、前記第1色データにおける前記仮異物領域の有無を判定してもよい。
第1カウント処理部55は、第2判定処理部54によって前記判定対象領域が前記仮異物領域であると判定された場合に、前記主走査方向における画素位置ごとに設定されるカウント値のうち当該仮異物領域に含まれる画素各々の画素位置に対応する前記カウント値をインクリメントする。
例えば、画像形成装置10では、読取処理部51によって原稿から画像データが読み取られる場合に、前記主走査方向における画素位置ごとに前記カウント値が設定される。例えば、画像形成装置10では、前記RAMなどの記憶部に前記主走査方向における各画素位置に対応する複数の第1記憶領域が設けられている。制御部5は、前記第1記憶領域各々に前記カウント値の初期値である0を示す数値データを格納することで、前記主走査方向における画素位置ごとの前記カウント値を設定する。
そして、第1カウント処理部55は、第2判定処理部54によって前記仮異物領域の存在が判定された場合に、当該仮異物領域に含まれる画素各々の画素位置に対応する前記第1記憶領域内の数値データをインクリメントする。
例えば、第1カウント処理部55は、予め定められた設定数に1を加えた値(本発明における上限数の一例)を上限として、前記仮異物領域に含まれる画素各々の画素位置に対応する前記第1記憶領域内の数値データをインクリメントする。即ち、第1カウント処理部55は、前記仮異物領域に含まれる画素の画素位置に対応する前記第1記憶領域内の数値データが前記設定数以下である場合に、当該数値データをインクリメントする。また、第1カウント処理部55は、前記仮異物領域に含まれる画素の画素位置に対応する前記第1記憶領域内の数値データが前記設定数を超えている場合に、当該数値データをインクリメントしない。例えば、前記設定数は7である。なお、前記設定数は、操作表示部7におけるユーザー操作によって任意に設定されてよい。
なお、第1カウント処理部55は、前記仮異物領域に含まれる画素の画素位置に対応する前記第1記憶領域内の数値データが前記設定数を超えている場合に、当該数値データをインクリメントしてもよい。
第2カウント処理部56は、第1判定処理部52によって前記注目画素の濃度が前記基準濃度と同じ又は前記基準濃度よりも薄いと判定された場合であって、且つ当該注目画素が前記仮異物領域を構成する画素ではない場合に、当該注目画素の画素位置に対応する前記カウント値をデクリメントする。具体的に、第2カウント処理部56は、前記カウント値の初期値を下限として、前記カウント値をデクリメントする。例えば、第2カウント処理部56は、前記注目画素の画素位置に対応する前記第1記憶領域に格納されている数値データをデクリメントする。
また、第2カウント処理部56は、第1判定処理部52によって前記注目画素の濃度が前記基準濃度よりも濃いと判定された場合であって、且つ当該注目画素の画素位置に対応する前記カウント値が前記設定数以下である場合に、前記注目画素の画素位置に対応する前記カウント値をデクリメントする。具体的に、第2カウント処理部56は、前記カウント値の初期値を下限として、前記カウント値をデクリメントする。例えば、第2カウント処理部56は、前記注目画素の画素位置に対応する前記第1記憶領域に格納されている数値データをデクリメントする。一方、第2カウント処理部56は、第1判定処理部52によって前記注目画素の濃度が前記基準濃度よりも濃いと判定された場合であって、当該注目画素の画素位置に対応する前記第1記憶領域に格納されている数値データが前記設定数を超えている場合には、前記注目画素の画素位置に対応する前記カウント値をデクリメントしない。
なお、第2カウント処理部56は、第1判定処理部52によって前記注目画素の濃度が前記基準濃度と同じ又は前記基準濃度よりも薄いと判定された場合であって、且つ当該注目画素が前記仮異物領域を構成する画素ではない場合に、当該注目画素の画素位置に対応する前記カウント値を当該カウント値の初期値である0にリセットしてもよい。また、第2カウント処理部56は、第1判定処理部52によって前記注目画素の濃度が前記基準濃度よりも濃いと判定された場合であって、且つ当該注目画素の画素位置に対応する前記カウント値が前記設定数以下である場合に、当該注目画素の画素位置に対応する前記カウント値を当該カウント値の初期値である0にリセットしてもよい。
第1設定処理部57は、第1カウント処理部55によるインクリメント後の前記カウント値が前記設定数を超えている場合に、前記仮異物領域に含まれる前記設定数を超えている前記カウント値に対応する画素位置の画素を補正対象画素として設定する。
例えば、第1設定処理部57は、前記第1記憶領域とは別に前記記憶部に設けられる第2記憶領域に、第1設定処理部57によって前記補正対象画素として設定される画素各々の特定に用いられる情報を格納する。
なお、第2カウント処理部56が前記カウント値を当該カウント値の初期値にリセットする構成において、第1設定処理部57は、前記補正対象画素を設定した場合であって、当該補正対象画素に前記副走査方向の上流側で隣接する画素が前記補正対象画素に設定されていない場合に、当該補正対象画素から前記副走査方向の上流側へ連続する前記設定数と同数の画素各々を前記補正対象画素として設定してもよい。
データ設定部58は、第1カウント処理部55によるインクリメント後の前記カウント値が前記設定数を超えている場合に、前記仮異物領域の判定時に第2判定処理部54によって当該仮異物領域の前記先頭画素に対応する画素の濃度と当該仮異物領域の全画素に対応する複数の画素の平均濃度との間の濃度差が前記第3閾値未満であると判定された1つの色データを、第2色データとして設定する。
例えば、データ設定部58は、第1カウント処理部55によるインクリメント後の前記カウント値が前記設定数を超えている場合であって、前記第2色データが未設定である場合に、前記記憶部の前記第2記憶領域に、前記第2色データとして設定される色データの特定に用いられる情報を格納する。
なお、データ設定部58は、第2判定処理部54によって当該仮異物領域の前記先頭画素に対応する画素の濃度と当該仮異物領域の全画素に対応する複数の画素の平均濃度との間の濃度差が前記第3閾値未満であると判定された2つの色データを、第2色データとして設定してもよい。
第2設定処理部59は、第1判定処理部52によって前記注目画素の濃度が前記基準濃度よりも濃いと判定された場合であって、且つ当該注目画素の画素位置に対応する前記カウント値が前記設定数を超えている場合に、当該注目画素を前記補正対象画素として設定する。
例えば、第2設定処理部59は、前記記憶部の前記第2記憶領域に、第2設定処理部59によって前記補正対象画素として設定される画素各々の特定に用いられる情報を格納する。
第1補正処理部60は、第1設定処理部57によって設定された前記補正対象画素各々の濃度を補正する。
例えば、第1補正処理部60は、第1設定処理部57によって設定された前記補正対象画素からなる前記主走査方向に沿った第1補正対象領域に前記第1方向の上流側で隣接する画素を特定する。そして、第1補正処理部60は、前記第1補正対象領域に含まれる前記補正対象画素各々の前記階調値を、特定された画素の前記階調値に変更する。
第1取得処理部61は、第2設定処理部59によって設定された前記補正対象画素からなる前記主走査方向に沿った第2補正対象領域に前記第1方向の上流側で隣接する第1画素の濃度と、データ設定部58によって設定された前記第2色データにおける前記第1画素に対応する第3画素の濃度との間の第1濃度比率を取得する。ここに、前記第2補正対象領域が、本発明における補正対象領域の一例である。
具体的に、第1取得処理部61は、以下に示す式(3)に基づいて、前記第1濃度比率を算出する。なお、式(3)において、Gは前記第1画素の前記階調値を示し、Hは前記第3画素の前記階調値を示し、Iは前記第1濃度比率を示している。
I=G÷H・・・(3)
なお、第1取得処理部61は、前記第2色データが2つ存在する場合は、前記第1画素の濃度と一方の前記第2色データにおける前記第3画素の濃度との間の前記第1濃度比率を取得すると共に、前記第1画素の濃度と他方の前記第2色データにおける前記第3画素の濃度との間の前記第1濃度比率を取得してもよい。
第2取得処理部62は、前記第2補正対象領域に前記第1方向の下流側で隣接する第2画素の濃度と、前記第2色データにおける前記第2画素に対応する第4画素の濃度との間の第2濃度比率を取得する。
具体的に、第2取得処理部62は、以下に示す式(4)に基づいて、前記第2濃度比率を算出する。なお、式(4)において、Jは前記第2画素の前記階調値を示し、Kは前記第4画素の前記階調値を示し、Lは前記第2濃度比率を示している。
L=J÷K・・・(4)
なお、第2取得処理部62は、前記第2色データが2つ存在する場合は、前記第2画素の濃度と一方の前記第2色データにおける前記第4画素の濃度との間の前記第2濃度比率を取得すると共に、前記第2画素の濃度と他方の前記第2色データにおける前記第4画素の濃度との間の前記第2濃度比率を取得してもよい。
第2補正処理部63は、前記第2色データにおける前記第2補正対象領域に対応する参照領域、第1取得処理部61によって取得された前記第1濃度比率、及び第2取得処理部62によって取得された前記第2濃度比率に基づいて、前記第2補正対象領域に含まれる前記補正対象画素各々の濃度を補正する。ここに、第2補正処理部63が、本発明における補正処理部の一例である。
例えば、第2補正処理部63は、前記第1濃度比率及び前記第2濃度比率に基づく線形補間により、前記参照領域に含まれる画素各々の画素位置に対応する複数の第3濃度比率を算出する。そして、第2補正処理部63は、前記参照領域に含まれる画素の前記階調値に、当該画素の画素位置に対応する前記第3濃度比率を乗算して、乗算結果を当該画素と画素位置が共通する前記第2補正対象領域内の前記補正対象画素の前記階調値とすることで、当該補正対象画素の濃度を補正する。
なお、第2補正処理部63は、前記第2色データが2つ存在する場合は、以下の手順で前記第2補正対象領域に含まれる前記補正対象画素各々の濃度を補正してもよい。例えば、第2補正処理部63は、一方の前記第2色データに対応する前記第1濃度比率及び前記第2濃度比率に基づく線形補間により、当該第2色データにおける前記参照領域に含まれる画素各々の画素位置に対応する複数の第3濃度比率を算出する。続いて、第2補正処理部63は、一方の前記第2色データにおける前記参照領域に含まれるいずれか一つの第1選択画素の前記階調値に、当該第1選択画素の画素位置に対応する前記第3濃度比率を乗算して、算出結果を第1算出結果として取得する。また、第2補正処理部63は、他方の前記第2色データに対応する前記第1濃度比率及び前記第2濃度比率に基づく線形補間により、当該第2色データにおける前記参照領域に含まれる画素各々の画素位置に対応する複数の第3濃度比率を算出する。続いて、第2補正処理部63は、他方の第2色データにおける前記参照領域に含まれる画素のうち前記第1選択画素に対応する第2選択画素の前記階調値に、当該第2選択画素の画素位置に対応する前記第3濃度比率を乗算して、算出結果を第2算出結果として取得する。そして、第2補正処理部63は、前記第1算出結果及び前記第2算出結果の平均値を前記第1選択画素及び前記第2選択画素と画素位置が共通する前記第2補正対象領域内の前記補正対象画素の前記階調値とすることで、当該補正対象画素の濃度を補正する。
また、第2補正処理部63は、前記参照領域と、前記第1濃度比率及び前記第2濃度比率のいずれか一方とに基づいて、前記第2補正対象領域に含まれる前記補正対象画素各々の濃度を補正してもよい。具体的に、第2補正処理部63は、前記参照領域に含まれる画素各々の前記階調値に前記第1濃度比率又は前記第2濃度比率を乗算して、乗算結果を前記第2補正対象領域内の前記補正対象画素各々の前記階調値とすることで、当該補正対象画素の濃度を補正してもよい。この場合、第1取得処理部61又は第2取得処理部62が、本発明における取得処理部の一例である。
また、第2補正処理部63は、前記第1画素及び前記第2画素の濃度に基づいて、前記第2補正対象領域に含まれる前記補正対象画素各々の濃度を補正してもよい。具体的に、第2補正処理部63は、前記第1画素の前記階調値及び前記第2画素の前記階調値に基づく線形補間によって、前記第2補正対象領域に含まれる前記補正対象画素各々の濃度を補正してもよい。この場合において、第2補正処理部63は、前記第1画素又は前記第2画素の濃度が前記基準濃度よりも濃い場合に、前記第1画素の前記階調値及び前記第2画素の前記階調値に基づく線形補間に替えて、前記第2補正対象領域に含まれる前記補正対象画素各々の前記階調値を前記第1画素及び前記第2画素のうち前記基準濃度よりも濃い方の前記階調値に変更してもよい。この場合、制御部5に第1取得処理部61及び第2取得処理部62は含まれていなくてもよい。
なお、制御部5は、第1補正処理部60によって画素の濃度が補正された場合に、コンタクトガラス211における読取領域Xに異物が付着していることを報知する報知処理を実行してもよい。例えば、制御部5は、ADF1によって搬送される原稿の画像データが読み取られた後に、前記報知処理を実行してもよい。また、制御部5は、第1カウント処理部55によるインクリメント後の前記カウント値が前記設定数を超えている場合に、画像データの読取処理を中断して、前記報知処理を実行してもよい。
[搬送読取処理]
以下、図5を参照しつつ、画像形成装置10において制御部5により実行される搬送読取処理の手順の一例と共に、本発明における補正対象画素の設定方法について説明する。ここで、ステップS11、S12・・・は、制御部5により実行される処理手順(ステップ)の番号を表している。なお、前記搬送読取処理は、操作表示部7におけるユーザー操作によって実行される。
<ステップS11>
まず、ステップS11において、制御部5は、ADF1及び画像読取部2を用いて、コンタクトガラス211における読取領域Xを通過して搬送される原稿から、前記主走査方向の1ライン分の画像データを読み取る。これにより、赤色の色データ、青色の色データ、及び緑色の色データを含む1ライン分の画像データが読み取られる。ここに、ステップS11の処理が、本発明における第1ステップの一例であって、制御部5の読取処理部51により実行される。
<ステップS12>
ステップS12において、制御部5は、ステップS11で読み取られた複数の色データのうちの一つを前記第1色データに設定する。
例えば、制御部5は、ステップS11の処理の後に最初にステップS12の処理が実行される場合に、赤色の色データを前記第1色データとして設定する。また、制御部5は、前記主走査方向の1ライン分の赤色の色データについての一連の処理が終了して(ステップS18のNo)、2度目のステップS12の処理が実行される場合に、青色の色データを前記第1色データとして設定する。そして、制御部5は、前記主走査方向の1ライン分の青色の色データについての一連の処理が終了して(ステップS18のNo)、3度目のステップS12の処理が実行される場合に、緑色の色データを前記第1色データとして設定する。
例えば、制御部5は、前記記憶部の前記第2記憶領域に、前記第1色データとして設定された色データの特定に用いられる情報を格納する。
<ステップS13>
ステップS13において、制御部5は、ステップS12で設定された前記第1色データに含まれるいずれかの画素を前記注目画素に設定する。
例えば、制御部5は、ステップS12の処理の後に最初にステップS13の処理が実行される場合に、ステップS11で読み取られた前記主走査方向の1ライン分の前記第1色データに含まれる複数の画素のうち、前記第1方向の最上流の画素を前記注目画素として設定する。また、制御部5は、その後実行されるステップS13の処理では、ステップS14の処理で前記仮異物領域が検出されたか否かに応じて、前記注目画素又は前記仮異物領域に前記第1方向の下流側で隣接する画素を、新たな前記注目画素として設定する。具体的に、制御部5は、ステップS14の処理で前記仮異物領域が検出された場合に、前記仮異物領域に前記第1方向の下流側で隣接する画素を、新たな前記注目画素として設定する。また、制御部5は、ステップS14の処理で前記仮異物領域が検出されない場合に、前記注目画素に前記第1方向の下流側で隣接する画素を、新たな前記注目画素として設定する。
例えば、制御部5は、前記記憶部の前記第2記憶領域に、前記注目画素として設定された画素の特定に用いられる情報を格納する。
<ステップS14>
ステップS14において、制御部5は、以下に述べる補正対象画素設定処理を実行する。
[補正対象画素設定処理]
ここで、図6を参照しつつ、前記搬送読取処理のステップS14で実行される補正対象画素設定処理について説明する。なお、前記搬送読取処理のステップS15以降の処理の説明は、前記補正対象画素設定処理の説明の終了後に行う。
<ステップS21>
まず、ステップS21において、制御部5は、前記搬送読取処理のステップS13で設定された前記注目画素の濃度が前記基準濃度よりも濃いか否かを判定する。具体的に、制御部5は、前記注目画素の濃度を示す前記階調値が前記設定階調値未満である場合に、前記注目画素の濃度が前記基準濃度よりも濃いと判定する。ここに、ステップS21の処理が、本発明における第2ステップの一例であって、制御部5の第1判定処理部52により実行される。
ここで、制御部5は、前記注目画素の濃度が前記基準濃度と同じ、又は前記基準濃度よりも薄いと判定すると(S21のNo側)、処理をステップS22に移行させる。また、前記注目画素の濃度が前記基準濃度よりも濃ければ(S21のYes側)、制御部5は、処理をステップS211に移行させる。
<ステップS22>
ステップS22において、制御部5は、前記注目画素を含む前記画素領域における濃度の変化量が前記第1閾値を超えるか否かを判定する。具体的に、制御部5は、前記画素領域における各画素の前記階調値の変化量を算出し、その算出値が前記第1閾値を超えるか否かを判定する。
ここで、制御部5は、前記画素領域における濃度の変化量が前記第1閾値を超えると判定すると(S22のYes側)、処理をステップS23に移行させる。また、前記画素領域における濃度の変化量が前記第1閾値未満であれば(S22のNo側)、制御部5は、処理をステップS221に移行させる。
<ステップS23>
ステップS23において、制御部5は、前記注目画素を含む前記判定対象領域を検出する。ここに、ステップS23の処理が、本発明における第3ステップの一例であって、制御部5の検出処理部53により実行される。
具体的に、制御部5は、前記注目画素を前記先頭画素とし、当該先頭画素に前記第1方向側で連続する画素各々の濃度と当該先頭画素の濃度とを順次比較する。そして、制御部5は、濃度が当該先頭画素の濃度よりも薄い画素を前記終了画素とし、当該先頭画素から前記終了画素までの画素群を前記判定対象領域として検出する。より具体的に、制御部5は、濃度を示す前記階調値が前記先頭画素の前記階調値を超える画素を前記終了画素であると判定する。
<ステップS24>
ステップS24において、制御部5は、ステップS23で検出された前記判定対象領域が前記仮異物領域であるか否かを判定する。ここに、ステップS24の処理が、本発明における第4ステップの一例であって、制御部5の第2判定処理部54により実行される。
具体的に、制御部5は、ステップS23で検出された前記判定対象領域に含まれる画素数が前記第2閾値未満であるか否かを判定する。ここで、制御部5は、前記判定対象領域に含まれる画素数が前記第2閾値以上である場合は、前記判定対象領域は前記仮異物領域ではないと判定する。
一方、制御部5は、前記判定対象領域に含まれる画素数が前記第2閾値未満である場合は、前記搬送読取処理のステップS11で読み取られた複数の色データから前記第1色データを除いた残りの色データ各々において、当該判定対象領域の前記先頭画素に対応する画素の濃度と当該判定対象領域の全画素に対応する複数の画素の平均濃度との間の濃度差が前記第3閾値未満であるか否かを判定する。具体的に、制御部5は、当該残りの色データ各々において、当該判定対象領域の前記先頭画素に対応する画素の前記階調値と当該判定対象領域の全画素に対応する複数の画素の前記階調値の平均値との差が前記第3閾値未満であるか否かを判定する。
そして、制御部5は、前記第1色データとは異なる色の色データのうちの少なくとも一つにおいて、前記判定対象領域の前記先頭画素に対応する画素の濃度と前記判定対象領域の全画素に対応する複数の画素の平均濃度との間の濃度差が前記第3閾値未満である場合に、前記判定対象領域を前記仮異物領域であると判定する。一方、制御部5は、前記第1色データとは異なる色の色データの両方において、前記判定対象領域の前記先頭画素に対応する画素の濃度と前記判定対象領域の全画素に対応する複数の画素の平均濃度との間の濃度差が前記第3閾値以上である場合に、前記判定対象領域は前記仮異物領域ではないと判定する。
画像形成装置10では、コンタクトガラス211における色データ各々に対応する読取位置X1〜X3(図3参照)が左右方向D3に離間している。そのため、例えば読取位置X1に異物が付着したとしても、その異物が読取位置X1から読取位置X2又は読取位置X3までの間を跨いで存在する程に大きい場合を除いて、読取位置X1から離れた位置で読み取られる青色又は緑色の色データには、異物による濃度変化は生じない。従って、前記第1色データとは異なる色の色データのいずれか一つにおいて、前記判定対象領域の前記先頭画素に対応する画素の濃度と前記判定対象領域の全画素に対応する複数の画素の平均濃度との間の濃度差が前記第3閾値未満である場合には、前記判定対象領域における濃度変化は読取領域Xに付着した異物によるものであると判定することが可能である。
ここで、制御部5は、前記判定対象領域が前記仮異物領域であると判定すると(S24のYes側)、処理をステップS25に移行させる。また、前記判定対象領域が前記仮異物領域でなければ(S24のNo側)、制御部5は、処理をステップS221に移行させる。
<ステップS25>
ステップS25において、制御部5は、ステップS24で前記仮異物領域であると判定された前記判定対象領域に含まれる画素各々の画素位置に対応する前記カウント値をインクリメントする。例えば、制御部5は、前記設定数に1を加えた値を上限として、前記仮異物領域に含まれる画素各々の画素位置に対応する前記第1記憶領域内の数値データをインクリメントする。ここに、ステップS25の処理が、本発明における第5ステップの一例であって、制御部5の第1カウント処理部55により実行される。
<ステップS26>
ステップS26において、制御部5は、ステップS25によるインクリメント後の前記カウント値が前記設定数を超えているか否かを判定する。
ここで、制御部5は、ステップS25によるインクリメント後の前記カウント値が前記設定数を超えていると判定すると(S26のYes側)、処理をステップS27に移行させる。また、ステップS25によるインクリメント後の前記カウント値が前記設定数を超えていなければ(S26のNo側)、制御部5は、前記補正対象画素設定処理を終了させる。
<ステップS27>
ステップS27において、制御部5は、ステップS24の処理で前記判定対象領域の前記先頭画素に対応する画素の濃度と前記判定対象領域の全画素に対応する複数の画素の平均濃度との間の濃度差が前記第3閾値未満であると判定された一つの色データを前記第2色データとして設定する。ここで、ステップS27の処理は、制御部5のデータ設定部58により実行される。なお、前記第2色データが既に設定済である場合、ステップS27の処理は省略されてよい。
<ステップS28>
ステップS28において、制御部5は、ステップS24で前記仮異物領域であると判定された前記判定対象領域に含まれる画素各々を前記補正対象画素として設定する。ここに、ステップS28の処理が、本発明における第7ステップの一例であって、制御部5の第1設定処理部57により実行される。
<ステップS221>
一方、ステップS22で前記画素領域における濃度の変化量が前記第1閾値未満であると判定された場合(S22のNo側)、及びステップS24で前記判定対象領域が前記仮異物領域ではないと判定された場合(S24のNo側)に、制御部5は、ステップS221の処理を実行する。ステップS221において、制御部5は、前記注目画素の画素位置に対応する前記カウント値をデクリメントする。例えば、制御部5は、前記カウント値の初期値を下限として、前記注目画素の画素位置に対応する前記第1記憶領域に格納されている数値データをデクリメントする。ここに、ステップS221の処理が、本発明における第6ステップの一例であって、制御部5の第2カウント処理部56により実行される。
なお、ステップS221の処理に替えて、制御部5は、前記注目画素の画素位置に対応する前記カウント値を当該カウント値の初期値である0にリセットする処理を実行してもよい。
<ステップS211>
一方、ステップS21で前記注目画素の濃度が前記基準濃度よりも濃いと判定された場合(S21のNo側)に、制御部5は、ステップS211の処理を実行する。ステップS211において、制御部5は、前記注目画素の画素位置に対応する前記カウント値が前記設定数を超えているか否かを判定する。
ここで、制御部5は、前記注目画素の画素位置に対応する前記カウント値が前記設定数を超えていると判定すると(S211のYes側)、処理をステップS212に移行させる。また、前記注目画素の画素位置に対応する前記カウント値が前記設定数を超えていなければ(S211のNo側)、制御部5は、処理をステップS221に移行させる。
<ステップS212>
ステップS212において、制御部5は、前記注目画素を前記補正対象画素として設定する。ここに、ステップS211及びステップS212の処理が、本発明における第8ステップの一例であって、制御部5の第2設定処理部59により実行される。
以上で、前記補正対象画素設定処理の説明を終了して、前記搬送読取処理のステップS15以降の処理の説明を再開する。
<ステップS15>
ステップS15において、制御部5は、ステップS12で設定された前記第1色データにおける前記仮異物領域の有無の判定が終了したか否かを判定する。
例えば、制御部5は、前記第1色データに含まれる複数の画素のうち、前記第1方向の最下流の画素が前記注目画素として設定されている場合に、前記第1色データにおける前記仮異物領域の有無の判定が終了したと判定する。
ここで、制御部5は、前記第1色データにおける前記仮異物領域の有無の判定が終了したと判定すると(S15のYes側)、処理をステップS16に移行させる。また、前記第1色データにおける前記仮異物領域の有無の判定が終了していなければ(S15のNo側)、制御部5は、処理をステップS13に移行させる。
<ステップS16>
ステップS16において、制御部5は、ステップS12で設定された前記第1色データに前記補正対象画素が含まれているか否かを判定する。
ここで、制御部5は、前記第1色データに前記補正対象画素が含まれていると判定すると(S16のYes側)、処理をステップS17に移行させる。また、前記第1色データに前記補正対象画素が含まれていなければ(S16のNo側)、制御部5は、処理をステップS18に移行させる。
<ステップS17>
ステップS17において、制御部5は、以下に述べる濃度補正処理を実行する。
[濃度補正処理]
ここで、図7を参照しつつ、前記搬送読取処理のステップS17で実行される濃度補正処理について説明する。なお、前記搬送読取処理のステップS18以降の処理の説明は、前記濃度補正処理の説明の終了後に行う。
<ステップS31>
まず、ステップS31において、制御部5は、前記第1色データに前記第2補正対象領域が含まれているか否かを判定する。
ここで、制御部5は、前記第1色データに前記第2補正対象領域が含まれていると判定すると(S31のYes側)、処理をステップS32に移行させる。また、前記第1色データに前記第2補正対象領域が含まれていなければ(S31のNo側)、制御部5は、処理をステップS311に移行させる。
<ステップS311>
ステップS311において、制御部5は、前記第1色データに含まれる前記第1補正対象領域内の前記補正対象画素各々の濃度を補正する第1補正処理を実行する。ここで、ステップS311の処理は、制御部5の第1補正処理部60により実行される。
例えば、制御部5は、前記第1補正対象領域に前記第1方向の上流側で隣接する画素を特定する。そして、制御部5は、前記第1補正対象領域に含まれる前記補正対象画素各々の前記階調値を、特定された画素の前記階調値に変更する。
<ステップS32>
ステップS32において、制御部5は、前記第1色データに含まれる前記第2補正対象領域に前記第1方向の上流側で隣接する前記第1画素の濃度と、前記補正対象画素設定処理のステップS27で設定された前記第2色データにおける前記第1画素に対応する前記第3画素の濃度との間の前記第1濃度比率を取得する。ここで、ステップS32の処理は、制御部5の第1取得処理部61により実行される。
<ステップS33>
ステップS33において、制御部5は、前記第1色データに含まれる前記第2補正対象領域に前記第1方向の下流側で隣接する前記第2画素の濃度と、前記補正対象画素設定処理のステップS27で設定された前記第2色データにおける前記第2画素に対応する前記第4画素の濃度との間の前記第2濃度比率を取得する。ここで、ステップS33の処理は、制御部5の第2取得処理部62により実行される。
<ステップS34>
ステップS34において、制御部5は、前記第2色データにおける前記第2補正対象領域に対応する前記参照領域、ステップS32で取得された前記第1濃度比率、及びステップS33で取得された前記第2濃度比率に基づいて、前記第2補正対象領域に含まれる前記補正対象画素各々の濃度を補正する。ここで、ステップS34の処理は、制御部5の第2補正処理部63により実行される。
例えば、制御部5は、前記第1濃度比率及び前記第2濃度比率に基づく線形補間により、前記参照領域に含まれる画素各々の画素位置に対応する複数の前記第3濃度比率を算出する。そして、制御部5は、前記参照領域に含まれる画素の前記階調値に、当該画素の画素位置に対応する前記第3濃度比率を乗算して、乗算結果を当該画素と画素位置が共通する前記第2補正対象領域内の前記補正対象画素の前記階調値とすることで、当該補正対象画素の濃度を補正する。
ここで、図8を参照しつつ、前記濃度補正処理のステップS32〜ステップS34の処理について説明する。図8では、縦軸が前記階調値を示しており、横軸が前記主走査方向に沿って並ぶ画素位置P1〜P14を示している。また、図8では、画像データにおける前記主走査方向の1ラインの一部(画素位置P1〜P14の範囲)に含まれる赤色、緑色、及び青色の各色の色データ各々を示している。図8中の折れ線R100が赤色の色データを示しており、折れ線G100が緑色の色データを示しており、折れ線B100が青色の色データを示している。以下、各折れ線の符号を用いて、赤色、緑色、及び青色の各色の色データを、赤色データR100、緑色データG100、青色データB100と称する。以下では、赤色に対応する赤色データR100が前記第1色データに設定され、赤色データR100に含まれる画素R4〜R9が前記補正対象画素設定処理のステップS212で前記補正対象画素に設定されたものと仮定して説明を行う。また、緑色に対応する緑色データG100が前記第2色データに設定されたものと仮定して説明を行う。また、図8では、画素位置P1が前記第1方向の上流側であって、画素位置P14が前記第1方向の下流側であるものと仮定して説明を行う。
ステップS32では、赤色データR100に含まれる画素R4〜R9(前記第2補正対象領域)に前記第1方向の上流側で隣接する画素R3(前記第1画素)の前記階調値と、緑色データG100(前記第2色データ)における画素R3に対応する画素G3(前記第3画素)の前記階調値との間の前記第1濃度比率(画素位置P3における濃度比率)が取得される。例えば、画素R3の前記階調値が50、画素G3の前記階調値が60であると仮定すると、前記第1濃度比率0.83が取得される。
ステップS33では、赤色データR100に含まれる画素R4〜R9(前記第2補正対象領域)に前記第1方向の下流側で隣接する画素R10(前記第2画素)の前記階調値と、緑色データG100(前記第2色データ)における画素R10に対応する画素G10(前記第4画素)の前記階調値との間の前記第2濃度比率(画素位置P10における濃度比率)が取得される。例えば、画素R10の前記階調値が105、画素G10の前記階調値が95であると仮定すると、前記第2濃度比率1.11が取得される。
ステップS34では、まず、前記第1濃度比率0.83及び前記第2濃度比率1.11に基づく線形補間により、緑色データG100(前記第2色データ)における画素R4〜R9(前記第2補正対象領域)に対応する前記参照領域に含まれる画素G4〜G9各々に適用される複数の前記第3濃度比率(画素位置P4〜P9各々における濃度比率)が取得される。例えば、前記第1濃度比率0.83及び前記第2濃度比率1.11に基づく線形補間により、画素G4に適用される前記第3濃度比率0.87、画素G5に適用される前記第3濃度比率0.91、画素G6に適用される前記第3濃度比率0.95、画素G7に適用される前記第3濃度比率0.99、画素G8に適用される前記第3濃度比率1.03、及び画素G9に適用される前記第3濃度比率1.07が取得される。
そして、緑色データG100(前記第2色データ)における画素R4〜R9(前記第2補正対象領域)に対応する前記参照領域に含まれる画素G4〜G9各々の前記階調値に前記第3濃度比率を乗算して、乗算結果を画素R4〜R9各々の前記階調値とすることで、画素R4〜R9の濃度を補正する。例えば、画素G4の前記階調値に、画素G4の画素位置に対応する前記第3濃度比率0.87を乗算して、乗算結果を画素R4の前記階調値とすることで、画素R4の濃度を補正する。図8では、補正後の画素R4〜R9の前記階調値が二点鎖線によって示されている。これにより、図8に示されるように、前記第2補正対象領域の前記主走査方向における前後で画像データの色味が変化する場合であっても、視覚的に違和感のない補正を行うことが可能である。
以上で、前記濃度補正処理の説明を終了して、前記搬送読取処理のステップS18以降の処理の説明を再開する。なお、前記第1色データに複数の前記第1補正対象領域が含まれている場合は、前記第1補正対象領域ごとにステップS311の処理が実行されてよい。また、前記第1色データに複数の前記第2補正対象領域が含まれている場合は、前記第2補正対象領域ごとにステップS32〜ステップS34の処理が実行されてよい。また、前記第1色データに前記第1補正対象領域及び前記第2補正対象領域が含まれている場合は、前記第1補正対象領域についてはステップS311の処理が、前記第2補正対象領域についてはステップS32〜ステップS34の処理が、それぞれ実行されてよい。
<ステップS18>
ステップS18において、制御部5は、ステップS11で読み取られた全ての色データが前記第1色データに設定されたか否かを判定する。
ここで、制御部5は、ステップS11で読み取られた全ての色データが前記第1色データに設定されたと判定すると(S18のYes側)、処理をステップS19に移行させる。また、ステップS11で読み取られた全ての色データが前記第1色データに設定されていなければ(S18のNo側)、制御部5は、処理をステップS12に移行させる。
<ステップS19>
ステップS19において、制御部5は、原稿の画像データの読み取りが終了したか否かを判定する。
ここで、制御部5は、原稿の画像データの読み取りが終了したと判定すると(S19のYes側)、前記搬送読取処理を終了させる。また、原稿の画像データの読み取りが終了していなければ(S19のNo側)、制御部5は、処理をステップS11に移行させる。
このように、画像形成装置10では、ADF1によって搬送される原稿から読み取られる画像データにおける読取領域Xに付着した異物による濃度変化は、前記副走査方向の下流側に連続する、という技術思想に基づいて、前記注目画素の濃度が前記基準濃度よりも濃い場合であっても、当該注目画素に前記副走査方向の上流側で隣接する前記補正対象画素が存在する場合、即ち当該注目画素の画素位置に対応する前記カウント値が前記設定数を超えている場合には、当該注目画素が前記補正対象画素に設定される。これにより、読取領域Xに付着した異物に起因して画像データ上の濃度の濃い領域に筋状の濃度変化が生じた場合に、当該領域の画素を前記補正対象画素として正確に設定することが可能である。
また、画像形成装置10では、前記主走査方向の1ライン分の画像データが読み取られる毎に、前記第1色データにおける前記仮異物領域の有無が判定されると共に前記カウント値が更新されて、前記カウント値が前記設定数を超えている場合に、前記仮異物領域に含まれる画素各々が前記前記補正対象画素として設定される。これにより、前記主走査方向の全ライン分の画像データが読み取られた後に前記補正対象画素を設定する処理を開始する構成と比較して、当該処理の終了タイミングを早めることが可能である。また、カウント値が前記設定数を超えた場合に前記副走査方向の上流側に遡って前記補正対象画素を設定する構成と比較して、前記補正対象画素を設定する処理のために必要なメモリの容量を小さくすることが可能である。
[第2の実施形態]
以下、図9を参照しつつ、本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置10について説明する。第2の実施形態に係る画像形成装置10では、制御部5の構成が、第1の実施形態に係る画像形成装置10と異なっている。なお、その他の構成については、第1の実施形態と第2の実施形態とで共通である。以下、第1の実施形態と異なる点についてのみ説明する。
具体的に、第2の実施形態に係る画像形成装置10では、図9に示されるように、制御部5が、第1取得処理部61及び第2取得処理部62に替えて、第3取得処理部64を備える。
第3取得処理部64は、第2設定処理部59によって設定された前記補正対象画素からなる前記主走査方向に沿った前記第2補正対象領域の外側の第5画素の濃度、及びデータ設定部58によって設定された前記第2色データにおける前記第5画素に対応する第6画素の濃度に基づいて、前記第1色データに含まれる画素の濃度と前記第2色データに含まれる画素の濃度との間の相関関係を示す濃度特性情報を取得する。
例えば、第3取得処理部64は、図8に示される画素R1〜R2、R13〜R14(前記第5画素)及び画素G1〜G2、G13〜G14(前記第6画素)に基づいて、赤色に対応する色データに含まれる画素の濃度と緑色に対応する色データに含まれる画素の濃度との間の相関関係を示す前記濃度特性情報を取得する。
そして、第2補正処理部63は、前記第2色データにおける前記第2補正対象領域に対応する前記参照領域及び前記濃度特性情報に基づいて、前記第2補正対象領域に含まれる前記補正対象画素各々の濃度を補正する。具体的に、第2補正処理部63は、前記第2色データにおける前記参照領域に含まれる画素各々の前記階調値及び前記濃度特性情報から、前記第2補正対象領域に含まれる前記補正対象画素各々の、異物による影響がない状態の前記階調値の推測値を算出し、算出結果を前記第2補正対象領域に含まれる前記補正対象画素各々の前記階調値とすることで、前記第2補正対象領域に含まれる前記補正対象画素各々の濃度を補正する。
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置10では、上述の第1の実施形態、及び第2の実施形態とは異なり、前記階調値が0の場合に画素の濃度が最も薄く、前記階調値が255の場合に画素の濃度が最も濃いものと定められている。即ち、第3の実施形態では、前記階調値を示す数字が大きいほど、つまり濃度が濃いほど、本発明における注目画素の濃度値が高いと評価する。また、前記階調値を示す数字が小さいほど、つまり、濃度が薄いほど、本発明における注目画素の濃度値が低いと評価する。
また、第3の実施形態に係る画像形成装置10では、制御部5の第1判定処理部52、及び検出処理部53の処理内容が、上述の第1の実施形態に係る画像形成装置10と異なっている。なお、その他の構成については、第1の実施形態と第3の実施形態とで共通である。以下、第1の実施形態と異なる点についてのみ説明する。
具体的に、第1判定処理部52は、前記注目画素の濃度を示す前記階調値が、前記基準濃度を示す前記設定階調値以下であるか否かを判定する。
また、検出処理部53は、以下に示す式(5)に基づいて、前記画素領域における濃度の変化量を算出する。なお、式(5)において、Aは前記注目画素に前記第1方向の上流側で隣接する画素の前記階調値を示し、Bは前記注目画素に前記第1方向の下流側で隣接する画素の前記階調値を示し、Cは前記画素領域における各画素の前記階調値の変化量を示している。
C=B−A・・・(5)
また、検出処理部53は、前記画像領域における濃度の変化量が前記第1閾値を超えると判定した場合に、前記判定対象領域を検出する。具体的に、検出処理部53は、濃度を示す前記階調値が前記先頭画素の前記階調値未満の画素を前記終了画素であるものとして、前記判定対象領域を検出する。
[第4の実施形態]
ところで、画像形成装置10では、これまでの説明とは異なって、読取位置X1に異物が付着した場合に、画像読取部2によって読み取られる赤色の色データに周囲よりも濃度が薄い前記主走査方向に沿った筋画像が表れることもある。この濃度の薄い筋画像は、白色の筋画像として表れることから白筋とも呼ばれている。本発明では、このような薄い筋画像に含まれる画素を前記補正対象画素に設定することも可能である。
具体的に、本発明の第4の実施形態に係る画像形成装置10では、上述の第3の実施形態と同様に、前記階調値が0の場合に画素の濃度が最も薄く、前記階調値が255の場合に画素の濃度が最も濃いものと定められている。即ち、第4の実施形態では、前記階調値を示す数字が大きいほど、つまり濃度が濃いほど、本発明における注目画素の濃度値が高いと評価する。また、前記階調値を示す数字が小さいほど、つまり、濃度が薄いほど、本発明における注目画素の濃度値が低いと評価する。
また、第4の実施形態に係る画像形成装置10では、制御部5の第1判定処理部52、検出処理部53、及び第2設定処理部59の処理内容が、上述の第1の実施形態に係る画像形成装置10と異なっている。なお、その他の構成については、第1の実施形態と第4の実施形態とで共通である。以下、第1の実施形態と異なる点についてのみ説明する。
具体的に、第1判定処理部52は、前記注目画素の濃度が前記基準濃度と同じ、又は前記基準濃度よりも濃いか否かを判定する。具体的に、第1判定処理部52は、前記注目画素の濃度を示す前記階調値が、前記基準濃度を示す前記設定階調値以上であるか否かを判定する。
なお、第4の実施形態において、前記設定階調値は、以下の要領で定めることができる。例えば、前記設定階調値は、読取位置X1に異物を付着させた状態で読取処理部51によって所定の原稿を事前に読み取らせておき、その読み取られた画像データにおける赤色の色データに表れる筋画像(薄い赤色の筋画像)の濃度を測定し、その濃度よりも濃い濃度を示す前記階調値に定めることができる。
また、検出処理部53は、第1判定処理部52によって前記注目画素の濃度が前記基準濃度と同じ、又は前記基準濃度よりも濃いと判定された場合に、前記画素領域における濃度の変化量が前記第1閾値を超えるか否かを判定する。具体的に、検出処理部53は、前記画素領域における各画素の前記階調値の変化量を算出し、その算出値が前記第1閾値を超えるか否かを判定する。なお、検出処理部53は、上述の式(1)に基づいて、前記画素領域における濃度の変化量を算出する。
また、検出処理部53は、前記画像領域における濃度の変化量が前記第1閾値を超えると判定した場合に、前記判定対象領域を検出する。具体的に、検出処理部53は、濃度を示す前記階調値が前記先頭画素の前記階調値を超える画素を前記終了画素であるものとして、前記判定対象領域を検出する。
また、第2設定処理部59は、第1判定処理部52によって前記注目画素の濃度が前記基準濃度よりも薄いと判定された場合であって、当該注目画素の画素位置に対応する前記カウント値が前記設定数を超えている場合に、当該注目画素を前記補正対象画素として設定する。