JP6746296B2 - 現像部材、現像部材の製造方法、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents

現像部材、現像部材の製造方法、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真装置に用いられる現像部材に関する。また、本発明は、現像部材の製造方法、プロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
複写機や光プリンタのような電子写真画像形成装置(以下、「電子写真装置」と略)の画像形成方法としては、非磁性一成分のトナーを用いた現像方法が知られている。具体的には、回転可能な静電潜像担持体である感光ドラムを、帯電ローラのようなローラ形状の帯電手段により帯電し、帯電した感光ドラムの表面にレーザー光を露光して静電潜像を形成する。次いで、画像形成装置の現像装置において、現像剤容器内のトナーがトナー規制部材によって現像ローラ上に塗布され、感光ドラムと現像ローラとの接触部でトナーによる静電潜像の現像が行われる。その後、感光ドラム上のトナー像は転写部において中間転写体を介して、又は、介さずに紙などの記録材の上に転写され、定着部において熱と圧力によりトナー像が記録材に定着され、定着画像を有する記録材が画像形成装置外へ排出される。
近年の電子写真装置おいて、本体の小型化に伴い、非磁性一成分現像方法を用いることが多い。現像ローラに当接した弾性ローラ(以下、トナー供給ローラ)によって現像ローラ上にトナーを供給し、ついでトナーをトナー規制部材により現像ローラ上に薄く塗布する。同時にトナー規制部材との摩擦および現像ローラとの摩擦によりトナー粒子に電荷を与える。このため現像ローラはトナー規制部材あるいは感光ドラムと一定のニップ幅を保持しながら回転するため、低硬度な現像ローラが求められる。
また、電子写真装置として更なる小型化と省エネ効果が高い電子写真装置を求める傾向が高まり、低トルクにしたり、小径化したローラをトナー供給ローラとして用いる傾向がある。トナー供給ローラを小径化したり、低トルク化のために回転速度を遅くしたりすると現像ローラへのトナー搬送量が減少するという課題があった。
そこで、現像ローラへのトナー搬送量の向上手段として、特許文献1では導電性エラストマーからなり、少なくともその表面近傍において絶縁性粒子が分散され、粒子の一部は表面に露出しており、使用するトナーの体積平均粒径が表面に露出している絶縁性粒子の平均粒径の1/3以下である現像方法が提案されている。さらに、特許文献2では、少なくとも表面が、異なる2種以上の不定形ポリマーをブレンドした後、成型されることにより連続相(海部)と不連続相(島部)が形成されていることにより構成された現像方法が提案されている。
特開平4−88381号公報 特開平5−072889号公報
本発明者の検討によれば、特許文献1や特許文献2に記載の現像ローラや現像方法を用いたプリンタを用いて低温低湿(例えば、温度15℃、相対湿度10%)の環境下で電子写真画像を出力したときに濃度ムラが認められる電子写真画像が出力される場合があった。また、低温低湿環境下で多数枚の電子写真画像を連続して出力したときに、画像濃度が徐々に低下していく場合があった。
本発明は、多様な環境の下でも安定して高品位な電子写真画像を形成することのできる現像部材およびその製造方法を提供することに向けたものである。
また、本発明は、高品位な電子写真画像の形成に資するプロセスカートリッジおよび電子写真装置の提供に向けたものである。
すなわち、本発明の一態様によれば、導電性基体と、
該導電性基体上の導電性弾性層と、
該導電性弾性層上の複数の絶縁性ドメインと、を有する現像部材であって、
該現像部材の表面は、
該絶縁性ドメインの表面と、
該導電性弾性層の絶縁性ドメインで被覆されていない露出部分と、を含み、
該導電性弾性層は、
樹脂およびアニオンを含み、
該樹脂は
記式(2)、(3)、及び(5)〜(7)から選ばれる少なくとも一つのカチオン構造を有することを特徴とする現像部材が提供される:
式(2)中、R〜Rは各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わし、Rは4〜6員環を構成する、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素鎖を表し、nは構成する環員数において結合可能なRの数を表す。Rは各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わす。ただし、R〜R、Rの少なくとも二つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂のポリマー鎖と結合している部分を含む構造である。
式(3)中、R10、R11は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わし、R12は4〜6員環を構成する、酸素原子又は硫黄原子を含んでいてもよい炭素鎖を表し、nは構成する環員数において結合可能なR13の数を表す。R13は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わす。ただし、R10、R11、R13の少なくとも一つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂のポリマー鎖と結合している部分を含む構造である。
式(5)、R19〜R22は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わし、R19〜R22の少なくとも一つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂のポリマー鎖と結合している部分を含む構造である。
式(6)中、R23〜R25は各々独立、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わし、R23〜R25の少なくとも一つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂のポリマー鎖と結合している部分を含む構造である。
式(7)中、R26 はエーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わし、R28は4〜6員環を構成する、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素鎖を表し、nは構成する環員数において結合可能なR27の数を表す。R27は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わす。
また、本発明の一態様によれば、
電子写真装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、現像装置を備え、
該現像装置が、上記の現像部材を有することを特徴とするプロセスカートリッジが提供される。
また、本発明の一態様によれば、
静電潜像を担持するための像担持体と、該像担持体を帯電するための帯電装置と、帯電された該像担持体に静電潜像を形成するための露光装置と、該静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するための現像装置と、該トナー像を転写材に転写するための転写装置と、該転写材上に転写したトナー像を定着するための定着装置と、を有する電子写真装置であって、
該現像装置が、上記の現像部材を有することを特徴とする電子写真装置が提供される。
更に、本発明の一態様によれば、上記の現像部材の製造方法であって、
(i)前記導電性基体上に前記導電性弾性層を形成する工程と、
(ii)該導電性弾性層上の複数の前記絶縁性ドメインを形成する工程と、
を有し、
該工程(i)は、反応性官能基を有するカチオンとアニオンとからなるイオン導電剤、及び、該反応性官能基と反応可能な官能基を有する化合物を含む、該導電性弾性層の形成用の材料を該導電性基体上に供給し硬化させて、該導電性弾性層を形成する工程を含み、
該カチオンが、下記式(12)、(13)、(15)〜(17)から選択ばれる少なくとも一つの構造を有する、ことを特徴とする現像部材の製造方法:
(12)中、R105〜R107は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介してポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基である。R108は4〜6員環を構成する、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素鎖を表し、nは構成する環員数において結合可能なR109の数を表す。R109は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介してポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基である。ただし、R105〜R107、R109の少なくとも二つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して樹脂のポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基である。
式(13)中、R110、R111は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介してポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基を表わし、R112は4〜6員環を構成する、酸素原子又は硫黄原子を含んでいてもよい炭素鎖を表し、nは構成する環員数において結合可能なR113の数を表す。R113は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介してポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基を表わす。ただし、R110、R111、R113の少なくとも一つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して樹脂のポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基である。
式(15)、R119〜R122は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介してポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基を表わし、R119〜R122の少なくとも一つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して樹脂のポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基である。
式(16)中、R123〜R125は各々独立、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介してポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基を表わし、R123〜R125の少なくとも一つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して樹脂のポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基である。
式(17)中、R126 はエーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わし、R128は4〜6員環を構成する、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素鎖を表し、nは構成する環員数において結合可能なR127の数を表す。R127は水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介してポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基を表わす。
本発明によれば、特に低温低湿の環境下において、プリンタ内で現像部材として使用した際に、濃度が均一な画像が得られ、かつ、長時間使用しても画像濃度が低下しにくい現像部材が得られる。
本発明に係る現像ローラの断面図である。 本発明に係る現像ローラの断面図である。 本発明に係る現像ローラの導電性弾性層の断面図である 本発明に係る現像ローラの導電性弾性層の断面図である。 本発明に係る現像ローラの導電性弾性層の断面図である。 本発明に係る電子写真装置の概略図である。 本発明に係る現像装置の概略図である。 本発明に係る現像ローラの電流値を測定するための装置の概略図である。
本発明に係る現像部材は、導電性基体と該導電性基体上(周面上)に形成された少なくとも1層以上の導電性弾性層からなる現像部材である。かかる現像部材は、電子写真装置において、ローラ形状の現像部材(以下、現像ローラと表わす。)として用いられる。
図1に、本発明の現像部材(現像ローラ)の一例の断面図を示す。現像ローラは基体としての導電性基体と導電性弾性層とを有する。
図1(a)は、導電性基体の軸方向に対して平行に現像ローラを切断した際の断面図である。図1(b)は、導電性基体の軸方向に対して垂直に現像ローラを切断した際の断面図である。現像ローラ1は、導電性基体1aの外周上に、導電性弾性層1bを有している。
また、図2に示すように、導電性弾性層1bの表面に表面層1cとして更なる導電性弾性層を形成してもよい。
(導電性弾性層)
本発明において、導電性弾性層の最表面は、絶縁性ドメインが点在し、絶縁性ドメインと該絶縁性ドメインで被覆されていない導電性弾性層の一部(以下、導電部とも記載する)が露出部分として存在している。絶縁性ドメインとは、体積抵抗率で1.0×1013Ω・cm以上の絶縁体からなる部分を表し、導電部とは体積抵抗率で1.0×1012Ω・cm以下の導電体からなる部分を表す。導電性弾性層の樹脂に導電剤を添加することにより、導電化した樹脂が導電部の役目を成す。また、現像ローラと感光ドラムまたはトナー規制部材との圧接時に適度な面積を持って接触する必要があり、弾性とは、現像ローラとして適度に柔らかさを持たせることを表わす。なお、樹脂にあらかじめ絶縁性粒子を添加して研磨したり、導電化した樹脂上に絶縁性の材料でドメインを形成することにより、本発明の絶縁性ドメインと導電部が露出したローラを作製することができる。
導電性弾性層は、下記式(1)〜(7)から選ばれる少なくとも一つのカチオン性の構造をポリマー鎖中に有する樹脂とアニオンを有する。
式(1)中、R〜Rは各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わし、R〜Rの少なくとも一つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂のポリマー鎖と結合している部分を含む構造である。
式(2)中、R〜Rは各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わし、Rは4〜6員環を構成する、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素鎖を表し、nは構成する環員数において結合可能なRの数を表す。Rは各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わす。ただし、R〜R、Rの少なくとも一つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂のポリマー鎖と結合している部分を含む構造である。ここで、Rは、式(2)において、2個の窒素原子とともに含窒素複素5員環または含窒素複素6員環を形成するに必要な原子群であることが好ましい。
式(3)中、R10、R11は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わし、R12は4〜6員環を構成する、酸素原子又は硫黄原子を含んでいてもよい炭素鎖を表し、nは構成する環員数において結合可能なR13の数を表す。R13は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わす。ただし、R10、R11、R13の少なくとも一つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂のポリマー鎖と結合している部分を含む構造である。ここで、R12は、式(3)中、1個の窒素原子または1個の窒素原子および1個の酸素原子を含む複素5員環または複素6員環を形成するに必要な原子群であることが好ましい。
式(4)中、R14〜R16は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わし、R17は4〜6員環を構成する、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素鎖を表し、nは構成する環員数において結合可能なR18の数を表す。R18は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わす。ただし、R14〜R16、R18の少なくとも一つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂のポリマー鎖と結合している部分を含む構造である。ここで、R17は、式(4)中、2個の窒素原子を含む複素5員環または複素6員環を形成するに必要な原子群をであることが好ましい。
式(5)、R19〜R22は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わし、R19〜R22の少なくとも一つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂のポリマー鎖と結合している部分を含む構造である。
式(6)中、R23〜R25は各々独立、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わし、R23〜R25の少なくとも一つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂のポリマー鎖と結合している部分を含む構造である。
式(7)中、R26は水素原子、炭素数1から30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わし、R28は4〜6員環を構成する、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素鎖を表し、nは構成する環員数において結合可能なR27の数を表す。R27は水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わす。ただし、R26、R27の少なくとも一つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂のポリマー鎖と結合している部分を含む構造である。ここで、R28は、式(7)中、1個又は2個の窒素原子を含む複素5員環または複素6員環を形成するに必要な原子群をであることが好ましく、複素芳香6員環であることがより好ましい。
現像ローラ表面においては、絶縁性ドメインと導電性弾性層の一部(導電部)が露出していると、現像ローラによるトナー搬送が良好となる理由は以下のとおりである。すなわち、現像ローラとトナー間での摩擦帯電や外部からの電圧印加により、絶縁性ドメインには電荷が溜まる。この際、絶縁性ドメインと導電部が現像ローラ表面に露出していると、絶縁性ドメインと導電部の間で電位差が発生する。この電位差により微小電界が形成され、グラディエント力が発生する。このグラディエント力は現像ローラの軸方向に対して垂直に切断したときの中心方向に向かって発生する力であり、このグラディエント力によって、トナーが現像ローラに引き付けられる。この結果、トナーが引き付けられた状態で現像ローラは回転し、トナーが感光ドラム上に搬送される。
このようなグラディエント力を利用してトナーを搬送する現像ローラを用いたプリンタにおいて、低温低湿の環境下で使用すると、濃度ムラのある画像が発生することがあった。
そこで、本発明者らは、前述のようなプリンタを低温低湿の環境下で使用すると、濃度ムラのある画像が発生してしまう原因を調査したところ、現像ローラの導電性弾性層にカーボンブラックの如く電子伝導系導電剤のみを配合した場合において、低温低湿下では電気抵抗の上昇が見られ、微小な電気抵抗のムラによる影響が顕在化しやすいことを確認した。すなわち、導電性弾性層上の導電部の微小な抵抗ムラにより絶縁性ドメインと導電部の電位差にムラが生じ易くなる。その結果、発生する電界の強さにムラが生じ易くなり、発生するグラディエント力にばらつきを生じてしまうことから、トナー搬送量にばらつきが生じて、濃度ムラが発生し易くなると推定している。そこで、導電性弾性層にイオン導電剤を用いて検討したところ、低温低湿下での画像濃度ムラを抑えることができた。これは、イオン導電剤が導電性弾性層中に均一に存在することで電気抵抗ムラが少なくなったものと推察している。しかしながら、長時間使用すると、ベタ画像を出力した際、1枚の画像中で、最初に出力される部分の画像濃度と比較して、最後に出力される部分の画像濃度が著しく低下する現象や画像濃度ムラが発生する現象が見られた。この原因として、通電によるイオンの偏在により導電性弾性層の電気抵抗が上昇し、導電部と絶縁性ドメインとの電位差が低下して電界が弱まり、発生するグラディエント力が低下し、トナー搬送量が低下するとともに、微小な抵抗ムラが発生したと推定している。
そこで、本発明者らは、導電性弾性層が含む樹脂のポリマー鎖中にカチオン構造を導入し、導電性の発現に関与するイオンの導電性弾性層内での移動が抑制される構成とした。その一方で、当該カチオン構造を、導電性の向上に有効な水分を取りこみ易い構造とした。これによって、通電時の導電性の変化を抑えると共に、低温低湿環境下でも、均一にかつ長時間にわたってグラディエント力を発生し得る現像部材とすることができる。
式(1)のR〜R、式(2)のR〜R、R、式(3)のR10、R11、R13、式(4)のR14〜R16、R18、式(5)のR19〜R22、式(6)のR23〜R25、式(7)のR26〜R27において、炭素数1〜30の1価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基の如き炭素数1〜30のアルキル基、フェニル基、ナフチル基の如き炭素数6〜30のアリール基、あるいはこれらの組み合わせが挙げられる。
式(1)のR〜R、式(2)のR〜R、R、式(3)のR10、R11、R13、式(4)のR14〜R16、R18、式(5)のR19〜R22、式(6)のR23〜R25、式(7)のR26〜R27において、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して樹脂と結合している部分を含む構造である場合、それぞれの結合部を除く部分において、炭素数3以上の炭化水素基を有することが好ましい。理由は明確ではないが、炭素数3以上の炭化水素基を有すると、適度にイオンの移動が抑制されることで通電劣化が抑えられ、低温低湿下での長時間稼働時における濃度低下をより抑えることができる。カチオン性の構造は、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して樹脂と結合している部分を含む構造を、3つ以上有することがより好ましい。
式(2)〜(4)、(7)の環構造としては、安定な5員環または6員環であることが好ましく、脂肪族環であっても芳香族環であってもよい。式(2)の環構造としては、5員環のイミダゾール環、イミダゾリジン環が挙げられる。式(3)の環構造としては、4員環のアゼチジン環、5員環のピロール環、6員環のピペリジン環、酸素原子を有するオキサゾール環やモルホンリン環、硫黄原子を有するチアゾール環が挙げられる。式(4)の環構造としては、5員環のピラゾール環が挙げられる。式(7)の環構造としては、6員環のピリジン環構造が挙げられる。
以下に式(2)〜(4)、(7)に係る環構造の具体的な構造を示す。
なお、
式(2−1)〜(2−2)中のR〜R、Rおよびnは、式(2)におけるそれらと同義である。
式(3−1)〜(3−3)中のR10、R11、R13およびnは、式(3)におけるそれらと同義である。
式(4−1)中のR14〜R16、R18およびnは、式(4)におけるそれらと同義である。また、式(7−1)中のR26、R27およびnは、式(7)におけるそれらと同義である。
前記式(1)〜(7)で示されるカチオン性の構造を有する樹脂は、下記式(11)〜(17)で示される、反応性官能基を有するカチオンとアニオンとからなるイオン導電剤と、該反応性官能基と反応可能な官能基を有する化合物との反応物として得ることができる。ここで、イオン導電剤のカチオンが有する反応性官能基と反応可能な官能基を有する化合物は、当該樹脂の原料としてのモノマー、オリゴマー、プレポリマーおよびポリマーであることができる。
式(11)中、R101〜R104は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介してポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基を表わし、R〜Rの少なくとも一つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して樹脂のポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基である。
式(12)中、R105〜R107は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介してポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基である。R108は4〜6員環を構成する、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素鎖を表し、nは構成する環員数において結合可能なR109の数を表す。R109は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介してポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基である。ただし、R105〜R107、R109の少なくとも一つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して樹脂のポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基である。
式(13)中、R110、R111は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介してポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基を表わし、R112は4〜6員環を構成する、酸素原子又は硫黄原子を含んでいてもよい炭素鎖を表し、nは構成する環員数において結合可能なR113の数を表す。R113は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介してポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基を表わす。ただし、R110、R111、R113の少なくとも一つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して樹脂のポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基である。
式(14)中、R114〜R116は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介してポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基を表わし、R117は4〜6員環を構成する、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素鎖を表し、nは構成する環員数において結合可能なR118の数を表す。R118は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介してポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基を表わす。ただし、R114〜R116、R118の少なくとも一つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して樹脂のポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基である。
式(15)、R119〜R122は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介してポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基を表わし、R119〜R122の少なくとも一つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して樹脂のポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基である。
式(16)中、R123〜R125は各々独立、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介してポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基を表わし、R123〜R125の少なくとも一つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して樹脂のポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基である。
式(17)中、R126は水素原子、炭素数1から30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わし、R128は4〜6員環を構成する、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素鎖を表し、nは構成する環員数において結合可能なR127の数を表す。R127は水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介してポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基を表わす。ただし、R126、R127の少なくとも一つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して樹脂のポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基である。
このようなカチオン構造を有するイオン導電剤において、エーテル結合、エステル結合またはウレタン結合を介して樹脂のポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基とは、例えば、水酸基、アミノ基、グリシジル基が挙げられる。また、こ
また、樹脂の原料に含まれる、かかる反応性官能基と反応可能な化合物としては、例えば、当該反応性官能基と反応する官能基を1分子中に2個以上持つ化合物が挙げられる。
当該反応性官能基と反応する官能基の例としては、例えば、イソシアネート基、カルボキシル基およびエポキシ基が挙げられる。
具体的な例として、例えば反応性官能基が水酸基である場合、
イソシアネート化合物、カルボン酸化合物、エポキシド化合物及びメラミン化合物が挙げられる。イソシアネート化合物の例としては、エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の如き脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネートの如き脂環式ポリイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートの如き芳香族イソシアネート及びこれらの共重合物やイソシアヌレート体、トリメチロールプロパン(TMP)アダクト体、ビウレット体、それらのブロック体の如きイソシアネート化合物が挙げられる。
カルボン酸化合物の例としては、アジピン酸、セバシン酸、マロン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロイソフタル酸の如き脂肪族ジカルボン酸、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
エポキシド化合物の例としては、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルの如き脂肪族ジエポキシド、ビスフェノールAジグリシジルエーテルの如き芳香族ジエポキシドが挙げられる。
メラミン化合物の例としては、例えばメチル化型メラミン、ブチル化型メラミン、イミノ型メラミン、メチルブチル混合型メラミン、メチロール型メラミンを用いることができる。
イオン導電剤と、樹脂の原料としての、該イオン導電剤の反応性官能基と反応可能な官能基を有する化合物とによって樹脂を合成する際に、導電性弾性層の弾性率をより制御する目的で、イオン導電剤以外に上記反応可能な化合物と反応するモノマーやプレポリマーを添加して樹脂を合成してもよい。
例えば、プレポリマーとしてポリオールを具体例として挙げると、ポリエーテルポリオールとポリエステルポリオールが挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールが挙げられる。またポリエステルポリオールとしては、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,4−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコールの如きジオール成分や、トリメチロールプロパンの如きトリオール成分と、アジピン酸、無水フタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロキシフタル酸の如きジカルボン酸との縮合反応により得られるポリエステルポリオールが挙げられる。該ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールは必要に応じてあらかじめ2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、1,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)の如きイソシアネートにより鎖延長したプレポリマーとしてもよい。
イオン導電剤のアニオン、すなわち、導電性弾性層が含むアニオンの具体例を以下に挙げる。
フッ化スルホン酸アニオン、フッ化カルボン酸アニオン、フッ化スルホニルイミドアニオン、フッ化スルホニルメチドアニオン、ジシアンアミドアニオン、フッ化アルキルフルオロホウ酸アニオン、フッ化リン酸アニオン、フッ化アンチモン酸アニオン、フッ化ヒ酸アニオン、ビス(オキサラト)ホウ酸アニオンから選ばれる少なくとも一つ。
このようなアニオンを導電性弾性層が含むことにより、本発明に係る現像部材は、より濃度ムラを低減され、多数枚の画像形成時の濃度低下の抑制において、より好ましいものである。その理由としては、これらのアニオンが疎水性であり、分子として比較的、移動度が小さいためであると推定される。
フッ化スルホン酸アニオンとしては、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、フルオロメタンスルホン酸アニオン、パーフルオロエチルスルホン酸アニオン、パーフルオロプロピルスルホン酸アニオン、パーフルオロブチルスルホン酸アニオン、パーフルオロペンチルスルホン酸アニオン、パーフルオロヘキシルスルホン酸アニオン、パーフルオロオクチルスルホン酸アニオンが挙げられる。
フッ化カルボン酸アニオンとしては、トリフルオロ酢酸アニオン、パーフルオロプロピオン酸アニオン、パーフルオロ酪酸アニオン、パーフルオロ吉草酸アニオン、パーフルオロカプロン酸アニオンが挙げられる。
フッ化スルホニルイミドアニオンとしては、トリフルオロメタンスルホニルイミドアニオン、パーフルオロエチルスルホニルイミドアニオン、パーフルオロプロピルスルホニルイミドアニオン、パーフルオロブチルスルホニルイミドアニオン、パーフルオロペンチルスルホルイミドアニオン、パーフルオロヘキシルスルホニルイミドアニオン、パーフルオロオクチルスルホニルイミドアニオン、フルオロスルホニルイミドアニオンの如きアニオン、及びシクロ−ヘキサフルオロプロパン−1、3−ビス(スルホニル)イミドアニオンの如き環状アニオンが挙げられる。
フッ化スルホニルメチドアニオンとしては、トリフルオロメタンスルホニルメチドアニオン、パーフルオロエチルスルホニルメチドアニオン、パーフルオロプロピルスルホニルメチドアニオン、パーフルオロブチルスルホニルメチドアニオン、パーフルオロペンチルスルホニルメチドアニオン、パーフルオロヘキシルスルホニルメチドアニオン、パーフルオロオクチルスルホニルメチドアニオンが挙げられる。
フッ化アルキルフルオロホウ酸アニオンとしては、トリフルオロメチルトリフルオロホウ酸アニオン、パーフルオロエチルトリフルオロホウ酸アニオンが挙げられる。
フッ化リン酸アニオンとしては、ヘキサフルオロリン酸アニオン、トリス−トリフルオロメチル−トリフルオロリン酸アニオン、トリス−パーフルオロエチル−トリフルオロリン酸アニオンが挙げられる。
フッ化アンチモン酸アニオンとしては、ヘキサフルオロアンチモン酸アニオン、トリフルオロメチル−ペンタフルオロアンチモン酸アニオンが挙げられる。
フッ化ヒ酸アニオンとしては、ヘキサフルオロヒ酸アニオン、トリフルオロメチル−ペンタフルオロヒ酸アニオンが挙げられる。
本発明の反応性官能基を有するカチオンは、反応性官能基として、水酸基を用いるのが好ましい。この理由は明確になっていないが、おそらく、反応可能な化合物から合成される樹脂と反応性が高くなり、導電性弾性層を構成する樹脂の一部として取り込まれるため、通電時のカチオンの偏在をより抑えることができ、その結果、抵抗上昇や微小な抵抗ムラの発生を抑えることができ、グラディエント力の低下に伴う濃度低下や濃度ムラの抑制につながるものと推定している。
前記の水酸基は、連結基を介してカチオン部となるヘテロ原子、あるいはこのヘテロ原子を含む環骨格(以下、合わせてカチオン骨格という)に結合しているものが、反応性が比較高い点で好ましい。水酸基をカチオン骨格に結合するための連結基としては、2価の炭化水素基、アルキレンエーテル基、及びこれらの組み合わせが挙げられる。またこれら連結基を介した水酸基を含む置換基は分岐構造を有してもよく、複数の水酸基を有してもよい。
2価の炭化水素基は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、フェニレン基等の炭素数1〜30の炭化水素基であって、ヘテロ原子を有していてもよく、その他の水酸基以外の置換基(例えば、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の如きハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基の如きアルコキシ基、アミド基、シアノ基の如きヘテロ原子を含む置換基、トリフルオロメチル基の如きハロアルキル基)を有していてもよい。
アルキレンエーテル基としては、オリゴ(エチレングリコール)、オリゴ(プロピレングリコール)、オリゴ(テトラメチレングリコール)の、重合度が1〜10のアルキレンエーテル基が挙げられる。
分岐構造を有する置換基は、炭素原子又は窒素原子を分岐点として、複数の上述の連結基を介して複数の水酸基を結合した置換基であることが好ましい。例えば、1,2−プロパンジオール基、[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エチレン基、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−3−ヒドロキシプロピル基が挙げられる。
本発明に係る反応性官能基を有するカチオンは、反応性官能基を3つ以上有することが好ましい。反応性官能基を3つ以上とすることにより、反応可能な化合物から合成される樹脂と3次元架橋するので、カチオンとして移動や偏在をより抑えることができる。その結果、通電劣化が抑えられ、抵抗上昇や微小な抵抗ムラの発生を抑えることができる。よって、グラディエント力の低下の抑制が可能となり、トナー濃度低下を抑えることができる。
本発明に係る反応性官能基を有するカチオンは、水酸基を有する置換基の他に、水酸基を有さない置換基(例えば、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の如きハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基の如きアルコキシ基、アミド基、シアノ基の如きヘテロ原子を含む置換基、トリフルオロメチル基の如きハロアルキル基)を一つ又は複数有していてもよい。
本発明に係る反応可能な化合物はイソシアネート基、カルボキシ基、エポキシ基から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。反応可能な化合物のこれらの官能基は、本発明に係る反応性官能基を有するカチオンとの反応性が高くなり、現像ローラへの通電による導電性弾性層中でのカチオンの移動や偏在の抑制が可能となり濃度低下を抑えることができる。
本発明において、現像ローラ表面にグラディエント力を発生させ、トナーを引き付け搬送する役割を担う絶縁性ドメインと導電部の構成は特に限定されない。例えば、図3のように絶縁性ドメイン1dが導電部1eに埋め込まれたような構成、図4のような絶縁性ドメイン1dが導電部1eに一部埋め込まれた構成、図5のような導電部1e上に絶縁性ドメイン1dがある構成、のいずれの構成でも用いることができる。絶縁性ドメインは、導電性弾性層の表面上に凸状に形成されている図4や図5の構成であることが好ましい。さらに、絶縁性ドメイン1dの形状についても特に限定されず、球状、立方体状、直方体状等いずれの形状でも構わない。
絶縁性ドメインの大きさは、100μm以上100000μm以下が好ましい。この範囲にすることで、電界が効率的に発生し、グラディエント力を高めることができる。
絶縁性ドメイン間の間隔は20μm以上200μm以下が好ましい。ドメイン間の間隔のこの範囲とすることで、電界が効率的に発生し、グラディエント力を高めることができる。
絶縁性ドメインの厚さは3μm以上あることが好ましい。3μm以上とすることで、電界が発生し易く、グラディエント力が大きくなる。
本発明における絶縁性ドメインを導電性弾性層表面に露出させるための製造方法については絶縁性ドメイン部の体積抵抗率が1.0×1013Ω・cm以上となるのであれば、特に限定されない。体積抵抗率を1.0×1013Ω・cm以上とすることにより、絶縁性ドメインで電荷が溜まり易くなり、導電部との間に微小電界が発生する。例えば、前記の樹脂とアニオンを含む導電性弾性層の材料に体積抵抗率が1.0×1013Ω・cm以上の絶縁性粒子を添加して、導電性基体上に供給して硬化させる。そして、得られた導電性弾性層の表面を研磨し、島部を絶縁性ドメイン(誘電部)に、海部を導電部として表面に露出させる方法が挙げられる。また、硬化した導電性弾性層の表面の複数の位置に絶縁性材料を供給して硬化させる工程でも良い。具体的には、導電性弾性層の表面に複数の凹部を形成し、該凹部に液状の体積抵抗率が1.0×1013Ω・cm以上の絶縁性材料を流し込み硬化することにより両方を露出させる方法でもよい。さらに、硬化後の硬化物の体積抵抗率が1.0×1013Ω・cm以上の絶縁性材料をスクリーン印刷やジェットディスペンサーで導電性弾性層上にドット状に塗布し、硬化させることにより絶縁性ドメインを設ける方法が挙げられる。
上記の絶縁性粒子を添加する場合、絶縁性粒子としては、体積抵抗率が1.0×1013Ω・cm以上であれば、特に限定されず使用することができる。体積抵抗率が1.0×1013Ω・cm以上の絶縁性粒子を用いることにより、絶縁性ドメインで電荷が溜まり易くなるので、導電部との微小電界が発生する。絶縁性粒子としては、例えば、ウレタン樹脂粒子、ナイロン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、フッ素樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、スチレン−アクリル樹脂粒子が挙げられる。
スクリーン印刷やジェットディスペンサーでドット状に塗布する場合、使用する塗料として乾燥後の体積抵抗率が1.0×1013Ω・cm以上であれば、特に限定されず使用することができる。体積抵抗率を1.0×1013Ω・cm以上とすることにより、絶縁性ドメインで電荷が溜まり易くなるので、導電部との間に微小電界が発生する。塗料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂を含む塗料が、特に制限なく使用することができ、例えば、ウレタン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、ポリエチレン樹脂塗料、ポリプロピレン樹脂塗料、ポリエステル樹脂塗料、フッ素樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料が挙げられる。なお、また、これら塗料は溶媒で希釈して塗布することができる。使用する溶媒についても、特に制限なく使用することができる。具体的には、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンに代表されるケトン類、ヘキサン、トルエンに代表される炭化水素類、メタノール、イソプロパノールに代表されるアルコール類、他エステル類、水が挙げられる。なお、絶縁性ドメインの大きさを制御しやすいという観点から、紫外線硬化性樹脂を含む塗料を用いるのが好ましい。
紫外線硬化性樹脂を用いる場合、硬化後の体積抵抗率が1.0×1013Ω・cm以上となるのであれば、特に限定されず使用することができる。体積抵抗率を1.0×1013Ω・cm以上とすることにより、絶縁性ドメインで電荷が溜まり易くなるので、導電部との微小電界が発生する。紫外線硬化性樹脂としてはアクリロイル基および/またはメタクリロイル基を持つ化合物を重合して得られるものが好ましい。アクリロイル基および/またはメタクリロイル基を持つ化合物は、例えば、4−tert−ブチルシクロヘキサノールアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソボニルアクリレート、4−エトキシ化ノニルフェノールアクリレートの如き単官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。また、アクリロイル基および/またはメタクリロイル基を持つ化合物としては、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの如き多官能モノマーが挙げられる。さらに、末端にアクリロイル基やメタクリロイル基を有するポリウレタン、ポリエステル、ポリブタジエン、エポキシ樹脂を用いることができる。
アクリロイル基および/またはメタクリロイル基を持つ化合物を重合する方法として、重合開始剤を添加し、紫外線を照射して硬化する方法がある。重合開始剤は、公知のものを使用することができる。例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイドが挙げられる。なお、開始剤は単独で用いても良く、2種類以上を併用しても構わない。
また、重合開始剤の配合量として、アクリロイル基および/またはメタクリロイル基を持つ化合物全量を100質量部としたとき、0.5から10質量部添加するのが好ましい。重合開始剤の配合量をこの範囲とすることで、重合反応を効率よく進行させることができる。
前記の紫外線硬化性樹脂を硬化させるために照射する紫外線の光源としては、公知のものを使用することができる。例えば、LEDランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプが挙げられる。なお、必要な積算光量については、使用する紫外線硬化性樹脂の種類や、開始剤の種類や添加量に応じて、適宜、調整する。
本発明の現像ローラ表面に露出している絶縁性ドメインにおいて、絶縁性ドメインが導電性弾性層の表面に凸状に形成されていることが好ましい。グラディエント力によるトナー搬送性が増すと共に、凸部による物理的なトナー搬送性を向上させることができ、低温低湿下での長時間稼働時におけるトナー濃度低下をより抑えることができる。
本発明において、誘電部と導電部を現像部材の最表面に露出させる。誘電部と導電部の面積比は誘電部/導電部が2/8〜8/2にあることが好ましい。この範囲にすることにより電界が効率的に発生し、グラディエント力を高めることができ、トナーの搬送力を十分に確保することができる。
本発明に用いる導電性弾性層は、本発明の効果が損なわれない程度に、必要によって本発明に係る樹脂以外の一般的な樹脂、配合剤、非導電性充填剤、架橋剤、触媒を添加しても良い。添加する樹脂は、特に限定されるものではないが、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、エステル樹脂、アミド樹脂、イミド樹脂、アミドイミド樹脂、フェノール樹脂、ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂が挙げられる。
配合剤としては、樹脂に対して一般的に用いられる充填剤、軟化剤、加工助剤、粘着付与剤、粘着防止剤、発泡剤が挙げられる。非導電性充填剤としては、シリカ、石英粉末、および炭酸カルシウムが挙げられる。架橋剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、テトラエトキシシラン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンおよびジクミルパーオキサイドが挙げられる。
本発明に係る導電性弾性層に本発明以外の導電剤を併用して使用することができ、例えば、カーボンブラックを用いることができる。また、これらを特に制限することなく使用することができる。例えば、カーボンブラックとしては、導電性の高いアセチレンブラックや、ファーネスブラックとしてSAF、ISAF、HAF、MAF、FEF、GPF、SRFが挙げられる。なお、導電性弾性層の抵抗は、かぶりやゴーストの観点から1.0×10〜1.0×1012Ω・cmであることが好ましいことから、カーボンブラックの添加量は、導電性弾性層を構成する樹脂100質量部に対して、80質量部以下とすることが好ましい。
さらに、必要に応じて他の導電剤をカーボンブラックと併せて使用することができる。例えば、グラファイト、アルミニウム、銅、錫、ステンレス鋼の如き各種導電性金属又は合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン固溶体を各種導電化処理した金属酸化物が挙げられる。なお、現像ローラの体積抵抗率は、かぶりやゴーストの観点から1.0×10〜1.0×1012Ω・cmであることが好ましいことから、これらの他の導電剤の添加量は、導電性弾性層を構成する樹脂100質量部に対して、20質量部以下とすることが好ましい。
また、その他各種添加剤として、現像ローラにおいて公知のものを使用することができる。例えば親水性シリカ、疎水性シリカ、石英、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタンの如き補強剤、伝熱向上剤を必要に応じて添加してもよい。
導電性基体に導電性弾性層を設ける製造方法としては、現像ローラにおいて公知の方法を用いることができる。例えば、導電性基体と、導電性弾性層用の材料とを共に押出して成型する方法や、弾性層形成用材料が液状であれば、円筒状のパイプと、このパイプの両端に配設された導電性基体を保持するための駒と、導電性基体とを配設した金型に導電性弾性層用の材料を注入し、加熱硬化する方法が挙げられる。
本発明において、図2に示すように、導電性弾性層1b上に樹脂からなる表面層1cを設けることができる。この場合、絶縁性ドメインと導電部が露出するよう製造する。なお、表面層に用いる樹脂として、公知のものを使用することができるが、上記のイオン導電材と、反応可能な化合物から合成される樹脂であることが好ましい。つまり、本発明においては、現像ローラの最表面(導電部)が本発明に係る樹脂であることが好ましい。また、導電部として機能するために所定の導電率を有することが好ましい。表面層を設ける場合の下層の導電性弾性層としては、本発明の樹脂以外の公知の材料を用いることができる。なお、本明細書では表面層を導電性弾性層ということがある。
本発明に係る樹脂を表面層として設ける製造方法として、例えば、前記樹脂と溶剤を混合、分散した塗工液を弾性層に塗工する方法がある。
塗工液に用いる溶剤としては、表面層として用いる樹脂が溶解するという条件内で適宜使用することができる。具体的には、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンに代表されるケトン類、ヘキサン、トルエンに代表される炭化水素類、メタノール、イソプロパノールに代表されるアルコール類、他エステル類、水が挙げられる。特に好ましい溶剤は樹脂の溶解性、沸点からメチルエチルケトン、又はメチルイソブチルケトンである。
表面層として本発明に係る樹脂を用いたときの層の厚みは、4μm以上50μm以下が好ましく、特に5μm以上45μm以下が好ましい。厚みが4μm以上であれば、表面層中の低分子量成分が染み出してきて感光ドラムを汚染したり、表面層が剥れたりすることが抑制できる。また、50μm以下であれば、現像ローラの表面硬度が高くなって、感光ドラム表面を削ることを抑制できる。
表面層に、カーボンブラックやイオン導電剤の他にその他添加剤を使用することができる。例えば、表面に凹凸を設けるための球状樹脂粒子や、補強材、表面調整剤、帯電制御剤が挙げられる。
(導電性基体)
導電性基体は、現像ローラとして使用する場合、現像ローラの電極および導電性弾性層を支持する部材として機能するものであれば本発明に適用でき、中空でも中実でも適宜、使用することができる。材質としては、例えば、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、鉄の如き金属または合金、導電性合成樹脂の如き導電性の材質を用いることができる。
(プロセスカートリッジ及び電子写真装置)
本発明に係るプロセスカートリッジは、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、現像装置を備え、該現像装置が前記現像部材を有するものである。
また本発明に係る電子写真装置は、静電潜像を担持するための像担持体(感光体)と、該像担持体を帯電するための帯電装置と、帯電された該像担持体に静電潜像を形成するための露光装置と、該静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するための現像装置と、該トナー像を転写材に転写するための転写装置と、該転写材上に転写したトナー像を定着するための定着装置と、を有する画像形成装置であって、該現像装置が前記現像部材を有するものである。
本発明の現像部材を用いることができる電子写真装置の一例を図6に示す。なお、この例では、本発明の現像部材を現像ローラ1として使用している。図6の模式図に示すカラー電子写真装置は、イエローY、マゼンダM、シアンC及びブラックBKの色トナー毎に設けられた現像装置(各色用)を備えたプロセスカートリッジ(10a〜10d)をタンデム形式で有している。なお、各々のプロセスカートリッジは、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されている。
各現像装置の仕様は各色トナー特性に応じて多少の差異があるものの、基本的構成において同じである。現像装置には、矢印方向に回転する感光体ドラム2が設けられている。その周囲には、感光体ドラム2を一様に帯電するための帯電ローラ9、一様に帯電した感光体ドラム2にレーザー光21を照射して静電潜像を形成する露光手段、静電潜像を形成した感光体ドラム2にトナーを供給し静電潜像を現像するホッパー3が設けられている。更に、感光体ドラム2上のトナー像を、給紙ローラ22により供給され、搬送ベルト23によって搬送される紙等の記録媒体(転写材)24上に転写する転写部材が設けられている。転写部材は、記録媒体24の裏面にバイアス電源25からバイアス電圧を印加する転写ローラ26を有する。
搬送ベルト23は、駆動ローラ27、従動ローラ28及びテンションローラ29に懸架され、各画像形成部で形成されたトナー像を記録媒体24上に順次重畳して転写するように、画像形成部と同期して移動して記録媒体24を搬送するよう制御されている。なお、記録媒体24は、搬送ベルト23にさしかかる直前に設けられた吸着ローラ30の働きにより、搬送ベルト23に静電的に吸着されて、搬送されるようになっている。
図6の電子写真装置では、感光体ドラム2と、本発明の現像ローラ1とは接触して配置されており、それらは感光体ドラム2と現像ローラ1の接触箇所において従動し同方向に回転する。更に、この電子写真装置には、記録媒体24上に重畳転写したトナー像を加熱などにより定着する定着装置31と、画像形成された記録媒体を装置外に排紙する搬送装置(図示せず)とが設けられている。なお、記録媒体24は剥離装置32の働きにより搬送ベルト23から剥がされて定着装置31に送られるようになっている。一方、現像装置には感光体2上に転写されずに残存する転写残トナーを除去するクリーニングブレード33を有するクリーニング部材と、感光体から掻き取られたトナーを収納する廃トナー容器34とが設けられている。クリーニングされた感光体ドラム2は画像形成可能となって待機するようになっている。
続いて、図7に他の現像装置の一例を示す。この現像装置では、公知のプロセスにより形成された静電潜像を担持する静電潜像担持体としての感光体ドラム2は、矢印B方向に回転される。トナー容器であるホッパー3中には非磁性一成分トナー4を撹拌するための撹拌翼5が設けられている。本発明の現像ローラ1にトナー4を供給し、かつ現像後の現像ローラの表面に存在するトナー4を剥ぎ取るための部材6が現像ローラに当接している。トナー供給・剥ぎ取り部材6であるローラは、表面でトナー供給とトナー剥ぎ取りのため、現像ローラ1の回転方向(矢印A方向)と同じ方向(矢印C方向)に回転させる。これにより、ホッパー3から供給された非磁性トナーを有する一成分非磁性トナーが現像ローラに供給される。現像ローラ1には、これに担持されたトナー4を感光体ドラム2に移動させるために、現像バイアス電源7により現像バイアス電圧が印加される。
トナー供給・剥ぎ取り部材6としては、樹脂、ゴム、スポンジの如き弾性ローラ部材が好ましい。感光体ドラム2に現像移行されなかったトナーをトナー供給・剥ぎ取り部材6により、一旦現像ローラ表面から剥ぎ取ることにより、現像ローラ1上における不動のトナーの発生を阻止し、トナーの帯電を均一化する。
現像ローラ1上のトナー4の層厚を規制する部材としては、ウレタンゴム、シリコーンゴム等のゴム弾性を有する材料、あるいはリン青銅、ステンレス銅の如き金属弾性を有する材料のトナー規制部材8を使用することができる。トナー規制部材8を現像ローラ1の回転方向(矢印A方向)と逆向きの姿勢で該現像ローラ1に圧接させることにより、現像ローラ1上に更に薄いトナー層を形成することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではなく、本発明の範囲内で適宜変更可能である。なお、以下の実施例1、9-12、14、16、18、20、22、24−25、及び27−29は参考例である。
[イオン導電剤1の合成]
求核剤としてジブチルアミン(東京化成工業(株)製)25.9gをアセトニトリル50mlに溶解し、室温で求電子剤として2−ブロモエタノール62.5gを加えた後、90℃で72時間還流した。その後、減圧蒸留にて溶媒を除去した。得た残留物をジエチルエーテルにて洗浄し、上澄み液をデカンテーションにて除去した。洗浄とデカンテーションの操作を3回繰り返し、残留物を得た。これをイオン導電剤1とした。
[イオン導電剤2〜8の合成]
表1に示す求核剤、求電子剤、アニオン交換剤を用いてイオン導電剤の合成1と同様に合成し、イオン導電剤2〜8を合成した。
[イオン導電剤9の合成]
イオン導電剤1をジクロロメタン30mlに溶解させ、アニオン交換剤として水30mlに溶解させたリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(関東化学(株)製)62.5gを加え、24時間室温で撹拌し、得た溶液を分液し、有機層を得た。この有機層を水にて2回洗浄後、減圧蒸留にてジクロロメタンを除去することにより、アニオンがビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンであるイオン導電剤9を得た。
[イオン導電剤10〜27の合成]
表1に示す求核剤、求電子剤、アニオン交換剤を用いてイオン導電剤1または2の合成と同様に合成し、イオン導電剤10〜27を合成した。
また、得られたイオン導電剤1〜27に対する構造式を(21)〜(27)に、構造式中の置換基を表2に示す。
[イソシアネート基末端プレポリマーの合成]
窒素雰囲気下、反応容器中でトリレンジイソシアネート(TDI)(商品名:コスモネートT80、三井化学社製)25質量部に対し、ポリプロピレングリコール系ポリオール(PPG)(商品名:サンニックスPP−1000、三洋化成工業社製)100質量部を反応容器内の温度を70℃に保持しつつ、徐々に滴下した。滴下終了後、温度70℃で2時間反応させた。得られた反応混合物を室温まで冷却し、イソシアネート基含有量4.2%のイソシアネート基末端プレポリマーを得た。
[現像ローラの製造]
導電性の基体として、φ6、全長280mmのステンレス鋼(SUS304)製である中実の導電性基体を用いた。導電性基体の周面にシランカップリング系プライマー(商品名:DY35−051、東レ・ダウコーニング社)を塗布し、その後、温度160℃で40分間焼付けた。
次に、円筒状の金型の内部に、上記の導電性基体を同軸に配置し、金型の内周面と導電性基体の周面との間隙に以下に示す材料を分散させた弾性層形成用の液状材料を充填し、温度120℃で40分加熱した。冷却後、金型から導電性基体を脱型し、更に、導電性基体を温度200℃に加熱したオーブン中で4時間加熱して、厚さ3mmの弾性層を有するローラ部材(以下、弾性層ローラという)を製造した。
・シリコーンゴム:XE15−645 A液 50質量部
(商品名、モメンティブ・パフォーマンスマテリアルズ・ジャパン合同会社)
・シリコーンゴム:XE15−645 B液 50質量部
(商品名、モメンティブ・パフォーマンスマテリアルズ・ジャパン合同会社)
・カーボンブラック:デンカブラック(粉状) 8質量部
(商品名、電気化学工業(株))
[現像ローラI]
上記弾性層ローラの周面上に以下のようにして導電性弾性層を設けた。
・ポリオール:N5120(商品名、日本ポリウレタン(株)) 84質量部
・イソシアネート:L−55E(商品名、日本ポリウレタン(株)) 16質量部
・カーボンブラック:MA100(商品名、三菱化学(株)) 5質量部
・イオン導電剤 5質量部
・アクリル樹脂粒子:MX1500(商品名、綜研化学(株)、平均粒径:15μm(カタログ値)) 30質量部
を秤量し、メチルエチルケトン(MEK)を加え、試験用分散機(ペイントシェーカー、株式会社 東洋精機製作所製)を用いて分散させた塗工液をオーバーフロー型循環式塗布装置に入れた。上記塗布装置に弾性層ローラを浸漬し、引き上げた後に、風乾30分、その後、155℃、4時間加熱して、厚さが7μmの塗膜を形成した。冷却後、ゴムロール鏡面加工機(商品名:SZC、(株)水口製作所製)を用いて、表面を研磨し、アクリル樹脂粒子に由来する絶縁性ドメインと導電性弾性層とが表面に露出したローラを作成した。これを現像ローラIとした。アクリル樹脂粒子に由来するドメインの直径は15μmであった。
なお、[現像ローラの評価]で用いる現像ローラIと別の現像ローラIについて、長手方向に対して垂直方向に導電性弾性層を、基体側のシリコーンゴムを含む弾性層とともに切り出して、導電性弾性層の厚さを、光学顕微鏡を用いて測定した。その結果、導電性弾性層の最も厚い部分、すなわち、導電性弾性層のうち、その表面が、現像ローラの表面を構成している部分の厚さは7μmであった。
[現像ローラII]
上記弾性層ローラの周面上に以下のようにして導電性弾性層を設けた。
・ポリオール:プレミノール(商品名、旭硝子(株)) 60質量部
・イソシアネート末端プレポリマー 40質量部
・ポリエステル樹脂:バイロン200(商品名、東洋坊(株)) 20質量部
・カーボンブラック:MA100(商品名、三菱化学(株)) 5質量部
・イオン導電剤 5質量部
を秤量し、MEKを加え、試験用分散機(ペイントシェーカー、株式会社 東洋精機製作所製)を用いてよく分散させた混合物をオーバーフロー型循環式塗布装置に入れた。上記塗布装置に弾性層ローラを浸漬し、引き上げた後に、風乾50分、その後、140℃、6時間加熱した。光学顕微鏡(商品名:レーザー顕微鏡VK8710、(株)キーエンス社製)にてローラ表面を観察してところ、ポリエステル樹脂に由来するドメインと、導電性弾性層のマトリックスとが表面に露出していることを確認した。これを現像ローラIIとした。当該ドメインの1個の面積は、10000μmであった。
なお、[現像ローラI]と同様にして導電性弾性層の最も厚い部分の厚さを測定したところ、10μmであった。
[現像ローラIII]
上記弾性層ローラの周面上に以下のようにして導電性弾性層を設けた。
・ジカルボン酸:テレフタル酸(商品名、東京化成工業(株) 65質量部
・イオン導電剤 35質量部
・重合触媒:三酸化アンチモン(PATOX−C、日本精鉱(株) 0.05質量部
・アクリル樹脂粒子:MX1500(商品名、綜研化学(株)、平均粒径:15μm(カタログ値)) 30質量部
を秤量し、MEKを加え、試験用分散機(ペイントシェーカー、株式会社 東洋精機製作所製)を用いてよく分散させた塗工液をオーバーフロー型循環式塗布装置に入れた。上記塗布装置に弾性層ローラを浸漬し、引き上げた後に、風乾30分、その後、250℃、1時間加熱した。冷却後、ゴムロール鏡面加工機(商品名:SZC、(株)水口製作所製)を用いて、表面を研磨し、アクリル樹脂粒子に由来する絶縁性ドメインと導電性弾性層とが表面に露出したローラを作成した。これを現像ローラIIIとした。アクリル樹脂粒子に由来するドメインの直径は15μmであった。
なお、[現像ローラI]と同様にして導電性弾性層の最も厚い部分の厚さを測定したところ、6μmであった。
[現像ローラIV]
上記弾性層ローラの周面上に以下のようにして導電性弾性層を設けた。
・エポキシ樹脂:150(商品名、三菱化学(株)) 90質量部
・硬化剤:113(商品名、三菱化学(株)) 10質量部
・カーボンブラック:MA100(商品名、三菱化学(株)) 5質量部
・イオン導電剤 5質量部
・アクリル樹脂粒子:MX1500(商品名、綜研化学(株)、平均粒径:15μm(カタログ値)) 30質量部
を秤量し、MEKを加え、試験用分散機(ペイントシェーカー、株式会社 東洋精機製作所製)を用いてよく分散させた塗工液をオーバーフロー型循環式塗布装置に入れた。上記塗布装置に弾性層ローラを浸漬し、引き上げた後に、風乾30分、その後、80℃、1時間加熱後、さらに150℃、3時間加熱した。冷却後、ゴムロール鏡面加工機(商品名:SZC、(株)水口製作所製)を用いて、表面を研磨し、アクリル樹脂粒子に由来する絶縁性ドメインと導電性弾性層とが表面に露出したローラを作成した。これを現像ローラIVとした。アクリル樹脂粒子に由来するドメインの直径は15μmであった。
なお、[現像ローラI]と同様な方法で表面層の厚さを測定したところ、8μmであった。
[現像ローラV]
上記弾性層ローラの周面上に以下のようにして導電性弾性層を設けた。
・メラミン樹脂:20SB(商品名、三井化学(株)) 10質量部
・ポリエステル樹脂:バイロン200(商品名、東洋坊(株)) 90質量部
・カーボンブラック:MA100(商品名、三菱化学(株)) 5質量部
・イオン導電剤 5質量部
を秤量し、MEKを加え、試験用分散機(ペイントシェーカー、株式会社 東洋精機製作所製)を用いてよく分散させた塗工液をオーバーフロー型循環式塗布装置に入れた。上記塗布装置に弾性層ローラを浸漬し、引き上げた後に、風乾50分、その後、150℃、5時間加熱した。光学顕微鏡(商品名:レーザー顕微鏡VK8710、(株)キーエンス社製)にてローラ表面を観察してところ、ポリエステル樹脂に由来するドメインと、導電性弾性層のマトリックスとが表面に露出していることを確認した。これを現像ローラVとした。
当該ドメインの1個の面積は、10000μmであった。
なお、[現像ローラI]と同様な方法で表面層の厚さを測定したところ、12μmであった。
[現像ローラVI]
現像ローラIの周面上に以下のようにして凸状の絶縁性ドメイン(誘電部)を設けた。すなわち
・アクリル化合物:ネオペンチルグリコールジアクリレート 100質量部
(商品名:A−NPG、新中村化学工業社(株)製)
・開始剤:1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン 5質量部
(商品名:IRGACURE184、豊通ケミプラス(株)販売)
を混合し、ジェットディスペンサー装置(商品名:NANO MASTER SMP−3、武蔵エンジニアリング(株))を用いて現像ローラIの周面上に塗布した。
その後、周方向にローラを回転させることができる治具に、先の塗布したローラをセットした。ローラを周方向回転させながら、高圧水銀ランプ(商品名:ハンディータイプUV硬化装置、マリオネットワーク社(有)マリオネットワーク製)を用いて積算光量が1200mJ/cmとなるよう紫外線を照射することにより、絶縁性ドメインを硬化した。得たローラの表面を光学顕微鏡(商品名:レーザー顕微鏡VK8710、(株)キーエンス社製)で観察したところ、導電部上に、導電性弾性層との接触面(底面)の直径84μmの凸状の誘電部絶縁性ドメインが53μm間隔で形成され、絶縁性ドメインと導電部が露出されていることを確認した。これを現像ローラVIとした。
現像ローラI〜VIにおいて、イオン導電剤がポリマー鎖中に含まれていること、または、式(7)〜式(14)のうち少なくとも一つの構造を含むことは、例えば熱分解GC/MS、発生ガス分析(EGA−MS)、FT−IRまたはNMRによる分析により確認することができる。本実施例で得られた導電性弾性層については、熱分解装置(商品名:パイロホイルサンプラーJPS−700、日本分析工業社製)及びGC/MS装置(商品名:Focus GC/ISQ、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用い、熱分解温度を590℃、キャリアガスとしてヘリウムを使用し、分析を行った。その結果、得られたフラグメントピークから、カチオン性の構造が、樹脂のポリマー鎖に含まれていることが確認できた。
〔実施例1〕
イオン導電剤1を用いて現像ローラIを作成し、以下、現像ローラの評価、現像ローラの電流値測定、現像ローラの通電劣化評価を行った。
[現像ローラの評価]
[現像ローラの評価準備]
現像ローラとして、カラーレーザープリンタ(商品名:CLJ4525、ヒュウレッド・パッカード社製)用の改造プロセスカートリッジに装着後、そのプロセスカートリッジをカラーレーザープリンタに装着し、温度15℃/湿度10%環境下で48時間放置した。次に同環境下で全面ベタ画像を1枚出力後、以下の工程を3回繰り返した。
1.印字率0.3%の画像を10000枚出力。
2.全面ベタ画像を1枚出力。
[ベタ画像の画像濃度ムラ]
出力した全4枚の全面ベタ画像の画像濃度を分光濃度計:X−Rite504(商品名、エス・ディ・ジー社)を用いて測定した。なお、画像濃度は画像の最上部のローラ1周期分において、周方向2点、長手方向7点、計14点測定した。14点の濃度を比較し、以下A〜Eのように判定した。結果を表2に示す。(以下、最初に出力したベタ画像の画像濃度を「1枚目の画像濃度」と、X回目の工程で出力したベタ画像の画像濃度を「X枚目の画像濃度」と表わす。)
A:1〜4枚目の濃度差が0.1未満
B:1〜3枚目の濃度差が0.1未満で、4枚目の濃度差が0.1〜0.2
C:1〜2枚目の濃度差が0.1未満で、3〜4枚目の濃度差が0.1〜0.2
D:1枚目の濃度差が0.1未満で、2〜4枚目の濃度差が0.1〜0.2
E:1〜4枚目の濃度差が、いずれかで0.2を越えている。
[ベタ画像の上部と下部の画像濃度差]
得た全4枚の全面ベタ画像の画像濃度を分光濃度計:X−Rite504(商品名、エス・ディ・ジー社)を用いて測定した。なお、画像濃度は先の[ベタ画像の画像濃度ムラ]での濃度測定に加え、さらに画像の再下部のローラ1周期分において、周方向2点、長手方向7点、計14点測定した。最上部での14点の平均値と最下部で測定した14点の平均値をそれぞれ求め、比較し、以下A〜Eのように判定した。結果を表3に示す。(以下、最初に出力したベタ画像の画像濃度を「1枚目の画像濃度」と、X回目の工程で出力したベタ画像の画像濃度を「X枚目の画像濃度」と表わす。)
A:1〜4枚目の濃度差が0.1未満
B:1〜4枚目の濃度差が0.2未満
C:1〜3枚目の濃度差が0.2未満で、4枚目の濃度差が0.2〜0.3
D:1〜2枚目の濃度差が0.2未満で、3〜4枚目の濃度差が0.2〜0.3
E:1枚目の濃度差が0.2未満で、2〜4枚目の濃度差が0.2〜0.3
F:1〜4枚目の濃度差が、いずれかで0.3を越えている。
[現像ローラの抵抗ムラの測定]
図8に示す装置を用いて測定し、抵抗の算出を以下のとおりに行った。現像ローラ1をアルミ製ドラム35に圧接した。現像ローラの導電性基体の両端に4.9Nの荷重をかけ、アルミ製ドラム35を現像ローラ1の回転数が60rpmになるように回転させた後に、現像ローラの導電性基体に50V印加した。なお、アルミ製ドラム35はR(Ω)の抵抗値を有する基準抵抗36を通じて接地されている。基準抵抗の両端の電位差を電位差計37で毎秒200回の速度でサンプリングし、現像ローラを5回転させたところで測定をやめ、5周分のデータより現像ローラの抵抗値を求めた。求めた値をX(V)とし、全1000個(毎秒200個×5秒間のデータ)の求められたX(V)とR(Ω)より以下の式に従って、電流値I(A)を求めた。
電流値I(A)=X(V)/R(Ω)
さらに、現像ローラの抵抗値Z(Ω)は以下のように計算した。
Z(Ω)=50(V)/I(A)=50(V)/X(V)×R(Ω)
求めたZ(Ω)の最大値、最小値より抵抗ムラは以下のように計算した。結果を表3に示す。
抵抗ムラ=Z(Ω)の最大値/Z(Ω)の最小値
なお、現像ローラの抵抗ムラの測定は、温度15℃/湿度10%の環境下に24時間以上放置した現像ローラを放置後、温度15℃/湿度10%の環境下で測定を行った。
[現像ローラの通電劣化評価]
図8に示す装置を用い、現像ローラをアルミ製ドラム35に圧接し、現像ローラの両端に4.9Nの荷重をかけ、アルミと絶縁樹脂が一体となったドラムを現像ローラの回転数が60rpmになるように回転させた。現像ローラの導電性基体に50V印加した際の抵抗値を求め、さらに、6時間、現像ローラを60rpmで回転させながら50V印加した。6時間印加した後の抵抗値を求め、以下のように計算した。結果を表2に示す。
抵抗値の変化率=印加6時間後の抵抗値/初期印加時の抵抗値
次に、[現像ローラの抵抗のムラ]での方法と同様に測定し、通電後の現像ローラの抵抗ムラを求めた。結果を表3に示す。
なお、現像ローラの通電劣化評価は、温度15℃/湿度10%の環境下に24時間以上放置した現像ローラを放置後、温度15℃/湿度10%の環境下で測定を行った。
〔実施例2〕
イオン導電剤2を用いて、現像ローラIIを作成したこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔実施例3〕
イオン導電剤3を用いて現像ローラIを作成したこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔実施例4〕
イオン導電剤4を用いて現像ローラIIを作成したこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔実施例5〕
イオン導電剤5を用いて現像ローラIを作成したこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔実施例6〕
イオン導電剤6を用いて現像ローラIIを作成したこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔実施例7〕
イオン導電剤7を用いて現像ローラIを作成したこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔実施例8〕
イオン導電剤8を用いて現像ローラIIを作成したこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔実施例9〕
現像ローラを変更し、現像ローラIIIとしたこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔実施例10〕
現像ローラを変更し、現像ローラIVとしたこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔実施例11〕
現像ローラを変更し、現像ローラVとしたこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔実施例12〕
イオン導電剤9を用いて現像ローラIを作成したこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔実施例13〕
イオン導電剤10を用いて現像ローラIIを作成したこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔実施例14〕
イオン導電剤11を用いて現像ローラIを作成したこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔実施例15〕
イオン導電剤12を用いて現像ローラIIを作成したこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔実施例16〕
イオン導電剤13を用いて現像ローラIを作成したこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔実施例17〕
イオン導電剤14を用いて現像ローラIIを作成したこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔実施例18〕
イオン導電剤15を用いて現像ローラIを作成したこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔実施例19〕
イオン導電剤16を用いて現像ローラIIを作成したこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔実施例20〕
イオン導電剤17を用いて現像ローラIを作成したこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔実施例21〕
イオン導電剤18を用いて現像ローラIIを作成したこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔実施例22〕
イオン導電剤19を用いて現像ローラIを作成したこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
〔実施例23〕
イオン導電剤20を用いて現像ローラIIを作成したこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔実施例24〕
イオン導電剤21を用いて現像ローラIを作成したこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔実施例25〕
イオン導電剤22を用いて現像ローラIIを作成したこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔実施例26〕
イオン導電剤23を用いて現像ローラIを作成したこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔実施例27〕
イオン導電剤24を用いて現像ローラIIを作成したこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔実施例28〕
イオン導電剤25を用いて現像ローラIを作成したこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔実施例29〕
イオン導電剤22を用いて現像ローラVIを作成したこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔実施例30〕
イオン導電剤23を用いて現像ローラVIを作成したこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔実施例31〕
イオン導電剤26を用いて現像ローラVIを作成したこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔実施例32〕
イオン導電剤27を用いて現像ローラVIを作成したこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔比較例1〕
イオン導電剤を入れなかったこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔比較例2〕
イオン導電剤をエチルジメチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(アルドリッチ社製)としたこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔比較例3〕
イオン導電剤を1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(アルドリッチ社製)としたこと以外については実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
〔比較例4〕
ポリオール、イソシアネートの替わりにポリエステル樹脂:プラスコートZ−880(商品名、瓦応化学工業株式会社、−SONa含有)100質量部、カーボンブラックとしてライオンペーストW−311N(商品名、ライオン(株))、MEKの替わりに水を用い、イオン導電剤を使用しなかったこと以外については、実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
実施例1〜11において、アンモニウム系カチオン、イミダゾリウム系カチオン、ピリジニウム系カチオン、ピロリジウム系カチオン、ピペリジウム系カチオン、モルホリニウム系カチオン、ホスホニウム系カチオン、またはスルホニウム系カチオンのいずれかを有し、さらに、カチオンが少なくとも1つ以上の反応性官能基を有するイオン導電剤を用いた。その結果、抵抗ムラや通電劣化を抑えることができ、通紙時の画像濃度ムラや、ベタ画像下部における濃度低下を抑えることができた。実施例12〜21において、実施例1〜11のアニオンを変更した。その結果、さらに通紙時の画像濃度ムラや、ベタ画像下部における濃度低下を抑えることができた。実施例22〜24において、反応性官能基数を1〜2個から3個に変更した。その結果、さらに抵抗ムラや通電劣化を抑えることができ、通紙時の画像濃度ムラや、ベタ画像下部における濃度低下を抑えることができた。実施例25〜28において、反応性官能基からカチオン性基までの炭素数を3以上とした。その結果、さらに通紙時の画像濃度ムラや、ベタ画像下部における濃度低下を抑えることができた。実施例29〜33において、絶縁性ドメインを導電性弾性層の上部に設けた。その結果、特にベタ画像下部における濃度低下を抑えることができた。
1 現像ローラ
1a 導電性基体
1b 導電性弾性層
1c 表面層
1d 絶縁性ドメイン
1e 導電部
2 感光ドラム
3 ホッパー
4 トナー
5 撹拌翼
6 トナー供給部材
7 現像バイアス電源
8 トナー規制部材
9 帯電ローラ
10 プロセスカートリッジ
21 レーザー光
22 給紙ローラ
23 搬送ベルト
24 記録媒体
25 バイアス電源
26 転写ローラ
27 駆動ローラ
28 従動ローラ
29 テンションローラ
30 吸着ローラ
31 定着装置
32 剥離装置
33 クリーニングブレード
34 廃トナー容器

Claims (19)

  1. 導電性基体と、
    該導電性基体上の導電性弾性層と、
    該導電性弾性層上の複数の絶縁性ドメインと、を有する現像部材であって、
    該現像部材の表面は、
    該絶縁性ドメインの表面と、
    該導電性弾性層の絶縁性ドメインで被覆されていない露出部分と、を含み、
    該導電性弾性層は、
    樹脂およびアニオンを含み、
    該樹脂は
    記式(2)、(3)、及び(5)〜(7)から選ばれる少なくとも一つのカチオン構造を有することを特徴とする現像部材:
    式(2)中、R〜Rは各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わし、Rは4〜6員環を構成する、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素鎖を表し、nは構成する環員数において結合可能なRの数を表す。Rは各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わす。ただし、R〜R、Rの少なくとも二つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂のポリマー鎖と結合している部分を含む構造である。
    式(3)中、R10、R11は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わし、R12は4〜6員環を構成する、酸素原子又は硫黄原子を含んでいてもよい炭素鎖を表し、nは構成する環員数において結合可能なR13の数を表す。R13は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わす。ただし、R10、R11、R13の少なくとも一つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂のポリマー鎖と結合している部分を含む構造である。
    式(5)、R19〜R22は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わし、R19〜R22の少なくとも一つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂のポリマー鎖と結合している部分を含む構造である。
    式(6)中、R23〜R25は各々独立、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わし、R23〜R25の少なくとも一つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂のポリマー鎖と結合している部分を含む構造である。
    式(7)中、R26はエーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わし、R28は4〜6員環を構成する、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素鎖を表し、nは構成する環員数において結合可能なR27の数を表す。R27は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わす。
  2. 前記樹脂が、下記の式(2−1)、式(2−2)、式(3−1)、式(3−2)、および式(7−1)からなる群から選ばれる少なくとも1つのカチオン構造を有する請求項1に記載の現像部材:
    (式(2−1)〜(2−2)中のR〜R、Rおよびnは、前記式(2)におけるそれらと同義である。式(3−1)〜(3−3)中のR10、R11、R13およびnは、前記式(3)におけるそれらと同義である。また、式(7−1)中のR26、R27およびnは、前記式(7)におけるそれらと同義である。)。
  3. 前記樹脂が、
    反応性官能基を有するカチオンおよび前記アニオンを有するイオン導電剤と、
    該反応性官能基と反応可能な官能基を有する化合物との反応物である請求項1または2に記載の現像部材。
  4. 前記イオン導電剤のカチオンが、前記反応性官能基を3つ以上有する請求項3に記載の現像部材。
  5. 前記反応性官能基が、水酸基またはエポキシ基である請求項3または4に記載の現像部材。
  6. 前記化合物が、イソシアネート基、カルボキシル基およびエポキシ基から選ばれる少なくとも1つの基を有する請求項3〜5の何れか一項に記載の現像部材。
  7. 前記アニオンが、フッ化スルホン酸アニオン、フッ化カルボン酸アニオン、フッ化スルホニルイミドアニオン、フッ化スルホニルメチドアニオン、ジシアンアミドアニオン、フッ化アルキルフルオロホウ酸アニオン、フッ化リン酸アニオン、フッ化アンチモン酸アニオン、フッ化ヒ酸アニオン、ビス(オキサラト)ホウ酸アニオンから選ばれる少なくとも一つである請求項1〜6のいずれか一項に記載の現像部材。
  8. 前記カチオン構造が、エーテル結合、エステル結合およびウレタン結合から選ばれる何れかの結合を介して前記ポリマー鎖と結合している部分を含む構造を3つ以上有する請求項1〜7のいずれか一項に記載の現像部材。
  9. 前記絶縁性ドメインが、前記導電性弾性層の表面上に凸状に形成されている請求項1〜8のいずれか一項に記載の現像部材。
  10. 前記樹脂が、前記式(3)、(5)、及び(6)から選ばれる少なくとも1つのカチオン構造を有する請求項1〜9のいずれか一項に記載の現像部材。
  11. 電子写真装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、現像装置を備え、
    該現像装置が、請求項1〜10のいずれか一項に記載の現像部材を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
  12. 静電潜像を担持するための像担持体と、該像担持体を帯電するための帯電装置と、帯電された該像担持体に静電潜像を形成するための露光装置と、該静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するための現像装置と、該トナー像を転写材に転写するための転写装置と、該転写材に転写したトナー像を定着するための定着装置と、を有する電子写真装置であって、
    該現像装置が、請求項1〜10のいずれか一項に記載の現像部材を有することを特徴とする電子写真装置。
  13. 請求項1に記載の現像部材の製造方法であって、
    (i)前記導電性基体上に前記導電性弾性層を形成する工程と、
    (ii)該導電性弾性層上の複数の前記絶縁性ドメインを形成する工程と、
    を有し、
    該工程(i)は、反応性官能基を有するカチオンとアニオンとからなるイオン導電剤、及び、該反応性官能基と反応可能な官能基を有する化合物を含む、該導電性弾性層の形成用の材料を該導電性基体上に供給し硬化させて、該導電性弾性層を形成する工程を含み、
    該カチオンが、下記式(12)、(13)、(15)〜(17)から選択ばれる少なくとも一つの構造を有する、ことを特徴とする現像部材の製造方法:
    式(12)中、R105〜R107は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介してポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基である。R108は4〜6員環を構成する、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素鎖を表し、nは構成する環員数において結合可能なR109の数を表す。R109は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介してポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基である。ただし、R105〜R107、R109の少なくとも二つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して樹脂のポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基である。
    式(13)中、R110、R111は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介してポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基を表わし、R112は4〜6員環を構成する、酸素原子又は硫黄原子を含んでいてもよい炭素鎖を表し、nは構成する環員数において結合可能なR113の数を表す。R113は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介してポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基を表わす。ただし、R110、R111、R113の少なくとも一つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して樹脂のポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基である。
    式(15)、R119〜R122は各々独立に、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介してポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基を表わし、R119〜R122の少なくとも一つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して樹脂のポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基である。
    式(16)中、R123〜R125は各々独立、水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介してポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基を表わし、R123〜R125の少なくとも一つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して樹脂のポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基である。
    式(17)中、R126は水素原子、炭素数1から30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して前記樹脂と結合している部分を含む構造を表わし、R128は4〜6員環を構成する、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素鎖を表し、nは構成する環員数において結合可能なR127の数を表す。R127は水素原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、または、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介してポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基を表わす。ただし、R126、R127の少なくとも一つは、エーテル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる一つの結合を介して樹脂のポリマー鎖と結合を形成し得る反応性官能基を有する基である。
  14. 前記イオン導電剤が、前記反応性官能基を3つ以上有する請求項13に記載の現像部材の製造方法。
  15. 前記反応性官能基が、水酸基またはエポキシ基である請求項13または14に記載の現像部材の製造方法。
  16. 前記化合物が、イソシアネート基、カルボキシル基およびエポキシ基から選ばれる少なくとも1つの基を有する請求項13〜15のいずれか一項に記載の現像部材の製造方法。
  17. 前記絶縁性ドメインを形成する工程は、前記導電性弾性層の材料に絶縁性粒子を添加し、該導電性弾性層の材料を硬化させて形成した導電性弾性層の表面を研磨して、絶縁性粒子を露出させる工程を含む請求項13〜16のいずれか一項に記載の現像部材の製造方法。
  18. 前記絶縁性ドメインを形成する工程は、前記硬化した導電性弾性層の表面の複数の位置に絶縁性材料を供給して硬化させる工程を含む請求項13〜16のいずれか一項に記載の現像部材の製造方法。
  19. 前記絶縁性材料は、前記硬化した導電性弾性層の表面に複数の凹部を形成し、該複数の凹部に前記絶縁性材料を供給して硬化させる請求項18に記載の現像部材の製造方法。
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