JP6746179B1 - 複写防止用紙及びその製造方法 - Google Patents

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【課題】隠し模様である潜像の肉眼による視認を困難とし、高性能複写機であっても複写物に確実に隠し模様を現出させることによって原本と複写物との識別を容易にするとともに潜像の上に印刷される網点画像との干渉が起きないようにし、複写によって現出した潜像が明瞭に判別できるようにする。【解決手段】水平に対して25〜35度傾斜させた線幅が0.02〜0.06mmの傾斜潜像形成線1が用紙全面に設けてあり、この傾斜潜像形成線1に小幅の白の万線を交差させて傾斜潜像形成線1を点線とし、潜像パターン部2において傾斜潜像形成線1が4分割されて網点面積が5%以下としてある複写偽造防止用紙である。傾斜潜像形成線1は、藤色、藍色、紅色、若草色のいずれかとするのが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、高性能なカラー複写機などによる偽造を防止する用紙及びその用紙の製造方法に関する。
より詳しくは、アミ点面積5%以下の限りなく淡い印刷仕上りにより、その上に印刷する画線に影響を与えないコピーガード用紙である。
カラー複写機の性能の向上は目覚ましいものがあり、複写物であることを見分けることが困難になってきていることから、複写物であることが直ぐに判別できるようにした偽造防止手段が施された用紙が種々提案されている。偽造防止策として知られているものとして、透かし模様、蛍光インキ、及びホログラム等が用いられているが、これらの方法による偽造防止はコストがかかるので金銭的価値を有する有価証券や公的証明書に用いられるのが一般的である。
潜像による偽造防止パターンを形成する手法は、特定のパターンを作成して用紙に印刷するものであるので、透かし模様を用紙に形成する方法やホログラムを貼り付ける等の方法に較べてコストが低いというメリットがある。
VHスプリット万線方式で潜像が形成してある印刷物をカラー複写機で複写すると、背景となる非潜像パターン部が、実物(被複写物)の刷色(濁色系)とは異なる黒(墨)色で複写され、文字等の隠し模様である潜像パターン部は、実物の刷色に近い色で再現されるようにすることにより、印刷内容とは無関係な特定の模様が浮かびあがるようにしたものであり、カラーコピーされた複写物が原本ではないことが判別可能となる。
特許第4380107号公報 特許第4701730号公報
肉眼では文字や模様であると認識されない隠し文字、例えば「COPY」や「偽物」、または、隠し模様の潜像が、複写機でコピーした複写物には出現して認識可能となって原本でないことが判別できるようにして偽造を防止する偽造防止パターンは、一例を挙げると、隠し模様の潜像と背景となる地紋とが異なった網点で構成されており、これを複写機でコピーすると複写物では網点の大小の差が濃度差となり、隠し模様が出現するようにしてある。
網点の大小の差による隠し模様の潜像と背景とで構成される従来の偽造防止用紙では、目が慣れてくると潜像が視認しやすくなり、偽造防止手段が施されている用紙であることが見破られてしまう。
隠し模様の潜像の部分は、ある程度の大きさの面積を必要とするが、潜像パターン部の面積を大きくすると更に肉眼での視認が容易となってコピー防止手段が施されている用紙であることが容易に認知されてしまう。また、隠し模様の潜像の上に別色の網点で構成される画像を加刷すると、潜像と網点が干渉してモアレが発生し、十分な印刷表現ができない。また、コピーによって現出した隠し模様、特に文字の判別が困難になるという問題がある。
本発明は、肉眼による隠し模様の潜像の視認が困難であり、かつ、高性能複写方式の複写機であっても複写物に確実に隠し模様等の潜像を現出させることによって原本(オリジナル)と複写物との識別を容易にすると共に、潜像の上に印刷される網点画像との干渉が起きないようにし、コピーによって潜像が明瞭に判別できるように現出させることを課題とするものである。
文字またはパターンからなる潜像を形成した偽造防止用紙であって、用紙全面の前記文字またはパターン部とそれ以外の部分のうち一方には水平に対して25〜35度傾斜させた線幅0.02〜0.06mmの点線からなる傾斜潜像形成線が設けてあり、他方の部分には前記点線を幅方向に四分割した分割潜像形成線が設けてあるものであり、用紙全面の網点面積を5%以下としてある複写偽造防止用紙であり、傾斜潜像形成線である点線は、連続した傾斜潜像形成線に対して線幅0.16〜0.20mm、間隔0.34〜0.38mmの白の万線を交差させることによって点線としたものである複写偽造防止用紙である。
更に、紙面の全面に縦横の線からなる方眼が形成されている複写偽造防止用紙である。
傾斜潜像形成線は、藤色、藍色、紅色、若草色のいずれかであるコピー偽造防止用紙である。印刷色は、感色性の高い墨色及び藤色が好ましい。
更に、複写偽造防止用紙の製造方法であって、水平に対して25〜35度傾斜させた線幅0.02〜0.06mmの傾斜潜像形成線を設け、この傾斜潜像形成線に白の万線を交差させることによって傾斜潜像形成線を点線とし、更に、文字、または、模様を表す潜像パターン部以外の部分、若しくは、潜像パターン部のいずれか一方の部分の傾斜潜像形成線のみを4分割して4本の分割潜像線とし、他方の部分は分割せずに傾斜潜像形成線のままとすることによって得られた版下を使用して印刷する複写偽造防止用紙の製造方法である。
本発明のコピー偽造防止用紙を高性能のカラー複写機等で複写すると、原本においては肉眼で識別できなかった潜像パターン(図柄や文字)が複写物に出現し、複写物は原本とは異なったものとなり、原本でないことを容易に判別することができる。
また、本発明の偽造防止用紙は、特殊なインキを必要とせず、従来の印刷技術によって印刷できることから、様々の印刷物に適用することができ、コピー偽造防止用紙を低コストで得ることができる。
従来の網点の大小の差による隠し模様の潜像パターンは見る者の目が慣れてくると潜像が視認し易くなるのに対して、本発明の隠し模様の潜像パターン部は、線群パターンであるために目視による視認が困難であり、コピー防止手段が施してある印刷物であることを容易に見破ることができない。
傾斜潜像形成部分の実線を4分割にして更に点線としているため、潜像の上に形成した網点画像との干渉が起きずモアレが生ずることがなく、また、5%以下の網点での印刷が可能であるので潜像パターンが紙面に印刷する印刷物(内容)に影響を及ぼすことがない。
実線を4分割して更に点線に加工して細点としており、従来のコピーガード印刷では、アミ点面積は10%〜20%程度のものであって、凝視すると潜像が視認できたが、本発明は一見印刷されていないように見え、限りなく淡いコピーガード印刷が可能である。
また、著しく細い点線で、紙面に均一な細点を印刷インク(油)でちりばめて仕上げているため、用紙面に文字・画像をボールペンで書く際、紙面から受ける抵抗が低減し、ボールペンのボールがスムースに回転して画線の途切れを防ぎ、すべるように、なめらかに描く事ができる。
(a)本発明の傾斜潜像形成線の模式的説明図。(b)潜像パターン部の拡大図。 複写物の潜像パターン部の出現状態説明図(墨色)。 複写物の潜像パターン部の出現状態説明図(紅色)。 複写物の潜像パターン部の出現状態説明図(草色)。 複写物の潜像パターン部の出現状態説明図。
以下、本発明のコピー偽造防止用紙を図面に基づいて説明する。
傾斜潜像形成線1と潜像パターン部2が視覚的にほぼ同一の濃度になるようにすることによって潜像パターン部2の存在が認識されないようにするものであり、図1(a)は、本発明のコピー偽造防止用紙の傾斜潜像形成線の模式的説明図であり、傾斜潜像形成線1が水平に対して30度傾斜させて用紙全体に形成してある。用紙全体に形成せず必要領域にだけ傾斜潜像形成線1を設けてもよいが、ノートやメモ用紙とする場合は全体に設ける。
図1(b)は、潜像パターン部2における傾斜潜像形成線が4つに分割されている状態の拡大図であり、傾斜潜像形成線1の線幅Dは、印刷色によって異なるものとするが、好ましい線幅Dは、藤色、藍色、紅色の場合は0.050mm、若草色は0.045mm、墨色0.055mmである。平行する傾斜潜像形成線1の中心間隔Wは0.48mm、そして、分割潜像線1aの間隔Lは0.12mmであり、肉眼では、潜像パターン部2の4本の分割潜像線1aが傾斜潜像形成線1の線幅Dと連続する線であるように見えるので、潜像2の存在に気付くことはない。
用紙全面に形成された傾斜潜像形成線1は、傾斜潜像形成線1に交差する線幅0.28mm、間隔0.18mmの白の万線3(図面では空白)を交差角60度で重ねることによって、傾斜潜像形成線1を点線としている。
更に、潜像パターン部2において、傾斜潜像形成線1は4分割されて分割潜像線1aとなり、4本の分割潜像線1aが1本の傾斜潜像形成線1に対応し、肉眼では連続した線として認識されるので潜像が形成されていることが認識されない。
図2〜図4に示す例は、用紙に本発明のコピー偽造防止用紙の具体例をカラー複写機で複写した複写物において潜像がどのように現出するかを示したものである。
潜像パターン部2のパターンは、カラー複写機でコピーすると、傾斜潜像形成線1が4分割された分割潜像線1aとした部分はコピーされず、色が抜けたものとなる。本実施例では「COPY」の文字が浮き出ることによって、コピーされた複製物であることを容易に認識することができる。
更に、紙面に縦横の線からなる傾斜潜像形成線1と同色の四角、または三角の方眼を形成した用紙を無線綴じのノートにすることによって、秘匿すべき事項のメモが外部に漏出するのを抑止することができる。
図5に示す例は、方眼を設けずに墨色の横罫線を設けたものであり、潜像パターン「COPY」の部分が傾斜潜像形成線1で構成されており、潜像パターン部以外の領域の傾斜潜像形成線1は4分割してある。
この用紙をカラー複写機で複写すると傾斜潜像形成線1の部分のパターン「COPY」が前述の実施例とは逆にコピーされて視認できるようになる。
1 傾斜潜像形成線
1a 分割潜像線
2 潜像パターン部
3 白の万線
W 傾斜潜像形成線の中心間隔
D 傾斜潜像形成線の線幅
白の万線の線幅
白の万線の間隔
分割潜像線の間隔

Claims (4)

  1. 文字またはパターンからなる潜像を形成した偽造防止用紙であって、用紙全面の前記文字またはパターン部とそれ以外の部分のうち一方には水平に対して25〜35度傾斜させた線幅0.02〜0.06mmの点線からなる傾斜潜像形成線が設けてあり、他方の部分には前記点線を幅方向に四分割した分割潜像形成線が設けてあるものであり、用紙全面の網点面積を5%以下としてあり、傾斜潜像形成線である点線は、連続した傾斜潜像形成線に対して線幅0.16〜0.20mm、間隔0.34〜0.38mmの白の万線を交差させることによって点線としたものである複写偽造防止用紙。
  2. 請求項1において、更に方眼線が用紙全面に形成してある複写偽造防止用紙。
  3. 請求項1〜2のいずれかにおいて、傾斜潜像形成線が、藤色または若草色の淡い色のいずれかであるコピー偽造防止用紙。
  4. 用紙の全面に対して設けられる傾斜潜像形成線として用紙の水平に対して25〜35度傾斜させた線幅0.02〜0.06mmの傾斜潜像形成線を設定し、この傾斜潜像形成線に白の万線を交差させることによって傾斜潜像形成線を点線とし、更に、文字、または模様を表す潜像パターン部以外の部分、若しくは、潜像パターン部のいずれか一方の部分の傾斜潜像形成線のみを4分割して4本の分割潜像線とし、他方の部分は分割せずに傾斜潜像形成線のままとすることによって版下を作成して印刷する複写偽造防止用紙の製造方法。
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