JP6745126B2 - 育苗培地用固結剤およびこれを用いた育苗培地 - Google Patents

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Description

本発明は、育苗培地用固結剤およびこれを用いた育苗培地に関する。
近年、我が国の農業を取り巻く環境は厳しさを増しており、農業従事者の高齢化、就農人口の減少といった国内の生産者が抱える労働力の問題や、海外産の安価な農産物との価格競争という外的要因による問題が指摘されている。このような諸問題に対し、農作業の機械化、省力化によって生産コストを押し下げ、国産の農産物の競争力を高めるための動きが進められている。例えば、ビニルハウスのように環境条件の制御が容易であり、しかも農産物の発芽、生長にとって有利な施設において、セルまたはポットと称される小さな区画に仕切られたプラスチックなどからなる容器を用いて苗を育て、十分な大きさまで均一に生長した苗を容器から抜き取り、移植機により圃場に植え付ける方法などが提案されている。
この方法では、プラスチックなどからなる容器またはこの容器を複数連結してなるトレイのセルまたはポットに培養土を自動的に土詰めし、その後に農産物の種子を播種して所定期間育苗するか、あるいはあらかじめ農産物の種子を混ぜ込んだ培養土を前記容器またはこれを複数連結してなるトレイのセルまたはポットに自動的に土詰めし、その後に所定期間育苗し、生長した苗を根鉢ごと容器から抜き取って、移植機により圃場に植え付けることが一般に行われている。
根鉢は、培養土の自己接着力と植物の根の絡みによりその形状を維持しているが、根鉢強度が低いと、わずかな衝撃で根鉢の形が崩れてしまい、移植機による苗の植え付けが困難であったり、根が傷み、その後の生育に問題があった。
そこで、例えば、培養土に、水分、非環境汚染型の親水性ウレタンプレポリマー成型材を加えたスポンジ状で崩れにくいセルトレイ入り播種用成型培地(商品名プラントプラグ、株式会社サカタのタネ製)などを用いることが提案されている。この播種用成型培地は、あらかじめメーカーに播種予定日を伝えて注文することにより、播種予定日の数日前に、作物の播種に適した水分含量(およそ80〜90%の水分含量)に調整された状態で作業者の手元に届く。このため、作業者は播種予定日にこれを開封して播種することにより、作物の育苗を簡便に行うことができるとされている。
ただ、この播種用成型培地は、前記のとおり水分含量が高いためカビが発生しやすく、悪天候などにより播種予定日に播種することができずに、播種予定日を超過して数日間保管するとカビが発生することがあり、この場合には播種用成型培地の全量を廃棄処分しなければならなかった。また、カビが発生しなかった場合であっても、播種日を数日超過してしまうと、水分が蒸発して播種用成型培地が硬化し、不可逆的に透水性も失われてしまうことがあり、やはりこの場合にも播種用成型培地の全量を廃棄処分しなければならなかった。このため、播種日が限定されてしまい、播種予定日を超過した場合の農業従事者の経済的な負担が大きいという問題があった。さらに、育苗培地には、より環境負荷の小さなポリマーの使用が望まれていた。
一方、従来より移植機による植え付けを可能にすることを目的に、培養土に固結剤を添加することにより根鉢強度を向上させる方法として、例えば、酢酸ビニル樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系合成樹脂の水性エマルジョンを用いて処理した育苗培地(特許文献1)、ポリ乳酸系など熱可塑性樹脂の不定形粉末を配合し加熱処理した育苗培地(特許文献2)が提案されている。
特開平11−75539号公報 特開2011−130748号公報 特開2001−231379号公報 特開2009−22179号公報
しかしながら、特許文献1では、ある程度の根鉢強度の向上は認められるものの、その効果は十分ではなく、根鉢強度をより向上させるためには水性エマルジョンを多量に使用する必要があった。また、培養土に水性エマルジョンを供給するためには、容器やトレイに充填した培養土を、水性エマルジョンの処理液に底面潅水する必要があった。このため、残存水分調整や固結に長時間を要することがあり、乾燥時間の短縮に改善の余地が残されていた。また、前記合成樹脂の水性エマルジョンの接着力が強過ぎるため容器やトレイからの苗の抜き取りの際に根傷みが生じるなどの問題が生じていた。
特許文献2では、培養土への分散性を良好にし、多点接着や面接着による強固な固結を得るために、ポリ乳酸樹脂を特定の不定形粉末にしなければならず、加熱処理する必要もあった。さらに、加熱処理するため、容器やトレイの変形が生じる虞もあった。
一方、出願人はこれまでに、植物育成地の覆土や緑化パレットの土壌飛散防止として、乳酸系樹脂の水系分散体を土壌表面にスプレーし被膜形成すること(特許文献3、4)を提案しているが、根鉢強度を向上させる育苗培地用固結剤として前記水系分散体を用いることは開示も示唆もしていない。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、生分解性が良好で環境汚染の心配がなく、培養土に添加混合することで加熱せずとも、培養土を充分に室温固結できるため、樹脂製の小容器やトレイの変形の虞のない育苗培地用固結剤を提供することを課題としている。また、本発明は、より強度の高い根鉢を形成させることができるとともに、根回りが少ない苗に対応でき、定植性も良好で根鉢部分の崩壊が生じ難い育苗用培地を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明の育苗培地用固結剤は、可塑剤を含有する乳酸系樹脂の水系分散体であり、固結温度が25℃以下であることを特徴とする。
本発明の育苗培地は、前記育苗培地用固結剤を培養土100質量部に対して固形分換算で0.01〜0.5質量部添加することを特徴とする。
本発明の育苗培地用固結剤は、生分解性が良好で環境汚染の心配がなく、培養土に添加混合することで加熱せずとも、培養土を充分に室温固結できるため、樹脂製の小容器やトレイの変形の虞がない。また、本発明の育苗培地用固結剤によれば、より強度の高い根鉢を形成させることができるとともに、根回りが少ない苗に対応でき、定植性も良好で根鉢部分の崩壊が生じ難い育苗用培地が得られる。
本発明において用いる乳酸系樹脂としては、例えば、ポリ乳酸や乳酸系共重合体、乳酸系樹脂と他の生分解性樹脂とを混合した乳酸系ポリマーアロイなどを単独または2種以上を併用した混合物が挙げられるが、特にポリ乳酸が好ましい。
ポリ乳酸としては、重量平均分子量(MW)が10,000〜500,000のものが好ましく用いられる。
乳酸系共重合体としては、乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体などが挙げられるが、特にポリ乳酸が好ましい。乳酸と共重合可能な他のヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシバレリン酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシヘプタン酸、2−ヒドロキシオクタン酸、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ−2−エチル酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチルバレリン酸、2−ヒドロキシ−2−エチルバレリン酸、2−ヒドロキシ−2−プロピルバレリン酸、2−ヒドロキシ−2−ブチルバレリン酸、2−ヒドロキシ−2−メチルカプロン酸、2−ヒドロキシ−2−エチルカプロン酸、2−ヒドロキシ−2−プロピルカプロン酸、2−ヒドロキシ−2−ブチルカプロン酸、2−ヒドロキシ−2−ペンチルカプロン酸、2−ヒドロキシ−2−メチルヘプタン酸、2−ヒドロキシ−2−エチルヘプタン酸、2−ヒドロキシ−2−プロピルヘプタン酸、2−ヒドロキシ−2−ブチルヘプタン酸、2−ヒドロキシ−2−メチルオクタン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、4−ヒドロキシ酪酸、5−ヒドロキシバレリン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、7−ヒドロキシヘプタン酸などが挙げられる。上記乳酸およびヒドロキシカルボン酸は、D体単独、L体単独、またはD/L体が共存するもののいずれであっても良い。乳酸と他のモノマーとの共重合体の場合、乳酸モノマーの割合が50質量%以上のものが好ましい。
本発明において、ポリ乳酸や、乳酸系共重合体と混合して用いられる他の生分解性樹脂としては、脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂、脂肪族・芳香族ポリエステル系生分解性樹脂、アセチルセルロース系生分解性樹脂、化学変性澱粉系生分解性樹脂、ポリアミノ酸系生分解性樹脂、ポリエステルポリカーボネート系生分解性樹脂などが挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。乳酸系ポリマーアロイにおける他の生分解性樹脂の割合は50質量%未満が好ましい。脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂としては、例えば、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートなどの二塩基酸ポリエステル、ポリカプロラクトン、カプロラクトンと他のヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシブチレートと他のヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ酪酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体などが挙げられ、これらは単独または2種以上を併用することができる。脂肪族・芳香族ポリエステル系生分解性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート・アジペート、ポリエチレンテレフタレート・サクシネートなどが挙げられ、これらは単独または2種以上を併用することができる。
またアセチルセルロース系生分解性樹脂としては、アセチルセルロース、アセチルブチルセルロース、アセチルプロピオニルセルロースなどが挙げられ、アロイ化が、樹脂の強度を向上させる目的である場合にはアセチルセルロースの使用が好ましい。
化学変性澱粉系生分解性樹脂としては、例えば高置換度エステル化澱粉、エステル化ビニルエステルグラフト重合澱粉、エステル化ポリエステルグラフト重合澱粉などの澱粉エステル、エーテル化ビニルエステルグラフト重合澱粉、エーテル化ポリエステルグラフト重合澱粉などの澱粉エーテル、ポリエステルグラフト重合澱粉などが挙げられるが、これらの中でもエステル化ビニルエステルグラフト澱粉、エステル化ポリエステルグラフト重合澱粉が好ましい。これらエステル化ビニルエステルグラフト澱粉、エステル化ポリエステルグラフト重合澱粉に用いられるエステル化試薬としては、アシル基の炭素数2〜18のビニルエステル、または酸無水物、酸塩化物が好ましく、グラフト試薬としては、アシル基の炭素数2〜18のビニルエステル、環員数2〜12のラクトンが好ましい。これら化学変性澱粉系生分解性樹脂は単独または2種以上を併用することができる。
ポリアミノ酸系生分解性樹脂としては、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリジンなどが挙げられる。またポリエステルポリカーボネート系生分解性樹脂としては、1,3−ブタンジオールとコハク酸の縮重合物などの脂肪族ポリエステルとトリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネートなどの炭酸エステルとの共重合体や環状のエチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、2,2−ジメチルトリメチレンカーボネートとε−カプロラクトン、ピバロラクトンとの開環共重合体などが挙げられる。ポリエステルポリカーボネート系生分解性樹脂は、樹脂物性の改善や分散特性の向上のために、他の生分解性樹脂構成モノマーをグラフト重合などの方法により共重合したものでも良い。ポリアミノ酸系生分解性樹脂やポリエステルポリカーボネート系生分解性樹脂は単独または2種以上を併用することができる。
本発明において乳酸系樹脂と混合して用いられる前記他の生分解性樹脂は、同一種類の生分解性樹脂から選択した単独または2種以上を併用することができるのみならず、異なる種類の生分解性樹脂から選択した2種以上の樹脂を適宜混合して用いることもできる。
このような乳酸系樹脂を含有していることから、本発明の育苗培地用固結剤は、生分解性が高く、環境への影響を小さく押さえることが可能である。
本発明の育苗培地用固結剤では、乳酸系樹脂に可塑剤を添加することにより、乳酸系樹脂水系分散体の固結温度が25℃以下となり、培養土を充分に室温固結できるため、従来品よりも根鉢強度の高い育苗培地を簡便に得ることができる。
本発明の育苗培地用固結剤では、可塑剤が、アジピン酸誘導体系可塑剤、クエン酸誘導体系可塑剤、エーテルエステル誘導体系可塑剤、グリセリン誘導体系可塑剤、ポリヒドロキシカルボン酸誘導体系可塑剤、フタル酸誘導体系可塑剤からなる群のうちの少なくとも1種であることが好ましく考慮される。
アジピン酸誘導体系可塑剤としては、例えば、メチルグリコールベンジルアジペート、エチルグリコールベンジルアジペート、プロピルグリコールベンジルアジペート、ブチルグリコールベンジルアジペートなどのアルキル(炭素数1〜8)グリコールベンジルアジペート、メチルジグリコールベンジルアジペート、エチルジグリコールベンジルアジペート、プロピルジグリコールベンジルアジペート、ブチルジグリコールベンジルアジペートなどのアルキル(炭素数1〜8)ジグリコールベンジルアジペート、ジプロピルアジペート、ジイソプロピルアジペート、ジブチルアジペート、ジヘキシルアジペート、ジオクチルアジペート、ジイソオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペートなどのジアルキル(炭素数1〜10)アジペート、ビス(メチルジグリコール)アジペート、ビス(エチルジグリコール)アジペート、ビス(ブチルジグリコール)アジペートなどのビス(アルキル(炭素数1〜8)ジグリコール)アジペート、メチルジグリコールブチルジグリコールアジペート、メチルジグリコールエチルジグリコールアジペート、エチルジグリコールブチルジグリコールアジペートなどが挙げられる。この中でも、乳酸系樹脂、特にポリ乳酸との相溶性の観点から、メチルジグリコールベンジルアジペート、ブチルジグリコールベンジルアジペート、ジイソプロピルアジベートを好適に用いることができる。
クエン酸誘導体系可塑剤としては、例えば、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチルなどが挙げられる。
エーテルエステル誘導体系可塑剤としては、例えば、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジプロピオネート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルヘプタネート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルオクタネート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルヘプタネートなどが挙げられる。
グリセリン誘導体系可塑剤としては、例えば、グリセリントリアセテート、グリセリントリプロピオネート、グリセリントリブチレート、グリセリンジアセトモノアルキレート(炭素数8〜12)などが挙げられる。
ポリヒドロキシカルボン酸誘導体系可塑剤としては、例えば、ポリカプロラクトン、ポリプロピオラクトンなどが挙げられる。
フタル酸誘導体系可塑剤としては、例えば、エチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレートなどが挙げられる。
これらの可塑剤は、単独または2種以上を併用することができる。
これらの可塑剤の中でも、不揮発性で安定性を有し、環境問題などの観点から無毒性で生分解性を有するものが好ましく、さらに固結温度の低下や乳酸系樹脂との相溶性、根鉢強度を有するものが好ましく、具体的には、メチルジグリコールベンジルアジペート、ブチルジグリコールベンジルアジペートなどのアジピン酸誘導体系可塑剤を好適に用いることができる。
本発明において乳酸系樹脂の水系分散体の固結温度は、井元製作所製の造膜温度測定器IMC−1538などにより測定した値である。
乳酸系樹脂に対する可塑剤の添加量は、乳酸系樹脂、可塑剤の種類によっても異なるが、通常、乳酸系樹脂100質量部あたり、5〜40質量部であることが好ましい。
可塑剤の添加量が5質量部未満となると可塑化効果が発揮できなくなる虞があり、40質量部を超えると可塑剤のブリードアウトが発生する虞がある。固結温度は、乳酸系樹脂、可塑剤の種類、添加量、水系分散体中に分散している乳酸系樹脂粒子の粒径によっても異なるが、例えば、可塑剤未添加の場合の固結温度が120〜160℃程度であるポリ乳酸樹脂は、可塑剤を10質量部の添加で固結温度は80〜90℃程度、15〜30質量部の添加で固結温度は25℃以下と、可塑剤の添加量の増加により低温化する傾向がある。このような傾向を基に乳酸系樹脂の種類および粒径、可塑剤の種類および添加量に応じた固結温度を把握することにより、固結温度が25℃以下の乳酸系樹脂の水系分散体を得ることができる。
本発明の育苗培地用固結剤である可塑剤を含有する乳酸系樹脂水系分散体は、育苗培地の根鉢強度などの性能を損なわない範囲で、カチオン性高分子化合物、アニオン性高分子化合物、ポリビニルアルコールなどの分散剤、更に粘度調整剤、農業用薬剤を含有していても良い。粘度調整剤としては、例えば、セルロース誘導体、澱粉誘導体、植物ガムやカゼインなどの動物性高分子などが挙げられ、農業用薬剤としては、例えば、除草剤、動物忌避剤、成長調整剤、土壌改良剤、有用微生物、有用菌などが挙げられる。これらは単独または2種以上を併用することができる。上記有用微生物、有用菌としては、例えば、土壌への窒素固定化作用を持つ、根粒菌、放線菌、糸状菌、トリコデルマ菌、光合成細菌や、珪藻、ラン藻などの藻類、あるいは、植物の根と共生関係にあって植物に養分を供給するVA菌根菌と呼ばれる菌根微生物などが挙げられる。これらは目的に応じた組み合わせ、配合量を適宜選択して用いることができる。
本発明の育苗培地用固結剤である可塑剤を含有する乳酸系樹脂の水系分散体は、例えば攪拌装置を有する密閉槽内に、乳酸系樹脂、可塑剤、必要に応じてアニオン性高分子化合物、カチオン性高分子化合物、ポリビニルアルコールなどの分散剤と、水を同時に仕込み、加熱攪拌しながら加圧して可塑剤を含有する乳酸系樹脂を分散させる加圧分散法により得ることができる。また、加圧下で保持されている熱水中に、乳酸系樹脂、可塑剤、アニオン性高分子化合物、カチオン性高分子化合物、ポリビニルアルコールなどの分散剤を含む溶融物を添加攪拌して可塑剤を含有する乳酸系樹脂を分散させる直接分散法や、乳酸系樹脂を加熱溶融させ、これに可塑剤を添加攪拌し、さらに必要に応じてアニオン性高分子化合物、カチオン性高分子化合物、ポリビニルアルコールなどの分散剤を含む水溶液を添加攪拌して可塑剤を含有する乳酸系樹脂を水に分散させる転相法により得ることもできる。さらに、乳酸系樹脂、可塑剤、有機溶媒、水、必要に応じてアニオン性高分子化合物、カチオン性高分子化合物、ポリビニルアルコールなどの分散剤を添加攪拌して分散させた後、有機溶媒を除去する方法や、乳酸系樹脂、可塑剤の有機溶媒溶液中に、必要に応じてアニオン性高分子化合物、カチオン性高分子化合物、ポリビニルアルコールなどの分散剤を含む水溶液を添加攪拌して分散させた後、有機溶媒を除去する方法により得ることもできる。また、乳酸系樹脂、可塑剤の有機溶媒溶液を、アニオン性高分子化合物、カチオン性高分子化合物、ポリビニルアルコールなどの分散剤を含む水溶液中に添加攪拌して分散させた後、有機溶媒を除去する方法などにより得ることもできる。
上記以外の方法でも可塑剤を含有する乳酸系樹脂の水系分散体を得ることができる方法であれば適宜採用することができるが、乳酸系樹脂の幅広い種類に適応が可能な点や加水分解の進行を考慮すると、例えば、攪拌装置を有する密閉槽に、乳酸系樹脂、可塑剤、有機溶媒、水、必要に応じてアニオン性高分子化合物、カチオン性高分子化合物、ポリビニルアルコールなどの分散剤を仕込み、攪拌しながら昇温し、固体原料を溶解、分散させた後、冷却し、その後、減圧下に有機溶媒を除去することにより可塑剤を含有する乳酸系樹脂の水系分散体を得る方法が好ましい。また、攪拌装置を有する密閉槽に、乳酸系樹脂、可塑剤、有機溶媒を仕込み攪拌昇温し溶解した可塑剤を含有する乳酸系樹脂溶解溶液に、別の攪拌槽に水、必要に応じてアニオン性高分子化合物、カチオン性高分子化合物、ポリビニルアルコールなどの分散剤を仕込み、溶解した水溶液を前記密閉槽に添加し、攪拌、樹脂溶解温度以上に昇温しながら分散させた後、冷却し、その後、減圧下に有機溶媒を除去することにより可塑剤を含有する乳酸系樹脂の水系分散体を得る方法も好ましい。さらに、水系分散体を調製するに際し、必要により高圧ホモゲナイザーなどの分散装置を併用しても良い。
本発明の育苗培地用固結剤である可塑剤を含有する乳酸系樹脂水系分散体は、分散している乳酸系樹脂粒子の平均粒径が0.1〜10μmであることが好ましい。乳酸系樹脂粒子の平均粒径は、例えばレーザー回折型粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
本発明の固結前育苗培地は、前記育苗培地固結剤を、あらかじめ、基材である培養土100質量部に対して固形分換算で0.01〜0.5質量部添加した水分含量60%未満のものであることを特徴としている。
固結前育苗培地では、育苗培地用固結剤である可塑剤を含有する乳酸系樹脂水系分散体を、そのままあるいは水でさらに適宜希釈して用いてもよく、これを培養土に添加混合することにより水分含量60%未満の固結前育苗培地が得られ、そのまま使用したり袋詰めして保管することができる。
本発明の固結前育苗培地は、上記のとおり袋詰めされた粒状の状態で流通されるので、取り扱いが容易であり、様々な形状、セル数の育苗用容器に充填可能である。このため、農業従事者がすでに保有している育苗用容器を使用することが可能であり、農産物生産の低コスト化が可能である。
育苗培地用固結剤の添加量は、固形分換算(乳酸系樹脂+可塑剤)で、培養土100質量部に対して0.01〜0.5質量部であることが好ましく、より好ましくは0.02〜0.5質量部である。
固結前育苗培地の水分含量は60%未満であり、従来の播種用成型培地と比較して水分含量が低いため、育苗培地用固結剤である可塑剤を含有する乳酸系樹脂水系分散体を培養土に添加混合して袋詰めしたものを、密封状態で室温、3ヶ月程度保管していても、カビが発生することはない。このため、悪天候などにより播種予定日を超過した場合であっても、柔軟に播種作業を行うことができ、固結前育苗培地を廃棄する必要もなく、農業従事者にとって経済的な負担を大きく軽減させることができる。また、一年間に複数回作付可能な農産物については、一度に購入した固結前育苗培地を数ヶ月間にわたり複数回に分けて使用することも可能であり、さらなる低コスト化が可能である。
本発明で使用する培養土は、通常農業用や園芸用の培養土として用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、植物性の繊維状物質、多孔性構造の無機物質、非多孔性構造の無機物質、肥料、土などが挙げられる。これらの培養土成分は単独または2種以上を併用することができる。
本発明で使用する植物性の繊維状物質としては、ピートモス、ヤシガラ、モミガラ、オガクズ、竹粉、バガス、泥炭、草炭などが挙げられる。これらの植物性の繊維状物質は単独または2種以上を併用することができる。
本発明で使用する多孔性構造の無機物質としては、バーミキュライト、アタパルジャイト、ケイソウ土、セピオライト、ゼオライト、パーライトなどが挙げられる。これらの多孔性構造の無機物質は単独または2種以上を併用することができる。
本発明で使用する非多孔性構造の無機物質としては、珪砂、海砂、アルミナサンド、タルク、炭酸カルシウムなどが挙げられる。これらの非多孔性構造の無機物質は単独または2種以上を併用することができる。
本発明で使用する肥料としては、窒素肥料、リン酸肥料、カリ肥料、水酸化カルシウムなどのカルシウム化合物、水酸化マグネシウムなどのマグネシウム化合物、酸化亜鉛などの亜鉛化合物などが挙げられる。これらの肥料は単独または2種以上を併用することができる。
本発明で使用する土としては、黒ボク土、赤玉土、鹿沼土、日向土、田土などの天然土壌が挙げられる。これらの土は単独または2種以上併用することができる。
本発明で使用する培養土は、育苗培地の根鉢強度などの性能を損なわない範囲で、更に農業用薬剤を含有していても良い。農業用薬剤としては、例えば、除草剤、動物忌避剤、成長調整剤、土壌改良剤、有用微生物、有用菌などが挙げられる。これらは単独または2種以上を併用することができる。上記有用微生物、有用菌としては、例えば、土壌への窒素固定化作用を持つ、根粒菌、放線菌、糸状菌、トリコデルマ菌、光合成細菌や、珪藻、ラン藻などの藻類、あるいは、植物の根と共生関係にあって植物に養分を供給するVA菌根菌と呼ばれる菌根微生物などが挙げられる。これらは目的に応じた組み合わせ、配合量を適宜選択して用いることができる。
本発明の育苗培地の製造方法は、前記のとおりの固結前育苗培地を、育苗用容器に充填し、展圧した後に常温で風乾して、固結する工程を含むことを特徴としている。
本発明の固結前育苗培地を充填するための育苗用容器としては、従来から用いられているのと同様のセル、ポット、トレイ、苗箱などが使用でき、育苗用容器の種類、形状、構造、サイズなどは各々の状況に応じて適宜選択可能であるが、本発明の固結前育苗培地は、容積が1セル当たりの容積が10cm以下の小容器に充填して用いた場合に、特に顕著な効果を発揮する。
固結前育苗培地は、育苗用容器に充填した後、展圧、すなわち上方からプレスして加圧することにより、所望の根鉢強度を備えた育苗培地となる。展圧時の圧力としては、例えば、0.1〜10.0MPaの範囲が好ましく例示される。展圧時の圧力が上記の範囲内であれば、従来品よりも根鉢強度が高くなり、育苗施設からの運搬時や、移植機による抜き取り時および圃場への植え付け時にも根鉢に割れが生じたり、崩れるのを抑制することができる。
このような展圧時の圧力は、育苗する農産物により好適な値が異なる。例えば、一般的な野菜については、0.98MPa程度、タマネギについては4.9MPa程度であることが好ましい。
固結前育苗培地の展圧には、例えば、市販の播種機などを使用することができる。
本発明の固結前育苗培地は、常温で風乾することにより固結することができる。風乾に要する時間としては、例えば、常温で1〜15日の範囲が例示される。具体的には、ビニルハウスの中で自然乾燥させた場合3日程度、気温25〜28℃、湿度0%近傍に制御された発芽室内では1日程度、住宅や納屋などの農業従事者の居住環境に近い屋内では1週間程度風乾させることが好ましい。なお、風乾後の育苗培地の水分含量については、育苗する農産物の種類に応じて適宜調節することができる。
本発明の育苗培地の製造方法では、このようにして固結前育苗培地を加熱することなく、育苗用容器に充填して、展圧および常温で風乾するだけで育苗培地を簡便に製造することができるため、加熱固結のための特殊な設備を必要とせず、しかも育苗用容器の変形や破損が生じ難いため、農産物生産の低コスト化が可能である。
また、従来の播種用成型培地では、水分含量が50%を下回ると透水性が失われてしまうが、本発明の育苗培地では、水分含量が30%程度になるまで風乾しても、透水性が損なわれることはない。
本発明の育苗培地の使用方法としては、例えば、市販のセルトレイに播種機を用いて、固結前育苗培地を充填し展圧した後、風乾により固結させ、植物、野菜などの種子を1セルに対して1粒ずつ播種機を用いて播種し、固結前育苗培地で覆土した後、潅水を行うなど通常の作業を行い発芽させ育苗をすることができる。また、固結前育苗培地に、あらかじめ植物、野菜などの種子を混合したものを、市販のセルトレイに播種機を用いて充填し、展圧した後、風乾により固結させて、潅水を行うなど通常の作業を行い発芽させ育苗をすることもできる。また、種子以外にも挿し木して発根させ育苗をすることもできる。
本発明の固結前育苗培地または固結後の育苗培地に播種するのに適する植物としては、切り花用途には、キンギョソウ、ブプレウルム、ユーストマ、ストック、アネモネ、カンパニュラ、ダリア、スカピオサ、デルフィニウム、ラークスパー、ニゲラ、ハナシノブ、ブルーレースフラワー、マトリカリア、シンテッポウユリ、リモニウムシニュアータ、オキシペタルム、クラスペディア、ユウギリソウなどが挙げられる。鉢物、苗物、花壇用途には、アゲラタム、イソトマ、インパチェンス、エキザカム、ガーベラ、ガザニア、カルセオラリア、クリサンセマム、コリウス、サルビア、シザンサス、シネラリア、ゼラニウム、トレニア、パンジー、ビンカ、プリムラ、ペチュニア、ベコニア、マリーゴールド、ラナンキュラス、カーネーションなどが挙げられる。野菜セル苗用途には、セルリー、ビート、ネギ、タマネギ、ニラ、キャベツ、コールラピ、メキャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、ハクサイ、ツケナ、ゴマ、フダンソウ、シュンギグ、ミツバ、シソ、ホウレンソウ、レタス、アスパラガス、パセリ、エンダイブ、リーキなどが挙げられる。果菜セル苗用途には、メロン、ピーマン、キュウリ、スイカ、カボチャ、トウガン、キンシウリ、トマト、ナス、オクラ、スイートコーン、インゲン、エンドウ、エダマメ、ソラマメなどが挙げられる。また、固結前育苗培地または固結後の育苗培地に挿し木するのに適する植物としては、キク、カーネーション、宿根カスミソウなどの挿し木で繁殖できる植物が挙げられる。
育苗培地の基材としては、育苗対象の植物種に応じて、前記のとおり培養土として使用可能な材料を適宜組み合わせて使用することができる。このような育苗培地を用いることにより、根回りが少ない苗にも対応でき、定植性も良好で根鉢部分の崩壊が生じ難い根鉢を形成させることが可能となる。
以下、実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<育苗培地用固結剤の調製>
育苗培地用固結剤は、攪拌装置を有する密閉槽に、乳酸系樹脂として、ポリスチレン換算Mw19万、Tg55〜60℃、L乳酸/D乳酸=89/11の市販の非晶性ポリ乳酸樹脂(以下、乳酸系樹脂Aと呼称する)100質量部、可塑剤として、アルキルジグリコールベンジルアジペート(炭素数1および4混合物、以下、可塑剤Aと呼称する)30質量部、適量の分散剤(アニオン系高分子化合物(アクリルアミド−アクリル酸ナトリウム共重合体)、カチオン性高分子化合物(アクリルアミド−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体)、ポリビニルアルコール)を含有する水175質量部、酢酸エチル265質量部を仕込み、攪拌しながら120℃に昇温し、固体原料を溶解、分散させた後、冷却し、その後、減圧下に酢酸エチルを除去することにより、可塑剤を含有する乳酸系樹脂水系分散体を得た。
得られた育苗培地用固結剤について、平均粒径、固結温度を測定した。
<平均粒径>
育苗培地用固結剤である可塑剤を含有する乳酸系樹脂水系分散体に分散している乳酸系樹脂粒子の平均粒径は、レーザー回折型粒度分布測定装置を用いて測定した。結果を表1に示す。
<固結温度>
育苗培地用固結剤の固結温度は、井元製作所製の造膜温度測定器IMC−1538により測定した値を固結温度とした。結果を表1に示す。
<育苗培地の製造>
育苗培地の製造は、培養土として、ピートモス70質量部、パーライト5質量部、バーミキュライト10質量部、ゼオライト10質量部、ベントナイト5質量部をミキサー(光洋機械産業株式会社製)に投入して撹拌混合し、次いで培養土100質量部に対して、表1に示す育苗培地用固結剤が同表に示す添加量(乳酸系樹脂+可塑剤)を含むようにさらに適宜水希釈(例えば、実施例1では50倍)した水系分散体5質量部を添加して、10分間撹拌混合した後、袋詰めした。
<播種作業>
448穴のセルトレイ(ポット448育苗箱:みのる産業株式会社製)に播種機(OSE−110:みのる産業株式会社製)を用いて、袋詰めされた固結前育苗培地を一定量充填し、展圧した後、常温で1週間風乾して固結させて育苗培地を得た。
得られた育苗培地に、タマネギの種子を1穴に対して1粒ずつ再度播種機を用いて播種し、一定量の固結前育苗培地で覆土した後、一定量の潅水を行い、播種作業を完了した。
(実施例2)
実施例1の固結前育苗培地を製造後、袋詰めして25℃で3ヶ月間保管後用いたこと以外は実施例1と同様にして育苗培地を得て、播種作業を完了した。
(実施例3)
培養土100質量部に対する育苗培地用固結剤の添加量(乳酸系樹脂+可塑剤)を0.01質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして育苗培地を得て、播種作業を完了した。
(実施例4)
培養土100質量部に対する育苗培地用固結剤の添加量(乳酸系樹脂+可塑剤)を0.5質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして育苗培地を得て、播種作業を完了した。
(実施例5)
可塑剤として、可塑剤Aの代わりに、メチルジグリコールベンジルアジペート(以下、可塑剤Bと呼称する)30質量部を用い、培養土100質量部に対する育苗培地用固結剤の添加量(乳酸系樹脂+可塑剤)を0.04質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして育苗培地を得て、播種作業を完了した。
(実施例6)
可塑剤として、可塑剤Aの代わりに、ジイソプロピルアジペート(以下、可塑剤Cと呼称する)30質量部を用い、培養土100質量部に対する育苗培地用固結剤の添加量(乳酸系樹脂+可塑剤)を0.04質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして育苗培地を得て、播種作業を完了した。
(実施例7)
可塑剤として、可塑剤Aの代わりに、グリセリンジアセトモノアルキレート(炭素数8および10混合物、以下、可塑剤Dと呼称する)30質量部を用い、培養土100質量部に対する育苗培地用固結剤の添加量(乳酸系樹脂+可塑剤)を0.04質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして育苗培地を得て、播種作業を完了した。
(実施例8)
乳酸系樹脂として、ポリ乳酸系樹脂Aの代わりに、ポリスチレン換算Mw15万、Tg50〜55℃の市販の結晶性ポリ乳酸樹脂(以下、ポリ乳酸系樹脂Bと呼称する)100質量部を用い、可塑剤Aの配合量を25質量部に変更し、培養土100質量部に対する育苗培地用固結剤の添加量(乳酸系樹脂+可塑剤)を0.08質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして育苗培地を得て、播種作業を完了した。
(実施例9)
乳酸系樹脂として、ポリ乳酸系樹脂Aの代わりに、ポリスチレン換算Mw6万、Tg48〜53℃の市販の非晶性ポリ乳酸樹脂(以下、ポリ乳酸系樹脂Cと呼称する)100質量部を用い、可塑剤Aの代わりに可塑剤Bを15質量部に用いるように変更し、培養土100質量部に対する育苗培地用固結剤の添加量(乳酸系樹脂+可塑剤)を0.3質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして育苗培地を得て、播種作業を完了した。
(比較例)
培養土として、ピートモス70質量部、パーライト5質量部、バーミキュライト10質量部、ゼオライト10質量部、ベントナイト5質量部をミキサー(光洋機械産業株式会社製)に投入して撹拌混合したものを用い、これに育苗培地用固結剤を添加せずにセルトレイに充填して、展圧、風乾して育苗培地を得て、播種作業を完了した。
実施例および比較例で得られた育苗培地について、発芽率、発根状況、子葉の展開状況を指標としてタマネギの生育性を評価した。また、タマネギの根鉢強度およびタマネギの定植性を以下の基準で評価した。
<生育性>
上記の実施例および比較例で得られた播種後の育苗培地について、播種後は1日1回の潅水を一定量行い育苗し、7日後に発芽率、発根状況、子葉の展開状況について、以下の基準で評価した。
発芽率の評価基準
◎:発芽率が90%以上である。
○:発芽率が80%以上90%未満である。
△:発芽率が75%以上80%未満である。
×:発芽率が75%未満である。
発根状況の評価基準
◎:発根状況が極めて良好であり、セルトレイから抜き取った育苗培地の外周面に
おいてタマネギの主根を目視で確認することができる。
○:発根状況が良好であり、セルトレイから抜き取った育苗培地の外周面において
タマネギの主根を目視で確認することができる。
△:発根状況はやや不良であり、セルトレイから抜き取った育苗培地の外周面に
おいてタマネギの主根を目視で確認することはできない。
×:発根状況は不良であり、セルトレイから抜き取った育苗培地の外周面において
タマネギの主根を目視で確認することはできない。
子葉の展開状況の評価基準
◎:子葉の展開状況が90%以上揃っている。
○:子葉の展開状況が80%以上90%未満の揃いである。
△:子葉の展開状況が75%以上80%未満の揃いである。
×:子葉の展開状況が75%未満の揃いである。
<タマネギの根鉢強度>
上記育苗から60日後、タマネギの苗をセルトレイから抜取り、2mの高さから落下させ、タマネギの根鉢強度について、以下の基準で評価した。
タマネギの根鉢強度の評価基準
◎:根鉢の割れが全く生じない。
○:根鉢から1〜2個の欠片が生じる。
△:根鉢から3〜4個の欠片が生じる。
×:根鉢から5個以上の欠片が生じる。
<タマネギの定植性>
上記育苗から60日後、セルトレイからの移植機(玉ネギ移植機歩行4条植:みのる産業株式会社製)によるタマネギの定植性(セルトレイからの抜取り性や根痛みなどの総合評価)について、以下の基準で評価した。
タマネギの定植性の評価基準
◎:セルトレイからの抜取り性が良く、根傷みが全くなく、定植性が優良である。
○:セルトレイからの抜取り性が良く、根傷みがほとんどなく、定植性が良好である。
△:セルトレイからの抜取り性がやや悪く、根傷みがわずかにあり、定植性は
やや不良である。
×:セルトレイからの抜取り性が悪く、根傷みがあり、定植性は不良である。
以上の評価の結果を表1に示す。
Figure 0006745126

Claims (5)

  1. 育苗培地の基材である培養土に添加混合して培養土を固結させ、根鉢強度を向上させるための育苗培地用固結剤であって、
    可塑剤を含有する乳酸系樹脂の水系分散体であり、乳酸系樹脂100質量部に対する可塑剤の含有量が15〜30質量部であり、固結温度が25℃以下である育苗培地用固結剤。
  2. 前記可塑剤が、アジピン酸誘導体系可塑剤、クエン酸誘導体系可塑剤、エーテルエステル誘導体系可塑剤、グリセリン誘導体系可塑剤、ポリヒドロキシカルボン酸誘導体系可塑剤、フタル酸誘導体系可塑剤からなる群のうちの少なくとも1種である請求項1に記載の育苗培地用固結剤。
  3. 請求項1または2に記載の育苗培地用固結剤を、あらかじめ、育苗培地の基材である培養土100質量部に対して固形分換算で0.01〜0.5質量部添加した水分含量60%未満の固結前育苗培地。
  4. 請求項1に記載の育苗培地用固結剤を、あらかじめ、育苗培地の基材である培養土100質量部に対して固形分換算で0.01〜0.5質量部添加混合して、水分含量60%未満の固結前育苗培地を得る工程と、
    得られた固結前育苗培地を育苗用容器に充填し、展圧した後に常温で風乾して、固結する工程とを
    含む育苗培地の製造方法。
  5. 前記可塑剤が、アジピン酸誘導体系可塑剤、クエン酸誘導体系可塑剤、エーテルエステル誘導体系可塑剤、グリセリン誘導体系可塑剤、ポリヒドロキシカルボン酸誘導体系可塑剤、フタル酸誘導体系可塑剤からなる群のうちの少なくとも1種である請求項4に記載の育苗培地の製造方法。
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