JP3233838U - 育苗用具 - Google Patents
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- Cultivation Receptacles Or Flower-Pots, Or Pots For Seedlings (AREA)
Abstract
【課題】苗を育てやすく、かつ、自然環境に配慮した育苗用具を提供する。【解決手段】育苗用具としての育苗ポット1は、バーク堆肥2と、化石化又は風化したカキ殻を粉末状にしたカキ殻粉末3とを混合してなる基材を容器形に圧縮成形することにより形成される。育苗ポット1は、播種当初から又は苗が所定の大きさに生育後に、土壌Sに埋めて使用することができる。育苗用具自体から微量要素等の各種肥料成分が供給され、良好・良質な苗を育てることができる。また、育苗後も、ゴミとして廃棄処理する必要がない。【選択図】図1
Description
本考案は、育苗用具に関し、特に、苗を育てやすく、かつ、自然環境に配慮した育苗用具に関する。
野菜や草花の育苗用の容器として、ポリエチレンやポリプロピレン製のポリポット、プランター、コンテナ等が多用されている。これらの合成樹脂製の育苗容器は、自然環境中で分解され難いため、焼却処分による大気汚染や、マイクロプラスチックによる海洋汚染のような様々な環境破壊を引き起こしている。
この点、終局的には土壌還元性をもつ育苗鉢として、ヤシ殻の繊維を基材とするヤシ殻製育苗鉢が知られている(特許文献1参照)。同文献1によれば、当該ヤシ殻製育苗鉢は、全ての構成材が植物性有機材からなり、いずれは育苗鉢自体が土に還元して周囲環境を汚さず、土壌劣化も生じないとされる(同文献1段落0005、0006参照)。
不法投棄等の不適切な廃棄処理方法による自然環境破壊の問題は未だに解消されておらず、育苗ポットや育苗マット等の育苗用具の分野においても、従来品より有用で環境に配慮した製品の開発が望まれている。この点、ヤシ殻製の育苗鉢は、実際には、土に還るまで期間を要するため使い勝手が悪い等の問題があり、広く普及するには至っていない。
かかる現状を踏まえると、土壌還元性又は分解容易性の観点に加えて、苗を育てやすい、即ち、作業者に負担を強いることなく苗の良好な生育を促すことが可能な、環境に配慮した育苗用具があれば、環境破壊が懸念される現在の合成樹脂製の育苗用具に替わって広く利用されることが期待され、海洋汚染を始めとした環境問題の解決に資するものと考えられる。
本考案は、上記課題に鑑みてなされたものであり、苗を育てやすく、かつ、自然環境に配慮した育苗用具を提供することを目的とする。
本考案の育苗用具は、
バーク堆肥と、化石化又は風化したカキ殻を粉末状にしたカキ殻粉末とを混合してなる基材を、容器形又はマット形に圧縮成形することにより形成されることを特徴とする。なお、容器形には、植木鉢、トレイ、プランター等の形状を含む。また、マット形には、厚みの薄いシート状のものを含み、上面視長方形状のものに限らず円形や多角形状のものも含まれる。
バーク堆肥と、化石化又は風化したカキ殻を粉末状にしたカキ殻粉末とを混合してなる基材を、容器形又はマット形に圧縮成形することにより形成されることを特徴とする。なお、容器形には、植木鉢、トレイ、プランター等の形状を含む。また、マット形には、厚みの薄いシート状のものを含み、上面視長方形状のものに限らず円形や多角形状のものも含まれる。
前記育苗用具は、前記基材が、生分解性ラテックスを含むものであっても良い。
本考案によれば、苗を育てやすく、かつ、自然環境に配慮した育苗用具を提供することができる。
以下、適宜図面を参照しつつ本考案を具体的に説明するが、本考案は図面に示す実施の形態に限定されるものではなく、本考案の要旨を変更しない限りにおいて適宜変更可能である。
本考案に係る育苗用具は、野菜、果樹、穀物や草花といった植物の苗を育てるための用具であり、育苗ポット(図1)等のような容器形、又は、平板状のマット形に成形されて、土耕ないし水耕栽培において使用される。
育苗用具は、バーク堆肥と、化石化又は風化したカキ殻を粉末状にしたカキ殻粉末とを混合してなる基材を圧縮することにより成形される。なお、後説のとおり、前記基材には、任意的に、生分解性ラテックスを含めるようにしても良い。
バーク堆肥は、樹皮(バーク)を主材とする植物質肥料であり、通例、土壌に均等にまいて、すき込んだ後、一定期間寝かせてなじませることにより土壌を肥沃化する手段として使用されるが、本考案においては、これを育苗用具の基材の一つとして用いる。なお、本考案に係るバーク堆肥としては、通常一般に市販されているものを適用することができる。カキ殻粉末は、化石化又は風化したカキ殻を粉末状にしたものであり、例えば、シェルカン等の商品名で市販されている貝化石粉末を用いることができる。なお、考案者の知見によれば、新しいカキ殻では粉末化しても微量要素の放出量が乏しいため、化石化又は好ましくは30〜40年経過し風化したカキ殻を用いることが望ましい。
育苗用具の形状は任意であり、所望の形状の金型を用いて、所定の温度及び圧力にて圧縮成形することにより形成することができる。例えば、植木鉢、トレイ、プランター等の形状にしても良く、水耕栽培に用いる場合にはマット状に形成しても良く、底部側に排水孔を設けたり、表面側に根張りを良くするための小孔を形成したりしても良い。また、単体(図1)の形状のみならず、いわゆる連結ポットのように、1つの金型により複数個を連設させたものであっても良い。さらに、その強度としては、育苗中は湿潤状態で形状・強度を保ち、土壌に埋め込んだ後(図1)は、根の伸長を妨げないように速やかに崩壊するように設定することが好ましい。
カキ殻粉末には、鉄、マンガン、ホウ素、葉酸等の微量要素が含まれており、育苗において必須となる微量要素の不足を補うことができる。すなわち、本考案は、微量要素を放出するカキ殻粉末を素材に含むことを特徴の一つとしており、本考案に係る育苗用具を用いた育苗によれば、育苗用具自体から微量要素等の各種肥料成分を供給することができ、良好・良質な苗を育てることができる。
加えて、育苗用具は、繊維質のバーク堆肥およびカキ殻粉末の成形体により構成されるため、例えば合成樹脂シート製の育苗ポットとは異なり、育苗用具の構成部(育苗ポット1の側壁等)を介して吸気や栄養分の吸収をすることができる。
図1は、本考案に係る育苗用具としての育苗ポット1の構成及び使用方法の一例を説明するための側断面図である。育苗ポット1は、上方が円形状に開口し、開口縁に沿ってフランジ部が設けられた有底円筒状の植木鉢形の入れ物であり、内部に土を入れて使用される。このような育苗ポット1は、所望の形状の金型を用いて、所定の温度及び圧力にてプレス成形することにより形成することができる。育苗ポット1の形状は一例に過ぎず、有底角筒状のものであっても良い。
図2は、本考案に係る育苗用具の製造に使用可能なバーク堆肥2およびカキ殻粉末3の一例である。図2中のカキ殻粉末3は、化石化又は風化したカキ殻を粉末状にしたものである。バーク堆肥2およびカキ殻粉末3の配合割合は、植物の品種や育成方法、作付け環境、育苗において求められる強度等によって任意に調整され、考案者の知見によれば、バーク堆肥およびカキ殻粉末を重量比で約1:1の割合で混合したものが好適であるが、これに限られない。
育苗ポット1内には、植物の品種等に応じ、適宜栄養分を加えられた土が入れられるが、例えば、ナスのようにチッ素分が過分に含まれていると発育が阻害される作物がある。したがって、前記基材を構成するバーク堆肥としてはチッ素分を全く又は殆ど含まないものを利用することが好ましい。かかる基材により形成された育苗用具によれば、様々な作物の育苗に利用することができる。なお、チッ素分が必要な作物を育てる場合には、育苗ポット2に入れられる土の方に適量のチッ素分を加える。
育苗用具は、播種当初から又は苗が所定の大きさに生育後に、図1に示すように、育苗用具自体を土壌Sに埋めて使用することができる点で極めて有用である。かかる用法によれば、育苗苗の植え替え作業(移植作業)が不要となり、植え替え作業時に苗を損傷する心配がなく、根の生長を妨げることなく土壌Sへの定着も良くなる。育苗ポット1から微量要素等の養分が供給され、土壌Sが肥よくになる。バーク堆肥およびカキ殻粉末は、本来、土壌に散布されるものであり、土壌Sに埋めて使用すると、微生物等の働きにより分解・崩壊して土に還ることから、土壌還元性及び分解容易性の点においても良好である。したがって、育苗ポット1の廃棄処分が不要となるため、容器の回収作業の負担が無く、合成樹脂製の育苗ポットの廃棄処分により生じる海洋汚染のような環境問題の解決に資する。
前記基材は、生分解性ラテックスを含むものであっても良い。生分解性ラテックスは、バーク堆肥とカキ殻粉末との結合力を高めるための接着剤として含有されるものである。なお、生分解性とは、自然界に存在する微生物の働きによって経時的に分解される性質を指し、例えば、天然ラテックスを用いることができる。生分解性を有することから、環境破壊を生じない。図1に示す育苗ポット1には、バーク堆肥2とカキ殻粉末3に加えて、当該性質を有する適量のラテックス4が含まれている。図1に示す「2,3,4」の符号は、育苗ポット1の基材がこれらの成分を含むことを示しているが、育苗ポット1は本考案の一例に過ぎない。
本考案の育苗用具は、水耕栽培の用具として使用することもできる。たとえば、前記基材を用いて厚さが約5−10cmであるマット状の育苗用具を圧縮成形し、潅水チューブを配置して養分を含む水を供給することにより、当該育苗用具に苗を根付かせて育てることができる。その他、水耕用のマットとして栽培地に敷き込んで使用することもできる。
本考案の育苗用具によれば、育苗後に、これをゴミとして廃棄処分する必要がないため、作業者の負担およびゴミの廃棄量を減らすことができる。
本考案は、上記実施の形態ないし実施例に限定されず、その考案の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形実施が可能である。たとえば、本考案の趣旨を逸脱しない限りにおいて、本考案に係る育苗用具の基材に他の肥料を加えたり添加物を配合したりしても良い。
本考案は、農業用や園芸用の育苗用具として利用することができる。
1 育苗ポット
2 バーク堆肥
3 カキ殻粉末
4 (生分解性)ラテックス
S 土壌
2 バーク堆肥
3 カキ殻粉末
4 (生分解性)ラテックス
S 土壌
Claims (2)
- バーク堆肥と、化石化又は風化したカキ殻を粉末状にしたカキ殻粉末とを混合してなる基材を、容器形又はマット形に圧縮成形することにより形成されることを特徴とする育苗用具。
- バーク堆肥と、化石化又は風化したカキ殻を粉末状にしたカキ殻粉末とを混合してなり生分解性ラテックスを含む基材を、容器形又はマット形に圧縮成形することにより形成されることを特徴とする育苗用具。
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