JP7049516B1 - 育苗培土用固結剤およびこれを用いた育苗培土 - Google Patents

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Abstract

【課題】生分解性が良好で環境汚染の懸念がなく、固結性能が良好で、含水時の根鉢強度の低下を抑制することができる育苗培土用固結剤およびそれを用いた育苗培土を提供する。【解決手段】本発明の育苗培土用固結剤は、ネイティブ型ジェランガムを含む。また本発明の育苗培土は、ネイティブ型ジェランガムおよび培土構成素材を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、育苗培土用固結剤およびこれを用いた育苗培土に関する。
近年、農園芸作業の合理化や農作物の増収の目的で、苗の集中育成および生育苗の機械による移植が盛んに行われている。具体的には、移植機を用いて、育苗培土により育苗したセル苗やポット苗などを分離し、畑に植え付けるという方法であり、この機械移植によれば、比較的均一で強健な苗が得やすいという利点があるものの、機械移植の際、苗の根部の培土(根鉢部)が崩壊し、あるいは根部と培土とが分離するという欠点がある。
このような機械移植中の崩壊などを起こさないため、育苗培土に固結剤としてアクリルアミド共重合体などの高分子樹脂を添加する技術が提案されている(特許文献1)。また水耕栽培の固形培地耕において木炭粉の結合剤としてポリビニルアルコール樹脂を添加する技術なども提案されているが(特許文献2)、高分子樹脂はある程度の根鉢強度の向上は認められるものの、育苗培土に使用する場合、固結後の培土が含水すると根鉢強度が著しく低下し、さらに石油由来の合成高分子は生分解されずに土壌中に長く残存するという問題もあった。
植物栽培における培地などの基材に固結性や保水性を与えるために、多糖類を用いる技術が提案されている。例えば、植物栽培用ゲル培地としてイオタ型のカラギナン(特許文献3)、粉末状の活性炭を添加した室内観賞用植物の固体培地のゲル化剤として寒天やジェランガム(特許文献4)、保水性粒状培養土としてカルボキシメチルセルロース(特許文献5)、高吸収性ポリマー組成物としてカラギナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム(特許文献6)、床土層の上に覆土層を有する培土における覆土層の固結剤としてアルギン酸ナトリウムやキトサン(特許文献7)が提案されている。しかし、これらのような多糖類は育苗培土の固結剤に要求される固結性能が十分でないことが多く、さらに固結後の育苗培土が含水すると根鉢強度が著しく低下し、移植時に崩壊してしまう問題もあった。
機械移植中に崩壊などを起こさないため、育苗培土に固結剤としてタマリンド由来の水溶性高分子や(特許文献8)、一般的にジェランガムと呼ばれる脱アシル化ジェランガム(特許文献9)を用いる技術も提案されている。
特開2016-154449号公報 特開平8-280281号公報 特開2013-111024号公報 特開平4-370046号公報 特開2017-55663号公報 特開昭60-58443号公報 特開2005-229857号公報 特開2016-15903号公報 特開2010-142176号公報
しかしながら、特許文献8、9の固結剤も固結後の育苗培土が含水すると根鉢強度が著しく低下する。移植機を用いて育苗培土を移植するときには、雨などの天候、育苗のための水の添加や、特に培土構成素材として土を含む場合などにおいて、育苗培土の水分率が高いこともある。そのような場合、根鉢強度が著しく低下し、移植時に崩壊してしまうという問題があった。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、生分解性が良好で環境汚染の懸念がなく、固結性能が良好で、含水時の根鉢強度の低下を抑制することができる育苗培土用固結剤およびそれを用いた育苗培土を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明の育苗培土用固結剤は、ネイティブ型ジェランガムを含むことを特徴としている。
本発明の育苗培土は、ネイティブ型ジェランガムおよび培土構成素材を含むことを特徴としている。
本発明の育苗培土用固結剤および育苗培土は、生分解性が良好で環境汚染の懸念がなく、固結性能が良好で、含水時の根鉢強度の低下を抑制することができる。
以下に、本発明を実施するための形態について具体的に説明する。
(育苗培土用固結剤)
本発明の育苗培土用固結剤は、ネイティブ型ジェランガムを含む。
本発明におけるネイティブ型ジェランガムとは、エロデア属の水草から分離した種菌であるスフィンゴモナス・エロデア(Sphingomonas elodea)が産出する発酵多糖類であり、1-3結合したグルコース、1-4結合したグルクロン酸、1-4結合したグルコースおよび1-4結合したラムノースの4分子を構成単位とする直鎖状の高分子多糖類における、1-3結合したグルコースに1構成単位当たりグリセリル基1残基とアセチル基が平均1/2残基結合したものである。ネイティブ型ジェランガムは、1構成単位当たりカルボキシル基1残基を有する。ネイティブ型ジェランガムは、天然に起源を有するものであるため、用いる産生微生物や精製条件によっては、その構造も微妙に変わりうる。従って、本発明で用いられるネイティブ型ジェランガムは、特定の構造式に基づいて一義的に限定されることなく、微生物により産生されるネイティブ型ジェランガムの性質を有するものであればよい。
ネイティブ型ジェランガムは、スフィンゴモナス・エロデアが糖類を発酵した後で回収し、例えば、分離、精製、乾燥、粉砕という工程を経て製造される。脱アシル型ジェランガムは、発酵後、脱アシル化工程、分離、精製等の工程を経て製造され、一般的にジェランガムと呼ばれるのはこのタイプである。ジェランガムは、1-3結合したグルコースに存在するアセチル基とグリセリル基の有無により、ネイティブ型ジェランガムと脱アシル型ジェランガムに分けられ、両者の性質は大きく異なる。ネイティブ型ジェランガムは、ゲル化能が強く少量の水に溶かしてゲル化し、弾力のある離水性の少ないゲルを形成するのに対して、脱アシル型ジェランガムは、水に溶かしてもゲルを形成せずに2価のカチオンを加えることで始めてゲル化し、ゲルは堅く脆い性状を呈する。本発明ではネイティブ型ジェランガムを用いることが特徴である。
ネイティブ型ジェランガムは、天然多糖類であることから、生分解性が良好で、微生物の働きによって分解されて土壌中に長く残存することがなく、環境汚染防止の観点からも好適である。
本発明の育苗培土用固結剤は、その剤型は特に限定されず、溶液状、固体状、ゲル状などが挙げられる。その中でも、溶媒にネイティブ型ジェランガムを溶解または分散した溶液状であることが好ましい。溶媒としては、ネイティブ型ジェランガムを溶解または分散できるものであれば特に限定されず、水、有機溶媒、およびこれらの混合物などが挙げられる。これらの中でも、水が好ましい。溶液とした場合におけるネイティブ型ジェランガムの濃度は、固結性能の点から0.01~10.0質量%好ましく、粘度、培土基材への浸透性の点から0.01~1.0質量%がより好ましい。
(育苗培土)
本発明の育苗培土は、ネイティブ型ジェランガムおよび培土構成素材を含む。
本発明の育苗培土におけるネイティブ型ジェランガムは、例えば、本発明の育苗培土用固結剤を培土基材に混合したものである。
本発明の育苗培土における培土構成素材としては、特に限定されないが、通常農業用や園芸用の培土として用いられるものが挙げられ、例えば、植物性の繊維状物質、多孔性構造の無機物質、非多孔性構造の無機物質、肥料、土などが挙げられる。これらの培土構成素材は1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
植物性の繊維状物質としては、例えば、ピートモス、ヤシガラ、モミガラ、オガクズ、竹粉、バガス、泥炭、草炭などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
多孔性構造の無機物質としては、例えば、バーミキュライト、アタパルジャイト、ケイソウ土、セピオライト、ゼオライト、パーライトなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
非多孔性構造の無機物質としては、例えば、珪砂、海砂、アルミナサンド、タルク、ベントナイト、炭酸カルシウムなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
肥料としては、例えば、窒素肥料、リン酸肥料、カリ肥料、水酸化カルシウムなどのカルシウム化合物、水酸化マグネシウムなどのマグネシウム化合物、酸化亜鉛などの亜鉛化合物などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
土としては、例えば、黒ボク土、赤玉土、鹿沼土、日向土、田土、黒土、まさ土、ケト土、山土、山砂、川砂、火山灰土、ボラ土、赤土などの天然土壌が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
育苗培土の基材である培土構成素材は、育苗対象の植物種などに応じて、以上のような培土として使用可能な素材を適宜組み合わせて使用することができる。このような育苗培土を用いることにより、根回りが少ない苗にも対応でき、定植性も良好で根鉢部分の崩壊が生じ難い根鉢を形成させることが可能となる。
本発明の育苗培土は、培土構成素材として土を含むことが好ましい。培土構成素材として土を含む場合、ネイティブ型ジェランガムによる、含水時の根鉢強度の低下を抑制する効果を特に発揮することができる。この点より、土を含む場合におけるその含有量は、培土構成素材の全量に対して1~100質量%が好ましく、10~90質量%がより好ましく、30~80質量%がさらに好ましい。
本発明の育苗培土は、育苗対象の植物種などに応じて、本発明の効果を損なわない範囲内においてその他の成分を添加してもよい。その他の成分としては、特に限定されないが、例えば、農業用薬剤などが挙げられる。農業用薬剤としては、例えば、除草剤、動物忌避剤、成長調整剤、土壌改良剤、有用微生物、有用菌、透水剤などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の育苗培土において、ネイティブ型ジェランガムの含有量は、培土構成素材の全量に対して好ましくは0.01~10.0質量%である。なおネイティブ型ジェランガムの含有量は固形分換算である。当該含有量がこのような範囲であると、固結性能が良好で、含水時の根鉢強度の低下を抑制することができ、かつ発芽や発根などの生育性が良く、移植機を用いて育苗培土を用いたセル苗やポット苗などを分離し、畑に植え付ける際に抜取り性が良く、根傷みも抑制できるので定植性が良好である。ネイティブ型ジェランガムの含有量は、固結性能が良好で、含水時の根鉢強度の低下を抑制することができる点から培土構成素材の全量に対して0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましい。また生育性と定植性の点から5.0質量%以下がより好ましく、3.0質量%以下がさらに好ましい。
本発明の育苗培土用固結剤を用いた固結前の育苗培土は、育苗培土用固結剤の添加量が少量でも高い固結度を生じさせることができるので、アルギン酸ナトリウムなど、他の固結剤に比して、固結前の育苗培土に添加する育苗培土用固結剤の絶対量が少なくて済み、環境への負荷が非常に少ない。
固結前の育苗培土を製造する際には、育苗培土用固結剤を、そのままあるいは水でさらに適宜希釈して用いてもよく、これを育苗培土の基材となる培土構成素材に添加混合することにより固結前の育苗培土が得られ、そのまま使用したり袋詰めして保管することができる。固結前の育苗培土は、典型的には粒状の状態で、水分含量が60%未満である。
固結前の育苗培土は、上記のとおり袋詰めされた粒状の状態で流通可能であるので、取り扱いが容易であり、様々な形状、セル数の育苗用容器に充填可能である。このため、農業従事者がすでに保有している育苗用容器を使用することが可能であり、農産物生産の低コスト化が可能である。
固結前の育苗培土は、例えば、育苗用容器に充填し、展圧した後に常温で風乾して、固結することで、植物を育苗する培土となる。
固結前の育苗培土を充填するための育苗用容器としては、従来から用いられているものと同様のセル、ポット、トレイ、苗箱などが使用でき、育苗用容器の種類、形状、構造、サイズなどは各々の状況に応じて適宜選択可能であるが、固結前の育苗培土は、容積が1セル当たりの容積が10cm3以下の小容器に充填して用いた場合に、特に顕著な効果を発揮する。
固結前の育苗培土は、育苗用容器に充填した後、展圧、すなわち上方からプレスして加圧することにより、固結後に所望の根鉢強度を備えた育苗培土となる。展圧時の圧力としては、特に限定されないが、例えば、0.1~10.0MPaの範囲である。展圧時の圧力が上記の範囲であれば、根鉢強度が高くなり、育苗施設からの運搬時や、移植機による抜き取り時および圃場への植え付け時にも根鉢に割れが生じたり、崩れるのを抑制することができる。
このような展圧時の圧力は、育苗する農産物により好適な値が異なる。一般的な野菜については、例えば0.98MPa程度、タマネギについては、例えば4.9MPa程度である。
固結前の育苗培土の展圧には、例えば、市販の播種機などを使用することができる。
固結前の育苗培土は、常温で風乾することにより固結することができる。風乾に要する時間としては、特に限定されないが、例えば、常温で1~15日の範囲である。具体的には、ビニルハウスの中で自然乾燥させた場合3日程度、気温25~28℃、湿度0%近傍に制御された発芽室内では1日程度、住宅や納屋などの農業従事者の居住環境に近い屋内では1週間程度風乾させることが好ましい。なお、風乾後の育苗培土の水分含量については、育苗する農産物などの植物の種類に応じて適宜調節することができる。
本発明の育苗培土は、このようにして固結前の育苗培土を加熱することなく、育苗用容器に充填して、展圧および常温で風乾するだけでもよく、育苗培土を簡便に製造することができる。そのため、加熱固結のための特殊な設備を必要とせず、しかも育苗用容器の変形や破損が生じ難く、農産物生産の低コスト化が可能である。
また、従来の播種用成型培土では、水分含量が50質量%を下回ると透水性が失われてしまう場合があるが、本発明の育苗培土では、水分含量が30質量%程度になるまで風乾しても、透水性が損なわれることはない。さらに、固結性能が良好で、水分含量が増加しても根鉢強度の低下を抑制することができる。本発明の育苗培土の水分率は、特に限定されないが、10~50質量%が好ましく、20~40質量%がより好ましい。このような範囲であると、発芽や発根などの生育性が良く、根腐れを起こす可能性も低減でき、かつ固結性能が良好で、含水時の根鉢強度の低下を抑制することができる。
本発明の育苗培土を用いて植物を育苗する際には、例えば、上記のように、播種機を用いて市販のセルトレイに固結前の育苗培土を充填し展圧した後、風乾により固結させ、野菜などの植物の種子を1セルに対して1粒ずつ播種機を用いて播種し、固結前の育苗培土で覆土した後、潅水を行うなど通常の作業を行い発芽させ育苗をすることができる。また、固結前の育苗培土に、あらかじめ野菜などの植物の種子を混合したものを、市販のセルトレイに播種機を用いて充填し、展圧した後、風乾により固結させて、潅水を行うなど通常の作業を行い発芽させ育苗をすることもできる。また、種子以外にも挿し木して発根させ育苗をすることもできる。
本発明の育苗培土は、野菜用、水稲用などの農業用や、園芸用に用いることができる。本発明の育苗培土による育苗に適する植物としては、例えば、野菜セル苗用途、果菜セル苗用途、切り花用途、鉢物、苗物、花壇用途切り花用途などが挙げられる。
野菜セル苗用途としては、例えば、ネギ、タマネギ、ニラ、ニンニク、アスパラガスなどのユリ科;セルリー、ミツバ、パセリ、ニンジン、明日葉などのセリ科;ホウレンソウ、フダンソウ、オカヒジキ等のアカザ科;ハクサイ、キャベツ、水菜、小松菜、メキャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、チンゲンサイ、コールラピ、ターサイ、ツケナ、高菜、クレソン、大根、菜の花などのアブラナ科;レタス、シュンギグ、ゴボウ、フキ、ヤーコンなどのキク科、シソなどのシソ科;ビートなどのヒユ科、ゴマなどのゴマ科;エンダイブなどのキク科;リーキなどのヒガンバナ科などが挙げられる。
これらの中でも、培土構成素材に使用する土の比率が多い点から、また根が細く、根鉢部分の崩壊が生じやすいユリ科の育苗に好適である。
果菜セル苗用途としては、例えば、小麦、大麦、米などのイネ科;メロン、キュウリ、スイカ、カボチャ、トウガン、キンシウリ、ゴーヤ、ズッキーニなどのウリ科;トマト、ナス、ピーマン、パプリカ、とうがらし、じゃがいもなどのナス科;オクラ、モロヘイヤなどのアオイ科;スイートコーン(トウモロコシ)、インゲンなどのマメ亜科;エンドウ、エダマメ、ソラマメなどのマメ科などが挙げられる。
また、固結前育苗培土または固結後の育苗培土に挿し木するのに適する植物としては、キク、カーネーション、宿根カスミソウなどの挿し木で繁殖できる植物が挙げられる。
切り花用途としては、例えば、キンギョソウ、ブプレウルム、ユーストマ、ストック、アネモネ、カンパニュラ、ダリア、スカピオサ、デルフィニウム、ラークスパー、ニゲラ、ハナシノブ、ブルーレースフラワー、マトリカリア、シンテッポウユリ、リモニウムシニュアータ、オキシペタルム、クラスペディア、ユウギリソウなどが挙げられる。
鉢物、苗物、花壇用途としては、例えば、アゲラタム、イソトマ、インパチェンス、エキザカム、ガーベラ、ガザニア、カルセオラリア、クリサンセマム、コリウス、サルビア、シザンサス、シネラリア、ゼラニウム、トレニア、パンジー、ビンカ、プリムラ、ペチュニア、ベコニア、マリーゴールド、ラナンキュラス、カーネーションなどが挙げられる。
本発明の育苗培土を用いて植物を育苗した後、移植機を用いてセル苗やポット苗などを分離し、根鉢を地床に移植する。本発明の育苗培土用固結剤および育苗培土は、固結性能が良好で、含水時の根鉢強度の低下を抑制することができるので、育苗培土が含水していても、機械移植の際に根鉢部が崩壊したり、根部と培土とが分離したりすることを抑制できる。また育苗培土に固結剤として含まれるネイティブ型ジェランガムは生分解性が良好で、環境汚染の懸念がない。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
使用した育苗培土用固結剤は以下のとおりである。
<育苗培土用固結剤>
固結剤A:ネイティブ型ジェランガム
固結剤B:アルギン酸ナトリウム
固結剤C:カッパーカラギナン
固結剤D:イオタカラギナン
固結剤E:キサンタンガム
固結剤F:脱アシル型ジェランガム
固結剤G:寒天
固結剤H:グァーガム
固結剤I:ローカストビーンガム
固結剤J:タマリンドシードガム
固結剤K:グルコマンナン
固結剤L:アラビアガム
固結剤M:カラヤガム
固結剤N:トラガントガム
固結剤O:LMペクチン
固結剤P:HMペクチン
固結剤Q:サイリウトシードガム
固結剤R:CMC(カルボキシメチルセルロース)
(実施例1~10、比較例1~18)
<育苗培土の製造>
表1に示す各種培土構成素材をミキサー(光洋機械産業株式会社製)に投入して攪拌混合し、培土基材1~4とした。次いで培土基材100質量部に対して、表2A、表2B、表2Cに示す育苗培土用固結剤が同表に示す含有量(質量部)となるように添加して、10分間攪拌混合し、固結前の育苗培土を得た。この固結前の育苗培土は、袋詰めした。
<播種作業>
播種機(OSE-110:みのる産業株式会社製)を用いて、袋詰めされた固結前の育苗培土を448穴のセルトレイ(ポット448育苗箱:みのる産業株式会社製)に一定量充填し、展圧した後、常温で1週間風乾して、育苗培土を固結させた。
この固結させた育苗培土に、タマネギの種子を1穴に対して1粒ずつ再度播種機を用いて播種し、一定量の固結前の育苗培土で覆土した後、一定量の潅水を行い、播種作業を完了した。
実施例および比較例で得られた育苗培土について、発根状況および発芽率を指標としてタマネギの生育性を評価した。また、タマネギの定植性および根鉢強度を評価した。
<タマネギの発根状況>
上記の実施例および比較例で得られた播種後の育苗培土について、播種後は1日1回の潅水を一定量行い育苗し、7日後の発根状況について、以下の基準で評価した。
発根状況の評価基準
◎:発根状況が極めて良好であり、セルトレイから抜き取った育苗培土の外周面においてタマネギの主根を目視で確認することができる。
○:発根状況が良好であり、セルトレイから抜き取った育苗培土の外周面においてタマネギの主根を目視で確認することができる。
△:発根状況はやや不良であり、セルトレイから抜き取った育苗培土の外周面においてタマネギの主根を目視で確認することはできない。
×:発根状況は不良であり、セルトレイから抜き取った育苗培土の外周面においてタマネギの主根を目視で確認することはできない。
以上の評価結果を表2A、表2B、表2Cに示す。
<タマネギの発芽率>
上記の実施例および比較例のうち、実施例については更に次の評価を行った。実施例1~9で得られた播種後の育苗培土について、播種後は1日1回の潅水を一定量行い育苗し、7日後の発芽率について、以下の基準で評価した。
発芽率の評価基準
5:発芽率が90%以上である。
4:発芽率が70%以上90%未満である。
3:発芽率が50%以上70%未満である。
2:発芽率が30%以上50%未満である。
1:発芽率が30%未満である。
以上の評価結果を表3に示す。
<タマネギの定植性>
上記育苗から60日後、セルトレイからの移植機(玉ネギ移植機歩行4条植:みのる産業株式会社製)によるタマネギの定植性について、セルトレイからの抜取り性や根痛みなどの総合評価として以下の基準で評価した。
タマネギの定植性の評価基準
◎:セルトレイからの抜取り性が良く、根傷みが全くなく、定植性が優良である。
○:セルトレイからの抜取り性が良く、根傷みがほとんどなく、定植性が良好である。
△:セルトレイからの抜取り性がやや悪く、根傷みがわずかにあり、定植性はやや不良である。
×:セルトレイからの抜取り性が悪く、根傷みがあり、定植性は不良である。
以上の評価結果を表2A、表2B、表2Cに示す。
<タマネギの根鉢強度>
上記育苗から60日後、タマネギの苗をセルトレイから抜取り、50cmの高さから落下させ、落下前後の質量から算出した残存率よりタマネギの根鉢強度を評価した。尚、落下試験に用いる育苗培土の水分率を10質量%、30質量%、50質量%に調整し、3つの条件下にて落下試験を実施した。
落下試験(1)(育苗培土の水分率10質量%)
タマネギの根鉢強度の評価基準(落下前後の質量から算出した残存率)
5:残存率が90%以上である。
4:残存率が70%以上90%未満である。
3:残存率が50%以上70%未満である。
2:残存率が30%以上50%未満である。
1:残存率が30%未満である。
落下試験(2)(育苗培土の水分率30質量%)
タマネギの根鉢強度の評価基準(落下前後の質量から算出した残存率)
5:残存率が90%以上である。
4:残存率が70%以上90%未満である。
3:残存率が50%以上70%未満である。
2:残存率が30%以上50%未満である。
1:残存率が30%未満である。
落下試験(3)(育苗培土の水分率50質量%)
タマネギの根鉢強度の評価基準(落下前後の質量から算出した残存率)
5:残存率が90%以上である。
4:残存率が70%以上90%未満である。
3:残存率が50%以上70%未満である。
2:残存率が30%以上50%未満である。
1:残存率が30%未満である。
以上の評価結果を表2A、表2B、表2Cに示す。
なお、表2A~Cおよび表3において、根鉢強度の評価における落下試験は、評価点2以下は発明の課題を解決しないと判断した。発根状況および定植性の評価は、×は発明の課題を解決しないと判断した。発芽率は、評価点2以下は発明の課題を解決しないと判断した。
Figure 0007049516000001
Figure 0007049516000002
Figure 0007049516000003
Figure 0007049516000004
Figure 0007049516000005
表2A~Cおよび表3より、ネイティブ型ジェランガムを添加した実施例の育苗培土は、固結性能が良好で、比較例における各種の多糖類と比べても、含水時の根鉢強度の低下を抑制することができた。定植性も損なわれることはなく、発根状況および発芽率より生育性も確認できた。培土構成素材として土を含む場合、ネイティブ型ジェランガムによる、含水時の根鉢強度の低下を抑制する効果はより顕著であった。

Claims (4)

  1. ネイティブ型ジェランガムを含む育苗培土用固結剤であって、
    前記育苗培土は、前記ネイティブ型ジェランガムおよび培土構成素材を含み、
    前記培土構成素材は、植物性の繊維状物質、多孔性構造の無機物質、非多孔性構造の無機物質、または土であり、
    前記育苗培土は、前記ネイティブ型ジェランガムを前記培土構成素材に添加混合したものである育苗培土用固結剤。
  2. ネイティブ型ジェランガムおよび培土構成素材を含む育苗培土であって、
    前記培土構成素材は、植物性の繊維状物質、多孔性構造の無機物質、非多孔性構造の無機物質、または土であり、
    前記育苗培土は、前記ネイティブ型ジェランガムを前記培土構成素材に添加混合したものである育苗培土。
  3. 前記ネイティブ型ジェランガムの含有量は、培土構成素材の全量に対して0.01~10.0質量%である請求項2に記載の育苗培土。
  4. 前記培土構成素材として土を含む請求項2または3に記載の育苗培土。
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