JP6743766B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、定着装置及び画像形成装置に関する。
従来、電子写真方式の画像形成装置は、記録媒体にトナー像を定着させる定着装置を備えている。この定着装置は、例えば、記録媒体にトナー像を定着させる定着部材と、定着部材に接触し、定着部材から記録媒体を分離させる分離部材と、を備えている。
このような定着装置において、定着部材の同一箇所に分離部材が接触し続けると、分離部材によって定着部材が局所的に削られて、定着部材の偏摩耗が発生することがある。このように定着部材の偏摩耗が発生すると、定着部材の離型性が低下するため、定着部材にトナーが付着する現象(いわゆるトナーオフセット)が発生しやすくなる。そこで、定着部材の回転軸方向に分離部材を移動させる移動機構を備えた定着装置が知られている(特許文献1参照)。
特開2002−357975号公報
しかしながら、上記のように移動機構によって分離部材を定着部材の回転軸方向に移動させたとしても、分離部材の移動領域内において分離部材と定着部材の接触時間に大きな偏りが発生する場合がある。このように分離部材と定着部材の接触時間に大きな偏りが発生すると、定着部材の摩耗量(摩耗深さ)にも大きな偏りが発生してしまう。その結果、定着部材のうちの摩耗の激しい部分が摩耗量の許容限界に早期に到達してしまい、定着部材の寿命が短くなってしまう恐れがある。
そこで、本発明は、定着部材の摩耗量の均一化を図り、定着部材の長寿命化を実現することを目的とする。
本発明に係る定着装置は、回転軸の周りを回転し、記録媒体にトナー像を定着させる定着部材と、前記定着部材に接触し、前記定着部材から記録媒体を分離させる分離部材と、前記分離部材を所定の移動領域内で前記回転軸方向に移動させる移動機構と、前記分離部材を前記定着部材に対して押圧する押圧部材と、を備え、前記分離部材が前記移動領域の中央位置にある時の前記分離部材の前記定着部材に対する押圧荷重が、前記分離部材が前記移動領域の両端位置にある時の前記分離部材の前記定着部材に対する押圧荷重よりも小さいことを特徴とする。
前記定着装置は、前記分離部材を揺動可能に保持するホルダーを更に備え、前記移動機構は、回転可能な駆動部と、前記駆動部に接続され、前記駆動部の回転に伴って前記ホルダーを前記回転軸方向に移動させる移動部と、を備えていても良い。
前記定着装置は、前記回転軸方向に移動可能な取付部材を更に備え、前記押圧部材は、前記分離部材と前記取付部材の間に介装される引張りバネであり、前記ホルダーが前記回転軸方向一側に移動すると、前記取付部材が前記回転軸方向他側に移動して前記引張りバネの長さが変化し、前記分離部材の前記定着部材に対する押圧荷重が変更されても良い。
前記定着装置は、前記ホルダーと前記取付部材の間に配置されるピニオンギアを更に備え、前記ホルダーには、前記ピニオンギアと噛み合う第1ラックギアが設けられ、前記取付部材には、前記ピニオンギアと噛み合う第2ラックギアが設けられていても良い。
前記定着部材は、前記駆動部に接続され、前記駆動部の回転に伴って回転しても良い。
本発明に係る画像形成装置は、前記定着装置を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、定着部材の摩耗量の均一化を図り、定着部材の長寿命化を実現することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る画像形成装置を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る定着装置を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る定着装置において、各分離爪が移動領域の中央位置にある状態を示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る定着装置において、移動領域内における分離爪の位置を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る定着装置において、移動領域内における分離爪の位置と経過時間の関係を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る定着装置において、各接触点における分離爪と定着ローラーの接触時間を示す表である。 本発明の一実施形態に係る定着装置において、各分離爪が移動領域の後側の両端位置にある状態を示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る定着装置において、各分離爪が移動領域の前側の両端位置にある状態を示す平面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1について説明する。
まず、画像形成装置1の全体の構成について説明する。画像形成装置1は、例えば、プリンターである。なお、各図に適宜付される矢印Fr、Rr、L、R、U、Loは、それぞれ画像形成装置1の前側、後側、左側、右側、上側、下側を示している。
図1を参照して、画像形成装置1は、箱型の装置本体2を備えている。装置本体2の下部には、用紙S(記録媒体の一例)を収納する給紙カセット3が収容されている。装置本体2の上面には排紙トレイ4が設けられている。装置本体2の上部には、排紙トレイ4の下側に露光器5が収容されている。
装置本体2の内部には、用紙Sの搬送経路Pが設けられている。搬送経路Pの上流端部には、給紙部6が設けられている。搬送経路Pの中流部には、画像形成部7が設けられている。画像形成部7は、感光体ドラム8と現像装置10を有する。搬送経路Pの下流部には、定着装置12が設けられている。
次に、このような構成を備えた画像形成装置1の動作について説明する。
まず、露光器5からのレーザー光(図1の二点鎖線参照)により感光体ドラム8上に静電潜像が形成される。次に、現像装置10が感光体ドラム8上の静電潜像を現像し、トナー像を形成する。これにより、画像形成動作が完了する。
一方、給紙部6によって給紙カセット3から取り出された用紙Sは、上記した画像形成動作とタイミングを合わせて画像形成部7へと搬送され、この画像形成部7において上記のトナー像が感光体ドラム8から用紙Sに転写される。トナー像を転写された用紙Sは定着装置12に進入し、この定着装置12において用紙Sにトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙Sは、搬送経路Pの下流端部から排紙トレイ4に排出される。
次に、定着装置12について更に説明する。なお、図2に付される矢印Yは、定着装置12における用紙Sの搬送方向を示している。また、各図に適宜付される矢印Oは定着装置12の前後方向外側を示し、各図に適宜付される矢印Iは定着装置12の前後方向内側を示している。
図2、図3を参照して、定着装置12は、定着ローラー21(定着部材の一例)と、定着ローラー21に収容されるヒーター22と、定着ローラー21の下側に設けられる加圧ローラー23と、定着ローラー21の左側に設けられるホルダー24及び4個の分離爪25(分離部材の一例)と、ホルダー24の左側に設けられる取付部材26と、各分離爪25と取付部材26の間に介装される4個の引張りバネ27(押圧部材の一例)と、定着ローラー21の前側に設けられる移動機構28と、ホルダー24と取付部材26の間に配置されるピニオンギア29と、を備えている。
図2を参照して、定着装置12の定着ローラー21は、円筒状を成しており、前後方向に沿って延びている。定着ローラー21は、前後方向に沿って延びている回転軸Xの周りを回転可能に設けられている。つまり、本実施形態では、前後方向が定着ローラー21の回転軸方向である。
定着ローラー21は、例えば、円筒状の芯材と、この芯材を被覆する離型層と、を備えている。定着ローラー21の芯材は、例えば、アルミニウムや鉄等の金属によって構成されている。定着ローラー21の離型層は、例えば、PFA(Per Fluoro Alkoxy)等のフッ素系樹脂によって構成されている。
図3を参照して、定着ローラー21の外周面には、中央領域21Aと、中央領域21Aの前後方向両外側に設けられる一対の端部領域21Bと、が形成されている。中央領域21Aは、第1サイズの用紙S(例えば、A5縦サイズの用紙S)と、第1サイズの用紙Sよりも大きい第2サイズの用紙S(例えば、A4縦サイズの用紙S)と、が両方とも通過する領域である。一対の端部領域21Bは、第1サイズの用紙Sが通過せず、第2サイズの用紙Sが通過する領域である。
図2を参照して、定着装置12のヒーター22は、例えば、ハロゲンヒーターによって構成されている。ヒーター22は、電力が供給されることによって発熱し、定着ローラー21を加熱するように構成されている。
定着装置12の加圧ローラー23は、円柱状を成しており、前後方向に沿って延びている。加圧ローラー23は、回転可能に設けられている。加圧ローラー23は、定着ローラー21に所定の圧力で接触しており、定着ローラー21と加圧ローラー23の間には定着ニップNが形成されている。
加圧ローラー23は、例えば、円柱状の芯材と、この芯材の周りに設けられる弾性層と、この弾性層を被覆する離型層と、を備えている。加圧ローラー23の芯材は、例えば、アルミニウムや鉄等の金属によって構成されている。加圧ローラー23の弾性層は、例えば、シリコンゴム等の弾性材料によって構成されている。加圧ローラー23の離型層は、例えば、PFA(Per Fluoro Alkoxy)等のフッ素系樹脂によって構成されている。
図2、図3を参照して、定着装置12のホルダー24は、前後方向に移動可能に設けられている。ホルダー24は、前後方向に沿って延びているベース部32と、ベース部32の前端部から左側に向かって屈曲されている屈曲部33と、ベース部32の下面から下方に向かって突出している4個のガイド部34と、を備えている。ベース部32の左面には、第1ラックギア35が設けられている。各ガイド部34は、前後一対のガイド板36を備えている。
図2を参照して、定着装置12の各分離爪25は、本体部38と、本体部38の上部から前後両外側に向かって突出している一対の軸部39(図2では、前側の軸部39のみを表示)と、本体部38の上部から左下側に向かって突出している取付部40と、本体部38の下部から右下側に向かって突出している接触部41と、を備えている。各軸部39は、ホルダー24の各ガイド部34の各ガイド板36に回転可能に取り付けられている。これにより、各ガイド部34によって各分離爪25が揺動可能に保持されている。接触部41は、先鋭形状を成している。接触部41の先端部は、定着ローラー21の外周面に接触している。接触部41の先端部には、コーティング42が施されている。
図3を参照して、各分離爪25は、前後方向に間隔をおいて配置されている。各分離爪25は、移動領域MA内で前後方向に移動可能に設けられている。4個の分離爪25のうちの前後方向内側の2個の分離爪25の移動領域MAは、定着ローラー21の中央領域21Aと前後方向の位置が重なっている。4個の分離爪25のうちの前後方向外側の2個の分離爪25の移動領域MAは、定着ローラー21の一対の端部領域21Bと前後方向の位置が重なっている。
図4を参照して、各分離爪25の移動領域MAの前後方向中央部には、1個の中央位置CPが設定されている。移動領域MAの前後方向両端部には、2個の両端位置EPが設定されている。移動領域MAの前後方向両側部には、中央位置CPと各両端位置EPの間に、2個の中間位置MPが設定されている。中央位置CPと各中間位置MPの前後方向のずれ幅W1及び各中間位置MPと各両端位置EPの前後方向のずれ幅W2は、それぞれ、1mmである。
図3を参照して、定着装置12の取付部材26は、前後方向に延びており、ホルダー24のベース部32と平行に設けられている。取付部材26は、前後方向に移動可能に設けられている。取付部材26の右面には、第2ラックギア43が設けられている。
図2を参照して、定着装置12の各引張りバネ27の軸方向一端部は、各分離爪25の取付部40に取り付けられている。各引張りバネ27の軸方向他端部は、取付部材26に取り付けられている。各引張りバネ27は、正面視で反時計方向のモーメント(図2の矢印A参照)を各分離爪25に発生させることで、各分離爪25の接触部41の先端部を定着ローラー21の外周面に対して押圧している。
図3を参照して、定着装置12の移動機構28は、駆動部44と、駆動部44に接続される移動部45と、を備えている。
移動機構28の駆動部44は、例えばモーターによって構成されており、回転可能に設けられている。駆動部44は、ギア列(図示せず)を介して定着ローラー21に接続されている。
移動機構28の移動部45は、カム48とコイルバネ49とを備えている。カム48は、カム軸48Aを中心に回転可能に設けられている。カム軸48Aからカム48の外周面までの距離は、周方向に沿って連続的に変化している。カム48は、ホルダー24の屈曲部33の前面に当接しており、ホルダー24の屈曲部33を後側(前後方向一側)に押圧している。コイルバネ49は、ホルダー24の屈曲部33の後面に当接しており、ホルダー24の屈曲部33を前側(前後方向他側)に押圧している。
定着装置12のピニオンギア29は、回転可能に設けられている。ピニオンギア29は、ホルダー24のベース部32に設けられた第1ラックギア35と噛み合うと共に、取付部材26に設けられた第2ラックギア43と噛み合っている。
上記のように構成された定着装置12において、用紙Sにトナー像Tを定着させる動作について説明する。
用紙Sにトナー像Tを定着させる際には、駆動部44を回転させる。これに伴って、駆動部44に接続された定着ローラー21が回転する(図2の矢印B参照)。これに伴って、定着ローラー21に接触する加圧ローラー23が定着ローラー21とは逆方向に回転する(図2の矢印C参照)。
また、用紙Sにトナー像Tを定着させる際には、ヒーター22に電力を供給し、ヒーター22によって定着ローラー21を加熱する。この状態で用紙Sが定着ニップNを通過すると、定着ローラー21及び加圧ローラー23によって用紙S及びトナー像Tが加熱及び加圧されて、用紙Sにトナー像Tが定着する。トナー像Tが定着された用紙Sは、各分離爪25の接触部41によって定着ローラー21の外周面から分離される。これにより、定着ローラー21の外周面への用紙Sの巻き付きが抑制される。
ところで、上記のように構成された定着装置12において、定着ローラー21の外周面の同一箇所に各分離爪25が接触し続けると、各分離爪25によって定着ローラー21の外周面が局所的に削られて、定着ローラー21の外周面の偏摩耗につながる恐れがある。そこで、本実施形態では以下のようにして、定着ローラー21の外周面の偏摩耗を抑制している。
図3を参照して、用紙Sの搬送時に駆動部44が回転すると、駆動部44の回転が移動部45のカム48に伝達され、カム48が回転する。このようにカム48が回転すると、カム48がホルダー24の屈曲部33を押圧する位置が前後方向に変化する。これに伴って、ホルダー24が前後方向に往復移動すると共に、ホルダー24に保持された各分離爪25が移動領域MA内でホルダー24と一体に前後方向に往復移動する。
以上のように、本実施形態では、移動機構28によって各分離爪25を移動領域MA内で往復移動させている。これに伴って、定着ローラー21の外周面に対する各分離爪25の接触位置を前後方向に変化させることが可能となり、定着ローラー21の外周面の偏摩耗を抑制することができる。
次に、上記のように構成された定着装置12において、各分離爪25と定着ローラー21の接触時間について、図5、図6を参照しつつ説明する。
図5においてハッチングが付されている領域は、各分離爪25を模式的に示している。図5に付される符号P1は、移動領域MA内における前後方向中央の地点を示している。以下、この地点のことを、第1接触点P1と称する。図5に付される符号P2は、第1接触点P1から前後方向両外側に1mmずれた各地点を示している。以下、これらの地点のことを、第2接触点P2と称する。図5に付される符号P3は、各第2接触点P2から前後方向両外側に1mmずれた各地点を示している。以下、これらの地点のことを、第3接触点P3と称する。図5に付される符号P4は、各第3接触点P3から前後方向両外側に1mmずれた各地点を示している。以下、これらの地点のことを、第4接触点P4と称する。
図5を参照して、本実施形態に係る定着装置12では、各分離爪25の前後幅は3mmであり、移動領域MAの前後幅は7mmである。従って、各分離爪25は、移動領域MA内において前後方向に4mm移動可能である。各分離爪25は、1mm/秒の速度で前後方向に連続的に移動している。
図6を参照して、各分離爪25が移動領域MAを1往復するのに要する時間を1サイクルとした場合、各接触点P1〜P4における1サイクル(8秒間)ごとの各分離爪25と定着ローラー21の接触時間(以下、単に「接触時間」と称する)は、それぞれ、6秒、5秒、3秒、1秒である。また、各接触点P1〜P4における目標時間(5000秒間=8秒間×625サイクル)到達時の接触時間は、それぞれ、3750秒、3125秒、1875秒、625秒である。従って、最大接触時間(第1接触点P1における接触時間)に対する各接触点P1〜P4における接触時間の比率は、それぞれ、100%、83%、50%、17%である。
以上のように、本実施形態に係る定着装置12では、各接触点P1〜P4における接触時間に大きな偏りが生じている。具体的には、第1接触点P1(移動領域MAの前後方向中央の地点)における接触時間と各第4接触点P4(移動領域MAの前後方向両端側の地点)における接触時間の差が非常に大きくなっている。そのため、定着ローラー21の摩耗量(摩耗深さ)に大きな偏りが発生し、移動領域MAの前後方向中央において定着ローラー21の最大摩耗量が定着ローラー21の摩耗量の許容限界に早期に到達してしまい、定着ローラー21の寿命が短くなってしまう恐れがある。そこで、本実施形態では以下のようにして、定着ローラー21の摩耗量の均一化を図っている。
図3は、各分離爪25が移動領域MAの中央位置CPにある状態を示している。この状態では、各引張りバネ27の長さはL1になっており、これに伴って、各分離爪25の定着ローラー21に対する押圧荷重はZ1になっている。
このように各分離爪25が移動領域MAの中央位置CPにある状態からカム48が一方向に回転すると、カム48がホルダー24を押圧する位置が後側に変化する。これに伴って、図7に示されるように、ホルダー24が後側(前後方向一側)に移動し、ホルダー24に保持された各分離爪25が移動領域MAの中央位置CPから後側の両端位置EPまで移動する。
また、上記のようにホルダー24が後側(前後方向一側)に移動すると、ホルダー24とピニオンギア29を介して接続された取付部材26が前側(前後方向他側)に移動する。これにより、各分離爪25と取付部材26の間に介装された各引張りバネ27の長さがL1からL2(L2>L1)に変化する。これに伴って、各引張りバネ27が発生させるモーメント(図2の矢印A参照)が大きくなり、各分離爪25の定着ローラー21に対する押圧荷重がZ1からZ2(Z2>Z1)に変更される。
このように各分離爪25が移動領域MAの後側の両端位置EPにある状態からカム48が更に一方向に回転すると、カム48がホルダー24を押圧する位置が前側に変化する。これに伴って、ホルダー24が前側(前後方向他側)に移動し、ホルダー24に保持された各分離爪25が移動領域MAの後側の両端位置EPから中央位置CPまで移動する。これに伴って、各引張りバネ27の長さがL2からL1に復元し、各分離爪25の定着ローラー21に対する押圧荷重がZ2からZ1に復元する。
このように各分離爪25が移動領域MAの中央位置CPにある状態からカム48が一方向に更に回転すると、カム48がホルダー24を押圧する位置が前側に変化する。これに伴って、図8に示されるように、ホルダー24が前側(前後方向他側)に移動し、ホルダー24に保持された各分離爪25が移動領域MAの中央位置CPから前側の両端位置EPまで移動する。
また、上記のようにホルダー24が前側(前後方向他側)に移動すると、ホルダー24とピニオンギア29を介して接続された取付部材26が後側(前後方向一側)に移動する。これにより、各分離爪25と取付部材26の間に介装された各引張りバネ27の長さがL1からL2(L2>L1)に変化する。これに伴って、各引張りバネ27が発生させるモーメント(図2の矢印A参照)が大きくなり、各分離爪25の定着ローラー21に対する押圧荷重がZ1からZ2(Z2>Z1)に変更される。
このように各分離爪25が移動領域MAの前側の両端位置EPにある状態からカム48が更に一方向に回転すると、カム48がホルダー24を押圧する位置が後側に変化する。これに伴って、ホルダー24が後側(前後方向一側)に移動し、ホルダー24に保持された各分離爪25が移動領域MAの前側の両端位置EPから中央位置CPまで移動する。これに伴って、各引張りバネ27の長さがL2からL1に復元し、各分離爪25の定着ローラー21に対する押圧荷重がZ2からZ1に復元する。
以上のように、本実施形態に係る定着装置12では、各分離爪25が移動領域MAの中央位置CPにある時の各分離爪25の定着ローラー21に対する押圧荷重Z1が、各分離爪25が移動領域MAの両端位置EPにある時の各分離爪25の定着ローラー21に対する押圧荷重Z2よりも小さい。そのため、移動領域MAの中央位置CPにおける定着ローラー21の摩耗を抑制することが可能となる。これに伴って、定着ローラー21の摩耗量(摩耗深さ)を均一化することが可能となり、定着ローラー21の最大摩耗量が定着ローラー21の摩耗量の許容限界に到達するまでの時間を長くして、定着ローラー21の長寿命化を実現することが可能となる。
また、移動機構28は、回転可能な駆動部44と、駆動部44に接続され、駆動部44の回転に伴ってホルダー24を前後方向に移動させる移動部45と、を備えている。このような構成を採用することで、簡易な構成によって各分離爪25を前後方向に移動させることが可能となる。
また、ホルダー24が後側(前後方向一側)に移動すると、取付部材26が前側(前後方向他側)に移動して引張りバネ27の長さが変化し、各分離爪25の定着ローラー21に対する押圧荷重が変更されている。このような構成を採用することで、簡易な構成によって各分離爪25の定着ローラー21に対する押圧荷重を変更することが可能となる。
また、ホルダー24には、ピニオンギア29と噛み合う第1ラックギア35が設けられ、取付部材26には、ピニオンギア29と噛み合う第2ラックギア43が設けられている。このような構成を採用することで、ラックアンドピニオン機構を用いて、ホルダー24の移動方向とは反対の方向に取付部材26を大きく移動させることが可能となる。これに伴って、各分離爪25の定着ローラー21に対する押圧荷重を大きく変更することが可能となる。
また、定着ローラー21は、駆動部44に接続され、駆動部44の回転に伴って回転している。このような構成を採用することで、単一の駆動部44を用いて、各分離爪25を前後方向に移動させ、定着ローラー21を回転させることが可能となり、定着装置12の構成の複雑化を抑制することが可能となる。
また、画像形成装置1は、定着ローラー21の長寿命化を実現可能な定着装置12を備えている。そのため、画像形成装置1の長寿命化を実現することが可能となる。
本実施形態では、単一の駆動部44を用いて、各分離爪25を前後方向に移動させ、定着ローラー21を回転させている。一方で、他の異なる実施形態では、各分離爪25を前後方向に移動させる駆動部と定着ローラー21を回転させる駆動部が別々に設けられていても良い。
本実施形態では、引張りバネ27を用いて各分離爪25の接触部41の先端部を定着ローラー21の外周面に対して押圧している。一方で、他の異なる実施形態では、ねじりバネなどの引張りバネ27以外の押圧部材を用いて各分離爪25の接触部41の先端部を定着ローラー21の外周面に対して押圧しても良い。
本実施形態では、移動部45がカム48とコイルバネ49を備えている。一方で、他の異なる実施形態では、移動部45がカム48とコイルバネ49以外の機構(例えば、ラックアンドピニオン機構)を備えていても良い。つまり、移動部45は、各分離爪25を前後方向に移動させることができるものであれば、どのような機構であっても良い。
本実施形態では、定着ローラー21によって定着部材が構成されている。一方で、他の異なる実施形態では、定着ベルトによって定着部材が構成されていても良い。
本実施形態では、画像形成装置1がプリンターである。一方で、他の異なる実施形態では、画像形成装置1がコピー機、ファクシミリ、複合機(プリント機能、コピー機能及びファックス機能等を複合的に備えた画像形成装置)等であっても良い。
1 画像形成装置
12 定着装置
21 定着ローラー(定着部材の一例)
24 ホルダー
25 分離爪(分離部材の一例)
26 取付部材
27 引張りバネ(押圧部材の一例)
28 移動機構
29 ピニオンギア
35 第1ラックギア
43 第2ラックギア
44 駆動部
45 移動部
MA 移動領域
CP 中央位置
EP 両端位置
S 用紙(記録媒体の一例)
T トナー像
X 回転軸

Claims (6)

  1. 回転軸の周りを回転し、記録媒体にトナー像を定着させる定着部材と、
    前記定着部材に接触し、前記定着部材から記録媒体を分離させる分離部材と、
    前記分離部材を所定の移動領域内で前記回転軸方向に移動させる移動機構と、
    前記分離部材を前記定着部材に対して押圧する押圧部材と、を備え、
    前記分離部材が前記移動領域の中央位置にある時の前記分離部材の前記定着部材に対する押圧荷重が、前記分離部材が前記移動領域の両端位置にある時の前記分離部材の前記定着部材に対する押圧荷重よりも小さいことを特徴とする定着装置。
  2. 前記分離部材を揺動可能に保持するホルダーを更に備え、
    前記移動機構は、
    回転可能な駆動部と、
    前記駆動部に接続され、前記駆動部の回転に伴って前記ホルダーを前記回転軸方向に移動させる移動部と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記回転軸方向に移動可能な取付部材を更に備え、
    前記押圧部材は、前記分離部材と前記取付部材の間に介装される引張りバネであり、
    前記ホルダーが前記回転軸方向一側に移動すると、前記取付部材が前記回転軸方向他側に移動して前記引張りバネの長さが変化し、前記分離部材の前記定着部材に対する押圧荷重が変更されることを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記ホルダーと前記取付部材の間に配置されるピニオンギアを更に備え、
    前記ホルダーには、前記ピニオンギアと噛み合う第1ラックギアが設けられ、
    前記取付部材には、前記ピニオンギアと噛み合う第2ラックギアが設けられていることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
  5. 前記定着部材は、前記駆動部に接続され、前記駆動部の回転に伴って回転することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の定着装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の定着装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
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