JP2004177568A - 電子写真装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】分離爪による画像支持体又は定着部材の損傷が無く、分離爪にトナーが堆積せず転写媒体の汚れが発生しない高画質を達成する電子写真装置を提供する。
【解決手段】前記分離爪を回転自在に支持する第一支持材と、前記第一支持材により支持された前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材の方向又はその反対方向にスライドさせるガイド部と、前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に当接する位置で停止させる前記ガイド部に形成する第一ストッパと、前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に付圧させる第一弾性部材と、前記第一支持材を前記第一ストッパに付圧させる第二弾性部材とを備え、前記第一弾性部材の付圧力より前記第二弾性部材の付圧力を大きく設定する。
【選択図】 図2
【解決手段】前記分離爪を回転自在に支持する第一支持材と、前記第一支持材により支持された前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材の方向又はその反対方向にスライドさせるガイド部と、前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に当接する位置で停止させる前記ガイド部に形成する第一ストッパと、前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に付圧させる第一弾性部材と、前記第一支持材を前記第一ストッパに付圧させる第二弾性部材とを備え、前記第一弾性部材の付圧力より前記第二弾性部材の付圧力を大きく設定する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トナーを現像材として用い、トナー画像を形成して媒体に転写を行う画像支持体又は媒体に転写されたトナー画像を定着させる一つ又は複数の定着部材への媒体の巻き付きを防止するための分離爪が配置される電子写真装置において、分離爪による前記画像支持体又は前記定着部材の損傷が無く、分離爪にトナーが堆積せず転写媒体の汚れが発生しない高画質を達成する電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真装置では、転写媒体の前記画像支持体への巻き付き防止及び前記定着部材である定着ローラへの巻き付き防止として分離爪が用いられている。
【0003】
定着装置の排紙部で媒体が詰まって蛇腹状となるジャムと呼ばれる状態が生じた場合に、分離爪が詰まった転写紙によって押されても、分離爪の爪先によって定着ローラの表層が剥ぎ取られてしまう等の損傷が生じるのを防止する従来技術には、一つ目は、一方の端部の回転支点で本体側に支持され、他方の端部の爪先が所定の圧力で定着ローラに接していて、定着ローラに付着した転写紙を剥離する定着装置の分離爪において、通常は直線形状であって、紙詰まり時には定着ローラ側にのみ屈曲するように、前記回転支点を有する支持部と、この支持部に回転可能に連結され、前記爪先を有する爪先部とから構成し、且つ前記爪先部の前記定着ローラ側の側面には、前記屈曲時に定着ローラ表面に当接して、テコの作用により前記爪先を定着ローラ表面から離れさせるためのテコ部材を設けている。
【0004】
そして、定着装置の排紙部で紙詰まりが生じて、詰まった転写紙によって分離爪が押されると、分離爪は通常の直線形状から、支持部と爪先部が各回転支点を中心に回転して定着ローラ側に屈曲した状態になり、爪先部のテコ部材が定着ローラ表面に押し付けられて、これを支点とするテコの作用により、爪先部の爪先が定着ローラ表面から浮き上がる。これにより、前記爪先が定着ローラ表面を破損するのを防止する技術がある(特許文献1参照)。
【0005】
また、二つ目には、分離爪を、転写紙の搬送方向と同一方向に平行移動自在になるように、スライド軸を介してガイド部材に支持させ、更に、上記スライド軸とガイド部材の間に圧縮バネを介在させて、分離爪を加熱ローラの表面に当接付勢させるようにした構成とし、又、ガイド部材をパイプ状とし、ガイド部材とスライド軸の嵌め合い形状を転写紙搬送方向以外には可動できない非円形とした構成とする。
【0006】
これにより、分離爪は、搬送方向以外の方向には可動できないので、転写紙に蛇腹状ジャムが発生しても分離爪は上下移動することがなく、しかも該転写紙との摩擦力の増加に伴って分離爪には搬送下流側の加熱ローラから離れる方向への移動力が作用するので、加熱ローラ表面へのくい込みが防止される技術がある(特許文献2参照)。
【0007】
また、分離爪にトナーが堆積せず転写媒体の汚れを発生しないようにする技術には、定着装置用分離爪に付着したトナー塊を、分離爪の転写材に摺接しない部位に移動することを目的として、分離爪5底部の転写材に摺接する頂部5Cを4つの斜面をもって形成し、熱ローラ1に接する圧接部5B背面に位置する斜面にV字状の溝から成るトナー溜り5Dを設け、頂部5Cに付着したトナー塊が成長に伴って順次トナー溜り5Dに収容されるように構成した技術がある(特許文献3参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−307336号公報(第1−5頁、第1図)
【特許文献2】
特開平6−11992号公報(第1−3頁、第1図)
【特許文献3】
特開平5−61377号公報(第1−3頁、第2図)
【0009】
しかしながら、従来の分離爪による画像支持体又は定着ローラの損傷を防止する方法、及び分離爪へのトナー堆積を防止する方法では、以下の問題点があった。
【0010】
前記特許文献1の技術は、分離爪が屈曲しても爪先端は定着ローラ表面に接触しており、ジャムの媒体に押されて前記分離爪が前記定着ローラ表面に食い込み、前記定着ローラ表層を剥ぎ取ることがあった。
【0011】
また、ここで、通常回転支点を有する分離爪にかかる力を、分離爪が定着ローラに接して設けられている場合で説明すると、以下の3種類がある。
【0012】
(1)正常通紙している場合
この場合、分離爪には10g以下の力しかかからない。分離爪の定着ローラに対する付圧力は通常数十g程度あり、分離爪が定着ローラから離れて分離不良になるようなことはない。
【0013】
(2)分離爪によってジャム回避可能になる場合
カール等のある媒体は正常搬送通路からそれようとするが、媒体先端が分離爪に接触し正常搬送通路に強制的に戻される。この場合、媒体先端が通過する瞬間であるが分離爪に数百gの強い力がかかる。しかし、回転支点を有する分離爪に対して瞬間的に分離爪付圧力以上の力を与えても分離爪が定着ローラからすぐに離れて分離不良になることは無い。
【0014】
その理由は、回転支点を有する物体に瞬間的な力を与えると、物体はまず力の作用力方向にスライド移動しようとし、更に若干遅れて回転運動をおこす。そのため分離爪に瞬間的に大きな力を加えても分離爪の回転支点がその反力に耐え、分離爪が定着ローラからすぐに離れるようなことはなく分離不良は発生しない。更に若干遅れて分離爪が回転して定着ローラから離れるが、その時には媒体先端が通過して分離は終えておりジャム等が発生することは無い。
【0015】
(3)ジャム発生時
分離爪にはジャム媒体搬送動作が停止されるまで継続的に更に強い力、例えば数kg程度が作用する。この場合、分離爪の回転支点が強い作用力によって変形したり、分離爪先端がジャム媒体に押されて定着ローラ表面に食い込み、定着ローラ表層を剥ぎ取ることもある。
【0016】
前記特許文献2の技術のような回転支点を持たない横スライド付圧で、かつ、その分離爪を定着ローラへ付圧する付圧力が数十gでは、前記(3)のジャム発生時には有効であるが、回転支点方式ならばジャム回避可能な上記(2)の瞬間作用力でも分離爪が定着ローラから逃げてしまいジャム発生頻度があがってしまうという問題があった。
【0017】
また、前記特許文献3の技術のような分離爪にトナー溜り誘導溝を設けたとしても、溶融状態のトナーは粘性が高く誘導不良が発生することがあるという問題があった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
そのため、本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、課題は以下のとおりである。
【0019】
本発明は、トナーを現像材として用い、トナー画像を形成して媒体に転写を行う画像支持体又は媒体に転写されたトナー画像を定着させる一つ又は複数の定着部材への媒体の巻き付きを防止するための分離爪が配置される電子写真装置において、前記分離爪による前記画像支持体又は前記定着部材の損傷が無く、前記分離爪にトナーが堆積せず転写媒体の汚れが発生しない高画質を達成する電子写真装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、この発明では、以下の手段を採った。
【0021】
トナーを現像材として用い、トナー画像を形成して媒体に転写を行う画像支持体又は媒体に転写されたトナー画像を定着させる一つ又は複数の定着部材への媒体の巻き付きを防止するための分離爪が配置される電子写真装置において、前記分離爪を回転自在に支持する第一支持材と、前記第一支持材により支持された前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材の方向又はその反対方向にスライドさせるガイド部と、前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に当接する位置で停止させる前記ガイド部に形成する第一ストッパと、前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に付圧させる第一弾性部材と、前記第一支持材を前記第一ストッパに付圧させる第二弾性部材とを備え、前記第一弾性部材の付圧力より前記第二弾性部材の付圧力を大きく設定する。
【0022】
このように構成される電子写真装置によれば、前記第二弾性部材が前記第一支持材を前記第一ストッパに付圧させることで前記分離爪の回転に対するモーメントは微小であり、前記第一弾性部材の付圧力へ影響を及ぼさない。したがって、前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に付圧させる前記第一弾性部材の付圧力と、前記分離爪の位置を保持する前記第二弾性部材の付圧力を個別に設定することが可能となり、前記特許文献2の技術のようにジャム以外でも分離爪が逃げてしまいジャム発生の要因となるという問題が発生しない。即ち、前記、(1)正常通紙している場合、及び(2)分離爪によってジャム回避可能になる場合の両方で媒体分離不良が発生せず、(3)ジャム発生時には前記分離爪が前記画像支持体又は前記定着部材から退避するようスライド移動して、傷つきを防止することが可能となる。
【0023】
これにより、前記分離爪による前記画像支持体又は前記定着部材の損傷が無い電子写真装置が提供できる。
【0024】
また、前記電子写真装置は、前記分離爪が媒体により押されて前記画像支持体又は前記定着部材の方向とは反対方向へスライドした場合に、前記分離爪に当接されて前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材から離れる方向に回転させる位置に第二ストッパを備える。
【0025】
このように構成される電子写真装置によれば、前記分離爪が媒体により押されて前記画像支持体又は前記定着部材の方向とは反対方向へスライドした場合に、前記分離爪が前記第二ストッパにより前記画像支持体又は前記定着部材から離れる方向に回転するために、前記特許文献1の技術のような詰まった転写紙によって分離爪が押されて定着ローラ表面に食い込み、定着ローラ表層を剥ぎ取る問題が発生しない。
【0026】
また、前記電子写真装置は、前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に選択的に接触及び退避する選択的爪位置設定手段を備え、前記選択的爪位置設定手段は、トナー画像を媒体に転写・定着するプロセスにおいて前記分離爪が配置される位置に媒体が搬送されないタイミングに同期させて前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材から退避し、かつ前記分離爪が配置される位置に媒体が搬送されるタイミングに同期させて前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に接触させる。
【0027】
通常、トナー画像の転写・定着プロセスにおいて、媒体がトナー画像の転写・定着が行われる前記画像支持体と前記定着部材のニップ部にある時は、かぶりと呼ばれる非印字部の地汚れトナーは媒体に転写されるために分離爪の汚れ蓄積は微小である。またトナー画像の転写・定着プロセスにおいて媒体がトナー画像の転写・定着が行われる前記画像支持体と前記定着部材のニップ部にない場合は、かぶりによる地汚れトナーは分離爪に蓄積され分離爪汚れが増大する。
【0028】
前記のように構成される電子写真装置によれば、トナー画像を媒体に転写・定着するプロセスにおいて、前記選択的爪位置設定手段により前記分離爪が配置される位置に媒体が搬送されないタイミングに同期させて前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材から退避することでかぶりによる地汚れトナーが前記分離爪に堆積するのを防止できる。
【0029】
また、前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に接触した時に前記分離爪先端と前記画像支持体又は前記定着部材との間に微小にせき止められる不要トナーが前記分離爪退避時に前記分離爪から落ちるために、前記分離爪先端の不要トナーが大きく塊に成長することがなく、前記特許文献3の技術のようなトナー溜り誘導が不要となり誘導不良という問題が発生しない。
【0030】
また、前記選択的爪位置設定手段に偏心カムを用い、前記偏心カムを前記第二ストッパと兼用する。
【0031】
このように構成される電子写真装置によれば、前記偏心カムを前記選択的爪位置設定手段と前記第二ストッパとに兼用することで、前記分離爪が詰まった媒体に押されて前記画像支持体又は前記定着部材の表層に食い込み、表層を剥ぎ取る問題と、前記特許文献3の技術のようなトナー溜り誘導不良の問題との解消を安価で実現できる。
【0032】
また、前記画像支持体又は前記定着部材と接触する前記分離爪先端の稜線を半径10μm〜100μmに設定し、かつ、前記稜線の両端部を半径100μm〜1000μmに設定する。
【0033】
分離爪先端は鋭角なほど媒体分離性能は向上する。しかし分離爪先端が鋭角なほど前記画像支持体又は前記定着部材に対して傷つけ易くなる。このように構成される電子写真装置によれば、前記画像支持体又は前記定着部材と接触する前記分離爪先端の稜線を半径10μm〜100μmに設定し、かつ、前記稜線の両端部を半径100μm〜1000μmに設定することにより、媒体分離性能と前記画像支持体又は前記定着部材に対する傷つけ防止を両立することが可能となる。
【0034】
また、前記第一支持材と前記第二ストッパの少なくともどちらか一方が、前記分離爪先端が前記画像支持体又は前記定着部材と接触する位置における前記画像支持体又は前記定着部材周上の接線に対して前記画像支持体又は前記定着部材側にある。
【0035】
このように構成される電子写真装置によれば、前記第一支持材と第二ストッパの少なくともどちらか一方が、前記分離爪先端が前記画像支持体又は前記定着部材と接触する位置における前記画像支持体又は前記定着部材周上の接線よりも前記画像支持体又は前記定着部材側にある場合、ジャム時に前記分離爪がジャム媒体より前記接線方向に押されると、媒体の進行方向より下に回転支点があると前記画像支持体又は前記定着部材から離れる方向に回転する力を受けることになる。そのため、ジャムの媒体に押されて前記分離爪が前記画像支持体又は前記定着部材の表層に食い込み、前記表層を剥ぎ取る問題が発生しない。
【0036】
また、前記第一支持材と前記第二ストッパが共に、前記分離爪先端が前記画像支持体又は前記定着部材と接触する位置における前記画像支持体又は前記定着部材周上の接線に対して前記画像支持体又は前記定着部材側にあり、かつ前記分離爪の前記画像支持体又は前記定着部材への接触角度が100度±10度である。
【0037】
このように構成される電子写真装置によれば、前記第一支持材と前記第二ストッパが共に、前記分離爪先端が前記画像支持体又は前記定着部材と接触する位置における前記画像支持体又は前記定着部材周上の接線に対して前記画像支持体又は前記定着部材側にある場合、ジャム時に前記分離爪がジャム媒体より前記接線方向に押されると、媒体の進行方向より下に、前記第一支持材と、前記第二ストッパという二つの回転支点があるため、前記画像支持体又は前記定着部材から離れる方向により積極的に回転する力を受けることになる。これにより、より確実に前記分離爪による前記画像支持体又は前記定着部材の表層の損傷を防止できる。
【0038】
また、前記分離爪の前記画像支持体又は前記定着部材への接触角度が100度±10度であることにより、スティックスリップと呼ばれる前記分離爪の微小振動が発生せず、ジャム時での前記分離爪の前記画像支持体又は前記定着部材からの離脱が円滑になり、より確実に前記分離爪による損傷を防止できる。
【0039】
【発明の実施の形態】
本発明は、次に示す実施の形態を取った。なお、以下において、同じ箇所は同一の符号を付しており、詳細な説明を省略することがある。
【0040】
図1は本発明を適用した電子写真装置の要部を例示する平面図である。なお、図1では前記画像支持体を損傷することなく前記画像支持体への媒体の巻きつきを防止し、かつ、かぶりによる地汚れトナーが前記分離爪に堆積することを防止する前記分離爪を含む媒体分離部15を示しており、前記定着部材を損傷することなく前記定着部材への媒体の巻きつきを防止し、かつ、かぶりによる地汚れトナーが前記分離爪に堆積することを防止する同じ機構をもつ媒体分離部15は説明を簡単にするために図示を省略している。
【0041】
また、図2は図1の電子写真装置を、図1のAの断面で矢印方向に見た一実施例の正面図である。
【0042】
また、図3は図1の電子写真装置を、図1のBの断面で矢印方向に見た一実施例の正面図である。
【0043】
前記定着部材であるバックアップローラ10は、前記画像支持体である中間転写ドラム12から媒体に転写されたトナー画像を加熱、加圧して定着させる。なお、内部に媒体をトナー画像の軟化温度(ガラス転移温度)以上に加熱するためのヒータ11を持つ。
【0044】
中間転写ドラム12は、トナー粒子から成るトナー画像が図示しない感光ドラムから転写され、媒体に転写を行う。なお、内部に転写されたトナー画像を軟化温度以上に加熱するためのヒータ11を持つ。
【0045】
媒体分離部15は第一フレーム2、分離爪4、第一支持材1、第二支持材6、前記第一弾性部材である引張りバネ5、前記第二弾性部材である圧縮バネ14から構成される。
【0046】
第一フレーム2は媒体分離部15の筐体であり、第一支持材1により支持された分離爪4を中間転写ドラム12方向及びその反対方向にスライドさせるガイド部17を両側に備える。
【0047】
第一ストッパ13は分離爪4を中間転写ドラム12に当接する位置で停止させるもので前記ガイド部17に形成し、図3の例ではガイド部17の端部で中間転写ドラム12に一番近い端部が第一ストッパ13である。
【0048】
分離爪4は、中間転写ドラム12と、バックアップローラ10とのニップ部から排出される媒体が中間転写ドラム12に巻き付くのを防止する。
【0049】
第一支持材1は、分離爪4を回転自在に支持する。
【0050】
第二支持材6は、引張りバネ5の端部を支持する。
【0051】
引張りバネ5は、分離爪4の先端を中間転写ドラム12に付圧させる引張りバネである。
【0052】
圧縮バネ14は、第一支持材1を第一ストッパ13に付圧させる圧縮バネであり、付圧力8の方向に付圧させる。
【0053】
図1に示すように、トナーを現像材として用い、トナー画像を形成して媒体に転写を行う画像支持体又は媒体に転写されたトナー画像を定着させる一つ又は複数の定着部材への媒体の巻き付きを防止するための分離爪が配置される電子写真装置において、分離爪4を回転自在に支持する第一支持材1と、第一支持材1により支持された分離爪4を中間転写ドラム12又はバックアップローラ10の方向又はその反対方向にスライドさせるガイド部17と、分離爪4を中間転写ドラム12又はバックアップローラ10に当接する位置で停止させる前記ガイド部17に形成する第一ストッパ13と、前記分離爪を中間転写ドラム12又はバックアップローラ10に付圧させる引張りバネ5と、前記第一支持材1を第一ストッパ13に付圧させる圧縮バネ14とを備え、引張りバネ5の付圧力より圧縮バネ14の付圧力を大きく設定する。
【0054】
上記の形態をとることにより、圧縮バネ14が第一支持材1を第一ストッパ13に付圧させることで分離爪4の回転に対するモーメントは微小であり、引張りバネ5の付圧力へ影響を及ぼさない。したがって、分離爪4を中間転写ドラム12又はバックアップローラ10に付圧させる引張りバネ5の付圧力と、分離爪4の位置を保持する圧縮バネ14の付圧力を個別に設定することが可能となり、前記特許文献2の技術のようにジャム以外でも分離爪が逃げてしまいジャム発生の要因となるという問題が発生しない。即ち、前記の(1)正常通紙している場合、及び(2)分離爪によってジャム回避可能になる場合の両方で媒体分離不良が発生せず、(3)ジャム発生時には分離爪4が中間転写ドラム12又は定着部材10から退避するようスライド移動して、傷つきを防止することが可能となる。
【0055】
これにより、前記分離爪による前記画像支持体又は前記定着部材の損傷が無い電子写真装置を提供できる。
【0056】
また、図4は図1の電子写真装置を、図1のAの断面で矢印方向に見たその他の一実施例の正面図である。
【0057】
また、図5は図1の電子写真装置を、図1のBの断面で矢印方向に見たその他の一実施例の正面図である。
【0058】
第二ストッパ21は、分離爪4がジャムの媒体により中間転写ドラム12の方向とは反対方向へ押された場合に、分離爪4に当接されて分離爪4を中間転写ドラム12から離れる方向に回転させる。
【0059】
図4に示すように、前記電子写真装置は、分離爪4が媒体により押されて中間転写ドラム12又はバックアップローラ10の方向とは反対方向へスライドした場合に、分離爪4に当接されて分離爪4を中間転写ドラム12又はバックアップローラ10から離れる方向に回転させる位置に第二ストッパ21を備える。
【0060】
上記の形態をとることにより、ジャム発生時に分離爪4がジャム媒体に押されて中間転写ドラム12又はバックアップローラ10の方向とは反対方向にスライドした場合に、分離爪4が第二ストッパ21により中間転写ドラム12又はバックアップローラ10から離れる方向に回転するために、前記特許文献1の技術のような詰まった転写紙によって分離爪が押されて定着ローラ表面に食い込み、定着ローラ表層を剥ぎ取る問題が発生しない。
【0061】
なお、ここで、図1の媒体分離部15で、分離爪4がジャムの媒体に押されて中間転写ドラム12の方向とは反対方向にスライドした場合に、分離爪4が第二ストッパ21を回転支点として中間転写ドラム12から離れるように回転する様子を、図1のAの断面で矢印方向に見たその他の一実施例の正面図を図6に、図1のBの断面で矢印方向に見たその他の一実施例の正面図を図7に示す。
【0062】
また、図8は本発明を適用した電子写真装置の要部を例示する平面図である。なお、図8では前記画像支持体を損傷することなく前記画像支持体への媒体の巻きつきを防止し、かつ、かぶりによる地汚れトナーが前記分離爪に堆積することを防止する前記分離爪を含む媒体分離部15を示しており、前記定着部材を損傷することなく前記定着部材への媒体の巻きつきを防止し、かつ、かぶりによる地汚れトナーが前記分離爪に堆積することを防止する同じ機構をもつ媒体分離部15は説明を簡単にするために図示を省略している。
【0063】
また、図9は図8の電子写真装置を、図8のCの断面で矢印方向に見たその他の一実施例の正面図である。
【0064】
また、図10は図8の電子写真装置を、図8のDの断面で矢印方向に見たその他の一実施例の正面図である。
【0065】
選択的爪位置設定手段31は分離爪4が配置される位置に媒体が搬送されないタイミングに同期させて分離爪4を中間転写ドラム12から退避し、かつ分離爪4が配置される位置に媒体が搬送されるタイミングに同期させて分離爪4を中間転写ドラム12に接触させる。
【0066】
図8、図9、図10に示すように、前記電子写真装置は、分離爪4を中間転写ドラム12又はバックアップローラ10に選択的に接触及び退避する選択的爪位置設定手段31を備え、選択的爪位置設定手段31は、トナー画像を媒体に転写・定着するプロセスにおいて分離爪4が配置される位置に媒体が搬送されないタイミングに同期させて分離爪4を中間転写ドラム12又はバックアップローラ10から退避し、かつ分離爪4が配置される位置に媒体が搬送されるタイミングに同期させて分離爪4を中間転写ドラム12又はバックアップローラ10に接触させる。
【0067】
上記の形態をとることにより、トナー画像を媒体に転写・定着するプロセスにおいて、分離爪4が配置される位置に媒体が搬送されないタイミングに同期させて分離爪4を中間転写ドラム12又はバックアップローラ10から退避することでかぶりによる地汚れトナーが分離爪4に堆積するのを防止できる。
【0068】
また、分離爪4を中間転写ドラム12又はバックアップローラ10に接触した時に分離爪4の先端と中間転写ドラム12又はバックアップローラ10との間に微小にせき止められる不要トナーが分離爪4の退避時に分離爪4から落ちるために、分離爪4の先端の不要トナーが大きく塊に成長することがなく、前記特許文献3の技術のようなトナー溜り誘導が不要となり誘導不良という問題が発生しない。
【0069】
また、図11は図1の電子写真装置を、図1のAの断面で矢印方向に見たその他の一実施例の正面図である。
【0070】
偏心カム24は、回転運動を揺動運動に変換する機械構造であり、分離爪4を中間転写ドラム12に当接させたり、退避させたりする。また、分離爪4がジャムの媒体に押されて中間転写ドラム12の方向とは反対方向にスライドした場合に、偏心カム24を回転支点として、分離爪4を中間転写ドラム12から離れるように回転させる。
【0071】
なお、図1の媒体分離部15で、分離爪4がジャムの媒体に押されて中間転写ドラム12の方向とは反対方向にスライドした場合に、偏心カム24を回転支点として中間転写ドラム12から離れるように回転する様子で、図1のAの断面で矢印方向に見たその他の一実施例の正面図を図12に示す。
【0072】
図1、図11、図12に示すように、前記選択的爪位置設定手段に偏心カム24を用い、偏心カム24を前記第二ストッパと兼用する。
【0073】
上記の形態をとることにより、偏心カム24を前記選択的爪位置設定手段と前記第二ストッパとに兼用することで、前記分離爪が詰まった媒体に押されて前記画像支持体又は前記定着部材の表層に食い込み、表層を剥ぎ取る問題と、前記特許文献3の技術のようなトナー溜り誘導不良の問題との解消を安価で実現できる。
【0074】
図13は本発明を適用した分離爪4の要部を例示したものでり、(イ)は図1において、分離爪4先端付近をAの矢印方向に拡大して見た図である。また、(ロ)は分離爪4先端を上から拡大して見た図である。
【0075】
図1、図13に示すように、中間転写ドラム12又はバックアップローラ10と接触する分離爪4先端の稜線を半径10μm〜100μmに設定し、かつ、前記稜線の両端部を半径100μm〜1000μmに設定する。
【0076】
上記の形態をとることにより、中間転写ドラム12又はバックアップローラ10と接触する分離爪4先端の稜線を半径10μm〜100μmに設定し、かつ、前記稜線の両端部を半径100μm〜1000μmに設定することにより、媒体分離性能と中間転写ドラム12又はバックアップローラ10に対する傷つけ防止を両立することが可能となる。
【0077】
また、図4の接線22は分離爪4の先端が中間転写ドラム12に接する位置における中間転写ドラム12周上の接線である。
【0078】
図4に示すように、第一支持材1と第二ストッパ21の少なくともどちらか一方が、分離爪4先端が中間転写ドラム12又はバックアップローラ10と接触する位置における中間転写ドラム12又はバックアップローラ10周上の接線22に対して中間転写ドラム12又はバックアップローラ10側にある。
【0079】
上記の形態をとることにより、ジャム時に分離爪4がジャム媒体により前記接線方向に押されると、媒体の進行方向より下に回転支点があると中間転写ドラム12又はバックアップローラ10から離れる方向に回転する力を受けることになる。そのため、ジャムの媒体に押されて前記分離爪が前記画像支持体又は前記定着部材の表層に食い込み、前記表層を剥ぎ取る問題が発生しない。
【0080】
また、図14は図1の電子写真装置を、図1のAの断面で矢印方向に見たその他の一実施例の正面図である。
【0081】
接線41は分離爪4の先端が中間転写ドラム12に接する位置における中間転写ドラム12周上の接線である。
【0082】
分離爪接触角度42は分離爪4の中間転写ドラム12への接触角度である。
【0083】
図1、図14に示すように、第一支持材1と第二ストッパ21が共に、分離爪4先端が中間転写ドラム12又はバックアップローラ10と接触する位置における中間転写ドラム12又はバックアップローラ10周上の接線に対して中間転写ドラム12又はバックアップローラ10側にあり、かつ分離爪4の中間転写ドラム12又はバックアップローラ10への接触角度が100度±10度である。
【0084】
上記の形態をとることにより、ジャム時に分離爪4がジャム媒体により前記接線方向に押されると、媒体の進行方向より下に、第一支持材1と、第二ストッパ21という二つの回転支点があるため、中間転写ドラム12又はバックアップローラ10から離れる方向により積極的に回転する力を受けることになる。これにより、より確実に前記分離爪による前記画像支持体又は前記定着部材の表層の損傷を防止できる。
【0085】
【実施例】
この発明による代表的な実施例を以下に説明する。
【0086】
図15は本発明を適用したトナー材として液体トナーを用いる電子写真装置の一実施例の全体構成図である。図示したように、該電子写真装置は、色毎のトナー画像の画像支持体である感光ドラム52、現像ローラ56、キャリア液除去ローラ53、並びに、軟化状態としたトナー画像の画像支持体である中間転写ドラム12、媒体分離部15、事前媒体加熱ローラ54、用紙ガイド57、バックアップローラ10、定着器51からなる。
【0087】
なお、媒体分離部15は、図15に示すように中間転写ドラム12、バックアップローラ10、定着器51の近傍に配置されるが、以降では中間転写ドラム12の近傍に配置された例を代表させて説明する。
【0088】
感光ドラム52は、図示しない帯電器により帯電させられた後、図示しない露光ユニットによって露光されて、静電潜像が形成される。
【0089】
現像ローラ56は、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの色別に設けられ、図示しない供給ローラにより図示しないトナー溜まりから汲み上げた液体トナーの供給を受けて、感光ドラム52上に接触して液体トナーを供給し、かつ、感光ドラム52との間の電界に従い、液体トナーの正に帯電しているトナー粒子を感光ドラム52の表面に形成された静電潜像に付着させ、トナー画像を生成する。この現像ローラ56は約500Vにバイアスされる。
【0090】
中間転写ドラム12は約−300Vにバイアスされて、感光ドラム52との間の電界に従って、感光ドラム52に付着されたトナー画像を転写、付着させる。この中間転写ドラム12は最初に、感光ドラム52に付着されたイエローのトナー画像を付着し、続いて、感光ドラム52に付着されたマゼンダのトナー画像を付着し、続いて、感光ドラム52に付着されたシアンのトナー画像を付着し、続いて、感光ドラム52に付着されたブラックのトナー画像を付着する。なお、中間転写ドラム12は、ハロゲンランプのヒータ11でトナーの軟化温度以上に加熱されており、表面に付着したトナー画像を紙媒体へ転写する際の粘着力を高めている。
【0091】
キャリア液除去ローラ53は、バイアスが印加され、中間転写ドラム12上のトナー画像に接触、回転してトナー固形分を中間転写ドラム12に電界の力で押し付けながらキャリア除去を行う。
【0092】
事前媒体加熱ローラ54は、紙媒体をトナーの軟化温度まで加熱する。これは、中間転写ドラム12に形成されたトナー画像を軟化状態にして紙媒体に転写するとき、中間転写ドラム12と、バックアップローラ10とで形成されるニップ部において、紙媒体がトナーの軟化温度まで加熱されている必要があるからである。
【0093】
バックアップローラ10は、事前媒体加熱ローラ54から紙媒体の供給通路となる用紙ガイド57を介して、トナーの軟化温度まで加熱された紙媒体の供給を受け、中間転写ドラム12から紙媒体に転写されたトナー画像を定着させる。なお、内部に紙媒体をトナーの軟化温度以上に加熱するためのハロゲンランプのヒータ11を持つ。
【0094】
定着器51は、前記定着部材でありバックアップローラ10と、中間転写ドラム12とから用紙ガイド57を介してトナー画像が転写された紙媒体を受けとり、紙媒体に転写されたトナー画像の定着強度を確保するため、更に高い加熱と、高い圧力を加える。
【0095】
ついで、図15と図1、図2、図3とを基に本発明の一実施例の電子写真装置において、トナー画像を中間転写ドラム12に生成して、紙媒体に該トナー画像を転写する動作を説明した後、中間転写ドラム12を損傷することなく中間転写ドラム12への媒体の巻きつきを防止する分離爪4を含む媒体分離部15の動作を説明する。
【0096】
まず、イエローに対応する感光ドラム52は図示しない帯電器により約800Vに帯電させられる。ついで、感光ドラム52は、図示しない露光ユニットにより、イエローに相当する画像が露光され、露光部分の電位が約100Vとなる静電潜像が形成される。
【0097】
ついで、イエローに対応する現像ローラ56が感光ドラム52上に接触して、図示しないトナー溜まりから図示しない供給ローラにより汲み上げられ、現像ローラ56の表面に薄く均一に広げられた液体トナーを供給し、かつ、感光ドラム52との間の電界に従い、液体トナーの正に帯電しているトナー粒子を感光ドラム52の表面に形成された静電潜像に付着させてトナー画像を生成する。
【0098】
ついで、感光ドラム52は、中間転写ドラム12に接触する。中間転写ドラム12は約−300Vにバイアスされて、感光ドラム52との間の電界に従って、感光ドラム52に付着されたイエローのトナー画像を転写、付着させる。続いて、マゼンダ、シアン、ブラックの色別に感光ドラム52への静電潜像形成、現像ローラ56からのトナー粒子を感光ドラム52の静電潜像に付着させてのトナー画像の生成、中間転写ドラム12へのトナー画像の転写が行われ、中間転写ドラム12に4色のトナー画像が上書きして生成され、内部に持つハロゲンランプのヒータ11により該トナー画像が軟化温度以上に加熱される。
【0099】
ついで、中間転写ドラム12とバックアップローラ10とは、事前媒体加熱ローラ54から紙媒体の供給通路となる用紙ガイド57を介して、トナーの軟化温度まで加熱された紙媒体の供給を受け、トナー画像の転写・定着を行う。
【0100】
ついで、転写後の中間転写ドラム12からの紙媒体の分離動作を以下に説明する。
【0101】
図1、図2、図3に示すように、分離爪4を回転自在に支持する第一支持材1と、第一支持材1により支持された分離爪4を中間転写ドラム12の方向又はその反対方向にスライドさせるガイド部17と、分離爪4を中間転写ドラム12に当接する位置で停止させる前記ガイド部17に形成する第一ストッパ13と、分離爪4を中間転写ドラム12に付圧させる引張りバネ5と、前記第一支持材1を第一ストッパ13に付圧させる圧縮バネ14とを備え、引張りバネ5の付圧力より圧縮バネ14の付圧力を大きく設定する。
【0102】
これにより、圧縮バネ14が第一支持材1を第一ストッパ13に付圧させることで分離爪4の回転に対するモーメントは微小であり、引張りバネ5の付圧力へ影響を及ぼさない。したがって、分離爪4を中間転写ドラム12に付圧させる引張りバネ5の付圧力と、分離爪4の位置を保持する圧縮バネ14の付圧力を個別に設定することが可能となり、前記特許文献2の技術のようにジャム以外でも分離爪が逃げてしまいジャム発生の要因となるという問題が発生しない。即ち、前記の(1)正常通紙している場合、及び(2)分離爪によってジャム回避可能になる場合の両方で媒体分離不良が発生せず、(3)ジャム発生時には分離爪4が中間転写ドラム12から退避するようスライド移動して、傷つきを防止することが可能となる。
【0103】
なお、望ましくは、引張りバネ5の付圧力は、20g±15gに設定することで、通常動作における分離爪4の中間転写ドラム12表面への傷つけを防止でき、圧縮バネ14の付圧力を250g±150gに設定することで、ジャム時には分離爪4が中間転写ドラム12から離れ、かつ、ジャム発生時以外での分離爪4の逃げを防止できる。
【0104】
これにより、分離爪による前記画像支持体又は前記定着部材の損傷が無い電子写真装置を提供できる。
【0105】
なお、引張りバネ5の付圧力を35gより大きく設定した場合、通常動作における中間転写ドラム12表面の傷つきが発生する。
【0106】
また、引張りバネ5の付圧力を5gより小さく設定した場合は、媒体分離不良が発生する。
【0107】
また、圧縮バネ14の付圧力を400gより大きく設定した場合は、ジャム発生時にも分離爪4が逃げない場合があり、中間転写ドラム12表面の傷つきが発生する。
【0108】
また、圧縮バネ14の付圧力を100gより小さく設定した場合は、ジャム発生時以外での分離爪4の逃げが発生しジャム発生の要因となる。
【0109】
また、図4、図6に示すように、分離爪4が媒体により押されて中間転写ドラム12の方向とは反対方向へスライドした場合に、分離爪4に当接されて分離爪4を中間転写ドラム12から離れる方向に回転させる位置に第二ストッパ21を備える。
【0110】
これにより、ジャム発生時に分離爪4が中間転写ドラム12の方向とは反対方向にスライドした場合に、分離爪4が第二ストッパ21により中間転写ドラム12から離れる方向に回転するために、前記特許文献1の技術のような詰まった転写紙によって分離爪が押されて定着ローラ表面に食い込み、定着ローラ表層を剥ぎ取る問題が発生しない。
【0111】
また、図9の選択的爪位置設定手段31は媒体が搬送されてくる経路をセンサーなどを用いて監視し、分離爪4が配置される位置に媒体が搬送されないタイミングに同期させて分離爪4を中間転写ドラム12から退避し、かつ分離爪4が配置される位置に媒体が搬送されるタイミングに同期させて分離爪4を中間転写ドラム12に接触させる。なお、分離爪4の接触、退避動作はここでは選択的爪位置設定手段31がソレノイドを用いて、分離爪4が搭載される筐体である第二フレーム34を連結部33を介して押し出したり、引くことで行える。
【0112】
ガイドレール部32は第二フレーム34を中間転写ドラム12の方向又はその反対方向にスライド可能に支えるレールである。
【0113】
連結部33は選択的爪位置設定手段31と第二フレーム34とを連結する金属製棒である。
【0114】
図9に示すように、前記電子写真装置は、分離爪4を中間転写ドラム12に選択的に接触及び退避する選択的爪位置設定手段31を備え、選択的爪位置設定手段31はトナー画像を媒体に転写・定着するプロセスにおいて分離爪4が配置される位置に媒体が搬送されないタイミングに同期させて分離爪4を中間転写ドラム12から退避し、かつ分離爪4が配置される位置に媒体が搬送されるタイミングに同期させて分離爪4を中間転写ドラム12に接触させる。
【0115】
これにより、トナー画像を媒体に転写・定着するプロセスにおいて、分離爪4が配置される位置に媒体が搬送されないタイミングに同期させて分離爪4を中間転写ドラム12から退避することでかぶりによる地汚れトナーが分離爪4に堆積するのを防止できる。
【0116】
また、分離爪4を中間転写ドラム12に接触した時に分離爪4の先端と中間転写ドラム12との間に微小にせき止められる不要トナーが分離爪4の退避時に分離爪4から落ちるために、分離爪4の先端の不要トナーが大きく塊に成長することがなく、前記特許文献3の技術のようなトナー溜り誘導が不要となり誘導不良という問題が発生しない。
【0117】
また、図11に示すように、前記選択的爪位置設定手段に偏心カム24を用い、偏心カム24を前記第二ストッパと兼用する。
【0118】
これにより、偏心カム24を前記選択的爪位置設定手段と前記第二ストッパとに兼用することで、前記分離爪が詰まった媒体に押されて前記画像支持体又は前記定着部材の表層に食い込み、表層を剥ぎ取る問題と、前記特許文献3の技術のようなトナー溜り誘導不良の問題との解消を安価で実現できる。
【0119】
また、図13に示すように、中間転写ドラム12と接触する分離爪4先端の稜線を半径10μm〜100μmに設定し、かつ、前記稜線の両端部を半径100μm〜1000μmに設定する。
【0120】
これにより、媒体分離性能と中間転写ドラム12に対する傷つけ防止を両立することが可能となる。
【0121】
また、図4に示すように、第一支持材1と第二ストッパ21の少なくともどちらか一方が、分離爪4先端が中間転写ドラム12と接触する位置における中間転写ドラム12周上の接線22に対して中間転写ドラム12側にある。
【0122】
これにより、ジャム時に分離爪4がジャム媒体により前記接線方向に押されると、媒体の進行方向より下に回転支点があると中間転写ドラム12から離れる方向に回転する力を受けることになる。そのため、ジャムの媒体に押されて分離爪が前記画像支持体又は前記定着部材の表層に食い込み、前記表層を剥ぎ取る問題が発生しない。
【0123】
また、図14に示すように、第一支持材1と第二ストッパ21が共に、分離爪4先端が中間転写ドラム12と接触する位置における中間転写ドラム12周上の接線に対して中間転写ドラム12側にあり、かつ分離爪4の中間転写ドラム12への接触角度が100度±10度である。
【0124】
これにより、ジャム時に分離爪4がジャム媒体により前記接線方向に押されると、媒体の進行方向より下に、第一支持材1と、第二ストッパ21という二つの回転支点があるため、中間転写ドラム12から離れる方向により積極的に回転する力を受けることになる。この結果、より確実に前記分離爪による前記画像支持体又は前記定着部材の表層の損傷を防止できる。
【0125】
なお、分離爪4の中間転写ドラム12への接触角度が100度±10度であることにより、スティックスリップと呼ばれる分離爪4の微小振動が発生せず、ジャム時での分離爪4の中間転写ドラム12からの離脱が円滑になり、より確実に分離爪4による損傷を防止できる。
【0126】
なお、分離爪4の中間転写ドラム12への接触角度が110度よりも大きい場合はスティックスリップと呼ばれる分離爪4の微小振動が発生し、分離爪4が中間転写ドラム12に食いつくことがあり、ジャム時での分離爪4の中間転写ドラム12からの離脱が円滑でなくなり、分離爪4による損傷が発生することがある。
【0127】
また、分離爪4の中間転写ドラム12への接触角度が90度よりも小さい場合は、分離爪4先端の中間転写ドラム12への接触が不十分であり媒体分離不良が発生する。
【0128】
本発明は、トナーを現像材として用い、トナー画像を形成して媒体に転写を行う画像支持体又は媒体に転写されたトナー画像を定着させる一つ又は複数の定着部材への媒体の巻き付きを防止するための分離爪が配置される電子写真装置において、前記分離爪による前記画像支持体又は前記定着部材の損傷が無く、前記分離爪にトナーが堆積せず転写媒体の汚れが発生しない高画質を達成する電子写真装置に適用できる。
【0129】
【発明の効果】
この発明により、以下に示すような効果が期待できる。
本発明は、トナーを現像材として用い、トナー画像を形成して媒体に転写を行う画像支持体又は媒体に転写されたトナー画像を定着させる一つ又は複数の定着部材への媒体の巻き付きを防止するための分離爪が配置される電子写真装置において、前記分離爪を回転自在に支持する第一支持材と、前記第一支持材により支持された前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材の方向又はその反対方向にスライドさせるガイド部と、前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に当接する位置で停止させる前記ガイド部に形成する第一ストッパと、前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に付圧させる第一弾性部材と、前記第一支持材を前記第一ストッパに付圧させる第二弾性部材とを備え、前記第一弾性部材の付圧力より前記第二弾性部材の付圧力を大きく設定する。
【0130】
このように構成される電子写真装置によれば、前記第二弾性部材が前記第一支持材を前記第一ストッパに付圧させることで前記分離爪の回転に対するモーメントは微小であり、前記第一弾性部材の付圧力へ影響を及ぼさない。したがって、前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に付圧させる前記第一弾性部材の付圧力と、前記分離爪の位置を保持する前記第二弾性部材の付圧力を個別に設定することが可能となり、前記特許文献2の技術のようにジャム以外でも分離爪が逃げてしまいジャム発生の要因となるという問題が発生しない。即ち、前記の(1)正常通紙している場合、及び(2)分離爪によってジャム回避可能になる場合の両方で媒体分離不良が発生せず、(3)ジャム発生時には前記分離爪が前記画像支持体又は前記定着部材から退避するようにスライド移動して、傷つきを防止することが可能となる。これにより、前記分離爪による前記画像支持体又は前記定着部材の損傷が無い電子写真装置を提供できる。
【0131】
また、前記分離爪が媒体により押されて前記画像支持体又は前記定着部材の方向とは反対方向へスライドした場合に、前記分離爪に当接されて前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材から離れる方向に回転させる位置に第二ストッパを備えた場合に、ジャム発生時に前記分離爪が逃げた場合は、前記分離爪が第二ストッパにより前記画像支持体又は前記定着部材から離れる方向に回転するために、前記特許文献1の技術のような詰まった転写紙によって分離爪が押されて定着ローラ表面に食い込み、定着ローラ表層を剥ぎ取る問題が発生しない。
【0132】
また、前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に選択的に接触及び退避する選択的爪位置設定手段を備えた場合に、前記選択的爪位置設定手段は、トナー画像を媒体に転写・定着するプロセスにおいて、前記分離爪が配置される位置に媒体が搬送されないタイミングに同期させて前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材から退避することでかぶりによる地汚れトナーが分離爪に堆積するのを防止できる。
【0133】
また、前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に接触した時に前記分離爪先端と前記画像支持体又は前記定着部材との間に微小にせき止められる不要トナーが前記分離爪退避時に前記分離爪から落ちるために、前記分離爪先端の不要トナーが大きく塊に成長することがなく、前記特許文献3の技術のようなトナー溜り誘導が不要となり誘導不良という問題が発生しない。
【0134】
また、本発明の電子写真装置によれば、偏心カムを前記選択的爪位置設定手段と前記第二ストッパとに兼用することで、前記分離爪が詰まった媒体に押されて前記画像支持体又は前記定着部材の表層に食い込み、表層を剥ぎ取る問題と、前記特許文献3の技術のようなトナー溜り誘導不良の問題との解消を安価で実現できる。
【0135】
また、本発明の電子写真装置によれば、前記画像支持体又は前記定着部材と接触する前記分離爪先端の稜線を半径10μm〜100μmに設定し、かつ、前記稜線の両端部を半径100μm〜1000μmに設定することにより、媒体分離性能と前記画像支持体又は前記定着部材に対する傷つけ防止を両立することが可能となる。
【0136】
また、本発明の電子写真装置によれば、前記第一支持材と前記第二ストッパの少なくともどちらか一方が、前記分離爪先端が前記画像支持体又は前記定着部材と接触する位置における前記画像支持体又は前記定着部材周上の接線よりも前記画像支持体又は前記定着部材側にある場合、ジャム時に前記分離爪がジャム媒体により前記接線方向に押されると、媒体の進行方向より下に回転支点があると前記画像支持体又は前記定着部材から離れる方向に回転する力を受けることになる。そのため、ジャムの媒体に押されて前記分離爪が前記画像支持体又は前記定着部材の表層に食い込み、前記表層を剥ぎ取る問題が発生しない。
【0137】
また、本発明の電子写真装置によれば、前記第一支持材と前記第二ストッパが共に、前記分離爪先端が前記画像支持体又は前記定着部材と接触する位置における前記画像支持体又は前記定着部材周上の接線に対して前記画像支持体又は前記定着部材側にあり、かつ前記分離爪の前記画像支持体又は前記定着部材への接触角度が100度±10度である場合に、ジャム時に前記分離爪がジャム媒体より前記接線方向に押されると、媒体の進行方向より下に、前記第一支持材と、前記第二ストッパという二つの回転支点があるため、前記画像支持体又は前記定着部材から離れる方向により積極的に回転する力を受けることになる。これにより、より確実に前記分離爪による前記画像支持体又は前記定着部材の表層の損傷を防止できる。また、前記分離爪の前記画像支持体又は前記定着部材への接触角度を100度±10度に設定することにより、スティックスリップと呼ばれる前記分離爪の微小振動が発生せず、ジャム時での前記分離爪の前記画像支持体又は前記定着部材からの離脱が円滑になり、より確実に前記分離爪による損傷を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の平面図である。
【図2】本発明の一実施例の正面図である。
【図3】本発明の一実施例の正面図である。
【図4】本発明のその他の一実施例の正面図である。
【図5】本発明のその他の一実施例の正面図である。
【図6】本発明のその他の一実施例の正面図である。
【図7】本発明のその他の一実施例の正面図である。
【図8】本発明のその他の一実施例の平面図である。
【図9】本発明のその他の一実施例の正面図である。
【図10】本発明のその他の一実施例の正面図である。
【図11】本発明のその他の一実施例の正面図である。
【図12】本発明のその他の一実施例の正面図である。
【図13】本発明のその他の一実施例の説明図である。
【図14】本発明のその他の一実施例の正面図である。
【図15】本発明の一実施例の電子写真装置の全体図である。
【符号の説明】
1:第一支持材
2:第一フレーム
4:分離爪
5:引張りバネ(第一弾性部材)
6:第二支持材
10:バックアップローラ(定着部材)
11:ヒータ
12:中間転写ドラム(画像支持体)
13:第一ストッパ
14:圧縮バネ(第二弾性部材)
15:媒体分離部
17:ガイド部
【発明の属する技術分野】
本発明は、トナーを現像材として用い、トナー画像を形成して媒体に転写を行う画像支持体又は媒体に転写されたトナー画像を定着させる一つ又は複数の定着部材への媒体の巻き付きを防止するための分離爪が配置される電子写真装置において、分離爪による前記画像支持体又は前記定着部材の損傷が無く、分離爪にトナーが堆積せず転写媒体の汚れが発生しない高画質を達成する電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真装置では、転写媒体の前記画像支持体への巻き付き防止及び前記定着部材である定着ローラへの巻き付き防止として分離爪が用いられている。
【0003】
定着装置の排紙部で媒体が詰まって蛇腹状となるジャムと呼ばれる状態が生じた場合に、分離爪が詰まった転写紙によって押されても、分離爪の爪先によって定着ローラの表層が剥ぎ取られてしまう等の損傷が生じるのを防止する従来技術には、一つ目は、一方の端部の回転支点で本体側に支持され、他方の端部の爪先が所定の圧力で定着ローラに接していて、定着ローラに付着した転写紙を剥離する定着装置の分離爪において、通常は直線形状であって、紙詰まり時には定着ローラ側にのみ屈曲するように、前記回転支点を有する支持部と、この支持部に回転可能に連結され、前記爪先を有する爪先部とから構成し、且つ前記爪先部の前記定着ローラ側の側面には、前記屈曲時に定着ローラ表面に当接して、テコの作用により前記爪先を定着ローラ表面から離れさせるためのテコ部材を設けている。
【0004】
そして、定着装置の排紙部で紙詰まりが生じて、詰まった転写紙によって分離爪が押されると、分離爪は通常の直線形状から、支持部と爪先部が各回転支点を中心に回転して定着ローラ側に屈曲した状態になり、爪先部のテコ部材が定着ローラ表面に押し付けられて、これを支点とするテコの作用により、爪先部の爪先が定着ローラ表面から浮き上がる。これにより、前記爪先が定着ローラ表面を破損するのを防止する技術がある(特許文献1参照)。
【0005】
また、二つ目には、分離爪を、転写紙の搬送方向と同一方向に平行移動自在になるように、スライド軸を介してガイド部材に支持させ、更に、上記スライド軸とガイド部材の間に圧縮バネを介在させて、分離爪を加熱ローラの表面に当接付勢させるようにした構成とし、又、ガイド部材をパイプ状とし、ガイド部材とスライド軸の嵌め合い形状を転写紙搬送方向以外には可動できない非円形とした構成とする。
【0006】
これにより、分離爪は、搬送方向以外の方向には可動できないので、転写紙に蛇腹状ジャムが発生しても分離爪は上下移動することがなく、しかも該転写紙との摩擦力の増加に伴って分離爪には搬送下流側の加熱ローラから離れる方向への移動力が作用するので、加熱ローラ表面へのくい込みが防止される技術がある(特許文献2参照)。
【0007】
また、分離爪にトナーが堆積せず転写媒体の汚れを発生しないようにする技術には、定着装置用分離爪に付着したトナー塊を、分離爪の転写材に摺接しない部位に移動することを目的として、分離爪5底部の転写材に摺接する頂部5Cを4つの斜面をもって形成し、熱ローラ1に接する圧接部5B背面に位置する斜面にV字状の溝から成るトナー溜り5Dを設け、頂部5Cに付着したトナー塊が成長に伴って順次トナー溜り5Dに収容されるように構成した技術がある(特許文献3参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−307336号公報(第1−5頁、第1図)
【特許文献2】
特開平6−11992号公報(第1−3頁、第1図)
【特許文献3】
特開平5−61377号公報(第1−3頁、第2図)
【0009】
しかしながら、従来の分離爪による画像支持体又は定着ローラの損傷を防止する方法、及び分離爪へのトナー堆積を防止する方法では、以下の問題点があった。
【0010】
前記特許文献1の技術は、分離爪が屈曲しても爪先端は定着ローラ表面に接触しており、ジャムの媒体に押されて前記分離爪が前記定着ローラ表面に食い込み、前記定着ローラ表層を剥ぎ取ることがあった。
【0011】
また、ここで、通常回転支点を有する分離爪にかかる力を、分離爪が定着ローラに接して設けられている場合で説明すると、以下の3種類がある。
【0012】
(1)正常通紙している場合
この場合、分離爪には10g以下の力しかかからない。分離爪の定着ローラに対する付圧力は通常数十g程度あり、分離爪が定着ローラから離れて分離不良になるようなことはない。
【0013】
(2)分離爪によってジャム回避可能になる場合
カール等のある媒体は正常搬送通路からそれようとするが、媒体先端が分離爪に接触し正常搬送通路に強制的に戻される。この場合、媒体先端が通過する瞬間であるが分離爪に数百gの強い力がかかる。しかし、回転支点を有する分離爪に対して瞬間的に分離爪付圧力以上の力を与えても分離爪が定着ローラからすぐに離れて分離不良になることは無い。
【0014】
その理由は、回転支点を有する物体に瞬間的な力を与えると、物体はまず力の作用力方向にスライド移動しようとし、更に若干遅れて回転運動をおこす。そのため分離爪に瞬間的に大きな力を加えても分離爪の回転支点がその反力に耐え、分離爪が定着ローラからすぐに離れるようなことはなく分離不良は発生しない。更に若干遅れて分離爪が回転して定着ローラから離れるが、その時には媒体先端が通過して分離は終えておりジャム等が発生することは無い。
【0015】
(3)ジャム発生時
分離爪にはジャム媒体搬送動作が停止されるまで継続的に更に強い力、例えば数kg程度が作用する。この場合、分離爪の回転支点が強い作用力によって変形したり、分離爪先端がジャム媒体に押されて定着ローラ表面に食い込み、定着ローラ表層を剥ぎ取ることもある。
【0016】
前記特許文献2の技術のような回転支点を持たない横スライド付圧で、かつ、その分離爪を定着ローラへ付圧する付圧力が数十gでは、前記(3)のジャム発生時には有効であるが、回転支点方式ならばジャム回避可能な上記(2)の瞬間作用力でも分離爪が定着ローラから逃げてしまいジャム発生頻度があがってしまうという問題があった。
【0017】
また、前記特許文献3の技術のような分離爪にトナー溜り誘導溝を設けたとしても、溶融状態のトナーは粘性が高く誘導不良が発生することがあるという問題があった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
そのため、本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、課題は以下のとおりである。
【0019】
本発明は、トナーを現像材として用い、トナー画像を形成して媒体に転写を行う画像支持体又は媒体に転写されたトナー画像を定着させる一つ又は複数の定着部材への媒体の巻き付きを防止するための分離爪が配置される電子写真装置において、前記分離爪による前記画像支持体又は前記定着部材の損傷が無く、前記分離爪にトナーが堆積せず転写媒体の汚れが発生しない高画質を達成する電子写真装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、この発明では、以下の手段を採った。
【0021】
トナーを現像材として用い、トナー画像を形成して媒体に転写を行う画像支持体又は媒体に転写されたトナー画像を定着させる一つ又は複数の定着部材への媒体の巻き付きを防止するための分離爪が配置される電子写真装置において、前記分離爪を回転自在に支持する第一支持材と、前記第一支持材により支持された前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材の方向又はその反対方向にスライドさせるガイド部と、前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に当接する位置で停止させる前記ガイド部に形成する第一ストッパと、前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に付圧させる第一弾性部材と、前記第一支持材を前記第一ストッパに付圧させる第二弾性部材とを備え、前記第一弾性部材の付圧力より前記第二弾性部材の付圧力を大きく設定する。
【0022】
このように構成される電子写真装置によれば、前記第二弾性部材が前記第一支持材を前記第一ストッパに付圧させることで前記分離爪の回転に対するモーメントは微小であり、前記第一弾性部材の付圧力へ影響を及ぼさない。したがって、前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に付圧させる前記第一弾性部材の付圧力と、前記分離爪の位置を保持する前記第二弾性部材の付圧力を個別に設定することが可能となり、前記特許文献2の技術のようにジャム以外でも分離爪が逃げてしまいジャム発生の要因となるという問題が発生しない。即ち、前記、(1)正常通紙している場合、及び(2)分離爪によってジャム回避可能になる場合の両方で媒体分離不良が発生せず、(3)ジャム発生時には前記分離爪が前記画像支持体又は前記定着部材から退避するようスライド移動して、傷つきを防止することが可能となる。
【0023】
これにより、前記分離爪による前記画像支持体又は前記定着部材の損傷が無い電子写真装置が提供できる。
【0024】
また、前記電子写真装置は、前記分離爪が媒体により押されて前記画像支持体又は前記定着部材の方向とは反対方向へスライドした場合に、前記分離爪に当接されて前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材から離れる方向に回転させる位置に第二ストッパを備える。
【0025】
このように構成される電子写真装置によれば、前記分離爪が媒体により押されて前記画像支持体又は前記定着部材の方向とは反対方向へスライドした場合に、前記分離爪が前記第二ストッパにより前記画像支持体又は前記定着部材から離れる方向に回転するために、前記特許文献1の技術のような詰まった転写紙によって分離爪が押されて定着ローラ表面に食い込み、定着ローラ表層を剥ぎ取る問題が発生しない。
【0026】
また、前記電子写真装置は、前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に選択的に接触及び退避する選択的爪位置設定手段を備え、前記選択的爪位置設定手段は、トナー画像を媒体に転写・定着するプロセスにおいて前記分離爪が配置される位置に媒体が搬送されないタイミングに同期させて前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材から退避し、かつ前記分離爪が配置される位置に媒体が搬送されるタイミングに同期させて前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に接触させる。
【0027】
通常、トナー画像の転写・定着プロセスにおいて、媒体がトナー画像の転写・定着が行われる前記画像支持体と前記定着部材のニップ部にある時は、かぶりと呼ばれる非印字部の地汚れトナーは媒体に転写されるために分離爪の汚れ蓄積は微小である。またトナー画像の転写・定着プロセスにおいて媒体がトナー画像の転写・定着が行われる前記画像支持体と前記定着部材のニップ部にない場合は、かぶりによる地汚れトナーは分離爪に蓄積され分離爪汚れが増大する。
【0028】
前記のように構成される電子写真装置によれば、トナー画像を媒体に転写・定着するプロセスにおいて、前記選択的爪位置設定手段により前記分離爪が配置される位置に媒体が搬送されないタイミングに同期させて前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材から退避することでかぶりによる地汚れトナーが前記分離爪に堆積するのを防止できる。
【0029】
また、前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に接触した時に前記分離爪先端と前記画像支持体又は前記定着部材との間に微小にせき止められる不要トナーが前記分離爪退避時に前記分離爪から落ちるために、前記分離爪先端の不要トナーが大きく塊に成長することがなく、前記特許文献3の技術のようなトナー溜り誘導が不要となり誘導不良という問題が発生しない。
【0030】
また、前記選択的爪位置設定手段に偏心カムを用い、前記偏心カムを前記第二ストッパと兼用する。
【0031】
このように構成される電子写真装置によれば、前記偏心カムを前記選択的爪位置設定手段と前記第二ストッパとに兼用することで、前記分離爪が詰まった媒体に押されて前記画像支持体又は前記定着部材の表層に食い込み、表層を剥ぎ取る問題と、前記特許文献3の技術のようなトナー溜り誘導不良の問題との解消を安価で実現できる。
【0032】
また、前記画像支持体又は前記定着部材と接触する前記分離爪先端の稜線を半径10μm〜100μmに設定し、かつ、前記稜線の両端部を半径100μm〜1000μmに設定する。
【0033】
分離爪先端は鋭角なほど媒体分離性能は向上する。しかし分離爪先端が鋭角なほど前記画像支持体又は前記定着部材に対して傷つけ易くなる。このように構成される電子写真装置によれば、前記画像支持体又は前記定着部材と接触する前記分離爪先端の稜線を半径10μm〜100μmに設定し、かつ、前記稜線の両端部を半径100μm〜1000μmに設定することにより、媒体分離性能と前記画像支持体又は前記定着部材に対する傷つけ防止を両立することが可能となる。
【0034】
また、前記第一支持材と前記第二ストッパの少なくともどちらか一方が、前記分離爪先端が前記画像支持体又は前記定着部材と接触する位置における前記画像支持体又は前記定着部材周上の接線に対して前記画像支持体又は前記定着部材側にある。
【0035】
このように構成される電子写真装置によれば、前記第一支持材と第二ストッパの少なくともどちらか一方が、前記分離爪先端が前記画像支持体又は前記定着部材と接触する位置における前記画像支持体又は前記定着部材周上の接線よりも前記画像支持体又は前記定着部材側にある場合、ジャム時に前記分離爪がジャム媒体より前記接線方向に押されると、媒体の進行方向より下に回転支点があると前記画像支持体又は前記定着部材から離れる方向に回転する力を受けることになる。そのため、ジャムの媒体に押されて前記分離爪が前記画像支持体又は前記定着部材の表層に食い込み、前記表層を剥ぎ取る問題が発生しない。
【0036】
また、前記第一支持材と前記第二ストッパが共に、前記分離爪先端が前記画像支持体又は前記定着部材と接触する位置における前記画像支持体又は前記定着部材周上の接線に対して前記画像支持体又は前記定着部材側にあり、かつ前記分離爪の前記画像支持体又は前記定着部材への接触角度が100度±10度である。
【0037】
このように構成される電子写真装置によれば、前記第一支持材と前記第二ストッパが共に、前記分離爪先端が前記画像支持体又は前記定着部材と接触する位置における前記画像支持体又は前記定着部材周上の接線に対して前記画像支持体又は前記定着部材側にある場合、ジャム時に前記分離爪がジャム媒体より前記接線方向に押されると、媒体の進行方向より下に、前記第一支持材と、前記第二ストッパという二つの回転支点があるため、前記画像支持体又は前記定着部材から離れる方向により積極的に回転する力を受けることになる。これにより、より確実に前記分離爪による前記画像支持体又は前記定着部材の表層の損傷を防止できる。
【0038】
また、前記分離爪の前記画像支持体又は前記定着部材への接触角度が100度±10度であることにより、スティックスリップと呼ばれる前記分離爪の微小振動が発生せず、ジャム時での前記分離爪の前記画像支持体又は前記定着部材からの離脱が円滑になり、より確実に前記分離爪による損傷を防止できる。
【0039】
【発明の実施の形態】
本発明は、次に示す実施の形態を取った。なお、以下において、同じ箇所は同一の符号を付しており、詳細な説明を省略することがある。
【0040】
図1は本発明を適用した電子写真装置の要部を例示する平面図である。なお、図1では前記画像支持体を損傷することなく前記画像支持体への媒体の巻きつきを防止し、かつ、かぶりによる地汚れトナーが前記分離爪に堆積することを防止する前記分離爪を含む媒体分離部15を示しており、前記定着部材を損傷することなく前記定着部材への媒体の巻きつきを防止し、かつ、かぶりによる地汚れトナーが前記分離爪に堆積することを防止する同じ機構をもつ媒体分離部15は説明を簡単にするために図示を省略している。
【0041】
また、図2は図1の電子写真装置を、図1のAの断面で矢印方向に見た一実施例の正面図である。
【0042】
また、図3は図1の電子写真装置を、図1のBの断面で矢印方向に見た一実施例の正面図である。
【0043】
前記定着部材であるバックアップローラ10は、前記画像支持体である中間転写ドラム12から媒体に転写されたトナー画像を加熱、加圧して定着させる。なお、内部に媒体をトナー画像の軟化温度(ガラス転移温度)以上に加熱するためのヒータ11を持つ。
【0044】
中間転写ドラム12は、トナー粒子から成るトナー画像が図示しない感光ドラムから転写され、媒体に転写を行う。なお、内部に転写されたトナー画像を軟化温度以上に加熱するためのヒータ11を持つ。
【0045】
媒体分離部15は第一フレーム2、分離爪4、第一支持材1、第二支持材6、前記第一弾性部材である引張りバネ5、前記第二弾性部材である圧縮バネ14から構成される。
【0046】
第一フレーム2は媒体分離部15の筐体であり、第一支持材1により支持された分離爪4を中間転写ドラム12方向及びその反対方向にスライドさせるガイド部17を両側に備える。
【0047】
第一ストッパ13は分離爪4を中間転写ドラム12に当接する位置で停止させるもので前記ガイド部17に形成し、図3の例ではガイド部17の端部で中間転写ドラム12に一番近い端部が第一ストッパ13である。
【0048】
分離爪4は、中間転写ドラム12と、バックアップローラ10とのニップ部から排出される媒体が中間転写ドラム12に巻き付くのを防止する。
【0049】
第一支持材1は、分離爪4を回転自在に支持する。
【0050】
第二支持材6は、引張りバネ5の端部を支持する。
【0051】
引張りバネ5は、分離爪4の先端を中間転写ドラム12に付圧させる引張りバネである。
【0052】
圧縮バネ14は、第一支持材1を第一ストッパ13に付圧させる圧縮バネであり、付圧力8の方向に付圧させる。
【0053】
図1に示すように、トナーを現像材として用い、トナー画像を形成して媒体に転写を行う画像支持体又は媒体に転写されたトナー画像を定着させる一つ又は複数の定着部材への媒体の巻き付きを防止するための分離爪が配置される電子写真装置において、分離爪4を回転自在に支持する第一支持材1と、第一支持材1により支持された分離爪4を中間転写ドラム12又はバックアップローラ10の方向又はその反対方向にスライドさせるガイド部17と、分離爪4を中間転写ドラム12又はバックアップローラ10に当接する位置で停止させる前記ガイド部17に形成する第一ストッパ13と、前記分離爪を中間転写ドラム12又はバックアップローラ10に付圧させる引張りバネ5と、前記第一支持材1を第一ストッパ13に付圧させる圧縮バネ14とを備え、引張りバネ5の付圧力より圧縮バネ14の付圧力を大きく設定する。
【0054】
上記の形態をとることにより、圧縮バネ14が第一支持材1を第一ストッパ13に付圧させることで分離爪4の回転に対するモーメントは微小であり、引張りバネ5の付圧力へ影響を及ぼさない。したがって、分離爪4を中間転写ドラム12又はバックアップローラ10に付圧させる引張りバネ5の付圧力と、分離爪4の位置を保持する圧縮バネ14の付圧力を個別に設定することが可能となり、前記特許文献2の技術のようにジャム以外でも分離爪が逃げてしまいジャム発生の要因となるという問題が発生しない。即ち、前記の(1)正常通紙している場合、及び(2)分離爪によってジャム回避可能になる場合の両方で媒体分離不良が発生せず、(3)ジャム発生時には分離爪4が中間転写ドラム12又は定着部材10から退避するようスライド移動して、傷つきを防止することが可能となる。
【0055】
これにより、前記分離爪による前記画像支持体又は前記定着部材の損傷が無い電子写真装置を提供できる。
【0056】
また、図4は図1の電子写真装置を、図1のAの断面で矢印方向に見たその他の一実施例の正面図である。
【0057】
また、図5は図1の電子写真装置を、図1のBの断面で矢印方向に見たその他の一実施例の正面図である。
【0058】
第二ストッパ21は、分離爪4がジャムの媒体により中間転写ドラム12の方向とは反対方向へ押された場合に、分離爪4に当接されて分離爪4を中間転写ドラム12から離れる方向に回転させる。
【0059】
図4に示すように、前記電子写真装置は、分離爪4が媒体により押されて中間転写ドラム12又はバックアップローラ10の方向とは反対方向へスライドした場合に、分離爪4に当接されて分離爪4を中間転写ドラム12又はバックアップローラ10から離れる方向に回転させる位置に第二ストッパ21を備える。
【0060】
上記の形態をとることにより、ジャム発生時に分離爪4がジャム媒体に押されて中間転写ドラム12又はバックアップローラ10の方向とは反対方向にスライドした場合に、分離爪4が第二ストッパ21により中間転写ドラム12又はバックアップローラ10から離れる方向に回転するために、前記特許文献1の技術のような詰まった転写紙によって分離爪が押されて定着ローラ表面に食い込み、定着ローラ表層を剥ぎ取る問題が発生しない。
【0061】
なお、ここで、図1の媒体分離部15で、分離爪4がジャムの媒体に押されて中間転写ドラム12の方向とは反対方向にスライドした場合に、分離爪4が第二ストッパ21を回転支点として中間転写ドラム12から離れるように回転する様子を、図1のAの断面で矢印方向に見たその他の一実施例の正面図を図6に、図1のBの断面で矢印方向に見たその他の一実施例の正面図を図7に示す。
【0062】
また、図8は本発明を適用した電子写真装置の要部を例示する平面図である。なお、図8では前記画像支持体を損傷することなく前記画像支持体への媒体の巻きつきを防止し、かつ、かぶりによる地汚れトナーが前記分離爪に堆積することを防止する前記分離爪を含む媒体分離部15を示しており、前記定着部材を損傷することなく前記定着部材への媒体の巻きつきを防止し、かつ、かぶりによる地汚れトナーが前記分離爪に堆積することを防止する同じ機構をもつ媒体分離部15は説明を簡単にするために図示を省略している。
【0063】
また、図9は図8の電子写真装置を、図8のCの断面で矢印方向に見たその他の一実施例の正面図である。
【0064】
また、図10は図8の電子写真装置を、図8のDの断面で矢印方向に見たその他の一実施例の正面図である。
【0065】
選択的爪位置設定手段31は分離爪4が配置される位置に媒体が搬送されないタイミングに同期させて分離爪4を中間転写ドラム12から退避し、かつ分離爪4が配置される位置に媒体が搬送されるタイミングに同期させて分離爪4を中間転写ドラム12に接触させる。
【0066】
図8、図9、図10に示すように、前記電子写真装置は、分離爪4を中間転写ドラム12又はバックアップローラ10に選択的に接触及び退避する選択的爪位置設定手段31を備え、選択的爪位置設定手段31は、トナー画像を媒体に転写・定着するプロセスにおいて分離爪4が配置される位置に媒体が搬送されないタイミングに同期させて分離爪4を中間転写ドラム12又はバックアップローラ10から退避し、かつ分離爪4が配置される位置に媒体が搬送されるタイミングに同期させて分離爪4を中間転写ドラム12又はバックアップローラ10に接触させる。
【0067】
上記の形態をとることにより、トナー画像を媒体に転写・定着するプロセスにおいて、分離爪4が配置される位置に媒体が搬送されないタイミングに同期させて分離爪4を中間転写ドラム12又はバックアップローラ10から退避することでかぶりによる地汚れトナーが分離爪4に堆積するのを防止できる。
【0068】
また、分離爪4を中間転写ドラム12又はバックアップローラ10に接触した時に分離爪4の先端と中間転写ドラム12又はバックアップローラ10との間に微小にせき止められる不要トナーが分離爪4の退避時に分離爪4から落ちるために、分離爪4の先端の不要トナーが大きく塊に成長することがなく、前記特許文献3の技術のようなトナー溜り誘導が不要となり誘導不良という問題が発生しない。
【0069】
また、図11は図1の電子写真装置を、図1のAの断面で矢印方向に見たその他の一実施例の正面図である。
【0070】
偏心カム24は、回転運動を揺動運動に変換する機械構造であり、分離爪4を中間転写ドラム12に当接させたり、退避させたりする。また、分離爪4がジャムの媒体に押されて中間転写ドラム12の方向とは反対方向にスライドした場合に、偏心カム24を回転支点として、分離爪4を中間転写ドラム12から離れるように回転させる。
【0071】
なお、図1の媒体分離部15で、分離爪4がジャムの媒体に押されて中間転写ドラム12の方向とは反対方向にスライドした場合に、偏心カム24を回転支点として中間転写ドラム12から離れるように回転する様子で、図1のAの断面で矢印方向に見たその他の一実施例の正面図を図12に示す。
【0072】
図1、図11、図12に示すように、前記選択的爪位置設定手段に偏心カム24を用い、偏心カム24を前記第二ストッパと兼用する。
【0073】
上記の形態をとることにより、偏心カム24を前記選択的爪位置設定手段と前記第二ストッパとに兼用することで、前記分離爪が詰まった媒体に押されて前記画像支持体又は前記定着部材の表層に食い込み、表層を剥ぎ取る問題と、前記特許文献3の技術のようなトナー溜り誘導不良の問題との解消を安価で実現できる。
【0074】
図13は本発明を適用した分離爪4の要部を例示したものでり、(イ)は図1において、分離爪4先端付近をAの矢印方向に拡大して見た図である。また、(ロ)は分離爪4先端を上から拡大して見た図である。
【0075】
図1、図13に示すように、中間転写ドラム12又はバックアップローラ10と接触する分離爪4先端の稜線を半径10μm〜100μmに設定し、かつ、前記稜線の両端部を半径100μm〜1000μmに設定する。
【0076】
上記の形態をとることにより、中間転写ドラム12又はバックアップローラ10と接触する分離爪4先端の稜線を半径10μm〜100μmに設定し、かつ、前記稜線の両端部を半径100μm〜1000μmに設定することにより、媒体分離性能と中間転写ドラム12又はバックアップローラ10に対する傷つけ防止を両立することが可能となる。
【0077】
また、図4の接線22は分離爪4の先端が中間転写ドラム12に接する位置における中間転写ドラム12周上の接線である。
【0078】
図4に示すように、第一支持材1と第二ストッパ21の少なくともどちらか一方が、分離爪4先端が中間転写ドラム12又はバックアップローラ10と接触する位置における中間転写ドラム12又はバックアップローラ10周上の接線22に対して中間転写ドラム12又はバックアップローラ10側にある。
【0079】
上記の形態をとることにより、ジャム時に分離爪4がジャム媒体により前記接線方向に押されると、媒体の進行方向より下に回転支点があると中間転写ドラム12又はバックアップローラ10から離れる方向に回転する力を受けることになる。そのため、ジャムの媒体に押されて前記分離爪が前記画像支持体又は前記定着部材の表層に食い込み、前記表層を剥ぎ取る問題が発生しない。
【0080】
また、図14は図1の電子写真装置を、図1のAの断面で矢印方向に見たその他の一実施例の正面図である。
【0081】
接線41は分離爪4の先端が中間転写ドラム12に接する位置における中間転写ドラム12周上の接線である。
【0082】
分離爪接触角度42は分離爪4の中間転写ドラム12への接触角度である。
【0083】
図1、図14に示すように、第一支持材1と第二ストッパ21が共に、分離爪4先端が中間転写ドラム12又はバックアップローラ10と接触する位置における中間転写ドラム12又はバックアップローラ10周上の接線に対して中間転写ドラム12又はバックアップローラ10側にあり、かつ分離爪4の中間転写ドラム12又はバックアップローラ10への接触角度が100度±10度である。
【0084】
上記の形態をとることにより、ジャム時に分離爪4がジャム媒体により前記接線方向に押されると、媒体の進行方向より下に、第一支持材1と、第二ストッパ21という二つの回転支点があるため、中間転写ドラム12又はバックアップローラ10から離れる方向により積極的に回転する力を受けることになる。これにより、より確実に前記分離爪による前記画像支持体又は前記定着部材の表層の損傷を防止できる。
【0085】
【実施例】
この発明による代表的な実施例を以下に説明する。
【0086】
図15は本発明を適用したトナー材として液体トナーを用いる電子写真装置の一実施例の全体構成図である。図示したように、該電子写真装置は、色毎のトナー画像の画像支持体である感光ドラム52、現像ローラ56、キャリア液除去ローラ53、並びに、軟化状態としたトナー画像の画像支持体である中間転写ドラム12、媒体分離部15、事前媒体加熱ローラ54、用紙ガイド57、バックアップローラ10、定着器51からなる。
【0087】
なお、媒体分離部15は、図15に示すように中間転写ドラム12、バックアップローラ10、定着器51の近傍に配置されるが、以降では中間転写ドラム12の近傍に配置された例を代表させて説明する。
【0088】
感光ドラム52は、図示しない帯電器により帯電させられた後、図示しない露光ユニットによって露光されて、静電潜像が形成される。
【0089】
現像ローラ56は、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの色別に設けられ、図示しない供給ローラにより図示しないトナー溜まりから汲み上げた液体トナーの供給を受けて、感光ドラム52上に接触して液体トナーを供給し、かつ、感光ドラム52との間の電界に従い、液体トナーの正に帯電しているトナー粒子を感光ドラム52の表面に形成された静電潜像に付着させ、トナー画像を生成する。この現像ローラ56は約500Vにバイアスされる。
【0090】
中間転写ドラム12は約−300Vにバイアスされて、感光ドラム52との間の電界に従って、感光ドラム52に付着されたトナー画像を転写、付着させる。この中間転写ドラム12は最初に、感光ドラム52に付着されたイエローのトナー画像を付着し、続いて、感光ドラム52に付着されたマゼンダのトナー画像を付着し、続いて、感光ドラム52に付着されたシアンのトナー画像を付着し、続いて、感光ドラム52に付着されたブラックのトナー画像を付着する。なお、中間転写ドラム12は、ハロゲンランプのヒータ11でトナーの軟化温度以上に加熱されており、表面に付着したトナー画像を紙媒体へ転写する際の粘着力を高めている。
【0091】
キャリア液除去ローラ53は、バイアスが印加され、中間転写ドラム12上のトナー画像に接触、回転してトナー固形分を中間転写ドラム12に電界の力で押し付けながらキャリア除去を行う。
【0092】
事前媒体加熱ローラ54は、紙媒体をトナーの軟化温度まで加熱する。これは、中間転写ドラム12に形成されたトナー画像を軟化状態にして紙媒体に転写するとき、中間転写ドラム12と、バックアップローラ10とで形成されるニップ部において、紙媒体がトナーの軟化温度まで加熱されている必要があるからである。
【0093】
バックアップローラ10は、事前媒体加熱ローラ54から紙媒体の供給通路となる用紙ガイド57を介して、トナーの軟化温度まで加熱された紙媒体の供給を受け、中間転写ドラム12から紙媒体に転写されたトナー画像を定着させる。なお、内部に紙媒体をトナーの軟化温度以上に加熱するためのハロゲンランプのヒータ11を持つ。
【0094】
定着器51は、前記定着部材でありバックアップローラ10と、中間転写ドラム12とから用紙ガイド57を介してトナー画像が転写された紙媒体を受けとり、紙媒体に転写されたトナー画像の定着強度を確保するため、更に高い加熱と、高い圧力を加える。
【0095】
ついで、図15と図1、図2、図3とを基に本発明の一実施例の電子写真装置において、トナー画像を中間転写ドラム12に生成して、紙媒体に該トナー画像を転写する動作を説明した後、中間転写ドラム12を損傷することなく中間転写ドラム12への媒体の巻きつきを防止する分離爪4を含む媒体分離部15の動作を説明する。
【0096】
まず、イエローに対応する感光ドラム52は図示しない帯電器により約800Vに帯電させられる。ついで、感光ドラム52は、図示しない露光ユニットにより、イエローに相当する画像が露光され、露光部分の電位が約100Vとなる静電潜像が形成される。
【0097】
ついで、イエローに対応する現像ローラ56が感光ドラム52上に接触して、図示しないトナー溜まりから図示しない供給ローラにより汲み上げられ、現像ローラ56の表面に薄く均一に広げられた液体トナーを供給し、かつ、感光ドラム52との間の電界に従い、液体トナーの正に帯電しているトナー粒子を感光ドラム52の表面に形成された静電潜像に付着させてトナー画像を生成する。
【0098】
ついで、感光ドラム52は、中間転写ドラム12に接触する。中間転写ドラム12は約−300Vにバイアスされて、感光ドラム52との間の電界に従って、感光ドラム52に付着されたイエローのトナー画像を転写、付着させる。続いて、マゼンダ、シアン、ブラックの色別に感光ドラム52への静電潜像形成、現像ローラ56からのトナー粒子を感光ドラム52の静電潜像に付着させてのトナー画像の生成、中間転写ドラム12へのトナー画像の転写が行われ、中間転写ドラム12に4色のトナー画像が上書きして生成され、内部に持つハロゲンランプのヒータ11により該トナー画像が軟化温度以上に加熱される。
【0099】
ついで、中間転写ドラム12とバックアップローラ10とは、事前媒体加熱ローラ54から紙媒体の供給通路となる用紙ガイド57を介して、トナーの軟化温度まで加熱された紙媒体の供給を受け、トナー画像の転写・定着を行う。
【0100】
ついで、転写後の中間転写ドラム12からの紙媒体の分離動作を以下に説明する。
【0101】
図1、図2、図3に示すように、分離爪4を回転自在に支持する第一支持材1と、第一支持材1により支持された分離爪4を中間転写ドラム12の方向又はその反対方向にスライドさせるガイド部17と、分離爪4を中間転写ドラム12に当接する位置で停止させる前記ガイド部17に形成する第一ストッパ13と、分離爪4を中間転写ドラム12に付圧させる引張りバネ5と、前記第一支持材1を第一ストッパ13に付圧させる圧縮バネ14とを備え、引張りバネ5の付圧力より圧縮バネ14の付圧力を大きく設定する。
【0102】
これにより、圧縮バネ14が第一支持材1を第一ストッパ13に付圧させることで分離爪4の回転に対するモーメントは微小であり、引張りバネ5の付圧力へ影響を及ぼさない。したがって、分離爪4を中間転写ドラム12に付圧させる引張りバネ5の付圧力と、分離爪4の位置を保持する圧縮バネ14の付圧力を個別に設定することが可能となり、前記特許文献2の技術のようにジャム以外でも分離爪が逃げてしまいジャム発生の要因となるという問題が発生しない。即ち、前記の(1)正常通紙している場合、及び(2)分離爪によってジャム回避可能になる場合の両方で媒体分離不良が発生せず、(3)ジャム発生時には分離爪4が中間転写ドラム12から退避するようスライド移動して、傷つきを防止することが可能となる。
【0103】
なお、望ましくは、引張りバネ5の付圧力は、20g±15gに設定することで、通常動作における分離爪4の中間転写ドラム12表面への傷つけを防止でき、圧縮バネ14の付圧力を250g±150gに設定することで、ジャム時には分離爪4が中間転写ドラム12から離れ、かつ、ジャム発生時以外での分離爪4の逃げを防止できる。
【0104】
これにより、分離爪による前記画像支持体又は前記定着部材の損傷が無い電子写真装置を提供できる。
【0105】
なお、引張りバネ5の付圧力を35gより大きく設定した場合、通常動作における中間転写ドラム12表面の傷つきが発生する。
【0106】
また、引張りバネ5の付圧力を5gより小さく設定した場合は、媒体分離不良が発生する。
【0107】
また、圧縮バネ14の付圧力を400gより大きく設定した場合は、ジャム発生時にも分離爪4が逃げない場合があり、中間転写ドラム12表面の傷つきが発生する。
【0108】
また、圧縮バネ14の付圧力を100gより小さく設定した場合は、ジャム発生時以外での分離爪4の逃げが発生しジャム発生の要因となる。
【0109】
また、図4、図6に示すように、分離爪4が媒体により押されて中間転写ドラム12の方向とは反対方向へスライドした場合に、分離爪4に当接されて分離爪4を中間転写ドラム12から離れる方向に回転させる位置に第二ストッパ21を備える。
【0110】
これにより、ジャム発生時に分離爪4が中間転写ドラム12の方向とは反対方向にスライドした場合に、分離爪4が第二ストッパ21により中間転写ドラム12から離れる方向に回転するために、前記特許文献1の技術のような詰まった転写紙によって分離爪が押されて定着ローラ表面に食い込み、定着ローラ表層を剥ぎ取る問題が発生しない。
【0111】
また、図9の選択的爪位置設定手段31は媒体が搬送されてくる経路をセンサーなどを用いて監視し、分離爪4が配置される位置に媒体が搬送されないタイミングに同期させて分離爪4を中間転写ドラム12から退避し、かつ分離爪4が配置される位置に媒体が搬送されるタイミングに同期させて分離爪4を中間転写ドラム12に接触させる。なお、分離爪4の接触、退避動作はここでは選択的爪位置設定手段31がソレノイドを用いて、分離爪4が搭載される筐体である第二フレーム34を連結部33を介して押し出したり、引くことで行える。
【0112】
ガイドレール部32は第二フレーム34を中間転写ドラム12の方向又はその反対方向にスライド可能に支えるレールである。
【0113】
連結部33は選択的爪位置設定手段31と第二フレーム34とを連結する金属製棒である。
【0114】
図9に示すように、前記電子写真装置は、分離爪4を中間転写ドラム12に選択的に接触及び退避する選択的爪位置設定手段31を備え、選択的爪位置設定手段31はトナー画像を媒体に転写・定着するプロセスにおいて分離爪4が配置される位置に媒体が搬送されないタイミングに同期させて分離爪4を中間転写ドラム12から退避し、かつ分離爪4が配置される位置に媒体が搬送されるタイミングに同期させて分離爪4を中間転写ドラム12に接触させる。
【0115】
これにより、トナー画像を媒体に転写・定着するプロセスにおいて、分離爪4が配置される位置に媒体が搬送されないタイミングに同期させて分離爪4を中間転写ドラム12から退避することでかぶりによる地汚れトナーが分離爪4に堆積するのを防止できる。
【0116】
また、分離爪4を中間転写ドラム12に接触した時に分離爪4の先端と中間転写ドラム12との間に微小にせき止められる不要トナーが分離爪4の退避時に分離爪4から落ちるために、分離爪4の先端の不要トナーが大きく塊に成長することがなく、前記特許文献3の技術のようなトナー溜り誘導が不要となり誘導不良という問題が発生しない。
【0117】
また、図11に示すように、前記選択的爪位置設定手段に偏心カム24を用い、偏心カム24を前記第二ストッパと兼用する。
【0118】
これにより、偏心カム24を前記選択的爪位置設定手段と前記第二ストッパとに兼用することで、前記分離爪が詰まった媒体に押されて前記画像支持体又は前記定着部材の表層に食い込み、表層を剥ぎ取る問題と、前記特許文献3の技術のようなトナー溜り誘導不良の問題との解消を安価で実現できる。
【0119】
また、図13に示すように、中間転写ドラム12と接触する分離爪4先端の稜線を半径10μm〜100μmに設定し、かつ、前記稜線の両端部を半径100μm〜1000μmに設定する。
【0120】
これにより、媒体分離性能と中間転写ドラム12に対する傷つけ防止を両立することが可能となる。
【0121】
また、図4に示すように、第一支持材1と第二ストッパ21の少なくともどちらか一方が、分離爪4先端が中間転写ドラム12と接触する位置における中間転写ドラム12周上の接線22に対して中間転写ドラム12側にある。
【0122】
これにより、ジャム時に分離爪4がジャム媒体により前記接線方向に押されると、媒体の進行方向より下に回転支点があると中間転写ドラム12から離れる方向に回転する力を受けることになる。そのため、ジャムの媒体に押されて分離爪が前記画像支持体又は前記定着部材の表層に食い込み、前記表層を剥ぎ取る問題が発生しない。
【0123】
また、図14に示すように、第一支持材1と第二ストッパ21が共に、分離爪4先端が中間転写ドラム12と接触する位置における中間転写ドラム12周上の接線に対して中間転写ドラム12側にあり、かつ分離爪4の中間転写ドラム12への接触角度が100度±10度である。
【0124】
これにより、ジャム時に分離爪4がジャム媒体により前記接線方向に押されると、媒体の進行方向より下に、第一支持材1と、第二ストッパ21という二つの回転支点があるため、中間転写ドラム12から離れる方向により積極的に回転する力を受けることになる。この結果、より確実に前記分離爪による前記画像支持体又は前記定着部材の表層の損傷を防止できる。
【0125】
なお、分離爪4の中間転写ドラム12への接触角度が100度±10度であることにより、スティックスリップと呼ばれる分離爪4の微小振動が発生せず、ジャム時での分離爪4の中間転写ドラム12からの離脱が円滑になり、より確実に分離爪4による損傷を防止できる。
【0126】
なお、分離爪4の中間転写ドラム12への接触角度が110度よりも大きい場合はスティックスリップと呼ばれる分離爪4の微小振動が発生し、分離爪4が中間転写ドラム12に食いつくことがあり、ジャム時での分離爪4の中間転写ドラム12からの離脱が円滑でなくなり、分離爪4による損傷が発生することがある。
【0127】
また、分離爪4の中間転写ドラム12への接触角度が90度よりも小さい場合は、分離爪4先端の中間転写ドラム12への接触が不十分であり媒体分離不良が発生する。
【0128】
本発明は、トナーを現像材として用い、トナー画像を形成して媒体に転写を行う画像支持体又は媒体に転写されたトナー画像を定着させる一つ又は複数の定着部材への媒体の巻き付きを防止するための分離爪が配置される電子写真装置において、前記分離爪による前記画像支持体又は前記定着部材の損傷が無く、前記分離爪にトナーが堆積せず転写媒体の汚れが発生しない高画質を達成する電子写真装置に適用できる。
【0129】
【発明の効果】
この発明により、以下に示すような効果が期待できる。
本発明は、トナーを現像材として用い、トナー画像を形成して媒体に転写を行う画像支持体又は媒体に転写されたトナー画像を定着させる一つ又は複数の定着部材への媒体の巻き付きを防止するための分離爪が配置される電子写真装置において、前記分離爪を回転自在に支持する第一支持材と、前記第一支持材により支持された前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材の方向又はその反対方向にスライドさせるガイド部と、前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に当接する位置で停止させる前記ガイド部に形成する第一ストッパと、前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に付圧させる第一弾性部材と、前記第一支持材を前記第一ストッパに付圧させる第二弾性部材とを備え、前記第一弾性部材の付圧力より前記第二弾性部材の付圧力を大きく設定する。
【0130】
このように構成される電子写真装置によれば、前記第二弾性部材が前記第一支持材を前記第一ストッパに付圧させることで前記分離爪の回転に対するモーメントは微小であり、前記第一弾性部材の付圧力へ影響を及ぼさない。したがって、前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に付圧させる前記第一弾性部材の付圧力と、前記分離爪の位置を保持する前記第二弾性部材の付圧力を個別に設定することが可能となり、前記特許文献2の技術のようにジャム以外でも分離爪が逃げてしまいジャム発生の要因となるという問題が発生しない。即ち、前記の(1)正常通紙している場合、及び(2)分離爪によってジャム回避可能になる場合の両方で媒体分離不良が発生せず、(3)ジャム発生時には前記分離爪が前記画像支持体又は前記定着部材から退避するようにスライド移動して、傷つきを防止することが可能となる。これにより、前記分離爪による前記画像支持体又は前記定着部材の損傷が無い電子写真装置を提供できる。
【0131】
また、前記分離爪が媒体により押されて前記画像支持体又は前記定着部材の方向とは反対方向へスライドした場合に、前記分離爪に当接されて前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材から離れる方向に回転させる位置に第二ストッパを備えた場合に、ジャム発生時に前記分離爪が逃げた場合は、前記分離爪が第二ストッパにより前記画像支持体又は前記定着部材から離れる方向に回転するために、前記特許文献1の技術のような詰まった転写紙によって分離爪が押されて定着ローラ表面に食い込み、定着ローラ表層を剥ぎ取る問題が発生しない。
【0132】
また、前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に選択的に接触及び退避する選択的爪位置設定手段を備えた場合に、前記選択的爪位置設定手段は、トナー画像を媒体に転写・定着するプロセスにおいて、前記分離爪が配置される位置に媒体が搬送されないタイミングに同期させて前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材から退避することでかぶりによる地汚れトナーが分離爪に堆積するのを防止できる。
【0133】
また、前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に接触した時に前記分離爪先端と前記画像支持体又は前記定着部材との間に微小にせき止められる不要トナーが前記分離爪退避時に前記分離爪から落ちるために、前記分離爪先端の不要トナーが大きく塊に成長することがなく、前記特許文献3の技術のようなトナー溜り誘導が不要となり誘導不良という問題が発生しない。
【0134】
また、本発明の電子写真装置によれば、偏心カムを前記選択的爪位置設定手段と前記第二ストッパとに兼用することで、前記分離爪が詰まった媒体に押されて前記画像支持体又は前記定着部材の表層に食い込み、表層を剥ぎ取る問題と、前記特許文献3の技術のようなトナー溜り誘導不良の問題との解消を安価で実現できる。
【0135】
また、本発明の電子写真装置によれば、前記画像支持体又は前記定着部材と接触する前記分離爪先端の稜線を半径10μm〜100μmに設定し、かつ、前記稜線の両端部を半径100μm〜1000μmに設定することにより、媒体分離性能と前記画像支持体又は前記定着部材に対する傷つけ防止を両立することが可能となる。
【0136】
また、本発明の電子写真装置によれば、前記第一支持材と前記第二ストッパの少なくともどちらか一方が、前記分離爪先端が前記画像支持体又は前記定着部材と接触する位置における前記画像支持体又は前記定着部材周上の接線よりも前記画像支持体又は前記定着部材側にある場合、ジャム時に前記分離爪がジャム媒体により前記接線方向に押されると、媒体の進行方向より下に回転支点があると前記画像支持体又は前記定着部材から離れる方向に回転する力を受けることになる。そのため、ジャムの媒体に押されて前記分離爪が前記画像支持体又は前記定着部材の表層に食い込み、前記表層を剥ぎ取る問題が発生しない。
【0137】
また、本発明の電子写真装置によれば、前記第一支持材と前記第二ストッパが共に、前記分離爪先端が前記画像支持体又は前記定着部材と接触する位置における前記画像支持体又は前記定着部材周上の接線に対して前記画像支持体又は前記定着部材側にあり、かつ前記分離爪の前記画像支持体又は前記定着部材への接触角度が100度±10度である場合に、ジャム時に前記分離爪がジャム媒体より前記接線方向に押されると、媒体の進行方向より下に、前記第一支持材と、前記第二ストッパという二つの回転支点があるため、前記画像支持体又は前記定着部材から離れる方向により積極的に回転する力を受けることになる。これにより、より確実に前記分離爪による前記画像支持体又は前記定着部材の表層の損傷を防止できる。また、前記分離爪の前記画像支持体又は前記定着部材への接触角度を100度±10度に設定することにより、スティックスリップと呼ばれる前記分離爪の微小振動が発生せず、ジャム時での前記分離爪の前記画像支持体又は前記定着部材からの離脱が円滑になり、より確実に前記分離爪による損傷を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の平面図である。
【図2】本発明の一実施例の正面図である。
【図3】本発明の一実施例の正面図である。
【図4】本発明のその他の一実施例の正面図である。
【図5】本発明のその他の一実施例の正面図である。
【図6】本発明のその他の一実施例の正面図である。
【図7】本発明のその他の一実施例の正面図である。
【図8】本発明のその他の一実施例の平面図である。
【図9】本発明のその他の一実施例の正面図である。
【図10】本発明のその他の一実施例の正面図である。
【図11】本発明のその他の一実施例の正面図である。
【図12】本発明のその他の一実施例の正面図である。
【図13】本発明のその他の一実施例の説明図である。
【図14】本発明のその他の一実施例の正面図である。
【図15】本発明の一実施例の電子写真装置の全体図である。
【符号の説明】
1:第一支持材
2:第一フレーム
4:分離爪
5:引張りバネ(第一弾性部材)
6:第二支持材
10:バックアップローラ(定着部材)
11:ヒータ
12:中間転写ドラム(画像支持体)
13:第一ストッパ
14:圧縮バネ(第二弾性部材)
15:媒体分離部
17:ガイド部
Claims (7)
- トナーを現像材として用い、トナー画像を形成して媒体に転写を行う画像支持体又は媒体に転写されたトナー画像を定着させる一つ又は複数の定着部材への媒体の巻き付きを防止するための分離爪が配置される電子写真装置において、
前記分離爪を回転自在に支持する第一支持材と、
前記第一支持材により支持された前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材の方向又はその反対方向にスライドさせるガイド部と、
前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に当接する位置で停止させる前記ガイド部に形成する第一ストッパと、
前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に付圧させる第一弾性部材と、
前記第一支持材を前記第一ストッパに付圧させる第二弾性部材とを備え、
前記第一弾性部材の付圧力より前記第二弾性部材の付圧力を大きく設定する、
ことを特徴とする電子写真装置。 - 前記電子写真装置は、前記分離爪が媒体により押されて前記画像支持体又は前記定着部材方向とは反対方向へスライドした場合に、前記分離爪に当接されて前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材から離れる方向に回転させる位置に第二ストッパを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子写真装置。 - 前記電子写真装置は、前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に選択的に接触及び退避する選択的爪位置設定手段を備え、
前記選択的爪位置設定手段は、トナー画像を媒体に転写・定着するプロセスにおいて前記分離爪が配置される位置に媒体が搬送されないタイミングに同期させて前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材から退避し、かつ前記分離爪が配置される位置に媒体が搬送されるタイミングに同期させて前記分離爪を前記画像支持体又は前記定着部材に接触させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真装置。 - 前記選択的爪位置設定手段に偏心カムを用い、前記偏心カムを前記第二ストッパと兼用する、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の電子写真装置。 - 前記画像支持体又は前記定着部材と接触する前記分離爪先端の稜線を半径10μm〜100μmに設定し、かつ、前記稜線の両端部を半径100μm〜1000μmに設定する、
ことを特徴とする請求項1、2、3のいずれか1項に記載の電子写真装置。 - 前記第一支持材と前記第二ストッパの少なくともどちらか一方が、前記分離爪先端が前記画像支持体又は前記定着部材と接触する位置における前記画像支持体又は前記定着部材周上の接線に対して前記画像支持体又は前記定着部材側にある、
ことを特徴とする請求項2に記載の電子写真装置。 - 前記第一支持材と前記第二ストッパが共に、前記分離爪先端が前記画像支持体又は前記定着部材と接触する位置における前記画像支持体又は前記定着部材周上の接線に対して前記画像支持体又は前記定着部材側にあり、かつ前記分離爪の前記画像支持体又は前記定着部材への接触角度が100度±10度である、
ことを特徴とする請求項2に記載の電子写真装置。
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050616 |
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A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20070309 |