JP6743446B2 - インホイールモータ駆動装置 - Google Patents

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本発明は、モータと減速機を有するインホイールモータユニットが、ストラット式サスペンションにより車体に懸架されているインホイールモータ駆動装置に関する。
従来、ホイール内に配設されるモータの回転力を複数の減速機により減速してホイールに伝達することで車輪を駆動可能に構成し、車軸方向にて第1減速機と第2減速機の間にモータを配置する。そして、モータの駆動軸と各減速機の出力軸を互いに並列をなして配置する車輪駆動装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−184110号公報
しかしながら、先行技術の車輪駆動装置にあっては、インホイールモータユニットが、ユニットケースに対してモータと減速機を如何に効率良く配置するかという点に着目してなされている。このため、先行技術の車輪駆動装置をストラット式サスペンションにより車体に懸架すると、下記の問題が生じる。
モータがストラットより車両内側に配置されると、転舵時やサスペンションストローク時にユニットケースが車両内側に向かって大きく出っ張り、このユニットケースの出っ張りが、車体や隣接するリンク部材と干渉するおそれがある。一方、モータがストラットより車両外側に配置されると、モータよりもさらに車両外側に第2減速機が配置されているため、モータの軸方向長さが、第2減速機が占有する軸方向長さによって制約を受ける。このため、十分なモータ容積が取れず、所望のモータ出力を確保できない。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、ユニットケースのケース内空間にモータと減速機を配置する際、車体や隣接するリンク部材との干渉を回避しつつ、所望のモータ出力を確保するインホイールモータ駆動装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のインホイールモータ駆動装置は、インホイールモータユニットと、ストラット式サスペンションとを備える。
このインホイールモータ駆動装置において、ストラット式サスペンションは、ストラットの下端部分を、ユニットケースの上部位置に取り付ける。
インホイールモータユニットは、モータを、車軸方向にてストラットの取り付け位置よりも車両外側に配置し、減速ギア機構を、車軸方向にてストラットの取り付け位置に対してモータと反対側の車両内側に配置する。
減速ギア機構の少なくとも一部を、車軸方向にてストラットの支柱内側面の位置よりも更に車両内側に配置する。
この結果、ユニットケースのケース内空間にモータと減速ギア機構を配置する際、車体や隣接するリンク部材との干渉を回避しつつ、所望のモータ出力を確保することができる。
第1実施例のインホイールモータ駆動装置であってインホイールモータユニットがストラット式サスペンションにより車体に懸架されている状態を示す斜視図である。 第1実施例のインホイールモータ駆動装置においてストラットが取り付けられたインホイールモータユニットの外観を示す斜視図である。 第1実施例のインホイールモータ駆動装置においてストラット及びホイールが取り付けられたインホイールモータユニットの概略構造を示す一部破断斜視図である。 第1実施例のインホイールモータ駆動装置においてインホイールモータユニットの内部構造を示す展開断面図である。 第1実施例のインホイールモータ駆動装置においてモータジェネレータ・インバータ放熱プレート・減速ギア機構・ストラット・ホイールハブの車軸方向の位置関係による配置構成を示す斜視図である。 第1実施例のインホイールモータ駆動装置におけるモータジェネレータ・減速ギア機構・ストラット・タイロッド連結部・ブレーキキャリパの車軸直交方向の位置関係及び円周方向の位置関係による配置構成を示す車軸方向視図である。 ドライブシャフトにより左右前輪を駆動する電気自動車のストラット式フロントサスペンションをそのまま用いてインホイールモータユニットに置き換え可能であることを示すインホイールモータユニットの置換作用説明図である。 第1実施例のインホイールモータ駆動装置においてステアリング操作時のインホイールモータユニットの変位動作を示すステアリング操作時のインホイールモータユニット変位作用説明図である。 第1実施例のインホイールモータ駆動装置においてサスペンションのフルリバウンド時のトランスバースリンクの変位動作を示すフルリバウンド時のトランスバースリンク変位作用説明図である。
以下、本発明のインホイールモータ駆動装置を実現する最良の形態を、図面に示す第1実施例に基づいて説明する。
第1実施例
まず、構成を説明する。
第1実施例のインホイールモータ駆動装置は、前輪駆動によるインホイールモータ車において、ストラット式サスペンションにより車体に懸架される左右前輪(駆動輪、転舵輪)のそれぞれに適用した例である。以下、第1実施例の構成を、「全体装置構成」、「インホイールモータユニットの内部詳細構成」、「各構成要素の配置レイアウト構成」に分けて説明する。
[全体装置構成]
図1は、第1実施例のインホイールモータ駆動装置であってインホイールモータユニットがストラット式サスペンションにより車体に懸架されている状態を示す。図2は、ストラットが取り付けられたインホイールモータユニットの外観を示す。図3は、ストラット及びタイヤホイールが取り付けられたインホイールモータユニットの概略構造を示す。
以下、図1〜図3に基づいて、第1実施例のインホイールモータ駆動装置の全体装置構成を説明する。
インホイールモータ駆動装置Aは、図1に示すように、インホイールモータユニット1と、タイヤホイール2と、ストラット式サスペンション3と、車体4と、を備えている。
前記インホイールモータユニット1は、図1に示すように、タイヤホイール2の内側空間部分に一部分を挿入した状態で配設されるユニットケース10を有する。ユニットケース10は、図2に示すように、モータケース11と、モータカバー12と、減速ギアケース13と、減速ギアカバー14と、を有して構成される。
モータケース11のケース外面には、図1及び図2に示すように、ナックルアーム15と、ブレーキキャリパ固定アーム16と、トランスバースリンク支持アーム17と、がケースと一体に突出して形成される。モータケース11とモータカバー12によるケース内空間には、図3に示すように、モータジェネレータ5が配置される。
ナックルアーム15は、ナックル本体を兼用するモータケース11のうち、車軸方向にてタイヤホイール2側の後面位置に車両後方に向けて突出して設けられる。ナックルアーム15のアーム先端部には、図2に示すように、ステアリング機構のタイロッド86が連結されるタイロッド連結穴15aを有する。
ブレーキキャリパ固定アーム16は、ナックル本体を兼用するモータケース11のうち、車軸方向にてナックルアーム15よりタイヤホイール2側に隣接する位置に、車軸直交方向にて車両上方と車両前方に向けて2方向に突出して設けられる。ブレーキキャリパ固定アーム16の2方向に突出するアーム先端部には、図2に示すように、ブレーキキャリパ93(図6参照)を固定するキャリパ固定穴16a,16bを有する。
トランスバースリンク支持アーム17は、ナックル本体を兼用するモータケース11のうち、車軸方向にてタイヤホイール2側の下面位置に車両下方に向けて突出して設けられる。トランスバースリンク支持アーム17のアーム先端部には、図2に示すように、トランスバースリンク33のユニット側支持部となるリンク支持ボール17aが固定される。
減速ギアケース13のケース上面には、図1〜図3に示すように、ストラット取り付け凹部18が一体に形成される。減速ギアケース13と減速ギアカバー14によるケース内空間には、減速ギア機構6(図4参照)が配置される。
ストラット取り付け凹部18は、モータケース11の隣接位置に固定された減速ギアケース13のうち、ケース上部の平面位置にストラット31の下端部を埋め込み状態で取り付けるように、車両下方に向かって凹ませた円筒状凹部に形成される。
前記タイヤホイール2は、図3に示すように、インホイールモータユニット1の出力軸であるホイール駆動軸21の端部位置に固定され、外周部に図外のタイヤが装着される。つまり、減速ギア機構6からのホイール駆動軸21の端部には、ホイールハブ22がハブナット23により固定され、ブレーキロータ87と共にハブボルト24による共締めにて固定される。
前記ストラット式サスペンション3は、車両上下方向に作用する力を支えるショックアブソーバをストラット31(支柱)として用い、インホイールモータユニット1を含むバネ下部材を車体6に懸架する形式のサスペンションである。このストラット式サスペンション3は、図1に示すように、ストラット31と、コイルスプリング32と、トランスバースリンク33と、を有する。
ストラット31は、車両上下方向に作用する力を支えつつストローク動作により減衰力を発生するサスペンション部材である。ストラット31の下端部分は、ナックル本体を兼用する減速ギアケース13のケース上面位置に埋め込み状態で取り付けられる。ストラット31の上端部分は、ゴム製インシュレータによるアッパーマウントを介してホイールハウス車体メンバ41(車体4)に弾性支持される。なお、ストラット31の減速ギアケース13に対する取り付けは、例えば、ストラット31の下端部をストラット取り付け凹部18にネジ込み固定した後、緩み止めのロックナットにより締め付け固定することで行われる。
コイルスプリング32は、ショックアブソーバ中心軸に対してスプリング中心軸をオフセット状態とし、ストラット31の上部外周位置に配置され、車両上下方向に作用する力を支えつつ伸縮動作によりバネ力を発生するサスペンション部材である。コイルスプリング32の下端部分は、ストラット31に固定された下端側バネ受けプレート34に支持される。コイルスプリング32の上端部分は、上端側バネ受けプレート35及びゴム製インシュレータによるアッパーマウントを介してホイールハウスメンバ41(車体4)に弾性支持される。
トランスバースリンク33は、インホイールモータユニット1を含むバネ下部材をフロントサスペンションメンバ42(車体4)に揺動可能に支持すると共に、車幅方向及び車両前後方向に作用する力を支えるサスペンション部材である。トランスバースリンク33のユニットケース10側は、トランスバースリンク支持アーム17に設けられたリンク支持ボール17aに対し球面支持される。トランスバースリンク33のフロントサスペンションメンバ42(車体4)側は、車体支持軸上にて車両前後方向に離れた位置に設けられた支持ピン33a,33bに対し、ゴムブッシュを介して2点で結合支持される。
ここで、第1実施例のように、ストラット式サスペンション3を左右前輪に使用する場合、ストラット31及びコイルスプリング32の車体支持点P1と、トランスバースリンク33のユニットケース支持点P2とを通る軸を仮想キングピン軸線KLとする。つまり、ステアリング操作がなされると、仮想キングピン軸線KLを回転中心軸として、インホイールモータユニット1及びタイヤホイール2が転舵する。
[インホイールモータユニットの内部詳細構成]
図4は、第1実施例のインホイールモータ駆動装置においてインホイールモータユニットの内部構造を示す。以下、図4に基づいて、インホイールモータユニットの内部詳細構成を説明する。
インホイールモータユニット1は、図4に示すように、ユニットケース10のケース内部に、モータジェネレータ5(モータ)と、減速ギア機構6(減速機)と、インバータモジュール7と、を備えている。
前記モータジェネレータ5は、モータ軸51と、ロータ52と、ステータ53と、ステータコイル54と、を有して構成される。
モータ軸51は、中心軸位置に軸心油路55が貫通状態で形成される。モータ軸51のタイヤホイール2側の一端部は、モータケース11に対し第1ベアリング81を介して回転可能に支持される。モータ軸51のタイヤホイール2側の一端部には、第1ベアリング81とスプラッシュガード88の間の位置に、ロータ回転角度を検出するレゾルバ89が設けられる。モータ軸6の減速ギア機構6側の他端部は、減速ギアケース13に対し第2ベアリング82を介して回転可能に支持される。
ロータ52は、モータ軸51に固定され、図外の永久磁石を埋設した積層鋼板により構成される。ロータ52の減速ギア機構6側の端面には、第1空気循環翼56が径方向に複数枚設けられ、ロータ52のタイヤホイール2側の端面には、第2空気循環翼57が径方向に複数枚設けられる。第1空気循環翼56は、インバータ放熱プレート71を翼ケーシングとし、ターボチャージャに用いられるような遠心軸流翼形状とされる。
ステータ53は、ユニットケース1の内面に固定される共にロータ52に対しエアギャップを介して配置され、打ち抜き積層鋼板によるステータティースのそれぞれにステータコイル54を巻き付けることで構成される。ステータコイル54は、U相コイル線・V相コイル線・W相コイル線などを有し、これらのコイル線がインバータモジュール7に対して接続される。
モータジェネレータ5が配置される空間は、減速ギア機構6が配置されるウェット空間68とは隔壁13aにより画成されたドライ空間58とされる。そして、ロータ52の回転に伴って回転する第1空気循環翼56と第2空気循環翼57を用い、ドライ空間58内の空気を強制循環させる内部循環空気冷却経路が形成される。内部循環空気冷却経路は、ロータ52とステータ53のエアギャップ、ロータ内スリット、ステータ隙間、及び、ケース内面に沿って形成される空間を空気通路とする。なお、減速ギアケース13の隔壁13aには、ウェット空間68との間で熱交換する熱交換面積を確保するリブ13bが設けられている。
前記減速ギア機構6は、ギア軸として、モータ軸51と、アイドラー軸60と、ホイール駆動軸21と、を有する。ギア列として、第1減速ギア列61(第1減速機)と、第2減速ギア列62(第2減速機)と、を有して構成される。
モータ軸51とアイドラー軸60とホイール駆動軸21は、互いに平行で高さの異なるギア軸である。アイドラー軸60は、減速ギアケース13の隔壁部13aに設けた第3ベアリング83と、減速ギアカバー14に設けた第4ベアリング84と、によって両端支持される。ホイール駆動軸21は、減速ギアカバー14に設けた第5ベアリング85と、ホイールハブ22側に設けられたハブベアリング25と、によって両端支持される。ハブベアリング25は、モータケース11に固定されるハブケース26をアウターレースとし、ホイールハブ22をインナーレースとするベアリングである。ここで、図4に示す展開断面図においては、モータ軸51>アイドラー軸60>ホイール駆動軸21という高さ関係を持つ記載となっているが、実際の高さ関係は、アイドラー軸60>モータ軸51>ホイール駆動軸21という関係になっている(図6参照)。
第1減速ギア列61は、モータ軸51を車両内側の減速ギアカバー14の近くまで延ばした端部位置に形成されたモータ軸ギア63と、モータ軸ギア63に噛み合い、アイドラー軸60に一体形成された第1アイドラー軸ギア64と、によって構成される。アイドラー軸60の中心軸位置には、軸心油路チューブ67が設けられる。軸心油路チューブ67の隔壁部13a側の端部位置には、第3ベアリング83からの潤滑油を流入する開口部が形成される。軸心油路チューブ67の減速ギアカバー14側の端部位置には、屈曲可能な連結チューブ90の一端が接続され、連結チューブ90の他端がモータ軸51の軸心油路55に接続される。
なお、第1アイドラー軸ギア64の端面には、パーキングレンジ位置の選択により図外のパーキングポールが動作し、パーキングポールとの噛み合いによりアイドラー軸60をユニットケース10に静止固定するパーキングギア91が設けられている。
第2減速ギア列62は、アイドラー軸60に一体形成された第2アイドラー軸ギア65と、第2アイドラー軸ギア65に噛み合い、ホイール駆動軸21の端部位置に一体形成されたホイール駆動軸ギア66と、によって構成される。ホイール駆動軸ギア66は、減速ギアカバー14側のピンベアリング92と、ホイール駆動軸ギア66を挟んで反対側の第5ベアリング85と、によって両端支持可能とされている。ピンベアリング92は、減速ギアケース14側に固定されたケース部材92aと、支持ピン92bと、を有して構成される。ケース部材92aは、円柱突起とピン穴を有し、ホイール駆動軸ギア66は、円柱突起に対応する位置に円柱凹部を有し、ピン穴に対応する回転中心軸位置にピン穴を有する。そして、ケース部材92aとホイール駆動軸ギア66に有する両ピン穴を貫通して支持ピン92bが設けられる。このピンベアリング92は、通常時は大きな隙間を持っており、ベアリングとして作用しない。しかし、ホイルナット23の緩みやハブベアリング25の異常や第5ベアリング85(ローラベアリング)の異常が発生すると、隙間が埋められてベアリングとして作用する。
減速ギア機構6が配置される空間は、モータジェネレータ5が配置されるドライ空間58とは隔壁13aにより画成されたウェット空間68とされる。そして、モータケース11には、第1ベアリング81とハブベアリング25を連通する斜め径方向の第1潤滑油路94と、ハブベアリング25と第5ベアリング85を連通する車軸方向の第2潤滑油路95とが形成される。つまり、減速機ケース13の底部に溜められた潤滑油を、回転するホイール駆動軸ギア66により掻き揚げる。そして、掻き揚げた潤滑油を、アイドラー軸60に設けられた軸心油路チューブ67から潤滑必要部位を通過して強制循環させる内部循環潤滑油冷却経路が形成される。内部循環潤滑油冷却経路は、掻き揚げられた潤滑油が、第3ベアリング83の外部に設けたケース切欠部13c→軸心油路チューブ67→連結チューブ90→軸心油路55→第1ベアリング81→第1潤滑油路94→第2潤滑油路95→第5ベアリング85に至る経路である。
前記インバータモジュール7は、モータジェネレータ5の側面位置に内蔵配置され、耐熱性が高い半導体素子を用いたインバータ回路などからなるモジュールである。このインバータモジュール7は、ステータコイル54と接続され、インバータ放熱プレート71に対して環状に複数個配列することで構成される。なお、インバータモジュール7は、モータジェネレータ5の力行時、図外のバッテリからの直流を、モータジェネレータ5を回転駆動させる多相交流に変換する。また、モータジェネレータ5の回生時、モータジェネレータ5により発電された多相交流を、図外のバッテリに充電するための直流に変換する。
インバータ放熱プレート71は、モータケース11に対しネジ止め固定されていて、モータジェネレータ5の減速ギア機構6側の隣接位置に、モータ端面に覆うように配置される(図5参照)。インバータ放熱プレート71は、インバータモジュール7を固定する面を平面とし、その反対面を、ロータ52の端面に固定された第1空気循環翼56にとって翼ケーシングになる形状とされる。
ここで、インバータモジュール7が配置される空間は、上記のように、モータジェネレータ5が配置されるドライ空間58である。インバータモジュール7は、ドライ空間58内の空気を強制循環させる内部循環空気冷却経路のうち、流速が速い空気流になる第1空気循環翼56の吸入位置に配置し、インバータモジュール7の冷却能力を確保している。
[各構成要素の配置レイアウト構成]
図5は、モータジェネレータ・インバータ放熱プレート・減速ギア機構・ストラット・ホイールハブの車軸方向の位置関係による配置構成を示す。図6は、モータジェネレータ・減速ギア機構・ストラット・タイロッド連結部・ブレーキキャリパの車軸直交方向の位置関係及び円周方向の位置関係による配置構成を示す。以下、図5及び図6に基づいて、各構成要素の配置レイアウト構成を説明する。
前記減速ギア機構6は、第1減速ギア列61と第2減速ギア列62により構成されている。第1減速ギア列61は、図5に示すように、モータ軸51を車両内側方向に延ばすことで車軸方向にてモータジェネレータ5から離れた車両内側の位置に配置される。一方、第2減速ギア列62は、図5に示すように、車軸方向にて第1減速ギア列61よりも車両外側の位置に配置される。
そして、第1減速ギア列61による第1減速比と第2減速ギア列62による第2減速比を異ならせている。第1減速ギア列61は、図5及び図6に示すように、モータ軸ギア63の噛み合い径を小さく、第1アイドラー軸ギア64の噛み合い径を大きくすることで、第1減速比を大きく設定している。第2減速ギア列62は、第2アイドラー軸ギア65の噛み合い径と、ホイール駆動軸ギア66の噛み合い径の差を小さく抑えることにより、第2減速比を第1減速比より小さく設定している。
また、モータ軸51とアイドラー軸60とホイール駆動軸21は、図6に示すように、アイドラー軸60>モータ軸51>ホイール駆動軸21という高さ関係に設定している。つまり、タイヤホイール2の中心軸CLの位置にホイール駆動軸21を配置したとき、ホイール駆動軸21よりモータ軸51を高い位置に配置し、モータ軸51よりアイドラー軸60を高い位置に配置している。
前記減速ギア機構6を、第1減速ギア列61と第2減速ギア列62に分けないときの車軸方向の位置関係は、下記の通りである。
モータジェネレータ5と減速ギア機構6とストラット31の車軸方向の位置関係は、図5に示すように、モータジェネレータ5を、車軸方向にてストラット31の取り付け位置よりも車両外側に配置している。減速ギア機構6を、車軸方向にてストラット31の取り付け位置に対してモータジェネレータ5と反対側の車両内側に配置している。
前記減速ギア機構6を、第1減速ギア列61と第2減速ギア列62に分けたときの車軸方向の位置関係は、下記の通りである。
モータジェネレータ5と第1減速ギア列61とストラット31の車軸方向の位置関係は、図5に示すように、第1減速ギア列61を、車軸方向にてストラット31を挟んでモータジェネレータ5とは反対側の領域に配置している。第2減速ギア列62とストラット31の車軸方向の位置関係は、図5に示すように、第2減速ギア列62を、ストラット31の下側領域に配置している。つまり、車軸方向にて第2減速ギア列62と符合する位置にストラット31を配置しているので、図5及び図6に示すように、ストラット31の下端部を、ユニットケース10の内部まで埋め込み状態にて配置するスペースが確保される。
前記減速ギア機構6を構成するモータ軸ギア63と第1アイドラー軸ギア64と第2アイドラー軸ギア65とホイール駆動軸ギア66の車軸直交方向の位置関係は、下記の通りである。
第1減速ギア列61による第1減速比を大きく、第2減速ギア列62による第2減速比を第1減速比より小さくしている。このため、図6に示すように、タイヤホイール2の中心軸CLの位置に配置されるホイール駆動軸21に設けられるホイール駆動軸ギア66の径が小さく抑えられる。よって、モータ軸ギア63と第1アイドラー軸ギア64と第2アイドラー軸ギア65とホイール駆動軸ギア66により占有する高さが、モータジェネレータの全高MHの範囲内にほぼ収まる配置になる。この結果、ユニットケース10の底面高さ位置BLが、トランスバースリンク33のユニットケース支持点P2から離れた高さ位置になる。
前記モータジェネレータ5とタイロッド連結部96との車軸直交方向の位置関係は、下記の通りである。
モータジェネレータ5は、図6に示すように、車軸直交方向にてホイール駆動軸21を挟んでナックルアーム15のタイロッド連結部96とは反対側の軸対称領域に配置される。つまり、タイロッド連結部96は、モータジェネレータ5とは車両前後方向に離れて形成される空スペース領域に配置される。
前記モータジェネレータ5とタイロッド連結部96とブレーキキャリパ93との円周方向の位置関係は、下記の通りである。
ブレーキキャリパ93は、図6に示すように、ホイール駆動軸21を中心とする円周方向にてナックルアーム15のタイロッド連結部96とモータジェネレータ5との間の円周領域に配置される。つまり、ブレーキキャリパ93は、タイロッド連結部96とモータジェネレータ5との間に円周方向に形成される空スペース領域に配置される。
次に、作用を説明する。
第1実施例の作用を、「インホイールモータユニットの置換作用」、「フル転舵時におけるインホイールモータユニット変位作用」、「フルリバウンド時におけるトランスバースリンク変位作用」、「インホイールモータ駆動装置の特徴作用」に分けて説明する。
[インホイールモータユニットの置換作用]
以下、図7に基づいて、ドライブシャフトにより左右前輪を駆動する電気自動車のストラット式フロントサスペンションをそのまま用い、そのステアリングナックル部分に、第1実施例のインホイールモータユニット1を取り付ける置換作用を説明する。
まず、ストラット式サスペンションのメリットとしては、下記の点が挙げられる。
(A) ストラット式以外の独立懸架サスペンション(ダブルウィッシュボーン式など)では、キャンバー方向の位置決めのためのアッパーアームが必要となり、その空間が犠牲になる。しかし、ストラット式では、ショックアブソーバがその役割をするので、車室空間を大きく取れる。この利点は、レイアウト空間に余裕がないFF車において、特に重要である。
(B) 車体側の支持点(ピボット点)の間隔が大きいため、強度的に有利であり、アライメントの製造誤差が比較的小さい。
(C) 構造が簡単で部品点数が少ないため、コスト、重量の点で有利である。
そして、上記のようなメリットを持つことにより、現在、乗用車のフロントサスペンションとして、最も多く採用されているのがストラット式フロントサスペンションである。
一方、インホイールモータ車においては、サスペンションと別個にインホイールモータユニットの開発を行い、インホイールモータユニットのユニットケース内に内蔵されるモータと減速機の配置を決めている。そして、インホイールモータユニットのユニットケース形状が決まると、それに合わせてインホイールモータユニット専用のサスペンションを新たに開発するという手法が一般的に採られている。このようにインホイールモータユニットとサスペンションを分けた開発手法を採っているため、インホイールモータユニットとサスペンションを組み合わせたときに新たな課題を生み、インホイールモータ車の実車化を遅らせる原因の一つになっている。
これに対し、本発明者は、まず、ドライブシャフトにより左右前輪を駆動する電気自動車(実車)のストラット式フロントサスペンションに注目した。そして、タイヤホイールの内側空間を注視したとき、図7に示すように、ステアリングナックルやドライブシャフトのブーツが、タイヤホイールの内側空間スペースを占有していることを知見した。
そこで、タイヤホイールの内側空間を占有しているステアリングナックルやドライブシャフトのブーツによる空間スペースに、ストラット式フロントサスペンションをそのまま用いてインホイールモータユニットに置き換えることが可能かどうかを検討した。この検討の結果、現行の空間スペースは予想以上のスペース容積を持ち、インホイールモータユニットを置き換えて搭載することが可能であるとの結論を得た。そして、インホイールモータユニットに置き換える際に克服すべき様々な課題を解決した上で、第1実施例のインホイールモータ駆動装置Aを完成するに至った。
即ち、第1実施例のインホイールモータ駆動装置Aは、図7に示すように、既存のストラット式フロントサスペンションをそのまま用いながら、タイヤホイール2の内側空間スペースにインホイールモータユニット1を配置したものである。
このように、ストラット式フロントサスペンションをそのまま用いてインホイールモータユニット1に置き換えることを可能としたため、上記(A)〜(C)によるストラット式サスペンションのメリットを全て享有することができる。そして、ストラット式フロントサスペンションを備えた既存の車両に対し、少なくともレイアウト設計を変更することなく、インホイールモータ車に移行することが可能であるため、インホイールモータ車の実車化を促進することができる。
[フル転舵時におけるインホイールモータユニット変位作用]
上記のように、ストラット式フロントサスペンションをそのまま用いてインホイールモータユニット1に置き換えたとき、ステアリング操作時にインホイールモータユニット1とサイドメンバ43(車体4)とが干渉するのを回避する必要がある。以下、図8に基づいて、フル転舵時におけるインホイールモータユニット1の変位作用を説明する。
ステアリング操作位置が中立位置にあるときは、図8の実線に示すように、インホイールモータユニット1とサイドメンバ43(車体4)とが離れている位置関係である。この中立位置から左右方向にフル転舵すると、図8の仮想線(タイヤホイール2’)に示すように、インホイールモータユニット1とサイドメンバ43(車体4)とが左右方向の一方向(図8の右回り方向)の転舵で近づく。しかし、左右方向の他方向(図8の左回り方向)にフル転舵すると、図8の仮想線(タイヤホイール2”)に示すように、インホイールモータユニット1とサイドメンバ43(車体4)とが中立位置よりも離れる。
このように、フル転舵状態にしても、インホイールモータユニット1とサイドメンバ43(車体4)との間には、図8の仮想線に示すように、隙間が確保される。これは、仮想キングピン軸線KPが、図7に示すように、モータケース11に内蔵されるモータジェネレータ5のほぼ中間の位置を通る。よって、仮想キングピン軸線KPを中心軸としてインホイールモータユニット1が触れ回ってもサイドメンバ43(車体4)側への突出が抑えられることによる。なお、左右方向の一方向(図8の右回り方向)の転舵でインホイールモータユニット1が近づく理由は、ユニットケース10が、タイヤホイール2の中心軸CLから車両前後方向の一方向側にオフセット配置されていることによる。
このように、ストラット式フロントサスペンションをそのまま用いてインホイールモータユニット1に置き換えたとき、左右へフル転舵状態としても、インホイールモータユニット1とサイドメンバ43(車体4)とが干渉しないことを確認することができた。
[フルリバウンド時におけるトランスバースリンク変位作用]
上記のように、ストラット式フロントサスペンションをそのまま用いてインホイールモータユニット1に置き換えたとき、フルリバウンド時にインホイールモータユニット1とトランスバースリンク33とが干渉するのを回避する必要がある。以下、図9に基づいて、フルリバウンド時におけるトランスバースリンク33の変位作用を説明する。
平坦路走行でのノーマル状態では、図9の実線特性に示すように、インホイールモータユニット1とトランスバースリンク33とが所定の間隔を保っている位置関係になる。凹凸路走行時などにおいて、サスペンションが縮むバウンド状態やフルバウンド状態では、インホイールモータユニット1とトランスバースリンク33との間隔が、ノーマル状態での間隔よりも広くなる。
しかし、サスペンションが伸びるリバウンド状態になると、インホイールモータユニット1とトランスバースリンク33との間隔が、ノーマル状態での間隔よりも狭くなる。そして、フルリバウンド状態になると、図9の仮想線に示すように、インホイールモータユニット1とトランスバースリンク33との間隔が最も近接する位置関係になる。しかし、インホイールモータユニット1とトランスバースリンク33との間には、図9の仮想線に示すように、隙間が確保される。これは、第1減速ギア列61による第1減速比を、第2減速ギア列62による第2減速比よりも大きくしているため、ユニットケース10の底面高さ位置BLが、トランスバースリンク33のユニットケース支持点P2から離れた高さ位置に配置されることによる。
このように、ストラット式フロントサスペンションをそのまま用いてインホイールモータユニット1に置き換えたとき、フルリバウンド状態になっても、インホイールモータユニット1とトランスバースリンク33とが干渉しないことを確認することができた。
[インホイールモータ駆動装置の特徴作用]
第1実施例では、ストラット式サスペンション3は、ストラット31の下端部分を、ユニットケース10の上部位置に取り付ける。インホイールモータユニット1は、モータジェネレータ5を、車軸方向にてストラット31の取り付け位置よりも車両外側に配置し、減速ギア機構6を、車軸方向にてストラット31の取り付け位置に対してモータジェネレータ5と反対側の車両内側に配置する。
即ち、ユニットケース10のケース内空間にモータジェネレータ5と減速ギア機構6を配置するとき、ストラット式サスペンション3のうち、ユニットケース10に取り付けられるストラット31の取り付け位置に着目した。
よって、モータジェネレータ5は、ストラット31の取り付け位置を基準位置とし、車軸方向にてストラット取り付け位置よりも車両外側に配置される。このため、モータジェネレータ5の軸方向長さを決めるとき、減速ギア機構6による制約を受けることがなく、例えば、タイヤホイール2に固定されるブレーキロータ87のぎりぎり位置まで軸方向に延ばすことが可能である。よって、減速ギア機構6による制約を受けることなくモータジェネレータ5の軸方向長さを取れることで、所望のモータ出力が確保される。
一方、減速ギア機構6は、ストラット31の取り付け位置を基準位置とし、車軸方向にてストラット取り付け位置に対してモータジェネレータ5と反対側の車両内側に配置される。このため、ストラット31より車両内側へのユニットケース10の出っ張り量を決めるとき、例えば、ケース内空間に有する狭いスペースを有効に利用して第1減速ギア列61と第2減速ギア列62を配置することが可能である。よって、車両内側へのユニットケース10のケース出っ張り量が小さく抑えられ、車体4や隣接するリンク部材との干渉が回避される。
第1実施例では、減速ギア機構6の一部を、車軸方向にてストラット31とオーバラップするストラット下側領域に配置する。
例えば、減速ギア機構6の全部を、ストラット31よりも車両内側に配置することができるが、この場合には、ユニットケース10の軸長を増大させてしまう。
これに対し、減速ギア機構6の一部を、車軸方向にてストラット31とオーバラップさせることで、ユニットケース10の軸長の増大が抑えられる。
第1実施例では、減速ギア機構6を、第1減速ギア列61と第2減速ギア列62による2段減速機とする。
即ち、モータ軸51とホイール駆動軸21との間の減速比が、第1減速ギア列61の第1減速比と第2減速ギア列62の第2減速比の積により決まる。
従って、減速ギア機構6の減速比として、大きな減速比が可能であることで、高回転・低トルクの小径タイプのモータジェネレータ5を用いることができる。
第1実施例では、ユニットケース10は、ケース下部位置とフロントサスペンションメンバ42とが、トランスバースリンク33により連結される。減速機は、第1減速機を第1減速ギア列61とし、第2減速機を第2減速ギア列62とする減速ギア機構6である。減速ギア機構6は、第1減速ギア列61による第1減速比を、第2減速ギア列62による第2減速比より大きくする。
即ち、第2減速ギア列62による第2減速比は、第1減速ギア列61による第1減速比よりも小さくされる。このため、第2減速ギア列62の出力側ギアであるホイール駆動軸ギア66の大きさを抑えることができる。この結果、図6に示すように、ユニットケース10の底面高さ位置BLが、トランスバースリンク33のユニットケース支持点P2から離れた高さ位置になる。
従って、サスペンションが伸び切ったフルリバウンド状態になったとしても、ユニットケース10とトランスバースリンク33の干渉が回避される。
第1実施例では、第1減速ギア列61は、車軸方向にてストラット31を挟んでモータジェネレータ5とは反対側の領域に配置する。第2減速ギア列62は、ストラット31の下側領域に配置する。
即ち、車軸方向にて第2減速ギア列62と符合する位置にストラット31を配置しているので、図5及び図6に示すように、ストラット31の下端部を、ユニットケース10の内部まで埋め込み状態にて配置するスペースが確保される。つまり、ストラット31の下端部を埋め込み状態としても、第1アイドラー軸ギア64やモータジェネレータ5と干渉しない。このため、既存のストラット式サスペンションをそのまま用い、そのステアリングナックル部分に、インホイールモータユニット1を取り付けることが可能になる。
従って、インホイールモータユニット1を搭載したインホイールモータ駆動装置Aが、既存のストラット式サスペンションを流用した置き換えにより構成される。
第1実施例では、モータジェネレータ5は、ホイール駆動軸21と平行なモータ軸51を有する。ユニットケース10に、ステアリング機構のタイロッド86が連結されるナックルアーム15を設ける。モータジェネレータ5を、車軸直交方向にてホイール駆動軸21を挟んでナックルアーム15のタイロッド連結部96とは反対側の領域に配置する。
即ち、タイロッド連結部96は、モータジェネレータ5とは車両前後方向に離れて形成される空スペース領域に配置される。このため、モータジェネレータ5は、タイロッド連結部96による径方向長さの制約を受けることなく、タイヤホイール2の内径とホイール駆動軸21の外径による径方向範囲内でモータ外径を決めることができる。
従って、タイロッド連結部96による制約を受けることなくモータジェネレータ5のモータ外径の長さを取れることで、所望のモータ出力が確保される。
第1実施例では、タイヤホイール2は、ユニットケース10と車軸方向に隣接する位置に固定されたブレーキロータ87を有する。ユニットケース10に、ブレーキロータ87を挟圧するブレーキキャリパ93を設ける。ブレーキキャリパ93を、ホイール駆動軸21を中心とする円周方向にてナックルアーム15のタイロッド連結部96とモータジェネレータ5との間の円周領域に配置する。
即ち、ブレーキキャリパ93は、車軸方向に専用のスペースを確保することなく、タイロッド連結部96とモータジェネレータ5との間に円周方向に形成される空スペース領域に配置される。
従って、ユニットケース10の車軸方向の長さを拡大することなく、ユニットケース10やタイロッド連結部96とブレーキキャリパ93の干渉が回避される。
次に、効果を説明する。
第1実施例のインホイールモータ駆動装置Aにあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) インホイールモータ駆動装置Aは、インホイールモータユニット1と、ストラット式サスペンション3と、を備える。
インホイールモータユニット1は、タイヤホイール2の内側空間部分に配設されるユニットケース10のケース内空間に、モータ(モータジェネレータ5)と減速機(減速ギア機構6)を配置する。
ストラット式サスペンション3は、車両上下方向に作用する力を支えるストラット31を用い、インホイールモータユニット1を含むバネ下部材を車体4に懸架する。
このインホイールモータ駆動装置Aにおいて、ストラット式サスペンション3は、ストラット31の下端部分を、ユニットケース10の上部位置に取り付ける。
インホイールモータユニット1は、モータ(モータジェネレータ5)を、車軸方向にてストラット31の取り付け位置よりも車両外側に配置する。減速機(減速ギア機構6)を、車軸方向にてストラット31の取り付け位置に対してモータ(モータジェネレータ5)と反対側の車両内側に配置する(図5)。
このため、ユニットケース10のケース内空間にモータ(モータジェネレータ5)と減速機(減速ギア機構6)を配置する際、車体4や隣接するリンク部材との干渉を回避しつつ、所望のモータ出力を確保することができる。
(2) 減速機(減速ギア機構6)の一部を、車軸方向にてストラット31とオーバラップするストラット下側領域に配置する(図5)。
このため、(1)の効果に加え、減速機(減速ギア機構6)の一部を、車軸方向にてストラット31とオーバラップさせることで、ユニットケース10の軸長増大を抑えることができる。
(3) 減速機(減速ギア機構6)は、第1減速機(第1減速ギア列61)と第2減速機(第2減速ギア列62)による2段減速機とする(図5)。
このため、(2)の効果に加え、大きな減速比が可能であることで、高回転・低トルクの小径タイプのモータ(モータジェネレータ5)を用いることができる。
(4) ユニットケース10は、ケース下部位置と車体4(フロントサスペンションメンバ42)とが、トランスバースリンク33により連結される。
減速機は、第1減速機を第1減速ギア列61とし、第2減速機を第2減速ギア列62とする減速ギア機構6である。
減速ギア機構6は、第1減速ギア列61による第1減速比を、第2減速ギア列62による第2減速比より大きくする(図6)。
このため、(3)の効果に加え、サスペンションが伸び切ったフルリバウンド状態になったとしても、ユニットケース10とトランスバースリンク33の干渉を回避することができる。
(5) 第1減速ギア列61は、車軸方向にてストラット31を挟んでモータ(モータジェネレータ5)とは反対側の領域に配置する。
第2減速ギア列62は、ストラット31の下側領域に配置する(図6)。
このため、(4)の効果に加え、インホイールモータユニット1を搭載したインホイールモータ駆動装置Aを、既存のストラット式サスペンションを流用した置き換えにより構成することができる。
(6) モータ(モータジェネレータ5)は、ホイール駆動軸21と平行なモータ軸51を有する。
ユニットケース10に、ステアリング機構のタイロッド86が連結されるナックルアーム15を設ける。
モータ(モータジェネレータ5)を、車軸直交方向にてホイール駆動軸21を挟んでナックルアーム15のタイロッド連結部96とは反対側の領域に配置する(図6)。
このため、(1)〜(5)の効果に加え、タイロッド連結部96による制約を受けることなくモータ(モータジェネレータ5)のモータ外径の長さを取れることで、所望のモータ出力を確保することができる。
(7) タイヤホイール2は、ユニットケース10と車軸方向に隣接する位置に固定されたブレーキロータ87を有する。
ユニットケース10に、ブレーキロータ87を挟圧するブレーキキャリパ93を設ける。
ブレーキキャリパ93を、ホイール駆動軸21を中心とする円周方向にてナックルアーム15のタイロッド連結部96とモータ(モータジェネレータ5)との間の円周領域に配置する(図6)。
このため、(1)〜(6)の効果に加え、ユニットケース10の車軸方向の長さを拡大することなく、ユニットケース10やタイロッド連結部96とブレーキキャリパ93の干渉を回避することができる。
以上、本発明のインホイールモータ駆動装置を第1実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この第1実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
第1実施例では、ストラット31の下端部分を、ユニットケース10の上部位置に埋め込み状態で取り付ける例を示した。しかし、ストラットの下端部分を、ユニットケースの上部位置に取り付ける形態としては、埋め込み状態に限らず、例えば、ユニットケースに設けた取り付けフランジなどを介して取り付けるようなものであっても良い。
第1実施例では、減速ギア機構6の一部(第2減速ギア列62)を、車軸方向にてストラット31とオーバラップするストラット下側領域に配置する例を示した。しかし、減速ギア機構の全部を、車軸方向にてストラットとオーバラップしない位置に配置する例であっても良い。また、減速ギア機構の全部を、車軸方向にてストラットとオーバラップするストラット下側領域に配置する例であっても良い。
第1実施例では、減速ギア機構6として、第1減速ギア列61と第2減速ギア列62による2段減速機とする例を示した。しかし、減速ギア機構としては、1段減速機や3段減速機以上としても良い。また、減速ギア列ではなく、遊星歯車を用いたり、減速ギア列と遊星歯車の組み合わせを用いたりしても良い。
第1実施例では、タイロッドとして、ユニットケース10よりも車両後方側の位置に配置されるタイロッド86の例を示した。しかし、タイロッドとしては、ユニットケースを車両前後方向に入れ替え配置することにより、ユニットケースよりも車両前方側の位置に配置される例としても良い。
第1実施例では、インホイールモータユニット1を搭載したインホイールモータ駆動装置Aを、既存のストラット式フロントサスペンションを流用した置き換えにより構成する例を示した。しかし、インホイールモータユニットを搭載したインホイールモータ駆動装置は、ストラットを有するストラット式サスペンションと組み合わせるものであれば、既存のサスペンションを流用しないものであっても良い。例えば、要求されるホイールアライメントなどのサスペンション性能に応じて、一部の仕様を改良したストラット式サスペンションを用いたり、インホイールモータユニットに専用のストラット式サスペンションを用いたりしても良い。
第1実施例では、本発明のインホイールモータ駆動装置を、電気自動車の左右前輪に適用する例を示した。しかし、本発明のインホイールモータ駆動装置は、電気自動車の左右後輪に対しても適用することができるし、電気自動車の全輪に対しても適用することができる。
A インホイールモータ駆動装置
1 インホイールモータユニット
10 ユニットケース
15 ナックルアーム
2 タイヤホイール
21 ホイール駆動軸
3 ストラット式サスペンション
31 ストラット
32 コイルスプリング
33 トランスバースリンク
4 車体
5 モータジェネレータ(モータ)
51 モータ軸
6 減速ギア機構(減速機)
61 第1減速ギア列(第1減速機)
62 第2減速ギア列(第2減速機)
86 タイロッド
87 ブレーキロータ
93 ブレーキキャリパ
96 タイロッド連結部

Claims (7)

  1. タイヤホイールの内側空間部分に配設されるユニットケースのケース内空間に、モータと減速ギア機構を配置するインホイールモータユニットと、
    車両上下方向に作用する力を支えるストラットを用い、前記インホイールモータユニットを含むバネ下部材を車体に懸架するストラット式サスペンションと、
    を備えるインホイールモータ駆動装置において、
    前記ストラット式サスペンションは、前記ストラットの下端部分を、前記ユニットケースの上部位置に取り付け、
    前記インホイールモータユニットは、前記モータを、車軸方向にて前記ストラットの取り付け位置よりも車両外側に配置し、前記減速ギア機構を、車軸方向にて前記ストラットの取り付け位置に対して前記モータと反対側の車両内側に配置し、
    前記減速ギア機構の少なくとも一部を、車軸方向にて前記ストラットの支柱内側面の位置よりも更に車両内側に配置する
    ことを特徴とするインホイールモータ駆動装置。
  2. タイヤホイールの内側空間部分に配設されるユニットケースのケース内空間に、モータと減速ギア機構を配置するインホイールモータユニットと、
    車両上下方向に作用する力を支えるストラットを用い、前記インホイールモータユニットを含むバネ下部材を車体に懸架するストラット式サスペンションと、
    を備えるインホイールモータ駆動装置において、
    前記ストラット式サスペンションは、前記ストラットの下端部分を、前記ユニットケースの上部位置に取り付け、
    前記インホイールモータユニットは、前記モータを、車軸方向にて前記ストラットの取り付け位置よりも車両外側に配置し、前記減速ギア機構を、車軸方向にて前記ストラットの取り付け位置に対して前記モータと反対側の車両内側に配置し、
    前記減速ギア機構の一部を、車軸方向にて前記ストラットの支柱とオーバラップするストラット下側領域に配置し、前記減速ギア機構の残りの部分を、車軸方向にて前記ストラットの支柱内側面の位置よりも更に車両内側に配置する
    ことを特徴とするインホイールモータ駆動装置。
  3. 請求項1又は2に記載されたインホイールモータ駆動装置において、
    前記減速ギア機構は、第1減速ギア列と第2減速ギア列による2段減速機とする
    ことを特徴とするインホイールモータ駆動装置。
  4. 請求項3に記載されたインホイールモータ駆動装置において、
    前記ユニットケースは、ケース下部位置と車体とが、トランスバースリンクにより連結され、
    記減速ギア機構は、前記第1減速ギア列による第1減速比を、前記第2減速ギア列による第2減速比より大きくする
    ことを特徴とするインホイールモータ駆動装置。
  5. 請求項4に記載されたインホイールモータ駆動装置において、
    前記第1減速ギア列は、車軸方向にて前記ストラットを挟んで前記モータとは反対側の領域に配置し、
    前記第2減速ギア列は、前記ストラットの下側領域に配置する
    ことを特徴とするインホイールモータ駆動装置。
  6. 請求項1から5までの何れか一項に記載されたインホイールモータ駆動装置において、
    前記モータは、ホイール駆動軸と平行なモータ軸を有し、
    前記ユニットケースに、ステアリング機構のタイロッドが連結されるナックルアームを設け、
    前記モータを、車軸直交方向にて前記ホイール駆動軸を挟んで前記ナックルアームのタイロッド連結部とは反対側の領域に配置する
    ことを特徴とするインホイールモータ駆動装置。
  7. 請求項6に記載されたインホイールモータ駆動装置において、
    前記タイヤホイールは、前記ユニットケースと車軸方向に隣接する位置に固定されたブレーキロータを有し、
    前記ユニットケースに、前記ブレーキロータを挟圧するブレーキキャリパを設け、
    前記ブレーキキャリパを、前記ホイール駆動軸を中心とする円周方向にて前記ナックルアームのタイロッド連結部と前記モータとの間の円周領域に配置する
    ことを特徴とするインホイールモータ駆動装置。
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