JP6742711B2 - 凹凸表面貼付用フィルムを用いた表面凹凸被処理物への微細パターン転写方法 - Google Patents

凹凸表面貼付用フィルムを用いた表面凹凸被処理物への微細パターン転写方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6742711B2
JP6742711B2 JP2015201508A JP2015201508A JP6742711B2 JP 6742711 B2 JP6742711 B2 JP 6742711B2 JP 2015201508 A JP2015201508 A JP 2015201508A JP 2015201508 A JP2015201508 A JP 2015201508A JP 6742711 B2 JP6742711 B2 JP 6742711B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
pattern
photosensitive resist
resist film
water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015201508A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017071202A (ja
Inventor
佐々木 実
佐々木  実
誠法 斉藤
誠法 斉藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota School Foundation
Aicello Corp
Original Assignee
Toyota School Foundation
Aicello Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota School Foundation, Aicello Corp filed Critical Toyota School Foundation
Priority to JP2015201508A priority Critical patent/JP6742711B2/ja
Publication of JP2017071202A publication Critical patent/JP2017071202A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6742711B2 publication Critical patent/JP6742711B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、立体形状を持つサンプルに対して、フォトリソグラフィを応用する微細加工技術に関する。
ICやLSIに代表されるデバイスは、高精度で複雑な構造が高度に組み合わされていながら、微細形状を一括で高い生産性と共に製作できるフォトリソグラフィ加工技術によって量産されている。このフォトリソグラフィ加工技術は、ほぼ平面形状のサンプルを対象とする。これは、スピンコーティングに代表されるレジスト成膜と、マスクを近接させて紫外光照射することに代表されるパターニングが、平面形状を前提としてはじめて均一性も含めて原理的に成立するためである。更に、フォトリソグラフィ用の装置群も、平面形状のサンプルを前提に用意されている。従って、表面凹凸被処理物にフォトリソグラフィ加工を展開しようとしても通常は難しく、満足な結果が得られない。レジスト成膜相当はドライフィルムレジストを利用する試みがあるが、既存フィルムは基本的にプリント基板用途であり、熱ラミネート加工する際に加わる応力は表面凹凸被処理物にとって許容できないくらい大きく、レジスト膜厚が厚いために低い解像度に留まる。また、パターニング相当は、一点加工のレーザ描画を取り入れるものもあるが、面での一括加工とは異なり微細化と生産性は両立しなくなる。そのため、最適な加工技術が無いために、応用に応じて様々な方法が試みられている状況である。
表面凹凸被処理物への微細加工技術については、例えば特許文献1〜5及び非特許文献1〜2に開示されている。
特許文献1では、表面凹凸被処理物を壊すことなくドライフィルムレジストを貼るための貼り付け装置が開示されている。フィルムを貼り付けるテーブルと、表面凹凸被処理物を保持する別のテーブルとを用意し、後者のテーブルを昇降制御することで、フィルムが貼り付けられる位置関係を一定に保つことで、表面凹凸被処理物に対応する装置である。この装置はフィルム幅に対して表面凹凸被処理物形状が一定である場合に有効ではあるが、これは限られた例であり、一般の微小な穴や溝を一部に持つサンプルには適用できない。
特許文献2では、カラー受像管用シャドウマスク製作において、感光性レジスト付きドライフィルムを利用した製作方法が開示されている。フィルムには、ベースフィルムと感光性レジストの間に、クッション層を入れた3層構造を持つ工夫を示している。クッション層として水溶性のポリビニルアルコールおよびその変性物を挙げている。クッション層によってレジスト膜厚を薄くしても(示している最小膜厚は10μm)、サンプル表面の凹凸に追従して熱ラミネートによりローラ2つで挟んで密着させ成膜できる効果を説明している。なお、シャドウマスクは平面である薄板の状態で加工している。
特許文献3では、半導体チップの実装を立体的に行うプリント配線板とその製造方法が示されている。下地基板の上に、貫通穴をもつプレートを配置し、この貫通穴に導電性ペーストを充填したうえで貫通穴の開口上部を金属膜で覆うことで互いの接続箇所を形成し、立体プリント配線基板を製作する。実装技術における試みであるが、貫通穴の製作や導電性ペーストの充填は一点加工に相当し、一括で並行して進むものではない。
特許文献4では、立体成形品に電気回路パターンを形成するフォトマスクについて開示している。光造形法により作製した造形物の表面に不透明性塗膜を施すことにより立体マスクを得る。この立体マスクを平面フィルムマスクに接合することによって所望のパターンの開口部を有し、密着されるべき面の立体的形状に加工されたフォトマスクを得る。このフォトマスクを、予め感光性レジストを成膜した立体成形品に密着配置し、露光・現像することにより立体的で微細な電気回路パターンが形成された立体回路成形体を得る。上記立体マスクは表面凹凸被処理物の複数面に対して機能するため、フォトマスクの数は1個或いは露光面の数より少数でよい。
特許文献5では、表面凹凸被処理物の垂直壁面も含めた溝内部にパターン転写を行う方法が開示されている。感光性レジスト成膜はスプレーコート法を前提とする。表面凹凸被処理物の奥まった領域では、レジスト膜が薄く、少ないドーズ量で適正露光量に到達することに着目し、液浸露光の液体に光減衰機能を加える露光方法が開示されている。光減衰剤の濃度コントロールにより減衰率を調節できる。表面凹凸被処理物上のレジスト膜に到達する光強度を、立体上部と下部の両方で適正値にできる。斜め露光によって壁面にパターン転写する場合を考えると、反射光強度も減衰するため、異常パターンを低減できる。
特許文献6では、支持フィルムと中間層と特定のバインダー樹脂を含有する感光性樹脂層とが順次積層された積層構造を有するドライフィルムである感光性エレメントを用いることで、プリント基板等へレジストパターンのサイドウォールのガタツキを低減することで高密度配線を形成する方法が記載されている。
非特許文献1では、特許文献5のパターン転写方法を応用して製作したデバイスが示されている。シリコン酸化膜上の結晶シリコン矩形島にPN接合からなる太陽電池を多数用意しておくが、これらを直列接続して、個々の太陽電池が生じる電圧は低くても、25、50、100個までの直列接続で電圧を高めることでアルミ蒸着膜をパターニングすることで実現した報告である。この直列接続を、感光性レジストのスプレーコート成膜と斜め露光かつ光減衰液浸露光によって実現した。
非特許文献2では、射出成形品の表面に電気回路を形成する立体回路基板(Molded Interconnect Device)が述べられている。機械的機能と電気的機能とをもったプラスチック射出成形品である。その製作は、1.基板が複数アレイ状に並んだシートをまず用意し、2.金属薄膜を全面にスパッタリング蒸着し、3.レーザ描画により回路パターン形状の輪郭部の金属薄膜を除去し、4.めっきし、5.シートから個別に切断する、ものである。上記3.のレーザ描画は一点加工を繰り返すものである。高密度回路を形成するためには一点加工サイズを微細化することは必須となる。しかし、レーザスポットを小さくすると、一点での加工量が減り、同じ面積であっても時間をかけて処理する(面積は長さの2乗で増加する)ことになるため、生産性はどうしても低下する。レーザ光源からビームを2つに分けて、複数台のガルバノスキャナと回転テーブルとを組み合わせて、複数点での加工にすることで、基板の姿勢変更時間を短くする効果も含めて生産性は改善できるが、一点加工が持つ原理的限界がある。2014年5月時点のパンフレットには、最小線幅50μm、パターン間距離50μmの記述がある。
特開2009−194064号公報 特開平11−260255号公報 特開2009−38362号公報 特開平9−319068号公報 特開2011−211064号公報 特開2013−24913号公報
"3-D WIRING ACROSS VERTICAL SIDEWALLS OF SI PHOTO CELLS FOR SERIES CONNECTION AND HIGH VOLTAGE GENERATION", S. Kumagai, T. Yamamoto, H. Kubo, M. Sasaki, The 25th International Conference on Micro Electro Mechanical Systems (2012.1.31, Paris, France), Oral, pp.60-63 パナソニック株式会社、3D実装デバイスMIPTEC(パンフレットの他、「MID用高速レーザ加工システム」進藤崇、高橋博、パナソニック電工技報(VOL.57,No.3,p.10−15.)
従来から、基板上に立体的な構造物を構築するセンサ・アクチュエータ(基板から浮いて柔らかいサスペンションで支持された壊れ易い構造)・マイクロ流路などのMEMSデバイスが進歩・発展するとともに、フォトリソグラフィ加工技術を平面だけでなく凹凸が存在する表面凹凸被処理物に拡張する試みが続けられている。立体構造を微細加工することは他にも、光伝搬路とも整合する形で素子を配置する必要がある光デバイスやシステム、LSIやイメージセンサなど既存の平面デバイスを複数積み上げることなどによって実現する3次元LSIのような小型システム、ウェハと同様には扱えない精密機械部品中の局所的な平坦面・湾曲面をもつ部材などにおいても求められている。しかし、上記背景技術を採用してもなお、フォトリソグラフィが持つ、微細形状を一括で高い生産性と共に製作できる特徴を持つ、自由度の高い加工方法は見出されていない。加えて、平面形状のサンプルを前提に用意されている装置群を活用することは難しい。
支持フィルムと中間層と感光性樹脂層とが順次積層された積層構造を有するドライフィルムである感光性エレメントを用いた場合には、ドライフィルムであるために、感光性樹脂層はラミネーター等を使用することで加熱および押圧を加えて基板上に貼り付ける必要があり、微細構造を有する表面凹凸被処理物が、貼り付け工程にて破壊されるため適用範囲が狭く、転写できるパターン幅にも限界がある。
本発明者は、前期課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の手段で解決することができることを見出し、本発明をなすに至った。
1.ベースフィルム、水溶性樹脂層、未硬化の感光性レジスト膜層を順に設けてなる積層構造を有し、該感光性レジスト膜側から表面凹凸被処理物上にJIS K 6854に規格される180度剥離強度が65mN/インチ以上であり、120℃以下、大気圧以下の環境下で、押圧0.1MPa以下で貼り付け可能なことを特徴とする凹凸表面貼付用フィルム。
2.表面凹凸被処理物の凹凸高低差が、感光性レジスト膜層の膜厚よりも大である1に記載の凹凸表面貼付用フィルム。
3.ベースフィルムが表面凹凸被処理物よりも柔軟であり、該ベースフィルムのJIS K 7161による引張弾性率が70GPa以下であることを特徴とする1及び/又は2に記載の凹凸表面貼付用フィルム。
4.水溶性樹脂層の感光性レジスト膜層側の面のJIS B 0601による平均粗さRa―sに対するベースフィルムの水溶性樹脂層側の平均粗さRa―bの比(Ra−b)/(Ra−s)が0.3以上であり、Ra−bが0.3μm以下である1〜3のいずれかに記載の凹凸表面貼付用フィルム。
5.水溶性樹脂層がポリ酢酸ビニルの鹸化物およびその共重合体、水溶性アクリル樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ポリエチレンオキシドおよびその共重合体、水溶性多糖類およびポリスチレンスルホン酸から選ばれた1種以上からなる1〜4のいずれかに記載の凹凸表面貼付用フィルム。
6.表面凹凸被処理物に、2〜5のいずれかに記載の凹凸表面貼付用フィルムを貼り付けた後、フォトリソグラフィによりパターンを形成することを特徴とする微細パターン転写方法。
7.表面凹凸被処理物へのフィルム貼り付け前に、感光性レジスト膜を露光して微細パターンを形成させることを特徴とする6に記載の微細パターン転写方法。
8.表面凹凸被処理物が、(転写する感光性レジスト膜層の微細パターンのピッチ)/(2×(露光波長))以上の凹凸高低差を有する6又は7に記載の微細パターン転写方法。
9.表面凹凸被処理物表面に感光性レジスト膜層を貼り付け、次いで感光性レジスト膜層を露光して得られるパターンの形状及び位置を、該表面凹凸の凸部表面を覆う膜や、またぐブリッジ状や、凸部から庇状を形成するようにし、さらに、現像処理及び/又はリンス処理の前後または同時において水溶性樹脂層を溶解除去する6〜8のいずれかに記載の微細パターン転写方法。
10.表面凹凸被処理物の表面に感光性レジスト膜層を貼り付け、次いで感光性レジスト膜層を露光して得られるパターンの形状及び位置を、該凹凸表面の凸部上面から突き出た片持ち梁状とし、現像処理及び/又はリンス処理の前後または同時において水溶性樹脂層を溶解除去し、さらに乾燥して、該レジスト膜層を該凹凸表面の凹部の壁面や底面に貼り付ける方法、および同時に得る6〜9のいずれかに記載の微細パターン転写方法。
11.10に記載の微細パターン転写方法を複数回行い、複数のパターンの全てまたは一部を、表面凹凸被処理物上で、互いに積層させる微細パターン転写方法。
12.表面凹凸被処理物上に貼り付けた後の感光性レジスト膜を、更に露光して第2のパターン転写を行う10に記載の微細パターン転写方法。
13.10に記載の微細パターン転写方法を複数回行い、2回目以降のパターン転写は、直前のパターン幅よりも幅広のパターン幅とする微細パターン転写方法。
本発明によれば、感光性レジスト膜層を未硬化の感光性レジスト膜層とすることで、表面凹凸被処理物との貼り付けを可能とする180度剥離強度が得られ、表面凹凸被処理物への機械的な強度が必ずしも無い感光性レジスト膜層の貼り付けを可能とする。そしてベースフィルム上に水溶性樹脂層を設けることで、感光性レジスト膜層を合わせて膜厚を厚くすることができ、ひいては機械的強度が強くなるために、該感光性レジスト膜層が表面凹凸被処理物と接触する際の機械的な損傷、つまり凸部の角等が感光性レジスト膜を破る等の損傷を和らげる、いわば保護層となる。さらに表面凹凸被処理物表面にレジスト層を形成させるにあたり、ラミネーターによって加熱・加圧をする必要がなく、結果的に表面凹凸を損傷させることがない。
その結果、水溶性樹脂層を設けることなく感光性レジスト膜層のみで所定の機械的強度を得るために、感光性レジスト膜層を厚くする場合よりも、感光性レジスト膜層の厚さを薄くして高解像度を得ることができ、かつ、該ベースフィルムのみを溶剤を用いることなく剥がすことができる。そして、次工程のパターニング時により膜厚が薄い感光性レジスト膜層とマスク間の距離を近くすることができ、ひいては高解像度を得るのに更に有利に働く。ここで、表面凹凸被処理物上に貼ることができる未硬化の感光性レジスト膜層は、露光の時点で表面凹凸被処理物のその表面形状に沿っていなくても、パターン転写後の現像工程やリンス工程の液中で一端が固定されたパターンとして変形して表面凹凸被処理物の凹凸部の壁面や凹部の底面にも貼り付くため、自由度の高いパターンを凹凸表面の凹部の壁面や底面に転写できる。また別に、未硬化の感光性レジスト膜層に例えば幅2〜3μmといった微細パターンを転写しておくことができ、貼り付け後に現像のみを行うことで、回折広がりによる微細パターンのぼけを無くして、表面凹凸被処理物上に細かいパターン転写が可能となる。
以上の方法は、平面形状のサンプルを前提として用意されている既存の装置群の多くを利用して適用できる。
本発明の凹凸表面貼付用フィルムを示す図 保護カバーを有する場合の凹凸表面貼付用フィルム 本発明の凹凸表面貼付用フィルムを用いた微細パターン転写プロセス 多数の穴や溝を持つシリコンウェハ表面凹凸被処理物への微細パターン転写結果の一例を示す図 本発明の凹凸表面貼付用フィルムを片側が表面凹凸被処理物上のどこかに固定された片持ち梁状にして、パターン転写した感光性レジスト膜層を壁面や底面に貼り付ける表面凹凸被処理物への微細パターン転写方法を示す図 図5による方法によって得られた微細パターン転写結果を示す図 図5による方法を複数回繰り返して行う方法を示す図 本発明の凹凸表面貼付用フィルムを片側が表面凹凸被処理物上のどこかに固定された片持ち梁状にして、パターン転写した感光性レジスト膜層を壁面や底面に貼り付けを行った後、立体上に貼り付いた後の感光性レジスト膜層を更にパターンニングして、微細パターン形状を更に調整する方法を示す図 図5による方法を複数回繰り返して行い、後で転写するレジスト幅より広くすることでオーバーハングした、リフトオフに適したレジスト膜形状とする方法を示す図 感光性レジスト膜層を未硬化の状態で用意したフィルムにおいて、表面凹凸被処理物への貼り付け前に、微細パターンを設けた感光性レジスト膜層に露光を済ませた表面凹凸貼付用フィルムを用いた微細パターン転写方法を示す図 感光性レジスト膜層を未硬化の状態で用意したフィルムにおいて、表面凹凸被処理物への貼り付け前に、微細パターンを設けた感光性レジスト膜層に露光を済ませた多層フィルムを用いた微細パターン転写結果を示す図 図11に示した微細パターン転写結果の拡大画像を示す図
以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。図は例示であり、フィルムおよび表面凹凸被処理物の材料、形状、相対的な大きさ、配置、成膜方法、微細パターン転写方法におけるプロセス上の条件や追加の前処理や後処理などは限定されるものではない。
図1は、本発明の実施の形態による、ベースフィルム4上に成膜した水溶性樹脂層3上に、感光性レジスト膜層2を未硬化の状態で形成して得た、表面凹凸被処理物への貼り付けを可能とし、ベースフィルムのみを溶剤を用いることなく剥がすことが可能な凹凸表面貼付用フィルム1の例である。ベースフィルム4と水溶性樹脂層3の界面は接着剤等を介さずに、ファンデルワールス力および静電相互作用による弱い力で密着しており、その程度の密着の強度、つまり剥離強度とすることで、水溶性樹脂層と未硬化の感光性レジスト膜層の界面を侵さずに、溶剤を用いることなくベースフィルムのみを剥がすことが可能である。また、水溶性樹脂層3は未硬化の感光性レジスト膜層2が表面凹凸被処理物に接触する際に、感光性レジスト膜層を薄くしても、水溶性樹脂層と合わせて膜厚を厚くすることができる。そして、水溶性樹脂層が機械的強度を向上させることに寄与するために、未硬化の感光性レジスト膜層2の膜厚を薄くできることによって、より微細なパターン転写に有利となる。
加えて水溶性樹脂層と合わせて全体の機械的強度が強くなるために、水溶性樹脂層は、該未硬化の感光性レジスト膜層が表面凹凸被処理物と接触する際の機械的な損傷、つまり凸部の角等が感光性レジスト膜を破る等の損傷を和らげる保護層としても働く。
また感光性レジスト膜層は未硬化であり、いわゆるドライフィルムでもないので、表面凹凸被処理物の凹凸表面に感光性レジスト膜層を重ねる際に、いわゆるラミネーターによって加熱・加圧する必要がないので、表面凹凸被処理物の凹凸構造を損傷することがない。
ここで、本発明における表面凹凸被処理物とは、いわゆるMIPTEC(Microscopic Integrated Processing Technology)等による3D実装デバイスを製造するための凹凸を有する被処理物や、その他の微細な凹凸表面の一部に特定の層を形成させてなる物品のための被処理物等を示す。その凹凸の壁面は底部の面又は頂部の面に対して垂直に形成されて、いわゆる垂直なトレンチを有していても、また傾斜して形成されていてもよい。また凹凸表面の凹部の深さは、いわゆる平面に対するフォトレジストによる処理により対応できない程度の深さ以上の深さであり、レジストの膜厚よりも凹凸が大きい場合である。
なお、本発明における感光性レジスト膜層が未硬化であるということは、いわゆる「ドライフィルム」とはいえない状態、つまり、感光性レジスト膜層中に樹脂が配合されて、未硬化時の常温・常圧において他の物質表面に粘着又は接着しない性質を備えるとはいえない状態である。又は、完全に硬化していない状態、及び感光性レジスト膜層が溶液を塗布し形成された後に、その溶液中の溶媒が完全に除去されていない状態、又は表面層などの一部分が除去されていない状態の少なくともいずれかを示す。この状態では、表面凹凸被処理物に対して、120℃以下、大気圧以下の環境下で、ラミネーター等で押圧をかけないことによる貼り付けを可能とする。
本発明の凹凸表面貼付用フィルム1の水溶性樹脂層3上に成膜した感光性レジスト膜層2は、表面凹凸被処理物に対しJIS K 6854にJIS K 6854に規格される180度剥離強度が65mN/インチ以上が必要であり、150mN/インチ以上が好ましく、500mN/インチ以上がさらに好ましい。180度剥離強度が65mN/インチ以下の場合は、水溶性樹脂層3とベースフィルム4の180度剥離強度よりも低い数値となり、ベースフィルムを剥がす工程において感光性レジスト膜と表面凹凸被処理物を剥離させてしまう可能性がある。貼り付け時の温度は120℃以下が必要であり、80℃以下が好ましく、40℃以下がさらに好ましい。温度が120℃を超える場合は、レジスト膜の感光性や水溶性樹脂層3の溶解性に影響を生じる。押圧は0.1MPa以下が必要であり、0.06MPa以下が好ましく、0.03Pa以下がさらに好ましい。押圧が0.1MPaを超える場合は、表面凹凸被処理物の凹凸を破壊し、リソグラフィ工程を行うことができなくなる恐れが生じる。
凹凸表面被処理物表面に感光性レジスト層を形成させる際に、いわゆるラミネーターによって加圧・加熱する必要を排除するために、本発明における感光性レジスト膜層はドライレジスト層とするものではない。このため、本発明における感光性レジスト膜層には、未硬化の状態において、十分な硬度を有することはなく、そのためにドライレジスト層に必要なバインダー樹脂を含有しても40重量%以下であり、好ましくは20重量%以下に留まり、さらに好ましくは0重量%、つまり含有しないものである。
図2は、表面凹凸被処理物への貼り付けを可能とし、ベースフィルム4のみを剥がすことが可能な本発明の凹凸表面貼付用フィルム1であって、感光性レジスト膜層2の180度剥離強度を維持する保護カバー5が貼られた凹凸表面貼付用フィルムの例である。保護カバー5は凹凸表面貼付用フィルム1の乾燥及び/又は硬化を抑えて長期保存を可能とする。
本発明の凹凸表面貼付用フィルム1のベースフィルム4上に成膜した水溶性樹脂層3の表面について、感光性レジスト膜層2の微細パターンを高精細に作製するためには、水溶性樹脂層3が形成されるベースフィルム4の表面のJIS B 0601の規格により測定して得られる平均粗さRa―bは0.30μm以下であることが必要であり、好ましくは0.15μm以下である。
また、水溶性樹脂層の感光性レジスト膜層側の面のJIS B 0601による平均粗さRa―sに対するベースフィルムの水溶性樹脂層側の平均粗さRa―bの比(Ra−b)/(Ra−s)が0.3以上であることが必要であり、好ましくは0.80以上である。
ベースフィルム4の平均粗さRaが0.30μmを超えると、水溶性樹脂層3の表面が粗くなり、その結果、感光性レジスト膜層2の微細パターン表面にも凹凸が形成されて、その後の工程に影響を及ぼす可能性がある。(Ra−b)/(Ra−s)が0.30を下回る場合は、ベースフィルム4上に水溶性樹脂層3が綺麗に成膜されておらず、水溶性樹脂層3を介した未硬化の感光性レジスト膜層2の微細パターン表面に影響を及ぼす可能性がある。
ベースフィルム4は、凹凸表面被処理物よりも柔らく、JIS K 7161による23℃における引張弾性率は70GPa以下が必要であり、好ましくは30GPa以下、さらに好ましくは8GPa以下である。引張弾性率が70GPaよりも高い場合、凹凸表面貼付用フィルム1を凹凸表面被処理物に貼り付ける際に、凹凸表面を破壊する恐れがある。このようなベースフィルム4を形成する材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)のようなポリエステル、ポリイミド、ポリプロピレン等のポリオレフィン等の各種樹脂からなるフィルム、ガラス、セルロースナノファイバー等からなる紙類、アルミニウム、銅等の金属箔が挙げられ、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)が好ましい。
ベースフィルム4上に成膜した水溶性樹脂層3との接着力を調整するために、該ベースフィルム4の平均表面粗さに影響を及ぼさない範囲でコロナ放電処理等の表面処理、フッ素系化合物や長鎖アルキル基含有化合物による剥離剤層形成処理を行うことができる。
水溶性樹脂層3を形成することにより、感光性レジスト膜層を合わせて膜厚を厚くすることができ、感光性レジスト膜層2が表面凹凸被処理物に接触する際に、機械的な損傷を和らげる保護層としても働く。ここで、機械的な損傷を和らげるとは、表面凹凸被処理物の表面にバリ等の鋭角な部分が存在しても、該水溶性樹脂層の弾性によって損傷することを防止できることを意味する。この分、感光性レジスト膜層2の膜厚を薄くすることで、より微細なパターン転写に有利となる。このような水溶性樹脂層3を形成する樹脂としては、その表面に形成する感光性レジスト膜層2に対して十分な密着性を備えることが必要であり、かつ純水リンス時に速やかに溶解することが望まれる。
本発明において使用される水溶性樹脂層3形成用の水溶性樹脂としては、水溶性樹脂層がポリ酢酸ビニルの鹸化物およびその共重合体、水溶性アクリル樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ポリエチレンオキシドおよびその共重合体、水溶性多糖類およびポリスチレンスルホン酸から選ばれた1種以上であり、感光性レジスト溶媒への耐性がある点でポリ酢酸ビニルの鹸化物およびその共重合体が好ましい。
本発明の凹凸表面貼付用フィルム1に対して、感光性レジスト膜層2の未硬化の状態を維持するために保護カバーにより被覆することができる。保護カバーの材質は、PET等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等からなるポリオレフィン等の各樹脂からなるフィルム、コート紙等の紙が挙げられる。
本発明の凹凸表面貼付用フィルム1の感光性レジスト膜層には、水に対して不溶ではあるが、有機溶媒には可溶な公知のポジ型およびネガ型レジストが利用できる。溶液状レジストを塗布することが好ましい。
本発明の表面凹凸被処理物の凹凸高低差は、感光性レジスト膜層の膜厚よりも大であることが必要である。表面凹凸被処理物の凹凸高低差が、感光性レジスト膜層の膜厚より小である場合には、表面凹凸被処理物の凹凸を破壊したり、リソグラフィ工程時にパターンぼけが生じる恐れがある。また、転写する感光性レジスト膜層のパターンピッチが微細である場合、好ましくは8μm未満の場合には、表面凹凸被処理物が、(転写する感光性レジスト膜層の微細パターンのピッチ)/(2×(露光波長))以上の凹凸高低差を有する必要がある。これを満たさいない場合には、リソグラフィ工程時にパターンぼけが生じる恐れがある。
本発明の凹凸表面貼付用フィルムとして、ベースフィルムとして厚み75μm、JIS B 0601に規格される平均粗さRaが0.06μm、JIS K 7161に規格される23℃における引張弾性率が4.8GPaのPETフィルム(ユニチカ社製)を用い、水溶性樹脂層にはポリ酢酸ビニルの90%鹸化物(JP−15、日本酢ビ・ポバール社製)を厚み30μm、ベースフィルム/水溶性樹脂層の平均粗さの比が0.75、ベースフィルムと水溶性樹脂層の剥離強度は100mN/20mmとなるように該ベースフィルム上にバーコーターにより塗布し、感光性レジスト膜層はポジ型レジストであるAZ1500(AZ ELECTRONIC MATERIALS社製)をスピンコーターにより該水溶性樹脂層上に膜厚5μmとなるように塗布し、未硬化の状態となるようにプリベークした。以下の実施例は、該凹凸表面貼付用フィルムを表面凹凸被処理物上に20℃、大気圧下、押圧0.03MPaにて貼り付け実施した。また、露光波長はg線(436nm)を利用した。
(実施例1)
図3は、表面凹凸被処理物6への貼り付けを可能とし、ベースフィルム4のみを剥がすことが可能な、本発明の凹凸表面貼付用フィルム1を用いた微細パターン転写プロセス例である。凹凸表面貼付用フィルム1を凹部6Bを有する表面凹凸被処理物6の凸部6A上に貼り付けた後の構造を(1)に示す。
次いで、ベースフィルム4を剥がしてなる構造を(2)に示す。ベースフィルム4を物理的に剥がす際の力が弱くなるよう調節しておくことで、感光性レジスト膜層が変形するようなダメージを最小にできる。更に、ベースフィルムの厚みが無くなるため、次工程にて感光性レジスト膜層とマスク間の距離を短くでき、微細パターンの転写に有利となる。
凹凸表面貼付用フィルム1が貼り付けられた表面凹凸被処理物6に、表面凹凸被処理物側の形状にフォトマスク7を位置合わせしてパターン転写を行う処理を(3)に示す。なお、硬化を行う工程は、露光工程の前であれば任意の時点にて行うことができる。
転写したパターンを現像及び/又はリンス後に乾燥して(4)に示す状態にする。このとき、現像液およびリンス液は水を含むため、水溶性樹脂層3は前後または同時に溶解する。本模式図は、露光された部分が溶解するポジ型レジストの場合である。
上記のプロセスにおいて、感光性レジストの成膜には例えば通常のスピンコーターを、パターン転写には通常のマスクアライナーを利用できる。(4)で示された感光性レジスト膜パターン2Bは、穴や溝等の凹部との位置関係によって、またぐブリッジ状になったり、片持ち梁状になったりする。厚膜レジストをスピンコートすると穴や溝の中にレジストが入るのと異なり、穴や溝の内部にはレジストが入らない。
このため例えば、表面凹凸被処理物の穴の中にメッキを埋め込む処理を次工程で行うことができる。上面は絶縁性のレジスト膜で覆われているため、上面にメッキ膜が付かないようにできる。メッキ膜が発生する膜応力が基板全体にかかることなく、ウェハが歪んだり割れたりする問題を回避できる。
(実施例2)
図4は、本発明の実施の形態による、表面凹凸被処理物6への貼り付けを可能とし、ベースフィルムのみを剥がすことが可能な凹凸表面貼付用フィルム1を用いたプロセスにおいて、多数の穴や溝を持つシリコンウェハ表面凹凸被処理物への感光性レジスト膜パターン転写を行った結果の一例である。(a)の円形部分、(b)の小さい四角部分、(c)の弧状の部分はそれぞれ凹部であり、これらの図面の帯状部分がパターンであるようにライン−アンド−スペースのパターンを転写した。(a)、(b)はピッチ100μm、(c)はピッチ50μmである。穴や溝とマスクパターンとの位置関係によって、蓋や庇やブリッジ状のレジスト膜が得られている。
(実施例3)
図5は、本発明の実施の形態による、凹部6Bを有する表面凹凸被処理物6に貼り付ける凹凸表面貼付用フィルム1を用いたプロセスにおいて、転写パターンを片側が表面凹凸被処理物上のどこかに固定された片持ち梁状にすることで、ウェット処理である現像及び/又はリンス後の乾燥と同時に、パターン転写した感光性レジスト膜層2を壁面や底面に貼り付けることを特徴とする、表面凹凸被処理物への感光性レジスト膜パターン転写方法の例である。表面凹凸被処理物6は、ほぼ平面であるが凹部6Bを有する場合である。図3で示した凹凸表面貼付用フィルムの貼り付け後、工程(1)では、溝形状に位置合わせしてパターン転写を行う。工程(2)では、転写したパターンを現像する。現像液9中で片持ち梁状となるレジスト膜の左側は表面凹凸被処理物と密着しており固定され、右側は溶解する。本模式図は、露光された部分が溶解するポジ型レジストの場合である。現像液9およびリンス液10は水を含むため、水溶性樹脂層3は同時に溶解する。工程(3)では、パターン転写した感光性レジスト膜層は片持ち梁状であるので、リンス液10の乾燥に従って表面張力も働き、図の下側に引かれて、2Bとして示すように、凹部の壁面に付着する。工程(4)は、リンス液が乾燥した状態であり、パターン転写した感光性レジスト膜パターン2Bは壁面や底面に貼り付く。
(実施例4)
図6は、本発明の実施の形態の一種である、表面凹凸被処理物6に貼り付ける凹凸表面貼付用フィルム1を用いたプロセスにおいて、転写パターンを片側が表面凹凸被処理物上のどこかに固定された片持ち梁状にすることで、ウェット処理である現像及び/又はリンス後の乾燥と同時に、パターン転写した感光性レジスト膜層2を壁面や底面に貼り付けることを特徴とする、表面凹凸被処理物への感光性レジスト膜パターン転写を行った結果の一例である。表面凹凸被処理物6は、表面研磨を施していないアルミナ基板に、部分ダイシングを施して幅330μm、深さ400μmの溝加工を施して凹部6Bを形成した基板である。図6では、横方向に凹部6Bが2つ走っている。長さ315μmの片持ち梁となるパターンを複数用意した。個々のパターン中、左側のΓ字形パターンは、溝部において幅400μmと共通である。これと合わせて、幅の異なる直線状パターンを右側に配置した。上面に固定される領域が広いか狭いかには関係なく、上面が固定されている。パターン幅40、100、200μmのレジスト膜が壁面真下に向いて、貼り付いて固定されている。これらは一括で製作できた。
(実施例5)
図7は、本発明の実施の形態による、表面凹凸被処理物6に貼り付ける凹凸表面貼付用フィルム1を用いたプロセスにおいて、転写パターンを片側が表面凹凸被処理物上のどこかに固定された片持ち梁状にすることで、ウェット処理である現像及び/又はリンス後の乾燥と同時に、パターン転写した感光性レジスト膜層2を壁面や底面に貼り付けを行う方法を複数回行い、立体上に転写する感光性レジスト膜パターン2Bおよび2Cを互いにつなげる方法の例である。表面凹凸被処理物6は、凹部6Bを持つ場合である。最初の工程(1)から(2)は図5の工程と同様である。転写パターンが壁面から底面にまで伸びるデザインに変更した点が異なる。工程(3)では、UVキュア処理8Aを行うことで、(2)で得た元の位置から変形して凹部6Bの壁面に付着した感光性レジスト膜パターン2Bの感光性の機能を無くして、現像液に対しても膜が変化しないようにする。工程(4)では、更に別の凹凸表面貼付用フィルムを貼り付けて、感光性レジスト膜層からなるもう一層の立体上に転写する微細パターンを用意する。凹部6Bの左側上面で感光性レジスト膜層が固定された工程(1)と比べて、凹部6Bの反対側(右側)上面でその感光性レジスト膜層2が固定される。これを現像・リンス、次いで乾燥すると、工程(5)において2層目の感光性レジスト膜パターン2Bが、1層目の感光性レジスト膜パターン2Cの先と重なり、微細パターンをつなげる。なおこれとは別に図3に示したプロセスで両端が溝に固定されたブリッジを転写した場合、上記2回の微細パターン転写プロセスを行わなくても、溝が浅い割に幅が広い低アスペクト比の場合には、レジスト膜層の変形範囲で微細パターンがつながったものが得られることもある。
(実施例6)
図8は、本発明の実施の形態による、表面凹凸被処理物6に貼り付ける凹凸表面貼付用フィルム1を用いたプロセスにおいて、転写パターンを片側が表面凹凸被処理物6上のどこかに固定された片持ち梁状にすることで、ウェット処理である現像及び/又はリンス後の乾燥と同時に、パターン転写した感光性レジスト膜層2を壁面や底面に貼り付けを行った後、立体上に貼り付いた後の感光性レジスト膜パターン2Bを更にパターニングして、微細パターン形状を更に調節する方法の例である。表面凹凸被処理物6は、ほぼ平面であるが凹部6Bを持つ。最初の工程(1)から(2)は図5の工程と同様である。転写パターンが壁面から底面にまで伸びるデザインに変更した点が異なる。工程(3)では、表面凹凸被処理物凹部6B上に貼り付いた後の感光性レジスト膜パターン2Bを更にパターニングして、(4)のように微細パターン形状2Aを更に調節する。露光されていないレジストが壁や底面に移るポジ型レジストの場合に有効である。工程(3)の露光の段階では、マスクと感光性レジスト膜層間の距離が離れるので、回折広がりが少ない、比較的大きなサイズからなるパターンにおいて特に有効である。
(実施例7)
図9は、本発明の実施の形態の一種である、感光性レジスト膜層2を未硬化の状態で用意した凹凸表面貼付用フィルム1を用いた感光性レジスト膜パターン転写方法において、転写パターンを片側が表面凹凸被処理物6上のどこかに固定された片持ち梁状にすることで、ウェット処理である現像及び/又はリンス後の乾燥と同時に、パターン転写した感光性レジスト膜層2を壁面や底面に貼り付けることを特徴とする、表面凹凸被処理物6への微細パターン転写方法を複数回行い、後で転写するレジスト幅をより広くすることでオーバーハングした、リフトオフに適したレジスト膜形状とする方法の例である。最初の工程(1)から(2)は図5の工程と同様である。転写パターンが壁面から底面にまで伸びるデザインに変更した点が異なる。工程(2)はUVキュア処理されたことを図示しているが、必要無い場合もある。工程(3)から(4)は工程(1)から(2)と同様であるが、転写パターンが工程(1)よりもわずかに広げてある。このことによって、2層目に貼り付けられる感光性レジスト膜パターン2Bは1層目よりも端部で表面凹凸被処理物6上でオーバーハングした断面形状を得ることができる。工程(3)の転写パターンが(1)のそれよりも広げてあるがために、工程(2)で得ている表面凹凸被処理物6上の転写パターンを更に露光する等の悪影響を避けることができる。
(実施例8)
図10は、本発明の実施の形態による、感光性レジスト膜層2を未硬化の状態で用意した凹凸表面貼付用フィルム1において、表面凹凸被処理物凸部6Aへの貼り付け前に、微細パターンを感光性レジスト膜層2に露光を済ませた凹凸表面貼付用フィルムを用いた微細パターン転写方法を示す。工程(1)では、凹凸表面貼付用フィルムにベースフィルムが含まれることによって、ある程度の機械強度があることを利用し、当該フィルムに対して通常の平面フォトマスク7を用いた露光を行う。パターン転写時はフォトマスクとフィルムが機械的に密着するハードコンタクトが適用できるため、パターン幅2μmといった微細パターンも安定に転写できる。工程(2)では、表面凹凸被処理物凸部6Aへの感光性レジスト膜2の貼り付けを行う。表面凹凸被処理物凸部の形状に沿った変形と貼り付けを容易かつ確実にするよう、ベースフィルム4更には水溶性樹脂層3を立体形状に合わせて適宜取り除く。この図は水溶性樹脂層3も予め取り除く例である。貼り付け後において例えば、感光性レジスト膜層と表面凹凸被処理物凸部界面に入ってしまった微細な気泡を60℃程度でベークすることで無くすことも合わせて行うことができる。工程(3)では、現像液に浸けて現像し、純水でリンスする。工程(1)で転写しておいた感光性レジスト膜パターン2Bが表面凹凸被処理物凸部6A上で得られる。表面凹凸被処理物凸部6A上に感光性レジスト膜パターン2Bが得られるが、光の回折による微細パターンのぼけの問題は回避できる。
(実施例9)
図11は、本発明の実施の形態の一種である、感光性レジスト膜層2を未硬化の状態で用意した凹凸表面貼付用フィルム1において、表面凹凸被処理物凸部6Aへの貼り付け前に、微細パターンを感光性レジスト膜層2に露光を済ませた凹凸表面貼付用フィルムを用いた微細パターン転写を行った結果の一例である。基板は緩やかに湾曲した、60μmの高さだけ上に凸の形状を持つディスクである。利用したフォトマスクにはピッチ4、6、8μmの格子を用意した3つの領域がある。なお、ピッチ6および4μmの箇所は、(転写する感光性レジスト膜層の微細パターンのピッチ)/(2×(露光波長))以上の凹凸高低差を有した。全体的に虹色に見えることから広域で一様なことがうかがえる。ディスク上には粒状の欠陥が複数見えているが、感光性レジスト膜層2の貼り付け工程を通常の部屋で行ったことが原因で、埃の少ない環境で作業を行えば解決できる。
図12は、図11に示したディスク上に転写した格子の拡大画像と、6μmと4μmピッチの格子領域の中から6つの場所を選び、9点測定したピッチの平均値を示す。拡大画像から、パターンのエッジに乱れが見られず、格子が適正に形成されていることが分かる。基準面の高さ0は、模式図に示すように、湾曲面の一番下の位置とした。ディスク中心に対して端では、1%程度のピッチ広がりがみられる。貼り付け時に凹凸表面貼付用フィルム1が僅かに引き伸ばされたと考えられる。
(比較例1)
実施例の凹凸表面貼付用フィルム1の代わりにドライフィルムレジスト(日立化成社製フォテックHシリーズ)を使用した。この場合、実施例の条件では表面凹凸被処理物に貼り付けることができなかった。また、130℃、1MPaで貼り付けた場合には表面凹凸被処理物の凹凸を破損した。
(比較例2)
実施例9において、感光性レジスト膜層2の膜厚が70μmの凹凸表面貼付用フィルムに代えて実施した。この場合、パターンぼけが生じた。
(比較例3)
実施例9において、凹凸表面被処理物を、緩やかに湾曲した30μmの高さだけ上に凸の形状を持つディスクに代えて実施した。この場合、ピッチ6および4μmの箇所は、(転写する感光性レジスト膜層の微細パターンのピッチ)/(2×(露光波長))以下の凹凸高低差であり、パターンぼけを生じた。
1 凹凸表面貼付用フィルム
2 感光性レジスト膜層
2A 紫外線が照射されて現像液に可溶になった感光性レジスト膜層
2B 感光性レジスト膜パターン
2C UVキュア処理された感光性レジスト膜パターン
3 水溶性樹脂層
4 ベースフィルム
5 保護カバー
6 表面凹凸被処理物
6A 表面凹凸被処理物凸部
6B 表面凹凸被処理物凹部
7 フォトマスク
8 紫外光
8A 紫外光
9 現像液
10 リンス液


Claims (12)

  1. ベースフィルム、水溶性樹脂層、未硬化の感光性レジスト膜層を順に設けてなる積層構造を有する凹凸表面貼付用フィルムが、ベースフィルムと水溶性樹脂層との間のJIS K 6854に規格される180度剥離強度が127mN/インチ(5.0mN/mm)以下であり、120℃以下、大気圧以下の環境下で、押圧0.1MPa以下で凹凸表面に貼り付け可能であり、該感光性レジスト膜側から表面凹凸を有する被処理物上にJIS K 6854に規格される180度剥離強度が150mN/インチ(5.9mN/mm)以上であり、水溶性樹脂層の感光性レジスト膜層側の面のJIS B 0601による平均粗さRa−sに対するベースフィルムの水溶性樹脂層側の平均粗さRa−bの比(Ra−b)/(Ra−s)が0.3以上であり、Ra−bが0.3μm以下であることを特徴とする凹凸表面貼付用フィルム(但し、凹凸表面を有する被処理物がプリント基板表面である場合、かつ、ベースフィルムを剥離した後、水溶性樹脂層の上から熱加圧する場合を除く)。
  2. 凹凸表面を有する被処理物の凹凸高低差が、感光性レジスト膜層の膜厚よりも大であるためのものである請求項1に記載の凹凸表面貼付用フィルム。
  3. ベースフィルムが表面凹凸を有する被処理物よりも柔軟であり、該ベースフィルムのJIS K 7161による引張弾性率が70GPa以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の凹凸表面貼付用フィルム。
  4. 水溶性樹脂層がポリ酢酸ビニルの鹸化物およびその共重合体、水溶性アクリル樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ポリエチレンオキシドおよびその共重合体、水溶性多糖類およびポリスチレンスルホン酸から選ばれた1種以上からなる請求項1〜3のいずれかに記載の凹凸表面貼付用フィルム。
  5. 表面凹凸を有する被処理物に、請求項1〜4のいずれかに記載の凹凸表面貼付用フィルムを貼り付けた後、フォトリソグラフィによりパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法。
  6. 表面凹凸を有する被処理物へのフィルム貼り付け前に、感光性レジスト膜を露光して微細パターンを形成させることを特徴とする請求項5に記載のパターン形成方法。
  7. 表面凹凸を有する被処理物が、(転写する感光性レジスト膜層の微細パターンのピッチ)/(2×(露光波長))以上の凹凸高低差を有する請求項5又は6に記載のパターン形成方法。
  8. 表面凹凸を有する被処理物表面に感光性レジスト膜層を貼り付け、次いで感光性レジスト膜層を露光して得られるパターンの形状及び位置を、該表面凹凸の凸部表面を覆う膜や、凸部をまたぐブリッジ状や、凸部から庇状を形成するようにし、さらに、現像処理及び/又はリンス処理の前後または同時において水溶性樹脂層を溶解除去する請求項5〜7のいずれかに記載のパターン形成方法。
  9. 表面凹凸を有する被処理物の表面に感光性レジスト膜層を貼り付け、次いで感光性レジスト膜層を露光して得られるパターンの形状及び位置を、該凹凸表面の凸部上面から突き出た片持ち梁状とし、現像処理及び/又はリンス処理の前後または同時において水溶性樹脂層を溶解除去し、さらに乾燥して、該レジスト膜層を該凹凸表面の凹部の壁面や底面に貼り付けてなる請求項5〜8のいずれかに記載のパターン形成方法。
  10. 請求項9に記載のパターン形成方法を複数回行い、複数のパターンの全てまたは一部を、表面凹凸を有する被処理物上で、互いに積層させるパターン形成方法。
  11. 表面凹凸を有する被処理物上に貼り付けた後の感光性レジスト膜を、更に露光して第2のパターン形成を行う請求項9に記載のパターン形成方法。
  12. 請求項9に記載のパターン形成方法を複数回行い、2回目以降のパターン形成は、直前のパターン幅よりも幅広のパターン幅とするパターン形成方法。
JP2015201508A 2015-10-09 2015-10-09 凹凸表面貼付用フィルムを用いた表面凹凸被処理物への微細パターン転写方法 Active JP6742711B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015201508A JP6742711B2 (ja) 2015-10-09 2015-10-09 凹凸表面貼付用フィルムを用いた表面凹凸被処理物への微細パターン転写方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015201508A JP6742711B2 (ja) 2015-10-09 2015-10-09 凹凸表面貼付用フィルムを用いた表面凹凸被処理物への微細パターン転写方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017071202A JP2017071202A (ja) 2017-04-13
JP6742711B2 true JP6742711B2 (ja) 2020-08-19

Family

ID=58538986

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015201508A Active JP6742711B2 (ja) 2015-10-09 2015-10-09 凹凸表面貼付用フィルムを用いた表面凹凸被処理物への微細パターン転写方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6742711B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6799499B2 (ja) * 2017-05-31 2020-12-16 三菱製紙株式会社 曲面へのパターン形成方法
WO2020079844A1 (ja) * 2018-10-19 2020-04-23 日立化成株式会社 導電性基板の製造方法及び導電性基板
JP7502986B2 (ja) 2020-12-24 2024-06-19 三菱製紙株式会社 レジストの形成方法及びプリント配線板の作製方法

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0264543A (ja) * 1988-08-31 1990-03-05 Copal Co Ltd 曲面へのパターン形成方法
JPH0811365B2 (ja) * 1989-08-17 1996-02-07 アイセロ化学株式会社 彫食刻マスク用感光性積層フイルム
ES2149754T3 (es) * 1990-10-22 2000-11-16 Aicello Chemical Company Ltd Metodo de grabado con mascara portadora de imagen y pelicula estratificada fotosensible para dicha mascara portadora de imagen.
JP3051252B2 (ja) * 1992-02-28 2000-06-12 日本合成化学工業株式会社 フォトレジストフイルムのラミネート方法
JP3893553B2 (ja) * 1998-09-22 2007-03-14 富士フイルム株式会社 感光性転写材料
JP2002236361A (ja) * 2001-02-08 2002-08-23 Fuji Photo Film Co Ltd 感光性転写材料及びその製造方法
JP2005331696A (ja) * 2004-05-19 2005-12-02 Fuji Photo Film Co Ltd 感光性転写シート
JP2006287099A (ja) * 2005-04-04 2006-10-19 Fujikura Ltd レジスト付きプリント配線板の製造方法
JP2007178500A (ja) * 2005-12-27 2007-07-12 Fujifilm Corp 感光性フイルム、並びに、永久パターン及びその形成方法
JP5053619B2 (ja) * 2006-10-27 2012-10-17 日本電信電話株式会社 微細構造体の製造方法
JP2009083482A (ja) * 2007-09-13 2009-04-23 Asahi Kasei Electronics Co Ltd 感光性樹脂積層体
JP2013084576A (ja) * 2011-09-30 2013-05-09 Canon Inc 有機el表示装置の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017071202A (ja) 2017-04-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5475474B2 (ja) レーザー誘起熱エンボス加工を使用する微細複製工具及びパターン
TWI227371B (en) Stamper, lithographic method of using the stamper and method of forming a structure by a lithographic pattern
JP2004111933A (ja) エンボス加工マスクリソグラフィ
US20090130601A1 (en) Method for fabricating semiconductor device
JP2016508894A (ja) パターン化された構造化転写テープ
JP6742711B2 (ja) 凹凸表面貼付用フィルムを用いた表面凹凸被処理物への微細パターン転写方法
JP5480530B2 (ja) 微細構造転写方法及び微細構造転写装置
EP2383606A2 (en) Electroconductive element, electroconductive element manufacturing method, wiring element, information input device, display device, and electronic apparatus
US8827685B2 (en) Nano-imprint mold
CN101825842B (zh) 一种制作纳米压印印章的方法
JP2008055665A (ja) 転写用金型の製造方法及び凹凸付基板の製造方法
KR101385070B1 (ko) 레이저간섭 노광을 이용한 대면적 미세패턴 제작 방법, 상기 방법을 이용하여 제작된 미세패턴의 비평면적 전사 방법 및 이를 이용하여 미세 패턴을 전사한 물품
JP6944688B2 (ja) 立体サンプル貼り付け用フィルムおよびその製造方法と、それを用いた微細パターン転写方法
CN111903199A (zh) 用于生产柔性装置、柔性电子装置及多个电子装置的柔性布置的方法
US9383647B2 (en) Resist film and method of forming pattern
JP7110189B2 (ja) 電子素子の遅延ビア形成
WO2022067613A1 (zh) 印制模板及其制造方法
US20240079259A1 (en) Dual sided glass carriers for making package substrates
RU2308552C1 (ru) Способ изготовления нано-пресс-форм для контактной пресс-литографии (варианты)
CN1591180A (zh) 一种掩膜制造方法
KR100275372B1 (ko) 회로기판 제조방법
JP2012253303A (ja) 微細構造転写用スタンパ及びこれを搭載した微細構造転写装置
KR20130134528A (ko) 마이크로 패턴과 나노홀로그램 패턴이 형성된 성형물 제작용 금형 및 이의 제작 방법
JP2019016616A (ja) インプリントモールド及びその製造方法、並びに配線基板の製造方法
JP2018163942A (ja) インプリントモールド及びインプリントモールドの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180928

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190613

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190618

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20190814

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191011

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200331

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200527

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200714

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200729

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6742711

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250