JP6741615B2 - 車両制御装置 - Google Patents

車両制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6741615B2
JP6741615B2 JP2017056054A JP2017056054A JP6741615B2 JP 6741615 B2 JP6741615 B2 JP 6741615B2 JP 2017056054 A JP2017056054 A JP 2017056054A JP 2017056054 A JP2017056054 A JP 2017056054A JP 6741615 B2 JP6741615 B2 JP 6741615B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steering
torque
control device
vehicle
hydraulic actuator
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017056054A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018158623A (ja
Inventor
達雄 松村
達雄 松村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Knorr Bremse Steering Systems Japan Ltd
Original Assignee
Knorr Bremse Steering Systems Japan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Knorr Bremse Steering Systems Japan Ltd filed Critical Knorr Bremse Steering Systems Japan Ltd
Priority to JP2017056054A priority Critical patent/JP6741615B2/ja
Publication of JP2018158623A publication Critical patent/JP2018158623A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6741615B2 publication Critical patent/JP6741615B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)
  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Regulating Braking Force (AREA)
  • Power Steering Mechanism (AREA)

Description

本発明は、操舵機構に操舵力を付与する電動モータを制御する車両制御装置に関する。
特許文献1に開示される車両の制動制御装置は、ステアリングホイールの操舵角の絶対値が操舵角閾値以上である場合に、車両の旋回方向内側の各車輪のうち予め設定された制御用車輪に対して制動力を付与する旋回時制動制御を実行する。
特開2008−094302号公報
ところで、車両の旋回方向内側の操舵輪に制動力を付与すると、制動力の変化による操舵反力によってステアリングホイールが振動し、運転者に不快感を与える場合があった。
本発明は、従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、1対の操舵輪の夫々に異なる制動力を付与するときにステアリングホイールが振動することを抑制できる車両制御装置を提供することにある。
本発明によれば、その1つの態様において、1対の操舵輪の夫々に異なる制動力を付与することによって車両に回転モーメントを発生させるとき、操舵機構に操舵力を付与する電動モータのモータ駆動指令信号を1対の操舵輪側から操舵軸側に伝達される振動を抑制する方向に補正する。
本記発明によれば、1対の操舵輪の夫々に異なる制動力を付与するときにステアリングホイールが振動することを抑制できる。
本発明に係る車両制御装置の概略図である。 パワーステアリング装置の縦断面図である。 ブレーキ液圧制御装置の液圧回路を示す図である。 パワステ用コントロールユニットの構成を示す制御ブロック図である。 トルク指令算出マップを示す図である。 操舵輪の制動制御を示すフローチャートである。 操舵輪の制動制御を詳細に示すフローチャートである。 制動力の前後配分比制御を示すフローチャートである。 液圧アシスト機構の異常診断の一態様を示すフローチャートである。 液圧アシスト機構の異常診断の別の態様を示すフローチャートである。 液圧アシスト機構の異常診断の更に別の態様を示すフローチャートである。 正逆入力の判断処理を示すフローチャートである。 トーションバーの回転角変化を例示するタイムチャートである。 トルク補正指令の演算処理を示すフローチャートである。 モータ角速度に基づくトルク補正指令の演算処理を示すフローチャートである。
以下、本発明に係る車両制御装置の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施形態に係る車両制御装置1の概略図である。
車両制御装置1は、パワーステアリング装置70を備える。
パワーステアリング装置70は、いわゆるインテグラル型の液圧パワーステアリング装置に後述する電動モータとしての中空モータ10を搭載することで、液圧とモータトルクとによる2系統の操舵アシスト機能を備えたものである。
パワーステアリング装置70は、液圧とモータトルクとによる2系統の操舵アシスト機能を備えることで、モータによる操舵アシスト力だけでは賄えない大きな操舵アシスト力が必要なステアリングシステムにおいても、充分な操舵アシスト力を付与することができる。
パワーステアリング装置70は、ステアリングホイール6の操舵操作を一対の操舵輪(前輪)7L,7Rに伝達する操舵機構2と、操舵機構2の一部を内部に収容するハウジング3(図2参照)と、操舵機構2に操舵力を付与して操舵操作を補助する液圧アシスト機構(油圧アクチュエータ)4及び電動アシスト機構5と、を備えている。
液圧アシスト機構4は、車両71のリザーバタンク8からポンプ9によって汲み上げられた作動液としてのオイルが供給され、このオイルの液圧(油圧)に基づき操舵機構2に操舵アシスト力を付与する。
なお、本実施形態のポンプ9は、車両71に搭載されたエンジン(図示省略)により駆動されるエンジン駆動ポンプとして構成されている。
液圧アシスト機構4は、それ単体で、すなわち電動アシスト機構5による操舵アシスト力の付与がない状態でも、運転者の操舵を十分に補助できる操舵アシスト力を付与する特性に設定されている。
一方、電動アシスト機構5は、回転駆動力の生成に供される中空モータ10と、運転者がステアリングホイール6を介して操舵機構2に入力した操舵トルクTrを検出するトルクセンサ11と、ステアリングホイール6の操舵角θhを検出する舵角センサとしての後述する第1レゾルバ(第1角度センサ)46と、中空モータ10の回転角θmを検出する第2レゾルバ(第2角度センサ)51と、CPU,ROM,RAMなどを含むマイクロコンピュータを備えて構成され、各種センサによる検出結果等に基づき中空モータ10を制御するパワステ用コントロールユニット13と、を備えている。
そして、電動アシスト機構5は、中空モータ10が生成した回転駆動力を操舵アシスト力として操舵機構2に付与する。
図2は、パワーステアリング装置70の縦断面図である。
操舵機構2は、操舵軸16と、操舵軸16の他端側に接続されて操舵軸16の回転を各操舵輪7L,7Rに伝達する伝達機構17と、を有する。
操舵軸16の一端側は、ハウジング3外に臨んでステアリングホイール6に接続され、他端側はハウジング3内に収容される。
操舵軸16は、一端側がステアリングホイール6に一体回転可能に接続された入力軸18と、一端側が第1トーションバー(ロータリバルブ用トーションバー)20を介して入力軸18の他端側に相対回転可能に接続された出力軸19と、を備えている。
入力軸18は、ステアリングホイール6に直接的に接続された一端側の第1入力軸(第1軸)21と、第1入力軸21に第2トーションバー(角度センサ用トーションバー、トルクセンサ用トーションバー)23を介して相対回転可能に接続された他端側の第2入力軸(第2軸)22と、から構成されている。
換言すれば、操舵軸16を構成する入力軸18は、第2トーションバー23を介して互いに接続される、第2トーションバー23よりもステアリングホイール6側に設けられた第1入力軸21と、第2トーションバー23よりも操舵輪7L,7R側に設けられた第2入力軸22を備える。
第1入力軸21は、中空状に形成され、内部に第2トーションバー23の大部分を収容している。
また、第1入力軸21は、ステアリングホイール6側の一端部21aに比べて他端部21bが小径に形成され、他端部21bが第2入力軸22の一端部22aに形成された開口凹部22c内に収容されている。
さらに、第1入力軸21の他端部21bの外周面と第2入力軸22の開口凹部22cの内周面との間には、ニードルベアリング24が設けられている。このニードルベアリング24を介して、第1入力軸21は第2入力軸22に回転可能に支持されている。
出力軸19は、中空状に形成され、内部に第1トーションバー20の大部分を収容している。
また、出力軸19は、入力軸18側の一端部19aが他端部19bよりも大径に形成され、一端部19aの内部に第2入力軸22の他端部22bを収容している。
第1トーションバー20は、その捩れ方向や捩れ角に応じて後述するロータリバルブ30の流路や流路断面積を変動させる機能を有し、ロータリバルブ用トーションバーとして構成されている。
一方、第2トーションバー23は、トルクセンサ用トーションバーとして構成されており、図1に示すトルクセンサ11は、第2トーションバー23の捩れ量に応じて操舵トルクTrを検出する。
伝達機構17は、出力軸19に入力された操舵力(回転力)を操舵軸16の回転軸線X方向への移動力に変換するボールねじ機構25と、ボールねじ機構25が変換した移動力に基づき回転するセクタシャフト26と、を備えている。
ボールねじ機構25は、外周に螺旋状のボールねじ溝(出力軸側ボールねじ溝)25aが形成されたねじ軸としての出力軸19と、出力軸19の外周側に配置され、内周にボールねじ溝23aに対応する螺旋状のボールねじ溝(ナット側ボールねじ溝)25bが形成されたナット部材としての筒状のピストン31と、両ボールねじ溝25a,25b内に収容された複数のボール25cと、を有する。
ピストン31は、ボールねじ溝25bが形成されたナット部材に一体的に設けられ、外周のセクタシャフト26と面する部位に歯部31aが形成されている。
セクタシャフト26は、操舵軸16の回転軸線Xに略直交するように配置されている。
また、セクタシャフト26は、その軸線方向の一端部外周にピストン31の歯部31aと噛み合い可能な歯部26aが形成されている一方、他端部に伝達機構17の一部である図外のピットマンアームが接続されている。
このピットマンアームは、セクタシャフト26の回転に伴い車体の幅方向(左右方向)へ引っ張られることで、両操舵輪7L,7Rの向きを変更する。
伝達機構(ステアリングリンク機構)17は、上記のボールねじ機構25、セクタシャフト26、ピットマンアームなどを含んで構成され、ステアリングギヤ機構はボール・ナット型である。
ステアリングギヤ機構としてボール・ナット型を採用することで、伝達機構17の特性として高減速比、高強度が得られ、例えば大型ピックアップトラック、商用トラック、バスなどの大型、高重量の車両への適用が可能となる。
但し、ステアリングギヤ機構は、ボール・ナット型に限定されず、ステアリングシャフトの先端に取り付けたピニオンギヤにラックギヤを噛み合わせるラック・ピニオン型のステアリングギヤ機構とすることができる。
ハウジング3は、ステアリングホイール6側の一端側が開口する第1ハウジング27と、第1ハウジング27の一端開口を閉塞するように設けられ、内部に後述のロータリバルブ30を収容する第2ハウジング28と、を備えている。
なお、第1ハウジング27と第2ハウジング28は、操舵軸16の回転軸線Xに対する周方向の所定位置に配置される図外の複数のボルトをもって互いに締結されている。
第1ハウジング27は、操舵軸16の回転軸線X方向に沿って形成される。そして、第1ハウジング27は、内部にピストン31が収容されるほぼ円筒状のシリンダ部27aと、シリンダ部27aとほぼ直交しかつ一部がシリンダ部27aへ臨むように形成され、内部にセクタシャフト26が収容されるシャフト収容部27bと、を有する。
液圧アシスト機構4は、第1ハウジング27のシリンダ部27aとピストン31とによって構成されるパワーシリンダ29と、パワーシリンダ29の1対の液圧室である第1,第2油圧室29a,29bにオイルを供給するロータリバルブ30と、を備えている。
ピストン31は、ボビン状を呈し、回転軸線X方向におけるステアリングホイール6に近い側(図中上側)の一端部31bとステアリングホイール6から遠い側(図中下側)の他端部31cとが、それぞれシリンダ部27aの内径よりも僅かに小さい外径に形成されている。
これにより、ピストン31がシリンダ部27aにおいて安定した姿勢に維持される。
また、ピストン31の他端部31c外周には、円環状のシール部材31dが装着されている。
そして、シール部材31dによって、シリンダ部27aの内部空間が、シール部材31dよりもステアリングホイール6に近い側の第1油圧室29aと、ステアリングホイール6から遠い側の第2油圧室29bと、に仕切られている。
すなわち、パワーシリンダ29は、ピストン31によって仕切られた第1,第2油圧室29a,29b(一対の液圧室)を有する。
パワーシリンダ29は、第1油圧室29aまたは第2油圧室29bにオイルが供給されると、両油圧室29a,29b間の差圧を操舵アシスト力として操舵機構2の一部でもあるピストン31に付与する。
なお、シャフト収容部27bには第1油圧室29a内のオイルが導かれ、第1油圧室29aへのオイルの供給に際して歯部26a,31a間が潤滑される。
ロータリバルブ30は、ステアリングホイール6が中立である場合に、ポンプ9(図1参照)の吐出口に接続された導入ポート32と、リザーバタンク8(図1参照)に接続された排出ポート33とが連通するよう構成されている。
これにより、ステアリングホイール6が中立である場合、ポンプ9からロータリバルブ30に吐出されたオイルが第1,第2油圧室29a,29bのいずれにも供給されることなくリザーバタンク8に排出される。
一方、ロータリバルブ30は、ステアリングホイール6が操舵されている場合、第2入力軸22と出力軸19の相対回転角、すなわち第1トーションバー20の捩れ角に応じてオイルを第1,第2油圧室29a,29b夫々に選択的に供給する。
すなわち、ロータリバルブ30は、ステアリングホイール6が任意の一方向へ操舵された場合、第1油圧室29aを導入ポート32に第1給排通路34を介して接続し、第2油圧室29bを排出ポート33に第2給排通路35を介して接続する。これにより、第1油圧室29aにオイルが供給され、第2油圧室29bからはオイルが排出される。
一方、ロータリバルブ30は、ステアリングホイール6が他方向へ操舵された場合、第2油圧室29bを導入ポート32に第2給排通路35を介して接続し、第1油圧室29aを排出ポート33に第1給排通路34を介して接続する。これにより、第2油圧室29bにオイルが供給され、第1油圧室29aからはオイルが排出される。
なお、ロータリバルブ30は、各油圧室29a,29bへのオイルの供給量及び各油圧室29a,29bからのオイルの排出量を、第2入力軸22と出力軸19の相対回転差が大きくなるにつれて増大させる。
換言すれば、ロータリバルブ30は、第1トーションバー20の捩れ角が大きくなるほど、各油圧室29a,29bへのオイルの供給量及び各油圧室29a,29bからのオイルの排出量を増大させる。
中空モータ10は、いわゆる3相交流式のブラシレスモータであって、ハウジング3外に臨む第2入力軸22の外周側に設けられたモータ部と、該モータ部を内部に収容するモータハウジング36と、を有する。
前記モータ部は、第2入力軸22に結合部材39を介して一体回転可能に固定された円筒状のモータロータ37と、モータロータ37の外周側に所定隙間を介して配置された円筒状のモータステータ38と、を備える。
モータハウジング36は、ハウジング3側に向かって開口し、内部にモータ部(モータロータ37及びモータステータ38)を収容する有蓋円筒状の第1モータハウジング部40と、第1モータハウジング部40の開口部を閉塞する円板状の第2モータハウジング部41と、を有する。これら第1,第2モータハウジング部40,41は、共にアルミニウム合金などの金属材料により形成されている。
第1モータハウジング部40は、筒状部40aの内径がモータステータ38の外径とほぼ同一に形成され、第1モータハウジング部40の内周にモータステータ38が圧入や焼き嵌め等により固定されている。
また、第1モータハウジング部40は、開口部の外周側にフランジ部40bを有し、このフランジ部40bに円板状のアダプタ部材42がボルト43によって締結固定されている。
ここで、アダプタ部材42は、ボルト44によってハウジング3の第2ハウジング28とも締結固定されている。したがって、第1モータハウジング部40は、アダプタ部材42を介して第2ハウジング28に連結される。
第1モータハウジング部40の蓋部40cには、操舵軸16を挿入する挿入孔40dが形成されている。
挿入孔40dの内周側には、結合部材39のステアリングホイール6側の一端部39aが配置され、この一端部39aの外周面と挿入孔40dの内周面との間には、第1ボールベアリング45が設けられている。第1モータハウジング部40は、第1ボールベアリング45を介して結合部材39の一端部39aを回転可能に支持する。
また、蓋部40cのステアリングホイール6側の端面には、円形凹状の凹部40eが形成され、凹部40e内には、第1レゾルバ(第1角度センサ)46が配置されている。
第1レゾルバ46は、第1入力軸21の外周に一体回転可能に固定された円環状のレゾルバロータ46aと、外周が凹部40eの内周に固定された円環状のレゾルバステータ46bと、を有する。
そして、第1レゾルバ46は、レゾルバステータ46bによってレゾルバロータ46aの回転位置を検出することで、第1入力軸21の回転角、すなわちステアリングホイール6の操舵角θhを検出する。
また、第1レゾルバ46は、カバー部材47によって覆われている。
このカバー部材47は、第1モータハウジング部40にボルト48によって締結固定されている。
また、カバー部材47の軸心位置には、第1入力軸21を挿入する挿入孔47aが形成されている。この挿入孔47aと第1入力軸21との間に、挿入孔47aと第1入力軸21との間をシールするシール部材49が設けられている。
第2モータハウジング部41は、その軸心位置に操舵軸16を挿入する挿入孔41aが形成されている。この挿入孔41aの内周側には、結合部材39の他端部39bが配置され、この他端部39bの外周面と挿入孔41aの内周面との間には、第2ボールベアリング50が設けられている。
第2モータハウジング部41は、第2ボールベアリング50を介して結合部材39の他端部37bを回転可能に支持する。
また、第2モータハウジング部41のハウジング3側の端面には、円形凹状の凹部41cが形成され、この凹部41c内には、第2レゾルバ(第2角度センサ)51が配置されている。
第2レゾルバ51は、結合部材39を介して第2入力軸22の外周に一体回転可能に固定された円環状のレゾルバロータ51aと、外周が凹部41cの内周に固定された円環状のレゾルバステータ51bと、を有する。
そして、レゾルバステータ51bによってレゾルバロータ51aの回転位置を検出することで、第2入力軸22の回転角を検出する。
なお、この第2入力軸22の回転角は、中空モータ10のモータロータ37の回転角と同等である。よって、第2レゾルバ51は、モータロータ37の回転角であるモータ回転角θmを検出するモータ回転角センサとしても機能する。
また、車両制御装置1は、制動装置90を備える(図1参照)。
制動装置90は、操舵輪である左右の一対の前輪7L,7R及び左右一対の後輪91L,91Rに制動力を付与するための液圧式の制動力付与機構である。
制動装置90は、マスタシリンダ92及びブースタ93を有するブレーキ液圧発生装置94と、ブレーキ液圧制御装置95とを備えている。
ブレーキ液圧制御装置95は、各車輪7L,7R,91L,91Rに夫々設けられたホイールシリンダ96a,96b,96c,96dに供給するブレーキ液圧を増圧、減圧または保持する制御を行うことにより、例えば各車輪の制動力分配制御、ブレーキアシスト制御、アンチスキッド制御、トラクション制御、横滑り防止を含む車両安定化制御、坂道発進補助制御等のブレーキ制御を実行するものである。
ブレーキ液圧制御装置95は、CPU,ROM,RAMなどを含むマイクロコンピュータを備えるブレーキ用コントロールユニット97によって電気的に駆動制御される。ブレーキ用コントロールユニット97とパワステ用コントロールユニット13とは、CAN(Controller Area Network)98を介して相互に通信可能に構成される。
なお、ブレーキ用コントロールユニット97の機能と、パワステ用コントロールユニット13の機能とを備える1つのコントロールユニットで、ブレーキ液圧制御装置95及び中空モータ10を制御することができる。
図3は、ブレーキ液圧制御装置95の液圧回路を示す。
ブレーキ液圧制御装置95は、ブレーキ液圧を左前輪7L及び右後輪91Rのホイールシリンダ96a,96dに供給するための第1液圧系統95aと、ブレーキ液圧を右前輪7R及び左後輪91Lのホイールシリンダ96b,96cに供給するための第2液圧系統95bとからなる2系統の液圧回路を備えている。
また、ブレーキ液圧制御装置95は、マスタシリンダ92から各液圧系統95a,95bへのブレーキ液圧の供給を制御する電磁開閉弁である供給制御弁99a,99bと、各ホイールシリンダ96a,96b,96c,96dへのブレーキ液圧の供給を制御する電磁開閉弁である増圧制御弁100a,100b,100c,100dと、各ホイールシリンダ96a,96b,96c,96dからブレーキ液圧の解放を制御する電磁開閉弁である減圧制御弁101a,101b,101c,101dとを備えている。
また、ブレーキ液圧制御装置95は、各ホイールシリンダ96a,96b,96c,96dにブレーキ液圧を供給するための液圧ポンプ102a,102bと、該液圧ポンプ102a,102bを駆動する電動モータ103と、ブレーキ液圧を解放するための液圧制御用リザーバ104a,104bと、マスタシリンダ92から液圧ポンプ102a,102bの吸込み側への液圧の供給を制御する電磁開閉弁である加圧制御弁105a,105bと、液圧ポンプ102a,102bの下流側から上流側への逆流を防止するための逆止弁106a,106b,107a,107b,108a,108bと、を備えている。
ブレーキ用コントロールユニット97は、ブレーキ液圧制御装置95の各電磁開閉弁及び電動モータ103を制御することで、各ホイールシリンダ96a,96b,96c,96dに供給するブレーキ液圧を個別に増圧、減圧または保持する制動力制御を行う。
図4は、中空モータ10を制御するパワステ用コントロールユニット13の構成を示す制御ブロック図である。
パワステ用コントロールユニット13は、各種運転情報に基づき中空モータ10のトルク指令信号Tm(モータ駆動指令信号)を演算するトルク指令信号演算部61と、トルク指令信号演算部61が演算したトルク指令信号Tmに基づき中空モータ10を駆動制御するモータ駆動部62と、制動装置指令部63を備える。
トルク指令信号演算部61は、アシストトルク演算部64と、アシストトルク補正部65と、を有する。
アシストトルク演算部(モータ駆動指令信号演算部)64は、トルクセンサ11が検出した操舵トルクTrと、図外のディファレンシャルギア等に設置された車速センサが検出した車速Vsとに基づきトルク指令算出マップを参照し、トルク指令信号Tm(モータ駆動指令信号)を演算する。
図5は、トルク指令算出マップの一態様を示す。
トルク指令算出マップは、操舵トルクTrが零から増えるにしたがって操舵アシスト力を徐々に増やし、操舵トルクTrが設定値を超える高操舵トルク領域では操舵トルクTrの増大に応じて操舵アシスト力を徐々に減らす特性を有している。
また、トルク指令算出マップは、車速Vsが増大するにつれてトルク指令信号Tmが減少するように設定され、車速Vsが所定の中高速以上の場合には、操舵トルクTrの大小にかかわらず出力するトルク指令信号Tmを零とするよう設定される。
すなわち、パワステ用コントロールユニット13は、車速Vsが所定の中高速以上の場合、中空モータ10による操舵アシストを行わず、液圧アシスト機構4が出力する操舵アシスト力のみによって操舵が補助される。
アシストトルク補正部(モータ駆動指令信号補正部)65は、制動装置90が1対の操舵輪(前輪)7L,7Rの夫々に異なる制動力を付与することによって車両71に回転モーメントを発生させるとき、操舵輪7L,7R側から操舵軸16(ステアリングホイール6)側に伝達される振動を抑制する方向にトルク指令信号Tm(モータ駆動指令信号)を補正するためのものである。
つまり、制動装置90が1対の操舵輪(前輪)7L,7Rの夫々に異なる制動力を付与することによって車両71に回転モーメントを発生させるとき、制動力の変化による操舵反力によってステアリングホイール6が振動すると、運転者に不快感を与える。
そこで、アシストトルク補正部65は、上記の操舵反力によるステアリングホイール6の振動を抑制する方向に、中空モータ10による操舵アシスト力(トルク指令信号Tm)を補正する。
これにより、制動装置90が1対の操舵輪(前輪)7L,7Rの夫々に異なる制動力を付与することによって車両71に回転モーメントを発生させるときに、ステアリングホイール6の振動が抑制され、運転者の操舵感を向上させることができる。
アシストトルク補正部65は、振動検出部65aと、振動抑制トルク演算部65bと、加算演算部65cとを有する。
振動検出部65aは、制動装置90が1対の操舵輪(前輪)7L,7Rの夫々に異なる制動力を付与するときに、操舵輪7L,7R側から操舵軸16側に伝達される振動(逆入力)を検出する。
振動抑制トルク演算部65bは、振動検出部65aで検出された振動に基づき、操舵輪7L,7R側から操舵軸16側に伝達される振動を抑制するためのトルク補正指令信号ΔTmを演算する。
そして、加算演算部65cは、アシストトルク演算部64が演算したトルク指令信号Tmにトルク補正指令信号ΔTmを加算した結果を最終的なトルク指令信号Tmとして、モータ駆動部62に出力する。
モータ駆動部62は、トルク指令信号Tmに基づき以下のようにして中空モータ10を駆動制御する。
まず、電流指令演算部77は、トルク指令信号Tmと、第2レゾルバ(第2角度センサ)51が検出したモータ回転角θmに基づき、角度‐速度算出処理部84で算出されたモータ回転数Nと、からd軸,q軸電流指令Idref,Iqrefを演算する。
一方、3相2相変換器78は、中空モータ10に設置された電流センサ79u,79vが出力するu相,v相電流Iu,Ivとモータ回転角θmとからd軸,q軸実電流Idc,Iqcを得る。
そして、減算演算部80a,80bは、d軸,q軸電流指令Idref,Iqrefとd軸,q軸実電流Idc,Iqcとの差分(エラー分)を求める。
PI制御部81a,81bは、減算演算部80a,80bが演算した差分に基づくPI制御(比例・積分制御)によって、d軸,q軸実電流Idc,Iqcがd軸,q軸電流指令Idref,Iqrefに追従するのに必要なd軸,q軸電圧指令Vdref,Vqrefを演算する。
2相3相変換器85は、d軸,q軸電圧指令Vdref,Vqrefとモータ回転角θmとから中空モータ10の各相、つまり、u相,v相,w相の電圧指令Vuref,Vvref,Vwrefを算出する。
そして、電圧−PWMduty変換器82は、電圧指令Vuref,Vvref,Vwrefに基づきPWM制御信号を生成してインバータ回路83に出力する。
インバータ回路83は、スイッチング素子83a−83fを3相ブリッジ接続して構成される。
上記の構成により、モータ駆動部62は、トルク指令信号Tm(目標アシストトルク)に基づき中空モータ10をPWM制御する。
一方、パワステ用コントロールユニット13の制動装置指令部63は、液圧アシスト機構(油圧アクチュエータ)4の異常(失陥)の有無を判断する油圧アクチュエータ異常判断部63aと、油圧アクチュエータ異常判断部63aの判断結果に応じてブレーキ用コントロールユニット97に制動装置指令信号を出力する指令出力部63bとを有する。
油圧アクチュエータ異常判断部63aは、液圧アシスト機構4が正常に操舵機構2に操舵力を付与しているか否かを、操舵トルクTr、車速Vs、中空モータ10の駆動トルク、操舵角速度Δθhなどの操舵条件に基づき判断する。
そして、指令出力部63bは、油圧アクチュエータ異常判断部63aが液圧アシスト機構4の異常を判断したとき、つまり、液圧アシスト機構4が正常に操舵機構2に操舵力を付与できない状態であるときに、操舵アシスト力の不足による操舵性の低下を抑制するための制動装置指令信号を制動装置90に出力する。
指令出力部63bが、液圧アシスト機構4に異常が発生したときに出力する制動装置指令信号は、車両71の旋回方向に応じて少なくとも操舵輪7L,7Rの夫々に異なる制動力を付与させる指令信号、及び、液圧アシスト機構4が正常であるときに比べ、前輪7L,7Rと後輪91L,91Rの制動力の配分において、前輪7L,7R側の分配を小さくして、後輪91L,91R側の配分を大きくする指令信号である。
なお、車両71に回転モーメントを発生させる指令信号は、旋回方向内側の車輪の制動力を外側の車輪よりも増加させる信号で、制動力を増加させる旋回方向内側の車輪は、少なくとも操舵輪7L,7Rのいずれか一方を含み、旋回方向内側の操舵輪(前輪)及び旋回方向内側の後輪の制動力を増加させる構成とすることができる。
また、操舵輪を2軸以上有する車両71では、それら操舵輪の全て又は一部において、左右夫々に異なる制動力を付与する構成とすることができる。
指令出力部63bは、液圧アシスト機構4が異常で正常であるときよりも操舵アシスト力が小さくなるとき(換言すれば、より大きな操舵力でのステアリング操作が求められるとき)に、旋回方向内側の車輪(操舵輪7L又は操舵輪7R)の制動力を外側の車輪よりも増加させる指令を出力することで、運転者によるステアリング操作の負担を軽減することができ、また、車両姿勢の適正化を図ることができる。
つまり、制動装置指令部63は、液圧アシスト機構4に異常が生じ、中空モータ10による操舵アシスト力だけが操舵機構2に付与されるときに、運転者がステアリングホイール6を操作して車両姿勢を充分に制御できるように、操舵方向に対応する回転モーメントを制動力制御によって発生させる。
そして、液圧アシスト機構4に異常が発生して、制動装置指令部63が旋回方向内側の操舵輪7L,7Rの制動力を増加させることを指令し、これにより車両71に回転モーメントを発生させるときに、アシストトルク補正部65は、操舵輪7L,7R側から操舵軸16側に伝達される振動を抑制する方向にトルク指令信号Tmを補正することで、操舵反力によるステアリングホイール6の振動を抑制する。
また、液圧アシスト機構4が異常で正常であるときよりも操舵アシスト力が小さくなるときに、制動装置指令部63は、前後輪の制動力配分における前輪7L,7R側への制動力分配を、液圧アシスト機構4が正常であるときよりも小さくすることで、制動状態における前輪荷重の増加に伴う操舵力の増加を抑制することができる。これによっても、運転者によるステアリング操作の負担が軽減されし車両姿勢の適正化が図られる。
以下では、図4に示した制動装置指令部63、アシストトルク補正部65の機能をより詳細に説明する。
図6のフローチャートは、制動装置指令部63を構成する指令出力部63bによる制動制御指令の内容を示す。
指令出力部63bは、ステップS110で、油圧アクチュエータ異常判断部63aが液圧アシスト機構4の異常を検出しているか否かを判断する。
そして、液圧アシスト機構4の異常が検出されている場合、つまり、液圧アシスト機構4が操舵機構2に操舵アシスト力を正常に付与できない場合、指令出力部63bは、ステップS120に進む。指令出力部63bは、ステップS120で、車両71の旋回方向に応じて操舵輪7L,7Rの夫々に異なる制動力を付与して車両71に回転モーメントを発生させることを要求する制動指令信号を、ブレーキ用コントロールユニット97に出力する。
一方、液圧アシスト機構4の異常が検出されていない場合、つまり、液圧アシスト機構4が操舵機構2に操舵アシスト力を正常に付与できる場合、指令出力部63bは、ステップS120を迂回することで、車両71に回転モーメントを発生させることを要求する制動指令信号をブレーキ用コントロールユニット97に出力しない。
図7のフローチャートは、上記ステップS120における指令出力部63bによる制動指令信号の出力制御の内容を詳細に示す。
指令出力部63bは、ステップS121で、トルクセンサ11の出力に基づき、操舵トルク方向が右方向(右旋回)であるか否かを判断する。
そして、指令出力部63bは、操舵トルク方向が右方向である場合、ステップS122に進み、右旋回モーメントを増加させるための制動指令信号、つまり、右側の操舵輪7R(及び右側の後輪91R)の制動力を左側の操舵輪7L(及び左側の後輪91L)に比べて増加させる指令信号を、ブレーキ用コントロールユニット97に出力する。
一方、指令出力部63bは、操舵トルク方向が右方向でない場合、ステップS123に進み、トルクセンサ11の出力に基づき操舵トルク方向が左方向(左旋回)であるか否かを判断する。
そして、指令出力部63bは、操舵トルク方向が左方向である場合、ステップS124に進み、左旋回モーメントを増加させるための制動指令信号、つまり、左側の操舵輪7L(及び左側の後輪91L)の制動力を右側の操舵輪7R(及び右側の後輪91R)に比べて増加させる指令信号を、ブレーキ用コントロールユニット97に出力する。
指令出力部63bがステップS122又はステップS124で制動指令信号を出力すると、この制動指令信号を受けたブレーキ用コントロールユニット97は、制動指令信号に応じて1対の操舵輪7L,7Rの夫々に異なる制動力を付与することによって、操舵トルク方向と同じ方向の回転モーメントを車両71に発生させる。
換言すれば、ブレーキ用コントロールユニット97は、操舵操作量に応じて、操舵操作量を助長するように、操舵輪7L,7Rの夫々への制動力分配を制御する。
一方、指令出力部63bは、操舵トルク方向が右方向でなく、かつ、左方向でもない場合、つまり、ステアリングホイール6が操舵されていない中立状態である場合、ステップS125に進む。
そして、指令出力部63bは、1対の操舵輪7L,7Rの夫々に異なる制動力を付与することによって回転モーメントを発生させるための指令信号をブレーキ用コントロールユニット97に出力しない。
操舵トルクの方向は運転者の操舵意図を示すから、指令出力部63bは、操舵トルクの方向に基づき制動指令信号を出力することにより、運転者の操舵意図に沿った車両姿勢制御を行うことができる。
図8のフローチャートは、制動装置指令部63を構成する指令出力部63bによる制動力の前後配分比制御指令の内容を示す。
指令出力部63bは、ステップS210で、油圧アクチュエータ異常判断部63aが液圧アシスト機構4の異常を検出しているか否かを判断する。
そして、液圧アシスト機構4が正常である場合、つまり、液圧アシスト機構4が操舵機構2に操舵アシスト力を正常に付与できる場合、指令出力部63bは、ステップS220に進み、通常の前後配分比で制動制御を行うことを指令する制動指令信号をブレーキ用コントロールユニット97に出力する。
一方、液圧アシスト機構4が異常である場合、つまり、液圧アシスト機構4が操舵機構2に操舵アシスト力を正常に付与できない場合、指令出力部63bは、ステップS230に進む。指令出力部63bは、ステップS230で、ステップS220における正常状態での前後配分比に比べて前輪7L,7R側の制動力分配比を減らし、相対的に後輪91L,91R側の制動力分配比を増やす制動指令信号をブレーキ用コントロールユニット97に出力する。
指令出力部63bから制動力の前後配分比の指令を受けたブレーキ用コントロールユニット97は、指令に応じた分配比で、前輪7L,7R、後輪91L,91Rに制動力が付与されるように制御する。
図9のフローチャートは、油圧アクチュエータ異常判断部63aによる液圧アシスト機構4の異常診断の一態様を示す。
油圧アクチュエータ異常判断部63aは、ステップS311で、第1レゾルバ(第1角度センサ)46が検出したステアリングホイール6の操舵角θhと、第2レゾルバ(第2角度センサ)51が検出したモータ回転角θmと、第2トーションバー23の剛性RI2とに基づき、操舵トルクTrs(Trs=(θh−θm)×RI2)を演算する。
次いで、油圧アクチュエータ異常判断部63aは、ステップS312に進み、車速Vsが所定車速Vsth以上であるか否かを判断する。
所定車速Vsthは、液圧アシスト機構4に異常が発生したときに、運転者がステアリングホイール6の操作によって充分な車両姿勢制御を行えなくなる速度として予め適合されていて、例えば、Vsth=5km/hである。
そして、車速Vsが所定車速Vsth以上である場合、油圧アクチュエータ異常判断部63aは、ステップS313に進み、ステアリングホイール6の操舵角θhが中立を含む所定角度範囲内であるか否か、換言すれば、中立状態を0degとし左右方向をプラス/マイナスの角度で表す場合に操舵角θhの絶対値が所定角度以下であるか否かを判断する。
ステアリングホイール6の操舵角θhが中立を含む所定角度範囲内である場合、油圧アクチュエータ異常判断部63aは、ステップS314に進み、操舵トルクTrsが第1所定値Tr1以上であるか否かを判断する。
第1所定値Tr1は、液圧アシスト機構4が正常で液圧アシスト機構4が操舵機構2に正規の操舵アシスト力を付与している場合に発生しえない操舵トルク値であり、例えば、Tr1=20Nmである。
そして、操舵トルクTrsが第1所定値Tr1以上である場合、油圧アクチュエータ異常判断部63aは、ステップS315に進み、液圧アシスト機構4に異常が発生していると判断する。
油圧アクチュエータ異常判断部63aは、操舵トルクTrsが、液圧アシスト機構4が正常であるときには達することがないトルク値になっている場合は、液圧アシスト機構4による操舵アシスト力が付与されていないために、操舵トルクTrsが大きくなっていると推定し、液圧アシスト機構4に異常が発生していると判定する。
したがって、油圧アクチュエータ異常判断部63aは、液圧アシスト機構4の異常の有無を、液圧アシスト機構4におけるオイル圧をセンサで検出することなく判断できる。
また、車速Vsが所定車速Vsth以上で、かつ、液圧アシスト機構4が正常であれば、操舵トルクTrsが第1所定値Tr1以上になることが無いため、油圧アクチュエータ異常判断部63aは、車速Vs及び操舵トルクTrsに基づき液圧アシスト機構4の異常の有無を高精度に判断することができる。
図10のフローチャートは、油圧アクチュエータ異常判断部63aによる液圧アシスト機構4の異常診断の別の態様を示す。
図10のフローチャートのステップS321−ステップS323、ステップS325は、図9のフローチャートのステップS311−ステップS313、ステップS315と同様な処理を実施し、ステップS324の処理内容が図9のフローチャートのステップS314と異なる。
そこで、ステップS321−ステップS323、ステップS325の処理内容の説明を省略し、以下では、ステップS324の処理内容を説明する。
油圧アクチュエータ異常判断部63aは、ステップS324で、操舵トルクTrsに中空モータ10のモータトルクTrmを加算した結果が、第2所定値Tr2以上になっているか否かを判断する。
中空モータ10による操舵アシスト力が付与されている場合は、その分だけ操舵トルクTrsが小さくなるため、油圧アクチュエータ異常判断部63aが、操舵トルクTrsと第1所定値Tr1との比較に基づき診断する構成では、中空モータ10が操舵アシスト力を付与するときに診断精度が低下する可能性がある。
これに対し、油圧アクチュエータ異常判断部63aは、操舵トルクTrs+モータトルクTrmと第2所定値Tr2とを比較することで、中空モータ10が操舵アシスト力を付与するときでも高い精度で液圧アシスト機構4の異常の有無を診断できる。
そして、油圧アクチュエータ異常判断部63aは、操舵トルクTrsに中空モータ10のモータトルクTrmを加算した結果が、第2所定値Tr2以上になっているときに、ステップS325に進み、液圧アシスト機構4に異常が発生していると判断する。
なお、第2所定値Tr2は、第1所定値Tr1と同等の値、若しくは、第1所定値Tr1と異なる値(第1所定値Tr1よりも小さい値)とすることができる。
図11のフローチャートは、油圧アクチュエータ異常判断部63aによる液圧アシスト機構4の異常診断の更に別の態様を示す。
図11のフローチャートのステップS331−ステップS332、ステップS337は、図10のフローチャートのステップS321−ステップS323、ステップS325と同様な処理を実施し、ステップS334−ステップS336の処理内容が図10のフローチャートと異なる。
そこで、以下では、ステップS331−ステップS333、ステップS337の説明を省略し、ステップS334−ステップS336の処理内容を説明する。
油圧アクチュエータ異常判断部63aは、ステップS334で、操舵トルクTrsに中空モータ10のモータトルクTrmを加算した結果が、第3所定値Tr3以上になっているか否かを判断する。
第3所定値Tr3は、第1所定値Tr1よりも小さい値であり、例えば、Tr2=10Nmである。
図11のフローチャートに示す異常診断において、油圧アクチュエータ異常判断部63aは、後述するように、液圧アシスト機構4の異常によって操舵アシストトルクが減って操舵角速度が遅くなっていることを異常診断の条件として付加する。
したがって、油圧アクチュエータ異常判断部63aは、液圧アシスト機構4の異常を判断する操舵トルクTrs域の下限をより低くしても、液圧アシスト機構4の異常を誤診断することが抑制される。
また、油圧アクチュエータ異常判断部63aは、液圧アシスト機構4の異常を判断する操舵トルクTrs域の下限をより低くすることで、液圧アシスト機構4の異常を見逃すことを抑制できる。
操舵トルクTrsに中空モータ10のモータトルクTrmを加算した結果が、第3所定値Tr3以上である場合、油圧アクチュエータ異常判断部63aは、ステップS335に進み、ステアリングホイール6の操舵角θhに基づく操舵角速度Δθhが設定角速度未満であるか否かを判断する。
油圧アクチュエータ異常判断部63aは、舵角速度信号入力部としての機能を有し、操舵角速度Δθhが設定角速度未満であるか否かを判断することによって、液圧アシスト機構4の異常により操舵アシストトルクが減って操舵角速度が遅くなっている状態であるか否かを判断する。
操舵角速度Δθhが設定角速度未満である場合、油圧アクチュエータ異常判断部63aは、ステップS336に進み、操舵トルクTrsに中空モータ10のモータトルクTrmを加算した結果が第3所定値Tr3以上であって、運転者による操舵力が規定よりも高い状態であるのに、操舵角速度Δθhが設定角速度未満である状態が所定時間以上継続しているか否かを判断する。
そして、油圧アクチュエータ異常判断部63aは、操舵角速度Δθhが設定角速度未満である状態が所定時間以上継続すると、ステップS337に進み、液圧アシスト機構4に異常が発生していると判断する。
つまり、油圧アクチュエータ異常判断部63aは、液圧アシスト機構4が正常であれば、操舵角速度Δθhが設定角速度以上になる操舵トルクTrsの条件であるのに、操舵角速度Δθhが設定角速度未満である状態が所定時間以上継続している場合に、液圧アシスト機構4に異常が発生していると判断する。
ここで、油圧アクチュエータ異常判断部63aは、所定時間以上の継続を異常判断の条件とするから、液圧アシスト機構4が正常であるのに一時的にステップS331−ステップS335の条件を満たしたときに、液圧アシスト機構4の異常を誤って判断することを抑制できる。
なお、油圧アクチュエータ異常判断部63aは、ステップS312、ステップS322、ステップS332における所定車速Vsthを全て同じ車速とすることができる。また、油圧アクチュエータ異常判断部63aは、ステップS312、ステップS322、ステップS332における所定車速Vsthのうちの一部を他と異なる車速とし、更に、ステップS322、ステップS332における所定車速Vsthを全て異なる車速とすることができる。
図12のフローチャートは、振動検出部65aが、操舵輪7L,7R側から操舵軸16側に操舵反力が伝達されているか否かを判断する処理(正逆入力判断部の機能)を示す。
つまり、振動検出部65aは、制動装置90が操舵輪7L,7Rの夫々に異なる制動力を付与することによって車両71に回転モーメントを発生させるときに、図12のフローチャートに示す処理を実施することで、操舵輪7L,7R側から操舵軸16側に制動力の変化による操舵反力が伝達されているか否かを判断する。
振動検出部65aは、まず、ステップS401で、車両71の旋回方向に応じて操舵輪7L,7Rの夫々に異なる制動力を付与し、車両71に回転モーメントを発生させている状態であるか否かを判断する。
振動検出部65aは、制動力制御によって車両71に回転モーメントを発生させていない場合、ステップS419に進み、車両71に回転モーメントを発生させるための制動力制御に伴う操舵輪7L,7Rへの操舵反力の入力(外乱)はないと判断する。
一方、制動力制御によって車両71に回転モーメントを発生させている場合、振動検出部65aは、ステップS402に進み、操舵トルクTrsを演算する。
振動検出部65aは、第1レゾルバ(第1角度センサ)46が検出したステアリングホイール6の操舵角θhと、第2レゾルバ(第2角度センサ)51が検出したモータ回転角θmと、第2トーションバー23の剛性RI2とに基づき、操舵トルクTrs(Trs=(θh−θm)×RI2)を演算する。
そして、振動検出部65aは、ステップS403で、操舵トルクTrsが規定値以上であるか否かを判断する。
操舵トルクTrsの規定値は、車両特性などに基づき予め適合された値である。
振動検出部65aは、操舵トルクTrsが規定値未満である場合、ステップS419に進み、制動力制御によって車両71に回転モーメントを発生させている状態であるものの、操舵輪7L,7Rへの操舵反力の入力(外乱)はないと判断する。
一方、振動検出部65aは、操舵トルクTrsが規定値以上である場合、ステップS404に進み、第1レゾルバ46が検出する操舵角θhの単位時間当たりの変化量(角速度)Δθh(Δθh=(θh(n)−θh(n-1))/サンプリング周期)を演算する。
更に、振動検出部65aは、ステップS405に進み、第2レゾルバ51が検出するモータ回転角θmの単位時間当たりの変化量(角速度)Δθm(Δθm=(θm(n)−θm(n-1))/サンプリング周期)を演算する。
なお、第1レゾルバ46,第2レゾルバ51は、操舵角θh,モータ回転角θmを、ステアリングホイール6の中立から右方向を正の値、左方向を負の値として検出するものとする。
振動検出部65aは、次いで、ステップS406に進み、Δθhが負(Δθh<0)でかつΔθmが負(Δθm<0)であるか否か、つまり、操舵角θhが左方向に変化していて、かつ、モータ回転角θmも左方向に変化しているか否かを判断する。
そして、振動検出部65aは、Δθhが負でかつΔθmが負である場合、ステップS407に進み、モータ回転角θmが操舵角θhよりも小さい(θm<θh)か否かを判断する。
ここで、操舵角θh及びモータ回転角θmは共に左方向(負方向)に変化しているから、モータ回転角θmが操舵角θhよりも小さい状態とは、モータ回転角θmが操舵角θhに先行して左方向に変化していることになる。
操舵角θhは第2トーションバー23のステアリングホイール6側での回転角で、モータ回転角θmは第2トーションバー23の操舵輪7L,7R側での回転角である。
したがって、モータ回転角θmが操舵角θhに先行して左方向に変化している状態(モータ回転角θmの位相が操舵角θhの位相に先行している状態)は、第2トーションバー23が操舵輪7L,7R側からの逆入力によってねじれ、モータ回転角θmの左方向への変化に遅れて操舵角θhが左方向に追従変化している状態である。
図13は、トーションバーのトルク入力側の回転角S1とトルク出力側の回転角S2との相関を例示するタイムチャートである。
トーションバーはトルク入力によってねじれるので、入力側の回転角S1の変化に遅れて出力側の回転角S2が変化し、例えば、図13の時刻t2は、回転角S1及び回転角S2が共に左方向に変化している状態であるが、回転角S1が回転角S2に比べてより左方向の角度になるため、回転角S1が回転角S2に比べて小さくなる。
つまり、トーションバーの両端が同じ方向に回転変化している場合、回転角が先行変化している側がトルク入力側である。そこで、振動検出部65aは、ステップS407で、モータ回転角θmが操舵角θhよりも小さいことを検出した場合、ステップS408に進み、操舵輪7L,7R側からの逆入力が生じていると判断する。
一方、振動検出部65aは、ステップS407で、モータ回転角θmが操舵角θh以上であることを検出した場合、ステップS409に進み、操舵輪7L,7R側からの逆入力が生じていない状態、つまり、ステアリングホイール6の操舵で操舵軸16が回されている状態(正入力)であると判断する。
また、振動検出部65aは、ステップS406で、Δθhが負でかつΔθmが負の条件を満たさないと判断すると、ステップS410に進み、Δθhが正(Δθh>0)でかつΔθmが正(Δθm>0)であるか否か、つまり、操舵角θhが右方向に変化していて、かつ、モータ回転角θmも右方向に変化しているか否かを判断する。
そして、振動検出部65aは、Δθhが正でかつΔθmが正である場合、ステップS411に進み、モータ回転角θmが操舵角θhよりも大きい(θm>θh)か否かを判断する。
ここで、操舵角θh及びモータ回転角θmは共に右方向(正方向)に変化しているから、モータ回転角θmが操舵角θhよりも大きい状態は、モータ回転角θmが操舵角θhに先行して右方向に変化していることを示す。
そこで、振動検出部65aは、ステップS411で、モータ回転角θmが操舵角θhよりも大きいことを検出した場合、ステップS412に進み、操舵輪7L,7R側からの逆入力が生じていると判断する。
一方、振動検出部65aは、ステップS411で、モータ回転角θmが操舵角θh以下であることを検出した場合、ステップS413に進み、操舵輪7L,7R側からの逆入力が生じていない状態、つまり、ステアリングホイール6の操舵で操舵軸16が回されている状態(正入力)であると判断する。
また、振動検出部65aは、ステップS410で、Δθhが正でかつΔθmが正の条件を満たさないと判断すると、ステップS414に進み、前回(本ルーチンの前回実行時)の正逆入力判断で正入力が検出されていたか否かを判断する。
振動検出部65aが、ステップS414に進むのは、操舵角θhとモータ回転角θmとが同じ方向に変化していない状態である。
そして、操舵角θhとモータ回転角θmとが同じ方向に変化している正入力の状態から、操舵角θhとモータ回転角θmとが異なる方向に変化するようになるのは、ステアリングホイール6の操舵方向の切り替わりに因る場合と、操舵輪7L,7R側からの逆入力に因る場合とがある。
そこで、振動検出部65aは、ステップS414で、前回の正逆入力判断で正入力を検出していたと判断すると、ステップS415以降に進んで、正入力が継続している状態と逆入力が発生した状態とのいずれであるかを判別する。
振動検出部65aは、ステップS415で、操舵角θhの変化方向がモータ回転角θmよりも先に切り替わったか否か、つまり、Δθhの正負反転がΔθmの正負反転よりも先に発生したか否かを判断する。
正入力状態が継続している場合、操舵角θhの変化方向の切り替わりは、モータ回転角θmの変化方向の切り替わりに先行し、操舵角θhの変化方向が切り替わってから遅れてモータ回転角θmの変化方向が切り替わることになる。
したがって、振動検出部65aは、ステップS415で操舵角θhの変化方向が先に切り替わったことを判断した場合、ステップS416に進み、ステアリングホイール6の操舵で操舵軸16が回されている正入力状態が継続していると判断する。
つまり、振動検出部65aは、操舵角θhとモータ回転角θmとが異なる方向に変化するようになったことを、ステアリングホイール6の操舵方向の切り替わりに因るものであると推定する。
一方、モータ回転角θmの変化方向が操舵角θhよりも先に切り替わった場合、又は、モータ回転角θmの変化方向と操舵角θhの変化方向とが略同時期に切り替わった場合、振動検出部65aは、操舵輪7L,7R側からの逆入力によってモータ回転角θmの変化方向が切り替わったと推定し、ステップS417に進んで、操舵輪7L,7R側からの逆入力が生じていると判断する。
また、振動検出部65aは、ステップS414で、前回(本ルーチンの前回実行時)の正逆入力判断で逆入力を検出していたと判断した場合、逆入力の変動による回転方向の切り替わりが生じたと推定してステップS418に進み、操舵輪7L,7R側からの逆入力が引き続き生じていると判断する。
共通の振動によって操舵角θhとモータ回転角θmとが影響を受けているときに、モータ回転角θmの位相が操舵角θhの位相に先行していれば、振動検出部65aは、その振動が操舵輪7L,7R側から伝達されたものであると判断することができ、操舵感に影響を及ぼす振動(逆入力)を適切に検出できる。
図14のフローチャートは、振動抑制トルク演算部65bによるトルク補正指令信号ΔTmの演算処理を示す。
振動抑制トルク演算部65bは、まず、ステップS510で、車両71の旋回方向に応じて操舵輪7L,7Rの夫々に異なる制動力を付与し、車両71に回転モーメントを発生させている状態であるか否かを判断する。
そして、操舵輪7L,7Rの夫々に異なる制動力を付与して車両71に回転モーメントを発生させる制動力制御が実施されている場合、振動抑制トルク演算部65bは、ステップS520に進む。
ステップS520で、振動抑制トルク演算部65bは、操舵輪7L,7R側から操舵軸16への逆入力が発生しているか否か、換言すれば、逆入力によるステアリングホイール6の振動が発生しているか否かを判断する。
正入力であるか逆入力であるか否かは、前述した図12のフローチャートに示すようにして、振動検出部65aによって判別される。
操舵輪7L,7R側から操舵軸16への逆入力が発生している場合、振動抑制トルク演算部65bは、ステップS530に進み、トルク補正指令信号ΔTmを、操舵角速度Δθh、及び、操舵角速度−補正トルク変換係数Koに基づき演算する(ΔTm=Δθh×Ko×−1)。操舵角速度−補正トルク変換係数Koは、車両評価などに基づき予め適合される値である。
振動抑制トルク演算部65bが演算したトルク補正指令信号ΔTmは、加算演算部65cに出力され、加算演算部65cは、アシストトルク演算部64が演算したトルク指令信号Tmにトルク補正指令信号ΔTmを加算した結果を最終的なトルク指令信号Tmとして、モータ駆動部62に出力する。
操舵角θhが逆入力によって右方向(左方向)に変化している場合は、振動抑制トルク演算部65bは、係る右方向(左方向)への操舵角θhの変化を抑制するように、操舵角速度Δθhが大きいほど絶対値のより大きなマイナス(プラス)のトルク補正指令信号ΔTmを算出する。
係るトルク補正指令信号ΔTmによるトルク指令信号Tmの補正により、操舵負荷が増して、逆入力による操舵角θhの変化が抑制され、結果、逆入力によるステアリングホイール6の振動が低減して、運転者の不快感が軽減される。
なお、振動抑制トルク演算部65bは、運転者の操舵操作への影響を考慮して、トルク補正指令信号ΔTmが規定範囲を超えないように制限することができる。例えば、振動抑制トルク演算部65bは、−1Nm≦ΔTm≦+1Nmを満たすようにトルク補正指令信号ΔTmを制限する。
トルク補正指令信号ΔTmの絶対値を所定値以下に制限すれば、トルク指令信号Tmが過剰に補正されることで、運転者の操舵操作性が低下することを抑制できる。
また、振動抑制トルク演算部65bは、トルク補正指令信号ΔTmを、モータ角速度Δθmに基づき演算することができる。
図15のフローチャートは、振動抑制トルク演算部65bによるモータ角速度Δθmに基づくトルク補正指令信号ΔTmの演算処理を示す。
振動抑制トルク演算部65bは、ステップS610で、操舵輪7L,7Rの夫々に異なる制動力を付与することによって車両71に回転モーメントを発生させる制動力制御が実施されているか否かを判断する。
そして、操舵輪7L,7Rの夫々に異なる制動力を付与することによって車両71に回転モーメントを発生させる制動力制御が実施されている場合、振動抑制トルク演算部65bは、ステップS620に進む。
ステップS620で、振動抑制トルク演算部65bは、操舵輪7L,7R側から操舵軸16への逆入力が発生しているか否か、換言すれば、逆入力によるステアリングホイール6の振動が発生しているか否かを判断する。
正入力であるか逆入力であるか否かは、前述した図12のフローチャートに示すようにして、振動検出部65aによって判別される。
操舵輪7L,7R側から操舵軸16への逆入力が発生している場合、振動抑制トルク演算部65bは、ステップS630に進み、モータ角速度Δθm(逆入力)をハイパスフィルタ処理(ローカットフィルタ処理)する。
振動抑制トルク演算部65bは、モータ角速度Δθmのハイパスフィルタ処理において、車両71のヨー応答、人間の操舵操作応答よりも高い周波数成分を減衰させない遮断周波数を設定する。
振動抑制トルク演算部65bは、遮断周波数を例えば3Hzに設定する。
つまり、振動抑制トルク演算部65bは、車両71のヨー応答、人間の操舵操作応答よりも低い周波数帯の信号を減衰させることにより、トルク補正指令信号ΔTmによる補正の必要がない成分の補正を抑制することができる。
モータ角速度Δθmのハイパスフィルタ処理後、振動抑制トルク演算部65bは、ステップS640で、トルク補正指令信号ΔTmを、Δθmのハイパスフィルタ通過値hpf(Δθm)、ハイパスフィルタ値−補正トルク変換係数Kohに基づき演算する(ΔTm=hpf(Δθm)×Koh×−1)。
振動抑制トルク演算部65bがΔθmのハイパスフィルタ通過値hpf(Δθm)に基づき演算したトルク補正指令信号ΔTmは、加算演算部65cに出力され、加算演算部65cは、アシストトルク演算部64が演算したトルク指令信号Tmにトルク補正指令信号ΔTmを加算した結果を最終的なトルク指令信号Tmとしてモータ駆動部62に出力する。
そして、モータ角速度Δθmに基づきトルク補正指令信号ΔTmを演算する場合も、トルク補正指令信号ΔTmによるトルク指令信号Tmの補正により、操舵負荷が増して、逆入力による操舵角θhの変化が抑制され、結果、逆入力によるステアリングホイール6の振動が低減して、運転者の不快感が軽減される。
なお、振動抑制トルク演算部65bは、モータ角速度Δθmに基づきトルク補正指令信号ΔTmを演算する場合も、運転者の操舵操作への影響を考慮して、トルク補正指令信号ΔTmが規定範囲を超えないように制限することができ、例えば、−1Nm≦ΔTm≦+1Nmを満たすようにトルク補正指令信号ΔTmを制限することができる。
上記実施形態で説明した各技術的思想は、矛盾が生じない限りにおいて、適宜組み合わせて使用することができる。
また、好ましい実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
例えば、制動装置90は、ブレーキペダル操作を電気的に検出し、当該検出結果に基づきコントロールユニット(コンピュータ)がアクチュエータを制御し摩擦ブレーキを作動させる、いわゆるブレーキ・バイ・ワイヤのシステムとすることができる。
また、油圧アクチュエータ異常判断部63aは、液圧アシスト機構4の異常を検出したときに警告装置を作動させ、車両71の運転者にパワーステアリング装置70(液圧アシスト機構4)の異常発生を通知することができる。
また、上記実施形態では、角度センサとして、第1レゾルバ46及び第2レゾルバ51を用いるが、レゾルバに代えてロータリーエンコーダなどを用いることができる。
また、中空モータ10として、複数の相に対応する巻線組を複数有する電動モータを用いることができる。
また、振動抑制トルク演算部65bは、トルク補正指令信号ΔTmの制限範囲を、車速などの操舵条件に応じて可変とすることができる。
また、車両制御装置1は、1対の操舵輪の夫々に異なる制動力を付与することによって車両に回転モーメントを発生させる制動制御(回転モーメント発生制動制御)を、液圧アシスト機構4の異常を検出したときに実施するとともに、液圧アシスト機構4が正常であっても操舵角が所定値よりも大きくなった場合に実施することができる。
そして、操舵角の増大に基づき回転モーメント発生制動制御が実施されるときに、パワステ用コントロールユニット13は、1対の操舵輪7L,7R側から操舵軸16側に伝達される振動を抑制する方向にモータ駆動指令信号を補正することで、ステアリングホイール6の振動を低減して、運転者の不快感を軽減することができる。
1…車両制御装置、2…操舵機構、6…ステアリングホイール、7L,7R…操舵輪(前輪)、10…中空モータ(電動モータ)、13…パワステ用コントロールユニット、16…操舵軸、17…伝達機構、61…トルク指令信号演算部、64…アシストトルク演算部(モータ駆動指令信号演算部)、65…アシストトルク補正部(モータ駆動指令信号補正部)、70…パワーステアリング装置、90…制動装置

Claims (11)

  1. ステアリングホイールの操舵操作を1対の操舵輪に伝達する操舵機構であって、前記ステアリングホイールの回転に伴い回転する操舵軸と、前記操舵軸の回転を前記操舵輪に伝達する伝達機構と、を有する操舵機構と、
    前記操舵機構に操舵力を付与する電動モータと、
    前記1対の操舵輪の夫々に異なる制動力を付与可能な制動装置と、
    前記電動モータを制御するコントロールユニットであって、
    前記電動モータへのモータ駆動指令信号を演算するモータ駆動指令信号演算部と、
    前記制動装置が前記1対の操舵輪の夫々に異なる制動力を付与することによって車両に回転モーメントを発生させるとき、前記1対の操舵輪側から前記操舵軸側に伝達される振動を抑制する方向に前記モータ駆動指令信号を補正するモータ駆動指令信号補正部と、
    を有するコントロールユニットと、
    を有することを特徴とする車両制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両制御装置は、前記操舵機構に操舵力を付与する油圧アクチュエータを有し、
    前記操舵軸は、入力軸と、ロータリバルブ用トーションバーを介して前記入力軸と接続された出力軸と、を有し、
    前記油圧アクチュエータは、
    ピストンによって分割された1対の液圧室を有するパワーシリンダと、
    前記入力軸と前記出力軸の相対回転に応じて前記操舵機構の外部のポンプから供給される作動液を選択的に前記パワーシリンダの前記1対の液圧室に供給するロータリバルブと、
    を有することを特徴とする車両制御装置。
  3. 請求項2に記載の車両制御装置において、前記伝達機構は、ボールねじ機構を備え、
    前記ボールねじ機構は、
    前記出力軸の外周側に設けられた螺旋状の出力軸側ボールねじ溝と、
    前記出力軸の外周側に設けられた筒状のナット部材と、
    前記ナット部材の内周側に設けられた螺旋状のナット側ボールねじ溝と、
    前記出力軸側ボールねじ溝と前記ナット側ボールねじ溝の間に設けられた複数のボールと、を備え、
    前記ピストンは、前記ナット部材に設けられていることを特徴とする車両制御装置。
  4. 請求項2に記載の車両制御装置において、前記コントロールユニットは、前記制動装置へ制動装置指令信号を出力する制動装置指令部を備え、
    前記制動装置指令部は、前記油圧アクチュエータに異常が生じたとき、車両の旋回方向に応じて前記1対の操舵輪の夫々に異なる制動力を付与し、車両に回転モーメントを発生させるように前記制動装置指令信号を出力することを特徴とする車両制御装置。
  5. 請求項4に記載の車両制御装置は、前記操舵機構に生じる操舵トルクを検出するトルクセンサを備え、
    前記コントロールユニットは、前記油圧アクチュエータの異常の有無を判断する油圧アクチュエータ異常判断部を備え、
    前記油圧アクチュエータ異常判断部は、車両速度が第1所定車速以上、かつ前記操舵トルクが第1所定トルク値以上のとき、前記油圧アクチュエータに異常が発生していると判断することを特徴とする車両制御装置。
  6. 請求項5に記載の車両制御装置において、前記油圧アクチュエータ異常判断部は、車両速度が第2所定車速以上、かつ前記操舵トルクと前記電動モータの駆動トルクの合計が第2所定トルク値以上のとき、前記油圧アクチュエータに異常が発生していると判断することを特徴とする車両制御装置。
  7. 請求項6に記載の車両制御装置において、前記コントロールユニットは、前記ステアリングホイールの操作速度である操舵角速度に関する舵角速度信号を入力する舵角速度信号入力部を備え、
    前記油圧アクチュエータ異常判断部は、車両速度が第3所定車速以上、前記操舵トルクと前記電動モータの駆動トルクの合計が第3所定トルク値以上、かつ前記舵角速度信号が所定舵角速度未満のとき、前記油圧アクチュエータに異常が発生していると判断することを特徴とする車両制御装置。
  8. 請求項4に記載の車両制御装置において、前記コントロールユニットは、前記油圧アクチュエータの異常の有無を判断する油圧アクチュエータ異常判断部を備え、
    前記制動装置指令部は、前記1対の操舵輪である前輪および後輪に制動力を付与するように前記制動装置指令信号を出力すると共に、前記油圧アクチュエータ異常判断部が前記油圧アクチュエータに異常有りと判断しているときであって、かつブレーキ操作が行われたとき、前記油圧アクチュエータ異常判断部が前記油圧アクチュエータに異常が無いと判断しているときに比べ、前記前輪と前記後輪の制動力の配分において、前記後輪側の配分が大きくなるように前記制動装置指令信号を出力することを特徴とする車両制御装置。
  9. 請求項1に記載の車両制御装置は、第1角度センサおよび第2角度センサを備え、
    前記操舵軸は、角度センサ用トーションバーを介して互いに接続される、前記角度センサ用トーションバーよりも前記ステアリングホイール側に設けられた第1軸と、前記角度センサ用トーションバーよりも前記操舵輪側に設けられた第2軸を備え、
    前記第1角度センサは、前記第1軸の回転角を検出するものであって、
    前記第2角度センサは、前記第2軸の回転角を検出するものであって、
    前記コントロールユニットは、正逆入力判断部を備え、
    前記正逆入力判断部は、前記第1角度センサの出力信号である第1回転角信号と前記第2角度センサの出力信号である第2回転角信号に基づき、前記第1軸と前記第2軸が同じ方向に回転し、かつ前記第2回転角信号の位相が前記第1回転角信号の位相に先行していると判断するとき、前記操舵軸に発生している振動が、前記1対の操舵輪側から前記操舵軸側に伝達されているものであると判断することを特徴とする車両制御装置。
  10. 請求項9に記載の車両制御装置において、前記コントロールユニットは、前記第1回転角信号または前記第2回転角信号をハイパスフィルタ処理するハイパスフィルタ処理部を備え、
    前記モータ駆動指令信号補正部は、前記ハイパスフィルタ処理部によってハイパスフィルタ処理された前記第1回転角信号または前記第2回転角信号に基づき、前記モータ駆動指令信号を補正することを特徴とする車両制御装置。
  11. 請求項1に記載の車両制御装置は、前記操舵機構に生じる操舵トルクを検出するトルクセンサを備え、
    前記コントロールユニットは、前記制動装置へ制動装置指令信号を出力する制動装置指令部を備え、
    前記制動装置指令部は、前記操舵トルクの方向に基づき、前記制動装置指令信号を出力することを特徴とする車両制御装置。
JP2017056054A 2017-03-22 2017-03-22 車両制御装置 Active JP6741615B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017056054A JP6741615B2 (ja) 2017-03-22 2017-03-22 車両制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017056054A JP6741615B2 (ja) 2017-03-22 2017-03-22 車両制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018158623A JP2018158623A (ja) 2018-10-11
JP6741615B2 true JP6741615B2 (ja) 2020-08-19

Family

ID=63794931

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017056054A Active JP6741615B2 (ja) 2017-03-22 2017-03-22 車両制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6741615B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2022014073A1 (ja) * 2020-07-16 2022-01-20
JP2022164015A (ja) * 2021-04-15 2022-10-27 トヨタ自動車株式会社 操舵装置及び操舵方法
DE112022003756T5 (de) * 2021-08-04 2024-06-27 Knorr-Bremse Commercial Vehicle Systems Japan Ltd. Lenkvorrichtung

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4715212B2 (ja) * 2005-01-24 2011-07-06 日本精工株式会社 電動パワーステアリング装置の制御装置
JP2008062699A (ja) * 2006-09-05 2008-03-21 Toyota Motor Corp 車両の制御装置
JP2008254521A (ja) * 2007-04-03 2008-10-23 Jtekt Corp ステアリング装置
JPWO2014068793A1 (ja) * 2012-11-05 2016-09-08 トヨタ自動車株式会社 操舵制御装置
JP2016150644A (ja) * 2015-02-17 2016-08-22 日立オートモティブシステムズ株式会社 パワーステアリング装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018158623A (ja) 2018-10-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3554841B2 (ja) 自動車の舵取装置
KR100867698B1 (ko) 자동차의 스티어 바이 와이어 시스템
JP4924378B2 (ja) 車輌の走行制御装置
JP6563113B2 (ja) パワーステアリング装置
JP5494176B2 (ja) 車両用操舵装置
US20070205037A1 (en) Power steering system
JP5418056B2 (ja) 操舵制御装置
JP6741615B2 (ja) 車両制御装置
US20180304919A1 (en) Control apparatus and method of motor-driven power steering system
US8116943B2 (en) Method and apparatus for minimizing driver disturbance in a limited by-wire active steering system
US9079609B2 (en) Hydraulic power steering system
JP2007314082A (ja) パワーステアリング装置
EP2557019B1 (en) Hydraulic power steering system
JP4639146B2 (ja) パワーステアリング装置
US8930077B2 (en) Hydraulic power steering system
JP5552744B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP6511673B2 (ja) パワーステアリング裝置
JP2008030591A (ja) 制動制御装置およびその方法
JP2006213085A (ja) 電動パワーステアリング装置
US7677352B2 (en) Method for steering a vehicle by means of a superimposed steering system
KR101765625B1 (ko) 전동식 파워 스티어링 시스템의 토크 제어 장치 및 방법
JP4377750B2 (ja) 車両の操舵装置
JP2008056134A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2007015495A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2006213173A (ja) 車両の操蛇制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20190529

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20190529

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190904

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20200212

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20200212

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200228

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20200325

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20200325

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200619

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200630

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200727

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6741615

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350