JP4377750B2 - 車両の操舵装置 - Google Patents

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本発明は車両の操舵装置に関し、特に、いわゆるスプリットμ路面での制動時または発進加速時での操舵アシスト等に好適な車両の操舵装置に関する。
最初に本発明に関連する基本的な技術的概念を説明する。「スプリットμ路面」とは、走行中等の四輪乗用自動車等(以下「車両」という)で、左右の車輪(またはタイヤ)の各々で路面摩擦係数(μ)を異ならせ、左右輪の路面摩擦係数の間に差を生じさせる路面をいう。このようなスプリットμ路面での車両の制動を以下では「スプリットμ制動」という。
車両を運転して道路を走行しているときにスプリットμ制動が生じると、車両の車体でヨーレート(ヨーモーメント)が生じ、道路上の走行で偏りが生じて走行が不安定になり、運転者は車両のハンドルを大きくとられる。このとき、運転者は、通常、車両の直進状態を維持するため、車両の偏り方向とは逆の方向へハンドルを切るカウンタステア操作を行う。しかしながら、実際上、普通の運転者にとって、有効なカウンタステア操作を行うことは容易なことではない。このことは、スプリットμ路面での発進加速でも同様に生じることである。
他方、車両の操舵装置に関しては、近年、電動パワーステアリング装置(EPS)やステア・バイ・ワイヤ(SBW)式操舵装置等の電気・電子システムが採用されつつある。電動パワーステアリング装置とは、運転者が車両の進行方向を変更するためハンドル操作を行うとき、運転者による当該ハンドル操作の回転力を軽減する目的で、ハンドル操作に連動する電動モータで舵取り機構を動作させる駆動力(アシスト操舵トルク)を発生させ、運転者のハンドル操作を支援(アシスト)する装置である。ステア・バイ・ワイヤ式操舵装置は、ハンドルと転舵輪との間に機械的な構造を介在させず、分離した構造で電子システム的に操舵装置を構成するシステムである。
上記電動パワーステアリング装置等では、前述したスプリットμ路面での制動や発進加速において、運転者によるカウンタステア操作が容易に行えるように、当該カウンタステア操作をアシストする機能を備えることが望まれている。このような要望を満たす従来技術を開示する公知文献として特許文献1を挙げる。この特許文献1は、スプリットμ路面で車両に制動力を付与したときにカウンタステア操作を容易に行い得るようにした電動ステアリング装置を開示している。スプリットμ路面で制動を行ったとき、左右の車輪で制動力に差が生じる。特許文献1に開示される電動ステアリング装置では、車両の各車輪に付与される制動力を推定する制動力推定手段を設け、さらにこの制動力推定手段で推定した制動力に基づき左右の車輪に付与される制動力の差を推定する左右制動力差推定手段を設け、これによりアシスト操舵トルク付与手段は、推定された左右車輪の制動力差に応じてアシスト操舵トルクを発生し、制動力左右差に起因するヨーモーメントを打ち消すようにしている。
特開2003−291838号公報
しかしながら、上記の従来の電動ステアリング装置によれば、左右車輪の推定制動力の差のみによって操舵アシストを行っているので、車両の車体上で発生したヨーレートとは関係なく操舵アシストを行う。そのため、最適な操舵アシストにはならないという問題が生じた。さらに車両のヨー検出システムでヨー状態が検出されていないにも拘らず、操舵アシストを行うこともあり、過剰な制御が生じるという問題もあった。
そこで、従来の車両の電動パワーステアリング装置で、スプリットμ路面での制動時や発進加速時に、制御を適切に行ってよりいっそう車両の安定性を高めるということが望まれる。
さらに、スプリットμ路面での制動時や発進加速時に車両の安定性をよりいっそう高めることは、ステア・バイ・ワイヤ(SBW)方式の車両の操舵装置や、自動運転を可能にする車両の操舵装置でも同様に望まれることである。
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、スプリットμ路面での制動時や発進加速時においてハンドルとられが大きく生じる場合に、例えば運転者のカウンタステア操作が容易に行えるように最適な操舵アシストを行うことができ、さらに一般的に例えば電動パワーステアリング装置、SBW式操舵装置、自動運転用操舵装置等で車両の走行安定性をいっそう向上させることのできる車両の操舵装置を提供することにある。
本発明に係る車両の操舵装置は上記目的を達成するために次のように構成される。
第1の車両の操舵装置(請求項1に対応): 本発明の車両の操舵装置は、車両の左右転舵輪の転舵動作を支援または実行する転舵実行装置を含む車両の操舵装置において、前記車両の動作状態に係る検出信号に基づき前記車両の左右の車輪の路面摩擦係数の差の有無を検出してスプリットμ路面であるか否かを判定するスプリットμ判定手段と、前記車両で発生するヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、前記スプリットμ判定手段でスプリットμ路面であると判定されたとき、通常走行時を除き、前記ヨーレート検出手段から出力される前記ヨーレートを打ち消す方向に前記左右転舵輪の制御値を決定する制御手段と、を備え、前記制御手段は、走行状態を判定し、前記スプリット路面での制動時は、加速発進時に比べて前記制御値を大きく設定することを特徴とする。
上記の構成において、車両の操舵装置が例えば電動パワーステアリング装置である場合に、上記制御装置は、操舵アシスト用操舵トルクを発生するモータに供給される操舵アシスト用の駆動電流を、ヨーレート検出部から出力されるヨーレートが打ち消されるように最適に制御する。また車両の操舵装置がステア・バイ・ワイヤ式操舵装置である場合に、上記制御装置は、目標タイヤ角設定部から出力される目標タイヤ角をヨーレート検出部から出力されるヨーレートが打ち消されるように補正する。
上記の第1の車両の操舵装置では、電動パワーステアリング装置、ステア・バイ・ワイヤ式の車両操舵装置等で、スプリットμ路面での制動時または発進加速時に、スプリットμ路面であることを判定しかつ発生したヨーレートの打ち消すように操舵アシスト量等を変化させるよう制御を行って、操舵車両の走行状態が不安定にならないように運転者のステアリング操舵をアシストする。これにより、例えば運転スキルの低い運転者のカウンタステア操作を適切に補助し、操舵方向の有効な情報を与え、さらに一般的に電動パワーステアリング装置やステア・バイ・ワイヤ式操舵装置等で車両の走行安定性を高めることが可能となる。
本発明によれば次の効果を奏する。電動パワーステアリング装置やステア・バイ・ワイヤ式操舵装置等を搭載する車両の当該操舵装置で、例えば、スプリットμ路面での制動や発進加速等で運転者がカウンタステア操作を行わなければならないとき、車両の車体で発生したヨーレートを検出し、当該ヨーレートに応じて、運転者のカウンタステア操作を行い易くするように操舵アシスト量等を変化させて発生させるようにしたため、過不足のない最適な操舵アシスト等を行うことができる。さらに一般的に、スプリットμ路面での制動時や発進加速時に車両が不安定にならないようにステアリング操作のアシスト等を行い、走行安定性を高めることができる。これにより、運転者の運転負荷が減少し、さらに運転スキルの低い運転者に対しては操舵方向の案内情報を提供することもできる。
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
図1〜図3を参照して本発明の第1実施形態を説明する。第1実施形態に係る車両の操舵装置は、電動パワーステアリング装置(EPS)に関するものである。図1は電動パワーステアリング装置の要部構成を模式的に示し、図2は制御装置の内部構成であって操舵アシスト量を可変にする調整部等の構成を示し、図3は操舵アシスト量の変化させる制御手順を示す。
図1において、電動パワーステアリング装置10は、運転者の操舵力をアシストする操舵装置として車両に装備されている。電動パワーステアリング装置10は、ステアリングホイール11(以下「ハンドル11」という)に連結されるステアリング軸12等に対して補助用の操舵トルクを与えるように構成されている。ステアリング軸12の上端はハンドル11に連結され、下端にはピニオンギヤ13が取り付けられている。ピニオンギヤ13に対して、これに噛み合うラックギヤ14aを設けたラック軸14が配置されている。ピニオンギヤ13とラックギヤ14aによってラック・ピニオン機構15が形成される。ラック軸14の両端にはタイロッド16が設けられ、各タイロッド16の外側端には前輪(前側タイヤ)17が取り付けられる。上記ステアリング軸12に対し動力伝達機構18を介して例えばブラシレスモータ等のモータ19が設けられている。モータ19は、操舵トルクを補助する回転力(トルク)を出力し、この回転力を、動力伝達機構18を経由して、ステアリング軸12に与える。
ステアリング軸12には操舵トルクセンサ20が設けられている。操舵トルクセンサ20は、運転者がハンドル11を操作することによって生じる操舵トルクをステアリング軸12に加えたとき、ステアリング軸12に加わる当該操舵トルクを検出する。また21は車両の車速を検出する車速センサであり、22はコンピュータ(マイクロコンピュータ等)で構成される制御装置である。
制御装置22は、操舵トルクセンサ20から出力される操舵トルク信号Tと車速センサ21から出力される車速信号V等を取り入れ、原則的に操舵トルクに係る情報と車速に係る情報に基づいて、モータ19の回転動作を制御する駆動制御信号SG1を出力する。駆動制御信号SG1はモータ19を回転駆動させるためのモータ電流である。
またモータ19にはモータ回転角検出部23が付設されている。モータ回転角検出部23の回転角(電気角)に係る信号SG2は制御装置22に入力されている。上記のラック・ピニオン機構15等は図1中で図示しないギヤボックス24に収納されている。
上記において電動パワーステアリング装置10は、通常のステアリング系の装置構成に対し、操舵トルクセンサ20、車速センサ21、制御装置22、モータ19、動力伝達機構18を付加することによって構成されている。
上記構成において、運転者がハンドル11を操作して自動車の走行運転中に走行方向の操舵を行うとき、ステアリング軸12に加えられた操舵トルクに基づく回転力はラック・ピニオン機構15を介してラック軸14の軸方向の直線運動に変換され、さらにタイロッド16を介して前輪17の走行方向を変化させようとする。このときにおいて、同時に、ステアリング軸12に付設された操舵トルクセンサ20は、ハンドル11での運転者による操舵に応じた操舵トルクを検出して電気的な操舵トルク信号Tに変換し、この操舵トルク信号Tを制御装置22へ出力する。また車速センサ21は、車両の車速を検出して車速信号Vに変換し、この車速信号Vを制御装置22へ出力する。制御装置22は、操舵トルク信号Tおよび車速信号V等に基づいてモータ19を駆動するためのモータ電流を発生する。このモータ電流によって駆動されるモータ19は、動力伝達機構18を介して補助の操舵トルクをステアリング軸12に作用させる。以上のごとくモータ19を駆動することにより、ハンドル11に加えられる運転者による操舵力が軽減される。
上記制御装置22は、図2に示されるごとく、EPS目標電流決定部31と、制御部32と、操舵アシスト電流演算部33と、スプリットμ判定部34とを備えている。
EPS目標電流決定部31は、操舵トルク信号Tに基づいて目標補助トルクを決定し、この目標補助トルクをモータ19から供給させるために必要となる目標電流値に係る信号(目標電流信号)SG3を出力する。制御部32は、一般的に偏差演算部とモータ制御部とモータ駆動部と電流値検出部等によって構成される。制御部32は、原則的に、EPS目標電流決定部31から与えられる目標電流信号SG3に基づいて上記駆動制御信号SG1を生成する。ただし、本実施形態の構成では、後述するごとく、目標電流信号SG3には、操舵アシスト電流演算部33とスプリットμ判定部34によって生成される調整電流信号(SG16)が加算されている。
再び図1に戻って説明する。上記制御装置22には、さらに、操舵アシスト電流量の制御の観点で、ヨーレートセンサ41で検出される車両の車体重心では発生するヨーレートに係る検出信号SG11(以下「ヨーレート検出信号SG11」という)、車両に装備された少なくとも2つの左右車輪のそれぞれに付設された車輪速度センサ42で検出される車輪速度に係る検出信号SG12(以下「車輪速度信号SG12」という)、各車輪のブレーキシリンダに付設された圧力センサ43で検出される推定キャりパ圧力に係る検出信号SG13(以下「推定キャリパ圧信号SG13」という)、車両の左右駆動輪にそれぞれに付設された駆動トルクセンサ44で検出される推定駆動トルクに係る検出信号SG14(以下「推定駆動トルク信号SG14」という)が入力されている。また本実施形態に係る車両操舵装置の制御装置22では、各車輪に関して各車輪の車輪速度と車速(車体速度)等を利用して求められたスリップ率に係る信号(図3に示す信号SG15。以下「スリップ率信号SG15」という)が生成され、用いられる。これらの信号SG11〜SG15については、図3に示されるごとく、ヨーレート検出信号SG11は操舵アシスト電流演算部33に入力され、車輪速度信号SG12と推定キャリパ圧信号SG13と推定駆動トルク信号SG14とスリップ率信号SG15はスプリットμ判定部34に入力されている。
次に、図1〜図3を参照して、制御装置22の内部と、操舵アシスト量を最適に変化させる調整部等の構成および作用とを説明する。
前述のごとく、制御装置22は、EPS目標電流決定部31と制御部32と操舵アシスト電流演算部33とスプリットμ判定部34を有する。EPS目標電流決定部31は操舵トルク信号Tに基づいて目標電流信号SG3を生成する。目標電流信号SG3は、電動パワーステアリング装置による操舵アシスト量を決める信号である。EPS目標電流信号SG3は加算部35および制御部32を経由してモータ19の側に送られる。EPS目標電流信号SG3は、制御部32によってモータ駆動電流SG1に変換され、モータ19に操舵アシスト動作を行わせる。加算部35では、以下のごとく、スプリットμ路面での制動または加速発進の場合において操舵アシスト量を最適に変化させるための調整電流信号SG16が加算される。
上記の調整電流信号SG16を生成する操舵アシスト電流演算部は、スプリットμ判定部34で車両の走行状態(または挙動状態)が「スプリットμ路面」であると判定されたとき、その判定情報をフラグ(F1)で受信することを条件に、車両の車体にて発生したヨーレートに応じた操舵アシスト電流を算出し、調整電流信号SG16として出力する。この調整電流信号SG16としての操舵アシスト電流の算出値は、スプリットμ路面での制動または加速発進に起因して車両で発生したヨーレートを、電動パワーステアリング装置の操舵アシスト動作をカウンタステア操作をアシストするように行わせることによって、打ち消す方向に制御するための制御値である。換言すれば、操舵アシスト電流演算部33は、ヨーレート検出信号SG11に応じて、スプリットμ路面での制動または加速発進に起因して車両で発生したヨーレートを打ち消す方向に制御を行い、かつスプリットμ路面であるか否かの判定を基準にして、電動パワーステアリング装置に対して運転者のカウンタステア操作に対応する操舵アシスト動作を行わせる。
上記操舵アシスト電流演算部33で算出される調整電流信号SG16すなわち操舵アシスト電流の値は、制動時と加速発進時のそれぞれで異なり、可変の値として設定される。この場合において、一般的に、制動時の方が、走行安定性を高めるという観点で制御値が高い値に設定される。さらに、操舵アシスト電流演算部33で算出される調整電流信号SG16すなわち操舵アシスト電流の値は、発生したヨーレートに応じて可変となるように設定されている。
次に、スプリットμ判定部34では、上記の「スプリットμ路面」であるか否かの判定は、次のように行われる。
スプリットμ路面であるか否かの判定手法としていくつかの方法がある。本実施形態では、第1に、車輪速度信号SG12を用いて、前輪の左右輪の車輪速度差、後輪の左右輪の車輪速度差の片方または両方に基づいて判定する方法、第2に、推定キャリパ圧信号SG13を用いて、前輪の左右輪の推定キャリパ圧差、後輪の左右輪の推定キャリパ圧差の片方または両方に基づいて判定する方法、第3に、推定駆動トルク信号SG14を用いて、前輪の左右輪の推定トルク差、後輪の左右輪の推定トルク差の片方または両方に基づいて判定する方法、第4に、スリップ率信号SG15を用いて、前輪の左右輪のスリップ率差、後輪の左右輪のスリップ率差の片方または両方に基づいて判定する方法を挙げることができる。本実施形態でのスプリットμ判定部34では、前述のごとく、好ましくは、車輪速度信号SG12と推定キャリパ圧信号SG13と推定駆動トルク信号SG14とスリップ率信号SG15が入力されており、上記の第1から第4のいずれの方法を用いてもスプリットμ路面であるか否かの判定を行うことができる。実際上、スプリットμ路面であるか否かの判定は、上記の第1から第4のいずれか1つの方法を用いて、または複数の方法を組み合わせて行われる。本実施形態に係るスプリットμ判定部34では、原則的に、車両の左右車輪の路面摩擦係数の差の有無を検出することにより、スプリットμ路面であるか否かを判定するものである。
上記の操舵アシスト電流演算部11が有する機能は、通常、ソフト的に実現される。この場合における操舵アシスト電流演算部11で実施される操舵アシスト量の変化させる制御手順を図3のフローチャートに従って説明する。
最初の判断ステップS11では、スプリットμ判定部34から与えられるフラグF1の状態に基づきスプリットμ路面であるか否かが判定される。スプリットμ路面でない場合(NO)には、特別な処理は行わない。この場合、電動パワーステアリング装置の操舵アシストは通常通り行われる。スプリットμ路面である場合(YES)には、通常走行であるか否か判断される(ステップS12)。通常走行である場合(YES)には、スプリットμ路面における通常走行のための値K0が操舵アシスト量決定変数(K)に代入される(ステップS13)。通常走行でない場合(NO)には、次の判断ステップS14で制動時であるかまたは加速発進(発進加速)時であるかが判定される。制動時であると判定されたときにはスプリットμ制動のための値K1が操舵アシスト量決定変数(K)に代入される(ステップS15)。また加速発進時であると判定されたときにはスプリットμ路面での加速発進のための値K2が操舵アシスト量決定変数(K)に代入される(ステップS16)。最終のステップS17では、上記のステップS13〜S16で決まった操舵アシスト量決定変数Kを用いて所定の関係式に基づいて操舵アシスト量に係る値TAを算出する。このTAによって前述の調整電流信号SG16が決まる。上記において、値K1,K2は、スプリットμ路面での制動や加速発進を考慮し、かつ発生したヨーレートを打ち消す方向で、発生したヨーレートに応じて設定された、操舵アシスト量を定めるための制御用設定値である。
次に図4と図5を参照して本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態に係る車両の操舵装置はステア・バイ・ワイヤ(SBW)方式に関するものである。図4は第2実施形態に係るSBW式操舵装置の模式的な装置構成を示し、図5は制御装置の内部に実現される目標タイヤ角設定量を可変にする調整部等の構成を示す。図4と図5において、上記第1実施形態で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付している。
SBW式操舵装置40では、ハンドル11と前輪(前側タイヤ)41との間には機械的な連結構造は設けられていない。ハンドル11において運転者が操作した回転角すなわち操舵角は、電子的な制御システムに基づいて前輪41でその舵角を発生させるように構成されている。ハンドル11は、車両の転舵輪のタイヤ角を運転者が進行したい角に決定し指示するための目標タイヤ角入力部としての機能を有する。こうして、運転者がハンドル11を回転すると、その回転角すなわち操舵角によって目標タイヤ角が入力される。
SBW式操舵装置40において、ハンドル11の操舵軸42には、タイヤ指示角検出部43と、操舵反力発生モータ44が付設される。
運転者は目標タイヤ角を入力するためにハンドル11を操作する。タイヤ指示角検出部43によって、操作されたハンドル11の操舵角(θ)を検出し、検出された操舵角を基に後述するように目標タイヤ角を決定する。具体的な構成として、タイヤ指示角検出部43は、ロータリエンコーダ等を用いて操舵軸42の回転量を計測しハンドル11の操舵角を検出する。
操舵反力発生モータ44は、操舵軸42およびハンドル11を介して運転者に反力を与えるためのものである。ハンドル11は、前述の通り機械的な構造として前輪41に連結されていないので、ハンドル操作時に運転者の操舵フィーリングとして反力を与えることが必要となる。
タイヤ指示角検出部43から出力される検出信号は、操舵角に係る信号S21(以下「操舵角信号SG21」という)として制御装置(ECU)45に入力される。また操舵反力発生モータ44を駆動させる駆動信号は制御装置45から与えられる。操舵反力発生モータ44が発生する操舵反力は、制御装置45から供給される駆動信号の大きさに応じて決まる。
SBW式操舵装置40における他の検出系としては、車速センサ21と、実タイヤ角検出部46が設けられている。
車速センサ21は車両の走行速度に係る信号Vを制御装置45に供給する。実タイヤ角検出部17は、実際の車両の転舵輪のタイヤ角に係る信号SG22(以下「実タイヤ角信号SG22」という)を制御装置45に供給する。
前輪(前側タイヤ)41を転舵させる駆動装置として転舵機構47と舵角発生部48が設けられている。舵角発生部48はモータによって構成される。舵角発生部48は、制御装置45から出力される操舵駆動信号に基づいて前輪41を転舵する。
上記において、制御装置45は、操舵角信号SG21、車速信号V等を入力し、これらの入力信号に基づいて目標タイヤ角に係る信号を生成し、舵角発生部48を駆動して前輪41を転舵する。また制御装置45は、車両の実際のタイヤ角が目標タイヤ角に一致するように方位角フィードバック制御を行い、目標タイヤ角と実際のタイヤ角に基づいて操舵反力発生モータ44を介してハンドル11に操舵反力を与える。
図6に従って目標タイヤ角設定量を可変にする調整部等の構成を説明する。制御装置45は、目標タイヤ角設定部51と、目標タイヤ角補正部52と、制御部53と、操舵反力設定部と、加算部55と、減算部56と、さらに前述したスプリットμ判定部34とを有している。
目標タイヤ角設定部51は車速信号Vと装舵角信号S21に基づいて目標タイヤ角信号SG23を生成する。目標タイヤ角信号SG23は、SBW式操舵装置による操舵駆動量を決める信号である。目標タイヤ角信号SG23は、原則として、加算部55、減算部56、および制御部53を経由して舵角発生部48のモータ48aの側に送られる。目標タイヤ角信号SG23は、制御部56によって舵角発生部48のモータ駆動電流に変換され、そのモータ48aに舵角動作を行わせる。加算部55では、以下のごとく、スプリットμ路面での制動または加速発進の場合において目標タイヤ角信号SG23を最適に変化させるための調整電流信号SG24が加算される。
上記の調整電流信号SG24を生成する目標タイヤ角補正部52は、スプリットμ判定部34で車両の走行状態(または挙動状態)が「スプリットμ路面」であると判定されたとき、その判定情報をフラグ(F1)で受信することを条件に、車両の車体にて発生したヨーレートに応じた目標タイヤ角補正電流を算出し、調整電流信号SG24として出力する。この調整電流信号SG24としての目標タイヤ角補正電流の値は、スプリットμ路面での制動または加速発進に起因して車両で発生したヨーレートを、SBW式操舵装置の操舵動作でカウンタステア動作を行わせることによって、打ち消す方向に制御するための制御値である。換言すれば、目標タイヤ角補正部52は、ヨーレート検出信号SG11に応じて、スプリットμ路面での制動または加速発進に起因して車両で発生したヨーレートを打ち消す方向に目標タイヤ角の補正制御を行い、かつスプリットμ路面の判定を基準にして、SBW式操舵装置に対してカウンタステア動作に対応する操舵動作を行わせる。
上記目標タイヤ角補正部52で求められる調整電流信号SG24すなわち操舵駆動電流の値は、制動時と加速発進時のそれぞれで異なり、可変の値として設定される。この場合において、一般的に、制動時の方が、走行安定性を高めるという観点で制御値が高い値に設定される。さらに、目標タイヤ角補正部52で算出される調整電流信号SG24、すなわち操舵駆動電流の値は、発生したヨーレートに応じて可変となるように設定されている。
なおスプリットμ判定部34の判定動作は、上記第1実施形態で説明したものと実質的に同じである。
また減算部56では、補正された目標タイヤ角信号から実タイヤ角信号SG23を減算して差信号SG25が得られる。制御部53には、減算部56で得られた差信号SG25が与えられる。また当該差信号SG25は操舵反力設定部54にも与えられる。操舵反力設定部54は、差信号SG25に基づいて操舵反力発生モータを駆動する駆動信号SG26を出力する。
第2実施形態に係るSBW式操舵装置において、上記の目標タイヤ角補正部51の機能は、通常、ソフト的に実現される。この場合、目標タイヤ角補正部52で実施される操舵駆動量の変化させる制御手順は、第1実施形態に関連して説明された図3のフローチャートの内容と実質的に同一である。
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎず、また数値(数値を表す変数記号)については例示にすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
本発明は、電動パワーステアリング装置やSBW式操舵装置等でのスプリットμ制動等で検出されたヨーレートを打ち消すように操舵アシスト制御等を行うようにし、最適な操舵アシスト等を行うのに利用される。
本発明の第1実施形態に係る電動パワーステアリング装置の要部構成を模式的に示す構成図である。 第1実施形態における制御装置で操舵アシスト量を可変にする構成を示すブロック図である。 第1実施形態での操舵アシスト量の変化させる制御手順を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係るSBW式操舵装置の要部構成を模式的に示す構成図である。 第2実施形態における制御装置での操舵駆動量(目標タイヤ角)を可変にする構成を示すブロック図である。
符号の説明
10 電動パワーステアリング装置
11 ハンドル
17 前輪(前側タイヤ)
20 操舵トルクセンサ
21 車速センサ
22 制御装置
31 EPS目標電流決定部
32 制御部
33 操舵アシスト電流演算部
34 スプリットμ判定部
51 目標タイヤ角設定部
52 目標タイヤ角補正部

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  1. 車両の左右転舵輪の転舵動作を支援または実行する転舵実行装置を含む車両の操舵装置において、
    前記車両の動作状態に係る検出信号に基づき前記車両の左右の車輪の路面摩擦係数の差の有無を検出してスプリットμ路面であるか否かを判定するスプリットμ判定手段と、
    前記車両で発生するヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、
    前記スプリットμ判定手段でスプリットμ路面であると判定されたとき、通常走行時を除き、前記ヨーレート検出手段から出力される前記ヨーレート打ち消す方向に前記左右転舵輪の制御値を決定する制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、
    走行状態を判定し、前記スプリットμ路面での制動時は、加速発進時に比べて前記制御値を大きく設定することを特徴とする車両の操舵装置。
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